(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023059132
(43)【公開日】2023-04-26
(54)【発明の名称】液面検出装置
(51)【国際特許分類】
G01F 23/36 20060101AFI20230419BHJP
【FI】
G01F23/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021169071
(22)【出願日】2021-10-14
(71)【出願人】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】田中 達也
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 哲也
(72)【発明者】
【氏名】高橋 仙子
【テーマコード(参考)】
2F013
【Fターム(参考)】
2F013BB02
2F013BG01
2F013BG11
2F013CB01
(57)【要約】
【課題】 検出される液面高さのノイズが小さい液面検出装置を提供する。
【解決手段】 液面検出装置1は、液面の変動に伴って接点7aが摺動する固定電極6bを有する回路基板6を備えている。回路基板6は、固定電極6bに接続する抵抗体6gと、抵抗体6gに接続する第一の出力端子6cと、固定電極6bに接続する第二の出力端子6dと、を有する。回路基板6は、グランド端子6fと、グランド端子6fに接続する第二の固定電極6eと、を有する。演算部15は、第一の出力端子6cにおける第一の電位V1と、第二の出力端子6dにおける第二の電位V2の電位差Vを出力する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液面の変動に伴って接点が摺動する固定電極を有する回路基板を備えた液面検出装置であって、
前記回路基板は、前記固定電極に接続する抵抗体と、前記抵抗体に接続する第一の出力端子と、前記固定電極に接続する第二の出力端子と、を有することを特徴とする液面検出装置。
【請求項2】
前記回路基板は、更に、グランド端子と、前記グランド端子に接続する第二の固定電極と、を有することを特徴とする請求項1に記載の液面検出装置。
【請求項3】
前記第一の出力端子における第一の電位と、前記第二の出力端子における第二の電位の電位差を出力する演算部を更に備えたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の液面検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液面高さを検出する液面検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、液面検出装置が種々提案されており、例えば特許文献1に開示されている。斯かる液面検出装置は、燃料タンク内の液面の上下に応じて接点を可変抵抗上で摺動させて、可変抵抗の電気抵抗値を変化させることにより、液面高さを検出するものである。液面検出装置によって検出された液面高さは、燃料の残量に換算されて燃料計に表示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、接点が可変抵抗上で摺動する際にノイズが発生し、液面高さを正確に検出できない虞があった。つまり、回路基板の可変抵抗上を接点が摺動するときに、接触抵抗の変化によってノイズが発生し、検出される液面高さに誤差が生じるという問題を有していた。
本発明は、この問題に鑑みなされたものであり、検出される液面高さの誤差ズが小さい液面検出装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、前記課題を解決するため、液面の変動に伴って接点7aが摺動する固定電極6bを有する回路基板6を備えた液面検出装置1であって、前記回路基板6は、前記固定電極6bに接続する抵抗体6gと、前記抵抗体6gに接続する第一の出力端子6cと、前記固定電極6bに接続する第二の出力端子6dと、を有することを特徴とする。
【0006】
また、本発明は、前記回路基板6は、更に、グランド端子6fと、前記グランド端子6fに接続する第二の固定電極6eと、を有することを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、前記第一の出力端子6cにおける第一の電位V1と、前記第二の出力端子6dにおける第二の電位V2の電位差Vを出力する演算部15を更に備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
回路基板の固定電極と、接点の接触抵抗によるノイズをキャンセルすることができ、検出される液面高さの誤差が小さい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付の図面に基づいて、本発明を液面検出装置1に適用した一実施形態について説明する。液面検出装置1は、フロート2と、フロートアーム3と、アームホルダ4と、本体フレーム5と、回路基板6と、摺動子7と、止め鍔11とを備えている。
【0011】
液面検出装置1は、液面に浮かぶフロート2を利用したフロート式のタイプであり、液面検出装置1によって検出された液面高さに基づいて、燃料の残量が燃料計20に表示される。液面検出装置1は、ガソリンなどの液体燃料を貯留する燃料タンク内に、止め鍔11によって固定される。
【0012】
フロートアーム3は、金属製であり、一端が本体フレーム5に軸支されており、他端にフロート2が固定されている。フロートアーム3は、液面高さに応じて上下するフロート2と共に回動する。アームホルダ4は、亜鉛合金からなり、フロートアーム3を保持している。アームホルダ4には、本体フレーム5に対向する面に摺動子7が固定されている。
【0013】
回路基板6は、セラミックからなる基材6aと、この基材6aに形成された固定電極6b,出力端子6c,6d,固定電極6e,グランド端子6f,抵抗体6gとを有している。固定電極6b,出力端子6c,6d,固定電極6e,グランド端子6fを構成する導電体は、銀,パラジウムの金属と、ガラスなどで構成され、基材6a上に焼付形成される。固定電極6bは、ストライプ状に複数設けられている。固定電極6bは、それぞれ抵抗体6gと電気的に接続されている。
【0014】
出力端子6cは、抵抗特性電位を出力するための接続ランドであり、リード端子Aが半田により接続される。出力端子6cには、プルアップ抵抗9を介して、イグニッション電源が接続される。出力端子6cは、固定電極6bと電気的に接続されている。出力端子6dは、ノイズ電位を出力するための接続ランドであり、リード端子Cが半田により接続される。
【0015】
出力端子6dは、固定電極6bと電気的に接続されている。固定電極6eは、櫛歯状になっており、グランド端子6fと電気的に接続されている。グランド端子6fには、リード端子Bが半田により接続される。グランド端子6fは、接地されて、電位がゼロになっている。抵抗体6gは、酸化ルテニウムからなるものである。可変抵抗6hは、固定電極6bと抵抗体6gとからなるものであり、摺動子7の位置に応じて電気抵抗値が変化する。
【0016】
摺動子7は、洋白などの金属からなる板形状であり、アームホルダ4に固定されている。摺動子7は、固定電極6bに当接する接点7aと、固定電極6eに当接する接点7bと、を有している。摺動子7は、アームホルダ4に固定されており、フロートアーム3と共に回動して、接点7a,7bが固定電極6b,6e上を摺動する。
【0017】
液面検出装置1は、止め鍔11を介して、燃料タンクの上部に固定される。燃料が消費され、燃料タンク内の液面が低下すると、フロート2は下方に変位し、フロート2が取り付けられたフロートアーム3がスイングする。フロートアーム3がスイングすると、フロートアーム3と共にアームホルダ4もスイングする。
【0018】
アームホルダ4に備えられた摺動子7の接点7a,7bは、回路基板6の固定電極6b,6eに対して摺動する。即ち、液面高さに応じて、回路基板6に対して接点7a,7bが接触する位置は変わる。演算部15は、例えばマイコンからなるものであり、出力端子6cの電位V1と、出力端子6dの電位V2とを入力すると共に、電位V1と電位V2の電位差Vを燃料計20に出力する。
【0019】
図6乃至
図9は、比較例である液面検出装置100を示すものである。回路基板106は、基材106aと、この基材106aに形成された固定電極106b,出力端子106c,固定電極106e,グランド端子106f,抵抗体106gとを有している。出力端子106cは、抵抗特性電位を出力するための接続ランドであり、リード端子が半田により接続される。出力端子106cには、プルアップ抵抗109を介して、イグニッション電源が接続される。
【0020】
固定電極106eは、櫛歯状になっており、グランド端子106fと電気的に接続されている。可変抵抗106hは、固定電極106bと抵抗体106gとからなるものであり、摺動子107の位置に応じて電気抵抗値が変化する。摺動子107は、固定電極106bに当接する接点107aと、固定電極106eに当接する接点107bと、を有している。
【0021】
液面検出装置100は、出力端子106cの電位V1を燃料計20に出力する。液面検出装置100が出力する電位V1には、ノイズが含まれてしまう。このノイズが発生する一因は、接点107aが固定電極106bの平坦部に当接しているとき(
図9(a)参照)と、接点107aが固定電極106bのエッジに当接しているとき(
図9(b)参照)とで、接触抵抗が異なるためであると考えられる。
【0022】
本実施形態の液面検出装置1は、電位V1と電位V2の電位差Vを燃料計20に出力するため、ノイズがキャンセルされ、検出される液面高さの誤差が小さくなる。
【0023】
本発明は、本実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、本実施形態は、燃料の液面高さを検出するものであったが、燃料以外の液体の液面高さを検出するものであっても良い。
【符号の説明】
【0024】
1 液面検出装置
6 回路基板
6b 固定電極
6c 出力端子(第一の出力端子)
6d 出力端子(第二の出力端子)
6e 固定電極(第二の固定電極)
6g 抵抗体
6f グランド端子
7 摺動子
7a 接点
15 演算部