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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023059135
(43)【公開日】2023-04-26
(54)【発明の名称】旋回式生産ライン
(51)【国際特許分類】
   B62D 65/18 20060101AFI20230419BHJP
   B65G 47/80 20060101ALI20230419BHJP
   G05B 19/418 20060101ALI20230419BHJP
【FI】
B62D65/18 C
B65G47/80 C
G05B19/418 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021169077
(22)【出願日】2021-10-14
(71)【出願人】
【識別番号】594059385
【氏名又は名称】株式会社テッツコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】弁理士法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】木本 徹男
【テーマコード(参考)】
3C100
3D114
3F072
【Fターム(参考)】
3C100AA42
3C100BB21
3C100EE01
3D114AA06
3D114BA01
3D114CA01
3D114CA14
3D114DA08
3F072AA06
3F072AA17
3F072GG02
3F072KB04
3F072KB05
3F072KB18
(57)【要約】
【課題】更なる省スペース化が可能な旋回式生産ラインを提供する。
【解決手段】旋回式生産ライン1は、水平なベース床5に対して直交する旋回中心線Lを中心に旋回可能で、旋回中心線Lに沿った平面視で外周縁が旋回中心線Lを中心とした円形に形成される円盤部10と、旋回中心線Lを中心として円盤部10を旋回させる旋回駆動部20と、を備え、円盤部10は、ベース床5に対向する下面11と、下面11とは反対側の上面12とを有し、平面視で上面12の外周縁に沿って複数のブース13が配置されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平なベース床に対して直交する旋回中心線を中心に旋回可能で、前記旋回中心線に沿った平面視で外周縁が前記旋回中心線を中心とした円形に形成される円盤部と、
前記旋回中心線を中心として前記円盤部を旋回させる旋回駆動部と、を備え、
前記円盤部は、前記ベース床に対向する下面と、前記下面とは反対側の上面とを有し、
前記平面視で、前記上面の外周縁に沿って複数のブースが配置されている、旋回式生産ライン。
【請求項2】
前記旋回駆動部は、前記ベース床と前記円盤部との間に配置され、前記平面視において前記旋回中心線の放射方向に沿って延設される駆動軸と、前記駆動軸に保持されて当該駆動軸を中心に回転可能な回転体を有し、
前記回転体は、前記円盤部の前記下面に当接し、当該回転体の回転により前記円盤部を旋回させる、
請求項1に記載の旋回式生産ライン。
【請求項3】
前記ベース床と前記円盤部との間に配置され、前記平面視において前記旋回中心線の放射方向に伸び、かつ、前記旋回中心線から離れるにしたがって前記ベース床に近接する方向又は前記ベース床から離隔する方向に傾斜する回転軸と、前記回転軸に保持されて前記下面又は前記ベース床に当接して回転可能な第二回転体と、を有する偏心抑制部を複数備え、
前記平面視において、複数の前記偏心抑制部は、前記旋回中心線に対して回転対称に配置されている、
請求項1又は請求項2に記載の旋回式生産ライン。
【請求項4】
前記ベース床から前記円盤部に向かって突設された複数の架台を備え、
前記偏心抑制部は、前記架台に設けられている、
請求項3に記載の旋回式生産ライン。
【請求項5】
前記円盤部は、前記平面視で円環状に形成され、
前記円盤部の内周縁の内側に、前記旋回駆動部により旋回されない非旋回部が設けられている、
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の旋回式生産ライン。
【請求項6】
前記円盤部の外周縁よりも外側に配置された円環状の第二円盤部と、
前記第二円盤部を、前記旋回中心線を中心に旋回させる第二旋回駆動部と、をさらに備え、
前記第二円盤部には、前記平面視で、円環内周縁から円環外周縁に亘る第二ブースが周方向に亘って、前記ブースに対応して設けられている、
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の旋回式生産ライン。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両や電化製品等を生産するための設備である旋回式生産ラインに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両や電化製品等の各種製品を大量生産する生産設備として、ベルトコンベアにより製品を直線ラインに沿って搬送する直線型生産ラインが例示される。このような直線型生産ラインでは、その搬送途中で各種部品の組み立て、塗装等を流れ作業により行うことで、製品を効率的に大量に生産することができる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-286264号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の直線型生産ラインでは、ベルトコンベアによって直線に沿って作業対象物を搬送するため、直線型生産ラインの一端部から他端部までの距離が長くなる。作業工程が多くなる程、その距離も長くなり、設備が大型化するとの課題がある。
また、生産ラインに作業員を配置し、複数の工程を作業員が分担して作業を行う場合がある。この場合、作業の遅れが発生している工程に、他の工程を行う作業員が応援として移動することができる。しかしながら、従来の直線型生産ラインでは、作業員の移動に係る距離が長く、作業効率が低下するとの課題もある。
【0005】
さらに、1つの直線型生産ラインを2分割し、第1の直線型生産ラインと、第2の直線型生産ラインとを平行に配置し、これらの生産ラインの端部同士を連結して、作業対象物を折り返して搬送させるU字型生産ラインやO字型生産ラインもある。
この場合、1つの直線型生産ラインのみで構成する場合に比べて、設備を小型化でき、省スペース化は可能である。しかしながら、第1の直線型生産ライン、及び第2の直線型生産ラインは、いずれも直線型であり、省スペース化にも限界がある。また、折り返し部分での搬送機構が複雑化するとの課題もあり、折り返し部分が多い程、設備に係るコストも高くなるとの課題もある。
【0006】
本発明は、上記のような課題に鑑みて、更なる省スペース化が可能な旋回式生産ラインを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明第一態様に係る旋回式生産ラインは、水平なベース床に対して直交する旋回中心線を中心に旋回可能で、前記旋回中心線に沿った平面視で外周縁が前記旋回中心線を中心とした円形に形成される円盤部と、前記旋回中心線を中心として前記円盤部を旋回させる旋回駆動部と、を備え、前記円盤部は、前記ベース床に対向する下面と、前記下面とは反対側の上面とを有し、前記平面視で、前記上面の外周縁に沿って複数のブースが配置されている。
【0008】
本態様の旋回式生産ラインにおいて、前記旋回駆動部は、前記ベース床と前記円盤部との間に配置され、前記平面視において前記旋回中心線の放射方向に沿って延設される駆動軸と、前記駆動軸に保持されて当該駆動軸を中心に回転可能な回転体を有し、前記回転体は、前記円盤部の前記下面に当接し、当該回転体の回転により前記円盤部を旋回させることが好ましい。
【0009】
本態様の旋回式生産ラインにおいて、前記回転体は、前記駆動軸を中心軸とした円錐台状であり、当該円錐台の母線が前記下面に当接することが好ましい。
【0010】
本態様の旋回式生産ラインにおいて、前記ベース床と前記円盤部との間に配置され、前記平面視において前記旋回中心線の放射方向に伸び、かつ、前記旋回中心線から離れるにしたがって前記ベース床に近接する方向又はベース床から離隔する方向に傾斜する回転軸と、前記回転軸に保持されて前記下面又は前記ベース床に当接して回転可能な第二回転体と、を有する偏心抑制部を複数備え、前記平面視において、複数の前記偏心抑制部は、前記旋回中心線に対して回転対称に配置されていることが好ましい。
【0011】
本態様の旋回式生産ラインにおいて、前記ベース床から前記円盤部に向かって突設された複数の架台を備え、前記偏心抑制部は、前記架台に設けられていることが好ましい。
【0012】
本態様の旋回式生産ラインにおいて、前記円盤部は、前記平面視で円環状に形成され、前記円盤部の内周縁の内側に、前記旋回駆動部により旋回されない非旋回部が設けられていることが好ましい。
【0013】
本態様の旋回式生産ラインにおいて、前記円盤部の外周縁よりも外側に配置された円環状の第二円盤部と、前記第二円盤部を、前記旋回中心線を中心に旋回させる第二旋回駆動部と、をさらに備え、前記第二円盤部には、前記平面視で、円環内周縁から円環外周縁に亘る第二ブースが周方向に亘って、前記ブースに対応して設けられていることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第一実施形態の生産ラインの概略構成を示す図。
図2】本実施形態の旋回駆動部の設置位置を示す平面図。
図3】本実施形態の旋回駆動部の構成例を示す図。
図4】第二実施形態の生産ラインにおける円盤部の径方向に沿った断面図。
図5】第三実施形態の生産ラインの概略構成を示す平面図。
図6】第三実施形態の生産ラインの他の構成例を示す平面図。
図7】変形例6に係る生産ラインの構成例を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[第一実施形態]
以下、本発明に係る第一実施形態の旋回式生産ラインについて説明する。
[旋回式生産ラインの構成]
図1は、本実施形態の旋回式生産ライン(以降、単に、生産ライン1と称する場合もある)の概略構成を示す図であり、(A)は、生産ライン1の平面図、(B)は、(A)におけるA-A線矢視断面図、(C)は、(A)におけるB-B線矢視断面図である。
本実施形態の生産ライン1は、製品を生産する工場等に設置される生産設備であり、例えば、自動車や電気製品等、作業対象物Wに複数の部品を組み込んで製造したり、塗装を施したりする生産設備に用いることができ、特に自動車等の大型製品の生産に好適に利用できる。
この生産ライン1は、図1(B)に示すように、フロア2に設けられた凹状のライン設置凹部4の水平なベース床5に設置される。生産ライン1は、ベース床5に直交する旋回中心線Lを中心として旋回可能な円盤部10と、円盤部10を旋回させる旋回駆動部20とを備える。なお、ここでの旋回中心線Lは、円盤部10の回転中心を示すものであり、軸部材が実在していなくてもよい。例えば、図1に示す旋回中心線Lは、旋回駆動部20による旋回中心となる仮想線を示したものであり、軸部材は設けられていない。なお、本実施形態では、旋回中心線L上に軸部材が設けられないが、旋回中心線L上に、円盤部10を旋回可能に保持する軸部材等の旋回補助機構が別途設けられる構成としてもよい。
【0016】
円盤部10は、図1(A)に示すように、旋回中心線Lに沿った平面視において外周縁が円形となる円盤である。円盤部10は、下面11がベース床5に対向し、後述する旋回駆動部20により支持されている。また、円盤部10の上面12は、製品の生産に使用される作業面であり、円盤部10の外周縁に沿って、複数のブース13が設置されている。これらのブース13は、作業対象物Wの組み立てや塗装などの各種工程作業を行うスペースである。例えば、本実施形態では、円盤部10の上面12とフロア2とが同一平面となるように円盤部10が設置され、円盤部10の外側のフロア2上に、ブース13と同数の作業エリア3が配置される。これらの作業エリア3には、作業を実施する作業員や産業機械、作業対象物Wに組み込む部品(仕掛け品)等が配置される。そして、円盤部10が所定角度旋回されて、ブース13が所定の作業エリア3に到達することで、当該ブース13に配置された作業対象物Wに作業エリア3に対応した作業が実施される。
【0017】
図2は、旋回駆動部20の設置位置を示す平面図であり、図3は、旋回駆動部20の構成例を示す図である。
旋回駆動部20は、円盤部10の下面11とベース床5との間に設置され、図2に示すように、旋回中心線Lを中心として等角度間隔で配置される。本実施形態の旋回駆動部20は、図2及び図3に示すように、平面視において、旋回中心線Lの放射方向(円盤部10の径方向)に沿って長手となり、かつ、旋回中心線Lから離れるにしたがってベース床5に近接する駆動軸21と、当該駆動軸21を中心に回転可能な円錐台のローラ22とを備える。ローラ22の周面の一部(円錐台の母線)は、円盤部10の下面11に当接し、ローラ22が回転されることで、円盤部10が旋回中心線Lを中心に旋回する。
【0018】
ローラ22の駆動方法としては特に限定されず、例えば、図3に示すような構成例が挙げられる。例えば、図3(A)では、駆動モータ23によって回転される駆動軸21と、ローラ22とが一体的に構成される。また、駆動軸21は、円盤部10の旋回中心線Lの近傍から、外周縁近傍までに亘って設けられており、ローラ22は、駆動軸21の一端部から他端部に亘って一体的に設けられている。このような構成では、図示略の制御部によって、駆動モータ23の駆動量や駆動速度、駆動方向を制御することで、円盤部10の旋回角度や旋回速度、回転方向を適宜調整することができる。
【0019】
なお、図3(A)の例では、駆動軸21の端部間に亘ってローラ22が設けられる例を示すがこれに限定されない。例えば、図3(B)に示すように、1つの駆動軸21に、間隔を開けて複数のローラ22Aが配置されてもよい。
また、図3(A)(B)では、駆動モータ23によって駆動軸21が回転駆動されることで、駆動軸21に一体的に設けられたローラ22,22Aが回転する構成であるが、これに限定されない。例えば、図3(C)は、駆動軸21Aと、複数のローラ22Aとを備える構成であるが、この駆動軸21Aは、各ローラ22Aの駆動中心であり、ローラ22Aを回転可能に支持する支持軸として機能する。すなわち、駆動軸21A自体が駆動モータ23により回転駆動されるものではない。この場合、複数のローラ22Aのうちの少なくともいずれかに、駆動機構(駆動モータ23等)を接続して駆動させる。
【0020】
なお、図3(C)は、支持軸として機能する駆動軸21Aが、円盤部10の旋回中心線Lの近傍からから外周縁の近傍に亘る長手状の軸部材である例を示したが、これに限定されない。例えば図3(D)に示すように、複数の駆動軸21Bが同軸となるように設けられていてもよい。この場合、ベース床5に架台6を設置し、架台6に駆動軸21Bを支持する支持部材6Aを配置することが好ましい。これにより、円盤部10とベース床5との間にスペースを形成でき、例えば作業員の移動や、部品や作業対象物W等の搬送に利用することができる。
また、当該構成では、回転体として、図3(E)に示すように、内部に空気が密閉されるラバー製のタイヤ22Bを用いてもよい。タイヤ22Bを用いる場合は、ローラ22Aのように円錐台に形成されている必要がなく、駆動軸21Bも水平に維持されてもよい。なお、図3(E)では、ベース床5に駆動軸21Bを支持する支持部材6Aが設けられているが、図3(D)と同様、ベース床5に架台6を設置し、架台6上に支持部材6Aを設ける構成としてもよい。このようなタイヤを用いる場合、タイヤ幅や、タイヤ22Bのゴム硬度、溝形状(トレッド)、空気圧等により、タイヤ22Bと円盤部10との摩擦係数、グリップ力を適宜調整することも可能となる。
【0021】
さらに、図3(C)~(E)のように、回転体として、複数のローラ22A又はタイヤ22Bを用いる場合、複数のローラ22A又はタイヤ22Bのうちの複数個のみを駆動させる構成としてもよい。例えば、図3(C)~(E)に示す例では、最も外周側に設けられたローラ22A又はタイヤ22Bに、駆動モータ23が接続されて駆動される構成となり、他のローラ22A又はタイヤ22Bは従動回転体として機能させる。従動回転体は、円盤部10の回転に従動して回転し、円盤部10を支持する。また、従動回転体として機能させるローラ22A又はタイヤ22Bは、外径が同一に形成されていてもよく、さらには、以降の第二実施形態で説明する偏心抑制部として機能させてもよい。
【0022】
[生産ライン1による製品生産例]
次に、上記のような生産ライン1を用いる場合の製品の生産例について説明する。本実施形態の生産ライン1では、上述したように、円盤部10と円盤部10の外側のフロア2とが同一平面となり、フロア2には、ブース13に対応する作業エリア3が設けられ、各作業エリア3には作業を実施する作業員が配備される。
また、複数のブース13のうちの1つ(例えば図1に示すPの作業エリア3に対応する位置のブース13)に対応して、作業前(組み立て前)の作業対象物Wを搬入する搬入部3Aを設けてもよく、この場合、図1(B)に示すように、搬入部3Aから、ホイスト等の搬入手段3A1を用いて、作業対象物Wが1つのブース13に搬入される。
同様に、複数のブース13のうちの1つ(例えば図1に示すP24に位置するブース13)に対応して、作業が完了した作業対象物Wを搬出する搬出部3Bを設ける。この場合、図(C)に示すように、ブース13から、ホイスト等の搬出手段3B1を用いて、作業対象物Wが搬出部3Bに搬出される。
【0023】
本実施形態では、所定時間間隔で、円盤部10を所定角度回転させることで、ブース13を順次次の作業エリア3に送り出し、当該作業エリア3に配備された作業員による作業工程を実施する。例えば、図1に示す例では、24個のブース13が配置される。この場合、所定時間間隔で、ブース13を一方向(例えば反時計回り)に15度旋回させる。これにより、各ブース13が次の作業エリア3に送られることになる。
ここで、本実施形態では、いずれかのブース13において、作業員の作業に遅れが生じている場合等に、他のブース13の作業員が容易に応援に行くことができる。例えば、図1の一点鎖線Mに示すように、円盤部10の内周側を移動して、他のブース13に移動することができる。これにより、従来の直線型生産ラインに比べて、作業員の移動距離を短くでき、作業に係る効率性が向上する。
【0024】
[本実施形態の作用効果]
本実施形態の生産ライン1は、水平なベース床5に対して直交する旋回中心線Lを中心に旋回可能で、旋回中心線Lに沿った平面視で外周縁が略円形に形成される円盤部10と、旋回中心線Lを中心として円盤部10を旋回させる旋回駆動部20と、を備える。そして、円盤部10は、ベース床5に対向する下面11と、下面11とは反対側の上面12とを有し、平面視で上面12の外周縁に沿って複数のブース13が配置されている。
このような生産ライン1では、従来の直線型生産ラインに比べて、設備のサイズを縮小でき、省スペース化に貢献できる。例えば、図1のように24個のブース13を配置し、各ブース13の径方向の長さを8mとする場合、各ブースの内周側の円弧が4.451m、外周側の円弧が6.541m、円盤部10の外径が50m、ブース13の内側(旋回中心線L側)縁で構成される内径が34mとなる。これに対して、同等の作業工程(24個)を直線型ラインで実現する場合では、24×8=192mの長さが必要となる。このように、生産ライン1は、従来の直線型生産ラインの1/3程度の長さのスペースを確保すればよく、設備に必要な敷地が少なくできる。
さらに、従来の直線型生産ラインでは、作業員が他の作業に応援に入る場合、直線ラインに沿って移動する必要がある。すなわち、生産ライン1では、円盤部10の内側を移動することで、移動距離を短くできる。上記の例では、内径が34mとなるので、移動距離は最大でも34mとなる。一方、直線型ラインでは、5つ先の作業エリアまで移動するだけで、40mの移動が必要となり、両端部間を移動するためには、約190mの移動が必要となる。このように、本実施形態の生産ライン1により、作業員のブース13間、作業エリア3間の移動距離を、従来の直線型生産ラインに比べて極めて短縮することができ、作業効率性の向上を図ることができる。
【0025】
本実施形態の生産ライン1では、旋回駆動部20は、ベース床5と円盤部10との間に配置され、平面視において旋回中心線Lの放射方向に伸びる複数の駆動軸21と、駆動軸21に保持されて駆動軸21を中心に回転可能な回転体としてのローラ22,22A又はタイヤ22Bを有する。そして、ローラ22,22A又はタイヤ22Bは、円盤部10の下面11に当接し、ローラ22,22A又はタイヤ22Bの回転により円盤部10を旋回させる。
このような構成では、円盤部10を、旋回中心線Lを回転中心として旋回させることができるとともに、円盤部10を放射方向に亘って、ローラ22,22A又はタイヤ22Bにより支持することができる。特に、車両等の重量が重い作業対象物Wに対する作業を行う場合、複数の作業対象物Wと円盤部10の重量を支える必要がある。
これに対して、本実施形態の構成では、複数の駆動軸21及びローラ22,22A又はタイヤ22Bにより、円盤部10を均一に支持することができ、円盤部10の撓み等の不都合を抑制できる。
また、旋回式生産ライン1では、各ブース13の作業対象物Wに順次作業を行い、様々な部品を組み込むことが想定される。この場合、円盤部10の偏荷重が大きくなる。これに対して、本実施形態では、多くの回転体(ローラ22,22A又はタイヤ22B)により円盤部10を支持することができる。よって、円盤部10に対して、均一に旋回駆動力を付与することができるので、円盤部10の偏心を抑制でき、偏心による円盤部10とフロア2との摩耗や損傷、動作不良等を抑制できる。
【0026】
特に、回転体として、内部に圧縮空気が密閉されたラバー製のタイヤ22Bを用いる場合、タイヤ22Bが弾性変形して、タイヤ22Bの幅方向(円盤部10の径方向)の中心部が大きく撓んで小径となり、幅方向の両端側が大きく膨らむ。これにより、タイヤ22Bの蛇行も抑制され、円盤部10の偏心もより抑制される。
また、回転体として、ローラ22,22Aを用いてもよく、この場合、各ローラ22,22Aは、駆動軸21を中心とした円錐台状とし、当該円錐台の母線が下面11に当接させる。
このような構成でも、円盤部10の広い範囲に均一な駆動力を付与することができ、偏心を抑制した円盤部10の旋回駆動が可能となる。
【0027】
[第二実施形態]
次に、第二実施形態について説明する。
第二実施形態は、第一実施形態の生産ライン1に対して、さらに、円盤部10の偏心を抑制する偏心抑制部を追加した点で、第一実施形態と相違する。
なお、以降の説明にあたり、既に説明した事項については、同符号を付し、その説明を省略または簡略化する。
【0028】
図4は、第二実施形態の生産ライン1Aにおける円盤部10の径方向に沿った断面図である。
本実施形態は、第一実施形態と同様に、フロア2のベース床5に対して旋回自在に保持された円盤部10と、円盤部10を旋回させる旋回駆動部20とを備える。
ここで、本実施形態では、旋回駆動部20は、図3(D)(E)と略同様の構成を有し、複数の回転体(ローラ22A又はタイヤ22B)のうち、円盤部10の外周縁に沿って配置された回転体が回転駆動される。一方、複数の回転体のうちのいくつかは、円盤部10の回転に従動して回転し円盤部10を支持する従動回転体として機能するが、本実施形態では、これらの従動回転体を、偏心抑制部30として機能させている。
【0029】
具体的には、図4(A)に示すように、各偏心抑制部30は、それぞれ、回転軸31と、回転軸31に保持されて円盤部10の下面11に当接する第二回転体(タイヤ32)とを備える。
ここで、これらの偏心抑制部30は、旋回中心線Lに対して回転対称(点対称を含む)に配置されている。また、各偏心抑制部30の回転軸31は、旋回中心線Lに沿って見る平面視で、旋回中心線Lの放射方向(円盤部10の径方向)に沿い、かつ、旋回中心線Lから離れるにしたがって、ベース床5から離隔する方向に傾斜する。つまり、各偏心抑制部30において、回転軸31側の旋回中心線L側の端部は、円盤部10の外周縁側の端部よりも下方(ベース床5側)に位置する。傾斜角度としては特に限定されず、例えば1~10度程度の傾斜角度でよい。
これにより、円盤部10が旋回駆動部20により旋回中心線Lを中心に旋回されると、各偏心抑制部30から円盤部10に対して、旋回中心線Lに向かう方向に応力が作用する。また、複数の偏心抑制部30から旋回中心線Lに対して回転対称に配置されていることで、円盤部10には、均等に旋回中心線Lに向かう応力が作用して、これらの応力が釣り合い、円盤部10の偏心が抑制される。
【0030】
また、本実施形態では、第二回転体としてタイヤ32を用いるが、当該タイヤ32の旋回中心線Lとは反対側(外側)に、タイヤ溝321を形成することが好ましい。具体的には、図4(A)のように、回転軸31が旋回中心線Lから離れるにしたがってベース床5から離隔する方向に傾斜する場合では、タイヤ32の幅方向において旋回中心線Lとは反対側の端部に、外側から内側に向かうにしたがって溝幅(タイヤ32の周方向に沿う幅)が狭くなるテーパ状のタイヤ溝321を設ける。つまり、図4(A)に示すようにタイヤ32を傾斜させる場合、タイヤ32の幅方向の旋回中心線Lから離れる端部を中心として、タイヤ32が円盤部10に接し、タイヤ32が弾性変形する。したがって、上記のようなタイヤ溝321を形成すれば、タイヤ32と円盤部10との接触面積を増大させ、グリップ力を高めることができる。
なお、図4(A)のタイヤ溝321の一例であり、タイヤ32の材質や、タイヤ溝321の位置、溝深さ、及び隣り合うタイヤ溝321間のピッチ等に応じて、タイヤ溝321の形状、つまり、テーパの角度や、タイヤ32の幅方向における溝長さ等を適宜変更してもよい。
【0031】
また、各回転軸31及びタイヤ32は、図3(D)の場合と同様に、ベース床5に設置された架台6に支持されることが好ましい。これにより、ベース床5と下面11との間にスペースを確保(例えば2m程度)でき、作業員の移動通路や部品置き場、仕掛品の搬送等に利用することができる。
【0032】
なお、図4(A)に示す例では、旋回中心線Lに向かう応力を釣り合わせることで円盤部10の偏心を抑制する構成であるが、これに限定されない。
例えば、図4(B)に示すように、各偏心抑制部30の回転軸31が、旋回中心線Lから離れるにしたがって、ベース床5に近接する方向に傾斜してもよい。この場合も傾斜角度は特に限定されず、例えば1~10度程度の傾斜角度でよい。
このような構成では、円盤部10が旋回駆動部20により旋回中心線Lを中心に旋回されると、各偏心抑制部30から円盤部10に対して、旋回中心線Lから離れる方向に応力が作用して、これらの応力が釣り合う。よって、図4(A)の場合と同様に、円盤部10の偏心が抑制される。
【0033】
また、図4(B)の場合では、回転軸31が旋回中心線Lから離れるにしたがってベース床5から離隔する方向に傾斜する場合では、タイヤ32の幅方向において、旋回中心線L側の端部に、外側から内側に向かうにしたがって溝幅(タイヤ32の周方向に沿う幅)が狭くなるテーパ状のタイヤ溝321を設ける。これにより、図4(A)の場合と同様に、タイヤ32と円盤部10との接触面積を増大させ、グリップ力を高めることができる。
【0034】
なお、図4(A)(B)の例は、ベース床5に設置された架台6に対して偏心抑制部30を保持させる構成であるが、円盤部10の下面に対して同様の構成の偏心抑制部を固定してもよい。つまり、円盤部10の下面11に、回転軸31を支持する支持部材を設け、各回転軸31にタイヤ等の第二回転体を保持させる。
【0035】
[本実施形態の作用効果]
本実施形態の生産ライン1では、第一実施形態において説明した作用効果に加え、さらに、以下の作用効果を奏することができる。
すなわち、本実施形態では、ベース床5と円盤部10との間に配置され、平面視において旋回中心線Lの放射方向に伸び、かつ、旋回中心線Lから離れるにしたがってベース床5に近接する方向又はベース床から離隔する方向に傾斜する回転軸31,31Aと、回転軸31,31Aに保持されて下面11又はベース床5に当接して回転可能な第二回転体と、を有する偏心抑制部30,30Aを複数備える。そして、これらの複数の偏心抑制部30,30Aは、平面視において、旋回中心線Lに対して回転対称に配置されている。
これにより、円盤部10が旋回駆動されると、円盤部10には、各偏心抑制部30,30Aから旋回中心線Lに向かう方向(図4(A)及び図5(A)のパターン)、または旋回中心線Lから離れる方向(図4(B)及び図5(B)のパターン)に応力が作用し、これらの応力が釣り合うことで、円盤部10の偏心を抑制することができる。
【0036】
また、図4(A)(B)に示すように、ベース床5から円盤部10に向かって突設された複数の架台6を備え、偏心抑制部30は、これらの架台6にそれぞれ設けられている。
これにより、ベース床5と円盤部10との間のスペースを有効に活用することができ、例えば、作業員の移動スペース、製品や部品などの搬送スペースとして利用することができる。
【0037】
[第三実施形態]
次に第三実施形態について説明する。
上記第一実施形態では、外形が旋回中心線Lを中心とした円形となる円盤部10を示したが、円盤部10としては、円環形状も含む。また、第一実施形態では、単一の円盤部10のみにより、生産ライン1が構成されているが、旋回中心線Lを中心に旋回可能な複数の円盤部を有していてもよい。第三実施形態では、円環形状の円盤部や、複数の円盤部を備える構成例について説明する。
【0038】
図5は、第三実施形態の生産ライン1Bの概略構成を示す平面図である。
図5に示す例は、第一実施形態と同様の円盤部10及び旋回駆動部20に加え、さらに、円盤部10の外側に、旋回中心線Lを旋回中心とした第二円盤部40と、当該第二円盤部40を旋回させる第二旋回駆動部50とを備える。
第二円盤部40は、円環状に形成され、内径が円盤部10の外径と略一致またはわずかに大きく形成されている。
第二旋回駆動部50は、旋回駆動部20と同様の構成を有し、旋回駆動部20とは独立した駆動機構である。すなわち、本実施形態では、旋回駆動部20により円盤部10を旋回駆動させることができるとともに、第二旋回駆動部50により第二円盤部40を円盤部10とは別に駆動させることができる。これにより、例えば、円盤部10を反時計回りに旋回させるとともに、第二円盤部40を時計周りに駆動させることも可能となる。
また、円盤部10と第二円盤部40とを、連結器を用いて連結可能な構成としてもよく、この場合、旋回駆動部20又は第二旋回駆動部50のいずれか一方により、円盤部10及び第二円盤部40の双方を駆動可能な構成としてもよい。
【0039】
本実施形態では、円盤部10と同様、第二円盤部40の上面には、複数の第二ブース43が設けられる。これらの第二ブース43は、例えば、第二円盤部40の外周縁に沿って設けられてもよく、内周縁に沿って設けられてもよい。フロア2上の作業エリア3や内周側に配置される円盤部10の各ブース13に対応して、外周縁から内周縁に亘る第二ブース43が、周方向に亘って設けられていることがより好ましい。
また、第二ブース43の個数としても特に限定されないが、上述のように、円盤部10に設けられた各ブース13に対応することが好ましい。すなわち、第二ブース43は、ブース13と同数設けられていることがより好ましい。
【0040】
このような構成の生産ライン1Bでは、次のような方法により製品を組み立てることができる。
例えば、生産ライン1Bの外側から、複数の第二ブース43のうちの例えば図6に示すQに位置する第二ブース43に作業対象物Wと搬入し、第二ブース43を時計回り方向に順次旋回させる。第一実施形態と同様、フロア2は、第二ブース43に対応して作業エリア3が設けられ、各作業エリア3に待機する作業員が、旋回によって順次送られてきた第二ブース43の作業対象物Wに対して所定の作業を行う。また、複数の第二ブース43のうちの例えば図6に示すQ23に位置する第二ブース43では、内側の円盤部10のP23に位置するブース13に作業対象物Wを搬送する。円盤部10は、旋回駆動部20によって例えば反時計回りに旋回され、各作業エリア3に待機する作業員が、旋回によって順次送られてきたブース13の作業対象物Wに対して所定の作業を行う。そして、例えば図6に示すP24に位置するブース13では、一連の作業によって組み立てられた作業対象物Wを、Q24に位置する第二ブース43を介して、当該Q24の位置の第二ブース43の外側の作業エリア3に設けられた搬出部に搬送される。
なお、上記の生産ライン1Bによる作業手順は一例であり、他の手順により生産ライン1Bを用いた作業が実施されてもよい。
【0041】
また、上記に説明した図6では、円盤部10は、外周縁より内側が連続する円板であるが、第二円盤部40のように、円環状に形成されていてもよい。
図6は、円環状の円盤部10Aと第二円盤部40とを備えた生産ライン1Cの構成例を示す平面図である。
図6の生産ライン1Cでは、図6に示す生産ライン1Bと略同様であるが、円盤部10Aが、第二円盤部40と同様、円環状に形成されている。そして、円盤部10Aの内周縁の内側には、旋回駆動部20の駆動が伝達されない(旋回されない)非旋回部60が設けられている。
【0042】
図5に示す生産ライン1Bでは、第二円盤部40の外側の作業エリア3に作業員が待機することになるが、図7に示す生産ライン1Cでは、非旋回部60に作業員が待機して、順次旋回されるブース13の作業対象物Wに対して作業を行うことができ、作業員の移動をより少なくできる。
【0043】
また、図6に示すように、非旋回部60に昇降部61(エレベーター)を設けてもよい。この場合、昇降部61を介して、例えば、ベース床5に搬送された部品などの仕掛け品を円盤部10Aの各ブース13に運ぶことができる。また、ブース13で組み立てが完成した作業対象物Wを、昇降部61を介して搬出してもよい。また、図6では、昇降部61を角型で示しているが、丸型としてもよい。さらに、非旋回部60の一部に昇降部61が設けられる構成としているが、非旋回部60の全体が昇降する構成としてもよい。この場合、より大きな物体を旋回式生産ライン1Bに運び込むこともでき、旋回式生産ライン1Bで組み立てられた作業対象物Wを非旋回部60に搬送した後、非旋回部60を昇降させることで外部に運び出す構成とすることもできる。
【0044】
[本実施形態の作用効果]
本実施形態では、円盤部10,10Aの外周縁よりも外側に配置された円環状の第二円盤部40と、第二円盤部40を、旋回中心線Lを中心に旋回させる第二旋回駆動部50と、をさらに備える。第二円盤部40は、平面視で内周縁から外周縁に亘る第二ブース43が周方向に亘って、円盤部10のブース13に対応して設けられている。
【0045】
これにより、円盤部10,10Aと第二円盤部40とをそれぞれ独立して駆動させて、多種多様な手順の生産工程を組み立てることができる。例えば、上述したように、第二円盤部40を旋回駆動させる間に、各第二ブース43の位置に応じた複数の作業工程を実施した後、第二ブース43の作業対象物Wをブース13に移動させて、各ブース13の位置に応じた複数の作業工程を実施することができる。これにより、第二ブース43が設けられる分、第一実施形態よりも多くのブースを配置することができ、より多くの作業工程を省スペースで実施することが可能となる。
【0046】
さらに、図6に示すように、平面視で円環状に形成された円盤部10Aとしてもよく、この場合、円盤部10Aの内周縁の内側に、旋回駆動部20により旋回されない非旋回部60を設けてもよい。
これにより、非旋回部60に作業員を待機させたり、部品等の仕掛け品を貯留しておいたりできる。また、非旋回部60に昇降部61を設けてもよく、昇降部61を設けることで、例えば、ベース床5から昇降部61、非旋回部60を介して円盤部10Aに部品等を供給したり、組み立て後の作業対象物Wを、昇降部61を介してベース床5に降ろして外部に搬出したりすることもできる。
【0047】
[変形例]
なお、本発明は上述の各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良、及び各実施形態を適宜組み合わせる等によって得られる構成は本発明に含まれるものである。
【0048】
[変形例1]
例えば、第一実施形態の図3(D)(E)において、複数のローラ22A又はタイヤ22Bのうちのいずれかを回転駆動させる構成を例示したが、全てのローラ22A又はタイヤ22Bに対して駆動モータ23等の駆動力を伝達させて回転駆動させるものとしてもよい。
【0049】
[変形例2]
第二実施形態において、偏心抑制部30,30Aの各第二回転体(タイヤ32)は、円盤部10の回転により従動するものとしたが、偏心抑制部30、30Aの各第二回転体が、駆動モータ等の駆動源により回転可能させるもの、すなわち、偏心抑制部30,30Aが、旋回駆動部として機能する構成としてもよい。
【0050】
[変形例3]
また、第二実施形態では、図4に示すように、旋回駆動部20として、円盤部10の外周縁近傍に設けられる回転体(タイヤ22B)が駆動されることで、円盤部10を回転駆動させる構成であるが、これに限定されない。例えば、図3(A)~(E)のいずれの旋回駆動部の構成を用いてもよい。
例えば、図3(A)に示すような、円盤部10の内周側から外周側に亘ってローラ22が配置される場合、周方向に隣り合う2つのローラ22の間に、偏心抑制部30を設けてもよい。
【0051】
[変形例4]
第一実施形態において、旋回中心線L上に円盤部10の旋回可能に軸支する軸部材がさらに設けられていてもよい。
【0052】
[変形例5]
第三実施形態として、円盤部10の外側に第二円盤部40が設けられる構成を例示したが、第二円盤部40のさらに外側に、旋回中心線Lを中心に旋回可能な第三円盤部をさらに配置してもよい。すなわち、旋回中心線Lを中心として旋回される円盤部の数は特に限定されない。
【0053】
[変形例6]
上記各実施形態では、1つの旋回式生産ライン1,1A,1Bのみを図示して説明したが、複数の旋回式生産ライン1,1A,1Bを互いに隣り合わせて配置してもよい。
図7は、複数の旋回式生産ライン1を隣り合わせて複数配置した構成図である。
図7に示す例は、中央の旋回式生産ライン1(メイン生産ライン1-1)の外周側に、複数の旋回式生産ライン1(サブ生産ライン1-2~1-5)が配置されている。この場合、例えば、サブ生産ライン1-2で部品の組み立てを行い、組み立てた部品をメイン生産ライン1-1に搬送する(図中矢印で示す)ことができる。すなわち、複数の旋回式生産ラインを、作業対象物Wを搬送する搬送手段を介して接続した生産ラインシステムとして活用することができる。また、同一構内で、自走式搬送装置と組み合わせて遠距離搬送も可能である。例えば図7に示す例では、サブ生産ライン1-3で組み立てられた部品(ユニット)を、自走式遠隔自動搬送装置を用いてメイン生産ライン1―1に搬送(直結)することもできる。
特に、作業対象物Wとして、自動車等の複雑な部品を複数組み合わせて製品を製造する場合、各部品をそれぞれ独立した旋回式生産ライン1(サブ生産ライン1-2)で生産することができる。この場合、各々の部品を別の工場等で製造する場合に比べて、省スペース化を図れ、搬送に係るコストも下げることができる。
【0054】
図7の例は、メイン生産ライン1-1の周囲に複数のサブ生産ライン1-2を配置して、各サブ生産ライン1―2で組み立てた部品をメイン生産ライン1-1に供給する例であるが、複数の旋回式生産ライン1,1A,1Bを直列につなげる構成としてもよい。つまり、1つ目の旋回式生産ライン1,1A,1Bで組み立て等の作業が行われた作業対象物Wを、2つ目の旋回式生産ライン1,1A,1Bに送り込んで、当該2つ目の旋回式生産ライン1,1A,1Bで、組み立て等の作業をさらに行う。そして、2つ目の旋回式生産ライン1,1A,1Bで組み立て等の作業が行われた作業対象物Wを、3つ目の旋回式生産ライン1,1A,1Bに送り込む。このように、複数の旋回式生産ライン1,1A,1Bを配置することで、限られたスペースでより多くの作業を実施することができる。また、第三実施形態の図6に示す構成を用いれば、昇降部61を用いて、1つ目の旋回式生産ライン1,1A,1Bで組み立てられた作業対象物Wを、その下層または上層に設けられた別の(2つ目の)旋回式生産ライン1,1A,1Bに搬送することもできる。
【符号の説明】
【0055】
1,1A,1B,1C…生産ライン(旋回式生産ライン)、2…フロア、3…作業エリア、5…ベース床、6…架台、6A…支持部材、10,10A…円盤部、11…下面、12…上面、13…ブース、20…旋回駆動部、21,21A,21B…駆動軸、22,22A…ローラ(回転体)、22B…タイヤ(回転体)、23…駆動モータ、30,30A…偏心抑制部、31,31A…回転軸、32…タイヤ(第二回転体)、40…第二円盤部、43…第二ブース、50…第二旋回駆動部、60…非旋回部、61…昇降部、L…旋回中心線。



図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7