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特開2023-59142内視鏡用プロセッサ、及び内視鏡システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023059142
(43)【公開日】2023-04-26
(54)【発明の名称】内視鏡用プロセッサ、及び内視鏡システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/04 20060101AFI20230419BHJP
【FI】
A61B1/04 510
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021169089
(22)【出願日】2021-10-14
(71)【出願人】
【識別番号】000113263
【氏名又は名称】HOYA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000165
【氏名又は名称】弁理士法人グローバル・アイピー東京
(72)【発明者】
【氏名】宮田 拓征
【テーマコード(参考)】
4C161
【Fターム(参考)】
4C161CC06
4C161DD03
4C161JJ11
4C161LL02
4C161NN05
4C161NN07
4C161YY14
(57)【要約】
【課題】内視鏡用プロセッサに接続された内視鏡に発生した電流の異常を知ることができる内視鏡用プロセッサを提供する。
【解決手段】実施形態の内視鏡用プロセッサは、内視鏡と接続され、電源供給部と、測定部と、異常検知部と、制御部と、記憶部とを備える。電源供給部は、内視鏡に電源を供給するよう構成される。測定部は、電源供給部から内視鏡に流れる電源電流の電流値を測定するよう構成される。異常検知部は、測定した電流値に基づいて電源電流の異常を検知するよう構成される。制御部は、測定された電流値に関する電流情報を生成するよう構成される。記憶部は、電流情報を記憶するよう構成される。制御部は、電源電流の異常が検知されることにより、電流情報を異常電流情報として記憶部に記憶させ、電流情報の出力の指示を受けることにより、電流情報を記憶部から読み出すよう構成されている、
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡と接続される内視鏡用プロセッサであって、
前記内視鏡に電源を供給するよう構成された電源供給部と、
前記電源供給部から前記内視鏡に流れる電源電流の電流値を測定するよう構成された測定部と、
測定した前記電流値に基づいて前記電源電流の異常を検知するよう構成された異常検知部と、
測定された前記電流値に関する電流情報を生成するよう構成された制御部と、
前記電流情報を記憶するよう構成された記憶部と、を備え、
前記制御部は、前記電源電流の異常が検知されることにより、前記電流情報を異常電流情報として前記記憶部に記憶させ、前記電流情報の出力の指示を受けることにより、前記電流情報を前記記憶部から読み出すよう構成されている、ことを特徴とする内視鏡用プロセッサ。
【請求項2】
前記電流値の測定は、前記内視鏡用プロセッサと接続された前記内視鏡の起動時に、あるいは、前記内視鏡用プロセッサと接続された前記内視鏡の起動後に一定の時間間隔で行われ、
前記制御部は、前記電流値が測定されるごとに、前記電流情報を生成し、前記記憶部に記憶させるよう構成されている、請求項1に記載の内視鏡用プロセッサ。
【請求項3】
前記記憶部は、前記電流情報の記憶を開始してから第1期間の間、前記電流情報を記憶するよう構成された第1記憶領域を有している、請求項2に記載の内視鏡用プロセッサ。
【請求項4】
前記記憶部は、前記異常電流情報を記憶するよう構成された第2記憶領域をさらに有し、
前記制御部は、前記電源電流の異常が検知される、あるいは、前記第1期間が経過することにより、前記第1記憶領域に記憶された前記電流情報のうち前記異常電流情報を前記第2記憶領域に記憶させるよう構成されている、請求項3に記載の内視鏡用プロセッサ。
【請求項5】
前記内視鏡用プロセッサは、表示装置とさらに接続され、
前記制御部は、前記電流情報の記憶を開始してから前記第1期間よりも長い第2期間が経過することにより、そのことを示す表示用画像を生成し、前記表示装置に出力するよう構成されている、請求項4に記載の内視鏡用プロセッサ。
【請求項6】
前記記憶部は、前記異常電流情報を記憶するよう構成された第2記憶領域をさらに有し、
前記内視鏡用プロセッサは、表示装置とさらに接続され、
前記制御部は、前記第2記憶領域に記憶される前記異常電流情報の情報量が前記第2記憶領域の記憶容量の上限に達すること、あるいは、前記記憶容量の残容量が所定量以下となることにより、そのことを示す表示用画面を生成し、前記表示装置に出力するよう構成されている、請求項3に記載の内視鏡用プロセッサ。
【請求項7】
前記第2記憶領域は、前記情報量が前記記憶容量の上限に達すること、あるいは、前記記憶容量の残容量が所定量以下となることにより、新たな異常電流情報を記憶しないよう構成されている、請求項6に記載の内視鏡用プロセッサ。
【請求項8】
前記異常検知部は、前記情報量が前記記憶容量の上限に達すること、あるいは、前記記憶容量の残容量が所定量以下となることにより、前記電源電流の異常の検知をしないよう構成されている、請求項6又は7に記載の内視鏡用プロセッサ。
【請求項9】
前記内視鏡用プロセッサは、外部記憶装置とさらに接続され、
前記制御部は、前記第2記憶領域に記憶された前記異常電流情報の少なくとも一部が前記外部記憶装置に記憶されることにより、前記第2記憶領域に記憶された前記異常電流情報のうち前記電流値の測定時点が最も古い情報を含む異常電流情報を削除して新たな異常電流情報を前記第2記憶領域に記憶させるよう構成されている、請求項8に記載の内視鏡用プロセッサ。
【請求項10】
前記異常検知部は、前記第2記憶領域に記憶された前記異常電流情報の少なくとも一部が前記外部記憶装置に記憶されることにより、前記電源電流の異常の検知を再開するよう構成されている、請求項9に記載の内視鏡用プロセッサ。
【請求項11】
前記電源電流の異常は、前記内視鏡用プロセッサと接続された前記内視鏡を起動したときに所定の電流値を超える突入電流が発生する状態、あるいは、前記内視鏡用プロセッサと接続された前記内視鏡の起動後の前記電流値の変化量が所定の変化量を超える状態である、請求項1から10のいずれか1項に記載の内視鏡用プロセッサ。
【請求項12】
前記測定部は、測定した前記電流値が許容電流値を超えることにより前記電源電流を遮断するよう構成されている、請求項1から11のいずれか1項に記載の内視鏡用プロセッサ。
【請求項13】
前記制御部は、前記電流情報に付随する付随情報として、前記内視鏡用プロセッサと接続された前記内視鏡の起動時刻あるいは起動後の経過時間を示す時間情報と、前記内視鏡の機種情報と、をさらに前記記憶部に記憶させるよう構成されている、請求項1から12のいずれか1項に記載の内視鏡用プロセッサ。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか1項に記載の内視鏡用プロセッサと、
前記内視鏡用プロセッサと接続された内視鏡と、
を備えることを特徴とする内視鏡システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡に電源を供給する内視鏡用プロセッサ及び内視鏡システムに関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡用プロセッサは、撮像素子や発光素子等の内視鏡の各部に必要な電源を供給する電源供給部を備えている。内視鏡用プロセッサには、許容量を超える電流から内視鏡を保護するため、商用電源と接続される電源供給部の部分にヒューズが設けられている場合がある(特許文献1)。一般的なヒューズは、電源が供給される経路の一部をなす導体を備えており、許容量を超える電流が流れると、導体が切れて電源の供給経路が途切れ、内視鏡への電源の供給が遮断される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-340921号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
内視鏡の経年劣化等に起因して、内視鏡の起動時に内視鏡内に大きな突入電流が発生したり、内視鏡の各部が駆動しているときに変化量の大きな電流が発生したり異常な電流が発生する場合がある。しかし、上記内視鏡用プロセッサでは、電源の供給が一旦遮断されると、内視鏡用プロセッサに接続されて駆動する内視鏡に発生する異常な電流は検知されなくなる。このため、経年劣化した内視鏡において異常な電流がどの程度の大きさや頻度で発生していたかをユーザが知りたくても、上記内視鏡プロセッサでは知ることができない。
【0005】
そこで、本発明は、内視鏡用プロセッサに接続された内視鏡に発生した電流の異常を知ることができる内視鏡用プロセッサ及び内視鏡システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、内視鏡と接続される内視鏡用プロセッサである。
前記内視鏡用プロセッサは、
前記内視鏡に電源を供給するよう構成された電源供給部と、
前記電源供給部から前記内視鏡に流れる電源電流の電流値を測定するよう構成された測定部と、
測定した前記電流値に基づいて前記電源電流の異常を検知するよう構成された異常検知部と、
測定された前記電流値に関する電流情報を生成するよう構成された制御部と、
前記電流情報を記憶するよう構成された記憶部と、を備え、
前記制御部は、前記電源電流の異常が検知されることにより、前記電流情報を異常電流情報として前記記憶部に記憶させ、前記電流情報の出力の指示を受けることにより、前記電流情報を前記記憶部から読み出すよう構成されている、ことを特徴とする。
【0007】
前記電流値の測定は、前記内視鏡用プロセッサと接続された前記内視鏡の起動時に、あるいは、前記内視鏡用プロセッサと接続された前記内視鏡の起動後に一定の時間間隔で行われ、
前記制御部は、前記電流値が測定されるごとに、前記電流情報を生成し、前記記憶部に記憶させるよう構成されている、ことが好ましい。
【0008】
前記記憶部は、前記電流情報の記憶を開始してから第1期間の間、前記電流情報を記憶するよう構成された第1記憶領域を有している、ことが好ましい。
【0009】
前記記憶部は、前記異常電流情報を記憶するよう構成された第2記憶領域をさらに有し、
前記制御部は、前記電源電流の異常が検知される、あるいは、前記第1期間が経過することにより、前記第1記憶領域に記憶された前記電流情報のうち前記異常電流情報を前記第2記憶領域に記憶させるよう構成されている、ことが好ましい。
【0010】
前記内視鏡用プロセッサは、表示装置とさらに接続され、
前記制御部は、前記電流情報の記憶を開始してから前記第1期間よりも長い第2期間が経過することにより、そのことを示す表示用画像を生成し、前記表示装置に出力するよう構成されている、ことが好ましい。
【0011】
前記記憶部は、前記異常電流情報を記憶するよう構成された第2記憶領域をさらに有し、
前記内視鏡用プロセッサは、表示装置とさらに接続され、
前記制御部は、前記第2記憶領域に記憶される前記異常電流情報の情報量が前記第2記憶領域の記憶容量の上限に達すること、あるいは、前記記憶容量の残容量が所定量以下となることにより、そのことを示す表示用画面を生成し、前記表示装置に出力するよう構成されている、ことが好ましい。
【0012】
前記第2記憶領域は、前記情報量が前記記憶容量の上限に達すること、あるいは、前記記憶容量の残容量が所定量以下となることにより、新たな異常電流情報を記憶しないよう構成されている、ことが好ましい。
【0013】
前記異常検知部は、前記情報量が前記記憶容量の上限に達すること、あるいは、前記記憶容量の残容量が所定量以下となることにより、前記電源電流の異常の検知をしないよう構成されている、ことが好ましい。
【0014】
前記内視鏡用プロセッサは、外部記憶装置とさらに接続され、
前記制御部は、前記第2記憶領域に記憶された前記異常電流情報の少なくとも一部が前記外部記憶装置に記憶されることにより、前記第2記憶領域に記憶された前記異常電流情報のうち前記電流値の測定時点が最も古い情報を含む異常電流情報を削除して新たな異常電流情報を前記第2記憶領域に記憶させるよう構成されている、ことが好ましい。
【0015】
前記異常検知部は、前記第2記憶領域に記憶された前記異常電流情報の少なくとも一部が前記外部記憶装置に記憶されることにより、前記電源電流の異常の検知を再開するよう構成されている、ことが好ましい。
【0016】
前記電源電流の異常は、前記内視鏡用プロセッサと接続された前記内視鏡を起動したときに所定の電流値を超える突入電流が発生する状態、あるいは、前記内視鏡用プロセッサと接続された前記内視鏡の起動後の前記電流値の変化量が所定の変化量を超える状態である、ことが好ましい。
【0017】
前記測定部は、測定した前記電流値が許容電流値を超えることにより前記電源電流を遮断するよう構成されている、ことが好ましい。
【0018】
前記制御部は、前記電流情報に付随する付随情報として、前記内視鏡用プロセッサと接続された前記内視鏡の起動時刻あるいは起動後の経過時間を示す時間情報と、前記内視鏡の機種情報と、をさらに前記記憶部に記憶させるよう構成されている、ことが好ましい。
【0019】
本発明の別の一態様は、内視鏡システムである。前記内視鏡システムは、前記内視鏡用プロセッサと、前記内視鏡用プロセッサと接続された内視鏡と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
上述の内視鏡用プロセッサ及び内視鏡システムによれば、内視鏡用プロセッサに接続された内視鏡に発生した電流の異常を知ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】一実施形態の内視鏡システムの構成の一例を示すブロック図である。
図2】内視鏡システムの異常検知に関する構成の第1実施形態及び第2実施形態を示すブロック図である。
図3】内視鏡システムの第1実施形態のフローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(電子内視鏡システム)
図1は、一実施形態の電子内視鏡システム1の構成の一例を示すブロック図である。図1に示されるように、電子内視鏡システム1は、電子スコープ100、電子内視鏡用プロセッサ200、モニタ(表示装置)300、ストレージ(外部記憶装置)400を備えている。
【0023】
電子スコープ100は、人の体腔内に挿入される挿入管101と、プロセッサ200と接続する部分である接続部102と、を有している。電子スコープ100は、接続部102を介して、プロセッサ200に着脱可能に接続される。
【0024】
電子内視鏡用プロセッサ200は、システムコントローラ202及びタイミングコントローラ206を備えている。システムコントローラ202は、メモリ204に記憶された各種プログラムを実行し、電子内視鏡システム1の全体を統括的に制御する。また、システムコントローラ202は、操作パネル208に接続されており、操作パネル208に入力されるユーザによる指示に応じて電子内視鏡システム1の各種設定を変更する。タイミングコントローラ206は、各部の動作のタイミングを調整するクロックパルスを電子内視鏡システム1内の各回路に出力する。
【0025】
電子内視鏡用プロセッサ200は、電子スコープ100に照明光を供給する光源装置210を備えている。光源装置210は、図示されないが、例えば、所定の色の波長帯域の光を出射する複数の図示されないLEDを備える。LEDから出射した光はダイクロイックミラー等の光学素子を用いて合成され、合成した光は照明光として、図示されない集光レンズにより集光された後、光ファイバー素線の束である電子スコープ100のLCB(Light Carrying Bundle)11の入射端に入射されるように光源装置210は構成される。
【0026】
入射端よりLCB11内に入射した照明光は、LCB11内を伝播して電子スコープ100の挿入管101の先端部101A内に配置されたLCB11の射出端より射出され、配光レンズ104を介して被写体に照射される。被写体からの反射光は、対物レンズ106を介して固体撮像素子108の受光面上で光学像を結ぶ。
【0027】
撮像素子108は、被写体である患者の生体組織を撮像して受光光量に応じた画像信号を出力するように構成されている。撮像素子108は、例えば、IR(Infra Red)カットフィルタ108a、ベイヤ配列カラーフィルタ108bの各種フィルタが受光面に配置された単板式カラーCCD(Charge-Coupled Device)イメージセンサであり、受光面上で結像した光学像に応じたR(Red)、G(Green)、B(Blue)の各原色信号を生成する。単板式カラーCCDイメージセンサの代わりに、単板式カラーCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサを用いることもできる。
【0028】
また、電子スコープ100の挿入管101の先端部101Aには、LED118が配置されている。LED118は、接続部102内に設けられた光源駆動回路117によって生成される制御信号によって発光制御される。LED118は、紫色の波長帯域(例えば、波長が395~435nm)の光を射出する紫色LEDである。LED118から射出された紫色LED光は、射出口に設けられた配光レンズ119を介して被写体に照射される。先端部101AにLED118を設けるのは、LED118が射出する光が、光の一部を吸収するLCB11によって導光される構成としないためである。LCB11は、光の波長帯域によって透過率が異なる透過特性を有する。このため、LED118は、ライトガイドにおける光透過率が光源装置210の射出する光の波長帯域の透過率以下である波長帯域の光を射出する。
【0029】
電子スコープ100の接続部102内には、ドライバ信号処理回路112が備えられている。ドライバ信号処理回路112には、撮像素子108から被写体の画像信号が所定のフレーム周期(例えば1/30秒)で入力される。ドライバ信号処理回路112は、撮像素子108から入力される画像信号に対して画像補正、及び、伝送プロトコルへ信号変換処理を施して電子内視鏡用プロセッサ200の画像処理ユニット216に出力する。また、ドライバ信号処理回路112は、メモリ114にアクセスして電子スコープ100の機種情報を読み出す。メモリ114に記録される電子スコープ100の機種情報には、例えば撮像素子108の画素数や感度、動作可能なフレームレート、型番のほか、撮像素子108やLED118等の各部を駆動する際の最大突入電流値及び最大定格電流値等の情報が含まれる。ドライバ信号処理回路112は、メモリ114より読み出された機種情報をシステムコントローラ202に出力する。このように、電子スコープ100は、撮像素子108を用いて、体腔内の生体組織を撮像し、撮像画像を生成する。また、接続部102には、先端部101Aに取り付けた図示されないバルーンに生理食塩水等を供給する図示されないポンプに制御信号を送信するための通信回路が備えられている。
【0030】
システムコントローラ202は、電子スコープ100の機種情報に基づいて各種演算を行い、制御信号を生成する。システムコントローラ202は、生成された制御信号を用いて、電子内視鏡用プロセッサ200に接続中の電子スコープ100に適した処理がなされるように電子内視鏡用プロセッサ200内の各回路の動作やタイミングを制御する。
【0031】
タイミングコントローラ206は、システムコントローラ202によるタイミング制御に従って、ドライバ信号処理回路112、光源駆動回路117、画像処理ユニット216、及び光源装置210にクロックパルスからなるタイミング信号を供給する。ドライバ信号処理回路112は、タイミングコントローラ206から供給されるクロックパルスに従って、撮像素子108を電子内視鏡用プロセッサ200側で処理される映像のフレームレートに同期したタイミング信号で駆動する。光源駆動回路117は、タイミングコントローラ206から供給されるクロックパルスに従ってLED118を駆動する。
【0032】
画像処理ユニット216は、画像処理回路を備え、ドライバ信号処理回路112から1フレーム周期で入力される画像信号に対してデモザイク処理、マトリックス演算、Y/C分離等の所定の信号処理を施し、さらに処理してモニタ表示用の画面データを生成し、生成されたモニタ表示用の画面データを所定のビデオフォーマット信号に変換する。変換されたビデオフォーマット信号は、モニタ300に出力される。これにより、被写体の画像がモニタ300の表示画面に表示される。
【0033】
(第1実施形態)
次に、電子内視鏡用プロセッサ200の異常検知に関する構成の第1実施形態について説明する。
図2に、プロセッサ200の第1実施形態の構成を示すブロック図である。
図2に示されるように、プロセッサ200は、電源供給部220、測定部260、異常検知部230、制御部240、記憶部250を備えている。
【0034】
電源供給部220は、プロセッサ200の各部、電子スコープ100に電源を供給するよう構成されている。電源供給部220は、電源スイッチとしてのメインスイッチと、スイッチング電源である、AC-DCコンバータ及び複数のDC-DCコンバータとを備えている。プロセッサ200は、ユーザの操作により、メインスイッチがオンにされることで起動し、オフにされることでシャットダウンする。AC-DCコンバータは、外部のAC商用電源10に基づいて直流電圧を生成し、生成した直流電圧をDC-DCコンバータに供給する。DC-DCコンバータは、図2に示すDC-DCコンバータ220a,220bを含む、例えば3つが備えられる。DC-DCコンバータ220aは、電子スコープ100の撮像素子108を駆動させるための直流電流を、定格電圧(例えば+5V)下、定格電流でドライバ信号処理回路112及び撮像素子108に供給する。DC-DCコンバータ220bは、電子スコープ100のLED118を駆動させるための直流電流を、定格電圧(例えば+15V)下、定格電流で光源駆動回路117及びLED118に供給する。DC-DCコンバータの他の1つは、システムコントローラ202、タイミングコントローラ206、メモリ204、画像処理ユニット216、光源装置210等のプロセッサ200内の後段の各部に直流電圧を供給する。
【0035】
プロセッサ200は、商用電源10から供給される電源の経路の一部をなし、許容量の電流が流れることにより溶断する導体を備える一般的なヒューズを備えていない。
【0036】
測定部260は、電源供給部220から電子スコープ100に流れる電源電流の電流値を測定するよう構成されている。電源電流の電流値は、具体的には、プロセッサ200と接続中の電子スコープ100の起動により発生する突入電流の電流値である。測定部260は、電源供給部220から電子スコープ100への電源電流の供給経路上に配置されている。また、測定部260は、システムコントローラ202と接続され、突入電流の電流値の測定を行い、測定値の情報を異常検知部230に出力するよう構成されている。
【0037】
測定部260は、測定した電流値が許容電流値を超えることにより、電源供給部220と電子スコープ100との間の導通を切断し、電源電流を遮断するよう構成されていることが好ましい。これにより、電子スコープ100に過剰な量の電流が流れて電子スコープ100の各部が破損等することを防止できる。具体的に、測定部260は、電源供給部220と電子スコープ100との間の導通を制御する導通制御素子から構成されることが好ましい。導通制御素子は、電源供給部220から入力される電源電流の電流値の大きさに応じて、電源供給部220との接続状態をオン状態とオフ状態の間で切り替えるよう構成されている。許容電流値は、後述する異常な電流とされる大きさの電流値より高く、導通制御素子によるばらつきはあるが、例えば定格電流の1.25倍の電流値である。図2に示す例の測定部260は、導通制御素子として、2つの電子ヒューズ(eFuse)230a,230bを備えている。電子ヒューズ230aは、DC-DCコンバータ220aとドライバ信号処理回路112の間の電源電流の供給経路上に配置されている。電子ヒューズ230bは、DC-DCコンバータ220bと光源駆動回路117の間の電源電流の供給経路上に配置されている。電子ヒューズ230a,230bは、それぞれ、システムコントローラ202と接続されている。電源供給部220と電子スコープ100との間の導通を切断した電子ヒューズ230a,230bは、電子スコープ100と異なる別の電子スコープがプロセッサ200に接続されている時の異常な電流を検知するために電源電流の測定を継続する観点から、例えば、操作パネル208に対するユーザの操作入力により、電源供給部220と電子スコープ100との間の導通を復帰させることが好ましい。
【0038】
異常検知部230及び制御部240は、システムコントローラ202がメモリ204に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより実現されるソフトウェアモジュールである。
【0039】
異常検知部230は、プロセッサ200が起動されると、測定された電流値に基づいて電源電流の異常を検知するよう構成されている。第1実施形態において、電源電流の異常とは、プロセッサ200と接続中の電子スコープ100を起動したときに最大電流値が規定の電流値を超える突入電流(異常な電流)が発生する状態を意味する。このような電源電流の異常は、主に、次のことを原因として発生する。すなわち、電子スコープ100の各部の端子や配線の経年劣化(イオンマイグレーションやウィスカの発生)に伴う絶縁破壊や、撮像素子108及びLED118等の素子の故障、電子スコープ100の浸水によって発生するショート、プロセッサ200に接続される種類の異なる電子スコープへの定格電圧の印加あるいは定格電流の供給、等を原因として発生する。異常検知部230は、測定された突入電流の最大電流値が、通常発生する突入電流の最大電流値の例えば1.5~2倍を超える突入電流を、異常な電流と判断し、電源電流の異常であることを検知する。一方、異常検知部230は、測定された突入電流の最大電流値が、上記条件を満たさない突入電流を、異常な電流ではないと判断し、電源電流の異常であると検知しない。
【0040】
制御部240は、測定された電流値に関する電流情報を生成するよう構成されている。電流値に関する電流情報には、突入電流の最大電流値のデータが含まれる。制御部240は、異常検知部230により電源電流の異常が検知されることにより、電流情報を異常電流情報として記憶部250に記憶させるよう構成されている。このようにして、異常な電流の履歴が記録される。制御部240は、モニタ300あるいはストレージ400への電流情報の出力の指示を受けることにより、電流情報を記憶部250から読み出すよう構成され、読み出した情報を出力する。ストレージ400は、例えば、HDD装置やUSBストレージであり、プロセッサ200に着脱自在に外付けされる。これにより、ユーザは、電子スコープ100の起動によって電子スコープ100に発生したと考えられる突入電流の大きさを知ることができる。そして、出力された電流情報に異常電流情報が含まれていることにより、ユーザは、電子スコープ100内部に異常な大きさの突入電流(異常な電流)が発生したことを知ることができる。
【0041】
記憶部250は、制御部240と接続され、制御部240が生成した電流情報が入力され、電流情報を記憶するよう構成されている。制御部240により読み出され、出力された電流情報によって、ユーザは、電子スコープ100に過去に発生した突入電流の大きさを知ることができるので、異常な電流の履歴の分析や、電子スコープ100の不具合の解析を行うことができる。
【0042】
一実施形態によれば、システムコントローラ202は、電源電流の異常が検知されることにより、異常電流情報を表示する表示用の画面データを生成し、モニタ300に表示させることが好ましい。これにより、ユーザは、電子スコープ100内部に異常な大きさの突入電流(異常な電流)が発生したことを容易に知ることができる。異常な電流が発生した電子スコープ100では、内部の一部の機能が壊れている可能性があり、早期に電子スコープ100の破損を見つけることができる。また、異常が検知される都度、ユーザに確認を促すことができ、電子スコープ100の必要な修理等を早期に行うことができる。モニタ300に被写体画像のビデオ信号が出力されている場合は、ビデオ信号の出力を停止して、あるいは、モニタ300に表示された被写体画像に重ねて表示用画面が表示されるよう、画面データが出力される。電源電流の異常が検知される頻度が高い場合は、上記画面データを継続してモニタ300に表示させることが好ましい。表示を継続する期間は、連続して複数の異常が検知される間であり、例えば常時である。一方で、別の一実施形態によれば、システムコントローラ202は、電流情報の記憶を開始してから後述する第2期間が経過したことにより、異常電流情報を表示する表示用の画面データを生成し、モニタ300に表示させることも好ましい。
【0043】
電流情報の出力の指示は、例えば、操作パネル208に対するユーザの所定の操作入力により行われてもよく、電源電流の異常が検知されたとき、又は、一定時間経過ごとに、制御部240が行ってもよい。電流情報の出力の指示があると、制御部240は、記憶部250から電流情報を読み出し、モニタ300、ストレージ400等に出力する。
【0044】
制御部240は、電流値が測定されるごとに電流情報を生成し、記憶部250に記憶させるよう構成されていることが好ましい。これにより、電子スコープ100に発生したすべての突入電流について、履歴を記録でき、その電流値の大きさを知ることができる。
【0045】
制御部240は、電流情報に付随する付随情報として、電子スコープ100の起動時刻と、電子スコープ100の機種情報と、をさらに記憶部250に記憶させるよう構成されていることが好ましい。システムコントローラ202は、電子スコープ100の起動時刻や、電流値の測定時点での電子スコープ100を起動後の経過時間を記憶する。起動時刻の情報は、システムコントローラ202が保持する起動時刻のデータから、電流値を測定したタイミングで制御部240により取得され、記憶部250に記憶される。機種情報は、ドライバ信号処理回路112によりメモリ114から読み出され、制御部240により取得される。これらの付随情報は、例えば、電流情報が生成される際に、制御部240により、電流情報と対応付けて生成され。付随情報は、電流情報と共に記憶部250に記憶される。付随情報は、異常な電流の履歴の分析に有効な情報であるため、記憶部250から読み出された電流情報を付随情報と共に参照することで、電子スコープ100に発生した不具合の解析を効率よく行える。
【0046】
記憶部250は、図2に示すように、第1メモリ(第1記憶領域)250aを含むことが好ましく、第2メモリ(第2記憶領域)250bをさらに含むことが好ましい。
【0047】
第1メモリ250aは、システムコントローラ202と接続されている。第1メモリ250aは、電流情報の記憶を開始してから第1期間(例えば1カ月)の間、電流情報を記憶するよう構成されている。したがって、制御部240は、電流情報の記憶を開始してから第1期間が経過すると、新たに生成した電流情報を、第1期間に第1メモリ250aに記憶された電流情報に上書きして保存する。その際、第1メモリ250aに記憶されたもっとも古い情報から上書きされることが好ましい。これにより、異常な電流の履歴の分析等に有用な直近の電流情報を第1メモリ250aに残すことができる。なお、第1メモリ250aへの電流情報の記憶は常時行われることが好ましい。そのため、第1期間が経過すると同時に次の第1期間が始まることで、複数の第1期間が連続していることが好ましい。
【0048】
第2メモリ250bは、第1メモリ250aと接続され、第1メモリ250aを介してシステムコントローラ202と接続されている。第2メモリ250bは、異常電流情報を記憶するよう構成されている。制御部240は、電源電流の異常が検知されること、あるいは、後で参照する図3のステップS3のように、第1期間が経過することにより、第1メモリ250aに記憶された電流情報のうち異常電流情報を第2メモリ250bに記憶させるよう構成されている。付随情報は、異常電流情報と共に第2メモリ250bに記憶される。このように、異常電流情報を第2メモリ250bに記憶させることで、第1メモリ250aに記憶された電流情報が上書きされても、ユーザは、上書きされて第1メモリ250aから消去された異常電流情報と同じ情報にアクセスでき、異常な電流の履歴の分析等を多くの情報に基づいて行うことができる。第2メモリ250bには、第1メモリ250aの記録期間(第1期間)を超える期間(第2期間)内のより多くの異常電流情報が記憶される。
【0049】
制御部240は、電流情報の記憶を開始してから第1期間よりも長い第2期間(例えば3カ月)が経過することにより、例えば、そのことを示す表示用画像を生成し、モニタ300に出力するよう構成されていることが好ましい。ユーザは、モニタ300の表示内容を見て、第2メモリ250bに記憶された異常電流情報が、第2期間経過後に新たに生成した異常電流情報によって不用意に上書きされないよう、例えば、第2メモリ250b内の異常電流情報をストレージ400等の記録媒体に保存する等の対処をすることができる。
【0050】
制御部240は、電流情報の記憶を開始してから第2期間が経過することにより、第2期間経過後に新たに生成した異常電流情報を、第2期間に第2メモリ250bに記憶された異常電流情報に上書きして保存する。その際、第2メモリ250bに記憶されたもっとも古い情報から上書きされることが好ましい。これにより、異常な電流の履歴の分析等に有用な直近の異常電流情報を第2メモリ250bに残すことができる。
【0051】
図3は、第1実施形態のプロセッサ200のフローの一例を示す図である。
電子スコープ100が接続されたプロセッサ200のメインスイッチがオンにされた状態で、電子スコープ100が起動されると、ステップS1において、突入電流の電流値が測定され、電流情報が生成する。その際、付随情報として、電子スコープ100の起動時刻の情報、及びスコープ情報が取得され、電流情報と共に第1メモリ250aに保存される(ステップS2)。電流情報の記憶開始から第1期間が経過したとき(ステップS3のYES)、次の第1期間が始まる一方、第1メモリ250aに保存された電流情報中に異常電流情報が含まれる場合は(ステップS4のYES)、第1期間に保存された異常電流情報が、ステップS5において、第2メモリ250bに保存されるとともに、ステップS6において、例えばモニタ300に表示され、ユーザに通知される。新たな第1期間中に生成した電流情報は、プロセッサ200のメインスイッチがオフにされあるいは電子スコープ100の電源がオフにされ、電子スコープ100に通電されなくなるまでの間(ステップS7のNO)、ステップS2において、前の第1期間中に保存された第1メモリ250a内の情報に上書きされ、保存される。
【0052】
(第2実施形態)
次に、電子内視鏡用プロセッサ200の異常検知に関する構成の第2実施形態について説明する。
第2実施形態の構成は、図2に示す第1実施形態のブロック図と同様に示され、第1実施形態の各部と対応する第2実施形態の各部を、第1実施形態の各部と同じ符号を用いて説明する。以下、第1実施形態との相違に注目して説明する。
【0053】
第2実施形態の測定部260が測定する電源電流の電流値は、電子スコープ100と接続中のプロセッサ200の起動後の電流値の変化量dI/dtである。具体的に、測定部260は、電源供給部220から供給される電流電源を一定の時間間隔(例えば1~2秒)で測定し、時間間隔あたりの電流値の変化量を測定するよう構成されている。
【0054】
第2実施形態において、電源電流の異常とは、プロセッサ200と接続中の電子スコープ100の起動後の電流値の変化量dI/dtが所定の変化量を超える状態を意味する。このような電流値の変化量dI/dtは、第1実施形態において最大電流値が所定値を超える突入電流を発生させる上述の原因と同様のことを原因として発生する。特に、電子スコープ100の各部の素子の壊れ具合や、破損した素子の機能に応じて発生する。例えば、LED118、撮像素子108、ポンプ動作時の通信回路、等の破損した回路に起因する異常な電流が発生する。異常検知部230は、測定された電流値の変化量dI/dtが、電流値の通常の変化量(例えば200mA/秒以下)の例えば2~4倍を超える変化量の電流を、異常な電流と判断し、電源電流の異常であることを検知する。異常検知部230は、測定された電流値の変化量dI/dtが、上記条件を満たさない電流の変化を、異常な電流ではないと判断し、電源電流の異常であると検知しない。これにより、消費電流が変動する電子スコープ100の動作が、正常であるか異常であるか判定することができる。電子スコープ100の異常な動作としては、1)プロセッサ200の起動時の突入電流量が多すぎて電子スコープ100の各部を起動できないこと、2)プロセッサ200の起動時に電子スコープ100の各部が起動するが、突入電流量が多いために、内部の素子が破損しているにも拘らず、動作し機能していること、3)特定の機能を発揮させる電子スコープ100の各部(LED118、撮像素子108等)の動作(最大光量での点灯、高ゲイン動作、高フレーム撮影等)を行う場合に定常時より電流が多く流れてしまい、当該機能が発揮されないこと、が挙げられる。
【0055】
制御部240により生成される電流情報には、一定の時間間隔で測定した電流値の変化量dI/dtのデータが含まれる。ユーザは、電子スコープ100の起動後の駆動中の電子スコープ100に発生したと考えられる電流の変化の大きさを知ることができる。そして、出力された電流情報に異常電流情報が含まれていることにより、ユーザは、電子スコープ100内部に異常な大きさの電流の変化(異常な電流)が発生したことを知ることができる。また、制御部240により読み出され、出力された電流情報によって、ユーザは、電子スコープ100に過去に発生した電流の変化の大きさを知ることができるので、異常な電流の履歴の分析や、電子スコープ100の不具合の解析を行うことができる。また、電子スコープ100の各部の破損の程度を推定し、異常な動作の原因解析を行うことができる。
【0056】
制御部240は、電流値が測定されるごとに電流情報を生成し、逐次、記憶部250に記憶させるよう構成されていることが好ましい。これにより、電子スコープ100に発生し得るすべての電流の変化について、履歴を記録でき、その変化量の大きさを知ることができる。
【0057】
制御部240は、付随情報として、電子スコープ100の起動時刻の代わりに、電子スコープ100を起動後の経過時間を記憶部250に記憶させるよう構成されていることが好ましい。起動時刻の情報は、電流情報の記憶が開始される際に、記憶部250に記憶され、経過時間の情報は、電流値の測定のタイミングごとに、記憶部250に記憶される。
【0058】
第2実施形態において、第2メモリ250bは、異常電流情報を記憶するよう構成されていることが好ましい。第2メモリ250bの記憶容量は、第1メモリ250aが第1期間に記憶可能な情報量より大きいことが好ましく、第1メモリ250aが第1期間に記憶可能な異常に関する情報を複数分、保存できる容量であることがより好ましい。
【0059】
制御部240は、第2メモリ250bに記憶される異常電流情報の情報量が記憶容量の上限に達すること、あるいは、記憶容量の残容量が所定量以下となること(例えば1か月分の異常に関する情報を保存できなくなること)により、そのことを示す表示用の画面データを生成し、モニタ300に出力するよう構成されていることが好ましい。表示用画面には、例えば、第2メモリ250bに記憶される異常電流情報の情報量が記憶容量の上限に達すること、あるいは、記憶容量の残容量が所定量以下となることを示すメッセージまたは画像が表示される。電流値の変化量dI/dtの測定頻度は、突入電流の測定頻度よりも高く、それに伴って生成する電流情報の情報量が多くなる。また、電流が変化する頻度は、電子スコープ100の劣化が進行するほど、各部が駆動する頻度が高いほど、電流が変化する頻度は高くなり、大きく変化する頻度は高くなる。そのため、所定の変化量を超える電流値の変化量を知る観点から、第2メモリ250bに関して、第1期間が経過したことの代わりに、記憶容量が上記条件を満たしたことを契機として、表示画面の出力を行うことが好ましい。
【0060】
第2メモリ250bは、第2メモリ250bに記憶された情報量が記憶容量の上限に達すること、あるいは、記憶容量の残容量が所定量以下となることにより、新たな異常電流情報を記憶しないよう構成されていることが好ましい。また、異常検知部230は、情報量が記憶容量の上限に達すること、あるいは、記憶容量の残容量が所定量以下となることにより、電源電流の異常の検知をしないよう構成されていることが好ましい。上述のように、電流値の変化量dI/dtに関する電流情報の情報量は多くなりやすく、電流が変化する頻度も高くなりやすいため、第2メモリ250bに記憶された情報量が早期に記憶容量の上限に近づくことがある。そのため、上記の条件を満たす場合に、新たな異常電流情報を記憶しない、あるいは、電源電流の異常の検知をしないことにより、第2メモリ250bに記憶された異常電流情報が上書きされて異常な電流の履歴の分析等が不能となることを回避できる。また、ユーザに、記憶された電流情報の、ストレージ400等の記録媒体への保存を促すことができる。
【0061】
上記の条件を満たす場合に、新たな異常電流情報を記憶しない、あるいは、電源電流の異常の検知をしないよう構成されている場合に、制御部240は、第2メモリ250bに記憶された異常電流情報の少なくとも一部がストレージ400に記憶されることにより、第2メモリ250bに記憶された異常電流情報のうち電流値の測定時点が最も古い情報を含む異常電流情報を削除して新たな異常電流情報を第2メモリ250bに記憶させるよう構成されていることが好ましい。このように、第2メモリ250bに記憶された異常電流情報が削除される条件が、ストレージ400への保存とされていることにより、古い異常電流情報が継続して保持されるので、異常な電流の履歴のより有効な分析等が可能となる。また、第2メモリ250bに記憶された最も古い情報から上書きされることにより、異常な電流の履歴の分析等に有用な直近の電流情報を第2メモリ250bに残すことができる。ストレージ400には、第2メモリ250bに記憶された異常電流情報の全部が記憶されることが好ましい。記憶された異常電流情報のストレージ400への記憶は、操作パネル208に対するユーザの所定の操作入力、あるいは、情報量が記憶容量の上限に達すること、または、記憶容量の残容量が所定量以下となることにより、制御部240が行うことができる。
【0062】
この場合に、異常検知部230は、上述のように第2メモリ250bに記憶された異常電流情報の少なくとも一部がストレージ400に記憶されることにより、電源電流の異常の検知を再開するよう構成されていることが好ましい。このように、異常電流情報がストレージ400に保存されることで、第2メモリ250bに記憶された情報を、異常の検知の再開によって新たに生成した異常電流情報で上書きしつつ、異常な電流の履歴の有効な分析等を行うことができる。
【0063】
第2実施形態のプロセッサ200では、例えば、第1実施形態のプロセッサ200が図3に示すステップS6において行うように、モニタ300への表示を行った後、さらに、第2メモリ250bに記憶された情報量が記憶容量の上限に達したこと、あるいは、記憶容量の残容量が所定量以下となったことにより、異常検知部230による異常の検知、及び、第2メモリ250bへの異常電流情報の保存が停止され、そして、第2メモリ250bに記憶された異常電流情報のストレージ400への保存が行われるのを待って、異常検知部230による異常の検知が再開され、第2メモリ250bへの異常電流情報の上書き保存が行われる。
【0064】
以上、本発明の内視鏡用プロセッサ及び内視鏡システムについて詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのはもちろんである。
【0065】
例えば、上記各実施形態では、挿入管101の先端部には、1つのLED118を有しているが、本発明はこれに限定するものではない。例えば、挿入管101の先端部101Aには複数のLED118が配置されていてもよい。この場合、一実施形態によれば、先端部101Aに設けるLED118が射出するそれぞれの光は、光源装置210から射出される光に比べて、LCB11における光透過率が同等あるいはそれよりも低い波長帯域の光であることが、光量の低下を効率よく抑制することができる点から好ましい。
【符号の説明】
【0066】
1 電子内視鏡システム
10 商用電源
11 LCB
100 電子スコープ
101 挿入管
101A 先端部
102 接続部
104 配向レンズ
108 撮像素子
112 ドライバ信号処理回路
117 光源駆動回路
118 LED
119 配向レンズ
200 プロセッサ(内視鏡用プロセッサ)
202 システムコントローラ
204 メモリ
206 タイミングコントローラ
208 操作パネル
210 光源装置
216 画像処理ユニット
220 電源供給部
220a,220b DC-DCコンバータ
230 異常検知部
240 制御部
250 記憶部
250a 第1メモリ(第1記憶領域)
250b 第2メモリ(第2記憶領域)
260 測定部
260a,260b 電子ヒューズ
300 表示装置(モニタ)
400 ストレージ(外部記憶装置)
図1
図2
図3