(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023059149
(43)【公開日】2023-04-26
(54)【発明の名称】組合せ計量機
(51)【国際特許分類】
G01G 19/393 20060101AFI20230419BHJP
G01G 19/387 20060101ALI20230419BHJP
【FI】
G01G19/393
G01G19/387 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021169100
(22)【出願日】2021-10-14
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和3年7月14日~令和3年7月16日に、株式会社オーケープランニングが、施設園芸・植物工場展2021にて、波多江満が発明した組合せ計量機を公開した。令和3年8月24日に、株式会社オーケープランニングが、波多江満が代表取締役社長を務める株式会社オーケープランニングのウェブサイトにて、波多江満が発明した組合せ計量機を公開した。令和3年9月24日に、株式会社オーケープランニングが、CAMPFIREのウェブサイトにて、波多江満が発明した組合せ計量機を公開した。令和3年8月12日~令和3年9月30日に、波多江満が、自身が代表取締役社長を務める株式会社オーケープランニングの同意を得て、波多江満のウェブサイトにて、波多江満が発明した組合せ計量機を公開した。令和3年7月2日~令和3年9月30日に、波多江満が、自身が代表取締役社長を務める株式会社オーケープランニングの同意を得て、波多江満のウェブサイトにて、波多江満が発明した組合せ計量機を公開した。令和3年7月1日~令和3年10月8日に、波多江満が、自身が代表取締役社長を務める株式会社オーケープランニングの同意を得て、波多江満のウェブサイトにて、波多江満が発明した組合せ計量機を公開した。令和3年10月13日に、株式会社オーケープランニングが、有限会社島原自然塾にて、波多江満が発明した組合せ計量機について、その性能試験を行った。
(71)【出願人】
【識別番号】515244427
【氏名又は名称】株式会社オーケープランニング
(74)【代理人】
【識別番号】100080160
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 憲一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149205
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 泰央
(72)【発明者】
【氏名】波多江 満
(57)【要約】
【課題】広い設置スペースを要することなく、簡素な構成でコストを可及的低減化することができ、作業効率を飛躍的に向上させることができ、多種の秤量物に対応して汎用性を高め、連続して組合せ計量を行うことができるセミオート式の組合せ計量機を提供する。
【解決手段】複数の計量部と、計量部に着脱自在の計量皿と、組合せ重量計算手段と、最適組合せ計算手段と、を備えた計量機本体と、最適組み合わせに対応した計量皿上の秤量物を受け取り統合搬送する搬送コンベアと、を備えた組合せ計量機であって、計量部は、計量機本体の一側壁から外方突出して相対回転する左右一対のアーム軸を有し、計量皿は、左右一対の前記アーム軸にそれぞれ垂設して搬送コンベア上方で支持した左右一対の左右皿片からなり、秤量物を載置する載置皿形態となると共に、最適に組合せに対応して秤量物の排出形態となるように構成してなることとした。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
秤量物を計量して個々の計量値を生成する複数の計量部と、前記計量部に着脱自在の計量皿と、複数の前記計量部により取得した計量値同士の組合せ計算を行い組合せ重量値を算出する組合せ重量計算手段と、前記組合せ重量値が規定重量範囲内で最小値となる最適組合せ重量値であるかの判別を行い、複数の前記計量部のうち前記最適組合せに対応する計量部の選択をする最適組合せ計算手段と、を備えた計量機本体と、前記計量機本体の一側壁に沿って敷設され、前記最適組み合わせに対応した計量部における計量皿上の秤量物を受け取り統合搬送する搬送コンベアと、を備えた組合せ計量機であって、
前記計量部は、
前記計量機本体の一側壁から前記搬送コンベア上方且つ前記搬送コンベアの搬送交差方向に外方突出して相対回転する左右一対のアーム軸を有し、
前記計量皿は、
左右一対の前記アーム軸にそれぞれ垂設して前記搬送コンベア上方で支持した左右一対の左右皿片からなり、前記左右皿片同士を各アーム軸を中心に、近接方向へ揺動変位させて下端部同士を対峙係合することにより秤量物を載置する載置皿形態となると共に、最適に組合せに対応して離反方向へ揺動変位させて下端部同士を離反することにより下方開口を形成して秤量物を前記搬送コンベアに落下排出する排出形態となるように構成したことを特徴とする組合せ計量機。
【請求項2】
前記計量部は、ロードセルと、前記ロードセル上に配設した駆動軸と、前記駆動軸に基端部で接続固定すると共に中途部で二又状に左右側へ分岐伸延した左右先端部でそれぞれ左右一対の前記アーム軸に接続固定するリンク機構と、を備え、前記駆動軸の回動により前記リンク機構を介して左右一対の前記アーム軸を相対回動自在に構成したことを特徴とする請求項1に記載の組合せ計量機。
【請求項3】
前記リンク機構は、前記駆動軸に基端部で接続固定して回動する駆動リンクと、前記駆動リンク先端部に基端部で枢着して回動する下側リンクと、前記下側リンク先端部に基端部で枢着し、左右側方のうちいずれか一方に先端部を向けて略L字状に屈曲する一方L字リンクと、前記一方L字リンクの屈曲角部に基端部で枢着して回動する上側リンクと、前記上側リンク先端部に基端部で枢着し、左右側方のうちいずれか他方に先端部を向けて略L字状に屈曲する他方L字リンクと、を備え、前記一方L字リンク先端部と前記他方L字リンク先端部をそれぞれ左右一対の前記アーム軸に接続固定して前記駆動軸の回転を各アーム軸の相対回転に変換するように構成したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の組合せ計量機。
【請求項4】
一対の前記アーム軸に垂設支持した前記計量皿に対向する前記計量機本体の前記一側壁には、前記計量皿に載置された秤量物の一端部に係合する秤量物係合部を突設したことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の組合せ計量機。
【請求項5】
前記計量機本体は、前記載置皿形態の前記計量皿に秤量物が載置された際に正味の重量値より少ない値として前記計量部により生成された偏置誤差計量値に、前記秤量物の種類に応じて予め設定した偏置補正値を加算させる偏置誤差補正手段を有することを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の組合せ計量機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、野菜や食品等の秤量物を秤量するための組合せ計量機において、簡便な構成で効率の良い秤量が可能な組合せ計量機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、野菜・食品などの生鮮食料商品は、市場では例えば1本、1個、1株といった個数単位で販売されることは殆どなく、複数をまとめた組合せ重量値が規定重量範囲に収まるように組合せ秤量して袋詰めされた重量単位で販売されている。
【0003】
すなわち、複数の秤量物をまとめてパッケージングして商品形態とするには、市場での信用を担保すると共に経済性に配慮しつつ、農産物など大きさ、形、重量の不均一な秤量物同士の組合せ重量値が、規定重量値を下回らず且つ最小重量値となる組合せ重量値(以下、単に最適組合せ重量値という。)となるように正確な組合せ計量作業を行わなければならない。
【0004】
このような袋詰め作業者による組合せ秤量作業の作業負担を軽減するべく、「秤量物の計量皿への載置工程 → 秤量物同士の最適組合せ計算工程 → 最適組合せの秤量物同士のピックアップ工程 → 最適組合せの秤量物同士のパッケージング工程」までの一連の作業を完全オートメンションで行う自動組合せ計量装置(例えば、特許文献1~3参照。)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8-313333号公報
【特許文献2】特開2002-166232号公報
【特許文献3】特開2008-292194号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、かかる完全オートメンションの組合せ計量装置は、大型で大変高価なものであり、例えば個人農家や組合など比較的小中規模の出荷元では設置スペース的且つ経済的に導入する余裕はなく、作業者が一つ一つ最適組合せ重量値となる秤量物同士を確認しながら秤量選別を行っているのが実情である。
【0007】
また、秤量物が例えばゴボウや長ネギのなどの長物野菜やイチゴやトマトなどの粒状野菜など大きさも形状も異なる農産物である場合、従来の自動組合せ計量装置で組合せ計量を行おうとすると、秤量物の種類に合わせて特別な機構を付加したり設計し直したりなど装置コストが莫大となる虞があり、したがって、組合せ計量の秤量物の種類が限定されてしまい汎用性に乏しいという問題があった。
【0008】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであって、広い設置スペースを要することなく持ち運び可能で簡単に設置することができ、簡素な構成で装置コストを可及的低減化することができ、手軽に使えて作業効率を飛躍的に向上させることができ、大きさ、形状、重量など多種バリエーションの秤量物に簡単に対応して汎用性を高め、連続して組合せ計量を行うことができるセミオート式の組合せ計量機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記従来の課題を解決するために、本発明では、(1)秤量物を計量して個々の計量値を生成する複数の計量部と、前記計量部に着脱自在の計量皿と、複数の前記計量部により取得した計量値同士の組合せ計算を行い組合せ重量値を算出する組合せ重量計算手段と、前記組合せ重量値が規定重量範囲内で最小値となる最適組合せ重量値であるかの判別を行い、複数の前記計量部のうち前記最適組合せに対応する計量部の選択をする最適組合せ計算手段と、を備えた計量機本体と、前記計量機本体の一側壁に沿って敷設され、前記最適組み合わせに対応した計量部における計量皿上の秤量物を受け取り統合搬送する搬送コンベアと、を備えた組合せ計量機であって、前記計量部は、前記計量機本体の一側壁から前記搬送コンベア上方且つ前記搬送コンベアの搬送交差方向に外方突出して相対回転する左右一対のアーム軸を有し、前記計量皿は、左右一対の前記アーム軸にそれぞれ垂設して前記搬送コンベア上方で支持した左右一対の左右皿片からなり、前記左右皿片同士を各アーム軸を中心に、近接方向へ揺動変位させて下端部同士を対峙係合することにより秤量物を載置する載置皿形態となると共に、最適に組合せに対応して離反方向へ揺動変位させて下端部同士を離反することにより下方開口を形成して秤量物を前記搬送コンベアに落下排出する排出形態となるように構成したことを特徴とする組合せ計量機を提供する。
【0010】
また、本発明に係る組合せ計量機は以下(2)~(5)の点に特徴を有する。
(2)前記計量部は、ロードセルと、前記ロードセル上に配設した駆動軸と、前記駆動軸に基端部で接続固定すると共に中途部で二又状に左右側へ分岐伸延した左右先端部でそれぞれ左右一対の前記アーム軸に接続固定するリンク機構と、を備え、前記駆動軸の回動により前記リンク機構を介して左右一対の前記アーム軸を相対回動自在に構成したことを特徴とする。
(3)前記リンク機構は、前記駆動軸に基端部で接続固定して回動する駆動リンクと、前記駆動リンク先端部に基端部で枢着して回動する下側リンクと、前記下側リンク先端部に基端部で枢着し、左右側方のうちいずれか一方に先端部を向けて略L字状に屈曲する一方L字リンクと、前記一方L字リンクの屈曲角部に基端部で枢着して回動する上側リンクと、前記上側リンク先端部に基端部で枢着し、左右側方のうちいずれか他方に先端部を向けて略L字状に屈曲する他方L字リンクと、を備え、前記一方L字リンク先端部と前記他方L字リンク先端部をそれぞれ左右一対の前記アーム軸に接続固定して前記駆動軸の回転を各アーム軸の相対回転に変換するように構成したこと。
(4)前記アーム軸に垂設支持した前記計量皿に対向する前記計量機本体の前記一側壁には、前記計量皿に載置された秤量物の一端部に係合する秤量物係合部を突設したこと。
(5)前記計量機本体は、前記載置皿形態の前記計量皿に秤量物が載置された際に正味の重量値より少ない値又は多い値として前記計量部により生成された偏置誤差計量値に、前記秤量物の種類に応じて予め設定した偏置補正値を加算又は減算させる偏置誤差補正手段を有すること。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る組合た計量機は、広い設置スペースを要することなく持ち運び可能で簡単に設置することができ、簡素な構成でコストを可及的低減化することができ、作業効率を飛躍的に向上させることができ、大きさ、形状、重量など多種バリエーションの秤量物に対応して汎用性を高め、連続して組合せ計量を行うことができるセミオート式の組合せ計量機を実現し、もって社会に資することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明に係る組合せ計量機の全体構成を示す外観斜視図である。
【
図2】本発明に係る計量機本体の構成を示す外観斜視図である。
【
図3】本発明に係る組合せ計量機の計量機本体と搬送コンベアとの同期作動状態を示す模式的正面図
【
図4】本発明に係る計量部と計量皿の具体的構成を示す斜視図である。
【
図5】本発明に係る計量部と計量皿の具体的構成を示す斜視図である。
【
図6】本発明に係る計量部と計量皿の具体的構成を示す斜視図である。
【
図7】本発明に係る計量機本体の載置皿形態における計量皿の使用状態を示す模式的説明図である。
【
図8】変形例に係る計量皿の構成を示す斜視図である。
【
図9】本発明に係る組合せ計量機の基本的計量処理フロー図である。
【
図10】本発明に係る組合せ計量機の計量機本体と搬送コンベアとの同期作動フロー図である。
【
図11】本発明に係る組合せ計量機の低速計量モードの作動フロー図である。
【
図12】本発明に係る組合せ計量機の高速計量モードの作動フロー図である。
【
図13】本発明に係る組合せ計量機の偏置誤差補正手段の処理フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の要旨は、秤量物を計量して個々の計量値を生成する複数の計量部と、前記計量部に着脱自在の計量皿と、複数の前記計量部により取得した計量値同士の組合せ計算を行い組合せ重量値を算出する組合せ重量計算手段と、前記組合せ重量値が規定重量範囲内で最小値となる最適組合せ重量値であるかの判別を行い、複数の前記計量部のうち前記最適組合せに対応する計量部の選択をする最適組合せ計算手段と、を備えた計量機本体と、前記計量機本体の一側壁に沿って敷設され、前記最適組み合わせに対応した計量部における計量皿上の秤量物を受け取り統合搬送する搬送コンベアと、を備えた組合せ計量機であって、前記計量部は、前記計量機本体の一側壁から前記搬送コンベア上方且つ前記搬送コンベアの搬送交差方向に外方突出して相対回転する左右一対のアーム軸を有し、前記計量皿は、左右一対の前記アーム軸にそれぞれ垂設して前記搬送コンベア上方で支持した左右一対の左右皿片からなり、前記左右皿片同士を各アーム軸を中心に、近接方向へ揺動変位させて下端部同士を対峙係合することにより秤量物を載置する載置皿形態となると共に、最適に組合せに対応して離反方向へ揺動変位させて下端部同士を離反することにより下方開口を形成して秤量物を前記搬送コンベアに落下排出する排出形態となるように構成したことを特徴とする組合せ計量機を提供することにある。
【0014】
また、前記計量部は、ロードセルと、前記ロードセル上に配設した駆動軸と、前記駆動軸に基端部で接続固定すると共に中途部で二又状に左右側へ分岐伸延した左右先端部でそれぞれ左右一対の前記アーム軸に接続固定するリンク機構と、を備え、前記駆動軸の回動により前記リンク機構を介して左右一対の前記アーム軸を相対回動自在に構成したことに特徴を有する。
【0015】
また、前記リンク機構は、前記駆動軸に基端部で接続固定して回動する駆動リンクと、前記駆動リンク先端部に基端部で枢着して回動する下側リンクと、前記下側リンク先端部に基端部で枢着し、左右側方のうちいずれか一方に先端部を向けて略L字状に屈曲する一方L字リンクと、前記一方L字リンクの屈曲角部に基端部で枢着して回動する上側リンクと、前記上側リンク先端部に基端部で枢着し、左右側方のうちいずれか他方に先端部を向けて略L字状に屈曲する他方L字リンクと、を備え、前記一方L字リンク先端部と前記他方L字リンク先端部をそれぞれ左右一対の前記アーム軸に接続固定して前記駆動軸の回転を各アーム軸の相対回転に変換するように構成したことに特徴を有する。
【0016】
また、前記アーム軸に垂設支持した前記計量皿に対向する前記計量機本体の前記一側壁には、前記計量皿に載置された秤量物の一端部に係合する秤量物係合部を突設したことに特徴を有する。
【0017】
また、前記計量機本体は、前記載置皿形態の前記計量皿に秤量物が載置された際に正味の重量値より少ない値として前記計量部により生成された偏置誤差計量値に、前記秤量物の種類に応じて予め設定した偏置補正値を加算させる偏置誤差補正手段を有することに特徴を有する。
【0018】
<1.組合せ計量機の概略的構成>
まず、本発明に係る組合せ計量機A(以下、本計量機と称す。)の概略的構成を説明する。
図1は組合せ計量機の全体構成を示す斜視図、
図2は計量機本体の内部構成を示す前方斜視、
図3(a)~
図3(c)はそれぞれ計量機の計量機本体と搬送コンベアとの同期作動状態を示す模式的正面図である。
【0019】
本計量機Aは、
図1に示すように外観上、方形筐体10の一側壁10aから複数の計量皿3(本実施例では6つ)を長手方向に一定間隔で外方突出した計量機本体1と、複数の計量皿3の下方で計量機本体1の一側壁10aに沿って敷設した搬送コンベア4と、を組合せて構成したものである。
【0020】
なお、
図1中、符号6は各計量皿3に対応して組合せ計量結果、すなわちその計量皿3が秤量物の最適組合せに該当するか否かを知らせる指示機構、符号7は規定重量範囲などの組合せ計量に必要な各種設定を入力するための入力部である。
【0021】
指示機構6は、作業者に対して最適組合せがある場合にはピックアップすべき秤量物を示したり最適組合せがない場合には組合せがないことを知らせたりするものであって、個々の計量皿3に対応する近傍位置で方形筐体10の上側壁10bに設けた複数の表示指示部60と、方形筐体10に内蔵した音響指示部61と、で構成している。
【0022】
入力部7により本計量機Aに任意で入力設定される規定重量範囲とは、組合せ計量をしようとする秤量物に合わせて作業者が適宜設定する規定の量目の範囲のことである。すなわち、規定重量範囲の下限値は市場の信用損失のない最低限度の秤量物同士の組合せ重量値であり、規定重量範囲の上限値は作業者等の経済的損失のない最高限度の秤量物同士の組合せ重量値となる。
【0023】
複数の計量皿3が並列した計量機本体1の正面側(搬送コンベア4が配置される側)には、各計量皿3に秤量物Mを補充載置したり増減載置したりする載置作業者が配置される。すなわち、かかる載置作業者により組合せ計量作業の「秤量物の計量皿への載置工程」が実行される。
【0024】
計量皿3は、
図1及び
図2に示すように、方形筐体10の一側壁10aから突出するアーム軸20L、20Rに垂設した左右一対の左右皿片30L、30Rで構成している。
【0025】
かかる左右皿片30L、30Rは各アーム軸20L、20Rを中心に同調相対回動変位して下端部同士を軸位置より下方で対峙係合することにより、計量皿3に下方開口3aを形成自在に構成している。
【0026】
すなわち、計量皿3は、各アーム軸20L、20Rを中心に左右皿片30L、30Rを近接方向へ揺動変位させて下端部31L、31R同士を当接係合することにより、秤量物Mを載置可能とする上方開放且つ前後開放した正面視V字状の載置皿形態3Aとなる。
【0027】
また、計量皿3は、最適組合せに対応して、各アーム軸20L、20Rを中心に左右皿片30L、30Rを離反方向へ揺動変位させて下端部31L、31R同士を離反することにより、一対のアーム軸20L、20R間の中央で下方開口3aを形成して秤量物Mを搬送コンベア4に排出落下する排出形態3Bとなる。
【0028】
また、各計量皿3は、アーム軸20L、20Rを介して方形筐体10内部に複数設けた計量部2にそれぞれ接続している。各計量部2は対応する載置皿形態3Aの計量皿3に載置された秤量物Mの計量値を生成する。なお、組合せ計量に参加させる計量皿3の数は、作業者の任意で入力部7により設定することができる。
【0029】
換言すれば、計量機本体1は、
図2に示すように、計量部2と計量皿3とにより計量且つ載置可能とする下方両開式のホッパーユニットを構成し、同ホッパーユニットを複数並設して構成している。
【0030】
詳細については後述するが、方形筐体10内部には、複数の計量部2により取得した計量値同士の組合せ計算を行い組合せ重量値を算出する組合せ重量計算手段S1と、組合せ重量値が規定重量範囲内で最小値となる最適組合せ重量値であるかの判別を行い、複数の計量部のうち最適組合せに対応する計量部の選択をする最適組合せ計算手段S2とを実行する制御部5が設けられている。
【0031】
すなわち、計量機本体1に内蔵した計量部2、組合せ重量計算手段S1、最適組合せ計算手段S2により組合せ計量作業の「秤量物同士の最適組合せ計算工程」を自動で実行する。
【0032】
搬送コンベア4は、
図1に示すように、前後側に一定間隔で設けられて回転駆動する一対の搬送ローラ43、43’と、一対の搬送ローラ43、43’に無端状に懸架された搬送ベルト40と、で構成しており、
図3(a)~
図3(c)に示すように、計量皿3の下方開口3aから落下する秤量物Mを受取り次工程位置まで搬送する。
【0033】
搬送ベルト40には、
図1に示すように、搬送方向に複数の仕切壁41を一定間隔で立設することにより、隣接する仕切壁41同士の間に秤量物を集積統合する複数の集積搬送部42を区画形成している。なお、搬送コンベア4は、各集積搬送部42の移動位置を顕出する位置センサ44を搭載している。
【0034】
計量機本体1は、
図3(a)~
図3(c)に示すように、下方の搬送コンベア4の集積搬送部42の移動に合わせて最適組合せの計量部2に対応する計量皿3を秤量物載置形態3Aから秤量物排出形態3Bにして秤量物Mを順次排出落下させる。
【0035】
特に、排出形態3Bにおける各計量皿3は、
図3(b)及び
図3(c)に示すように、搬送コンベア4の搬送面の直上から収納した最適組合せに該当する秤量物Mを略垂直落下(図中、破線矢印で示す。)させる排出移送を実現できるため、落下時の不用意な衝撃が秤量物Mに負荷されにくくなり、秤量物Mの損傷を可及的防止できる。
【0036】
すなわち、排出形態3Bにおける計量皿3の下方開口3aからの秤量物Mの落下方向が、
図3(b)及び
図3(c)に示すように搬送コンベア4の搬送面に対して直交方向となるため、搬送コンベア4の搬送ベルト40が秤量物Mの着地衝撃力を適確に吸収減衰するショックアブソーバ機能を生起する。
【0037】
したがって、秤量物Mが計量皿3から搬送コンベア4へ受渡移送時に、各秤量物Mが不用意な物理的衝撃を受けて搬送コンベア4内部で不用意に暴れたり搬送コンベア4からこぼれ落ちたり打撲傷や裂果傷を生起したりするおそれがない。
【0038】
搬送コンベア4は、計量機本体1の計量皿3から排出落下した秤量物M同士を集積搬送部42で受入れ、統合して次工程のまで搬送する。すなわち、計量機本体1と搬送コンベア4とは、制御部5により相対的に同期連動するように構成している。このように、計量機本体1の計量皿3と搬送コンベア4の搬送ベルト40との間で組合せ計量作業の「最適組合せの秤量物同士のピックアップ工程」を安定して自動で行う。
【0039】
搬送コンベア4の搬送方向の下手側端部には、順次搬送されてくる秤量物M同士をピックアップして袋詰めを行う袋詰作業者が配置される。すなわち、かかる袋詰作業者により組合せ計量作業の「最適組合せの秤量物同士のパッケージング工程」が実行される。
【0040】
このように本計量機Aは、作業者による「秤量物の計量皿への載置工程 → 秤量物同士の最適組合せ計算工程 → 最適組合せの秤量物同士のピックアップ工程 → 最適組合せの秤量物同士のパッケージング工程」からなる一連の組合せ計量作業のうち、特に精度と技能が求められる「秤量物同士の最適組合せ計算工程 → 最適組合せの秤量物同士のピックアップ工程」を計量機本体1と搬送コンベア4とで共同して行うセミオートメーションの組合せ計量機である。
【0041】
<2.計量機本体の構成>
次に、計量機本体の具体的な構成について図面を参照しながら説明する。
図4~
図6はそれぞれ計量部と計量皿の具体的構成を示す斜視図、
図7(a)及び
図7(b)はそれぞれ載置皿形態における計量皿の使用状態を示す模式的平面図及び模式的側面図、
図8(a)及び
図8(b)は変形例に係る計量皿の構成を示す斜視図である。
【0042】
計量機本体1は、内部中空の方形筐体10と、方形筐体10の長手方向に沿って設けた複数の計量部2と、各計量部2にアーム軸20L、20Rを介して方形筐体10の一側壁10aから突出すると共に長手方向に並設した複数の計量皿3と、組合せ重量計算手段S1や最適組合せ計算手段S2を実行する制御部5と、で構成している。
【0043】
方形筐体10は、計量機本体1の外郭をなす直方体状の外郭フレームと、外郭フレームの外周を覆う六側壁と、により内部中空の横置き長方形箱状に構成している。方形筐体10の正面側の一側壁10aには、
図1で示したように、長手方向に一定間隔で下端縁から方形状に切り欠いて矩形窓部100aを複数(本実施例では6つ)形成しており、後述する支持壁体24を嵌め込み可能にしている。
【0044】
方形筐体10の内底部は、
図2で示したように、長手方向を一定間隔で横に仕切る複数の中間フレーム11が設けられている。かかる中間フレーム11により方形筐体10の内部空間は複数の空間部(本実施例では6つ)に区画され、各中間フレーム11には
図2及び
図4に示すようにそれぞれ計量部2が整然と配置される。
【0045】
計量部2は、方形筐体10の一側壁10aから搬送コンベア4上方且つ搬送コンベア4の搬送交差方向に外方突出して相対回転する左右一対のアーム軸20L、20Rを有して構成しており、秤量物を計量して個々の計量値を生成する。
【0046】
具体的には、計量部2は、
図4~
図6に示すように、ロードセル21と、ロードセル21上に配設した駆動軸22と、駆動軸22に基端部で接続固定すると共に中途部で二又状に左右側へ分岐伸延した左右先端部でそれぞれ左右一対のアーム軸20L、20Rに接続固定するリンク機構23と、を備え、駆動軸22によりリンク機構23を介して左右一対のアーム軸20L、20Rを相対回動自在に構成している。
【0047】
ロードセル21は、各略棒状のいわゆるビーム型ロードセルであって、中間フレーム11に載置固定されると共に後述する制御部5に接続している。ロードセル21は、
図5~
図6に示すように、基端部を中間フレーム11の略中央部に一定厚みのスペーサを介して固定すると共に先端部を方形筐体10の一側壁10aと略面一状態とした、先端片持ち梁状に設けられている。
【0048】
なお、
図4中符号21aは、ロードセル21の基端部上面から下側の中間フレーム11に螺入固定するボルトネジであり、取り外しを容易にして組み立て作業やメンテナンス作業を行いやすくしている。
【0049】
ロードセル21の先端部21bには、駆動軸22やリンク機構23、各アーム軸20L、20Rを一体支持する支持壁体24を立設している。支持壁体24は、所定厚みを有する正面視矩形板状であって、方形筐体10の矩形窓部100aに浮上状態で遊嵌されて一側壁10aと面一となって方形筐体10の壁部をなす。
【0050】
かかる支持壁体24の正面外側、すなわちアーム軸20L、20Rに垂設支持した計量皿3に対向する計量機本体1の一側壁10aには、
図2、
図7(a)及び
図7(b)に示すように、計量皿3に載置された長物の秤量物の一端部に係合する秤量物係合部25を突設している。
【0051】
秤量物係合部25は、
図7(a)及び
図7(b)に示すように、正面視で左右一対のアーム軸20L、20Rの間の支持壁体24の正面略中央部から突設したL字ブラケット250で構成している。これにより、計量皿3に載置した長物野菜の端部をL字辺部の下側に配置係合して計量時の秤量物Mの載置姿勢を安定化させることができる。
【0052】
すなわち、秤量物Mが長物野菜である場合には、秤量物Mの計量皿3への載置姿勢は、
図7(a)及び
図7(b)に示すように、秤量物Mの前方を計量皿3の前開口からはみださせつつ、中途部を計量皿3の前方下端縁部に当接すると共に秤量物Mの後端端部を秤量物係合部25に当接係合し、2つの支点で計量皿3に係合した安定姿勢となる。
【0053】
なお、秤量物係合部25は、載置される秤量物Mの端部に係合できるものであれば特に限定されることはなく例えば先端先鋭状の突起で構成して秤量物M端部に刺入係合するものであってもよい。
【0054】
また、支持壁体24は、背面下部で突設して駆動軸22を支持するブラケット240と、上部左右側でそれぞれ前後に貫通形成したアーム軸20L、20Rの軸受孔241L、241Rと、を有して構成している。
【0055】
換言すれば、計量部2は、
図4~
図6に示すように、駆動軸22と左右一対のアーム軸20L、20Rとその間のリンク機構23とをそれぞれ連設搭載した支持壁体24を計量機能のロードセル21上に一体的に載置立設して構成している。
【0056】
駆動軸22は、
図5及び
図6に示すように、ブラケット240を介して支持壁体24の背面下部中央に取り付けた駆動機構220の回転軸であって、支持壁体24の背面から突出して縦方向に回転駆動する。
【0057】
なお、駆動機構220は、制御部5により駆動軸22の回転方向や回転量を制御できるものであれば特に限定されることはなく、例えばサーボモータやロータリソレノイドを採用することができる。これらサーボモータやロータリソレノイドを駆動機構220に採用することで、部材コストを抑えつつも装置の耐久性が向上する。
【0058】
リンク機構23は、
図5及び
図6に示すように、下部の駆動軸22と上部の左右一対のアーム軸20L、20Rとの間を接続するように、5つのリンク230~234を4つのジョイント230a~233aで連結した略T字状の五節リンク機構であって、駆動軸22の回転駆動に伴って各ジョイント230a~233aを中心に各リンク230~234を折曲揺動自在に構成している。
【0059】
具体的には、リンク機構23は、
図5及び
図6に示すように、駆動機構220の駆動軸22に基端部を接続固定して回動する駆動リンク230と、駆動リンク先端部に基端部で第1ジョイント230aを介して枢着する下側リンク231と、下側リンク先端部に基端部で第2ジョイント231aを介して枢着し、左右側方のうちいずれか一方に先端部を向けて略L字状に屈曲する一方L字リンク232と、一方L字リンク232のL字角部に基端部を第3ジョイント232aを介して枢着する上側リンク233と、上側リンク先端部に基端部で第4ジョイント233aを介して枢着し、左右側方のうちいずれか他方に先端部を向けて略L字状に屈曲する他方L字リンク234と、で構成している。
【0060】
左右一対のL字リンク232、234の先端部は、それぞれが対応する左右一対のアーム軸20L、20Rの基端部20aL、20aRに接続固定しており、駆動軸22の回転を各アーム軸20L、20Rの相対回転に変換するように構成している。
【0061】
また、左右一対のアーム軸20L、20Rは、
図4~
図6に示すように支持壁体24の左右軸受孔241L、241Rを介して方形筐体10の内側から外側に外方突出しており、それぞれの外方突出部20bL、20bRで左右皿片30L、30Rを垂下支持して計量皿3を構成している。なお、外方突出部20bL、20bRの長さは、下方の搬送コンベア4の幅員と略同じにしている。
【0062】
左右皿片30L、30Rはそれぞれ、
図4~
図6に示すように、矩形状のプレート300R、300Lであって、長手上端縁部で各アーム軸20L、20Rの外方突出部20bL、20bRに、ボルト等を介して着脱自在に固定されている。
【0063】
左右皿片30L、30Lの幅員は、それぞれ幅員総和が各アーム軸20L、20R間の距離よりも長くなるように形成している。すなわち、各皿片30L、30Rは、アーム軸20L、20Rが相対回転した場合に、アーム軸20L、20Rから垂下した下端部31L、31R同士がアーム軸20L、20Rよりも下方位置且つアーム軸20L、20R間の略中央位置で対峙する幅員で形成している。
【0064】
左右皿片30L、30Rの下端部31L、31Rは、
図4~
図6に示すように、互いに対峙した際に係合する雌雄係合部310L、310Rに形成している。雌雄係合部310L、310Rは、左右皿片30L、30Rの下端縁を互いに位相をずらした凹凸波状に切り欠いて互いに交差して雌雄嵌合する凹凸部として形成している。
【0065】
かかる構成の計量皿3は、一対のアーム軸20L、20Rを中心に左右皿片30L、30Rの下端部31L、31R同士を近接回動変位させて対峙係合させた載置皿形態3Aにおいて、上部且つ前後側を開放した正面視V字状の前後細長皿となる。
【0066】
なお、左右皿片30L、30Rは、
図8(a)及び
図8(b)に示すように、それぞれの前後端縁で前後側壁321L、322L、321R、322Rを立設した左右対称形の断面視略コ字状片320L、320Rに形成して載置皿形態3Aの計量皿3を前後開口を閉塞した擂鉢器皿としたり、それぞれ中途部で所定角度で折曲した折曲片にして載置皿形態3Aの計量皿3を有底皿とするように構成してもよい。
【0067】
すなわち、計量皿3は、左右皿片30L、30Rを取り換えることにより計量所望とする秤量物の大きさや形状に応じて載置皿形態3Aを選択することができ、例えば、ネギやゴボウなどの長物野菜を計量する場合には
図7(a)及び
図7(b)に示すように前後細長皿とし、イチゴやミニトマトなどの粒状野菜を計量する場合には
図8(a)及び
図8(b)に示すように擂鉢器皿や有底皿とする。
【0068】
以上のように構成した計量皿3は、次のようにして載置皿形態3Aと排出形態3Bとに変化する。方形筐体10外部の計量皿3が載置皿形態3Aにある場合、
図6に示すように、方形筐体10内部のリンク機構23は略T字形態23Aにある。
【0069】
すなわち、方形筐体10内側において、リンク機構23は、駆動軸22を中心に先端部を12時方向に向けた駆動リンク230と、下側リンク231と、一方L字リンク232のL字短辺部と、上側リンク233と、をそれぞれ上下直線配置し、一方L字リンク232のL字長辺部と他方L字リンク234とをそれぞれ左右方向に伸延配置し、略T字形態23Aとしている。
【0070】
かかる略T字形態23Aのリンク機構23に相対して方形筐体10外側の計量皿3は、アーム軸20L、20Rを中心に左右皿片30L、30Rを傾斜姿勢にして下端部31L、31R同士を対峙係合した載置皿形態3Aとし、載置作業者による秤量物Mの載置受け入れを可能としている。
【0071】
一方で、方形筐体10外部の計量皿3が排出形態3Bにある場合には、
図5に示すように、方形筐体10内部のリンク機構23は略Y字形態23Bにある。
【0072】
すなわち、方形筐体10内側において、リンク機構23は、駆動軸22を中心に先端部を9時方向に向けた駆動リンク230と、駆動リンク230により左下方に引き寄せられた下側リンク231と一方L字リンク232のL字短辺部と上側リンク233とをそれぞれ左寄り傾斜直線状とし、一方L字リンク232のL字長辺部と他方L字リンク234とを左右側のアーム軸20L、20Rの間の略中央側で引き下げた下方傾斜状とし、略Y字形態23Bとしている。
【0073】
かかる略Y字形態23bのリンク機構23に相対して方形筐体10外側の計量皿3は、アーム軸20L、20Rを中心に左右皿片30L、30Rを略鉛直姿勢にして下端部31L、31R同士を離反させて下方開口3aを形成した載置皿形態3Aとし、最適組合せに該当する秤量物Mの搬送コンベア4への落下供給を可能としている。
【0074】
換言すれば、
図5及び
図6で示すように、リンク機構23が略T字形態23Aから略Y字形態23Bへの変位するに伴って、計量皿3は載置皿形態3Aから排出形態3Bへ変位する。
【0075】
すなわち、方形筐体10内のリンク機構23において、駆動軸22の回転に伴い駆動リンク230が揺動して12時指示姿勢から9時指示姿勢へと姿勢変位し、その先端部に連設した各リンク下側リンク231が下方へ引張られるように揺動して直線姿勢から下方傾斜姿勢へ変位し、下方傾斜姿勢となった両L字リンク232、234先端部が各アーム軸20L、20Rを下方相対回転させる。
【0076】
すなわち、駆動軸22の回転力がリンク機構23によりアーム軸20L、20Rの下方相対回転力へと分割変換されて最終的に方形筐体10外で各アーム軸20L、20Rにそれぞれ連設した左右一対の左右皿片30L、30Rの離反揺動力となって伝達され、計量皿3が載置皿形態3Aから下方開口3aを形成した排出形態3Bとなって内部に収納した秤量物Mを搬送コンベア4へ落下排出する。
【0077】
なお、計量皿3を排出形態3Bから載置皿形態3Aに変位する場合は、上述してきた変位とは逆の動作、すなわちリンク機構23を略Y字形態23Bから略T字形態23Aへ変位させて行う。
【0078】
このように計量機本体1は、ロードセル21上に設けたリンク機構23により一つの駆動軸22の回転を左右一対のアーム軸20L、20Rの相対的且つ同調的回転へ変換可能にして計量皿3を確実に排出形態3Bと載置皿形態3Aとに形態変位可能としている。
【0079】
しかも、駆動源が1つの駆動機構220であるため、計量皿3の形態変位制御が行いやすく、また、部材重量を抑えて可及的軽量化しているためリンク機構23等の各部材をロードセル21上に一体的に連設しても荷重劣化が生起しにくい。
【0080】
<3.組合せ計量機の基本的計量処理フロー>
次に、本計量機Aにおける組合せ計量の基本的処理フローを説明する。
図9は計量機の組合せ計量の基本的計量処理フロー図である。このフローは計量処理に必要なメインルーチンであり、組合せ重量計算処理S1→最適組合せ計算処理S2の順番で進行する。
【0081】
まず、載置作業者により載置皿形態3Aの各計量皿3に秤量物Mが載置されると、これに対応する各計量部2により個々の秤量物Mの計量値を生成される。例えば使用する計量部が6つである場合には、それぞれに対応した6つの計量値が生成される。各計量部2は、秤量物Mの載置の有無にかかわらず常時、計量値を生成し続ける。
【0082】
(1)組合せ重量計算処理S1
次いで、計量機本体A1に内蔵された組合せ重量計算手段としての組合せ重量計算処理S1が制御部5により実行される。組合せ重量計算処理S1では、計量処理S1で生成した各計量値を取得して各計量値同士の組合せ計算を行い組合せ重量値を算出する。すなわち、組合せ重量計算処理S1では、各計量部2の計量値同士のコンビネーション演算を行い、組合せパターンに対応した個々の積算重量としての組合せ重量値を複数算出する。
【0083】
(2)最適組合せ計算処理S2
次いで、計量機本体A1に内蔵された最適組合せ計算手段としての最適組合せ計算処理S2が後述する制御部5により実行される。最適組合せ計算処理S2では、組合せ重量値が規定重量範囲内で最小値となる最適組合せ重量値であるかの判別を行い、最適組合せ重量値がある場合には複数の計量部2のうち最適組合せに対応する計量部2の選択する。
【0084】
すなわち、最適組合せ計算処理S2では、実際の組合せ重量値が規定重量範囲内にあるものと規定重量範囲外にあるものとの弁別判定を行い、規定重量範囲内にある場合には「規定重量範囲の下限値以上、且つ、規定重量範囲での最小値」である最適組合せ重量値を選別する。
【0085】
例えば、作業者が所望とする規定重量範囲を300g~350gに設定した状態において、最適組合せ計算処理S2では、組合せ重量計算処理S1により算出された秤量物同士の組合せ重量値が規定重量範囲内である320gと330gであった場合には、これらのうち最小値である320gが最適組合せ重量値となる。
【0086】
すなわち、入力部7を介して使用選択された計量部2のうち、すなわち少なくとも2以上の計量部2に秤量物が載置された状態で、組合せ重量値が規定重量範囲に収まる場合には最適組合せ重量を計算して最適組合せに対応する計量部2を選択する最適組合せデータを生成する。
【0087】
規定重量範囲内に組合せがある場合には、組合せ重量値≧規定重量値=最小重量値となる組合せを最適組合せとし、この最適組合せに応じた計量部2を選択すべき最適組合せデータを生成する。
【0088】
特に、規定重量範囲内に組合せが複数ある場合には、組合せ重量値≧規定重量値=最小重量となる1つの組合せのみを最適組合せ重量値とする。すなわち、組合せ重量が「規定重量範囲の下限値≦組合せ重量値=最小重量値≦規定重量範囲の上限値」である場合には、最適組合せデータが生成される。
【0089】
一方で、最適組合せ計算処理S2は、入力部7を介して使用選択された全ての計量部2に秤量物が載置された状態で、組合せ重量値が規定重量範囲から逸脱する場合には、最適組合せがないことを知らせるエラーデータを生成する。
【0090】
すなわち、組合せ重量が、「組合せ重量値<規定重量範囲の下限値(組合せ重量値が規定重量範囲の下限値未満)」の場合、あるいは「組合せ重量値>規定重量範囲の上限値(組合せ重量値が規定重量範囲の上限値超過)」の場合には、エラーデータが生成される。
【0091】
<4.計量機本体と搬送コンベアの同期作動フロー>
次に、組合せ計量機の計量機本体と搬送コンベアの同期駆動について説明する。
図10は計量機本体と搬送コンベアとの同期作動フロー図である。本計量機Aにおける計量機本体1と搬送コンベア4の稼働制御、前述の基本的計量処理フロー及び後述する各種計量処理は、制御部5を中心になされる。
【0092】
制御部5は、計量機本体1の方形筐体10の所定位置に内蔵され、計量機本体1においては計量部2の計量値生成のロードセル21及び駆動軸22としての駆動機構220、指示機構6の各表示指示部60及び音響指示部61、入力部7、搬送コンベア4においては搬送ローラ43や位置センサ44に電気的に接続している。
【0093】
制御部5は、CPU(中央演算装置)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリで構成しており、ROMには、CPUにより処理される組合せ重量計算処理S1、最適組合せ計算処理S2を始め各種の動作モードや計量機本体1と搬送コンベア4の同期作動を実行するプログラムが格納されており、RAMはCPUによるプログラムの実行に際して一時的な記憶領域として機能する。
【0094】
かかる制御部5に対して、入力部7を介して規定重量範囲を設定したり搬送コンベア4の搬送ピッチを設定する。
【0095】
計量機本体1の各計量皿3に載置された秤量物Mの重量は、計量部2のロードセル21により生成された計量値データとして計量部2から制御部5へ送信される。また、搬送コンベア4は位置センサ44により検出した集積搬送部42の位置データを制御部5へ送信する。
【0096】
計量値データを受信した制御部5は、基本的計量処理フローである組合せ重量計算処理S1、最適組合せ計算処理S2を実行して個々の計量皿3(計量部2)の最適組合せデータ又はエラーデータを計量機本体1の指示機構6に送信する。各種データを受信した指示機構6は、そのデータの種類に応じて点灯や発音して載置作業者に組み合わせ結果を報知する。
【0097】
すなわち、最適組合せデータを受信した指示機構6は、組合せ対応する各計量皿3を作業者に知らせる組合せ報知稼働する。具体的には、最適組合せデータを受信した複数の指示機構6のうち、最適組合せに該当する秤量物Mを載置した計量皿3に対応する指示機構6の表示指示部60のみが点灯稼働して最適組合せの報知を行う。
【0098】
一方で、エラーデータを受信した指示機構6は、組合せがないことを作業者に知らせるエラー報知稼働する。このエラー報知は、音響指示部61により「組合せがありません」とする音声によるもの、或いは複数の表示指示部60が全て一斉に点灯又は点滅するものであってもよい。
【0099】
また、制御部5は、最適組合せに該当する秤量物Mを載置した計量皿3に対応する計量部2の駆動機構220に集積搬送部42の通過タイミングで稼働を促す回動指令データを送信する。回動指令データを受信した駆動機構220は、駆動軸22を回転駆動させてリンク機構23を略T字形態から略Y字形態に揺動変位させ、最適組合せに該当する各計量皿3を下方に集積搬送部42が位置したタイミングで載置皿形態3Aから排出形態3Bへ変位させる。
【0100】
すなわち、常時搬送駆動する搬送コンベア4の集積搬送部42の移動タイミングにあわせ、制御部5により最適組合せに該当する秤量物Mを載置した計量皿3のみを排出形態3Bとし、効果的に同一の集積搬送部42へ最適組み合わせとなる秤量物Mを落下集積する「最適組合せの秤量物同士のピックアップ工程」を実行する。なお、排出形態3Bの計量皿3は、新たな秤量物Mを載置するべく秤量物Mを排出した後すぐに載置皿形態3Aに変位する。
【0101】
なお、搬送コンベア4は、終点で包装部に排出される秤量物が各回の包装完了を待たずに排出されることを防ぐための待機手段を備えていてもよい。待機手段は、計量機本体1と搬送コンベア4とが連動動作し、搬送コンベア4の集積搬送部42の移動量を各計量部2の位置に順次対応するように停止と作動とを交互に繰り返す間欠動作をするように予めプログラムされた制御部5によるものであってもよい。換言すれば、計量機Aは、搬送コンベア位置に応じて調速及び/又は一時停止時間を調整する同期手段を備えている。
【0102】
<5.低速計量モードと高速計量モード>
次に、組合せ計量機Aの稼働条件として、低速計量モードと高速計量モードの説明をする。
図11及び
図12はそれぞれ低速計量モード及び高速計量モードの作動フロー図である。組合せ計量機Aは、同期連動する計量機本体1と搬送コンベア4との稼働条件において、低速計量モードと高速計量モードの2種類のモードを入力部7を介して作業者の任意で選択可能に構成している。
【0103】
(a)低速計量モード
低速計量モードは、計量皿3への秤量物Mの載置作業や搬送コンベア4終端に順次搬送される最適組合せの秤量物M同士のパッケージングに不慣れな作業者にとって有効なモードである。
【0104】
低速計量モードは、使用する全ての載置皿形態3Aの計量皿3(計量部2)に秤量物Mが載置された場合に、搬送移動する搬送コンベア4の集積搬送部42の移動位置に応じて、リンク機構23により最適組合せに該当する計量皿3が搬送上流側から搬送下流側へかけて順次排出形態3Bとなり、最適組合せの秤量物Mを搬送コンベア4により最下流側に集積搬送し、排出形態3Bの計量皿3の全てが載置皿形態3Aになった後で組合せ計量をリセットして新たな組合せ計量搬送を行うモードである。
【0105】
具体的には、上述した基本的計量処理フローとして組合せ重量計算処理S1と最適組合せ計算処理S2を経て最適組合せデータが生成されると、このデータを受信した計量皿3が排出形態3Bとなって搬送コンベア4の集積搬送部42に順次秤量物Mを落下排出させると共に、計量部2で絶えず生成される計量値が変動して計量処理がリセットされる。
【0106】
また、最適組合せがないエラーデータが生成されると指示機構6によりエラー報知がなされ、これに応じて作業者が一度載置した秤量物Mを増減した場合にも同様に計量部2で絶えず生成される計量値が変動して計量処理がリセットされる。
【0107】
すなわち、全ての計量皿3に秤量物Mを載置 → 組合せ重量計算処理S1及び最適組合せ計算処理S2により最適組合せの有無の判定 → 秤量物の排出や増減により計量値変動 → 計量リセットの手順で進行する、秤量物の株分け等に不慣れな載置作業者による一回一回の載置作業ペースに合わせたモードであると言える。
【0108】
(b)高速計量モード
高速計量モードは、熟練の載置作業者や袋詰作業者にとって有効であり、単位時間あたりの組合せ計量作業スピードを大幅に早めたモードである。
【0109】
高速計量モードは、基本的な動作を低速計量モードと同じくするが、最適組合せに該当して排出形態3Bとなった計量皿3があっても、残りの載置皿形態3Aの計量皿3同士の最適組合せを自動計算して最適組合せがあった場合に最適組合せの排出搬送を行う連続計量計算モードである。
【0110】
具体的には、上述した基本的計量処理フローとして組合せ重量計算処理S1と最適組合せ計算処理S2を経て最適組合せデータが生成されると、このデータを受信した計量皿3が排出形態3Bとなって搬送コンベア4の集積搬送部42に順次秤量物Mを落下排出させる。かかる排出形態3Bとなった一部の計量皿3は元の載置皿形態3Aへ変位復帰するが、これとは別に残りの載置皿形態3Aの計量皿3同士で順次基本的計量処理が行われる。
【0111】
すなわち、使用する全ての計量皿3が載置皿形態3Aになっていなくとも、その時点で載置皿形態3Aとなっている計量皿3同士で絶えず組み合わせ計量処理を行って搬送コンベア4へ統合落下させるものである。
【0112】
この高速計量モードは、排出形態3Bから載置皿形態3Aに戻って空状態となった計量皿3へ秤量物Mを載置補充する同時に、既に秤量物Mを載置した他の載置皿形態3Aの計量皿3との間で新たな組合せ計量の計算を行うため、作業効率が飛躍的に向上するモードであると言える。
【0113】
<6.偏置誤差補正手段>
次に、計量機本体1の偏置誤差補正手段について説明する。
図13は偏置誤差補正手段の処理フロー図である。計量機本体1は、載置皿形態3Aの計量皿3に秤量物Mが載置された際に正味の重量値より少ない値として計量部2により生成された偏置誤差計量値に、秤量物Mの種類に応じて予め設定した偏置補正値を加算させる偏置誤差補正手段S3を有する。
【0114】
計量機本体1は、上述のように計量皿3を方形筐体10内部の計量部2から一側壁10a側に突出して上方片持ち支持した構成としているため、秤量物Mの重量を検知するロードセル21と秤量物Mが載置される計量皿3との距離が長くなると共に計量皿3への秤量物Mの載置場所や秤量物Mの形状や大きさによって偏置誤差が生じ得る。
【0115】
例えば、載置皿形態3Aの計量皿3の前方側寄りに秤量物Mを集中して載置した場合には、アーム軸20L、20Rの先端部に秤量物Mの偏寄荷重が負荷されるためその基端側底部に位置するロードセル21に正味の秤量物Mの荷重が付加されない虞がある。
【0116】
計量機本体1における偏置誤差は、秤量物Mの種類に応じて固有の偏置誤差値を有する。すなわち、偏置誤差を含んだ計量部2による計量値は、ニラやネギやゴボウなどの長物野菜であれば約12g~8g程度、ニンジンなどの短物野菜であれば約7g~3g程度の偏置誤差値を正味の重量値から減算した偏置誤差計量値として生成される傾向にある。
【0117】
すなわち、本手段は、秤量物Mの種類の傾向により得られた偏置誤差値を偏置補正値として入力部7を介して制御部5に予め設定し、同偏置補正値を計量部2により生成した偏置誤差計量値に加算させて偏置誤差補正処理S3を実行して行うものである。
【0118】
これにより、偏置誤差として計量部2により生成された偏置誤差値を個々の計量皿3に載置された正味の秤量物Mの重量に近似となる計量値に補正し、組合せ重量計算処理S1や最適組合せ計算処理S2に供することができる。
【0119】
なお、秤量物Mの種類に応じた偏置補正値をプリセット設定として制御部5に記憶させておけば、組合せ計量対象ごとの秤量物Mに合わせて適宜呼び出し設定することができる。また、本処理S3は、基本的計量処理フロー前、特に最適組合せ計算処理S2の前に行うことが好ましい。
【0120】
<7.その他、計量処理手段>
次に、組合せ計量機Aのその他の計量処理手段について説明する。組合せ計量機Aは、組合せ計量の精度や作業性を向上する以下(1)~(3)の各種手段を備えている。以下の各種手段は、作業者の任意で入力部7を介して選択設定する。
【0121】
(1)準最適組合せ手段
本手段は、作業者が準最適値の使用設定をした場合に、最適組合せ計算処理のエラーデータを受信した制御部5が準最適組合せ処理を実行して実現するものである。
【0122】
準最適値とは、規定重量範囲の上限値よりも大きい値であって、作業者等の経済的サービスと思える最高限度の秤量物M同士の組合せ重量値を意図している。換言すれば、準最適値範囲は、規定重量範囲の上限値よりも大きい値であって且つ準最適値以下の値の範囲である。この準最適値の設定をすることにより、規定重量範囲を逸脱した場合であっても即座にエラー報知がなされずに、作業者に準最適値に該当する秤量物Mのピックアップ選択の余地を与える。
【0123】
準最適組合せ処理では、秤量物M同士の組合せ重量値が、規定重量範囲の上限値より逸脱する場合において、準最適値以下の値である場合には、準最適組合せに対応する各計量部の選択を行う準最適組合せデータを生成する。準最適値が複数存在する場合には、準最適値範囲のうち最小重量値を準最適値とする。すなわち、組合せ重量値が「規定重量範囲の上限値<組合せ重量値=最小重量値≦準最適値」の場合には、準最適組合せデータが生成される。
【0124】
一方で、秤量物M同士の組合せ重量値が、準最適値より大きい値の場合には、準最適組合せがないことを知らせるエラーデータを生成する。すなわち、組合せ重量が、「組合せ重量値>準最適値(組合せ重量値が準最適値超過)」の場合には、エラーデータが生成される。
【0125】
準最適組合せ処理により生成された準最適組合せデータやエラーデータの各種データは指示機構6へ送信され、指示機構6は各データの種類に応じて報知稼働する。
【0126】
すなわち、準最適組合せデータを受信した指示機構6は、組合せ対応する各計量皿3を作業者に知らせる準最適組合せ報知稼働する。一方で、準最適組合せ処理からのエラーデータを受信した指示機構6は、最適組合せがないことを作業者に知らせるエラー報知稼働する。これにより、作業者に、準最適組合せに該当する秤量物Mのピックアップの選択の余地を与えることができ、作業効率を向上させることができる。
【0127】
(2)計量値選別手段
次に、本計量機Aの計量値選別手段について説明する。すなわち、本手段は、外部要因により不用意に生成されたノイズ計量値を組合せ重量計算処理S1に参加させない手段である。すなわち、入力部7により秤量物Mの重量値としないノイズ計量値を制御部5に設定して実行される計量値選別処理が、計量値選別手段として機能する。
【0128】
計量値選別処理では、計量部2により生成された計量値が「計量値≦ノイズ計量値(計量値がノイズ計量値以下)」である場合には同計量値を組合せ重量計算処理S1に参加させないノイズ処理し、「計量値>ノイズ計量値(計量値がノイズ計量値超過)」である場合には同計量値を組合せ重量計算処理S1に参加させる参加処理をする。
【0129】
すなわち、計量値選別処理は、秤量物Mを載置していない計量皿3のノイズ計量値を組合せ重量計算処理S1に参加させないために、ノイズ計量値以下の計量値についてはノイズ処理を実行し、それより上の計量値については組合せ重量計算処理S1に参加させる参加処理を実行する。なお、ノイズ計量値は外部環境により4g~7gとなることが多く、作業者は入力部7によりこの4g~7gをノイズ計量値として制御部5へ入力設定して計量値選別処理を実行する。
【0130】
すなわち、複数の計量部2のうち、ノイズ計量値以下の計量値を生成した計量部2はその後の組合せ重量計算処理S1の組合せ計量計算に不参加となり、ノイズ計量値より大きい値の計量値を生成した計量部2のみが組合せ重量計算処理S1の組合せ計量計算に参加できる。これにより、計量機本体1が計量皿3に秤量物が不載置であるに関わらずあたかも秤量物が載置されていると誤認識することを防止して、組合せ計量の正確性を向上させることができる。
【0131】
(3)オートキャリブレーション手段
次に、本計量機Aのオートキャリブレーション手段について説明する。本手段は、繰り返し計量に伴って計量皿3に不用意に付着蓄積した土などの秤量物以外の異物の重量値を組合せ重量計算処理S1に加算させないように0gに自動補正し、秤量物Mの正味の計量値で組合せ重量計算処理S1を実行するための手段である。
【0132】
オートキャリブレーション処理では、複数の計量部2により生成された各計量値のうち、キャリブレーション補正値以下の値と一致する計量値が連続的に所定回数検出された場合には、同検出結果に対応する計量皿3の計量値を0gに補正するゼロ処理を実行する。
【0133】
すなわち、オートキャリブレーション手段として、入力部7により秤量物以外の重量を秤量物の重量に加算させないキャリブレーション補正値の設定をされた制御部5によりオートキャリブレーション処理を実行する。
【0134】
なお、オートキャリブレーション処理は、計量値がキャリブレーション補正値以下となる値且つ、同計量値が連続的に設定された規定検出回数以上検出された場合にのみ、ゼロ処理を実行する。例えば、キャリブレーション補正値2gとし、且つ検出回数3回と設定した場合には、オートキャリブレーション処理は、計量部2による計量値として1gを3回連続して検出した場合にのみ、同計量部2の計量値を1gから0gに補正するゼロ処理を実行する。これにより、蓄積異物の重量を計量値として組合せ重量計算処理S1に加算させず、秤量物Mの正味の計量値にて最適組合せ計量を行うことができ、規定の量目に合致した袋詰め商品を製造できる。
【0135】
なお、オートキャリブレーション処理は、前述の計量値選別処理の後で実行されることが好ましい。また、オートキャリブレーション処理は、指示機構6の報知のリセットに同期して実行することとしてもよい。
【0136】
以上説明してきたように、本発明によれば、広い設置スペースを要することなく持ち運び可能で簡単に設置することができ、簡素な構成でコストを可及的低減化することができ、作業効率を飛躍的に向上させることができ、大きさ、形状、重量など多種バリエーションの秤量物に対応して汎用性を高め、連続して組合せ計量を行うことができるセミオート式の組合せ計量機を実現し、もって社会に資することが出来る。
【符号の説明】
【0137】
A 組合せ計量機
1 計量機本体
10 方形筐体
2 計量部
3 計量皿
4 搬送コンベア