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特開2023-59168抗菌性または抗ウイルス性塗料組成物、抗菌性または抗ウイルス性塗膜の形成方法、抗菌性または抗ウイルス性塗膜、積層体および物品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023059168
(43)【公開日】2023-04-26
(54)【発明の名称】抗菌性または抗ウイルス性塗料組成物、抗菌性または抗ウイルス性塗膜の形成方法、抗菌性または抗ウイルス性塗膜、積層体および物品
(51)【国際特許分類】
   C09D 201/00 20060101AFI20230419BHJP
   C09D 7/61 20180101ALI20230419BHJP
   C09D 7/63 20180101ALI20230419BHJP
   B32B 33/00 20060101ALI20230419BHJP
   C23C 26/00 20060101ALN20230419BHJP
【FI】
C09D201/00
C09D7/61
C09D7/63
B32B33/00
C23C26/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021169135
(22)【出願日】2021-10-14
(71)【出願人】
【識別番号】593135125
【氏名又は名称】日本ペイント・オートモーティブコーティングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100179866
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 正樹
(72)【発明者】
【氏名】岸田 英樹
(72)【発明者】
【氏名】藤田 健
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 慶一
【テーマコード(参考)】
4F100
4J038
4K044
【Fターム(参考)】
4F100AA01
4F100AA01B
4F100AB24
4F100AB24A
4F100AK01
4F100AK01A
4F100AK01B
4F100AK25
4F100AK25A
4F100AT00B
4F100BA02
4F100BA07
4F100CA13
4F100CA13A
4F100EH46
4F100EH61
4F100GB33
4F100JC00
4F100JC00A
4F100JM01
4F100JM01A
4J038CG141
4J038DG001
4J038HA166
4J038HA446
4J038JA19
4J038JB18
4J038JB28
4J038JC38
4J038KA03
4J038KA08
4J038KA20
4J038MA07
4J038MA10
4J038PA07
4J038PB06
4J038PC08
4K044AA01
4K044AB02
4K044BA21
4K044BB01
4K044BC02
4K044CA53
(57)【要約】
【課題】良好な抗ウイルス性、塗膜外観および耐ラビング性を有し、かつ、プラスチック製の基材の経時的な劣化を抑制することができる塗膜を形成可能な抗菌性または抗ウイルス性塗料組成物を提供すること。
【解決手段】チタンを含む光触媒と、ヒドロキシル基、カルボキシル基、リン酸基、アミノ基、スルホン酸基、カルボジイミド基、エポキシ基およびイソシアネート基からなる群より選択される1種以上の官能基を有する有機系バインダーと、無機系バインダーと、イオン性銀化合物と、を含み、イオン性銀化合物の質量に対する、光触媒の質量の比が、1~100の範囲であり、有機系バインダーの質量に対する、光触媒、無機系バインダーおよびイオン性銀化合物の合計質量の比が、0.1~10の範囲であり、無機系バインダーの質量に対する、光触媒の質量の比が、0.1~10の範囲である、抗菌性または抗ウイルス性塗料組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チタンを含む光触媒と、
ヒドロキシル基、カルボキシル基、リン酸基、アミノ基、スルホン酸基、カルボジイミド基、エポキシ基およびイソシアネート基からなる群より選択される1種以上の官能基を有する有機系バインダーと、
無機系バインダーと、
イオン性銀化合物と、
を含み、
前記イオン性銀化合物の質量に対する、前記光触媒の質量の比が、1~100の範囲であり、
前記有機系バインダーの質量に対する、前記光触媒、前記無機系バインダーおよび前記イオン性銀化合物の合計質量の比が、0.1~10の範囲であり、
前記無機系バインダーの質量に対する、前記光触媒の質量の比が、0.1~10の範囲である、抗菌性または抗ウイルス性塗料組成物。
【請求項2】
前記イオン性銀化合物が、銀錯体、銀塩および酸化銀からなる群より選択される1種以上である、請求項1に記載の抗菌性または抗ウイルス性塗料組成物
【請求項3】
前記無機系バインダーが、コロイダルシリカである、請求項1または2に記載の抗菌性または抗ウイルス性塗料組成物。
【請求項4】
前記有機系バインダーが、硬化剤を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の抗菌性または抗ウイルス性塗料組成物。
【請求項5】
前記官能基が、カルボキシル基であり、
前記硬化剤が、カルボジイミド樹脂である、請求項4に記載の抗菌性または抗ウイルス性塗料組成物。
【請求項6】
ヒンダードアミン系光安定剤をさらに含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の抗菌性または抗ウイルス性塗料組成物。
【請求項7】
前記ヒンダードアミン系光安定剤が、N-CH タイプ ヒンダードアミンである、請求項6に記載の抗菌性または抗ウイルス性塗料組成物。
【請求項8】
エチルアルコールおよびイソプロピルアルコールからなる群より選択される1種以上のアルコールをさらに含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の抗菌性または抗ウイルス性塗料組成物。
【請求項9】
抗菌性または抗ウイルス性塗膜の形成方法であって、
請求項1~8のいずれか一項に記載の抗菌性または抗ウイルス性塗料組成物を準備する工程(A)と、
少なくとも表面がプラスチック製である基材を準備する工程(B)と、
前記基材に下地層を設ける工程(C)と、
前記下地層を設けた前記基材に、前記抗菌性または抗ウイルス性塗料組成物を塗装する工程(D)と、
を含む、抗菌性または抗ウイルス性塗膜の形成方法。
【請求項10】
前記下地層が、チタンを含む光触媒を含まない、請求項10に記載の抗菌性または抗ウイルス性塗膜の形成方法。
【請求項11】
請求項1~8のいずれか一項に記載の抗菌性または抗ウイルス性塗料組成物を用いた、抗菌性または抗ウイルス性塗膜。
【請求項12】
順に、
少なくとも表面がプラスチック製の基材と、
請求項11に記載の抗菌性または抗ウイルス性塗膜と、
を有する、積層体。
【請求項13】
順に、
少なくとも表面がプラスチック製である被塗物と、
請求項11に記載の抗菌性または抗ウイルス性塗膜と、
を有する、物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗菌性または抗ウイルス性塗料組成物、抗菌性または抗ウイルス性塗膜の形成方法、抗菌性または抗ウイルス性塗膜、積層体および物品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基材に対して抗菌性または抗ウイルス性を付与する手段が知られている。例えば、エタノールなどのアルコールを基材に塗布または噴霧することで抗菌性または抗ウイルス性を付与することができるが、アルコールはすぐに揮発するため、効果が持続しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-264747号公報
【特許文献2】特開2020-125259号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、光触媒コーティング液を開示しているが、このコーティング液を用いた塗膜では、塗膜外観不良および耐ラビング性不良という欠点があった。
【0005】
また、特許文献2では、抗ウイルス用組成物を開示しているが、この組成物を用いた塗膜では、光触媒に比べて抗ウイルス性が弱く、また耐ラビング性不良となる欠点があった。
【0006】
本明細書では、耐ラビング性は、基材上の塗膜を指または布でこすった場合であっても、有効成分が塗膜から失われずに塗膜中に残存することを意味する。
【0007】
これに対して、本発明者らは、特願2021-106062号において対イオン安定性が良好であり、抗菌性または抗ウイルス性を有し、塗膜外観および耐ラビング性が良好な塗膜を形成可能な抗菌性または抗ウイルス性塗料組成物を提案した。
【0008】
本発明者らがさらに検討したところ、特願2021-106062号の抗菌性または抗ウイルス性塗料組成物では、形成した塗膜の抗菌性または抗ウイルス性および耐ラビング性に優れるが、プラスチック製の基材を経時的に劣化させてしまう場合があることがわかった。
【0009】
そこで、本発明は、良好な抗ウイルス性、塗膜外観および耐ラビング性を有し、かつ、プラスチック製の基材の経時的な劣化を抑制することができる塗膜を形成可能な抗菌性または抗ウイルス性塗料組成物を提供することを目的とする。
【0010】
また、本発明の別の目的は、良好な抗ウイルス性、塗膜外観および耐ラビング性を有し、かつ、プラスチック製の基材の経時的な劣化を抑制することができる抗菌性または抗ウイルス性塗膜の形成方法を提供することである。
【0011】
また、本発明の別の目的は、良好な抗ウイルス性、塗膜外観および耐ラビング性を有し、かつ、プラスチック製の基材の経時的な劣化を抑制することができる抗菌性または抗ウイルス性塗膜を提供することである。
【0012】
また、本発明の別の目的は、良好な抗ウイルス性、外観および耐ラビング性を有し、プラスチック製の基材の経時的な劣化を抑制することができる積層体を提供することである。
【0013】
また、本発明の別の目的は、良好な抗ウイルス性、外観および耐ラビング性を有し、プラスチック製の基材の経時的な劣化を抑制することができる物品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係る抗菌性または抗ウイルス性塗料組成物は、チタンを含む光触媒と、
ヒドロキシル基、カルボキシル基、リン酸基、アミノ基、スルホン酸基、カルボジイミド基、エポキシ基およびイソシアネート基からなる群より選択される1種以上の官能基を有する有機系バインダーと、
無機系バインダーと、
イオン性銀化合物と、
を含み、
前記イオン性銀化合物の質量に対する、前記光触媒の質量の比が、1~100の範囲であり、
前記有機系バインダーの質量に対する、前記光触媒、前記無機系バインダーおよび前記イオン性銀化合物の合計質量の比が、0.1~10の範囲であり、
前記無機系バインダーの質量に対する、前記光触媒の質量の比が、0.1~10の範囲である、抗菌性または抗ウイルス性塗料組成物である。これによって、良好な抗ウイルス性、塗膜外観および耐ラビング性を有し、かつ、プラスチック製の基材の経時的な劣化を抑制することができる塗膜を形成可能である。
【0015】
本発明に係る抗菌性または抗ウイルス性塗料組成物の一実施形態では、前記イオン性銀化合物が、銀錯体、銀塩および酸化銀からなる群より選択される1種以上である。
【0016】
本発明に係る抗菌性または抗ウイルス性塗料組成物の一実施形態では、前記無機系バインダーが、コロイダルシリカである。
【0017】
本発明に係る抗菌性または抗ウイルス性塗料組成物の一実施形態では、前記有機系バインダーが、硬化剤を含む。
【0018】
本発明に係る抗菌性または抗ウイルス性塗料組成物の一実施形態では、前記官能基が、カルボキシル基であり、前記硬化剤が、カルボジイミド樹脂である。
【0019】
本発明に係る抗菌性または抗ウイルス性塗料組成物の一実施形態では、ヒンダードアミン系光安定剤をさらに含む。
【0020】
本発明に係る抗菌性または抗ウイルス性塗料組成物の一実施形態では、前記ヒンダードアミン系光安定剤が、N-CH タイプ ヒンダードアミンである。
【0021】
本発明に係る抗菌性または抗ウイルス性塗料組成物の一実施形態では、エチルアルコールおよびイソプロピルアルコールからなる群より選択される1種以上のアルコールをさらに含む。
【0022】
本発明に係る抗菌性または抗ウイルス性塗膜の形成方法は、上記いずれかに記載の抗菌性または抗ウイルス性塗料組成物を準備する工程(A)と、
少なくとも表面がプラスチック製である基材を準備する工程(B)と、
前記基材に下地層を設ける工程(C)と、
前記下地層を設けた前記基材に、前記抗菌性または抗ウイルス性塗料組成物を塗装する工程(D)と、
を含む、抗菌性または抗ウイルス性塗膜の形成方法である。これによって、良好な抗ウイルス性、塗膜外観および耐ラビング性を有し、かつ、プラスチック製の基材の経時的な劣化を抑制することができる塗膜を形成可能である。
【0023】
本発明に係る抗菌性または抗ウイルス性塗膜の形成方法の一実施形態では、前記下地層が、チタンを含む光触媒を含まない。
【0024】
本発明に係る抗菌性または抗ウイルス性塗膜は、上記いずれかに記載の抗菌性または抗ウイルス性塗料組成物を用いた、抗菌性または抗ウイルス性塗膜である。これによって、良好な抗ウイルス性、塗膜外観および耐ラビング性を有し、かつ、プラスチック製の基材の経時的な劣化を抑制することができる。
【0025】
本発明に係る積層体は、順に、
少なくとも表面がプラスチック製の基材と、
上記抗菌性または抗ウイルス性塗膜と、
を有する積層体である。これによって、積層体は良好な抗ウイルス性、外観および耐ラビング性を有し、プラスチック製の基材の経時的な劣化を抑制することができる。
【0026】
本発明に係る物品は、順に、
少なくとも表面がプラスチック製である被塗物と、
上記抗菌性または抗ウイルス性塗膜と、
を有する物品である。これによって、物品は良好な抗ウイルス性、外観および耐ラビング性を有し、プラスチック製の基材の経時的な劣化を抑制することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、良好な抗ウイルス性、塗膜外観および耐ラビング性を有し、かつ、プラスチック製の基材の経時的な劣化を抑制することができる塗膜を形成可能な抗菌性または抗ウイルス性塗料組成物を提供することができる。また、本発明によれば、良好な抗ウイルス性、塗膜外観および耐ラビング性を有し、かつ、プラスチック製の基材の経時的な劣化を抑制することができる抗菌性または抗ウイルス性塗膜の形成方法を提供することができる。また、本発明によれば、良好な抗ウイルス性、塗膜外観および耐ラビング性を有し、かつ、プラスチック製の基材の経時的な劣化を抑制することができる抗菌性または抗ウイルス性塗膜を提供することができる。また、本発明によれば、良好な抗ウイルス性、外観および耐ラビング性を有し、プラスチック製の基材の経時的な劣化を抑制することができる積層体を提供することができる。また、本発明によれば、良好な抗ウイルス性、外観および耐ラビング性を有し、プラスチック製の基材の経時的な劣化を抑制することができる物品を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態について説明する。これらの記載は、本発明の例示を目的とするものであり、本発明を何ら限定するものではない。
【0029】
本発明において、2以上の実施形態を任意に組み合わせることができる。
【0030】
本発明において、用語「固形分」は、固形分、不揮発分および有効成分を包括する概念である。
【0031】
本明細書において、数値範囲は、別段の記載がない限り、その範囲の上限値および下限値を含むことを意図している。例えば、1~100は、1以上100以下の範囲を意味する。
【0032】
本明細書では、チタンを含む光触媒、ヒドロキシル基、カルボキシル基、リン酸基、アミノ基およびスルホン酸基からなる群より選択される1種以上の官能基を有する有機系バインダー、無機系バインダーおよびイオン性銀化合物を、それぞれ、単に「A成分」、「B成分」、「C成分」および「D成分」ということがある。
【0033】
本明細書では、本発明の抗菌性または抗ウイルス性塗料組成物、および抗菌性または抗ウイルス性塗膜をそれぞれ、単に「塗料組成物I」および「塗膜I」ということがある。
【0034】
(抗菌性または抗ウイルス性塗料組成物)
本発明に係る抗菌性または抗ウイルス性塗料組成物は、チタンを含む光触媒と、
ヒドロキシル基、カルボキシル基、リン酸基、アミノ基、スルホン酸基、カルボジイミド基、エポキシ基およびイソシアネート基からなる群より選択される1種以上の官能基を有する有機系バインダーと、
無機系バインダーと、
イオン性銀化合物と、
を含み、
前記イオン性銀化合物の質量に対する、前記光触媒の質量の比が、1~100の範囲であり、
前記有機系バインダーの質量に対する、前記光触媒、前記無機系バインダーおよび前記イオン性銀化合物の合計質量の比が、0.1~10の範囲であり、
前記無機系バインダーの質量に対する、前記光触媒の質量の比が、0.1~10の範囲である、抗菌性または抗ウイルス性塗料組成物である。
【0035】
以下、塗料組成物Iの必須成分であるA、B、CおよびD成分を例示説明する。
【0036】
・A成分
A成分は、チタンを含む光触媒である。A成分は、塗膜Iに抗菌性または抗ウイルス性を付与する。
【0037】
A成分としては、チタンを含む公知の光触媒を用いることができる。A成分としては、例えば、光触媒型酸化チタンが挙げられる。また、特許文献1に記載の光触媒粒子を用いてもよい。
【0038】
A成分は、市販品を用いてもよい。A成分である光触媒型酸化チタンの市販品としては、例えば、石原産業社製の商品名「ST-01」、「ST-21」、「ST-31」、「ST-41」などの紫外線応答型光触媒;商品名「MPT-623」、「STS-427」などの可視光応答型光触媒などが挙げられる。
【0039】
本発明に係る抗菌性または抗ウイルス性塗料組成物の一実施形態では、前記光触媒が、銅をさらに含む。
【0040】
塗料組成物Iは、A成分とD成分を含めばよく、例えば、A成分とD成分を別個の成分として含んでいてもよいし、あるいは、例えば、A成分の光触媒の表面にD成分が担持された形態で、すなわち、A成分とD成分の複合体として、A成分とD成分を含んでいてもよい。
【0041】
A成分は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0042】
A成分の量は、後述するD成分の質量に対するA成分の質量の比の範囲と、後述するB成分の質量に対するA成分、C成分およびD成分の合計質量の比の範囲と、C成分の質量に対するA成分の質量の比の範囲を満たす限り、適宜調節すればよい。例えば、A成分の量は、塗料組成物Iの総質量に対し、固形分量で1~50質量%である。一実施形態では、A成分の量は、塗料組成物Iの総質量に対し、固形分量で1.0質量%以上、5.0質量%以上、10.0質量%以上、15.0質量%以上、20.0質量%以上、25.0質量%以上、30.0質量%以上、35.0質量%以上、40.0質量%以上または45.0質量%以上である。別の実施形態では、A成分の量は、塗料組成物Iの総質量に対し、固形分量で50.0質量%以下、45.0質量%以下、40.0質量%以下、35.0質量%以下、30.0質量%以下、25.0質量%以下、20.0質量%以下、15.0質量%以下、10.0質量%以下または5.0質量%以下である。
【0043】
・B成分
B成分は、ヒドロキシル基、カルボキシル基、リン酸基、アミノ基、スルホン酸基、カルボジイミド基(-N=C=N-)、エポキシ基およびイソシアネート基(-N=C=O)からなる群より選択される1種以上の官能基を有する有機系バインダーである。B成分は、塗料組成物Iの塗膜外観および塗膜Iの耐ラビング性を高める働きを有する。
【0044】
一実施形態では、有機系バインダーの有する官能基は、ヒドロキシル基、カルボキシル基、リン酸基、アミノ基、スルホン酸基マグネシウム、カルボジイミド基、エポキシ基およびイソシアネート基からなる群より選択される1種以上である。塗料組成物Iの別の実施形態では、有機系バインダーの有する官能基は、ヒドロキシル基、カルボキシル基、リン酸基、アミノ基、スルホン酸基マグネシウムおよびカルボジイミド基からなる群より選択される2種である。塗料組成物Iのさらに別の実施形態では、有機系バインダーの有する官能基は、ヒドロキシル基およびカルボキシル基である。
【0045】
B成分としては、例えば、キレート樹脂が挙げられる。B成分としては、例えば、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、リン酸樹脂、ポリビニルホルムアミド、硬化剤、アニオン系アクリルエマルション、マイクロゲルなどが挙げられる。
【0046】
B成分としては、市販品を用いてもよい。A成分であるアクリル樹脂の市販品としては、例えば、楠本化成社製の商品名「NeoCryl A-614」、「NeoCryl A-633」、「NeoCryl A-639」、「NeoCryl A-655」、「NeoCryl A-662」、「NeoCryl A-1091」、「NeoCryl A-1092」、「NeoCryl A-1093」、「NeoCryl A-1094」、「NeoCryl A-1105」、「NeoCryl A-1125」、「NeoCryl A-1127」、「NeoCryl A-2091」、「NeoCryl A-2092」、「NeoCryl A-6016」、「NeoCryl A-6057」、「NeoCryl A-6069」、「NeoCryl A-6092」、「NeoCryl XK-12」、「NeoCryl XK-16」、「NeoCryl XK-30」、「NeoCryl XK-36」、「NeoCryl XK-52」、「NeoCryl XK-190」、「NeoCryl XK-188」、「NeoCryl XK-240」などのNeoCrylシリーズが挙げられる。
【0047】
また、B成分であるポリウレタン樹脂の市販品としては、例えば、三洋化成工業社製の商品名「ユーコート D-338」などのユーコート(登録商標)シリーズ;DSM社製の商品名「NEOREZ(登録商標) R-4000」などが挙げられる。
【0048】
また、B成分であるポリアクリル酸の市販品としては、例えば、東亜合成社製の商品名「ジュリマー AC-10L」、「ジュリマー AC-10H」、「ジュリマー AC-10SH」、「ジュリマー EM-178」、「ジュリマー SH-8」などのジュリマー(登録商標)シリーズが挙げられる。
【0049】
また、B成分であるポリビニルアルコールの市販品としては、例えば、クラレ社製の商品名「クラレポバール 25-98R」などのクラレポバールシリーズが挙げられる。
【0050】
また、B成分であるリン酸樹脂の市販品としては、例えば、日本ペイント社製の商品名「ACS 1016」などが挙げられる。
【0051】
また、B成分であるポリビニルホルムアミドの市販品としては、例えば、ハイモ社製の商品名「ハイモ―ビス(登録商標) PS-800」などが挙げられる。
【0052】
B成分は上述したB成分に加えて、硬化剤、アクリル樹脂エマルションおよびマイクロゲルを含むことが好ましい。硬化剤、アクリル樹脂エマルションおよびマイクロゲルは、塗料組成物Iの造膜性を高めて耐ラビング性を向上する働きを有する。
【0053】
硬化剤としては、例えば、カルボジイミド樹脂、エポキシ、アミン、イソシアネートなどが挙げられる。常温で反応し安定性が優れている点でカルボジイミド樹脂が望ましい。
【0054】
カルボジイミド樹脂の市販品としては、例えば、日清紡ケミカル社製の商品名「V-02」、「V-02-L2」、「SV-02」、「V-04」、「V-10」、「SW-12G」、「E-02」、「E-05」などが挙げられる。
【0055】
カルボジイミド樹脂以外のB成分が有する官能基がカルボキシル基である場合、カルボジイミド樹脂はカルボキシル基に対して0.01~2当量が好ましく、0.05~1当量がより好ましい。0.01当量より多いと、バインダーのラビング性が高まり、2当量以下であると、未反応のカルボジイミド樹脂を抑制することができる。
【0056】
B成分以外の有機系バインダー、すなわち、ヒドロキシル基、カルボキシル基、リン酸基、アミノ基またはスルホン酸基を有しない有機系バインダーとしては、例えば、アニオン系アクリルエマルション、マイクロゲルなどが挙げられる。
【0057】
アニオン系アクリルエマルションの市販品としては、例えば、大成ファインケミカル社製の商品名「3MF-320」、「3MF-333」、「3MF-407」などが挙げられる。
【0058】
本発明に係る抗菌性または抗ウイルス性塗料組成物の一実施形態では、前記有機系バインダー(B成分)が、硬化剤を含む。
【0059】
本発明に係る抗菌性または抗ウイルス性塗料組成物の一実施形態では、前記官能基が、カルボキシル基であり、前記硬化剤が、カルボジイミド樹脂である。
【0060】
硬化剤、アニオン系アクリルエマルションまたはマイクロゲルの量は、例えば、A成分とC成分の合計質量に対し、10~10000質量%である。
【0061】
B成分は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0062】
B成分の量は、B成分の質量に対するA成分、C成分およびD成分の合計質量の比の範囲を満たす限り、適宜調節すればよい。例えば、B成分の量は、塗料組成物Iの総質量に対し、固形分量で1~50質量%である。一実施形態では、B成分の量は、塗料組成物Iの総質量に対し、固形分量で1.0質量%以上、5.0質量%以上、10.0質量%以上、15.0質量%以上、20.0質量%以上、25.0質量%以上、30.0質量%以上、35.0質量%以上、40.0質量%以上または45.0質量%以上である。別の実施形態では、B成分の量は、塗料組成物Iの総質量に対し、固形分量で50.0質量%以下、45.0質量%以下、40.0質量%以下、35.0質量%以下、30.0質量%以下、25.0質量%以下、20.0質量%以下、15.0質量%以下、10.0質量%以下または5.0質量%以下である。
【0063】
塗料組成物Iでは、B成分の質量に対するA成分、C成分およびD成分の合計質量の比((A+C+D)/B)は、0.1~10の範囲である。この比が0.1以上であることによって、良好な抗ウイルス性が得られる。また、比((A+C+D)/B)が10以下であることによって、良好な塗膜外観および耐ラビング性が得られる。一実施形態では、B成分の質量に対するA成分、C成分およびD成分の合計質量の比は、0.1以上、0.2以上、0.3以上、0.4以上、0.5以上、0.6以上、0.7以上、0.8以上、0.9以上、1.0以上、1.5以上、2.0以上、2.5以上、3.0以上、3.5以上、4.0以上、4.5以上、5.0以上、6.0以上、7.0以上、8.0以上または9.0以上である。別の実施形態では、B成分の質量に対するA成分、C成分およびD成分の合計質量の比は、10.0以下、9.0以下、8.0以下、7.0以下、6.0以下、5.0以下、4.5以下、4.0以下、3.5以下、3.0以下、2.5以下、2.0以下、1.5以下、1.0以下、0.9以下、0.8以下、0.7以下、0.6以下、0.5以下、0.4以下、0.3以下または0.2以下である。
【0064】
・C成分
C成分は、無機系バインダーである。C成分は、塗膜Iの外観と耐ラビング性を高める働きを有する。
【0065】
C成分としては、例えば、シリカ、アルミナ、ジルコニア、セリア、イットリア、ボロニア、マグネシア、カルシア、フェライト、無定型チタニア、ハフニア、チタン酸バリウム、層状ケイ酸塩鉱物(例えば、ケイ酸アルミニウムマグネシウム)などが挙げられる。
【0066】
本発明に係る抗菌性または抗ウイルス性塗料組成物の一実施形態では、前記無機系バインダーが、コロイダルシリカである。
【0067】
シリカとしては、コロイダルシリカが好ましい。
【0068】
C成分は、市販品を用いてもよい。C成分であるコロイダルシリカの市販品としては、例えば、日産化学社製の商品名「スノーテックス ST-OXS」、「スノーテックス ST-OS」、「スノーテックス ST-O」、「スノーテックス ST-O-40」、「スノーテックス ST-OL」、「スノーテックス ST-OYL」、「スノーテックス ST-OUP」、「スノーテックス ST-PS-SO」、「スノーテックス ST-PS-MO」などのスノーテックス(登録商標)シリーズが挙げられる。
【0069】
C成分である層状ケイ酸塩鉱物の市販品としては、例えば、クニミネ工業社製の商品名「スメクトン-SWF」、「スメクトン-SWN」、「スメクトン-SA」、「スメクトン-ST」などのスメクトンシリーズが挙げられる。
【0070】
C成分は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0071】
C成分の量は、B成分の質量に対するA成分、C成分およびD成分の合計質量の比の範囲と、C成分の質量に対するA成分の質量の比の範囲を満たす限り、適宜調節すればよい。例えば、C成分の量は、塗料組成物Iの総質量に対し、固形分量で1~40質量%である。一実施形態では、C成分の量は、塗料組成物Iの総質量に対し、固形分量で1.0質量%以上、5.0質量%以上、10.0質量%以上、15.0質量%以上、20.0質量%以上、25.0質量%以上、30.0質量%以上または35.0質量%以上である。別の実施形態では、C成分の量は、塗料組成物Iの総質量に対し、固形分量で40.0質量%以下、35.0質量%以下、30.0質量%以下、25.0質量%以下、20.0質量%以下、15.0質量%以下、10.0質量%以下または5.0質量%以下である。
【0072】
塗料組成物Iでは、C成分の質量に対するA成分の質量の比(A/C)は、0.1~10の範囲である。この比が0.1~10であることによって、良好な塗膜外観が得られる。一実施形態では、C成分の質量に対するA成分の質量の比は、0.1以上、0.2以上、0.3以上、0.4以上、0.5以上、0.6以上、0.7以上、0.8以上、0.9以上、1.0以上、1.5以上、2.0以上、2.5以上、3.0以上、3.5以上、4.0以上、4.5以上、5.0以上、6.0以上、7.0以上、8.0以上または9.0以上である。別の実施形態では、C成分の質量に対するA成分の質量の比は、10.0以下、9.0以下、8.0以下、7.0以下、6.0以下、5.0以下、4.5以下、4.0以下、3.5以下、3.0以下、2.5以下、2.0以下、1.5以下、1.0以下、0.9以下、0.8以下、0.7以下、0.6以下、0.5以下、0.4以下、0.3以下または0.2以下である。
【0073】
・D成分
D成分は、イオン性銀化合物である。本発明において、イオン性銀化合物は、成分として銀イオンを含有する化合物または錯体をいう。D成分は、プラスチック製の基材の経時的な劣化を抑制する働きを有する。
【0074】
D成分としては、例えば、銀塩、ハロゲン化銀、銀錯体、酸化銀、シアン化銀などが挙げられる。
【0075】
銀塩としては、例えば、カルボン酸銀、硝酸銀、炭酸銀、硫酸銀、酢酸銀、過塩素酸銀、塩素酸銀、クロム酸銀、臭素酸銀、ヨウ素酸銀などが挙げられる。カルボン酸銀としては、例えば、クエン酸三銀などが挙げられる。
【0076】
ハロゲン化銀としては、例えば、フッ化銀、塩化銀、臭化銀、ヨウ化銀などが挙げられる。
【0077】
銀錯体としては、例えば、J-ケミカル社製の商品名「AG アルファ(登録商標) CF-04」などのAG アルファシリーズなどが挙げられる。
【0078】
一実施形態では、D成分は、銀錯体、銀塩および酸化銀からなる群より選択される1種以上である。別の実施形態では、D成分は、銀錯体、カルボン酸銀および酸化銀からなる群より選択される1種以上である。さらに別の実施形態では、D成分は、銀錯体、クエン酸三銀および酸化銀からなる群より選択される1種以上である。
【0079】
D成分は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0080】
D成分の量は、B成分の質量に対するA成分、C成分およびD成分の合計質量の比の範囲と、D成分の質量に対するA成分の質量の比の範囲を満たす限り、適宜調節すればよい。例えば、D成分の量は、塗料組成物Iの総質量に対し、固形分量で0.1~10質量%である。一実施形態では、D成分の量は、塗料組成物Iの総質量に対し、固形分量で0.1質量%以上、0.1質量%以上、0.5質量%以上、1.0質量%以上、2.0質量%以上、3.0質量%以上、4.0質量%以上、5.0質量%以上、6.0質量%以上、7.0質量%以上、8.0質量%以上または9.0質量%以上である。別の実施形態では、D成分の量は、塗料組成物Iの総質量に対し、固形分量で10.0質量%以下、9.0質量%以下、8.0質量%以下、7.0質量%以下、6.0質量%以下、5.0質量%以下、4.0質量%以下、3.0質量%以下、2.0質量%以下、1.0質量%以下または0.5質量%以下である。
【0081】
塗料組成物Iでは、D成分の質量に対するA成分の質量の比(A/D)は、1~100の範囲である。この比が1以上であることによって、十分な抗ウイルス性が発揮され、また、D成分による塗膜の変色も抑制することができる。比(A/D)が100以下であることによって、プラスチック製の基材の経時的な劣化を抑制することができる。一実施形態では、D成分の質量に対するA成分の質量の比は、1.0以上、2.0以上、3.0以上、4.0以上、5.0以上、6.0以上、6.5以上、7.0以上、8.0以上、9.0以上、10.0以上、20.0以上、30.0以上、40.0以上、50.0以上、60.0以上、70.0以上、80.0以上または90.0以上である。別の実施形態では、D成分の質量に対するA成分の質量の比は、100.0以下、90.0以下、80.0以下、70.0以下、60.0以下、50.0以下、40.0以下、30.0以下、20.0以下、10.0以下、9.0以下、8.0以下、7.0以下、6.0以下、5.0以下、4.0以下、3.0以下または2.0以下である。
【0082】
塗料組成物Iは、A、BおよびC成分以外に、公知の抗菌性または抗ウイルス性塗料組成物または一般的な塗料組成物に用いられるその他の成分を含んでいてもよい。その他の成分としては、例えば、水、有機溶剤、光安定剤、顔料、表面調整剤、粘性剤などが挙げられる。その他の成分は、それぞれ、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0083】
水または有機溶媒を用いる場合、塗料組成物Iの固形分が、0.1~5質量%となる量とすることができる。
【0084】
有機溶媒としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、1-ブタノール、2-メチル-1-プロパノール、2-ブタノール、2-メチル-2-プロパノールエチレングリコール、サリチルアルコール、シンナミルアルコール、ベラリルアルコール、シナビルアルコール、ジフェニルメタノール、バニリルアルコール、ベンジルアルコール、2-メチルベンジルアルコール、3-メチルベンジルアルコール、3-ニトリルベンジルアルコール、4-メチルベンジルアルコール、α-メチルベンジルアルコール、アリルアルコール、プロパギルアルコール、フェネチルアルコール、ヒドロキシベンジルアルコール、ヒドロキシフェネチルアルコール、アセトン、トルエンなどが挙げられる。この他、特許文献2に記載の有機溶媒も挙げられる。
【0085】
本発明に係る抗菌性または抗ウイルス性塗料組成物の一実施形態では、エチルアルコールおよびイソプロピルアルコールからなる群より選択される1種以上のアルコールをさらに含む。
【0086】
塗料組成物Iが、エチルアルコールおよびイソプロピルアルコールからなる群より選択される1種以上のアルコールをさらに含む場合、アルコールの量は、例えば、塗料組成物Iの全質量に対して、10~60質量%とすればよい。一実施形態では、塗料組成物Iが、エチルアルコールおよびイソプロピルアルコールからなる群より選択される1種以上のアルコールをさらに含む場合、アルコールの量は、塗料組成物Iの全質量に対して、10質量%以上、20質量%以上、30質量%以上、40質量%以上または50質量%以上である。別の実施形態では、塗料組成物Iが、エチルアルコールおよびイソプロピルアルコールからなる群より選択される1種以上のアルコールをさらに含む場合、アルコールの量は、塗料組成物Iの全質量に対して、60質量%以下、50質量%以下、40質量%以下、30質量%以下または20質量%以下である。
【0087】
・光安定剤
光安定剤としては、公知の光安定剤を用いることができる。光安定剤を用いることで、プラスチック製の基材の経時的な劣化をさらに抑制することができる。光安定剤としては、例えば、ヒンダードアミン系光安定剤などが挙げられる。
【0088】
ヒンダードアミン系光安定剤とは、窒素原子に隣接する炭素原子(ピペリジン環を構成している炭素原子)には水素原子がないピペリジン環を有する化合物である。このようなピペリジン環としては、例えば、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン環などが挙げられる。ヒンダードアミン系光安定剤の市販品としては、例えば、BASF社製の商品名Chimassorb 119、2020、944などのChimassorbシリーズ;BASF社製のTinuvin 123、144、152、249、292などのTinuvinシリーズ;ADEKA社製の商品名アデカスタブ(登録商標)LA-52、LA-57、LA-63P、LA-68、LA-72、LA-77Y、LA-77G、LA-81、LA-82、LA-87、LA-402AF、LA-40MP、LA-40Siなどのアデカスタブシリーズなどが挙げられる。この他、特開2019-085460号公報に記載のヒンダードアミン系化合物も挙げられる。
【0089】
ヒンダードアミン系光安定剤として、N-CHタイプのヒンダードアミンも挙げられる。N-CHタイプのヒンダードアミンは、ヒンダードアミン以外の成分の分散安定性を阻害しにくい利点がある。N-CHタイプのヒンダードアミンとしては、例えば、BASF社製のTinuvin 144、292、ADEKA社製の商品名アデカスタブ(登録商標)LA-52、LA-72が挙げられる。ここで、Tinuvin 144は、bis(1,2,2,6,6-pentamethyl-4-piperidinyl)-[[3,5-bis(1,1-dimethylethyl)-4-hydroxyphenyl]methyl]butylmalonateであり、Tinuvin 292は、bis(1,2,2,6,6-pentamethyl-4-piperidinyl)sebacateとmethyl(1,2,2,6,6-pentamethyl-4-piperidinyl)sebacateの混合物である。本発明において、「N-CHタイプのヒンダードアミン」とは、pKbの数値が5~7のヒンダードアミン(塩基性)を指す。
【0090】
本発明に係る抗菌性または抗ウイルス性塗料組成物の一実施形態では、ヒンダードアミン系光安定剤をさらに含む。
【0091】
本発明に係る抗菌性または抗ウイルス性塗料組成物の一実施形態では、前記ヒンダードアミン系光安定剤が、N-CHタイプのヒンダードアミンである。別の実施形態では、ヒンダードアミン系光安定剤は、Tinuvin 144または292である。
【0092】
ヒンダードアミン系光安定剤の量としては、適宜調節すればよいが、例えば、B成分の固形分量に対して、0.1~10質量%とすればよい。一実施形態では、ヒンダードアミン系光安定剤の量は、B成分の固形分量に対して、0.1質量%以上、0.5質量%以上、1.0質量%以上、2.0質量%以上、3.0質量%以上、4.0質量%以上、5.0質量%以上、6.0質量%以上、7.0質量%以上、8.0質量%以上または9.0質量%以上である。別の実施形態では、ヒンダードアミン系光安定剤の量は、B成分の固形分量に対して、10.0質量%以下、9.0質量%以下、8.0質量%以下、7.0質量%以下、6.0質量%以下、5.0質量%以下、4.0質量%以下、3.0質量%以下、2.0質量%以下、1.0質量%以下または0.5質量%以下である。
【0093】
・抗菌性または抗ウイルス性塗料組成物の調製方法
塗料組成物Iの調製方法は特に限定されず、A、B、CおよびD成分、任意にその他の成分を任意の順序で混合し、撹拌することで調製することができる。
【0094】
・抗菌性または抗ウイルス性塗料組成物の用途
塗料組成物Iの用途は、特に限定されず、適宜選択することができる。塗料組成物Iの用途ないし塗装対象としては、例えば、自動車、電車などの車両の内装;航空機の内装;建築物の内装;便器、ドアノブ、ボタン、手すり、買い物かご、蛇口のハンドルないしレバー、テーブル、机、いす、キーボード、タッチパネル、スマートフォン、タブレットコンピューター、リモコン、玩具、冷蔵庫などの家電製品、医療機器、アクリル板などの飛沫感染防止用パーティションなどが挙げられる。
【0095】
塗料組成物Iを好適に塗装可能なプラスチック製の基材としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合合成樹脂(ABS樹脂)、ポリアミド、ポリアセタール、ポリブチレンテレフタレート、ポリフタールアミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、熱可塑性ポリイミド、ポリスルフォン、ポリエーテルイミド、ポリ乳酸などが挙げられる。一実施形態では、プラスチック製の基材は、ポリプロピレン、ポリカーボネートおよびABS樹脂からなる群より選択される1種以上である。
【0096】
塗料組成物Iは、プラスチック製の基材に好適に塗装可能であるが、木材、ガラス、金属などの基材に塗装してもよい。
【0097】
一実施形態では、塗料組成物Iの用途は、自動車の内装である。別の実施形態では、塗料組成物Iの用途は、自動車の内装のプラスチック基材である。
【0098】
(抗菌性または抗ウイルス性塗膜の形成方法)
本発明に係る抗菌性または抗ウイルス性塗膜の形成方法は、上記いずれかに記載の抗菌性または抗ウイルス性塗料組成物を準備する工程(A)と、
少なくとも表面がプラスチック製である基材を準備する工程(B)と、
前記基材に下地層を設ける工程(C)と、
前記下地層を設けた前記基材に、前記抗菌性または抗ウイルス性塗料組成物を塗装する工程(D)と、
を含む、抗菌性または抗ウイルス性塗膜の形成方法である。
【0099】
・工程(A)
工程(A)では、上記いずれかに記載の抗菌性または抗ウイルス性塗料組成物を準備する。
【0100】
・工程(B)
工程(B)では、少なくとも表面がプラスチック製である基材を準備する。
基材は、表面よりも基材内側が金属などのプラスチック製以外の材料であってもよい。また、基材は、塗料組成物Iが塗装される表面の少なくとも一部がプラスチック製であればよく、塗料組成物Iが塗装される表面全部がプラスチック製でもよい。そのため、基材は、表面の一部がプラスチック製であり、表面の他の部分がプラスチック製以外の材料であってもよい。プラスチック製の基材としては、例えば、塗料組成物Iで説明したものが挙げられる。
【0101】
・工程(C)
工程(C)では、基材に下地層を設ける。基材と塗膜Iとの間に下地層が存在することで、基材の経時的な劣化を抑制することができる。
【0102】
下地層としては、塗料分野で用いられる公知の下地層を用いることができる。下地層としては、例えば、上述した塗料組成物IからA成分を除いた塗料を用いて形成される塗膜などが挙げられる。
【0103】
本発明に係る抗菌性または抗ウイルス性塗膜の形成方法の一実施形態では、前記下地層が、チタンを含む光触媒を含まない。
【0104】
下地層を形成する手段は特に限定されず、布を用いての塗装(以下、単に「布塗装」ということがある)、スプレー塗装、ローラー塗装、刷毛塗装などが挙げられる。
【0105】
下地層用の塗料を塗装した後、下地層を形成する温度および時間は、適宜調節すればよいが、例えば、温度は、0~60℃であり、時間は、1~1800秒である。
【0106】
下地層の厚さは、特に限定されないが、例えば、乾燥膜厚0.1~5μmである。
【0107】
・工程(D)
工程(D)では、下地層を設けたプラスチック製の基材に、塗料組成物Iを塗装する。すなわち、プラスチック製の基材上の下地層の上に、塗料組成物Iを塗装する。
【0108】
塗料組成物Iを塗装する手段は特に限定されず、布塗装、スプレー塗装、ローラー塗装、刷毛塗装などが挙げられる。
【0109】
一実施形態では、塗料組成物Iを、布塗装およびスプレー塗装からなる群より選択される1つ以上の手段によって塗装する。布塗装またはスプレー塗装によって、それ以外のはけ塗装、ローラー塗装などの塗装に比べて、塗布ムラが発生しにくいという効果ないし利点がある。
【0110】
布塗装で用いる布は、特に限定されないが、例えば、ワイプオール(日本製紙クレシア製)などが挙げられる。
【0111】
スプレー塗装は、公知のスプレー塗装を用いることができ、特に限定されないが、例えば、エアスプレー塗装、エアレススプレー塗装などが挙げられる。また、スプレー塗装の塗装具は、特に限定されず、例えば、スプレーガン、アトマイザーなどの公知のスプレー塗装具を用いることができる。
【0112】
一実施形態では、スプレー塗装時の塗料組成物Iの霧化粒径が0.1~100μmである。
【0113】
塗料組成物Iを塗装する量は、例えば、1~1000g/mである。あるいは、乾燥膜厚0.01~2μmとなるように、塗料組成物Iを塗装してもよい。
【0114】
塗膜Iの形成方法では、工程(A)~(D)以外の工程を含んでいてもよい。
【0115】
(抗菌性または抗ウイルス性塗膜)
本発明に係る抗菌性または抗ウイルス性塗膜は、上記いずれかに記載の抗菌性または抗ウイルス性塗料組成物を用いた、抗菌性または抗ウイルス性塗膜である。
【0116】
塗膜Iの乾燥膜厚は、例えば、0.01~2μmとすることができる。
【0117】
塗膜Iのチタン濃度は、例えば、1~1000mg/mとすることができる。
【0118】
本発明に係る抗菌性または抗ウイルス性塗膜の一実施形態では、前記塗膜の膜厚が、1μm以下であり、
前記塗膜中のチタン濃度が1~1000mg/mである。
【0119】
塗膜Iの色および透明度は特に限定されず、適宜設定することができる。一実施形態では、塗膜Iは、透明外観を有する。本発明において、「透明外観」は、塗布されていない部分と目視で差がないことを意味する。
【0120】
塗膜Iは、ラビング後のチタン残存率を40~100%とすることができる。ここで、ラビングの条件は、耐摩耗試験器(大栄科学精機製作所製)でネルを1cm角の平角磨耗子の先端に巻き、耐荷重8kg/100cmで往復速度30回/分にて往復距離12cmを100回往復後の評価である。
【0121】
本発明に係る抗菌性または抗ウイルス性塗膜の一実施形態では、ラビング後にチタン残存率が40%以上かつ透明外観を有する。
【0122】
(積層体)
本発明に係る積層体は、順に、
少なくとも表面がプラスチック製の基材と、
上記いずれかに記載の抗菌性または抗ウイルス性塗膜と、
を有する、積層体である。
【0123】
基材は、少なくとも表面がプラスチック製であればよく、表面よりも基材内側が金属などのプラスチック製以外の材料であってもよい。また、基材は、塗膜Iと積層される表面の少なくとも一部がプラスチック製であればよく、塗膜Iと積層される表面全部がプラスチック製でもよい。そのため、基材は、表面の一部がプラスチック製であり、表面の他の部分がプラスチック製以外の材料であってもよい。プラスチック製の基材としては、例えば、塗料組成物Iで説明したものが挙げられる。
【0124】
基材としては、例えば、自動車のステアリングホイール、ドアハンドル、ドアアームレスト、シフトノブ、エアコンパネル、ナビモニター、ダッシュボード、シート、アクセルペダル、フロアマット、シートベルト、センターアームレストなどが挙げられる。
【0125】
積層体では、順に、基材のプラスチック製部分と、塗膜Iとを有すればよく、基材のプラスチック製部分と塗膜Iとの間に、下地層などの他の塗膜があってもよいし、なくてもよい。一実施形態では、積層体は、順に隣接して、少なくとも表面がプラスチック製の基材と、塗膜Iとを有する。別の実施形態では、積層体は、順に隣接して、少なくとも表面がプラスチック製の基材と、下地層と、塗膜Iとを有する。下地層は、例えば、塗膜Iの形成方法で説明した下地層が挙げられる。
【0126】
(物品)
本発明に係る物品は、順に、
少なくとも表面がプラスチック製である被塗物と、
上記いずれかに記載の抗菌性または抗ウイルス性塗膜と、
を有する、物品である。
【0127】
被塗物は、少なくとも表面がプラスチック製であればよく、表面よりも被塗物内側が金属などのプラスチック製以外の材料であってもよい。また、被塗物は、塗膜Iと積層される表面の少なくとも一部がプラスチック製であればよく、塗膜Iと積層される表面全部がプラスチック製でもよい。そのため、被塗物は、表面の一部がプラスチック製であり、表面の他の部分がプラスチック製以外の材料であってもよい。プラスチック製の被塗物としては、例えば、塗料組成物Iで説明したプラスチック製の基材が挙げられる。
【0128】
被塗物としては、例えば、自動車のステアリングホイール、ドアハンドル、ドアアームレスト、シフトノブ、エアコンパネル、ナビモニター、ダッシュボード、シート、アクセルペダル、フロアマット、シートベルト、センターアームレストなどが挙げられる。
【0129】
物品では、順に、被塗物のプラスチック製部分と、塗膜Iとを有すればよく、被塗物のプラスチック製部分と塗膜Iとの間に、下地層などの他の塗膜があってもよいし、なくてもよい。一実施形態では、物品は、順に隣接して、少なくとも表面がプラスチック製の被塗物と、塗膜Iとを有する。別の実施形態では、物品は、順に隣接して、少なくとも表面がプラスチック製の被塗物と、下地層と、塗膜Iとを有する。下地層は、例えば、塗膜Iの形成方法で説明した下地層が挙げられる。
【実施例0130】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、これらの実施例は、本発明の例示を目的とするものであり、本発明を何ら限定するものではない。
【0131】
実施例で用いた材料は以下のとおりである。
・A成分
光触媒酸化チタン:石原産業社製の商品名「STS-01」、水分散体、固形分30質量%
・B成分
アクリル樹脂1:楠本化成社製の商品名「NeoCryl A-2092」、アクリルエマルション、官能基:カルボキシル基、固形分47%
ウレタン樹脂:三洋化成社製の商品名「UCOAT D-338」ウレタンエマルション、官能基:カルボキシル基、固形分35%
ポリカルボジイミド樹脂(硬化剤):日清紡ケミカル社製の商品名「カルボジライト E-05」、官能基:カルボジイミド基、固形分41.3質量%
・C成分
コロイダルシリカ:日産化学社製の商品名「スノーテックス ST-O」、固形分20質量%
ケイ酸アルミニウムマグネシウム:クニミネ工業社製の商品名「スメクトン-SA」
・D成分
銀錯体:J-ケミカル社製の商品名「AG アルファ(登録商標) CF-04」、銀イオン濃度0.50%、固形分11.3%
・溶剤
エタノール
・ヒンダードアミン系光安定剤
ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジン-4-イル)デカンジオアート、
BASF社製の商品名「Tinuvin 292」
【0132】
実施例で用いたその他の材料と装置は以下のとおりである。
・プラスチック基材:ポリカーボネート―ポリブチレンテレフタレートアロイ樹脂基材(150mm×50mm×2mm)
・黒色塗料(外観評価基板調製用):日本ペイント・オートモーティブコーティングス社製のブラック塗装R2271
・スプレーガン:アネスト岩田社製の商品名「W-1」
・アトマイザースプレー:アズワン社製の商品名「トリガーノズル式スプレー」
・分光光度計:島津製作所社製の商品名「UVmini-1240」
・耐摩耗試験器:大栄科学精機製作所製
【0133】
実施例1
表1に示す配合(固形分、質量部)で、各成分を混合して塗料組成物Iを調製した。
【0134】
実施例2~13および比較例1~4、6~11
配合を表1~2に示すように変更したこと以外は実施例1と同様に塗料組成物Iまたは比較塗料組成物を調製した。
【0135】
比較例5
実施例1の塗料組成物Iにおいて、A成分を除いた各成分を配合し、下地層用塗料組成物を調製した。また、配合を表2に示すように変更したこと以外は実施例1と同様に比較塗料組成物を調製した。
【0136】
・塗膜外観の評価
実施例1~12および比較例1~4、6~11では、プラスチック基材に黒色塗料を塗装した。そのプラスチック基材上に塗料組成物Iまたは比較塗料組成物をスプレーガンで霧化粒径20μmで塗装し、温度25℃で12時間乾燥させて、乾燥膜厚0.03μmの塗膜Iまたは比較塗膜を作製した。実施例13では、スプレーガンをアトマイザースプレーに代えて、塗料組成物Iを霧化粒径1000μmで塗装したこと以外は、実施例1と同様に塗装し、乾燥させて乾燥膜厚0.03μmの塗膜Iを得た。比較例5では、プラスチック基材に下地層用塗料組成物をスプレーガンで霧化粒径20μmで塗装し、温度25℃で12時間乾燥させて、乾燥膜厚0.03μmの下地層を形成した。次いで、下地層上に比較例1と同様に、乾燥膜厚0.03μmの比較塗膜を作製した。得られた塗膜Iまたは比較塗膜に対して、目視で塗膜の外観を観察し、以下の基準で評価した。結果を表1~2に合わせて示す。表1~2中、塗装方法のSGは、スプレーガンによる塗装を表し、ASは、アトマイザースプレーによる塗装を表す。
5:変化せず
4:わずかに塗布ムラ
3:ムラ発生
2:白化ムラ発生
1:顕著な白化ムラ
【0137】
・塗膜中のチタン濃度の測定
得られた塗膜Iまたは比較塗膜を、XRFにてチタン量を測定した。その量を表1~2に示す。
【0138】
・抗ウイルス性の評価
抗ウイルス性をJIS R1706に記載の方法に従って測定した。そして、以下の基準で評価した。結果を表1~2に合わせて示す。評点3および2が合格である。
3:明所または暗所での抗ウイルス活性値が2.5以上
2:明所または暗所での抗ウイルス活性値が2.0以上
1:明所または暗所での抗ウイルス活性値が2.0未満
【0139】
・耐ラビング性(ドライ)の評価
耐摩耗試験器でネルを磨耗子の装置先端に巻き、耐荷重8kg/100cmで100回往復した。その後、ラビング前後のチタン量を、XRFで測定した。そして、以下の基準で評価した。結果を表1~2に合わせて示す。評点5~3が合格である。
5:チタンの残存率が80%以上
4:チタンの残存率が60%以上80%未満
3:チタンの残存率が40%以上60%未満
2:チタンの残存率が20%以上40%未満
1:チタンの残存率が20%未満
【0140】
・耐ラビング性(WET)の評価
ネルを脱イオン水で濡らしたこと以外は、ドライ条件の耐ラビング性と同様に試験した。そして、ラビング前後のチタン量を、XRFでのようにして測定した。そして、以下の基準で評価した。結果を表1~2に合わせて示す。評点5~3が合格である。
5:チタンの残存率が80%以上
4:チタンの残存率が60%以上80%未満
3:チタンの残存率が40%以上60%未満
2:チタンの残存率が20%以上40%未満
1:チタンの残存率が20%未満
【0141】
・基材の劣化抑制の評価
紫外線フェードメーター U48AUHB(スガ試験機社製)で促進耐候性試験を実施した。試験時間は32時間とし、試験時間経過後の塗膜をアルコールにて除去して下地の劣化状態を目視にて評価した。結果を表1~2に合わせて示す。評点3および2が合格である。
3:基材表面に変化なし
2:基材表面に小さな凹凸が観察される
1:基材表面に大きな凹凸が観察される
【0142】
【表1】
【0143】
【表2】
【0144】
表1~2に示したように、本発明によれば、良好な抗ウイルス性、塗膜外観および耐ラビング性を有し、かつ、プラスチック製の基材の経時的な劣化を抑制することができる塗膜を形成可能な抗菌性または抗ウイルス性塗料組成物を提供することができた。また、本発明によれば、良好な抗ウイルス性、塗膜外観および耐ラビング性を有し、かつ、プラスチック製の基材の経時的な劣化を抑制することができる抗菌性または抗ウイルス性塗膜の形成方法を提供することができた。また、本発明によれば、良好な抗ウイルス性、塗膜外観および耐ラビング性を有し、かつ、プラスチック製の基材の経時的な劣化を抑制することができる抗菌性または抗ウイルス性塗膜を提供することができた。また、本発明によれば、良好な抗ウイルス性、外観および耐ラビング性を有し、プラスチック製の基材の経時的な劣化を抑制することができる積層体を提供することができた。また、本発明によれば、良好な抗ウイルス性、外観および耐ラビング性を有し、プラスチック製の基材の経時的な劣化を抑制することができる物品を提供することができた。
【産業上の利用可能性】
【0145】
本発明によれば、良好な抗ウイルス性、塗膜外観および耐ラビング性を有し、かつ、プラスチック製の基材の経時的な劣化を抑制することができる塗膜を形成可能な抗菌性または抗ウイルス性塗料組成物を提供することができる。また、本発明によれば、良好な抗ウイルス性、塗膜外観および耐ラビング性を有し、かつ、プラスチック製の基材の経時的な劣化を抑制することができる抗菌性または抗ウイルス性塗膜の形成方法を提供することができる。また、本発明によれば、良好な抗ウイルス性、塗膜外観および耐ラビング性を有し、かつ、プラスチック製の基材の経時的な劣化を抑制することができる抗菌性または抗ウイルス性塗膜を提供することができる。また、本発明によれば、良好な抗ウイルス性、外観および耐ラビング性を有し、プラスチック製の基材の経時的な劣化を抑制することができる積層体を提供することができる。また、本発明によれば、良好な抗ウイルス性、外観および耐ラビング性を有し、プラスチック製の基材の経時的な劣化を抑制することができる物品を提供することができる。