(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023059183
(43)【公開日】2023-04-26
(54)【発明の名称】発電素子、発電装置、センサー
(51)【国際特許分類】
H02K 35/04 20060101AFI20230419BHJP
【FI】
H02K35/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021169177
(22)【出願日】2021-10-14
(71)【出願人】
【識別番号】712008002
【氏名又は名称】西浦 信一
(72)【発明者】
【氏名】西浦 信一
(57)【要約】
【課題】 一般的な磁性材料によるフレームと、コイルと、磁石で逆磁歪式の発電素子を構成し、低価格の発電機やセンサーを提供する。
【解決手段】 磁歪材料による逆磁歪効果を利用する発電素子を、バネ性を有する磁性材料フレームで構成し、少なくともそのひとつのフレームに、2つ以上の屈折部を設け、フレーム自体に逆磁歪効果を発生させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性材料からなるフレーム、コイル、磁石、を備え、該フレームは、少なくとも第1のフレームと、第2のフレームにより構成され、前記第1のフレームと前記第2のフレームの少なくともいずれか一方に、少なくとも2つ以上の屈折部を設け、前記コイルは前記第1のフレームあるいは前記第2のフレームを内包するように配置され、前記第1のフレームと前記第2のフレームの間には所定の隙間が形成され、当該隙間近傍に前記磁石を配置し、閉磁気回路を為したことを特徴とする発電素子。
【請求項2】
前記第1のフレームの一方の端部は自由端で、前記コイルが近傍に配置され、前記第1のフレームの他方の端部は自由端であり、前記第2のフレームの一方の端部から所定長さに亘った上面の任意の一部を、前記第1のフレームの下面と接合し、前記第2のフレームの他方の端部は固定端であることを特徴とする請求項1に記載の発電素子。
【請求項3】
前記フレームのうち、少なくともいずれかのフレームが、弾性を有することを特徴とする請求項1に記載の発電素子。
【請求項4】
前記第2のフレームの一方の端部から所定長さに亘った上面の任意の一部と、前記第1のフレームの振動の節近傍の下面との接合を、ネジ固定としたことを特徴とする請求項1に記載の発電素子。
【請求項5】
前記第2のフレームの一方の端部から所定長さに亘った上面の任意の一部と、前記第1のフレームの振動の節近傍の下面とを、接着剤や溶接により接合としたことを特徴とする請求項1に記載の発電素子。
【請求項6】
前記フレームの少なくともいずれかの端部に、振動周波数を調整するための重りを具備することを特徴とする請求項1に記載の発電素子。
【請求項7】
前記フレームは、板状であることを特徴とする請求項1に記載の発電素子。
【請求項8】
前記フレームは、棒状であることを特徴とする請求項1に記載の発電素子。
【請求項9】
前記磁石は、前記コイルと同等の幅を有することを特徴とする請求項1に記載の発電素子。
【請求項10】
前記フレームのいずれかの端部に外力を加え、前記外力は、運動エネルギーを回転運動や上下運動に変換したものであることを特徴とする請求項1に記載の発電素子。
【請求項11】
外部振動によって素子全体が揺らされることを特徴とする請求項1に記載の発電素子。
【請求項12】
請求項1乃至請求項11に記載の発電素子を具備することを特徴とする発電装置。
【請求項13】
請求項13に記載の前記発電装置を具備することを特徴とする通信システム。
【請求項14】
請求項1に記載の発電素子の発電量をセンサー情報として利用したことを特徴とするセンシングシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運動エネルギーや振動を利用した発電素子並びに発電装置、センサーに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自然界の振動を利用した発電方法が注目され、振動発電として、様々な方法が紹介されている。その中でも、強磁性を有する磁歪材料を使用し、逆磁歪効果によって発電するものは、高効率で高電力が得られる技術として注目されている。
【0003】
逆磁歪効果を利用する発電素子は、発電部と、フレームと、磁石から概略構成される。 発電部は、磁性材料からなるフレーム上に配置された磁歪材料からなる磁歪板(棒状でも良い)と、フレームと磁歪板を内包するコイルと、で構成され、磁性材料からなるフレームは、棒状あるいは板状に伸びて、磁石が備えられることで、閉磁気回路を構成する。
【0004】
フレーム、あるいはそれに付加されたフレームヨークに外部振動や外力を付加することで、フレームやフレームヨークが振動し、それに連結する磁歪材料が圧縮あるいは伸長して、逆磁歪効果が生じ、コイルに電流が流れて、発電部で発電する仕組みになっている。
【0005】
近年、Feと希土類元素(Tb、Dy等)を混ぜ合わせた材料が0.1%程度の磁歪量を示すことが発見され、巨大磁歪材料として実用化されている。鉄ガリューム合金(Fe-Ga)なども、効率的に逆磁歪効果を上げる材料として、近年、注目されている。
【0006】
こうした、磁歪材料の逆磁歪効果を用いて発電装置を構成する発明は数多く公開されているが、特殊な磁歪材料を用いたものが多い。これらを用いた装置は汎用性に欠け、材料の量産手法が確立されないことで、価格が高くなるのが欠点である。
【0007】
磁歪材料の逆磁歪効果を用いて、小型の発電機や好感度で高出力のセンサーを構成すれば、小型のIoT用通信機や、橋梁や道路の振動測定器などに利用でき、社会貢献の高い製品の開発が可能となる。しかし、磁歪材料の供給と価格が妨げになって、製品化が進んでいないのが実状である 。
【0008】
磁歪材料を用いた、簡略で、かつ生産性に富み、低価格での提供が可能な、発電素子、発電装置、センサーの提供が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特願2019―104064
【特許文献2】特願2019―185555
【特許文献3】特願2018―87935
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
磁歪材料は、逆磁歪効果によって、高い電圧を出すことが知られているが、同時に、電力使用量が大きくなるにつれて、振動減衰も大きくなるという特性がある。大きな振動や外力を受けて、高い電圧が発生しても、つながる電子回路の負荷によって、振動減衰が大きくなり、発電時間が短くなるという特徴がある。これは、連続的に外力を受けるような状況では問題がないが、単発的に外力や振動を受け、その時の発生電力で通信やセンサーによる測定を行うというIoT(internet of things)用の通信機器では、電力量が制限されることになり、パフォーマンスが限定されてしまう。
【0011】
磁歪材料の振動時間は、磁歪材料とコイルとが配置されるフレームの長さの振動周波数並びに共振周波数に依存し、磁歪材料は与えられる振動の周波数が高いほど逆磁歪効果を発揮するということが知られている。
【0012】
先行する特許文献1の特願2019―104064は、外力を効果的に受ける構造としては有効である。しかし、この発明の場合、フレームを長くすれば振動時間は増えるが、磁歪材料への振動周波数は低くなって発電効果が弱くなる。さらに、振動時間を長くするために発電部が配置されるフレームの振幅を大きくするとフレームが磁石に当たってしまい、振動が阻害されるという問題も生じる。その対策として磁石とフレームの距離を大きく取れば、磁場が弱くなるというジレンマもある。
【0013】
特許文献2の特願2019―185555は、発電部のフレームの両端を自由端とすることで外力に対して発生する振動周波数を高くして、発電力を高めることに効果的ではあるが、フレームの実効長は短くなり、発電時間は、短くなる。
【0014】
特許文献3の特願2018―87935は、フレームをU字状に湾曲させ、外力による振動時間を長くできる構造であるが、バネ性のある金属材料をU字に湾曲させるという加工上の問題があり、大量生産に向かない上に、加工硬化した湾曲部には、バネ性を期待できない等の量産上の問題がある。
また、特許文献の多くは、特別な合金の磁歪材料の使用を前提としており、磁歪材料の価格により、低価格化が期待できないという問題がある。
【0015】
すなわち本発明は、上記事情にかんがみてなされたもので、簡単至便な方法を以って、外力から高い振動周波数と低い振動周波数を得ることで、磁歪材料の振動減衰をおさえて発電時間を伸長し、効果的に発電し、大量生産にも適した磁歪材料の、低価格の発電素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、上記課題を解決するためになされた。
【0017】
発明者は、さまざまな磁歪材料を用いて、鋭意各種実験を行い、各磁歪材料の振動と発電状況を精査した。その結果、特別な磁歪材料でなくとも、通常ばね材として使われ、磁性をもつベイナイト鋼やバネ用炭素鋼帯などでも、それら通常の磁性金属にコイルを固定して、高い周波数の振動を与え、強い磁力を持つ磁石と組み合わせ、閉磁気回路を構成すれば、実用的に充分な発電をすることを発見した。
【0018】
発明者はさらに、強い磁力を持つ磁石を使用すると、磁石の磁力がフレームを引き寄せて、振動を妨げる問題が生じるが、フレームに屈折点を設けてバネ力を高めれば、磁石が磁性材料のフレームの振動をさまたげずにフレームと磁石との距離を短くとれ、さらに高い振動周波数でフレームが振動することを発見した。
【0019】
発明の第1は、磁性材料からなるフレーム、コイル、磁石、を備え、該フレームは、少なくとも第1のフレームと、第2のフレームにより構成され、前記第1のフレームと前記第2のフレームの少なくともいずれか一方に、少なくとも2つ以上の屈折部を設け、前記コイルは前記第1のフレームあるいは前記第2のフレームを内包するように配置され、前記第1のフレームと前記第2のフレームの間には所定の隙間が形成され、当該隙間近傍に前記磁石を配置し、閉磁気回路を為したことを特徴とする発電素子である。
【0020】
発明の第2は、前記第1のフレームの一方の端部は自由端で、前記コイルが近傍に配置され、前記第1のフレームの他方の端部は自由端であり、前記第2のフレームの一方の端部から所定長さに亘った上面の任意の一部を、前記第1のフレームの下面と接合し、前記第2のフレームの他方の端部は固定端であることを特徴とする発明1に記載の発電素子である。
【0021】
発明の第3は、前記フレームのうち、少なくともいずれかのフレームが、弾性を有することを特徴とする発明1に記載の発電素子である。
【0022】
発明の第4は、前記第2のフレームの一方の端部から所定長さに亘った上面の任意の一部と、前記第1のフレームの振動の節近傍の下面との接合を、ネジ固定としたことを特徴とする発明の第1に記載の発電素子である。
【0023】
発明の第5は、前記第2のフレームの一方の端部から所定長さに亘った上面の任意の一部と、前記第1のフレームの振動の節近傍の下面とを、接着剤や溶接により接合としたことを特徴とする発明の第1に記載の発電素子である。
【0024】
発明の第6は、前記フレームの少なくともいずれかの端部に、振動周波数を調整するための重りを具備することを特徴とする発明の第1に記載の発電素子である。
【0025】
発明の第7は、前記フレームは、板状であることを特徴とする発明の第1に記載の発電素子である。
【0026】
発明の第8は、前記フレームは、棒状であることを特徴とする発明の第1に記載の発電素子である。
【0027】
発明の第9は、前記磁石は、前記コイルと同等の幅を有することを特徴とする発明の第1に記載の発電素子である。
【0028】
発明の第10は、前記フレームのいずれかの端部に外力を加え、前記外力は、運動エネルギーを回転運動や上下運動に変換したものであることを特徴とする発明の第1に記載の発電素子である。
【0029】
発明の第11は、外部振動によって素子全体が揺らされることを特徴とする発明の第1に記載の発電素子である。
【0030】
発明の第12は、発明の第1乃至発明の第11に記載の発電素子を具備することを特徴とする発電装置である。
【0031】
発明の第13は、発明の第13に記載の前記発電装置を具備することを特徴とする通信システムである。
【0032】
発明の第14は、発明の第1に記載の発電素子の発電量をセンサー情報として利用したことを特徴とするセンシングシステムである。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、高価な磁歪材料を用いずとも、一般的なバネ性を有する磁性材料による棒状あるいは板状に伸びたフレームとコイルと磁石との組み合わせで、充分な発電力を持ち、生産性に富み、かつ安価な発電素子を提供することができる。
【0034】
本発明の発電素子は、振動発電機や自然エネルギー利用の発電機に利用できる。
また、この発電量の高さから、高感度で高出力な外部電源のいらないセンサーとしても利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】発明実施の第1の形態 Z曲げを施したフレームにコイルを配置し 発電部としたタイプの側面図および上面図。
【
図2】発明実施の第2の形態 磁石を配置した磁気回路構成用のフレ-ムにZ曲げを施したタイプの側面図および上面図。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明の実施形態は、フレーム、コイル、磁石と、で概略構成される。
【0037】
本発明のフレームは、逆磁歪効果のある磁性材料であればすべて使用できるが、磁性材料でバネ性を有する材料が望ましい。好適には通常ばね材として使われ磁性をもつベイナイト鋼やバネ用炭素鋼帯などが望ましい。そのほか炭 素 鋼 ( SS400、 SC、 SK材 ) 、 フ ェ ラ イ ト 系 ス テ ン レ ス ( SUS430)などが利用できる。
形状は、板状でも棒状でも角状でも使いうる。また、同一形状の組み合わせだけでなく、板状と棒状の組み合わせなど、異種の形状を組み合わせても構成できる。長さは、共振周波数を考慮して決定するのが望ましいが、ばねの反発係数や強度等を考慮して、途中から幅や径を変化させることもできる。
また、発電素子全体を弾性体として維持するために、フレームに与える曲げ加工の角度と方向を考慮するのが望ましい。
【0038】
本発明のコイルは、樹脂製のボビンに絶縁処理された銅線が巻かれたものが量産性の上で好適であるが、ボビンを使わず、磁歪材料とフレームを絶縁処理した銅線で巻いてコイルとすることも可能である。コイルの材料構造には、公知のすべての技術が使いうる。
【0039】
本発明の磁石は、永久磁石や電磁石等、公知の磁石がすべて使いうるが、好適には磁力の強いネオジウム磁石がよい。形状は、筒状、四角形、いずれも使いうるが、コイルの巻き幅に相当する大きさを有するものが望ましい。また、閉磁気回路を構成する際、複数個の磁石を配置することも可能である。
【0040】
本発明の第1の実施形態を、
図1をもって説明する。なお、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
【0041】
磁性材でありバネ性を持ち板状に伸びる第1フレーム23の自由端A31側に、第1フレ-ム23を内包するようにコイル22が配置され、発電部20を構成している。さらに自由端A31にはバランサーA35が固定されている。なお、コイル22は、第1フレ-ム23を内包し、第1フレーム23と一体して振動するのが望ましいが、コイル22と外部の電気回路とをつなぐ接続線に負担をかけないようにコイル22を別に固定し、コイル口を大きくすることで、コイル22内を第1フレ-ム23が自由に運動するようすることも可能である。
【0042】
第1フレーム23の振動の節の付近に第1屈折部24を設け、さらに任意の場所に第2屈折部25を設け、第1フレーム23の自由端A31と第2フレーム26の固定端33との間に隙間ができるよう、第1フレーム23の発電部とは反対側が固定ネジA28で第2フレーム26の任意の場所に接合されている。
【0043】
磁性材でありバネ性を持ち板状に伸びる第2フレーム26は、一方の端部を発電素子固定部30に固定ネジB29で固定され、固定端33となり、第1フレーム23との間に出来た隙間の近傍に磁石27が配置され閉磁気回路を為している。他方の端部は、バランサーB36が接続し、自由端B32となっている。なお、自由端B32は、振動時間は減少するが全体の共振周波数を上げるために別に固定部を設けて固定端とすることもできる。
【0044】
バランサーA35、バランサーB36は、その質量によって、素子全体の振動周波数並びに振幅を調整するための重りである。材料は金属でも樹脂でもゴムのようなものでも使いうる。
【0045】
本形態の発電素子に、外部からの振動が加わると、バランサーB36の質量によって、固定端33を支点に第2フレーム26は上下運動を始める。振動は固定ネジA28を通じて第1フレーム23に伝播し、第2屈折部25、第1屈折部24により発電部20に伝えられる。この振動によって、第1フレーム23に逆磁歪効果が生じ、コイル22に電力が発生する。
なお、バランサーを用いず、コイルの質量によって振動周波数を調整することも可能である。
【0046】
また、本形態の発電素子では、外部の運動エネルギーを回転運動や上下運動に変換し、外力として外力受容部34に加えると、第1フレーム23に、加えられた外力が第1フレーム23を変形させ、第1フレーム23のバネ性によって除荷されることで振動が発生し、第1フレーム23に逆磁歪効果が生じて、コイル22に電力が発生する。
なお、前記外力は、外力受容部54に加えるのが効果的であるが、他の自由端に加えることを排除するものではない。
【0047】
本発明の発電素子は、外部振動や外部のエネルギーの量に応じて発電力が変化するので、それを利用して、ヴァリアブルセンサーとしても利用できる。
【0048】
本発明の第2の実施形態を、
図2をもって説明する。なお、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
【0049】
磁性材でありバネ性を持ち板状に伸びる第1フレーム53の自由端A61側に、第1フレ-ム53を内包するようにコイル52が配置され、発電部50を構成している。なお、コイル52は、第1フレ-ム53を内包し、第1フレーム53と一体して振動するのが望ましいが、コイル52と外部の電気回路とをつなぐ接続線に負担をかけないようにコイル52を別に固定し、コイル口を大きくしてコイル52内を第1フレ-ム53が自由に運動するようにすることも可能である。
【0050】
磁性材でありバネ性を持ち板状に伸びる第2フレーム56には、第1フレーム53の自由端A61と第2フレーム56の固定端63との間に隙間ができるよう、第1屈折部54と第2屈折部55を設けている。
【0051】
第2フレーム56は、一方の端部を発電素子固定部60に固定ネジB59で固定され、固定端63となり、第1フレーム53との間に出来た隙間の近傍に磁石57が配置され閉磁気回路を為している。
【0052】
バランサーA65、バランサーB66は、その質量によって、第1フレームの振り子運動を制御し、発電素子全体の振動周波数並びに振幅を調整するための重りである。材料は金属でも樹脂でもゴムのようなものでも使いうる。
【0053】
本形態の発電素子に、外部からの振動が加わると、バランサーA65とバランサーB66の質量によって、第1フレーム53は第2フレーム56との接続点である固定ネジA58を支点に第1フレーム53は振り子運動を始める。また第2フレーム56も第1屈折部54と第2屈折部55に応じた共振周波数で揺れ、その振動を第1フレーム53に伝播する。この相乗作用によって、第1フレーム53に機械歪を発生させる振動を効果的に加え、逆磁歪効果を高める。この振動によって、第1フレーム53に逆磁歪効果が生じ、コイル52に電力が発生する。
なお、バランサーを用いず、コイルの質量によって振動周波数を調整することも可能である。
【0054】
外部からの振動には、モーター等の機械振動、動力車の振動、道路の振動、橋梁の振動、波の搖動、等が利用できる。
【0055】
また、本形態の発電素子では、外部の運動エネルギーを回転運動や上下運動に変換し、外力として外力受容部54に加えると、加えられた外力が第1フレーム53を変形させ、第1フレーム53のバネ性によって除荷されることで振動が発生し、第1フレーム53に逆磁歪効果が生じて、コイル52に電力が発生する。
なお、前記外力は、外力受容部54に加えるのが効果的であるが、他の自由端に加えることを排除するものではない。
【0056】
外部の運動エネルギーには、風力、波力などの再生可能エネルギーや振動エネルギーを回転運動や上下運動に変換したものなどが考えられる。
【0057】
本発明の発電素子は、外部振動や外部のエネルギーの量に応じて発電力が変化するので、それを利用して、ヴァリアブルセンサーとしても利用できる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明の発電素子並びに発電装置、センサーは、一般的な材料を使用し、単純な構造と一般的な加工技術で生産でき、大量生産による低価格化が可能である。そのことにより、特殊用途だけでなく、民生用製品として、広く利用される可能性を持っている。
【符号の説明】
【0059】
20…発電部、22…コイル、23…第1フレーム、24…第1屈折部、25…第2屈折部、26…第2フレーム、27…磁石、28…固定ネジA、29…固定ネジB、30…発電素子固定部、31…自由端A、32…自由端B、33…固定端、34…外力受容部、35…バランサーA、36…バランサーB、
50…発電部、52…コイル、53…第1フレーム、54…第1屈折部、55…第2屈折部、56…第2フレーム、57…磁石、58…固定ネジA、59…固定ネジB、60…発電素子固定部、61…自由端A、62…自由端B、63…固定端、64…外力受容部、65…バランサーA、66…バランサーB、
【手続補正書】
【提出日】2021-11-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0035
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0035】
【
図1】発明実施の第1の形態 Z曲げを施したフレームにコイルを配置し発電部としたタイプの側面図および上面図。
【
図2】発明実施の第2の形態 磁石を配置した磁気回路構成用のフレ-ムにZ曲げを施したタイプの側面図および上面図。
【
図3】
発明実施の第3の形態 コイルを配置したフレームに屈折部を設け、磁石を配置したフレームの両端を自由端として外力受容するタイプの斜視図。
【
図4】
発明実施の第4の形態 磁石を配置したフレームに屈折部を設け、その両端を自由端として外力受容するタイプの斜視図。
【
図5】
発明実施の第5の形態 フレーム枚数を部分的に増やした例の斜視図。
【
図6】
発明実施の第6の形態 フレームを重ねてフレーム枚数を増やした例の斜視図。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0059
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0059】
20…発電部、22…コイル、23…第1フレーム、24…第1屈折部、25…第2屈折部、26…第2フレーム、27…磁石、28…固定ネジA、29…固定ネジB、30…発電素子固定部、31…自由端A、31a…自由端A、32…自由端B、33…固定端、33a…固定端、34…外力受容部、34a…外力受容部、35…バランサーA、36…バランサーB、
50…発電部、52…コイル、53…第1フレーム、54…第1屈折部、55…第2屈折部、56…第2フレーム、57…磁石、58…固定ネジA、59…固定ネジB、60…発電素子固定部、61…自由端A、61a…自由端A、62…自由端B、63…固定端、63a…固定端、64…外力受容部、64a…外力受容部、65…バランサーA、66…バランサーB、
67…第1フレームB、68…第1フレームC
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正4】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性材料からなるフレーム、コイル、磁石、を備え、該フレームは、少なくとも第1のフレームと、第2のフレームにより構成され、前記第1のフレームと前記第2のフレームの少なくともいずれか一方に、少なくとも2つ以上の屈折部を設け、前記コイルは前記第1のフレームあるいは前記第2のフレームを内包するように配置され、前記第1のフレームと前記第2のフレームの間には所定の隙間が形成され、当該隙間近傍に前記磁石を配置し、閉磁気回路を為したことを特徴とする発電素子。
【請求項2】
前記第1のフレームの一方の端部は自由端で、前記コイルが近傍に配置され、前記第1のフレームの他方の端部は自由端であり、前記第2のフレームの一方の端部から所定長さに亘った上面の任意の一部を、前記第1のフレームの下面と接合し、前記第2のフレームの他方の端部は固定端であることを特徴とする請求項1に記載の発電素子。
【請求項3】
前記フレームのうち、少なくともいずれかのフレームが、弾性を有することを特徴とする請求項1に記載の発電素子。
【請求項4】
前記第2のフレームの一方の端部から所定長さに亘った上面の任意の一部と、前記第1のフレームの振動の節近傍の下面との接合を、ネジ固定としたことを特徴とする請求項1に記載の発電素子。
【請求項5】
前記第2のフレームの一方の端部から所定長さに亘った上面の任意の一部と、前記第1のフレームの振動の節近傍の下面とを、接着剤や溶接により接合としたことを特徴とする請求項1に記載の発電素子。
【請求項6】
前記フレームの少なくともいずれかの端部に、振動周波数を調整するための重りを具備することを特徴とする請求項1に記載の発電素子。
【請求項7】
前記フレームは、板状であることを特徴とする請求項1に記載の発電素子。
【請求項8】
前記フレームは、棒状であることを特徴とする請求項1に記載の発電素子。
【請求項9】
前記磁石は、前記コイルと同等の幅を有することを特徴とする請求項1に記載の発電素子。
【請求項10】
前記フレームのいずれかの端部に外力を加え、前記外力は、運動エネルギーを回転運動や上下運動に変換したものであることを特徴とする請求項1に記載の発電素子。
【請求項11】
外部振動によって素子全体が揺らされることを特徴とする請求項1に記載の発電素子。
【請求項12】
請求項1に記載の発電素子を具備することを特徴とする発電装置。
【請求項13】
請求項12に記載の前記発電装置を具備することを特徴とする通信システム。
【請求項14】
請求項1に記載の発電素子の発電量をセンサー情報として利用したことを特徴とするセンシングシステム。