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特開2023-59190デジタル資産を用いた保険料低減システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023059190
(43)【公開日】2023-04-26
(54)【発明の名称】デジタル資産を用いた保険料低減システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 40/08 20120101AFI20230419BHJP
【FI】
G06Q40/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021169189
(22)【出願日】2021-10-14
(71)【出願人】
【識別番号】313004816
【氏名又は名称】西本 一也
(71)【出願人】
【識別番号】519249262
【氏名又は名称】株式会社デジタルアセットマーケッツ
(74)【代理人】
【識別番号】110001405
【氏名又は名称】弁理士法人篠原国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100065824
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100104983
【弁理士】
【氏名又は名称】藤中 雅之
(74)【代理人】
【識別番号】100166394
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 和弘
(72)【発明者】
【氏名】西本 一也
【テーマコード(参考)】
5L055
【Fターム(参考)】
5L055BB61
(57)【要約】      (修正有)
【課題】既存の保険に比べて、保険料の支払いを低減することの可能なデジタル資産を用いた保険料低減システムを提供する。
【解決手段】ブロックチェーンとスマーコントラクトを用いた、保険料低減システムであって、保険契約受付用スマートコントラクト11、保険金支給条件審査用スマートコントラクト12、保険金支給用スマートコントラクト13、保険金支給総額算出用スマートコントラクト14、純保険料算出用スマートコントラクト15及び担保管理用スマートコントラクト16を少なくとも有する。担保管理用スマートコントラクトは、契約の単位毎に、デジタル資産を用いた担保の設定及び預入を受け付け、受け付けた担保を管理する機能と、管理している担保の価値として計上される金額の少なくとも一部を、純保険料算出用スマートコントラクトが算出した保険契約1単位あたりの純保険料に所定の管理費を加えた後払い保険料に充当する機能と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブロックチェーン等の分散技術とスマートコントラクトを用いて構成された、保険において保険契約者が支払うべき保険料を低減するシステムであって、
保険の種類に応じて、保険契約の単位ごとに、保険金支給条件を少なくとも含む保険契約項目の設定を受け付け、受け付けた保険契約項目の設定内容で当該保険契約を締結する機能を有する保険契約受付用スマートコントラクトと、
保険の種類に応じて、前記保険契約受付用スマートコントラクトが設定を受け付けた当該保険契約についての保険金支給条件の適否を審査する機能を少なくとも有する保険金支給条件審査用スマートコントラクトと、
保険の種類に応じて、前記保険金支給条件審査用スマートコントラクトが審査した、保険金支給条件を満たす、契約が終了していない保険契約の単位について、当該保険の契約者に対し、所定の保険金支給額に相当する価値を有するデジタル資産の支給を行う機能を有する保険金支給用スマートコントラクトと、
保険契約を締結後、当該保険契約が終了するまでの所定期間ごとに、当該所定期間において前記保険金支給用スマートコントラクトが支給を行った全ての保険契約の単位についての保険金支給額の総額を算出する機能を有する保険金支給総額算出用スマートコントラクトと、
前記保険契約受付用スマートコントラクトが前記保険契約項目の設定を受け付けた保険契約の単位総数と前記保険金支給総額算出用スマートコントラクトが算出した前記保険金支給総額とを用いて、当該所定期間における、保険契約1単位あたりの純保険料を算出する機能を有する純保険料算出用スマートコントラクトと、
前記保険契約の単位ごとに、デジタル資産を用いた担保の設定及び預入を受け付け、受け付けた担保を管理する機能と、管理している担保の価値として計上される金額の少なくとも一部を、前記純保険料算出用スマートコントラクトが算出した保険契約1単位あたりの純保険料に所定の管理費を加えた後払い保険料に充当する機能と、を有する担保管理用スマートコントラクトと、
を少なくとも有することを特徴とするデジタル資産を用いた保険料低減システム。
【請求項2】
当該保険の契約者から当該保険契約についての保険金の請求を受け付ける機能を有する保険金請求受付用スマートコントラクトをさらに有し、
前記保険契約受付用スマートコントラクトは、前記保険の種類が生命保険または一般的な損害保険である場合、保険契約の単位ごとに、保険金支給条件と、前記保険金支給条件に応じた保険金支給額と、を少なくとも含む保険契約項目の設定を受け付け、受け付けた保険契約項目の設定内容で当該保険契約を締結する機能を有し、
前記保険金支給条件審査用スマートコントラクトは、前記保険の種類が生命保険または一般的な損害保険である場合、前記保険契約受付用スマートコントラクトが設定を受け付けるとともに前記保険金請求受付用スマートコントラクトが請求を受け付けた、当該保険契約についての保険金支給条件の適否を審査し、審査した結果、当該保険契約が保険金支給条件を満たす場合に当該保険契約についての保険金の支給を決定する機能を有し、
前記保険金支給用スマートコントラクトは、前記保険の種類が生命保険または一般的な損害保険である場合、前記保険金支給条件審査用スマートコントラクトが保険金の支給を決定した保険契約の単位について、当該保険の契約者に対し、前記保険契約受付用スマートコントラクトが設定を受け付けた保険金支給額に相当する価値を有するデジタル資産の支給を行う機能を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載のデジタル資産を用いた保険料低減システム。
【請求項3】
スポット取引(または当日取引)での当該素材の価格情報、または先物やCFD(差金決済取引)、オプション等の取引より理論価格として導かれる当該素材の価格情報を配信する機能を有する素材価格配信用スマートコントラクトをさらに有し、
前記保険契約受付用スマートコントラクトは、前記保険の種類が素材の価格変動をヘッジする損害保険である場合、保険契約の単位ごとに、保険金支給条件としての保険金受給権行使可能価格と、保険期間と、を少なくとも含む保険契約項目の設定を受け付け、受け付けた保険契約項目の設定内容で当該保険契約を締結する機能を有し、
さらに、所定時点での前記素材価格配信用スマートコントラクトが配信した当該素材の価格と前記保険契約受付用スマートコントラクトが当該保険契約の単位において設定を受け付けた前記保険金受給権行使可能価格との差分の金額を保険金の支給額として算出する機能を有する保険金支給額算出用スマートコントラクトと、
前記素材価格配信用スマートコントラクトが配信した当該素材の価格が、前記保険契約受付用スマートコントラクトが当該保険契約の単位において設定を受け付けた前記保険金受給権行使可能価格を超えたときに、当該保険の契約者に対し、当該保険期間内に当該保険金受給権を行使可能である旨の通知を送信する機能を有する保険金受給権通知用スマートコントラクトと、
当該保険期間内において当該保険金受給権を行使可能である旨の通知を受信した当該保険の契約者からの当該保険金受給権の行使指示を受け付ける機能を有する保険金受給権行使指示受付用スマートコントラクトと、
を有し、
前記保険金支給条件審査用スマートコントラクトは、前記保険の種類が素材の価格変動をヘッジする損害保険である場合、前記素材価格配信用スマートコントラクトが配信した当該素材の価格が、前記保険契約受付用スマートコントラクトが当該保険契約の単位において設定を受け付けた前記保険金受給権行使可能価格を超えた状態を維持している状況において、前記保険金受給権行使指示受付用スマートコントラクトが当該保険金受給権の行使指示を受け付けたときに、当該保険契約についての保険金の支給を決定する機能を有し、
前記保険金支給用スマートコントラクトは、前記保険の種類が素材の価格変動をヘッジする損害保険である場合、前記保険金支給条件審査用スマートコントラクトが当該保険契約についての保険金の支給を決定した時点での前記素材価格配信用スマートコントラクトが配信した当該素材の価格と前記保険契約受付用スマートコントラクトが当該保険契約の単位において設定を受け付けた前記保険金受給権行使可能価格との差分の金額に相当する価値を有するデジタル資産を当該保険の契約者に支給し、当該保険期間の末日における所定時点までに当該保険の契約者からの当該保険金受給権の行使指示がなかった場合、前記保険金支給額算出用スマートコントラクトが保険金の支給額として算出した、当該保険期間の末日における所定時点での前記素材価格配信用スマートコントラクトが配信した当該素材の価格と前記保険契約受付用スマートコントラクトが当該保険契約の単位において設定を受け付けた前記保険金受給権行使可能価格との差分の金額に相当する価値を有するデジタル資産を当該保険の契約者に支給する機能を有する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載のデジタル資産を用いた保険料低減システム。
【請求項4】
前記素材の対象は、貴金属、非鉄金属、エネルギー、パルプ類、農作物(米、小麦、トウモロコシなど)、鉄、不動産、水、天候を含む広範囲に及ぶことを特徴とする請求項3に記載のデジタル資産を用いた保険料低減システム。
【請求項5】
前記保険契約受付用スマートコントラクトは、前記保険の種類が素材の価格変動をヘッジする損害保険である場合における保険契約の単位ごとに設定を受け付ける保険金支給条件としての保険金受給権行使可能価格を、当該素材の基準価格、該基準価格の倍率の設定によって定めるようにしたことを特徴とする請求項3または4に記載のデジタル資産を用いた保険料低減システム。
【請求項6】
前記担保管理用スマートコントラクトは、前記純保険料算出用スマートコントラクトが算出した保険契約1単位あたりの純保険料に所定の管理費を加えた金額を後払い保険料として、該担保管理用スマートコントラクトが管理している担保の価値として計上される金額から差し引く機能を有することを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載のデジタル資産を用いた保険料低減システム。
【請求項7】
前記担保管理用スマートコントラクトは、担保として設定及び預入を受け付けて管理するデジタル資産の売買を行い、売買スプレッドに相当する金額を、前記後払い保険料の少なくとも一部に充当する機能をさらに有することを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載のデジタル資産を用いた保険料低減システム。
【請求項8】
前記担保管理用スマートコントラクトは、担保として設定及び預入を受け付けて管理するデジタル資産のレンディングを行い、レンディングにより得られる賃料を、前記後払い保険料の少なくとも一部に充当する機能をさらに有することを特徴とする請求項1~7のいずれかに記載のデジタル資産を用いた保険料低減システム。
【請求項9】
前記担保管理用スマートコントラクトは、担保として設定及び預入を受け付けて管理するデジタル資産が、金利または配当付きの証券としての性質を有するSTO型トークンである場合、前記STO型トークンから得られる金利または配当に相当する金額を、前記後払い保険料の少なくとも一部に充当する機能をさらに有することを特徴とする請求項1~8のいずれかに記載のデジタル資産を用いた保険料低減システム。
【請求項10】
前記担保管理用スマートコントラクトは、担保として設定及び預入を受け付けて管理するデジタル資産が、付加価値を有するNFT(非代替性トークン)である場合、前記NFTを転売することで得られる利益を換算した金利に相当する金額を、前記後払い保険料の少なくとも一部に充当する機能をさらに有することを特徴とする請求項1~9のいずれかに記載のデジタル資産を用いた保険料低減システム。
【請求項11】
前記担保管理用スマートコントラクトは、管理する担保の価値として計上される金額が所定額以上を維持している間、当該保険契約を継続し、所定額を下回ったとき、当該保険の契約者に対し追加の担保の預入を要求する通知を送信し、当該保険の契約者から追加の担保の預入がなされなかった場合に当該保険契約を終了する機能をさらに有することを特徴とする請求項1~10のいずれかに記載のデジタル資産を用いた保険料低減システム。
【請求項12】
前記担保管理用スマートコントラクトは、担保として設定及び預入を受け付けて管理するデジタル資産の価値に応じて前記後払い保険料における前記管理費の金額を調整する機能をさらに有することを特徴とする請求項1~11のいずれかに記載のデジタル資産を用いた保険料低減システム。
【請求項13】
さらに、前記保険契約受付用スマートコントラクトが設定を受け付けた保険契約の内容と、前記担保管理用スマートコントラクトに担保として預入されているデジタル資産の増減状況と、後払い保険料の支払い履歴と、前記保険金支給用スマートコントラクトによる保険金支給額に相当する価値を有するデジタル資産の支給履歴と、を提示する機能を有する保険内容提示手段を有することを特徴とする請求項1~12のいずれかに記載のデジタル資産を用いた保険料低減システム。
【請求項14】
前記担保管理用スマートコントラクトは、担保として設定及び預入を受け付けて管理するデジタル資産の引出を所定の引出限度額の範囲に制限する機能をさらに有することを特徴とする請求項1~13のいずれかに記載のデジタル資産を用いた保険料低減システム。
【請求項15】
前記担保管理用スマートコントラクトは、担保として設定及び預入を受け付けて管理するデジタル資産が前記引出限度額の範囲を超えて引き出されたとき、当該保険契約を一時停止または解約する機能をさらに有することを特徴とする請求項14に記載のデジタル資産を用いた保険料低減システム。
【請求項16】
前記純保険料算出用スマートコントラクトは、当該保険契約が契約期間内に解約される、または、当該保険契約を一時停止後再開することにより、当該保険契約における有効期間が保険契約の全期間に満たない場合、当該保険契約における有効期間についての保険契約1単位あたりの純保険料を算出する機能を有することを特徴とする請求項1~15のいずれかに記載のデジタル資産を用いた保険料低減システム。
【請求項17】
前記保険契約受付用スマートコントラクトは、前記保険契約項目において、保険金として支給するデジタル資産の通貨の単位の設定を受け付ける機能をさらに有し、
前記保険金支給用スマートコントラクトは、前記保険契約受付用スマートコントラクトが設定を受け付けた通貨の単位に換算したデジタル資産を、前記保険金として支給する機能を有することを特徴とする請求項1~16のいずれかに記載のデジタル資産を用いた保険料低減システム。
【請求項18】
前記担保管理用スマートコントラクトは、担保としてのデジタル資産として種類の異なるトークンの組み合わせの設定を受け付ける機能と、受け付けた当該トークンの組み合わせに応じて、担保としてのデジタル資産の金額を所定の通貨単位に換算する機能と、をさらに有することを特徴とする請求項1~17のいずれかに記載のデジタル資産を用いた保険料低減システム。
【請求項19】
前記担保管理用スマートコントラクトは、担保として設定及び預入を受け付けて管理すべきデジタル資産に対し、保険の契約希望者の与信の度合いに応じた担保率を設定する機能をさらに有することを特徴とする請求項1~18のいずれかに記載のデジタル資産を用いた保険料低減システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブロックチェーン等の分散技術やスマートコントラクトを用いて構成されるデジタル資産を用いた保険料低減システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、保険について、保険契約者は、所定の機関より算出された一定金額の保険料を支払っている。
保険には、主に損害保険と生命保険がある。
【0003】
損害保険の保険料
通常、保険会社が契約者と保険契約を行う場合の保険料は、損害保険料率算出機構などが会員保険会社等から収集した大量のデータを用いて算出する。
損害保険において支払われる保険金額に対し、保険契約者が負担する保険料(の割合)を保険料(率)という。
保険料(率)は、将来、事故が発生したときに保険会社が支払う保険金に充てられる純保険料(率)と、保険会社が保険事業を営むための経費などに相当する付加保険料(率)と、で構成される。
損害保険の場合、料率算出団体が自動車保険、火災保険、傷害保険、医療費用保険、介護費用保険について、純保険料率である参考純率を算出する。
会員保険会社は、自社の保険料率を算出する際の基礎として、参考純率を使用することができる。
付加保険料(率)については、会員保険会社が独自に算出する。
そして、保険料は保険契約者の利益を保護するために「高すぎず」、また保険会社の担保力を確保するために「低すぎず」、契約者間の公平を確保するために「不当に差別的であってはならない」の「保険料率の3つの原則」に基づき、各保険会社が独自に算定する。
なお、損害保険には、上述した自動車保険、火災保険などの一般的な損害保険の他にも、資材価格が急騰したりする場合に備えた損害保険がある。この種の保険対象となり得る資材には、貴金属、非鉄金属、エネルギーなどが挙げられる。
従来、損害保険の保険料は、過去のデータに基づき将来を予測して概算で算出された一括前払いの固定料金であるため、割高となっている。
【0004】
生命保険の保険料
生命保険の保険料も、純保険料と付加保険料とで構成される。
純保険料は、生命保険会社が将来の保険金などの支払いに備える原資となる部分であり、さらに、死亡保険料と生存保険料に分かれる。死亡保険料は、保険の対象となる人が死亡したときに生命保険会社が支払う保険金の原資になる保険料であり、生存保険料は、生命保険を中途解約したときの解約返戻金、満期になったときの満期保険金の原資になる保険料である。これら死亡保険料、生存保険料は、予定死亡率、予定利率をもとに算出される。
付加保険料は、保険会社の人件費や宣伝広告費、保険契約の締結・維持管理などにかかる経費であり、予定事業費率をもとに概算で算出される。
従来、生命保険の保険料も、過去のデータに基づき将来を予測して概算で算出された前払いの固定料金であるため、割高となっている。
【0005】
しかるに、近年、後払いで保険料を低減するようにした生命保険が、例えば、次の非特許文献1に開示されている。
非特許文献1に開示の生命保険では、例えば「がん」と診断された場合、保険金として一時金80万円が支給され、保険料は保険契約者が割り勘で後日負担するものとなっている。
より詳しくは、保険契約者が仮に1万人であるとして、そのうちの2人が「がん」と診断された場合の純保険料は、保険金の出費が(80万円×2人=)160万円になることから、一人当たり160円(=160万円÷1万人)となる。この純保険料に保険契約者に負担してもらう管理費を全体の30%強付加した229円が後払い保険料となる旨が開示されている。
非特許文献1に開示の生命保険は、実際の保険金請求によって変動する。したがって、保険金等の支払いが発生しなければ、保険料が生じない。また、保険金の支払い実績に応じた手数料が管理費として徴収されることになる。このため、過去のデータに基づき将来を予測して概算で算出された前払い固定料金であった従来の生命保険に比べて、保険料が低減される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Jusincase、『わりかん がん保険』、[online]、https://p2p-cancer.justincase.jp/entry、検索日2021/09/21
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかるに、本件発明者は、考察・検討を重ねた結果、既存の損害保険、生命保険の保険料をさらに低減することが可能な技術を見出した。
【0008】
本発明は上記課題を鑑みてなされたものであり、既存の損害保険、生命保険に比べて、保険料の支払金額を低減することの可能なデジタル資産を用いた保険料低減システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明によるデジタル資産を用いた保険料低減システムは、ブロックチェーン等の分散技術とスマートコントラクトを用いて構成された、保険において保険契約者が支払うべき保険料を低減するシステムであって、保険の種類に応じて、保険契約の単位ごとに、保険金支給条件を少なくとも含む保険契約項目の設定を受け付け、受け付けた保険契約項目の設定内容で当該保険契約を締結する機能を有する保険契約受付用スマートコントラクトと、保険の種類に応じて、前記保険契約受付用スマートコントラクトが設定を受け付けた当該保険契約についての保険金支給条件の適否を審査する機能を少なくとも有する保険金支給条件審査用スマートコントラクトと、保険の種類に応じて、前記保険金支給条件審査用スマートコントラクトが審査した、保険金支給条件を満たす、契約が終了していない保険契約の単位について、当該保険の契約者に対し、所定の保険金支給額に相当する価値を有するデジタル資産の支給を行う機能を有する保険金支給用スマートコントラクトと、保険契約を締結後、当該保険契約が終了するまでの所定期間ごとに、当該所定期間において前記保険金支給用スマートコントラクトが支給を行った全ての保険契約の単位についての保険金支給額の総額を算出する機能を有する保険金支給総額算出用スマートコントラクトと、前記保険契約受付用スマートコントラクトが前記保険契約項目の設定を受け付けた保険契約の単位総数と前記保険金支給総額算出用スマートコントラクトが算出した前記保険金支給総額とを用いて、当該所定期間における、保険契約1単位あたりの純保険料を算出する機能を有する純保険料算出用スマートコントラクトと、前記保険契約の単位ごとに、デジタル資産を用いた担保の設定及び預入を受け付け、受け付けた担保を管理する機能と、管理している担保の価値として計上される金額の少なくとも一部を、前記純保険料算出用スマートコントラクトが算出した保険契約1単位あたりの純保険料に所定の管理費を加えた後払い保険料に充当する機能と、を有する担保管理用スマートコントラクトと、を少なくとも有することを特徴としている。
なお、本願明細書における「スマートコントラクト」とは、ブロックチェーン等の分散技術上で稼働する、処理を自動化するプログラムである。
【0010】
また、本発明のデジタル資産を用いた保険料低減システムにおいては、当該保険の契約者から当該保険契約についての保険金の請求を受け付ける機能を有する保険金請求受付用スマートコントラクトをさらに有し、前記保険契約受付用スマートコントラクトは、前記保険の種類が生命保険または一般的な損害保険である場合、保険契約の単位ごとに、保険金支給条件と、前記保険金支給条件に応じた保険金支給額と、を少なくとも含む保険契約項目の設定を受け付け、受け付けた保険契約項目の設定内容で当該保険契約を締結する機能を有し、前記保険金支給条件審査用スマートコントラクトは、前記保険の種類が生命保険または一般的な損害保険である場合、前記保険契約受付用スマートコントラクトが設定を受け付けるとともに前記保険金請求受付用スマートコントラクトが請求を受け付けた、当該保険契約についての保険金支給条件の適否を審査し、審査した結果、当該保険契約が保険金支給条件を満たす場合に当該保険契約についての保険金の支給を決定する機能を有し、前記保険金支給用スマートコントラクトは、前記保険の種類が生命保険または一般的な損害保険である場合、前記保険金支給条件審査用スマートコントラクトが保険金の支給を決定した保険契約の単位について、当該保険の契約者に対し、前記保険契約受付用スマートコントラクトが設定を受け付けた保険金支給額に相当する価値を有するデジタル資産の支給を行う機能を有するのが好ましい。
なお、本願明細書における「一般的な損害保険」とは、素材の価格変動をヘッジする損害保険を除いた、自動車保険、火災保険、傷害保険、医療費用保険、介護費用保険などの損害保険をいう。
【0011】
また、本発明のデジタル資産を用いた保険料低減システムにおいては、スポット取引(または当日取引)での当該素材の価格情報、または先物やCFD(差金決済取引)、オプション等の取引より理論価格として導かれる当該素材の価格情報を配信する機能を有する素材価格配信用スマートコントラクトをさらに有し、前記保険契約受付用スマートコントラクトは、前記保険の種類が素材の価格変動をヘッジする損害保険である場合、保険契約の単位ごとに、保険金支給条件としての保険金受給権行使可能価格と、保険期間と、を少なくとも含む保険契約項目の設定を受け付け、受け付けた保険契約項目の設定内容で当該保険契約を締結する機能を有し、さらに、所定時点での前記素材価格配信用スマートコントラクトが配信した当該素材の価格と前記保険契約受付用スマートコントラクトが当該保険契約の単位において設定を受け付けた前記保険金受給権行使可能価格との差分の金額を保険金の支給額として算出する機能を有する保険金支給額算出用スマートコントラクトと、前記素材価格配信用スマートコントラクトが配信した当該素材の価格が、前記保険契約受付用スマートコントラクトが当該保険契約の単位において設定を受け付けた前記保険金受給権行使可能価格を超えたときに、当該保険の契約者に対し、当該保険期間内に当該保険金受給権を行使可能である旨の通知を送信する機能を有する保険金受給権通知用スマートコントラクトと、当該保険期間内において当該保険金受給権を行使可能である旨の通知を受信した当該保険の契約者からの当該保険金受給権の行使指示を受け付ける機能を有する保険金受給権行使指示受付用スマートコントラクトと、を有し、前記保険金支給条件審査用スマートコントラクトは、前記保険の種類が素材の価格変動をヘッジする損害保険である場合、前記素材価格配信用スマートコントラクトが配信した当該素材の価格が、前記保険契約受付用スマートコントラクトが当該保険契約の単位において設定を受け付けた前記保険金受給権行使可能価格を超えた状態を維持している状況において、前記保険金受給権行使指示受付用スマートコントラクトが当該保険金受給権の行使指示を受け付けたときに、当該保険契約についての保険金の支給を決定する機能を有し、前記保険金支給用スマートコントラクトは、前記保険の種類が素材の価格変動をヘッジする損害保険である場合、前記保険金支給条件審査用スマートコントラクトが当該保険契約についての保険金の支給を決定した時点での前記素材価格配信用スマートコントラクトが配信した当該素材の価格と前記保険契約受付用スマートコントラクトが当該保険契約の単位において設定を受け付けた前記保険金受給権行使可能価格との差分の金額に相当する価値を有するデジタル資産を当該保険の契約者に支給し、当該保険期間の末日における所定時点までに当該保険の契約者からの当該保険金受給権の行使指示がなかった場合、前記保険金支給額算出用スマートコントラクトが保険金の支給額として算出した、当該保険期間の末日における所定時点での前記素材価格配信用スマートコントラクトが配信した当該素材の価格と前記保険契約受付用スマートコントラクトが当該保険契約の単位において設定を受け付けた前記保険金受給権行使可能価格との差分の金額に相当する価値を有するデジタル資産を当該保険の契約者に支給する機能を有するのが好ましい。
【0012】
また、本発明のデジタル資産を用いた保険料低減システムにおいては、前記素材の対象は、貴金属、非鉄金属、エネルギー、パルプ類、農作物(米、小麦、トウモロコシなど)、鉄、不動産、水、天候を含む広範囲に及ぶのが好ましい。
【0013】
また、本発明のデジタル資産を用いた保険料低減システムにおいては、前記保険契約受付用スマートコントラクトは、前記保険の種類が素材の価格変動をヘッジする損害保険である場合における保険契約の単位ごとに設定を受け付ける保険金支給条件としての保険金受給権行使可能価格を、当該素材の基準価格、該基準価格の倍率の設定によって定めるようにするのが好ましい。
【0014】
また、本発明のデジタル資産を用いた保険料低減システムにおいては、前記担保管理用スマートコントラクトは、前記純保険料算出用スマートコントラクトが算出した保険契約1単位あたりの純保険料に所定の管理費を加えた金額を後払い保険料として、該担保管理用スマートコントラクトが管理している担保の価値として計上される金額から差し引く機能を有するのが好ましい。
【0015】
また、本発明のデジタル資産を用いた保険料低減システムにおいては、前記担保管理用スマートコントラクトは、担保として設定及び預入を受け付けて管理するデジタル資産の売買を行い、売買スプレッドに相当する金額を、前記後払い保険料の少なくとも一部に充当する機能をさらに有するのが好ましい。
【0016】
また、本発明のデジタル資産を用いた保険料低減システムにおいては、前記担保管理用スマートコントラクトは、担保として設定及び預入を受け付けて管理するデジタル資産のレンディングを行い、レンディングにより得られる賃料を、前記後払い保険料の少なくとも一部に充当する機能をさらに有するのが好ましい。
【0017】
また、本発明のデジタル資産を用いた保険料低減システムにおいては、前記担保管理用スマートコントラクトは、担保として設定及び預入を受け付けて管理するデジタル資産が、金利または配当付きの証券としての性質を有するSTO型トークンである場合、前記STO型トークンから得られる金利または配当に相当する金額を、前記後払い保険料の少なくとも一部に充当する機能をさらに有するのが好ましい。
【0018】
また、本発明のデジタル資産を用いた保険料低減システムにおいては、前記担保管理用スマートコントラクトは、担保として設定及び預入を受け付けて管理するデジタル資産が、付加価値を有するNFT(非代替性トークン)である場合、前記NFTを転売することで得られる利益を換算した金利に相当する金額を、前記後払い保険料の少なくとも一部に充当する機能をさらに有するのが好ましい。
【0019】
また、本発明のデジタル資産を用いた保険料低減システムにおいては、前記担保管理用スマートコントラクトは、管理する担保の価値として計上される金額が所定額以上を維持している間、当該保険契約を継続し、所定額を下回ったとき、当該保険の契約者に対し追加の担保の預入を要求する通知を送信し、当該保険の契約者から追加の担保の預入がなされなかった場合に当該保険契約を終了する機能をさらに有するのが好ましい。
【0020】
また、本発明のデジタル資産を用いた保険料低減システムにおいては、前記担保管理用スマートコントラクトは、担保として設定及び預入を受け付けて管理するデジタル資産の価値に応じて前記後払い保険料における前記管理費の金額を調整する機能をさらに有するのが好ましい。
【0021】
また、本発明のデジタル資産を用いた保険料低減システムにおいては、さらに、前記保険契約受付用スマートコントラクトが設定を受け付けた保険契約の内容と、前記担保管理用スマートコントラクトに担保として預入されているデジタル資産の増減状況と、後払い保険料の支払い履歴と、前記保険金支給用スマートコントラクトによる保険金支給額に相当する価値を有するデジタル資産の支給履歴と、を提示する保険内容提示手段を有するのが好ましい。
【0022】
また、本発明のデジタル資産を用いた保険料低減システムにおいては、前記担保管理用スマートコントラクトは、担保として設定及び預入を受け付けて管理するデジタル資産の引出を所定の引出限度額の範囲に制限する機能をさらに有するのが好ましい。
【0023】
また、本発明のデジタル資産を用いた保険料低減システムにおいては、前記担保管理用スマートコントラクトは、担保として設定及び預入を受け付けて管理するデジタル資産が前記引出限度額の範囲を超えて引き出されたとき、当該保険契約を一時停止または解約する機能をさらに有するのが好ましい。
【0024】
また、本発明のデジタル資産を用いた保険料低減システムにおいては、前記純保険料算出用スマートコントラクトは、当該保険契約が契約期間内に解約される、または、当該保険契約を一時停止後再開することにより、当該保険契約における有効期間が保険契約の全期間に満たない場合、当該保険契約における有効期間についての保険契約1単位あたりの純保険料を算出する機能を有するのが好ましい。
【0025】
また、本発明のデジタル資産を用いた保険料低減システムにおいては、前記保険契約受付用スマートコントラクトは、前記保険契約項目において、保険金として支給するデジタル資産の通貨の単位の設定を受け付ける機能をさらに有し、前記保険金支給用スマートコントラクトは、前記保険契約受付用スマートコントラクトが設定を受け付けた通貨の単位に換算したデジタル資産を、前記保険金として支給する機能を有するのが好ましい。
【0026】
また、本発明のデジタル資産を用いた保険料低減システムにおいては、前記担保管理用スマートコントラクトは、担保としてのデジタル資産として種類の異なるトークンの組み合わせの設定を受け付ける機能と、受け付けた当該トークンの組み合わせに応じて、担保としてのデジタル資産の金額を所定の通貨単位に換算する機能と、をさらに有するのが好ましい。
【0027】
また、本発明のデジタル資産を用いた保険料低減システムにおいては、前記担保管理用スマートコントラクトは、担保として設定及び預入を受け付けて管理すべきデジタル資産に対し、保険の契約希望者の与信の度合いに応じた担保率を設定する機能をさらに有するのが好ましい。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、既存の損害保険、生命保険に比べて、保険料の支払金額を低減することの可能なデジタル資産を用いた保険料低減システムが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の一実施形態にかかるデジタル資産を用いた保険料低減システムの構成を概念的に示すブロック図である。
図2図1のデジタル資産を用いた保険料低減システムにおける保険契約受付用スマートコントラクトの構成及び機能を概念的に示す説明図である。
図3図1のデジタル資産を用いた保険料低減システムにおける保険金支給条件審査用スマートコントラクトの構成及び機能を概念的に示す説明図である。
図4図1のデジタル資産を用いた保険料低減システムにおける保険金支給用スマートコントラクトの構成及び機能を概念的に示す説明図である。
図5図1のデジタル資産を用いた保険料低減システムにおける保険金支給総額算出用スマートコントラクトの構成及び機能を概念的に示す説明図である。
図6図1のデジタル資産を用いた保険料低減システムにおける純保険料算出用スマートコントラクトの構成及び機能を概念的に示す説明図である。
図7図1のデジタル資産を用いた保険料低減システムにおける担保管理用スマートコントラクトの構成及び機能の一部分を概念的に示す説明図である。
図8図7の担保管理用スマートコントラクトの構成及び機能の残りの部分を概念的に示す説明図である。
図9図1のデジタル資産を用いた保険料低減システムにおける保険金請求受付用スマートコントラクトの構成及び機能を概念的に示す説明図である。
図10図1のデジタル資産を用いた保険料低減システムにおける素材価格配信用スマートコントラクトの構成及び機能を概念的に示す説明図である。
図11図1のデジタル資産を用いた保険料低減システムにおける保険金支給額算出用スマートコントラクトの構成及び機能を概念的に示す説明図である。
図12図1のデジタル資産を用いた保険料低減システムにおける保険金受給権通知用スマートコントラクトの構成及び機能を概念的に示す説明図である。
図13図1のデジタル資産を用いた保険料低減システムにおける保険金受給権行使指示受付用スマートコントラクトの構成及び機能を概念的に示す説明図である。
図14図1のデジタル資産を用いた保険料低減システムにおける保険内容提示手段の構成及び機能を概念的に示す説明図である。
図15図1のデジタル資産を用いた保険料低減システムを用いた、保険の種類が素材の価格変動をヘッジする損害保険である場合の契約締結処理の流れの一例を示す説明図である。
図16図1のデジタル資産を用いた保険料低減システムを用いた、保険の種類が素材の価格変動をヘッジする損害保険である場合の保険金の支給処理の流れの一例における一部分の処理を示す説明図である。
図17図1のデジタル資産を用いた保険料低減システムを用いた、保険の種類が素材の価格変動をヘッジする損害保険である場合の保険金の支給処理の流れの一例における図16の続き部分の処理を示す説明図である。
図18図1のデジタル資産を用いた保険料低減システムを用いた、保険の種類が素材の価格変動をヘッジする損害保険である場合の保険金の支給処理の流れの一例における図17の続き部分の処理を示す説明図である。
図19図1のデジタル資産を用いた保険料低減システムを用いた、保険の種類が素材の価格変動をヘッジする損害保険である場合の保険料の支払い処理の流れの一例における一部分の処理を示す説明図である。
図20図1のデジタル資産を用いた保険料低減システムを用いた、保険の種類が素材の価格変動をヘッジする損害保険である場合の保険料の支払い処理の流れの一例における図19の続き部分の処理を示す説明図である。
図21図1のデジタル資産を用いた保険料低減システムを用いた、保険の種類が素材の価格変動をヘッジする損害保険である場合の保険料の支払い処理の流れの一例における図20の続き部分の処理を示す説明図である。
図22図1のデジタル資産を用いた保険料低減システムを用いた、保険の種類が生命保険または一般的な損害保険である場合の契約締結処理の流れの一例を示す説明図である。
図23図1のデジタル資産を用いた保険料低減システムを用いた、保険の種類が生命保険または一般的な損害保険である場合の保険金の支給処理の流れの一例における一部分の処理を示す説明図である。
図24図1のデジタル資産を用いた保険料低減システムを用いた、保険の種類が生命保険または一般的な損害保険である場合の保険金の支給処理の流れの一例における図23の続き部分の処理を示す説明図である。
図25図1のデジタル資産を用いた保険料低減システムを用いた、保険の種類が生命保険または一般的な損害保険である場合の保険料の支払い処理の流れの一例における一部分の処理を示す説明図である。
図26図1のデジタル資産を用いた保険料低減システムを用いた、保険の種類が生命保険または一般的な損害保険である場合の保険料の支払い処理の流れの一例における図25の続き部分の処理を示す説明図である。
図27図1のデジタル資産を用いた保険料低減システムを用いた、保険の種類が生命保険または一般的な損害保険である場合の保険料の支払い処理の流れの一例における図26の続き部分の処理を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
実施形態の説明に先立ち、本発明を導出するに至った経緯及び本発明の作用効果について説明する。
上述のように、本件発明者は、従来の損害保険、生命保険の保険料について、考察・検討を重ねた。
従来の損害保険や生命保険の保険料のように、過去のデータに基づき将来を予測して概算で算出された固定額を前払いするのでは、実際に要した費用を上回る金額が保険料として計上され、割高になり易い。この点に関しては、非特許文献1に開示の生命保険のように、保険金の支払い実績に応じて算出すれば、保険料が低減できると考えられる。
但し、非特許文献1に開示の生命保険であっても、付加手数料における与信管理などの管理費のコストを抑えることについての改善点が内在すると考えられる。
この管理費をさらに下げることができれば、既存の保険における保険料を一層低減できると考えられる。
【0031】
ところで、本件発明者は、ブロックチェーン等の分散技術やスマートコントラクトを用いたデジタル資産の取引を行うためのシステムを構築すべく、様々な視点から考察・検討を行っている。
【0032】
そこで、本件発明者は、ブロックチェーン等の分散技術やスマートコントラクトを用いて、既存の損害保険、生命保険に比べて、保険料の支払金額を低減可能なシステムを構築すべく考察・検討を重ねた末、本発明のデジタル資産を用いた保険料低減システムを導出するに至った。
【0033】
本発明のデジタル資産を用いた保険料低減システムは、ブロックチェーン等の分散技術とスマートコントラクトを用いて構成された、保険において保険契約者が支払うべき保険料を低減するシステムであって、保険の種類に応じて、保険契約の単位ごとに、保険金支給条件を少なくとも含む保険契約項目の設定を受け付け、受け付けた保険契約項目の設定内容で当該保険契約を締結する機能を有する保険契約受付用スマートコントラクトと、保険の種類に応じて、前記保険契約受付用スマートコントラクトが設定を受け付けた当該保険契約についての保険金支給条件の適否を審査する機能を少なくとも有する保険金支給条件審査用スマートコントラクトと、保険の種類に応じて、前記保険金支給条件審査用スマートコントラクトが審査した、保険金支給条件を満たす、契約が終了していない保険契約の単位について、当該保険の契約者に対し、所定の保険金支給額に相当する価値を有するデジタル資産の支給を行う機能を有する保険金支給用スマートコントラクトと、保険契約を締結後、当該保険契約が終了するまでの所定期間ごとに、当該所定期間において前記保険金支給用スマートコントラクトが支給を行った全ての保険契約の単位についての保険金支給額の総額を算出する機能を有する保険金支給総額算出用スマートコントラクトと、前記保険契約受付用スマートコントラクトが前記保険契約項目の設定を受け付けた保険契約の単位総数と前記保険金支給総額算出用スマートコントラクトが算出した前記保険金支給総額とを用いて、当該所定期間における、保険契約1単位あたりの純保険料を算出する機能を有する純保険料算出用スマートコントラクトと、前記保険契約の単位ごとに、デジタル資産を用いた担保の設定及び預入を受け付け、受け付けた担保を管理する機能と、管理している担保の価値として計上される金額の少なくとも一部を、前記純保険料算出用スマートコントラクトが算出した保険契約1単位あたりの純保険料に所定の管理費を加えた後払い保険料に充当する機能と、を有する担保管理用スマートコントラクトと、を少なくとも有して構成されている。
【0034】
本発明のデジタル資産を用いた保険料低減システムのように、保険契約を締結後、当該保険契約が終了するまでの所定期間ごとに、当該所定期間において保険金支給用スマートコントラクトが支給を行った全ての保険契約の単位についての保険金支給額の総額を算出する機能を有する保険金支給総額算出用スマートコントラクトと、保険契約受付用スマートコントラクトが保険契約項目の設定を受け付けた保険契約の単位総数と保険金支給総額算出用スマートコントラクトが算出した保険金支給総額とを用いて、当該所定期間における、保険契約1単位あたりの純保険料を算出する機能を有する純保険料算出用スマートコントラクトと、管理している担保の価値として計上される金額の少なくとも一部を、保険契約の単位ごとに、デジタル資産を用いた担保の設定及び預入を受け付け、受け付けた担保を管理する機能と、純保険料算出用スマートコントラクトが算出した保険契約1単位あたりの純保険料に所定の管理費を加えた後払い保険料に充当する機能と、を有する担保管理用スマートコントラクトと、を少なくとも有して構成すれば、支払うべき保険料を、所定期間において、実際に支給した保険金に基づいて算出した純保険料に所定の管理費を加えて後払いの保険料とすることができる。
即ち、本発明のデジタル資産を用いた保険料低減システムのように構成すれば、従来の損害保険や生命保険の保険料のように、過去のデータに基づき将来を予測して概算で算出された固定額を前払いするために、実際に要した費用を上回る金額が計上されて高額になり易い保険料とは異なり、保険契約を締結後、当該保険契約が終了するまでの所定期間ごとに、当該所定期間における保険金の支払い実績に応じた保険料を算出することができ、保険料を低減できる。
【0035】
しかも、本発明のデジタル資産を用いた保険料低減システムのように、担保管理用スマートコントラクトが、デジタル資産を用いた担保の設定及び預入を受け付け、受け付けた担保を管理する機能を有するように構成すれば、保険の契約者の保険料の支払い拒否(未回収金)リスクや、その対応の手間に要するコストなど、保険の契約者による保険料の支払いが滞りなくなされているか否かをチェックし、保険料の支払いが滞っているときには、支払いを催促し、保険料の支払いがなされなかったときに、保険契約を解除する等の与信管理などのコストをカットすることができ、保険料をより一層低減することができる。
【0036】
加えて、本発明のデジタル資産を用いた保険料低減システムのように、担保管理用スマートコントラクトが、管理している担保の価値として計上される金額の少なくとも一部を、前記純保険料算出用スマートコントラクトが算出した保険契約1単位あたりの純保険料に所定の管理費を加えた後払い保険料に充当する機能を有するように構成すれば、支払うべき保険料の負担を低減することができる。
【0037】
このため、本発明のデジタル資産を用いた保険料低減システムのように構成すれば、既存の損害保険、生命保険に比べて、保険料の支払金額を低減することが可能となる。
【0038】
また、本発明のデジタル資産を用いた保険料低減システムは、好ましくは、当該保険の契約者から当該保険契約についての保険金の請求を受け付ける機能を有する保険金請求受付用スマートコントラクトをさらに有し、前記保険契約受付用スマートコントラクトは、前記保険の種類が生命保険または一般的な損害保険である場合、保険契約の単位ごとに、保険金支給条件と、前記保険金支給条件に応じた保険金支給額と、を少なくとも含む保険契約項目の設定を受け付け、受け付けた保険契約項目の設定内容で当該保険契約を締結する機能を有し、前記保険金支給条件審査用スマートコントラクトは、前記保険の種類が生命保険または一般的な損害保険である場合、前記保険契約受付用スマートコントラクトが設定を受け付けるとともに前記保険金請求受付用スマートコントラクトが請求を受け付けた、当該保険契約についての保険金支給条件の適否を審査し、審査した結果、当該保険契約が保険金支給条件を満たす場合に当該保険契約についての保険金の支給を決定する機能を有し、前記保険金支給用スマートコントラクトは、前記保険の種類が生命保険または一般的な損害保険である場合、前記保険金支給条件審査用スマートコントラクトが保険金の支給を決定した保険契約の単位について、当該保険の契約者に対し、前記保険契約受付用スマートコントラクトが設定を受け付けた保険金支給額に相当する価値を有するデジタル資産の支給を行う機能を有して構成されている。
このようにすれば、生命保険や一般的な損害保険の保険料の支払金額を、既存の損害保険、生命保険に比べて低減することの可能なデジタル資産を用いた保険料低減システムを具現化できる。
【0039】
また、本発明のデジタル資産を用いた保険料低減システムは、好ましくは、スポット取引(または当日取引)での当該素材の価格情報、または先物やCFD(差金決済取引)、オプション等の取引より理論価格として導かれる当該素材の価格情報を配信する機能を有する素材価格配信用スマートコントラクトをさらに有し、前記保険契約受付用スマートコントラクトは、前記保険の種類が素材の価格変動をヘッジする損害保険である場合、保険契約の単位ごとに、保険金支給条件としての保険金受給権行使可能価格と、保険期間と、を少なくとも含む保険契約項目の設定を受け付け、受け付けた保険契約項目の設定内容で当該保険契約を締結する機能を有し、さらに、所定時点での前記素材価格配信用スマートコントラクトが配信した当該素材の価格と前記保険契約受付用スマートコントラクトが当該保険契約の単位において設定を受け付けた前記保険金受給権行使可能価格との差分の金額を保険金の支給額として算出する機能を有する保険金支給額算出用スマートコントラクトと、前記素材価格配信用スマートコントラクトが配信した当該素材の価格が、前記保険契約受付用スマートコントラクトが当該保険契約の単位において設定を受け付けた前記保険金受給権行使可能価格を超えたときに、当該保険の契約者に対し、当該保険期間内に当該保険金受給権を行使可能である旨の通知を送信する機能を有する保険金受給権通知用スマートコントラクトと、当該保険期間内において当該保険金受給権を行使可能である旨の通知を受信した当該保険の契約者からの当該保険金受給権の行使指示を受け付ける機能を有する保険金受給権行使指示受付用スマートコントラクトと、を有し、前記保険金支給条件審査用スマートコントラクトは、前記保険の種類が素材の価格変動をヘッジする損害保険である場合、前記素材価格配信用スマートコントラクトが配信した当該素材の価格が、前記保険契約受付用スマートコントラクトが当該保険契約の単位において設定を受け付けた前記保険金受給権行使可能価格を超えた状態を維持している状況において、前記保険金受給権行使指示受付用スマートコントラクトが当該保険金受給権の行使指示を受け付けたときに、当該保険契約についての保険金の支給を決定する機能を有し、前記保険金支給用スマートコントラクトは、前記保険の種類が素材の価格変動をヘッジする損害保険である場合、前記保険金支給条件審査用スマートコントラクトが当該保険契約についての保険金の支給を決定した時点での前記素材価格配信用スマートコントラクトが配信した当該素材の価格と前記保険契約受付用スマートコントラクトが当該保険契約の単位において設定を受け付けた前記保険金受給権行使可能価格との差分の金額に相当する価値を有するデジタル資産を当該保険の契約者に支給し、当該保険期間の末日における所定時点までに当該保険の契約者からの当該保険金受給権の行使指示がなかった場合、前記保険金支給額算出用スマートコントラクトが保険金の支給額として算出した、当該保険期間の末日における所定時点での前記素材価格配信用スマートコントラクトが配信した当該素材の価格と前記保険契約受付用スマートコントラクトが当該保険契約の単位において設定を受け付けた前記保険金受給権行使可能価格との差分の金額に相当する価値を有するデジタル資産を当該保険の契約者に支給する機能を有して構成されている。
このようにすれば、素材の価格変動をヘッジする損害保険の保険料の支払金額を、既存の素材の価格変動をヘッジする損害保険に比べて低減することの可能なデジタル資産を用いた保険料低減システムを具現化できる。
【0040】
また、本発明のデジタル資産を用いた保険料低減システムは、好ましくは、前記素材の対象は、貴金属、非鉄金属、エネルギー、パルプ類、農作物(米、小麦、トウモロコシなど)、鉄、不動産、水、天候を含む広範囲に及ぶ。
このようにすれば、広範囲に及ぶ多種類の素材について、素材の価格変動をヘッジする損害保険の保険料の支払金額を、既存の素材の価格変動をヘッジする損害保険に比べて低減することが可能となる。
【0041】
また、本発明のデジタル資産を用いた保険料低減システムは、好ましくは、前記保険契約受付用スマートコントラクトは、前記保険の種類が素材の価格変動をヘッジする損害保険である場合における保険契約の単位ごとに設定を受け付ける保険金支給条件としての保険金受給権行使可能価格を、当該素材の基準価格、該基準価格の倍率の設定によって定めるように構成されている。
このようにすれば、保険の契約者は、素材価格の急騰に対する保険金受給権行使可能価格の設定がし易くなる。
【0042】
また、本発明のデジタル資産を用いた保険料低減システムは、好ましくは、前記担保管理用スマートコントラクトは、前記純保険料算出用スマートコントラクトが算出した保険契約1単位あたりの純保険料に所定の管理費を加えた金額を後払い保険料として、該担保管理用スマートコントラクトが管理している担保の価値として計上される金額から差し引く機能を有して構成されている。
このようにすれば、支払うべき保険料の負担を低減することが可能となることを具現化できる。
【0043】
また、本発明のデジタル資産を用いた保険料低減システムは、好ましくは、前記担保管理用スマートコントラクトは、担保として設定及び預入を受け付けて管理するデジタル資産の売買を行い、売買スプレッドに相当する金額を、前記後払い保険料の少なくとも一部に充当する機能をさらに有して構成されている。
このようにすれば、担保を活用して得た金額を保険料に充当することにより、支払うべき保険料の負担を低減することが可能となることを具現化できる。
【0044】
また、本発明のデジタル資産を用いた保険料低減システムは、好ましくは、前記担保管理用スマートコントラクトは、担保として設定及び預入を受け付けて管理するデジタル資産のレンディングを行い、レンディングにより得られる賃料を、前記後払い保険料の少なくとも一部に充当する機能をさらに有して構成されている。
このようにしても、担保を活用して得た金額を保険料に充当することにより、支払うべき保険料の負担を低減することが可能となることを具現化できる。
【0045】
また、本発明のデジタル資産を用いた保険料低減システムは、好ましくは、前記担保管理用スマートコントラクトは、担保として設定及び預入を受け付けて管理するデジタル資産が、金利または配当付きの証券としての性質を有するSTO型トークンである場合、前記STO型トークンから得られる金利または配当に相当する金額を、前記後払い保険料の少なくとも一部に充当する機能をさらに有して構成されている。
このようにしても、担保を活用して得た金額を保険料に充当することにより、支払うべき保険料の負担を低減することが可能となることを具現化できる。
【0046】
また、本発明のデジタル資産を用いた保険料低減システムは、好ましくは、前記担保管理用スマートコントラクトは、担保として設定及び預入を受け付けて管理するデジタル資産が、付加価値を有するNFT(非代替性トークン)である場合、前記NFTを転売することで得られる利益を換算した金利に相当する金額を、前記後払い保険料の少なくとも一部に充当する機能をさらに有する。
このようにしても、担保を活用して得た金額を保険料に充当することにより、支払うべき保険料の負担を低減することが可能となることを具現化できる。
【0047】
また、本発明のデジタル資産を用いた保険料低減システムは、好ましくは、前記担保管理用スマートコントラクトは、管理する担保の価値として計上される金額が所定額以上を維持している間、当該保険契約を継続し、所定額を下回ったとき、当該保険の契約者に対し追加の担保の預入を要求する通知を送信し、当該保険の契約者から追加の担保の預入がなされなかった場合に当該保険契約を終了する機能をさらに有して構成されている。
このようにすれば、保険会社の与信管理コストを軽減でき、その分、保険料を低減することが可能となる。
【0048】
また、本発明のデジタル資産を用いた保険料低減システムは、好ましくは、前記担保管理用スマートコントラクトは、担保として設定及び預入を受け付けて管理するデジタル資産の価値に応じて前記後払い保険料における前記管理費の金額を調整する機能をさらに有して構成されている。
このようにすれば、保険の契約者が担保としての価値の高いデジタル資産を担保とした場合に、保険料をより一層低減することが可能となる。
【0049】
また、本発明のデジタル資産を用いた保険料低減システムは、好ましくは、さらに、前記保険契約受付用スマートコントラクトが設定を受け付けた保険契約の内容と、前記担保管理用スマートコントラクトに担保として預入されているデジタル資産の増減状況と、後払い保険料の支払い履歴と、前記保険金支給用スマートコントラクトによる保険金支給額に相当する価値を有するデジタル資産の支給履歴と、を提示する保険内容提示手段を有して構成されている。
このようにすれば、保険の契約者が、保険の契約内容や、担保として預入しているデジタル資産の状況や、後払い保険料の支払い履歴等を容易に確認することが可能となる。
【0050】
また、本発明のデジタル資産を用いた保険料低減システムは、好ましくは、前記担保管理用スマートコントラクトは、担保として設定及び預入を受け付けて管理するデジタル資産の引出を所定の引出限度額の範囲に制限する機能をさらに有して構成されている。
このようにすれば、保険契約期間中に担保不足により後払い保険料が支払われなくなる状況を未然に回避し易くなる。
【0051】
また、本発明のデジタル資産を用いた保険料低減システムは、好ましくは、前記担保管理用スマートコントラクトは、担保として設定及び預入を受け付けて管理するデジタル資産が前記引出限度額の範囲を超えて引き出されたとき、当該保険契約を一時停止または解約する機能をさらに有して構成されている。
このようにすれば、担保不足により後払い保険料が支払われなくなる一方で、支給される可能性のある保険金が算出されるようなことを未然に防止できる。
【0052】
また、本発明のデジタル資産を用いた保険料低減システムは、好ましくは、前記純保険料算出用スマートコントラクトは、当該保険契約が契約期間内に解約される、または、当該保険契約を一時停止後再開することにより、当該保険契約における有効期間が保険契約の全期間に満たない場合、当該保険契約における有効期間についての保険契約1単位あたりの純保険料を算出する機能を有して構成されている。
このようにすれば、保険の契約者が支払うべき後払い保険料を保険契約の有効期間に応じて低減することが可能となる。
【0053】
また、本発明のデジタル資産を用いた保険料低減システムは、好ましくは、前記保険契約受付用スマートコントラクトは、前記保険契約項目において、保険金として支給するデジタル資産の通貨の単位の設定を受け付ける機能をさらに有し、前記保険金支給用スマートコントラクトは、前記保険契約受付用スマートコントラクトが設定を受け付けた通貨の単位に換算したデジタル資産を、前記保険金として支給する機能を有して構成されている。
このようにすれば、保険の契約者は、所望の通貨の単位のデジタル資産で保険金を受給することが可能となる。
【0054】
また、本発明のデジタル資産を用いた保険料低減システムは、好ましくは、前記担保管理用スマートコントラクトは、担保としてのデジタル資産として種類の異なるトークンの組み合わせの設定を受け付ける機能と、受け付けた当該トークンの組み合わせに応じて、担保としてのデジタル資産の金額を所定の通貨単位に換算する機能と、をさらに有して構成されている。
このようにすれば、保険の契約者は、複数種類のトークンを担保として設定することが可能となる。
【0055】
また、本発明のデジタル資産を用いた保険料低減システムは、好ましくは、前記担保管理用スマートコントラクトは、担保として設定及び預入を受け付けて管理すべきデジタル資産に対し、保険の契約希望者の与信の度合いに応じた担保率を設定する機能をさらに有して構成されている。
このようにすれば、保険の契約者からの後払い保険料の未徴収を防止し易くなる一方、与信の高い保険の契約希望者に対する担保の設定を不要化することが可能となる。
【0056】
従って、本発明によれば、既存の損害保険、生命保険に比べて、保険料の支払金額を低減することの可能なデジタル資産を用いた保険料低減システムが得られる。
【0057】
以下、本発明の実施形態について、適宜、図面を参照して説明する。
図1は本発明の一実施形態にかかるデジタル資産を用いた保険料低減システムの構成を概念的に示すブロック図である。
本実施形態のデジタル資産を用いた保険料低減システム1は、ブロックチェーン等の分散技術とスマートコントラクトを用いて構成された、保険において保険契約者が支払うべき保険料を低減するシステムであって、例えば、図1に示すように、保険契約受付用スマートコントラクト11と、保険金支給条件審査用スマートコントラクト12と、保険金支給用スマートコントラクト13と、保険金支給総額算出用スマートコントラクト14と、純保険料算出用スマートコントラクト15と、担保管理用スマートコントラクト16と、保険金請求受付用スマートコントラクト17と、素材価格配信用スマートコントラクト18と、保険金支給額算出用スマートコントラクト19と、保険金受給権通知用スマートコントラクト20と、保険金受給権行使指示受付用スマートコントラクト21と、保険内容提示手段22を有して構成されている。なお、図1中、30は保険の契約者(または保険の契約希望者)、40は保険会社である。
また、本実施形態のデジタル資産を用いた保険料低減システム1においては、コンピュータの端末や、携帯情報端末等の他の電子機器の画面表示部と入力部を有する図示しない入力手段を介して、入力されたIDについて、個人はマイナンバー、法人は法人番号を用いた本人確認処理を自動で行い、上記各スマートコントラクトは、承認されたIDに対して処理を行う。
【0058】
保険契約受付用スマートコントラクト11は、コンピュータの端末や、携帯情報端末等の他の電子機器の画面表示部と入力部を有する図示しない入力手段を介して、例えば、図2に示すように、保険の種類に応じて、保険契約の単位ごとに、保険金支給条件を少なくとも含む保険契約項目の設定を受け付け、受け付けた保険契約項目の設定内容で当該保険契約を締結する機能を有して構成されている。
より詳しくは、保険契約受付用スマートコントラクト11は、保険の種類が生命保険または一般的な損害保険である場合、保険契約の単位ごとに、保険金支給条件と、保険金支給条件に応じた保険金支給額と、を少なくとも含む保険契約項目の設定を受け付け、受け付けた保険契約項目の設定内容で当該保険契約を締結する機能を有して構成されている。
また、保険契約受付用スマートコントラクト11は、保険の種類が素材の価格変動をヘッジする損害保険である場合、保険契約の単位ごとに、保険金支給条件としての保険金受給権行使可能価格と、保険期間と、を少なくとも含む保険契約項目の設定を受け付け、受け付けた保険契約項目の設定内容で当該保険契約を締結する機能を有して構成されている。
素材としては、例えば、貴金属、非鉄金属、エネルギー、パルプ類、農作物(米、小麦、トウモロコシなど)、鉄、不動産、水、天候が挙げられ、広範囲に及ぶ。
また、保険契約受付用スマートコントラクト11は、保険の種類が素材の価格変動をヘッジする損害保険である場合における保険契約の単位ごとに設定を受け付ける保険金支給条件としての保険金受給権行使可能価格を、当該素材の基準価格、該基準価格の倍率の設定によって定めるように構成されている。
また、保険契約受付用スマートコントラクト11は、保険契約項目において、保険金として支給するデジタル資産の通貨の単位の設定を受け付ける機能をさらに有して構成されている。
なお、「保険の種類」は、コンピュータの端末や、携帯情報端末等の他の電子機器の画面表示部と入力部を有する図示しない入力手段に選択入力項目として備えられている。そして、本実施形態のデジタル資産を用いた保険料低減システム1では、保険契約受付用スマートコントラクト11、保険金支給条件審査用スマートコントラクト12、保険金支給用スマートコントラクト13は、入力手段を介して選択入力された保険の種類に応じた処理を行うように構成されている。
【0059】
保険金支給条件審査用スマートコントラクト12は、例えば、図3に示すように、保険の種類に応じて、保険契約受付用スマートコントラクト11が設定を受け付けた当該保険契約についての保険金支給条件の適否を審査する機能を少なくとも有して構成されている。
詳しくは、保険金支給条件審査用スマートコントラクト12は、保険の種類が生命保険または一般的な損害保険である場合、保険契約受付用スマートコントラクト11が設定を受け付けるとともに保険金請求受付用スマートコントラクト17が請求を受け付けた、当該保険契約についての保険金支給条件の適否を審査し、審査した結果、当該保険契約が保険金支給条件を満たす場合に当該保険契約についての保険金の支給を決定する機能を有して構成されている。
また、保険金支給条件審査用スマートコントラクト12は、保険の種類が素材の価格変動をヘッジする損害保険である場合、素材価格配信用スマートコントラクト18が配信した当該素材の価格が、保険契約受付用スマートコントラクト11が当該保険契約の単位において設定を受け付けた保険金受給権行使可能価格を超えた状態を維持している状況において、保険金受給権行使指示受付用スマートコントラクト21が当該保険金受給権の行使指示を受け付けたときに、当該保険契約についての保険金の支給を決定する機能を有して構成されている。
【0060】
保険金支給用スマートコントラクト13は、例えば、図4に示すように、保険の種類に応じて、保険金支給条件審査用スマートコントラクト12が審査した、保険金支給条件を満たす、契約が終了していない保険契約の単位について、当該保険の契約者30に対し、所定の保険金支給額に相当する価値を有するデジタル資産の支給を行う機能を有して構成されている。
より詳しくは、保険金支給用スマートコントラクト13は、保険の種類が生命保険または一般的な損害保険である場合、保険金支給条件審査用スマートコントラクト12が保険金の支給を決定した保険契約の単位について、当該保険の契約者30に対し、保険契約受付用スマートコントラクト11が設定を受け付けた保険金支給額に相当する価値を有するデジタル資産の支給を行う機能を有して構成されている。
また、保険金支給用スマートコントラクト13は、保険の種類が素材の価格変動をヘッジする損害保険である場合、保険金支給条件審査用スマートコントラクト12が当該保険契約についての保険金の支給を決定した時点での素材価格配信用スマートコントラクト18が配信した当該素材の価格と保険契約受付用スマートコントラクト11が当該保険契約の単位において設定を受け付けた保険金受給権行使可能価格との差分の金額に相当する価値を有するデジタル資産を当該保険の契約者30に支給し、当該保険期間の末日における所定時点までに当該保険の契約者30からの当該保険金受給権の行使指示がなかった場合、保険金支給額算出用スマートコントラクト19が保険金の支給額として算出した、当該保険期間の末日における所定時点での素材価格配信用スマートコントラクト18が配信した当該素材の価格と保険契約受付用スマートコントラクト11が当該保険契約の単位において設定を受け付けた保険金受給権行使可能価格との差分の金額に相当する価値を有するデジタル資産を当該保険の契約者30に支給する機能を有して構成されている。
また、保険金支給用スマートコントラクト13は、保険契約受付用スマートコントラクト11が設定を受け付けた通貨の単位に変換したデジタル資産を、保険金として支給する機能を有する。
【0061】
保険金支給総額算出用スマートコントラクト14は、例えば、図5に示すように、保険契約を締結後、当該保険契約が終了するまでの所定期間ごとに、当該所定期間において保険金支給用スマートコントラクト13が支給を行った全ての保険契約の単位についての保険金支給額の総額を算出する機能を有して構成されている。
【0062】
純保険料算出用スマートコントラクト15は、例えば、図6に示すように、保険契約受付用スマートコントラクト11が保険契約項目の設定を受け付けた保険契約の単位総数と保険金支給総額算出用スマートコントラクト14が算出した保険金支給総額とを用いて、当該所定期間における、保険契約1単位あたりの純保険料を算出する機能を有して構成されている。
また、純保険料算出用スマートコントラクト15は、当該保険契約が契約期間内に解約される、または、当該保険契約を一時停止後再開することにより、当該保険契約における有効期間が保険契約の全期間に満たない場合、当該保険契約における有効期間についての保険契約1単位あたりの純保険料を算出する機能を有して構成されている。
【0063】
担保管理用スマートコントラクト16は、例えば、図7に示すように、保険契約の単位ごとに、デジタル資産を用いた担保の設定及び預入を受け付け、受け付けた担保を管理する機能と、管理している担保の価値として計上される金額の少なくとも一部を、純保険料算出用スマートコントラクト15が算出した保険契約1単位あたりの純保険料に所定の管理費を加えた後払い保険料に充当する機能と、を有して構成されている。
より詳しくは、担保管理用スマートコントラクト16は、純保険料算出用スマートコントラクト15が算出した保険契約1単位あたりの純保険料に所定の管理費を加えた金額を後払い保険料として、担保管理用スマートコントラクト16が管理している担保の価値として計上される金額から差し引く機能を有して構成されている。
また、担保管理用スマートコントラクト16は、担保として設定及び預入を受け付けて管理するデジタル資産の売買を行い、売買スプレッドに相当する金額を、後払い保険料の少なくとも一部に充当する機能をさらに有して構成されている。
また、担保管理用スマートコントラクト16は、担保として設定及び預入を受け付けて管理するデジタル資産のレンディングを行い、レンディングにより得られる賃料を、後払い保険料の少なくとも一部に充当する機能をさらに有して構成されている。
また、担保管理用スマートコントラクト16は、担保として設定及び預入を受け付けて管理するデジタル資産が、金利または配当付きの証券としての性質を有するSTO型トークンである場合、STO型トークンから得られる金利または配当に相当する金額を、後払い保険料の少なくとも一部に充当する機能をさらに有して構成されている。
また、担保管理用スマートコントラクト16は、担保として設定及び預入を受け付けて管理するデジタル資産が、付加価値を有するNFT(非代替性トークン)である場合、NFTを転売することで得られる利益を換算した金利に相当する金額を、後払い保険料の少なくとも一部に充当する機能をさらに有して構成されている。担保管理用スマートコントラクト16は、NFTから発生するサービスに付加価値を有するデジタル資産を収益化する。例えば、100トークン所有していることを条件として、競争率の高いチケットを優先的に購入できる、あるいは、チケットの購入金額を割り引く等のサービスが与えられる等のサッカーNFTがある場合、担保管理用スマートコントラクト16は、担保としてサッカーNFTを100トークン管理している場合に、100トークンのサッカーNFTをNFT市場等で転売することで得られる利益を換算して金利に相当する金額として後払い保険料の少なくとも一部に組み込む。
【0064】
また、担保管理用スマートコントラクト16は、例えば、図8に示すように、管理する担保の価値として計上される金額が所定額以上を維持している間、当該保険契約を継続し、所定額を下回ったとき、当該保険の契約者30に対し追加の担保の預入を要求する通知を送信し、当該保険の契約者30から追加の担保の預入がなされなかった場合に当該保険契約を終了する機能をさらに有して構成されている。
また、担保管理用スマートコントラクト16は、担保として設定及び預入を受け付けて管理するデジタル資産の価値に応じて後払い保険料における管理費の金額を調整する機能をさらに有して構成されている。
また、担保管理用スマートコントラクト16は、担保として設定及び預入を受け付けて管理するデジタル資産の引出を所定の引出限度額の範囲に制限する機能をさらに有して構成されている。
また、担保管理用スマートコントラクト16は、担保として設定及び預入を受け付けて管理するデジタル資産が引出限度額の範囲を超えて引き出されたとき、当該保険契約を一時停止または解約する機能をさらに有して構成されている。
また、担保管理用スマートコントラクト16は、担保としてのデジタル資産として種類の異なるトークンの組み合わせの設定を受け付ける機能と、受け付けた当該トークンの組み合わせに応じて、担保としてのデジタル資産の金額を所定の通貨単位に換算する機能と、をさらに有して構成されている。
【0065】
本実施形態のデジタル資産を用いた保険料低減システム1においては、担保として設定するデジタル資産の取引に関し、通貨ペアのようなトークンペアを実装するのが好ましい。
通貨ペアは、「米ドル/円」のように、売買する通貨の組み合わせである。
「米ドル/円」を買うとは、米ドルを買って円を売ることである。例えば、1米ドル110円とした場合、1米ドルを所有するために110円を渡す。
「米ドル/円」を売るとは、米ドルを売って円を買うことである。
なお、これらの通貨ペアにレバレッジ(取引の倍率)を設定することもできる。
しかるに、本実施形態では、円が直接的に関与しない取引における担保(証拠金)としてのデジタル資産であるトークンペア(売買におけるトークン組み合せ)を円換算で次のように管理する。
例えば、「ゴールドトークン(ZPG)/ビットコイン(BTC)」のようなトークンペアにおいては、「ZPG/BTC」を買うとは、ZPGを買ってBTCを売ることである。
【0066】
通貨ペアにおいて、米ドル/円=110円、ユーロ/円=125円、ユーロ/米ドル=1.12米ドルのレートが配信されていて、そのレバレッジが25倍である場合、ユーロ/米ドルの10000単位通貨ペアの必要証拠金を円に換算する計算式は、
「ユーロ/米ドル×取引単位÷レバレッジ×米ドル/円」
となる。
上記例の通貨ペアにおける必要証拠金は、円に換算すると、
1.12米ドル×10000/25=448米ドルで、448米ドル×110円=49280円となる。
このようなCFD(差金決済取引)処理に対する契約と証拠金管理はスマートコントラクトに実装することが可能である。
【0067】
通貨ペアと同様に、トークンペアにおいて、
1ZPG/円が6000円、1BTC/円が500万円(円換算レート)、ZPG/BTC=0.0012BTC(取引対象のレート)でレバレッジが2倍で10000単位を買う場合、必要証拠金は、円に換算すると、
0.0012×10000/2×500万円=3000万円となる。
【0068】
また、取引の損益は次の式で表すことができる。
取引損益=(売レート-買レート)×取引数量×その時の円換算レート×レバレッジ
そして、トークンペアにおける取引対象のレートは次の通りである。
例えば、
1ZPG/円は売り6000円、買い5900円
1BTC/円は売り500万円、買い490万円
である場合、
ZPG/BTCにおいては
売りレート6000円/490万円=0.00122
買いレート5900円/500万円=0.00118
となる。
【0069】
業者はレートを提示し、業者の売りレートに対して顧客の買いがあると、業者はZPGを売りBTCを買い、顧客はZPGを売りBTCを買う。
なお、倍率を合わせる(できるだけレートを1に近づける)ために、上記の例の場合はZPG側を1000倍にする。
ZPG×1000/BTCにおいては、
売りレート600万円/490万円=1.122
買いレート590万円/500万円=1.180
となる。
これらのレートの算出やトークンペアの取引は図示しない取引用スマートコントラクトで処理する。
【0070】
上記はCFD(差金決済取引)の例であるが、このような取引を、本実施形態のデジタル資産を用いた保険料低減システム1における保険の契約において、個別の取引用スマートコントラクト(顧客と業者)で管理することは可能である。
なお、トークンペアにおける必要証拠金の円換算及び証拠金管理は、担保を管理する担保管理用スマートコントラクト16が行うように構成する。
また、トークンペアにおいて金利が発生する場合は、金利調整を日次などで行い、契約者間で受け渡すようにする。
トークンペアにおける取引の相手先として顧客同士を付け合せることも可能ではあるが、トークンペアを担保とした保険契約の解消や終了を考慮すると、例えば、流動性を調整することを目的として反対売買を行う業者を相手とした取引とするのが望ましい。流動性を調整することを目的として反対売買を行う業者は、個別にZPGとBTCを処理することで、トークンペアを担保とした保険契約に対応できる。
【0071】
なお、トークンペアは、保険に限定される概念ではなく、様々な取引において適用し得るが、本実施形態においては、担保管理用スマートコントラクト16が、担保として受け付けた当該トークンの組み合わせに応じて、担保としてのデジタル資産の金額を所定の通貨単位に換算する処理を自動的に行う。
保険料を低減するという観点では、特に損害保険は、国内よりも海外のほうが、保険料が割安となる場合が多い。しかし、海外の保険には、為替リスクが存在する。そこで、為替リスクをヘッジ(相殺)するために、トークンペアを損害保険と組み合わせることが考えられる。このような場合のトークンペアは、FXのような証拠金取引となる。
担保管理用スマートコントラクト16は、損害保険の内容に応じて、自動的にトークンペア(取引量の算出を含む)の設定を受け付けることが可能に構成されている。
【0072】
また、トークンペアは、FXの概念を拡大したものであるが、1種類のみのトークンの取引の場合、価格変動が生じることにより、大きな損失発生に繋がる場合がある。そのため、トークンペアを設定することで、1種類のトークンの価格が想定以上に変動した場合のリスクをヘッジする、ヘッジ型の損害保険として機能させることが可能である。
さらに、トークンペアの価格変動が生じることにより、大きな損失発生に繋がる場合もある。そのため、本実施形態のデジタル資産を用いた保険料低減システム1をトークンペアの価格が想定以上に変動した場合のリスクをヘッジするための、ヘッジ型の損害保険に適用することも可能である。
また、トークンペアを用いて、流動性を調整(流動性の供給)することで、価格の妥当性を高めることができ、保険としての処理を効率化できる。
また、例えば、CO排出権や電力取引などは、地域や天候、その他の様々な要因で価格が変動するものの、基本的には国際的なエネルギー、CO排出権取引の価格に連動している部分もあり、その価格の影響を受ける。このため、エネルギートークンとデジタル通貨とのペアをつくることも有用である。
【0073】
さらに、トークンペアの特性について補足説明する。
通常は、通貨ペアが、FXなどで使われているが、通貨ではなくトークンやコイン(以下、トークン類)のようにデジタル化した資産の組み合わせであるトークンペアを作ることもできる。
トークンペアを作る対象となる個別のトークン類は、基本的に、流動性が低いマイナーなものが多種類にわたり作られることが想定され、類似するトークンが多い状況であっても割高、割安となり易く、また、流動性が低いため、価格変動率が高くなり易いと考えられる。
そこでに、個別のトークン類において割高、割安の状況を比較しながら、適宜、任意のトークンのペアを組み替えていくことができるようにすれば、価格の安定化を図ることが可能となると考えられる。
そもそも、ヘッジという概念は、基本的には素材などの価格安定性を求めるものであるが、素材の市場の多くは海外が主市場になり、特に米ドル建ての価格の割合が圧倒的に多くなるため、円建ての価格に修正することが必要になる。
従って、ベースとなる米ドル建ての素材の価格を円建てに自動的に変換するのが、トークンペアの特性であるともいえる。
既存のヘッジ手段は、先物を用い、基本的にロットの大きな大口取引に対応するものであるが、本実施形態のデジタル資産を用いた保険料低減システム1において、担保として設定するデジタル資産の取引に関し、通貨ペアのようなトークンペアを実装すれば、比較的小口の取引であっても、現物トークンの組み合わせを任意に設定することにより、(限月単位で流動性が変わる、ロールオーバーコストが必要になるなど、コスト要因がある)先物よりも優れたヘッジを実現することができる。
【0074】
また、担保管理用スマートコントラクト16は、担保として設定及び預入を受け付けて管理すべきデジタル資産に対し、保険の契約希望者30の与信の度合いに応じた担保率を設定する機能をさらに有して構成されている。
【0075】
ここで、担保管理用スマートコントラクト16による保険の契約希望者30の与信の度合いに応じた担保率の設定及び担保の預入の例を説明する。
ここでは、与信のある企業向けの後払い型口座について与信枠を設定し、想定される取引額に対して、0~100%の範囲で担保率(証拠金維持率)を設定するものとする。
例えば、取引枠(与信枠)が1億円である場合において、担保率を10%に設定したときには、担保管理用スマートコントラクト16に担保として1000万円以上を預入しておく必要が生じる。
担保は、現金(デジタル通貨を含む)、証券(STO型トークンを含む)、その他のトークン類など明確な価値が定義できるものが対象となる。
それらの価値が定義できるものから担保の対象を選択し、その掛目を設定する。
例えば、証券の場合、銘柄コード単位で、5グループ位に分けて、掛目を20%~80%の範囲で設定する。
グループ分けの基準は、180日の価格変動率などを参考に定義する。
現金類の担保掛目は100%である。
保険の契約者30が、設定する担保は、担保口に預けておく。預け入れた保険の契約者30は、担保口で管理されている担保を使用できず、また、担保として使われている状況では引き出しができない。
この場合、取引枠の設定も口座単位で決めることになる。例えば、上記の取引枠が1億円は、あくまで与信枠である。担保率を超えた過剰な現金などが預け入れられている場合、担保率を超えた部分の金額により取引枠を超えても取引することができる。
例えば、取引枠が1億円で、担保率が10%、現金が2000万円預入されている場合、取引できる金額は1億円+1000万円になる。
【0076】
さらに、本実施形態のデジタル資産を用いた保険料低減システム1の担保管理用スマートコントラクト16における、デジタル資産のレンディングについて補足説明する。
与信の無い取引者の口座(小口となるリテール系)と、与信の有る取引者の口座(大口の業者などホールセール系)が取引において共存となる場合があるが、与信の無い取引者は前払いであることから即時清算であるのに対し、与信の有る取引者は数日後の後払い清算であることから、清算日にズレが生じる。
この清算日のズレを補うのがトークンや現金のレンディングである。
トークンや現金のレンディングにおいては、トークンの貸し手、現金の貸し手と、トークンの借り手、現金の借り手が存在する。
借り手側は、同等の価値を有する担保を差し入れる必要がある。
例えば、小口取引者の取引相手はトークン取引所になり、トークン取引所は取引相手である小口取引者の口座に対して即時清算を行う。
小口取引者間の取引では、トークンや現金をそのまま受け渡すことになるので問題は生じない。
問題となるのは、小口取引者に対し、渡しとなる現金やトークンが不足するような取引の場合である。その場合、不足する現金やトークンを借入れなければならないが、現金やトークンの渡しとなる側の取引は大口取引者との取引になっているはずであり、大口取引者との取引では、約定してから清算日までの数日間は該当量の現金やトークンが確保できない。
そこで、清算日までの数日間は、大口取引者との取引の約定記録を担保とした現金やトークンのレンディングを活用して対処する必要が生じる。
【0077】
レンディングを行う場合、該当量の現金やトークンを担保(上記の場合は実際に現金やトークンを保有しているわけではなく、取引された記録=契約が存在している)として、別場所で管理を行う。
清算日に、担保になっている契約(現金やトークンの取引記録)が実物(現金やトークン)として保有される。そこで、実物(現金やトークン)の現渡によりレンディングを解消する。
なお、レンディングによる金利(設定の変更は銘柄単位に貸し手単位の修正を加えたもの)の受け払いがある。
そして、本実施形態のデジタル資産を用いた保険料低減システム1では、上述のとおり、担保管理用スマートコントラクト16が、担保として設定及び預入を受け付けて管理するデジタル資産のレンディングを行い、レンディングにより得られる賃料を、後払い保険料の少なくとも一部に充当する。
【0078】
なお、個人(小口となるリテール系)・法人(大口業者などホールセール系)を単位として、総合口座がブロックチェーン上の管理アドレス(第1の管理アドレス)に設けられている。総合口座の配下には、ブロックチェーン上の総合口座の管理アドレス(第1の管理アドレス)に関連付けられていて、第1の管理アドレスで管理されているデジタル資産、有価証券、現金の出し入れを管理する管理アドレス(第2の管理アドレス)を有し、前払い型の取引を前提とした、即時決済するための現物取引口座、担保となるデジタル資産、有価証券、現金を管理するための担保管理口座、後払い型の取引(レンディング取引、CFD取引)を対象とする与信取引口座等として夫々機能する複数のユーザ側のスマートコントラクト(図示省略)が設けられている。
そして、本実施形態のデジタル資産を用いた保険料低減システム1の担保管理用スマートコントラクト16は、担保の設定を受け付けることにより、法人・個人の口座単位に、例えば、ブロックチェーン上の管理アドレス(第1の管理アドレス)で管理されている総合口座のデジタル資産等の移動を一時的に禁止状態(資産価値が削除された定義に変更した状態。例えば、デジタル資産を、デジタル資産の価値を構成する要素をなす銘柄、価格及び数量のうち、少なくとも数量を含み価格を含まない第1価値構成要素が設定された、または少なくとも価格を含み数量を含まない第2価値構成要素が設定された、一時的処理データに変換した状態。)にするとともに、現物取引口座、担保管理口座、与信取引口座等に対応付けられたユーザ側のスマートコントラクト(図示省略)の管理アドレス(第2の管理アドレス)で管理されているデジタル資産等を担保管理用スマートコントラクト16が有する管理アドレス(第3の管理アドレス)にコピーして処理を行い、処理完了後にユーザ側のスマートコントラクト(図示省略)の管理アドレス(第2の管理アドレス)に処理後のデジタル資産等を戻すとともに、ブロックチェーン上の管理アドレス(第1の管理アドレス)で管理されている総合口座のデジタル資産等の移動が可能な状態(資産価値を有した定義に変更した状態。例えば、一時的処理データを、価値を構成する要素をなす銘柄、価格及び数量が揃ったデジタル資産に変換した状態。)に戻すように構成されている。
また、担保として管理され、レンディングにより手数料を得ることのできるトークンには、コイン的な性質を有し、担保として管理されるトークン自体が貸出により移動し、貸し出したトークンと返却時のトークンとが異なり得る代替可能な特性を有するものと、トークン自体の所有権は変動せずにトークンの有するサービスや機能が貸し出され、貸出期間の経過によりトークンの有するサービスや機能が貸主に戻るという特性を有するものとがある。
【0079】
さらに、本実施形態のデジタル資産を用いた保険料低減システム1の担保管理用スマートコントラクト16における、デジタル資産の担保管理(担保の活用・応用方法の概念)について補足説明する。
例えば、トークン所有者A、貸金業者B、空売り所望者Cがあるものとする。また、a―n、b-n、c-nは、ブロックチェーン上またはスマートコントラクトにおけるトークン所有者A、貸金業者B、空売り所望者Cの夫々に対応する管理アドレスであるものとする。
ブロックチェーン上の管理アドレス(第1の管理アドレス)a-1、b-1、c-1で管理されている総合口座のデジタル資産が担保管理用スマートコントラクト16で処理される場合、デジタル資産は、ユーザ側のスマートコントラクト(図示省略)の管理アドレス(第2の管理アドレス)a-2、b-2、c-2を経由して担保管理用スマートコントラクト16の管理アドレス(第3の管理アドレス)a-3、b-3、c-3で管理される。
ここで、トークン所有者Aが貸金業者Bから現金を借りることを所望し、空売り所望者CがX銘柄のトークンを売ることを所望しているものとする。
このとき、トークン所有者Aは、担保管理用スマートコントラクト16を介して、貸金業者BにX銘柄のトークンを数量1、担保として差し出し、差し出した数量1のX銘柄のトークンの価値に相当する数量1のデジタル通貨を貸金業者Bからトークン所有者Aに移動させる。
また、貸金業者Bは、担保管理用スマートコントラクト16を介して、空売り所望者Cに数量1のX銘柄のトークンを貸し出し、空売り所望者Cから担保として数量1のデジタル通貨を受け取る。
つまり、担保管理用スマートコントラクト16によるレンディングにおいては、貸金業者Bは差し引きゼロでリスクのない状態となる。
ただし、担保は売買ではなく、数量1のX銘柄のトークンの所有権は、トークン所有者Aが保有している。
一方、担保として受けた数量1のX銘柄のトークンは、担保を管理する貸金業者Bが自由に使用することができる。
また、上記例のような貸借契約は、基本的に1日単位で処理され、契約が解除されても、日替わりの時間までは契約解除の処理が実行されない。
そして、日替わりの時間に、契約解除がない場合には貸借契約が継続される。
【0080】
なお、トークンの貸借調達は、レンディング機能によって行われるが、1日単位のレポ金利の条件で貸借契約が締結されることから、貸借取引には当該金利のやりとりが発生する。
また、トークンについては、定期的に所有量に対しての権利が発生する。
例えば、X銘柄のトークンを数量100所有していた場合に映画のチケット(デジタル版)を受け取れる等の権利が挙げられる。
上記の例で、映画のチケットを受け取った場合、X銘柄のトークンの上記映画のチケット(デジタル版)を受け取れる等の権利が無くなる。そこで、X銘柄のトークンには上記映画のチケット(デジタル版)を受け取れる等の権利の有無を示す状態フラグを設定することができるようにする。
また、上記映画のチケット(デジタル版)を受け取れる等の権利は、所定期間が経過した場合に失効する。
なお、上記映画のチケット(デジタル版)を受け取れる等の権利をX銘柄のトークンから分離し、分離後のトークンをXB銘柄のトークンとして使うこともできるようにしてもよい。
また、トークンの権利行使で受け取った映画チケットトークンも、有効期日などの設定があり、それを超過すると無効になる。
トークンには、このようなサービスがあるため、サービスの区切り単位は1日(トークン発行者が日本国内の場合、日本の日付変更時間が基準)が基本となり、そのため貸借も1日単位で処理される。
トークン所有者Aが貸借契約を解消する場合、貸金業者Bに数量1のデジタル通貨と金利相当を渡すことで、貸金業者Bから日付が変更となる時点で数量1のX銘柄のトークンがトークン所有者Aに戻される。
返却されたそのX銘柄のトークンは、再び貸出の対象になる。
【0081】
このように、トークン所有者Aが貸金業者Bとの間で貸借契約を締結していることを管理し、上記の処理を行うのが担保管理用スマートコントラクト16である。
担保管理用スマートコントラクト16は、トークン所有者AがX銘柄のトークンの所有者であることを、ユーザ側のスマートコントラクト(図示省略)の管理アドレス(第2の管理アドレス)a-2を経由してブロックチェーン上の管理アドレス(第1の管理アドレス)a-1で管理されているトークン所有者Aの総合口座に記録(X銘柄のトークンの数量、手数料相当分の管理等)する。
なお、担保管理用スマートコントラクト16が、トークン所有者Aに対して、X銘柄のトークンを担保にしているという証明データ(ここでは「貸借トークン」と称する)を発行する機能を有するように構成してもよい。
貸借トークンには、担保とするトークンの銘柄及び量(例えば、X銘柄のトークン、数量1)、担保とするトークンを渡す相手及び当該相手の総合口座の管理アドレス(第1の管理アドレス)(例えば、貸金業者B、ブロックチェーン上の管理アドレスb-1)、担保の代替として提供されているデジタル資産の種類及び数量(例えば、デジタル通貨、数量1)等の内容が記載される。
トークン所有者Aが貸借契約を解除する場合、貸借トークンの番号を担保管理用スマートコントラクト16に指示して、数量1のデジタル通貨を担保管理用スマートコントラクト16の管理アドレス(第3の管理アドレス)(管理アドレスb-3)に預け入れる。すると、ユーザ側のスマートコントラクト(図示省略)の管理アドレス(第2の管理アドレス)b-2を経由して、数量1のデジタル通貨が貸金業者Bのブロックチェーン上の総合口座の管理アドレス(第1の管理アドレス)(管理アドレスb-1)に返済(実際はデータ移動)され、その内容がブロックチェーン上に記録される。また、担保管理用スマートコントラクト16の管理アドレス(管理アドレスa-3)、ユーザ側のスマートコントラクト(図示省略)の管理アドレス(第2の管理アドレス)a-2を経由して、数量1のX銘柄のトークンがトークン所有者Aのブロックチェーン上の総合口座の管理アドレス(第1の管理アドレス)(管理アドレスa-1)に返却(実際はデータ移動)され、その内容がブロックチェーン上に記録される。
【0082】
保険金請求受付用スマートコントラクト17は、コンピュータの端末や、携帯情報端末等の他の電子機器の画面表示部と入力部を有する図示しない入力手段を介して、例えば、図9に示すように、保険の契約者30から当該保険契約についての保険金の請求を受け付ける機能を有して構成されている。
【0083】
素材価格配信用スマートコントラクト18は、例えば、図10に示すように、スポット取引(または当日取引)での当該素材の価格情報、または先物やCFD(差金決済取引)、オプション等の取引より理論価格として導かれる当該素材の価格情報を配信する機能を有して構成されている。
なお、当該素材のスポット取引(または当日取引)の価格は、当該素材のスポット取引(または当日取引)を行う取引所や取引機能を有する場において、図示しない取引用スマートコントラクトが売買を行うことによって形成された当該素材の時価である。
【0084】
保険金支給額算出用スマートコントラクト19は、例えば、図11に示すように、所定時点での素材価格配信用スマートコントラクト18が配信した当該素材の価格と保険契約受付用スマートコントラクト11が当該保険契約の単位において設定を受け付けた保険金受給権行使可能価格との差分の金額を保険金の支給額として算出する機能を有して構成されている。
【0085】
保険金受給権通知用スマートコントラクト20は、例えば、図12に示すように、素材価格配信用スマートコントラクト18が配信した当該素材の価格が、保険契約受付用スマートコントラクト11が当該保険契約の単位において設定を受け付けた保険金受給権行使可能価格を超えたときに、当該保険の契約者30に対し、当該保険期間内に当該保険金受給権を行使可能である旨の通知を送信する機能を有して構成されている。
【0086】
保険金受給権行使指示受付用スマートコントラクト21は、コンピュータの端末や、携帯情報端末等の他の電子機器の画面表示部と入力部を有する図示しない入力手段を介して、例えば、図13に示すように、当該保険期間内において当該保険金受給権を行使可能である旨の通知を受信した当該保険の契約者30からの当該保険金受給権の行使指示を受け付ける機能を有して構成されている。
【0087】
保険内容提示手段22は、コンピュータの端末や、携帯情報端末等の他の電子機器の画面表示部を有する図示しない表示手段を介して、例えば、図14に示すように、保険契約受付用スマートコントラクト11が設定を受け付けた保険契約の内容と、担保管理用スマートコントラクト16に担保として預入されているデジタル資産の増減状況と、後払い保険料の支払い履歴と、保険金支給用スマートコントラクト13による保険金支給額に相当する価値を有するデジタル資産の支給履歴と、を提示する機能を有して構成されている。
その他、本実施形態のデジタル資産を用いた保険料低減システム1は、後払い保険料を保険の契約者30に報告するメールなどの図示しない通知手段を備えている。
【0088】
なお、本実施形態のデジタル資産を用いた保険料低減システム1においては、保険契約受付用スマートコントラクト11は、保険の契約希望者30が担保を入れないで保険に加入することを旨とする項目を含む保険契約項目の設定を受け付けることができる機能も備えて構成されている。但し、その場合は、担保が設定されている場合には当該担保から得られるべき、リスク対応用の積み立て分のコストを保険会社40が負担することになるため、その分、保険の契約者30が支払う保険料は割高になる。
また、本実施形態のデジタル資産を用いた保険料低減システム1においては、さらに、保険の契約者30の保険料の支払い状況、保険金の受け取り状況などの補助情報を等級付けして管理し、純保険料算出用スマートコントラクト15が算出した純保険料に所定金額の管理費を加えて構成される保険料の上積みや、割引の計算に利用する機能を備えたスマートコントラクト(図示省略)を有して構成されている。
【0089】
このように構成された本実施形態のデジタル資産を用いた保険料低減システム1を用いた保険についての契約締結、保険金の支給、保険料の支払い、の夫々の処理を、素材の価格変動をヘッジする損害保険と生命保険または一般的な損害保険とに分けて説明する。
【0090】
保険の種類が素材の価格変動をヘッジする損害保険である場合の処理
(契約締結)
保険契約受付用スマートコントラクト11は、図15に示すように、コンピュータの端末や、携帯情報端末等の他の電子機器の画面表示部と入力部を有する図示しない入力手段を介して、保険契約の単位ごとに、保険金支給条件としての保険金受給権行使可能価格と、保険期間と、を少なくとも含む保険契約項目についての保険の契約希望者30からの設定を受け付ける。そして、受け付けた保険契約項目の設定内容で当該保険契約を締結する。
なお、保険契約受付用スマートコントラクト11は、保険契約の単位ごとに設定を受け付ける保険金支給条件としての保険金受給権行使可能価格を、当該素材の基準価格、該基準価格の倍率の設定によって定める。
また、保険契約受付用スマートコントラクト11は、保険契約項目において、保険金として支給するデジタル資産の通貨の単位の設定を受け付ける。
担保管理用スマートコントラクト16は、保険契約の単位ごとに、デジタル資産を用いた担保の設定及び預入を受け付け、受け付けた担保を管理する。
また、担保管理用スマートコントラクト16は、担保としてのデジタル資産として種類の異なるトークンの組み合わせの設定を受け付ける。そして、受け付けた当該トークンの組み合わせに応じて、担保としてのデジタル資産の金額を所定の通貨単位に換算する。
また、担保管理用スマートコントラクト16は、担保として設定及び預入を受け付けて管理すべきデジタル資産に対し、保険の契約希望者30の与信の度合いに応じた担保率を設定する。
【0091】
(保険金の支給)
素材価格配信用スマートコントラクト18は、図16に示すように、スポット取引(または当日取引)での当該素材の価格情報、または先物やCFD(差金決済取引)、オプション等の取引より理論価格として導かれる当該素材の価格情報を配信する。
保険金支給額算出用スマートコントラクト14は、所定時点での素材価格配信用スマートコントラクト18が配信した当該素材の価格と保険契約受付用スマートコントラクト11が当該保険契約の単位において設定を受け付けた保険金受給権行使可能価格との差分の金額を保険金の支給額として算出する。
保険金受給権通知用スマートコントラクト20は、素材価格配信用スマートコントラクト18が配信した当該素材の価格が、保険契約受付用スマートコントラクト11が当該保険契約の単位において設定を受け付けた保険金受給権行使可能価格を超えたときに、当該保険の契約者30に対し、当該保険期間内に当該保険金受給権を行使可能である旨の通知を送信する。
【0092】
当該保険金受給権を行使可能である旨の通知を受信した当該保険の契約者30は、図17に示すように、所望の時点で、保険会社40に対し、保険金受給権行使指示受付用スマートコントラクト21を介して保険金の請求を行う。
保険金受給権行使指示受付用スマートコントラクト21は、コンピュータの端末や、携帯情報端末等の他の電子機器の画面表示部と入力部を有する図示しない入力手段を介して、当該保険期間内において当該保険金受給権を行使可能である旨の通知を受信した当該保険の契約者30からの当該保険金受給権の行使指示を受け付ける。
保険金支給条件審査用スマートコントラクト12は、素材価格配信用スマートコントラクト18が配信した当該素材の価格が、保険契約受付用スマートコントラクト11が当該保険契約の単位において設定を受け付けた保険金受給権行使可能価格を超えた状態を維持している状況において、保険金受給権行使指示受付用スマートコントラクト21が当該保険金受給権の行使指示を受け付けたときに、当該保険契約についての保険金の支給を決定する。
【0093】
保険金支給用スマートコントラクト13は、図18に示すように、保険金支給条件審査用スマートコントラクト12が当該保険契約についての保険金の支給を決定した時点での素材価格配信用スマートコントラクト18が配信した当該素材の価格と保険契約受付用スマートコントラクト11が当該保険契約の単位において設定を受け付けた保険金受給権行使可能価格との差分の金額に相当する価値を有するデジタル資産を当該保険の契約者30に支給する。
その際、保険金支給用スマートコントラクト13は、保険契約受付用スマートコントラクト11が設定を受け付けた通貨の単位に換算したデジタル資産を、保険金として支給する。
なお、保険金支給用スマートコントラクト13は、当該保険期間の末日における所定時点までに当該保険の契約者30からの当該保険金受給権の行使指示がなかった場合、保険金支給総額算出用スマートコントラクト14が保険金の支給額として算出した、当該保険期間の末日における所定時点での素材価格配信用スマートコントラクト18が配信した当該素材の価格と保険契約受付用スマートコントラクト11が当該保険契約の単位において設定を受け付け保険金受給権行使可能価格との差分の金額に相当する価値を有するデジタル資産を当該保険の契約者30に支給する。
【0094】
(保険料の支払い)
保険金支給総額算出用スマートコントラクト14は、図19に示すように、保険契約を締結後、当該保険契約が終了するまでの所定期間ごとに、当該所定期間において保険金支給用スマートコントラクト13が支給を行った全ての保険契約の単位についての保険金支給額の総額を算出する。
純保険料算出用スマートコントラクト15は、保険契約受付用スマートコントラクト11が保険契約項目の設定を受け付けた保険契約の単位総数と保険金支給総額算出用スマートコントラクト14が算出した保険金支給総額とを用いて、当該所定期間における、保険契約1単位あたりの純保険料を算出する。
なお、純保険料算出用スマートコントラクト15は、当該保険契約が契約期間内に解約される、または、当該保険契約を一時停止後再開することにより、当該保険契約における有効期間が保険契約の全期間に満たない場合、当該保険契約における有効期間についての保険契約1単位あたりの純保険料を算出する。
【0095】
担保管理用スマートコントラクト16は、図20に示すように、管理している担保の価値として計上される金額の少なくとも一部を、純保険料算出用スマートコントラクト15が算出した保険契約1単位あたりの純保険料に所定の管理費を加えた後払い保険料に充当する。
より詳しくは、担保管理用スマートコントラクト16は、純保険料算出用スマートコントラクト15が算出した保険契約1単位あたりの純保険料に所定の管理費を加えた金額を後払い保険料として、担保管理用スマートコントラクト16が管理している担保の価値として計上される金額から差し引く。
また、担保管理用スマートコントラクト16は、担保として設定及び預入を受け付けて管理するデジタル資産の売買を行い、売買スプレッドに相当する金額を、後払い保険料の少なくとも一部に充当する。
また、担保管理用スマートコントラクト16は、担保として設定及び預入を受け付けて管理するデジタル資産のレンディングを行い、レンディングにより得られる賃料を、後払い保険料の少なくとも一部に充当する。
また、担保管理用スマートコントラクト16は、担保として設定及び預入を受け付けて管理するデジタル資産が、金利または配当付きの証券としての性質を有するSTO型トークンである場合、STO型トークンから得られる金利または配当に相当する金額を、後払い保険料の少なくとも一部に充当する。
また、担保管理用スマートコントラクト16は、担保として設定及び預入を受け付けて管理するデジタル資産が、付加価値を有するNFT(非代替性トークン)である場合、NFTを転売することで得られる利益を換算した金利に相当する金額を、後払い保険料の少なくとも一部に充当する。
【0096】
また、担保管理用スマートコントラクト16は、図21に示すように、管理する担保の価値として計上される金額が所定額以上を維持している間、当該保険契約を継続し、所定額を下回ったとき、当該保険の契約者30に対し追加の担保の預入を要求する通知を送信し、当該保険の契約者30から追加の担保の預入がなされなかった場合に当該保険契約を終了する。
なお、担保管理用スマートコントラクト16は、担保として設定及び預入を受け付けて管理するデジタル資産の価値に応じて後払い保険料における管理費の金額を調整する。
また、担保管理用スマートコントラクト16は、担保として設定及び預入を受け付けて管理するデジタル資産の引出を所定の引出限度額の範囲に制限する。
また、担保管理用スマートコントラクト16は、担保として設定及び預入を受け付けて管理するデジタル資産が引出限度額の範囲を超えて引き出されたとき、当該保険契約を一時停止または解約する。
【0097】
なお、保険契約締結後、保険契約受付用スマートコントラクト11が設定を受け付けた保険契約の内容と、担保管理用スマートコントラクト16に担保として預入されているデジタル資産の増減状況と、保険金支給用スマートコントラクト13による保険金支給額に相当する価値を有するデジタル資産の支給履歴については、保険内容提示手段22がコンピュータの端末や、携帯情報端末等の他の電子機器の画面表示部を有する図示しない表示手段を介して、提示する。
また、後払い保険料については、メールなどの図示しない通知手段を介して、保険の契約者30に報告する。
【0098】
保険の種類が素材の価格変動をヘッジする損害保険である場合の処理の具体例
例えば、価格変動をヘッジする損害保険において保険対象とする素材が小麦である場合、保険の契約者30は、保険契約受付用スマートコントラクト11において、保険対象とする素材である小麦について、基準価格、基準価格の設定倍率(権利行使可能価格)、設定期間を設定するとともに、担保管理用スマートコントラクト16に、証拠金(担保)を設定(預入)する。
【0099】
素材価格配信用スマートコントラクト18は、小麦のスポット取引(または当日取引)の取引所や取引機能を有する場において売買された小麦の価格(時価)情報を配信する。保険金支給総額算出用スマートコントラクト14は、所定時点での素材価格配信用スマートコントラクト18が配信した当該素材の価格と保険契約受付用スマートコントラクト11が当該保険契約の単位において設定を受け付けた保険金受給権行使可能価格との差分の金額を保険金の支給額として算出する。保険金受給権通知用スマートコントラクト20は、素材価格配信用スマートコントラクト18の配信した小麦の価格(時価)が、保険契約受付用スマートコントラクト11が当該保険契約の単位において設定を受け付けた権利行使可能価格(即ち、基準価格の設定倍率(例えば1.5倍)となる価格)を、設定期間(例えば月初から月末までの1か月間)内に超えたときに、当該保険の契約者30に対し、当該保険期間内に当該保険金受給権を行使可能である旨の通知を送信する。保険の契約者30は、権利行使可能価格を超えた状況となっている設定期間内の所望時期に保険会社40に対し、保険金受給権行使指示受付用スマートコントラクト21を介して保険金の請求を行い、保険金受給権を行使する。
保険金受給権行使指示受付用スマートコントラクト21は、当該保険期間内において当該保険金受給権を行使可能である旨の通知を受信した当該保険の契約者30からの当該保険金受給権の行使指示を受け付け、保険金支給条件審査用スマートコントラクト12は当該保険契約についての保険金の支給を決定する。保険金支給用スマートコントラクト13は、保険金支給条件審査用スマートコントラクト12が当該保険契約についての保険金の支給を決定した時点での素材価格配信用スマートコントラクト18が配信した小麦の価格(時価)と保険契約受付用スマートコントラクト11が当該保険契約の単位において設定を受け付けた保険金受給権行使可能価格(即ち、基準価格の設定倍率(例えば1.5倍)となる価格)との差分の金額に相当する価値を有するデジタル資産を当該保険の契約者30に支給する。
これにより、保険会社40は、その保険単位に対して急騰価格相当分の保険金として、権利行使可能価格と、権利行使時の価格との差分の金額の支給を行うことになる。
【0100】
例えば、6米ドル/ブッシェルが月初の基準価格、1ブッシェルを1単位として、基準価格の1.5倍の価格になった場合(9米ドル/ブッシェル)に、その単位に対して権利行使できる保険商品があるものとする。
当月中に、素材価格配信用スマートコントラクト18により12米ドル/ブッシェルの時価が配信されたときに、保険の契約者30は、保険金受給権行使指示受付用スマートコントラクト21に権利行使の指令を入力する。保険金支給条件審査用スマートコントラクト12による審査、当該保険契約についての保険金の支給を決定の後、保険金支給用スマートコントラクト13は、保険金の支給処理を行う。
1単位を契約している場合、保険の契約者30は、差額となる3米ドル(12米ドル-9米ドル)を保険金として、保険金支給用スマートコントラクト13を介して受け取る。
なお、月間コストは、該当月における保険金受給権の行使までの保険の運用に要したコストとなるが、実際のヘッジコスト(手数料など管理費が加算された保険料)は担保管理用スマートコントラクト16により管理されていることから、そのコスト(例えば、0.5米ドル)を差し引いて支払われる(2.5米ドル)。
なお、保険の契約者30が、¥で受け取りを所望する場合は、保険契約受付用スマートコントラクト11が、保険契約項目において、保険金として支給するデジタル資産の通貨の単位として¥の設定を受け付け、基準価格など全ての価格を¥換算した保険契約を締結する。その後は、締結した契約内容で使われる通貨の単位(ここでは¥)を基準として、保険料の支払いや、保険金の受け取りなどが行われることになる。
【0101】
保険の種類が生命保険または一般的な損害保険である場合の処理
(契約締結)
保険契約受付用スマートコントラクト11は、図22に示すように、コンピュータの端末や、携帯情報端末等の他の電子機器の画面表示部と入力部を有する図示しない入力手段を介して、保険契約の単位ごとに、保険金支給条件と、保険金支給条件に応じた保険金支給額と、を少なくとも含む保険契約項目についての保険の契約希望者30からの設定を受け付ける。そして、受け付けた保険契約項目の設定内容で当該保険契約を締結する。
なお、保険契約受付用スマートコントラクト11は、保険契約項目において、保険金として支給するデジタル資産の通貨の単位の設定を受け付ける。
担保管理用スマートコントラクト16は、保険契約の単位ごとに、デジタル資産を用いた担保の設定及び預入を受け付け、受け付けた担保を管理する。
また、担保管理用スマートコントラクト16は、担保としてのデジタル資産として種類の異なるトークンの組み合わせの設定を受け付ける。そして、受け付けた当該トークンの組み合わせに応じて、担保としてのデジタル資産の金額を所定の通貨単位に換算する。
また、担保管理用スマートコントラクト16は、担保として設定及び預入を受け付けて管理すべきデジタル資産に対し、保険の契約希望者30の与信の度合いに応じた担保率を設定する。
【0102】
(保険金の支給)
当該保険の契約者30は、図23に示すように、保険金支給条件に該当する事由が生じた場合に、保険会社40に対し、保険金請求受付用スマートコントラクト17を介して保険金の請求を行う。
保険金請求受付用スマートコントラクト17は、コンピュータの端末や、携帯情報端末等の他の電子機器の画面表示部と入力部を有する図示しない入力手段を介して、保険の契約者30から当該保険契約についての保険金の請求を受け付ける。
保険金支給条件審査用スマートコントラクト12は、保険契約受付用スマートコントラクト11が設定を受け付けるとともに保険金請求受付用スマートコントラクト17が請求を受け付けた、当該保険契約についての保険金支給条件の適否を審査し、審査した結果、当該保険契約が保険金支給条件を満たす場合に当該保険契約についての保険金の支給を決定する。
【0103】
保険金支給用スマートコントラクト13は、図24に示すように、保険金支給条件審査用スマートコントラクト12が保険金の支給を決定した保険契約の単位について、当該保険の契約者30に対し、保険契約受付用スマートコントラクト11が設定を受け付けた保険金支給額に相当する価値を有するデジタル資産の支給を行う。
その際、保険金支給用スマートコントラクト13は、保険契約受付用スマートコントラクト11が設定を受け付けた通貨の単位に換算したデジタル資産を、保険金として支給する。
【0104】
(保険料の支払い)
保険金支給総額算出用スマートコントラクト14は、図25に示すように、保険契約を締結後、当該保険契約が終了するまでの所定期間ごとに、当該所定期間において保険金支給用スマートコントラクト13が支給を行った全ての保険契約の単位についての保険金支給額の総額を算出する。
純保険料算出用スマートコントラクト15は、保険契約受付用スマートコントラクト11が前記保険契約項目の設定を受け付けた保険契約の単位総数と保険金支給総額算出用スマートコントラクト14が算出した保険金支給総額とを用いて、当該所定期間における、保険契約1単位あたりの純保険料を算出する。
なお、純保険料算出用スマートコントラクト15は、当該保険契約が契約期間内に解約される、または、当該保険契約を一時停止後再開することにより、当該保険契約における有効期間が保険契約の全期間に満たない場合、当該保険契約における有効期間についての保険契約1単位あたりの純保険料を算出する。
【0105】
担保管理用スマートコントラクト16は、図26に示すように、管理している担保の価値として計上される金額の少なくとも一部を、純保険料算出用スマートコントラクト15が算出した保険契約1単位あたりの純保険料に所定の管理費を加えた後払い保険料に充当する。
より詳しくは、担保管理用スマートコントラクト16は、純保険料算出用スマートコントラクト15が算出した保険契約1単位あたりの純保険料に所定の管理費を加えた金額を後払い保険料として、担保管理用スマートコントラクト16が管理している担保の価値として計上される金額から差し引く。
また、担保管理用スマートコントラクト16は、担保として設定及び預入を受け付けて管理するデジタル資産の売買を行い、売買スプレッドに相当する金額を、後払い保険料の少なくとも一部に充当する。
また、担保管理用スマートコントラクト16は、担保として設定及び預入を受け付けて管理するデジタル資産のレンディングを行い、レンディングにより得られる賃料を、後払い保険料の少なくとも一部に充当する。
また、担保管理用スマートコントラクト16は、担保として設定及び預入を受け付けて管理するデジタル資産が、金利または配当付きの証券としての性質を有するSTO型トークンである場合、STO型トークンから得られる金利または配当に相当する金額を、後払い保険料の少なくとも一部に充当する。
また、担保管理用スマートコントラクト16は、担保として設定及び預入を受け付けて管理するデジタル資産が、付加価値を有するNFT(非代替性トークン)である場合、NFTを転売することで得られる利益を換算した金利に相当する金額を、後払い保険料の少なくとも一部に充当する。
【0106】
また、担保管理用スマートコントラクト16は、図27に示すように、管理する担保の価値として計上される金額が所定額以上を維持している間、当該保険契約を継続し、所定額を下回ったとき、当該保険の契約者30に対し追加の担保の預入を要求する通知を送信し、当該保険の契約者30から追加の担保の預入がなされなかった場合に当該保険契約を終了する。
また、担保管理用スマートコントラクト16は、担保として設定及び預入を受け付けて管理するデジタル資産の価値に応じて後払い保険料における管理費の金額を調整する。
また、担保管理用スマートコントラクト16は、担保として設定及び預入を受け付けて管理するデジタル資産の引出を所定の引出限度額の範囲に制限する。
また、担保管理用スマートコントラクト16は、担保として設定及び預入を受け付けて管理するデジタル資産が引出限度額の範囲を超えて引き出されたとき、当該保険契約を一時停止または解約する。
【0107】
なお、保険契約締結後、保険契約受付用スマートコントラクト11が設定を受け付けた保険契約の内容と、担保管理用スマートコントラクト16に担保として預入されているデジタル資産の増減状況と、保険金支給用スマートコントラクト13による保険金支給額に相当する価値を有するデジタル資産の支給履歴については、保険内容提示手段22がコンピュータの端末や、携帯情報端末等の他の電子機器の画面表示部を有する図示しない表示手段を介して、提示する。
また、後払い保険料については、メールなどの図示しない通知手段を介して、保険の契約者30に報告する。
【0108】
保険の種類が生命保険または一般的な損害保険である場合の処理の具体例
例えば、生命保険の種類ががん保険であって、保険金支給条件が「がん」と診断された場合であり、保険金支給額が保険契約1単位あたり10万円を基準とし契約単位数に応じて10万円単位で加算される保険である場合において、保険の契約希望者30は、保険契約受付用スマートコントラクト11に、保険契約の単位ごとに、保険金支給条件と、保険金支給条件に応じた保険金支給額等の保険契約項目を設定する。例えば、ある保険の契約希望者30が、保険金の支給額として80万円を設定した場合、保険契約の単位数は8となり、保険料の負担額は、8倍(8人分の契約のような扱い)となる。
なお、契約の単位数には、上限が定められているものとする。この例では、保険の契約者30が1万人あたり、一人の保険の契約希望者30が設定可能な契約の単位数の上限が8であるものとする。
【0109】
ここで、例えば、現在の保険の契約者30が1万人、契約の総単位数が8万である場合において、1万人の保険の契約者30のうち、2人の保険の契約者30が「がん」と診断され、保険会社40に対し、保険金請求受付用スマートコントラクト17を介して保険金の請求を行い、保険金支給条件審査用スマートコントラクト12が、当該保険契約についての保険金の支給を決定したものとする。
その場合、保険金支給用スマートコントラクト13は、「がん」と診断された2人の保険の契約者30に対し、保険契約受付用スマートコントラクト11が設定を受け付けた通貨の単位に換算したデジタル資産を、保険金として支給する。
例えば、2人の保険の契約者30の保険契約の単位数が夫々8である場合、夫々の保険の契約者30に支給する保険金は、10万円×8単位=80万円となる。
【0110】
保険金支給総額算出用スマートコントラクト14は、当該月において保険金支給用スマートコントラクト13が支給を行った全ての保険契約の単位についての保険金支給額の総額を算出する。
例えば、当該月において保険金支給用スマートコントラクト13が支給を行った保険契約の単位が16である場合、保険金支給総額算出用スマートコントラクト14が算出する保険金支給額の総額は、10万円×16単位=160万円となる。
純保険料算出用スマートコントラクト15は、保険契約受付用スマートコントラクト11が前記保険契約項目の設定を受け付けた保険契約の単位総数と保険金支給総額算出用スマートコントラクト14が算出した保険金の支給総額とを用いて、当該月における、保険の契約者30が支払うべき保険契約1単位あたりの純保険料を算出(月末〆、翌月初に処理など)する。
上記の例の場合、純保険料算出用スマートコントラクト15が算出する保険契約1単位あたりの純保険料は、160万円÷8万=20円となる。
そして、担保管理用スマートコントラクト16は、管理している担保の価値として計上される金額から純保険料に所定割合の管理費(例えば8%)などを加えた後払い保険料を差し引く。それとともに、後払い保険料を、メールなどの図示しない通知手段を介して、保険の契約者30に報告する。報告を受けた保険の契約者30は、保険内容提示手段22を介して、後払い保険料の支払い履歴を確認できる。
なお、保険の契約者1人当たりの契約単位数が8である場合、保険の契約者1人当たりの純保険料は160円(=20円×8単位)となり、160円の純保険料に所定割合の管理費(例えば8%)などを加えた金額が、保険の契約者1人当たりの後払い保険料となる。
担保管理用スマートコントラクト16は、管理している担保の価値として計上される金額として、例えば、月額の基本費用(想定の最大値など)を250円など仮置きし、その金額が担保管理用スマートコントラクト16内で担保として保持されている間は保険契約を継続する。
【0111】
なお、本実施形態のデジタル資産を用いた保険料低減システム1においては、保険の契約希望者30がICO型トークンなどのデジタル資産を所有し、担保として設定することを条件として、管理費の割引を行うことができる。
より詳しくは、担保管理用スマートコントラクト16は、担保として設定及び預入を受け付けて管理するデジタル資産の価値に応じて後払い保険料における管理費の金額を調整する。
例えば、保険の契約希望者30がゴールドトークンを所有しており、担保管理用スマートコントラクト16が、そのゴールドトークンを担保としての設定及び預入を受け付けた場合、担保管理用スマートコントラクト16は、保険料全体に対する管理費の割合を減額(例えば、2%)する。
また、例えば、担保管理用スマートコントラクト16は、担保として設定及び預入を受け付けて管理するゴールドトークンの売買を行い、ゴールドトークンの売買スプレッドに相当する金額を後払い保険料(の少なくとも一部)に充当する。
ゴールドトークンには金利が付かないが、担保として設定されているときに、レンディング等に提供することで賃料を得ることができるので、後払い保険料(の少なくとも一部)に充当できる。
また、例えば、担保管理用スマートコントラクト16は、金利または配当付きの証券としての性質を有するSTO型トークンとして株式や債券などをトークン化したものについても、担保としての設定及び預入を受け付ける。その場合、担保管理用スマートコントラクト16は、金利または配当付きの証券としての性質を有するSTO型トークンの配当や金利に相当する金額を後払い保険料(の少なくとも一部)に充当する。
金利が付いたトークンに担保権を設定している間は、トークンの保有者は金利を得ることができるので、後払い保険料(の少なくとも一部)に充当できる。
例えば、保険の契約者30が、ある銘柄の株式のSTO型トークンを1単位保有している場合、そのSTO型トークンを担保として設定することによって、STO型トークンの配当又は金利を保険料の支払いに充当することを条件として、受け取り金額20万円までのがん保険の契約を締結することなどが可能である。
【0112】
なお、本実施形態のデジタル資産を用いた保険料低減システム1においては、後払い保険料については、上限を設定できるようにすることもできる。後払い保険料の上限を設定した場合は相応の金額が加算される。その場合、上限が設定された後払い保険料と加算金額の合計が、従来の前払い保険料を超えない金額となるように加算金額を設定する。
例えば、従来の保険契約1単位あたりの前払い保険料が500円である場合、本実施形態のデジタル資産を用いた保険料低減システム1においては、保険契約1単位あたりの後払い保険料の上限が400円のときは、400円までは+35円、後払い保険料の上限が500円のときは、490円までは+10円に加算金額を設定する。
【0113】
本実施形態のデジタル資産を用いた保険料低減システム1によれば、保険契約を締結後、当該保険契約が終了するまでの所定期間ごとに、当該所定期間において保険金支給用スマートコントラクト13が支給を行った全ての保険契約の単位についての保険金支給額の総額を算出する機能を有する保険金支給総額算出用スマートコントラクト14と、保険契約受付用スマートコントラクト11が保険契約項目の設定を受け付けた保険契約の単位総数と保険金支給総額算出用スマートコントラクト14が算出した保険金支給総額とを用いて、当該所定期間における、保険契約1単位あたりの純保険料を算出する機能を有する純保険料算出用スマートコントラクト15と、管理している担保の価値として計上される金額の少なくとも一部を、保険契約の単位ごとに、デジタル資産を用いた担保の設定及び預入を受け付け、受け付けた担保を管理する機能と、純保険料算出用スマートコントラクト15が算出した保険契約1単位あたりの純保険料に所定の管理費を加えた後払い保険料に充当する機能と、を有する担保管理用スマートコントラクト16と、を少なくとも有した構成としたので、支払うべき保険料を、所定期間において、実際に支給した保険金に基づいて算出した純保険料に所定の管理費を加えて後払いの保険料とすることができる。
即ち、実施形態のデジタル資産を用いた保険料低減システム1によれば、従来の損害保険や生命保険の保険料のように、過去のデータに基づき将来を予測して概算で算出された固定額を前払いするために、実際に要した費用を上回る金額が計上されて高額になり易い保険料とは異なり、保険契約を締結後、当該保険契約が終了するまでの所定期間ごとに、当該所定期間における保険金の支払い実績に応じた保険料を算出することができ、保険料を低減できる。
【0114】
しかも、本実施形態のデジタル資産を用いた保険料低減システム1によれば、担保管理用スマートコントラクト16が、デジタル資産を用いた担保の設定及び預入を受け付け、受け付けた担保を管理する機能を有するように構成したので、保険の契約者30の保険料の支払い拒否(未回収金)リスクや、その対応の手間に要するコストなど、保険の契約者30による保険料の支払いが滞りなくなされているか否かをチェックし、保険料の支払いが滞っているときには、支払いを催促し、保険料の支払いがなされなかったときに、保険契約を解除する等の与信管理などのコストをカットすることができ、保険料をより一層低減することができる。
【0115】
加えて、本実施形態のデジタル資産を用いた保険料低減システム1によれば、担保管理用スマートコントラクト16が、管理している担保の価値として計上される金額の少なくとも一部を、純保険料算出用スマートコントラクト15が算出した保険契約1単位あたりの純保険料に所定の管理費を加えた後払い保険料に充当する機能を有するように構成したので、支払うべき保険料の負担を低減することができる。
【0116】
このため、本実施形態のデジタル資産を用いた保険料低減システム1によれば、既存の損害保険、生命保険に比べて、保険料の支払金額を低減することが可能となる。
【0117】
また、本実施形態のデジタル資産を用いた保険料低減システム1によれば、当該保険の契約者30から当該保険契約についての保険金の請求を受け付ける機能を有する保険金請求受付用スマートコントラクト17をさらに有し、保険契約受付用スマートコントラクト11が、保険の種類が生命保険または一般的な損害保険である場合、保険契約の単位ごとに、保険金支給条件と、保険金支給条件に応じた保険金支給額と、を少なくとも含む保険契約項目の設定を受け付け、受け付けた保険契約項目の設定内容で当該保険契約を締結する機能を有し、保険金支給条件審査用スマートコントラクト12が、保険の種類が生命保険または一般的な損害保険である場合、保険契約受付用スマートコントラクト11が設定を受け付けるとともに保険金請求受付用スマートコントラクト17が請求を受け付けた、当該保険契約についての保険金支給条件の適否を審査し、審査した結果、当該保険契約が保険金支給条件を満たす場合に当該保険契約についての保険金の支給を決定する機能を有し、保険金支給用スマートコントラクト13が、保険の種類が生命保険または一般的な損害保険である場合、保険金支給条件審査用スマートコントラクト12が保険金の支給を決定した保険契約の単位について、当該保険の契約者30に対し、保険契約受付用スマートコントラクト11が設定を受け付けた保険金支給額に相当する価値を有するデジタル資産の支給を行う機能を有した構成としたので、生命保険や一般的な損害保険の保険料の支払金額を、既存の損害保険、生命保険に比べて低減することの可能なデジタル資産を用いた保険料低減システムを具現化できる。
【0118】
また、本実施形態のデジタル資産を用いた保険料低減システム1によれば、スポット取引(または当日取引)での当該素材の価格情報、または先物やCFD(差金決済取引)、オプション等の取引より理論価格として導かれる当該素材の価格情報を配信する機能を有する素材価格配信用スマートコントラクト18をさらに有し、保険契約受付用スマートコントラクト11が、保険の種類が素材の価格変動をヘッジする損害保険である場合、保険契約の単位ごとに、保険金支給条件としての保険金受給権行使可能価格と、保険期間と、を少なくとも含む保険契約項目の設定を受け付け、受け付けた保険契約項目の設定内容で当該保険契約を締結する機能を有し、さらに、所定時点での素材価格配信用スマートコントラクト18が配信した当該素材の価格と保険契約受付用スマートコントラクト11が当該保険契約の単位において設定を受け付けた保険金受給権行使可能価格との差分の金額を保険金の支給額として算出する機能を有する保険金支給額算出用スマートコントラクト19と、素材価格配信用スマートコントラクト18が配信した当該素材の価格が、保険契約受付用スマートコントラクト11が当該保険契約の単位において設定を受け付けた保険金受給権行使可能価格を超えたときに、当該保険の契約者30に対し、当該保険期間内に当該保険金受給権を行使可能である旨の通知を送信する機能を有する保険金受給権通知用スマートコントラクト20と、当該保険期間内において当該保険金受給権を行使可能である旨の通知を受信した当該保険の契約者30からの当該保険金受給権の行使指示を受け付ける機能を有する保険金受給権行使指示受付用スマートコントラクト21と、を有し、保険金支給条件審査用スマートコントラクト12が、保険の種類が素材の価格変動をヘッジする損害保険である場合、素材価格配信用スマートコントラクト18が配信した当該素材の価格が、保険契約受付用スマートコントラクト11が当該保険契約の単位において設定を受け付けた保険金受給権行使可能価格を超えた状態を維持している状況において、保険金受給権行使指示受付用スマートコントラクト21が当該保険金受給権の行使指示を受け付けたときに、当該保険契約についての保険金の支給を決定する機能を有し、保険金支給用スマートコントラクト13が、保険の種類が素材の価格変動をヘッジする損害保険である場合、保険金支給条件審査用スマートコントラクト12が当該保険契約についての保険金の支給を決定した時点での素材価格配信用スマートコントラクト18が配信した当該素材の価格と保険契約受付用スマートコントラクト11が当該保険契約の単位において設定を受け付けた保険金受給権行使可能価格との差分の金額に相当する価値を有するデジタル資産を当該保険の契約者30に支給し、当該保険期間の末日における所定時点までに当該保険の契約者30からの当該保険金受給権の行使指示がなかった場合、保険金支給額算出用スマートコントラクト19が保険金の支給額として算出した、当該保険期間の末日における所定時点での素材価格配信用スマートコントラクト18が配信した当該素材の価格と保険契約受付用スマートコントラクト11が当該保険契約の単位において設定を受け付けた保険金受給権行使可能価格との差分の金額に相当する価値を有するデジタル資産を当該保険の契約者30に支給する機能を有した構成としたので、素材の価格変動をヘッジする損害保険の保険料の支払金額を、既存の素材の価格変動をヘッジする損害保険に比べて低減することの可能なデジタル資産を用いた保険料低減システムを具現化できる。
【0119】
また、本実施形態のデジタル資産を用いた保険料低減システム1によれば、素材の対象が、貴金属、非鉄金属、エネルギー、パルプ類、農作物(米、小麦、トウモロコシなど)、鉄、不動産、水、天候を含む広範囲に及ぶような構成としたので、広範囲に及ぶ多種類の素材について、素材の価格変動をヘッジする損害保険の保険料の支払金額を、既存の素材の価格変動をヘッジする損害保険に比べて低減することが可能となる。
【0120】
また、本実施形態のデジタル資産を用いた保険料低減システム1によれば、保険契約受付用スマートコントラクト11が、保険の種類が素材の価格変動をヘッジする損害保険である場合における保険契約の単位ごとに設定を受け付ける保険金支給条件としての保険金受給権行使可能価格を、当該素材の基準価格、該基準価格の倍率の設定によって定めるような構成としたので、保険の契約者30は、素材価格の急騰に対する保険金受給権行使可能価格の設定がし易くなる。
【0121】
また、本実施形態のデジタル資産を用いた保険料低減システム1によれば、担保管理用スマートコントラクト16が、純保険料算出用スマートコントラクト15が算出した保険契約1単位あたりの純保険料に所定の管理費を加えた金額を後払い保険料として、該担保管理用スマートコントラクト16が管理している担保の価値として計上される金額から差し引く機能を有した構成としたので、支払うべき保険料の負担を低減することが可能となることを具現化できる。
【0122】
また、本実施形態のデジタル資産を用いた保険料低減システム1によれば、担保管理用スマートコントラクト16が、担保として設定及び預入を受け付けて管理するデジタル資産の売買を行い、売買スプレッドに相当する金額を、後払い保険料の少なくとも一部に充当する機能をさらに有した構成としたので、担保を活用して得た金額を保険料に充当することにより、支払うべき保険料の負担を低減することが可能となることを具現化できる。
【0123】
また、本実施形態のデジタル資産を用いた保険料低減システム1によれば、担保管理用スマートコントラクト16が、担保として設定及び預入を受け付けて管理するデジタル資産のレンディングを行い、レンディングにより得られる賃料を、後払い保険料の少なくとも一部に充当する機能をさらに有した構成としたので、担保を活用して得た金額を保険料に充当することにより、支払うべき保険料の負担を低減することが可能となることを具現化できる。
【0124】
また、本実施形態のデジタル資産を用いた保険料低減システム1によれば、担保管理用スマートコントラクト16が、担保として設定及び預入を受け付けて管理するデジタル資産が、金利または配当付きの証券としての性質を有するSTO型トークンである場合、前記STO型トークンから得られる金利または配当に相当する金額を、前記後払い保険料の少なくとも一部に充当する機能をさらに有した構成としたので、担保を活用して得た金額を保険料に充当することにより、支払うべき保険料の負担を低減することが可能となることを具現化できる。
【0125】
また、本実施形態のデジタル資産を用いた保険料低減システム1によれば、担保管理用スマートコントラクト16が、担保として設定及び預入を受け付けて管理するデジタル資産が、付加価値を有するNFT(非代替性トークン)である場合、前記NFTを転売することで得られる利益を換算した金利に相当する金額を、前記後払い保険料の少なくとも一部に充当する機能をさらに有した構成としたので、担保を活用して得た金額を保険料に充当することにより、支払うべき保険料の負担を低減することが可能となることを具現化できる。
【0126】
また、本実施形態のデジタル資産を用いた保険料低減システム1によれば、担保管理用スマートコントラクト16が、管理する担保の価値として計上される金額が所定額以上を維持している間、当該保険契約を継続し、所定額を下回ったとき、当該保険の契約者30に対し追加の担保の預入を要求する通知を送信し、当該保険の契約者30から追加の担保の預入がなされなかった場合に当該保険契約を終了する機能をさらに有した構成としたので、保険会社40の与信管理コストを軽減でき、その分、保険料を低減することが可能となる。
【0127】
また、本実施形態のデジタル資産を用いた保険料低減システム1によれば、担保管理用スマートコントラクト16が、担保として設定及び預入を受け付けて管理するデジタル資産の価値に応じて後払い保険料における前記管理費の金額を調整する機能をさらに有した構成としたので、保険の契約者30が担保としての価値の高いデジタル資産を担保とした場合に、保険料をより一層低減することが可能となる。
【0128】
また、本実施形態のデジタル資産を用いた保険料低減システム1によれば、さらに、保険契約受付用スマートコントラクト11が設定を受け付けた保険契約の内容と、担保管理用スマートコントラクト16に担保として預入されているデジタル資産の増減状況と、後払い保険料の支払い履歴と、保険金支給用スマートコントラクト13による保険金支給額に相当する価値を有するデジタル資産の支給履歴と、を提示する保険内容提示手段22を有した構成としたので、保険の契約者30が、保険の契約内容や、担保として預入しているデジタル資産の状況や、後払い保険料の支払い履歴等を容易に確認することが可能となる。
【0129】
また、本実施形態のデジタル資産を用いた保険料低減システム1によれば、担保管理用スマートコントラクト16が、担保として設定及び預入を受け付けて管理するデジタル資産の引出を所定の引出限度額の範囲に制限する機能をさらに有した構成としたので、保険契約期間中に担保不足により後払い保険料が支払われなくなる状況を未然に回避し易くなる。
【0130】
また、本実施形態のデジタル資産を用いた保険料低減システム1によれば、担保管理用スマートコントラクト16が、担保として設定及び預入を受け付けて管理するデジタル資産が引出限度額の範囲を超えて引き出されたとき、当該保険契約を一時停止または解約する機能をさらに有した構成としたので、担保不足により後払い保険料が支払われなくなる一方で、支給される可能性のある保険金が算出されるようなことを未然に防止できる。
【0131】
また、本実施形態のデジタル資産を用いた保険料低減システム1によれば、純保険料算出用スマートコントラクト15が、当該保険契約が契約期間内に解約される、または、当該保険契約を一時停止後再開することにより、当該保険契約における有効期間が保険契約の全期間に満たない場合、当該保険契約における有効期間についての保険契約1単位あたりの純保険料を算出する機能を有した構成としたので、保険の契約者30が支払うべき後払い保険料を保険契約の有効期間に応じて低減することが可能となる。
【0132】
また、本実施形態のデジタル資産を用いた保険料低減システム1によれば、保険契約受付用スマートコントラクト11が、保険契約項目において、保険金として支給するデジタル資産の通貨の単位の設定を受け付ける機能をさらに有し、保険金支給用スマートコントラクト13が、保険契約受付用スマートコントラクト11が設定を受け付けた通貨の単位に換算したデジタル資産を、保険金として支給する機能を有した構成としたので、保険の契約者30は、所望の通貨の単位のデジタル資産で保険金を受給することが可能となる。
【0133】
また、本実施形態のデジタル資産を用いた保険料低減システム1によれば、担保管理用スマートコントラクト16が、担保としてのデジタル資産として種類の異なるトークンの組み合わせの設定を受け付ける機能と、受け付けた当該トークンの組み合わせに応じて、担保としてのデジタル資産の金額を所定の通貨単位に換算する機能と、をさらに有した構成としたので、保険の契約者30は、複数種類のトークンを担保として設定することが可能となる。
【0134】
また、本実施形態のデジタル資産を用いた保険料低減システム1によれば、担保管理用スマートコントラクト16が、担保として設定及び預入を受け付けて管理すべきデジタル資産に対し、保険の契約希望者30の与信の度合いに応じた担保率を設定する機能をさらに有した構成としたので、保険の契約者30からの後払い保険料の未徴収を防止し易くなる一方、与信の高い保険の契約希望者30に対する担保の設定を不要化することが可能となる。
【0135】
従って、本発明によれば、既存の損害保険、生命保険に比べて、保険料の支払金額を低減することの可能なデジタル資産を用いた保険料低減システムが得られる。
【0136】
以上、本発明のデジタル資産を用いた保険料低減システムについて実施形態を用いて説明したが、本発明のデジタル資産を用いた保険料低減システムは、上記実施形態で説明した構成に限られるものではなく、本発明の請求項の範囲内でどのような形態にも構成可能である。
例えば、本実施形態のデジタル資産を用いた保険料低減システム1に備わる保険契約受付用スマートコントラクト11、保険金支給条件審査用スマートコントラクト12、保険金支給用スマートコントラクト13、保険金支給総額算出用スマートコントラクト14、純保険料算出用スマートコントラクト15、担保管理用スマートコントラクト16、保険金請求受付用スマートコントラクト17、素材価格配信用スマートコントラクト18、保険金支給額算出用スマートコントラクト19、保険金受給権通知用スマートコントラクト20、保険金受給権行使指示受付用スマートコントラクト21のうちのいくつかのスマートコントラクトが、一つに統合された構成であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0137】
本発明のデジタル資産を用いた保険料低減システムは、損害保険や生命保険のサービスを提供することが必要とされる分野に有用である。
【符号の説明】
【0138】
1 デジタル資産を用いた保険料低減システム
11 保険契約受付用スマートコントラクト
12 保険金支給条件審査用スマートコントラクト
13 保険金支給用スマートコントラクト
14 保険金支給総額算出用スマートコントラクト
15 純保険料算出用スマートコントラクト
16 担保管理用スマートコントラクト
17 保険金請求受付用スマートコントラクト
18 素材価格配信用スマートコントラクト
19 保険金支給額算出用スマートコントラクト
20 保険金受給権通知用スマートコントラクト
21 保険金受給権行使指示受付用スマートコントラクト
22 保険内容提示手段
30 保険の契約者(または保険の契約希望者)
40 保険会社
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