(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023059191
(43)【公開日】2023-04-26
(54)【発明の名称】柱梁架構
(51)【国際特許分類】
E04B 1/58 20060101AFI20230419BHJP
E04B 1/30 20060101ALI20230419BHJP
【FI】
E04B1/58 508P
E04B1/30 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021169190
(22)【出願日】2021-10-14
(71)【出願人】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124084
【弁理士】
【氏名又は名称】黒岩 久人
(72)【発明者】
【氏名】杉山 智昭
(72)【発明者】
【氏名】藤山 淳司
(72)【発明者】
【氏名】野々山 昌峰
(72)【発明者】
【氏名】辰濃 達
(72)【発明者】
【氏名】木村 廣
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 英義
(72)【発明者】
【氏名】今井 和正
【テーマコード(参考)】
2E125
【Fターム(参考)】
2E125AA04
2E125AA13
2E125AB12
2E125AB16
2E125AC16
2E125AC29
2E125AE04
2E125AE07
2E125BB16
2E125BE02
2E125CA90
(57)【要約】
【課題】鋼管柱と容易かつ高い接合強度で接合でき、かつ、スパン長さに合わせて梁長さを自在に調整できる、柱梁架構を提供すること。
【解決手段】柱梁架構1は、一対のCFT柱30と、一対のCFT柱30同士を連結する中間合成梁40Aおよび上側合成梁40Bと、一対のCFT柱30同士の間に設けられた鉄筋コンクリート壁50と、を備える。中間合成梁40Aおよび上側合成梁40Bは、CFT柱30に接合された一対の端部鋼材41と、一対の端部鋼材41同士を連結する中央部鉄筋42と、端部鋼材41および中央部鉄筋42が埋設されたコンクリート体45と、を備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋼管柱と鉄筋コンクリート壁とを備える合成構造の柱梁架構であって、
一対の鋼管柱と、
前記一対の鋼管柱同士を連結する梁と、
前記一対の鋼管柱同士の間に設けられた鉄筋コンクリート壁と、を備え、
前記梁は、前記鋼管柱に接合されたフランジを有する一対の端部鋼材と、前記一対の端部鋼材同士を連結する中央部鋼材と、前記端部鋼材および前記中央部鋼材が埋設されたコンクリート体と、を備えていることを特徴とする柱梁架構。
【請求項2】
前記梁のコンクリート体の両側面のうち少なくとも一方は、前記鉄筋コンクリート壁の壁面と面一または前記鉄筋コンクリート壁の壁面よりも内側に位置することを特徴とする請求項1に記載の柱梁架構。
【請求項3】
前記鉄筋コンクリート壁の縦筋は、前記縦筋の端部が前記梁のコンクリート体の内部に位置する、あるいは、前記縦筋が前記梁のコンクリート体を貫通することで、前記梁のコンクリート体に定着されることを特徴とする請求項1または2に記載の柱梁架構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋼管柱と鉄筋コンクリート壁とを備える合成構造の柱梁架構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、鉄骨柱と鉄筋コンクリート壁との接合構造が知られている(特許文献1~3参照)。
特許文献1には、鋼管柱と、この鋼管柱に接合された耐震壁と、を有する鋼管柱構造体が示されている。鋼管柱のうち耐震壁のストラット応力が作用する個所には、増肉加工がされている。
特許文献2には、鉄筋コンクリート造の耐震壁と鋼管柱との接合構造が示されている。鋼管柱の外面には、スタッドボルトや溝形部材などの剪断力伝達部材が突設され、この剪断力伝達部材は、耐震壁のコンクリートに埋め込まれている。鋼管柱は、内部にコンクリートが充填されたコンクリート充填鋼管柱となっている。
【0003】
特許文献3には、H形鋼柱とRC耐震壁との接合構造が示されている。H形鋼柱のウエブには、複数の剪断力伝達部材が設けられ、これら剪断力伝達部材は、RC耐震壁に埋設されている。
特許文献4には、RC柱と、このRC柱の上端部に結合された、水平方向に適宜間隔を空けて配置された一対の鉄骨梁と、を備える壁構造が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000-352153号公報
【特許文献2】特開平11-324108号公報
【特許文献3】特開2002-227327号公報
【特許文献4】特開平06-129042号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、鋼管柱と容易かつ高い接合強度で接合でき、かつ、スパン長さに合わせて梁長さを自在に調整できる、柱梁架構を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、鉄筋コンクリート壁を含む鉄骨系架構において、一対をなす鋼管柱同士を、フランジを有する端部鋼材と中央部鋼材とを備えた合成梁で連結することで、スパン長さに応じで梁長さを自在に調整でき、かつ、鋼管柱と合成梁を高い接合強度で接合できる点に着眼して、本発明に至った。
第1の発明の柱梁架構(例えば、後述の柱梁架構1)は、鋼管柱(例えば、後述のCFT柱30)と鉄筋コンクリート壁(例えば、後述の鉄筋コンクリート壁50)とを備える合成構造の柱梁架構であって、一対の鋼管柱と、前記一対の鋼管柱同士を連結する梁(例えば、後述の中間合成梁40A、上側合成梁40B)と、前記一対の鋼管柱同士の間に設けられた鉄筋コンクリート壁と、を備え、前記梁は、前記鋼管柱に接合されたフランジ(例えば、後述のフランジ46)を有する一対の端部鋼材(例えば、後述の端部鋼材41)と、前記一対の端部鋼材同士を連結する中央部鋼材(例えば、後述の中央部鉄筋42、ウエブ47)と、前記端部鋼材および前記中央部鋼材が埋設されたコンクリート体(例えば、後述のコンクリート体45)と、を備えていることを特徴とする。
【0007】
この発明によれば、鋼管柱および鉄筋コンクリート壁を備える合成構造として、一対の鋼管柱同士を、端部鋼材および中央部鋼材を備えた合成梁で連結した。よって、梁端部の端部鋼材を鋼管柱に接合したので、梁と鋼管柱と容易かつ高い接合強度で接合できる。また、一対の鋼管柱同士を連結する合成梁は、端部鋼材および中央部鋼材を覆うようにコンクリート体を形成すれば良く、施工が比較的容易である。
また、中央部鋼材として鉄筋を用いた場合には、梁の全長に亘って鋼材を配置するのではなく、梁の端部のみにフランジを有する鋼材を配置するので、スパン長さに合わせて梁長さを自在に調整可能であり、建物の設計の自由度を高めることができる。
【0008】
第2の発明の柱梁架構は、前記梁のコンクリート体の両側面のうち少なくとも一方は、前記鉄筋コンクリート壁の壁面と面一または前記鉄筋コンクリート壁の壁面よりも内側に位置することを特徴とする。
この発明によれば、梁の少なくとも一側面を、鉄筋コンクリート壁の壁面と面一または鉄筋コンクリート壁の壁面よりも内側に配置した。よって、梁型が鉄筋コンクリート壁の壁面から突出しないから、使い勝手の良い屋内空間または屋外空間を実現できる。
【0009】
第3の発明の柱梁架構は、前記鉄筋コンクリート壁の縦筋は、前記縦筋の端部が前記梁のコンクリート体の内部に位置する、あるいは、前記縦筋が前記梁のコンクリート体を貫通することで、前記梁のコンクリート体に定着されることを特徴とする。
この発明によれば、鉄筋コンクリート壁の縦筋の端部を梁のコンクリート体の内部に位置させる、あるいは、この縦筋を梁のコンクリート体に貫通させることで、鉄筋コンクリート壁の縦筋を梁のコンクリート体に定着させた。よって、鉄筋コンクリート壁の縦筋に特別な加工を行うことなく、鉄筋コンクリート壁の縦筋を梁のコンクリート体に定着させることができ、強固な合成構造を実現できる。
【0010】
第4の発明の柱梁架構は、前記端部鋼材は、H形鋼と、前記H形鋼のウエブに沿ってまたは前記ウエブと交差方向に延びる補剛プレートと、を備え、前記中央部鉄筋は、前記補剛プレートに接合されることを特徴とする。
この発明によれば、H形鋼に補剛プレートを設け、この補剛プレートに中央部鉄筋を接合したので、補剛プレートにより端部鋼材の剛性を向上できる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、鋼管柱と容易かつ高い接合強度で接合でき、かつ、スパン長さに合わせて梁長さを自在に調整できる、柱梁架構を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る柱梁架構の側面図である。
【
図2】第1実施形態に係る柱梁架構の鉄筋コンクリート壁の配筋状況を示す側面図およびI-I断面図である。
【
図3】
図2の柱梁架構1のII-II断面図である。
【
図4】第1実施形態に係る柱梁架構の合成梁の構造を示す側面図である。
【
図5】
図4の柱梁架構の破線Aで囲んだ部分(中間合成梁)の拡大図である。
【
図6】
図5の中間合成梁のIII-III断面図およびIV-IV断面図である。
【
図7】
図3の柱梁架構の破線Bで囲んだ部分の拡大図である。
【
図8】第1実施形態に係る柱梁架構に地震力が作用した場合の応力伝達機構を示す模式図である。
【
図9】本発明の第2実施形態に係る柱梁架構の部分拡大図(中間合成梁)である。
【
図10】
図9の中間合成梁のV-V断面図およびVI-VI断面図である。
【
図11】本発明の第3実施形態に係る柱梁架構の部分拡大図(中間合成梁)である。
【
図12】
図11の中間合成梁のVII-VII断面図およびVIII-VIII断面図である。
【
図13】本発明の第4実施形態に係る柱梁架構の部分拡大図(中間合成梁)である。
【
図14】
図13の中間合成梁のIX-IX断面図およびX-X断面図である。
【
図15】本発明の変形例に係る柱梁架構の部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、建物の地上階または鋼管柱が構真柱として使用される建物の地下階において、建物躯体を構成する一対の鋼管柱と鉄筋コンクリート壁とを備える合成構造の柱梁架構である。本発明の柱梁架構の特徴は、一対の鋼管柱同士を連結する合成梁を、鋼管柱に接合されたフランジを有する一対の端部鋼材と、一対の端部鋼材同士を連結する中央部鋼材と、端部鋼材および中央部鋼材を覆うコンクリート体と、を含んで構成した点である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の実施形態の説明にあたって、同一構成要件については同一符号を付し、その説明を省略もしくは簡略化する。
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態に係る柱梁架構1の側面図である。
図2(a)は、柱梁架構1の鉄筋コンクリート壁50の配筋状況を示す側面図である。
図2(b)は、
図2(a)の柱梁架構1のI-I断面図である。
図3は、
図2(a)の柱梁架構1のII-II断面図である。
柱梁架構1は、一対の鉄筋コンクリート造の場所打ち杭10と、一対の場所打ち杭10の上に設けられた鉄筋コンクリート造の基礎梁20と、この基礎梁20の上に設けられて下端が場所打ち杭10に埋設された一対の鋼管柱としてのCFT柱30と、基礎梁20の直上に位置し一対のCFT柱30同士を連結する中間合成梁40Aと、中間合成梁40Aの直上に位置して一対のCFT柱30同士を連結する上側合成梁40Bと、一対のCFT柱30の間に設けられた鉄筋コンクリート壁50(
図1中斜線で示す)と、を備える。
【0014】
図4は、柱梁架構1の中間合成梁40Aおよび上側合成梁40Bの構造を示す側面図である。
図5は、
図4の柱梁架構1の破線Aで囲んだ部分(中間合成梁40A)の拡大図である。
図6(a)は、
図5の中間合成梁40AのIII-III断面図である。
図6(b)は、
図5の中間合成梁40AのIV-IV断面図である。
図7は、
図3の柱梁架構1の破線Bで囲んだ部分の拡大図である。なお、
図4および
図5では、理解の容易のため、梁筋43およびあばら筋44の表示を省略している。
図7に示すように、CFT(Concrete Filled Steel Tube)柱30は、角形鋼管である鋼管31と、鋼管31の内部にコンクリートを充填して形成されたコンクリート体32と、を備える。CFT柱30の鉄筋コンクリート壁50との接合面である側面には、スタッド材33が上下方向に2列に並んで設けられている。また、CFT柱30の下端部は、基礎梁20を貫通して、場所打ち杭10に埋設されている。
【0015】
以下、中間合成梁40Aについて説明するが、上側合成梁40Bも中間合成梁40Aと同様の構成である。
中間合成梁40Aは、一対のCFT柱30の鋼管31に溶接接合された一対のH形鋼である端部鋼材41と、一対の端部鋼材41同士を連結する10本の中央部鋼材としての中央部鉄筋42と、中間合成梁40Aの全長に亘って設けられた4本の梁筋43と、端部鋼材41および中央部鉄筋42を囲んで所定間隔おきに設けられた閉鎖型のあばら筋44と、端部鋼材41、中央部鉄筋42、梁筋43、あばら筋44が埋設されたコンクリート体45と、を備える。
端部鋼材41は、上下に配置されて水平方向に延びるフランジ46と、これらフランジ46同士を連結して鉛直方向に延びるウエブ47と、を備える。端部鋼材41のウエブ47の両側面には、長ナットであるカプラ48が5本ずつ溶接固定されている。中央部鉄筋42は、両端部に雄ねじが形成された異形鉄筋であり、中央部鉄筋42の両端部は、これらカプラ48に螺合されている。これにより、中央部鉄筋42は、端部鋼材41のウエブ47に接合されている。
また、梁筋43は、CFT柱30には定着されていない。
【0016】
鉄筋コンクリート壁50は、基礎梁20、一対のCFT柱30、および上側合成梁40Bに囲まれた空間に設けられており、中間合成梁40Aは、鉄筋コンクリート壁50の中間高さに位置している。合成梁40A、40Bのコンクリート体45の両側面は、鉄筋コンクリート壁50の壁面と面一となっている。
図7にも示すように、鉄筋コンクリート壁50は、縦筋51および横筋52がダブル配筋されている。この鉄筋コンクリート壁50の横筋52の両端部には、略コの字形状の壁補強筋53が、ダブル配筋された横筋52に跨がって重ね継手で取り付けられている。また、鉄筋コンクリート壁50の四隅の部分(
図2(a)中破線Rで示す部分)には、巾止め筋54が設けられている。
また、鉄筋コンクリート壁50のダブル配筋された縦筋51は、下端が基礎梁20に定着され、中間合成梁40Aのコンクリート体45を貫通し、上端が上側合成梁40Bのコンクリート体45内に定着されている。
【0017】
以上の柱梁架構1によれば、
図8に示すように、地震力Hが加わると、鉄筋コンクリート壁50の上部(中間合成梁40Aよりも上側の部分)のコンクリート圧縮束P1、鉄筋コンクリート壁50の下部(中間合成梁40Aよりも下側の部分)のコンクリート圧縮束P2、および、鉄筋コンクリート壁50全体の圧縮束PAが、この水平力Hに抵抗する。
このとき、合成梁40A、40Bには引張力が作用するが、カプラ48を用いて端部鋼材41と中央部鉄筋42とを連結したので、CFT柱30、端部鋼材41、カプラ48、中央部鉄筋42の順に引張力が確実に伝達される。
【0018】
また、合成梁40A、40Bの端部鋼材41が鉄筋コンクリート壁50に定着されているので、合成梁40A、40Bの端部鋼材41の支圧抵抗に対してフランジ間のコンクリートの補剛効果が得られる。
また、合成梁40A、40Bの端部鋼材41は、フランジの支圧および引張材として機能することにより、各層の圧縮束P1、P2の形成に寄与している。
また、鉄筋コンクリート壁50の縦筋51が合成梁40A、40Bに定着されることで、全体の圧縮束PAの形成に寄与している。
また、端部鋼材41のフランジ面と接するコンクリートが支圧により圧縮強度が上昇することを考慮すると、
図6に示すように、端部鋼材41のフランジ幅Tは、壁厚Wの1/3以上とすることが好ましい。また、端部鋼材41のフランジ面と接するコンクリートが支圧により圧縮強度が上昇することを考慮すると、
図7に示すように、鉄筋コンクリート壁の壁厚Wは、CFT柱30の幅Dの1/3~2/3程度が好ましい。
【0019】
本実施形態によれば、以下のような効果がある。
(1)CFT柱30および鉄筋コンクリート壁50を備える合成構造として、一対のCFT柱30同士を、端部鋼材41および中央部鉄筋42を備えた合成梁40A、40Bで連結した。梁端部の端部鋼材41をCFT柱30の鋼管31に接合したことにより、合成梁40A、40BとCFT柱30と容易かつ高い接合強度で接合できる。また、合成梁40A、40Bの梁長さが容易に調整可能であり、建物の設計の自由度を高めることができる。
(2)合成梁40A、40Bの全長に亘って鋼材を配置するのではなく、合成梁40A、40Bの端部のみに端部鋼材41を配置するので、スパン長さに合わせて梁長さを自在に調整でき、施工性が良好である。
【0020】
(3)合成梁40A、40Bの両側面を、鉄筋コンクリート壁50の壁面と面一とした。よって、合成梁40A、40Bの梁型が鉄筋コンクリート壁50の壁面から突出しないから、使い勝手の良い屋内空間または屋外空間を実現できる。
(4)鉄筋コンクリート壁50の縦筋51の端部を合成梁40Bのコンクリート体45の内部に位置させるとともに、この縦筋51を合成梁40Aのコンクリート体45に貫通させることで、鉄筋コンクリート壁50の縦筋51を合成梁40A、40Bのコンクリート体45に定着させた。よって、鉄筋コンクリート壁50の縦筋51に特別な加工を行うことなく、鉄筋コンクリート壁50の縦筋51を合成梁40A、40Bのコンクリート体45に定着させることができ、強固な合成構造を実現できる。
【0021】
〔第2実施形態〕
図9は、本発明の第2実施形態に係る柱梁架構1Aの部分拡大図(中間合成梁60)である。
図10(a)は、
図9の中間合成梁60のV-V断面図である。
図10(b)は、
図9の中間合成梁60のVI-VI断面図である。なお、
図9では、理解の容易のため、梁筋43およびあばら筋44の表示を省略している。
本実施形態では、中央部鉄筋42を端部鋼材41のフランジ46に接合した点が第1実施形態と異なり、その他の構成は、第1実施形態と同様である。すなわち、端部鋼材41の上側のフランジ46の上面および下側のフランジ46の下面には、それぞれ、長ナットであるカプラ48が3本ずつ溶接固定されている。中央部鉄筋42は、両端部に雄ねじが形成された異形鉄筋であり、中央部鉄筋42の両端部は、これらカプラ48に螺合されている。
本実施形態によれば、上述の(1)~(4)と同様の効果がある。
【0022】
〔第3実施形態〕
図11は、本発明の第3実施形態に係る柱梁架構1Bの部分拡大図(中間合成梁70)である。
図12(a)は、
図11の中間合成梁70のVII-VII断面図である。
図12(b)は、
図11の中間合成梁70のVIII-VIII断面図である。なお、
図11では、理解の容易のため、梁筋43およびあばら筋44の表示を省略している。
本実施形態では、端部鋼材71の構成が第1実施形態と異なり、その他の構成は、第1実施形態と同様である。
【0023】
すなわち、端部鋼材71は、フランジ46およびウエブ47からなるH形鋼72と、H形鋼72のフランジ46およびウエブ47に交差する方向に延びる補剛プレート73と、を備える。この端部鋼材71の長さLは、端部鋼材41の長さよりも短くすることが可能である。
補剛プレート73の梁端部側には、ナット74が10本溶接固定されており、中央部鉄筋42の両端部は、補剛プレート73を貫通してナット74に螺合されている。これにより、中央部鉄筋42は、端部鋼材41の補剛プレート73に接合されている。
本実施形態によれば、上述の(1)~(4)に加えて、以下のような効果がある。
(5)H形鋼72に補剛プレート73を設け、この補剛プレート73に中央部鉄筋42を接合したので、補剛プレート73により端部鋼材71の剛性を向上できる。
【0024】
〔第4実施形態〕
図13は、本発明の第4実施形態に係る柱梁架構1Cの部分拡大図(中間合成梁80)である。
図14(a)は、
図13の中間合成梁80のIX-IX断面図である。
図14(b)は、
図13の中間合成梁80のX-X断面図である。なお、
図13では、理解の容易のため、梁筋43およびあばら筋44の表示を省略している。
本実施形態では、中間合成梁80の中央部の構成が第1実施形態と異なり、その他の構成は、第1実施形態と同様である。
すなわち、中間合成梁80の中央部では、中央部鉄筋が設けられておらず、端部鋼材41のウエブ47が延長されている。
本実施形態によれば、上述の(1)、(3)、(4)と同様の効果がある。
【0025】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、上述の各実施形態では、長ナットであるカプラ48やナット74を介して、中央部鉄筋42を端部鋼材41に接合したが、これに限らず、直接、中央部鉄筋42を端部鋼材41に溶接固定してもよい。
また、上述の第1実施形態では、合成梁40A、40Bの両側面を鉄筋コンクリート壁50の壁面と面一としたが、これに限らない。例えば、変形例として、
図15に示すように、合成梁40A、40Bのコンクリート体45の建物内部側(室内側)の側面C1を、鉄筋コンクリート壁50の壁面と面一とし、建物外部側の側面C2を、鉄筋コンクリート壁50の壁面から外側に突出させてもよい。あるいは、合成梁40A、40Bの建物内部側(室内側)の側面を、鉄筋コンクリート壁50の壁面よりも内側に配置してもよい。
【0026】
また、上述の各実施形態では、鉄筋コンクリート壁50の下部を基礎梁20に接合したが、これに限らず、鉄筋コンクリート壁50の下部を、建物中間階の梁に接合してもよい。
また、上述の各実施形態では、鉄筋コンクリート壁50の中間高さに位置する中間合成梁40Aを一つとしたが、これに限らず、鉄筋コンクリート壁の中間高さに位置する中間合成梁を複数設けてもよい。
また、上述の各実施形態では、中間合成梁40Aの高さ位置を、鉄筋コンクリート壁50の略中央としたが、中間合成梁40Aの高さ位置は特に限定されない。
また、上述の各実施形態では、鉄筋コンクリート壁50の中間高さに中間合成梁40Aを設け、鉄筋コンクリート壁50の上端に上側合成梁40Bを設けたが、これに限らず、中間合成梁または上側合成梁部材のみとしてもよい。
【符号の説明】
【0027】
1、1A、1B、1C…柱梁架構 10…場所打ち杭 20…基礎梁
30…CFT柱(鋼管柱) 31…鋼管 32…コンクリート体
33…スタッド材
40A…中間合成梁 40B…上側合成梁 41…端部鋼材
42…中央部鉄筋(中央部鋼材) 43…梁筋 44…あばら筋
45…コンクリート体 46…フランジ
47…ウエブ(中央部鋼材) 48…カプラ
50…鉄筋コンクリート壁 51…縦筋 52…横筋 53…壁補強筋
54…巾止め筋
60…中間合成梁 70…中間合成梁 71…端部鋼材 72…H形鋼
73…補剛プレート 74…ナット