(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023059200
(43)【公開日】2023-04-26
(54)【発明の名称】抵抗溶接用電極
(51)【国際特許分類】
B23K 11/30 20060101AFI20230419BHJP
B23K 11/11 20060101ALI20230419BHJP
B23K 11/16 20060101ALN20230419BHJP
【FI】
B23K11/30 320
B23K11/11 540
B23K11/16 311
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2021182878
(22)【出願日】2021-10-14
(71)【出願人】
【識別番号】392014760
【氏名又は名称】新光機器株式会社
(72)【発明者】
【氏名】蕗澤 武夫
(72)【発明者】
【氏名】増岡 悦男
【テーマコード(参考)】
4E165
【Fターム(参考)】
4E165AA03
4E165AB02
4E165BB02
4E165BB12
4E165BB21
(57)【要約】
【課題】亜鉛めっき鋼板を溶接しても電極の接触部に銅と亜鉛の合金が生成されず、溶接不良が発生することのない電極を提供すること。
【解決手段】銅又は銅合金からなる電極1の接触面4にグラフェンを成膜した。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
銅又は銅合金からなる電極の接触面にグラフェンを成膜したことを特徴とした抵抗溶接用電極。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属製の被溶接部材を電極にて挟んで、加圧、通電することにより被溶接部材を溶接する抵抗溶接用電極に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の電極として
図5に示すように、第1の電極51と第2の電極52との間に鋼板53、54を2枚重ねて配置し、第1の電極51が降下して、第1の電極51と第2の電極52にて2枚重ねの鋼板を加圧、通電し溶接するもので電極51、52は銅又は銅合金にて形成されていた。(例えば、特許文献1を参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記のものでは、鋼板53、54が亜鉛めっき鋼板であると、溶接時の加圧と熱により銅と亜鉛の合金が電極53、54の接触面に生成され、電極の導電率が低下して、溶接個所が剥がれるなどの溶接不良が発生するという問題があった。
【0005】
本発明は、前記の問題を解決し、亜鉛めっき鋼板を溶接しても電極の接触部に銅と亜鉛の合金が生成されず、溶接不良が発生することのない電極を提供することを目的になされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するためになされた本発明の抵抗溶接用電極は、銅又は銅合金からなる電極の接触面にグラフェンを成膜したことを特徴としたものである
【発明の効果】
【0007】
本発明では、銅又は銅合金からなる電極の接触面にグラフェンを成膜したので、亜鉛めっき鋼板を溶接しても銅と亜鉛の合金は生成されず、溶接不良を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について
図1から
図4に基づいて説明すると、1はシャンク2とシャンク2の先端に取付けられたキャップチップ3から構成された銅又は銅合金製の電極1であり、キャップチップ3の接触面4には炭素原子が網目のように六角形に結びついてシート状になっているグラフェン(graphene)5が成膜されている。尚、成膜とは、物体の表面にごく薄い膜を形成することである。
【0010】
このような電極1では、溶接時に被溶接物である亜鉛めっき鋼板に接触しているのは、キャップチップ3の接触面4に形成された非金属元素である炭素のグラフェン5であるので亜鉛めっき鋼板を溶接しても、銅と亜鉛の合金は生成されない。
【0011】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、電極1はシャンク2とキャップチップ3が一体に成形されたものでもよい。
【0012】
以上のように、本発明では、銅又は銅合金からなる電極1の接触面4にグラフェンを成膜したので、亜鉛めっき鋼板を溶接しても、銅と亜鉛の合金は生成されないので、電極1の導電率が低下して接触不良が発生することを防止できる。
【符号の説明】
【0027】
1 電極
2 シャンク
3 キャップチップ
4 接触面
5 グラフェン