(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023059204
(43)【公開日】2023-04-26
(54)【発明の名称】電動グリッパ
(51)【国際特許分類】
B25J 15/08 20060101AFI20230419BHJP
【FI】
B25J15/08 C
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022041140
(22)【出願日】2022-03-16
(31)【優先権主張番号】110138189
(32)【優先日】2021-10-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】518435873
【氏名又は名称】東佑達自動化科技股▲ふん▼有限公司
【住所又は居所原語表記】No.55, Xinji 3rd Rd., Annan Dist., Tainan City, 70947 Taiwan
(74)【代理人】
【識別番号】100124039
【弁理士】
【氏名又は名称】立花 顕治
(74)【代理人】
【識別番号】100207217
【弁理士】
【氏名又は名称】樋口 智夫
(72)【発明者】
【氏名】曾 坤成
(72)【発明者】
【氏名】陳 向緯
(72)【発明者】
【氏名】石 施▲レイ▼
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707AS01
3C707CY36
3C707ES03
3C707ET08
3C707EU05
3C707EU09
3C707HS27
(57)【要約】
【課題】空間利用性や操作性の向上を図る電動グリッパを提供する。
【解決手段】ハウジング、駆動ユニット2、一対の伝動構成3、案内手段4、一対の把持手段5、を備え、駆動ユニット2は、モータ22と、ウォーム21と、を具え、一対の伝動構成3は、いずれも、枢接部311と、噛み合い部312と、連続部313と、両端がそれぞれ第1の端315及び第2の端316となるガイド溝314と、を具え、案内手段4はレール部41を具え、一対の把持手段5は、いずれも、把持部511と、アーム部512と、案内突起513と、を具え、また、一対の把持手段5が把持位置にあると、各案内突起513が対応するガイド溝314の第2の端316に近づくようになる一方、一対の把持手段5が解放位置にあると、各把持手段5の案内突起513が対応するガイド溝314の第1の端315に近づくようになる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を把持するための電動グリッパであって、
少なくとも第1の方向のいずれか一方に向かう開口があるように構成されていると共に内に取り付け空間を画成しているハウジング、それぞれ前記取り付け空間内にあって前記ハウジングに取り付けられている駆動ユニットと一対の伝動構成と案内手段、及び一対の把持手段、を備えており、
前記駆動ユニットは、前記ハウジングに接続されているモータと、前記モータに取り付けられて前記モータから前記第1の方向における前記ハウジングの前記開口の方へ延伸していると共に、前記モータに駆動されることによって自らの中心軸を回転軸線として回転することができるウォームと、を具えており、
前記一対の伝動構成は、前記第1の方向と直交する第2の方向に沿って間隔をあけて互いに対向するように並列されており、それぞれの一部分が前記ウォームと噛み合うと共に他の一部分が前記ハウジングに枢接されている上、前記モータを駆動して前記ウォームを回転させることによって前記ハウジングに対して所定の揺動方向に沿って揺動することができるように構成されており、且つ、
それぞれが、前記第1の方向と前記第2の方向との両方と直交する第3の方向に沿って突出していて前記ハウジングに枢接している部分である枢接部と、前記枢接部の反対側にあって前記ウォームと噛み合うための複数の歯があるように構成されている噛み合い部と、前記枢接部及び前記噛み合い部を一体的に接続している連接部と、前記連接部に弧状となるように形成されていると共に両端がそれぞれ第1の端及び第2の端となるガイド溝と、を具えており、
前記案内手段は、前記モータの前記第1の方向に沿う反対側にある前記ハウジングの開口に近い箇所に、前記一対の伝動構成に対応し、且つ前記第2の方向に沿って延伸するように配置されている少なくとも1つのレール部を具えており、
前記一対の把持手段は、それぞれ対応する前記伝動構成と繋がっていると共に前記レール部に移動可能に配置されている上、前記一対の伝動構成の前記ハウジングに対する揺動により前記レール部に沿って互いに接近する把持位置と離間する解放位置との間に移動することができるように構成されており、且つ、
それぞれが、前記物品を把持するためのものであり且つ一部が前記ハウジングの開口から突出していると共に他の一部が前記取り付け空間内にあって前記レール部に移動可能に繋がっている把持部と、前記把持部から対応する前記伝動構成の方へ延伸しているアーム部と、前記アーム部から前記第3の方向に沿って突出していて、対応する前記伝動構成の前記ガイド溝に嵌め込まれ、対応する前記伝動構成が揺動することにより前記ガイド溝に案内されて移動できるように配置されている案内突起と、を具えており、
また、前記一対の把持手段が前記把持位置に来るように操作すると、各前記把持手段の前記案内突起が対応する前記伝動構成における前記ガイド溝の前記第2の端に近づくようになる一方、前記一対の把持手段が前記解放位置に来るように操作すると、各前記把持手段の前記案内突起が対応する前記伝動構成における前記ガイド溝の前記第1の端に近づくようになるように構成されている、
ことを特徴とする電動グリッパ。
【請求項2】
前記一対の伝動構成は、いずれも、前記噛み合い部から前記枢接部に向かって幅狭となる略扇形に形成されたものであり、
また、前記噛み合い部は、前記扇形の幅広部分にある円弧縁に沿って形成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の電動グリッパ。
【請求項3】
前記ウォームの前記回転軸線は、前記第1の方向に沿って延伸している駆動軸線となり、
各前記伝動構成の前記枢接部は、前記駆動軸線と直交しながら前記第3の方向に沿って延伸している枢軸線を回転軸線として回転することができる、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電動グリッパ。
【請求項4】
各前記伝動構成の前記枢接部の中心軸は、前記枢軸線と重なっている、
ことを特徴とする請求項3に記載の電動グリッパ。
【請求項5】
前記案内手段の前記レール部は2つあり、前記2つのレール部は、前記第2の方向に沿って延伸していて前記第3の方向に沿って互いに間が隔たるように並列されており、
前記案内手段は、各前記把持手段の前記把持部と前記2つのレール部との間に嵌め込まれるようにそれぞれ配置されている複数のボールを更に具えている、
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の電動グリッパ。
【請求項6】
前記一対の把持手段が前記把持位置と前記解放位置との間に移動するときの各前記伝動構成の最大揺動角度が90°に設定されている、
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の電動グリッパ。
【請求項7】
前記ガイド溝は、前記噛み合い部に向かう側が凸側となり、前記枢接部に向かう側が凹側となり、
前記ガイド溝の前記第1の端は、前記案内手段に対して前記第2の端よりも接近しており、
前記第1の端の前記枢接部からの距離が、前記第1の端の前記噛み合い部からの距離よりも小さい一方、前記第2の端の前記枢接部からの距離が、前記第2の端の前記噛み合い部からの距離よりも大きく形成されている、
ことを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の電動グリッパ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、把持装置に関し、具体的には、自動化生産ラインにおいて物品を把持するための電動グリッパに関する。
【背景技術】
【0002】
製造業の自動化技術の発展につれて、自動化搬送機構の重要性がより一層注目されつつある。電動グリッパは、その1つである。
【0003】
特許文献1には、従来の電動グリッパが記載されている。
【0004】
従来の電動グリッパは、ハウジングと、ハウジング内に設けられている駆動装置と、駆動装置に取り付けられて駆動装置の作動により回転可能なウォームと、それぞれ該ウォームと噛み合っていてウォームの回転につれて回転することができる一対の歯車と、それぞれ一端が対応する歯車の中心軸と連接する一方、他端がハウジングの外側へ延伸するように構成され、且つ一対の歯車の回転につれて互いに接近したり離れたりするように揺動することができる一対の把持アームと、を具えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】中国特許出願公開第109794928号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のような従来の電動グリッパは、物品をしっかり把持することができるが、一対の把持アームが解放状態となるように操作されると、幅がハウジングの幅よりも大きくなるように展開するので、比較的に大きな作業空間が必要となる。そこで、工場の空間利用性を損なう恐れがある。
【0007】
よって、本発明は上記問題点に鑑みて、上記欠点を解決できる電動グリッパを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成すべく、本発明は以下の電動グリッパを提供する。
【0009】
即ち、物品を把持するための電動グリッパであって、
少なくとも第1の方向のいずれか一方に向かう開口があるように構成されていると共に内に取り付け空間を画成しているハウジング、それぞれ前記取り付け空間内にあって前記ハウジングに取り付けられている駆動ユニットと一対の伝動構成と案内手段、及び一対の把持手段、を備えており、
前記駆動ユニットは、前記ハウジングに接続されているモータと、前記モータに取り付けられて前記モータから前記第1の方向における前記ハウジングの前記開口の方へ延伸していると共に、前記モータに駆動されることによって自らの中心軸を回転軸線として回転することができるウォームと、を具えており、
前記一対の伝動構成は、前記第1の方向と直交する第2の方向に沿って間隔をあけて互いに対向するように並列されており、それぞれの一部分が前記ウォームと噛み合うと共に他の一部分が前記ハウジングに枢接されている上、前記モータを駆動して前記ウォームを回転させることによって前記ハウジングに対して所定の揺動方向に沿って揺動することができるように構成されており、且つ、
それぞれが、前記第1の方向と前記第2の方向との両方と直交する第3の方向に沿って突出していて前記ハウジングに枢接している部分である枢接部と、前記枢接部の反対側にあって前記ウォームと噛み合うための複数の歯があるように構成されている噛み合い部と、前記枢接部及び前記噛み合い部を一体的に接続している連接部と、前記連接部に弧状となるように形成されていると共に両端がそれぞれ第1の端及び第2の端となるガイド溝と、を具えており、
前記案内手段は、前記モータの前記第1の方向に沿う反対側にある前記ハウジングの開口に近い箇所に、前記一対の伝動構成に対応し、且つ前記第2の方向に沿って延伸するように配置されている少なくとも1つのレール部を具えており、
前記一対の把持手段は、それぞれ対応する前記伝動構成と繋がっていると共に前記レール部に移動可能に配置されている上、前記一対の伝動構成の前記ハウジングに対する揺動により前記レール部に沿って互いに接近する把持位置と離間する解放位置との間に移動することができるように構成されており、且つ、
それぞれが、前記物品を把持するためのものであり且つ一部が前記ハウジングの開口から突出していると共に他の一部が前記取り付け空間内にあって前記レール部に移動可能に繋がっている把持部と、前記把持部から対応する前記伝動構成の方へ延伸しているアーム部と、前記アーム部から前記第3の方向に沿って突出していて、対応する前記伝動構成の前記ガイド溝に嵌め込まれ、対応する前記伝動構成が揺動することにより前記ガイド溝に案内されて移動できるように配置されている案内突起と、を具えており、
また、前記一対の把持手段が前記把持位置に来るように操作すると、各前記把持手段の前記案内突起が対応する前記伝動構成における前記ガイド溝の前記第2の端に近づくようになる一方、前記一対の把持手段が前記解放位置に来るように操作すると、各前記把持手段の前記案内突起が対応する前記伝動構成における前記ガイド溝の前記第1の端に近づくようになるように構成されている、電動グリッパを提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る電動グリッパによれば、一対の把持手段が、ガイド溝を有する伝動構成を介して、案内手段のレール部に沿って案内されて互いに接近したり離れたりするように移動することによって、物品を解放する解放状態にあっても、従来のようにハウジングの外側へ延伸することなく、ハウジングの幅の範囲内にて物品に対して把持または解放を行うことができるので、自動化生産ラインにおいて空間利用性や操作性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態に係る電動グリッパの構成が示される斜視図である。
【
図2】
図1におけるII-II線に沿った断面が示される断面図である。
【
図3】該実施形態の電動グリッパの構成が示される一部斜視図である。
【
図4】該実施形態の電動グリッパの構成が示される分解斜視図である。
【
図5】該実施形態の電動グリッパの把持状態を説明する一部側面図である。
【
図6】該実施形態の電動グリッパの解放状態を説明する一部側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係る電動グリッパ100は、例えば、電子製品を組み立てる自動化生産ラインにおいて、加工用工具や加工対象物を搬送するための搬送装置用スライダまたはロボットアームの先端部に装着され、物品を把持するためのものである。
【0013】
以下、本発明に係る電動グリッパ100について図面を参照して説明する。
【0014】
図1~
図4を参照して本発明に係る電動グリッパ100の実施形態の構成を説明する。ここで、
図1は本発明の一実施形態に係る電動グリッパ100の構成が示される斜視図であり、
図2は
図1におけるII-II線に沿った断面が示される断面図であり、
図3は該実施形態の電動グリッパ100の構成が示される一部斜視図であり、また、
図4は該実施形態の電動グリッパ100の構成が示される分解斜視図である。
【0015】
本発明に係る電動グリッパ100は、
図1~
図3に示されるように、ハウジング1と、駆動ユニット2と、一対の伝動構成3と、案内手段4と、一対の把持手段5と、を備えている。
【0016】
ハウジング1は、
図1及び
図2に示されるように、少なくとも第1の方向D1のいずれか一方に向かう開口があるように構成されていると共に、内に取り付け空間Sを画成している。
【0017】
駆動ユニット2は、
図2~
図4に示されるように、取り付け空間S内にあってハウジング1に取り付けられており、且つハウジング1に接続されているモータ22と、モータ22に取り付けられてモータ22から第1の方向D1におけるハウジング1の開口の方へ延伸していると共に、モータ22に駆動されることによって自らの中心軸を回転軸線として回転することができるウォーム21と、を具えている。ここで、該回転軸線は、駆動軸線L(
図2及び
図3を参照)と定義されている。
【0018】
一対の伝動構成3は、
図1~
図4に示されるように、取り付け空間S内にあってハウジング1に取り付けられている上に、第1の方向D1と直交する第2の方向D2に沿って間隔をあけて互いに対向するように並列されており、且つそれぞれの一部分がウォーム21と噛み合うと共に他の一部分がハウジング1に枢接されている上、モータ22を駆動してウォーム21を回転させることによってハウジング1に対して所定の揺動方向に沿って揺動することができるように構成されている。
【0019】
より詳しくは、各伝動構成3は、
図2~
図4に示されるように、第1の方向D1と第2の方向D2との両方と直交する第3の方向D3に沿って突出していてハウジング1に枢接している部分である枢接部311と、枢接部311の反対側にあってウォーム21と噛み合うための複数の歯があるように構成されている噛み合い部312と、枢接部311及び噛み合い部312を一体的に接続している連接部313と、連接部313に弧状となって所定の長さを有するように形成されていると共に両端がそれぞれ第1の端315及び第2の端316となるガイド溝314と、を具えている。
【0020】
具体的に、ガイド溝314においては、
図3及び
図4に示されるように、モータ22の方に向かう一端が第2の端316となり、これに対し、その反対側にある他端が第1の端315となる。なお、本実施形態では、該ガイド溝314は、
図3に示されるように、連接部313を貫通するように形成されているが、それに限定されず、他の実施形態において連接部313を貫通しない凹溝となってもよい。
【0021】
より詳しく言うと、
図3及び
図4に示されるように、該ガイド溝314は、噛み合い部312に向かう側が凸側となり、枢接部311に向かう側が凹側となる。また、該ガイド溝314の第1の端315は、後述する案内手段4に対して第2の端316よりも接近している。更に、第1の端315の枢接部311からの距離が、第1の端315の噛み合い部312からの距離よりも小さい一方、第2の端316の枢接部311からの距離が、第2の端316の噛み合い部312からの距離よりも大きく形成されている。 枢接部311は、駆動軸線Lと直交しながら第3の方向D3に沿って延伸している枢軸線R(
図3を参照)を回転軸線として回転することができる。また、該枢接部311の中心軸は、枢軸線Rと重なっている。
【0022】
更に、該一対の伝動構成3は、
図3及び
図4に示されるように、第3の方向D3から見ると、いずれも、噛み合い部312から枢接部311に向かって幅狭となる略扇形に形成されたものである。且つ、噛み合い部312は、
図3及び
図4に示されるように、上記した扇形の幅広部分にある円弧縁に沿って形成されている。
【0023】
該各伝動構成3は、扇形に形成されているので、例えば伝動構成3を円形や半円形に形成するよりもハウジング1のサイズを小型化することができる。
【0024】
案内手段4は、
図1~
図4に示されるように、取り付け空間S内にあってハウジング1に取り付けられており、且つ2つのレール部41と、複数のボール42と、を具えている。
【0025】
2つのレール部41は、
図1~
図4に示されるように、いずれも、モータ22の第1の方向D1に沿う反対側(即ちモータ22に対してウォーム21が延伸する側)にあるハウジング1の開口に近い箇所に、一対の伝動構成3に対応し、且つ第2の方向D2に沿って延伸する直線状となるように配置構成されている。
【0026】
また、該2つのレール部41は、
図2~
図4に示されるように、第2の方向D2に沿って延伸していて第3の方向D3に沿って互いに間が隔たるように並列されており、且つ第2の方向D2から見た断面が半円形状となっていて開口が向かい合っているボール転走溝部411がそれぞれ形成されている。
【0027】
一対の把持手段5は、
図1~
図4に示されるように、それぞれ対応する伝動構成3と繋がっていると共にレール部41に移動可能に配置されている上、一対の伝動構成3のハウジング1に対する揺動によりレール部41に沿って互いに接近する把持位置と離間する解放位置との間に移動することができるように構成されている。
【0028】
また、各把持手段5は、
図1~
図4に示されるように、物品を把持するためのものであり且つ一部がハウジング1の開口から突出していると共に他の一部が取り付け空間S内にあってレール部41に移動可能に繋がっている把持部511と、把持部511から対応する伝動構成3の方へ延伸しているアーム部512と、アーム部512から第3の方向D3に沿って突出していて、対応する伝動構成3のガイド溝314に嵌め込まれ、対応する伝動構成3が揺動することによりガイド溝314に案内されて移動できるように配置されている案内突起513と、を具えている。
【0029】
案内突起513については、
図3に示されるように、中心軸が各伝動構成3の枢接部311の中心軸(即ち、枢軸線R)と同一平面にある。ここで、当該平面とは、第2の方向D2及び第3の方向D3に沿った平面を指す。また、該案内突起513は、該各伝動構成3のガイド溝314の長さの範囲内のみに移動することが制限されるので、該各伝動構成3がどのように揺動してもその噛み合い部312がウォーム21から離れないことを保証することができる。
【0030】
更に、ガイド溝314と案内突起513とにより、該一対の把持手段5が把持位置と解放位置との間に移動するとき、各伝動構成3の最大揺動角度が90°を超えないように設定されている。これによって、各伝動構成3がハウジング1の取り付け空間S内において揺動することを確保することができ、ハウジング1から突出して外側の空間を占用することが発生しない。
【0031】
複数のボール42は、
図2~
図4に示されるように、ボール転走溝部411内で転送することができる上に、各把持手段5の把持部511と2つのレール部41との間に嵌め込まれるようにそれぞれ配置されたものである。
【0032】
各把持手段5の把持部511と2つのレール部41との間に当該複数のボール42を設置することにより、各把持手段5がレール部41に沿ってよりスムーズに移動することができるので、把持手段5及びレール部41の使用寿命を延ばすことができる。
【0033】
なお、本実施形態では、案内手段4においては、レール部41が2つあって複数のボール42により各把持手段5の第2の方向D2に沿う移動を案内するが、ここでそれに限定されず、他の実施形態において例えばレール部41が1つあって他の方式を採用して各把持手段5の移動を案内してもよい。
【0034】
図5及び
図6を参照して該実施形態の電動グリッパ100の作動状態を説明する。ここで、
図5は該実施形態の電動グリッパ100の把持状態を説明する一部側面図であり、また、
図6は該実施形態の電動グリッパ100の解放状態を説明する一部側面図である。
【0035】
物品を把持しようとする場合、駆動ユニット2のモータ22を駆動してウォーム21を回転させることによって、噛み合い部312を介して伝動構成3に対して案内手段4の方へ向かって揺動する動力を伝達するように操作すると、
図5に示されるように、各把持手段5の案内突起513が対応する伝動構成3におけるガイド溝314の第2の端316に近づくようになると共に、一対の把持手段5が把持位置に来るようになる。この場合、当該一対の把持手段5の把持部511が互いに接近して物品を把持することができ、且つ搬送装置用スライダやロボットアーム(図示しない)の作動で当該物品を目的地へ搬送することができる。
【0036】
それに対して、物品を解放しようとする場合、駆動ユニット2のモータ22を駆動してウォーム21を回転させることによって、噛み合い部312を介して伝動構成3に対してモータ22の方へ向かって揺動する動力を伝達するように操作すると、
図6に示されるように、各把持手段5の案内突起513が対応する伝動構成3におけるガイド溝314の第1の端315に近づくようになると共に、一対の把持手段5が解放位置に来るようになる。この場合、当該一対の把持手段5が互いに離間して物品を解放して目的地に放置することができる。
【0037】
ここで、該一対の把持手段5が把持位置と解放位置との間に移動している際に、
図5及び
図6に示されるように、各把持手段5の案内突起513の第3の方向D3に沿った中心軸が、常に各伝動構成3の枢接部311の中心軸(即ち、枢軸線R)と同一平面(即ち、上記した平面)にある。よって、該一対の把持手段5が把持状態(
図5を参照)と解放状態(
図6を参照)との間に切り替えられる際に、各把持手段5の案内突起513が、対応する伝動構成3のガイド溝314及び案内手段4のレール部41による案内を介して、第2の方向D2にのみ移動することが可能となる。
【0038】
総括すると、本発明に係る電動グリッパ100によれば、一対の把持手段5が、ガイド溝314を有する伝動構成3を介して、案内手段4のレール部41に沿って案内されて互いに接近したり離れたりするように移動することによって、物品を解放する解放状態にあっても、従来のようにハウジング1の外側へ延伸することなく、ハウジング1の幅の範囲内にて物品に対して把持または解放を行うことができるので、自動化生産ラインにおいて空間利用性や操作性を向上させることができる。
【0039】
上記においては、本発明の全体的な理解を促すべく、多くの具体的な詳細が示された。しかしながら、当業者であれば、一またはそれ以上の他の実施形態が具体的な詳細を示さなくとも実施され得ることが明らかである。
【0040】
以上、本発明の好ましい実施形態及び変化例を説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、最も広い解釈の精神及び範囲内に含まれる様々な構成として、全ての修飾及び均等な構成を包含するものとする。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明の電動グリッパによれば、自動化生産ラインにおいて空間利用性や操作性を飛躍的に向上させるという利点がある。そのため、産業上の利用可能性がある。
【符号の説明】
【0042】
100 電動グリッパ
1 ハウジング
2 駆動ユニット
21 ウォーム
22 モータ
3 伝動構成
311 枢接部
312 噛み合い部
313 連続部
314 ガイド溝
315 第1の端
316 第2の端
4 案内手段
41 レール部
411 ボール転走溝部
42 ボール
5 把持手段
511 把持部
512 アーム部
513 案内突起
L 駆動軸線
R 枢軸線
S 取り付け空間
D1 第1の方向
D2 第2の方向
D3 第3の方向
【手続補正書】
【提出日】2023-03-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を把持するための電動グリッパであって、
少なくとも第1の方向のいずれか一方に向かう開口があるように構成されていると共に内に取り付け空間を画成しているハウジング、それぞれ前記取り付け空間内にあって前記ハウジングに取り付けられている駆動ユニットと一対の伝動構成と案内手段、及び一対の把持手段、を備えており、
前記駆動ユニットは、前記ハウジングに接続されているモータと、前記モータに取り付けられて前記モータから前記第1の方向における前記ハウジングの前記開口の方へ延伸していると共に、前記モータに駆動されることによって自らの中心軸を回転軸線として回転することができるウォームと、を具えており、
前記一対の伝動構成は、前記第1の方向と直交する第2の方向に沿って間隔をあけて互いに対向するように並列されており、それぞれの一部分が前記ウォームと噛み合うと共に他の一部分が前記ハウジングに枢接されている上、前記モータを駆動して前記ウォームを回転させることによって前記ハウジングに対して所定の揺動方向に沿って揺動することができるように構成されており、且つ、
それぞれが、前記第1の方向と前記第2の方向との両方と直交する第3の方向に沿って突出していて前記ハウジングに枢接している部分である枢接部と、前記枢接部の反対側にあって前記ウォームと噛み合うための複数の歯があるように構成されている噛み合い部と、前記枢接部及び前記噛み合い部を一体的に接続している連接部と、前記連接部に弧状となるように形成されていると共に両端がそれぞれ第1の端及び第2の端となるガイド溝と、を具えており、
前記案内手段は、前記モータの前記第1の方向に沿う反対側にある前記ハウジングの開口に近い箇所に、前記一対の伝動構成に対応し、且つ前記第2の方向に沿って延伸するように配置されている少なくとも1つのレール部を具えており、
前記一対の把持手段は、それぞれ対応する前記伝動構成と繋がっていると共に前記レール部に移動可能に配置されている上、前記一対の伝動構成の前記ハウジングに対する揺動により前記レール部に沿って互いに接近する把持位置と離間する解放位置との間に移動することができるように構成されており、且つ、
それぞれが、前記物品を把持するためのものであり且つ一部が前記ハウジングの開口から突出していると共に他の一部が前記取り付け空間内にあって前記レール部に移動可能に繋がっている把持部と、前記把持部から対応する前記伝動構成の方へ延伸しているアーム部と、前記アーム部から前記第3の方向に沿って突出していて、対応する前記伝動構成の前記ガイド溝に嵌め込まれ、対応する前記伝動構成が揺動することにより前記ガイド溝に案内されて移動できるように配置されている案内突起と、を具えており、
また、前記一対の把持手段が前記把持位置に来るように操作すると、各前記把持手段の前記案内突起が対応する前記伝動構成における前記ガイド溝の前記第2の端に近づくようになる一方、前記一対の把持手段が前記解放位置に来るように操作すると、各前記把持手段の前記案内突起が対応する前記伝動構成における前記ガイド溝の前記第1の端に近づくようになるように構成されており、
前記一対の伝動構成は、いずれも、前記噛み合い部から前記枢接部に向かって幅狭となる略扇形に形成されたものであり、
また、前記噛み合い部は、前記扇形の幅広部分にある円弧縁に沿って形成されている、
ことを特徴とする電動グリッパ。
【請求項2】
前記ウォームの前記回転軸線は、前記第1の方向に沿って延伸している駆動軸線となり、
各前記伝動構成の前記枢接部は、前記駆動軸線と直交しながら前記第3の方向に沿って延伸している枢軸線を回転軸線として回転することができる、
ことを特徴とする請求項1に記載の電動グリッパ。
【請求項3】
各前記伝動構成の前記枢接部の中心軸は、前記枢軸線と重なっている、
ことを特徴とする請求項2に記載の電動グリッパ。
【請求項4】
前記案内手段の前記レール部は2つあり、前記2つのレール部は、前記第2の方向に沿って延伸していて前記第3の方向に沿って互いに間が隔たるように並列されており、
前記案内手段は、各前記把持手段の前記把持部と前記2つのレール部との間に嵌め込まれるようにそれぞれ配置されている複数のボールを更に具えている、
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の電動グリッパ。
【請求項5】
前記一対の把持手段が前記把持位置と前記解放位置との間に移動するときの各前記伝動構成の最大揺動角度が90°に設定されている、
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の電動グリッパ。
【請求項6】
前記ガイド溝は、前記噛み合い部に向かう側が凸側となり、前記枢接部に向かう側が凹側となり、
前記ガイド溝の前記第1の端は、前記案内手段に対して前記第2の端よりも接近しており、
前記第1の端の前記枢接部からの距離が、前記第1の端の前記噛み合い部からの距離よりも小さい一方、前記第2の端の前記枢接部からの距離が、前記第2の端の前記噛み合い部からの距離よりも大きく形成されている、
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の電動グリッパ。