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特開2023-5921パネル成形体のスプリングバック修正装置
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  • 特開-パネル成形体のスプリングバック修正装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023005921
(43)【公開日】2023-01-18
(54)【発明の名称】パネル成形体のスプリングバック修正装置
(51)【国際特許分類】
   B21D 5/01 20060101AFI20230111BHJP
   B25J 9/06 20060101ALI20230111BHJP
【FI】
B21D5/01 Z
B25J9/06 B
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021108201
(22)【出願日】2021-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】592252223
【氏名又は名称】株式会社オーエイプロト
(74)【代理人】
【識別番号】100195143
【弁理士】
【氏名又は名称】保坂 幸男
(72)【発明者】
【氏名】川岸 洋一
【テーマコード(参考)】
3C707
4E063
【Fターム(参考)】
3C707AS12
3C707BS10
3C707ES03
3C707ET02
3C707ET08
3C707HS27
4E063AA01
4E063BC11
4E063FA08
4E063GA01
4E063JA01
4E063LA17
4E063MA18
(57)【要約】      (修正有)
【課題】スプリングバックしたプレス加工によるパネル成形体をスプリングバ
ックする前の正規形状へ熟練不要で、労働環境が良く、高能率で、品質のばらつ
きなく戻すことができる技術を提供する。
【解決手段】コントローラーを有する垂直多関節型ロボットの手首にパネル成
形体修正用ツールを取り付け、プレス加工によりスプリングバックしたパネル
成形体の正規形状への修正を前記コントローラー及び前記パネル成形体修正用
ツールのサーボモーターの動作制御回路へ動作の指示を与えることにより行う
ようにした。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端に取り付けた一対のパネル成形体保持具のうち少なくとも一方が動作制御回路を有するサーボモーターによって移動可能であるパネル成形体修正用ツールをコントローラーを有する垂直多関節ロボットの手首に取り付け、プレス加工によりスプリングバックが生じたパネル成形体を正規形状に修正するために前記動作制御回路及び前記コントローラーに動作の指示を与えるようにしたことを特徴とするパネル成形体のスプリングバック修正装置
【請求項2】
前記パネル成形体修正用ツールは前記正規形状へ修正する作業の種類に応じて製作したものである請求項1に記載したパネル成形体のスプリングバック修正装置
【請求項3】
前記正規形状へ修正する作業の種類には反り取り、角度修正、曲面の修正、ね
じることによる修正、フランジ形状の修正を含むものである請求項2に記載し
たパネル成形体のスプリングバック修正装置
【請求項4】
前記一対のパネル成形体保持具はその少なくとも一方が当該保持具内の支点
を中心にして可動であるようにした請求項1乃至3に記載したパネル成形体ス
プリングバック修正装置















【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
金属材料をプレス加工したとき加工後に金型を離すと材料に施した変形が若干元へ戻るスプリングバックと言われる現象がある。
本発明はパネル成形体の試作段階又は量産初期段階において前記スプリングバックしたパネル成形体を正規の形状へ戻して自動車等の試作に利用することに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、金属材料をプレス加工した際に生じるスプリングバック対策としては種々の提案がなされている。
特許文献1のものは金属材料の実際のプレス加工においてスプリングバック量を測定することにより、金型の形状とスプリングバック量の関係を求め、求める形状の即ち正規の形状のパネル成形体をプレス加工で得られるようにスプリングバック量を考慮に入れて金型の形状を決定するものである。
【0003】
従ってこの提案では求める形状のプレス成形体を得るための金型の形状を試行錯誤により求めていく。
従ってこのやり方では自動車等の試作品を作るのにコストがかかりすぎる。試作品を作る段階では金型に多大なコストをかけることができないのでとても不便である。
【0004】
特許文献2のものはコンピューターを用いたプレス加工のシミュレーションでパネル成形体に発生するスプリングバック量を計算して被加工物の加工結果が否と判断されたときに金型の形状やプレス加工の条件を変更して試行錯誤により必要な金型形状やプレス加工条件を逆解析手法により求めるようにする提案である。
【0005】
この提案も試行錯誤によりスプリングバックを加味して正規のパネル成形体が得られるように金型の形状を求めていくわけで自動車等の試作段階においては金型にあまりコストがかけられない中で金型の開発にコストがかかりすぎる。
又、次々に出現する新材料もあり、シミュレーションも容易ではない場合もある。
【0006】
特許文献3のものはプレス加工によって製品形状に成形したパネル成形体のスプリングバックを除去する装置にかかる提案である。
パネル成形体を押圧部材によって押圧すると共に加熱用電極を使って加熱する。
この提案では種々の形状のパネル成形体ごとにパネル受け押圧部材を設ける必要があり更に加熱装置も必要になり極めて大掛かりな装置になる。
従って自動車等の試作品作りにコストがかかりすぎる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2016-020000
【特許文献2】特開2006-315063
【特許文献3】特開平07-204749
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
自動車等の量産段階のプレス加工においてはパネル成形体のスプリングバックを加味して金型の形状を決めるので初めから正規形状のパネル成形体が得られる。
しかし、スプリングバックを加味した金型の形状を決めるためには正規形状のパネル成形体が得られるまで何回か形状の異なった金型を製作し試行錯誤により最終形状の金型を得るといういわゆる金型の育成が必要になり、長時間を要すると共に金型の育成に大きなコストを要する。
【0009】
一方、試作段階においては金型に大きなコストをかけることはできないのでスプリングバックした非正規形状のパネル成形体を熟練工が手作業によって修正して利用するのが一般的である。
この場合、熟練工による手作業は重労働になり、労働環境が良くないし、手作業による部品製作にも長時間を要しまたパネル成形体の品質にばらつきが生じる。
【0010】
本発明はスプリングバックを伴う正規形状からのずれの熟練工による正規形状への修正の手直しの技を既存の垂直多関節型ロボットの手首にパネル成形体修正用ツールを取り付けて再現することにより、労働環境を改善し、スプリングバック修正の短時間化を図り、品質においてばらつきのないパネル成形体を得ようとするものである。
また熟練工がいなくてもスプリングバックの修正ができるようにしようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
先端に取り付けた一対のパネル成形体保持具のうち少なくとも一方が動作制御回路を有するサーボモーターによって移動可能であるパネル成形体修正用ツールを、コントローラーを有する垂直多関節ロボットの手首に取り付け、プレス加工によりスプリングバックが生じたパネル成形体を正規形状に修正するために前記動作制御回路及び前記コントローラーに前記パネル成形体修正用ツール及び垂直多関節型ロボットへの動作の指示を与えるようにした。
【0012】
パネル成形体修正用ツールはスプリングバックが生じたパネル成形体を正規形状へ修正する作業の種類に応じて製作するようにした。
【0013】
前記作業の種類には反り取り、角度修正、大きく曲がった曲面に生じたスプリングバックの修正、ねじることによる修正、フランジ形状の修正を含むようにした。
大きく曲がった曲面に生じたスプリングバックの修正とは設計上大きく曲がった曲面に生じたスプリングバックの修正ということである。
【0014】
一対のパネル成形体保持具はその少なくとも一方が当該保持具内の支点を中心にして可動であるようにした。
【発明の効果】
【0015】
従来、自動車等の試作段階においては金型の育成にあまりコストと日時をかけられないのでまだスプリングバックを加味していない形状の金型で加工したパネル成形体のスプリングバックを熟練工が手作業で修正して使用していた。
本発明では熟練工の手直し作業を参考にして垂直多関節型ロボットの手首にパネル成形体修正用ツールを取り付けてロボットの動作及びパネル成形体修正用ツールに取り付けたサーボモーターの動作で修正作業を行わせるようにした。
従って熟練工の熟練技術がなくても修正作業ができ、また労働環境の改善になり、スプリングバックの修正時間も短縮でき更に品質のばらつきのないパネル成形体の製品ができるようになった。
【0016】
又、パネル成形体修正用ツールを正規形状に修正する際の作業の種類に応じて製作しておくことにより、多様な修正作業に即座に対応できる。
【0017】
修正作業の種類にはパネル成形体の反り取り、角度変更、大きく曲がった曲面に生じたスプリングバックの修正、ねじることによる修正、フランジ形状の修正が含まれるので一つのパネル成形体に頻度高く生じるスプリングバックに即座に対応できる。
【0018】
一対のパネル成形体保持具はその少なくとも一方が当該保持具内に設けた可動支点を中心にして可動にしたので修正作業においてパネル成形体に無理な力がかからず、パネル成形体の破損が防止できる。
このため曲げの中心がパネル成形体の曲がりのセンター以外になる場合でも曲げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】プレス成型したフランジ型パネルのスプリングバックの修正の説明図
図2】パネル成形体の反りを修正する説明図
図3】大きい曲がりのある曲面のパネル成形体のスプリングバックを修正する説明図
図4】ねじれが生じたパネル成形体を修正する説明図
図5】パネル成形体の角度を変えること(曲げ込みすること)により修正する説明図
図6】パネル成形体の角度を変えること(曲げ戻しすること)により修正する説明図
図7】パネル成形体保持具の可働の説明図
図8】パネル成形体修正用ツールの図面
図9】垂直多関節ロボットの説明図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。なお、実施形態は
以下のものに限定されるものではなく発明の範囲内で適宜変更し得る。
又、スプリングバックにそれ以外の原因も加わってパネル成形体が正規形状か
らずれたときでも修正できる場合もある。
【0021】
図1は本発明の一実施形態を示すプレス成型したフランジ型パネルのスプリ
ングバックの修正の説明図である。即ちプレス成型したフランジ8がスプリン
グバック等で適正な角度でない場合の修正のやり方の説明図である。
修正したいパネル成形体8の折れ曲がっているポイントPへコントローラー1
1から指示することにより垂直多関節型ロボット1の動作で即ち関節1(A)の
動作等によってパネル成形体修正用ツール2とその先端に取り付けられている
一対のパネル成形体保持具5、6を移動させる。
なお、本図における垂直多関節ロボット1は簡略化しているがより詳しくは図9
に示す。図2図6においても同様である。
【0022】
そして一対のパネル成形体保持具5、6のうち可動側である5をサーボモータ
-7を動作させて矢印Bの方向へ移動させ、一対のパネル成形体保持具5、6の
間隔が適正になるようにする。
サーボモーターの制御は動作制御回路12への指示によって行われる。
一般的には前記間隔はパネル成形体8の板厚から板厚の1.5倍位の間の適当
な間隔ににする。
【0023】
次にコントローラー11から指示することにより垂直多関節型ロボット1を
動作させて適正な曲がりの角度になるように矢印Aの向きまたはその反対向き
にパネル成形体修正用ツール2を回動させる。
角度を小さくする場合は矢印Aの方向、角度を大きくする場合はその反対の方
向である。
この場合、パネル成形体8のうち、固定面8(A)を治具で固定して行う。
なお、サーボモーター7の動作によって一対のパネル成形体保持具5、6のうち
上側フィンガー3に取り付けた5を矢印Bの方向へ移動させる場合のサーボモ
ーター7からパネル成形体保持具5への動力伝達はギヤ機構等で行う。
【0024】
図2はパネル成形体の反りを修正する説明図である。
パネル成形体8にスプリングバック等による反りが発生している場合、垂直多
関節型ロボット1の手首1(B)を移動させてそれに取り付けてあるパネル成形
体修正用ツール2をパネル成形体8の反りが生じている面(8B)の反りを修正
したいポイントPまで移動させる。次にサーボモーター7を動作させて下部フ
ィンガー4に取り付けたパネル成形体保持具6を移動矢印Bのように上側の向
きに移動させて反りが生じている面8(B)が適正な状態になるまでパネル成形
体保持具5へ押し付ける。
【0025】
前記作業をポイントPの位置を変えてパネル成形体8の反りのある面8(B)
が適正な状態になるまで連続して行う。
なおサーボモーター7により下部フィンガー4を移動矢印Bの方向へ移動させ
る際には上下フィンガー接合支点9を中心に動作する。
以上のことをパネル成形体8のうち固定面8(A)を治具で固定して行う。
【0026】
上部フィンガー3に取り付けたパネル成形体保持具5の先端は凹型の形状に
してある。
又、下部フィンガー4の先端に取り付けられたパネル成形体保持具6は凸型の
形状にしてある。
なお、凹型の部分と凸型の部分がパネル成形体8の反り面8(B)を挟んで押し
付けられる際に反り面8(B)に無理な力がかかって破損しないように凹型の部
分は保持具5内の可動支点Qを中心に可動になっている。
サーボモーター7からの動力伝達は図1で説明したのと同様である。以下の図
においても当該動力伝達は同様である。
【0027】
図3は大きく曲がった曲面になっているパネル成形体を修正する説明図であ
る。
プレス成型したパネルの設計上大きく曲がった曲面がスプリングバック等で適
正な形状又は曲がりでない場合、垂直多関節型ロボット1の手首1(B)に取り
付けたパネル成形体修正用ツール2の先端の一対のパネル成形体保持具5、6
をパネル成形体9の修正したいポイントPまで前記ロボット1の動作で移動さ
せる。
【0028】
そして、パネル成形体修正用ツール2の一対のパネル成形体保持具5、6の位
置関係が適正になるようにパネル成形体保持具5をサーボモーター7によって
移動矢印Bの方向へ移動させる。
【0029】
そして前記ロボット1を動作させて回動矢印Aの方向又はその反対方向へパ
ネル成形体ツール2を曲げのポイントPを中心に回動させてパネル成形体8の
スプリングバック等による曲がりを修正する。
この場合パネル成形体8のうち固定面8(A)の端部8(C)の部分を治具で固
定して行う。
なお、一対のパネル成形体保持具5,6はそれぞれ当該保持具に設けた可動支点
Qを中心にしてパネル成形体8の形状に合わせて動くようになっている。パネ
ル成形体8に無理な力がかかって破損することを防止するためである。
【0030】
図4はねじれが生じたパネル成形体を修正する説明図である。
パネル成形体8の一方の端部8(A)を治具で固定し、他方の端部8(C)を形
状に合わせて複数のピン5(A)、6(A)より成り、パネル成形体8の形状に
従ってそれらを出し入れすることによって構成するパネル成形体保持具5、6
により固定する。なお、この図におけるパネル成形体保持具5は複数のピン5
(A)の集合したもの、6は複数のピン6(A)の集合したものである。
なお、この際上部フィンガー3の端部の前記保持具5を移動矢印Bのようにサ
ーボモーターで移動する。
そして曲げの中心Pを軸にして垂直型関節ロボット1を矢印Aのように動作さ
せてパネル成形体9のねじれを修正する。
【0031】
図5はパネル成形体の角度を変えること(曲げ込みをすること)により修正す
る説明図である。
即ち、プレス成形したパネル成形体8の曲げの部分の角度がスプリングバック
等により不足している場合の修正の説明図である。
垂直多関節型ロボット1の手首1(B)に取り付けたパネル成形体修正用ツール
2を前記ロボット1によって動作させてパネル成形体8の曲げポイントPへ移
動させる。
そして、サーボモーター7を動作させて下部フィンガー4を移動矢印Bのよう
に移動させ、一対のパネル成形体保持具5、6でパネル成形体8を曲げのポイン
トPの位置で押さえつける。
【0032】
それにより、パネル成形体8の曲がりの角度を角度が小さくなる方向へ変える。
即ち、曲げ込みを行う。
なお、下部フィンガー4に取り付けたパネル成形体保持具6の先端の凹型の部
分は可動支点Qを中心にして可動になっている。パネル成形体8に無理な力が
かかって破損するのを防ぐためである。
なお、この曲げ込みの場合上部フィンガー3に凸型の保持具5を下部フィンガ
ーには凹型の保持具6を取り付ける。
前記のことはパネル成形体8のうち、固定面8(A)を治具で固定して行う。
必要に応じて曲げのポイントPの位置を変えて前記の作業を連続的に行う。
【0033】
図6はパネル成形体の角度を変えること(曲げ戻しをすること)により修正す
る説明図である。
即ち、パネル成形体8がスプリングバック等により曲がりすぎている場合に曲
げ戻す修正の説明図である。
この場合には上部フィンガー3に凸型のパネル成形体保持具5を取り付け、下
部フィンガー4に取り付けたパネル成形体保持具6を上下フィンガー接合支点
9の回りに移動矢印Bの方向へサーボモーター7の動作によって移動させて凸
型保持体5へ押し付ける。この場合パネル成形体8のうち固定面8(A)を治具
で固定する。
【0034】
なお、この場合、前記凸型保持体は可動支点Qを軸としてパネル成形体8の形
状に合わせて動くようになっている。
パネル成形体8に無理な力が作用して破損することを防止するためである。
必要に応じてポイントPの位置を変えて前記の作業を連続的に行う。
【0035】
図7はパネル成形体保持具の可動の詳細説明図である。
パネル成形体8を凸型(又は矢型)保持具5と下部のパネル成形体保持具で圧す
る場合、凹型のパネル成形体保持具部分6Bとそのベースの6Cで構成される
下部のパネル成形体保持具のうち凹型のパネル成形体保持具6Bの部分が可動
支点Qを中心にして可動になっている。
【0036】
これによりパネル成形体8の形状に合わせて、パネル成形体保持具のうち6B
の部分が動き、パネル成形体8の6Bとの二つの接触のポイントPにおける接
触のタイミングが同時期になる。
これによりパネル成形体8には無理な力がかからず破損の恐れがなくなる。ま
たこれにより、曲げポイントRがパネル成形体8の曲がりのセンター以外でも
曲げることができる。
なお、他の実施例でも説明したように凸型のパネル成形体保持具5の方が可動
になっていて同様の作用効果を生じる場合もある。
【0037】
図8はパネル成形体修正用ツールの一実施例の図面である。
即ち、垂直多関節型ロボットの手首1(B)に取り付けるパネル成形体修正用ツ
ール2の外観斜視図である。
上部フィンガー3に凸型のパネル成形体保持具5が下部フィンガー4に凹型の
パネル成形体保持具6が取り付けられており、前記保持具5,6はサーボモータ
ー7によって動作する。前記保持具5,6が一対のパネル成形体保持具である。
パネル成形体修正用ツール2の接合部2(A)で垂直多関節ロボット1の手首1
(B)に取り付けられる。
【0038】
パネル成形体修正用ツール2はパネル成形体8の反り取り、角度修正、設計上大
きく曲がった曲面のスプリングバックの修正、ねじることによる修正、フランジ
形状の修正等の作業の種類に応じてあらかじめ製作し準備しておく。
図8に示したものはパネル成形体8の角度修正の作業等に使用される。
【0039】
図9は垂直多関節型ロボットの説明図である。
垂直多関節型ロボット1はロボット下腕13とロボット上腕14を有する。
そして回動矢印Aのように回動する複数の関節1(A)を有する。更に旋回矢印
Cのように旋回する旋回部1(C)を有すると共にロボット手首1(B)も旋回
矢印Cのように旋回する。
パネル成形体修正用ツール2は接合部2(A)で前記ロボット手首1(B)の取
り付けられる。ロボット手首1(B)は旋回部1(C)と同様に旋回する。
【産業上の利用可能性】
【0040】
金属材料のプレス加工においてはスプリングバックが生じるので自動車等の
試作段階においてはスプリングバックしたパネル成形体の取り扱いが問題にな
る。従来熟練工が手作業で正規形状に直して使用していたが、品質が一定せず又
手直しに時間がかかる等の問題があった。
本発明においてはその手作業をロボットに行わせるようにしたので前記のよう
な問題は生じない。従って産業上の利用可能性は極めて高い。
【符号の説明】
【0041】
1 垂直多関節型ロボット
1(A)ロボット関節
1(B)ロボット手首
1(C)旋回部
2 パネル成形体修正用ツール
2(A)パネル成形体修正用ツールのロボットへの接合部
3 上部フィンガー
4 下部フィンガー
5 上部パネル成形体保持具
5(A)複数のピンによって構成される上部パネル構成体保持具
6 下部パネル成形体保持具
6(A)複数のピンによって構成される下部パネル構成体保持具
7 サーボモーター
8 パネル成形体
8(A)固定面
8(B)反り面
8(C)ねじれが生じているパネル成形体の治具で固定する端部
9 上下フィンガー接合支点
10 ロボットのコントローラー
11 サーボモーターの動作制御回路
12 ロボット下腕
13 ロボット上腕
A 回動矢印
B 移動矢印
C 旋回矢印
Q 可動支点
P ポイント





























図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9