IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社アートデータの特許一覧

特開2023-5924新規の通知システムおよびそれを用いた通知方法
<>
  • 特開-新規の通知システムおよびそれを用いた通知方法 図1
  • 特開-新規の通知システムおよびそれを用いた通知方法 図2
  • 特開-新規の通知システムおよびそれを用いた通知方法 図3
  • 特開-新規の通知システムおよびそれを用いた通知方法 図4
  • 特開-新規の通知システムおよびそれを用いた通知方法 図5
  • 特開-新規の通知システムおよびそれを用いた通知方法 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023005924
(43)【公開日】2023-01-18
(54)【発明の名称】新規の通知システムおよびそれを用いた通知方法
(51)【国際特許分類】
   G08B 25/10 20060101AFI20230111BHJP
   G08B 21/02 20060101ALI20230111BHJP
   G08B 25/04 20060101ALI20230111BHJP
   H04M 1/72403 20210101ALI20230111BHJP
【FI】
G08B25/10 C
G08B21/02
G08B25/04 K
H04M1/72403
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021108217
(22)【出願日】2021-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】596171926
【氏名又は名称】株式会社アートデータ
(74)【代理人】
【識別番号】100216286
【弁理士】
【氏名又は名称】篠崎 史典
(72)【発明者】
【氏名】小林 明夫
【テーマコード(参考)】
5C086
5C087
5K127
【Fターム(参考)】
5C086AA53
5C086BA01
5C086BA19
5C086BA21
5C086CA10
5C086DA08
5C086EA40
5C086EA45
5C086FA06
5C086FA17
5C086FA18
5C087AA10
5C087AA19
5C087AA37
5C087BB22
5C087DD03
5C087DD12
5C087DD24
5C087DD31
5C087DD41
5C087EE07
5C087FF01
5C087FF02
5C087GG08
5C087GG09
5C087GG10
5C087GG66
5C087GG84
5K127BA03
5K127CB02
5K127CB16
5K127DA13
5K127GD17
(57)【要約】
【課題】受取人に特定して知らしめることができるため、自宅や職場で高い安全性の下、受取人が安心して配達業者から荷物を受け取れる通知システムおよび通知方法を提供すること。
【解決手段】本発明に係る通知システムは、特定の周波数の超音波を呼び出し信号として発振する発振回路部(a1)を有する超音波発信装置(A)と、 前記発振回路部(a1)からの呼び出し信号を受信する呼び出し信号受信部(b1)および受信した呼び出し信号の周波数に基づいて、ユーザー確認画面(b2)を起動・表示する制御部(b3)を有するユーザー用電子端末(B)と、から構成されていることを特徴とする。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定の周波数の超音波を呼び出し信号として発振する発振回路部(a1)を有する超音波発信装置(A)と、
前記発振回路部(a1)からの呼び出し信号を受信する呼び出し信号受信部(b1)および受信した呼び出し信号の周波数に基づいて、ユーザー確認画面(b2)を起動・表示する制御部(b3)を有するユーザー用電子端末(B)と、から構成されていることを特徴とする通知システム。
【請求項2】
前記超音波発信装置(A)の前記発振回路部(a1)が、複数の、周波数の異なる呼び出し信号を発振し、前記ユーザー用電子端末(B)の制御部(b3)が、当該複数の呼び出し信号の周波数に基づいて、ユーザー確認画面(b2)を起動・表示することを特徴とする請求項1に記載の通知システム。
【請求項3】
前記ユーザー確認画面(b2)が、電子メール画面、音声案内画面および通話画面からなる群から選択される少なくとも1つであることを特徴とする請求項1または2に記載の通知システム。
【請求項4】
請求項1~3のいづれか一項の通知システムを用いた、通知方法であって、超音波発信装置(A)を用いて、呼び出し信号として特定の周波数の超音波を呼び出し信号として発振する工程(1)と、受信した呼び出し信号の周波数に基づいて、ユーザー確認画面を起動・表示するユーザー用電子端末(B)の呼び出し信号受信部(b1)を用いて、前記発振回路部(a1)からの呼び出し信号を受信する工程(2)と、
ユーザー用電子端末(B)の制御部(b3)を用いて、受信した呼び出し信号の周波数に基づいて、ユーザー確認画面(b2)を起動・表示する工程(3)とを順次実施することを特徴とする通知方法。
【請求項5】
請求項1~3のいづれか一項に記載の通知システムに用いられるプログラムであって、
ユーザー用電子端末(B)の信号受信部(b1)において、超音波発信装置(A)の発振回路部(a1)からの呼び出し信号を受信し、ユーザー用電子端末(B)の制御部(b3)において、受信した呼び出し信号の周波数に基づいて、ユーザー確認画面(b2)を起動・表示する処理を実現するためのプログラム。




【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規の通知システムおよびそれを用いた通知方法に関し、より具体的には、通知の対象となる個人ユーザー(受取人)の電子端末のみに特定の情報を通知することで高い安全性が担保された通知システムおよびそれを用いた通知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、配達業者は、配達物を届け先(配達先)の玄関に設けられたインターフォン等で、受取人を呼び、配達物を受取人に渡している。また、届け出先は、自宅や職場であることが多いが、特に女性や単身者の場合、夜間帯にインターフォンが鳴らされると安全性を考慮したり服装を気にして、居留守を使い、配達業者が郵便受けに投函した「不在票」に基づいて、再配達の予約をすることも多い。
また、近年、配達業者を装った者による事件が頻発していることも、このような傾向を助長しているものと考えられる。
【0003】
この再配達の手間は、再配達を予約する受取人のみならず、配達業者も、届け出先に再度訪問しなければならない。そのため、配達業者にとっても、業務の効率性や運送コスト増大や人手不足の点から望ましいものではない。
【0004】
そこで、近年では、オープン型宅配ボックス、コンビニ受け取り、配達業者の事業所での受け取りや置き配などといった、配達物の受け取り形態も多様なものとなっている(非特許文献1)。
【0005】
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】https://www.mlit.go.jp/common/001335954.pdf
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、オープン型宅配ボックス、コンビニ受け取り、宅配営業所受け取りや置き配などにより、受取人の安全性を確保でき、配達業者の業務の効率性や運送コストについての改善はみられるものの、これらを実現するには、コンビニエンスストアとの契約、ボックスの設置スペースの確保などの投資が必要となる。また、受取人にしてみれば、自宅で受け取らない代わりに、コンビニや配達業者の営業所などに受け取りに出向く必要があり、安全性の代わりに、利便性に改善の余地がある。
【0008】
そこで、本発明者は、従来の配達業務の課題点を鋭意検討した結果、超音波発信装置と通知の対象となる個人ユーザー(受取人)の電子端末(ユーザー用電子端末)を利用することで、コンビニなどに受け取りに出向くなどの不便を生じず、かつ自宅や職場で高い安全性の下、受取人が安心して配達業者から荷物を受け取れるシステムを見出した。
【0009】
すなわち、本発明は、通知の対象となる個人ユーザー(受取人)の電子端末のみに特定の情報を通知することで高い安全性が担保され、受取人が安心して配達業者から荷物を受け取れる通知システムおよび通知方法ならびに通知システムに用いられるプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る通知システムは、特定の周波数の超音波を呼び出し信号として発振する発振回路部(a1)を有する超音波発信装置(A)と、前記発振回路部(a1)からの呼び出し信号を受信する呼び出し信号受信部(b1)および受信した呼び出し信号の周波数に基づいて、ユーザー確認画面(b2)を起動・表示する制御部(b3)を有するユーザー用電子端末(B)と、から構成されていることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の通知システムにおいて、前記超音波発信装置(A)の前記発振回路部(a1)が、複数の、周波数の異なる呼び出し信号を発振し、前記ユーザー用電子端末(B)の制御部(b3)が、当該複数の呼び出し信号の周波数に基づいて、ユーザー確認画面(b2)を起動・表示することが好ましい。
【0012】
本発明の通知システムにおいて、前記ユーザー確認画面(b2)が、電子メール画面、音声案内画面および通話画面からなる群から選択される少なくとも1つであることが好ましい。
【0013】
本発明に係る通知方法は、上記の通知システムを用いた、通知方法であって、超音波発信装置(A)を用いて、呼び出し信号として特定の周波数の超音波を呼び出し信号として発振する工程(1)と、受信した呼び出し信号の周波数に基づいて、ユーザー確認画面を起動・表示するユーザー用電子端末(B)の呼び出し信号受信部(b1)を用いて、前記発振回路部(a1)からの呼び出し信号を受信する工程(2)と、
ユーザー用電子端末(B)の制御部(b3)を用いて、受信した呼び出し信号の周波数に基づいて、ユーザー確認画面(b2)を起動・表示する工程(3)とを順次実施することを特徴とする。
【0014】
本発明に係るプログラムは、前記通知システムに用いられるプログラムであって、ユーザー用電子端末(B)の信号受信部(b1)において、超音波発信装置(A)の発振回路部(a1)からの呼び出し信号を受信し、ユーザー用電子端末(B)の制御部(b3)において、受信した呼び出し信号の周波数に基づいて、ユーザー確認画面(b2)を起動・表示する処理を実現するためのプログラムである。
【0015】
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本発明に係る通知システムを構成する超音波発振装置およびユーザー用電子端末を示すための図である。
【0017】
図2図2は、本発明に係る通知システムおよび通知方法のフロー図である。
【0018】
図3図3は、超音波発振装置を構成する発振回路部を説明するための模式図である。
【0019】
図4図4は、ユーザー確認画面を説明するための模式図である。
【0020】
図5図5は、本発明の通知システムの使用例として、配達業者や集荷業者等で使用する態様を説明するための模式図である。
【0021】
図6図6は、本発明の通知システムの使用例として、配達業者や集荷業者等以外で使用する態様を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る通知システムおよび通知方法ならびにそれを実行するプログラムについて、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
【0023】
図1に示すように、本発明に係る通知システムは、配達業者などが使用する超音波発振装置Aと、宅配等を受けるユーザー(受取人)などが使用するユーザー用電子端末Bとを備える。
【0024】
超音波発振装置Aは、特定の周波数の超音波を呼び出し信号として発振する発振回路部(a1)を有し、図1の付番Xに示されるように、発振回路部(図示しない)から特定の(あらかじめ設定された)周波数の超音波を発振する。なお、上記超音波の周波数は、特に限定されるものではないが、マイクロフォンで感知できる高周波帯域、たとえば、20kHz~40kHzが一般的である。
【0025】
図2に示されるように、超音波発振装置の発振回路部から発振された呼び出し信号は、その伝搬距離の範囲にあるユーザー用電子端末の呼び出し信号受信部(たとえば、マイクロフォン)により受信される。
【0026】
ついで、制御部において、受信した呼び出し信号の周波数に基づいて、ユーザー確認画面(b2)を起動・表示する。後述するように、ユーザー確認画面は、適宜選択でき、図2にも示されているように、電子メール画面、音声案内画面、電話画面が一般的であり、これらの画面を見て、ユーザー(荷物の受取人など)は、通知者(配達業者など)の訪問などの情報を把握することができる。
【0027】
図3は、超音波発振装置Aに含まれる(一般的には内蔵された)発振回路部を示すための図である。発振回路部は、一般的に、振動子、CPU基準周波数発生回路、発振パターン制御回路および増幅回路などを備え、発振振動子(振動板)を介して、電気信号パターンを振動パターンに変換して、空気中に特定波長の超音波を発生させる。なお、振動子(振動板)は、発振特性に応じて適宜選択されるが、たとえば、ピエゾ素子やセラミック製振動板が好適である。また、振動板の形状も限定されるものではないが、超音波の通信距離を延長できるという観点からは、円形であることが望ましい。
【0028】
なお、振動子は、周波数の変動を有効に低減でき、基準周波数を生成できる観点から、水晶振動子であることが好ましい。また、路に使用される抵抗コンデンサとしては、温度変化への影響を低減されるため、温度特性が50ppm以下であることが望ましい。
【0029】
また、呼び出し信号を一方向(前方方向)のみではなく、多方向に発振できる観点からは、振動板は複数設けてもよい。なお、本発明者が行った試験では、このような構成にすることで、通信範囲を100m以上にすることができた。
【0030】
また、図3に示されるように、電源は一般的には、直流電源(電圧例:3~12V、待機電流10μA以下で、動作電流5mA以下)である、このような直流電源であれば、低消費電流であり、電池使用であっても長い使用時間を実現することができる。
【0031】
超音波発振装置Aには、通常、発振回路部を駆動させるためのスイッチが備わっており、機能に応じて、図3の「ボタンA」,「ボタンB」と示されるように、複数備えることができる。たとえば、「ボタンA」をONにすれば、あるユーザーのスマートフォン(ユーザー用電子端末)が受信可能な呼び出し信号を発振し、スマートフォン(ユーザー用電子端末)が当該呼び出し信号を受信した場合、ユーザー確認画面として、電話通話を起動して通話画面を表示する一方、登録先へ電話をかけることで配達記録が残せる。「ボタンB」をONにすれば、別のユーザーのスマートフォン(ユーザー用電子端末)が受信可能な呼び出し信号を発振し、当該ユーザーのスマートフォン(ユーザー用電子端末)が受信した場合、ユーザー確認画面として、音声ガイドを起動・表示・発声することができる。このように、異なる周波数の呼び出し信号を発振できるスイッチを複数設け、そのスイッチがONになった場合に、呼び出し信号の周波数ごとに対応したユーザー用電子端末の受信可能性や受信した場合に起動・表示・発声されるユーザー確認画面をあらかじめ設定しておくことで、1つの超音波発振装置Aで複数のユーザー用電子端末に通知できるシステムを構築できる。
【0032】
ユーザー用電子端末の受信部は、特定の呼び出し信号を受信できるものであれば特に限定されないが、たとえば、ユーザー用電子端末がスマートフォンであれば、マイク部(コンデンサマイクロフォン)を受信部として受信(認識)させるものであってもよいし、露天で音波を受信させる為に防水型マイクロフォンのコード延長によりユーザー用電子端末に接続して受信させてもよい。
【0033】
また、ユーザー確認画面は、たとえば配達業者から宅配物が配送されたことを通知するための画面であり、特に限定されるものではないが、たとえば、文字やアイコンなどで配送を伝える電子メール画面(例:ショートメール,図4(A))、音声で配送などの情報を伝える音声案内画面(図4(B))、配達者またはコールセンターなどとユーザーが通話可能な電話画面(通話画面、図4(C))が挙げられる。この時受取人がすぐ玄関には出れないが、持ち帰らずに「置き配してほしい!」場合にはショートメールに置き配指示を記入し配達員へ自動で返せば玄関前に荷物が置かれて双方が満足する受け渡し結果になる。このような指示メールを受ければ運送会社は印鑑やサインが無くても配達証明として認める会社も多く、再配達を軽減できる方策として期待される。これらは、選択メニューの利用単独であってもよいし複数組み合わせて使用されるものであっても実現できる。
【0034】
図4(A)は、ユーザー確認画面の一例、電子メール画面(ショートメール、ショートメッセージ画面)を示す。この電子メール画面は、メッセージ(文章(文字列)またはアイコン)として、ユーザー用電子端末に表示されるため、訪問者が訪問先に到着したことが証明できるので出退勤メッセージとして使用できる。たとえば、訪問ヘルパーが訪問先(在宅介護者がいる家庭)に到着した場合、訪問ヘルパーは、超音波発振装置により呼び出し信号を発振すると、ユーザー確認画面である電子メール画面には、たとえば「〇〇です。これから家事支援作業に入ります。」などのメッセージが表示される。
【0035】
さらには、前記電子メール画面には時刻が表示されている場合、作業開始時間が明確となる。そのため、作業終了後、管理本部等に作業終了メッセージ(例「〇〇です。家事支援作業が終了しました。」)を送付できる。このような態様で使用すると、管理者は、容易かつ正確に正味の作業時間を把握することできる。
【0036】
また、ユーザー確認画面が電子メール画面である場合、防犯用メッセージ通知として、本発明の通知システムは有効である。
より具体的には、銀行など金融機関のATM又は窓口下(カウンタ下)に超音波発振装置Aを備えて置き、不審者の侵入など緊急事態が発生した際に、超音波発振装置Aから呼び出し信号を発振して、同一フロアの行員や責任者のユーザー用電子端末に、ユーザー確認画面として、緊急事態情報を表示し、不審者に気付かれることなく、素早く緊急事態の把握やその対応準備が可能となる。
【0037】
図3(B)は、ユーザー確認画面が、音声で配送などの情報を伝える音声案内画面である場合の態様を示す。
【0038】
この態様では、超音波発振装置により呼び出し信号が発振され、呼び出し信号を受信部により受信すると、ユーザー確認画面として、音声で配送などの情報を伝える音声案内画面が起動・表示される。
【0039】
たとえば、ユーザー確認画面が音声案内画面である場合、運送会社の配達員が、配達先の玄関前で超音波発振装置を使用し、配達先がユーザー用電子端末を有している態様が考えられる。この態様では、超音波発振装置により呼び出し信号が発振され、呼び出し信号を受信部により受信すると、ユーザー確認画面として、音声ガイド画面が起動・表示される。ここで、音声ガイド画面では、「〇〇です。荷物をお届けに参りました」などの荷物が配達先に届いた旨の音声や、「〇〇です。荷物を集荷に参りました」などの集荷のため訪問した旨の音声を発する。
【0040】
従来、特に夜間帯などでの配達業者などが玄関における呼び出しベル(インターフォン)やドアノックにより、配達物が到達した旨を伝えることが一般的である。しかし、女性や一人暮らしの者(単身者)にしてみれば、たとえ、信用のある配達業者であっても、ドアを開けることに躊躇する傾向にある。そのため、居留守を使ったり、あるいは翌日昼間などの時間帯に再配達の予約をしたりするという問題があった。しかし、上記態様では、配達業者などの訪問者が超音波発振装置を使用し、ユーザー用電子端末に、たとえば、訪問者の名称、宅配物の種類・数などの訪問者の情報が音声データとして再生される。そのため、ドアを開ける前に、だれが訪問したのかがわかるので、高い安全性・安心感の下、短時間で、かつスムーズに荷物の受け取りや集荷作業を進めることができる。また、呼び出しベルの音が小さい場合、あるいは部屋内でテレビやラジオなどの音声により、呼び出しベルの音(インターフォン)やドアノックの音が聞こえにくい場合などであっても、受取人は確実に荷物が届いたことを知ることができる。
【0041】
また、音声データには、上述のように、訪問者の氏名などの他に、宣伝内容を追加でき、配達店舗の宣伝とサービス向上に寄与する。
【0042】
図4(C)は、ユーザー確認画面が、配達者またはコールセンターなどとユーザーが通話可能な電話画面(通話画面・コール画面)である場合の態様を示す。
【0043】
この態様は、超音波発振装置により呼び出し信号が発振され、呼び出し信号を受信部により受信すると、ユーザー確認画面として、予め登録された電話番号が表示され、当該番号部分をタップすると当該電話番号の電子端末などに電話がかかる状態、あるいは自動的にその電話番号へ電話がかかり通話状態であることを示す画面が表示される。
【0044】
たとえば、ユーザー確認画面が、電話画面(通話画面・コール画面)である場合、本発明の通知システムは、病院などの医療機関や介護施設などで好適に使用される。より具体的には、入院者や寝たきり老人(被介護者)のベッド近傍に超音波発振装置を設置し、入院者の担当医療者(医師、看護師)や担当介護者、さらには家族などユーザー用電子端末を保持させる態様である。
この場合、一般的に備わった通知装置(ナースコールや介護者コール)の代わりに、入院者や被介護者から離れている(看護・介護現場にいない)担当医療者・担当介護者や入院者の家族など特定者にのみ電話画面(通話画面・コール画面)を起動・表示させたり、さらには呼び出したりすることができる。
【0045】
別の態様としては、トイレに超音波発振装置を設け、足元に(トイレ床面に)に超音波発振装置に電気的に接続されたマットセンサを設ける態様が考えられる。当該マットセンサから便器使用者が足を離した場合に、当該マットセンサから足を離すとオンになり、超音波発振装置から呼び出し信号を発振することができる。そのため、トイレの使用回数を、離れている(遠隔に位置する)ユーザー用電子端末に表示することできるとともに、長期間のトイレの利用がない場合、個別に訪問して安否確認ができるなどのメリットがある。
【0046】
また、本発明の通知装置は、図1~2に示されるように、発振回路部から呼び出し信号Xを発振し、当該呼び出し信号Xは、ユーザー用電子端末Bの呼び出し信号受信部b1で受信する。次いで、ユーザー用電子端末Bの制御部b3において、受信した呼び出し信号の周波数に基づいて、ユーザー確認画面b3を起動・表示する。
【0047】
ここで、呼び出し信号受信部b1では、あらかじめ定められた周波数の超音波のみを受信(感知・認識)するように設定されていてもよい。すなわち、呼び出し信号受信部b1が感知できる周波数領域のうち、一定の周波数で、かつ閾値を超える場合、呼び出し信号受信部b1は、感知可能な信号(「トリガ信号」)として、受信できる。たとえば、呼び出し信号受信部b1があらかじめ20kHzの周波数のみ受信するように設定されていた場合、20kHzの周波数を有する呼び出し信号を受信して、制御部において、ユーザー確認画面を起動・表示するようにしてもよい。
【0048】
また、本発明の通知システムが、屋外で使用される場合(特に、騒音が大きい通路など)、呼び出し信号受信部b1は、周囲の騒音(車の音、音楽の音)の周波数が、感知可能な信号(トリガ信号)の周波数と近似している場合もある。この場合、この騒音を、呼び出し信号受信部b1がトリガ信号として受信し、誤作動することもある。このような状況に対応するために、信号受信部b1のカットオフフィルター回路において、カットオフ周波数の基準を設け、一定周波数以下の信号を受け付けないようにすることも望ましい。
また、周波数の閾値を超えて繰り返される入力パターンの回数などに基づいて、反応感度を調整できるようにしてもよい。
【0049】
また、前記超音波発信装置(A)の前記発振回路部(a1)が、複数の、周波数の異なる呼び出し信号を発振する態様であってもよい。この場合、前記ユーザー用電子端末(B)の制御部(b3)が、当該複数の呼び出し信号の周波数に基づいて、ユーザー確認画面(b2)を起動・表示することが好ましい。
ここで、「複数の呼び出し信号の周波数に基づいて、ユーザー確認画面(b2)を起動・表示する」とは、複数の異なる周波数の呼び出し信号が呼び出し信号受信部で受信し、その受信した周波数の組み合わせごとに、パターン化されたユーザー確認画面を起動・表示することをいう。
【0050】
たとえば、複数の異なる周波数の呼び出し信号がX1とX2である場合、X1とX2との両方を受信した場合、制御部において、X1とX2の組み合わせ(パターン)に紐づけられたアプリケーションプログラムをユーザー確認画面(b2)として起動・表示する態様である。
【0051】
また、このように、複数の異なる周波数の呼び出し信号の組み合わせを受信する態様であれば、外来ノイズを除去しやすいというメリットがある。また、超音波発信装置が発振できる又は呼び出し信号受信部が受信できる呼び出し信号の周波数の範囲が狭い場合もあり、この場合でも、多数の呼び出し信号の組み合わせ(パターン)を確保することができる。
【0052】
また、本発明に係る通知システムの用途としては、特に限定されるものではなく、たとえば、図5(A)~(C)に示されるように、配達業者や集荷業者が届け先や集荷先の玄関口などで宅配物の配送や訪問を知らせるための使用されることが挙げられるが、特定者に所定情報を通知する用途であれば広く好適に使用され得る。
【0053】
図6は、配達業者や集荷業者以外の用途を示すための図である。
【0054】
図6(A)は、クラクションの補完を目的とした、移動体(具体的には、シニアカー)に超音波発信装置(A)を設置して、ユーザー用電子端末(B)を歩行者(老人、妊婦、児童など)に携帯させる態様を示す。ここで、超音波発信装置の発振回路部は、ONの状態となっているか、あるいは移動体の使用者が必要に応じてONにできる状態となっており、呼び出し信号を前方に発信している状態となっている。また、呼び出し信号の伝搬距離、すなわち、ユーザー用電子端末(B)が呼び出し信号を受信できる距離を一定数(たとえば、パワーショベルのショベル部分近傍に設置された超音波発信装置(A)から5m~30m)になるように調整されている。このような態様では、移動体の使用者が、歩行者に接近した際に、クラクションの代わりに又はクラクションとともに、音声案内画面からの音声ガイドで危険を早期に知らせて、事故を防止することができ、歩行者の安全性の向上が図れる。
なお、移動体としては、図6(A)で示されるようにシニアカーや、電動車イス等自転車、原付自転車、バイク、そして生鮮市場の電動ターレや空港の掃除ロボットなどが挙げられ、特に限定されるものではない。
【0055】
図6(B)は、パワーショベルなどの重機に(たとえば、パワーショベルのショベル部分近傍に)、超音波発信装置(A)を設置して、ユーザー用電子端末(B)を作業員や警備員に携帯させる態様を示す。ここで、超音波発信装置の発振回路部は、ONの状態となっており(あるいは必要に応じてONにする状態となっており)、常にあるいは断続的に呼び出し信号を前方又は全方位に発信している状態となっている。また、呼び出し信号の伝搬距離、すなわち、ユーザー用電子端末(B)が呼び出し信号を受信できる距離を一定数(たとえば、パワーショベルのショベル部分近傍に設置された超音波発信装置(A)から10m~30m)になるように調整されている。このような態様では、作業員や警備員が重機の接近や重機の可動部(例:パワーショベルのショベル部分)が接近していることを知らせることができ、安全性を高めることが可能となる。
【0056】
図6(C)は、トラックなど大型車両などの往来が激しいトラックターミナルや場所(たとえば、工業団地内あるいは付近の交差点)や交通事故に巻き込まれる傾向にある人(例:誘導員、児童、老人、障碍者)の交通が多い地域において、たとえば、大型車両に(たとえば、トラック)に超音波発信装置(A)を設置して、ユーザー用電子端末(B)を歩行者(特に児童、老人、障碍者)に携帯させる態様を示す。この態様も、呼び出し信号の伝搬距離(たとえば、トラックに設置された超音波発信装置(A)から10m~50m)を一定になるように調整されている。トラックなどの運転手が歩行者に気づいて、危険を回避しつつ自発的にクラクションを鳴らすよりも、警告の対象となる歩行者を特定して「右回転します。バックします。」のメッセージなどで危険を知らせることができる。
【0057】
図6(D)は、本発明の通知システムを有人又は無人の飛行体(飛行機、ヘリコプター、ドローンなど)に使用する態様を示す。
飛行体に超音波発信装置(A)を設け、作業員や飛行場付近の地域住民に、ユーザー用電子端末(B)を携帯させ、飛行体が接近すると(たとえば、着陸態勢に入り、飛行場に接近すると)、超音波発信装置(A)からの呼び出し信号を受信したユーザー用電子端末(B)に、当該飛行体の接近と着陸を知らせる確認画面(警告画面)を通知することができる。
【0058】
また、本発明に係る通知方法は、上記の通知システムを用いた、通知方法である。具体的には、超音波発信装置(A)を用いて、呼び出し信号として特定の周波数の超音波を呼び出し信号として発振する工程(1)と、受信した呼び出し信号の周波数に基づいて、ユーザー確認画面を起動・表示するユーザー用電子端末(B)の呼び出し信号受信部(b1)を用いて、前記発振回路部(a1)からの呼び出し信号を受信する工程(2)と、
ユーザー用電子端末(B)の制御部(b3)を用いて、受信した呼び出し信号の周波数に基づいて、ユーザー確認画面(b2)を起動・表示する工程(3)とを順次実施することを特徴とする。
【0059】
また、本発明に係るプログラムは、前記通知システムに用いられるプログラムであり、ユーザー用電子端末(B)の信号受信部(b1)において、超音波発信装置(A)の発振回路部(a1)からの呼び出し信号を受信し、ユーザー用電子端末(B)の制御部(b3)において、受信した呼び出し信号の周波数に基づいて、ユーザー確認画面(b2)を起動・表示する処理を実現するためのプログラムである。なお、プログラム言語やプロトコルの種類は特に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明によれば、受取人に特定して知らしめることができるため、自宅や職場で高い安全性の下、受取人が安心して配達業者から荷物を受け取れる通知システムおよび通知方法を提供することができる。
【符号の説明】
【0061】
A: 超音波発信装置
B: ユーザー用電子端末
X:呼び出し信号



図1
図2
図3
図4
図5
図6