(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023059256
(43)【公開日】2023-04-26
(54)【発明の名称】パターン欠陥の修復が容易なフォトマスクの製造方法及びこれを用いて製造したフォトマスク
(51)【国際特許分類】
G03F 1/82 20120101AFI20230419BHJP
G03F 1/72 20120101ALI20230419BHJP
C23C 16/44 20060101ALI20230419BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20230419BHJP
【FI】
G03F1/82
G03F1/72
C23C16/44 A
H01L21/304 642
H01L21/304 651
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022164296
(22)【出願日】2022-10-12
(31)【優先権主張番号】10-2021-0136298
(32)【優先日】2021-10-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】522400973
【氏名又は名称】マイクロ イメージ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リュ、チャン クォン
(72)【発明者】
【氏名】リ、ヨン ソン
(72)【発明者】
【氏名】チョン、ウン チョル
(72)【発明者】
【氏名】キム、ヨン ソク
【テーマコード(参考)】
2H195
4K030
5F157
【Fターム(参考)】
2H195BB25
2H195BC04
2H195BC21
2H195BC22
2H195BD33
2H195BD34
2H195BD36
2H195BD38
4K030BA01
4K030BA02
4K030BA06
4K030BA14
4K030BA20
4K030BA22
4K030CA06
4K030CA17
5F157BE32
5F157CB03
5F157CB15
(57)【要約】
【課題】パターン欠陥修復が容易なフォトマスクの製造方法及びこれを用いて製造したフォトマスクを提供される。
【解決手段】本発明は、フォトマスクブランクから製造されたフォトマスク上にピンホール、欠損、断線などの白欠陥が発生し、化学気相蒸着(CVD)による修復工程を行う場合、CVD工程に用いられるソースと透明基板間の低い接着力問題を効果的に解決し、当該白欠陥に対する修復工程の完全性を確保し、フォトマスクの不良率を著しく減少させることができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明基板、前記透明基板上にパターン化されて形成された遮光層、及び前記透明基板及び遮光層の全体に形成された金属接着性シード層を含み、
前記金属接着性シード層の厚さは、12~200Åの範囲である、フォトマスク。
【請求項2】
前記金属接着性シード層は、炭素(C)、銅(Cu)、ケイ素(Si)、白金(Pt)、アルミニウム(Al)、カルシウム(Ca)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、タングステン(W)、ジルコニウム(Zr)、ニッケル(Ni)、酸素(O)及びこれらの混合物からなる群から選ばれる1種以上を含む、請求項1に記載のフォトマスク。
【請求項3】
前記フォトマスクは、金属接着性シード層を含まないフォトマスクに対して光透過率損失が2%未満である、請求項1に記載のフォトマスク。
【請求項4】
前記フォトマスクは、アルカリ洗浄液を用いた洗浄工程を10回繰り返し行った後、修復部位の脱落率が0%である、請求項1に記載のフォトマスク。
【請求項5】
前記フォトマスクは、白欠陥に対する修復(repair)工程後、綿棒を用いたコンタクト(contact)テストで修復部位の脱落率が0%である、請求項1に記載のフォトマスク。
【請求項6】
前記金属接着性シード層は、透明基板及び遮光層上に物理的方法で蒸着されたものである、請求項1に記載のフォトマスク。
【請求項7】
前記金属接着性シード層上に防汚コーティング層をさらに含む、請求項1に記載のフォトマスク。
【請求項8】
フォトマスク上に発生した白欠陥を修復する方法であって、
請求項1に記載のフォトマスク上に発生した白欠陥に対して化学気相蒸着(CVD)工程を行って、失われたパターンを修復する段階を含む、フォトマスクの白欠陥の修復方法。
【請求項9】
前記化学気相蒸着(CVD)工程は、炭素(C)、銅(Cu)、ケイ素(Si)、白金(Pt)、アルミニウム(Al)、カルシウム(Ca)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、タングステン(W)、ジルコニウム(Zr)、ニッケル(Ni)、酸素(O)、及びこれらの混合物からなる群から選ばれる1種以上のソース(source)を用いて行われる、請求項8に記載のフォトマスクの白欠陥の修復方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パターン欠陥修復が容易なフォトマスクの製造方法及びこれを用いて製造したフォトマスクに関する。
【背景技術】
【0002】
一般にフォトマスクは、光を用いて回路などのパターンをパターニング化するフォトリソグラフィ工程に広く使用されている。このようなフォトマスクは、半導体やディスプレイパネルを含む高度な精密性を要求する電子装置の製造に使用され、通常、感光液(フォトレジスト)が塗布されたウエハやステンレス、ディスプレイパネル用ガラス基板上に配置され、露光工程を通じて基板上に回路パターンを形成する。
【0003】
一方、フォトマスクは、ブランクマスクから製造され、具体的に合成石英(クォーツ、quartz)ガラス)やソーダライム(soda lime)ガラスなどからなる透明基板上に露光光源に対して不透明な材料を含む遮光層を形成して構成され、遮光層上には露光時、光反射を抑制するための反射防止層がさらに形成されてもよい。一例として、フォトマスクは、透明基板側から遮光層、反射防止層が形成された構成であってもよい。
【0004】
一方、ブランクマスクからフォトマスクを製造するとき、露光、現像、エッチング、洗浄及び検査などの一連の工程を経るが、この過程でフォトマスク上に形成された遮光層としてクロムパターン層の損傷が起こる場合がよく発生する。このようなクロムパターン層の損傷によるフォトマスク欠陥は、一般に白欠陥と呼ばれ、これはピンホール(pin-hole)、欠損、断線などに分けることができる。クロムパターン層にこのような白欠陥が発生する場合、フォトマスクが適用される半導体工程ないしディスプレイパネル製造工程において所望のフォトリソグラフィ工程を効果的に行うことができないため、白欠陥に対する修復(repair)工程が行われることが必須である。
【0005】
具体的に、フォトマスクの白欠陥を修復するための修復工程は、化学気相蒸着(Chemical Vapor Deposition)またはインク塗布方式で失われたパターンを修復する方式で行われてもよい。一例として、蒸着(deposition)技術を用いたCVDリペア設備を用いた修復工程の場合、炭素(C)、銅(Cu)、ケイ素(Si)、白金(Pt)、アルミニウム(Al)、カルシウム(Ca)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、タングステン(W)、ジルコニウム(Zr)、ニッケル(Ni)、酸素(O)などの組み合わせを用いた混合物をソース(source)として用い、ローディングサイズは、700~800mmであり、蒸着に長時間かかるという特徴がある。さらに他の一例として、放熱板の加熱後、特定の真空領域を設定して蒸着する技法を用いたCVDリペア設備を用いた修復工程の場合、クロム(Cr)をソース(source)として用い、ローディングサイズは、1,100~1,200mmであり、基板加熱が相対的に長時間(10~15min)であるが、蒸着は、相対的に短時間かかるという特徴がある。
【0006】
しかし、このような白欠陥修復工程を通じて失われたクロムパターンを修復しても、後続の洗浄工程などにおいて修復されたクロムパターンが再び失われるという問題が発生することがある。これは修復工程に使用されるソース(source)が遮光層をなすクロム(Cr)との間では付着力が強く現れるが、透明基板の母材となる合成石英(クォーツ、quartz)ガラスやソーダライム(soda lime)ガラスとの間では低い付着力を有するためであり、結局、フォトマスクの白欠陥に対する修復工程の完全性を確保するためには、修復工程間のCVD工程で蒸着されるソースと基板間の接着力を向上させる必要が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】大韓民国登録特許第10-2092653号(2020.03.18.)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、ブランクマスクから製造されたフォトマスク上にピンホール、欠損、断線などの白欠陥が発生して化学気相蒸着(CVD)による修復工程を進行する場合、CVD工程に使用されるソースと透明基板間の低い接着力問題を効果的に解決し、当該白欠陥に対する修復工程の完全性を確保し、フォトマスクの不良率を著しく減少させることができる、パターン欠陥修復が容易なフォトマスクの製造方法及びこれを用いて製造したフォトマスクを提供することを目的とする。
【0009】
また、本発明が解決しようとする技術的課題は、以上で言及した技術的課題に制限されず、言及されていないさらに他の技術的課題は、以下の記載から本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者が明確に理解できるだろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本明細書では、透明基板、前記透明基板上にパターン化されて形成された遮光層、及び前記透明基板及び遮光層の全体に形成された金属接着性シード層を含み、前記金属接着性シード層の厚さは、12~200Åの範囲である、フォトマスクを提供する。
【0011】
本明細書において、前記金属接着性シード層は、炭素(C)、銅(Cu)、ケイ素(Si)、白金(Pt)、アルミニウム(Al)、カルシウム(Ca)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、タングステン(W)、ジルコニウム(Zr)、ニッケル(Ni)、酸素(O)及びこれらの混合物からなる群から選ばれる1種以上を含んでもよい。
【0012】
本明細書において、前記フォトマスクは、金属接着性シード層を含まないフォトマスクに対して光透過率損失が2%未満であってもよい。
【0013】
本明細書において、前記フォトマスクは、アルカリ洗浄液を用いた洗浄工程を10回繰り返し行った後、修復部位の脱落率が0%であってもよい。
【0014】
本明細書において、前記フォトマスクは、白欠陥に対する修復(repair)工程後、綿棒を用いたコンタクト(contact)テストにおいて修復部位の脱落率が0%であってもよい。
【0015】
本明細書において、前記金属接着性シード層は、透明基板及び遮光層上に物理的方法で蒸着されたものであってもよい。
【0016】
本明細書において、前記金属接着性シード層上に防汚コーティング層をさらに含んでもよい。
【0017】
また、本明細書では、フォトマスク上に発生した白欠陥を修復する方法として、前記フォトマスク上に発生した白欠陥に対して化学気相蒸着(CVD)工程を行い、失われたパターンを修復する段階を含む、フォトマスクの白欠陥の修復方法を提供する。
【0018】
本明細書において前記化学気相蒸着(CVD)工程は、炭素(C)、銅(Cu)、ケイ素(Si)、白金(Pt)、アルミニウム(Al)、カルシウム(Ca)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、タングステン(W)、ジルコニウム(Zr)、ニッケル(Ni)、酸素(O)及びこれらの混合物からなる群から選ばれる1種以上のソース(source)を用いて行われるものであってもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、ブランクマスクからフォトマスクを製造するときに発生するピンホール(pin-hole)、欠損、断線などの白欠陥に対する修復工程後、洗浄工程で修復された修復部位が基板との間で低い接着力により脱落して遮光パターンが再び失われるという問題点を効果的に防止することにより、白欠陥に対する修復工程の完全性を確保しうる。
【0020】
また、ブランクマスクからフォトマスクを製造するとき、エッチング/洗浄段階後のスパッタリングなどの比較的簡単な物理的蒸着方法のみで金属接着性シード層が形成されたフォトマスクの製造が可能であり、これによりフォトマスクの不良率を著しく減少させる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の一実施例によって製造されたフォトマスクの断面構成として、特に透明基板及びパターン化された遮光層上に形成された金属接着性シード層が形成された構成を概略的に示したものである。
【
図2】本発明の一実施例及び比較例によるフォトマスクにおいて、実験のためにパターンに意図的にピンホール及び欠損を含めて作製した白欠陥を示す写真である。
【
図3】本発明の一実施例(a)及び比較例(b)によるフォトマスクを用いて白欠陥修復工程を行った後、洗浄後の修復部位の脱落有無を目視で確認した結果を示したものである。
【
図4】本発明の一実施例によって製造されたフォトマスクに対する欠陥修復の完全性を確認するための、(a)アルカリ洗浄液を用いた修復部位脱落テストプロセス、及び(b)綿棒を用いたコンタクト(contact)テストプロセスを概略的に示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付の図面を参照し、本発明の実施例について、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳細に説明する。しかし、本発明は、いくつかの異なる形態で具現でき、以下に開示する実施例に限定されるものではない。また、図面において本発明を明確に開示するため、本発明と関係のない部分は省略し、図面において同一または類似の符号は、同一または類似の構成要素を示す。
【0023】
本発明の目的及び効果は、下記の説明によって自然に理解されるか、またはより明らかになり得、以下の記載のみで本発明の目的及び効果が制限されるものではない。また、本発明の説明において、本発明による公知技術に対する具体的な説明が、本発明の要旨を不要に曖昧にすると判断される場合には、その詳細な説明を省略する。以下、添付の図面を参照して本発明による実施例を詳細に説明する。
【0024】
上述したように、従来技術によれば、ブランクマスクからフォトマスクを製造するときに発生するピンホール(pin-hole)、欠損、断線などの白欠陥に対する修復工程後、洗浄工程で修復された修復部位が基板との間で低い接着力により脱落して遮光パターンが再び失われるという問題があり、製品の修復不良率が平均して2%に達する。また、このような修復不良製品の場合、再補修時に追加の工程が要求されるため、製品信頼度及び工程経済性を低下させるという問題がある。
【0025】
そこで、本発明者らは、ブランクマスクからフォトマスクを製造するときにエッチング段階後、スパッタリングなどの比較的簡単な物理的方法で蒸着を行い、フォトマスクの透明基板及びパターン化された遮光層上に、微細な薄膜状の金属接着性シード層を形成させる場合、白欠陥に対する修復工程後の洗浄工程で修復された修復部位が基板から脱落することが効果的に防止され、フォトマスクの不良率を顕著に減少させることができることを、実験を通じて確認し、本発明を完成した。
【0026】
金属接着性シード層が形成されたフォトマスク及び製造方法
本発明の一実施例によるフォトマスクは、透明基板、前記透明基板上にパターン化されて形成された遮光層、及び前記透明基板及び遮光層の全体の上に形成された金属接着性シード層を含み、前記金属接着性シード層の厚さは、12~200Åの範囲であってもよい。
【0027】
本発明において透明基板は、合成石英(クォーツ、quartz)ガラスやソーダライム(soda lime)ガラス材質であってもよい。
【0028】
前記透明基板上に形成されるパターン化された遮光層は、凹部及び凸部の形態を含む凹凸パターンを有してもよく、一例として、凸部は、クロム層またはクロム層及び酸化クロム層が順次積層された構成であってもよい。一方、前記凹部は、透明基板のみを有する構成であってもよい。
【0029】
一方、本発明の金属接着性シード層は、透明基板及び遮光層の全体にわたって形成されるものであってもよく、厚さは、12~200Åの範囲、詳細には、12~18Åの範囲で形成されたものであってもよい。金属接着性シード層が前記厚さ範囲内である場合、フォトマスクの光透過率及び光反射率の損失を最小化するとともに、十分な接着力を確保でき、後述する白欠陥修復工程により形成された修復部位(クロム、ガリウムなどのソース)の洗浄間の脱落を効果的に防止できるようになる。
【0030】
一例として、前記方法によって金属接着性シード層が形成されたフォトマスクは、前記金属接着性シード層を含まないフォトマスクに対して光透過率損失が2%未満、詳細には、1%未満であってもよい。クォーツなどの材質で作製した一般的なフォトマスクの場合、光透過率が約94%程度に該当し、一例として、本発明によるフォトマスクの光透過率は、約92~94%の範囲、詳細には、93~94%の範囲であってもよい。
【0031】
一方、本発明の一実施例による金属接着性シード層は、炭素(C)、銅(Cu)、ケイ素(Si)、白金(Pt)、アルミニウム(Al)、カルシウム(Ca)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、タングステン(W)、ジルコニウム(Zr)、ニッケル(Ni)、酸素(O)及びこれらの混合物からなる群から選ばれる1種以上を含むものであってもよく、より詳細には、クロム(Cr)、ガリウム(Ga)及びこれらの混合物からなる群から選ばれる1種以上を含んでもよく、シード層が前記のような成分である場合、後述する白欠陥修復工程間で行われる化学気相蒸着(CVD)ソース成分と同種成分に該当し、相互間の十分な接着力の確保が可能となり、洗浄過程で脱落するなどの問題を解決しうる。また、同種でなくても、前記成分を含むソースは、後述する修復のためのCVD工程間のソースと相互に十分な接着力の確保が可能となり、洗浄過程で脱落するなどの問題を解決しうる。
【0032】
一方、前記金属接着性シード層は、透明基板及び遮光層上に物理的な方法により蒸着されたものであってもよい。具体的な一例として、ブランクマスクからフォトマスクを製造する過程は、合成石英(クォーツ、quartz)ガラスないしソーダライム(soda lime)ガラス基板上に遮光層(クロム層)及びフォトレジスト層(PR層)が形成されたブランクマスク上にE-beamないしレーザー(laser)などで露光してパターンを形成し、フォトレジストを現像(develop)した後、エッチングを用いたクロム層エッチング、PRをStripした後、洗浄する過程を含んでもよい。このとき、本発明の金属接着性シード層は、前記エッチング/洗浄段階後、スパッタリングなどの物理的方法で形成されるものであってもよい。一方、金属接着性シード層をスパッタリングなどにより形成する場合、CVDなどによる蒸着に対して相対的に強い付着力(adhesion)を確保することになるので、後述するCVD工程によるソース蒸着時、これらと強く付着して脱落しないので、修復部位の脱落が効果的に防止され、欠陥修復工程の完全性を確保できるようになる。
【0033】
一例として、前記スパッタリングは、20~150℃、真空度3.0*10-3~5.0*10-5Torr、Ar:5~15sccm、パワー0.1~0.5kW、Rate0.05~3Å/secの乾式条件下で行われるものであってもよく、これにより形成される金属接着性シード層は、12~200Åの範囲、詳細には、12~18Åの範囲の厚さを有してもよい。
【0034】
一方、本発明によるフォトマスクは、ピンホール、欠損、断線などの白欠陥に対する化学気相蒸着(CVD)などの修復工程後、アルカリ洗浄液を用いた洗浄工程を10回繰り返し行った後、修復部位の脱落率が0%であってもよく、綿棒を用いたコンタクト(contact)テストの場合にも同様に修復部位の脱落率が0%であってもよい。これにより、フォトマスクの白欠陥に対する修復工程の完全性を確保し、フォトマスクの不良率を著しく減少させることができる。
【0035】
本発明においてアルカリ洗浄液を用いた洗浄工程は、フォトマスクを脱イオン水(DIW)で洗い流し、洗浄液に1~3分間ディッピング(dipping)した後、脱イオン水(DIW)で洗浄液を洗い流し、エア乾燥させる方式を通じて行われるものであってもよく、洗浄工程において使用される脱イオン水(DIW)及び洗浄液の温度は、約20~30℃の範囲のものが使用されてもよい(
図4(a)参照)。一方、本発明において用語の「綿棒を用いたコンタクト(contact)テスト」とは、綿棒の綿体にエタノールをつけて修復した部分に綿棒の綿体を接触させた後、3回擦る方式で測定するテストを意味するものと理解されなければならない(
図4(b)参照)。
【0036】
一方、前記洗浄工程で使用されるアルカリ洗浄液は、当該技術分野で使用される一般的な洗浄液であってもよいが、一例として、水70~75重量部、水酸化ナトリウム(Sodium hydroxide)2~4重量部、水酸化カリウム(Potassium hydroxide)2~4重量部及びエトキシレートアルキルフェノール(Ethoxylated Alkyl Phenol)5~10重量部を含んで構成されたものであってもよい。
【0037】
一方、本発明によるフォトマスクは、防汚機能性の確保のための防汚コーティング層をさらに含んでもよく、前記防汚コーティング層は、特に制限されるものではないが、一例として、ポリトリアルキレンオキシド、ポリビニルフルオライド、ポリビニリデンフルオライド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロフルオロエチレン、パーフルオロアルコキシポリマー、フッ化エチレン-プロピレン、ポリエチレンテトラフルオロエチレン、ポリエチレン-クロロトリフルオロエチレン、パーフルオロエラストマー、フルオロカーボン、パーフルオロポリエーテル、パーフルオロスルホン酸、フッ化ポリイミド、テトラフルオロエテン、パーフルオロポリオキセタン及び活性化炭素からなる群から選ばれる1種以上を含んで構成されるものであってもよい。
【0038】
フォトマスクの白欠陥の修復方法
以上で説明した、本発明によるフォトマスクは、透明基板上に微細な薄膜状の金属接着性シード層を含むことにより、白欠陥の修復のためのCVD蒸着工程により修復部位に形成されるクロム、ガリウムなどのソースが石英またはソーダライムなどのガラス基板と直接接触せず、同種/異種などの相互接着力を確保できる成分で構成された金属接着性シード層と接触することになり、優れた接着力の確保が可能となり、これによって後続する洗浄工程で脱落することを効果的に防止できるようになる。
【0039】
本発明によるフォトマスクの白欠陥の修復方法は、前記フォトマスク上に発生した白欠陥に対して化学気相蒸着(CVD)工程を行い、失われたパターンを修復する段階を含んでもよい。一方、前記化学気相蒸着工程は、炭素(C)、銅(Cu)、ケイ素(Si)、白金(Pt)、アルミニウム(Al)、カルシウム(Ca)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、タングステン(W)、ジルコニウム(Zr)、ニッケル(Ni)、酸素(O)及びこれらの混合物からなる群から選ばれる1種以上のソース(source)を用いて行われるものであってもよい。
【0040】
一方、前記欠陥修復方法は、使用される装置によって具体的な条件、ソースが異なることがあり、一例として、deposition技法を用いたCVDリペア設備を用いた修復工程の場合、炭素(C)、銅(Cu)、ケイ素(Si)、白金(Pt)、アルミニウム(Al)、カルシウム(Ca)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、タングステン(W)、ジルコニウム(Zr)、ニッケル(Ni)、酸素(O)などの組み合わせを用いた混合物をソース(source)として用い、ローディングサイズは、700~800mmで行われるものであってもよい。
【0041】
さらに他の一例として、放熱板の加熱後、特定の真空領域を設定して蒸着する技法を用いたCVDリペア設備を用いた修復工程の場合、クロム(Cr)をソース(source)として用い、ローディングサイズは、1,100~1,200mmで行われるものであってもよい。
【0042】
以上の方法により本発明のフォトマスクを用いて白欠陥を修復する場合、修復工程を通じて修復されたクロムパターンが再び失われることが効果的に防止される。
【0043】
実施例
本発明は、様々な変更を加えることができ、様々な形態を有してもよいので、特定の具現例を例示し、以下で詳細に説明する。しかし、これは本発明を特定の開示形態に限定しようとするものではなく、本発明の思想及び技術の範囲に含まれるすべての変更、均等物ないし代替物を含むものと理解されなければならない。
【0044】
実施例1-1~1-4
ブランクマスク(製造社:U社)を用意し、A等級の装備を用いて露光を行った後、TMAH2.38%現像液を用いて現像工程を行った。次に、硝酸系エッチング溶液を用いてエッチングを行い、水70乃至75重量部、水酸化ナトリウム(Sodium hydroxide)2乃至4重量部、水酸化カリウム(Potasium hydroxide)2乃至4重量部及びエトキシレートアルキルフェノール(Ethoxylated Alkyl Phenol)5乃至10重量部を含むアルカリ洗浄液を用いて非接触方式の洗浄を行ってフォトマスクを製造した。
【0045】
次に、前記フォトマスク上に20~150℃、真空度3.0*10
-3~5.0*10
-5Torr、Ar:5~15sccm、パワー0.1~0.5kW、Rate0.05~3Å/secの乾式条件下で、クロム(Cr)をソース源としたスパッタリングを行い、前記過程を通じて透明基板及びパターン化された遮光層(クロム層)上にそれぞれ12Å(実施例1-1)、13Å(実施例1-2)、14Å(実施例1-3)、18Å(実施例1-4)の厚さでクロム(Cr)成分を含む金属接着性シード層を形成した(
図1参照)。
【0046】
一方、検査を通じて前記フォトマスク製造工程間のピンホール及び欠損(白欠陥)が発生したフォトマスクを確認した後、回収した(
図2参照)。
【0047】
比較例1-1~1-2
実施例1-1~1-4と同様の方法でフォトマスクを製造し、製造工程間のピンホール及び欠損(白欠陥)が発生したフォトマスクを確認した後、回収するが、金属接着性シード層を含まないもの(比較例1-1)、金属接着性シード層の厚さを6Å厚さにしたもの(比較例1-2)のみが本発明の実施例と異なっている。
【0048】
[実験1:洗浄後の付着力テスト]
前記実施例1-1~1-4及び比較例1-1~1-2の方法で製造されたフォトマスクを用意し、放熱板の加熱後に特定の真空領域を設定して蒸着する技法を用いたCVDリペア設備を用いてクロム(Cr)をソースとし、ローディングサイズは、1,100~1,200mmとし、白欠陥部位に対する修復工程を行った。
【0049】
このような修復工程の実施後、水70乃至75重量部、水酸化ナトリウム(Sodium hydroxide)2乃至4重量部、水酸化カリウム(Potasium hydroxide)2乃至4重量部、及びエトキシレートアルキルフェノール(Ethoxylated Alkyl Phenol)5乃至10重量部を含むアルカリ洗浄液を用いて非接触方式の洗浄工程を10回繰り返した。
【0050】
実施例1-1(
図3(a))及び比較例1-1(
図3(b))でそれぞれ形成された白欠陥(ピンホール)についてリペアリング及び洗浄工程を行った結果を示した。洗浄工程は、具体的にフォトマスクを脱イオン水(DIW)で洗い流し、当該洗浄液に2分間ディッピング(dipping)した後、脱イオン水(DIW)で洗浄液を洗い流し、エア乾燥させる方式を通じて行われた。
【0051】
図3(a)を参照すると、アルカリ洗浄液を用いて洗浄を10回繰り返し行った場合、修復部位が脱落していないこと(左側)が確認でき、透過を行ったとき、修復部位に透過が行われないこと(右側)が確認できた。
【0052】
一方、
図3(b)を参照すると、アルカリ洗浄液を用いて洗浄を10回繰り返し行った場合、修復部位が脱落したこと(左側)が確認でき、透過を行ったとき、修復部位に透過が行われないこと(右側)が確認できた。
【0053】
また、洗浄工程で修復された部位の脱落の可能性を確認するため、綿棒コンタクト(contact)テストを行うが、前記綿棒contactテストは、綿棒にエタノールをつけて修復した部分に綿棒の綿体を接触させた後、3回擦る方式を通じて行われた。
【0054】
これにより導き出された具体的な実験結果を下記の表1に示す。前記表において数字は、白欠陥部位を修正したポイントで、前記過程後の修復部位が脱落していないポイント個数を示したものである。
【0055】
【0056】
前記表1の結果を参照すると、金属接着性シード層が形成された本発明の実施例1-1~1-4によるフォトマスクの場合、金属接着性シード層が形成されないか(比較例1-1)、または本発明の厚さ範囲外に形成された比較例(比較例1-2)に対して、化学気相蒸着(CVD)を用いた白欠陥修復工程後、洗浄工程で修復部位の脱落が発生せず、優れた接着状態を継続的に維持することが確認できた。これにより、実施例によるフォトマスクの場合、比較例に対して不良率が効果的に減少することが分かる。
【0057】
以上、本発明の特定の実施例が説明及び図示されているが、本発明は、記載された実施例に限定されるものではなく、本発明の思想及び範囲から逸脱することなく様々に修正及び変形できることは、この技術の分野において通常の知識を持つ者に自明なことである。したがって、そのような修正例または変形例は、本発明の技術的思想や観点から個別に理解されてはならず、変形された実施例は、本発明の特許請求の範囲に属すべきである。
【手続補正書】
【提出日】2023-03-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0001】
本発明は、パターン欠陥修復が容易なフォトマスクの製造方法及びこれを用いて製造したフォトマスクに関する。一方、本出願は、韓国の中小ベンチャー企業部(主管機関:(株)マイクロイメージ)「2021年地域特化産業育成+(R&D)」支援により行われるものである。