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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023059297
(43)【公開日】2023-04-27
(54)【発明の名称】二酸化炭素捕集装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/14 20060101AFI20230420BHJP
【FI】
B01D53/14 100
B01D53/14 210
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021169208
(22)【出願日】2021-10-15
(71)【出願人】
【識別番号】396020132
【氏名又は名称】株式会社システック
(72)【発明者】
【氏名】香高 孝之
(72)【発明者】
【氏名】大城 巧
(72)【発明者】
【氏名】太田 偉喜
(72)【発明者】
【氏名】坂田 全弘
【テーマコード(参考)】
4D020
【Fターム(参考)】
4D020AA03
4D020BA02
4D020BA08
4D020BB01
4D020BB03
4D020CA02
4D020CA06
4D020CA07
4D020CB25
4D020CC06
(57)【要約】
【課題】
本発明の課題は、流路の気体の通過能力を落とさないで、大気などの気体中の二酸化炭素を目詰まりなく捕集し、捕集シートの交換などの維持行動を容易とする二酸化炭素捕集装置を提供することである。
【解決手段】
本発明の二酸化炭素捕集装置は、気体中の二酸化炭素を反応により炭酸カルシウムとして捕集するシートである捕集シートと、気体を捕集シートの面に沿って平行に通過させるように構成された気体の流路と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体中の二酸化炭素を反応により炭酸カルシウムとして捕集するシートである捕集シートと、前記捕集シート面に直角に前記気体を当てる場合の前記反応による前記炭酸カルシウムによる前記捕集シートの目詰まりによる前記気体の流路が狭くなることを回避するべく、前記気体を前記捕集シートの面に沿って平行に通過させるように構成された前記気体の前記流路と、を有し、前記流路を前記気体が移動する間に、前記反応の結果、前記二酸化炭素を前記炭酸カルシウムとして前記捕集シートに捕集することを特徴とする二酸化炭素捕集装置。
【請求項2】
前記流路の構成において、前記捕集シートは、単独の前記シート(枚葉式シート)であり、基台に把持されていることで、前記捕集シートの交換性を向上したことを特徴とする請求項1記載の二酸化炭素捕集装置。
【請求項3】
前記流路の構成において、前記捕集シートは、連続した1枚の前記シートであり、前記流路の左右に配置された巻き取り手段により巻き取ることで前記捕集シートの交換性を向上したことを特徴とする請求項1記載の二酸化炭素捕集装置。
【請求項4】
前記流路と前記捕集シートを前記気体の流れる方向に水平又は垂直の位置から傾斜角をもって構成することで、前記気体の前記捕集シートに当たる効率を向上したことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の二酸化炭素捕集装置。
【請求項5】
前記捕集シートが、生石灰又は消石灰を有することで、前記反応を前記捕集シート上で行わせる反応性を有する反応性捕集シートであることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1つに記載の二酸化炭素捕集装置。
【請求項6】
前記捕集シートが前記反応性捕集シートである場合に、前記流路に前記気体の流れを乱す乱流手段を設けることで前記気体が攪拌され、前記気体の前記捕集シートとの接触が向上し前記反応が促進されることを特徴とする請求項5記載の二酸化炭素捕集装置。
【請求項7】
前記捕集シートが生石灰又は消石灰を有さないで捕集のみの前記シートである場合に、消石灰水溶液を前記流路を通過する前記気体にシャワー又はスプレーする反応液シャワー又はスプレー手段を前記流路上に設けたことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1つに記載の二酸化炭素捕集装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気体中の二酸化炭素を捕集する二酸化炭素捕集装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図8から図10は、従来の二酸化炭素捕集装置を示す図である。図8では、気相での捕集の装置、図9では、捕集材溶液のシャワー又はスプレーを用いた捕集の装置、図10では、液相での捕集材溶液の中で排ガスを導入して捕集する装置の例を示す。
図8では、8-Aは特許文献1に示され、二酸化炭素を含む排ガスを水蒸気と混合後、加温を経て、消石灰を成分とした回収材に通す。分離装置のフィルタで粉末回収するが、加温が必要で効率が高くなく、詰まりやすい欠点を有する。
8-Bは、特許文献2に示され、消石灰等の無機カルシウム化合物を被覆したバッグフィルタに排ガスを通過させ、炭酸カルシウムとして捕獲。バッグに付いた粉末を加圧により吹き落とすものであり、被覆バッグの作成・再生が厄介という欠点がある。
図9では、図8の気相中に比べ捕集反応の効率は向上する。9-Aは特許文献3に示され、二酸化炭素を含む排ガスに消石灰水をスプレーして、炭酸カルシウムとして捕集。捕集効率はいい方でない。固液分離による粉末の回収が必要であり、粉末は加熱で二酸化炭素を分離回収するも、現場リサイクルは制限がある。
9-Bは、特許文献4に示され、9-Aと同じで、二酸化炭素を含む排ガスに消石灰水溶液をシャワーする。消石灰水溶液は、回収して循環する。捕獲効率と常時駆動、フィルタ交換の面倒さがある。
図示しないが、特許文献5の装置は、前2者と同じく、二酸化炭素含む排ガスに消石灰水溶液スプレー(循環)する。捕獲効率が良くないのは同様である。
9-Cは、特許文献6に示され、充填材を下から排ガスを通し、上から消石灰水をスプレーする。充填材の下には、炭酸カルシウムと消石灰混合するので回収する。充填材の為に捕獲効率は上がるが、逆に充填材が詰まりやすい欠点がある。
9-Dは、特許文献7に示され、他の例は、二酸化炭素を含む排ガスに消石灰やその水溶液を反応させるが、この案は、排ガスと浄水を高圧にして、炭酸水にして、これをコンクリート材に吹付けて、炭酸カルシウムにして二酸化炭素回収する。炭酸カルシウムがコンクリートをカバーすると、反応性が落ちるので、水で常時流すこと、加圧器必要、加圧時で常時連続性がなくなる等の欠点がある。
10-Aは、特許文献8に示され、反応槽に消石灰水溶液を供給し満たす。満水の下から二酸化炭素を含む排ガスを排出して反応させ、炭酸カルシウムと消石灰混合で排出し、分離する。炭酸カルシウム粉末を回収する。排ガスの供給穴が詰まりやすい。穴を大きくすると、逆に捕獲効率が悪くなること、及び、供給穴から管に液が入らない仕組みが必要などの欠点がある。
10-Bは、特許文献9に示され、消石灰粒を網袋に入れ溶液中に保持し、溶液中に二酸化炭素を含む排ガスを配管から微泡散気する。微泡であるほど捕集効率は良いが、散気穴が詰まりやすいこと、沈殿回収、交換時は、配管外しが必要などの欠点がある。
10-Cは、特許文献10に示され、前例は、捕集液中への排ガスの導入において、微細穴では効率が良いが詰まりやすい欠点を回避するように、この例では、大きな穴で供給しながら、それでも捕集効率を上げる施策を行った見事な提案である。即ち、二酸化炭素を含む排ガスを詰まり難い大きな穴で消石灰水溶液に混入し、捕集効率を上げるようにテーパー管とスパイラル回転翼のあるマイクロバブル装置で、細かい泡にして反応させる。
マイクロバブル装置が必要となる。
上記の従来例の装置は、大規模なものとなることがその目的上当然であり、制限となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開H4-243910
【特許文献2】実用新案登録3052750
【特許文献3】特開2021-66646
【特許文献4】特開2009-28622
【特許文献5】特開H10-230131
【特許文献6】特開2005-211878
【特許文献7】特開H7-213861
【特許文献8】特開2002-273163
【特許文献9】実用新案登録3166126
【特許文献10】特開2011-120974
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の従来技術は、燃焼装置の排ガスなど二酸化炭素の濃度の高い排ガスが対象だったが、比較的濃度の低い気中の二酸化炭素を捕集する装置を提供することが本願の課題である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下請求項に沿い記述する。
請求項1記載の発明は、二酸化炭素捕集装置であって、
気体中の二酸化炭素を反応により炭酸カルシウムとして捕集するシートである捕集シートと、前記捕集シート面に直角に前記気体を当てる場合の前記反応による前記炭酸カルシウムによる前記捕集シートの目詰まりによる前記気体の流路が狭くなることを回避するべく、前記気体を前記捕集シートの面に沿って平行に通過させるように構成された前記気体の前記流路と、を有し、前記流路を前記気体が移動する間に、前記反応の結果、前記二酸化炭素を前記炭酸カルシウムとして前記捕集シートに捕集することを特徴とする。
【0006】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の二酸化炭素捕集装置において、
前記流路の構成において、前記捕集シートは、単独の前記シート(枚葉式シート)であり、基台に把持されていることで、前記捕集シートの交換性を向上したことを特徴とする。
【0007】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の二酸化炭素捕集装置において、
前記流路の構成において、前記捕集シートは、連続した1枚の前記シートであり、前記流路の左右に配置された巻き取り手段により巻き取ることで前記捕集シートの交換性を向上したことを特徴とする。
【0008】
請求項4記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の二酸化炭素捕集装置において、前記流路と前記捕集シートを前記気体の流れる方向に水平又は垂直の位置から傾斜角をもって構成することで、前記気体の前記捕集シートに当たる効率を向上したことを特徴とする。
【0009】
請求項5記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれか1つに記載の二酸化炭素捕集装置において、前記捕集シートが、生石灰又は消石灰を有することで、前記反応を前記捕集シート上で行わせる反応性を有する反応性捕集シートであることを特徴とする。
【0010】
請求項6記載の発明は、請求項5記載の二酸化炭素捕集装置において、
前記捕集シートが前記反応性捕集シートである場合に、前記流路に前記気体の流れを乱す乱流手段を設けることで前記気体が攪拌され、前記気体の前記捕集シートとの接触が向上し前記反応が促進されることを特徴とする。
【0011】
請求項7記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれか1つに記載の二酸化炭素捕集装置において、前記捕集シートが生石灰又は消石灰を有さないで捕集のみの前記シートである場合に、消石灰水溶液を前記流路を通過する前記気体にシャワー又はスプレーする反応液シャワー又はスプレー手段を前記流路上に設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
以上の様に構成されているので、本発明による二酸化炭素捕集装置では、流路の気体の通過能力を落とさないで、大気などの気体中の二酸化炭素を目詰まりなく捕集し、捕集シートの交換などの維持行動を容易とすることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明にかかる二酸化炭素捕集装置の一実施態様(反応性捕集シート抜差タイプA)を示す図である。
図2】本発明にかかる二酸化炭素捕集装置の他の実施態様(反応性捕集シート巻取タイプB)を示す図である。
図3】本発明にかかる二酸化炭素捕集装置の他の実施態様(反応性捕集シート巻取タイプC)を示す図である。
図4】本発明にかかる二酸化炭素捕集装置の他の実施態様(反応性捕集シート巻取タイプD)を示す図である。
図5】本発明にかかる二酸化炭素捕集装置の他の実施態様(反応液シャワー又はスプレー式捕集シート抜差タイプE)を示す図である。
図6】本発明にかかる二酸化炭素捕集装置の他の実施態様(反応液シャワー又はスプレー式捕集シート巻取タイプF)を示す図である。
図7】本発明にかかる二酸化炭素捕集装置の他の実施態様(変形構成)の例を示す図である。
図8】従来の二酸化炭素捕集装置を示す図である。
図9】従来の二酸化炭素捕集装置を示す図である。
図10】従来の二酸化炭素捕集装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1から図6に示す本願の二酸化炭素捕集装置では、気体中の二酸化炭素の捕集を捕集シートを用いて行う。その場合、一般のフィルタなどでは、フィルタに気体を直角にあて、通過させ、フィルタの面を通過できずにフィルタ面に残った残渣物を捕集するが、このようにすると、目詰まりにより、気体の通過能力が落ちることを考慮して、あくまで、第一に気体の通過能力を落とさないで、二酸化炭素を捕集することを目的にして、捕集シート面に直角に気体を当てずに、捕集シート面に平行に通過させ、気体が移動中に捕集シート面に接触する間に反応して二酸化炭素が炭酸カルシウムに変化し、捕集シート面に付着させ捕集する。その結果、二酸化炭素の捕集では、気体が通過する通過路は、目詰まりを起こすことは回避される。
捕集の結果、適度の時間間隔で捕集シートは、新しいものと換えられる。
捕集シートとしては、2つの場合がある。
図1から図4の例は、二酸化炭素と反応して炭酸カルシウムを作る反応性捕集シートを用いている。
図5図6は、捕集シートには、反応性はない捕集の目的のみの捕集シートであり、そのかわり、捕集シート面に直角に消石灰水溶液等を気体に注ぐ反応液シャワー又はスプレーを備えている。
【0015】
各図の説明前に、本願の二酸化炭素捕集装置に使用する、二酸化炭素と反応して炭酸カルシウムを作る反応性捕集シートについて説明する。反応性捕集シートは、生石灰又は消石灰で形成された薄層を有するシートであり、生石灰又は消石灰は、以下の反応により二酸化炭素をと反応して、炭酸カルシウムとなって捕集される。
CaO+CO2→CaCO3
Ca(OH)2+CO2→CaCO3+H2O
生石灰又は消石灰は、逆に、炭酸カルシウムを高温で焼成すると、二酸化炭素を放出して元に戻る。
反応性捕集シートとして、最良なのは、生石灰又は消石灰のみで薄層を形成している場合であるが、二酸化炭素捕集装置に使用する為には、必ずしも、生石灰又は消石灰のみで薄層でなくともよく、紙、樹脂薄層、炭素紙、布地などの他の薄層上に生石灰又は消石灰が形成されていてもよい。捕集反応性をよくするためには、生石灰又は消石灰薄層が多孔質(ポーラス)な方がよい。
ところで、炭酸カルシウムのシートは、市販されている。炭酸カルシウムの下地の薄層は樹脂で形成されている。炭酸カルシウムの代わりに生石灰又は消石灰薄層を形成した形態が反応性捕集シートである。
生石灰又は消石灰に関連する先行文献も参考にしてみると、袋に珈琲豆の保存をする場合に珈琲豆からでる二酸化炭素を炭酸ガス吸収シートにより捕集する出願を特開昭55-158934に見ることができる。目的は違うが、二酸化炭素を捕集することでは同じである。更に、多孔質吸収材として、高濃度ケイ酸水溶液と消石灰を混錬して硬化したものの出願として、特開2020-199490がある。又、特開2018-30757では、石灰石に塩素源を作用させて焼成することで、多孔質な生石灰が形成されることが示されている。特開2020-199490、特開2018-30757とも、薄層上に形成することは記述されていないが、樹脂など薄層上等に形成することは可能である。同様に、抗菌剤としての応用をしたものが、特許第6035101号で見ることが出来、2層以上の紙層で、第一紙層が、填料として凝集粒子を含有し、凝集粒子が貝殻を焼成してなる酸化カルシウム及び/又はその水和物である水酸化カルシウムを含む板紙について記述されている。以上のように、生石灰又は消石灰を薄層に、又は薄層上に形成する例を見ることができる。
【0016】
次に、図を用いて、本発明にかかる二酸化炭素捕集装置について説明する。
図1は、本発明にかかる二酸化炭素捕集装置の一実施態様(反応性捕集シート抜差タイプA)を示す図である。
本発明の二酸化炭素捕集装置は、気体の通過能力を落とさないで、二酸化炭素を捕集することを目的にしている。従って、捕集シート面に直角に気体を当てずに、捕集シート面に平行に通過させ、気体が移動中に捕集シート面に接触する間に反応して二酸化炭素が炭酸カルシウムに変化し、捕集シート面に付着させ捕集するものであるから、捕集シート110の表面に沿って、気体の移動する流路120があって、この図では、複数の捕集シート110(一枚ずつ単独/枚葉式という)が複数の基台130上に多段に配置され、各基台130は、二酸化炭素捕集装置100内に左右の端に上下間を繋ぐ流路連通口140を互い違いに有するように配置されている。従って、気体は、矢印のように、左側の気体入口150から流路120に入り、右に移動して、右端で一つ上の流路に上がり、左に移動して、左端で上の流路に上がり右に移動することを繰り返す。気体が移動する間に、気体は、捕集シート110面に接触し、反応する。上位の流路を通過した気体は右側の気体出口160から次の処理手段に向かう。尚、簡単に気体の向きのみで示したが、気体の移動は、送風など気体移動手段によって行われていることは当然である。尚、捕集シート110は、反応が進むと、生石灰又は消石灰の薄層が炭酸カルシウムに変わるので、反応効率が悪くなるので、適度の時間間隔で新しい捕集シート110に交換する。図では、前蓋170を開ければ、基台130上に乗っかっている捕集シート110を引出して、新品にすることが容易に出来る。
尚、流路120にはみ出すように基台130に気体の流れを乱す突起構造等(攪拌扇でも可)の乱流手段180を設けると、気体が攪拌され、捕集シート110との接触が向上し反応性が改善される。
図では、複数の捕集シート110の多段構成を示したが、当然、1段構成も可能である。
【0017】
図2は、本発明にかかる二酸化炭素捕集装置の他の実施態様(反応性捕集シート巻取タイプB)を示す図である。
図1との違いは、この図では、送風等の気体移動手段200を書き込んでいる。更に、図1では、複数の捕集シート110が各々の基台130上にあったが、図2の例では、1枚の連続した捕集シート110が巻き取り手段210により、適当な速度又は適度の時間間隔で巻き取られることで、更新される。更に、捕集シート面に平行に通過する気体の流路120は、図のように左右の巻き取りで決まる上下のシートの間隔で決まっている。気体は、この図ように奥側から入り、上下のシートの間隔で決まる流路120を捕集シート110上で反応しながら通過し、手前から出て右に移動し、右の気体移動手段200から次の気体出口160から出て次の処理手段に向かう。巻き取り手段210による段数は任意である。
【0018】
図3は、本発明にかかる二酸化炭素捕集装置の他の実施態様(反応性捕集シート巻取タイプC)を示す図である。
3-Bには、組みあがった全体の図、3-Aには、気体移動手段200と、筐体300と、捕集シート110と巻き取り手段210とに分解した図を示している。
図2との違いのみ記述すると、気体は、後部から前部の間で通過し、曲がらずに移動する形であり、図2では、気体移動手段200へ一旦曲がって移動していた。
尚、図1に示したのと同様に、ここでも捕集シート110の間の流路120間に気体の流れを乱す乱流手段180を設けると、気体が攪拌され、捕集シート110との接触が向上し反応性が改善される。巻き取り手段210による段数は任意である。
【0019】
図4は、本発明にかかる二酸化炭素捕集装置の他の実施態様(反応性捕集シート巻取タイプD)を示す図である。図2図3では、気体の流れは、巻き取り手段210の巻き取り棒に平行に流路120を移動していたが、図4では、気体の流れは、巻き取り手段210の巻き取り棒に直角に流路120を移動している。巻き取り棒の位置近くまで、流路120を上下に2分する隔壁410が来ていて、巻き取り棒の位置近くで、上下の流路120が繋がる流路連通口140を形成している。隔壁410は、巻き取り手段210との間に左側の端で上下連通路140の間隔を開けて、接続一体になっている。従って、矢印のように流路120が出来ている。巻き取り手段210による段数は任意である。
【0020】
図5は、本発明にかかる二酸化炭素捕集装置の他の実施態様(反応液シャワー又はスプレー式捕集シート抜差タイプE)を示す図である。
図1との違いについて述べる。捕集シート110は、気体との反応性はなく、反応生成物を付着させて捕獲するためのものである。このような単なる反応生成物の粒子の捕獲は、フィルタとして多く存在するものが使用できる。捕集シート110が、生石灰又は消石灰等の反応性物質を含まないので、その代りに、基台130には、気体の流路120に向けて消石灰水溶液をシャワー又はスプレーする反応液シャワー又はスプレー手段510が付いている。
反応液シャワー又はスプレー手段510により、消石灰水溶液が気体に十分当たるので、乱流手段180はなくてよい。それ以外は、図1と同じである。
尚、複数の捕集シート110の多段構成を示したが、当然、1段構成も可能である。
【0021】
図6は、本発明にかかる二酸化炭素捕集装置の他の実施態様(反応液シャワー又はスプレー式捕集シート巻取タイプF)を示す図である。
基本的には、図3と同じであるが、気体移動手段200の図示は省略している。図3との本質的な違いは、図5の場合と同様に、捕集シート110は、気体との反応性はなく、捕獲するためのものである。そのため、反応液シャワー又はスプレー手段510が付いている。乱流手段180はなくてよい。それ以外は、図3と同じである。尚、巻き取り手段210による段数は任意である。尚、図では、捕集シート110の捕集部が連続していないように描かれているが、巻き取りであるので、連続していても良い。
【0022】
図7は、本発明にかかる二酸化炭素捕集装置の他の実施態様(変形構成)の例を示す図である。7-Aー1から7-A-3には、捕集シート110を基台130への把持する場合の例であり、7-Aー1は、図1図5と同じもので、7-A-2は、基台130は捕集シート110全体を載せるものでなく、左右の上下の流路を連通する端部のみ基台130による把持は四隅又は部分的であり、連通しない端部は閉鎖状態となっている。7-A-3は、捕集シート110を一部、吊り下げ構造で基台130に把持した例である。
今迄、捕集シート110は、水平又は90度傾けた構成では垂直という構成だったが、7-Bは、基台130と捕集シート110を水平又は垂直から傾斜角を持たせて設置している。(7-Aー3のように90度傾いた構成では、垂直から傾斜角を持たせて設置することになる。)流路120を傾斜させることで、捕集シート110と気体との接触性が向上する。
【0023】
尚、本発明にかかる二酸化炭素捕集装置の前後には、送風装置等の気体移動手段200や反応液シャワー又はスプレー手段510を用いた図5図6の場合は、反応液の回収手段(場合によっては固液分離手段)への接続や、その他、次の必要な工程への接続がなされる。
【産業上の利用可能性】
【0024】
以上のように本発明にかかる二酸化炭素捕集装置は、流路の気体の通過能力を落とさないで、大気などの気体中の二酸化炭素を目詰まりなく捕集し、捕集シートの交換などの維持行動を容易とするので、産業上利用して極めて好都合である。
【0025】
100 二酸化炭素捕集装置
110 捕集シート
120 流路
130 基台
140 上下連通路
150 気体入口
160 気体出口
170 前蓋
180 乱流手段
200 気体移動手段
210 巻き取り手段
300 筐体
410 隔壁
510 反応液シャワー又はスプレー手段

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10