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特開2023-59302エンジニアリング装置及びエンジニアリング方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023059302
(43)【公開日】2023-04-27
(54)【発明の名称】エンジニアリング装置及びエンジニアリング方法
(51)【国際特許分類】
   G05B 23/02 20060101AFI20230420BHJP
【FI】
G05B23/02 301Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021169215
(22)【出願日】2021-10-15
(71)【出願人】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003166
【氏名又は名称】弁理士法人山王内外特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清田 英男
(72)【発明者】
【氏名】山本 貴輝
(72)【発明者】
【氏名】田上 雅邦
【テーマコード(参考)】
3C223
【Fターム(参考)】
3C223AA01
3C223AA11
3C223AA21
3C223BA03
3C223BB01
3C223CC02
3C223DD03
3C223EB01
3C223EB02
3C223FF03
3C223FF14
3C223FF15
3C223FF44
3C223GG01
3C223HH03
3C223HH05
3C223HH08
3C223HH13
3C223HH26
(57)【要約】
【課題】 分割して保持されたエンジニアリングデータの管理を従来よりも容易に行うことが可能なエンジニアリング装置を提供する。
【解決手段】エンジニアリング装置10は、予め定められた第1の区分毎に分割された複数のデータベースのそれぞれに対し、施設内に設置された機器を監視又は制御するためのデバイスに対して設定される設定データが登録されているか否かを示す情報を生成する第1生成部101と、第1生成部101により生成された情報を表示装置50に表示させる第1表示制御部102と、表示装置50に表示された情報を介して、設定データを管理するための管理指示を受け付ける受付部103と、受付部103により受け付けられた管理指示に基づいて、設定データを管理する管理部104と、を備えた。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め定められた第1の区分毎に分割された複数のデータベースのそれぞれに対し、施設内に設置された機器を監視又は制御するためのデバイスに対して設定される設定データが登録されているか否かを示す情報を生成する第1生成部と、
前記第1生成部により生成された情報を表示装置に表示させる第1表示制御部と、
前記表示装置に表示された情報を介して、前記設定データを管理するための管理指示を受け付ける受付部と、
前記受付部により受け付けられた管理指示に基づいて、前記設定データを管理する管理部と、
を備えたエンジニアリング装置。
【請求項2】
前記受付部は、前記管理指示として、前記表示装置に表示された情報を介して、前記設定データの出力指示を受け付け、
前記管理部は、前記受付部により受け付けられた出力指示に基づいて、前記設定データを登録元のデータベースから出力する
ことを特徴とする請求項1記載のエンジニアリング装置。
【請求項3】
前記管理部は、前記出力を行う際、出力対象の設定データを登録元のデータベースから削除するか、又は出力対象の設定データを登録元のデータベースから削除せず、コピーして出力することを特徴とする請求項2記載のエンジニアリング装置。
【請求項4】
前記第1生成部は、前記管理部により前記設定データが出力された場合、前記情報を再度生成し、
前記第1表示制御部は、前記第1生成部により再度生成された情報を前記表示装置に表示させる
ことを特徴とする請求項3記載のエンジニアリング装置。
【請求項5】
前記第1の区分毎に分割された複数のデータベースのそれぞれは、前記第1の区分と異なる第2の区分毎にさらに分割されており、
前記第1生成部は、前記第1の区分と前記第2の区分との組み合わせにより特定されるデータベースに対して前記設定データが登録されているか否かを示す情報を生成する
ことを特徴とする請求項1から請求項4のうちいずれか1項に記載のエンジニアリング装置。
【請求項6】
前記第1の区分が同一で、前記第2の区分が異なる複数のデータベースを互いに関連づけるための所定のキー項目を含む基本データが登録された基本データベースと、前記第1の区分が異なる前記基本データベースを互いに関連づけるための所定のキー項目を含む管理データが登録された管理データベースとが保持部に構築されており、
前記管理部は、前記保持部に構築された基本データベースに登録されている基本データと、前記保持部に構築された管理データベースに登録されている管理データとに基づいて、第1の区分及び第2の区分により分割された複数のデータベースに登録されている設定データを、個別に又は一括して管理可能であることを特徴とする請求項5記載のエンジニアリング装置。
【請求項7】
前記管理データベースに登録されている管理データに基づいて、前記第1の区分が同一であるデバイスを当該第1の区分毎にツリー構造で表示した表示画面を示すデータを生成する第2生成部と、
前記第2生成部により生成されたデータが示す表示画面を前記表示装置に表示させる第2表示制御部と、
を備えることを特徴とする請求項6記載のエンジニアリング装置。
【請求項8】
前記第1の区分は、前記デバイスが設置される前記施設の階層に基づいて定められた区分であり、
前記第2の区分は、前記設定データの機能により定められた区分であることを特徴とする請求項5から請求項7のうちいずれか1項に記載のエンジニアリング装置。
【請求項9】
前記第1生成部は、前記情報としてマトリクスを生成することを特徴とする請求項1から請求項8のうちいずれか1項に記載のエンジニアリング装置。
【請求項10】
エンジニアリング装置によるエンジニアリング方法であって、
第1生成部が、予め定められた第1の区分毎に分割された複数のデータベースのそれぞれに対し、施設内に設置された機器を監視又は制御するためのデバイスに対して設定される設定データが登録されているか否かを示す情報を生成するステップと、
第1表示制御部が、前記第1生成部により生成された情報を表示装置に表示させるステップと、
受付部が、前記表示装置に表示された情報を介して、前記設定データを管理するための管理指示を受け付けるステップと、
管理部が、前記受付部により受け付けられた管理指示に基づいて、前記設定データを管理するステップと、
を有するエンジニアリング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、施設監視システムを構成するデバイスに対する各種設定を行うエンジニアリング装置及びエンジニアリング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、施設内に設置されている機器の監視又は制御を行う複数のデバイス(例えば統合コントローラ、プライマリデバイス及びセカンダリデバイス等)を動作させるための設定データを作成するエンジニアリング装置が知られている(例えば特許文献1参照)。エンジニアリング装置は、デバイス毎に設定データを作成し、作成した設定データを各デバイスにダウンロード(受信)させることで、施設監視システムを構築する。各デバイスは、エンジニアリング装置からダウンロードした設定データに基づいて動作し、自機以外の他のデバイス、又は、施設内に設置された1つ以上の機器を監視又は制御する。
【0003】
例えば、施設監視システムは、統合コントローラと、統合コントローラと同じ階層に設置されるプライマリデバイスと、プライマリデバイスの配下に接続されるセカンダリデバイスと、セカンダリデバイスの配下に接続される機器とを含んで構成される。統合コントローラは、エンジニアリング装置からダウンロードした設定データに基づいて動作することで、プライマリデバイスの状態を監視する。プライマリデバイスは、エンジニアリング装置からダウンロードした設定データに基づいて動作することで、配下のセカンダリデバイスを監視又は制御する。また、セカンダリデバイスは、エンジニアリング装置からダウンロードした設定データに基づいて動作することで、配下の機器を監視又は制御する。
【0004】
施設監視システムを構築する場合、エンジニアリング装置は、エンジニアリングモードとして動作し、例えば設定画面を表示装置に表示させる。設定画面は、設定データの作成及び確認を行うための画面であり、当該設定データを示す項目(セル)を有する。そして、管理者等は、設定画面を用いて設定データの作成等を行うことでエンジニアリング作業を行う。そして、エンジニアリング装置は、管理者等によるエンジニアリング作業で得られた設定データをまとめたデータを、エンジニアリングデータとして1つの保持部(データベース、以下「DB」という。)に保持している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-160909号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、施設監視システムでは一般に、セカンダリデバイスの台数が多いため、セカンダリデバイスに対する設定データの容量も大きくなり、ひいてはエンジニアリングデータの容量も大きくなる。一方、エンジニアリングデータの作成および変更には複数の管理者(エンジニア)等が関わる場合があり、エンジニアリングデータの容量が大きいと、管理者間でのエンジニアリングデータの受け渡し等に支障が出るなど、エンジニアリング作業の効率が低下するおそれがある。
【0007】
そこで、施設監視システムでは、エンジニアリングデータを保持するためにエンジニアリング装置の保持部に構築されるDBを予め複数に分割しておき、これら複数のDBにエンジニアリングデータを分割して登録する対応が採られる場合がある。
【0008】
ここで、分割の単位は、例えば設定データの設定対象であるデバイス(統合コントローラ、プライマリデバイス及びセカンダリデバイス)を管理する区分である。この区分は、例えば、デバイスが施設のどの階層に設置されるかに基づいて定められた区分である。例えば、施設の高層に設置されるデバイスに対する設定データは、予め高層に対応するように分割されたDBに登録され、施設の低層に設置されるデバイスに対する設定データは、予め低層に対応するように分割されたDBに登録される。これにより、エンジニアリング装置では、エンジニアリングデータを細分化して管理することができ、エンジニアリングデータを一括して管理する場合に比べて管理が容易となる。また、管理者間でのデータの受け渡しも容易になり、エンジニアリング作業の効率低下の抑制が期待できる。
【0009】
しかしながら、管理者等は、このように分割して保持されたエンジニアリングデータを管理する際、それぞれのDBに対して設定データが登録されているか否かを判断するために、実際にエンジニアリング装置を用いて各DBにアクセスし、設定データの登録の有無を確認しなければならない場合があった。このような確認作業は、管理者等がエンジニアリングデータを管理する上で煩雑であり、改善が求められていた。
【0010】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、分割して保持されたエンジニアリングデータの管理を従来よりも容易に行うことが可能なエンジニアリング装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明に係るエンジニアリング装置は、予め定められた第1の区分毎に分割された複数のデータベースのそれぞれに対し、施設内に設置された機器を監視又は制御するためのデバイスに対して設定される設定データが登録されているか否かを示す情報を生成する第1生成部と、第1生成部により生成された情報を表示装置に表示させる第1表示制御部と、表示装置に表示された情報を介して、設定データを管理するための管理指示を受け付ける受付部と、受付部により受け付けられた管理指示に基づいて、設定データを管理する管理部と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、上記のように構成したので、分割して保持されたエンジニアリングデータの管理を従来よりも容易に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施の形態1に係るエンジニアリング装置を備えた施設監視システムの構成例を示す図である。
図2】実施の形態1に係るエンジニアリング装置の構成例を示す図である。
図3】実施の形態1におけるDBの構築例を示す図である。
図4】実施の形態1に係るエンジニアリング装置の動作例を示すフローチャートである。
図5】実施の形態1におけるマトリクスの例を示す図である。
図6】実施の形態1における新たなマトリクスの例を示す図であり、(a)は分割出力を行った場合に新たに生成されるマトリクスの例であり、(b)は部分コピー出力を行った場合に新たに生成されるマトリクスの例である。
図7】実施の形態2に係るエンジニアリング装置の構成例を示す図である。
図8】実施の形態2におけるDBの構築例を示す図である。
図9】実施の形態2における基本DBの構成例を示す図である。
図10】実施の形態2における管理DBの構成例を示す図である。
図11】実施の形態2におけるマトリクスの例を示す図である。
図12】実施の形態2における新たなマトリクスの例を示す図であり、(a)は分割出力を行った場合に新たに生成されるマトリクスの例であり、(b)は部分コピー出力を行った場合に新たに生成されるマトリクスの例である。
図13】実施の形態2におけるマトリクスの他の例を示す図である。
図14】実施の形態2における設定データの取り込みを説明する図である。
図15】実施の形態2において物理区分が同一であるデバイスをツリー構造で表示した表示画面の例を示す図であり、(a)は物理区分が「高層」であるデバイスの情報を表示させる旨が指示されている場合の例であり、(b)は物理区分が「高層」、「中層」、及び「低層」であるデバイスの情報を表示させる旨が指示されている場合の例である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
実施の形態1.
図1は実施の形態1に係るエンジニアリング装置10を備えた施設監視システム1000の構成例を示す図である。施設監視システム1000は、図1に示すように、エンジニアリング装置10、統合コントローラ20、プライマリデバイス30、及びセカンダリデバイス40を備える。エンジニアリング装置10、統合コントローラ20、プライマリデバイス30、及びセカンダリデバイス40は、ネットワークを介して接続される。
【0015】
なお、図1では施設監視システム1000に統合コントローラ20が1つ、プライマリデバイス30が1つ、セカンダリデバイス40が3つ備えられているが、統合コントローラ20、プライマリデバイス30、及びセカンダリデバイス40の台数はこれに限られない。また、統合コントローラ20は必須の構成ではなく、省略されていてもよい。また、セカンダリデバイス40には、制御又は監視の対象となる機器が接続されているが、図1ではこの機器の表示を省略している。
【0016】
エンジニアリング装置10は、上述した設定データの作成を含むエンジニアリング処理を行い、施設監視システム1000を構築する。設定データは、例えば、統合コントローラ20がプライマリデバイス30の状態を監視するための統合コントローラ20用の設定データ、プライマリデバイス30が配下のセカンダリデバイス40を監視又は制御するためのプライマリデバイス30用の設定データ、及びセカンダリデバイス40が配下の機器を監視又は制御するためのセカンダリデバイス40用の設定データである。また、エンジニアリング装置10は、統合コントローラ20用の設定データ、プライマリデバイス30用の設定データ、及びセカンダリデバイス40用の設定データをまとめたデータを、エンジニアリングデータとして保持部105(図2参照)に保持する。
【0017】
統合コントローラ20は、エンジニアリング装置10が保持するエンジニアリングデータのうち、自機に対応する設定データをエンジニアリング装置10からダウンロードし、当該ダウンロードした設定データに基づいて動作することで、プライマリデバイス30の状態を監視する。統合コントローラ20は、管理者等がプライマリデバイス30の状態を把握することができるように、プライマリデバイス30の状態を示す情報を例えばディスプレイ等の表示装置(不図示)に表示させる。統合コントローラ20とプライマリデバイス30とは、同じ階層に設置されている。
【0018】
プライマリデバイス30は、エンジニアリング装置10が保持するエンジニアリングデータのうち、自機に対応する設定データをエンジニアリング装置10からダウンロードし、当該ダウンロードした設定データに基づいて動作することで、配下のセカンダリデバイス40を監視又は制御する。
【0019】
セカンダリデバイス40は、エンジニアリング装置10が保持するエンジニアリングデータのうち、自機に対応する設定データをエンジニアリング装置10からダウンロードし、当該ダウンロードした設定データに基づいて動作することで、配下の機器を監視又は制御する。機器は、施設内に設置されており、例えば、センサ、温度計、モータ、ダンパ又は電力計で構成される。
【0020】
次に、実施の形態1に係るエンジニアリング装置10の構成例について、図2を参照しながら説明する。
【0021】
エンジニアリング装置10は、図2に示すように、第1生成部101、第1表示制御部102、受付部103、管理部104、及び保持部105を備える。また、エンジニアリング装置10は、ディスプレイ等の表示装置50に接続されている。
【0022】
保持部105は、エンジニアリング装置10が使用する各種情報を保持する。例えば、保持部105は、統合コントローラ20に設定される設定データ、プライマリデバイス30に設定される設定データ、及びセカンダリデバイス40に設定される設定データをまとめたエンジニアリングデータを保持する。
【0023】
なお、保持部105には、物理区分毎に分割された、複数のDBが構築されている。ここで、物理区分とは、例えば統合コントローラ20、プライマリデバイス30及びセカンダリデバイス40等のデバイスを管理する区分(以下、「デバイスの管理区分」という。)である。一例として、物理区分が「デバイスの管理区分」である場合、物理区分は、例えば統合コントローラ20、プライマリデバイス30及びセカンダリデバイス40が施設のどの階層に設置されるかに基づいて定められた区分であり、例えば図3に示すように、共通層、高層、中層及び低層の4つの層が設定されている。そして、保持部105には、これら4つの層に対応するDB(共通層DB、高層DB、中層DB、及び低層DB)が構築されている。なお、高層、中層及び低層は、互いに独立した層であり、下位層に相当する。共通層は、下位層(高層、中層及び低層)のうちの少なくとも一部の層に跨る上位層に相当する。
【0024】
例えば、高層DBには、施設の高層に設置される統合コントローラ20、プライマリデバイス30及びセカンダリデバイス40に対する設定データが登録される。また、中層DBには、施設の中層に設置される統合コントローラ20、プライマリデバイス30及びセカンダリデバイス40に対する設定データが登録される。また、低層DBには、施設の低層に設置される統合コントローラ20、プライマリデバイス30及びセカンダリデバイス40に対する設定データが登録される。また、共通層DBには、高層DB、中層DB、及び低層DBのうちの少なくとも一部のDBに共通して登録される設定データが登録される。
【0025】
なお、上記では、物理区分が、デバイスが設置される施設の階層に基づいて定められた区分である場合を例に説明したが、物理区分はこれに限らず、例えばデバイスが同一の階層に設置される場合において、デバイスが設置される方角(北側、南側等)に基づいて定められた区分であってもよいし、デバイスが施設のどこに設置されるかに依らない区分であって、デバイスを管理するために定められる任意の区分であってもよい。
【0026】
なお、保持部105は、例えばHDD(Hard Disc Drive)、SSD(Solid State Drive)、又はメモリ等で構成される。また、図2では、保持部105がエンジニアリング装置10の内部に設けられた場合を示しているが、保持部105はエンジニアリング装置10の外部に設けられていてもよい。
【0027】
第1生成部101は、上述のように予め定められた物理区分毎に分割して保持部105に構築された複数のDBのそれぞれを参照し、これらのDBに対し、統合コントローラ20、プライマリデバイス30及びセカンダリデバイス40に設定される設定データが登録されているか否かを示す情報を生成する。ここで生成される情報は、例えば、保持部105に構築された複数のDBのそれぞれに対して設定データが登録されているか否かを示すマトリクス、あるいは文字列等である。
【0028】
第1表示制御部102は、第1生成部101により生成された情報を表示装置50に表示させる。
【0029】
受付部103は、表示装置50に表示された情報を介して、管理者等から設定データを管理するための管理指示を受け付ける。ここで、「管理指示」には、例えば設定データを表示装置50に表示させるための表示指示、あるいは設定データを出力させるための出力指示が含まれる。
【0030】
管理部104は、受付部103により受け付けられた管理指示に基づいて、設定データを管理する。例えば、管理部104は、受付部103により受け付けられた管理指示が表示指示であれば、当該設定データを表示装置50に表示させる。また、管理部104は、受付部103により受け付けられた管理指示が出力指示であれば、当該設定データを出力する。
【0031】
なお、管理部104は、設定データの出力を行う際、管理者等の指示に応じて、出力対象の設定データを登録元のDBから削除するか、又は、出力対象の設定データを登録元のDBから削除せずにコピーして出力する。以下、説明を簡単にするため、前者の出力を「分割出力」、後者の出力を「部分コピー出力」という。
【0032】
第1生成部101は、管理部104により設定データが出力された場合、当該設定データが出力された旨を反映した情報を再度生成する。また、第1表示制御部102は、第1生成部101により再度生成された情報を表示装置50に表示させる。
【0033】
第1生成部101、第1表示制御部102、受付部103、及び管理部104の機能は、例えばエンジニアリング装置10が備える不図示のCPU(Central Processing Unit)が、不図示のメモリに展開された所定のプログラムを実行することにより実現される。
【0034】
なお、ここでは説明を簡単にするため、図3で例示したそれぞれのDBに対し、予め所定の設定データが登録されているものとして説明する。しかしながら、エンジニアリング装置10は、管理者等により作成された設定データを、物理区分に応じて、対応するDBに登録する登録部を備えていてもよい。
【0035】
次に、図2に示す実施の形態1に係るエンジニアリング装置10の動作例について、図4のフローチャートを参照しながら説明する。なお、以下では、説明を簡単にするため、物理区分がデバイスの管理区分であり、この物理区分(デバイスの管理区分)が、デバイスが設置される施設の階層に基づいて定められた区分である例を説明する。また、以下では、この物理区分に基づき、図3で例示した各DBが保持部105に構築されている例を説明する。
【0036】
また、第1生成部101は、保持部105に構築された複数のDBのそれぞれに対して設定データが登録されているか否かを示す情報として、マトリクスを生成する例を説明する。また、第1生成部101は、図3で例示したDBのうち、共通層DBを除くDB(高層DB、中層DB、及び低層DB)を対象としてマトリクスを生成する例を説明する。また、受付部103は、マトリクスを介して、管理指示として設定データの出力指示を受け付ける例を説明する。
【0037】
まず、第1生成部101は、物理区分毎に分割して保持部105に構築された高層DB、中層DB、及び低層DBのそれぞれを参照し、これらのDBに対し、設定データが登録されているか否かを示すマトリクスを生成する(ステップST401)。
【0038】
ここで、第1生成部101により生成されるマトリクスの例を図5に示す。図5に示すように、マトリクスは、保持部105に構築された高層DB、中層DB、及び低層DBに対し、設定データが登録されているか否かを示すものである。図5において、設定データが登録されているDBについては表示値「1」が表示されている。一方、設定データが登録されていないDBについては例えば表示値「0」が表示される。このように、第1生成部101がマトリクスを生成することにより、管理者等は、分割されたそれぞれのDBに設定データが登録されているか否かを一目で容易に把握することができる。
【0039】
なお、図5で示したマトリクスはあくまで一例であり、マトリクスの構成及び表示値は図5のものに限られない。例えば、マトリクスは、高層DB、中層DB、及び低層DBを対象として、設定データが登録されているか否かを示すことができるものであれば、これ以外の構成及び表示値を有するものでもよい。
【0040】
次に、第1表示制御部102は、第1生成部101により生成されたマトリクスを表示装置50に表示させる(ステップST402)。
【0041】
次に、受付部103は、表示装置50に表示されたマトリクスを介して、管理者等から所望の設定データを出力するための出力指示を受け付ける(ステップST403)。例えば、受付部103は、管理者等により、表示装置50に表示されたマトリクス内の「高層」の項目が選択された場合に、高層DBに登録されている設定データの出力指示を受け付ける。また、受付部103は、例えば管理者等により、表示装置50に表示されたマトリクス内の「低層」の項目が選択された場合に、低層DBに登録されている設定データの出力指示を受け付ける。また、このとき、受付部103は、管理者等から、出力対象の設定データを登録元のDBから削除する「分割出力」を行うか、又は出力対象の設定データを登録元のDBから削除せずにコピーして出力する「部分コピー出力」を行うかについての指示も併せて受け付ける。なお、受付部103は、初期設定(デフォルト)では「分割出力」を受け付けるように設定されており、必要があれば管理者等が「部分コピー出力」に変更可能なように設定されていてもよい。
【0042】
次に、管理部104は、受付部103により受け付けられた出力指示に基づいて、設定データを出力する(ステップST404)。その際、管理部104は、管理者等の指示に応じて、「分割出力」又は「部分コピー出力」を行う。
【0043】
次に、第1生成部101は、管理部104により設定データが出力された旨を反映したマトリクスを再度生成する(ステップST405)。また、第1表示制御部102は、第1生成部101により再度生成されたマトリクスを表示装置50に表示させる(ステップST406)。
【0044】
ここで、第1生成部101により再度生成されるマトリクスの例を図6に示す。図6(a)は、出力対象の設定データが低層DBの設定データであり、管理部104が分割出力を行った場合に再度生成されるマトリクスの例であり、図6(b)は、出力対象の設定データが低層DBの設定データであり、管理部104が部分コピー出力を行った場合に再度生成されるマトリクスの例である。
【0045】
管理部104が低層DBの設定データの分割出力を行った場合、再度生成されるマトリクスは、図6(a)に示すように、低層DBの表示値が「0」となっている。これは、分割出力により、低層DBに設定されていた設定データが削除されたことを示している。
【0046】
一方、管理部104が低層DBの設定データの部分コピー出力を行った場合、再度生成されるマトリクスは、図6(b)に示すように、低層DBの表示値が「1」のままとなっている。これは、部分コピー出力により、低層DBに設定されていた設定データが低層DBから削除されずにそのまま残っていることを示している。
【0047】
このように、分割出力は、出力された設定データをエンジニアリング装置10(登録元のDB)に残さないため、出力された設定データの編集等をどの管理者が担当するかの作業分担が明確となる。また、出力後の時点で、エンジニアリング装置10に残された設定データと、出力された設定データとのデータサイズの総和は、出力前の時点でエンジニアリング装置10が保持していた設定データの総和とほぼ同等となる。さらに、出力された設定データのデータサイズは、出力前の時点でエンジニアリング装置10が保持していた設定データの総和よりも小さいため、当該出力された設定データの取り扱いが容易となり、管理者間でのメール等による受け渡しも容易となる。
【0048】
また、エンジニアリング装置10では、設定データを他のエンジニアリング装置から取り込むことも可能である。その際、取り込む対象の設定データが既に分割出力されている場合は、他のエンジニアリング装置から、当該設定データをDB単位(ファイル単位)で一括して取り込むことができるため、取込処理を迅速に完了することができ、作業効率が向上する。
【0049】
一方、部分コピー出力では、設定データを出力した後でも、エンジニアリング装置10に残される設定データのデータサイズは出力前と変わらない。また、設定データを他のエンジニアリング装置から取り込む場合も、出力された設定データがエンジニアリング装置10に残っているため、取り込むデータとエンジニアリング装置10に残されたデータとの差分のみを取り込む必要があり、DB単位(ファイル単位)で一括して取り込む場合よりも処理時間がかかる。しかしながら、部分コピー出力は、出力対象の設定データをエンジニアリング装置10でマスタとして保持していたい場合に有効である。また、この場合でも、分割出力の場合と同様に、出力された設定データの取り扱いが容易となり、管理者間でのメール等による受け渡しも容易となる。
【0050】
なお、上記の例では、部分コピー出力が行われた場合に第1生成部101により再度生成されるマトリクスは、最初に生成されるマトリクスから変化しない。したがって、ステップST404において部分コピー出力が行われた場合は、ステップST405及びST406における再度のマトリクスの生成及び表示は省略されてもよい。また、上記の例では、管理指示が出力指示である場合を説明したが、管理指示が表示指示である場合は、マトリクスに変化はないため、ステップST405及びST406は省略されてもよい。
【0051】
また、上記の例では、第1生成部101は、図3で例示したDBのうち、共通層DBを除くDB(高層DB、中層DB、及び低層DB)を対象としてマトリクスを生成する例を説明したが、共通層DBを対象に含めてマトリクスを生成する場合でも、上記と同様に処理を行うことができる。
【0052】
以上のように、実施の形態1によれば、エンジニアリング装置10は、予め定められた第1の区分毎に分割された複数のDBのそれぞれに対し、施設内に設置された機器を監視又は制御するためのデバイスに対して設定される設定データが登録されているか否かを示す情報を生成する第1生成部101と、第1生成部101により生成された情報を表示装置50に表示させる第1表示制御部102と、表示装置50に表示された情報を介して、設定データを管理するための管理指示を受け付ける受付部103と、受付部103により受け付けられた管理指示に基づいて、設定データを管理する管理部104と、を備えた。これにより、管理者等は、分割されたそれぞれのDBに設定データが登録されているか否かを容易に確認でき、分割保持されたエンジニアリングデータの管理を従来よりも容易に行うことが可能となる。
【0053】
また、受付部103は、管理指示として、表示装置50に表示された情報を介して、設定データの出力指示を受け付け、管理部104は、受付部103により受け付けられた出力指示に基づいて、設定データを登録元のDBから出力する。これにより、管理者等は、所望の設定データの出力を従来よりも容易に行うことができる。
【0054】
また、管理部104は、出力を行う際、出力対象の設定データを登録元のDBから削除するか、又は出力対象の設定データを登録元のDBから削除せず、コピーして出力する。これにより、分割出力では、出力された設定データの編集等をどの管理者が担当するかの作業分担が明確となるほか、出力された設定データの外部からの取り込みもDB単位(ファイル単位)で一括して行うことができ、作業効率が向上する。また、いずれの出力の場合でも、当該出力された設定データの取り扱いが容易となり、管理者間でのメール等による受け渡しも容易となる。
【0055】
また、第1生成部101は、管理部104により設定データが出力された場合、情報を再度生成し、第1表示制御部102は、第1生成部101により再度生成された情報を表示装置50に表示させる。これにより、管理者等は、設定データが出力された旨を容易に把握することができる。
【0056】
また、第1生成部は、情報としてマトリクスを生成する。これにより、管理者等は、分割されたそれぞれのDBに設定データが登録されているか否かを一目で容易に把握することができる。
【0057】
実施の形態2.
実施の形態1では、保持部105に構築されたDBが、予め物理区分毎に分割されている例を説明した。これに対し、実施の形態2では、物理区分毎に構築された複数のDBのそれぞれが、さらに物理区分と異なる区分毎に分割されている例を説明する。
【0058】
図7は、実施の形態2に係るエンジニアリング装置10bの構成例を示す図である。実施の形態2に係るエンジニアリング装置10bは、実施の形態1に係るエンジニアリング装置10に対し、保持部105が保持部105bに変更され、第2生成部106及び第2表示制御部107が追加されている。エンジニアリング装置10bのその他の構成については、実施の形態1に係るエンジニアリング装置10と同様であるため、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0059】
まず、保持部105bの構成例を図8に示す。保持部105bには、図8に示すように、物理区分毎に分割された共通層DBを除くDB(高層DB、中層DB、及び低層DB)のそれぞれが、物理区分と異なる区分(ここでは機能区分)毎にさらに分割して構築されている。ここで、機能区分は、例えば設定データの機能(種別)に基づいて予め定められた区分であり、例えば図8に示すように、「統合コントローラ用データ」、「デバイス用データ」、「グラフィック用データ」、及び「デバイス用プログラム」の4種類が設定されている。
【0060】
統合コントローラ用データは、統合コントローラ20に対する設定データである。デバイス用データは、プライマリデバイス30及びセカンダリデバイス40に対する設定データである。グラフィック用データは、統合コントローラ20に対する設定データであって、特に統合コントローラ20がプライマリデバイス30の状態を表示装置に表示する際の表示画面を生成するためのデータである。デバイス用プログラムは、プライマリデバイス30及びセカンダリデバイス40にインストールされるプログラムである。なお、ここで説明した4種類の機能区分はあくまで一例であり、上記以外の区分が設定されてもよい。
【0061】
また、図8に示された「基本データ」は、物理区分が同一で、機能区分が異なる複数のDBを互いに関連づけるための所定のキー項目を含むデータである。基本データは、基本DB(図8の符号65,75,85)に登録される。また、図8に示された「管理データ」は、物理区分が異なる基本DBを互いに関連づけるための所定のキー項目を含むデータである。
【0062】
例えば、DB61には、物理区分が「高層」で、機能区分が「統合コントローラ用データ」である設定データ、すなわち、施設の高層に設置される統合コントローラ20に対して設定される設定データが登録される。また、DB62には、物理区分が「高層」で、機能区分が「デバイス用データ」である設定データ、すなわち、施設の高層に設置されるプライマリデバイス30及びセカンダリデバイス40に対して設定される設定データが登録される。
【0063】
また、DB63には、物理区分が「高層」で、機能区分が「グラフィック用データ」である設定データ、すなわち、施設の高層に設置される統合コントローラ20に設定される設定データであって、特に統合コントローラ20がプライマリデバイス30の状態を表示装置に表示する際の表示画面を生成するためのデータが登録される。また、DB64には、物理区分が「高層」で、機能区分が「デバイス用プログラム」である設定データ、すなわち、施設の高層に設置されるプライマリデバイス30及びセカンダリデバイス40にインストールされるプログラムが登録される。
【0064】
また、DB65は、基本DBであり、物理区分が「高層」であるDB61~DB64を互いに関連づけるための所定のキー項目を含む基本データが登録される。所定のキー項目は、例えばデバイス情報(デバイスID等)であり、この場合、デバイス情報をキー項目として、DB61~DB64が互いに関連づけられる。
【0065】
同様に、DB71~74、及びDB81~84にも、物理区分と機能区分との組み合わせにより特定される設定データがそれぞれ登録される。また、基本DB75には、物理区分が「中層」であるDB71~DB74を互いに関連づけるための所定のキー項目を含むデータが登録され、基本DB85には、物理区分が「低層」であるDB81~DB84を互いに関連づけるための所定のキー項目を含むデータが登録される。
【0066】
さらに、DB90は、管理DBであり、基本DB65,75,及び85を互いに関連づけるための所定のキー項目を含む管理データが登録される。所定のキー項目は、例えばデバイス情報(デバイスID等)であり、この場合、デバイス情報をキー項目として、基本DB65,75,及び85が互いに関連づけられる。その結果、保持部105bに構築されているすべてのDBは、デバイス情報をキー項目として、互いに関連付けられることになる。なお、基本DB65,75,及び85の構成例、及び管理DB90の構成例については後述する。
【0067】
第2生成部106は、管理DB90に登録されている管理データに基づいて、物理区分が同一であるデバイスをツリー構造で表示した表示画面を示すデータを生成する。
【0068】
第2表示制御部107は、第2生成部106により生成されたデータが示す表示画面を表示装置50に表示させる。この場合の表示画面の表示例については後述する。なお、第2生成部106及び第2表示制御部107は必須の構成ではなく、省略されていてもよい。
【0069】
次に、基本DB65,75,及び85の構成例、及び管理DB90の構成例について説明する。なお、基本DBの構成例はいずれも同様であるため、ここでは代表して基本DB65の構成例を説明する。
【0070】
図9は、基本DB65の構成例を示している。基本DB65には、基本データとして、物理区分が同一で、機能区分が異なるDBを互いに関連づけるための所定のキー項目を含むデータが登録される。ここでは、説明を簡単にするため、所定のキー項目がデバイス情報(図9では「KEY_NO」)であるものとする。
【0071】
図9の基本DB65において、「DEVICE_TYPE」は、デバイスの種類を示し、「1」は統合コントローラ、「2」はプライマリデバイス30、「3」はセカンダリデバイス40を示している。また、「PARENT_KEY」は、セカンダリデバイスの親となるプライマリデバイスを示し、「DEVICE_MODEL」は、例えばデバイスの型番を示している。
【0072】
例えば、図9において、「KEY_NO」が「20」のデバイスは統合コントローラであり、「KEY_NO」が「1」~「4」、「10」、「12」、及び「14」のデバイスはプライマリデバイスであり、「KEY_NO」が「21」、及び「25」~「31」のデバイスはセカンダリデバイスであることを示している。また、「KEY_NO」が「21」であるセカンダリデバイスの親となるプライマリデバイスは、「KEY_NO」が「14」のデバイスであることを示している。
【0073】
一方、DB61~64に登録される設定データにも、デバイス情報(「KEY_NO」)が含まれている。そして、このデバイス情報をキー項目として、DB61~65が相互に対応付けられている。したがって、基本DB65に登録されている基本データを参照することにより、物理区分が「高層」であるデバイスに設定される設定データが、どのDBに登録されているかを把握することができる。
【0074】
図10は、管理DB90の構成例を示している。管理DB90には、管理データとして、物理区分が異なる基本DB65,75,及び85を互いに関連づけるための所定のキー項目を含むデータが登録される。ここでは、説明を簡単にするため、所定のキー項目がデバイス情報(図10では「KEY_NO」)であるものとする。
【0075】
図10の管理DB90において、「ORG_NO」は通し番号を示している。また、「DB_ID」は、物理区分を示し、「1」は高層、「2」は中層、「3」は低層を示している。また、「NEW_NO」には、デバイスが新たに追加された場合に当該追加されたデバイス情報が表示される。
【0076】
図10に示す「KEY_NO」は、基本DB65,75,及び85に登録されている基本データ内の「KEY_NO」と対応付けられている。したがって、例えば「KEY_NO」が「28」であるデバイスは、物理区分が「中層」であるセカンダリデバイスであり、親となるプライマリデバイスは「KEY_NO」が「10」のデバイスであるということが特定できる。
【0077】
このように、エンジニアリング装置10bでは、例えば管理データに含まれるデバイス情報をキー項目として、管理DB90と基本DB65,75,及び85とが対応付けられ、さらに基本DB65,75,及び85は、基本データに含まれるデバイス情報をキー項目として、DB61~64,DB71~74、及びDB81~84とそれぞれ対応付けられている。これにより、エンジニアリング装置10bでは、管理部104は、管理DB90に登録されている管理データと、基本DB65,75,及び85に登録されている基本データとに基づいて、物理区分及び機能区分により分割された複数のDBに登録されている設定データを、個別に又は一括して管理することができる。
【0078】
なお、実施の形態2に係るエンジニアリング装置10bの動作例は、図4のフローチャートを参照して説明した実施の形態1に係るエンジニアリング装置10の動作例とほぼ同様であり、第1生成部101が生成するマトリクスの構成が異なるのみである。したがって、以下では、実施の形態2に係るエンジニアリング装置10bの詳しい動作例については説明を省略し、第1生成部101が生成するマトリクスの構成について詳しく説明する。
【0079】
実施の形態2において、第1生成部101により生成されるマトリクスの例を図11に示す。図11に示すように、マトリクスは、保持部105bに構築されたDB61~64,DB71~74、及びDB81~84に対し、設定データが登録されているか否かを示すものである。図11において、設定データが登録されているDBについては表示値「1」が表示されている。一方、設定データが登録されていないDBについては表示値「0」が表示される。また、図11に示すマトリクスでは、管理DB90に対して管理データが登録されているか否かについても示されている。この管理データについても、管理DB90に登録されている場合は表示値「1」が表示され、管理DB90に登録されていない場合は表示値「0」が表示される。
【0080】
なお、図11で示したマトリクスはあくまで一例であり、マトリクスの構成及び表示値は図11のものに限られない。例えば、マトリクスは、DB61~64,DB71~74、及びDB81~84に対して設定データが登録されているか否か、及び、管理DB90に対して管理データが登録されているか否かを示すことができるものであれば、これ以外の構成及び表示値を有するものでもよい。
【0081】
また、実施の形態2においても、受付部103は、表示装置50に表示されたマトリクスを介して、管理者等から所望の設定データ、又は管理データを出力するための出力指示を受け付ける。例えば、受付部103は、例えば管理者等により、表示装置50に表示されたマトリクス内の「高層」かつ「デバイス用プログラム」の項目が選択された場合に、「高層」かつ「デバイス用プログラム」で特定されるDB64に登録されている設定データの出力指示を受け付ける。また、受付部103は、例えば管理者等により、表示装置50に表示されたマトリクス内の「低層」かつ「デバイス用データ」の項目が選択された場合に、「低層」かつ「デバイス用データ」で特定されるDB82に登録されている設定データの出力指示を受け付ける。また、このとき、受付部103は、管理者等から、出力対象の設定データを登録元のDBから削除する「分割出力」を行うか、又は出力対象の設定データを登録元のDBから削除せずにコピーして出力する「部分コピー出力」を行うかについての指示も併せて受け付ける。
【0082】
そして、管理部104は、受付部103により受け付けられた出力指示に基づいて、設定データ又は管理データの分割出力、又は部分コピー出力を行う。次いで、第1生成部101は、管理部104により設定データが出力された旨を反映したマトリクスを再度生成し、第1表示制御部102は、第1生成部101により再度生成されたマトリクスを表示装置50に表示させる。
【0083】
ここで、第1生成部101により再度生成されるマトリクスの例を図12に示す。図12(a)は、出力対象の設定データがDB64及びDB82の設定データであり、管理部104がこれらの設定データの分割出力を行った場合に再度生成されるマトリクスの例である。また、図12(b)は、出力対象の設定データがDB64及びDB82の設定データであり、管理部104がこれらの設定データの部分コピー出力を行った場合に再度生成されるマトリクスの例である。
【0084】
管理部104が分割出力を行った場合、図12(a)に示すように、再度生成されるマトリクスでは、「高層」かつ「デバイス用プログラム」の項目の表示値と、「低層」かつ「デバイス用データ」の項目の表示値とが「0」となっている。これは、分割出力により、DB64及びDB82に設定されていた設定データが削除されたことを示している。
【0085】
一方、管理部104が部分コピー出力を行った場合、再度生成されるマトリクスは、図12(b)に示すように、「高層」かつ「デバイス用プログラム」の項目の表示値と、「低層」かつ「デバイス用データ」の項目の表示値とが「1」のままとなっている。これは、部分コピー出力により、DB64及びDB82に設定されていた設定データがDB64及びDB82から削除されずにそのまま残っていることを示している。
【0086】
なお、上記以外のマトリクスの例として、例えば図13に示すように、設定データの有無を「〇」で表し、出力の態様を「レ点」等で表したマトリクスを用いてもよい。図13の例では、表示値が「〇」で表示されているDBには設定データが登録されていることを表し、「レ点」が付されているDBについては設定データが分割出力されている例を示している。
【0087】
なお、エンジニアリング装置10bでは、実施の形態1に係るエンジニアリング装置10と同様に、設定データを他のエンジニアリング装置から取り込むことも可能である。その際、エンジニアリング装置10bでは、取り込む対象の設定データが分割出力されている場合は、実施の形態1と同様に、他のエンジニアリング装置から、当該設定データをDB単位(ファイル単位)で一括して取り込むことができる。
【0088】
例えば、図14に示すように、エンジニアリング装置10bにおいて、DB63(物理区分が「高層」、かつ機能区分が「デバイス用プログラム」)の設定データが既に分割出力されている場合、マトリクスでは、「高層」かつ「DDCPROGRAM」で特定される欄の表示値が「0」となっている。この場合は、他のエンジニアリング装置10cから、当該設定データをDB単位(ファイル単位)で一括して取り込むことができるため、取込処理を迅速に完了することができ、作業効率が向上する。
【0089】
また、実施の形態2では、第2生成部106は、管理DB90に登録されている管理データに基づいて、物理区分が同一であるデバイスをツリー構造で表示した表示画面を示すデータを生成し、第2表示制御部107は、第2生成部106により生成されたデータが示す表示画面を表示装置50に表示させることができる。
【0090】
この表示画面の例を図15に示す。図15(a)は、例えば管理者等により、物理区分が「高層」であるデバイスの情報を表示させる旨が指示されている場合の例である。この場合、表示画面には、物理区分が「高層」である統合コントローラ20、及びプライマリデバイス30の情報がツリー構造で表示される。なお、セカンダリデバイス40は、親となるプライマリデバイス30と紐付けられるため、この画面では表示を省略し、プライマリデバイス30の名称がダブルクリック等された場合に、当該プライマリデバイス30の下位に展開させるようにしてもよい。
【0091】
また、管理者等により、物理区分が「高層」、「中層」、及び「低層」であるデバイスの情報を表示させる旨が指示された場合、図15(b)に示すように、表示画面には、物理区分が「高層」である統合コントローラ20及びプライマリデバイス30の情報、物理区分が「中層」である統合コントローラ20及びプライマリデバイス30の情報、並びに、物理区分が「低層」である統合コントローラ20及びプライマリデバイス30の情報がそれぞれツリー構造で表示される。
【0092】
また、管理者等は、表示画面を介して表示の切替指示を入力することにより、図15(a)及び図15(b)の表示を適宜切り替えることができる。これにより、管理者等は、所望の情報を選択して表示させることができ、利便性が向上する。また、エンジニアリング装置10bは、特に図15(a)のように特定の物理区分を対象としてデバイスの表示を行うことで、表示に用いる情報量を削減することができる。
【0093】
次に、実施の形態2に係るエンジニアリング装置10bの効果について説明する。
【0094】
デバイスに設定される設定データは、上述のように、いくつかの機能(種別)に分類される。また、これらの設定データの作成は、特定の管理者が一括して行うのではなく、各種別の設定データの作成を担当する管理者が、それぞれ自分の担当する機能(種別)の設定データを作成する場合が多い。その場合、実施の形態1で説明した、物理区分(例えば高層、中層、及び低層)のような階層によるDBの分割のみであると、この物理区分単位でしか設定データの管理が行えず、管理者等にとって必ずしも利便性がよいとはいえない。
【0095】
そこで、実施の形態2では、物理区分によるDBの分割に加え、物理区分とは異なる区分(ここでは機能区分)によるDBの分割を行うようにした。これにより、実施の形態2では、物理区分のみならず、機能区分を加味した単位で設定データを取り扱うことが可能となり、実施の形態1よりもエンジニアリング作業の効率がさらに向上する。また、実施の形態2においても、複数のDBのそれぞれに対して設定データが登録されているか否かを示す情報(例えばマトリクス)を生成し、この情報を介して管理指示を受け付けることができるため、管理者等は、分割されたそれぞれのDBに設定データが登録されているか否かを容易に確認でき、分割保持されたエンジニアリングデータの管理を従来よりも容易に行うことが可能となる。
【0096】
以上のように、実施の形態2によれば、第1の区分毎に分割された複数のDBのそれぞれは、第1の区分と異なる第2の区分毎にさらに分割されており、第1生成部は、第1の区分と第2の区分との組み合わせにより特定されるDBに対して設定データが登録されているか否かを示す情報を生成する。これにより、管理者等は、実施の形態1と同様に、分割されたそれぞれのDBに設定データが登録されているか否かを容易に確認でき、分割保持されたエンジニアリングデータの管理を従来よりも容易に行うことが可能となる。また、第1の区分のみならず、第2の区分を加味した単位で設定データを取り扱うことが可能となり、エンジニアリング作業の効率が従来よりも向上する。
【0097】
また、実施の形態2によれば、第1の区分が同一で、第2の区分が異なる複数のDBを互いに関連づけるための所定のキー項目を含む基本データが登録された基本DB65,75、及び85と、第1の区分が異なる基本DB65,75、及び85を互いに関連づけるための所定のキー項目を含む管理データが登録された管理DB90とが保持部105bに構築されており、管理部104は、保持部105bに構築された基本DB65,75、及び85に登録されている基本データと、保持部105bに構築された管理DB90に登録されている管理データとに基づいて、第1の区分及び第2の区分により分割された複数のDBに登録されている設定データを、個別に又は一括して管理可能である。これにより、管理者等は、第1の区分及び第2の区分により分割された複数のDBに登録されている設定データを、個別に又は一括して管理可能となる。
【0098】
また、エンジニアリング装置10bは、管理DB90に登録されている管理データに基づいて、第1の区分が同一であるデバイスを当該第1の区分毎にツリー構造で表示した表示画面を示すデータを生成する第2生成部106と、第2生成部106により生成されたデータが示す表示画面を表示装置50に表示させる第2表示制御部107と、を備える。これにより、管理者等は、第1の区分及び第2の区分によりDBが分割されている場合でも、第1の区分が同一であるデバイスを容易に把握することができる。
【0099】
また、実施の形態2によれば、第1の区分は、デバイスが設置される施設の階層に基づいて定められた区分であり、第2の区分は、設定データの機能により定められた区分である。これにより、管理者等は、設定データを実施の形態1よりも細分化して取り扱うことが可能となり、エンジニアリング作業の効率が向上する。
【0100】
なお、実施の形態2では、実施の形態1と同様に、第1生成部101が共通層DBを除くDB(高層DB、中層DB、及び低層DB)を対象としてマトリクスを生成する例を説明したが、実施の形態2において、共通層DBを対象に含めてマトリクスを生成する場合でも、上記と同様に処理を行うことができる。
【0101】
なお、本願発明はその発明の範囲内において、実施の形態の任意の構成要素の変形、若しくは実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0102】
1000 施設監視システム
10、10b エンジニアリング装置
10c 他のエンジニアリング装置
20 統合コントローラ
30 プライマリデバイス
40 セカンダリデバイス
50 表示装置
65、75,85 基本DB
90 管理DB
101 第1生成部
102 第1表示制御部
103 受付部
104 管理部
105、105b 保持部
106 第2生成部
107 第2表示制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15