IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 文化シヤッター株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-止水板 図1
  • 特開-止水板 図2
  • 特開-止水板 図3
  • 特開-止水板 図4
  • 特開-止水板 図5
  • 特開-止水板 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023059305
(43)【公開日】2023-04-27
(54)【発明の名称】止水板
(51)【国際特許分類】
   E06B 5/00 20060101AFI20230420BHJP
   E06B 7/22 20060101ALI20230420BHJP
【FI】
E06B5/00 Z
E06B7/22 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021169220
(22)【出願日】2021-10-15
(71)【出願人】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141243
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 靖夫
(72)【発明者】
【氏名】矢澤 昇
【テーマコード(参考)】
2E036
2E239
【Fターム(参考)】
2E036AA01
2E036BA01
2E036CA01
2E036DA02
2E036EB02
2E036EB07
2E036EC05
2E036FA10
2E036FB02
2E036GA02
2E036GA03
2E036GA07
2E036HB14
2E239AC04
(57)【要約】
【課題】簡単な構成で、十分な止水性能を維持できる扉枠の止水構造を構成できるようにした止水板を提供する。
【解決手段】本発明に係る止水板は、扉枠の開口における下側部分を塞ぐように設置される止水板6であって、左端と右端との間の板部が一方方向に突出する凸状板面63と凹状板面64とを有した湾曲板により構成された可変板部61を備え、前記可変板部61は、前記凹状板面の左端側、右端側、下端側が、前記扉枠の戸当りに対向するように設置された後、扉枠に開閉可能に設けられた扉によって開口が閉じられた場合に、前記凸状板面63が前記扉に押圧されたことによって、前記可変板部61が湾曲板から平板状に変形して、前記扉枠の開口における下側部分を塞ぐように構成されたことを特徴とする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
扉枠の開口における下側部分を塞ぐように設置される止水板であって、
左端と右端との間の板部が一方方向に突出する凸状板面と凹状板面とを有した湾曲板により構成された可変板部を備え、
前記可変板部は、前記凹状板面の左端側、右端側、下端側が、前記扉枠の戸当りに対向するように設置された後、扉枠に開閉可能に設けられた扉によって開口が閉じられた場合に、前記凸状板面が前記扉に押圧されたことによって、前記可変板部が湾曲板から平板状に変形して、前記扉枠の開口における下側部分を塞ぐように構成されたことを特徴とする止水板。
【請求項2】
前記凹状板面の左端側、右端側、下端側には、水密維持部材を押圧するための押圧部を備え、
前記左端側に設けられた左押圧部は、前記凹状板面における左端から一定距離離れて当該左端に沿った位置から当該左端に向けて前記凹状板面から離れるように延長する左支持板と、左支持板の延長端から前記左端及び前記凹状板面に近付く方向に延長する押圧面を有した左押圧板とを備え、
前記右端側に設けられた右押圧部は、前記凹状板面における右端から一定距離離れて当該右端に沿った位置から当該右端に向けて前記凹状板面から離れるように延長する右支持板と、右支持板の延長端から前記右端及び前記凹状板面に近付く方向に延長する押圧面を有した右押圧板とを備え、
前記下端側に設けられた下押圧部は、前記凹状板面における下端から一定距離離れて当該下端に沿った位置から設けられた押圧面を有した下押圧板を備え、
前記扉枠の戸当りよりも屋内側に位置される扉枠の開口の内面と対向するように設置される前記各押圧部の各押圧面には、前記水密維持部材を備え、
前記可変板部における前記凹状板面の左端側、右端側、下端側が前記扉枠の戸当りに対向し、かつ、前記各押圧部の各押圧面に設けられた前記水密維持部材が前記扉枠の開口の内面と対向するように設置された後、前記扉によって開口が閉じられた場合に、前記凸状板面が前記扉に押圧されたことによって前記可変板部が湾曲板から平板状に変形して、前記各押圧部の各押圧面に設けられた前記水密維持部材が前記扉枠の開口の内面に押し付けられた状態に維持されることで、前記扉枠の開口における下側部分を水密を維持した状態で塞ぐように構成されたことを特徴とする請求項1に記載の止水板。
【請求項3】
前記凹状板面の左端側、右端側、下端側には、水密維持部材を押圧するための押圧部を備え、
前記左端側に設けられた左押圧部は、前記凹状板面における左端から一定距離離れて当該左端に沿った位置から当該左端に向けて前記凹状板面から離れるように延長する左支持板と、左支持板の延長端から前記左端及び前記凹状板面に近付く方向に延長する押圧面を有した左押圧板とを備え、
前記右端側に設けられた右押圧部は、前記凹状板面における右端から一定距離離れて当該右端に沿った位置から当該右端に向けて前記凹状板面から離れるように延長する右支持板と、右支持板の延長端から前記右端及び前記凹状板面に近付く方向に延長する押圧面を有した右押圧板とを備え、
前記下端側に設けられた下押圧部は、前記凹状板面における下端から一定距離離れて当該下端に沿った位置から設けられた押圧面を有した下押圧板を備え、
前記扉枠の戸当りよりも屋内側に位置される開口の内面には、前記水密維持部材が設けられ、
前記可変板部における前記凹状板面の左端側、右端側、下端側が前記扉枠の戸当りに対向し、かつ、前記各押圧部の各押圧面が前記扉枠の開口の内面と対向するように設置された後、前記扉によって開口が閉じられた場合に、前記凸状板面が前記扉に押圧されたことによって前記可変板部が湾曲板から平板状に変形して、前記扉枠の戸当りよりも屋内側に位置される開口の内面に設けられた前記水密維持部材が前記各押圧部の各押圧面で押圧された状態に維持されることで、前記扉枠の開口における下側部分を水密を維持した状態で塞ぐように構成されたことを特徴とする請求項1に記載の止水板。
【請求項4】
前記可変板部は、前記扉枠の戸当りに対向する前記凹状板面の左端側、右端側、下端側に、水密維持部材を備え、
前記凹状板面の左端側、右端側、下端側に設けられた水密維持部材が前記扉枠の戸当りに対向するように設置された後、前記扉によって開口が閉じられた場合に、前記凸状板面が前記扉に押圧されたことによって前記可変板部が湾曲板から平板状に変形して、前記凹状板面に設けられた前記水密維持部材が前記扉枠の戸当りに押し付けられた状態に維持されることで、前記扉枠の開口における下側部分を水密を維持した状態で塞ぐように構成されたことを特徴とする請求項1に記載の止水板。
【請求項5】
前記扉枠の左端側、右端側、下端側の戸当りには、水密維持部材が設けられ、
前記凹状板面の左端側、右端側、下端側が前記扉枠の戸当りに設けられた水密維持部材に対向するように設置された後、前記扉によって開口が閉じられた場合に、前記凸状板面が前記扉に押圧されたことによって前記可変板部が湾曲板から平板状に変形して、前記扉枠の左端側、右端側、下端側の戸当りに設けられた前記水密維持部材が前記平板状に変形する可変板部により押圧された状態に維持されることで、前記扉枠の開口における下側部分を水密を維持した状態で塞ぐように構成されたことを特徴とする請求項1に記載の止水板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、扉枠の開口における下側部分を塞ぐように設置される止水板に関する。
【背景技術】
【0002】
扉枠の開口の下側部分を塞いで水の通過を防止するために、扉が閉じた状態において扉と扉枠の戸当りとの間に挟持される止水板を用いた扉の止水構造が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-218794号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された止水板は、矩形平板の左端側、右端側、下端側において、端面及び両方の板面を覆うようにシール部が設けられた構成となっている。
当該特許文献1においては、扉が閉じられた場合には、扉の屋内側の板面における左端側、右端側、下端側と、止水板の屋外側に位置された板面の左端側、右端側、下端側に設けられたシール部とが接触するが、扉の屋内側の板面と止水板の屋外側の板面とが接触しない構造となる。
当該構造によれば、扉からの押圧力がシール部に吸収されて、屋外側に位置された板面の左端側、右端側、下端側に設けられたシール部と扉枠の戸当りに設けられたパッキン(エアタイトゴム)との圧密性が十分に維持されずに、十分な止水性能を維持できない可能性があり、十分な止水性能を維持できるようにするためには、扉を戸当り側に押し付けた状態で強固に固定するための、例えばグレモン錠のような機構を用いなければならなくなる可能性があった。
従って、簡単な構成で、十分な止水性能を維持できる扉枠の止水構造が望まれていた。
【0005】
本発明は、簡単な構成で、十分な止水性能を維持できる扉枠の止水構造を構成できるようにした止水板を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る止水板は、扉枠の開口における下側部分を塞ぐように設置される止水板であって、左端と右端との間の板部が一方方向に突出する凸状板面と凹状板面とを有した湾曲板により構成された可変板部を備え、前記可変板部は、前記凹状板面の左端側、右端側、下端側が、前記扉枠の戸当りに対向するように設置された後、扉枠に開閉可能に設けられた扉によって開口が閉じられた場合に、前記凸状板面が前記扉に押圧されたことによって、前記可変板部が湾曲板から平板状に変形して、前記扉枠の開口における下側部分を塞ぐように構成されたことを特徴とする。
また、前記凹状板面の左端側、右端側、下端側には、水密維持部材を押圧するための押圧部を備え、前記左端側に設けられた左押圧部は、前記凹状板面における左端から一定距離離れて当該左端に沿った位置から当該左端に向けて前記凹状板面から離れるように延長する左支持板と、左支持板の延長端から前記左端及び前記凹状板面に近付く方向に延長する押圧面を有した左押圧板とを備え、前記右端側に設けられた右押圧部は、前記凹状板面における右端から一定距離離れて当該右端に沿った位置から当該右端に向けて前記凹状板面から離れるように延長する右支持板と、右支持板の延長端から前記右端及び前記凹状板面に近付く方向に延長する押圧面を有した右押圧板とを備え、前記下端側に設けられた下押圧部は、前記凹状板面における下端から一定距離離れて当該下端に沿った位置から設けられた押圧面を有した下押圧板を備え、前記扉枠の戸当りよりも屋内側に位置される扉枠の開口の内面と対向するように設置される前記各押圧部の各押圧面には、前記水密維持部材を備え、前記可変板部における前記凹状板面の左端側、右端側、下端側が前記扉枠の戸当りに対向し、かつ、前記各押圧部の各押圧面に設けられた前記水密維持部材が前記扉枠の開口の内面と対向するように設置された後、前記扉によって開口が閉じられた場合に、前記凸状板面が前記扉に押圧されたことによって前記可変板部が湾曲板から平板状に変形して、前記各押圧部の各押圧面に設けられた前記水密維持部材が前記扉枠の開口の内面に押し付けられた状態に維持されることで、前記扉枠の開口における下側部分を水密を維持した状態で塞ぐように構成されたことを特徴とする。
また、前記凹状板面の左端側、右端側、下端側には、水密維持部材を押圧するための押圧部を備え、前記左端側に設けられた左押圧部は、前記凹状板面における左端から一定距離離れて当該左端に沿った位置から当該左端に向けて前記凹状板面から離れるように延長する左支持板と、左支持板の延長端から前記左端及び前記凹状板面に近付く方向に延長する押圧面を有した左押圧板とを備え、前記右端側に設けられた右押圧部は、前記凹状板面における右端から一定距離離れて当該右端に沿った位置から当該右端に向けて前記凹状板面から離れるように延長する右支持板と、右支持板の延長端から前記右端及び前記凹状板面に近付く方向に延長する押圧面を有した右押圧板とを備え、前記下端側に設けられた下押圧部は、前記凹状板面における下端から一定距離離れて当該下端に沿った位置から設けられた押圧面を有した下押圧板を備え、前記扉枠の戸当りよりも屋内側に位置される開口の内面には、前記水密維持部材が設けられ、前記可変板部における前記凹状板面の左端側、右端側、下端側が前記扉枠の戸当りに対向し、かつ、前記各押圧部の各押圧面が前記扉枠の開口の内面と対向するように設置された後、前記扉によって開口が閉じられた場合に、前記凸状板面が前記扉に押圧されたことによって前記可変板部が湾曲板から平板状に変形して、前記扉枠の戸当りよりも屋内側に位置される開口の内面に設けられた前記水密維持部材が前記各押圧部の各押圧面で押圧された状態に維持されることで、前記扉枠の開口における下側部分を水密を維持した状態で塞ぐように構成されたことを特徴とする。
また、前記可変板部は、前記扉枠の戸当りに対向する前記凹状板面の左端側、右端側、下端側に、水密維持部材を備え、前記凹状板面の左端側、右端側、下端側に設けられた水密維持部材が前記扉枠の戸当りに対向するように設置された後、前記扉によって開口が閉じられた場合に、前記凸状板面が前記扉に押圧されたことによって前記可変板部が湾曲板から平板状に変形して、前記凹状板面に設けられた前記水密維持部材が前記扉枠の戸当りに押し付けられた状態に維持されることで、前記扉枠の開口における下側部分を水密を維持した状態で塞ぐように構成されたことを特徴とする。
また、前記扉枠の左端側、右端側、下端側の戸当りには、水密維持部材が設けられ、前記凹状板面の左端側、右端側、下端側が前記扉枠の戸当りに設けられた水密維持部材に対向するように設置された後、前記扉によって開口が閉じられた場合に、前記凸状板面が前記扉に押圧されたことによって前記可変板部が湾曲板から平板状に変形して、前記扉枠の左端側、右端側、下端側の戸当りに設けられた前記水密維持部材が前記平板状に変形する可変板部により押圧された状態に維持されることで、前記扉枠の開口における下側部分を水密を維持した状態で塞ぐように構成されたことを特徴とする。
本発明に係る止水板によれば、簡単な構成で、十分な止水性能を維持できる扉枠の止水構造を構成できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】扉枠の開口における下側部分を塞ぐように止水板が設置された扉枠の止水構造を屋内側から見た図(実施形態1)。
図2】(a)は止水板を示す斜視図、(b)は止水板の可変板部の変形後の状態を示す斜視図(実施形態1)。
図3】(a)は扉枠の屋外側枠内面に止水板を設置した状態を示す断面図、(b)は扉を閉じた状態における可変板部の変形後の状態を示す断面図(実施形態1)。
図4】(a)は扉枠の屋外側枠内面に止水板を設置した状態を示す断面図、(b)は扉を閉じた状態における可変板部の変形後の状態を示す断面図(実施形態2)。
図5】(a)は扉枠の屋外側枠内面に止水板を設置した状態を示す断面図、(b)は扉を閉じた状態における可変板部の変形後の状態を示す断面図(実施形態3)。
図6】(a)は扉枠の屋外側枠内面に止水板を設置した状態を示す断面図、(b)は扉を閉じた状態における可変板部の変形後の状態を示す断面図(実施形態4)。
【発明を実施するための形態】
【0008】
実施形態1
図1乃至図3に基づいて、実施形態1に係る止水板6、及び、止水板6と関連する構造等について説明する。例えば建築構造物に設けられた扉枠1の開口51における下側部分を塞ぐように設置される止水板6の構造、及び、当該止水板6を用いた扉枠1の止水方法、並びに、当該止水板6を用いた扉枠1の止水構造について説明する。
尚、本明細書においては、上、下、左、右、屋内、屋外は、図1乃至図6の各図に示した方向と定義して説明する。ここで、屋内は、扉枠1の屋内側、屋外は、扉枠1の屋外側であり、左右は、扉枠1の屋内側から見た場合の左右である。
また、「建築構造物」とは、一戸建て、マンション、ビル、倉庫、工場、その他の建造物をいう。
【0009】
図1及び図3に示すように、扉枠1は、扉枠1の枠外面側が建築構造物の例えば外壁Wに形成された開口部W1に取付けられ、枠内面(見込面)2と、屋外側正面(屋外側見付面)3と、屋内側正面(屋内側見付面)4とを備える。
枠内面2は、少なくとも、屋内側枠内面20と、戸当り30と、屋外側枠内面40とを備える。
扉枠1の開口50は、枠内面2で囲まれて形成された開口であり、少なくとも、屋内側枠内面20で囲まれて形成された開口51と、屋外側枠内面40で囲まれて形成された開口52とを備える。
【0010】
図3(a)に示すように、屋内側枠内面20は、例えば、平行に対向する左内面21及び右内面22と平行に対向する図外の上内面及び下内面23とを備えた矩形状の枠内面、即ち、扉枠1の戸当り30よりも屋内側に位置される開口51の内面である。
同様に、屋外側枠内面40は、例えば、平行に対向する左内面41及び右内面42と平行に対向する図外の上内面及び下内面43とを備えた矩形状の枠内面である。
【0011】
図3(a)に示すように、戸当り30は、例えば、屋内側枠内面20の屋外側端縁29と、屋内側枠内面20と屋外側枠内面40との間に形成されたレール溝31と、当該レール溝31に装着された例えばエアタイトゴムと呼称される気密維持部材32とを備えて構成される。
即ち、戸当り30は、気密維持部材32を装着するためのレール溝31を備えて、当該レール溝31に気密維持部材32が装着された構成である。
つまり、扉枠1を屋外側から見た場合に、戸当り30は、屋内側枠内面20で囲まれた開口51の外側を囲む矩形環状に配置された気密維持部材32を備えた構成である。
【0012】
図3(a)に示すように、扉枠1に開閉可能に設けられた扉11は、左の側縁端側が、屋外側枠内面40の左内面41の屋外側端と屋外側正面3との境界縁側にヒンジ15を介して取付けられるか、あるいは、右の側縁端側が、屋外側枠内面40の右内面42の屋外側端と屋外側正面3との境界縁側にヒンジを介して取付けられることにより、扉枠1の開口51を開閉可能に構成される。
従って、後述する止水板6が扉枠1に設置されていない状態において、扉11が開口51を閉じる閉状態に設定された場合には、扉11は、戸当り30と屋外側枠内面40とで構成された扉収容凹部に収容された状態となり、扉11の屋内側板面12における左右上下端側の面と気密維持部材32とが密着することにより、扉枠1の開口51が気密状態に塞がれた状態となる。
尚、上述の如く、扉11が開口51を閉じる閉状態に設定された場合に、扉11の屋内側板面12における左右上下端側の面と気密維持部材32とが密着するように、気密維持部材32は、気密維持部材32の屋外側端が屋内側枠内面20の屋外側端縁29よりも屋外側に突出する状態となるようレール溝31に装着される。
【0013】
図2に示すように、止水板6は、可変板部61と、水密維持部材7を押圧するための押圧部62と、当該押圧部62に設けられた水密維持部材7とを備えて構成される。
【0014】
可変板部61は、図2(a)に示すように、左端と右端との間の板部が一方方向に突出する凸状板面63と凹状板面64とを有した湾曲板により構成され、かつ、凸状板面63に扉11からの力を受けた場合に板の弾性変形によって、図2(b)に示すような、平板状に変形する板により構成される。当該可変板部61を構成する板は、例えば、合成樹脂や金属等で形成された板厚寸法が一定の薄板により構成される。
尚、当該可変板部61を構成する湾曲板としては、例えば、板の左端と右端との間で湾曲するように形成された湾曲板を用いればよい。当該湾曲板としては、図2(a)に示すような、板の左端と右端との間で緩やかに湾曲するように形成された湾曲板を用いることが好ましい。
また、可変板部61を構成する湾曲板は、凹状板面64における左端側、右端側、下端側が、屋内側枠内面20の下内面23、左内面21、右内面22の屋外側端を囲むように形成された戸当り30に対向して、扉枠1の開口51の下端側を屋外側から塞ぐことが可能な大きさに形成される。
即ち、可変板部61は、凹状板面64の左端側、右端側、下端側が、扉枠1の左端側、右端側、下端側の戸当り30に対向するように設置された後、扉11によって開口51が閉じられた場合に、凸状板面63が扉11に押圧されたことによって、可変板部61が湾曲板から平板状に変形して、扉枠1の開口51における下側部分を塞ぐように構成された板である。
【0015】
図2(a),図3(a)に示すように、押圧部62は、可変板部61の凹状板面64における左端側に設けられた左押圧部65と、可変板部61の凹状板面64における右端側に設けられた右押圧部66と、可変板部61の凹状板面64における下端側に設けられた下押圧部67とを備えて構成される。
左押圧部65は、凹状板面64における左端から一定距離離れて当該左端に沿った位置から当該左端に向けて凹状板面64から離れるように延長する左支持板65aと、左支持板65aの延長端から左端及び凹状板面64に近付く方向に延長する押圧面を有した左押圧板65bとを備える。
右押圧部66は、凹状板面64における右端から一定距離離れて当該右端に沿った位置から当該右端に向けて凹状板面64から離れるように延長する右支持板66aと、右支持板66aの延長端から右端及び凹状板面64に近付く方向に延長する押圧面を有した右押圧板66bとを備える。
下押圧部67は、凹状板面64における下端から一定距離離れて当該下端に沿った位置から設けられた押圧面を有した下押圧板により構成される。
【0016】
左押圧部65、右押圧部66、下押圧部67は、互いに個別に設けられている。即ち、左押圧部65と下押圧部67とは連結されておらず、かつ、右押圧部66と下押圧部67とは連結されていない。
即ち、下押圧部67を構成する下押圧板は、板面が、可変板部61の下端縁と平行でかつ凹状板面64と直交する平面により形成された平板により構成され、そして、左押圧部65の下端、及び、右押圧部66の下端と、下押圧部67を構成する当該平板の上側板面とが若干の隙間を隔てて対向するように構成されている。
また、可変板部61における凹状板面64の左端側、右端側、下端側が扉枠1の左端側、右端側、下端側の戸当り30に対向するように設置された場合、左押圧部65の左押圧板65bの押圧面は、屋内側枠内面20の左内面21と対向する板面であり、右押圧部66の右押圧板66bの押圧面は、屋内側枠内面20の右内面22と対向する板面であり、下押圧部67を構成する下押圧板の押圧面は、当該下押圧板の下側の板面である。
また、例えば、可変板部61が湾曲板の状態では、下押圧部67を構成する下押圧板の左側端面67sが左押圧板65bの左端よりも可変板部61の左端側に位置されるとともに、下押圧部67を構成する下押圧板の右側端面67sが右押圧板66bの右端よりも可変板部61の右端側に位置される。そして、可変板部61が平板状に変形した状態では、下押圧部67を構成する下押圧板の左側端面67sと左押圧板65bの押圧面とが同一面上に位置されるとともに、下押圧部67を構成する下押圧板の右側端面67sと右押圧板66bの押圧面とが同一面上に位置されるように構成されている。
【0017】
水密維持部材7は、例えばゴムにより構成され、屋内側枠内面20の左内面21と対向する左押圧板65bの押圧面、屋内側枠内面20の右内面22と対向する右押圧板66bの押圧面、屋内側枠内面20の下内面23と対向する下押圧板の押圧面に、それぞれ設けられている。
左押圧板65bの押圧面に設けられた水密維持部材7は、左押圧板65bの上下方向に沿って延在するように設けられ、右押圧板66bの押圧面に設けられた水密維持部材7は、右押圧板66b上下方向に沿って延在するように設けられ、下押圧板の押圧面に設けられた水密維持部材7は、下押圧板の左右方向に沿って延在するように設けられている。
即ち、水密維持部材7は、屋内側枠内面20の左内面21、下内面23、右内面22に対向する凹状の面を構成する左押圧板65bの押圧面、下押圧板の押圧面、右押圧板66bの押圧面に亘って連続して延在するように、凹状に設けられている。
水密維持部材7は、例えば、数か所が、接着剤等の取付手段により、左押圧板65bの押圧面、下押圧板の押圧面、右押圧板66bの押圧面に取付けられる。尚、水密維持部材7は、左押圧板65bの押圧面と下押圧板の押圧面との境界部分、及び、右押圧板66bの押圧面と下押圧板の押圧面との境界部分に対応する部分は、可変板部61が変形する際の動きに追従できるように、押圧面に取付けられていない。
【0018】
次に、上述した止水板6を用いた扉枠1の止水方法及び止水構造について説明する。
まず、図3(a)に示すように、扉11が開放された状態で、止水板6の可変板部61の凸状板面63を屋外側に位置させる。即ち、可変板部61の凹状板面64の左端側、右端側、下端側を扉枠1の左端側、右端側、下端側の戸当り30に対向させるとともに、左押圧部65、右押圧部66、下押圧部67の各押圧面に設けられた水密維持部材7が扉枠1の開口51の内面である屋内側枠内面20の左内面21、右内面22、下内面23(即ち、扉枠1の戸当り30よりも屋内側に位置される開口51の内面)と対向するように、止水板6を扉枠1に設置する。尚、この場合、止水板6は、例えば、下押圧部67の押圧面に設けられた水密維持部材7を屋内側枠内面20の下内面23に載せた状態となるように、扉枠1に設置する。
その後、扉11を閉じると、図3(b)に示すように、閉じられた扉11からの押圧力F1により、止水板6の可変板部61の凸状板面63が押圧されて、可変板部61が平板状になるように弾性変形する。これにより、左押圧部65、右押圧部66、下押圧部67の押圧面に取付けられた水密維持部材7が、押圧力F2により、屋内側枠内面20の左内面21、右内面22、下内面23に押し付けられる。
即ち、扉11を閉じることにより、止水板6の可変板部61が平板状に弾性変形することに伴って、左押圧部65、右押圧部66、下押圧部67の各押圧面に取付けられた水密維持部材7が、屋内側枠内面20の左内面21、右内面22、下内面23に押し付けられた状態に維持される。
従って、止水板6により、扉枠1の開口50における下側部分を塞がれるとともに、屋内側枠内面20の左内面21、右内面22、下内面23と左押圧部65、右押圧部66、下押圧部67の各押圧面との間で圧密状態となる水密維持部材7によって、屋内側枠内面20の左内面21、右内面22、下内面23(扉枠1の開口51の内面)と左押圧部65、右押圧部66、下押圧部67の各押圧面との間の水密性能が良好に維持された扉枠1の止水構造が構成されることになる。
【0019】
換言すれば、図3(b)に示すように、扉11が閉じられた状態に維持された場合、扉11の屋内側板面12と止水板6の可変板部61の凸状板面63とが密着した状態となって、可変板部61が扉11により押圧された状態に維持されることになる。
この状態においては、例えば、可変板部61の凹状板面64の左端側、右端側、下端側の板面が、戸当り30の気密維持部材32を押圧して、かつ、屋内側枠内面20の屋外側端縁29に密着した状態になる。また、左押圧部65の左押圧板65bの延長端、及び、右押圧部66の右押圧板65bの延長端が、可変板部61の平板状に変形した凹状板面64に近接した状態となって、左押圧部65の左押圧板65bの押圧面と屋内側枠内面20の左内面21とが平行に対向した状態となるとともに、右押圧部66の右押圧板66bの押圧面と屋内側枠内面20の右内面22とが平行に対向した状態となる。さらに、下押圧部67を構成する下押圧板の左側端面67sと左内面21とが平行に対向して、かつ、当該左側端面67sと左押圧板65bの押圧面とが同一垂直面上に位置されるとともに、下押圧部67を構成する下押圧板の右側端面67sと右内面22とが平行に対向して、かつ、当該左側端面67sと右押圧板66bの押圧面とが同一垂直面上に位置された状態となる。
即ち、下押圧部67を構成する下押圧板の板面が水平面となり、当該下押圧板の押圧面となる下側の水平な板面と屋内側枠内面20の下内面23との間に位置される水密維持部材7、下押圧部67の左側端面67s及び左押圧板65bの押圧面と屋内側枠内面20の左内面21との間に位置される水密維持部材7、下押圧部67の右側端面67s及び右押圧板66bの押圧面と屋内側枠内面20の右内面22との間に位置される水密維持部材7が、図3(b)に示すような、扉11が閉じられたことにより発生する押圧力F1、F2、F2によって、圧密状態となる。
従って、扉枠1の屋内側枠内面20の左内面21、右内面22、下内面23と止水板6の左押圧部65、右押圧部66、下押圧部67の各押圧面との間の水密性能が良好に維持された扉枠1の止水構造が構成される。
【0020】
以上説明したように、実施形態1に係る止水板6によれば、グレモン錠のような機構を用いて扉を戸当り側に押し付けるようにするなどの方策を施すことなく、簡単な構成で、十分な止水性能を維持できる扉枠1の止水構造を構成できるようにした止水板6を提供できるようになった。
【0021】
実施形態2
実施形態1では、屋内側枠内面20の左内面21、下内面23、右内面22に対向する左押圧部65の押圧面、下押圧部67の押圧面、右押圧部66の押圧面に水密維持部材7が設けられた構成の止水板6を例示したが、図4に示すように、水密維持部材7を備えない構成の止水板6Aを用いてもよい。
尚、図4において、実施形態1の図1乃至図3で説明した部分と同一部分については同一符号を付してその説明を省略する。
【0022】
実施形態2においては、例えば図4に示すように、止水板6Aの左押圧部65の押圧面、下押圧部67の押圧面、右押圧部66の押圧面と対向する屋内側枠内面20の左内面21、下内面23、右内面22に亘って連続して延在するように、水密維持部材7を凹状に設ける。当該水密維持部材7は、例えば、粘着テープや粘着剤等の取付手段により、屋内側枠内面20の左内面21、下内面23、右内面22に着脱自在に取付けられる。
そして、扉11が開放された状態で、止水板6Aを扉枠1の屋外側に設置する。
即ち、図4(a)に示すように、止水板6Aの可変板部61の凸状板面63を屋外側に位置させて、かつ、可変板部61の凹状板面64の左端側、右端側、下端側を扉枠1の左端側、右端側、下端側の戸当り30に対向させるとともに、左押圧部65、右押圧部66、下押圧部67の各押圧面が扉枠1の開口51の内面である屋内側枠内面20の左内面21、右内面22、下内面23に設けられた水密維持部材7と対向するように、止水板6Aを扉枠1に設置する。尚、この場合、止水板6Aは、例えば、屋内側枠内面20の下内面23に設けられた水密維持部材7の上に下押圧部67の押圧面を載せた状態となるように、扉枠1に設置する。
その後、図4(b)に示すように、扉11を閉じると、止水板6Aの可変板部61の凸状板面63が扉11で押圧されて、可変板部61が平板状になるように変形して、左押圧部65、右押圧部66、下押圧部67の各押圧面が、屋内側枠内面20の左内面21、下内面23、右内面22に設けられた水密維持部材7を押し付ける。
従って、扉枠1の屋内側枠内面20の左内面21、右内面22、下内面23と止水板6の左押圧部65、右押圧部66、下押圧部67の各押圧面との間の水密性能が維持された扉枠1の止水構造が構成される。
【0023】
つまり、実施形態2においては、実施形態1において止水板6に設けられていた水密維持部材7を、扉枠1の戸当り30よりも屋内側に位置される開口51の内面(即ち、屋内側枠内面20の左内面21、下内面23、右内面22)に設けるようにした。そして、止水板6Aは、可変板部61における凹状板面64の左端側、右端側、下端側が扉枠1の戸当り30に対向し、かつ、左押圧部65、右押圧部66、下押圧部67の各押圧面が扉枠1の開口51の内面と対向するように設置された後、扉11によって開口51が閉じられた場合に、凸状板面63が扉11に押圧されたことによって可変板部61が湾曲板から平板状に変形して、扉枠1の戸当り30よりも屋内側に位置される開口51の内面に設けられた水密維持部材7が各押圧面により押圧された状態に維持されることで、扉枠1の開口51における下側部分を水密を維持した状態で塞ぐように構成されたものとした。
即ち、止水板6Aにより、扉枠1の開口51における下側部分が塞がれるとともに、水密維持部材7により、止水板6Aの左押圧部65、右押圧部66、下押圧部67の各押圧面と扉枠1の開口51の内面との間の水密性能が良好に維持された扉枠1の止水構造が構成されることになる。
【0024】
実施形態2に係る止水板6Aによれば、実施形態1の止水板6と同じ効果が得られる。即ち、グレモン錠のような機構を用いて扉を戸当り側に押し付けるようにするなどの方策を施すことなく、簡単な構成で、十分な止水性能を維持できる扉枠1の止水構造を構成できるようにした止水板6Aを提供できる。
【0025】
実施形態3
図5に示すように、止水板として、押圧部62を備えずに、可変板部61と、可変板部61に設けられた水密維持部材7とを備えた構成の止水板6Bを用いてもよい。
尚、図5において、実施形態1の図1乃至図3で説明した部分と同一部分については同一符号を付してその説明を省略する。
【0026】
即ち、止水板6Bは、可変板部61が、扉枠1の左端側、右端側、下端側の戸当り30に対向する凹状板面64の左端側、右端側、下端側に、水密維持部材7を備えた構成する。
当該水密維持部材7は、例えば、凹状板面64の左端側、右端側、下端側に亘って連続して延在するように、凹状に設けられている。
水密維持部材7は、例えば、全面、又は、数か所が、接着剤等の取付手段により、凹状板面64の左端側、右端側、下端側に取付けられる。
そして、扉11が開放された状態で、止水板6Bを扉枠1の屋外側に設置する。
即ち、図5(a)に示すように、止水板6Bの可変板部61の凸状板面63を屋外側に位置させて、かつ、可変板部61の凹状板面64の左端側、右端側、下端側に設けられた水密維持部材7を扉枠1の左端側、右端側、下端側の戸当り30に対向させるように設置する
その後、図5(b)に示すように、扉11を閉じると、止水板6Bの可変板部61の凸状板面63が扉11で押圧されて、可変板部61が平板状になるように変形して、可変板部61の凹状板面64の左端側、右端側、下端側に設けられた水密維持部材7が、扉枠1の左端側、右端側、下端側の戸当り30に押し付けられる。
【0027】
つまり、実施形態3の止水板6Bは、凹状板面64の左端側、右端側、下端側に設けられた水密維持部材7が扉枠1の左端側、右端側、下端側の戸当り30に対向するように設置された後、扉11によって開口51が閉じられた場合に、凸状板面63が扉11に押圧されたことによって可変板部61が湾曲板から平板状に変形して、凹状板面64の左端側、右端側、下端側に設けられた水密維持部材7が扉枠1の左端側、右端側、下端側の戸当り30に押し付けられた状態に維持されることで、扉枠1の開口51における下側部分を水密を維持した状態で塞ぐように構成された止水板6Bとした。
【0028】
実施形態4
図6に示すように、実施形態3の止水板6Bの可変板部31に設けられていた水密維持部材7を備えずに、可変板部61により構成された止水板6Cを用いるようにしてもよい。
尚、図6において、実施形態3の図5で説明した部分と同一部分については同一符号を付してその説明を省略する。
【0029】
実施形態4では、扉枠1の左端側、右端側、下端側の戸当り30に、水密維持部材7を設けておく。
当該水密維持部材7は、例えば、扉枠1の左端側、右端側、下端側の戸当り30に亘って連続して延在するように、凹状に設けられている。当該水密維持部材7は、例えば、粘着テープや粘着剤等の取付手段により、扉枠1の左端側、右端側、下端側の戸当り30における屋内側枠内面20の屋外側端縁29に着脱自在に取付けられる。
そして、扉11が開放された状態で、止水板6Cを扉枠1の屋外側に設置する。
即ち、図6(a)に示すように、止水板6Cを構成する可変板部61の凸状板面63を屋外側に位置させて、かつ、可変板部61の凹状板面64の左端側、右端側、下端側を扉枠1の左端側、右端側、下端側の戸当り30に設けられた水密維持部材7に対向させるように止水板6Cを設置する。
その後、扉11を閉じると、図6(b)に示すように、止水板6Cを構成する可変板部61の凸状板面63が扉11で押圧されて、可変板部61が平板状になるように変形して、可変板部61の凹状板面64の左端側、右端側、下端側が、扉枠1の左端側、右端側、下端側の戸当り30に設けられた水密維持部材7に押し付けられる。
【0030】
つまり、実施形態4の止水板6Cは、凹状板面64の左端側、右端側、下端側が扉枠1の左端側、右端側、下端側の戸当り30に設けられた水密維持部材7に対向するように設置された後、扉11によって開口51が閉じられた場合に、凸状板面63が扉11に押圧されたことによって可変板部61が湾曲板から平板状に変形して、扉枠1の左端側、右端側、下端側の戸当り30に設けられた水密維持部材7が平板状に変形する可変板部61により押圧された状態に維持されることで、扉枠1の開口51における下側部分を水密を維持した状態で塞ぐように構成された止水板6Cとした。
【0031】
実施形態3,4においては、図5(b),図6(b)に示すように、扉11が閉じられた状態に維持された場合、扉11の屋内側板面12と止水板6B,6Cの可変板部61の凸状板面63とが密着した状態となって、可変板部61が扉11により押圧された状態に維持されることになる。
この状態においては、可変板部61の凹状板面64の左端側、右端側、下端側と戸当り30との間に位置される水密維持部材7が、平板状に変形する可変板部61に押圧されて、戸当り30の気密維持部材32を押圧し、当該水密維持部材7と気密維持部材32とが密着した状態になる。
従って、止水板6B,6Cにより、扉枠1の開口51における下側部分が塞がれるとともに、水密維持部材7と気密維持部材32とにより、凹状板面64の左端側、右端側、下端側と扉枠1の左端側、右端側、下端側の戸当り30との間の水密性能が良好に維持された扉枠1の止水構造が構成されることになる。
【0032】
実施形態5
実施形態3,4においては、水密維持部材7を設けるようにしたが、扉枠1の戸当り30に設けられたエアタイトゴム等の気密維持部材32を、水密維持部材として利用するようにしてもよい。
即ち、実施形態5の場合、実施形態4の止水板6Cを用いて、気密維持部材32を、水密維持部材として利用する。
実施形態5の場合、まず、扉11が開放された状態で、止水板6Cを扉枠1の屋外側に設置する。
即ち、止水板6Cを構成する可変板部61の凸状板面63を屋外側に位置させて、かつ、可変板部61の凹状板面64の左端側、右端側、下端側を扉枠1の左端側、右端側、下端側の戸当り30に設けられた気密維持部材32に対向させるように止水板6Cを設置する。
その後、扉11を閉じると、止水板6Cを構成する可変板部61の凸状板面63が扉11で押圧されて、可変板部61が平板状になるように変形して、可変板部61の凹状板面64の左端側、右端側、下端側と扉枠1の左端側、右端側、下端側の戸当り30に設けられた気密維持部材32とが密着した状態になるので、当該気密維持部材32が水密維持部材として機能して、凹状板面64の左端側、右端側、下端側と扉枠1の左端側、右端側、下端側の戸当り30との間の水密性能が良好に維持された扉枠1の止水構造が構成されることになる。
【0033】
尚、本発明に係る、扉枠1の屋内側枠内面20で囲まれて形成された開口51における下側部分を塞ぐように設置される止水板は、左端と右端との間の板部が一方方向に突出する凸状板面63と凹状板面64とを有した湾曲板により構成された可変板部61を備え、当該可変板部61は、凹状板面64の左端側、右端側、下端側が、扉枠1の戸当り30に対向するように設置された後、扉11によって開口51が閉じられた場合に、凸状板面63が扉11に押圧されたことによって、可変板部61が湾曲板から平板状に変形して、扉枠1の開口51における下側部分を水密を維持した状態で塞ぐように構成されたものであればよい。
【符号の説明】
【0034】
1 扉枠、6,6A,6B,6C 止水板、7 水密維持部材、11 扉、
20 屋内側枠内面(扉枠の開口の内面)、30 戸当り、51 扉枠の開口、
61 可変板部、62 押圧部、63 凸状板面、64 凹状板面、
65 左押圧部、66 右押圧部、67 下押圧部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6