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特開2023-59313高齢者の生活支援システム及び支援方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023059313
(43)【公開日】2023-04-27
(54)【発明の名称】高齢者の生活支援システム及び支援方法
(51)【国際特許分類】
   G08B 25/04 20060101AFI20230420BHJP
   G08B 25/10 20060101ALI20230420BHJP
   H04M 11/00 20060101ALI20230420BHJP
   G16H 20/00 20180101ALI20230420BHJP
【FI】
G08B25/04 K
G08B25/10 D
H04M11/00 302
H04M11/00 301
G16H20/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】25
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021169234
(22)【出願日】2021-10-15
(71)【出願人】
【識別番号】500149016
【氏名又は名称】データシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087169
【弁理士】
【氏名又は名称】平崎 彦治
(72)【発明者】
【氏名】越野 利栄
(72)【発明者】
【氏名】木水 善宏
【テーマコード(参考)】
5C087
5K201
5L099
【Fターム(参考)】
5C087AA09
5C087AA10
5C087AA19
5C087AA37
5C087AA42
5C087DD03
5C087DD24
5C087EE06
5C087FF01
5C087FF02
5C087FF23
5C087GG08
5C087GG09
5C087GG66
5C087GG70
5C087GG83
5C087GG84
5K201BA03
5K201BA19
5K201CA04
5K201CA09
5K201CC01
5K201CC08
5K201CC10
5K201EC05
5K201ED04
5K201ED05
5K201ED09
5K201EF07
5K201EF09
5L099AA13
(57)【要約】
【課題】 高齢者が安全で安心して暮らすことが出来る支援システムの提供。
【解決手段】 高齢者宅に配置した装置1、高齢者の家族が所持しているスマートホン2、及び複数の高齢者宅と連絡可能に繋がっているサービスセンター3で構成し、上記装置1はサービスセンター3からの情報を受信する機能を有し、そして、スマートホン2から送信される情報を受信して画面に表示し、また音声を発す機能を有し、さらに装置1は高齢者が発する情報を上記スマートホン2へ送信可能にしている。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高齢者が安全で安心して暮らすことが出来る支援システムにおいて、高齢者宅に配置した装置、高齢者の家族が所持しているスマートホン、及び高齢者宅の装置と連絡可能に繋がっているサーバーを備えたサービスセンターで構成し、上記装置はタブレットから成って、サービスセンターからの情報を受信する機能を有し、そしてスマートホンから送信される情報を受信して画面に表示し、また音声を発す機能を有し、装置は高齢者が発する情報を上記スマートホンへ送信可能にしていることを特徴とする高齢者の生活支援システム。
【請求項2】
上記装置は絵画や写真を表示する額縁の外観を呈し、上記サービスセンターから色々な絵画や写真を定期的に送信されて常時画面に表示され、家族のスマートホン又はサービスセンターからの情報が送信された際には、絵画や写真に優先して該情報を表示するように構成した請求項1記載の高齢者生活支援システム。
【請求項3】
上記装置を高齢者宅の各部屋ごとに設置した請求項1,又は請求項2記載の高齢者生活支援システム。
【請求項4】
起床時刻になると「おはようございます。今日は○○の日です。今日も一日元気に暮らしましょう」の標準メッセージがBGMと画像をまじえ出力され、また就寝時刻になると「今日も一日ご苦労様でした。お休みなさい。」と夜の挨拶をBGMと画像をまじえ出力され、さらに、時計機能により毎時、所定の時刻になった時、その時刻を「只今○○時です」と標準音声とBGMと画像をまじえ出力するようにした請求項1、請求項2、又は請求項3記載の高齢者の生活支援システム。
【請求項5】
上記装置の記憶装置には、指定された日付、曜日、時刻に合わせ出力することが出来る音声と画像データを記録した請求項1、請求項2、請求項3、又は請求項4記載の高齢者の生活支援システム。
【請求項6】
上記装置から家族の音声を発するように機能し、また家族の顔や姿を静止画、又は動画で表示するようにした請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、又は請求項5記載の高齢者の生活支援システム。
【請求項7】
上記装置を覆う外部額縁に温度センサーと人感センサーを取り付け、人感センサーは装置が設置されている正面エリアにおける高齢者の動きを示すディジタルデータ、温度センサーは装置が設置されている周辺の温度を計測したディジタルデータを一定時間ごとに集計してスマートホンに送信するようにした請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5、又は請求項6記載の高齢者の生活支援システム。
【請求項8】
内臓カメラ人感センサーから得られる高齢者の動きが、設定された一定時間を越えて発生しない場合、緊急ブザーを鳴動させると共に該高齢者に安否確認を呼びかけるメッセージを設定された回数分繰り返すとともに、カメラ撮影機能と音声入力機能が稼働して室内状況を音声データにてスマートホンに送信するようにした請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5、請求項6,又は請求項7記載の高齢者の生活支援システム。
【請求項9】
温度センサーから得られる温度が設定された温度の上限又は下限を越え、且つその時間が設定された時間を越えたとき、緊急ブザーを鳴動させると共に該高齢者に安否確認を呼び掛けるメッセージを設定された回数分繰り返すとともに、カメラ撮影機能と音声入力機能が稼働して室内状況を動画と音声データにてスマートホンに送信するようにした請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5、請求項6、請求項7,又は請求項8記載の高齢者の生活支援システム。
【請求項10】
高齢者が安全で安心して暮らすことが出来る支援方法において、高齢者宅には、サービスセンターからの情報を受信する機能を有し、家族のスマートホンから送信される情報を受信して画面に表示し、また音声を発す機能を備えたタブレット型を成す装置を有し、そして、高齢者が発する情報を上記スマートホンやサービスセンターへ送信することが出来るようにしたことを特徴とする高齢者の生活支援方法。
【請求項11】
上記タブレット型装置は絵画や写真を表示する額縁の外観を呈し、上記サービスセンターから送信される色々な絵画や写真を常時画面に表示し、家族のスマートホン又はサービスセンターからの情報が送信された際には、絵画や写真に優先して該情報を表示するように構成した請求項10記載の高齢者の生活支援方法。
【請求項12】
起床時刻になると「おはようございます。今日は○○の日です。今日も一日元気に暮らしましょう」の標準メッセージがBGMと画像をまじえ出力され、また就寝時刻になると「今日も一日ご苦労様でした。お休みなさい。」と夜の挨拶をBGMと画像をまじえ出力され、さらに、時計機能により毎時、所定の時刻になった時、その時刻を「只今○○時です」と標準音声とBGMと画像をまじえ出力するようにした請求項10、又は請求項11記載の高齢者の生活支援方法。
【請求項13】
上記タブレット型装置から、指定された日付、曜日、時刻に合わせて音声と画像を出力するようにした請求項10、請求項11、又は請求項12記載の高齢者の生活支援方法。
【請求項14】
上記タブレット型装置から家族の音声を発し、また家族の顔や姿を静止画、又は動画で表示するようにした請求項10、請求項11、又は請求項12記載、又は請求項13記載の高齢者の生活支援方法。
【請求項15】
高齢者の時刻に応じた生活習慣になっている起床、着替え、朝食準備、清掃、ペットなどの世話、園芸作業、買い物や散歩、昼食準備、夕食準備、就寝時刻等の促しと必要な注意事項を呼びかけるようにした請求項14記載の高齢者の生活支援方法。
【請求項16】
高齢者若しくは家族にとって特別な日である誕生日、結婚記念日、命日等を知らせるようにした請求項14記載の高齢者の生活支援方法。
【請求項17】
居住する地域共同体における通知事項や必要な情報であるゴミ出し日、地域の共同清掃や各種の行事、自治会に関する事を知らせるようにした請求項14記載の高齢者の生活支援方法。
【請求項18】
特別な気象条件が予測される猛暑(寒冷)や暴風雨日には、冷暖房、外出抑制、安全な場所への避難を知らせるようにした請求項14記載の高齢者の生活支援方法。
【請求項19】
高齢者の健康を維持するために、服用中の薬を飲み忘れないこと、デイサービスや診療日の送迎時刻や服装、マスク等の必要な所持品、消費期限が過ぎた古い食べ物を摂取しないことについての説明や注意を促すようにした請求項14記載の高齢者の生活支援方法。
【請求項20】
火気取り扱いに注意すること、電気や電灯スイッチ消し忘れをしないこと、交通ルールを遵守すること、高齢者を狙った犯罪についての注意を知らせるようにした請求項14記載の高齢者の生活支援方法。
【請求項21】
高齢者の配偶者が過去に死亡した場合や、入院や施設に入所している場合、それらの事実を認識しないために、この事実を丁寧に説明したメッセージを1日に何度も知らせるようにした請求項14記載の高齢者の生活支援方法。
【請求項22】
高齢者が普段から興味を持っている音楽や歌を出力しながら該高齢者が好む話題についてのメッセージを発することにした請求項14記載の高齢者の生活支援方法。
【請求項23】
上記タブレット型装置を覆う外部額縁に温度センサーと人感センサーを取り付け、人感センサーは装置が設置されている正面エリアにおける高齢者の動きを示すディジタルデータ、温度センサーは装置が設置されている周辺の温度を計測したディジタルデータを一定時間ごとに集計してスマートホンに送信するようにした請求項10、請求項11、請求項12記載、請求項13、又は請求項14記載の高齢者の生活支援方法。
【請求項24】
人感センサーから得られる高齢者の動きが、設定された一定時間を越えて発生しない場合、緊急ブザーを鳴動させると共に該高齢者に安否確認を呼びかけるメッセージを設定された回数分繰り返すとともに、カメラ撮影機能と音声入力機能が稼働して室内状況を音声データにてスマートホンに送信するようにした請求項10、請求項11、請求項12記載、請求項13、請求項14、又は請求項23記載の高齢者の生活支援方法。
【請求項25】
温度センサーから得られる温度が設定された温度の上限又は下限を越え、且つその時間が設定された時間を越えたとき、緊急ブザーを鳴動させると共に該高齢者に安否確認を呼び掛けるメッセージを設定された回数分繰り返すとともに、カメラ撮影機能と音声入力機能が稼働して室内状況を動画と音声データにてスマートホンに送信するようにした請求項10、請求項11、請求項12記載、請求項13、請求項14、請求項23、又は請求項24記載の高齢者の生活支援方法。




【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は記憶力や認知機能が衰えている高齢者等が安全に安心して生活することを支援するシステム及び支援方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年では、高齢者(老人)が増加し、子供が別居して夫婦二人で生活している場合、また一人暮らしの人も多い。今日では65歳以上の高齢者の人口比率は25%を超えており、この内、男性は8人に一人が一人暮らし、女性は5人に一人が一人暮らしをしている。平成29年度高齢者白書によると、2012年は認知症患者数が約460万人、高齢者人口の15%という割合だったものが2025年には5人に1人、20%が認知症になるという推計もある。ところで、認知能力が衰えている高齢者等が1人で生活する場合、次に示すような様々な問題が生ずる。
【0003】
(1)日付(曜日)時刻ごとに決められている地域社会との関係維持が困難になり、地区の行事や曜日ごとに決められているゴミ出し作業、医療機関への通院、介護施設による訪問サービスやデイサービス等を受けることも難しい。
(2)起床時刻、食事時刻、就寝時刻時の時間的な感覚が薄れ、日々の日常作業、掃除、洗濯、常用薬摂取等も忘れがちになる。
(3)日付(曜日)の感覚が薄れ、自分の誕生日、結婚記念日、祝日等、特別な日を忘れてしまうことがある。
(4)火気取り扱い、戸締り等、深刻な事故につながる恐れがある重大な危険に対しても注意を怠ったりすることがあり、該家族等、周辺住人が重大な危険を感じることがある。
(5)一般社会との関係が希薄になると、高齢者等の心理状態が自閉症気味に陥りやすく、他人の注意や助言も聞き入れず孤立状態になり、心身面での障害が起こりやすい。
(6)家族にとっては、自分の日常生活もある為、高齢者の生活を常時見守ることは出来ず、いつも不安感を抱きながら日々生活をしている。
【0004】
ところで、高齢者が生活する上で、助けになるような技術も色々知られている。
特開2021-33979号に係る「見守りシステム」は、リードセンサを対象者が毎 朝利用する寝室やトイレ等のドアに取り付け、任意の定刻に検知を開始、対象者が起床し、検知するユニットがリードセンサの反応を検知するとシステムは終了して翌日の定刻まで待機し、翌日の定刻に再度検知を開始する。任意の一定時間内、動きを検知しない場合にのみ、インターネットを利用しメールやアプリのセンサーなどにて見守る方のデバイスに通知を行うシステムである。
【0005】
特開2017-38266号に係る「見守り装置」は、スマートホンやパソコンの操作に慣れてない高齢者が容易にソーシャルネットワーキングサービスを用いて非同期かつ双方向のコミュニケーションをとれるようにしている。
外部システムを用いて第1ユーザを第2ユーザが見守る見守り装置にボタン押下検出部と音声変換出力部と動画・音声記録部と送信経路学習部とを備える。ボタン押下検出部がボタンの短押しを検出すると、見守り者が外部システムを用いて発信した情報を音声変換出力部が出力し、長押しを検出すると、被見守り者の声などを動画・音声記録部が入力して外部システムを用いて発信する。送信経路学習部は、見守り者および被見守り者によって発信された情報の内容に基づいて前記入力手段が発信する情報の受取人を特定することが出来る。
【0006】
特開2016-146150号に係る「スマートホンを用いた見守りシステムのビジネスモデル」は、見守り対象者である居住者の存在や動きを捉えた見守り情報をインターネット上のサーバーに保存し、登録された見守り者や事業者が閲覧可能な見守りシステムである。
スマートホンから得られる見守り情報、あるいはスマートホンに無線接続された各種センサーからの見守り情報を収集し、スマートホンのデータ通信機能を介してインターネットに接続されたサーバーに保存し、見守り対象者である居住者の存在や動き、外出/在室等を捉えた見守り情報をインターネット上のサーバーに時系列で保存し、予め登録された見守り者、あるいは見守り事業者が閲覧する。
【0007】
さらに、特開2013-235321号に係る「障害情報共有システム」、特開2005-196812に係る「生活見守りシステムおよび方法」などが知られている。
【特許文献1】特開2021-33979号に係る「見守りシステム」
【特許文献2】特開2017-38266号に係る「見守り装置」
【特許文献3】特開2016-146150号に係る「スマートホンを用いた見守りシステムのビジネスモデル」
【特許文献4】特開2013-235321号に係る「障害情報共有システム」
【特許文献5】特開2005-196812号に係る「生活見守りシステムおよび方法」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このように、高齢者が一人暮らしをする場合、記憶や認知能力の低下によって様々な問題が生ずることが多い。本発明が解決しようとする課題は、経済事情や家庭の事情でやむを得ず高齢者と別居せざるを得ない該高齢者の家族が、高齢者特有の問題点を解決し高齢者が安全に生活できるよう支援し、該高齢者の家族等や関係者に安心感を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
装置はCPUと各種情報記憶装置を有し、日付、曜日、時刻を表示でき、内蔵カメラによる動画又は静止画を撮影する機能、温度センサー接続による温度測定機能、動体センサー接続による動体検知機能、音声や動画、静止画などのデータを入力、設定しておき、その後、日付、時間、条件に応じて出力する機能、外部との通信を行う通信機能等を有するタブレット型の製品である。該装置を高齢者の家族、若しくは該高齢者の関係者により該高齢者が居住する屋内の居間等、該高齢者が在室する機会が多い場所に設置するが、有線若しくは無線LANにより他の部屋にも設置し複数の装置としても運用できる。該装置の電源はコンセントにより電気配線に接続される方式と電池式がある。
【0010】
装置には高齢者が常に日付や時刻の感覚を明瞭に意識できるよう日付や曜日に関する一般的な説明、1時間ごとの時報案内、および画像、BGM等が装置の製造段階で設定されており、日常的に日付、時刻、その他必要に応じ第三者音声若しくは人工音声で発声される標準音声により出力され、これらのメッセージを標準メッセージと称する。
これに対し、該高齢者が忘れ難く親しみを感じている該高齢者の家族が装置に該高齢者に対し家族の音声で発声する注意や連絡に加え、動画、又は静止画を事前に設定しておき、日付、時刻その他、必要に応じて装置より出力するものを家族メッセージと称する。
【0011】
装置から毎日午前中、設定された起床時刻になると「おはようございます。今日は○○の日です。今日も一日元気に暮らしましょう」等の標準メッセージがBGMと画像をまじえ出力される。これに対し、設定された就寝時刻になると「今日も一日ご苦労様でした。お休みなさい。」等と夜の挨拶をBGMと画像をまじえ出力される。又、時計機能により毎時、時刻が0分となった時、その時刻を「只今○○時です」等と標準音声とBGMと画像をまじえ出力される。
【0012】
日付、時刻に応じた標準メッセージ出力に加え、高齢者が聴き慣れた該高齢者の家族が発する音声と画像による家族メッセージを加えることにより、次のように高齢者と家族間の効果的なコミュニケーションを実現できる。
(1)最初に装置を該高齢者宅に設置する際、装置購入時に設定されている標準メッセージとは別に該設置者が該高齢者に特有な情報や該高齢者に必要な情報等を家族メッセージとして装置に直接入力しておき、日付や時刻、必要に応じて装置から出力できる。
又、該高齢者宅に装置を設置後であっても該家族はスマートホンに家族メッセージを入力し、ネットワークを通じてリモートで装置に入力、設定し日付や時刻、必要に応じて出力できる。
(2)重要な注意や連絡、説明等については該高齢者が忘れると重大な問題が生ずることがあるので該装置の日付や時刻表示機能を使い、日付や時刻ごとに何度も繰り返すことができる。
(3)家族メッセージは該高齢者の興味が増大するように工夫を加えた編集を行い、日付、時刻、必要に応じ出力することにより該高齢者の注意や興味を喚起できる。
具体的には該高齢者が好きな歌やBGM、印象深い過去の写真や動画等をまじえ必要な連絡や注意を呼び掛ける。
(4)家族から該高齢者への呼びかける際、家族メッセージは該高齢者、および該高齢者宅の周辺に重大な危険やトラブルに繋がることや絶対的に厳守すべき事項等、については該高齢者にとって、より厳しく感ぜられるように真剣かつ厳しい画像と音声表現での注意も行うことができる。
(5)家族メッセージは該メッセージを入力する該家族が該高齢者に及ぼす注意や連絡効果を常時観察し改善することにより、さらに効果的な家族メッセージへと進化できる。
【0013】
家族メッセージは、事前に高齢者の家族が該高齢者の状況に応じ、家族自身の音声と画像により作成したものであり、日付(曜日)、時刻、該高齢者の状況と条件に合わせ、遅くとも当日の朝までに該高齢者の自宅で該家族が該装置に直接入力設定するか、若しくは家族のスマートホンから該装置にリモートで入力設定でき具体的な内容は次のようなものである。
(1)該高齢者の時刻に応じた生活習慣を支援する情報
(2)該高齢者にとって特別な日の説明や注意
(3)居住する地域共同体における通知事項や必要な情報
(4)特別な気象条件が予測される日の説明や注意
(5)該高齢者の健康を維持するための説明や注意、
(6)該高齢者と地域社会の安全に関する説明や注意
(7)該高齢者の環境や家族に関する重大な変更についての説明
(8)高齢者の心を癒すBGMや音楽出力
【0014】
温度を測定する温度センサーと動体を検知する動体センサーを装置に接続、若しくは内蔵し、一定時間ごとに装置周辺の平均温度と動体物の検知を行い事前に設定した安全温度の上限、若しくは下限を越えた時、注意メッセージを音声と画面によって出力し、高齢者が危険温度状態に陥ることを防止している。
(1)該装置に接続される温度センサーにより1時間ごとに該装置周辺の平均温度を測定し、該平均温度が該安全温度範囲の上限若しくは下限を越えた時、該装置に接続された動体センサーにより該時間内に動体物が検知された時は高温(低温)について注意してください、との注意メッセージを装置の画面に出力し同時に音声で注意を呼び掛ける。該平均温度が該温度の上限若しくは下限を越えていても該時間における動体情報が検知されない時は注意メッセージを出力しない。
(2)該時間における該平均温度情報と該動体検知情報、該装置の固有番号、注意メッセージの有無に関するデータをセンサー情報と称しサービスセンターのサーバーに該時間ごとに送信される。
【0015】
本発明に係る高齢者の生活支援システムをサービスするサービスセンターの役割
(1)該装置を設置者が該高齢者宅に設置する際、設置者が装置に入力した該高齢者の識別番号、氏名、年齢、性別、および該高齢者に特有な必要情報などの高齢者個人データをインターネットにより受信しサーバーに該高齢者の個人レコードとして登録する。
(2)高齢者に好まれる絵画、写真、BGMなどを定期的に該高齢者宅に設置してある装置に送信する。
(3)一定時間ごとに該装置によって計測された1時間当たりの平気温度、動体件数、高温異常値、低温異常値、注意メッセージ等のセンサー情報を該装置から受信しサーバー内に存在する該高齢者のセンサーフアイルに対し新規のセンサー情報として追加する。同時にセンサーフアイルを該高齢者の家族とサービスセンター間で決められた時刻に該高齢者の家族が持つスマートホンに送信する。
(4)その他、該装置の日付(曜日)、時刻が正常でない場合、これらを補正する。
【発明の効果】
【0016】
本発明の生活支援システムは、高齢者の住宅に装置が配置され、該装置から必要な情報が提供されることによって該高齢者は常時、該装置から出力されるメッセージを見たり聞いたりすることで該高齢者の安全、安心な生活支援を推進する。すなわち、該装置の画面には日付け、時刻、曜日が常時表示され、日付、時刻、その他、必要に応じて日常生活に必要な情報が音声と画像で出力される。又、出力されるメッセージは装置の製造過程で入力、設定されている内容を家族以外の第三者による標準音声によるものと家族等が必要に応じ独自に作成し家族の音声で発声される独自音声があり、独自音声によるメッセージは該高齢者の個人的な情報を熟知している家族等が作成するので、該高齢者にとって聴き慣れた音声や話し方によるメッセージとなり、高齢者の安全な生活維持に役立てるものである。しかも装置1は時計や額縁入りの画像の外観を呈し高齢者が常時居住する室内におかれているので、高齢者にとっては心が安らぐインテリア用品となる。高齢者はこの生活支援システムを利用することで、日付や時刻、その他の条件に応じて、装置から出力されるメッセージをより明快に確実に理解することが出来ることから、毎日の生活をより安全に暮らせるということに大きな効果があり、常時高齢者の安否を気にしていながらも、日々の生活事情に時間を取られ高齢者を見守ることが出来ない別居中の家族にとって装置1を設置することで、24時間、常時注意しなければならないという生活から解放され、精神的にも安心できる。このような家族メッセージは常時その効果を分析することによって、より効果的な家族メッセージに改善することが出来るので、利用するにしたがってその効果は増大できる。又、該装置の温度センサーによる温度データや動体センサーによる物体運動量測定データを該高齢者の家族はサービスセンターを経由して定期的に自分のスマートホンに受信できるので装置が置かれている室内温度、装置前面の動体検知状況を知ることができ重大事故が発生する前に必要な対応をとれる。また、室内温度が事前に設定してある安全温度以上、若しくは以下の場合、装置から該高齢者に音声と画面で緊急避難を呼びかけることができるので、危険温度による該高齢者の熱中症や低体温症の発生を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】高齢者支援システム体系図。
図2】装置の外観図。
図3】装置に備わっている温度センサー、動体センサー、及びスピーカー。
図4】室内温度データと動体検知回数データを測定することで警告メッセージを出力し、そしてサービスセンターを介して家族のスマートホンにも連絡するシステム。
図5】一定時間ごとに装置から該時間のセンサーデータと室内映像、音声データをサービスセンターに送信するシステムの具体例。
図6】時刻ごとのセンサーデータでアラートフアイルを更新しアラート情報として定期的に家族のスマートホンに送信するシステムの具体例。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は本発明に係る生活支援システムの概要を示す体系図である。該生活支援システムは、同図に示すように高齢者宅に設置される装置1(ボイスタイマー)、別居している家族等が所持するスマートホン2、及びサービスセンターに設置されるサーバー3で構成している。
装置1には日付や曜日に応じ公知の情報について説明を行い、装置1の製造段階で入力設定された標準メッセージが日付や時刻に応じ音声と画面で出力される。又、装置1を高齢者宅に設置後、臨時的に必要となる家族メッセージ11は家族が保有するスマートホン2から入力し、サービスセンター3のサーバー3を経由して臨時メッセージ12として装置1に送信し、高齢者に対し臨時的に注意や説明を行うことができる。サービスセンター3では装置1から1時間ごとにセンサー情報を受信し、当日分のセンサーフアイルを更新し、設定された時刻に応じ高齢者の家族が持つスマートホン2に最新センサー情報を送信する。又、装置1に各種の画像や音楽などを配信するサービスを行うと共に、装置1の日付や時刻が正しくない時は装置1に表示される時刻、日付けの補正サービスを行うことが出来る。
【0019】
図2は本発明において高齢者の安全・安心な生活支援を行う装置1の外観図である。該高齢者居宅の適当な場所を選び卓上に設置したり、若しくは壁に掛けたりし、画面には常時、日付・曜日・時刻を表示すると共に、必要な情報や注意を音声で出力する機能を持っている。又、画面の背景には絵画や写真を表示して高齢者の心を和ませることができる。
【0020】
本発明は家族と別居している高齢者が安全に安心して暮らすことが出来るように支援することを目的として、今日の日付や曜日等の案内を行う標準メッセージに加え、該高齢者の家族が自らの音声で発する家族メッセージ11を図2に示す装置1のスピーカーから出力するシステムである。
【0021】
装置1の基本的な機能は次の通りである。
(1)標準音声による標準メッセージ出力
・時計・カレンダー機能を有しており、その為に装置1には日付け及び時刻、曜日が事前にセットされている。
・朝○○時になるとブザー音若しくはBGMに続き「おはようございます。今日は○○の日です。今日も一日元気に暮らしましょう」に続き、今日の日付けと曜日、その他BGMや画像による標準メッセージが出力される。
・夜○○時になると「「今日も一日ご苦労様でした。お休みなさい。」に続き必要なBGMや画像による標準メッセージが出力される。
(2)家族メッセージの設定と出力
家族は装置1を該高齢者の居宅に設置する際、該高齢者の健康と安全に必要な注意や連絡を行う家族メッセージ11を家族自身の音声と文章を該装置1に入力設定できる。この家族メッセージ11は次のように、入力され日々、時刻ごとに出力される標準メッセージに引き続き出力される。入力が完了した装置1は該高齢者の居宅に運ばれ家族若しくは第三者による設置者によって居間等の卓上に設置したり壁に掛けたりすることが出来る。
・該高齢者が記憶すべき特別な記念日、例えば誕生日、結婚記念日、命日など
・日常生活において外部との関係で日付や曜日時刻が決められているデイサービス日、通院日、ゴミ出し日、地域の住民活動日等について事前に設定して置き日付時刻に応じ事前に出力する。
・毎日、決められた時刻に行動しなければならない、起床時刻、就寝時刻、食事時刻、常用薬の服用、デイサービスの送迎時刻等について日付時刻状況に応じ出力する。
・該高齢者の健康状態や持病から生ずる危険を防止する為の食生活や生活条件に関する注意。
(3)スマートホンによる臨時家族メッセージの設定と送信
家族メッセージは装置1を該高齢者宅に設置する前に直接、装置1の入力部から入力されるが、装置1を設置後、該高齢者に対し家族から臨時的に必要となる次のような注意や連絡などを伝えたい場合、自己の音声で該家族のスマートホンにより臨時家族メッセージ12を作成し装置1に送信、設定し日付、時刻、状況に応じて音声や画像で出力することができる。臨時メッセージ12は定期的に出力される家族メッセージとは異なり、該高齢者が十分周知することが必要であるからブザーを鳴らした後、出力する。
・該高齢者が居住する地域で寒冷日、猛暑日、台風接近、集中豪雨、大雪など厳しい気候変動が予想される場合、若しくはこうした災害が生じた時に状況に応じた注意をする必要があるとき時。
・該高齢者の健康状態を考慮した場合、食事や行動などについて注意や助言をしたい時。
【0022】
装置1には、事前に安全温度の上限値、および下限値を定めておき、装置1の温度センサーと動体センサーの情報で高齢者及び高齢者周辺に生ずる危険予測を行い重大な事故を防止する為に、緊急メッセージ13が送信される。
(1)装置1に接続される温度センサーで周辺温度を常時計測し1時間の平均温度を装置1記憶部に該時間平均温度として記録する。同時に動体センサーにより該時間の装置前面における動体物の動体を常時検知し1時間の検知回数を装置1記憶部に該時間動体件数として記録する。
(2)該時間平均温度を計測中、計測された温度が設定された安全温度以上(以下)であり、同時に動体センサーで装置前面に何らかの動体が検知された時は装置1の音声出力部よりスピーカーを通じてブザーを鳴らし該高齢者の注意を喚起し「〇〇さん!危険な温度です。すぐにこの部屋から避難して下さい」と装置1画面に出力し音声出力部からも同様な文言を標準音声で出力し危険表示回数に1を加算する。該機能は該時間平均温度が安全温度範囲におさまった時、若しくは該時間動体検知が0になった時は中止されるが、該状態が継続する時は継続される。
(3)装置1に記録された該高齢者のセンサー情報(温度、動体情報9)の各項目は1時間ごとにサービスセンターに送信されサービスセンターではセンサーフアイルを更新する。
(4)該高齢者の家族は事前に設定した時間ごとにサービスセンターから過去24時間分のセンサーフアイルの温度、動体情報9であるセンサー情報を自己のスマートホンに受信できる。該高齢者の家族は該高齢者の居住するすべての部屋に装置1を設置している場合、個々の装置1について過去24時間分のセンサーフアイル情報をチェックすることにより、該高齢者の安全を確かめることが出来る。
【0023】
図3は、装置1に備わっている温度センサー6、動体センサー7、及びスピーカー8を表している。限定するものではないが、高齢者が安全に生活できる安全温度として10℃~28℃を設定し、温度センサー6によって装置1の周辺温度を常時計測している。
また、動体センサー7によって装置1の前面における運動物体(高齢者の動き)を常時検知している。
したがって、周辺の温度が設定した温度(10℃~28℃)を越えた場合、スピーカー8から警戒メッセージが出力される。また、動体センサー7が高齢者の動きを感知しない場合も、同じように警戒メッセージを出力する。
【0024】
図4は室内温度データと動体検知回数データを測定することで緊急メッセージ13を出力し、そしてサービスセンター3を介して家族のスマートホン2にも連絡する具体的なシステムを示している。
例えば、周辺の温度が設定温度(10℃~28℃)を越えた場合、スピーカー8からブザーが鳴動し、装置1の画面は「〇〇さん、暑すぎます。(寒すぎます。)すぐに避難して下さい。」といったメッセージを示す危険表示画面10となる。同じく、スピーカー8からは「〇〇さん、暑すぎます。(寒すぎます。)すぐに避難して下さい。」といった音声が出力される。
そして、警告回数が所定の回数を越えた場合、緊急メッセージ13を作成してサービスセンター3に送信する。緊急メッセージ13の具体的な内容は限定しないが、例えば「〇〇時〇〇分~〇〇時〇〇分、安全温度OVER(UNDER)〇〇℃」。そして、この緊急メッセージ13はサービスセンター3から家族のスマートホン2に送られる。
【0025】
図5は1時間ごとに、装置1から所定時間のセンサーデータ、室内映像、音声データをサービスセンターに送信するシステムを示す具体例である。
高齢者宅の各部屋ごとに装置1,1・・・が設置されている場合には、各部屋の装置1,1・・・ごとにセンサーデータ、室内映像、及び音声データが送信される。
ここで、同図に示すセンサーデータとして表示している項目はあくまでも具体例であり、限定はしない。
【0026】
図6は、時刻ごとのセンサーデータでアラートフアイルを更新しアラート情報として定期的に家族のスマートホン2に送信するシステムを示す具体例である。
同図の表に示すように、各装置1,1・・・ごとにデータを作成し、家族のスマートホン2に送信することが出来る。
周囲の室内温度の(max)と(min)を表示し、各時刻ごとの平均温度、動体検知回数、危険表示回数、緊急連絡回数を表にして作成する。そして、作成した表をインターネットを介してスマートホン2に送ることが出来る。
【符号の説明】
【0027】
1 装置(ボイスタイマー)
2 スマートホン
3 サービスセンター
4 絵画
5 額縁
6 温度センサー
7 動体センサー
8 スピーカー
9 温度・動体情報
10 危険表示画面
11 家族メッセージ
12 臨時メッセージ
13 緊急メッセージ








図1
図2
図3
図4
図5
図6