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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023059356
(43)【公開日】2023-04-27
(54)【発明の名称】布製知育玩具
(51)【国際特許分類】
   A63H 33/00 20060101AFI20230420BHJP
【FI】
A63H33/00 302A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021169308
(22)【出願日】2021-10-15
(71)【出願人】
【識別番号】000003584
【氏名又は名称】株式会社タカラトミー
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 好重
(72)【発明者】
【氏名】堀切 正司
【テーマコード(参考)】
2C150
【Fターム(参考)】
2C150BA01
2C150FB46
(57)【要約】
【課題】透孔から物品等のものの出し入れが容易な布製知育玩具を提供すること。
【手段】布製シートに、絵柄が表示され、前記絵柄の中に透孔が形成されているとともに、前記透孔に一端が繋がり当該透孔の外方に延びる切れ目が形成されている、ことを特徴とする。一端が透孔に繋がり透孔の外方に延びる切れ目が形成されているので、布製であることと相まって、透孔の大きさを実質的且つ効果的に拡張することができ、透孔よりも大きなものの出し入れが可能となるとともに、透孔と同じ大きさの物品ならば難なく出し入れすることが可能となる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
布製シートに、絵柄が表示され、前記絵柄の中に透孔が形成されているとともに、前記透孔に一端が繋がり当該透孔の外方に延びる切れ目が形成されている、ことを特徴とする布製知育玩具。
【請求項2】
前記絵柄をそれぞれ表示した複数のエリアが形成され、少なくとも1つの前記エリアの前記絵柄の中に、裏側に重ねられた他の前記エリアに表示された前記絵柄の一部を露出可能な透孔が形成されている、ことを特徴とする請求項1に記載の布製知育玩具。
【請求項3】
前記絵柄を表示した前記エリアを担持する複数枚の布製シートが綴じられている、ことを特徴とする請求項2に記載の布製知育玩具。
【請求項4】
1枚の布製シートから構成され、前記布製シートの第1面及び第2面とにはそれぞれ前記絵柄を表示した前記エリアが形成され、前記少なくとも1つの前記エリアの前記絵柄の中に形成された前記透孔から、折り重ねられた前記他のエリアの前記絵柄の一部を露出可能となっている、ことを特徴とする請求項2に記載の布製知育玩具。
【請求項5】
矩形の1枚の布製シートを互いに対向する辺が重なるように2つ折りする際に用いられる第1折れ線と、前記1折れ線とは直交する方向に一定間隔で設けられ蛇腹折りの際に用いられる複数の第2折れ線とによって前記複数のエリアの各々が区切られている、ことを特徴とする請求項4に記載の布製知育玩具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は布製知育玩具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ページの中に小さな透孔が形成され、この透孔を通して、次の紙に表示された絵柄の一部を覗けるように構成された絵本が知られている(例えば、非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】URL:https://www.peikko-moomin.jp/c/moomin/mmmedia/interbook/tokumasyoten/gd53524
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、透孔を利用し、透孔から人形等を出し入れすることができれば、飛び出す知育玩具としても利用することができ、遊びの幅を拡げることができる。
しかしながら、透孔から出し入れできる物品は当該透孔の大きさに限定され、透孔と同程度の物品をこじ入れる場合には透孔の縁が破損し、意匠性を損なったり、透孔に入れた物品を引き戻せなくなったりするという問題があった。特に、乳幼児の場合には、物品を握ったまま手指ごと透孔に入れてしまうことが多く、一人では手指を抜くのが困難となるという問題がある。これを回避するには、破れる素材を使用して、破れることを許容したり、手指が嵌ってしまうことを防止するために、大きな孔にするか、または出し入れできない程度に小さい孔にしなければならなかった。
本発明は、斯かる問題点に鑑みなされたもので、透孔から物品等のものの出し入れが容易な布製知育玩具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の手段は、布製シートに、絵柄が表示され、前記絵柄の中に透孔が形成されているとともに、前記透孔に一端が繋がり当該透孔の外方に延びる切れ目が形成されている、ことを特徴とする。
【0006】
第2の手段は、第1の手段であって、前記絵柄をそれぞれ表示した複数のエリアが形成され、少なくとも1つの前記エリアの前記絵柄の中に、裏側に重ねられた他の前記エリアに表示された前記絵柄の一部を露出可能な透孔が形成されている、ことを特徴とする。
【0007】
第3の手段は、第2の手段であって、前記絵柄を表示した前記エリアを担持する複数枚の布製シートが綴じられている、ことを特徴とする。
【0008】
第4の手段は、第2の手段であって、1枚の布製シートから構成され、前記布製シートの第1面及び第2面とにはそれぞれ前記絵柄を表示した前記エリアが形成され、前記少なくとも1つの前記エリアの前記絵柄の中に形成された前記透孔から、折り重ねられた前記他のエリアの前記絵柄の一部を露出可能となっている、ことを特徴とする。
【0009】
第5の手段は、第4の手段であって、矩形の1枚の布製シートを互いに対向する辺が重なるように2つ折りする際に用いられる第1折れ線と、前記1折れ線とは直交する方向に一定間隔で設けられ蛇腹折りの際に用いられる複数の第2折れ線とによって前記複数のエリアの各々が区切られていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、布製であるので透孔からの物品等のものの出し入れが容易である。また、布製であるので、変形し易いので、物品の大きさにもよるが、色々な角度で物品が挿入できる。また、透孔からは、後側を覗くことができ、後側に本等を当てれば、本の登場キャラクタを絵柄中に登場させて遊ぶことができる。
【0011】
また、一端が透孔に繋がり透孔の外方に延びる切れ目が形成されているので、布製であることと相まって、透孔の大きさを実質的且つ効果的に拡張することができ、透孔よりも大きなものの出し入れが可能となるとともに、透孔と同じ大きさの物品ならば難なく出し入れすることが可能となる。また、透孔自体を拡げる場合には、透孔を含んだ絵柄の構図等に大きな影響を与えるが、切れ目であるので目立たず、絵柄の構図等に与える影響が少ない。つまり、絵柄の構図等を優先に透孔の大きさを自由に決定することができる。
【0012】
また、切れ目が形成されているので、実質的に透孔の大きさが拡張され、透孔と同じ大きさのものであっても色々な角度で出し入れすることが可能となる。その結果、例えば、人形の登場の態様を変化させることができ、その分、楽しみ多い布製知育玩具が実現できる。
【0013】
また、1枚の布製シートから構成されているものでは、ポケット等に入れての携帯が可能であり、いつでもどこでも絵本を楽しむことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態の布製知育玩具の第1面と人形とを示した図である。
図2】布製知育玩具の第2面を示した図である。
図3】布製知育玩具の第1面を山折りで2つ折りした状態を示した表面図である。
図4図3の布製知育玩具の裏面図である。
図5】布製知育玩具の第2面を山折りで2つ折りした状態を示した表面図である。
図6図5の布製知育玩具の裏面図である。
図7図3の布製知育玩具をさらに蛇腹折りした状態を示した表面斜視図である。
図8図7の布製知育玩具の裏面斜視図である。
図9図5の布製知育玩具をさらに蛇腹折りした状態を示した表面斜視図である。
図10図9の布製知育玩具の裏面斜視図である。
図11】透孔及び切れ目の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、布製知育玩具を展開した状態の第1面(A面)と人形20とを示した図、図2は、布製知育玩具を展開した状態の第2面(B面)を示した図である。
布製知育玩具10は1枚の布製シートで構成されている。
【0016】
≪A面≫
A面は、全体が横長の長方形で、同形(縦長の長方形)の8個のエリアA1~A8に区切られ、上段には、辺E1に沿って左から右へエリアA1~A4が形成され、下段には、辺E1に対向する辺E2に沿って右から左へエリアA5~A8が形成されている。
エリアA1~A4は、辺E1と辺E2が重なるようにA面を山折りで2つ折りし、さらにそれと直交する方向に蛇腹折りして折り畳んだとき、図7に示すように、1ページ~4ページとなる。このとき裏返すと、エリアA5~A8は、図8に示すように、5ページ~8ページとなる。各ページ番号は各エリアに付されている。
【0017】
エリアA1~A4には、辺E1側を天とし辺E2側を地とする絵柄がそれぞれ表示され、エリアA5~A8には、辺E2側を天とし辺E1側を地とする絵柄がそれぞれ表示されている。つまり、エリアA1~A4の絵柄とエリアA5~A8の絵柄とは天地が逆となっている。
【0018】
また、エリアA1~A8には、円形の透孔H1~H8が1つずつ形成されている。透孔H1~H8は、各絵柄の邪魔にならない場所に形成されている。具体的には、例えば、透孔H1、H3、H5、H7、H8は背景の空部分に、透孔H2、H4は背景の植物の葉部分に、透孔H6は背景の草むら部分に形成されている。
これら透孔H1~H4と透孔H5~H8とは、辺E1と辺E2が重なるようにA面を2つ折りしたとき、互いに重ならない位置に形成されている。
そして、この透孔H1~H8内には、辺E1と辺E2が重なるようにA面を山折りで2つ折りしたとき、図3及び図4に示すように、B面の後述する絵柄AH1~AH8が表示される。
【0019】
さらに、エリアA1~A8には、共通して、顔が有る物を含む絵柄が表示されている。具体的には、エリアA1~A7には顔有りの物として互いに異なる動物の絵柄が、一方、エリアA8には顔有りの物として太陽の絵柄が表示されている。点線の丸で囲われた顔の絵柄BH1~BH8は、辺E1と辺E2が重なるようにA面が谷折りで2つ折りされた場合に、B面側から見てH8~H1の透孔に露出する部分である。
【0020】
≪B面≫
B面は、同形の8個のエリアB1~B8に区切られ、下段に辺E2に沿って右から左へエリアB1~B4が形成され、上段には辺E1に沿って左から右へエリアB5~B8が形成されている。エリアB1~B4は、辺E2と辺E1が重なるようにB面を山折りで2つ折りし、さらにそれと直交する方向に蛇腹折りして折り畳んだとき、図9に示すように、1ページ~4ページとなる。このとき裏返すと、エリアB5~B8は、図10に示すように、5ページ~8ページとなる。各ページ番号は各エリアに付されている。
【0021】
エリアB1~B4には、辺E2側を天とし辺E1側を地とする絵柄が表示され、エリアB5~B8には、辺E1側を天とし辺E2側を地とする絵柄が表示されている。つまり、エリアB1~B4の絵柄とエリアB5~B8の絵柄とは天地が逆となっている。
【0022】
また、エリアB1~B8には、上記透孔H1~H8(A面の透孔H1~H8と同じ)が1つずつ形成されている。円形の透孔H1~H8は、中心絵柄の中に形成されている。具体的には、エリアB1、B2、B4の動物の顔部分に透孔H8、H7、H5が、エリアB3の花序部分に透孔H6が、エリアB5のリンゴ部分に透孔H4が、エリアB6のキノコ部分に透孔H3が、エリアB7の風船部分に透孔H2が、エリアB8の三日月部分に透孔H1が形成されている。
この透孔H1~H8内には、辺E1と辺E2が重なるようにB面を山折りで2つ折りしたとき、図5及び図6に示すように、A面の絵柄BH1~BH8が表示される。つまり、透孔H1~H8内には動物や太陽の顔が表示される。
【0023】
さらに、エリアB1~B8には、辺E1と辺E2が重なるようにB面を谷折りで2つ折りしたとき、A面側から見て透孔H1~H8内に露出する絵柄AH1~AH8が表示されている。当該絵柄AH1~AH8が点線の丸で示されている。具体的には、エリアB1には1頭の蝶の絵柄AH1、エリアB2には2頭の蝶の絵柄AH2、エリアB3には3羽の鳥の絵柄AH3、エリアB4には4頭のてんとう虫の絵柄AH4、エリアB5には5頭のトンボの絵柄AH5、エリアB6には6本のキノコの絵柄AH6、エリアB7には7個の風船の絵柄AH7、エリアB8には8個の音符の絵柄AH8が表示されている。
【0024】
図11は、透孔H及び切れ目Kの周辺を示した拡大図である。
ここでは、透孔H(透孔H1~H8)は円形となっている。そして、透孔Hには、一端が透孔Hに繋がり、透孔Hの外方に向けて延びる切れ目Kが形成されている。切れ目Kは透孔Hに向けてラッパ状に拡開している。なお、切れ目Kは直線状であってもよい。
【0025】
〈利用の仕方〉
展開状態で利用する場合には、A面側かB面側を使用する。
A面側では、絵柄に表示されている物に関連するお話をしたり、透孔H1~H8に人形20(図1)を入れたりして遊ぶことができる。
また、B面側では、透孔H1~H8に出現するものを予測させて動物の名前を当てさせたり、物の数を数えさせたり、絵柄に表示されている物に関連するお話をしたり、透孔H1~H8に人形20を入れたりして遊ぶことができる。
【0026】
一方、折り畳み状態で利用する場合には、辺E1と辺E2が重なるようにA面を山折りで2つ折りし、さらにそれと直交する方向に蛇腹折りして折り畳み、A面側を表にするか(図7及び図8)、辺E1と辺E2が重なるようにA面を谷折りで2つ折りし、さらにそれと直交する方向に蛇腹折りして折り畳み、B面側を表にするか(図9及び図10)して、利用する。
A面側を表にした場合には、透孔H1~H8に絵柄AH1~AH8が表示されるので、出現した物の名前や数を当てさせたり、出現した物を含む絵柄に表示されている物に関連するお話をしたりして遊ぶことができる。
また、B面側を表にした場合には、透孔H1~H8に顔の絵柄BH8~BH1が露出されるので、出現した物の名前を当てさせたり、出現した物を含む絵柄に表示されている物に関連するお話をしたりして遊ぶことができる。
【0027】
(実施形態の効果)
実施形態の布製知育玩具10によれば次のような効果を得ることができる。
【0028】
実施形態の布製知育玩具10によれば、布製であるので透孔からの物品等のものの出し入れが容易である。また、布製であるので、変形し易いので、物品の大きさにもよるが、色々な角度で物品が挿入できる。また、透孔Hからは、後側を覗くことができ、後側に本等を当てれば、本等のキャラクタを絵柄中に登場させて遊ぶことができる。
【0029】
また、実施形態の布製知育玩具10によれば、一端が透孔に繋がり透孔Hの外方に延びる切れ目Kが形成されているので、布製であることと相まって、透孔Hの大きさを実質的且つ効果的に拡張することができ、透孔Hよりも大きなものの出し入れが可能となるとともに、透孔Hと同じ大きさのものならば難なく出し入れすることが可能となる。
さらに、透孔H自体を拡げる場合には、透孔Hを含んだ絵柄の構図等に大きな影響を与えるが、切れ目Kであるので目立たず、絵柄の構図等に与える影響が少ない。つまり、絵柄の構図等を優先に透孔の大きさを自由に決定することができる。
【0030】
さらにまた、切れ目Kにより実質的に透孔Hの大きさが拡張されるので、透孔Hと同じ大きさのものであっても色々な角度で出し入れすることが可能となる。その結果、例えば、人形20の登場の態様を変化させることができ、その分、楽しみ多い布製知育玩具が実現できる。
また、布製なので、手が擦れたとしても、擦傷の危険性も抑制できる。
【0031】
さらに、布製であるので、自由に形に折ることができるので、折り方により、同一の透孔Hから異なる絵柄を露出させることができる。
また、1枚の布製シートから構成されているので、ポケット等に入れての携帯が可能であり、いつでもどこでも絵本を楽しむことができる。
【0032】
〈変形例〉
例えば、本発明の布製知育玩具は1枚の布によって構成したが、2枚以上の布を重ね合わせて用いてもよい。この場合、少なくとも1枚の布製シートに透孔が形成されていればよい。
【0033】
また、複数枚の同形の布製シートの一端を綴じるようにしてもよい。この場合も、少なくとも1つのページに裏ページに達する透孔が形成されていればよい。
【0034】
また、透孔の形は円形に限らない。また、一の絵柄中に複数の透孔を形成してもよい。
【0035】
さらに、布製シートの一部に人形を引っかけるための孔(直線状の切込み)を形成することもできる。
【符号の説明】
【0036】
20 人形
A1~A8 エリア
AH1~AH8 絵柄
B1~B8 エリア
BH1~BH8 絵柄
H,H1~H8 透孔
K 切れ目
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11