(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023059397
(43)【公開日】2023-04-27
(54)【発明の名称】作業機械のための表示システムおよび表示方法
(51)【国際特許分類】
E02F 9/26 20060101AFI20230420BHJP
E02F 9/20 20060101ALI20230420BHJP
E02F 3/43 20060101ALI20230420BHJP
【FI】
E02F9/26 B
E02F9/20 N
E02F3/43 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021169385
(22)【出願日】2021-10-15
(71)【出願人】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】横尾 貴史
(72)【発明者】
【氏名】島野 佑基
(72)【発明者】
【氏名】内田 陽介
【テーマコード(参考)】
2D003
2D015
【Fターム(参考)】
2D003AA01
2D003AB04
2D003AC06
2D003BA02
2D003BA06
2D003BB05
2D003BB09
2D003CA02
2D003CA10
2D003DA04
2D003DB04
2D003DB05
2D003FA02
2D015HA03
2D015HB04
2D015HB05
(57)【要約】
【課題】作業機械の作業機と目標位置との位置合わせのための操作を容易化する。
【解決手段】表示システムは、ディスプレイとコントローラとを備える。コントローラは、作業機械の位置を示す機械位置データを取得する。コントローラは、作業機の作業点と、旋回軸との間の旋回体の幅方向における離間距離を取得する。作業点は、幅方向において旋回軸から離れて配置される。コントローラは、作業機の目標位置を示す目標位置データを取得する。コントローラは、機械位置データと目標位置データとに基づいて、目標位置を示すガイドラインと、作業機械の位置を示すガイドイメージとを含むガイド画面をディスプレイに表示させる。ガイドイメージは、第1イメージと第2イメージとを含む。第1イメージは、旋回軸の位置を示す。第2イメージは、旋回軸から離間距離だけ離れた位置を示す。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行体と、旋回軸回りに旋回可能に前記走行体に支持される旋回体と、前記旋回体に接続される作業機と、を含む作業機械の表示システムであって、
ディスプレイと、
前記ディスプレイと通信可能に接続されるコントローラと、
を備え、
前記コントローラは、
前記作業機械の位置を示す機械位置データを取得し、
前記旋回体の幅方向において前記旋回軸から離れて配置される前記作業機の作業点と、前記旋回軸との間の前記幅方向における離間距離を取得し、
前記作業機の目標位置を示す目標位置データを取得し、
前記機械位置データと前記目標位置データとに基づいて、前記目標位置を示すガイドラインと、前記作業機械の位置を示すガイドイメージとを含むガイド画面を前記ディスプレイに表示させ、
前記ガイドイメージは、
前記旋回軸の位置を示す第1イメージと、
前記旋回軸から前記離間距離だけ離れた位置を示す第2イメージと、
を含む、
表示システム。
【請求項2】
前記第2イメージは、前記旋回軸の位置を中心とし前記離間距離に相当する半径を有する円弧を含む、
請求項1に記載の表示システム。
【請求項3】
前記第1イメージは、
前記旋回軸を通り、前記走行体の前後方向に平行な第1直線と、
前記旋回軸において前記第1直線と交差する第2直線とを含む、
請求項1又は2に記載の表示システム。
【請求項4】
前記コントローラは、前記第2イメージが前記ガイドラインとの所定の位置関係を満たしたときには、前記ガイドイメージを強調表示する、
請求項1から3のいずれかに記載の表示システム。
【請求項5】
前記ガイドイメージは、前記走行体の向きを示す第3イメージをさらに含む、
請求項1から4のいずれかに記載の表示システム。
【請求項6】
前記コントローラは、前記走行体の前後方向が前記ガイドラインと平行になったときには、前記第3イメージを強調表示する、
請求項5に記載の表示システム。
【請求項7】
前記コントローラは、前記走行体の向きと前記作業機の向きとが異なるときには、前記走行体の向きに応じて、前記ガイドイメージを表示する、
請求項1から6のいずれかに記載の表示システム。
【請求項8】
前記コントローラは、自動制御の開始条件が満たされたときに、前記作業機械の自動制御を開始し、
前記開始条件は、前記第2イメージが前記ガイドラインと一致することと、前記走行体の前後方向が前記ガイドラインと平行であることを含む、
請求項1から7のいずれかに記載の表示システム。
【請求項9】
前記コントローラは、前記自動制御中には、前記ガイドイメージを強調表示する、
請求項8に記載の表示システム。
【請求項10】
オペレータによって操作可能な入力装置をさらに備え、
前記コントローラは、
前記入力装置の操作に応じて、前記ガイド画面を拡大又は縮小し、
前記ガイド画面の拡大又は縮小に応じて、前記第2イメージを拡大又は縮小する、
請求項1から9のいずれかに記載の表示システム。
【請求項11】
前記コントローラは、前記ガイド画面の拡大又は縮小に応じて、前記第1イメージに対して前記第2イメージのみを拡大又は縮小する、
請求項10に記載の表示システム。
【請求項12】
走行体と、旋回軸回りに旋回可能に前記走行体に支持される旋回体と、前記旋回体に接続される作業機と、を含む作業機械のための表示方法であって、
前記作業機械の位置を示す機械位置データを取得することと、
前記旋回体の幅方向において前記旋回軸から離れて配置される前記作業機の作業点と、前記旋回軸との間の前記幅方向における離間距離を取得することと、
前記作業機の目標位置を示す目標位置データを取得することと、
前記機械位置データと前記目標位置データとに基づいて、前記目標位置を示すガイドラインと、前記作業機械の位置を示すガイドイメージとを含むガイド画面をディスプレイに表示させること、
を備え、
前記ガイドイメージは、
前記旋回軸の位置を示す第1イメージと、
前記旋回軸から前記離間距離だけ離れた位置を示す第2イメージと、
を含む、
表示方法。
【請求項13】
前記第2イメージは、前記旋回軸の位置を中心とし前記離間距離に相当する半径を有する円弧を含む、
請求項12に記載の表示方法。
【請求項14】
前記第1イメージは、
前記旋回軸を通り、前記走行体の前後方向に平行な第1直線と、
前記旋回軸において前記第1直線と交差する第2直線とを含む、
請求項12又は13に記載の表示方法。
【請求項15】
前記ガイドイメージは、前記走行体の向きを示す第3イメージをさらに含む、
請求項12から14のいずれかに記載の表示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機械のための表示システムおよび表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
作業機械の作業機と目標位置との位置合わせを支援する表示システムが、例えば特許文献1に開示されている。特許文献1の表示システムでは、作業機械は、旋回体と作業機とを含む油圧ショベルである。目標位置は、地面に形成される溝の中心線である。この表示システムは、油圧ショベルの作業機と溝の中心線とを位置合わせするためのガイド表示をディスプレイに表示させる。ガイド表示は、センターガイドラインと指標マークとを含む。
【0003】
センターガイドラインは、溝の中心線の位置を示す。指標マークは、旋回体の旋回軸の位置と、作業機の作業点の位置を示す。作業点は、例えば作業機の刃先の中心に位置する。オペレータは、ガイド表示を参照して、旋回軸の指標マークがセンターガイドラインに一致するように、油圧ショベルを走行させる。それにより、溝の中心線と油圧ショベルの旋回軸とが一致する。そして、オペレータは、作業点の指標マークがセンターガイドライン上に位置するように、旋回体を旋回させる。それにより、作業機が溝の中心線に対して位置合わせされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開公報WO2017/010563号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の表示システムでは、旋回軸は、作業機の作業点を通り作業機の前後方向に延びる作業平面上に位置している。そのため、上記のように、旋回軸の指標マークと作業点の指標マークとが、センターガイドライン上に位置するように油圧ショベルが操作されることで、作業平面が溝の中心線上に位置するように、作業機が、精度よく位置合わせされる。
【0006】
しかし、作業機械には、作業点が、旋回軸から、旋回体の幅方向に離れて配置されているものがある。その場合、旋回軸と作業点とが溝の中心線上に位置するように作業機械が操作されても、作業平面は、溝の中心線に対して平行にならない。そのため、作業点の位置と、旋回軸の位置とのずれを考慮して、さらに位置合わせのための操作が必要となり、操作が煩雑になる。本発明の目的は、作業機械の作業機と目標位置との位置合わせのための操作を容易化することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、作業機械のための表示システムである。作業機械は、走行体と、旋回体と、作業機とを含む。旋回体は、旋回軸回りに旋回可能に走行体に支持される。作業機は、旋回体に接続される。表示システムは、ディスプレイとコントローラとを備える。コントローラは、ディスプレイと通信可能に接続される。コントローラは、作業機械の位置を示す機械位置データを取得する。コントローラは、作業機の作業点と、旋回軸との間の旋回体の幅方向における離間距離を取得する。作業点は、幅方向において旋回軸から離れて配置される。コントローラは、作業機の目標位置を示す目標位置データを取得する。コントローラは、機械位置データと目標位置データとに基づいて、目標位置を示すガイドラインと、作業機械の位置を示すガイドイメージとを含むガイド画面をディスプレイに表示させる。ガイドイメージは、第1イメージと第2イメージとを含む。第1イメージは、旋回軸の位置を示す。第2イメージは、旋回軸から離間距離だけ離れた位置を示す。
【0008】
本発明の他の態様は、作業機械のための表示方法である。作業機械は、走行体と、旋回体と、作業機とを含む。旋回体は、旋回軸回りに旋回可能に走行体に支持される。作業機は、旋回体に接続される。表示方法は、作業機械の位置を示す機械位置データを取得することと、旋回体の幅方向において旋回軸から離れて配置される作業機の作業点と、旋回軸との間の幅方向における離間距離を取得することと、作業機の目標位置を示す目標位置データを取得することと、機械位置データと目標位置データとに基づいて、目標位置を示すガイドラインと、作業機械の位置を示すガイドイメージとを含むガイド画面をディスプレイに表示させること、を備える。ガイドイメージは、第1イメージと第2イメージとを含む。第1イメージは、旋回軸の位置を示す。第2イメージは、旋回軸から離間距離だけ離れた位置を示す。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、作業機械のオペレータは、ディスプレイ上の第1イメージと第2イメージとを参照することで、作業点を通る作業平面と、旋回軸との位置関係を容易に把握することができる。そのため、作業点が、旋回軸から、旋回体の幅方向に離れて配置されている作業機械であっても、作業機と目標位置との位置合わせのための操作が容易化される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図3】作業機械の制御システムを示すブロック図である。
【
図7】ガイド画面を参照した作業の方法を示す図である。
【
図9】ガイド画面を参照した作業の方法を示す図である。
【
図10】ガイド画面を参照した作業の方法を示す図である。
【
図11】ガイド画面を参照した作業の方法を示す図である。
【
図12】第1変形例に係る第1ガイドイメージを示す図である。
【
図13】第2変形例に係る第1ガイドイメージを示す図である。
【
図14A】第1変形例に係る第1ガイドイメージの強調表示を示す図である。
【
図14B】第1変形例に係る第1ガイドイメージの強調表示を示す図である。
【
図14C】第1変形例に係る第1ガイドイメージの強調表示を示す図である。
【
図15A】第2変形例に係る第1ガイドイメージの強調表示を示す図である。
【
図15B】第2変形例に係る第1ガイドイメージの強調表示を示す図である。
【
図15C】第2変形例に係る第1ガイドイメージの強調表示を示す図である。
【
図16A】他の変形例に係る第1ガイドイメージを示す図である。
【
図16B】他の変形例に係る第1ガイドイメージを示す図である。
【
図16C】他の変形例に係る第1ガイドイメージを示す図である。
【
図16D】他の変形例に係る第1ガイドイメージを示す図である。
【
図17A】他の変形例に係る第1ガイドイメージを示す図である。
【
図17B】他の変形例に係る第1ガイドイメージを示す図である。
【
図18A】拡大縮小される第1ガイドイメージを示す図である。
【
図18B】拡大縮小される第1ガイドイメージを示す図である。
【
図18C】拡大縮小される第1ガイドイメージを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、実施形態に係る作業機械について説明する。
図1は、実施形態に係る作業機械1の斜視図である。
図2は、作業機械1の上面図である。本実施形態において、作業機械1は、油圧ショベルである。作業機械1は、機械本体2と作業機3とを有する。機械本体2は、走行体4と旋回体5とを含む。
【0012】
旋回体5は、走行体4に支持されている。
図2に示すように、旋回体5は、旋回軸8まわりに回転可能に、走行体4に支持されている。旋回軸8は、作業機械1の上下方向に延びている。旋回体5には、運転室6が配置されている。走行体4は、作業機械1を走行させる。走行体4は、履帯7a,7bを含む。履帯7a,7bが回転することで、作業機械1が走行する。なお、走行体4は、履帯7a,7bに代えて、タイヤを備えてもよい。
【0013】
作業機3は、旋回体5に取り付けられている。作業機3は、旋回体5から前方へ延びている。作業機3は、ブーム11と、アーム12と、作業具13とを含む。ブーム11は、旋回体5に回転可能に取り付けられている。アーム12は、ブーム11に回転可能に取り付けられている。作業具13は、アーム12に回転可能に取り付けられている。
【0014】
作業機3は、複数のアクチュエータ14-16を含む。アクチュエータ14-16により、作業機3が動作する。アクチュエータ14-16は、例えば油圧シリンダである。アクチュエータ14-16が伸縮することで、作業機3が動作する。
図2に示すように、作業機械1は、旋回モータ17を備えている。旋回モータ17は、走行体4に対して、旋回体5を旋回させる。旋回モータ17は、例えば、油圧モータである。或いは、旋回モータ17は、電動モータであってもよい。
【0015】
なお、以下の説明において、作業機3の前後方向、及び、旋回体5の前後方向は、作業機械1の上面視で、作業機3が延びている方向を意味する。旋回体5に対して作業機3が配置されている方向が前方であり、その反対の方向が後方である。旋回体5の幅方向は、水平面において旋回体5の前後方向に垂直な方向を意味する。走行体4の前後方向は、走行体4の直進方向を意味する。作業機械1の前後方向は、走行体4の前後方向を意味する。
【0016】
次に、作業機械1の制御システムについて説明する。
図3は、作業機械1の制御システムの構成を示すブロック図である。
図3に示すように、作業機械1は、コントローラ20と、ディスプレイ21と、操作装置22と、入力装置23とを備える。ディスプレイ21は、コントローラ20から入力される画像信号に応じた画像を表示する。
【0017】
操作装置22は、オペレータによって操作可能である。オペレータは、操作装置22によって、作業機3の動作、旋回体5の旋回、走行体4の走行を操作する。操作装置22は、例えば、レバー、ペダル、或いはスイッチを含む。操作装置22は、オペレータによる操作に応じた操作信号をコントローラ20に出力する。
【0018】
入力装置23は、オペレータによって操作可能である。オペレータは、入力装置23によって、作業機械1の制御の設定を入力する。入力装置23は、例えばディスプレイ21と一体化されたタッチスクリーンである。或いは、入力装置23は、スイッチ、キーボード、或いはポンティングデバイスを含んでもよい。入力装置23は、オペレータによる操作に応じた操作信号をコントローラ20に出力する。
【0019】
コントローラ20は、ディスプレイ21と、操作装置22と、入力装置23と通信可能に接続されている。コントローラ20は、プロセッサ24と記憶装置25とを含む。プロセッサ24は、例えばCPU(Central Processing Unit)であるが、他の種類のプロセッサであってもよい。
【0020】
記憶装置25は、RAM(Random Access Memory)、及びROM(Read Only Memory)などのメモリを含む。記憶装置25は、HDD(Hard Disk Drive)或いは、SSD(Solid State Drive)などのストレージを含んでもよい。記憶装置25は、非一時的な(non-transitory)コンピュータで読み取り可能な記録媒体の一例である。記憶装置25は、作業機械1を制御するためのプログラム及びデータを記録している。プロセッサ24は、プログラム及びデータに従って、作業機械1を制御するための処理を実行する。
【0021】
コントローラ20は、操作装置22からの操作信号に応じて、アクチュエータ14-16を制御して、作業機3を動作させる。例えば、コントローラ20は、操作装置22及び入力装置23からの操作信号に応じて、作業具13が上昇、或いは下降するように、作業機3を動作させる。コントローラ20は、操作装置22からの操作信号に応じて、旋回モータ17を制御して、旋回体5を旋回させる。コントローラ20は、操作装置22からの操作信号に応じて、履帯7a,7bを回転させることで、作業機械1を走行させる。
【0022】
作業機械1は、位置センサ26と、第1方向センサ27と、第2方向センサ28とを備える。位置センサ26は、作業機械1の位置を検出する。位置センサ26は、作業機械1の位置を示す機械位置データを出力する。位置センサ26は、例えばGPS(Global Positioning System)などのGNSS(Global Navigation Satellite System)のセンサを含む。詳細には、位置センサ26は、機械本体2に配置されている。機械位置データは、機械本体2の位置を示す。機械本体2の位置は、機械本体2に含まれる基準点の位置である。
【0023】
コントローラ20は、機械位置データを受信する。コントローラ20は、機械位置データから、機械本体2の位置を取得する。コントローラ20は、機械位置データから旋回軸8の位置を取得する。例えば、コントローラ20は、機械本体2の基準点の位置から、旋回軸8の位置を算出する。或いは、コントローラ20は、旋回軸8の位置を検出するセンサにより、旋回軸8の位置を直接的に取得してもよい。
【0024】
また、コントローラ20は、機械位置データから、作業機3の作業点P1の位置を取得する。
図2に示すように、作業点P1は、作業具13上に位置する。例えば、作業具13がバケットである場合、作業点P1は、バケットの刃先の幅方向における中心に位置する。コントローラ20は、機械位置データから作業点P1の位置を取得する。例えば、コントローラ20は、機械本体2の基準点の位置から、作業点P1の位置を算出する。或いは、コントローラ20は、作業点P1の位置を検出するセンサにより、作業点P1の位置を直接的に取得してもよい。
【0025】
図2に示すように、本実施形態に係る作業機械1では、作業平面A1が、旋回軸8から旋回体5の幅方向に離れて配置される。作業平面A1は、旋回軸8と平行であり、作業点P1を通り、作業機3の前後方向に延びる面である。コントローラ20は、旋回体5の幅方向における作業平面A1と旋回軸8との間の距離を、作業点P1の離間距離D1として記憶している。離間距離D1は、コントローラ20の記憶装置25に予め保存されていてもよい。コントローラ20は、オペレータによる入力装置23の操作によって、離間距離D1を取得してもよい。コントローラ20は、外部のコンピュータから離間距離D1を取得してもよい。
【0026】
第1方向センサ27は、旋回体5の方向を検出する。第1方向センサ27は、旋回体5の方向を示す第1方向データを出力する。旋回体5の方向は、旋回体5の前方が向く方向である。第1方向データは、例えば、磁北などの基準方向に対する角度で示される。第1方向センサ27は、例えば、GNSSのセンサ、IMU、或いはそれらの組み合わせであってもよい。
【0027】
第2方向センサ28は、走行体4の方向を検出する。第2方向センサ28は、走行体4の方向を示す第2方向データを出力する。走行体4の方向は、走行体4の前方が向く方向である。第2方向データは、例えば磁北などの基準方向に対する角度で示される。第2方向センサ28は、例えば、GNSSのセンサ、IMU、或いはそれらの組み合わせであってもよい。
【0028】
第1方向センサ27と第2方向センサ28との一方は、走行体4に対する旋回体5の旋回角度を検出するセンサであってもよい。その場合、旋回体5の方向と旋回角度から、走行体4の方向が算出されてもよい。或いは、走行体4の方向と旋回角度から、旋回体5の方向が算出されてもよい。
【0029】
次に、コントローラ20によるディスプレイ21の制御について説明する。コントローラ20は、作業機械1による作業を補助するためのガイド画面30を、ディスプレイ21に表示させる。
図4は、ガイド画面30の一例を示す図である。ガイド画面30は、作業機械1と、作業機械1の周囲のワークサイト200とを示す上面図で表現される。ガイド画面30は、ガイドライン31と、機械イメージ32と、第1ガイドイメージ33と、第2ガイドイメージ34とを含む。
【0030】
ガイドライン31は、作業機械1による作業の目標位置を示す。
図5に示すように、作業機械1は、ワークサイト200において、設計地形100を形成する作業を行う。本実施形態において、設計地形100は、溝状の形状を有する。作業機械1は、ワークサイト200において、地面を掘削して溝状の設計地形100を形成する。ガイドライン31は、目標とする溝の中心線101に相当する。
【0031】
コントローラ20は、ガイドライン31の位置を示す目標位置データを取得する。目標位置データは、溝の中心線101上の複数の地点の座標を含む。コントローラ20は、目標位置データに基づいて、ガイド画面30上に、ガイドライン31を表示する。
【0032】
例えば、コントローラ20は、設計データを取得する。設計データは、設計地形100の形状を示す複数の地点の座標と高度とを含む。コントローラ20は、設計データから、溝の中心線101の位置を算出して、目標位置データとして取得する。或いは、コントローラ20は、外部のコンピュータから、或いは入力装置23からの操作信号により、目標位置データを取得してもよい。
【0033】
なお、
図4に示すように、コントローラ20は、設計地形100の形状を示す設計地形ライン35をガイド画面30に表示させてもよい。コントローラ20は、設計データから設計地形ライン35の位置を取得してもよい。
図4では、溝状の設計地形100の左右の縁が、設計地形ライン35としてガイド画面30に表示されている。
【0034】
機械イメージ32は、作業機械1の位置と向きとを示す。
図4に示すように、機械イメージ32は、作業機械1の形状を有するアイコンで示される。機械イメージ32は、旋回体イメージ36と、走行体イメージ37とを含む。旋回体イメージ36は、旋回体5と作業機3との形状を有している。旋回体イメージ36は、旋回体5の位置と方向とを示す。走行体イメージ37は、走行体4の形状を有している。走行体イメージ37は、走行体4の位置と方向とを示す。
【0035】
旋回体5が走行体4に対して旋回した状態であるときには、
図4に示すように、コントローラ20は、旋回体イメージ36を走行体イメージ37に対して旋回した状態でガイド画面30に表示させる。すなわち、コントローラ20は、旋回体イメージ36を走行体イメージ37と異なる向きに表示する。
【0036】
第1ガイドイメージ33は、作業機械1の位置を示す。第1ガイドイメージ33は、機械イメージ32と重なって表示される。詳細には、第1ガイドイメージ33は、旋回軸8の位置を示す。コントローラ20は、旋回軸8の位置に対応するガイド画面30上の位置に第1ガイドイメージ33を表示させる。第1ガイドイメージ33については後に詳細に説明する。
【0037】
第2ガイドイメージ34は、作業点P1の位置を示す。第2ガイドイメージ34は、機械イメージ32の作業点上に表示される。コントローラ20は、作業点P1の位置に対応するガイド画面30上の位置に、第2ガイドイメージ34を表示させる。第2ガイドイメージ34は、例えば、十字線で示される。ただし、第2ガイドイメージ34は、点、円形、多角形などの他の形状であってもよい。
【0038】
図6は、機械イメージ32及び第1ガイドイメージ33の拡大図である。
図6に示すように、第1ガイドイメージ33は、第1イメージ41と第2イメージ42とを含む。第1イメージ41は、旋回軸8の位置を示す。第1イメージ41は、十字線の形状を有している。詳細には、第1イメージ41は、第1直線43と第2直線44とを含む。第1直線43は、旋回軸8の位置を通り、走行体4の前後方向に平行に表示される。第1直線43は、走行体4の前後方向に延びている。
【0039】
第2直線44は、旋回軸8の位置において第1直線43と垂直に交差する。第1直線43と第2直線44との交点が、旋回軸8の位置を示している。第2直線44は、走行体4の左右方向に延びている。
図4に示すように、コントローラ20は、走行体4の向きと作業機3の向きとが異なるときには、走行体4の向きに応じて、第1ガイドイメージ33を表示する。
【0040】
第2イメージ42は、旋回軸8から離間距離D1だけ離れた位置を示す。第2イメージ42は、旋回軸8に相当する位置を中心として、離間距離D1に相当する半径R1を有する円弧を含む。円弧の少なくとも一部は、旋回体5の幅方向において、第1イメージ41に対して作業点P1側に配置される。言い換えれば、円弧の少なくとも一部は、第1イメージ41に対して作業面A1側に配置される。
【0041】
次に、ガイド画面30を参照した作業機械1による作業方法について説明する。まず、ワークサイト200において、作業機械1は、設計地形100から離れて位置しているものとする。その場合、
図4に示すように、ガイド画面30では、機械イメージ32は、ガイドライン31から離れている。
【0042】
図7に示すように、オペレータは、ガイドライン31に近づくように、作業機械1を移動させる。
図8は、
図7の拡大図である。
図8に示すように、オペレータは、第1イメージ41の第1直線43が、ガイドライン31と概ね平行になるように、且つ、第2イメージ42がガイドライン31と一致するように、作業機械1を移動させる。すなわち、オペレータは、第1イメージ41の第1直線43が、ガイドライン31と概ね平行になるように、且つ、第2イメージ42の円弧がガイドライン31に接するように、作業機械1を移動させる。
【0043】
次に、オペレータは、
図9に示すように、第2ガイドイメージ34がガイドライン31と一致するように、旋回体5を旋回させる。それにより、作業機械1の作業平面A1が設計地形100の中心線101と一致し、作業機3と設計地形100とが位置合わせされる。この状態で、オペレータは、作業具13を下降させ、地面を掘削する。
【0044】
掘削後、オペレータは、作業具13を上昇させると共に、
図10に示すように、旋回体5を旋回させる。そして、オペレータは、掘削された土を、作業具13から排出する。そして、再び、第2ガイドイメージ34がガイドライン31と一致するように、旋回体5を旋回させる。その後、上記操作が繰り返される。設計地形データに規定された深さまで溝が掘られると、オペレータは、
図11に示すように、作業機械1をガイドライン31に沿って後退させる。そして、設計地形データに規定された深さ且つ長さの溝が完成するまで、上記の操作が繰り返される。
【0045】
以上説明した本実施形態に係る作業機械1の制御システムによれば、作業機械1のオペレータは、ディスプレイ21上の第1イメージ41と第2イメージ42とを参照することで、旋回軸8と、作業点P1とを通る作業平面A1との位置関係を容易に把握することができる。そのため、作業点P1が、旋回軸8から、旋回体5の幅方向に離れて配置されている作業機械1であっても、作業機3と目標位置との位置合わせのための操作が容易化される。
【0046】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0047】
作業機械1は、上述した油圧ショベルに限らず、電動ショベルなどの他の掘削機であってもよい。作業機3の回転軸の数は、3つに限らず、3つより少なくてもよく、3つより多くてもよい。作業具13は、バケットに限らず、ブレーカ、コンパクタ、或いはブレードなどの他の作業具であってもよい。その場合、作業点P1は、作業具13において、地面などの作業対象と接触する部分上に位置してもよい。作業点P1は、バケットの刃先の中心と異なる位置に位置してもよい。
【0048】
作業機械1は、遠隔操縦可能な車両であってもよい。その場合、作業機械1の制御システムの一部は、作業機械1の外部に配置されてもよい。例えば、コントローラ20は、作業機械1の外部に配置されてもよい。コントローラ20は、無線通信によって作業機械1を制御してもよい。ディスプレイ21、操作装置22、入力装置23は、作業機械1の外部に配置されてもよい。運転室6は、省略されてもよい。
【0049】
コントローラ20は、互いに別体の複数のコントローラを含んでもよい。上述したコントローラ20による処理は、複数のコントローラに分散して実行されてもよい。コントローラ20は、複数のプロセッサを含んでもよい。上述したコントローラ20による処理は、複数のプロセッサに分散して実行されてもよい。
【0050】
コントローラ20による処理は、上記の実施形態のものに限らず、変更されてもよい。上述した処理の一部が省略されてもよい。或いは、上述した処理の一部が変更されてもよい。ガイド画面30は、上記の実施形態のものに限らず、変更されてもよい。例えば、ガイド画面30は、斜視図であってもよい。
【0051】
第1ガイドイメージ33は、上記の実施形態のものに限らず、変更されてもよい。例えば、
図12は、第1変形例に係る第1ガイドイメージ33を示す図である。
図12に示すように、第1ガイドイメージ33は、第3イメージ45をさらに含んでもよい。第3イメージ45は、走行体4の向きを示す。すなわち、第3イメージ45は、走行体4の前方を示す。第3イメージ45は、先細りの形状を有しており、走行体4の向きを指すようにガイド画面30に表示されてもよい。第3イメージ45は、例えば三角形であり、第1直線43の後端に接続されてもよい。
【0052】
図13は、第2変形例に係る第1ガイドイメージ33を示す図である。
図13に示すように、第3イメージ45は、第3直線46と第4直線47とを含んでもよい。第3直線46と第4直線47とは、第2直線44の左右の端部にそれぞれ接続されてもよい。第3直線46と第4直線47とは、走行体4の前後方向に延びていてもよい。第3直線46と第4直線47とは、それぞれ先細りの形状を有する先端部を有しており、走行体4の向きを指すようにガイド画面30に表示されてもよい。
【0053】
コントローラ20は、作業機械1と設計地形100との位置関係に応じて、第1ガイドイメージ33を強調表示してもよい。第2イメージ42がガイドライン31との所定の位置関係を満たしたときには、第1ガイドイメージ33を強調表示してもよい。例えば、第2イメージ42の円弧が、ガイドライン31に接したときに、第1ガイドイメージ33が強調教示されてもよい。この場合、通常時には、
図12に示す第1変形例に係る第1ガイドイメージ33が、ガイド画面30に表示されてもよい。第2イメージ42がガイドライン31と一致したときには、例えば、
図14Aに示すように、第1イメージ41と第2イメージ42とが、通常時と異なる色で表示されてもよい。なお、図面においては、ハッチングの種類によって、色の違いが表現されている。
【0054】
コントローラ20は、走行体4の前後方向がガイドライン31と平行になったときには、第3イメージ45を強調表示してもよい。例えば、
図14Bに示すように、第1イメージ41と第2イメージ42と第3イメージ45とが、通常時と異なる色で表示されてもよい。
【0055】
コントローラ20は、自動制御の開始条件が満たされたときに、作業機械1の自動制御を開始してもよい。開始条件は、第2イメージ42がガイドライン31と一致することと、走行体4の前後方向がガイドライン31と平行であることを含んでもよい。自動制御において、コントローラ20は、オペレータによる作業機械1の走行操作中に、作業機械1の位置がガイドライン31から外れないように、作業機械1の走行を支援してもよい。自動制御中、コントローラ20は、第1ガイドイメージ33を強調表示してもよい。例えば、
図14Cに示すように、第3イメージ45を第1、第2イメージ41,42と異なる色で表示してもよい。
【0056】
第2変形例に係る第1ガイドイメージ33についても、第1変形例に係る第1ガイドイメージ33と同様に、作業機械1と設計地形100との位置関係に応じて、強調表示されてもよい。例えば、第2イメージ42がガイドライン31と一致したときには、
図15Aに示すように、第1イメージ41と第2イメージ42とが、通常時と異なる色で表示されてもよい。走行体4の前後方向がガイドライン31と平行になったときには、
図15Bに示すように、第1イメージ41と第2イメージ42と第3イメージ45とが、通常時と異なる色で表示されてもよい。自動制御中、
図15Cに示すように、第3イメージ45が第1、第2イメージ41,42と異なる色で表示されてもよい。なお、強調表示は、異なる色に限らず、点滅などの他の方法によって表現されてもよい。
【0057】
第1イメージ41は、十字線に限らず、他の形状であってもよい。第2イメージ42は、円弧に限らず、他の形状であってもよい。例えば、
図16A~
図16D、
図17A,17Bは、他の変形例に係る第1ガイドイメージ33を示す図である。
図16Aに示すように、第1イメージ41と第2イメージ42とは、それぞれ点であってもよい。
図16Bに示すように、第1イメージ41が点で、第2イメージ42が前後方向に延びる直線であってもよい。
【0058】
図16Cに示すように、第1イメージ41が点と左右方向に延びる直線の組み合わせであり、第2イメージ42が点であってもよい。
図16Dに示すように、第1イメージ41が点と左右方向に延びる直線の組み合わせであり、第2イメージ42が前後方向に延びる直線であってもよい。
【0059】
図17Aに示すように、第1イメージ41が点であり、第2イメージ42が円弧であってもよい。
図17Bに示すように、第1イメージ41が点と左右方向に延びる直線の組み合わせであり、第2イメージ42が円弧であってもよい。
【0060】
第2イメージ42の大きさは変更可能であってもよい。例えば、コントローラ20は、オペレータによる入力装置23の操作に応じて、ガイド画面30を拡大及び縮小する。コントローラ20は、ガイド画面30の拡大縮小に応じて、第2イメージ42を拡大縮小してもよい。すなわち、コントローラ20は、機械イメージ32の拡大縮小に応じて、第2イメージ42を拡大縮小してもよい。この場合、
図18A~
図18Cに示すように、第1イメージ41の大きさは変わらずに、第2イメージ42のみが拡大縮小されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明によれば、ガイド画面によって、作業機械の作業機と目標位置との位置合わせのための操作を容易化することができる。
【符号の説明】
【0062】
3:作業機
4:走行体
5:旋回体
8:旋回軸
21:ディスプレイ
20:コントローラ
30:ガイド画面
31:ガイドライン
33:第1ガイドイメージ
41:第1イメージ
42:第2イメージ
45:第3イメージ