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  • 特開-吐水装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023059413
(43)【公開日】2023-04-27
(54)【発明の名称】吐水装置
(51)【国際特許分類】
   F24H 1/18 20220101AFI20230420BHJP
   E03C 1/044 20060101ALI20230420BHJP
【FI】
F24H1/18 A
E03C1/044
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021169404
(22)【出願日】2021-10-15
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤井 建吾
(72)【発明者】
【氏名】太田 憲利
【テーマコード(参考)】
2D060
3L122
【Fターム(参考)】
2D060BA03
2D060BB02
2D060BC02
2D060BC07
2D060BC14
2D060BD01
3L122AA02
3L122AA33
3L122AA71
3L122AB30
3L122BA42
3L122DA16
3L122EA32
(57)【要約】
【課題】吐水口からの水の滴下を好適に抑制できる吐水装置を提供する。
【解決手段】吐水装置1は、貯湯部10と、開閉部20と、吐水部30と、通水部40と、空気導入部50とを備えている。貯湯部10は、給水源から供給される水を貯留して加熱する。開閉部20は、給水源と貯湯部10との間の水の供給路2を開閉する。吐水部30は、貯湯部10に貯留された水を吐出する。通水部40は、貯湯部10から吐水部30に水を流通させる流路を形成する。空気導入部50は、通水部40内の流路に滞留する水を吐水部30側に押し出す空気を通水部40に導入する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
給水源から供給される水を貯留して加熱する貯湯部と、
前記給水源と前記貯湯部との間の水の供給路を開閉する開閉部と、
前記貯湯部に貯留された水を吐出する吐水部と、
前記貯湯部から前記吐水部に水を流通させる流路を形成する通水部と、
前記通水部内の流路に滞留する水を前記吐水部側に押し出す空気を前記通水部に導入する空気導入部と、
を備える吐水装置。
【請求項2】
前記空気導入部は、前記開閉部が前記供給路を閉じた状態で前記通水部に空気を導入する請求項1に記載の吐水装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、吐水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は従来の吐水装置を開示している。この吐水装置は、貯湯槽において沸かし上げた湯をスパウト部から吐出可能である。この吐水装置は、いわゆる元止め式であり、貯湯槽の上流側に設けられた止水部の開閉によってスパウト部における吐止水が実行される。この種の吐水装置では、貯湯槽において水を加熱した際に体積膨張が生じ、吐水口から膨張した分の水が滴下する。特許文献1の場合、この膨張水の滴下対策として、湯の吐出時において貯湯槽内に空気を供給する。貯湯槽内に供給された空気は、湯の吐出終了後に貯湯槽の上部に集まり、二次側配管内の湯と置換される。これによって、特許文献1は、二次側配管内で水の体積膨張を吸収し、吐水口からの滴下を抑制できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-42557号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の場合、空気は、一次側配管に供給されるため、貯湯槽内に進入した際、そのまま貯湯槽内に滞留して二次側配管に到達しないおそれがある。
【0005】
本開示は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、吐水口からの水の滴下を好適に抑制できる吐水装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施形態に係る吐水装置は、給水源から供給される水を貯留して加熱する貯湯部と、前記給水源と前記貯湯部との間の水の供給路を開閉する開閉部と、前記貯湯部に貯留された水を吐出する吐水部と、前記貯湯部から前記吐水部に水を流通させる流路を形成する通水部と、前記通水部内の流路に滞留する水を前記吐水部側に押し出す空気を前記通水部に導入する空気導入部と、備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態に係る吐水装置を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<実施形態>
本実施形態に係る吐水装置1は、公共施設のトイレ等、公共の場所に設置される洗面台等に設けられる。吐水装置1は、電気温水器付き自動水栓であり、冬季等において加温された水を吐出可能である。図1に示すように、吐水装置1は、貯湯部10と、開閉部20と、吐水部30と、通水部40と、空気導入部50と、制御部60とを備えている。
【0009】
貯湯部10は密閉式のタンクである。貯湯部10は、図示しない給水源から供給される水を貯留して加熱する。図1に示すように、貯湯部10は、流入口11と、流出口12と、ヒータ13とを有している。流入口11は、給水源からの水を貯湯部10内に流入させる。流入口11は、貯湯部10の下端部に形成されている。流入口11には供給路2の下流端が接続されている。供給路2は、給水源から連なり、水を貯湯部10に供給する。流出口12は、貯湯部10内の水を流出させる。流出口12は、貯湯部10の上端部に形成されている。流出口12には、吐水部30に連なる通水部40の下流端が接続されている。
【0010】
ヒータ13は貯湯部10内の水を加熱する。ヒータ13は、いわゆるシースヒータであり、ステンレス等の耐熱性及び耐食性に優れる金属筒内に、ニクロム線等の通電によって発熱する発熱体を配置して構成されている。ヒータ13はバイメタル式の自動温度調節機能を有している。これによって、貯湯部10内の水は、80℃から85℃程度の温度に保たれる。
【0011】
開閉部20は供給路2を開閉する。図1に示すように、供給路2は、図示しない給水源と貯湯部10との間の水の流路である。吐水装置1において、開閉部20は、貯湯部10の上流側の流路に配置される。すなわち、吐水装置1は元止め式である。開閉部20は電磁弁を有している。開閉部20において、電磁弁は制御部60によって駆動制御される。供給路2は、開閉部20によって開放されると、給水源から貯湯部10に向けて水を流通させる。供給路2は、開閉部20によって閉塞されると、給水源から貯湯部10への水の供給が遮断される。供給路2には分岐部2Aが設けられている。分岐部2Aは分岐流路3の一端に接続されている。分岐流路3の他端は、通水部40における後述する第1合流部41に接続されている。
【0012】
吐水部30は、貯湯部10に貯留された水を吐出する。吐水部30は、自動吐水と、手動吐水と、の2通りの方法で吐水可能である。図1に示すように、吐水部30は、吐水口31と、センサ32と、押圧スイッチ33と、を有している。吐水口31は通水部40における流路に連通している。吐水口31は、貯湯部10から流出して通水部40を流通した水を吐出する。
【0013】
センサ32は、吐水部30における自動吐水に用いられる。センサ32は赤外光等を利用した光電式のセンサであり、吐水口31における水の吐出方向前方を含む検知範囲が設定されている。センサ32は、人の手等の被検知物を検知した場合に、制御部60に検知信号を送信する。これによって、検知信号を受信した制御部60による開閉部20の制御が実行されて供給路2が開放され、吐水口31から水が自動的に吐出される。
【0014】
押圧スイッチ33は、吐水部30における手動吐水に用いられる。押圧スイッチ33は、押圧操作によって、連続吐水と止水の切り替えを行うことができる。押圧スイッチ33は、押圧操作されることによって制御部60に信号を送信する。信号を受信した制御部60は、開閉部20の制御を実行する。制御部60は、押圧スイッチ33からの信号を受信した際に供給路2が開放状態であれば、供給路2を閉塞状態に切り替えるように開閉部20を制御する。制御部60は、押圧スイッチ33からの信号を受信した際に供給路2が閉塞状態であれば、供給路2を開放状態に切り替えるように開閉部20を制御する。
【0015】
通水部40は、貯湯部10に貯留された水が流通する流路を形成する。上述のように、通水部40は、上流端において貯湯部10の流出口12に接続されている。通水部40の下流端は吐水部30に接続されている。図1に示すように、通水部40は、第1合流部41及び第2合流部42を有している。第1合流部41及び第2合流部42は、それぞれ通水部40における上流端と下流端との間の中間部に設けられている。第1合流部41には分岐流路3が接続されている。分岐流路3は、給水源からの水を、貯湯部10を経由させることなく通水部40に導入する流路である。分岐流路3は、下流端において第1合流部41に接続され、上流端において供給路2における分岐部2Aに接続されている。分岐部2Aは、開閉部20と貯湯部10との間の供給路2に設けられている。
【0016】
第1合流部41には混合弁43が設けられている。混合弁43は、通水部40を流通する水に対して、分岐流路3を流通する水を混合する。すなわち、混合弁43は、貯湯部10において加熱された水に対し、加熱されていない水を混合する。これによって、混合弁43よりも下流側の通水部40には、例えば35℃から39℃程度の適温に調節された水が流通する。第2合流部42は、通水部40における第1合流部41よりも下流側に設けられている。第2合流部42には空気流路4の下流端が接続されている。
【0017】
空気導入部50は通水部40に空気を導入する。空気導入部50はエアポンプを有して構成されている。空気導入部50は、制御部60によってエアポンプを駆動制御され、空気を圧送する。制御部60は、例えば3秒から5秒程度の所定時間、空気導入部50におけるエアポンプを駆動し、その後停止する制御を実行する。空気流路4には空気導入部50から圧送される空気が流通する。空気導入部50は、空気流路4の上流端に接続されている。空気流路4を流通した空気は、第2合流部42から通水部40に導入される。これによって、通水部40内の流路に滞留する水は吐水部30側に押され、吐水口31から吐出される。空気流路4の中間部には、エアポンプへの水の流入を防止する逆流防止弁4Aが設けられている。
【0018】
本実施形態の場合、空気導入部50は、開閉部20が供給路2を閉じた状態で通水部40に空気を導入する。具体的には、空気導入部50は、開閉部20が供給路2を開いた状態から閉じた状態に切り替わった時に通水部40への空気の導入を開始し、所定時間経過後に通水部40への空気の導入を終了するように、制御部60によって駆動制御される。
【0019】
上記構成の吐水装置1の作用について説明する。吐水装置1は、止水状態において使用者の手等の被検知物をセンサ32が検知したり、止水状態において押圧スイッチ33が操作されたりした場合、吐水部30における吐水口31から水を吐出する。具体的には、吐水装置1は、センサ32の検知等に基づいて開閉部20を駆動し、供給路2を開放する。これによって、貯湯部10には、開放された供給路2を経て流入口11から水が流入する。同時に、貯湯部10における流出口12からは、貯留されて加熱された水が通水部40内の流路に流出する。貯湯部10から流出した水は、通水部40を流通して吐水口31から吐出される。
【0020】
吐水装置1は、吐水状態においてセンサ32による被検知物の検知状態が非検知になったり、吐水状態において押圧スイッチ33が操作されたりした場合、開閉部20を駆動して供給路2を閉塞する。これによって、吐水装置1は、吐水口31からの吐水を停止する。この時、通水部40内の流路には水が滞留している。この状態において、吐水装置1は、空気導入部50を駆動し、通水部40に空気を導入する。空気導入部50から導入された空気は、第2合流部42から吐水部30側の通水部40内の流路に進入する。これによって、通水部40内に滞留している水が吐水口31から押し出される。
【0021】
吐水装置1は、一度吐水を行うと、加熱されていない新たな水が給水源から貯湯部10に供給される。これによって、吐水後の貯湯部10内の水温は低下する。本実施形態の場合、貯湯部10は、バイメタル式の温度調節機能を備えており、内部の水温が低下するとヒータ13による加熱が自動的に開始される。貯湯部10内の水は、昇温するに従って膨張し、体積が増加した分、通水部40側に流出する。この時、通水部40内の流路に水が充満した状態であったならば、いわゆるポタ落ち状に、昇温による体積膨張分の水が吐水口31から吐出される。しかし、吐水装置1は、吐水終了後、空気導入部50を所定時間駆動し、通水部40に空気を導入したことによって、加熱による水の体積増加が空気によって吸収される。このため、吐水装置1は、水の体積膨張に起因する吐水口31からの水の滴下が防止される。
【0022】
以上のように、実施形態1に係る吐水装置1は、貯湯部10と、開閉部20と、吐水部30と、通水部40と、空気導入部50とを備えている。貯湯部10は、給水源から供給される水を貯留して加熱する。開閉部20は、給水源と貯湯部10との間の水の供給路2を開閉する。吐水部30は、貯湯部10に貯留された水を吐出する。通水部40は、貯湯部10から吐水部30に水を流通させる流路を形成する。空気導入部50は、通水部40内の流路に滞留する水を吐水部30側に押し出す空気を通水部40に導入する。
【0023】
このように、吐水装置1は、空気導入部50によって通水部40内に空気が直接導入される。このため、吐水装置1は、通水部40内に滞留する水を好適に押し出すことができる。したがって、吐水装置1は、水の体積膨張に起因する吐水口31からの水の滴下を好適に抑制することができる。
【0024】
吐水装置1において、空気導入部50は、開閉部20が供給路2を閉じた状態で通水部40に空気を導入する。このため、吐水装置1は、空気を通水部40における吐水部30側に好適に導入することができる。
【0025】
<他の実施形態>
本開示は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施の形態も本開示の技術的範囲に含まれる。
【0026】
本開示に係る貯湯部の構成等は、上記実施形態に限定されない。貯湯部は、例えば、サーミスタ等の水の温度を測定する手段を有し、この測定結果に基づいて水温の調節が行われるものであってもよい。
【0027】
本開示に係る吐水部の構成、形状、大きさ等は上記実施形態に限定されない。吐水部における各構成要素の形状、配置等も特に問わない。
【0028】
本開示に係る吐水装置において、吐水部がセンサ及び押圧スイッチの両方を備えることは必須ではない。すなわち、吐水装置は、自動吐水及び手動吐水のいずれか一方のみの機能を備えたものであってもよい。吐水部がセンサを備える場合、その種類は上記実施形態に限定されない。吐水部に備えられるセンサとしては、例えば、測距センサ、静電容量式センサ等の非接触型のセンサを挙げることができる。
【0029】
本開示に係る開閉部は、上記実施形態において例示した電磁弁を有する構成に限定されない。開閉部は、例えば、電動シリンダ弁、電動ボール弁等、電気で作動する他の種類の弁を有して構成されていることができる。
【0030】
本開示に係る吐水装置において、通水部に混合弁が設けられることは必須ではない。通水部が混合弁を備えない構成としては、例えば、貯湯槽において予め適温に水が加熱される形態を挙げることができる。
【0031】
本開示に係る空気導入部の構成等は上記実施形態に限定されない。空気導入部は、例えば、エアポンプを直接的に備えることなく、外部に配置されたエアポンプによる空気や、外部のコンプレッサによって生成された圧縮空気等を導入するものであってもよい。
【0032】
本開示に係る吐水装置において、空気導入部による空気の導入形態は、上記実施形態に限定されない。空気導入部は、例えば、貯湯部における水の加熱の開始を以て空気の導入を開始するものであってもよい。具体的には、例えば、本開示に係る吐水装置は、ヒータへの通電の有無等、貯湯部における水の加熱手段の運転状況を検知する検知部を有し、空気導入部は、この検知部の検知結果に基づいて空気を導入する形態を採用することができる。
【0033】
上述のように空気導入部が貯湯部における水の加熱の開始を以て空気の導入を開始する場合、空気導入部は以下の形態であることができる。すなわちこの場合、空気導入部は、前回空気を導入してから現在までの開閉部による供給路の開閉の有無に応じて、加熱開始を以て空気の導入を選択的に実行することができる。詳細には、空気導入部は、前回空気を導入してから現在までに開閉部による供給路の開閉が実行された場合には、加熱開始を以て空気を導入するように、制御部によって制御されてもよい。空気導入部は、前回空気を導入してから現在までに開閉部による供給路の開閉が実行されていない場合には、加熱が開始されても空気を導入しないように、制御部によって制御されてもよい。これは、前回の空気導入後に吐水を行っていない場合、通水部内には水の滞留が生じておらず、空気の導入が不要であるためである。
【0034】
本開示に係る吐水装置において、空気導入部による空気の導入を終了する形態は、上記実施形態に限定されない。空気導入部は、例えば、所定量の空気を導入後に空気の導入を終了する形態であってもよい。
【符号の説明】
【0035】
1…吐水装置、2…供給路、10…貯湯部、20…開閉部、30…吐水部、40…通水部、50…空気導入部
図1