(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023059469
(43)【公開日】2023-04-27
(54)【発明の名称】障子及び建具
(51)【国際特許分類】
E06B 3/56 20060101AFI20230420BHJP
E06B 3/70 20060101ALI20230420BHJP
E06B 3/46 20060101ALI20230420BHJP
【FI】
E06B3/56
E06B3/70 D
E06B3/46
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021169505
(22)【出願日】2021-10-15
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】山内 龍介
【テーマコード(参考)】
2E014
2E016
【Fターム(参考)】
2E014AA03
2E014FB05
2E014FB06
2E016AA03
2E016BA00
2E016CA01
2E016CB01
2E016CC01
2E016DC05
2E016HA10
2E016JA01
2E016JC02
2E016KA02
2E016LA01
2E016LB09
2E016LC01
2E016MA01
(57)【要約】
【課題】面材の端部を接着材により框に接着する構成において、意匠性を向上できる障子及び建具を提供すること。
【解決手段】障子4は、框43を有する框体45と、框体45内に配置される面材46と、を備え、框43は、面材46の端部が挿入される開口432を有し、面材46の端部が接着材10により接着されて配置される面材配置溝433と、面材配置溝433に連通して形成され面材46の端部が面材配置溝433に挿入されることで面材配置溝433に配置された接着材10が流れ込む接着材収容ポケット434と、面材配置溝433の手前側に形成され面材46側に向けて延びる手前側壁部435と、手前側壁部435の面材46側の端部から面材46の面に沿って面材配置溝433の手前側から奥側に向けて延びる延出部436と、を有する。
【選択図】
図9B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
框を有する框体と、前記框体内に配置される面材と、を備え、
前記框は、
前記面材の端部が挿入される開口を有し、前記面材の端部が接着材により接着されて配置される面材配置溝と、
前記面材配置溝に連通して形成され前記面材の端部が前記面材配置溝に挿入されることで前記面材配置溝に配置された接着材が流れ込む接着材収容ポケットと、
前記面材配置溝の手前側に形成され前記面材側に向けて延びる手前側壁部と、
前記手前側壁部の前記面材側の端部から前記面材の面に沿って前記面材配置溝の手前側から奥側に向けて延びる延出部と、を有する、障子。
【請求項2】
前記接着材収容ポケットは、前記面材配置溝を挟んで両側に設けられる、請求項1に記載の障子。
【請求項3】
前記框は、前記面材配置溝の奥側において前記面材の端面が対向する対向面に形成され前記面材が前記面材配置溝に挿入された場合に、前記面材の厚さ方向において接着材が所定幅の範囲に収まるように接着材の移動を規制する規制壁部を有する、請求項1又は2に記載の障子。
【請求項4】
前記面材配置溝は、前記框の長手方向に延びて形成され、
前記框は、前記面材配置溝の長手方向の端部側に配置され前記框の長手方向の端部からの接着材の流出を防止する封止材を有する請求項1~3のいずれかに記載の障子。
【請求項5】
枠体と、前記枠体内に配置される請求項1~4のいずれかに記載の障子と、を備える建具であって、
前記障子は、引き違いの2枚の障子により構成され、
前記2枚の障子は、それぞれ、上框、下框、召合せ框及び戸先框を有し、
前記框は、前記上框、前記下框、前記召合せ框及び前記戸先框のうちの少なくともいずれかである、建具。
【請求項6】
前記面材の端部を接着する接着材の量は、前記召合せ框及び前記戸先框のうちの一方の接着材の量が他方の接着材の量よりも少ない、請求項5に記載の建具。
【請求項7】
前記面材の端部を接着する接着材の量は、前記上框及び前記下框のうちの一方の接着材の量が他方の接着材の量よりも少ない、請求項5又は6に記載の建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、障子及び建具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、枠体と、枠体内にスライド可能に配置される障子と、を備える建具が知られている(例えば、特許文献1参照)。障子は、框を有する框体と、框体内に配置されるガラスパネルと、を有し、ガラスパネルの端部は、接着材により、框に接着されて固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1においては、ガラスパネルは、框のガラス配置溝に接着材が配置された後に、ガラスパネルの端部が框のガラス配置溝に挿入されることで、接着材により、框に接着されて固定される。この場合、接着材が框の外側にはみ出てしまう可能性がある。また、框のガラス配置溝の内部に配置された接着材が、ガラスパネル越しに外部から視認された場合に、接着材の端部の部分が一様ではなく波打つようにはみ出して、その波打った接着材の端部が視認されると、意匠性が損なわれる可能性がある。そのため、ガラスパネル(面材)の端部を接着材により框に接着する構成において、意匠性を向上できることが望まれる。
【0005】
本開示は、面材の端部を接着材により框に接着する構成において、意匠性を向上できる障子及び建具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、框を有する框体と、前記框体内に配置される面材と、を備え、前記框は、前記面材の端部が挿入される開口を有し、前記面材の端部が接着材により接着されて配置される面材配置溝と、前記面材配置溝に連通して形成され前記面材の端部が前記面材配置溝に挿入されることで前記面材配置溝に配置された接着材が流れ込む接着材収容ポケットと、前記面材配置溝の手前側に形成され前記面材側に向けて延びる手前側壁部と、前記手前側壁部の前記面材側の端部から前記面材の面に沿って前記面材配置溝の手前側から奥側に向けて延びる延出部と、を有する、障子に関する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】一実施形態の建具を浴室側から見た図である。
【
図4】外障子の上框及び下框の拡大縦断面図である。
【
図5】外障子の召合せ框及び戸先框の拡大横断面図である。
【
図6】外障子の召合せ框に配置された封止材を示す斜視図である。
【
図7】外障子の戸先框に配置された封止材を示す斜視図である。
【
図8A】外障子の戸先框にガラスパネルを取り付ける状態を示す図である。
【
図8B】外障子の戸先框にガラスパネルを取り付けた状態を示す図である。
【
図9A】外障子の召合せ框にガラスパネルを取り付ける状態を示す図である。
【
図9B】外障子の召合せ框にガラスパネルを取り付けた状態を示す図である。
【
図10】外障子の戸先框の第1変形形態を示す図である。
【
図11】外障子の戸先框の第2変形形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本明細書において、「見付方向」とは、建物に配置された開口部に納められた建具におけるガラスパネルの面方向を意味する。見付方向において、横方向を左右方向という。「見込方向」とは、上記ガラスパネルの厚さ方向(即ち、奥行き方向)を意味する。本実施形態においては、面材の一例としてガラスパネルを用いた場合について説明する。面材はガラスパネルに限定されない。面材としては、ガラスパネルの他に、例えば、樹脂パネル、アルミ樹脂複合板などが挙げられる。また、本実施形態においては、面材としてのガラスパネルに、シングルガラスを用いた場合について説明する。なお、面材としてのガラスパネルに、ペアガラスやトリプルガラスを用いてもよい。また、面材としてのガラスパネルに、合わせガラスを用いてもよい。
【0009】
図1~
図3に示すように、一実施形態の建具1は、建物としてのユニットバス(図示省略)に形成される開口部に設けられる。建具1は、いわゆる引き違い障子であり、
図1に示すように、枠体2と、枠体2内に開閉可能に嵌め込まれた内障子3(障子)及び外障子4(障子)と、浴室の換気構造5と、を備える。本実施形態においては、引き違い障子において、浴室側X1に配置される障子を内障子3といい、脱衣室側X2に配置される障子を外障子4という。建具1は、内障子3及び外障子4により枠体2内の開口部分を開閉可能である。
【0010】
枠体2は、建物としてのユニットバス(図示省略)に形成される開口部に設けられる。ユニットバスの内側には、
図2に示すように、防水パン11及び浴槽(図示省略)等が設けられる浴室空間が形成される。ユニットバスの開口部は、浴室と脱衣室とを連通する。
【0011】
枠体2は、
図1~
図3に示すように、上枠21、下枠22及び左右の縦枠23,24により矩形に枠組みされている。
【0012】
上枠21は、
図2に示すように、浴室側X1に設けられる上枠浴室側呑み込み部211と、脱衣室側X2に設けられる上枠脱衣室側呑み込み部212と、を有する。上枠浴室側呑み込み部211及び上枠脱衣室側呑み込み部212は、見込方向に隣り合って並んで配置され、いずれも下方に向けて開放する枠状に形成される。上枠浴室側呑み込み部211には、内障子3の上框31の上端が呑み込まれて配置される。上枠脱衣室側呑み込み部212には、外障子4の上框41の上端が呑み込まれて配置される。
【0013】
上枠浴室側呑み込み部211の上端部には、内障子側戸車保持部211aが設けられる。内障子側戸車保持部211aには、内障子3の上框31が接続された吊車37が、左右方向に移動可能に配置される。上枠脱衣室側呑み込み部212の上部には、外障子側戸車保持部212aが設けられる。外障子側戸車保持部212aには、外障子4の上框41に接続された吊車47が、左右方向に移動可能に配置される。
【0014】
下枠22は、
図2に示すように、下枠本体221と、下枠スロープ部材222(下枠カバー部材)と、を有する。下枠本体221及び下枠スロープ部材222は、いずれも、左右方向に延びる長尺状に形成されると共に、見込方向に延びる。
【0015】
下枠22には、浴室の換気構造5が設けられている。浴室の換気構造5は、下枠22における下枠本体221と下枠スロープ部材222との間の隙間を換気通路223として構成し、換気通路223を通して、浴室を換気する。浴室の換気構造5は、浴室側から脱衣室側への水の流入を抑制するために、回動軸51aを中心に回動可能な第1羽根板51と、回動軸52aを中心に回動可能な第2羽根板52と、を備え、これらが換気通路223に配置される。
【0016】
内障子3及び外障子4は、枠体2内をスライド可能である。内障子3及び外障子4は、いずれも引き戸であり、これらを左右方向にスライドさせることで、枠体2の内側の開口部分を開放又は閉鎖する、いわゆる引き違い障子を構成する。
【0017】
内障子3は、
図1~
図3に示すように、いずれも、細幅で長尺状の上框31、下框32及び召合せ框33(框),戸先框34(框)により矩形に枠組みされた框体35と、框体35内に嵌め込まれて固定されたガラスパネル36(面材)と、を含んで構成される。ガラスパネル36は、細幅の框(上框31、下框32、召合せ框33及び戸先框34)に嵌め込まれて固定されており、内障子3は、スッキリとしたデザイン性を有する。
【0018】
外障子4は、いずれも、細幅で長尺状の上框41、下框42及び召合せ框43(框),戸先框44(框)により矩形に枠組みされた框体45と、框体45内に嵌め込まれて固定されたガラスパネル46(面材)と、を含んで構成される。ガラスパネル46は、細幅の框(上框41、下框42、召合せ框43及び戸先框44)に嵌め込まれて固定されており、外障子4は、スッキリとしたデザイン性を有する。
【0019】
次に、内障子3及び外障子4におけるガラスパネル36,46を框体35,45に接着材10により接着して固定する構造について説明する。本実施形態においては、内障子3及び外障子4の召合せ框33,43は、いずれも、建具1の左右方向の中央において内障子3と外障子4との召合せ部分に配置されている。内障子3及び外障子4は、左右を反転させた形状であり、召合せ框33,43及び戸先框34,44の位置及び形状が左右対称形状である。本実施形態においては、内障子3及び外障子4は、左右反転している点以外の点は、同様の形状であるため、外障子4について説明する。
【0020】
図4及び
図5に示すように、外障子4において、上框41、下框42、召合せ框43及び戸先框44は、ガラスパネル46の端部が配置されるガラス配置溝413,423,433,443(面材配置溝)を有する。
【0021】
上框41及び下框42におけるガラスパネル46の端部をガラス配置溝413,423に接着材10により固定する構造は、召合せ框43及び戸先框44におけるガラスパネル46の端部をガラス配置溝433,443に接着材10により固定した構造の左右の向きを上下の向きに変更した構造と同様の構造である。上框41の接着材固定構造を横にした構造が召合せ框43の接着材固定構造と同様の構造であり、下框42の接着材固定構造を横にした構造が戸先框44の接着材固定構造と同様の構造である。そのため、以下の説明においては、召合せ框43及び戸先框44について説明する。上框41及び下框42については、召合せ框43及び戸先框44と対応する符号をつけることで、その説明を省略する。
【0022】
ガラスパネル46の上端部及び下端部に関する構成において、上框41は、
図4に示すように、ガラスパネル46の上端部が固定される端部固定枠411を備える。端部固定枠411は、ガラスパネル46の上端部が挿入される開口412を有するガラス配置溝413(面材配置溝)と、一対の接着材収容ポケット414と、一対の手前側壁部415と、一対の延出部416と、一対の規制壁部417と、を備える。
【0023】
下框42は、
図4に示すように、ガラスパネル46の下端部が固定される端部固定枠421を備える。端部固定枠421は、ガラスパネル46の下端部が挿入される開口422を有するガラス配置溝423(面材配置溝)と、一対の接着材収容ポケット424と、一対の手前側壁部425と、一対の規制壁部427と、を備える。
【0024】
ガラスパネル46の左右方向の両端部に関する構成において、召合せ框43は、
図5に示すように、ガラスパネル46の左右方向の召合せ框43側の端部が固定される端部固定枠431を備える。端部固定枠431は、ガラスパネル46の左右方向の召合せ框43側の端部が挿入される開口432を有するガラス配置溝433(面材配置溝)と、一対の接着材収容ポケット434と、一対の手前側壁部435と、一対の延出部436と、一対の規制壁部437と、を備える。
【0025】
戸先框44は、
図5に示すように、ガラスパネル46の左右方向の戸先框44側の端部が固定される端部固定枠441を備える。端部固定枠441は、ガラスパネル46の左右方向の戸先框44側の端部が挿入される開口442を有するガラス配置溝443(面材配置溝)と、一対の接着材収容ポケット444と、一対の手前側壁部445と、一対の規制壁部447と、を備える。
【0026】
召合せ框43におけるガラスパネル46が接着材10により接着される構成について説明する。
図5に示すように、召合せ框43の端部固定枠431は、開口432を有するガラス配置溝433(面材配置溝)と、一対の接着材収容ポケット434と、一対の手前側壁部435と、一対の延出部436と、一対の規制壁部437と、を備える。
【0027】
ガラス配置溝433は、
図6に示すように、召合せ框43の長手方向の全域に亘って延びて形成される。ガラス配置溝433の開口432には、
図5に示すように、ガラスパネル46の端部が挿入される。開口432は、召合せ框43の内周側が開放して形成される。ガラスパネル46の端部には、ガラスパネル46の面方向の外側を向くと共にガラスパネル46の厚さ方向に延びる端面461と、角部を面取りした一対の傾斜端面462と、が形成される。
【0028】
ガラス配置溝433には、ガラスパネル46の端部が接着材10により接着されて配置される。ガラス配置溝433は、ガラスパネル46の端部の端面461が対向した状態で接着されるガラス対向面433aを有する。ガラス対向面433aとガラスパネル46の端面461とは、接着材10により接着されて固定される。
【0029】
一対の接着材収容ポケット434は、ガラス配置溝433を挟んで両側に設けられる。一対の接着材収容ポケット434は、それぞれ、ガラス配置溝433に連通して形成される。接着材収容ポケット434には、ガラスパネル46の端部がガラス配置溝433に挿入されることで、ガラス配置溝433の奥側に配置された接着材10が押し出されて流れ込む。これにより、接着材収容ポケット434は、ガラスパネル46の端部の端面461とガラス配置溝433のガラス対向面433aとの間から溢れた余剰の接着材10を収容する。
【0030】
一対の手前側壁部435は、
図5に示すように、それぞれ、ガラス配置溝433の手前側において、ガラスパネル46の浴室側X1の面側又は脱衣室側X2の面側に向けて延びて形成される。手前側壁部435は、ガラスパネル46の面方向に交差する方向に延びてガラスパネル46の浴室側X1の面側又は脱衣室側X2の面側に近づくように形成され、ガラスパネル46との間に隙間S31を形成した状態で配置される。一対の手前側壁部435のガラスパネル46側の面は、ガラス配置溝433の開口432の外郭を構成する。隙間S31は、ガラスパネル46を開口432に挿入可能なように、ガラスパネル46の厚さの製造時のばらつき(公差)を考慮して設けられている。
【0031】
一対の延出部436は、それぞれ、接着材収容ポケット434のポケット開口434aの手前側を塞ぐように、手前側壁部435のガラスパネル46側の端部からガラスパネル46の面に沿って、ガラス配置溝433の手前側から奥側に向けて所定長さ延びる。延出部436は、接着材収容ポケット434に収容された接着材10の手前側の部分が視認できない長さに形成される。
【0032】
一対の規制壁部437は、
図5に示すように、それぞれ、ガラス配置溝433の奥側に形成される。一対の規制壁部437は、ガラス配置溝433の奥側においてガラスパネル46の端面461が対向するガラス対向面433a(対向面)に形成される。一対の規制壁部437は、ガラスパネル46がガラス配置溝433に挿入された場合に、ガラスパネル46の厚さ方向において接着材10が所定幅の範囲に収まるように接着材10の移動を規制する。
【0033】
一対の規制壁部437は、それぞれ、ガラスパネル46がガラス配置溝433に配置された場合に、外障子4の端部固定枠431におけるガラス配置溝433の奥側のガラス対向面433aにおけるガラスパネル46の厚さ方向に沿う方向の一方側及び他方側において、ガラス配置溝433の奥側から手前側に立ち上がる壁状に形成される。接着材10が配置される位置を規制するように、一対の規制壁部437を設けることで、接着材10の使用量を必要最小限に抑えることができる。
【0034】
一対の規制壁部437とガラスパネル46の浴室側X1の面又は脱衣室側X2の面との間には、接着材10が接着材収容ポケット434側に流れ出すことが可能な隙間S32が形成される。
【0035】
図6に示すように、ガラス配置溝433の長手方向の両端部側には、一対の封止材438が設けられる。一対の封止材438は、ブロック状に形成される。本実施形態においては、一対の封止材438は、ガラス配置溝433の長手方向の両端部側において、長手方向の両端部に形成されるネジ孔(図示せず)を避けるために、ガラス配置溝433の長手方向の端部から中央側に入った位置に配置される。一対の封止材438は、ガラス配置溝433の奥側に配置される。一対の封止材438は、召合せ框43の長手方向の端部からの接着材10の流出を防止する。これにより、接着材10をガラス配置溝433に確実に保持できる。
【0036】
封止材438は、クッション性を有するクッション部材により構成され、ガラスパネル46の端部をガラス配置溝433に配置する製造時には、ガラスパネル46の端部に潰されて変形する。よって、ガラスパネル46の端部をガラス配置溝433に配置する製造時において、生産性を向上できる。
【0037】
次に、戸先框44におけるガラスパネル46が接着材10により接着される構成について説明する。
図5に示すように、戸先框44の端部固定枠441は、開口442を有するガラス配置溝443(面材配置溝)と、一対の接着材収容ポケット444と、一対の手前側壁部445と、一対の規制壁部447と、を備える。戸先框44は、召合せ框43における一対の延出部436を備えていない。
【0038】
ガラス配置溝443は、
図7に示すように、戸先框44の長手方向の全域に亘って延びて形成される。ガラス配置溝443の開口442には、
図5に示すように、ガラスパネル46の端部が挿入される。開口442は、戸先框44の内周側が開放して形成される。ガラスパネル46の端部には、ガラスパネル46の面方向の外側を向くと共にガラスパネル46の厚さ方向に延びる端面461と、角部を面取りした一対の傾斜端面462と、が形成される。
【0039】
ガラス配置溝443には、ガラスパネル46の端部が接着材10により接着されて配置される。ガラス配置溝443は、ガラスパネル46の端部の端面461が対向した状態で接着されるガラス対向面443aを有する。ガラス対向面443aとガラスパネル46の端面461とは、接着材10により接着されて固定される。
【0040】
一対の接着材収容ポケット444は、ガラス配置溝443を挟んで両側に設けられる。一対の接着材収容ポケット444は、それぞれ、ガラス配置溝443に連通して形成される。接着材収容ポケット444には、ガラスパネル46の端部がガラス配置溝443に挿入されることで、ガラス配置溝443の奥側に配置された接着材10が押し出されて流れ込む。これにより、接着材収容ポケット444は、ガラスパネル46の端部の端面461とガラス配置溝443のガラス対向面443aとの間から溢れた余剰の接着材10を収容する。
【0041】
本実施形態においては、戸先框44においてガラスパネル46の端部の最初の位置決めを行うことから接着材10のはみ出す量を少なく想定しているため、戸先框44の接着材収容ポケット444は、手前側から奥側までの幅が、召合せ框43の接着材収容ポケット434よりも小さく形成されると共に、ガラスパネル46の厚さ方向の長さが、召合せ框43の接着材収容ポケット434よりも小さく形成されている。
【0042】
そのため、ガラスパネル46の端部を接着する接着材10の量について、戸先框44及び召合せ框43のうちの戸先框44の接着材10の量を、召合せ框43の接着材10の量よりも少なくしている。なお、これに限定されず、ガラスパネル46の端部を接着する接着材10の量について、戸先框44及び召合せ框43のうちの召合せ框43の接着材10の量を、召合せ框43の接着材10の量よりも少なくしてもよい。
【0043】
一対の手前側壁部445は、
図5に示すように、それぞれ、ガラス配置溝443の手前側において、ガラスパネル46の浴室側X1の面側又は脱衣室側X2の面側に向けて延びて形成される。手前側壁部445は、ガラスパネル46の面方向に交差する方向に延びてガラスパネル46の浴室側X1の面側又は脱衣室側X2の面側に近づくように形成され、ガラスパネル46との間に隙間S41を形成した状態で配置される。一対の手前側壁部445のガラスパネル46側の面は、ガラス配置溝443の開口442の外郭を構成する。隙間S41は、ガラスパネル46を開口442に挿入可能なように、ガラスパネル46の厚さの製造時のばらつき(公差)を考慮して設けられている。
【0044】
一対の手前側壁部445には、ガラスパネル46の浴室側X1の面及び脱衣室側X2の面に沿って延びる内側面445aが形成されている。内側面445aは、接着材収容ポケット444に収容された接着材10の手前側の部分が視認できない長さに形成される。
【0045】
一対の規制壁部447は、
図5に示すように、それぞれ、ガラス配置溝443の奥側に形成される。一対の規制壁部447は、ガラス配置溝443の奥側においてガラスパネル46の端面461が対向するガラス対向面443a(対向面)に形成される。一対の規制壁部447は、ガラスパネル46がガラス配置溝443に挿入された場合に、ガラスパネル46の厚さ方向において接着材10が所定幅の範囲に収まるように接着材10の移動を規制する。
【0046】
一対の規制壁部447は、それぞれ、ガラスパネル46がガラス配置溝443に配置された場合に、外障子4の端部固定枠441におけるガラス配置溝443の奥側のガラス対向面443aにおけるガラスパネル46の厚さ方向に沿う方向の一方側及び他方側において、ガラス配置溝443の奥側から手前側に立ち上がる壁状に形成される。接着材10が配置される位置を規制するように、一対の規制壁部447を設けることで、接着材10の使用量を必要最小限に抑えることができる。
【0047】
一対の規制壁部447は、角部447aを有し、角部447aが、ガラスパネル46の端部の傾斜端面462に接触するように形成される。規制壁部447が設けられることにより、外障子4の製造時に、ガラスパネル46をガラス配置溝443の挿入した場合に、ガラスパネル46の端部の傾斜端面462に角部447aが接触することで、ガラスパネル46の端部の端面461の挿入方向の位置決めをすることができる。
【0048】
図7に示すように、ガラス配置溝443の長手方向の両端部側には、一対の封止材448が設けられる。一対の封止材448は、ブロック状に形成される。本実施形態においては、一対の封止材448は、ガラス配置溝443の長手方向の両端部側において、長手方向の両端部に形成されるネジ孔(図示せず)を避けるために、ガラス配置溝443の長手方向の端部から中央側に入った位置に配置される。一対の封止材448は、ガラス配置溝443の奥側に配置される。一対の封止材448は、戸先框44の長手方向の端部からの接着材10の流出を防止する。これにより、接着材10をガラス配置溝443に確実に保持できる。
【0049】
封止材448は、クッション性を有するクッション部材により構成され、ガラスパネル46の端部をガラス配置溝443に配置する製造時には、ガラスパネル46の端部に潰されて変形する。よって、ガラスパネル46の端部をガラス配置溝443に配置する製造時において、生産性を向上できる。
【0050】
次に、外障子4の召合せ框43及び戸先框44にガラスパネル46を接着材10により接着する場合について説明する。
【0051】
まず、
図8Aに示すように、戸先框44において、接着材10をガラス配置溝443のガラス対向面443aに配置した状態で、ガラスパネル46の左右方向の戸先框44側の端部を、戸先框44のガラス配置溝443に挿入する。戸先框44のガラス配置溝443の長手方向の両端部には、封止材448(
図7参照)が配置される。これにより、ガラスパネル46をガラス配置溝443に配置した場合において、戸先框44の長手方向の端部からの接着材10の流出を防止できる。
【0052】
ガラスパネル46をガラス配置溝443に挿入すると、
図8Bに示すように、ガラスパネル46の戸先框44側の端部の一対の傾斜端面462は、一対の規制壁部447の角部447aに接触する。これにより、ガラスパネル46の端部の位置決めがされ、ガラスパネル46の端部は、接着材10に接着されて固定される。
【0053】
ここで、ガラス配置溝443から溢れた接着材10は、接着材収容ポケット444に収容される。そのため、戸先框44の外側に接着材10がはみ出ることが抑制される。
【0054】
また、手前側壁部445の内側面445aのガラスパネル46の面に沿う長さは、接着材収容ポケット444に収容された接着材10の手前側の部分が視認できない長さに形成されている。
【0055】
そのため、
図8Bに示すように、浴室側X1からガラスパネル46越しに脱衣室側X2の接着材収容ポケット444を見た場合に、ガラスパネル46の浴室側X1の面に直交する方向からガラスパネル46側への角度(手前側壁部445の内側の面からガラスパネル46側への角度)が、0°から角度α1までの角度範囲A1においては、接着材収容ポケット444が手前側壁部445の内側面445aに遮蔽されるため、ガラスパネル46越しに、接着材10が視認されない。また、ガラスパネル46の浴室側X1の面に直交する方向からガラスパネル46側への角度が、角度α1から90°までの角度範囲A2においては、ガラスパネル46越しに、接着材10が視認される。
【0056】
なお、ガラスパネル46を浴室側X1から角度α1で見た場合には、ガラスパネル46のガラスの屈折率により、接着材収容ポケット444の内部からの光の入射角α2が屈折角α1に屈折されて角度α1にて視認される。そのため、ガラスパネル46の屈折率やガラスパネル46の厚さなどを考慮して、ガラスパネル46を正面から見る角度α1と接着材収容ポケット444の内部が見える範囲とを決定するように、手前側壁部445の内側面445aのガラスパネル46の面に沿う長さL1が設定される。本実施形態においては、例えば、ガラスパネル46の厚さが5mmの場合において、ガラスパネル46を正面から見た場合のガラスパネル46に対する角度α1が角度38°となるように、手前側壁部445の内側面445aのガラスパネル46の面に沿う長さL1を2.5mmに設定している。
【0057】
ここで、ガラス配置溝443の長手方向において、接着材10が多い箇所では接着材10のはみ出し量が多く、接着材10が少ない箇所では接着材10のはみ出し量が少ない。そのため、ガラス配置溝443の長手方向において、接着材10のはみ出し部分の端部は波打って一様ではなく、見栄えが悪くなる。
【0058】
これに対して、本実施形態においては、脱衣室側X2の手前側壁部445の内側面445aを設けている。これにより、ガラスパネル46を浴室側X1から見た場合に、接着材10のはみ出しが長手方向において波打って一様ではない接着材10のはみ出し部分の端部の接着材部分10aは、脱衣室側X2の手前側壁部445の内側面445aにより隠されて視認されずに、手前側壁部445の長手方向に延びる直線状の内側面445aに沿って、接着材10のはみ出し部分の端部の接着材部分10aよりも内側に一様に接着材10が存在する接着材部分10bが視認される。そのため、接着材10がガラスパネル46越しに視認されても、見栄えをよくすることができる。
【0059】
次に、
図9Aに示すように、接着材10をガラス配置溝443のガラス対向面443aに配置した状態で、ガラスパネル46の左右方向の召合せ框43側の端部を、召合せ框43のガラス配置溝433に挿入する。召合せ框43のガラス配置溝433の長手方向の両端部には、封止材438(
図6参照)が配置される。これにより、ガラスパネル46をガラス配置溝433に配置した場合において、召合せ框43の長手方向の端部からの接着材10の流出を防止できる。
【0060】
ここで、戸先框44及び召合せ框43は、上框41及び下框42が組み込まれる。外障子4は外形寸法が設計により決定されているため、召合せ框43と戸先框44との間の距離も設計により決定されている。
【0061】
戸先框44及び召合せ框43の寸法公差の一例であるが、本実施形態においては、戸先框44及び召合せ框43の寸法公差は、例えば、框の加工精度から、±0.5mmである。これに対して、ガラスパネル46の左右方向の長さの寸法公差は、ガラスパネル46の加工精度から、例えば、±2mmである。戸先框44及び召合せ框43の寸法公差に比べて、ガラスパネル46の左右方向の長さの寸法公差の方が大きい。
【0062】
そのため、ガラスパネル46の戸先框44側の端部の位置決めを戸先框44側において行った後に、ガラスパネル46の召合せ框43側の端部を召合せ框43に配置する場合に、ガラスパネル46の寸法公差のばらつきにより、ガラスパネル46の召合せ框43側の端部の位置がばらつくことになる。
【0063】
よって、ガラスパネル46の寸法公差のばらつきにより、ガラスパネル46の端部の端面461とガラス配置溝433のガラス対向面433aとの間に配置される接着材10の厚さが異なってくる。このため、ガラスパネル46の寸法公差のばらつきにより、ガラスパネル46の端部の端面461とガラス配置溝433のガラス対向面433aとの間に配置される接着材10の必要量も異なってくる。
【0064】
これに対して、本開示においては、ガラス配置溝433に連通する接着材収容ポケット434を設けた。これにより、ガラスパネル46の左右方向の長さのばらつきに対応して、ガラスパネル46を配置した場合に溢れた接着材10を接着材収容ポケット434に収容することで、接着材10が召合せ框43の外側にはみ出ることを抑制できる。
【0065】
また、接着材収容ポケット434のポケット開口434aの手前側を塞ぐ一対の延出部436を設けている。延出部436は、接着材収容ポケット434に収容された接着材10の手前側の部分が視認できない長さに形成される。
【0066】
そのため、
図9Bに示すように、浴室側X1からガラスパネル46越しに脱衣室側X2の接着材収容ポケット434を見た場合に、ガラスパネル46の浴室側X1の面に直交する方向からガラスパネル46側への角度(手前側壁部435の内側の面からガラスパネル46側への角度)が、0°から角度β1までの角度範囲B1においては、接着材収容ポケット434が延出部436に遮蔽されるため、ガラスパネル46越しに、接着材10が視認されない。また、ガラスパネル46の浴室側X1の面に直交する方向からガラスパネル46側への角度が、角度β1から90°までの角度範囲B2においては、ガラスパネル46越しに、接着材10が視認される。
【0067】
なお、ガラスパネル46を浴室側X1から角度β1で見た場合には、ガラスパネル46のガラスの屈折率により、接着材収容ポケット434の内部からの光の入射角β2が屈折角β1に屈折されて角度β1にて視認される。そのため、ガラスパネル46の屈折率やガラスパネル46の厚さなどを考慮して、ガラスパネル46を正面から見る角度β1と接着材収容ポケット434の内部が見える範囲とを決定するように、延出部436のガラスパネル46の面に沿う長さL2が設定される。本実施形態においては、例えば、ガラスパネル46の厚さが5mmの場合において、ガラスパネル46を正面から見た場合のガラスパネル46に対する角度β1が角度45°となるように、延出部436のガラスパネル46の面に沿う長さL2を3.0mmに設定している。
【0068】
ここで、ガラス配置溝433の長手方向において、接着材10が多い箇所では接着材10のはみ出し量が多く、接着材10が少ない箇所では接着材10のはみ出し量が少ない。そのため、ガラス配置溝433の長手方向において、接着材10のはみ出し部分の端部は波打って一様ではなく、見栄えが悪くなる。
【0069】
これに対して、本実施形態においては、接着材収容ポケット434のポケット開口434aの手前側を塞ぐ一対の延出部436を設けている。これにより、ガラスパネル46を浴室側X1から見た場合に、接着材10のはみ出しが長手方向において波打って一様ではない接着材10のはみ出し部分の端部の接着材部分10aは、脱衣室側X2の手前側壁部435から奥側に延びる延出部436により隠されて視認されずに、手前側壁部435の長手方向に延びる直線状の延出部436に沿って、接着材10のはみ出し部分の端部の接着材部分10aよりも内側に一様に接着材10が存在する接着材部分10bが視認される。そのため、接着材10がガラスパネル46越しに視認されても、見栄えをよくすることができる。
【0070】
ここで、上記説明では戸先框44及び召合せ框43について説明しており、上框41及び下框42については、戸先框44及び召合せ框43の説明を援用できるが、上框41及び下框42について補足的な説明を記載する。
【0071】
本実施形態においては、戸先框44及び召合せ框43においては、ガラスパネル46の端部を接着する接着材10の量について、戸先框44及び召合せ框43のうちの戸先框44の接着材10の量を、召合せ框43の接着材10の量よりも少なくしている。一方、上框41及び下框42においては、ガラスパネル46の端部を接着する接着材10の量について、上框41及び下框42のうちの下框42の接着材10の量を、上框41の接着材10の量よりも少なくしている。なお、これに限定されず、上框41及び下框42において、ガラスパネル46の端部を接着する接着材10の量について、上框41及び下框42のうちの上框41の接着材10の量を、下框42の接着材10の量よりも少なくしてもよい。
【0072】
また、本実施形態においては、戸先框44及び召合せ框43においては、一対の封止材438,448を、ガラス配置溝433,443の長手方向の両端部に形成されるネジ孔を避けるため、ガラス配置溝433,443の長手方向の両端部側において、ガラス配置溝433,443の長手方向の端部から中央側に入った位置に配置している。一方、上框41及び下框42においては、図示は省略するが、ガラス配置溝413,413の長手方向の両端部にネジ孔は形成されていないため、一対の封止材を、ガラス配置溝413,413の長手方向の両端部に配置する。なお、上框41及び下框42において、戸先框44及び召合せ框43と同様に、一対の封止材を、ガラス配置溝413,413の長手方向の両端部側において、ガラス配置溝413,413の長手方向の端部から中央側に入った位置に配置してもよい。
【0073】
本実施形態によれば、以下の効果が奏される。本実施形態の外障子4は、召合せ框43を有する框体45と、框体45内に配置されるガラスパネル46と、を備え、召合せ框43は、ガラスパネル46の端部が挿入される開口432を有し、ガラスパネル46の端部が接着材10により接着されて配置されるガラス配置溝433と、ガラス配置溝433に連通して形成されガラスパネル46の端部がガラス配置溝433に挿入されることでガラス配置溝433に配置された接着材10が流れ込む接着材収容ポケット434と、ガラス配置溝433の手前側に形成されガラスパネル46側に向けて延びる手前側壁部435と、手前側壁部435のガラスパネル46側の端部からガラスパネル46の面に沿ってガラス配置溝433の手前側から奥側に向けて延びる延出部436と、を有する。
【0074】
これにより、ガラス配置溝433に連通する接着材収容ポケット434を設けたため、ガラスパネル46の左右方向の長さのばらつきに対応して、ガラスパネル46を配置した場合に溢れた接着材10を接着材収容ポケット434に収容することで、接着材10が召合せ框43の外側にはみ出ることを抑制できる。よって、意匠性を向上できる。
【0075】
また、ガラス配置溝433から溢れて接着材収容ポケット434に収容される接着材10について、
図9Bに示すように、浴室側X1からガラスパネル46越しに脱衣室側X2の接着材収容ポケット434を見た場合に、ガラスパネル46の浴室側X1の面に直交する方向からガラスパネル46側への角度(手前側壁部435の内側の面からガラスパネル46側への角度)が、0°から角度β1までの角度範囲B1においては、接着材収容ポケット434が延出部436に遮蔽されるため、ガラスパネル46越しに、接着材10が視認されない。また、ガラスパネル46の浴室側X1の面に直交する方向からガラスパネル46側への角度が、角度β1から90°までの角度範囲B2においては、ガラスパネル46越しに、接着材10が視認される。接着材10のはみ出しが長手方向において波打って一様ではない接着材10のはみ出し部分の端部の接着材部分10aは、脱衣室側X2の手前側壁部435から奥側に延びる延出部436により隠されて視認されずに、手前側壁部435の長手方向に延びる直線状の延出部436に沿って、接着材10のはみ出し部分の端部の接着材部分10aよりも内側に一様に接着材10が存在する接着材部分10bが視認される。そのため、接着材10がガラスパネル46越しに視認されても、見栄えをよくすることができる。よって、意匠性を向上できる。
【0076】
また、本実施形態においては、召合せ框43は、ガラス配置溝433の奥側においてガラスパネル46の端面461が対向するガラス対向面433aに形成されガラスパネル46がガラス配置溝433に挿入された場合に、ガラスパネル46の厚さ方向において接着材10が所定幅の範囲に収まるように接着材10の移動を規制する規制壁部437を有する。これにより、接着材10が配置される位置を規制するように、一対の規制壁部437を設けることで、接着材10の使用量を必要最小限に抑えることができる。よって、接着材10に要するコストを低減できる。
【0077】
また、本実施形態においては、召合せ框43は、ガラス配置溝433の長手方向の端部側に配置され召合せ框43の長手方向の端部からの接着材10の流出を防止する封止材438を有する。これにより、接着材10のガラス配置溝433の長手方向の端部からの流出を防止することで、接着材10をガラス配置溝433に確実に保持できる。
【0078】
以上、本開示の好ましい実施形態について説明した。本開示は、上述した実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
【0079】
前記実施形態の
図5に示す戸先框44のガラス配置溝443の奥側に形成されるガラス対向面443aの形状について、例えば、
図10に示す第1変形形態のように、戸先框44Aのガラス配置溝443の奥側に形成されるガラス対向面443aから、ガラスパネル46側に突出するリブ439を設けてもよい。この場合、一対の規制壁部447Aの位置を、ガラスパネル46の傾斜端面462に接触しないように、ガラスパネル46の厚さ方向の外側に配置する。これにより、ガラス配置溝443にガラスパネル46の端部を配置する場合に、リブ439がガラスパネル46の端部の端面461に当接することで、ガラスパネル46の端部を位置決めすることができる。なお、下框42においても同様の構成を採用することができる。
【0080】
また、前記実施形態の
図5に示す戸先框44のガラス配置溝443の奥側に形成されるガラス対向面443aの形状について、
図11に示す第2変形形態のように、一対の規制壁部447Bの位置を、ガラス対向面443aの幅が小さくなるように位置させて、規制壁部447Bのガラスパネル46側の面をガラスパネル46の端部の端面461に接触させるようにしてもよい。この場合、ガラス配置溝443にガラスパネル46の端部を配置する場合に、規制壁部447Bおけるガラスパネル46側の面がガラスパネル46の端部の端面461に当接することで、ガラスパネル46の端部を位置決めすることができる。なお、下框42においても同様の構成を採用することができる。
【0081】
また、前記実施形態において、召合せ框43及び上框41に設けた延出部を、戸先框44及び下框42に設けてもよい。また、延出部を、上框41、下框42、召合せ框43及び戸先框44のいずれか1つのみに設けてもよいし、いずれか1以上の複数の框に設けてもよい。
【0082】
また、前記実施形態においては、建具1を引き違い障子に適用した場合について説明したが、これに限定されない。例えば、本開示の建具を、1枚の障子で構成される片引戸や、2枚の障子で構成される2枚引戸や、3枚の障子で構成される3枚引戸や、開閉不能に固定されるFIX障子や、折り戸や、開き戸に適用してもよい。
【符号の説明】
【0083】
1 建具、2 枠体、4 外障子(障子)、10 接着材、43 召合せ框(框)、45 框体、46 ガラスパネル(面材)、432 開口、433 ガラス配置溝(面材配置溝)、433a ガラス対向面(対向面)、434 接着材収容ポケット、435 手前側壁部、436 延出部、437 規制壁部、438 封止材