(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023059479
(43)【公開日】2023-04-27
(54)【発明の名称】紫外線防御化粧料
(51)【国際特許分類】
A61K 8/73 20060101AFI20230420BHJP
A61K 8/27 20060101ALI20230420BHJP
A61K 8/29 20060101ALI20230420BHJP
A61Q 17/04 20060101ALI20230420BHJP
【FI】
A61K8/73
A61K8/27
A61K8/29
A61Q17/04
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021169526
(22)【出願日】2021-10-15
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】591119750
【氏名又は名称】岩瀬コスファ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100145104
【弁理士】
【氏名又は名称】膝舘 祥治
(72)【発明者】
【氏名】田中 一平
(72)【発明者】
【氏名】劉 海静
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 敬子
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB211
4C083AB212
4C083AB241
4C083AB242
4C083AC022
4C083AC122
4C083AC392
4C083AC422
4C083AD152
4C083AD162
4C083AD172
4C083AD211
4C083AD212
4C083AD241
4C083AD242
4C083CC19
4C083EE01
4C083EE06
4C083EE07
4C083EE17
(57)【要約】
【課題】紫外線防御効果が向上し、滑らかさ及び白浮きの無さに優れ、分散性・乳化安定性に優れる紫外線防御化粧料を提供する。
【解決手段】イソステアリン酸デキストリンを含む第1の多糖脂肪酸エステルと、イソステアリン酸デキストリン以外の第2の多糖脂肪酸エステルと、金属酸化物粒子とを含む紫外線防御化粧料である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
イソステアリン酸デキストリンを含む第1の多糖脂肪酸エステルと、イソステアリン酸デキストリン以外の第2の多糖脂肪酸エステルと、金属酸化物粒子とを含み、
前記第1の多糖脂肪酸エステルの含有率が0.1質量%以上4質量%以下であり、
前記第2の多糖脂肪酸エステルの含有率が0.1質量%以上2質量%以下である紫外線防御化粧料。
【請求項2】
前記第2の多糖脂肪酸エステルは、パルミチン酸デキストリン、(パルミチン酸/エチルヘキサン酸)デキストリン、(パルミチン酸/ヘキシルデカン酸)デキストリン、ステアリン酸イヌリン及びミリスチン酸デキストリンからなる群から選択される少なくとも1種を含む請求項1に記載の紫外線防御化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線防御化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧料に関する技術として、特許文献1には、デキストリン脂肪酸エステルを含む化粧料が記載されている。また、特許文献2には、デキストリン脂肪酸エステルを含む紫外線防御組成物が記載されている。特許文献3には、デキストリン脂肪酸エステルを含む油中水型乳化物の安定性について記載されている。特許文献4には、低粘度で、経時での安定性に優れた油中水型乳化日焼け止め料について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平08-277302号公報
【特許文献2】特開平11-021224号公報
【特許文献3】特開2001-187711号公報
【特許文献4】特開2008-179628号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、紫外線防御効果が向上し、滑らかさ及び白浮きの無さに優れ、分散性・乳化安定性に優れる紫外線防御化粧料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するための具体的手段は以下の通りであり、本発明は以下の態様を包含する。第一態様は、イソステアリン酸デキストリンを含む第1の多糖脂肪酸エステルと、イソステアリン酸デキストリン以外の第2の多糖脂肪酸エステルと、金属酸化物粒子とを含み、第1の多糖脂肪酸エステルの含有率が0.1質量%以上4質量%以下であり、第2の多糖脂肪酸エステルの含有率が0.1質量%以上2質量%以下である紫外線防御化粧料である。
【0006】
一態様において、前記第2の多糖脂肪酸エステルは、パルミチン酸デキストリン、(パルミチン酸/エチルヘキサン酸)デキストリン、(パルミチン酸/ヘキシルデカン酸)デキストリン、ステアリン酸イヌリン及びミリスチン酸デキストリンからなる群から選択される少なくとも1種を含んでいてよい。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、紫外線防御効果が向上し、滑らかさ及び白浮きの無さに優れ、分散性・乳化安定性に優れる紫外線防御化粧料を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。また組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。さらに本明細書に記載される数値範囲の上限及び下限は、数値範囲として例示された数値をそれぞれ任意に選択して組み合わせることが可能である。以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。ただし、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための、紫外線防御化粧料を例示するものであって、本発明は、以下に示す紫外線防御化粧料に限定されない。
【0009】
紫外線防御化粧料
紫外線防御化粧料は、イソステアリン酸デキストリンを含む第1の多糖脂肪酸エステルと、イソステアリン酸デキストリン以外の第2の多糖脂肪酸エステルと、金属酸化物粒子とを含む。紫外線防御化粧料は、例えば油中水型乳化化粧料であってよい。
【0010】
紫外線防御化粧料は、イソステアリン酸デキストリンに加えて、イソステアリン酸デキストリン以外の多糖脂肪酸エステルを含むことで、金属酸化物粒子による紫外線防御効果を相乗的に向上させることができる。また、イソステアリン酸デキストリンを含む少なくとも2種の多糖脂肪酸エステルを含むことで、より滑らかな使用感が得られ、白浮きが効果的に抑制されることに加えて、分散性・乳化安定性を向上させることができる。これは例えば、以下のように考えることができる。第1の多糖脂肪酸エステルは顔料分散性があり且つ均一な皮膜を形成することができる。そこに顔料分散性が非常に高い第2の多糖脂肪酸エステルを併用することで、より均一なUV防御フィルムが形成されて、SPF値が相乗的に上昇すると考えられる。
【0011】
紫外線防御化粧料は、第1の多糖脂肪酸エステルと第2の多糖脂肪酸エステルの少なくとも2種の多糖脂肪酸エステルを含む。多糖脂肪酸エステルは、紫外線防御化粧料を構成する油相増粘剤であってよい。第1の多糖脂肪酸エステルはイソステアリン酸デキストリンを含む。イソステアリン酸デキストリンは、デキストリン又は還元デキストリンとイソステアリン酸とのエステルであり、化粧料に一般的に使用されているものであれば、特に制限されず使用することができる。デキストリン又は還元デキストリンの平均糖重合度は、例えば3以上150以下であってよい。ここでイソステアリン酸とは、分岐したステアリン酸の1種又は2種以上の混合物を意味する。第1の多糖脂肪酸エステルは、実質的にイソステアリン酸デキストリンからなるものであってよい。ここで実質的にとは、不可避的に混入する他の成分が5質量%、又は1質量%以下であることを意味する。
【0012】
紫外線防御化粧料における第1の多糖脂肪酸エステルの含有率は、例えば0.1質量%以上4質量%以下であってよい。第1の多糖脂肪酸エステルの含有率は、好ましくは0.3質量%以上、又は0.5質量%以上であってよく、また好ましくは3質量%以下、又は2質量%以下であってよい。
【0013】
紫外線防御化粧料における金属酸化物粒子の含有量に対する第1の多糖脂肪酸エステルの含有量の比率は、例えば0.004以上0.154以下であってよい。金属酸化物粒子の含有量に対する第1の多糖脂肪酸エステルの含有量の比率は、好ましくは0.008以上、又は0.011以上であってよく、また好ましくは0.1以下、又は0.076以下であってよい。
【0014】
第2の多糖脂肪酸エステルは、イソステアリン酸デキストリン以外のものであればよい。第2の多糖脂肪酸エステルとしては、例えばデキストリン脂肪酸エステル、イヌリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等を挙げることができる。
【0015】
デキストリン脂肪酸エステルは、デキストリン又は還元デキストリンと高級脂肪酸とのエステルであり、化粧料に一般的に使用されているものであれば、特に制限されず使用することができる。デキストリン又は還元デキストリンの平均糖重合度は、例えば3以上150以下であってよい。また、デキストリン脂肪酸エステルを構成する脂肪酸としては、例えば炭素数8から22の飽和脂肪酸を用いることができる。デキストリン脂肪酸エステルとして具体的には、パルミチン酸デキストリン、(パルミチン酸/2-エチルヘキサン酸)デキストリン、(パルミチン酸/ヘキシルデカン酸)デキストリン、ミリスチン酸デキストリン、オレイン酸デキストリン、ステアリン酸デキストリン等を挙げることができる。
【0016】
イヌリン脂肪酸エステルは、イヌリンと高級脂肪酸とのエステルであり、化粧料に一般的に使用されているものであれば、特に制限されず使用することができる。イヌリンの平均糖重合度は、例えば3以上150以下であってよい。また、イヌリン脂肪酸エステルを構成する脂肪酸としては、例えば炭素数8から22の飽和脂肪酸を用いることができる。イヌリン脂肪酸エステルとして具体的には、パルミチン酸イヌリン、ミリスチン酸イヌリン、オレイン酸イヌリン、ステアリン酸イヌリン等を挙げることができる。
【0017】
ショ糖脂肪酸エステルは、ショ糖と高級脂肪酸とのエステルであり、化粧料に一般的に使用されているものであれば、特に制限されず使用することができる。ショ糖脂肪酸エステルを構成する脂肪酸は、直鎖状あるいは分岐鎖状であってよく、飽和あるいは不飽和であってよい。脂肪酸は炭素数12から22のものを好ましく用いることができる。具体的には、ショ糖カプリル酸エステル、ショ糖カプリン酸エステル、ショ糖ラウリン酸エステル、ショ糖ミリスチン酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル、ショ糖ステアリン酸エステル、ショ糖オレイン酸エステル、ショ糖エルカ酸エステル等を挙げることができる。
【0018】
第2の多糖脂肪酸エステルは、デキストリン脂肪酸エステル及びイヌリン脂肪酸エステルからなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、パルミチン酸デキストリン、(パルミチン酸/エチルヘキサン酸)デキストリン、(パルミチン酸/ヘキシルデカン酸)デキストリン、ステアリン酸イヌリン及びミリスチン酸デキストリンからなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。第2の多糖脂肪酸エステルは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0019】
紫外線防御化粧料における第2の多糖脂肪酸エステルの含有率は、例えば0.1質量%以上2質量%以下であってよい。第2の多糖脂肪酸エステルの含有率は、好ましくは0.3質量%以上、又は0.5質量%以上であってよい。
【0020】
紫外線防御化粧料における第1の多糖脂肪酸エステルと第2の多糖脂肪酸エステルの合計含有率は、例えば0.2質量%以上6質量%以下であってよい。第1及び第2の多糖脂肪酸エステルの合計含有率は、好ましくは0.5質量%以上、又は1質量%以上であってよく、また好ましくは4質量%以下、又は3質量%以下であってよい。但し、第1の多糖脂肪酸エステルの含有率は4%を超えず、第2の多脂肪酸エステルの含有率は2質量%を超えない。
【0021】
紫外線防御化粧料における第1の多糖脂肪酸エステルの含有量に対する第2の多糖脂肪酸エステルの含有量の比は、例えば0.1以上8以下であってよい。第1の多糖脂肪酸エステルの含有量に対する第2の多糖脂肪酸エステルの含有量の比率は、好ましくは0.2以上、又は0.3以上であってよく、また好ましくは7以下、又は6.7以下であってよい。
【0022】
紫外線防御化粧料における金属酸化物粒子の含有量に対する第2の多糖脂肪酸エステルの含有量の比は、例えば0.003以上0.06以下であってよい。金属酸化物粒子の含有量に対する第2の多糖脂肪酸エステルの含有量の比率は、好ましくは0.01以上、又は0.013以上であってよく、また好ましくは0.053以下であってよい。
【0023】
紫外線防御化粧料は、金属酸化物粒子の少なくとも1種を含む。金属酸化物粒子は、紫外線防御化粧料を構成する紫外線防御剤であってよく、紫外線散乱剤であってよい。金属酸化物粒子は、微粒子状の紫外線散乱剤であってよい。金属酸化物の具体例としては、例えば、酸化亜鉛、酸化チタン、水酸化アルミニウム、酸化鉄、酸化セリウム、酸化タングステン等を挙げることができる。金属酸化物粒子は1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0024】
金属酸化物粒子は、表面処理していないものであってもよく、各種疎水化表面処理したものでもよい。好ましくは疎水化表面処理をしたものであってよい。疎水化表面処理剤としては、化粧料分野で汎用されているもの、例えば、ジメチコン、ハイドロゲンジメチコン、アルキル変性シリコーン等のシリコーン、オクチルトリエトキシシランなどのアルコキシシラン、パルミチン酸デキストリンなどのデキストリン脂肪酸エステル、ステアリン酸などの脂肪酸を用いることができる。
【0025】
紫外線防御化粧料における金属酸化物粒子の含有率は、例えば6質量%以上40質量%以下であってよい。金属酸化物粒子の含有率は、好ましくは7質量%以上、8質量%以上、又は9質量%以上であってよく、また好ましくは35質量%以下、又は30質量%以下であってよい。
【0026】
紫外線防御化粧料における金属酸化物粒子の総含有量に対する第1の多糖脂肪酸エステル及び第2の多糖脂肪酸エステルの総含有量の比は、例えば0.008以上0.25以下であってよい。金属酸化物粒子の総含有量に対する第1の多糖脂肪酸エステル及び第2の多糖脂肪酸エステルの総含有量の比は、好ましくは0.03以上、又は0.039以上であってよく、また好ましくは0.232以下、0.16以下、又は0.116以下であってよい。
【0027】
紫外線防御化粧料は、紫外線防御剤として紫外線吸収剤を含んでいてもよい。紫外線吸収剤としては、例えばメトキシケイヒ酸エチルヘキシル、オクトクリレン、ポリシリコーン-15、t-ブチルメトキシジベンゾイルメタン、エチルヘキシルトリアゾン、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、オキシベンゾン-3、メチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸、ホモサレート、サリチル酸エチルへキシル等の有機紫外線吸収剤を挙げることができる。
【0028】
紫外線防御化粧料は、第1の多糖脂肪酸エステル及び第2の多糖脂肪酸エステル並びに金属酸化物粒子に加えて、紫外線防御化粧料に通常配合し得る他の任意成分を含んでいてもよい。他の任意成分としては、例えば液状油、水溶性高分子、油溶性高分子、ロウ類等の固形油分、低級アルコール、保湿成分、界面活性剤、粉末成分、防腐成分、薬剤等が挙げられるが、これらの例示に限定されるものではない。
【0029】
液状油としては、シリコーン油、炭化水素油、植物油、エステル油、高分子量のポリオキアルキレングリコールなどが含まれる。具体例としては、ジメチコン、ジフェニルジメチコン、シクロペンタシロキサン等のシリコーン油;アマニ油、ツバキ油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、オリーブ油、アボカド油、サザンカ油、ヒマシ油、サフラワー油、キョウニン油、シナモン油、ホホバ油、ブドウ油、アルモンド油、ナタネ油、ゴマ油、ヒマワリ油、小麦胚芽油、米胚芽油、米ヌカ油、綿実油、大豆油、落花生油、茶実油、月見草油、卵黄油、肝油、トリグリセリン、トリオクタン酸グリセリル、トリイソパルミチン酸グリセリル等の液状油脂;オクタン酸セチル等のオクタン酸エステル、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、テトラ2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリット等のイソオクタン酸エステル、ラウリン酸ヘキシル等のラウリン酸エステル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル等のミリスチン酸エステル、パルミチン酸オクチル等のパルミチン酸エステル、ステアリン酸イソセチル等のステアリン酸エステル、イソステアリン酸イソプロピル等のイソステアリン酸エステル、イソパルミチン酸オクチル等のイソパルミチン酸エステル、オレイン酸イソデシル等のオレイン酸エステル、アジピン酸ジイソプロピル等のアジピン酸ジエステル、セバシン酸ジエチル等のセバシン酸ジエステル、リンゴ酸ジイソステアリル等のエステル油;流動パラフィン、スクワラン等の炭化水素油;ポリオキシブチレンポリオキシプロピレングリコール等が挙げられる。
【0030】
水溶性高分子としては、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(以下、「AMPS」と略記する)のホモポリマー、あるいはコポリマーが挙げられる。コポリマーは、ビニルピロリドン、アクリル酸アミド、アクリル酸ナトリウム、アクリル酸ヒドロキシエチル等のコモノマーとからなるコポリマーである。すなわち、AMPSホモポリマー、ビニルピロリドン/AMPS共重合体、ジメチルアクリルアミド/AMPS共重合体、アクリル酸アミド/AMPS共重合体、アクリル酸ナトリウム/AMPS共重合体等が例示される。さらには、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸アンモニウム、ポリアクリル酸ナトリウム、アクリル酸ナトリウム/アクリル酸アルキル/メタクリル酸ナトリウム/メタクリル酸アルキル共重合体、カラギーナン、ペクチン、マンナン、カードラン、コンドロイチン硫酸、デンプン、グリコーゲン、アラビアガム、ヒアルロン酸ナトリウム、トラガントガム、キサンタンガム、ムコイチン硫酸、ヒドロキシエチルグアガム、カルボキシメチルグアガム、グアガム、デキストラン、ケラト硫酸、ローカストビーンガム、サクシノグルカン、キチン、キトサン、カルボキシメチルキチン、寒天等が例示される。
【0031】
油溶性高分子としては、トリメチルシロキシケイ酸、アルキル変性シリコーン、ポリアミド変性シリコーン、ジメチコンクロスポリマー、(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー、ポリメチルシルセスキオキサン等が例示される。
【0032】
ロウ類としては、例えば、ミツロウ、カンデリラロウ、カルナウバロウ、ラノリン、液状ラノリン、ホホバロウ等が例示される。
【0033】
低級アルコールとしては、エタノール、イソプロパノール等の炭素数1から5のアルコールが挙げられる。保湿成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリブチレングリコール等の多価アルコール等が例示される。
【0034】
界面活性剤は、アニオン性、カチオン性、ノニオン性、又は両性の界面活性剤が挙げられ、シリコーン系又は炭化水素系の界面活性剤が含まれる。粉末成分としては、ナイロン、アクリル系のポリマー球状粉末、シリカ粉末、シリコーン粉末等が例示される。
【0035】
薬剤としては、L-アスコルビン酸及びその誘導体の塩、グリチルリチン酸ジカリウム、グリチルリチン酸モノアンモニウム等のグリチルリチン酸及びその誘導体、グリチルレチン酸ステアリル等のグリチルレチン酸及びその誘導体、アラントイン、トラネキサム酸及びその誘導体の塩、アルコキシサリチル酸及びその誘導体の塩、グルタチオン及びその誘導体の塩、アラントイン、アズレン等が例示される。
【0036】
その他の成分として、トレハロース、エリスリトール等の糖類、ヒアルロン酸、アセチル化ヒアルロン酸等の多糖類、セリン、グリシン、ヒドロキシプロリン、グルタミン酸、アラニン等のアミノ酸類、シルク抽出物、クロレラエキス、加水分解真珠タンパク質、ヤグルマエキス、テンチャエキス、酵母エキス、イノシトール、カンゾウエキス、ワレモコウエキス、バラエキス、ヨクイニン等の抽出物等が例示される。
【0037】
紫外線防御化粧料は、水中油型乳化化粧料、油中水型乳化化粧料、あるいは油性化粧料の形態で提供することが可能である。特に好ましくは、油中水型乳化化粧料の形態である。具体的な剤型としては、日焼け止め乳液、日焼け止めクリームといった剤型であり、各剤型に適した常法を用いて製造することができる。
【実施例0038】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0039】
実施例1から14及び比較例1から9
表1に記載された表示名称の成分を、表1に記載の含有率(%)になるように均一に混合して、紫外線防御化粧料であるサンスクリーン剤を製造した。
【0040】
実施例15から19及び比較例10から16
表2に記載された表示名称の成分を、表2に記載の含有率(%)になるように均一に混合して、紫外線防御化粧料であるサンスクリーン剤を製造した。
【0041】
得られたサンスクリーン剤を用いて、以下のような「紫外線防御効果(SPF上昇効果)」、「使用感(滑らかさ)、「白浮きのなさ」及び「製剤の安定性」を評価し、その評価結果に基づいて総合評価した。結果を表1及び表2に示す。なお、表1及び表2中の成分の詳細については後述する。
【0042】
評価方法
1.紫外線防御効果(SPF上昇効果)
SPF上昇効果の評価については、上記で得られたW/O型乳化化粧料であるサンスクリーン剤を、PMMA(Labsphere社製;HELIOPLATE HD 6)に1.3mg/cm2で塗布後、15分静置したサンプルについて、SPFアナライザー(Labsphere社製;UV-2000 S)を用いてSPF値を測定した。得られたSPF値を元に、下記の計算式を用いてSPF上昇率を算出し、下記の判定基準に基づき5段階の評点を決定した。
計算式:
SPF上昇率=(SPF値÷(比較例1のSPF値)-1)×100(%)
【0043】
判定基準
4点 : SPF上昇率が60%を超えた。
3点 : SPF上昇率が40%を超えて60%以下であった。
2点 : SPF上昇率が20%を超えて40%以下であった。
1点 : SPF上昇率が0%を超えて20%以下であった。
0点 : SPF上昇率が0%であった。
【0044】
2.滑らかさ及び白浮きのなさの評価
官能評価によって上記で得られたサンスクリーン剤の滑らかさ及び白浮きのなさを評価した。官能評価は、化粧品評価専門パネル12名により、下記の判定基準に基づいて5段階の評点を決定した。なお、化粧品専門評価パネルに対しては、事前テストを実施し、評点に大きなずれがないことを確認した。
【0045】
判定基準
4点 : 非常に良好
3点 : 良好
2点 : 普通
1点 : 悪い
0点 : 非常に悪い
【0046】
3.製剤の安定性
上記で得られたサンスクリーン剤を50℃の恒温槽に1週間保管した。保管後の試料について、目視による外観状態と、顕微鏡による乳化滴の均一性を評価した。目視による外観状態の評価は、下記判定基準Aに基づいて4段階の評点を決定した。また、顕微鏡による乳化滴の均一性は、下記判定基準Bに基づいて4段階の評点を決定した。さらに決定したそれぞれの評点について、下記判定基準Cに基づいて製剤の安定性についての評点を決定した。
【0047】
判定基準A[目視による外観状態の評価]
4点 : クリーミングは全く見られなかった(非常に良好)。
3点 : わずかに油浮きがあった(やや良好)。
2点 : 油浮きがあった(やや不良)。
1点 : 分離していた(不良)。
【0048】
判定基準B[顕微鏡による乳化滴の均一性の評価]
4点 : 非常に均一であった(非常に良好)。
3点 : 均一であった(やや良好)。
2点 : やや不均一であった(やや不良)。
1点 : 不均一であった(不良)。
【0049】
判定基準C[製剤の安定性]
4点 : 判定基準Aと判定基準Bの評点の合計が8点の場合(非常に良好)。
3点 : 判定基準Aと判定基準Bの評点の合計が6点又は7点以上の場合(やや良好)。
2点 : 判定基準Aと判定基準Bの評点の合計が4点又は5点の場合(やや不良)。
1点 : 判定基準Aと判定基準Bの評点の合計が3点以下の場合(不良)。
【0050】
5.総合評価
SPF上昇効果、滑らかさ、白浮きのなさ及び製剤の安定性の各評点の合計を総合評価とした。
【0051】
【0052】
【0053】
以上から、イソステアリン酸デキストリンを含む第1の多糖脂肪酸エステルと、イソステアリン酸デキストリン以外の第2の多糖脂肪酸エステルと、金属酸化物粒子とを含む紫外線防御化粧料は、紫外線防御効果が向上し、滑らかさ及び白浮きの無さに優れ、分散性・乳化安定性に優れることが分かる。
【0054】
表1及び表2中の表示名称の各成分の詳細を以下に示す。
・パルミチン酸デキストリン:レオパールKL2(千葉製粉株式会社)
・イソステアリン酸デキストリン:ユニフィルマHVY(千葉製粉株式会社)
・フィトスクワラン:スクワラン(ソフィム)
・ジカプリン酸ネオペンチルグリコール:エステモールN-01(日清オイリオグループ株式会社)
・ラウリルPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン: KF-6028(信越化学工業株式会社)
・ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン:KF-56A(信越化学工業株式会社)
・シクロペンタシロキサン:KF-995(信越化学工業株式会社)
・酸化チタン,水酸化Al,ステアリン酸:STV-455(チタン工業株式会社)
・酸化亜鉛,ハイドロゲンジメチコン:NANOFINE-50LP(堺化学工業株式会社)
・プロパンジオール:Zemea Select プロパンジオール(Dupont Tate & Lyle Bio Products)
・Nacl:塩化ナトリウム(福田製薬株式会社)
・フェノキシエタノール:フェノキシエタノールS(四日市合成株式会社)
・(パルミチン酸/エチルヘキサン酸)デキストリン:レオパールTT2(千葉製粉株式会社)
・ステアリン酸イヌリン:レオパールISK2(千葉製粉株式会社)
・ミリスチン酸デキストリン:レオパールMKL2(千葉製粉株式会社)
・(パルミチン酸/ヘキシルデカン酸)デキストリン:レオパールWX(千葉製粉株式会社)
前記第2の多糖脂肪酸エステルは、パルミチン酸デキストリン、(パルミチン酸/エチルヘキサン酸)デキストリン、(パルミチン酸/ヘキシルデカン酸)デキストリン、ステアリン酸イヌリン及びミリスチン酸デキストリンからなる群から選択される少なくとも1種を含む請求項1に記載の紫外線防御用の油中水型乳化化粧料。
イソステアリン酸デキストリンを含む第1の多糖脂肪酸エステルと、イソステアリン酸デキストリン以外の第2の多糖脂肪酸エステルと、紫外線散乱剤である金属酸化物粒子と、水と、を含み、
前記第1の多糖脂肪酸エステルの含有率が0.1質量%以上4質量%以下であり、
前記第2の多糖脂肪酸エステルの含有率が0.1質量%以上2質量%以下であり、
前記金属酸化物粒子の含有率が6質量%以上40質量%以下であり、
前記第2の多糖脂肪酸エステルは、パルミチン酸デキストリン、(パルミチン酸/エチルヘキサン酸)デキストリン、(パルミチン酸/ヘキシルデカン酸)デキストリン、ステアリン酸イヌリン及びミリスチン酸デキストリンからなる群から選択される少なくとも1種を含む紫外線防御用の油中水型乳化化粧料。