IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エスアールジータカミヤ株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023000595
(43)【公開日】2023-01-04
(54)【発明の名称】駐車場用の屋根構造
(51)【国際特許分類】
   E04D 3/02 20060101AFI20221222BHJP
   E04D 13/18 20180101ALI20221222BHJP
   E04D 3/40 20060101ALI20221222BHJP
   E04B 1/343 20060101ALI20221222BHJP
   E04B 7/04 20060101ALI20221222BHJP
   H02S 20/23 20140101ALI20221222BHJP
【FI】
E04D3/02
E04D13/18
E04D3/40 W
E04B1/343 U
E04B7/04 A
H02S20/23 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021101519
(22)【出願日】2021-06-18
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ガルバリウム鋼板
(71)【出願人】
【識別番号】592123923
【氏名又は名称】株式会社タカミヤ
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100153006
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 勇三
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼宮 一雅
(72)【発明者】
【氏名】小倉 優子
(72)【発明者】
【氏名】中澤 広樹
【テーマコード(参考)】
2E108
【Fターム(参考)】
2E108AA04
2E108AS07
2E108BB01
2E108CC02
2E108CC05
2E108CC07
2E108EE02
2E108FF13
2E108GG09
2E108GG16
2E108HH03
2E108KK04
2E108LL01
2E108NN07
(57)【要約】
【課題】パネル部材を配列した駐車場用の屋根構造において、雨漏りを防ぐ。
【解決手段】
互いに平行または略平行に設けられた複数の母屋材(301)、および前記複数の母屋材と交差する方向に延在し、かつ水平方向に対して下り傾斜している複数の垂木材(302)を有する骨組みと、前記骨組みのうち、少なくとも前記複数の垂木材に支持されて、駐車スペース(PS)上方を覆う複数のパネル部材(303)と、を有する駐車場用の屋根構造において、それぞれの前記垂木材と前記パネル部材との間に雨水受け部材(310)を設け、これにより、前記複数のパネル部材の間から侵入した雨水を含む雨水を複数の雨水受け部材(310)によって排水する。
【選択図】 図6A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに平行または略平行に設けられた複数の母屋材、および前記複数の母屋材と交差する方向に延在し、かつ水平方向に対して下り傾斜している複数の垂木材を有する骨組みと、
前記骨組みのうち、少なくとも前記複数の垂木材に支持されて、駐車スペース上方を覆う複数のパネル部材と、
それぞれの前記垂木材と前記パネル部材との間に設けられ、前記複数のパネル部材の間から侵入した雨水を含む雨水を受けて排水する複数の雨水受け部材と、
を有する駐車場用の屋根構造。
【請求項2】
請求項1に記載された駐車場用の屋根構造において、
前記雨水受け部材は、前記複数の垂木材のそれぞれに沿って延在し、前記垂木材に載置する載置部と、
前記載置部と一体に形成され、前記垂木材に載置された状態で前記垂木材の少なくとも片側に前記垂木材に沿って雨水の流路を形成する流路形成部と、
を有することを特徴とする駐車場用の屋根構造。
【請求項3】
請求項2に記載された駐車場用の屋根構造において、
前記流路形成部は、前記垂木材の両側に設けられていることを特徴とする駐車場用の屋根構造。
【請求項4】
請求項3に記載された駐車場用の屋根構造において、
前記垂木材の両側に設けられている前記流路形成部のそれぞれ上側に前記パネル部材が配置されていることを特徴とする駐車場用の屋根構造。
【請求項5】
請求項3に記載された駐車場用の屋根構造において、
前記垂木材の両側に設けられている前記流路形成部のうち、一方の流路形成部の上側のみに前記パネル部材が配置され、このパネル部材は、横方向に並設されている複数の前記パネル部材のうちの横方向端部に配置されたパネル部材であることを特徴とする駐車場用の屋根構造。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載された駐車場用の屋根構造において、
前記流路形成部の前記雨水受け部材の長手方向に沿った縁部は、前記載置部の側に折り返されていることを特徴とする駐車場用の屋根構造。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載された駐車場用の屋根構造において、
前記垂木材と前記パネル部材との間に配置されている前記雨水受け部材は、前記パネル部材を前記垂木材に固定する締結部材によって前記パネル部材と前記垂木材とに共締めされていることを特徴とする駐車場用の屋根構造。
【請求項8】
請求項1~6のいずれか一項に記載された駐車場用の屋根構造において、
前記パネル部材は、パネル本体と、前記パネル本体の周縁部に設けられ、前記パネル本体を支持するフレームをさらに備え、
前記雨水受け部材は、前記垂木材と前記フレームとの間に配置され、前記フレームを前記垂木材に固定する締結部材によって前記雨水受け部材が前記フレームと前記垂木材とに共締めされていることを特徴とする駐車場用の屋根構造。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載された駐車場用の屋根構造において、
前記複数の垂木材の下り傾斜側の一端側において前記複数の垂木材と交差する方向に延在し、前記複数の垂木材のそれぞれに設けられた前記雨水受け部材から流れ落ちる雨水を受ける横樋をさらに備えることを特徴とする駐車場用の屋根構造。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載された駐車場用の屋根構造において、
前記複数のパネル部材のうち、少なくとも一部のパネル部材は、太陽光発電のための太陽光パネルであることを特徴とする駐車場用の屋根構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駐車場用の屋根構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の駐車場用の屋根構造の一例として、図10図12に示すように、複数の母屋材301と、これら母屋材301と交差する複数の垂木材302と、これら垂木材302によって支持された平面視矩形のパネル部材303とから構成される屋根構造がある。このような屋根構造は、駐車スペースPSの地中に形成された基礎10に立設された複数の支柱20によって、母屋材301に交差する方向、すなわち、垂木材302の延在方向に水平方向に対して傾斜するように支持されている。パネル部材303に降った雨水は、下り傾斜側に設けられた横樋41に集められ、横樋41に連結された連結樋42および縦樋43を通って排水される。
【0003】
例えば、パネル部材303が太陽光パネル本体303aとフレーム303bとから構成されている場合、従来の屋根構造において、フレーム303bを垂木材302の上面にボルト307とナット308によって固定して、縦横に配列されたパネル部材303の間に、例えば、ゴム製のガスケット304,305を介設することによって、防水性を確保していた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、図11および図12に示すように、ガスケット304,305が互いに交差する箇所において、一方のガスケット(図11および図12においては、垂木材302と交差する方向に設けられたガスケット305)が途切れるため、このような交差部分におけるガスケット間の隙間から雨水が侵入し、雨漏りの原因となることがあった。
【0005】
本発明は、パネル部材を配列した駐車場用の屋根構造において、雨漏りを防ぐことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明に係る駐車場用の屋根構造は、互いに平行または略平行に設けられた複数の母屋材、および前記複数の母屋材と交差する方向に延在し、かつ水平方向に対して下り傾斜している複数の垂木材を有する骨組みと、前記骨組みのうち、少なくとも前記複数の垂木材に支持されて、駐車スペース上方を覆う複数のパネル部材と、それぞれの前記垂木材と前記パネル部材との間に設けられ、前記複数のパネル部材の間から侵入した雨水を含む雨水を受けて排水する複数の雨水受け部材と、を有する。
【0007】
それぞれの垂木材とパネル部材との間に雨水受け部材を設けることによって、パネル部材の間から侵入した雨水は、この雨水受け部材によって排水される。
【0008】
上述した駐車場用の屋根構造の一構成例において、前記雨水受け部材は、前記複数の垂木材のそれぞれに沿って延在し、前記垂木材に載置する載置部と、前記載置部と一体に形成され、前記垂木材に載置された状態で前記垂木材の少なくとも片側に前記垂木材に沿って雨水の流路を形成する流路形成部とを有するように形成してもよい。
【0009】
上述した駐車場用の屋根構造の一構成例において、前記流路形成部は、前記垂木材の両側に設けられていてもよい。
【0010】
さらに、上述した駐車場用の屋根構造の一構成例において、前記垂木材の両側に設けられている前記流路形成部のそれぞれ上側に前記パネル部材が配置されていてもよい。
【0011】
また、上述した駐車場用の屋根構造において、前記垂木材の両側に設けられている前記流路形成部のうち、一方の流路形成部の上側のみに前記パネル部材が配置され、このパネル部材は、横方向に並設されている複数の前記パネル部材のうちの横方向端部に配置されたパネル部材であってもよい。
【0012】
また、上述した駐車場用の屋根構造の一構成例において、前記流路形成部の前記雨水受け部材の長手方向に沿った縁部は、前記載置部の側に折り返されていてもよい。これによると、雨水が流路形成部の縁部から外部へ漏出することを前記載置部の側に折り返された折り返し部により防止できる。
【0013】
また、上述した駐車場用の屋根構造の一構成例において、前記垂木材と前記パネル部材との間に配置されている前記雨水受け部材は、前記パネル部材を前記垂木材に固定する締結部材によって前記パネル部材と前記垂木材とに共締めされていてもよい。
【0014】
また、上述した駐車場用の屋根構造の一構成例において、前記パネル部材は、パネル本体と、前記パネル本体の周縁部に設けられ、前記パネル本体を支持するフレームをさらに備え、前記雨水受け部材は、前記垂木材と前記フレームとの間に配置され、前記フレームを前記垂木材に固定する締結部材によって前記雨水受け部材が前記フレームと前記垂木材とに共締めされていてもよい。
【0015】
また、上述した駐車場用の屋根構造の一構成例において、前記複数の垂木材の下り傾斜側の一端側において前記複数の垂木材と交差する方向に延在し、前記複数の垂木材のそれぞれに設けられた前記雨水受け部材から流れ落ちる雨水を受ける横樋をさらに備えていてもよい。
【0016】
また、上述した駐車場用の屋根構造の一構成例において、前記複数のパネル部材のうち、少なくとも一部のパネル部材は、太陽光発電のための太陽光パネルであってもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、複数のパネル部材の間から侵入した雨水は、雨水受け部材によって排水されるので、パネル部材を配列した駐車場用の屋根構造において、雨漏りを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、本発明の実施の形態に係る駐車場用の屋根構造の側面図である。
図2図2は、図1で示す実施の形態に係る駐車場用の屋根構造の斜視図である。
図3図3は、パネル部材の一構成例を示す図であって、垂木材の上に設置される太陽光パネルを下側から見たときの様子を模式的に示す図である。
図4図4は、図3のパネル部材の一部の構成を示す正断面図である。
図5図5は、図3のパネル部材のフレームの構成を示す図である。
図6A図6Aは、図2の一部(VI)を表す拡大図であって、垂木材、雨水受け部材、およびパネル部材の関係を説明する斜視図であり、横樋を一点鎖線示した図である。
図6B図6Bは、本発明の実施の形態において、垂木材、雨水受け部材、およびパネル部材の関係を説明する正面図である。
図7A図7Aは、雨水受け部材の一構成例を示す斜視図である。
図7B図7Bは、図7Aの雨水受け部材を示す正断面図である。
図8図8は、本発明の実施の形態に係る駐車場用の屋根構造において、図6A図6Bとは異なる箇所に配置されている雨水受け部材について示す正面図である。
図9A図9Aは、雨水受け部材の第1の変形例を示す正面図である。
図9B図9Bは、雨水受け部材の第2の変形例を示す正面図である。
図9C図9Cは、雨水受け部材の第3の変形例を示す正面図である。
図9D図9Dは、雨水受け部材の第4の変形例を示す正面図である。
図10図10は、従来の駐車場用の屋根構造を説明するための斜視図である。
図11図11は、図10の一部(XI)を拡大した拡大図である。
図12図12は、従来の駐車場用の屋根構造の一部を説明するための正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0020】
図1図8は、本発明の実施の形態に係る屋根構造を説明する図である。
図1図2に示すように、本実施の形態に係る駐車場用の屋根構造は、駐車スペースPSの地中に形成された基礎10に立設された複数の支柱20によって支持されて、互いに平行または略平行に設けられた複数の母屋材301、および母屋材301と交差する方向に延在し、かつ水平方向に対して下り傾斜している複数の垂木材302を有する骨組みを備えている。母屋材301および垂木材302には、軽量化と耐腐食性の観点から、例えば、アルミニウム製またはアルミニウム合金製であって、押し出し成形によって形成されたH型バーまたはT型バー等を用いることができる。
【0021】
この骨組みのうち、少なくとも複数の垂木材302に支持されて縦横に配列された複数のパネル部材303が駐車スペースPSの上方を覆っている。本実施の形態においては、各パネル部材303は、平面視で、隣り合う2本の垂木材302の間に配置されるとともに、母屋材301の長さ方向に3枚のパネル部材303が配置されている。
【0022】
なお、本実施の形態においては、パネル部材303は、平面視で矩形に形成されている。複数のパネル部材303のうち、少なくとも一部のパネル部材は、太陽光発電のための太陽光パネルである。ただし、図面では、すべてのパネル部材303が太陽光パネルとなっている。太陽光パネルは、光エネルギーを電気エネルギーへ変換する複数の半導体素子(太陽電池セル)が配列された板状の部材であり、「モジュール」と呼ばれることもある。
【0023】
ここで、パネル部材303の一例として、太陽光パネルの一構成例を図3図5に示す。
図3は、太陽光パネルを裏面(垂木材の上に設置したときの下側の面)から見たときの様子を表す図である。図3に示すように、パネル部材303となる太陽光パネルは、平面視矩形の太陽光パネル本体303aと、この太陽光パネル本体303aの4つの縁部に取り付けられたフレーム303bと、4本のフレーム303bのうち、垂木材302と平行になっている2本のフレーム303bに設けられた取り付け用の長穴303bcと、太陽光パネル本体によって発電された電力を取り出すために太陽光パネル本体303aに設けられた一対の端子ボックス303dと、これらの端子ボックス303dにそれぞれ一端が接続された一対の出力ケーブル303eと、各出力ケーブル303eの他端に接続された出力コネクタ303fとを備えている。
【0024】
図4は、図3のパネル部材303の一部の構成を示す図であって、具体的には図3のIV-IVにおける正断面図である。本実施の形態において、太陽光パネル本体303aは、図4に示すように、太陽電池セル303abと、太陽電池セル303abの一方の面の側に設けられたカバーガラス303acと、太陽電池セル303abの他方の面の側に設けられたバックフィルム303aaとから構成されており、4つの縁部のそれぞれに、充填材303cを介してフレーム303bが取り付けられている。
【0025】
また、フレーム303bは、パネルを支持するために十分な強度と耐食性を持たせるために、例えばアルミニウムやアルミニウム合金などの金属材料から構成される。図5は、太陽光パネル本体303aの縁部に取り付けられるフレーム303bのひとつの構成を示す図であり、図4とは天地を逆にして描かれている。フレーム303bは、図5に示すように、長手方向に直角の断面が略「L」字状をなす脚部303bbと、この脚部に連結され、略「コ」字状の断面を有して太陽光パネル本体303aの縁部を銜えるパネル受け部303baとを有する。パネル部材303を垂木材302に取り付けるための長孔303bcは、脚部303bbの太陽光パネル本体303aと略平行となる部分に形成されている。
【0026】
このように本実施の形態に係る屋根構造におけるパネル部材303は、図6Aおよび図6Bに示すように、垂木材302にボルト307およびナット308によって固定されるフレーム303bを備えており、太陽光パネル本体303aは、フレーム303bによって支持される。
【0027】
一方、屋根構造体の下り傾斜側には、図1の取付部材40を介して、垂木材302の端部に取付けられた横樋41が屋根構造体の横幅方向に設けられている。この横樋41には、連結樋42の一端が接続され、連結樋42の他端には縦樋43が接続されている。
【0028】
本実施の形態に係る屋根構造体においては、さらに、図6Aおよび図6Bに示すように、垂木材302とパネル部材303との間に、雨水受け部材310が設けられている。
【0029】
ここで雨水受け部材310は、垂木材302に沿って延在する部材であり、この雨水受け部材310は、図7Aおよび図7Bに示すように、平坦に形成されて垂木材302の上面に載置される載置部310bと、この載置部310bの両側に設けられた流路形成部310aとを有する。このうち流路形成部310aは、雨水の排水路となる流路を形成する部分である。本実施の形態において、流路形成部310aは、雨水受け部材310の長手方向に直角の断面が略「V」字をなすV字溝となっている。また、載置部310bには、締結部材となるボルト307の軸を挿通するための孔310cが形成されている。
【0030】
雨水受け部材310は、垂木材302の上方で、垂木材302と交差する方向(横方向)に隣り合う2枚のパネル部材303の間から侵入した雨水や、雨水受け部材310の上に直接降った雨水を受け、流路形成部310aが形成する流路を通じてこれを排水する。このような流路形成部310aを備えた雨水受け部材310は、例えば、ガルバリウム鋼板等の板金の曲げ加工により形成することができる。また、アルミニウムやアルミニウム合金、樹脂の押し出し成形により雨水受け部材310を形成してもよい。
【0031】
本実施の形態においては、垂木材302とパネル部材303との間に、垂木材302に沿って雨水受け部材310が設けられている。図6Bに示すように、屋根構造の横方向両端の垂木材302以外の垂木材302に対しては、垂木材302の長さ方向から見たときにその両側から1対のパネル部材303が載置されて、パネル取付用のボルト307およびナット308で締結される。この雨水受け部材310は、パネル取付用の締結部材となっているボルト307およびナット308によってパネル部材303と垂木材302、より具体的には、パネル部材303のフレーム303bと垂木材302とに共締めされている。このとき、雨水受け部材310は、各パネル部材303の下方に流路形成部310aを形成する。
【0032】
複数の垂木材302のうち、屋根構造の横方向両端の垂木材302に着目すると、パネル部材303は、垂木材302の片側からのみ載置されて、パネル取付用のボルト307およびナット308で締結される。このとき、雨水受け部材310は、少なくともパネル部材303の下方に流路形成部310aを形成することが望ましく、垂木材302に載置される載置部310bの片側のみに流路形成部310aを備えるようにしてもよいが、図8に示すように、載置部310bの両側に流路形成部310aを備えるようにしてもよい。
【0033】
このように屋根構造の横方向両端の垂木材302に対しても、他の垂木材302に載置される雨水受け部材310と同様の構成、すなわち、長手方向に沿って載置部310bの両側に流路形成部310aを備えた構成を有する雨水受け部材310を用いることによって、全部の雨水受け部材310を共通化できることになるため、部品点数の増大を抑えてコストを下げることが可能となる。また、横方向に複数枚が並設されるパネル部材303のうち、横方向端部に配置されたパネル部材303が、載置部310bの両側に設けられた流路形成部310aのうちの一方だけの上側に配置され、図8に示すように、他方の流路形成部310aの上側にパネル部材303が配置されていなくても、この他方の流路形成部310aにより屋根構造の横方向端部から雨水が落下することを防止できる。
【0034】
本実施の形態に係る屋根構造においては、図2に示すように、縦横に配列されたパネル部材303の間の目地のうち、垂木材302と交差する横方向の目地には、ゴム製のガスケット305が介挿されている。一方、垂木材302に沿った縦方向の目地には、必ずしもガスケットを介挿しなくてもよい。したがって、本実施の形態に係る屋根構造においては、ガスケット同士が交差しないので、垂木材302と交差する方向に設けられたガスケット305が途切れることがない。
【0035】
このような屋根構造において、縦横に配列されたパネル部材303に降った雨水の一部は、垂木材302によって傾斜をもって支持されたパネル部材303の表面を流れ、下り傾斜側に設けられた横樋41に流れ込む。また、パネル部材303の間から侵入した雨水や、雨水受け部材310の上に直接降った雨水は、雨水受け部材310によって受け止められるとともに、流路形成部310aが形成する流路に集められ、流路形成部310aによって形成されたV字溝を流れて、横樋41に流れ込む。横樋41に流れ込んだ雨水は、横樋41に連結された連結樋42および縦樋43を通って排水される。
【0036】
このように、垂木材302とパネル部材303との間に雨水受け部材310を設けることによって、隣り合うパネル部材303の間から侵入した雨水等は、雨水受け部材310の流路形成部310aによって形成されたV字溝に集められ、垂木材302の下り傾斜側に設けられた横樋41に排水されるので、雨漏りを防ぐことができる。
【0037】
また、雨水受け部材310の取付は、雨水受け部材310の載置部310bを垂木材302の上面に置いた後、既存のパネル取付用のボルト307およびナット308によってフレーム303bと垂木材302とに雨水受け部材310を共締めすればよいので、雨水受け部材310の取付を容易に施工することができる。
【0038】
さらに雨水受け部材310は、薄板の曲げ加工により簡単に作製することができ、特に流路形成部310aを略「V」字状に形成することにより、曲げ加工により形成する際の曲げ回数を少なくすることができる。
【0039】
また、垂木材302に沿ったパネル部材303の目地から侵入する雨水を雨水受け部材310で受ける構造としたことによって、垂木材302に沿った目地にガスケットを埋め込む必要がない。その結果、隣り合うパネル部材303の間に形成される目地のうち、垂木材302と交差する横方向の目地にのみガスケット305を介挿すればよいので、従来のように縦横の目地にガスケットを埋め込むよりも施工性が向上する。
また、横方向の目地に介挿するガスケットを目地の交差部分で途切れさせることがないので、ガスケットの隙間から雨水が浸入することを防ぎ、雨漏りを防止することができる。
【0040】
なお、本実施の形態においては、複数のパネル部材303の少なくとも一部に、太陽光パネルを用いる例について説明したが、本発明において、パネル部材は、太陽光パネルには限定されず、例えば、アクリル等の樹脂製の板状部材であってもよいし、アルミニウムやガルバリウム鋼板などの金属製の板状部材であってもよい。
【0041】
[実施の形態の変形例]
上述した実施の形態において、雨水受け部材310の流路形成部310aは、雨水受け部材310の長手方向に直角の断面が略「V」字をなすV字溝を形成するものとして説明したが、本発明において流路形成部が形成する流路はV字溝に限定されるものではなく、雨水の流路として機能する限り、どのような断面形状であってもよい。図9A図9Dに、雨水受け部材の変形例を示す。
【0042】
図9Aに示す雨水受け部材310Aにおいては、平坦な載置部310bの両縁に設けられた流路形成部310Aaは、雨水受け部材310Aの長手方向に直角の断面が略半円形の半円溝を形成している。
図9Bに示す雨水受け部材310Bにおいては、平坦な載置部310bの両縁に設けられた流路形成部310Baは、雨水受け部材310Bの長手方向に直角の断面が「コ」字状(ただし、開いた側が上方を向く。)をなす方形の溝を形成する。
図9Cに示す雨水受け部材310Cは、平坦な載置部310bの両縁に設けられた流路形成部310Caは、載置部310bから下方に向かって傾斜する傾斜面310Ca0を含み、雨水受け部材310Cの長手方向に直角の断面が台形状の溝を形成している。
【0043】
図9Dに示す雨水受け部材310Dの流路形成部310Daは、平坦な載置部310bから下方に向かって傾斜する傾斜面310Da0を含むとともに、雨水受け部材310Dの長手方向に沿った縁部が載置部310bの側に折り返された折り返し部310Da1を備えている。この例によれば、流路形成部310Daが形成する流路を流れる雨水が増えた時でも、折り返し部310Da1によって雨水が流路から溢れることを抑えることができるので、雨漏りのリスクを低減することができる。
【0044】
なお、図7Aおよび図7B、ならびに図9A図9Dには、載置部310bを挟んで左右対称に流路形成部が設けられている雨水受け部材の構成例を示したが、必ずしも左右対称である必要はない。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、駐車場用の屋根に利用することができる。
【符号の説明】
【0046】
301…母屋材、302…垂木材、303…パネル部材、303a…太陽光パネル本体、303b…フレーム、304、305…ガスケット、310…雨水受け部材、310a…流路形成部、310b…載置部、41…横樋、PS…駐車スペース。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図8
図9A
図9B
図9C
図9D
図10
図11
図12