(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023005952
(43)【公開日】2023-01-18
(54)【発明の名称】給湯の方法、システム、プログラム、記録媒体、給湯ユニットおよび制御ユニット
(51)【国際特許分類】
F24H 15/355 20220101AFI20230111BHJP
F24H 1/00 20220101ALI20230111BHJP
【FI】
F24H1/10 301C
F24H1/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021108270
(22)【出願日】2021-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000170130
【氏名又は名称】パーパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083725
【弁理士】
【氏名又は名称】畝本 正一
(74)【代理人】
【識別番号】100140349
【弁理士】
【氏名又は名称】畝本 継立
(74)【代理人】
【識別番号】100153305
【弁理士】
【氏名又は名称】畝本 卓弥
(74)【代理人】
【識別番号】100206933
【弁理士】
【氏名又は名称】沖田 正樹
(72)【発明者】
【氏名】小池 秀人
(72)【発明者】
【氏名】辰己 敏也
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼木 和樹
【テーマコード(参考)】
3L122
【Fターム(参考)】
3L122AA03
3L122AA13
3L122AA28
3L122AA54
3L122BA04
3L122BA13
3L122BA14
3L122DA02
3L122DA13
3L122EA02
3L122EA07
3L122EA08
3L122EA09
3L122EA23
3L122GA09
(57)【要約】
【課題】少なくとも第1の給湯ユニットと第2の給湯ユニットを連結し、第1の給湯ユニットの出湯水を第2の給湯ユニットを通して出湯させる際に、第2の給湯ユニットからの出湯温度の急激な上昇を抑制する。
【解決手段】少なくとも第1の給湯ユニット(4-1)と第2の給湯ユニット(4-2)を連結し、前記第1の給湯ユニットの出湯水を前記第2の給湯ユニットで受け、前記第2の給湯ユニットから給湯する給湯方法または給湯システム(2)であって、流量センサー(20)が給水流量を検出し、制御部(9)が、前記第2の給湯ユニットが出湯する最低出湯号数の出湯温度以下に対応する第1の出湯温度、該第1の出湯温度を超える第2の出湯温度、少なくとも前記最低出湯号数での出湯が可能な給水流量を閾値に、前記流量センサーの検出流量が閾値以下であれば、前記第1の出湯温度を、前記給水流量が閾値を超えれば、前記第2の出湯温度を設定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも第1の給湯ユニットと第2の給湯ユニットを連結し、前記第1の給湯ユニットの出湯水を前記第2の給湯ユニットで受け、前記第2の給湯ユニットから給湯する給湯方法であって、
流量センサーが、給水流量を検出する工程と、
制御部が、前記第2の給湯ユニットが出湯する最低出湯号数の出湯温度以下に対応する第1の出湯温度、該第1の出湯温度を超える第2の出湯温度、少なくとも前記最低出湯号数での出湯が可能な給水流量を閾値とし、前記流量センサーの検出流量が前記閾値以下であれば、前記第1の出湯温度を設定し、前記給水流量が前記閾値を超えれば、前記第2の出湯温度を設定する工程と、
を含む給湯方法。
【請求項2】
さらに、タイマーが、出湯開始からの経過時間を計測する工程と、
前記経過時間が所定時間未満であれば、前記制御部が、前記第1の出湯温度を維持する工程と、
を含む請求項1に記載の給湯方法。
【請求項3】
さらに、前記制御部が、前記第1の給湯ユニットの前記給水流量を監視し、前記給水流量の変動に応じて前記第1の出湯温度から前記第2の出湯温度への移行時間に対し、前記第2の出湯温度から前記第1の出湯温度への移行時間を短く制御する工程を含む請求項1または請求項2に記載の給湯方法。
【請求項4】
さらに、前記第1の出湯温度が、前記第2の給湯ユニットが出湯する最低出湯号数以上で出湯可能な温度以下に設定する工程を含む請求項1ないし請求項3の何れかの請求項に記載の給湯方法。
【請求項5】
少なくとも第1の給湯ユニットと第2の給湯ユニットを連結し、前記第1の給湯ユニットの出湯水を前記第2の給湯ユニットで受け、前記第2の給湯ユニットから給湯する給湯システムであって、
給水流量を検出する流量センサーと、
前記第2の給湯ユニットが出湯する最低出湯号数の出湯温度以下に対応する第1の出湯温度、該第1の出湯温度を超える第2の出湯温度、少なくとも前記最低出湯号数での出湯が可能な給水流量を閾値とし、前記流量センサーの検出流量が前記閾値以下であれば、前記第1の出湯温度を設定し、前記給水流量が前記閾値を超えれば、前記第2の出湯温度を設定する制御部と、
を含む給湯システム。
【請求項6】
さらに、出湯開始からの経過時間を計測するタイマーを備え、前記制御部は、前記経過時間が所定時間未満であれば、前記第1の出湯温度を維持する、請求項5に記載の給湯システム。
【請求項7】
さらに、前記制御部が、前記第1の給湯ユニットの前記給水流量を監視し、前記給水流量の変動に応じて前記第1の出湯温度から前記第2の出湯温度への移行時間に対し、前記第2の出湯温度から前記第1の出湯温度への移行時間を短く制御する、請求項5または請求項6に記載の給湯システム。
【請求項8】
さらに、前記制御部が、前記第1の出湯温度を前記第2の給湯ユニットが出湯する最低出湯号数以上で出湯可能な温度以下に設定する、請求項5ないし請求項7の何れかの請求項に記載の給湯システム。
【請求項9】
コンピュータに実行させるプログラムであって、
給水流量を検出する流量センサーから給水情報を取得する機能と、
第1の給湯ユニットに連結される第2の給湯ユニットが出湯する最低出湯号数の出湯温度以下に対応する第1の出湯温度、該第1の出湯温度を超える第2の出湯温度、少なくとも前記最低出湯号数での出湯が可能な給水流量を閾値とし、前記流量センサーの検出流量が前記閾値以下であれば、前記第1の出湯温度を設定し、前記給水流量が前記閾値を超えれば、前記第2の出湯温度を設定する機能と、
を前記コンピュータに実行させるプログラム。
【請求項10】
さらに、出湯開始からの経過時間を計測するタイマーから経過時間情報を取得する機能と、
前記経過時間が所定時間未満であれば、前記第1の出湯温度を維持する機能と、
を前記コンピュータに実行させる請求項9に記載のプログラム。
【請求項11】
さらに、前記第1の給湯ユニットの前記給水流量を監視し、前記給水流量の変動に応じて前記第1の出湯温度から前記第2の出湯温度への移行時間に対し、記前記第2の出湯温度から前記第1の出湯温度への移行時間を短く制御する機能を前記コンピュータに実行させる請求項9または請求項10に記載のプログラム。
【請求項12】
請求項9ないし請求項11の何れかの請求項に記載のプログラムを格納した記録媒体。
【請求項13】
少なくとも他の給湯ユニットに連結され、この給湯ユニットに出湯水を供給する給湯ユニットであって、
給水流量を検出する流量センサーと、
前記他の給湯ユニットが出湯する最低出湯号数の出湯温度以下に対応する第1の出湯温度、該第1の出湯温度を超える第2の出湯温度、少なくとも前記最低出湯号数での出湯が可能な給水流量を閾値とし、前記流量センサーの検出流量が前記閾値以下であれば、前記第1の出湯温度を設定し、前記給水流量が前記閾値を超えれば、前記第2の出湯温度を設定する制御部と、
を含む給湯ユニット。
【請求項14】
請求項5に記載された給湯システムに含まれる制御部、請求項12に記載した記録媒体または請求項13に記載した給湯ユニットに含まれる制御部の何れかを搭載した制御ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、二以上の給湯ユニットを連結して給湯する給湯システムの給湯技術に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、SOFC(Solid Oxide Fuel Sell :固体酸化物燃料電池)の排熱を熱源に用いる給湯ユニットと、たとえば、燃料ガスの燃焼熱を熱源に用いる給湯ユニットを併用する給湯システムが実用化されている。
【0003】
このように異なる熱源を用いる複数の給湯ユニットを備えた給湯システムでは、複数の給湯ユニットの動作を連係させる連係制御と、給湯ユニットの動作を連係させないスタンドアロン制御が存在する。スタンドアロン制御ではたとえば、SOFCを含む給湯ユニットの出湯側に任意の給湯ユニットを設置し、独立した給湯が可能な形態である。
【0004】
このような給湯システムに関し、燃料電池システムを備える熱源供給ユニットと補助加熱器とを連結し、熱源供給ユニットから補助加熱器に給湯水を供給する給湯システムにおいて、補助加熱器が受け入れる温水の温度を熱源供給ユニット側で制御することが知られている(たとえば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、スタンドアロンモードで給湯ユニットを動作させる場合、すなわち、前段および後段の給湯ユニットの連係制御を行っていない場合には、前段の給湯ユニットの出湯温度はたとえば、30〔℃〕に固定される。つまり、前段の給湯ユニットは30〔℃〕で出湯し、この出湯温度に固定された温水が後段の給湯ユニットに供給される。
【0007】
この場合、後段の給湯ユニットが燃焼熱で直接に温水を加熱するいわゆる直接加熱方式の給湯器である場合には、加熱熱媒で温水を間接的に加熱するいわゆる間接加熱方式の給湯器の場合に比較し、最低出湯号数温度が高くなる傾向がある。このため、前段の給湯ユニットの出湯温度が30〔℃〕に設定されても、前段の給湯ユニットからの供給流量によっては後段の給湯ユニットから設定温度以上の出湯が生じてしまう場合がある。
【0008】
たとえば、前段の給湯ユニットの出湯温度が30〔℃〕で給水流量が3〔リットル/分〕では、後段の給湯ユニットの出湯温度は55〔℃〕となり、また、前段の給湯ユニットの出湯温度が30〔℃〕であっても、給水流量が10〔リットル/分〕では後段の給湯ユニットの出湯温度は38〔℃〕となる場合がある。
【0009】
このとき、後段の給湯ユニットのリモコンの出湯設定温度=40〔℃〕であっても、給水量流が3〔リットル/分〕であれば、出湯温度=55〔℃〕に昇温され、出湯温度を55〔℃〕未満にすることができないなどの課題がある。
【0010】
本開示は、スタンドアロンモードでの出湯温度が後段の給湯ユニットに依存することが給湯システムの利便性を損なうことに鑑み、また、後段の給湯ユニットに直接加熱方式の給湯器が用いられたとしても、給水流量によって出湯温度の高温度化を防止することが給湯システムの利便性を高めるとの知見に基づくものである。
【0011】
そこで、本発明の目的は、上記課題および知見に基づき、少なくとも第1の給湯ユニットと第2の給湯ユニットを連結し、第1の給湯ユニットの出湯水を第2の給湯ユニットを通して出湯させる際に、第2の給湯ユニットからの出湯温度の急激な上昇を抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、本開示の給湯方法の一側面によれば、少なくとも第1の給湯ユニットと第2の給湯ユニットを連結し、前記第1の給湯ユニットの出湯水を前記第2の給湯ユニットで受け、前記第2の給湯ユニットから給湯する給湯方法であって、流量センサーが、給水流量を検出する工程と、制御部が、前記第2の給湯ユニットが出湯する最低出湯号数の出湯温度以下に対応する第1の出湯温度、該第1の出湯温度を超える第2の出湯温度、少なくとも前記最低出湯号数での出湯が可能な給水流量を閾値とし、前記流量センサーの検出流量が前記閾値以下であれば、前記第1の出湯温度を設定し、前記給水流量が前記閾値を超えれば、前記第2の出湯温度を設定する工程とを含む。
【0013】
この給湯方法において、さらに、タイマーが、出湯開始からの経過時間を計測する工程と、前記経過時間が所定時間未満であれば、前記制御部が、前記第1の出湯温度を維持する工程とを含んでよい。
【0014】
この給湯方法において、さらに、前記制御部が、前記第1の給湯ユニットの前記給水流量を監視し、前記給水流量の変動に応じて前記第1の出湯温度から前記第2の出湯温度への移行時間に対し、前記第2の出湯温度から前記第1の出湯温度への移行時間を短く制御する工程を含んでよい。
【0015】
この給湯方法において、さらに、前記第1の出湯温度が、前記第2の給湯ユニットが出湯する最低出湯号数以上で出湯可能な温度以下に設定する工程を含んでよい。
【0016】
上記目的を達成するため、本開示の給湯システムの一側面によれば、少なくとも第1の給湯ユニットと第2の給湯ユニットを連結し、前記第1の給湯ユニットの出湯水を前記第2の給湯ユニットで受け、前記第2の給湯ユニットから給湯する給湯システムであって、給水流量を検出する流量センサーと、前記第2の給湯ユニットが出湯する最低出湯号数の出湯温度以下に対応する第1の出湯温度、該第1の出湯温度を超える第2の出湯温度、少なくとも前記最低出湯号数での出湯が可能な給水流量を閾値とし、前記流量センサーの検出流量が前記閾値以下であれば、前記第1の出湯温度を設定し、前記給水流量が前記閾値を超えれば、前記第2の出湯温度を設定する制御部とを含む。
【0017】
この給湯システムにおいて、さらに、出湯開始からの経過時間を計測するタイマーを備え、前記制御部は、前記経過時間が所定時間未満であれば、前記第1の出湯温度を維持してよい。
【0018】
この給湯システムにおいて、さらに、前記制御部が、前記第1の給湯ユニットの前記給水流量を監視し、前記給水流量の変動に応じて前記第1の出湯温度から前記第2の出湯温度への移行時間に対し、前記第2の出湯温度から前記第1の出湯温度への移行時間を短く制御してよい。
【0019】
この給湯システムにおいて、さらに、前記制御部が、前記第1の出湯温度を前記第2の給湯ユニットが出湯する最低出湯号数以上で出湯可能な温度以下に設定してもよい。
【0020】
上記目的を達成するため、本開示のプログラムの一側面によれば、コンピュータに実行させるプログラムであって、給水流量を検出する流量センサーから給水情報を取得する機能と、第1の給湯ユニットに連結される第2の給湯ユニットが出湯する最低出湯号数の出湯温度以下に対応する第1の出湯温度、該第1の出湯温度を超える第2の出湯温度、少なくとも前記最低出湯号数での出湯が可能な給水流量を閾値とし、前記流量センサーの検出流量が前記閾値以下であれば、前記第1の出湯温度を設定し、前記給水流量が前記閾値を超えれば、前記第2の出湯温度を設定する機能とを前記コンピュータに実行させる。
【0021】
このプログラムにおいて、さらに、出湯開始からの経過時間を計測するタイマーから経過時間情報を取得する機能と、前記経過時間が所定時間未満であれば、前記第1の出湯温度を維持する機能とを前記コンピュータに実行させてよい。
【0022】
このプログラムにおいて、さらに、前記第1の給湯ユニットの前記給水流量を監視し、前記給水流量の変動に応じて前記第1の出湯温度から前記第2の出湯温度への移行時間に対し、前記第2の出湯温度から前記第1の出湯温度への移行時間を短く制御してよい。
【0023】
上記目的を達成するため、本開示の記録媒体の一側面によれば、前記プログラムを格納した記録媒体である。
【0024】
上記目的を達成するため、本開示の給湯ユニットの一側面によれば、少なくとも他の給湯ユニットに連結され、この給湯ユニットに出湯水を供給する給湯ユニットであって、給水流量を検出する流量センサーと、前記他の給湯ユニットが出湯する最低出湯号数の出湯温度以下に対応する第1の出湯温度、該第1の出湯温度を超える第2の出湯温度、少なくとも前記最低出湯号数での出湯が可能な給水流量を閾値とし、前記流量センサーの検出流量が前記閾値以下であれば、前記第1の出湯温度を設定し、前記給水流量が前記閾値を超えれば、前記第2の出湯温度を設定する制御部とを含む。
【0025】
上記目的を達成するため、本開示の制御ユニットの一側面によれば、前記給湯システムに含まれる制御部、前記記録媒体または前記給湯ユニットに含まれる制御部の何れかを搭載した制御ユニットである。
【発明の効果】
【0026】
本開示によれば、次の何れかの効果が得られる。
(1) 第1の給湯ユニットに入る給水流量を監視し、第1の給湯ユニットから第2の給湯ユニットに入る出湯水の出湯温度を低減し、第2の給湯ユニットの出湯温度の高温化を防止できる。
【0027】
(2) 第1の給湯ユニットに入る給水流量が低い場合、第1の給湯ユニットから第2の給湯ユニットに入る出湯水の出湯温度が第2の給湯ユニットの最低出湯号数の出湯温度以下に抑制されるので、第2の給湯ユニットに直接加熱方式の給湯器が用いられても、第2の給湯ユニットの出湯温度の高温化を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】第一の実施の形態に係る給湯システムを示す図である。
【
図3】制御部およびリモコンユニットのハードウェアを示す図である。
【
図4】第一の実施の形態に係る給湯システムの機能部を示す図である。
【
図5】出湯制御の処理手順を示すフローチャートである。
【
図7】第二の実施の形態に係る給湯システムにおける制御部のハードウェアを示す図である。
【
図8】第二の実施の形態に係る給湯システムの機能部を示す図である。
【
図9】出湯制御の処理手順を示すフローチャートである。
【
図11】第三の実施の形態に係る給湯システムの機能部を示す図である。
【
図12】出湯制御の処理手順を示すフローチャートである。
【
図14】第四の実施の形態に係る給湯システムにおける混合弁の弁開度およびその制御を示す図である。
【
図16】実施例1に係るリモコンユニットの情報提示を示す図である。
【
図17】実施例2に係る給湯システムにおける他の給湯ユニットを示す図である。
【
図18】実施例3に係る給湯システムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
〔第一の実施の形態〕
図1は、第一の実施の形態に係る給湯システムを示している。この給湯システム2は、本開示の給湯システムの一例であり、少なくとも二つの給湯ユニットの一例として、第1の給湯ユニット4-1および第2の給湯ユニット4-2を備え、各給湯ユニット4-1、4-2はそれぞれが独立して動作させるスタンドアロン給湯器を構成する。給湯ユニット4-2にはたとえば、燃焼熱または排熱で温水を直接に加熱する直接加熱方式の給湯器が用いられている。本願において、間接加熱方式とは燃焼熱や排熱で加熱した熱媒を媒介とする加熱方式である。
【0030】
この給湯システム2は、給湯時、給湯ユニット4-1で給水Wを受け、給湯ユニット4-1の出湯水である温水HW1を給湯ユニット4-2に供給する。給湯ユニット4-1では、給水流量Lに閾値Lthを設定して給水流量Lを監視する。給湯ユニット4-1の出湯温度HWTを、給水流量Lが閾値Lth以下であれば、第1の出湯温度HWT-1とし、給水流量Lが閾値Lthを超えれば、出湯温度HWT-1を超える第2の出湯温度HWT-2とする。出湯温度HWT-1は、給湯ユニット4-2が出湯する最低出湯号数の出湯温度以下に対応する出湯温度である。この出湯温度HWT-1、出湯温度HWT-2の切替えについて、給水流量Lに閾値Lthを設定する。この閾値Lthは、給湯ユニット4-2が少なくとも最低出湯号数での出湯が可能な給水流量を表す。出湯温度HWT-1は、給湯ユニット4-2における最低出湯号数(たとえば、3号)以上で出湯可能な低温度の出湯温度である。出湯号数について、たとえば、給水温度+25℃の温水HWが1分間に1リットルの出湯が可能であれば、出湯号数が1号と定義される(都市ガス工業概要(消費機器編)2018年改訂版[一般社団法人 日本ガス協会]87ページを参照)。したがって、給水流量Lが閾値Lth以下であれば、出湯温度HWT-1で出湯し、給水流量Lが閾値Lthを超えれば、出湯温度HWT-1を超える出湯温度HWT-2が設定される。
【0031】
<給湯ユニット4-1>
この給湯ユニット4-1は本開示の給湯ユニットの一例である。この給湯ユニット4-1は蓄熱タンク6、熱交換器8および制御部9などを設置している。蓄熱タンク6は、熱源ユニット10で加熱される熱媒HM1を媒介として蓄熱する。熱媒HM1は、熱源ユニット10で加熱可能で流動する水などの流体が用いられる。
【0032】
熱源ユニット10は熱源にたとえば、SOFC(固体酸化物燃料電池)を備え、このSOFCの発電で生じる排熱で熱媒HM1を加熱する。熱媒HM1は蓄熱タンク6に溜められ、この下層域から取り出された熱媒HM1を熱源ユニット10に循環させてSOFCの排熱と熱交換し、この熱交換で高温化された後、蓄熱タンク6の上層域に戻される。したがって、蓄熱タンク6では下層域から上層域に蓄熱温度を上昇させた階層蓄熱が行われる。温度センサー12は蓄熱タンク6の上層域の熱媒温度Tを検出する。
【0033】
熱交換器8は、熱媒HM1と給水Wとを熱交換し、給水Wを熱媒HM1の熱で加熱する。蓄熱タンク6の上層域から取り出される熱媒HM1が熱媒路14に流れる。この熱媒路14に設置されている循環ポンプ16の駆動により蓄熱タンク6の上層域から取り出された熱媒HM1が熱交換器8に循環し、給水Wとの熱交換後、蓄熱タンク6の下層域に戻される。
【0034】
給湯時、給水Wがたとえば、上水圧によって給水路18から熱交換器8に流れ込む。給水路18に設置された流量センサー20は給水路18に流れ込む給水Wの流量を検出する。これにより、給湯ユニット4-1に入る給水流量Lが検出される。
【0035】
給水路18は、熱交換器8をバイパスして給水Wを出湯側に流すためのバイパス路22を備えている。このバイパス路22は、熱交換器8の入側で給水路18から分岐し、熱交換器8の出湯側に設置した混合弁24を介して出湯路26と接続されている。
【0036】
混合弁24は、熱交換器8で得られる温水HWと給水Wとを混合し、温水HW1が得られる。混合弁24に設定された温水HWと給水Wとの混合比率により、出湯温度が調整された温水HW1が出湯路26から出湯する。
【0037】
制御部9はたとえば、通信機能を持つコンピュータで構成される。制御部9は、流量センサー20の検出流量、温度センサー12の検出温度などを取り込み、循環ポンプ16の駆動、混合弁24の温水HWと給水Wの混合比率などを調整し、給湯ユニット4-1の出湯温度HWT-1、HWT-2の切替えを含む制御を行う。
【0038】
制御部9には有線接続または無線接続によってリモコンユニット30が接続されている。このリモコンユニット30は制御部9などと通信可能なコンピュータで構成され、給湯ユニット4-1の給水流量Lの監視、出湯温度HWT-1、HWT-2の設定および切替え、出湯温度などの情報提示などを行う。この制御部9の制御には、既述した給水流量Lに対する閾値Lthの設定、給水流量Lの監視、出湯温度HWT-1、HWT-2の設定、その維持または切替えなどの制御が含まれる。
【0039】
<給湯ユニット4-2>
この給湯ユニット4-2には、給湯ユニット4-1の出湯水である温水HW1と燃焼熱とを熱交換する直接加熱方式の給湯器が用いられている。
【0040】
この給湯ユニット4-2は前段の給湯ユニット4-1に連結路32を介して連結されている。給湯ユニット4-1の出湯路26と給湯ユニット4-2の給水路34とが連結路32で連結されている。したがって、給湯時、給湯ユニット4-1で生成される温水HW1が連結路32を通して給湯ユニット4-2の給水路34に流れる。
【0041】
この給湯ユニット4-2には流量センサー35、バーナー36、一次熱交換器38、二次熱交換器40、混合弁42および制御部43などが設置されている。流量センサー35は、給湯ユニット4-1から給湯ユニット4-2に入る温水HW1の給水流量Lを検出する。
【0042】
バーナー36はたとえば、燃料ガスGを燃焼させ、燃焼排気を生じさせる。一次熱交換器38は燃焼排気の上流側に設置され、この燃焼排気から主として顕熱を被加熱媒体に熱交換する。二次熱交換器40は燃焼排気の下流側に設置され、この燃焼排気から主として潜熱を被加熱媒体に熱交換する。つまり、温水HW1は二次熱交換器40で下流側の燃焼排気との熱交換の後、一次熱交換器38に循環して上流側の燃焼排気と熱交換され、温水HW2が出湯される。
【0043】
給水路34には一次熱交換器38、二次熱交換器40をバイパスして温水HW1を出湯側に流すためのバイパス路44を備えている。このバイパス路44は、二次熱交換器40の入側で給水路34から分岐し、一次熱交換器38の出湯側に設置した混合弁42を介して出湯路45と接続されている。つまり、混合弁42のバイパス路44側の弁開度と一次熱交換器38側の弁開度の比率に応じて一次熱交換器38、二次熱交換器40をバイパスした温水HW1が混合弁42に流れる。
【0044】
制御部43はたとえば、通信機能を持つコンピュータで構成され、給湯ユニット4-1がスタンドアロンモードの場合、給湯ユニット4-2を給湯ユニット4-1と別個に制御する。制御部43は、流量センサー35の検出流量、温度センサー47の検出温度などを取り込み、バーナー36の燃焼、混合弁42の温水HW1と温水HW2の混合比率などを調整し、給湯ユニット4-2の出湯温度を制御する。つまり、制御部43は、給水流量Lおよび給湯ユニット4-1から給湯ユニット4-2が受ける温水HW1の出湯温度HWTに応じて、給湯ユニット4-2に設定された出湯温度に調整された温水HW3を出湯路45から出湯する。
【0045】
<熱源ユニット10>
熱源ユニット10はたとえば、
図2に示すように、SOFC37、熱交換器39および循環ポンプ41などを備えている。SOFC37の発電で生じる排気を熱媒HM2の加熱に用いる。熱交換時、循環ポンプ41を動作させ、蓄熱タンク6の低層側から熱媒HM1を熱交換器39に循環させる。熱交換器39は、熱媒HM1、HM2間の熱交換を行い、熱媒HM1を熱媒HM2で加熱する。高温化された熱媒HM1が蓄熱タンク6の上層側に戻されて蓄熱される。
【0046】
<制御部9およびリモコンユニット30のハードウェア>
図3は、制御部9およびリモコンユニット30のハードウェアの一例を示している。この実施の形態では、制御部9およびリモコンユニット30が有線で接続されているが、Wi-Fiなどを用いた無線接続であってもよい。
【0047】
<制御部9>
制御部9はプロセッサ46、記憶部48、入出力部(I/O)50、通信部52を備える。プロセッサ46は、記憶部48にあるOS(Operating System)、出湯制御を含む制御プログラムを実行し、給湯ユニット4-1に流れる給水流量Lを監視して出湯温度HWTなどを制御する。
【0048】
記憶部48はROM(Read-Only Memory)、RAM(Random-Access Memory)などの記憶素子を備える。ROMにはOS、給湯制御プログラム、制御データ、データベース78(
図4)などを格納する。RAMは情報処理のワークエリアを構成する。
【0049】
I/O50は、プロセッサ46の制御により、温度センサー12、流量センサー20などから検出情報を取得し、循環ポンプ16の駆動制御、混合弁24の弁開度の制御などの制御信号を出力する。通信部52は、プロセッサ46の制御により、リモコンユニット30との通信を行う。
【0050】
<リモコンユニット30>
リモコンユニット30はリモコン制御部56、通信部58、入力操作部60、LCD(Liquid Crystal Display)表示部62を備える。リモコン制御部56は、制御部9と同様に、プロセッサ、記憶部、入出力部などを備え、給湯ユニット4-1と連係する。このとき、通信部58は、リモコン制御部56の制御により、給湯ユニット4-1の通信部52との通信を行う。
【0051】
入力操作部60は、リモコン制御部56の制御により、スタンドアロンモードなどのモード設定、給湯ユニット4-1の出湯温度設定などの情報入力に用いられる。この入力操作部60にはLCD表示部62の画面を覆うタッチセンサーを用いてもよい。
【0052】
LCD表示部62は、本開示の情報提示部の一例であり、モード情報、出湯温度情報、動作状態情報などの情報提示に用いられる。
【0053】
<給湯ユニット4-1の機能部>
この第一の実施の形態に係る給湯ユニット4-1は、給水流量Lに対して閾値Lthを設定して給湯ユニット4-1に入る給水流量Lを監視し、給湯ユニット4-2に対する出湯温度として、第1の出湯温度HWT-1、第2の出湯温度HWT-2(>HWT-1)の設定、維持または切替えの制御を実行し、この制御には複数の機能部が関係する。
【0054】
図4は、既述の出湯制御を実現するための給湯ユニット4-1に含まれる機能部を示している。
図4に示す構成は本開示の給湯ユニット4-1の機能部の一例であり、斯かる構成に本開示が限定されるものではない。
【0055】
この機能部は
図4に示すように、モード設定部64、出湯温度設定部66、モード判定部68、閾値設定部70、出湯判定部71、給水流量判定部72、出湯温度切替部74、制御情報取得部76、データベース78、提示情報生成部80などを含んでいる。
【0056】
モード設定部64は、プロセッサ46の制御によりリモコンユニット30と連係し、給湯ユニット4-1の動作モードとして、リモコンユニット30の入力操作部60からのモード設定入力を受け、給湯ユニット4-1、4-2を独立して動作させるスタンドアロンモード、給湯ユニット4-1、4-2の制御を連係させる非スタンドアロンモードを設定する。換言すれば、スタンドアロンモードは、給水流量Lに応じて出湯温度を変更するための給湯ユニット4-1における出湯モードである。
【0057】
出湯温度設定部66は、給湯ユニット4-1の出湯温度HWTとして、プロセッサ46の制御により、リモコンユニット30の入力操作部60からの出湯温度設定入力を受け、給湯ユニット4-1の制御部9に出湯温度HWT-1、出湯温度HWT-2を設定する。出湯温度HWT-1は、給湯ユニット4-2におけるたとえば、最低出湯号数の出湯温度以下の値である。
【0058】
モード判定部68はたとえば、給湯システム2の初期設定時、プロセッサ46の制御により初期設定されている設定モードを判定する。つまり、設定モードの判定は、スタンドアロンモードか、非スタンドアロンモードかを判定する。非スタンドアロンモードであれば、給湯ユニット4-1、4-2の制御を連係させるので、本開示の制御、給湯ユニット4-1の出湯温度の設定は解除され、連係制御を優先させる。
【0059】
閾値設定部70は、プロセッサ46の制御を受け、リモコンユニット30の入力操作部60の操作により、給水流量Lを判定するための既述の閾値Lthを設定する。
【0060】
出湯判定部71は、プロセッサ46の制御により、流量センサー20の検出流量を監視し、給水流量L=0から給水流量Lが生じたとき、出湯開始と判定し、給水流量Lが給水流量L=0に推移したとき、出湯停止と判定する。
【0061】
給水流量判定部72は、プロセッサ46の制御により、流量センサー20の検出流量を監視し、給水流量Lと閾値Lthを比較し、給水流量Lが閾値Lth以下か、閾値Lthを超えるかを判定する。
【0062】
出湯温度切替部74は、プロセッサ46の制御により、給水流量Lに応じて出湯温度HWTを出湯温度HWT-1、HWT-2に切り替える。この場合、給水流量Lが閾値Lth以下であれば、出湯温度HWT-1を設定し、または現在の出湯温度HWTがHWT-2であれば、HWT-1に切替える。
【0063】
給水流量Lが閾値Lthを超えれば、出湯温度HWTをHWT-1からHWT-2に切替え、または現在の出湯温度HWTがHWT-2であれば、HWT-2を維持する。
【0064】
制御情報取得部76は、プロセッサ46の制御により、設定モード情報、閾値情報、出湯温度情報などの各種の制御情報を取得する。
【0065】
データベース78は、プロセッサ46の制御により、制御情報取得部76で取得した既述のモード情報、閾値情報、出湯温度情報、出湯温度切替え情報、制御履歴情報などを日時情報とともに格納する。
【0066】
提示情報生成部80は、プロセッサ46の制御により制御情報取得部76で取得した既述のモード情報、閾値情報、出湯温度情報、出湯温度切替え情報、制御履歴情報などから提示情報を生成する。これらの何れかまたは全ての情報は、リモコンユニット30と連係し、LCD表示部62に提示される。
【0067】
<給湯ユニット4-1の出湯温度HWTの制御>
制御部9は、出湯開始から流量センサー20の検出流量を取込み、給水流量Lが閾値Lth以下たとえば、6〔リットル/分〕未満であれば、出湯温度HWTを出湯温度HWT-1に設定する。この出湯温度HWT-1は、給湯ユニット4-2において最低出湯号数の出湯温度以下たとえば、20〔℃〕に設定する。
【0068】
給水流量Lが閾値Lthを超えるたとえば、6〔リットル/分〕以上であれば、出湯温度HWT-1を超える出湯温度HWT-2(たとえば、30〔℃〕)に変更する。つまり、この例では温水HW1を出湯温度HWT-1から10〔℃〕だけ上昇させた出湯温度HWT-2に変更する。
【0069】
図5は、第一の実施の形態に係る出湯制御の処理手順を示している。この出湯制御は、本開示の給湯制御の方法、プログラムなどの一例である。
図5において、Sは工程、Sに付した番号は工程の順序を示している。
【0070】
この出湯制御の処理手順には、設定モードの判定(S101)、出湯温度の設定(S102)、出湯開始の判定(S103)、給水流量Lの計測(S104)、給水流量Lの判定(S105)、出湯温度の設定(S106、S107)、情報の提示(S108)、出湯停止の判定(S109)などが含まれる。
【0071】
設定モードの判定(S101): 給湯システム2の出湯動作をスタンドアロンモードで実行するか、非スタンドアロンモードで実行するかは、給湯ユニット4-1の初期設定で設定される。この設定モード判定(S101)では、プロセッサ46の制御により、初期設定されたモードを判定する。
【0072】
出湯温度の設定(S102): スタンドアロンモードの場合、出湯温度設定部66により出湯開始前に出湯温度の設定を行う。この場合、出湯温度として出湯温度HWT-1、HWT-2を設定する。出湯温度HWT-1は既述したように、給湯ユニット4-2において最低出湯号数の出湯温度以下たとえば、HWT-1=20〔℃〕である。出湯温度HWT-2はHWT-1を超える高い温度である。
【0073】
出湯開始の判定(S103): この出湯開始の判定(S103)は、出湯判定部71により給湯需要の発生を契機としてプロセッサ46の制御により判定する。たとえば、給湯需要が生じたとき、流量センサー20で流量検出が行われる。制御部9は、流量センサー20の検出流量の生起を以て給湯開始を判定すればよい。
【0074】
給水流量Lの計測(S104): この給水流量Lの計測(S104)は、流量センサー20によって行う。制御部9は、プロセッサ46の制御により、流量センサー20の検出出力を以て給水流量情報を取得し、記憶部48に記録する。
【0075】
給水流量Lの判定(S105): 制御部9は、プロセッサ46の制御により、給水流量Lを判定する。この給水流量Lが閾値Lth以下か、閾値Lthを超えるかを判定する。閾値Lthはたとえば、6〔リットル/分〕に設定する。
【0076】
出湯温度の設定(S106、S107): 給水流量Lが閾値Lth以下であれば(S105のYES)、出湯温度HWT-1とし(S106)、閾値Lthを超えれば(S105のNO)、出湯温度HWT-2とする(S107)。
【0077】
情報の提示(S108): 制御部9は、プロセッサ46の制御により、リモコンユニット30に対して制御情報を提供する。この結果、リモコンユニット30にはモード表示、出湯開始情報表示、給水流量情報表示、出湯停止情報表示などの情報が提示される。
【0078】
出湯停止の判定(S109): 制御部9は、プロセッサ46の制御により、給水流量Lから出湯停止か否かを判定する(S109)。つまり、出湯停止でなければ(S109のNO)、S104に遷移して出湯継続とし、出湯停止であれば(S109のYES)、S101に遷移する。
【0079】
<出湯制御の一例>
図6は、第一の実施の形態に係る出湯制御の一例を示し、Aは給水流量L1、L2の推移、Bは出湯温度HWT-1、HWT-2の切替え、Cは温水HW3の出湯温度HWTの推移を示している。
【0080】
給湯需要を受け、給湯ユニット4-1に対して時点t0で給水が開始される。
図6のAは、増加傾向が異なる二つの給水流量L1、L2を示している。Lthは、給水流量Lをパラメータとして出湯温度HWT-1、HWT-2を切り替えるための閾値である。
【0081】
図6のBに示すように、給水流量L1が閾値Lth以下では、出湯温度HWT-1が設定される。閾値Lthを超えた時点t1から出湯温度HWT-1が上昇を開始し、時点t2で出湯温度HWT-2に切り替えられる。これに対し、給水流量L2は給水流量L1より緩やかに増加しているので、閾値Lthを超えた時点t3(この場合、t3>t2)から出湯温度HWT-1の上昇を開始し、時点t4で出湯温度HWT-2に切り替えられる。Utは、出湯温度HWT-1から出湯温度HWT-2への移行に要する時間(=移行時間)である。
【0082】
やがて、給水流量L1または給水流量L2が減少し、時点t5で閾値Lthを通過した後、時点t7で消失する。この場合、給水流量L1が閾値Lth以下となる時点t5から出湯温度HWT-2が下降を開始し、時点t7に到達前の時点t6で出湯温度HWT-1に切り替えられる。Dtは、出湯温度HWT-2から出湯温度HWT-1への移行に要する時間(=移行時間)である。
【0083】
そして、給湯ユニット4-1の出湯温度HWT-1、HWT-2の切替えに対し、給湯ユニット4-2の温水HW3の出湯温度HWTは
図6のCに示すように、一定温度で推移する。tsは給湯ユニット4-2の出湯開始時点であり、HWTOは目標温度を示している。
【0084】
<移行時間Ut、Dt>
給水流量L1の増加時、移行時間Utは、時点t1~時点t2間の経過時間であり、同様に、時点t3~時点t4間の経過時間である。この移行時間Utは給水流量L1、L2の増加傾向に応じて異ならせてもよい。
【0085】
給水流量L1の減少時、移行時間Dtは、時点t5~時点t6間の経過時間である。移行時間Dtと移行時間Utの大小関係は、Dt<Utに設定されている。
【0086】
給水流量Lが増加する場合には、出湯温度HWT-1から出湯温度HWT-2に緩やかに増加させ、給水流量Lが減少する場合には、出湯温度HWT-2から出湯温度HWT-1へ迅速に変更する。これにより、給湯ユニット4-1からの温水HW1を受けて出湯する給湯ユニット4-2の温水HW3の出湯温度のオーバーシュートなどの急激な昇温を抑制できる。
【0087】
<給湯ユニット4-2の出湯温度のオーバーシュートの抑制>
出湯時、給湯ユニット4-2の一次熱交換器38および二次熱交換器40には、給湯ユニット4-1からの出湯温度HWT-2および給水流量Lに合わせた熱量がバーナー36から供給される。給湯ユニット4-2のバーナー36の燃焼量や混合弁42の弁開度は、給水流量Lに合わせ調整される。
【0088】
給水流量Lが減少すると、給湯ユニット4-2は給水流量Lに合わせてバーナー36の燃焼量を減少させ、混合弁42を調整し、温水HW3の出湯温度が設定温度に制御される。
給水流量Lが閾値Lth以下となったとき、給湯ユニット4-2の温度制御のみで流量減少に対応するとともに、給水ユニット4-1からの温水HW1を出湯温度HWT-2から出湯温度HWT-1へ迅速に切り替えられる。これにより、給湯ユニット4-2の温水HW3の出湯温度のオーバーシュートなどの急激な昇温の発生が抑制される。
【0089】
<第一の実施の形態の効果>
斯かる構成によれば、次の何れかの効果が得られる。
(1) 給湯ユニット4-1の出湯温度HWTは、出湯温度HWT-1に抑制され、給湯ユニット4-2の出湯温度のオーバーシュートなどの急上昇を抑制できる。
【0090】
(2) 給湯ユニット4-1に対する給水流量Lを監視し、給水流量Lが閾値Lth以下であれば、出湯温度HWT-1を維持し、閾値Lthを超えれば、出湯温度HWT-1から出湯温度HWT-2に切り替えるので、蓄熱した熱エネルギーを活用できる。
【0091】
(3) 移行時間Dtを移行時間Utより短くし、迅速化したので、給水流量Lの減少に対し、給湯ユニット4-2の出湯温度の急激な上昇を防止することができる。
【0092】
(4) 既設の給湯ユニット4-2の給湯仕様、たとえば、プレート熱交換器を用いた間接加熱方式の給湯器、または間接加熱方式の給湯器より最低出湯号数が大きい直接加熱方式の給湯器などの仕様に関係なく、給湯ユニット4-1を新設または変更でき、利便性の高い給湯システム2を実現できる。
【0093】
(5) 本開示の給湯ユニット4-1が既設の給湯器である場合にも、その仕様に影響を受けることなく、給湯ユニット4-2には任意の仕様の給湯器を選択でき、ユーザの利便性を高めることができる。
【0094】
(6) 給湯ユニット4-2にはFB(Feedback)制御やFF( Feedforward)制御が用いられるが、いずれの制御方法が用いられたとしても給湯ユニット4-1の出湯温度上昇に対応できるように、移行時間Utを長くとれば、つまり出湯温度上昇を緩やかな状態に制御することができる。
【0095】
〔第二の実施の形態〕
第二の実施の形態は第一の実施の形態の制御に加え、出湯開始から所定時間経過後に出湯温度を切り替える制御を含んでいる。
【0096】
図7は、第二の実施の形態に係る給湯ユニット4-1の制御部9を示している。
図7において、
図3と同一部分には同一符号を付してある。
【0097】
この第二の実施の形態に係る制御部9にはタイマー51が設置されている。タイマー51は、プロセッサ46の制御により出湯開始からの経過時間である出湯時間Htを計測する。この出湯時間Htに対して閾値Hthが設定され、この閾値Hthはたとえば、Hth=5秒である。
【0098】
<給湯ユニット4-1の機能部>
図8は、第二の実施の形態に係る給湯ユニット4-1の機能部を示している。
図8において、
図4と同一部分には同一符号を付してある。
この第二の実施の形態に係る給湯ユニット4-1の機能部には第一の実施の形態で示した機能部に加え、出湯時間情報取得部82および出湯時間判定部84を含んでいる。
【0099】
モード設定部64、出湯温度設定部66、モード判定部68、閾値設定部70、出湯判定部71、給水流量判定部72、出湯温度切替部74、制御情報取得部76、データベース78、提示情報生成部80は第一の実施の形態と同様であるので、その説明を割愛する。
【0100】
出湯時間情報取得部82はプロセッサ46の制御により、給湯開始(=給水開始)を起点とする経過時間である出湯時間Htをタイマー51から取得する。
【0101】
出湯時間判定部84はプロセッサ46の制御により、出湯時間Htが閾値Hth以上であるか否かを判定し、この判定結果を出湯温度HWTの切替え情報として提供する。
【0102】
その他の機能部は第一の実施の形態と同様であるので、同一符号を付し、その説明を割愛する。
なお、制御情報取得部76は、プロセッサ46の制御により、設定モード情報、閾値情報、出湯温度情報、出湯時間情報、出湯時間に関する閾値情報などの各種の制御情報を取得する。そして、これら制御情報などの情報は、データベース78および提示情報生成部80に提供され、データベース78への格納やLCD表示部62への提示がなされる。
【0103】
<出湯制御>
図9は、第二の実施の形態に係る出湯制御の処理手順を示している。この出湯制御は、本開示の給湯制御の方法、プログラムなどの一例である。
図9において、Sは工程、Sに付した番号は工程の順序を示している。
【0104】
この出湯制御の処理手順には設定モードの判定(S201)、出湯温度の設定(S202)、出湯開始の判定(S203)、出湯時間Htの計測(S204)、給水流量Lの計測(S205)、給水流量Lの判定(S206)、出湯温度の設定(S207)、出湯時間Htの判定(S208)、出湯温度の設定(S209)、情報の提示(S210)、出湯停止の判定(S211)などが含まれる。
【0105】
設定モードの判定(S201)は、既述の設定モードの判定(S101)、出湯温度の設定(S202)は既述の出湯温度の設定(S102)、出湯開始の判定(S203)は既述の出湯開始の判定(S103)、給水流量Lの計測(S205)は既述の給水流量Lの計測(S104)、給水流量Lの判定(S206)は既述の給水流量Lの判定(S105)、出湯温度の設定(S207)は既述の出湯温度の設定(S106)、出湯温度の設定(S209)は既述の出湯温度の設定(S107)とそれぞれ同一であるので、その説明を割愛する。
【0106】
出湯時間Htの計測(S204): タイマー51がプロセッサ46の制御により、給湯開始(給水開始)を起点とする経過時間である出湯時間Htを計測し、出湯時間情報取得部82がプロセッサ46の制御により、出湯時間情報を取得する。
【0107】
出湯時間Htの判定(S208): 出湯時間判定部84がプロセッサ46の制御により、給水流量Lの判定(S206)の後、出湯時間Htが閾値Hth以上であるか否かを判定する。つまり、給水流量Lが閾値Lth以下でない場合(S206のNO)、出湯時間Htが閾値Hth以上となるまで待機状態となる。
この場合、給水流量Lの判定(S206)において、給水流量Lが閾値Lthを超えている(S206のNO)ことが判定されているので、出湯時間Htが閾値Hth以上となった時点で出湯温度HWT-2が設定される。
【0108】
情報の提示(S210): 制御部9は、プロセッサ46の制御により、リモコンユニット30に対して制御情報を提供する。この結果、リモコンユニット30にはモード表示、出湯開始情報表示、給水流量情報表示、出湯時間表示、出湯停止情報表示などの情報が提示される。
【0109】
出湯停止の判定(S211): 制御部9は、プロセッサ46の制御により、給水流量Lから出湯停止か否かを判定する(S211)。つまり、出湯停止でなければ(S211のNO)、S204に遷移して出湯を継続し、出湯停止であれば(S211のYES)、S201に遷移する。
【0110】
<出湯制御の一例>
図10は、第二の実施の形態に係る出湯制御の一例を示し、Aは給水流量L1、L2の推移、Bは出湯温度HWT-1、HWT-2の切替え、Cは温水HW3の出湯温度HWTの推移を示している。
図10において、
図6と同一部分には同一符号を付してある。
【0111】
第二の実施の形態において、給水流量Lをパラメータに用いて出湯温度HWT-1、HWT-2を切り替える処理は第一の実施の形態(
図6)と同様であるので、その説明を割愛する。
【0112】
第二の実施の形態では
図10のAに示すように、給水が開始された時点t10から時点t12までの時間が閾値Hthに設定されている。この閾値Hthで出湯時間Htを判断する。
【0113】
図10のBに示すように、給水流量L1では、時点t11で既に閾値Lthを超えており、出湯時間Htが閾値Hthを超えた時点t12から出湯温度HWT-1が上昇を開始する。時点t14で出湯温度HWT-1から出湯温度HWT-2に切り替えられる。これに対し給水流量L2では、出湯時間Htが閾値Hth以上経過後、給水流量L2が閾値Lthを超えた時点t13から出湯温度HWTの上昇を開始し、時点t15で出湯温度HWT-2に切り替えられる。
【0114】
やがて、給水流量L1または給水流量L2が減少し、時点t16で閾値Lthを通過した後、時点t18で消失する。この場合、給水流量L1が閾値Lth以下となる時点t16から減少し、時点t17で出湯温度HWT-1に切り替えられる。
【0115】
そして、給湯ユニット4-2は
図10のCに示すように、時点tsから出湯を開始し、給湯ユニット4-1の出湯温度HWT-1、HWT-2の切替えに対し、給湯ユニット4-2から出湯される温水HW3の出湯温度HWTが一定温度で推移する。HWTOは目標温度である。
【0116】
<閾値Hthの設定およびその機能>
出湯開始から閾値Hthが経過した時点から給水流量Lを判定する。閾値Hthの経過前には、出湯温度HWT-1が維持される。そして、閾値Hthの経過後、給水流量Lが閾値Lthを超えた時点から出湯温度HWT-1を出湯温度HWT-2に移行させることができる。
【0117】
閾値Hthはたとえば、5秒である。つまり、5秒間は給湯ユニット4-1の出湯温度HWT-1が維持されることになる。
【0118】
したがって、給水流量Lが安定化し、つまり、流量センサー20の検出出力が安定化する時間を確保でき、給水流量Lが閾値Lthを超えた際、出湯温度HWT-1を出湯温度HWT-2に変更することができ、動作の信頼性が高められる。
【0119】
<第二の実施の形態の効果>
斯かる構成によれば、次の何れかの効果が得られる。
(1) 第一の実施の形態と同様の効果が得られるうえ、給水流量Lを安定化させた後、閾値Lthとの比較をすることができ、出湯温度HWT-1から出湯温度HWT-2への移行動作の信頼性が高められる。
【0120】
〔第三の実施の形態〕
この第三の実施の形態は、出湯時、給水流量Lの変動を監視し、その変動に応じて出湯温度HWT-1、HWT-2を切り替えるとともに、給水流量Lが微弱変動の場合には出湯温度HWT-1、HWT-2の切り替えを抑止する制御を含んでいる。
【0121】
<給湯ユニット4-1の機能部>
図11は、第三の実施の形態に係る給湯ユニット4-1の機能部を示している。
図11において、
図4または
図8と同一部分には同一符号を付してある。
【0122】
この第三の実施の形態に係る給湯ユニット4-1の機能部には第一の実施の形態と同様のモード設定部64、出湯温度設定部66、モード判定部68、閾値設定部70、出湯判定部71、給水流量判定部72、出湯温度切替部74、制御情報取得部76、データベース78、提示情報生成部80とともに、待機時間情報取得部83、待機時間判定部85および流量変動判定部86を含んでいる。
【0123】
この実施の形態の給水流量判定部72が行う給水流量Lの判定には、プロセッサ46の制御により、待機時間Jtの計測の契機となる流量判定と、出湯温度HWT-1、HWT-2の切替えの契機となる流量判定の双方が含まれる。
【0124】
待機時間情報取得部83はプロセッサ46の制御により、給水流量Lが閾値Lthを超えた時点を起点とする経過時間である待機時間Jtをタイマー51から取得する。
【0125】
待機時間判定部85はプロセッサ46の制御により、待機時間Jtが経過したか否かを判定し、この判定結果を出湯温度HWTの切替え情報として提供する。
【0126】
流量変動判定部86は、出湯温度HWT-1に設定した際の給水流量Lの検出情報を取得し、その流量変動を判定する。
【0127】
制御情報取得部76は、設定モード情報、閾値情報、出湯温度情報、待機時時間情報などの各種の制御情報を取得する。そして、これら制御情報は、データベース78および提示情報生成部80に提供され、データベース78への格納やLCD表示部62への提示がなされる。
【0128】
その他、モード設定部64、出湯温度設定部66、モード判定部68、閾値設定部70、出湯判定部71、給水流量判定部72、出湯温度切替部74、制御情報取得部76、データベース78、提示情報生成部80は第一および第二の実施の形態と同様であり、その説明を割愛する。
【0129】
<出湯制御>
図12は、第三の実施の形態に係る出湯制御の処理手順を示している。この出湯制御は、本開示の給湯制御の方法、プログラムなどの一例である。
【0130】
この出湯制御の処理手順には設定モードの判定(S301)、出湯温度の設定(S302)、出湯開始の判定(S303)、給水流量Lの計測(S304)、給水流量Lの判定(S305)、出湯温度の設定(S306)、待機時間Jtの判定(S307)、出湯温度の設定(S308)、情報の提示(S309)、出湯停止の判定(S310)、給水流量Lの変動監視(S311)、給水流量Lの判定(S312)、待機時間Jtの判定(S313)などが含まれる。
【0131】
設定モードの判定(S301)は既述の設定モードの判定(S101)、出湯温度の設定(S302)は既述の出湯温度の設定(S102)、出湯開始の判定(S303)は既述の出湯開始の判定(S103)、給水流量Lの計測(S304)は既述の給水流量Lの計測(S104)、給水流量Lの判定(S305)は既述の給水流量Lの判定(S105)、出湯温度の設定(S306)は既述の出湯温度の設定(S106)、出湯温度の設定(S308)は既述の出湯温度の設定(S107)にそれぞれ対応するので、これらの説明を割愛する。
【0132】
待機時間Jtの判定(S307): 給水流量Lが閾値Lth以下でない場合(S305のNO)、待機時間情報取得部83がプロセッサ46の制御により、タイマー51の計測時間から待機時間情報を取得し、待機時間判定部85がプロセッサ46の制御により、待機時間Jtが経過したかを判定する。つまり、待機時間Jtが経過しない場合(S307のNO)、待機時間Jtが経過するまで待機状態となる。
【0133】
この場合、給水流量Lの判定(S305)において、給水流量Lが閾値Lthを超えていれば(S305のNO)、待機時間Jtが経過した時点で出湯温度HWT-2が設定される(S308)。
【0134】
情報の提示(S309)および出湯停止の判定(S310): これらは第二の実施の形態と同様であるので、その説明を割愛する。
【0135】
給水流量Lの変動監視(S311): 流量変動判定部86は、プロセッサ46の制御により、給水流量判定部72の給水流量Lの判定結果を取得し、給水流量Lの変動を監視する。
【0136】
給水流量Lの判定(S312): 給水流量判定部72が、プロセッサ46の制御により給水流量Lが閾値Lth以下または閾値Lthを超えているかを判定する。
【0137】
待機時間Jtの判定(S313): 給水流量Lが閾値Lth以下でない場合(S312のNO)、待機時間情報取得部83がプロセッサ46の制御により、タイマー51の計測時間から待機時間情報を取得し、待機時間判定部85がプロセッサ46の制御により、待機時間Jtが経過したかを判定する。つまり、待機時間Jtが経過しない場合(S313のNO)、待機時間Jtが経過するまで待機状態となる。
【0138】
この場合、給水流量Lの判定(S312)において、給水流量Lが閾値Lth超えていれば(S312のNO)、待機時間Jtが経過した時点で出湯温度HWT-2が設定される(S308)。
【0139】
<出湯制御の一例>
図13は、第三の実施の形態に係る出湯制御の一例を示し、Aは給水流量Lの推移、Bは出湯温度HWT-1、HWT-2の切替え、Cは温水HW3の出湯温度HWTの推移を示している。
図13において、
図10と同一部分には同一符号を付してある。
【0140】
第三の実施の形態において、給水流量Lをパラメータに用いて出湯温度HWT-1、HWT-2を切り替える処理は第二の実施の形態(
図10)と同様であるので、その説明を割愛する。
【0141】
第三の実施の形態では
図13のAに示すように、時点t20で給水が開始され、給水流量L1が閾値Lthを超えた時点t21から時点t22までの間、同様に時点t26から時点t27までの間に待機時間Jtが設定されている。
【0142】
この待機時間Jtは、給水流量Lが閾値Lthを超えた時点から出湯温度HWT-1の上昇を開始させるまでのインターバル時間であり、給水流量Lが閾値Lthを超えても出湯温度HWT-1を上昇させない不感帯時間であり、この場合、出湯温度HWT-1を維持する時間である。
【0143】
図13のBに示すように、給水流量Lが閾値Lthを超えた場合、その時点t21から待機時間Jtが経過した時点t22で出湯温度HWT-1が上昇を開始し、その移行時間Utの時点t23で出湯温度HWT-2に切り替えられる。
【0144】
やがて、給水流量Lが減少し、閾値Lth以下になった時点t24から即座に出湯温度HWT-2が低下を開始し、時点t25で出湯温度HWT-1に切り替えられる。
【0145】
出湯温度HWT-1になった後、時点t25から給水流量Lが激しく変動し、時点t26に至る。期間Jmは給水流量Lの変動期間を表す。この変動期間において、待機時間判定部85が閾値Lthを超える給水流量Lの期間が待機時間Jt以上かを判定する。この場合、時点t25~時点t26の期間Jmは、閾値Lthを超える給水流量Lの期間が待機時間Jt以上にならない。このため、出湯温度HWT-1が維持される。
【0146】
時点t26~時点t27では給水流量Lが連続して閾値Lthを超えている。つまり、閾値Lthを超える給水流量Lの期間が待機時間Jt以上の期間である。
【0147】
給水流量Lが閾値Lthを超えた場合、その時点t26から待機時間Jtが経過した時点t27で出湯温度HWT-1が上昇を開始し、その移行時間Utの時点t28で出湯温度HWT-2に切り替わる。
【0148】
給水流量Lが減少し、閾値Lth以下になった時点t29から即座に出湯温度HWT-2が低下を開始し、時点t30で出湯温度HWT-1に切り替わる。
【0149】
そして、給湯ユニット4-2は
図13のCに示すように、時点tsから出湯を開始し、給湯ユニット4-1の出湯温度HWT-1、HWT-2の切替えにもかかわらず、温水HW3の出湯温度HWTが一定温度で推移する。
【0150】
この場合、出湯温度HWT-1になった後、時点t25~時点t26で給水流量Lが激しく変動しても給湯ユニット4-1は出湯温度HWT-1に維持されているので、給湯ユニット4-2の温水HW3の出湯温度HWTは安定状態で推移する。HWTOは目標温度である。
【0151】
<待機時間Jtの設定およびその機能>
給水流量Lが閾値Lthを超えた場合、待機時間Jtを経た時点から出湯温度HWT-1を上昇させ、移行時間Utの経過後の時点から出湯温度HWT-1を出湯温度HWT-2に移行させることができる。
【0152】
また、給水流量Lが変動しても、閾値Lthを超える給水流量Lの期間が待機時間Jt以上にならない限り、出湯温度HWT-1を維持することができる。
【0153】
<第三の実施の形態の効果>
斯かる構成によれば、次の何れかの効果が得られる。
(1) 第一の実施の形態または第二の実施の形態と同様の効果が得られるとともに、給水流量Lの変動に応じて出湯温度HWT-1、HWT-2に変更することができる。
【0154】
(2) 給水流量Lが閾値Lthを超えた場合、待機時間Jtを超えた時点を起点として出湯温度HWT-1からHWT-2に変更するので、給水流量Lの微弱変動による出湯温度HWT-1からHWT-2への変更を防止でき、動作の安定化を図ることができる。
【0155】
〔第四の実施の形態〕
この第四の実施の形態は混合弁24の弁開度θによって出湯温度HWT-1、HWT-2を変更する制御を含んでいる。
【0156】
図14は混合弁24の弁開度制御を示し、Aは弁開度θ1の状態、Bは弁開度θ2の状態、Cは弁開度θ1、θ2、出湯温度HWT-1、HWT-2および移行時間Δtの関係を示している。
【0157】
混合弁24は弁本体88のチャンバ90に弁体92を備えている。チャンバ90にはポート94-1、94-2、94-3が形成されている。ポート94-1はバイパス路22に接続されて給水Wを受ける。ポート94-2は熱交換器8の出湯路に接続されて温水HWを受ける。ポート94-3はチャンバ90内の給水Wおよび温水HWの混合で得られる温水HW1を出湯させる。
【0158】
弁体92はチャンバ90内で中心軸Oを中心に回動可能である。この弁体92はステッピングモータ96の回転力を受けて回転し、弁開度θ1、θ2に制御される。ステッピングモータ96には弁駆動部98から駆動出力が加えられ、この駆動出力は既述の制御部9によって制御される。この制御には、弁開度θ1、θ2の設定、弁開度θ1から弁開度θ2への移行時間Δtθ12、弁開度θ2から弁開度θ1への移行時間Δtθ21などの制御が含まれる。
【0159】
図14のAに示すように、混合弁24の弁体92の弁開度θ1(<θ2)では、温水HW1の出湯温度HWT-1が得られる。
【0160】
図14のBに示すように、混合弁24の弁体92の弁開度θ2では、温水HW1の出湯温度HWT-2が得られる。
【0161】
図14のCに示すように、弁開度θ1=出湯温度HWT-1、弁開度θ2=出湯温度HWT-2、弁開度θ1から弁開度θ2への移行時間Δtθ12により、既述の移行時間Utが設定される。また、弁開度θ2から弁開度θ1への移行時間Δtθ21(<Δtθ12により、既述の移行時間Dtが設定される。
【0162】
<出湯制御の一例>
図15は、第四の実施の形態に係る出湯制御の一例を示し、Aは給水流量Lの推移、Bは弁開度θ1、θ2による出湯温度HWT-1、HWT-2の切り替えを示している。
【0163】
給水流量Lが閾値Lth以下では、混合弁24に弁開度θ1(出湯温度HWT-1)が設定される。給水Wの開始時点t30から給水流量Lが増加している。この給水流量Lが閾値Lthを超えた時点t31から弁開度θ1を拡開させ、時点t32で弁開度θ2(出湯温度HWT-2)に到達する。
【0164】
給水流量Lは減少し、時点t33で閾値Lthを通過した後、時点t35で消失している。この場合、給水流量Lが閾値Lth以下となる時点t33から弁開度θ2が減少し、時点t35に到達前の時点t34で弁開度θ1(出湯温度HWT-1)に切り替えられる。
【0165】
弁開度θ1から弁開度θ2への移行時間Δtθ12は弁開度θ2から弁開度θ1への移行時間Δtθ21より長い時間に設定されている。これにより、出湯温度HWT-1から出湯温度HWT-2への移行は緩やかであり、出湯温度HWT-2から出湯温度HWT-1への移行は瞬時に行われる。
【0166】
したがって、給湯ユニット4-2の出湯温度HWTは給湯ユニット4-1の出湯温度HWT-1、HWT-2の切替えに追従し、温水HW3の出湯温度HWTを推移させることができる。
【実施例0167】
図16は、リモコンユニット30の情報提示を示している。このリモコンユニット30には情報提示モードにおいて、LCD表示部62に出湯情報提示画面100などの各種の画面が表示される。
【0168】
一例である出湯情報提示画面100にはモード表示部102、出湯温度表示部104、給水情報表示部106などが設定されている。
【0169】
モード表示部102にはタイトル部に「設定モード」と表示され、その表示窓部108に既述のスタンドアロンモードなどのモード設定情報が表示される。
【0170】
出湯温度表示部104にはタイトル部に「出湯温度」と表示され、その表示窓部110に現時点の出湯温度である既述の出湯温度HWT-1、HWT-2の他、設定情報、動作情報などの提示情報が表示される。
【0171】
給水情報表示部106にはタイトル部に「給水情報」と表示され、その表示窓部112に給水の有無、給水流量などの動作情報が表示される。
【0172】
<実施例1の効果>
実施例1によれば、次の何れかの効果が得られる。
(1) 出湯時、自動的またはマニュアル操作に基づき、プロセッサ46の制御によりLCD表示部62に現時点の動作情報などの提示情報を提示することができる。
(2) 出湯時の動作情報をLCD表示部62の情報提示から容易に認識することができ、メンテナンスなどに活用することができる。
給湯ユニット4-2は直接加熱方式の給湯器に限定されることはなく、給湯ユニット4-1からの温水HW1を受け、この温水HW1を熱媒HM3の熱で間接的に加熱する間接加熱方式の給湯器を用いることができる。
この給湯システム2では、給湯ユニット4-2に間接加熱方式の給湯器を用いている。したがって、この給湯ユニット4-2では給湯ユニット4-1からの温水HW1が熱交換器116で熱媒HM3と熱交換され、熱媒HM3の熱で温水HW1が加熱される。
熱媒HM3を循環させる熱媒循環路114は熱媒タンク118、循環ポンプ120、熱交換器122を備えている。熱媒タンク118は、熱媒HM3を貯留するためのタンクである。循環ポンプ120は出湯時、制御部43により制御され、熱媒HM3を熱媒循環路114により熱交換器116、122に循環させる。熱交換器122は、循環する熱媒HM3とバーナー124の燃焼排気の熱とを熱交換し、熱媒HM3を加熱する。