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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023059532
(43)【公開日】2023-04-27
(54)【発明の名称】洗髪器
(51)【国際特許分類】
   A45D 19/06 20060101AFI20230420BHJP
   A61H 35/00 20060101ALI20230420BHJP
【FI】
A45D19/06
A61H35/00 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021169598
(22)【出願日】2021-10-15
(71)【出願人】
【識別番号】504139662
【氏名又は名称】国立大学法人東海国立大学機構
(71)【出願人】
【識別番号】521455095
【氏名又は名称】滝本 成人
(71)【出願人】
【識別番号】598144719
【氏名又は名称】株式会社 タナック
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】社本 生衣
(72)【発明者】
【氏名】滝本 成人
(72)【発明者】
【氏名】小倉 久治
(72)【発明者】
【氏名】棚橋 一将
(72)【発明者】
【氏名】早川 絵美子
【テーマコード(参考)】
3B040
4C094
【Fターム(参考)】
3B040AB01
4C094AA10
4C094BB09
4C094BB17
4C094GG08
(57)【要約】
【課題】洗髪領域から液体を円滑に排出すること。
【解決手段】洗髪器10は、洗髪槽11と、排出部81と、を備える。周壁12と、底部40と、を備える。周壁12は、気体の供給によって膨張し、かつ、気体の排出によって収縮する。底部40は、周壁12の高さ方向の一方の端部を閉塞している。排出部81は、周壁12と底部40とで囲まれる洗髪領域S2から液体を排出する。底部40は、芯材41と、芯材41を被覆している被覆部51と、を備える。芯材41は、第1分割部42と、第2分割部43と、を備える。被覆部51は、誘導路S3を備える。第1分割部42と第2分割部43との間には、誘導路S3が区画されている。誘導路S3は、排出部81に向けて延びるように配置されている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体の供給によって膨張し、かつ、気体の排出によって収縮する筒状の周壁と、
前記周壁の高さ方向の一方の端部を閉塞している底部と、
前記周壁と前記底部とで囲まれる洗髪領域から液体を排出する排出部と、を備えた洗髪器であって、
前記底部は、芯材と、前記芯材を被覆している被覆部と、を備え、
前記芯材は、第1分割部と、前記第1分割部と間隔を空けて設けられた第2分割部と、を備え、
前記被覆部は、前記第1分割部と前記第2分割部との間に、前記排出部に向けて延びるように配置される誘導路を備える、洗髪器。
【請求項2】
前記底部により閉塞された前記端部を第1端部、前記周壁の高さ方向の端部であって前記第1端部の反対の端部を第2端部とすると、前記周壁は、前記第2端部から前記第1端部に向けて凹むように設けられた頸部保持部を備え、
前記誘導路は、前記頸部保持部と前記排出部との間で延びるように配置されている、請求項1に記載の洗髪器。
【請求項3】
前記底部は、前記芯材の移動を規制する規制部を備え、
前記規制部は、前記洗髪領域の外部に設けられている、請求項1又は請求項2に記載の洗髪器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、洗髪器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示の洗髪器は、病人や要介護者の洗髪を実施する際に用いられる。洗髪器は、周壁と、底部と、排出部と、を備える。周壁は、気体の供給によって膨張し、かつ、気体の排出によって収縮する。底部は、周壁の高さ方向の一方の端部を閉塞している。周壁と底部とで囲まれる領域は、洗髪領域である。洗髪領域は、洗髪を行う際に、頭部が収容される領域である。洗髪を行う際には、洗髪領域に水などの液体が供給される。この液体によって洗髪が行われる。洗髪に用いられた液体は、排出部から洗髪領域の外部に排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-62293号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
洗髪に用いられた液体は、不衛生である。このため、洗髪領域から液体を排出する際には、円滑に液体を排出することが好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する洗髪器は、気体の供給によって膨張し、かつ、気体の排出によって収縮する筒状の周壁と、前記周壁の高さ方向の一方の端部を閉塞している底部と、前記周壁と前記底部とで囲まれる洗髪領域から液体を排出する排出部と、を備えた洗髪器であって、前記底部は、芯材と、前記芯材を被覆している被覆部と、を備え、前記芯材は、第1分割部と、前記第1分割部と間隔を空けて設けられた第2分割部と、を備え、前記被覆部は、前記第1分割部と前記第2分割部との間に、前記排出部に向けて延びるように配置される誘導路を備える。
【0006】
洗髪領域から液体を排出する際には、誘導路によって排出部に液体が誘導される。このため、洗髪領域から液体を円滑に排出することができる。
上記洗髪器について、前記底部により閉塞された前記端部を第1端部、前記周壁の高さ方向の端部であって前記第1端部の反対の端部を第2端部とすると、前記周壁は、前記第2端部から前記第1端部に向けて凹むように設けられた頸部保持部を備え、前記誘導路は、前記頸部保持部と前記排出部との間で延びるように配置されていてもよい。
【0007】
上記洗髪器について、前記底部は、前記芯材の移動を規制する規制部を備え、前記規制部は、前記洗髪領域の外部に設けられていてもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、洗髪領域から液体を円滑に排出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】洗髪器の斜視図である。
図2】洗髪器の平面図である。
図3】高さ方向に直交する方向での洗髪器の断面図である。
図4】洗髪器を示す図3の4-4線断面図である。
図5】第2角部の斜視図である。
図6】洗髪器の斜視図である。
図7】洗髪器の底部を示す断面図である。
図8】折り畳んだ状態の洗髪器を示す平面図である。
図9】洗髪器の使用方法を説明するための図である。
図10】洗髪器の使用方法を説明するための図である。
図11】洗髪器の使用方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
洗髪器の一実施形態について説明する。
図1及び図2に示すように、洗髪器10は、洗髪槽11と、吸排気部71と、排出部81と、を備える。洗髪器10は、対象者の洗髪を実施する際に用いられる。対象者は、病人や要介護者である。洗髪槽11は、周壁12と、底部40と、を備える。
【0011】
周壁12は、気体の供給によって膨張し、かつ、気体の排出によって収縮する。周壁12は、柔軟シートによって形成されている。周壁12は、柔軟シートを溶着して袋状にすることで形成されている。柔軟シートとしては、例えば、樹脂シート、及びゴムシートを挙げることができる。
【0012】
図3及び図4に示すように、周壁12は、内壁13と、外壁14と、溶着部31~33と、を備える。内壁13と外壁14とは互いに向かい合っている。周壁12に気体が供給されている状態の周壁12について説明する。
【0013】
周壁12は、筒状である。周壁12は、周壁12の高さ方向から見て五角形状である。周壁12の高さ方向は、周壁12の軸線方向である。周壁12は、第1端部15と、第2端部16と、を備える。第1端部15と第2端部16とは、周壁12の高さ方向の端部であって互いに反対に位置する端部である。周壁12は、5つの壁部20~24を備える。5つの壁部20~24は、1つの保持壁部20と、4つの側壁部21~24と、を含む。保持壁部20、及び4つの側壁部21~24は、それぞれ、五角形の各辺に対応している。4つの側壁部21~24は、第1側壁部21、第2側壁部22、第3側壁部23、及び第4側壁部24を含む。以下の説明において、周壁12の高さ方向、及び壁部20~24の厚み方向に直交する方向を壁部20~24の長さ方向とする。壁部20~24の厚み方向は、内壁13と外壁14とが向かい合う方向ともいえる。以下の説明において、高さ方向とは、周壁12の高さ方向である。
【0014】
図2に示すように、保持壁部20は、頸部保持部25を備える。頸部保持部25は、保持壁部20の長さ方向の中央に設けられている。頸部保持部25は、弧状である。頸部保持部25は、第2端部16から第1端部15に向けて凹むように湾曲している。頸部保持部25は、対象者の頸部が置かれる部分である。周壁12の高さ方向の寸法は、対象者の頸部が頸部保持部25に置かれた状態で、対象者の視界に周壁12が入り込みにくいように設定されている。周壁12の高さ方向の寸法は、例えば、170[mm]である。
【0015】
第1側壁部21及び第2側壁部22は、保持壁部20に連結されている。第1側壁部21と第2側壁部22とは、保持壁部20の長さ方向に互いに間隔を空けた状態で向かい合っている。第1側壁部21と第2側壁部22とは互いに平行に設けられている。第1側壁部21の内部空間と保持壁部20の内部空間とは繋がっている。第2側壁部22の内部空間と保持壁部20の内部空間とは繋がっている。
【0016】
第3側壁部23は、第1側壁部21に連結されている。第3側壁部23は、第1側壁部21から離れた位置ほど保持壁部20との間隔が長くなるように設けられている。第1側壁部21の内部空間と第3側壁部23の内部空間とは繋がっている。第4側壁部24は、第2側壁部22に連結されている。第4側壁部24は、第2側壁部22から離れた位置ほど保持壁部20との間隔が長くなるように設けられている。第2側壁部22の内部空間と第4側壁部24の内部空間とは繋がっている。第3側壁部23と第4側壁部24とは互いに連結されている。各側壁部21~24は、対象者の頸部が頸部保持部25に置かれた状態で、対象者の頭部と各側壁部21~24との間に所定の寸法以上の空間が区画されるように設けられている。所定の寸法とは、洗髪を実施する実施者が腕や手を挿入して対象者の洗髪を行うことが可能な寸法である。所定の寸法は、例えば、150[mm]である。対象者の頭部の大きさとしては、例えば、日本人の成人の平均値を用いる。
【0017】
周壁12は、5つの角部26,27を備える。5つの角部26,27は、それぞれ、五角形の角に対応している。角部26,27は、5つの壁部20~24同士が連結される箇所である。5つの角部26,27のうち第3側壁部23と第4側壁部24とが連結される箇所を第1角部26とする。5つの角部26,27のうち第1角部26とは異なる4つの角部27を第2角部27とする。周壁12を高さ方向から見て、第1角部26から保持壁部20に向けて延びる仮想的な垂線L1を軸として周壁12は線対称である。
【0018】
図3及び図4に示すように、溶着部31~33は、内壁13と外壁14とを溶着している。溶着部31~33は、第1溶着部31と、第2溶着部32と、第3溶着部33と、を含む。
【0019】
第1溶着部31は、各壁部20~24に設けられている。第1溶着部31は、壁部20~24の長さ方向に延びている。第1溶着部31は、直線状である。第1溶着部31によって壁部20~24の内部空間は、複数の気胴室S1に分けられている。複数の気胴室S1同士は、高さ方向に重なっている。各壁部20~24には、長さ方向に間隔を空けて複数の第1溶着部31が設けられている。長さ方向に隣り合う第1溶着部31同士の間は、気胴室S1同士を繋ぐ通路になっている。この通路によって、周壁12に円滑に空気を供給することが可能である。
【0020】
図5に示すように、第2溶着部32は、各第2角部27に設けられている。説明の便宜上、図5には、気体が排出された状態の周壁12を示している。第2溶着部32は、環状である。第2溶着部32は、複数設けられている。複数の第2溶着部32は、高さ方向に互いに間隔を空けて設けられている。第2溶着部32は、互いに連結される2つの壁部20~24に設けられた第1溶着部31同士の間に設けられている。
【0021】
図6に示すように、第3溶着部33は、第1角部26に設けられている。第3溶着部33は、高さ方向に延びている。第3溶着部33は、直線状である。
図7に示すように、底部40は、芯材41と、被覆部51と、を備える。芯材41は、第1分割部42と、第2分割部43と、を備える。第1分割部42と第2分割部43とは同一形状である。各分割部42,43は、板状である。各分割部42,43は、第1部位44と、第2部位46と、を備える。第1部位44は、周壁12に囲まれる領域に向かい合って設けられる部分である。第2部位46は、洗髪器10を高さ方向から見て、周壁12の外側に位置する部分である。第1部位44は、縁部45を備える。縁部45は、第1部位44の周縁の一部である。縁部45は、直線状に延びている。第2部位46は、第1部位44の周縁のうち縁部45とは異なる箇所から突出している。第2部位46は、縁部45の延びる方向、及び第1部位44の厚み方向に直交する方向に突出している。第2部位46は、第2部位46の厚み方向の両面の間で延びる内縁47を備える。
【0022】
第1分割部42と第2分割部43とは、互いに離れて設けられている。第1分割部42の縁部45と第2分割部43の縁部45とは互いに平行である。第1分割部42の縁部45と第2分割部43の縁部45とは互いに向かい合うように設けられている。第1分割部42の縁部45と第2分割部43の縁部45との間には、空間が介在している。第1分割部42と第2分割部43とは、垂線L1を軸として線対称に設けられている。
【0023】
図4に示すように、被覆部51は、芯材41を被覆している。被覆部51は、内被覆部52と、外被覆部53と、被覆部溶着部61,62,63と、を備える。内被覆部52及び外被覆部53は、柔軟シートである。内被覆部52と外被覆部53とは、芯材41を挟むように設けられている。内被覆部52と外被覆部53とは、互いに同一の形状である。各被覆部52,53は、第1被覆部位54と、第2被覆部位55と、第3被覆部位57と、を備える。第1被覆部位54は、周壁12に囲まれる領域に向かい合って設けられる部分である。第2被覆部位55及び第3被覆部位57は、洗髪器10を高さ方向から見て、周壁12の外側に位置する部分である。第2被覆部位55は、内縁56を備える。第3被覆部位57は、内縁58を備える。
【0024】
内被覆部52の第1被覆部位54、及び外被覆部53の第1被覆部位54は、第1分割部42の第1部位44、及び第2分割部43の第1部位44に重ねて設けられている。
内被覆部52の第2被覆部位55、第1分割部42の第2部位46、及び外被覆部53の第2被覆部位55は互いに重ねられている。内被覆部52の第2被覆部位55に設けられた内縁56、及び外被覆部53の第2被覆部位55に設けられた内縁56は、第1分割部42に設けられた内縁47よりも内側で当該内縁47に沿って設けられている。内被覆部52の第3被覆部位57、第2分割部43の第2部位46、及び外被覆部53の第3被覆部位57は互いに重ねられている。内被覆部52の第3被覆部位57に設けられた内縁58、及び外被覆部53の第3被覆部位57に設けられた内縁58は、第2分割部43に設けられた内縁47よりも内側で当該内縁47に沿って設けられている。
【0025】
被覆部溶着部61,62,63は、内被覆部52と外被覆部53とを溶着している。被覆部溶着部61,62,63は、第1被覆部溶着部61と、第2被覆部溶着部62と、第3被覆部溶着部63と、を含む。第1被覆部溶着部61は、内被覆部52の外縁と外被覆部53の外縁とを溶着している。第1被覆部溶着部61によって被覆部51は袋状に形成されている。そして、袋状に形成された被覆部51に芯材41が収容されている。
【0026】
第2被覆部溶着部62は、環状である。第2被覆部溶着部62は、内被覆部52の内縁56と外被覆部53の内縁56とを溶着している。第2被覆部溶着部62は、第1分割部42の内縁47に沿って設けられている。
【0027】
第3被覆部溶着部63は、環状である。第3被覆部溶着部63は、内被覆部52の内縁58と外被覆部53の内縁58とを溶着している。第3被覆部溶着部63は、第2分割部43の内縁47に沿って設けられている。
【0028】
第2被覆部溶着部62及び第3被覆部溶着部63によって各分割部42,43の移動が規制されている。詳細にいえば、各分割部42,43が被覆部51の内部で移動しようとすると、各分割部42,43の内縁47と各被覆部溶着部62,63とが接触する。これにより、各分割部42,43の内縁47と各被覆部溶着部62,63との間の隙間の範囲を超えて各分割部42,43が移動することが規制されている。第2被覆部溶着部62及び第3被覆部溶着部63は、芯材41の移動を規制する規制部である。
【0029】
図4に示すように、内被覆部52には、周壁12の第1端部15が溶着されている。詳細にいえば、周壁12の第1端部15は、溶着部64によって全周に亘って内被覆部52に溶着されている。これにより、底部40によって周壁12の第1端部15は閉塞されている。第1分割部42の縁部45は、保持壁部20と第3側壁部23との間で延びている。第2分割部43の縁部45は、保持壁部20と第4側壁部24との間で延びている。周壁12と底部40とで囲まれる領域は、洗髪領域S2である。各分割部42,43の第2部位46、及び各被覆部52,53の第2被覆部位55及び第3被覆部位57は、洗髪領域S2の外部に位置している。第2被覆部溶着部62及び第3被覆部溶着部63は、洗髪領域S2の外部に設けられている。
【0030】
図3に示すように、吸排気部71は、周壁12に設けられている。吸排気部71は、周壁12の内部と周壁12の外部とを繋いでいる。吸排気部71は、ポンプ72に繋がる管である。ポンプ72は、電動式であってもよいし、手動式であってもよい。ポンプ72によって周壁12に気体が供給される。周壁12からの気体の排出はポンプによって行われてもよい。
【0031】
図2に示すように、排出部81は、洗髪槽11に設けられている。本実施形態において、排出部81は、第1角部26であって周壁12と底部40との境界部に設けられている。排出部81は、排出管82と、蓋部83と、を備える。排出管82は、筒状である。排出管82は、洗髪槽11を貫通している。排出部81は、洗髪槽11の内部と外部とを繋いでいる。蓋部83は、排出管82の閉塞と排出管82の開放とを切り替える。蓋部83が排出管82に装着されている場合、排出管82は閉塞されている。この場合、排出部81を介した洗髪領域S2からの液体の排出が行われない。蓋部83が排出管82から外されている場合、排出管82は開放されている。この場合、排出管82を介して洗髪領域S2から液体の排出が行われる。
【0032】
被覆部51は、誘導路S3を備える。第1分割部42と第2分割部43との間には、誘導路S3が区画されている。第1分割部42と第2分割部43との間の空間に内被覆部52は入り込むことによって誘導路S3は形成されている。誘導路S3は、内被覆部52のうち第1分割部42及び第2分割部43に重ねて設けられた部分から凹んでいる。誘導路S3は、高さ方向から見て、頸部保持部25に向かい合って設けられている。誘導路S3は、高さ方向から見て、頸部保持部25と排出部81との間で直線状に延びるように配置されている。誘導路S3は、第1側壁部21と第2側壁部22との間の中心位置に設けられている。誘導路S3は、洗髪領域S2を排出部81に向けて延びるように配置されている。排出管82が開放された状態で誘導路S3と排出管82とは繋がっている。言い換えれば、排出部81は、排出管82の内部と誘導路S3とが向かい合うように設けられている。
【0033】
周壁12から気体が排出されている状態の周壁12について説明する。
図8に示すように、気体が排出された状態の周壁12は、折り畳むことが可能である。周壁12を折り畳むことで、洗髪槽11は板状になる。板状になった洗髪槽11は、更に、第1分割部42と第2分割部43とが重なり合うように折り畳むことが可能である。この場合、第2被覆部溶着部62に囲まれる空間と、第3被覆部溶着部63に囲まれる空間とが重なり合う。洗髪器10の使用者は、この空間に手を入れて洗髪器10を持ち運ぶことが可能である。即ち、第2部位46を取っ手として用いることが可能である。
【0034】
本実施形態の作用について説明する。
図9に示すように、洗髪器10は、臥床状態の対象者M1に対して洗髪を実施する際に用いられる。対象者M1が臥床するベッド90は、マットレス91と、ヘッドボード92と、を備える。
【0035】
洗髪器10を用いる際には、まず、洗髪器10を対象者M1の頭部H1とマットレス91との間に挿入する。この段階では、周壁12からは気体が排出された状態である。洗髪槽11は板状であるため、対象者M1の頭部H1とマットレス91との間に洗髪器10を容易に挿入することができる。洗髪器10は、頸部保持部25が対象者M1の頸部N1の下方に位置するように配置される。
【0036】
図10に示すように、次に、周壁12に気体を供給する。周壁12は底部40から起立した状態になる。対象者M1の頸部N1は、頸部保持部25に保持される。対象者M1の頭部H1は、底部40に接している。この状態で、対象者M1の洗髪が実施される。洗髪は、例えば、洗髪剤によって頭皮や毛髪を洗浄した後に、温められた水などの液体によって洗髪剤を洗い流すことで行われる。洗髪を行っている間は、排出管82が閉塞されていてもよいし、排出管82が開放されていてもよい。排出管82が閉塞されている場合、洗髪領域S2に貯留される液体を用いて洗髪を行うことができる。排出管82が開放されている場合、洗髪に用いた液体を洗髪領域S2の外部に排出しながら洗髪を行うことができる。なお、対象者M1の頭部H1と底部40との間に、枕を設けてもよい。
【0037】
図示は省略するが、排出管82には、ホースが接続される。このホースは、ヘッドボード92と洗髪器10との間を通される。同様に、吸排気部71は、ヘッドボード92と洗髪器10との間を通されている。周壁12を高さ方向から見て五角形とすることで、保持壁部20の厚み方向に向かい合う2つの側壁部23,24が保持壁部20と平行にならない。結果として、側壁部23,24とヘッドボード92との間に隙間が生じやすく、この隙間にホースや吸排気部71を通すことができる。このため、ホースや吸排気部71の取り回しを行いやすい。
【0038】
洗髪に用いられた液体は、排出部81を通って洗髪領域S2の外部に排出される。この際、誘導路S3によって液体が排出部81に誘導されることで液体は円滑に排出される。頸部保持部25には頸部N1から下方に向かう荷重が加わっている。これにより、第1側壁部21、及び第2側壁部22は上方に持ち上げられることになる。高さ方向から見て、頸部保持部25と誘導路S3とが向かい合うようにしていることで、第1側壁部21、及び第2側壁部22が持ち上がることによって底部40は誘導路S3に向けて下るように傾斜する。詳細にいえば、底部40において誘導路S3と第1側壁部21との間は、第1側壁部21から誘導路S3に向けて下るように傾斜する。底部40において誘導路S3と第2側壁部22との間は、第2側壁部22から誘導路S3に向けて下るように傾斜する。この傾斜に従って、洗髪領域S2内の液体は、誘導路S3に誘導される。
【0039】
図11に示すように、洗髪を終えて、液体を排出した後には、周壁12から気体が排出される。周壁12から気体が排出された後であっても、底部40から起立した状態に維持される。
【0040】
本実施形態の効果について説明する。
(1)第1分割部42と第2分割部43との間に誘導路S3を区画している。これにより、洗髪領域S2から円滑に液体を排出することができる。洗髪領域S2に不衛生な液体が残存することを抑制できるため、衛生的である。また、液体の排出が円滑に行われないと、洗髪領域S2の液体の温度が低下していき、対象者M1の体温低下を招くおそれがある。液体の排出を円滑にすることで、対象者M1の負担を軽減しつつ洗髪を行うことができる。
【0041】
(2)誘導路S3は、高さ方向から見て、頸部保持部25と排出部81との間で延びている。頸部保持部25に頸部N1が置かれると、頸部N1から頸部保持部25に加わる荷重によって底部40が傾斜する。この傾斜によって洗髪領域S2内の液体を誘導路S3に誘導することができる。従って、液体の排出を更に円滑にすることができる。
【0042】
(3)被覆部溶着部62,63は、第1分割部42、及び第2分割部43の移動を規制している。被覆部溶着部62,63は、洗髪領域S2の外部に設けられている。被覆部溶着部62,63が設けられた箇所には、起伏が生じる。この起伏が洗髪領域S2に面する箇所に生じると、汚れが溜まる原因になる。被覆部溶着部62,63を洗髪領域S2の外部に設けることで、洗髪領域S2に面する箇所には、被覆部溶着部62,63による起伏が生じない。従って、汚れが溜まりにくく、洗髪器10を衛生的に使用することができる。
【0043】
(4)芯材41を第1分割部42と第2分割部43に分割することで周壁12から気体が排出された状態で、洗髪器10を折り畳むことができる。従って、芯材41を第1分割部42と第2分割部43に分割することで、誘導路S3の形成による液体の排出の円滑化に加えて、洗髪器10が折り畳み可能になることによる運搬性の向上を図ることができる。
【0044】
(5)保持壁部20は、気体の供給により膨張する。頸部保持部25が対象者M1の頸部N1に倣って変形することによって頸部保持部25と頸部N1とが密着する。頸部N1と頸部保持部25との間に隙間が生じにくいため、頸部N1と頸部保持部25との間の隙間から液体が洗髪槽11の外部に漏れることを抑制できる。
【0045】
(6)第2角部27に設けられた第2溶着部32は、環状である。溶着される面積が同一であれば、第2溶着部32を高さ方向に延びる直線状とする場合に比べて、第2溶着部32を周壁12の周方向に拡がる形状とすることができる。これにより、周壁12から気体を排出した際に、第2溶着部32が各壁部20~24を支持することによって、周壁12が底部40から起立した状態に維持されやすい。周壁12から気体を排出した後に、周壁12が対象者M1に向けて倒れることが抑制される。従って、対象者M1を不快にさせることを抑制できる。
【0046】
(7)周壁12を折り畳むことで、洗髪槽11は板状になる。このため、対象者M1の頭部H1の下方に洗髪槽11を挿入しやすい。洗髪に際して、対象者M1の頭部H1を動かす量を少なくすることができるため、対象者M1の負担を軽減することができる。
【0047】
実施形態は、以下のように変更して実施することができる。実施形態及び以下の変形例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・誘導路S3は、排出部81に向けて延びていればよい。例えば、排出部81を第1側壁部21と底部40との境界部に設けた場合、誘導路S3は第1側壁部21と第2側壁部22との間で直線状に延びるように設けられる。即ち、第1分割部42と第2分割部43とは、保持壁部20の厚み方向に互いに離れるように設けられる。
【0048】
・誘導路S3の形状は、湾曲した形状であってもよい。
・周壁12は、高さ方向から見て、円形状、あるいは五角形以外の多角形状であってもよい。
【0049】
・第1分割部42と第2分割部43とは互いに異なる形状であってもよい。
・第1分割部42、及び第2分割部43の移動を規制する規制部は、洗髪領域S2の内部に設けられていてもよい。例えば、第1分割部42の縁部45に沿った被覆部溶着部、及び第2分割部43の縁部45に沿った被覆部溶着部を設けることで、第1分割部42、及び第2分割部43の移動を規制してもよい。
【0050】
・内壁13と外壁14とを接着することで、溶着部31~33に代えて接着部を設けてもよい。
・内被覆部52と外被覆部53とを接着することで、被覆部溶着部61,62,63に代えて被覆部接着部を設けてもよい。
【0051】
・芯材41は、3つ以上の分割部を備えていてもよい。この場合、誘導路S3を区画する2つの分割部が第1分割部及び第2分割部である。
【符号の説明】
【0052】
10…洗髪器、12…周壁、15…第1端部、16…第2端部、25…頸部保持部、40…底部、41…芯材、42…第1分割部、43…第2分割部、51…被覆部、62…規制部としての第2被覆部溶着部、63…規制部としての第3被覆部溶着部、81…排出部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11