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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023059570
(43)【公開日】2023-04-27
(54)【発明の名称】水中スイベル
(51)【国際特許分類】
   H01R 39/00 20060101AFI20230420BHJP
   H02J 50/10 20160101ALI20230420BHJP
   B63B 21/66 20060101ALI20230420BHJP
   H01F 38/18 20060101ALI20230420BHJP
   H01R 13/523 20060101ALI20230420BHJP
【FI】
H01R39/00 Z
H02J50/10
B63B21/66
H01F38/18 D
H01F38/18 Q
H01R13/523
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021169660
(22)【出願日】2021-10-15
(71)【出願人】
【識別番号】504194878
【氏名又は名称】国立研究開発法人海洋研究開発機構
(74)【代理人】
【識別番号】100091443
【弁理士】
【氏名又は名称】西浦 ▲嗣▼晴
(74)【代理人】
【識別番号】100130432
【弁理士】
【氏名又は名称】出山 匡
(72)【発明者】
【氏名】前田 洋作
【テーマコード(参考)】
5E087
【Fターム(参考)】
5E087LL03
5E087LL14
5E087MM05
5E087QQ01
5E087QQ03
5E087RR12
(57)【要約】
【課題】回転の起動トルクが小さく、また、絶縁油が不要な回転機構を備え、電力及び信号のうち少なくとも一方を伝達可能な水中スイベルを提供する。
【解決手段】水中スイベル1は、第1のスイベル分割ユニット3と第2のスイベル分割ユニット5とが仮想中心線ILを中心として相対的に回転するように回転連結機構を介して連結され、ケース内には、第1のスイベル分割ユニット3と第2のスイベル分割ユニット5の間で電力及び信号のうち少なくとも一方を伝達する伝達回路を構成する部品が分散して配置されている。伝達回路は、電磁結合により非接触で電力及び信号のうち少なくとも一方を伝達する変成器(35,37,41,43)を含んでおり、変成器を含む部品に対しては防水対策がなされており、回転連結機構は、水を潤滑剤として使用し且つケース内に水が入るのを許容するように構成された水潤滑型の回転連結機構49からなる。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のスイベル分割ユニットと第2のスイベル分割ユニットとが仮想中心線を中心として相対的に回転するように回転連結機構を介して連結され、
前記第1のスイベル分割ユニットの第1の分割ケース内と前記第2のスイベル分割ユニットの第2の分割ケース内には、前記第1のスイベル分割ユニットと前記第2のスイベル分割ユニットの間で電力及び信号のうち少なくとも一方を伝達する伝達回路を構成する部品が分散して配置されている水中スイベルであって、
前記伝達回路は、電磁結合により非接触で電力及び信号のうち少なくとも一方を伝達する変成器を含んでおり、
前記第1のスイベル分割ユニット及び第2のスイベル分割ユニット内にそれぞれ配置される前記変成器を含む部品に対しては防水対策がなされており、
前記回転連結機構は、水を潤滑剤として使用し且つ前記第1の分割ケース及び前記第2の分割ケース内にそれぞれ水が入るのを許容するように構成された水潤滑型の回転連結機構からなることを特徴とする水中スイベル。
【請求項2】
前記変成器は、
前記第1のスイベル分割ユニット側から前記第2のスイベル分割ユニット側へ電力を伝達する電力伝達回路の一部を構成し、電磁結合により非接触で電力を伝達する電力伝達用変成器と、
前記第1のスイベル分割ユニットと前記第2のスイベル分割ユニットの間で信号を伝達する信号伝達回路の一部を構成し、電磁結合により非接触で信号を伝達する信号伝達用変成器とを含んでいる請求項1に記載の水中スイベル。
【請求項3】
前記電力伝達用変成器は送電コイル及び受電コイルからなり、
前記信号伝達用変成器は第1の信号変成コイル及び第2の信号変成コイルからなり、
前記送電コイル及び受電コイルと前記第1の信号変成コイル及び第2の信号変成コイルは、前記仮想中心線に沿って並ぶように配置されており、
前記第1の分割ケース内には前記仮想中心線を中心にして相対的に回転するように前記送電コイル及び受電コイルが対向するように配置されており、
前記第1の分割ケース内の前記回転連結機構側の端部には前記第1の信号変成コイルが装着され、
前記第2の分割ケース内の前記回転連結機構側の端部には前記第2の信号変成コイルが前記第1の信号変成コイルと対向するように配置されており、
前記受電コイルが、前記仮想中心線に沿って前記第2のスイベル分割ユニットから延びる連結部材によって前記第2のスイベル分割ユニットと一緒に回転するように連結されていることを特徴とする請求項2に記載の水中スイベル。
【請求項4】
前記受電コイルからの変換電力は前記連結部材内を延びる電力線を介して前記第2のスイベル分割ユニット内に導入される請求項3に記載の水中スイベル。
【請求項5】
前記水潤滑型の回転連結機構は、
前記第1の分割ケースの前記端部に固定された外輪及び内輪のうちの一方と、
前記第2の分割ケースの前記端部に固定された前記外輪及び前記内輪のうちの他方と、
前記外輪と前記内輪との間に配置された複数の転動体からなる水潤滑型のベアリングからなる請求項1乃至4のいずれか1項に記載の水中スイベル。
【請求項6】
前記第1のスイベル分割ユニットは、受電した直流電力を交流電力に変換し、前記送電コイルに伝達する直交変換回路を内蔵した第1の耐圧容器を内蔵しており、
前記第2のスイベル分割ユニットは、前記受電コイルが受電した前記交流電力を直流電力に変換する交直変換回路を内蔵した第2の耐圧容器を内蔵している請求項3乃至5のいずれか1項に記載の水中スイベル。
【請求項7】
前記第1のスイベル分割ユニットは、受電した直流電力を降圧して、前記直交変換回路に伝達する降圧回路を前記第1の耐圧容器に内蔵している請求項6に記載の水中スイベル。
【請求項8】
前記電力伝達回路は、前記送電コイルを含む電力送電回路と、前記受電コイルを含む電力受電回路とから構成されており、
前記第1の信号変成コイルは、前記電力送電回路と直列接続されており、
前記第1の信号変成コイルに流れる前記直流電力に、前記第1の信号変成コイル及び前記第2の信号変成コイルの間で伝達される交流信号が重畳されている請求項6または7に記載の水中スイベル。
【請求項9】
前記第1のスイベル分割ユニットから延びる水中コネクタには、水中ケーブルを介して前記直流電力及び前記交流信号が送られており、
前記第2のスイベル分割ユニットから延びる水中コネクタには、受電した直流電力で動作し、交流信号を送受信する水中観測機器が接続されている請求項1乃至8のいずれか1項に記載の水中スイベル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水中にて、電力及び信号のうち少なくとも一方を伝達可能な水中スイベルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に「スイベル」とは、2本のケーブル等の紐状部材の間に配置して、スイベルの両端と紐状部材の接続点の回転運動を独立させる接続部品であり、「より戻し」とも呼ばれる。スイベルが無い状態では、回転により単純な接続部材の両端の紐状部材がよじれてしまうおそれがあるのに対して、スイベルがある状態では、スイベルの両端の回転が独立しているため、紐状部材がよじれてしまうことがない。「水中スイベル」は、水中での使用に耐えるスイベルである。例えば、水上に存在する船舶と、該船舶から投下されるCTD採水システム(電気伝導度(塩分)・水温・水深を計測し、任意の深度で採水する水中観測機器)を接続する水中ケーブルの間にスイベルを介在させ、CTD採水システムの回転により水中ケーブルがよじれてしまうことを防いでいる。
【0003】
米国特許第5983821号公報(特許文献1)や実用新案登録第3181878号公報(特許文献2)に示されているように、従来の通信と給電が可能な水中スイベルは、スイベルの相対的に回転する2つの分割ケース内における電気的な接続にスリップリングを用いている。スリップリングは、一方の分割ケースに接続される第1の電線が接続されたリング(回転電極)と、他方の分割ケースに接続される第2の電線が接続されたブラシ(固定電極)を介して、これらが常に接触することで電力や信号を伝達するものである。
【0004】
水中でスリップリングを利用するためには、2つの分割ケースを組み合わせたケース内のスリップリングのリング及びブラシをケース周囲の雰囲気中の水と電気的に絶縁する必要がある。そのため、2つの分割ケースを相対的に回転可能に連結する回転連結機構のどこかにOリング(オーリング)等を用いたシーリング部材を設けて、ケース内への水の浸入を防ぐ水密構造にする必要がある。
【0005】
また、回転連結機構の潤滑及び水圧に抗するために、回転連結機構内に絶縁油を充填する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第5983821号公報
【特許文献2】実用新案登録第3181878号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
Oリングを用いてシーリングをする場合、Oリングに加えた初期圧力により、回転機構に反作用の圧力が生じる。この反作用の圧力が、回転連結機構が回転する際の摩擦力を増大させるように働いてしまい、回転動作を妨げることになり、回転の起動トルクを増大させる。
【0008】
また、回転連結機構の内部に絶縁油を充填する場合、外側にかかる水圧よりも内部圧力を常に高くして浸水を防ぐ必要があり、温度や圧力による絶縁油の体積変化を補償する装置を備える必要がある。
【0009】
本発明の目的は、回転の起動トルクが小さくてすみ、また、絶縁油が不要な回転連結機構を備え、電力及び信号のうち少なくとも一方を伝達可能な水中スイベルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の水中スイベルは、第1のスイベル分割ユニットと第2のスイベル分割ユニットとが仮想中心線を中心として相対的に回転するように回転連結機構を介して連結される。第1のスイベル分割ユニットの第1の分割ケース内と第2のスイベル分割ユニットの第2の分割ケース内には、第1のスイベル分割ユニットと第2のスイベル分割ユニットの間で電力及び信号のうち少なくとも一方を伝達する伝達回路を構成する部品が分散して配置されている。本発明では、伝達回路は、電磁結合により非接触で電力及び信号のうち少なくとも一方を伝達する変成器を含んでいる。第1のスイベル分割ユニット及び第2のスイベル分割ユニット内にそれぞれ配置される変成器を含む部品に対しては防水対策がなされている。回転連結機構は、水を潤滑剤として使用し且つ第1の分割ケース及び第2の分割ケース内にそれぞれ水が入るのを許容するように構成された水潤滑型の回転連結機構からなる。
【0011】
このように水潤滑型の回転連結機構を用いることで、回転連結機構を水密構造にすることなく、第1のスイベル分割ユニットに対して第2のスイベル分割ユニットを回転可能に連結することができる。そのため、従来に比べて、回転の起動トルクを小さく(具体的には、0.05Nm以下に)することができる。また、非接触で電力及び信号のうち少なくとも一方を伝達する伝達回路を備えているため、電力及び信号のうち少なくとも一方の伝達が可能である。また、絶縁油等が不要であるため、雰囲気中の水への絶縁油の漏洩リスクがない。
【0012】
変成器は、電力及び信号のうち少なくとも一方を伝達するものであればよく、電力及び信号の双方を伝達するものであってもよいのは勿論である。変成器を電力及び信号の双方を伝達するものとする場合には、変成器は、第1のスイベル分割ユニット側から第2のスイベル分割ユニット側へ電力を伝達する電力伝達回路の一部を構成し、電磁結合により非接触で電力を伝達する電力伝達用変成器と、第1のスイベル分割ユニットと第2のスイベル分割ユニットの間で信号を伝達する信号伝達回路の一部を構成し、電磁結合により非接触で信号を伝達する信号伝達用変成器とを含むようにすることができる。
【0013】
このように電力と信号を2系統に分けることで、電力、信号伝送の電磁結合に用いる伝送周波数をそれぞれで選択できるので、電力及び信号についてそれぞれ伝送効率を最適化した回路構成が組める。特に信号伝送の場合、重視する通信条件(通信速度なのか距離なのか)に応じた変成器の選択ができるため、利便性が高まる。
【0014】
この場合の構成及び配置は任意とすることができる。例えば、電力伝達用変成器が送電コイル及び受電コイルからなり、信号伝達用変成器が第1の信号変成コイル及び第2の信号変成コイルからなるようにする場合には、送電コイル及び受電コイルと第1の信号変成コイル及び第2の信号変成コイルは、仮想中心線に沿って並ぶように配置すればよい。また、第1の分割ケース内には仮想中心線を中心にして相対的に回転するように送電コイル及び受電コイルが対向するように配置し、第1の分割ケース内の回転連結機構側の端部に第1の信号変成コイルを装着し、第2の分割ケース内の回転連結機構側の端部に第2の信号変成コイルが第1の信号変成コイルと対向するように配置すればよい。そして、受電コイルは、仮想中心線に沿って第2のスイベル分割ユニットから延びる連結部材によって第2のスイベル分割ユニットと一緒に回転するように連結すればよい。
【0015】
このようにすれば、第2の信号変成コイルは、第2の分割ケースに固定されているので、第2のスイベル分割ユニットとともに回転する。また、受電コイルは、連結部材に固定されていることで、第2のスイベル分割ユニットとともに回転する。
【0016】
受電コイルからの変換電力は連結部材内を延びる電力線を介して第2のスイベル分割ユニット内に導入されるようにしてもよい。
【0017】
水潤滑型の回転連結機構は、任意のものとすることができるが、例えば、第1の分割ケースの端部に固定された外輪及び内輪のうちの一方と、第2の分割ケースの端部に固定された外輪及び内輪のうちの他方と、外輪と内輪との間に配置された複数の転動体からなる水潤滑型のベアリングとすることができる。水潤滑型のベアリングとは、雰囲気中の水を潤滑剤として利用可能なベアリングのことである。このような水潤滑型のベアリングは、潤滑油を利用していないため、潤滑油の雰囲気中の水への漏洩リスクがなく、環境負荷が小さい。また、このような水潤滑型のベアリングを用いれば、水潤滑型の回転連結機構の軸方向の引張荷重に対する機械的強度を高めることができる。
【0018】
本発明の水中スイベルは、変成器を用いて電力を伝達するものであるため、伝達する電力が直流電力である場合には、交流電力に変換し、さらに、直流電力に変換する必要がある。このための構成は水中スイベルの他に用意するようにしてもよいが、本発明の水中スイベルが備えるようにしてもよい。この場合には、第1のスイベル分割ユニットは、受電した直流電力を交流電力に変換し、送電コイルに伝達する直交変換回路を内蔵した第1の耐圧容器を内蔵しており、第2のスイベル分割ユニットは、受電コイルが受電した交流電力を直流電力に変換する交直変換回路を内蔵した第2の耐圧容器を内蔵するようにすればよい。このようにすれば、水中スイベルがDC-ACインバータ→AC-DCコンバータとしての役割も果たすことができるようになる。
【0019】
第1の耐圧容器及び第2の耐圧容器内には、他の回路等を内蔵してもよいのはもちろんである。例えば、第1のスイベル分割ユニットは、受電した直流電力を降圧して、直交変換回路に伝達する降圧回路を第1の耐圧容器に内蔵していてもよい。
【0020】
電力伝達回路は、送電コイルを含む電力送電回路と、受電コイルを含む電力受電回路とから構成されており、第1の信号変成コイルは、電力送電回路と直列接続されており、第1の信号変成コイルに流れる直流電力に、第1の信号変成コイル及び第2の信号変成コイルの間で伝達される交流信号が重畳されるようになっていてもよい。このようにすれば、簡単な構成により、第1の信号変成コイルに流れる直流電力に、第1の信号変成コイル及び第2の信号変成コイルの間で伝達される交流信号を重畳することができ、第1のスイベル分割ユニットに接続する接続導線の必要本数を2本にして、電力伝達及び双方向の信号伝達を行うことができる。
【0021】
本発明の水中スイベルの用途は限定されないが、一例として、水中で使用する観測用センサ等の水中観測機器を接続する水中ケーブルの間に介在させることができる。この場合、第1のスイベル分割ユニットから延びる水中コネクタには、水中ケーブルを介して直流電力及び交流信号が送られるようにして、第2のスイベル分割ユニットから延びる水中コネクタには、受電した直流電力で動作し、交流信号を送受信する水中観測機器を接続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】水中ケーブルと観測用センサの接続に本発明の実施の形態の水中スイベルを用いた一例を示す図であり、(A)は、水中スイベルを介して、水中ケーブルと観測用センサを接続した状態を示す斜視図であり、(B)は、その一部分解斜視図である。
図2】本実施の形態の水中スイベルの分解斜視図である。
図3】本実施の形態の水中スイベルの縦断面図である。
図4図3に示したA部分の部分拡大図である。
図5】水中スイベルを水中ケーブル及び観測用センサに接続した状態を示す電子回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して、本発明の水中スイベルの実施の形態を詳細に説明する。図1(A)及び(B)は、水中ケーブルとCTD採水システムの接続に本発明の水中スイベルを用いた一例を示す図である。図1(A)は、水中スイベルを介して、水中ケーブルとCTD採水システムを接続した状態を示す図であり、(B)は、その分解斜視図である。
【0024】
水中ケーブルUCは、図示しない水上の船舶の甲板上に設置されたウインチから延びるアンビリカルケーブルであり、内部には、船舶からの電力及び信号を伝達する芯線(導線)が通っている。図1(A)及び(B)では、水中ケーブルUCは、一方の端部のみを図示し、他は省略している。
【0025】
観測機器CTDは、電気伝導度(塩分)・水温・水深を計測し、任意の深度で採水する水中観測機器であり、船舶からの電力を受けて動作し、計測値結果をあらかじめ決められた通信信号に含めて船舶に伝送するとともに、船上からの指令により採水器を閉じて周囲の海水試料を採取するものである。
【0026】
水中スイベル1は、第1のスイベル分割ユニット3と第2のスイベル分割ユニット5から構成されている。第1のスイベル分割ユニット3の非連結側端部には、水中ケーブルUCの接続金具UC1が固定される固定金具7が設けられている。水中ケーブルUCの接続金具UC1は、端部に、間隔をあけて対向するように配置された一対の対向壁部UC2と、一対の対向壁部UC2に形成された一対の孔UC3,UC3を有している。一対の対向壁部UC2で固定金具7を挟んだ状態で、一対の孔UC3,UC3と、固定金具7に形成されたねじ孔7Aを位置合わせして、これらの孔にボルト9Aを挿入し、ボルト9Aにワッシャ11を介してナット9Bを螺合させることにより、接続金具UC1が固定金具7に固定されている。また、第1のスイベル分割ユニット3の非連結側端部からは、水中ケーブルUCの導線に電気的に接続された水中コネクタUC4が接続される導線15が延び出ている。導線15の端部には水中コネクタ16が接続されている。なお導線15は、防水のために樹脂モールドされている。
【0027】
第2のスイベル分割ユニット5の非連結側端部には、観測機器CTDに固定されたシャックルSKが取り付けられる固定金具17が設けられている。固定金具17は、間隔をあけて対向するように配置された一対の対向壁部17Aと、一対の対向壁部17Aに形成された一対のねじ孔17B,17Bを有している。一対の対向壁部17AでシャックルSKを挟んだ状態で、これらの孔17B,17Bに挿入されたボルト19にワッシャ23を介してナット21を螺合させることにより固定金具17がシャックルSKに固定されている。また、第2のスイベル分割ユニット5の非連結側端部には、観測機器CTDから延び出る導線に設けられた水中コネクタ26に接続される導線25が延び出ている。導線25は、防水のために樹脂モールドされている。
【0028】
<水中スイベル>
図2は、水中スイベルの分解斜視図であり、図3は、水中スイベルの縦断面図であり、図4は、図3に示したA部分の部分拡大図であり、図5は、水中スイベル1を水中ケーブルUC及び観測機器CTDに接続した状態における電子回路図である。なお、図3では、説明の便宜上、電子回路部分を、一部模式的に図示している。
【0029】
〔全体構成〕
上述のように、水中スイベル1は、第1のスイベル分割ユニット3と第2のスイベル分割ユニット5から構成されており、第1のスイベル分割ユニット3及び第2のスイベル分割ユニット5は、仮想中心線IL(図4)を中心として相対的に回転するように回転連結機構を介して連結されている。
【0030】
第1のスイベル分割ユニット3及び第2のスイベル分割ユニット5は、それぞれが円筒状のアルミ合金(A6061-T6)製の第1の分割ケース27及び第2の分割ケース29を有している。第1の分割ケース27と第2の分割ケース29の中に、第1のスイベル分割ユニット3と第2のスイベル分割ユニット5の間で電力及び信号を伝達する伝達回路を構成する部品が分散して配置されている。本実施の形態では、伝達回路は、電磁誘導方式により非接触で電力を伝達する電力伝達用変成器34と、電磁誘導方式により非接触で信号を伝達する信号伝達用変成器44を有している。また、本実施の形態では、第1の分割ケース27と第2の分割ケース29内に電子回路を内蔵する第1の耐圧容器31及び第2の耐圧容器33を備えている。
【0031】
なお、本実施の形態では、第1の分割ケース27及び第2の分割ケース29内は、第1の耐圧容器31及び第2の耐圧容器33以外は雰囲気中の水が浸入可能になっている。
【0032】
〔ケース〕
第1の分割ケース27は、筒状の本体を縦方向に二分した横断面形状が半円弧状を呈する一対のケースピース27X,27Xが組み合わされて構成されている。同様に、第2の分割ケース29も、筒状の本体を縦方向に二分した横断面形状が半円弧状を呈する一対のケースピース29X,29Xが組み合わされて構成されている。第1の分割ケース27の一対のケースピース27X,27Xの連結側の端部27Aと第2の分割ケース29の一対のケースピース29X,29Xの連結側の端部29Aは、僅かな間隙を介して互いに対向するように配置されている。第1の分割ケース27の一対のケースピース27X,27Xと第2の分割ケースの一対のケースピース29X,29Xには、それぞれねじタップが切られた穴hが形成され、これらの穴に図示しないボルトが挿入されて相互に固定されている。固定された第1の分割ケース27の一対のケースピース27X,27Xと第2の分割ケースの一対のケースピース29X,29Xの間には、後述する水潤滑型ベアリング49の外輪49Aと耐圧容器31,33が挟み込まれている。
【0033】
一対のケースピース27X,27Xの連結側の端部27Aの内壁面には、後述する水潤滑型ベアリング49の外輪49Aと係合する円弧状の突出部27Cがそれぞれ一体に形成されている。また一対のケースピース29X,29Xの連結側の端部29Aには、後述する水潤滑型ベアリング49の内輪49Bと係合する円弧状の突出部29Dを一体に備えたフランジ部29Cがそれぞれ一体に形成されている。水潤滑型ベアリング49の存在により、第1の分割ケース27と第2の分割ケース29は、相互に回転可能に連結される。
【0034】
第1の分割ケース27の非連結側の端部27Bには、前述の固定金具7が固定され、また、第1の耐圧容器31から延びる導線15が延び出ている。第2の分割ケース29の非連結側の端部29Bには、前述の固定金具17が固定され、また、第2の耐圧容器33から延びる導線25が延び出ている。
【0035】
〔第1の耐圧容器及び第2の耐圧容器〕
第1の耐圧容器31及び第2の耐圧容器33は、チタン合金(Ti-6Al-4V)製で、水密構造になっており、内蔵する電子回路を雰囲気中の水から保護している。図3に示すように、第1の耐圧容器31は、下側の円盤状のエンドキャップ31Aと、エンドキャップ31Aの縁部から立ち上がる円筒状の周壁部31Bと、エンドキャップ31Aと対向する上側の円盤状のエンドキャップ31Cを有している。エンドキャップ31Cには、水中コネクタ16が設けられた導線15を第1の耐圧容器31内に引き込む水中コネクタ31D,31Eが設けられており、また、エンドキャップ31Aには、第1の耐圧容器31内の電子回路と後述の送電コイル35を接続する水中コネクタ31Fが設けられている(水中コネクタ31Dと水中コネクタ31Eを接続する導線、及び、水中コネクタ31Fと送電コイル35を接続する導線については、図示を一部省略している)。
【0036】
図3に示すように、第2の耐圧容器33は、下側の円盤状のエンドキャップ33Aと、エンドキャップ33Aの縁部から立ち上がる円筒状の周壁部33Bと、エンドキャップ33Aと対向する上側の円盤状のエンドキャップ33Cを有している。エンドキャップ33Cには、後述の受電コイル37からの導線を第2の耐圧容器33内に引き込む水中コネクタ33Dが設けられている。本実施の形態では、エンドキャップ33Cの上には、水中コネクタ33Dの周囲を囲むガード33Eが固定されている。また、エンドキャップ33Aには、第2の耐圧容器33内の電子回路と水中コネクタ26への導線25を接続する水中コネクタ33F,33Gが設けられている(受電コイル37と水中コネクタ33Dを接続する導線、及び、水中コネクタ33Fと水中コネクタ33Gとを接続する導線については、図示を一部省略している)。
【0037】
〔電力伝達用変成器〕
図2図3及び図4に示すように、電力伝達用変成器34は、送電コイル35及び受電コイル37からなる。送電コイル35は、仮想中心線ILを中心にして、第1の耐圧容器31のエンドキャップ31Aに対して固定状態にある。エンドキャップ31Aには、水中コネクタ31E及び送電コイル35を収容する下側に開口する有底筒状のガード32が固定されている。このガードは、ABS樹脂によって形成されている。このガード内は樹脂でモールドされており、送電コイル35は雰囲気中の水から絶縁されている。
【0038】
受電コイル37は、コイルホルダ36に固定されている。コイルホルダ36内は樹脂でモールドされており、受電コイル37は雰囲気中の水から絶縁されている。図2に示すように、コイルホルダ36は、受電コイル37を収納する部分36Aと第2のスイベル分割ユニット5から延びる筒状の連結ロッド部材39の一端に連結される部分36Bとを備えている。連結ロッド部材39は、第1の信号変成コイル41及び第2の信号変成コイル43を貫通する。コイルホルダ36は、第1のスイベル分割ユニット3に対して第2のスイベル分割ユニット5が相対的に回動するのと一緒に、連結ロッド部材39と共に回動する。この構造によって、受電コイル37は仮想中心線ILを中心にして、送電コイル35と対向する位置に配置され、且つ、第2のスイベル分割ユニット5と一緒に回転する。送電コイル35への電力は、水中コネクタ31Eから延びる図示しない導線及びインバータ回路等を介して供給される。また受電コイル37から延びる図示しない導線は、筒状の連結ロッド部材39内を通って、水中コネクタ33Dまで延びている。本実施の形態では、コイルホルダ36と連結ロッド部材39によって連結部材が構成されている。送電コイル35及び受電コイル37により、電磁誘導方式による非接触電力伝達が行われる。本実施の形態では、電磁誘導結合に使う周波数は、100kHzである。
【0039】
〔信号伝達用変成器〕
図3及び図4に示すように、信号伝達用変成器44は、第1の信号変成コイル41及び第2の信号変成コイル43からなる。第1の信号変成コイル41は、第1の耐圧容器31に固定されたコイルホルダ45内に保持されている。コイルホルダ45内は樹脂でモールドされており、第1の信号変成コイル41は雰囲気中の水から絶縁されている。図2に示すように、コイルホルダ45は、第1の信号変成コイル41が篏合される保持部分45Aと保持部分45Aを耐圧容器31に連結する一対の連結部45Bとから構成されている。コイルホルダ45に保持された第1の信号変成コイル41は、第2の信号変成コイル43と対向する位置に配置され、且つ仮想中心線ILを中心にして、第1のスイベル分割ユニット3と一緒に回転する。
【0040】
第2の信号変成コイル43は、エンドキャップ33Cに固定されたガード33Eに固定されたコイルホルダ48内に保持されている。このコイルホルダ48内は樹脂でモールドされており、第2の信号変成コイル43は雰囲気中の水から絶縁されている。第2の信号変成コイル43が仮想中心線ILと同心となるように、コイルホルダ48は後述する連結筒47の内径部に嵌め合うにように配置されている。
【0041】
なお、連結ロッド部材39は、第1の信号変成コイル41及び第2の信号変成コイル43の中心部を隙間を介して貫通しており、第1の信号変成コイル41と連結ロッド部材39は接触しておらず、第2の信号変成コイル43と連結ロッド部材39は接触係合している。そのため、受電コイル37と第2の信号変成コイル43は、一緒に回転するが、連結ロッド部材39の存在は、第1のスイベル分割ユニット3と第2のスイベル分割ユニット5の相対的な回転を妨げない。
【0042】
第1の信号変成コイル41及び第2の信号変成コイル43により、電磁誘導方式による非接触信号伝達が行われる。本実施の形態では、信号の共振周波数は、1kHz、2kHz、35kHz帯が用いられている。
【0043】
〔回転連結機構〕
本実施の形態では、回転連結機構は、前述の連結筒47と水潤滑型ベアリング49とを含んで構成されている。
【0044】
図4に拡大して示されているように、水潤滑型ベアリング49は、外輪49A、内輪49B及び複数の転動体49Cからなるボールベアリングである。具体的には、本実施の形態で用いる水潤滑型ベアリング49は、株式会社空スペースが「ADB」(登録商標)の名称にて販売しているボールベアリングを用いている。本スイベルに用いている「ADB」は、アンギュラボールベアリングであり、外輪及び内輪は鋼製であり、転動体49Cは窒化珪素セラミックス製である。外輪及び内輪は防食のため物理蒸着によるCrNコーティングが施されている。水潤滑型ベアリング49の外輪49Aは、第1の分割ケース27のケースピース27X,27Xの連結側の端部27Aの内壁面に設けられた円弧状の突出部27Cと係合している。内輪49Bは、連結筒47の上端部にある環状のフランジ部47Cと接触している。軸方向の張力がかかることにより、内輪49Bはフランジ部47Cと摩擦により連結されることになる。連結筒47の下端部には前述の一対のケースピース29X,29Xの連結側の端部29Aにそれぞれ設けられた円弧状の突出部29Dの内側に嵌り、且つ突出部29Dの内側に形成された円弧状の凸部29Eが篏合する環状の篏合溝47Bを備えている。この機構により連結筒47は、一対のケースピース29X,29Xを組み合わせて構成される第2の分割ケース29を位置決め固定している。これにより、第1のスイベル分割ユニット3と第2のスイベル分割ユニット5とが仮想中心線IL(図4)を中心として相対的に回転可能になっている(仮想中心線ILは、連結ロッド部材39の中心を通る位置を延びている)。この際、送電コイル35及び第1の信号変成コイル41は、第1のスイベル分割ユニット3とともに回転し、受電コイル37及び第2の信号変成コイル43は、第2のスイベル分割ユニット5とともに回転する。本実施の形態では、回転の起動トルクは、気中無負荷ではあるが目標とする0.05Nmを下回り、実測値で0.011Nmであった。
【0045】
〔電子回路〕
次に、図3及び図5を用いて、水中スイベル1の電子回路を説明する。図3では、電子回路を機能ブロックとして図示しており、回路の図示及び配線を一部省略している。
【0046】
本実施の形態では、図5に示すように、水中スイベル1内の送電コイル35及び第1の信号変成コイル41を含む一次側回路71、受電コイル37を含む観測機器CTDの受電部と接続する電力受電回路38B、および第2の信号変成コイル43を含む観測機器CTDの通信モデムに接続される信号送受回路40Bの合計3つの回路で構成されている。一次側回路71内には、送電を担う電力送電回路38Aおよび、交流信号伝達を行い且つ本回路を流れる直流電力に信号を重畳する第1の信号送受回路40Aが組み合わされている。
【0047】
船上からの供給電源は直流(250VDC)であり、この直流は船上装置に接続されている2芯の水中ケーブルUCから図3に示す水中コネクタ31Eを通じて、船上装置と観測装置の情報伝達に使用される交流信号と重畳されて一次側回路71を流れる。
【0048】
下記の通り電力送電回路38Aおよび電力受電回路38Bからなる電力伝達回路38と、第1の信号送受回路40Aと第2の信号送受回路40Bからなる信号伝達回路40に分けて詳細を説明する。
【0049】
〔電力伝達回路〕
電力伝達回路38は、送電コイル35を含む電力送電回路38Aと、受電コイル37を含む電力受電回路38Bからなる。電力送電回路38Aは、送電コイル35及び受電コイル37を用いた電磁誘導方式による非接触電力伝送を行うために、船上から供給された直流電力を交流に変換し送電コイル35に伝達する。電力受電回路38Bは、受電コイル37により受電した電力を観測装置の電源仕様に合った直流電力に変換する。
【0050】
電力送電回路38Aは、送電コイル35と、第1の耐圧容器31内に収納されたコモンモードノイズ除去回路51(図3には図示せず)と、バイパスコンデンサ53(図3には図示せず)と、降圧回路55と、直交変換回路57からなる。送電コイル35は、水中コネクタ31Fを通じて直交変換回路57と接続されている。コモンモードノイズ除去回路51及びバイパスコンデンサ53は、コモンモードおよび差動ノイズを除去するコモンモードチョークコイルとコンデンサを組み合わせた一般的なノイズ対策回路である。降圧回路55は、受電した直流電力を24Vに降圧して(250V→24V)、インバータから構成される直交変換回路57に伝達する。直交変換回路57は、受電した直流電力を交流電力に変換して送電コイル35に伝達する。なお、直交変換回路57には伝送効率を最適化するための回路も含まれる。
【0051】
電力受電回路38Bは、受電コイル37と、第2の耐圧容器33内に収納された整流・平滑化回路59と、降圧回路61とからなる。整流・平滑化回路59は、水中コネクタ33Dを通じて受電コイル37と接続されており、受電コイル37が受電した交流電力を整流・平滑化し、直流に変換して降圧回路61に伝達する。降圧回路61は、受電した直流電力を観測機器CTDでの使用に適した電圧(15V)に降圧する。
【0052】
〔信号伝達回路〕
信号伝達回路40は、第1の信号変成コイル41を含む第1の信号送受回路40Aと、第2の信号変成コイル43を含む第2の信号送受回路40Bからなる。第1の信号送受回路40Aと、第2の信号送受回路40Bは、第1の信号変成コイル41及び第2の信号変成コイル43を用いた電磁誘導方式による非接触信号伝送の効率を、使用する交流信号の周波数に合わせて最適化するとともに、交流信号以外のノイズを除去する。
【0053】
第1の信号送受回路40Aは、電力送電回路38Aと直列接続された第1の信号変成コイル41とフィルタ・伝送効率最適化回路62から構成されている。なお図5では、フィルタ・伝送効率最適化回路62のブロックには、表示の簡略化のために「フィルタ」と表記してある。電力送電回路38Aと第1の信号送受回路40Aは同一回路内で直列接続されているが、本回路に流れる交流信号は前述のコモンモードノイズ除去回路51のコンデンサ成分及びバイパスコンデンサ53を主に通り、これ以降の電力送電回路38Aを迂回して第1の信号送受回路40Aに伝達される。フィルタ・伝送効率最適化回路62は第1の耐圧容器31内に設置されており、水中コネクタ33Eを通じて、第1の耐圧容器31外の第1の分割ケース27内を通る樹脂モールドされた導線(図記載省略)により第1の信号変成コイル41と接続されている。
【0054】
第2の信号送受回路40Bは、第2の信号変成コイル43と、第2の耐圧容器33内に収納されたフィルタ・伝送効率最適化回路63から構成されている。なお図5には、フィルタ・伝送効率最適化回路63のブロックには、表示の簡略化のために「フィルタ」と表記してある。第2の信号変成コイル43は水中コネクタ33Dを通じてフィルタ・伝送効率最適化回路63に接続され、フィルタ・伝送効率最適化回路63は水中コネクタ33Fを通じて観測装置に接続される。
【0055】
上記の通りに水中スイベル1内の電子回路が接続されているため、水中ケーブルUCを通じて船上装置から直流電力が供給されると、送電コイル35及び受電コイル37により、電磁誘導結合による電力伝達が行われる。また、船上装置と観測装置間の通信に用いる交流信号は、第1の信号変成コイル41及び第2の信号変成コイル43間の電磁誘導結合により伝達される。本実施の形態では、上述の回路構成により、第1の信号変成コイル41に伝達された交流信号は第1の信号変成コイル41を流れる直流電力に重畳される。そのため、第1のスイベル分割ユニット3に接続する導線を2本にして、船上装置からの電力伝達及び双方向の信号伝達を行うことができる。
【0056】
以上、本発明の実施の形態について具体的に説明したが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で変更が可能であるのは勿論である。
【0057】
例えば、送電コイルを同心円状に囲むように第1の信号変成コイルを配置し、受電コイルを同心円状に囲むように第2の信号変成コイルを配置する、というように、変成コイルの配置を変更してもよいのはもちろんである。
【0058】
また、上記実施の形態では、伝達回路は、電磁結合により非接触で電力及び信号の双方を伝達できるものとしたが、電磁結合により非接触で電力及び信号のうち一方だけを伝達するものとしてもよい。
【0059】
さらに、上記実施の形態では、電力伝達用に電力伝達用変成器を用意し、信号伝達用に信号伝達用変成器を用意したが、電力伝達用の周波数と信号伝達用の周波数を変えて、1系統の変成器を用いて、電力伝達及び信号伝達を行うようにしてもよい。
【0060】
また、上記実施の形態で用いる構成部材の材質については、上記に記載したものの他に、用途に合わせた強度や水深により他の適した仕様のものを選択してもよいのは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明によれば、回転の起動トルクが小さく、また、絶縁油が不要な回転機構を備え、電力及び信号のうち少なくとも一方を伝達可能な水中スイベルを提供することができる。
【符号の説明】
【0062】
1 水中スイベル
3 第1のスイベル分割ユニット
7 固定金具
7A ねじ孔
9A ボルト
9B ナット
11 ワッシャ
15 導線
16 水中コネクタ
5 第2のスイベル分割ユニット
17 固定金具
17A 対向壁部
17B ねじ孔
19 ボルト
21 ナット
23ワッシャ
25 導線
26 水中コネクタ
27 第1の分割ケース
27A 連結側の端部
27B 非連結側の端部
27C 突出部
27X ケースピース
29 第2の分割ケース
29A 連結側の端部
29B 非連結側の端部
29C フランジ部
29D 突出部
29X ケースピース
31 第1の耐圧容器
31A エンドキャップ
31B 周壁部
31C エンドキャップ
31D 水中コネクタ
31E 水中コネクタ
31FE 水中コネクタ
32 ガード
33 第2の耐圧容器
33A エンドキャップ
33B 周壁部
33C エンドキャップ
33D 水中コネクタ
33E ガード
33F 水中コネクタ
33G 水中コネクタ
34 電力伝達用変成器
35 送電コイル
36 コイルホルダ
37 受電コイル
38 電力伝達回路
38A 電力送電回路
38B 電力受電回路
39 連結ロッド部材
40 信号伝達回路部
40A 第1の信号送受回路
40B 第2の信号送受回路
41 第1の信号変成コイル
43 第2の信号変成コイル
44 信号伝達用変成器
45 コイルホルダ
47 連結筒
49 水潤滑型ベアリング
49A 外輪
49B 内輪
49C 転動体
51 コモンモードノイズ除去回路
51A コモンモードチョークコイル
51B 直列コンデンサ回路
53 バイパスコンデンサ
55 降圧回路
57 直交変換回路
59 整流・平滑化回路
61 降圧回路
62 フィルタ・伝送効率最適化回路
63 フィルタ・伝送効率最適化回路
71 一次側回路
UC 水中ケーブル
UC1 接続部
UC2 対向壁部
UC3 ねじ孔
UC4 水中コネクタ
CTD 観測機器
CTD1 水中コネクタ
SK シャックル
図1
図2
図3
図4
図5