(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023059575
(43)【公開日】2023-04-27
(54)【発明の名称】持ち運べる手すり
(51)【国際特許分類】
E04F 11/18 20060101AFI20230420BHJP
【FI】
E04F11/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021169668
(22)【出願日】2021-10-15
(71)【出願人】
【識別番号】721009335
【氏名又は名称】兵藤 正則
(72)【発明者】
【氏名】兵藤 正則
【テーマコード(参考)】
2E301
【Fターム(参考)】
2E301FF05
2E301HH16
2E301JJ04
2E301LL02
2E301PP00
(57)【要約】
【課題】身体障害者の方や要介護者の方、足腰が弱くなっている高齢者、その付添人や介護人の方が、右側でも左側でも、ここに手すりが欲しいと思う所に、自らで、持ち運べて、訪れた所で、確実に設置できて、安心して使える手すりが必要である。
【解決手段】階段、段差等は、訪れた建物や、場所によって様々であり、その階段や段差は、幅、奥行(踏み面の寸法)、高さ(蹴上げの寸法)が一定ではない。
訪れた、どんな所(稀な、特殊な階段等以外)でも、右側でも左側でも、しっかり確実に設置できる物。
それを解決するためには、その訪れた所で、そこの現場に合わせて調整ができる、伸縮、アジャスト機能をもたせることで解決する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
伸縮、アジャスト機能を有した、階段部、段差部、傾斜部、平場部にて、その段差等を、その現場で調整して、確実に設置できる、持ち運べる手すり。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
歩行の補助や落下防止のために設置されている、手すりに関するものである。
【背景技術】
【0002】
手すりとは、歩行の補助や落下防止のために設置されるバーや柵のことであり、手すりに求められる役割は、転倒を防ぐこと、そして歩行や動作を円滑にして快適な日常生活を支えることにある。立ち上がるとき、段差を超えるとき、手すりに助けられることがある。しかしながら、これは健常者にとってであり、体の不自由な人にとっては、その不自由さによって差はあるが、手すりにつかまって、やっと移動できる方、手すりがないと全く移動できない方がいるのである。
体の不自由な人には、日常生活をするだけでも、手すりは絶対不可欠なものである。また、足腰が弱くなっている高齢者も同様である。
【0003】
しかしながら、手すりが、全く設置されていない所、右側か左側かの片方にしかない所、また途中で途切れている所が、多々あるのである。
それを補うために、それらの手すりのない所に設置できる、仮設手すり、置き型手すり、などは実在しているが、平面に設置するものは、小型の物もあるが、階段等に設置するものは大型であり、重量は相当重く、簡単に動かせるものではない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】労働安全衛生規則、(脚立)第528条、の三
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
身体障害者の方や、体の不自由な人、足腰が弱くなっている高齢者にとって、手すりは重要なものであるが、設置されていない所や、設置されていても両側にはなく、片側にしかない所も多い。
たとえば、左手、左足が不自由な人が、階段を上がろうとする。上がろうとする右側にだけ手すりがある所では、上がるのは可能であっても、下ろうとするときには、手すりが左側にしかない状況となり、下るのが不可能となることがある。
また、苦労して階段の最上段までは上がったものの、おどり場になり、手すりが途切れていて、最後の一段が、どうしても上がれない場合もある。
体の不自由な友人に、協同住宅の3階の我が家に来てもらったときに、共同住宅の共用部である2階のおどり場にて実際に起こったことである。
下るときも同様であり、おどり場や階段下の平場には手すりのない所が多いのである。
最後の一段、一歩が進めないのである。
それらを解決するのに、使用人と付添人や介護人が、ここに手すりが欲しいと思う所に、自らで、持ち運べて、右側でも左側でも、確実に設置できて、安心して使える、手すりが、必要である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
建物はもちろん、公園など、生活の場には、いたる所に、階段や段差がある。
手すりが、頑丈に取り付けられていて、体の不自由な人や足腰が弱くなっている高齢者が、容易に移動できればいいが、手すりが途中で終わり無くなっている所、片側にしかない所、元々、設置されていない所を移動しようとするのであるから、使用人と付添人や介護人が、持ち運べる物でなければならない。
持ち運べる物であるためには、なるべく小さく、なるべく軽くなければならない。
そのために、折りたたみ式や組立式にすることも考えないといけない。
なおかつ、丈夫であり、それでいて確実に設置できる物が必要である。
それらを考慮しながらも、一番重要なことは、階段等の段差のある所で、如何にして確実に設置できる物にするかである。その点については、もう一つの問題がある。
階段、段差等は、訪れた建物や、場所によって様々であり、その階段や段差は、幅、奥行(踏み面の寸法)、高さ(蹴上げの寸法)が一定ではないということ。
ある所では使えても、ちがう所では使えないのでは、使い物にならない。
訪れた、どんな所(稀な、特殊な階段等以外)でも、しっかり確実に設置できる物。
それを解決するためには、その訪れた所で、そこの現場に合わせて調整ができる、伸縮、アジャスト機能をもたせることで解決できる。
【発明の効果】
【0007】
体の不自由な人、足腰が弱くなっている高齢者、その付添人や介護人が、右側でも左側でも、どこででも、ここに手すりが欲しい。と思う所に、この持ち運べる手すりを設置することによって、今までは、行けない。と思っていた所にも、行ける。という可能性が大いに広がる。と思われる。
試作品を作り、実際にその試作品を使って、前述した、最後の1段が上がれなかった友人に、我が家の2階の、そのおどり場を上がってもらった。
身体障害者の本人は、得体の知れない物で、不安だらけでなかなか動けなかったが、介護人が、下側から、階段に設置した試作品を左手で支えて、右手で本人のお尻部を支えると、上がれた。
付添人、介護人の確実な設置と、この体勢は、転倒防止にも絶対必要である。
介護人である奥様が言った、「これがあれば、あの温泉の、あの宿に行ける。」
「主人が身障者になって10年、10年間ずっと、こんな物がないかと思っていた。行きたいけど、諦めていた。」
「これは、体の不自由な人、障害を持った人にも、光が見えるけど、介護している私にも、明るい未来があるのだなあって、しあわせな気持ちになっています。」
身体障害者や要介護者、足腰が弱くなっている高齢者である本人だけでなく、その付添人や介護人の方にも、とても重要で必要な物である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】階段の3、4段に跨る手すりを階段に設置した斜視図。
【
図3】階段の2、3段に跨る手すりを階段に設置した斜視図。
【
図4】建築基準法施行令の種類4の階段にて、階段3,4段に跨る手すりの中央部を踏み面から高さ75cmに設置した場合の側面図。(実施例1)
【
図5】
図3の同じ階段にて、階段3,4段に跨る手すりを最大限伸縮させて、各踏み面に設置した場合の、手すりの設置可能高さ、位置を記した、側面図。(実施例1)
【
図6】建築基準法施行令の種類4の階段にて、階段2,3段に跨る手すりの中央部を踏み面から高さ80cmに設置した場合の側面図。(実施例1)
【
図7】
図5の同じ階段にて、階段2,3段に跨る手すりを最大限伸縮させて、各踏み面に設置した場合の、手すりの設置可能高さ、位置を記した、側面図。(実施例1)
【発明を実施するための形態】
【0009】
階段部、段差部、傾斜部、平場部にて、しっかり確実に設置するためには、その訪れた所で、そこの現場に合わせて調整ができる、伸縮、アジャスト機能をもたせることは、もちろんであるが、その手すりを安全に使えることが最も重要である。
そのためには、その持ち運べる手すりを、どう設置するかである。
労働安全衛生規則、(脚立)第528条、の三、脚と水平面との角度を75度以下とし、かつ、折りたたみ式のものにあっては、脚と水平面との角度を確実に保つための金具を備えること。
作業別安全適正基準、脚立等使用作業、の11,梯子、(2)滑り止めのあるものを使用し、他の作業者に脚部を押さえてもらうこと。(3)平面に対して75度以下に掛けることを原則とする。
などを実体化させるため、脚と水平面との角度を75度に確実に保つために、階段、平場等、設置しようとする、どこででも、伸縮、アジャスト機能にて調整して水平さえ出して設置すれば、その75度になる構造と、その75度になる部分に水平器を取り付けることで実現する。
【0010】
身体の障害の度合い、または、高齢者の足腰が弱くなっている度合いよって、平地を、杖をついて歩く速度に違いがあるように、手すりに関しても、掴み方、力の入れ方、体重のかけ方等、様々である。
そこで、まず2種類の試作品を作った。
【0011】
障害が少し重い方、足腰が相当弱くなっている高齢者等、手すりに、相当の力を込めて、懸垂をするように、自分の体重を持ち上げて上がる方に、階段や段差の3段か4段に跨る物を、
図1、
図2の斜視図にて表す。
【0012】
障害が少し軽い方等、足腰が若干弱くなっている高齢者等、手すりに、それほどの力を込めず、自分の体のバランスをとるために、軽く握るだけでいい方に、階段や段差の2段か3段に跨る物を、
図3の斜視図にて表す。
【0013】
下記の表は、建築基準法施行令、第3条、階段の寸法。である。
【表1】
【実施例0014】
上記の表において、種類5、の住宅の階段に関しては、体の不自由な人本人の自宅等は、すでに、手すり等は設置済みであろうし、体の不自由な人や、足腰が弱くなっている高齢者等が、自宅からどこかへ出かけるときの、訪れる所での、具体的な設置例を表す。
図4、
図5,
図6,
図7は、上記の表の種類4の階段。
前述の、最後の1段が上がれなかった、我が家の、共同住宅の共用階段は、この種類4の階段である
蹴上げの寸法が22cm以下、踏み面の寸法が21cm以上の階段である。
上記の表の種類5の住宅の階段以外で、最も勾配の急な状態の階段である。
この勾配と、この勾配より緩やかな勾配の階段には、確実に設置できることを表す。
これは、建築基準法で定められている、住宅以外の、全ての施設において、確実に設置できることを表す。
主な用途や規模の詳細は、老人ホーム、大学、図書館、博物館、病院、診療所、ホテル、旅館、体育館、百貨店、マーケット等の物品販売店で1500平米以下のもの。
図中の寸法は、作った試作品での各寸法であり、本体の大きさや伸縮、アジャスト部の長さの設定により、どのようにもできる。
図4は,階段3,4段に跨る物を、上記の階段の各箇所にて、手すりの中央部を踏み面から高さ75cmに設置した場合の側面図。
図5は,
図4の物を、同じ階段で、階段の上側と下側の両方の伸縮部を、最大限に伸縮させて、各踏み面に設置した場合の手すりの設置可能高さ、位置を記した、側面図。踏み面からの手すり部の高さは70cmから85cmまでの間で、各個人の望みの高さに設置できる。
図6は、階段2,3段に跨る物を、上記の階段の各箇所にて、手すりの中央部を踏み面から高さ80cmに設置した場合の側面図。
図7は、
図6の物を、同じ階段で、階段の上側と下側の両方の伸縮部を、最大限に伸縮させて、各踏み面に設置した場合の手すりの設置可能高さ、位置を記した、側面図。踏み面からの手すり部の高さは67cmから95cmまでの間で、各個人の望みの高さに設置できる。