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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023059611
(43)【公開日】2023-04-27
(54)【発明の名称】横送りコンベア及び選別機
(51)【国際特許分類】
   B07C 5/36 20060101AFI20230420BHJP
【FI】
B07C5/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021169715
(22)【出願日】2021-10-15
(71)【出願人】
【識別番号】000001812
【氏名又は名称】株式会社サタケ
(74)【代理人】
【識別番号】110001151
【氏名又は名称】あいわ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】山口 陽理
(72)【発明者】
【氏名】景山 正志
【テーマコード(参考)】
3F079
【Fターム(参考)】
3F079AC13
3F079CA32
3F079CA41
3F079CA44
3F079CB25
3F079CB29
3F079CB36
3F079CC03
3F079DA07
3F079DA08
3F079DA15
3F079DA18
(57)【要約】
【課題】被選別物の搬送効率を向上させることが可能な横送りコンベア及び選別機を提供すること。
【解決手段】所定の条件に従って選別された被選別物を選別区分ごとに横方向に搬送する横送りコンベア1において、前記横送りコンベアは、前記被選別物を選別区分ごとに受け取り、前記選別区分ごとに受け取った被選別物の搬送を案内する複数の樋31~34を含むトラフ30を有し、前記トラフは、最も下方に配設される底層39及び該底層よりも上方に配設される1または複数の上方層38からなる複数の層を含んで形成され、該複数の層のそれぞれには、前記複数の樋31~34のうち1以上の樋が形成されることを特徴とする。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の条件に従って選別された被選別物を選別区分ごとに横方向に搬送する横送りコンベアにおいて、
前記横送りコンベアは、前記被選別物を選別区分ごとに受け取り、前記選別区分ごとに受け取った被選別物の搬送を案内する複数の樋を含むトラフを有し、
前記トラフは、最も下方に配設される底層及び該底層よりも上方に配設される1または複数の上方層からなる複数の層を含んで形成され、該複数の層のそれぞれには、前記複数の樋のうち1以上の樋が形成される
ことを特徴とする横送りコンベア。
【請求項2】
前記複数の層のうちの前記上方層には開口部が設けられ、
前記被選別物は、前記開口部内を通過して該開口部の下方に形成された前記樋に移送される
請求項1に記載の横送りコンベア。
【請求項3】
前記上方層の床面は、前記底層の床面に対して、前記被選別物の搬送方向側を下方に向けた所定の傾斜角度がつくように配置されている
請求項1または2に記載の横送りコンベア。
【請求項4】
前記複数の樋のそれぞれは、該樋の入隅部の角度が45度以上になるように配設された樋壁を含む
請求項1乃至3のいずれかに記載の横送りコンベア。
【請求項5】
投入された物を所定の条件に従って選別する選別部と、
前記選別部によって選別された被選別物を横方向に搬送する横送りコンベアと、
前記横送りコンベアによって搬送される被選別物を受け取って上昇させる昇降部と、を有する選別機において、
前記横送りコンベアは、
前記被選別物を選別区分ごとに受け取り、該選別区分ごとに案内する複数の樋を含むトラフを有し、
前記トラフは、複数の層を含んで形成され、該複数の層のそれぞれには、前記複数の樋のうち1以上の樋が形成される
ことを特徴とする選別機。
【請求項6】
前記トラフは、前記被選別物を前記横送りコンベアの外部に送り出す複数の送出口を有し、
前記複数の樋はそれぞれ、各樋の搬送方向側端部で前記複数の送出口のいずれかと連結され、
前記複数の送出口の相互の配設位置関係は、前記昇降部及び前記選別部のうち少なくともいずれかの構造に基づいて配置される
請求項5に記載の選別機。
【請求項7】
前記昇降部によって揚送された被選別物を選別機の外部に排出する排出装置を有し、
前記トラフは、前記被選別物を前記横送りコンベアの外部に送り出す複数の送出口を有し、
前記複数の樋はそれぞれ、各樋の搬送方向側端部で前記複数の送出口のいずれかと連結され、
前記複数の送出口の相互の配設位置関係は、前記排出装置の配設位置に基づいて配置される
請求項5に記載の選別機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、選別された被選別物を横方向に搬送可能な横送りコンベア及び選別機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、米や小麦などの穀粒、樹脂ペレット、コーヒー豆、その他の粒状物からなる原料を良品と不良品に選別したり、原料に混入する異物などを選別除去したりする光選別機が知られている。選別処理は、例えば、原料または異物の色彩を光学的に検出する任意の手法によってなされる。光学的に原料の選別を行う色彩選別機の例としては、下記特許文献1に開示の装置が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-092861号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の色彩選別機では、最終的に良品と判定された原料を選別機の高所に配置された精品用の排出樋から機外に排出する一方で、最終的に不良品と判定された原料については選別機の低所に配置された不良品用の排出樋から機外に排出する構成を採っている。そして、精品用の排出樋が設けられている選別機高所への良品原料の揚送は、選別機に昇降機を設けることによって実現している。
【0005】
排出樋を選別機の高所に設けておくと、例えば、後工程の計量機や袋詰機における原料投入部を精品用の排出樋の下方に位置するよう配置することによって、原料を計量機や袋詰機に直接搬入することが可能となる。そのため、かかる色彩選別機によれば、選別処理の前後の工程で使用する装置との間において原料の搬送を容易にし、さらに、選別機を含む各装置の配置場所を容易に決定することができる。
【0006】
そのため、不良品の処理に関連する後工程の存在に鑑みれば、精品用の排出樋のみならず不良品用の排出樋も選別機の高所に配置しておくことが本来ならば好ましい。しかしながら、不良品用の排出樋も選別機の高所に配置することにすれば、良品と判定された原料のみならず最終的に不良品と判定された原料もまた、昇降機を用いて選別機の高所に揚送する必要が生じる。
【0007】
一般的な構造を採る色彩選別機の場合、光学的に選別された原料すなわち被選別物は、その選別区分毎に分けて選別機内の低所に設けられたコンベアに載せられる。また、昇降機の原料入口がコンベアの側方に配置される。選別された各原料は、コンベア上を略水平方向に搬送いわば横送りされ、対応する昇降機の原料入口へと達する。
【0008】
そのため、最終不良品用の排出樋も選別機の高所に配置するのであれば、最終不良品用の昇降機を設置するのみならず、コンベアには昇降機へと至る最終不良品の搬送経路も設ける必要が生じることになる。例えば、特許文献1に開示されている二次選別式の色彩選別機では、昇降機及びコンベアの経路はともに3つずつ設けられているが、最終不良品用の排出樋も選別機の高所に配置するのであれば、コンベアにはそれぞれの昇降機へと通じる4つの経路を並べ設ける必要が生じる。
【0009】
しかしながら、コンベアの経路数を増やすと、1経路当たりの幅を減少させざるを得なくなり、各経路の原料搬送効率は減少せざるを得ない。予想される原料搬送量に応じて、搬送量が多いと予想される経路の幅を広くとるよう設計してもよいが、その場合には他の経路の幅を狭めざるを得ず、幅を狭めた経路に関しては原料の搬送効率が下がってしまう。
【0010】
他方、コンベア全体としての幅を広げることによって実質的に搬送効率を維持することは可能であるが、コンベアの全幅を広げるのであれば、コンベアを搭載する選別機の本体幅も対応して広げざるを得ない。しかしながら、昨今の風潮に鑑みると、選別機の大型化につながる設計は極力避けることが望ましい。
【0011】
さらに、特許文献1に開示された二次選別式の色彩選別機では、一次選別における一次不良品は二次選別用のシュートに搬送する必要がある一方で、二次選別における良品は、再度の一次選別のために一次選別用のシュートに搬送する必要がある。このような選別機では、昇降機と光学部のレイアウトの関係上、コンベアから各シュートに至るまでの間のどこかで、一次選別時の一次不良品用の搬送経路と二次選別時の良品用の搬送経路を交差させなければならない。
【0012】
これらの搬送経路を、昇降機による揚送後に原料を流下させる流下経路にて交差させるならば、各流下経路の構造は複雑なものになってしまう。そのため、流下経路を確保するために昇降機の全高を上げざるを得なくなる。
【0013】
なお、ここまでは不良品用の排出樋を選別機の高所に配置しようとする場合の課題について説明してきたが、不良品用の排出樋が低所に配置されている従来の選別機についても、選別した原料の搬送効率のさらなる向上という課題は当然ながら存在する。
【0014】
そこで本発明はこのような課題に鑑み、小型で簡易な構造でありながら被選別物の搬送効率が高い横送りコンベア及び選別機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
(1)に係る発明は、所定の条件に従って選別された被選別物を選別区分ごとに横方向に搬送する横送りコンベアにおいて、前記横送りコンベアは、前記被選別物を選別区分ごとに受け取り、前記選別区分ごとに受け取った被選別物の搬送を案内する複数の樋を含むトラフを有し、前記トラフは、最も下方に配設される底層及び該底層よりも上方に配設される1または複数の上方層からなる複数の層を含んで形成され、該複数の層のそれぞれには、前記複数の樋のうち1以上の樋が形成されることを特徴とする横送りコンベアである。
【0016】
(2)に係る発明は、前記複数の層のうちの前記上方層には開口部が設けられ、前記被選別物は、前記開口部内を通過して該開口部の下方に形成された前記樋に移送される上記(1)に記載の横送りコンベアである。
【0017】
(3)に係る発明は、前記上方層の床面は、前記底層の床面に対して、前記被選別物の搬送方向側を下方に向けた所定の傾斜角度がつくように配置されている上記(1)または(2)に記載の横送りコンベアである。
【0018】
(4)に係る発明は、前記複数の樋のそれぞれは、該樋の入隅部の角度が45度以上になるように配設された樋壁を含む上記(1)乃至(3)のいずれかに記載の横送りコンベアである。
【0019】
(5)に係る発明は、投入された物を所定の条件に従って選別する選別部と、前記選別部によって選別された被選別物を横方向に搬送する横送りコンベアと、前記横送りコンベアによって搬送される被選別物を受け取って上昇させる昇降部と、を有する選別機において、前記横送りコンベアは、前記被選別物を選別区分ごとに受け取り、該選別区分ごとに案内する複数の樋を含むトラフを有し、前記トラフは、複数の層を含んで形成され、該複数の層のそれぞれには、前記複数の樋のうち1以上の樋が形成されることを特徴とする選別機である。
【0020】
(6)に係る発明は、前記トラフは、前記被選別物を前記横送りコンベアの外部に送り出す複数の送出口を有し、前記複数の樋はそれぞれ、各樋の搬送方向側端部で前記複数の送出口のいずれかと連結され、前記複数の送出口の相互の配設位置関係は、前記昇降部及び前記選別部のうち少なくともいずれかの構造に基づいて配置される上記(5)に記載の選別機である。
【0021】
(7)に係る発明は、前記昇降部によって揚送された被選別物を選別機の外部に排出する排出装置を有し、前記トラフは、前記被選別物を前記横送りコンベアの外部に送り出す複数の送出口を有し、前記複数の樋はそれぞれ、各樋の搬送方向側端部で前記複数の送出口のいずれかと連結され、前記複数の送出口の相互の配設位置関係は、前記排出装置の配設位置に基づいて配置される上記(5)に記載の選別機である。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、選別機の寸法を増大させることなく、被選別物の搬送効率を向上させることができるという特有の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明に係る選別機の一実施形態を正面右上方向から示す全体斜視図である。
図2図1で示す選別機の実施形態の内部構造を概略的に説明する左側面図である。
図3図1で示す選別機の実施形態の内部構造を概略的に説明する正面図である。
図4】本発明に係る横送りコンベアに含まれるトラフの一実施形態の斜視図である。
図5図4で示すトラフの実施形態の分解斜視図である。
図6図5で示すトラフ蓋部の上面図である。
図7図5で示すトラフ上方層の上面図である。
図8図5で示すトラフ底層の上面図である。
図9図4で示すトラフの実施形態を水平面上に載置した状態における概略的な側面図である。
図10】本発明に係る横送りコンベアに含まれるトラフの別の実施形態の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に各図面を参照して、本発明の横送りコンベア及び選別機の一実施形態について説明する。以下の説明において、横送りコンベア1とは床面上に載置された物を水平または略水平方向に搬送する、すなわち横方向に送り出す搬送装置のことを広義に指し示す。また、選別機2とは当該機内に投入された物を所定の基準に従って選別する装置のことを広義に指し示す。
【0025】
本実施形態において、選別機2によって選別可能な被選別物の例としては、米や小麦などの穀粒、樹脂ペレット、コーヒー豆もしくはその他の粒状物からなる原料、またはこれらの原料に混入する異物が挙げられる。以下の説明においては、被選別物のことを単に「原料」と記載する場合がある。
【0026】
なお、本実施形態における選別機2は、光学装置を用いて選別対象たる物、特に粒状体原料の色彩を検出し、その検出結果に応じて原料を選別する色彩選別機である。しかしながら、選別機2は、光学的手法以外の任意の手法を用いて原料を選別する構成を採るものであっても構わない。
【0027】
図1及び図2に示されるように、選別機2は、当該選別機2の背面側に位置して原料を揚送する昇降部4と、当該昇降部4の前面側に位置して原料を光学的に選別する光選別部6と、当該光選別部6の下方に位置して選別後の原料を昇降部4に返還する横送りコンベア1を少なくとも有している。本実施形態における光選別部6は、二段階の選別工程を経て、投入された材料を選別する。
【0028】
また、昇降部4は、原料を揚送する用に供する複数のバケットコンベア9~12を含んで構成されている。それぞれのバケットコンベア9~12で揚送される原料は、原料の選別工程及びその選別結果に従って区分される。本実施形態においては、バケットコンベア9では一次選別及び二次選別のいずれの工程でも不良品として判定された二次不良品b2が、バケットコンベア10では一次選別工程を経る前の原料が、それぞれ揚送される。さらに、バケットコンベア11では一次選別工程で良品と判定された精品g1が、バケットコンベア12では一次選別工程で不良品と判定された一次不良品b1が、それぞれ揚送される。
【0029】
本実施形態では、バケットコンベア9~12は、選別機2の正面視幅方向に並設した状態で配置されている。各バケットコンベア9~12の配置は、横送りコンベア1が有する選別区分毎の送出口の配置に対応している。また、図1に示すように、本実施形態においてバケットコンベア9~12は、選別機2のハウジング内にコンパクトに収納されている。
【0030】
選別機2は、選別機2の低所であって昇降部4の背後に設けられ選別機2の後方から原料を投入可能に構成されている投入ホッパ13を有している。投入ホッパ13の幅方向寸法は、選別機2の正面視における幅方向寸法の範囲内に収めることが好ましい。
【0031】
投入ホッパ13は、投入原料を次段の装置に供給する原料供給口を有し、バケットコンベア10は、他の装置から供給されてきた原料を受け取る原料受取口を有する。投入ホッパ13の原料供給口はバケットコンベア10の原料受取口と連結し、かかる構成によって、投入ホッパ13に投入された原料はバケットコンベア10を用いて選別機2の内部上方に揚送される。
【0032】
選別機2は、昇降部4の下方かつ光選別部6の上方に配置され昇降部4によって揚送された原料を一時的に貯留しておく貯留タンク14、15を有する。二段階選別式を採る本実施形態では、貯留タンク14は一次選別用のタンクであり、貯留タンク15は二次選別用のものである。
【0033】
選別機2はさらに、バケットコンベア9と連結され二次不良品b2を選別機2の外部に排出する不良品排出樋16、及びバケットコンベア11と連結され精品を選別機2の外部に排出する精品排出樋17を有する。本実施形態においては、図1及び図3に示すように、不良品排出樋16は選別機2の高所であって左側面から、精品排出樋17は高所の右側面から機外に向けて延出するように設けられている。しかしながら、これらの図で示すような構造に限定せず、排出樋16、17の排出経路や排出口の配置は、選別機2の寸法や機内構造などに応じて任意に設定することができる。
【0034】
また、排出樋16、17の樋路は、選別機2本体の内側端部に近い位置に可能な限り配設するようにすると、機内空間をより有効に活用することができるので好適である。また、このような配設によれば、樋路が光選別部6へと向かう原料の経路と交差することも防ぐことができる。例えば、図2図3で示すように、排出樋16、17の樋路の大部分を機内の前後左右端部近傍に配置する。すると、かかる樋路の配置によって、選別機2内の中央部では、貯留タンク14、15及びこれらのタンクから光選別部6へと至るまでの途中径路となる各装置の配置領域を広くとることができる。
【0035】
排出樋16、17については、1つのバケットコンベアに対して排出口及び各排出口に至る排出経路を複数設けてもよい。この場合には、併せて排出樋に、各排出口に至る排出経路の開閉状態を切り換える経路切換手段、例えば所定の経路を開閉する弁または同様の機能を有する装置を設けてもよい。このような構成によれば、経路切換手段の作動に応じて原料を排出する排出口を適宜変更することができる。
【0036】
選別機2は、貯留タンク14、15から供給された原料の流量をそれぞれ一定に制御するロータリーバルブ18、19を有する。選別機2はさらに、所定の勾配が設けられ原料の滑動流下経路としての役割を果たすシュート20、21を有する。本実施形態の場合、貯留タンク14の流出口はロータリーバルブ18の流入口に連結され、さらにロータリーバルブ18の流出口はシュート20の流入口に連結されている。同様に、貯留タンク15の流出口とロータリーバルブ19の流入口、及びロータリーバルブ18の流出口とシュート21の流入口が連結されている。また、シュート20、21の下方には光選別部6が設けられ、シュート20、21の下端から放出された原料は光選別部6に移送される。
【0037】
光選別部6は、光検出部22及びエジェクタ23を含んで構成されている。光検出部22及びエジェクタ23を含む光選別部6は、例えば、選別機2の幅方向にライン状に落下する複数の原料を光学的に検出し、原料を適宜エアーにより弾くことができるものである。
【0038】
光選別部6は、図3に示されるように、選別機2の正面視幅方向位置により、一次選別部24と二次選別部25に分かれている。一次選別部24は、一次選別用の貯留タンク14から供給される原料の選別を行うものであり、二次選別部25は、二次選別用の貯留タンク15から供給される原料の選別を行うものである。なお、一次選別部24と二次選別部25は、シュート面を除いては略同様の構造である。
【0039】
本実施形態において、光検出部22は、CCDラインセンサ等からなるセンサ、蛍光灯等からなる光源、背景装置または手段としてのバックグラウンドを備える公知のものを用いることができる。図2に示すように、本実施形態に用いられる光検出部22は、シュート20、21を前後に挟んだ状態で一対配置される。光検出部22の各対は、センサ22a、ミラー22b、光源22c及びバックグラウンド22dを含む。光検出部22の各対は、シュート20、21の下端から落下する原料を検出位置において撮像し、得られた撮像信号に基づいて原料の良品と不良品、または原料に混入する異物を判断する。
【0040】
エジェクタ23はエアーにより原料を弾く構成のものに限定されず、例えば、ソレノイドなどを駆動手段とする板バネを用いて原料を弾いてもよい。
【0041】
なお、図2において、センサ22a、ミラー22b、光源22c及びバックグラウンド22dには、選別機2の前部側に配置されている光検出部22にのみ参照符号を付している。しかしながら、参照符号の付与を省略した選別機2の後部側に配置されている光検出部22の構成も、前部側の光検出部22の構成と同様である。
【0042】
選別機2は、光選別部6の下方に複数の排出ホッパ(または排出樋とも言い得る)26~29を配置する。より具体的に述べると、一次選別部24の下方には、一次選別の結果一次良品g1として分別された原料を受取り可能な位置に排出ホッパ26が、一次不良品b1として分別された原料を受取り可能な位置に排出ホッパ27が、それぞれ配置される。同様に、二次選別部25の下方には、二次選別の結果二次良品g2として分別された原料を受取り可能な位置に排出ホッパ28が、二次不良品b2として分別された原料を受取り可能な位置に排出ホッパ29が、それぞれ配置される。
【0043】
本発明の一実施形態としての横送りコンベア1は、排出ホッパ26~29の下方に配置され、光選別部6によって選別された原料を、排出ホッパ26~29を介して一次良品g1、一次不良品b1、二次良品g2及び二次不良品b2をそれぞれ分別された状態で受け取ることができる。
【0044】
横送りコンベア1はその構成要素として少なくとも図4に示されるようなトラフ30を含んでいる。図5等に示されるように、トラフ30には、排出ホッパ26~29からの原料の投下位置に対応して複数の樋31~34が形成される。樋31~34は、光選別部6により選別区分された被選別物を受け取り、受け取った被選別物がトラフ30上で円滑に搬送されるよう被選別物を案内する役割を果たす。横送りコンベア1は、さらにトラフ30の底面を揺動させる振動機構を備えた振動コンベアであってもよい。
【0045】
横送りコンベア1のトラフ30にて、樋31~34が形成される位置は、排出ホッパ26~29からそれぞれ選別区分された原料が排出される排出口の位置に対応する。光選別部6によって選別された原料は、それぞれの搬送先となるいずれかのバケットコンベア9~12へと通じる所定の樋上に供給される。
【0046】
横送りコンベア1のトラフ30は、樋31~34が形成されているトラフ本体部36と、トラフ30の上面を部分的に被覆する蓋部37とを含んで構成されている。トラフ本体部36において、樋31~34は複数の層に分かれて、すなわち異なる高さで配置されている。トラフ本体部36内の各層には、樋31~34のうち少なくとも1つの樋が形成されることとなる。
【0047】
本実施形態の場合、トラフ本体部36は、図5に示されるように、上方層38と底層39の二層に分かれている。以下、本実施形態においては、トラフ本体部36において最も下方(底部)に配設される層のことを底層と称し、底層よりも上方に配設されるすべての層のことを上方層と称する。
【0048】
トラフ本体部36の上方層38には、樋31及び32が形成されている。樋31は、排出ホッパ26から一次良品(精品)g1を受け取り、受け取った一次良品g1をバケットコンベア11に向けて送り出す搬送路としての役割を果たす。樋32は、排出ホッパ27から一次不良品b1を受け取り、受け取った一次不良品b1をバケットコンベア12に送り出す搬送路としての役割を果たす。
【0049】
他方、底層39には、樋33及び34が形成されている。樋33は、排出ホッパ28から二次良品g2を受け取り、受け取った二次良品g2をバケットコンベア10に向けて送り出す搬送路としての役割を果たす。樋34は、排出ホッパ29から二次不良品b2を受け取り、受け取った二次不良品b2をバケットコンベア9に送り出す搬送路としての役割を果たす。
【0050】
図4では、トラフ本体部36の上方に蓋部37を覆設することによって一体に組み立てられたトラフ30を示している。他方、図5及び図6図8では、トラフ30を構成する蓋部37ならびにトラフ本体部36の上方層38及び底層39を個別に示している。なお、図5及び図8におけるトラフ本体部36の底層39の描写は、トラフ本体部36の全体的な構成から上方層38の構成要素を非表示にしたものに相当する。
【0051】
また、図5の一部破線で示された矢印g1、b1、g2、b2はそれぞれ、一次良品g1、一次不良品b1、二次良品g2及び二次不良品b2が排出ホッパ26~29から所定の樋31~34の床面上に到達するまでの落下の流れを示している。
【0052】
樋31~34を画成する樋壁は、トラフ本体部36における上方層38または底層39の面上に適宜設置される。また、トラフ本体部36の縁端部に設けられている端部壁を樋壁の一部分として用いてもよい。
【0053】
トラフ本体部36の蓋部37は、排出ホッパ26~29からの原料の投下位置に対応して、複数の開口部41~44を有する。すなわち、蓋部37の表面上にある、選別機2内に横送りコンベア1が適切に設置されているときに排出ホッパ26~29の各排出口から略垂直下方に相当する位置に、複数の開口部41~44が設けられる。
【0054】
開口部41~44は、蓋部37の頂面から底面にかけて上下に貫通している孔を形成し、これらの孔内を、排出ホッパ26~29から投下された選別原料が通過する。本実施形態における蓋部37の場合、一次選別によって選別された原料の経路に関連しては、排出ホッパ26の排出口の配置位置の下方には開口部41が、排出ホッパ27の排出口の配置位置の下方には開口部42が設けられる。また、二次選別によって選別された原料の経路に関連しては、排出ホッパ28の排出口の配置位置の下方には開口部43が、排出ホッパ29の排出口の配置位置の下方には開口部44が設けられる。
【0055】
横送りコンベア1のトラフ30は、トラフ30に設けられた樋31~34から各樋に対応するバケットコンベア9~12に設けられた各選別原料を受け取る原料受取口へと各選別原料を送り出す送出口45~48を有する。送出口45~48は、トラフ30の一方の幅方向端部に並べて配設することが好ましい。送出口45~48はそれぞれ、バケットコンベア9~12の原料受取口と直接的に、または他の連結要素を介して間接的に連結される。送出口45~48はそれぞれ、バケットコンベア9~12の原料受取口と直接的に連結可能とする連結要素を有するか、あるいは、他の連結要素を介してバケットコンベア9~12の原料受取口と間接的に連結可能に構成されている。
【0056】
トラフ本体部36の上方層38に形成されている樋31及び樋32の経路やこれらの経路の幅は、それぞれ送出口47及び48に通じる限りにおいて任意に設計及び形成してよい。
【0057】
排出ホッパ26から落下する一次良品g1として選別された原料は、蓋部37に設けられた開口部41内を通り抜けて、樋31の経路床面上に移送される。すなわち、樋31は、蓋部37の開口部41が配置されている位置の略真下にある領域51で、落下されてくる一次良品g1を受け止めることとなる。また、排出ホッパ27から落下する一次不良品として選別された原料は、蓋部37に設けられた開口部42内を通り抜けて、樋32の経路床面上に移送される。すなわち、樋32は、蓋部37の開口部42が配置されている位置の略真下にある領域52で、落下されてくる一次不良品b1を受け止めることとなる。
【0058】
樋31が領域51で受け取った一次良品g1は、樋31の経路に沿って搬送され、最終的には送出口47からバケットコンベア11の原料受取口へと送り出される。図7の矢印g1は、樋31内における一次良品g1の搬送の流れを示している。他方、樋32が領域51で受け取った一次不良品b1は、樋32の経路に沿って搬送され、最終的には送出口48からバケットコンベア12の原料受取口へと送り出される。図7の矢印b1は、樋32内における一次不良品b1の搬送の流れを示している。
【0059】
なお、樋31、32に加えて、トラフ本体部36の上方層38の床面上には開口部53、54が設けられる。開口部53は、トラフ本体部36に対して蓋部37が適切に覆設されている場合における開口部43の配置位置の下方、好適には垂直下方に相当する位置に形成される。開口部54は、トラフ本体部36に対して蓋部37が適切に覆設されている場合における開口部44の配置位置の下方、好適には垂直下方に相当する位置に形成される。
【0060】
かかる構成により、排出ホッパ28から落下する二次良品g2として選別された原料は、開口部43内の通過を経てさらに開口部53内を通り抜けることとなる。また、排出ホッパ29から落下する二次不良品b2として選別された原料は、開口部44内の通過を経てさらに開口部54内を通り抜けることとなる。
【0061】
ともに上方層38の床面上に設けられる開口部53、54と樋31、32の構造及び配置関係については、異種の選別原料が混ざり合わない限りにおいて任意に定め得る。例えば、上方層38の床面上に開口部53、54の周縁部を囲繞する壁部53a、54aを設けることができる。このような壁部53a、54aの設置によれば、トラフ30の内部空間をより有効に活用することができる。
【0062】
トラフ本体部36の底層39に形成されている樋33と樋34の経路やこれらの経路の幅もまた、それぞれの送出口に通じる限りにおいて任意に設計及び形成してよい。
【0063】
排出ホッパ28から落下する二次良品g2として選別された原料は、開口部43及び開口部53内を通り抜けて、樋33の経路床面上に達する。すなわち、樋33は、蓋部37及び上方層38の各開口部43、53が配置されている位置の略真下にある領域63(図8参照)で、落下されてくる二次良品g2を受け止めることとなる。また、排出ホッパ29から落下する二次不良品b2として選別された原料は、開口部44内及び開口部54内を通り抜けて、樋34の経路床面上に達する。すなわち、樋34は、蓋部37及び上方層38の各開口部44、54が配置されている位置の略真下にある領域64(図8参照)で、落下されてくる二次不良品b2を受け止めることとなる。
【0064】
樋33が領域63で受け取った二次良品g2は、樋33の経路に沿って搬送され、最終的には送出口46からバケットコンベア10の原料受取口へと送り出される。図8の矢印g2は、樋33内における二次良品g2の搬送の流れを示している。他方、樋34が領域64で受け取った二次不良品b2は、樋34の経路に沿って搬送され、最終的には送出口45からバケットコンベア9の原料受取口へと送り出される。図8の矢印b2は、樋34内における二次不良品b2の搬送の流れを示している。
【0065】
各樋31~34の経路について、送出口45~48のいずれを出口すなわち原料の搬送先にするかは、選別機2内の構成要素、例えば昇降部4、光選別部6、貯留タンク14、15、不良品排出樋16及び精品排出樋17の配置に鑑みて決定することが好ましい。
【0066】
本実施形態では、一次選別処理及びその前段階で用いられる選別機2内の構成要素(特に、昇降部4内のバケットコンベア10、貯留タンク14、ロータリーバルブ18、シュート20、光選別部6内の一次選別部24)は、二次選別処理及びその前段階で用いられる構成要素(バケットコンベア12、貯留タンク15、ロータリーバルブ19、シュート21、二次選別部25)と比較すると、正面視幅方向での左側に配置される。したがって、再度の一次選別処理が施される二次良品g2の搬送経路となる樋33の送出口46は、次に二次選別処理が施される一次不良品b1の搬送経路となる樋32の送出口48よりも正面視幅方向での左側に配置される。
【0067】
同様の理由により、本実施形態では、不良品排出樋16と精品排出樋17の正面視幅方向における相対的な位置関係に鑑みて、二次不良品b2の搬送経路となる樋34の送出口45は、精品g1の搬送経路となる樋31の送出口47よりも正面視幅方向での左側に配置される。
【0068】
このように送出口45~48の配設位置を定めることによって、選別機2内における一次または二次の選別部に至る流下経路は、流下経路の途中で他の経路と交差させる構造にする必要がなくなり、単純な構造で済むこととなる。
【0069】
トラフ本体部36を構成する上方層38及び底層39の床面上に配置される各樋の経路は、経路の両幅部に樋壁を設けることによって画定される。前述のとおり、各樋の経路はある程度自由に設計可能であるが、特に好ましいのは、経路を画成する2つの樋壁間すなわち各樋の入隅部に、原料の搬送方向(図7で示す矢印D)に対して45度かそれ以上の角度がつくように経路を設定することである。例えば、図7で示すように、樋壁32aとトラフ本体部36の端部壁でもある樋壁32bとの間の角θ1がθ1≧45°となるように樋32の経路を設定している。
【0070】
このように、各樋の入隅部の角度を45度以上にすれば、穀物などの原料が円滑に搬送されずにその一部が樋内で滞留して搬送性能が低下することを効果的に防ぐことができる。
【0071】
各樋における入隅部の角度のより具体的な値は、経路のレイアウト、取り扱う原料の種類、選別機2内への設置時における横送りコンベア1の勾配度、横送りコンベア1に備えられる振動機構の性能などの様々な条件に応じて適宜決定することができる。
【0072】
また、選別機2内における横送りコンベア1の配置状態は、図2で示すように、原料の搬送先方向をある程度下方に向けて傾斜した状態であることが好ましい。このように、選別機2内で横送りコンベア1を上下方向に傾斜させて設置することによって、横送りコンベア1は受け取った原料をより円滑にバケットコンベア9~12に搬送できるようになる。
【0073】
さらに、図9で示すように、上方層38の床面を、トラフ30を水平面(H0)上に載置した場合における底層39の床面(H1)に対して所定の傾斜角度(θ2)がつくように構成してもよい。上方層38の床面は、原料の搬送元方向すなわち排出ホッパ26~29から原料を受け取る領域51、52、63、64がある側に対して、原料の搬送先方向側すなわち送出口45~48と連結されている側を下方に向けて傾斜している。
【0074】
図9の実施形態では、トラフ30を水平面上に載置する場合には底層39の床面H1もまた水平面H0と平行に配置されるが、上方層38の床面は水平面H0及び底層39の床面H1に対してθ2の角度をつけて配置される。このような構成によれば、トラフ30に設けられた各樋の経路幅を拡張しなくても横送りコンベア1の原料の搬送量を増加させることができる。
【0075】
角度θ2の好適な値は、様々な条件に応じて変わり得るが、例えばθ2=2°程度である。角度θ2の値の決定に影響を与える様々な条件には、例えば、トラフ30に設けられた経路のレイアウト、取り扱う原料の種類、選別機2内への設置時における横送りコンベア1自体の勾配度、横送りコンベア1に備えられる振動機構の性能が挙げられる。
【0076】
トラフ30を水平面H0上に載置する場合において、底層39の床面は水平面H0に対して所定の角度の下方傾斜角度(ここでは、θbとおく)がつくように構成してもよい。このような場合には、上方層38は、低層の床面に対してθ2度、水平面に対してはθb+θ2度の角度をつけてトラフ本体部36に配設されることになる。また、トラフ30が上方層38を複数有する構造である場合にも、同様の見地により、上方に設けられる上方層38であればあるほど水平面に対する傾斜角度がより大きくなるように、各層をトラフ本体部36に配設することができる。
【0077】
なお、本実施形態によれば、一次選別の結果物はトラフ本体部36の上方層38で、二次選別の結果物は底層39で搬送処理される。しかしながら、被選別物の搬送処理に関連して、横送りコンベア1及び選別機2の構造はこれに限定されるものではない。例えば、横送りコンベア1及び選別機2は、一次選別の結果物を底層39で、二次選別の結果物を上方層38で搬送処理するような構造を採っても構わない。それぞれの被選別物をトラフ30に設けられたいずれの層で搬送処理するかは、トラフ30に設けられた経路のレイアウトや選別機2、特に昇降部4や光選別部6の構造などに応じて、横送りコンベア1及び選別機2の製造者または利用者が自由に決定することができる。
【0078】
選別機2において、排出ホッパ26~29から排出される原料はすべて、排出ホッパの排出口の略直下に配置された蓋部37の開口部41~44内を通過することが好ましい。しかしながら、外乱の影響によって、原料の一部が開口部41~44を通過せずに蓋部37の面上に飛散してしまう場合があり得る。このような事象の発生に備えて、蓋部37の面上に、飛散した原料を適切な送出口へ達するよう案内する樋66を設けておくことが好ましい。
【0079】
樋66は、蓋部37の面上に飛散した原料を円滑に送出口へ案内する用に供する樋壁68を有する。樋壁68を設けることによって、飛散原料は効率よく送出口の方向Sに搬送される。
【0080】
本実施形態のトラフ30では、飛散原料全体としての品質を二次良品g2に相当するものとみなして、バケットコンベア10へと通じる送出口46を樋66による案内先としている。しかしながら、これに限らず、蓋部37の面上に飛散した原料の案内先となる送出口は任意に定めて構わない。一例として、できるだけ厳格な基準で原料を選別したい場合には、飛散原料の品質を二次不良品b2に相当するものとみなして、バケットコンベア9へと通じる送出口45を樋66の案内先とすることができる。
【0081】
次に、本発明の実施形態を使用した場合における原料の選別処理工程を説明する。選別処理の対象となる原料は、選別機2の低所であって昇降部4の背後に設けられる投入ホッパ13に投入されると、バケットコンベア10により揚送される。揚送された原料は、貯留タンク14に貯留された後、ロータリーバルブ18を介して一定流量でシュート20に供給される。
【0082】
そして、シュート20上を落下する原料は、光選別部6の一次選別部24において光検出部22により検出のうえで選別される。一次良品g1として選別された原料は、排出ホッパ26を介して、横送りコンベア1のトラフ30に設けられる樋31上に落下する。他方、一次不良品b1として選別された原料は、エジェクタ23により弾かれ、排出ホッパ27を介して横送りコンベア1のトラフ30に設けられる樋32上に落下する。
【0083】
樋31上に落下した一次良品g1は、昇降部4のバケットコンベア11に搬送される。その後、一次良品g1はバケットコンベア11によって揚送され、選別機2の高所から外部に延出して設けられる精品排出樋17内を通過して、最終的には精品として選別機2の機外に排出される。
【0084】
一方、樋32上に落下した一次不良品b1は昇降部4のバケットコンベア12に搬送され、その後、一次不良品b1はバケットコンベア12によって揚送される。揚送された一次不良品b1は、貯留タンク15に貯留された後、ロータリーバルブ19を介して一定流量でシュート21に供給される。
【0085】
シュート21上を落下する原料は、光選別部6の二次選別部25において光検出部22により検出のうえで選別される。二次良品g2として選別された原料は、排出ホッパ28を介して、横送りコンベア1のトラフ30に設けられる樋33上に落下する。他方、二次不良品b2として選別された原料は、エジェクタ23により弾かれ、排出ホッパ29を介して横送りコンベア1のトラフ30に設けられる樋34上に落下する。
【0086】
樋33上に落下した二次良品g2は、昇降部4のバケットコンベア10に搬送される。その後、二次良品g2は、投入ホッパ13に新たに投入される原料とともにバケットコンベア10によって揚送される。新たに投入される原料とともに揚送された二次良品b2は、貯留タンク14に貯留され、その後、光選別部6の一次選別部24において再度の選別がなされる。
【0087】
一方、樋34上に落下した二次不良品b2は、昇降部4のバケットコンベア9に搬送される。その後、二次不良品b2はバケットコンベア9によって揚送され、選別機2の高所から外部に延出して設けられる不良品排出樋16内を通過して、最終的には選別機2の機外に排出される。
【0088】
上述の実施形態では、昇降部4として4台のバケットコンベア9~12を隣接配置した選別機を用いている。しかしながら、隣接配置するバケットコンベアの数は適宜変更可能である。また、バケットコンベアは、同等の機能を有する他の昇降装置または昇降手段と変更可能であることはいうまでもない。
【0089】
続いて、図10を参照しながら、本発明に係る横送りコンベアの別の実施形態に関する説明を行う。当該実施形態に用いられるトラフの構造に関する説明を主としてするが、先の実施形態に用いられるトラフ30の構成要素と共通する部品または部分については、同一の参照符号を用いて重複する説明を省略する。これから述べる実施形態は、昇降部4として3台のバケットコンベアを隣接配置した選別機に搭載可能な横送りコンベアの一実施形態ということになる。
【0090】
図10でその分離状態を示すトラフ30もまた、蓋部37及びトラフ本体部36を有し、トラフ本体部36は複数の層、すなわち上方層38及び底層39を含んで構成されている。
【0091】
本実施形態の場合、上方層38には、蓋部37に設けられた開口部43内を通過した二次良品g2を受け取って二次良品g2の送出口46に向けて送り出す搬送経路としての樋33が設けられている。他方、底層39には、開口部41内を通過した一次良品g1を受け取って送出口47に送り出す搬送経路としての樋31、及び、開口部42内を通過した一次不良品b1を受け取って送出口48に送り出す搬送経路としての樋32が設けられている。もっとも、各樋31~33を配置する層及び各樋の具体的な経路の決定については、横送りコンベア1の選別機2内への適切な収容及び原料の円滑な搬送が実現される限りにおいて任意に設計及び形成が可能である。したがって、本実施形態における各樋31~33の配置層及び具体的な経路の形状は、図10に示す構造の例には限定されない。
【0092】
ところで、図10で示す実施形態では、排出ホッパ29から落下する二次不良品b2の通過孔を形成している開口部44が蓋部37の裏面側で排出シュートと連結しているように構成されている。排出シュートは、二次不良品b2を選別機2の機外に排出するための滑動流下経路としての役割を果たす。選別機2が機体本体の低所に不良品排出樋を備えている場合には、排出シュートの下端部すなわち出口側端部が選別機2の不良品排出樋と連結可能に構成してもよい。あるいは、排出シュートの下端部自体が選別機2外に突き出ていて二次不良品b2を選別機2の機外に直接排出できるように、横送りコンベア1及び選別機2を構成してもよい。
【0093】
図10で示すような構造を採るトラフ30を有する横送りコンベア1は、例えば特許文献1で開示したような従来の構造の選別機が有する横送りコンベアの収容スペースに適合するような形状及び寸法で形成される限りにおいて、従来の選別機本体に搭載して使用することができる。すなわち、既存の選別機であっても、搭載すべき横送りコンベアのみを本発明の実施形態に係るものに交換することによって原料搬送効率が向上することとなる。
【0094】
本発明に係る横送りコンベア1のトラフ30が有する階層の数や、各層に設けられる樋の数は、選別機によって実行される選別回数や各選別段階における原料の選別区分数などに応じて任意に決定することができる。トラフ30が有する階層や樋数を増やすことにより、原料の搬送効率を増加させることができる。
【0095】
階層や樋数の増設に伴って横送りコンベア1全体の重量もまた増加し得る。しかしながら、重量の増加に伴う搬送効率の低下を防ぐべく、横送りコンベア1が備える振動機構によって生成される振動数も併せて増加させ、通常の重量のコンベアと比較しての搬送効率の維持及び増大を図ることができる。あるいは、横送りコンベア1を軽量化することによって、振動機構が提供する振動数を過度に増加させなくても所定の搬送効率を維持することができる。横送りコンベア1の軽量化は、例えば、トラフ30の床面や樋壁を部分的に肉抜きすることや、トラフ30を構成する材料に必要な強度を有しつつもできるだけ軽量の材料を用いることによって実現することができる。
【0096】
ここまで、本発明の実施形態の構成及び動作について説明してきたが、本発明は、図面を参照して説明した上述の実施形態に限定されるものではない。添付の特許請求の範囲及びその要旨を逸脱することなく、その構成に対する様々な変更や置換が可能であることは当業者にとって明らかである。
【符号の説明】
【0097】
1 横送りコンベア
2 選別機
4 昇降部
6 光選別部
9~12 バケットコンベア
13 投入ホッパ
14、15 貯留タンク
16 不良品排出樋
17 精品排出樋
18、19 ロータリーバルブ
20、21 シュート
22 光検出部
23 エジェクタ
24 一次選別部
25 二次選別部
26~29 排出ホッパ
30 トラフ
31~34 樋
32a、32b 樋壁
36 トラフ本体部
37 蓋部
38 上方層
39 底層
41~44 開口部
45~48 送出口
53、54 開口部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10