(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023059631
(43)【公開日】2023-04-27
(54)【発明の名称】変圧器
(51)【国際特許分類】
H01F 27/04 20060101AFI20230420BHJP
H01F 30/10 20060101ALI20230420BHJP
【FI】
H01F27/04 Z
H01F30/10 G
H01F30/10 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021169740
(22)【出願日】2021-10-15
(71)【出願人】
【識別番号】502129933
【氏名又は名称】株式会社日立産機システム
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】芥川 和樹
(72)【発明者】
【氏名】椎名 洋悦
【テーマコード(参考)】
5E059
【Fターム(参考)】
5E059JM01
5E059JM02
5E059JM09
(57)【要約】
【課題】バスダクトと変圧器とを接続する設置作業を容易にする変圧器を提供することにある。
【解決手段】変圧器本体と、バスダクトと接続するバスダクト接続用フランンジを備えた変圧器端子箱とを有し、変圧器端子箱は、バスダクトの位置に合わせてバスダクト接続用フランンジの位置を調整する位置調節機構を有する変圧器。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
変圧器本体と、
バスダクトと接続するバスダクト接続用フランジを備えた変圧器端子箱とを有し、
前記変圧器端子箱は、
前記バスダクトの位置に合わせて前記バスダクト接続用フランジの位置を調整する位置調節機構を有する変圧器。
【請求項2】
請求項1に記載の変圧器において、
前記位置調節機構は、前記変圧器端子箱の前記バスダクト接続用フランジ側に取り付けたアダプタである変圧器。
【請求項3】
請求項2に記載の変圧器において、
前記アダプタは、
弾性部と、前記弾性部を締め付ける締め付け部材とを有し、
前記締め付け部材の位置を調整することで、前記バスダクト接続用フランジの位置を調整する機構である変圧器。
【請求項4】
請求項1に記載の変圧器において、
前記変圧器本体は、
タンク内に油に浸した鉄心とコイルを有する変圧器。
【請求項5】
変圧器本体とバスダクトとの間に配置される変圧器端子箱であって、
前記バスダクトと接続するバスダクト接続用フランジと、
前記バスダクトの位置に合わせて前記バスダクト接続用フランジの位置を調整する位置調節機構とを有する変圧器端子箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変圧器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、「変圧器2の高圧側が電線6を介して高圧配電盤3に接続されるとともに、変圧器2の低圧側がバスダクト8(電線が管で覆われたもの)を介して低圧配電盤4に接続されている。」という構成が開示されている(段落番号0002、
図6)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示すように、変圧器とバスダクトとを接続する際に、バスダクト接続用フランジを設ける場合がある。その場合には、変圧器本体のベース下部からバスダクト接続用フランジまでの高さの実寸法と計算値に誤差が生じるという課題がある。これは製缶公差や、変圧器タンクと変圧器カバーを、パッキンを介して取付けしていることが要因である。
【0005】
対策として、バスダクト接続用フランジの高さ寸法に公差を設け、バスダクト側にて高さ調節を施すことが考えられる。しかし、バスダクト側での高さ調節をすると、バスダクトと変圧器を接続する作業を含む変圧器の設置のための工事期間が長くなる。バスダクト側での高さ調節を不要とすることができれば、工事期間の短縮が見込まれる。
【0006】
本発明の目的は、バスダクトと変圧器とを接続する設置作業を容易にする変圧器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の好ましい一例としては、変圧器本体と、バスダクトと接続するバスダクト接続用フランンジを備えた変圧器端子箱とを有し、
前記変圧器端子箱は、前記バスダクトの位置に合わせて前記バスダクト接続用フランンジの位置を調整する位置調節機構を有する変圧器である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、バスダクトと変圧器とを接続する設置作業を容易できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施例1における変圧器端子箱を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明による実施例を、図面を用いて説明する。
【実施例0011】
図1は、実施例1における変圧器端子箱101の一部を示す図である。
【0012】
変圧器端子箱101の上部には、バスダクト接続用フランジ102が配置される。変圧器端子箱101のバスダクト接続用フランジ102の下部には、バスダクトの位置に合わせてバスダクト接続用フランジ102の位置を調整する機構としてのアダプタ103が備えられている。
図1ではバスダクトは省略しているが、
図1の上部にバスダクトがあり、バスダクト接続用フランジ102とバスダクトとはボルトなどで固定され、バスダクトの内部には変圧器本体からの電線が通してある構造である。
【0013】
アダプタ103により、
図1の上下の高さ方向にバスダクト接続用フランジ102の位置を調整できる。
【0014】
アダプタ103には、弾性部としてのスプリング104が溶接にて接合されている。スプリング104の締め付け部材としての固定用ボルト105の締緩によってスプリング104が伸縮し、アダプタ103の高さ調節ができる。その調節により、バスダクト接続用フランジ102とバスダクトとを適正な位置で固定することが可能となる。
【0015】
つまり、バスダクトと変圧器の設置面との間の距離を見て狭い場合には、固定用ボルト105を締め付けることでアダプタ103の上に配置されるバスダクト接続用フランジ102の高さを下方に移動してバスダクト接続用フランジ102の位置を調整できる。また、固定用ボルト105の締め付けを緩めることでアダプタ103の上に配置されるバスダクト接続用フランジ102の高さを上方に移動できる。
【0016】
変圧器を設置する際に、バスダクト接続用フランジ102とバスダクトの間に隙間が存在する場合があっても、アダプタ103により、バスダクト接続用フランジ102の高さ方向の位置をバスダクトと接合できるように調整できる。
【0017】
よって、バスダクト側での高さ調節を不要とすることができ、バスダクトと変圧器とを接続する設置作業を容易にできるため、変圧器の設置作業の工事期間の短縮が可能になる。
【0018】
更に、スプリング104を適正な位置より縮めておくことで、変圧器の高さを短くでき、変圧器を搬入、搬出時の運搬を簡素化することが可能となる。
【0019】
図2Aは、変圧器を上側から見た図である。本実施例における変圧器は、変圧器端子箱101と変圧器本体203を備える。変圧器端子箱101は、図示を省略したバスダクトと接続するバスダクト接続用フランジ102を備える。
【0020】
バスダクト接続用フランジ102には、
図2Aに示すように、固定用ボルトを挿入してバスダクトと接続し、固定できるようする接続用穴が設けられている。
【0021】
3相の高圧側端子204a、204b、204cは、変圧器本体203に入力される3相の入力端子である。3相の低圧側端子204d、204e、204fは、変圧器本体203から出力される3相の入力端子である。
【0022】
図2Bは、変圧器を正面から見た図である。変圧器は、
図2Aと同様に変圧器端子箱101と変圧器本体203を備え、変圧器端子箱101の上部には、バスダクトと接続するバスダクト接続用フランジ102が配置されている。変圧器端子箱101は、変圧器本体203とバスダクトとの間に配置される。
【0023】
図2Bでは省略したが、変圧器端子箱101の左下側から電線が取り込まれる。電線は、変圧器端子箱101の内部空間を通り、3相の高圧側端子204a、204b、204cと接続し、電力が変圧器本体203に供給される。また、変圧器本体203から電力が3相の低圧側端子204d、204e、204fを経由してバスダクトの内部空間に配置される電線を経由して電力が供給される。
【0024】
図2A、
図2Bでは省略してあるが、
図1に示した位置調節機構としてのアダプタは、変圧器端子箱101のバスダクト接続用フランジ102側に取り付けられている。アダプタと対向する下方側には、変圧器本体203の3相の低圧側端子204d、204e、204fが配置される。変圧器端子箱101の内部空間には、バスダクト接続用フランジ102に向かって3相の低圧側端子204d、204e、204fと接続した配線部が取り付けられている。
【0025】
変圧器端子箱101には、扉とその扉を開閉するための取っ手を備える。扉を変圧器本体203の上部側に配置し、その扉を開閉することで、変圧器本体203への配線部などを容易にメンテナンスできる。
【0026】
変圧器端子箱101と変圧器本体203とは、変圧器本体203の上蓋としての変圧器カバーと、変圧器本体203の側面を構成するタンクにおける接続ボルトの一部を使用して接続されている。ここで、変圧器本体203は、具体的には、タンク内に油に浸した鉄心とコイルを有する油入変圧器本体である。
【0027】
変圧器端子箱101とバスダクトを接続する際、バスダクト接続用フランジとバスダクトの間に隙間が存在する場合があったが、それを回避するには、従来では、スペーサ等の挿入により隙間の埋めを行う必要があった。
【0028】
本実施例によれば、スペーサ等の挿入により隙間の埋めを行うなどの作業をすることなく、容易に変圧器端子箱101とバスダクトを接続することができる。