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特開2023-59638人力駆動車用の燃料電池および人力駆動車
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023059638
(43)【公開日】2023-04-27
(54)【発明の名称】人力駆動車用の燃料電池および人力駆動車
(51)【国際特許分類】
   B62M 6/80 20100101AFI20230420BHJP
   H01M 8/00 20160101ALI20230420BHJP
   H01M 8/04 20160101ALI20230420BHJP
   H01M 8/04746 20160101ALI20230420BHJP
   H01M 8/04537 20160101ALI20230420BHJP
   B62M 6/55 20100101ALI20230420BHJP
   B62M 6/90 20100101ALI20230420BHJP
   B62J 43/13 20200101ALI20230420BHJP
   B62J 43/28 20200101ALI20230420BHJP
   B60K 8/00 20060101ALI20230420BHJP
   B62K 19/30 20060101ALI20230420BHJP
   B60L 50/75 20190101ALI20230420BHJP
   B60L 50/71 20190101ALI20230420BHJP
   B60L 50/72 20190101ALI20230420BHJP
   B60L 58/40 20190101ALI20230420BHJP
【FI】
B62M6/80
H01M8/00 Z
H01M8/00 A
H01M8/04 Z
H01M8/04746
H01M8/04537
B62M6/55
B62M6/90
B62J43/13
B62J43/28
B60K8/00
B62K19/30
B60L50/75
B60L50/71
B60L50/72
B60L58/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】29
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021169751
(22)【出願日】2021-10-15
(71)【出願人】
【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 利彦
(72)【発明者】
【氏名】中倉 正裕
【テーマコード(参考)】
3D212
3D235
5H125
5H127
【Fターム(参考)】
3D212BH06
3D235AA23
3D235BB17
3D235CC12
3D235CC15
3D235CC23
3D235CC24
3D235CC33
3D235FF02
3D235HH52
5H125AA18
5H125AC07
5H125AC12
5H125BD12
5H125BD14
5H125FF04
5H125FF09
5H127AB04
5H127AB29
5H127BA02
5H127BA22
5H127BB02
5H127BB12
5H127BB37
5H127CC07
5H127DB66
5H127DC22
5H127EE04
(57)【要約】
【課題】外観の向上に貢献できる人力駆動車用の燃料電池および人力駆動車を提供する。
【解決手段】人力駆動車用の燃料電池は、燃料貯蔵部と、前記燃料貯蔵部に接続された発電部と、前記発電部に接続された蓄電部と、を含み、前記人力駆動車は、前記燃料電池を収容するように構成される収容部を有し、前記燃料貯蔵部、前記発電部、および、前記蓄電部は、一列に並ぶように配置される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人力駆動車用の燃料電池であって、
前記人力駆動車は、前記燃料電池を収容するように構成される収容部を有し、
燃料貯蔵部と、前記燃料貯蔵部に接続された発電部と、前記発電部に接続された蓄電部と、を含み、
前記燃料貯蔵部、前記発電部、および、前記蓄電部は、一列に並ぶように配置される、燃料電池。
【請求項2】
前記人力駆動車は、前記燃料電池から供給される電力によって駆動されるように構成されるドライブユニットをさらに備え、
前記燃料電池は、前記燃料電池が前記収容部に収容された状態において、前記蓄電部が、前記燃料貯蔵部および前記発電部よりも前記ドライブユニットの近くに配置されるように構成される、請求項1に記載の燃料電池。
【請求項3】
前記燃料貯蔵部、前記発電部、および、前記蓄電部がこの順に並んでいる、請求項1または2に記載の燃料電池。
【請求項4】
前記人力駆動車は、ヘッドチューブ、トップチューブ、ダウンチューブ、シートチューブ、シートステイ、チェーンステイ、ステム、フロントフォーク、マッドガード、キャリア、サドル、および、シートポストの少なくとも1つを含み、
前記収容部は、前記ヘッドチューブ、前記トップチューブ、前記ダウンチューブ、前記シートチューブ、前記シートステイ、前記チェーンステイ、および、前記シートポストの少なくとも1つに設けられる、請求項1から3のいずれか一項に記載の燃料電池。
【請求項5】
前記燃料貯蔵部、前記発電部、および、前記蓄電部は、全体として柱体形状をなす、請求項1から4のいずれか一項に記載の燃料電池。
【請求項6】
前記燃料貯蔵部、前記発電部、および、前記蓄電部を収容するハウジングをさらに含み、
前記ハウジングは、前記ハウジングの外部から前記発電部への空気の導入を許容するように構成される吸気孔を有する、請求項1から5のいずれか一項に記載の燃料電池。
【請求項7】
前記吸気孔には、空気清浄化用のフィルタが配置される、請求項6に記載の燃料電池。
【請求項8】
前記発電部および前記蓄電部が本体部を構成し、
前記燃料貯蔵部が前記本体部に対して着脱可能に構成される、
請求項1から7のいずれか一項に記載の燃料電池。
【請求項9】
前記燃料貯蔵部、前記発電部、および、前記蓄電部を収容するハウジングをさらに含み、
前記発電部および前記蓄電部が本体部を構成し、
前記燃料貯蔵部が前記本体部に対して着脱可能に構成され、
前記ハウジングは、前記燃料貯蔵部を保持する保持状態と、前記保持状態を解放する解放状態とに選択的に切り替えられるように構成される保持機構を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の燃料電池。
【請求項10】
車体と、燃料電池と、を備える人力駆動車であって、
前記車体は、
前記燃料電池を収容するように構成される収容部と、
前記車体の外部から前記収容部への空気の導入を許容するように構成される吸気口と、を備える、人力駆動車。
【請求項11】
前記吸気口は、前記車体のうち前記人力駆動車の前方を向く部分に設けられる、請求項10に記載の人力駆動車。
【請求項12】
前記吸気口と前記収容部との間に配置される、空気清浄化用のフィルタをさらに備える、請求項10または11に記載の人力駆動車。
【請求項13】
前記車体は、前記収容部から前記車体の外部への空気の排出を許容するように構成される排気口をさらに備える、請求項10から12のいずれか一項に記載の人力駆動車。
【請求項14】
前記排気口は、前記車体のうち前記人力駆動車の後方を向く部分に設けられる、請求項13に記載の人力駆動車。
【請求項15】
前記吸気口から前記収容部に導入される空気の流量を調整するように構成される調整部をさらに備える、請求項10から14のいずれか一項に記載の人力駆動車。
【請求項16】
前記調整部は、前記燃料電池の発電量に応じて前記収容部に導入される空気の流量を調整するように構成される、請求項15に記載の人力駆動車。
【請求項17】
前記調整部は、電動ファン、可動ルーバー、および、可動シャッタの少なくとも1つを含む、請求項15または16に記載の人力駆動車。
【請求項18】
前記吸気口に設けられるルーバーをさらに備える、請求項10から14のいずれか一項に記載の人力駆動車。
【請求項19】
前記吸気口および前記排気口の少なくとも一方に設けられるルーバーをさらに備える、請求項13または14に記載の人力駆動車。
【請求項20】
前記ルーバーは、前記車体の前方に向かって斜め上向きとなるように配置される、請求項18または19に記載の人力駆動車。
【請求項21】
前記吸気口の近傍に配置される電動ファンをさらに備える、請求項10から14のいずれか一項に記載の人力駆動車。
【請求項22】
前記吸気口および前記排気口の少なくとも一方の近傍に配置される電動ファンをさらに備える、請求項13または14に記載の人力駆動車。
【請求項23】
前記燃料電池は、
発電部および蓄電部を有する本体部と、
前記本体部に対して着脱可能に構成される燃料貯蔵部と、を含み、
前記車体は、前記収容部に対する前記燃料貯蔵部の出し入れを許容する、開閉可能な出し入れ口をさらに備える、請求項10から22のいずれか一項に記載の人力駆動車。
【請求項24】
燃料電池を備える人力駆動車であって、
前記燃料電池は、
発電部および蓄電部を有する本体部と、
前記本体部に対して着脱可能に構成される燃料貯蔵部と、を含み、
前記燃料貯蔵部、前記発電部、および、前記蓄電部は、一列に並ぶように配置され、
前記燃料電池を収容するように構成される収容部と、
前記収容部に対する前記燃料貯蔵部の出し入れを許容する、開閉可能な出し入れ口と、を備える、人力駆動車。
【請求項25】
前記収容部は、前記燃料貯蔵部を保持する保持状態と、前記保持状態を解放する解放状態とに選択的に切り替えられるように構成される保持機構を含む、請求項23または24に記載の人力駆動車。
【請求項26】
燃料電池と二次電池とを選択的に利用可能に構成される人力駆動車であって、
前記人力駆動車は、前記燃料電池と前記二次電池とを選択的に収容するように構成される収容部を有し、
前記燃料電池と前記二次電池とは、実質的に同一の形状を有する接続部をそれぞれ備える、人力駆動車。
【請求項27】
前記燃料電池と前記二次電池とは、実質的に同一の寸法を有する、請求項26に記載の人力駆動車。
【請求項28】
前記燃料電池と前記二次電池とは、実質的に同一の電気的特性を有するように構成される、請求項26または27に記載の人力駆動車。
【請求項29】
前記燃料電池と前記二次電池とは、同一の通信方式を用いて通信を行うように構成される通信部を含む、請求項26から28のいずれか一項に記載の人力駆動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、人力駆動車用の燃料電池および人力駆動車に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に開示される人力駆動車は、燃料電池と、燃料電池から供給される電力によって駆動される電気モータと、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8-119180号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の人力駆動車において、燃料電池は、人力駆動車のフレームの外部に取り付けられる。そのため、外観上の見栄えが良くない。
本開示の目的の1つは、外観の向上に貢献できる人力駆動車用の燃料電池および人力駆動車を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第1側面に従う人力駆動車用の燃料電池は、燃料貯蔵部と、前記燃料貯蔵部に接続された発電部と、前記発電部に接続された蓄電部と、を含み、前記人力駆動車は、前記燃料電池を収容するように構成される収容部を有し、前記燃料貯蔵部、前記発電部、および、前記蓄電部は、一列に並ぶように配置される。
第1側面の燃料電池によれば、燃料電池の構成要素である燃料貯蔵部、発電部、および、蓄電部が、一列に並んだ状態において、人力駆動車の収容部内に収容されるため、人力駆動車の外観が向上する。
【0006】
本開示の第1側面に従う第2側面の燃料電池において、前記人力駆動車は、前記燃料電池から供給される電力によって駆動されるように構成されるドライブユニットをさらに備え、前記燃料電池は、前記燃料電池が前記収容部に収容された状態において、前記蓄電部が、前記燃料貯蔵部および前記発電部よりも前記ドライブユニットの近くに配置されるように構成される。
第2側面の燃料電池によれば、蓄電部がドライブユニットの近くに配置されるので、蓄電部からドライブユニットへの電力供給のための配線を短くできる。
【0007】
本開示の第1側面または第2側面に従う第3側面の燃料電池において、前記燃料貯蔵部、前記発電部、および、前記蓄電部がこの順に並んでいる。
第3側面の燃料電池によれば、燃料が燃料貯蔵部からその燃料貯蔵部に隣り合う発電部に供給され、電力が発電部からその発電部に隣り合う蓄電部に供給される。従って、燃料電池の構成を単純にできる。
【0008】
本開示の第1から第3側面のいずれか1つに従う第4側面の燃料電池において、前記人力駆動車は、ヘッドチューブ、トップチューブ、ダウンチューブ、シートチューブ、シートステイ、チェーンステイ、ステム、フロントフォーク、マッドガード、キャリア、サドル、およびシートポストの少なくとも1つを含み、前記収容部は、前記ヘッドチューブ、前記トップチューブ、前記ダウンチューブ、前記シートチューブ、前記シートステイ、前記チェーンステイ、および、前記シートポストの少なくとも1つに設けられる。
第4側面の燃料電池によれば、人力駆動車のうち、比較的大径かつ長い部分に収容部が設けられるので、収容部として十分な大きさを確保できる。
【0009】
本開示の第1から第4側面のいずれか1つに従う第5側面の燃料電池において、前記燃料貯蔵部、前記発電部、および、前記蓄電部は、全体として柱体形状をなす。
第5側面の燃料電池によれば、燃料電池の形状が単純かつ細長いので、細長い中空の構成要素を多く備えた人力駆動車には、燃料電池を収容するための収容部を容易に設けることができる。
【0010】
本開示の第1から第5側面のいずれか1つに従う第6側面の燃料電池において、前記燃料貯蔵部、前記発電部、および、前記蓄電部を収容するハウジングをさらに含み、前記ハウジングは、前記ハウジングの外部から前記発電部への空気の導入を許容するように構成される吸気孔を有する。
第6側面の燃料電池によれば、吸気孔から発電部へ導入される空気中の酸素を発電に用いることができるとともに、導入される空気によって発電部を冷却できる。
【0011】
本開示の第6側面に従う第7側面の燃料電池において、前記吸気孔には、空気清浄化用のフィルタが配置される。
第7側面の燃料電池によれば、発電部に異物が侵入することが抑制されるので、発電部の汚損、および、汚損に起因する性能上の問題の発生が抑制される。
【0012】
本開示の第1から第7側面のいずれか1つに従う第8側面の燃料電池において、前記発電部および前記蓄電部が本体部を構成し、前記燃料貯蔵部が前記本体部に対して着脱可能に構成される。
第8側面の燃料電池によれば、燃料貯蔵部内の燃料がなくなった場合に、燃料貯蔵部を本体部から取り外して新しい燃料貯蔵部と交換できる。
【0013】
本開示の第1から第5側面のいずれか1つに従う第9側面の燃料電池において、前記燃料貯蔵部、前記発電部、および、前記蓄電部を収容するハウジングをさらに含み、前記発電部および前記蓄電部が本体部を構成し、前記燃料貯蔵部が前記本体部に対して着脱可能に構成され、前記ハウジングは、前記燃料貯蔵部を保持する保持状態と、前記保持状態を解放する解放状態とに選択的に切り替えられるように構成される保持機構を含む。
第9側面の燃料電池によれば、燃料貯蔵部内の燃料がなくなった場合に、燃料貯蔵部を本体部から取り外して新しい燃料貯蔵部と交換できる。第9側面の燃料電池によれば、燃料貯蔵部は、保持機構の保持状態において、ハウジングに好適に保持されるとともに、保持機構の解放状態において、ハウジングから容易に取り出すことができる。
【0014】
本開示の第10側面に従う人力駆動車は、車体と、燃料電池と、を備え、前記車体は、前記燃料電池を収容するように構成される収容部と、前記車体の外部から前記収容部への空気の導入を許容するように構成される吸気口と、を備える。
第10側面の人力駆動車によれば、燃料電池が、人力駆動車の収容部内に収容されるため、人力駆動車の外観が向上する。第10側面の人力駆動車によれば、吸気口から収容部へ導入される空気中の酸素を発電に用いることができるとともに、導入される空気によって燃料電池を冷却できる。
【0015】
本開示の第10側面に従う第11側面の人力駆動車において、前記吸気口は、前記車体のうち前記人力駆動車の前方を向く部分に設けられる。
第11側面の人力駆動車によれば、効率的に空気を収容部に導入できる。
【0016】
本開示の第10側面または第11側面に従う第12側面の人力駆動車は、前記吸気口と前記収容部との間に配置される、空気清浄化用のフィルタをさらに備える。
第12側面の人力駆動車によれば、収容部に異物が侵入することが抑制されるので、燃料電池の汚損、および、汚損に起因する性能上の問題の発生が抑制される。
【0017】
本開示の第10から第12側面のいずれか1つに従う第13側面の人力駆動車において、前記車体は、前記収容部から前記車体の外部への空気の排出を許容するように構成される排気口をさらに備える。
第13側面の人力駆動車によれば、空気が吸気口から収容部を通って排気口へとスムーズに流れることができるので、燃料電池への酸素供給および燃料電池の冷却を効率的に行える。
【0018】
本開示の第13側面に従う第14側面の人力駆動車において、前記排気口は、前記車体のうち前記人力駆動車の後方を向く部分に設けられる。
第14側面の人力駆動車によれば、収容部内の空気を排気口からスムーズに排出できる。
【0019】
本開示の第10から第14側面のいずれか1つに従う第15側面の人力駆動車は、前記吸気口から前記収容部に導入される空気の流量を調整するように構成される調整部をさらに備える。
第15側面の人力駆動車によれば、燃料電池の作動状態に応じて、収容部に導入される空気の流量を調整できる。
【0020】
本開示の第15側面に従う第16側面の人力駆動車において、前記調整部は、前記燃料電池の発電量に応じて前記収容部に導入される空気の流量を調整するように構成される。
第16側面の人力駆動車によれば、燃料電池の発電量に応じて収容部に導入される空気の流量を適切に調整できる。
【0021】
本開示の第15側面または第16側面に従う第17側面の人力駆動車において、前記調整部は、電動ファン、可動ルーバー、および、可動シャッタの少なくとも1つを含む。
第17側面の人力駆動車によれば、電動ファン、可動ルーバー、および、可動シャッタの少なくとも1つによって、収容部に導入される空気の流量を適切に調整できる。
【0022】
本開示の第10から第14側面のいずれか1つに従う第18側面の人力駆動車は、前記吸気口に設けられるルーバーをさらに備える。
第18側面の人力駆動車によれば、ルーバーによって、空気を吸気口から収容部にスムーズに導入できる。
【0023】
本開示の第13側面または第14側面に従う第19側面の人力駆動車は、前記吸気口および前記排気口の少なくとも一方に設けられるルーバーをさらに備える。
第19側面の人力駆動車によれば、ルーバーによって、空気を吸気口から収容部にスムーズに導入できる、または、収容部内の空気を排気口からスムーズに排出できる。
【0024】
本開示の第18側面または第19側面に従う第20側面の人力駆動車において、前記ルーバーは、前記車体の前方に向かって斜め上向きとなるように配置される。
第20側面の人力駆動車によれば、ルーバーによって、吸気口および排気口の少なくとも一方から収容部に泥等の異物が入ることを抑制できる。
【0025】
本開示の第10から第14側面のいずれか1つに従う第21側面の人力駆動車は、前記吸気口の近傍に配置される電動ファンをさらに備える。
第21側面の人力駆動車によれば、電動ファンによって、吸気口から収容部に導入される空気の流量を調整できる。
【0026】
本開示の第13側面または第14側面に従う第22側面の人力駆動車は、前記吸気口および前記排気口の少なくとも一方の近傍に配置される電動ファンをさらに備える。
第22側面の人力駆動車によれば、電動ファンによって、収容部内を流れる空気の流量を調整できる。
【0027】
本開示の第10から第22側面のいずれか1つに従う第23側面の人力駆動車において、前記燃料電池は、発電部および蓄電部を有する本体部と、前記本体部に対して着脱可能に構成される燃料貯蔵部と、を含み、前記車体は、前記収容部に対する前記燃料貯蔵部の出し入れを許容する、開閉可能な出し入れ口をさらに備える。
第23側面の人力駆動車によれば、燃料貯蔵部内の燃料がなくなった場合に、本体部から取り外された燃料貯蔵部を出し入れ口を通じて取り出して新しい燃料貯蔵部と交換できる。
【0028】
本開示の第24側面に従う人力駆動車は、燃料電池を備え、前記燃料電池は、発電部および蓄電部を有する本体部と、前記本体部に対して着脱可能に構成される燃料貯蔵部と、を含み、前記燃料貯蔵部、前記発電部、および、前記蓄電部は、一列に並ぶように配置され、前記燃料電池を収容するように構成される収容部と、前記収容部に対する前記燃料貯蔵部の出し入れを許容する、開閉可能な出し入れ口と、を備える。
第24側面の人力駆動車によれば、燃料電池が、人力駆動車の収容部内に収容されるため、人力駆動車の外観が向上する。第24側面の人力駆動車によれば、燃料貯蔵部内の燃料がなくなった場合に、本体部から取り外された燃料貯蔵部を出し入れ口を通じて取り出して新しい燃料貯蔵部と交換できる。
【0029】
本開示の第23側面または第24側面に従う第25側面の人力駆動車において、前記収容部は、前記燃料貯蔵部を保持する保持状態と、前記保持状態を解放する解放状態とに選択的に切り替えられるように構成される保持機構を含む。
第25側面の人力駆動車によれば、燃料貯蔵部は、保持機構の保持状態において、収容部内に好適に保持されるとともに、保持機構の解放状態において、収容部から容易に取り出すことができる。
【0030】
本開示の第26側面に従う人力駆動車は、燃料電池と二次電池とを選択的に利用可能に構成され、前記人力駆動車は、前記燃料電池と前記二次電池とを選択的に収容するように構成される収容部を有し、前記燃料電池と前記二次電池とは、実質的に同一の形状を有する接続部をそれぞれ備える。
第26側面の人力駆動車によれば、燃料電池が、人力駆動車の収容部内に収容されるため、人力駆動車の外観が向上する。第26側面の人力駆動車によれば、人力駆動車が燃料電池または二次電池のいずれかの接続部に対応する接続受け部を備えていれば、接続受け部を変更することなく、燃料電池および二次電池のいずれか一方を任意に選択して使用できる。
【0031】
本開示の第26側面に従う第27側面の人力駆動車において、前記燃料電池と前記二次電池とは、実質的に同一の寸法を有する。
第27側面の人力駆動車によれば、収容部の大きさを変更することなく、燃料電池および二次電池のいずれも同じ収容部に収容できる。
【0032】
本開示の第26側面または第27側面に従う第28側面の人力駆動車において、前記燃料電池と前記二次電池とは、実質的に同一の電気的特性を有するように構成される。
第28側面の人力駆動車によれば、収容される電池の種類に合わせて電気的な調整を行うことなく、燃料電池および二次電池から供給される電力を使用することができる。
【0033】
本開示の第26から第28側面のいずれか1つに従う第29側面の人力駆動車において、前記燃料電池と前記二次電池とは、同一の通信方式を用いて通信を行うように構成される通信部を含む。
第29側面の人力駆動車によれば、収容される電池の種類に合わせて通信方式を変更することなく、燃料電池および二次電池と通信できる。
【発明の効果】
【0034】
本開示の人力駆動車用の燃料電池および人力駆動車によれば、外観の向上に貢献できる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】第1実施形態に係る、燃料電池を含む人力駆動車の側面図。
図2図1の人力駆動車のダウンチューブの断面図。
図3図2のダウンチューブにおいて、ルーバーが閉じた状態を示す断面図。
図4図2の燃料電池の端部を示す斜視図。
図5図2の5-5線に沿った断面図。
図6】ルーバーに代えてシャッタを有する第1変形例のダウンチューブの断面図。
図7】電動ファンを備える第2変形例のダウンチューブの断面図。
図8】電動ファンを備える第3変形例のダウンチューブの断面図。
図9】第2実施形態に係る燃料電池を収容するダウンチューブの断面図。
図10】第3実施形態に係る燃料電池を収容するダウンチューブの断面図。
【発明を実施するための形態】
【0036】
<第1実施形態>
図1から図8を参照して、第1実施形態に係る人力駆動車用の燃料電池および人力駆動車について説明する。図1に示される人力駆動車10は、少なくとも1つの車輪を有し、少なくとも人力駆動力によって駆動できる乗り物である。人力駆動車10は、例えばマウンテンバイク、ロードバイク、シティバイク、カーゴバイク、ハンドバイク、および、リカンベント等、種々の種類の自転車を含む。人力駆動車10が有する車輪の数は限定されない。人力駆動車10は、例えば1輪車および2輪以上の車輪を有する乗り物も含む。人力駆動車10は、人力駆動力のみによって駆動できる乗り物に限定されない。人力駆動車10は、人力駆動力だけではなく、電気モータの駆動力を推進に利用するイーバイク(e-bike)を含む。イーバイクは、電気モータによって推進が補助される電動アシスト自転車を含む。以下、実施形態において、人力駆動車10を電動アシスト自転車として説明する。
【0037】
本明細書において、以下の方向を示す用語「前(フロント)」、「後ろ(リア)」、「前方」、「後方」、「左」、「右」、「横」、「上方」、および、「下方」、並びに任意の他の類似の方向を示す用語は、人力駆動車10の基準位置(例えば、サドルまたはシート上)においてハンドルバーを向いたライダを基準に決定されるそれらの方向を指す。
【0038】
図1に示されるように、人力駆動車10は、前側車輪12、後側車輪14、ハンドル16、および、駆動機構18を備える。駆動機構18は、クランク20、一対のペダル22、および、チェーン24を含む。クランク20は、クランク軸20Aおよびクランクアーム20Bを含む。人力駆動車10は、ペダル22に加えられた人力駆動力が、クランク20およびチェーン24を介して後側車輪14に伝達されることによって走行する。
【0039】
人力駆動車10は、ヘッドチューブ26、トップチューブ28、ダウンチューブ30、シートチューブ32、シートステイ34、チェーンステイ36、ステム38、フロントフォーク40、マッドガード42、キャリア44、サドル46、および、シートポスト48の少なくとも1つを含む。人力駆動車10は、車体50を備える。
【0040】
車体50は、トップチューブ28、ダウンチューブ30、およびシートチューブ32の少なくとも1つ、シートステイ34、およびチェーンステイ36の少なくとも1つ、ヘッドチューブ26、ならびにフロントフォーク40を有する。ヘッドチューブ26の上端には、ステム38が接続され、ヘッドチューブ26の下端には、フロントフォーク40が接続される。ステム38には、ハンドル16が接続される。フロントフォーク40は、前側車輪12を回転可能に保持する。トップチューブ28は、ヘッドチューブ26とシートチューブ32の上端とを接続する。ダウンチューブ30は、ヘッドチューブ26とシートチューブ32の下端とを接続する。シートチューブ32の内部には、シートポスト48が挿入される。シートポスト48は、上端においてサドル46を支持する。シートステイ34は、シートチューブ32の上端と後側車輪14とを接続する。チェーンステイ36は、シートチューブ32の下端と後側車輪14とを接続する。
【0041】
マッドガード42は、前側車輪12および後側車輪14によって跳ね上げられた泥等がライダまたは車体50にかかることを防止する。キャリア44は、荷物を載せるために用いられる。サドル46は、ライダが着座できるように構成される。
【0042】
図1から図8に示されるように、人力駆動車10は、燃料電池60を備える。燃料電池60は、燃料貯蔵部62と、燃料貯蔵部62に接続された発電部64と、発電部64に接続された蓄電部66と、を含む。燃料貯蔵部62は、例えば、水素等の燃料を圧縮して貯蔵するボンベである。燃料貯蔵部62と発電部64とは、燃料を燃料貯蔵部62から発電部64に供給することが可能なように、互いに接続される。発電部64は、燃料貯蔵部62から供給される燃料と空気中の酸素とを反応させることによって、発電する。発電部64と蓄電部66とは、電力を発電部64から蓄電部66に送ることが可能なように、互いに接続される。発電部64によって発電される電力は、蓄電部66に送られて、蓄電部66に蓄えられる。蓄電部66は、例えば、リチウムイオン電池等の二次電池である。
【0043】
例えば、発電部64は、スタックを備える。スタックは、複数のセルが積層されることによって構成される。複数のセルは、互いに電気的に直列接続される。例えば、各セルは、シート状の膜電極ガス拡散層接合体(MEGA:Membrane Electrode Gas-diffusion Assembly)と、膜電極ガス拡散層接合体の周縁部に接合される樹脂プレートと、導電性を有する板状の一対のセパレータと、を備える。セパレータは、膜電極ガス拡散層接合体および樹脂プレートを厚さ方向に挟む。スタックの種類および材料は、適宜変更できる。スタックの形状、数、および、セルの積層方向は、発電部64の外形に応じて適宜変更できる。
【0044】
発電部64は、スタックに酸素を含む空気を供給するコンプレッサを備えていてもよい。燃料貯蔵部62から供給される水素と、コンプレッサから供給される酸素とがスタック内において化学反応することによって、電気エネルギが生成される。コンプレッサは、発電部64から生成される電気エネルギによって駆動するように構成されてもよい。例えば、発電部64は、コンプレッサがスタックよりも人力駆動車10の前方に設けられるように構成される。燃料貯蔵部62からスタックまでの燃料の供給経路には、水素の供給量を調整する電磁弁が設けられてもよい。発電部64は、スタックを冷却する冷却部を備えていてもよい。例えば、冷却部は、冷媒または水を循環させる流路を備える。発電部64には、スタックの排気を排出する排出経路が設けられてもよい。例えば、スタックは、DC/DCコンバータを介して蓄電部66と電気的に接続される。DC/DCコンバータは、発電部64に設けられてもよく、蓄電部66に設けられてもよい。スタックによって発電された直流電力は、DC/DCコンバータによって所定の電圧まで降圧された後、蓄電部66に供給される。
【0045】
燃料貯蔵部62、発電部64、および、蓄電部66は、一列に並ぶように配置される。例えば、燃料貯蔵部62、発電部64、および、蓄電部66がこの順に並んでいる。燃料貯蔵部62、発電部64、および、蓄電部66は、全体として柱体形状をなす。燃料貯蔵部62、発電部64、および、蓄電部66は、隣り合うもの同士が互いに結合されることによって、1つのユニットを形成する。すなわち、燃料電池60は、燃料電池ユニットとして形成される。燃料電池60の断面形状は、円、楕円、または、多角形であってもよい。燃料電池60の断面形状は、例えば図5に示されるように、円または楕円の一部を切り取ったような形状であってもよい。好ましくは、燃料電池60の直径、または、断面における最大幅は、100mm以下である。
【0046】
図1に示されるように、人力駆動車10は、燃料電池60を収容するように構成される収容部80を有する。収容部80は、ヘッドチューブ26、トップチューブ28、ダウンチューブ30、シートチューブ32、シートステイ34、チェーンステイ36、および、シートポスト48の少なくとも1つに設けられる。収容部80は、人力駆動車10の内部空間に形成され得る。本実施形態において、収容部80は、ダウンチューブ30に設けられる。収容部80は、燃料電池60を保持する保持状態と、保持状態を解放する解放状態とに選択的に切り替えられるように構成される保持機構82を含む。保持機構82は、例えば、ダウンチューブ30の長手方向における収容部80の両端にそれぞれ配置される第1ホルダ82Aおよび第2ホルダ82Bを含む。収容部80に収容された燃料電池60は、第1ホルダ82Aおよび第2ホルダ82Bによってダウンチューブ30内に安定して保持される。第1ホルダ82Aおよび第2ホルダ82Bの少なくとも1つは、ダウンチューブ30の長手方向へ移動可能である。第1ホルダ82Aおよび第2ホルダ82Bの少なくとも1つが燃料電池60から離れる方向へ移動することにより、燃料電池60の保持状態が解放される。第1ホルダ82Aおよび第2ホルダ82Bは、保持機構82の一例であり、保持機構82としては任意の構成を採用し得る。
【0047】
図1に示されるように、例えば、人力駆動車10は、燃料電池60から供給される電力によって駆動されるように構成されるドライブユニット52をさらに備える。ドライブユニット52は、電気モータ等の駆動源を含む。蓄電部66に蓄えられた電力は、ドライブユニット52に供給される。ドライブユニット52は、蓄電部66から供給される電力によって駆動力を発生して、その駆動力をクランク軸20Aに出力する。クランク軸20Aに出力された駆動力は、チェーン24を介して後側車輪14に伝達される。例えば、燃料電池60は、燃料電池60が収容部80に収容された状態において、蓄電部66が、燃料貯蔵部62および発電部64よりもドライブユニット52の近くに配置されるように構成される。
【0048】
本実施形態において、人力駆動車10は、燃料電池60と二次電池とを選択的に利用可能に構成される。人力駆動車10は、燃料電池60と二次電池とを選択的に収容するように構成される収容部80を有する車体50を備える。燃料電池60と二次電池とは、実質的に同一の形状を有する接続部68をそれぞれ備える。燃料電池60と二次電池とは、実質的に同一の寸法を有する。なお、ここで言う二次電池は、蓄電部66を構成し得る二次電池とは異なり、燃料電池60自体を置換し得る。すなわち、人力駆動車10においては、燃料電池60と既存のリチウムイオン電池等の二次電池との互換性が担保されている。これにより、予備電源の選択肢を増やすことができる。
【0049】
図4には、本実施形態における燃料電池60の端部に設けられた接続部68が示されている。接続部68は蓄電部66に結合される。二次電池の端部には、図4に示される接続部68と同様の接続部が設けられる。すなわち、燃料電池60の接続部68は、既存の二次電池の接続部と実質的に同一の形状および寸法を有する。既存の二次電池は、人力駆動車用の二次電池として一般的に流通および利用されている各種の二次電池のうちの任意のものであり得る。接続部68は、電気的な接続のための端子68Aと、機械的な接続のための係合部68Bとを備える。第1ホルダ82Aは、接続部68に取り外し可能に接続される接続受け部を有する。第1ホルダ82Aの接続受け部は、端子68Aと接続されるコネクタと、係合部68Bと係合する突出部と、を備える。第1ホルダ82Aの接続受け部は、燃料電池60の接続部68および二次電池の接続部のいずれであっても、機械的かつ電気的に接続可能である。
【0050】
例えば、燃料電池60と二次電池とは、実質的に同一の電気的特性を有するように構成される。例えば、燃料電池60は、既存の二次電池と同一の定格電圧を有するように構成される。例えば、燃料電池60と二次電池とは、同一の通信方式を用いて通信を行うように構成される通信部70を含む。図2等に示されるように、燃料電池60は通信部70を含む。例えば、燃料電池60の通信部70は、既存の二次電池と同一の通信方式を用いて通信を行うように構成される。例えば、通信部70は、既存の二次電池と同様に、電力線通信(PLC;Power Line Communication)、CAN(Controller Area Network)、または、UART(Universal Asynchronous Receiver/Transmitter)等の通信方式によって、ドライブユニット52および人力駆動車10が備える他のコンポーネントの少なくとも1つと通信可能である。通信部70は、既存の二次電池と同様に、型番等に関する認証情報、および、燃料残量等の情報をドライブユニット52等のコンポーネントに送信できる。
【0051】
図2図3、および、図5に示されるように、車体50は、収容部80に対する燃料電池60および二次電池の出し入れを許容する、開閉可能な出し入れ口84を備える。本実施形態において、出し入れ口84はダウンチューブ30に設けられる。出し入れ口84は、ダウンチューブ30の長手方向において、燃料電池60の長さ以上の長さを有する。出し入れ口84は、開閉カバー86によって開閉可能である。開閉カバー86を開放することによって、収容部80から燃料電池60または二次電池を取り出したり、収容部80に燃料電池60または二次電池を収容したりすることができる。
【0052】
図2および図3に示されるように、例えば、車体50は、車体50の外部から収容部80への空気の導入を許容するように構成される吸気口88を備える。吸気口88は、車体50のうち人力駆動車10の前方を向く部分に設けられる。本実施形態において、吸気口88は、ダウンチューブ30のうち、人力駆動車10の前方かつ斜め下方を向く部分に設けられる。吸気口88は、例えば、ダウンチューブ30の長手方向に延びる長孔である。吸気口88は、ダウンチューブ30の長手方向に間欠的に配置される複数の短孔であってもよい。吸気口88は、ダウンチューブ30の長手方向において、燃料電池60の全体と実質的に対応するように設けられてもよいし、燃料電池60の一部のみと対応するように設けられてもよい。吸気口88は、ダウンチューブ30の長手方向において、少なくとも、燃料電池60のうち比較的発熱量の多い部位と対応するように設けられてもよい。例えば、吸気口88は、ダウンチューブ30の長手方向において、発電部64および蓄電部66のうち、少なくとも発電部64と対応するように設けられてもよい。
【0053】
吸気口88から収容部80へ導入される空気の一部は、発電部64へ供給され、空気中の酸素が発電に用いられる。収容部80へ導入される空気はまた、燃料電池60を冷却するため、特には発電部64および蓄電部66を冷却するために用いられる。例えば、人力駆動車10は、吸気口88と収容部80との間に配置される、空気清浄化用のフィルタ92をさらに備える。車体50の外部から収容部80へ導入される空気がフィルタ92によって清浄化される。フィルタ92は、吸気口88を形成する車体50の内面に取り付けられてもよい。本実施形態では、フィルタ92は、ダウンチューブ30の内面のうち、吸気口88の周囲の部分に取り付けられる。フィルタ92は、燃料電池60の周面の全体または一部を包囲するように、燃料電池60に取り付けられてもよい。フィルタ92は、燃料電池60のうち発電部64のみを包囲するように、燃料電池60に取り付けられてもよい。
【0054】
図2および図3に示されるように、例えば、車体50は、収容部80から車体50の外部への空気の排出を許容するように構成される排気口90をさらに備える。排気口90は、車体50のうち人力駆動車10の後方を向く部分に設けられる。本実施形態において、排気口90は、ダウンチューブ30のうち、人力駆動車10の後方かつ斜め上方を向く部分に設けられる。排気口90は、開閉カバー86に設けられてもよい。排気口90は、例えば、ダウンチューブ30の長手方向に延びる長孔である。排気口90は、ダウンチューブ30の長手方向において、燃料電池60の全体と実質的に対応するように設けられてもよいし、燃料電池60の一部のみと対応するように設けられてもよい。排気口90は、ダウンチューブ30の長手方向において、少なくとも、燃料電池60の一端を含む部位と対応するように設けられてもよい。排気口90は、ダウンチューブ30の長手方向において、少なくとも、燃料電池60の下端を含む部位と対応するように設けられてもよい。図2に示す例では、排気口90は、ダウンチューブ30の長手方向において、発電部64および蓄電部66と対応するように設けられる。排気口90は、ダウンチューブ30の長手方向において、蓄電部66のみと対応するように設けられてもよい。吸気口88から収容部80へ導入された空気は、発電部64への酸素の供給および発電部64等の冷却に用いられた後に、排気口90から排出される。
【0055】
図2および図3に示されるように、例えば、人力駆動車10は、吸気口88および排気口90の少なくとも一方に設けられるルーバー94をさらに備える。好ましくは、人力駆動車10は、吸気口88に設けられるルーバー94をさらに備える。本実施形態においては、ルーバー94が吸気口88および排気口90にそれぞれ設けられる。ルーバー94は、車体50の前方に向かって斜め上向きとなるように配置される。ルーバー94の各々は、ダウンチューブ30の長手方向に一列に並ぶように配置された複数の羽板94Aを有する。各羽板94Aは、ダウンチューブ30に支持された基端を有する。排気口90に設けられたルーバー94の羽板94Aは、開閉カバー86に支持された基端を有してもよい。図2に示されるように、吸気口88に設けられたルーバー94の羽板94Aは、基端から車体50の前方に向かって斜め上向きに延びる。排気口90に設けられたルーバー94の羽板94Aは、基端から車体50の後方に向かって斜め下向きに延びる。
【0056】
ルーバー94の羽板94Aは、図2に示される開放位置と、図3に示される閉鎖位置との間を回動可能である。すなわち、ルーバー94は可動ルーバーである。羽板94Aは、開放位置において吸気口88または排気口90を開放し、閉鎖位置において吸気口88または排気口90を閉じる。羽板94Aは、最大開放位置と閉鎖位置との間の任意の開放位置に配置されることも可能である。羽板94Aの開放位置を変更することによって、吸気口88または排気口90の開放量が調節される。羽板94Aは、手動で回動されるように構成されてもよいし、電動で回動されるように構成されてもよい。吸気口88および排気口90の各々に設けられたルーバー94において、全ての羽板94Aが連動して回動するように構成されてもよいし、各羽板94Aが独立して回動するように構成されてもよい。羽板94Aは、一定の開放位置に固定されていてもよい。すなわち、ルーバー94は、固定ルーバーであってもよい。ルーバー94は、可動ルーバーと固定ルーバーとの組み合わせであってもよい。開放位置と閉鎖位置との間を回動可能な可動ルーバー94は、吸気口88または排気口90を閉鎖可能な可動シャッタであるとも言える。
【0057】
図6に示されるように、人力駆動車10は、可動ルーバー94に代えてまた加えて、開放位置と閉鎖位置との間をスライド可能な可動シャッタ96を備えてもよい。可動シャッタ96は、例えば、ダウンチューブ30の長手方向と直交する方向に移動可能である。可動シャッタ96は、手動でスライドするように構成されてもよいし、電動でスライドするように構成されてもよい。図6には、吸気口88を開閉する可動シャッタ96が示されるが、排気口90を開閉する可動シャッタが設けられてもよい。可動シャッタ96は、最大開放位置と閉鎖位置との間の任意の開放位置に配置されることも可能である。可動シャッタ96の開放位置を変更することによって、吸気口88または排気口90の開放量が調節される。可動または固定ルーバー94が吸気口88および排気口90の一方に設けられ、可動シャッタ96が吸気口88および排気口90の他方に設けられてもよい。
【0058】
図7および図8に示されるように、例えば、人力駆動車10は、吸気口88および排気口90の少なくとも一方の近傍に配置される電動ファン98をさらに備えてもよい。好ましくは、人力駆動車10は、吸気口88の近傍に配置される電動ファン98をさらに備える。本実施形態においては、電動ファン98は吸気口88の近傍および排気口90の近傍にそれぞれ配置される。電動ファン98は、収容部80を通る空気の流量を調節するために用いられる。吸気口88の近傍に配置される電動ファン98は、吸気口88から収容部80への空気の導入を促進するとともに、収容部80を通って排気口90に向かう空気の流れを促進する。排気口90の近傍に配置される電動ファン98は、収容部80を通って排気口90に向かう空気の流れを促進するとともに、排気口90から人力駆動車10の外部への空気の排出を促進する。吸気口88の近傍に配置される電動ファン98は、図7に示されるように、ダウンチューブ30内における収容部80の上方に配置されてもよく、図8に示されるように、吸気口88に取り付けられてもよい。排気口90の近傍に配置される電動ファン98は、排気口90に取り付けられてもよい。
【0059】
図2図3、および、図5から図8に示されるように、例えば、人力駆動車10は、吸気口88から収容部80に導入される空気の流量を調整するように構成される調整部100をさらに備える。例えば、調整部100は、燃料電池60の発電量に応じて収容部80に導入される空気の流量を調整するように構成される。例えば、調整部100は、電動ファン98、可動ルーバー94、および、可動シャッタ96の少なくとも1つを含む。電動ファン98、可動ルーバー94、および、可動シャッタ96の少なくとも1つが調整部100に含まれる場合、電動ファン98、可動ルーバー94、および、可動シャッタ96の各々は、空気の流量を調整するための電気モータまたは電磁ソレノイド等の電動アクチュエータを含む。電動アクチュエータには、発電部64または蓄電部66から電力が供給される。
【0060】
調整部100は、制御回路102をさらに含む。調整部100が可動ルーバー94を含む場合、制御回路102は、燃料電池60の発電量を監視し、発電量に応じて、可動ルーバー94を制御する。例えば、燃料電池60の発電量が多い場合には、発電部64において消費される酸素の量が多くなり、発電部64等の温度も上昇する。よって、制御回路102は、収容部80内に導入される空気の流量を増加させるために、可動ルーバー94の開度を大きくする。可動ルーバー94の開度を変更することに代えて、制御回路102は、燃料電池60の発電量に応じて、可動ルーバー94を開放位置と閉鎖位置との2つの位置のいずれかに移動させてもよい。制御回路102は、吸気口88に設けられたルーバー94と排気口90に設けられたルーバー94とを個別に制御してもよいし、一律に制御してもよい。燃料電池60の温度を検出するセンサを収容部80に配置してもよい。制御回路102は、燃料電池60の発電量および温度の少なくとも1つに応じて、可動ルーバー94を制御してもよい。
【0061】
調整部100が可動シャッタ96を含む場合、制御回路102は、燃料電池60の発電量および温度の少なくとも1つに応じて、可動シャッタ96を制御する。可動シャッタ96の制御方法は、上記した可動ルーバー94の制御方法と同様であってもよい。
【0062】
調整部100が電動ファン98含む場合、制御回路102は、燃料電池60の発電量および温度の少なくとも1つに応じて、電動ファン98を制御する。例えば、制御回路102は、燃料電池60の発電量および温度の少なくとも1つに応じて、電動ファン98を動作状態と停止状態との間で切り替えてもよいし、電動ファン98の回転速度を制御してもよい。複数の電動ファン98を設ける場合には、複数の電動ファン98を個別に制御してもよいし、一律に制御してもよい。
【0063】
<第2実施形態>
図9を参照して、第2実施形態について説明する。第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0064】
図9に示されるように、本実施形態では、燃料電池60は、発電部64および蓄電部66を有する本体部72と、本体部72に対して着脱可能に構成される燃料貯蔵部62と、を含む。例えば、収容部80は、燃料貯蔵部62を保持する保持状態と、保持状態を解放する解放状態とに選択的に切り替えられるように構成される保持機構112を含む。燃料貯蔵部62は、例えば、カートリッジ式のボンベである。保持機構112は、例えば、ダウンチューブ30の長手方向における収容部80の両端に配置される第1ホルダ112Aおよび第2ホルダ112Bを含む。第1ホルダ112Aは、燃料電池60の接続部68に接続される接続受け部を有する固定ホルダである。第2ホルダ112Bは、ダウンチューブ30の長手方向へ移動可能な可動ホルダである。
【0065】
保持機構112の保持状態において、第2ホルダ112Bは燃料貯蔵部62に接触する位置に配置される。これにより、燃料貯蔵部62は、本体部72に接続された状態に維持される。保持機構112の解放状態において、第2ホルダ112Bは燃料貯蔵部62から離れた位置に配置される。これにより、燃料貯蔵部62を本体部72から取り外すことが可能になる。保持機構112は、燃料貯蔵部62を保持状態にロックするための任意のロック機構を含んでもよい。本体部72は、燃料貯蔵部62を本体部72に対して堅固に固定するための任意の固定機構を有してもよい。
【0066】
図9に示されるように、保持機構112は、サイズの異なる燃料貯蔵部62を保持できるように構成されてもよい。例えば、図9に2点鎖線で示すように、比較的小さい長さを有する燃料貯蔵部62を使用する場合には、比較的大きい長さを有する燃料貯蔵部62を使用する場合と比較して、第2ホルダ112Bが第1ホルダ112Aに対してより近い位置に配置される。
【0067】
図5および図6に示されるように、人力駆動車10は、収容部80に対する燃料貯蔵部62の出し入れを許容する、開閉可能な出し入れ口84を備える。例えば、車体50は、収容部80に対する燃料貯蔵部62の出し入れを許容する、開閉可能な出し入れ口84をさらに備える。本実施形態において、出し入れ口84はダウンチューブ30に設けられる。出し入れ口84は、ダウンチューブ30の長手方向において、燃料貯蔵部62の長さ以上の長さを有する。出し入れ口84は、開閉カバー86によって開閉可能である。開閉カバー86を開放することによって、収容部80から燃料貯蔵部62を取り出したり、収容部80に燃料貯蔵部62を収容したりすることができる。
【0068】
<第3実施形態>
図10を参照して、第3実施形態について説明する。第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0069】
図10に示されるように、本実施形態では、燃料電池60は、燃料貯蔵部62、発電部64、および、蓄電部66を収容するハウジング120をさらに含む。ハウジング120は、ハウジング120の外部から発電部64への空気の導入を許容するように構成される吸気孔122を有する。例えば、吸気孔122には、空気清浄化用のフィルタ124が配置される。例えば、発電部64および蓄電部66が本体部72を構成する。燃料貯蔵部62が本体部72に対して着脱可能に構成される。例えば、ハウジング120は、燃料貯蔵部62を保持する保持状態と、保持状態を解放する開放状態とに選択的に切り替えられるように構成される保持機構126を含む。
【0070】
ハウジング120は、車体50の内部に収容され、任意の固定機構によって車体50に固定される。ハウジング120は、車体50に取り外し可能に取り付けられてもよい。ハウジング120は、例えば、本体部72を収容する円筒部128と、燃料貯蔵部62を収容する半円筒部130とを備える。円筒部128のうち、発電部64を収容する部分には、吸気孔122およびフィルタ124が設けられる。フィルタ124は発電部64の周囲に配置される。蓄電部66を収容する円筒部128の部分にも吸気孔122が設けられてもよい。円筒部128は、給電等のための電気的接続を可能とする接続部を有する。半円筒部130は、燃料貯蔵部62をハウジング120に対して出し入れできるように構成される。
【0071】
保持機構126は、例えば、円筒部128内に配置される第1ホルダ126Aと、半円筒部130内に配置される第2ホルダ126Bと、を含む。第1ホルダ126Aは、本体部72に結合される固定ホルダである。第2ホルダ126Bは、半円筒部130の長手方向へ移動可能な可動ホルダである。保持機構126の保持状態において、第2ホルダ126Bは燃料貯蔵部62に接触する位置に配置される。これにより、燃料貯蔵部62は、第1ホルダ126Aを介して本体部72に接続された状態に維持される。保持機構126の解放状態において、第2ホルダ126Bは燃料貯蔵部62から離れた位置に配置される。これにより、燃料貯蔵部62を本体部72から取り外すことが可能になる。
【0072】
保持機構126は、サイズの異なる燃料貯蔵部62を保持できるように構成されてもよい。第1ホルダ126Aに対する第2ホルダ126Bの位置を変更することによって、長さの異なる燃料貯蔵部62を保持することができる。
【0073】
出し入れ口84は、第2実施形態と同様に、ダウンチューブ30の長手方向において、燃料貯蔵部62の長さ以上の長さを有する。
吸気口88から収容部80内に導入される空気は、吸気孔122を通ってハウジング120内の発電部64に供給される。発電部64への酸素の供給および発電部64等の冷却に用いられた空気は、排気口90から排出される。
【0074】
<変形例>
各実施形態に関する説明は、本開示に従う人力駆動車用の燃料電池および人力駆動車が取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本開示に従う人力駆動車用の燃料電池および人力駆動車は、例えば以下に示される各実施形態の変形例、および、相互に矛盾しない少なくとも2つの変形例が組み合わせられた形態を取り得る。以下の変形例において、実施形態の形態と共通する部分については、実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0075】
・吸気口88および排気口90には、ルーバー94および可動シャッタ96が設けられなくてもよい。この場合、吸気口88および排気口90は、例えば、メッシュ状の孔、スリット状の孔、または、ハニカム状の孔であってもよい。
【0076】
・燃料貯蔵部62、発電部64、および、蓄電部66の並び順は、適宜変更可能である。例えば、燃料貯蔵部62と発電部64との間に蓄電部66が配置されてもよいし、発電部64と蓄電部66との間に燃料貯蔵部62が配置されてもよい。
【0077】
・燃料電池60は、燃料貯蔵部62から発電部64へ燃料を供給するパイプをさらに備えてもよい。発電部64は、パイプ内を流れる燃料によって冷却されるように構成されてもよい。パイプには、放熱用のフィンが設けられてもよい。
【0078】
本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、所望の選択肢の「1つ以上」を意味する。一例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、選択肢の数が2つであれば「1つの選択肢のみ」または「2つの選択肢の双方」を意味する。他の例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、選択肢の数が3つ以上であれば「1つの選択肢のみ」または「2つ以上の任意の選択肢の組み合わせ」を意味する。
【符号の説明】
【0079】
10…人力駆動車、26…ヘッドチューブ、28…トップチューブ、30…ダウンチューブ、32…シートチューブ、34…シートステイ、36…チェーンステイ、38…ステム、40…フロントフォーク、42…マッドガード、44…キャリア、46…サドル、48…シートポスト、50…車体、52…ドライブユニット、60…燃料電池、62…燃料貯蔵部、64…発電部、66…蓄電部、68…接続部、70…通信部、72…本体部、80…収容部、82,112,126…保持機構、84…出し入れ口、88…吸気口、90…排気口、94…ルーバー、96…可動シャッタ、98…電動ファン、100…調整部、120…ハウジング、122…吸気孔。
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