(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023059661
(43)【公開日】2023-04-27
(54)【発明の名称】ラベルの製造方法
(51)【国際特許分類】
G09F 1/08 20060101AFI20230420BHJP
G09F 3/00 20060101ALI20230420BHJP
【FI】
G09F1/08 L
G09F3/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021169782
(22)【出願日】2021-10-15
(71)【出願人】
【識別番号】591186888
【氏名又は名称】株式会社トッパンインフォメディア
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】小池 庸介
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼山 寛貴
(57)【要約】
【課題】ラベル基材以外の支持基材を用いなくとも、ラベルの製造時に挿入孔(貫通穴)の抜き取り廃材が脱落せず、自動装着装置への抜き取り廃材の混入を防ぐことができるラベルの製造方法を提供すること。
【解決手段】容器の首部に装着するための挿入孔を有するラベルの製造方法であって、第1面及び前記第1面とは反対側の第2面を有するシート状のラベル基材に、挿入孔の輪郭を形成する切込み工程、及び前記シート状のラベル基材から、前記挿入孔の輪郭により囲まれる内側のラベル基材の部分を取り除く中抜き工程を含み、前記切込み工程は、前記挿入孔の輪郭の少なくとも一部の厚さが前記シート状のラベル基材の厚さより薄くなるように、前記シート状のラベル基材をハーフカットすることを含む、ラベルの製造方法。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の首部に装着するための挿入孔を有するラベルの製造方法であって、
第1面及び前記第1面とは反対側の第2面を有するシート状のラベル基材に、挿入孔の輪郭を形成する切込み工程、及び
前記シート状のラベル基材から、前記挿入孔の輪郭により囲まれる内側のラベル基材の部分を取り除く中抜き工程
を含み、
前記切込み工程は、前記挿入孔の輪郭の少なくとも一部の厚さが前記シート状のラベル基材の厚さより薄くなるように、前記シート状のラベル基材をハーフカットすることを含む、ラベルの製造方法。
【請求項2】
前記切込み工程は、少なくとも一方のロールの外周に抜き刃が設けられた一対のロールの間に前記シート状のラベル基材を供給し、前記抜き刃により、前記挿入孔の輪郭の少なくとも一部の厚さが前記シート状のラベル基材の厚さより薄くなるように、前記シート状のラベル基材をハーフカットすることを含む、請求項1に記載のラベルの製造方法。
【請求項3】
前記切込み工程は、前記ラベルの外形の輪郭を形成するため、前記抜き刃により、前記シート状のラベル基材の前記第1面と前記第2面の間を貫通する外形輪郭切込み線をさらに形成することを含む、請求項2に記載のラベルの製造方法。
【請求項4】
前記抜き刃において、前記ラベルの外形の輪郭を形成する第1部分の刃高さよりも、前記ラベルの挿入孔の輪郭を形成する第2部分の刃高さが短く、前記第1部分と前記第2部分の刃高さの差が0.01mm~0.03mmである、請求項3に記載のラベルの製造方法。
【請求項5】
前記切込み工程は、前記シート状のラベル基材に前記容器の首部から前記ラベルの離脱を阻止するための少なくとも一つの係止部を規定するため、前記抜き刃により、前記シート状のラベル基材の前記第1面と前記第2面の間を貫通する少なくとも一つの係止部切込み線をさらに形成することを含む、請求項2~4のいずれか1項に記載のラベルの製造方法。
【請求項6】
前記中抜き工程は、シリンダーによる打ち抜き又はエアーノズルによる噴射により、前記シート状のラベル基材から前記ラベルの前記挿入孔の輪郭により囲まれる内側のラベル基材の部分を取り除くことを含む、請求項1~5のいずれか1項に記載のラベルの製造方法。
【請求項7】
前記シート状のラベル基材が紙製である、請求項1~6のいずれか1項に記載のラベルの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラベルの製造方法に関する。とりわけ、本発明は、容器の首部に装着するための挿入孔を有するラベルとして、特にはラベルを一枚ずつ繰り出してビンやボトル等の容器の首部に装着する自動装着装置において好適に用いられるラベルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、コンビニエンスストアやスーパー等の陳列棚に並べる清涼飲料水や酒類、調味料等の各種商品の販売促進用として、販促情報を表示したキャンペーンシールやポップラベルなどがその容器に使用されている。特に、ポップラベルについては、ビンやボトル等の容器の首部に使用されることが多く、ラベル形状のシート片に挿入孔を形成し容器の首部を嵌入させて係止するようにしたものや、首部を嵌入させる切れ目を形成したラベルが知られている。
【0003】
このようなラベルの製造方法として、一般には、高速で多量に生産が行えるように、一枚のシートから複数枚のラベルを一度に加工している。また、ラベルをビンやボトルといった容器の首部に使用する場合は、例えば、自動装着装置などを用いてラベルを一枚ずつ容器の首部まで自動供給して自動的に装着することで、短時間にたくさんの容器にラベルを装着することが行われている。
【0004】
例えば、特許文献1(特表2004-529042号公報)には、下記工程を含む、多層の印刷された折り曲げリーフレット又はラベルの製造方法が開示されている:両面を有し、長手軸のあるシート材料のウェブを用意し;このウェブ材料の片面または両面に印刷し;そしてウェブ材料をこの材料の長手軸に平行にすじ折りして、一続きの連結した多層ラベル又はリーフレットを形成する。当該製造方法の利点として、実質的なコスト削減が挙げられている。
【0005】
また、特許文献2(特開2017-037248号公報)には、長尺帯状の支持基材の表面に長尺帯状のラベル基材原反が剥離可能に接着された長尺積層体を準備する工程、前記長尺積層体のラベル基材原反の面内に、その長さ方向に所定間隔を開けて平面視環状の切り目を形成する工程、前記平面視環状の切り目で囲われた領域を支持基材から剥離して除去することにより、前記ラベル基材原反に首掛けラベルの挿通孔を形成する工程、前記長尺積層体のラベル基材原反の面内に、前記各挿通孔に対応してラベル外形に沿った切込み線を形成することにより、支持基材の長さ方向に複数の首掛けラベルが所定間隔を開けて剥離可能に接着された首掛けラベル連続体を作製する工程を有する首掛けラベル連続体の製造方法が開示されている。当該製造方法によれば、支持基材に打ち抜き孔などが生じず、ラベリング装置を用いて円滑に且つ連続的に首掛けラベルを容器に装着できる首掛けラベル連続体を製造することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2004-529042号公報
【特許文献2】特開2017-037248号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1には、ラベルをワインボトルなどのネック部に「ひっかける」ことによりラベルをボトルのネック部から吊り下げるのに使用できる貫通穴を形成しうる多層ラベルの製造方法が開示されている。一般に、このような吊り下げラベルは、ラベルをダイカット(型打抜き)等により、円形切取り部を形成し、これを取り除いて円形の穴(貫通穴)を形成する。しかし、一般に、貫通穴はラベルを貫通するように切り取られるため、切り取られた廃棄材料が製造ライン内に脱落し、装置を停止させる、又は製品に混入するなどの不良の原因になることがある。
【0008】
一方、特許文献2に開示されるラベル連続体の製造方法は、長尺帯状の支持基材の表面に長尺帯状のラベル基材原反が剥離可能に接着された長尺積層体を準備し、前記長尺積層体のラベル基材原反の面内に、その長さ方向に所定間隔を開けて平面視環状の切り目を形成し、前記平面視環状の切り目で囲われた領域を支持基材から剥離して除去することにより、前記ラベル基材原反に首掛けラベルの挿通孔を形成する、というものである。この場合、支持基材とラベル基材原反が接着されていれば、切り取られた領域の脱落をある程度防ぐことができる。しかし、ラベル基材原反とは別に支持基材を必要とするため、コストが高くなり、また製造工程で多量の廃棄物が発生してしまう。
【0009】
本発明は上記問題点に鑑み完成されたものであり、一実施形態において、ラベル基材以外の支持基材を用いなくとも、ラベルの製造時に挿入孔(貫通穴)の抜き取り廃材が脱落せず、自動装着装置への抜き取り廃材の混入を防ぐことができるラベルの製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは鋭意検討した結果、シート状のラベル基材に、ラベル基材の厚さよりも薄くなるように、挿入孔の輪郭を形成し、さらに後続の工程で当該輪郭により囲まれる内側の部分を取り除くことにより、別段の支持基材を用いなくとも、挿入孔の抜き取り廃材を適切に取り除くことができ、上記課題を解決できることを見出した。本発明は上記知見に基づき完成されたものである。
【0011】
したがって、本発明は一側面において、容器の首部に装着するための挿入孔を有するラベルの製造方法であって、第1面及び前記第1面とは反対側の第2面を有するシート状のラベル基材に、挿入孔の輪郭を形成する切込み工程、及び前記シート状のラベル基材から、前記挿入孔の輪郭により囲まれる内側のラベル基材の部分を取り除く中抜き工程を含み、前記切込み工程は、前記挿入孔の輪郭の少なくとも一部の厚さが前記シート状のラベル基材の厚さより薄くなるように、前記シート状のラベル基材をハーフカットすることを含む、ラベルの製造方法である。
【0012】
本発明の一実施形態において、前記切込み工程は、少なくとも一方のロールの外周に抜き刃が設けられた一対のロールの間に前記シート状のラベル基材を供給し、前記抜き刃により、前記挿入孔の輪郭の少なくとも一部の厚さが前記シート状のラベル基材の厚さより薄くなるように、前記シート状のラベル基材をハーフカットすることを含むことができる。
【0013】
本発明の一実施形態において、前記切込み工程は、前記ラベルの外形の輪郭を形成するため、前記抜き刃により、前記シート状のラベル基材の前記第1面と前記第2面の間を貫通する外形輪郭切込み線をさらに形成することを含むことができる。
【0014】
本発明の一実施形態において、前記抜き刃において、前記ラベルの外形の輪郭を形成する第1部分の刃高さよりも、前記ラベルの挿入孔の輪郭を形成する第2部分の刃高さが短く、前記第1部分と前記第2部分の刃高さの差を0.01mm~0.03mmとすることができる。
【0015】
本発明の一実施形態において、前記切込み工程は、前記シート状のラベル基材に前記容器の首部から前記ラベルの離脱を阻止するための少なくとも一つの係止部を規定するため、前記抜き刃により、前記シート状のラベル基材の前記第1面と前記第2面の間を貫通する少なくとも一つの係止部切込み線をさらに形成することを含むことができる。
【0016】
本発明の一実施形態において、前記中抜き工程は、シリンダーによる打ち抜き又はエアーノズルによる噴射により、前記シート状のラベル基材から前記ラベルの前記挿入孔の輪郭により囲まれる内側のラベル基材の部分を取り除くことを含むことができる。
【0017】
本発明の一実施形態において、前記シート状のラベル基材が紙製であると、本発明の方法を好適に適用することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明のラベルの製造方法によれば、ラベル基材以外の支持基材を用いなくとも、ラベルの製造時に挿入孔の抜き取り廃材が脱落せず、自動装着装置への抜き取り廃材の混入を防ぐことができる。これにより、ラベルの製造装置や自動装着装置の稼働率を向上させることができ、故障のリスクを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、本発明のラベルの製造方法の一実施形態における製造工程を説明するための概略図である。
【
図2】
図2は、本発明のラベルの製造方法の一実施形態で用いられる、シート状のラベル基材の一例を模式的に示した平面図である。
【
図3】
図3(A)は、本発明のラベルの製造方法の一実施形態の切込み工程の一例を説明するための概略図であり、
図3(B)は本発明のラベルの製造方法の一実施形態における抜き刃を断面的に表した部分的な模式図であり、
図3(C)は本発明のラベルの製造方法の一実施形態における挿入孔の輪郭及び外形輪郭切込み線を断面的に表した模式図であり、
図3(D)は本発明のラベルの製造方法の一実施形態における挿入孔の輪郭及び外形輪郭切込み線を平面的に表した模式図である。
【
図4】
図4は、本発明のラベルの製造方法の一実施形態において適用されるラベルの一例を模式的に示した平面図である。
【
図5】
図5は、本発明のラベルの製造方法の一実施形態における中抜き工程の一例を説明するための概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、適宜設計の変更、改良等が加えられることが理解されるべきである。なお、本発明の各実施形態を説明する図面における寸法、縮尺、角度などは、理解に資するために便宜上示すものであり、実際の寸法、縮尺、角度などを示すとは限らない。
【0021】
図1は、本発明のラベルの製造方法の一実施形態における製造工程を説明するための概略図である。
図1に示されるように、本発明のラベルの製造方法は一実施形態において、容器の首部に装着するための挿入孔121を有するラベル12の製造方法であって、第1面11a及び第1面11aとは反対側の第2面11bを有するシート状のラベル基材11に、ラベル12の挿入孔121の輪郭331を形成する切込み工程3、及びシート状のラベル基材11から、ラベル12の挿入孔121の輪郭331により囲まれる内側のラベル基材11の部分122(以下、「抜き取り廃材122」とも呼ぶ。)を取り除く中抜き工程4を含む。さらに、本実施形態において、切込み工程3より前に、シート状のラベル基材11を載置台に複数載置し、複数のシート状のラベル基材11の積層物からシート状のラベル基材11を一枚ずつ繰り出すシート供給工程1と、シート供給工程1から繰り出されたシート状のラベル基材11を所定の位置まで搬送ベルトによって搬送する搬送工程2を実施することができ、中抜き工程4の後に、シート状のラベル基材11のラベル12以外の抜き取り廃材123を取り除く廃材除去工程5と、ラベル12を回収するラベル回収工程6を実施することができる。
【0022】
本実施形態において、シート状のラベル基材11は、実質単層のシート状からなるが、他の実施形態において、多層構造のものを使用することもできる。シート状のラベル基材11の材質としては特に限定されることはなくラベル12として使用できるものであればよい。シート状のラベル基材11の材質の例としては、紙、合成紙、PP(ポリエチレン)やPE(ポリエステル)などのポリオレフィン系、PET(ポリエチレンテレフタレート)などのポリエステル系、PS(ポリスチレン)やPA(ポリアミド)などの剛性樹脂性シート等を好適に使用することができる。シート状のラベル基材11の厚みは特に限定されないが、強度などの観点から50μm以上であることが好ましく、150μm以上であることがより好ましく、170μm以上であることがさらにより好ましい。一方、シート状のラベル基材11の厚みは、コストや扱いやすさの観点から、300μm以下が好ましく、250μm以下であることがより好ましく、230μm以下であることがさらにより好ましい。シート状のラベル基材11は、必ずしも1種類の材質からなる単層のシートである必要はなく、2種類以上の材質のシートを積層したものであってもよいが、この場合であっても、積層されたシートを実質的に単層のものとして、シート状のラベル基材11に用いればよい。
【0023】
シート状のラベル基材11の片面もしくは両面には、必要により(商品の消費者などに)情報を伝達するための絵柄や文字等の印刷を施してもよい。その印刷方式としては、例えば平板式印刷法(オフセット印刷等)、凹版式印刷法(彫刻凹版印刷やグラビア印刷等)、孔版式印刷法(シルクスクリーン印刷等)、デジタル印刷法(IJP、乾式トナー、湿式トナー等)を使用できる。また印刷に用いるインキとしては、アクリルやセルロースといった樹脂等に着色剤を分散したインキが挙げられる。そうした着色剤としては、無機顔料(酸化チタン、カーボンブラック、銅など)、パール顔料、アルミ粉といったものを使用可能である。絵柄や文字の印刷層の厚さは本発明の効果を阻害しない限り、特に限定されないが、例えば0.5μm以上、より好ましくは1μm以上とすることができ、また、10μm以下、より好ましくは3μm以下の範囲とすることができる。
【0024】
また、シート状のラベル基材11又はその印刷層の上には、滑り性や耐磨耗性を与えるためにニス層を適用してもよい。ニス層の材質は、製造方式や滑り性、光沢度や光透過性、意匠性などを考慮し適宜選択することができる。ニス層の材質としては例えば、OPニスや油性ニス、水性ニス、UV硬化型ニス、その他特殊ニスといったものが挙げられる。ニス層の厚さは本発明の効果を阻害しない限り、特に限定されないが、例えば0.5μm以上、より好ましくは1μm以上とすることができ、また、10μm以下、より好ましくは3μm以下の範囲とすることができる。
【0025】
図2は、本発明のラベルの製造方法の一実施形態で用いられる、シート状のラベル基材11の一例を模式的に示した平面図である。
図2によると、高速で多量のラベルの生産が可能になるように、一枚のシート状のラベル基材11に複数のラベル12が面付けされている。シート状のラベル基材11の寸法及びラベルの面付け数は特に制限されるものではないが、
図2の実施形態では、シート状のラベル基材11の「幅方向×長手方向」に対し「5×4個」のラベル12が印刷により面付けされている。
【0026】
本実施形態では、シート状のラベル基材11が載置台に複数載置され、複数のシート状のラベル基材11が積層された積層物からシート状のラベル基材11を一枚ずつ繰り出すシート供給工程1が実施される。例えば、載置台にセットされたシート状のラベル基材11の積層物から最上部の1枚をエアーで吸引し、搬送ベルトに送り出すシートフィーダー装置を用いて、シート供給工程1を実施することができる。
【0027】
本実施形態では、シート供給工程1から繰り出されたシート状のラベル基材11を所定の位置まで搬送ベルトによって搬送する搬送工程2が実施される。シート供給工程1から繰り出されたシート状のラベル基材11は搬送ベルトによって切込み工程3に送られる。
【0028】
上記のように、シート供給工程1及び搬送工程2を実施することにより、シート状のラベル基材11を連続的かつ高速に切込み工程3に送ることができ、高速で多量のラベルの生産が可能であるが、本発明の他の実施形態において、シート状のラベル基材11を他の任意の手法により切込み工程3に送ることもできる。
【0029】
本実施形態では、第1面11a及び第1面11aとは反対側の第2面11bを有するシート状のラベル基材11に、ラベル12の挿入孔121(
図4、5参照)の輪郭331を形成する切込み工程3が実施される。切込み工程3では、ラベル12の挿入孔121の輪郭331の少なくとも一部の厚さがシート状のラベル基材11の厚さより薄くなるように、シート状のラベル基材11をハーフカットする。これは、挿入孔121に切込み線を形成する切込み工程3と、挿入孔121の輪郭331により囲まれる内側のラベル基材11の部分122を取り除く中抜き工程4が通常異なる位置で行われることを考慮し、中抜き工程4の実施を容易にしつつ、搬送中に挿入孔121の輪郭331により囲まれる内側のラベル基材11の部分(抜き取り廃材)122が脱落しないようにするためである。切込み工程3で抜き取り廃材122が脱落してしまうと、脱落した抜き取り廃材122が装置内に蓄積されてしまい、搬送されるシートと接触し、装置内で詰まりが発生してしまう恐れがある。
【0030】
より具体的には、シート状のラベル基材11として紙基材を使用する場合、一般的に紙の繊維が20μm~100μmの太さであるため、挿入孔121の輪郭331の位置に太い繊維が多量に存在すると、シート状のラベル基材11から挿入孔121の抜き取り廃材122の分離が妨げられ、ラベル12に残存し、自動装着装置を用いてビンやボトル等の容器の首部にラベル12を装着するときに、装着不良を起こしてしまう恐れがある。一方、ハーフカットにせず貫通させてしまうと、抜き取り廃材122が製造工程中に脱落し、製造ラインに混入してしまい、製品不良や製造ラインの停止などが生じてしまう恐れがある。ハーフカットにより挿入孔121の輪郭331を形成することで、紙の繊維の一部が切断されるため、シリンダーによる打ち抜き又はエアーノズルによる噴射により、容易に抜き取り廃材122を除去することができる。したがって、好ましくは、ラベル12の挿入孔121の輪郭331の厚さが全体的にシート状のラベル基材11の厚さより薄くなるように、シート状のラベル基材11のハーフカットが行われる。なお、挿入孔121の輪郭331の厚さとは、ハーフカット後に残された輪郭331の厚さを意味する。
【0031】
なお、本実施形態において、挿入孔121の輪郭331は連続しているが、本発明の他の実施形態において、挿入孔121の輪郭331は不連続(例えば、点線状)であってもよい。その場合、挿入孔121の輪郭331の一部の厚さのみがシート状のラベル基材11の厚さより薄くなるように、シート状のラベル基材11がハーフカットされ、残りの部分がカットされないことになる。ただし、前述のように、挿入孔121の輪郭331の位置に太い繊維の存在を避けることが好ましい観点から、挿入孔121の輪郭331の長さの80%以上がハーフカットされていることが好ましく、90%以上がハーフカットされていることがさらにより好ましく、95%以上がハーフカットされていることがさらにより好ましく、98%以上がハーフカットされていることがさらにより好ましく、100%(すなわち全部)がハーフカットされていることがさらにより好ましい。挿入孔121の輪郭331は100%(すなわち全部)がハーフカットされていることが最も好ましいが、ハーフカットされない部分を存在させる場合、カットされない一箇所当たりの長さが0.6mm以下、より好ましくは0.3mm以下であると、挿入孔121の輪郭331の位置に太い繊維が存在しても、これを部分的に切断することができるため好ましい。
【0032】
シート状のラベル基材11にラベル12の挿入孔121を形成する方法は特に限定されるものではなく、例えば、ビク刃、ピナクル(登録商標)刃、金型、抜き型を使用することが可能であり、また、レーザー光やマシニングセンターといった機械での切削方法を使用することができる。
【0033】
本実施形態では、切込み工程3において、少なくとも一方のロール31の外周にピナクル刃等の抜き刃33が設けられた一対のロール(31、32)の間にシート状のラベル基材11を供給し、抜き刃33により、ラベル12の挿入孔121の輪郭331の少なくとも一部の厚さがシート状のラベル基材11の厚さより薄くなるように、シート状のラベル基材11をハーフカットする。また、本実施形態では、切込み工程3において、一対のロール(31、32)の間をシート状のラベル基材11が通過するに際して、ラベル12の外形の輪郭332を形成するために、ラベル基材11の第1面11aと第2面11bの間を貫通する外形輪郭切込み線を形成することができる。
【0034】
図3は、本発明のラベルの製造方法の一実施形態における、切込み工程3の一例を模式的に示した概略図である。
図3(A)はロール31の外周に抜き刃33が設けられた一対のロール(31、32)の間にシート状のラベル基材11が供給された状態を示している。
図3(B)はロール31の外周に設けられた抜き刃33を断面的に表した部分的な模式図である。抜き刃33には、シート状のラベル基材11の第1面11aと第2面11bの間を貫通でき、ラベル12の外形の輪郭332に沿った形状を有する刃高さd1の第1部分と、ラベル12の外形の輪郭332を形成する刃高さd1よりも短く、ラベル12の挿入孔121の輪郭331を形成する刃高さd2の第2部分が設けられている。
【0035】
抜き刃33は、好ましくは、ラベル12の外形の輪郭332を形成する第1部分の刃高さd1よりも、ラベル12の挿入孔121の輪郭331を形成する第2部分の刃高さd2が短く、第1部分と第2部分の刃高さの差が0.01mm以上であることが好ましく、また、0.03mm以下が好ましく、0.02mm以下であることがより好ましい。なお、本実施形態において、第1部分及び第2部分はいずれも便宜上抜き刃33の一部として扱われるが、第1部分及び第2部分は必ずしも物理的に一体を形成しなくてもよい。
【0036】
図3(C)は、シート状のラベル基材11に形成されたラベル12の挿入孔121の輪郭331及びラベル12の外形の輪郭332に形成された外形輪郭切込み線を断面的に表した模式図であり、
図3(D)はシート状のラベル基材11に形成されたラベル12の挿入孔121の輪郭331及び外形輪郭切込み線を平面的に表した模式図である。挿入孔121の輪郭331は、シート状のラベル基材11の厚さを0.01mm以上、また、0.03mm以下、好ましくは0.02mm以下残してハーフカットすることにより形成されている。ハーフカット後に残された部分は0.01mmより薄くなると、シート状のラベル基材11の搬送時に抜き取り廃材122が脱落してしまう。一方、0.03mmより厚くすると、シリンダーによる打ち抜き又はエアーノズルによる噴射により、シート状のラベル基材11からラベル12の挿入孔121の輪郭331により囲まれる内側のラベル基材11の部分122を取り除いて挿入孔121を形成するにあたり、十分に除去することができない場合がある。
【0037】
本実施形態では、切込み工程3において、一対のロール(31、32)の間をシート状のラベル基材11が通過するに際して、シート状のラベル基材11に、容器の首部からラベル12の離脱を阻止するための少なくとも一つの係止部を規定するため、抜き刃33により、シート状のラベル基材11の第1面11aと第2面11bの間を貫通する少なくとも一つの係止部切込み線をさらに形成することが好ましい。
図4は、シート状のラベル基材11に形成されたラベル12に係止部(231、232)を規定するため、係止部切込み線(211、212、221、222)を設けた一例を模式的に示した平面図である。
【0038】
切込み工程3で挿入孔121の輪郭331、及び任意的には外形輪郭切込み線及び係止部切込み線が形成されたシート状のラベル基材11は、搬送ベルトによって中抜き工程4に送られ、中抜き工程4で、シート状のラベル基材11からラベル12の挿入孔121の輪郭331により囲まれる内側のラベル基材11の部分122が取り除かれる。搬送ベルトは、シート状のラベル基材11に面付けされた各ラベル12の両側縁部をベルト対の間に挟んでラベル12を搬送する上下一対ずつのベルト手段を備えることができ、これにより、切込み線が形成されたシート状のラベル基材11からラベル12の搬送ズレを防ぎ、また後述のように、ラベル12の挿入孔121の輪郭331により囲まれる内側のラベル基材11の部分122を搬送ベルトの下方へ取り除くことができる。
【0039】
図5は、本発明のラベルの製造方法の一実施形態における中抜き工程4の一例を説明するための概略図である。中抜き工程4は、シート状のラベル基材11からラベル12の挿入孔121の輪郭331により囲まれる内側のラベル基材11の部分122をシリンダーによる打ち抜き又はエアーノズルによる噴射により、除去する工程である。
図5(A)では、シート状のラベル基材11からラベル12の挿入孔121の輪郭331により囲まれる内側のラベル基材11の部分(抜き取り廃材)122を抜き取るために、エアーノズル41からエアーを挿入孔121に吹き付け、ラベル12から抜き取り廃材122を分離、除去している。これにより、挿入孔121が形成された、ラベル12を得ることができる(
図5(B))。抜き取り廃材122の分離及び除去は、生産効率を考慮して、搬送ベルトで長手方向に搬送されるシート状のラベル基材11の幅方向1列を一度に取り除くようにするとよい。
図2を参照すると、シート状のラベル基材11の長手方向に4つ、幅方向に5つ面付けされたラベル12に対し、幅方向に配列した5つのラベル12から抜き取り廃材122を一度に分離、除去するようにするとよい。
【0040】
中抜き工程4の後、廃材除去工程5でシート状のラベル基材11からラベル12以外の抜き取り廃材123を取り除くことができ、ラベル回収工程6でラベル12を回収することができる。回収されたラベル12は、清涼飲料水や酒類、調味料等の容器の首部に装着して使用することができる。
【実施例0041】
以下、本発明及びその利点をより良く理解するための実施例を例示するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0042】
(実施例1)
上質紙の四六4切(サイズ:545mm×394mm、厚み:170μm、定量米坪:約160g/m2)を用意し、上質紙の一方面(表面)に絵柄や文字等の表面印刷を、オフセット印刷装置を用いて行った。その印刷インキとして、T&K(株)製オフセット用UVインキ(プロセスインキ)を用いて、表面印刷層を厚さ約1.5μmで形成した。その後、表面ニスとして東洋インキ(株)製FDカルトンを用い、表面印刷層上に厚さ約2.0μmで被覆した。
【0043】
同様に、上質紙の他方面(裏面)に絵柄や文字等の裏面印刷層を厚さ約1.5μmとなるように設け、裏面ニスとして東洋インキ(株)製FLASHDRYを用い、裏面印刷層上に表面同様厚さ約2.0μmで被覆し、
図2に示すシート状のラベル基材11を作製した。
【0044】
実施例1では、前述のシート供給工程1~ラベル回収工程6を順に実施した。ロール31にフレキシブルピナクルダイを装着し、
図4に示す切込み線を設けたラベル12を作製した。ラベルサイズは74×60mm、挿入孔121は楕円とし長径30mm、短径10mmとした。挿入孔121はシート状のラベル基材11の厚さを約10μm残すようにハーフカットして切込み線を形成した。また、係止部231、232を規定する切込み線211、212の長さは5mm、切込み線221、222の長さは40mmとした。
【0045】
(実施例2)
実施例1と同様にラベル12を作製した。ただし、挿入孔121はラベル基材11の厚さを約20μm残すようにハーフカットして切込み線で形成した。
【0046】
(実施例3)
実施例1と同様にラベル12を作製した。ただし、挿入孔121はラベル基材11の厚さを約5μm残すようにハーフカットして切込み線で形成した。
【0047】
(実施例4)
実施例1と同様にラベル12を作製した。ただし、挿入孔121はラベル基材11の厚さを約30μm残すようにハーフカットして切込み線で形成した。
【0048】
(評価)
搬送性:切込み工程3から中抜き工程4の間に、挿入孔121から抜き取り廃材122が脱落しているかを確認した。
中抜き性:中抜き工程4において、約0.6MPaのエアー圧力を挿入孔121に吹きかけることにより中抜きが十分にできているかを確認した。
ラベリング性:自動装着装置(株式会社トッパンインフォメディア、商品名「TLN-800」)のスタッカー部分にラベル12を500枚積層し、60m/minの速度でラベル12を繰り出し、ラベリング時に抜き取り廃材122が混入しているかを確認した。
【0049】
評価結果を表1に示す。評価を示す記号の意味は以下のとおりである。
◎:良品率99.5%以上
○:良品率99.5%未満99%以上
△:良品率99%未満95%以上
×:良品率95%未満90%以上
【0050】
【0051】
各実施例はいずれも、搬送性、中抜き性とも大きな問題がなく、ラベリング性も良好であった。実施例3はわずかではあるが搬送中に中抜きの脱落がみられ、また、実施例4はわずかではあるが中抜き不良がみられ、ラベリング時に抜き取り廃材122の混入が生じたが、実施例3、4とも良品率は95%以上と良好であった。