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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023059750
(43)【公開日】2023-04-27
(54)【発明の名称】ケースレスコンデンサの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01G 4/32 20060101AFI20230420BHJP
   H01G 2/10 20060101ALI20230420BHJP
   H01G 4/224 20060101ALI20230420BHJP
【FI】
H01G4/32 550
H01G2/10 R
H01G4/32 301F
H01G4/32 540
H01G4/32 311Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021169938
(22)【出願日】2021-10-15
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹岡 宏樹
(72)【発明者】
【氏名】井上 透
【テーマコード(参考)】
5E082
【Fターム(参考)】
5E082AB04
5E082HH27
5E082HH47
(57)【要約】
【課題】ケースを備えず、かつ封止部の外面に対するバスバーの位置精度を向上させることができるケースレスコンデンサの製造方法を提供する。
【解決手段】ケースレスコンデンサ1の製造方法は、一対のバスバー2が接続され、金属板3に固定されたコンデンサ素子10を、成形型5のキャビティ50に載置して、金属板3を成形型5に接触させる第1工程と、キャビティ50に樹脂4を注入し、樹脂4中にコンデンサ素子10を埋没させるとともに、一対のバスバー2の各々の一部を樹脂4から突出させた状態で、樹脂4を硬化させることによって成形品1を得る第2工程と、成形品1を成形型5から取り出す第3工程と、を含む。成形型5は、キャビティ50において金属板3が接触する接触面6と、金属板3の接触面6に沿った移動を規制する規制部7と、を有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のバスバーが接続され、金属板に固定されたコンデンサ素子を、成形型のキャビティに載置して、前記金属板を前記成形型に接触させる第1工程と、
前記キャビティに樹脂を注入し、前記樹脂中に前記コンデンサ素子を埋没させるとともに、前記一対のバスバーの各々の一部を前記樹脂から突出させた状態で、前記樹脂を硬化させることによって成形品を得る第2工程と、
前記成形品を前記成形型から取り出す第3工程と、を含み、
前記成形型は、前記キャビティにおいて前記金属板が接触する接触面と、前記金属板の前記接触面に沿った移動を規制する規制部と、を有する、
ケースレスコンデンサの製造方法。
【請求項2】
前記コンデンサ素子と前記金属板との間に絶縁層が介在し、前記絶縁層によって前記コンデンサ素子が前記金属板に固定されている、
請求項1に記載のケースレスコンデンサの製造方法。
【請求項3】
前記規制部が、前記接触面の外周の少なくとも一部に存在し、かつ前記キャビティに向かって突出するガイド部を含む、
請求項1又は2に記載のケースレスコンデンサの製造方法。
【請求項4】
前記金属板が、前記金属板の厚さ方向に貫通する貫通孔を有し、
前記規制部が、前記貫通孔に嵌合する嵌合ピンを含む、
請求項1~3のいずれか1項に記載のケースレスコンデンサの製造方法。
【請求項5】
前記金属板が、前記接触面に対向する面に開口する非貫通孔を有し、
前記規制部が、前記非貫通孔に嵌合する嵌合凸部を含む、
請求項1~4のいずれか1項に記載のケースレスコンデンサの製造方法。
【請求項6】
前記規制部が、前記金属板の外側面の少なくとも一部に接触する壁部を含む、
請求項1~5のいずれか1項に記載のケースレスコンデンサの製造方法。
【請求項7】
前記金属板が、平坦部と、前記平坦部の外周の少なくとも一部から前記コンデンサ素子側に突出し、前記コンデンサ素子に接触する突出片と、を有する、
請求項1~6のいずれか1項に記載のケースレスコンデンサの製造方法。
【請求項8】
前記コンデンサ素子は、第1平坦面と、前記第1平坦面の反対側の第2平坦面と、前記第1平坦面及び前記第2平坦面をつなぐ第1湾曲面と、前記第1平坦面及び前記第2平坦面をつなぎ、第1湾曲面の反対側の第2湾曲面と、を有し、
前記金属板は、前記第2平坦面に対向する平坦部と、前記平坦部につながり、前記第1湾曲面に沿って湾曲する第1湾曲部と、前記平坦部につながり、前記第2湾曲面に沿って湾曲する第2湾曲部と、を有する、
請求項1~7のいずれか1項に記載のケースレスコンデンサの製造方法。
【請求項9】
前記金属板が、前記接触面に対向する面の反対側の面から前記コンデンサ素子側に突出し、前記コンデンサ素子に接触する突出部を有する、
請求項1~8のいずれか1項に記載のケースレスコンデンサの製造方法。
【請求項10】
前記金属板が磁性金属板であり、
前記磁性金属板を吸引する磁石が前記成形型の前記接触面に存在する、
請求項1~9のいずれか1項に記載のケースレスコンデンサの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般にケースレスコンデンサの製造方法に関し、より詳細には樹脂を用いたケースレスコンデンサの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、乾式金属化フィルムコンデンサが開示されている。この乾式金属化フィルムコンデンサは、一対の金属化フィルムを重ね合せて巻回し、両端面にメタリコン金属を溶射して電極引出部を形成したコンデンサ素子に外部引出し線を接合し、コンデンサ素子を樹脂ケース内に収納し熱硬化性樹脂を充填、硬化してなる。上記乾式金属化フィルムコンデンサでは、外部引出し線をコンデンサ素子側に屈曲する鍵型形状とし、外部引出し線のL形部分に支持板を嵌挿し、樹脂ケース内に収納しかつ固定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-049040号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の乾式金属化フィルムコンデンサでは、熱硬化性樹脂の他に樹脂ケース及び支持板が用いられているため、軽量化しにくいという問題があった。また特許文献1の乾式金属化フィルムコンデンサでは、樹脂ケースの外面に対する外部引出し線の位置精度について特に検討がなされていない。
【0005】
本開示の目的は、ケースを備えず、かつ封止部の外面に対するバスバーの位置精度を向上させることができるケースレスコンデンサの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係るケースレスコンデンサの製造方法は、一対のバスバーが接続され、金属板に固定されたコンデンサ素子を、成形型のキャビティに載置して、前記金属板を前記成形型に接触させる第1工程と、前記キャビティに樹脂を注入し、前記樹脂中に前記コンデンサ素子を埋没させるとともに、前記一対のバスバーの各々の一部を前記樹脂から突出させた状態で、前記樹脂を硬化させることによって成形品を得る第2工程と、前記成形品を前記成形型から取り出す第3工程と、を含む。前記成形型は、前記キャビティにおいて前記金属板が接触する接触面と、前記金属板の前記接触面に沿った移動を規制する規制部と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、ケースを備えず、封止部の外面に対するバスバーの位置精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1Aは、第1実施形態に係るケースレスコンデンサの製造方法の一工程を示す概略平面図である。図1Bは、同上のケースレスコンデンサの製造方法の一工程を示す概略正面図である。
図2図2Aは、同上のケースレスコンデンサの製造方法の一工程を示す概略平面図である。図2Bは、同上のケースレスコンデンサの製造方法の一工程を示す概略破断正面図である。
図3図3Aは、同上のケースレスコンデンサの製造方法の一工程を示す概略平面図である。図3Bは、同上のケースレスコンデンサの製造方法の一工程を示す概略破断正面図である。
図4図4Aは、同上のケースレスコンデンサを示す概略平面図である。図4Bは、同上のケースレスコンデンサを示す概略正面図である。図4Cは、同上のケースレスコンデンサを示す概略斜視図である。
図5図5Aは、第2実施形態に係るケースレスコンデンサの製造方法の一工程を示す概略平面図である。図5Bは、同上のケースレスコンデンサの製造方法の一工程を示す概略破断正面図である。
図6図6Aは、第3実施形態に係るケースレスコンデンサの製造方法の一工程を示す概略平面図である。図6Bは、同上のケースレスコンデンサの製造方法の一工程を示す概略破断正面図である。図6Cは、図6BのC部分の概略拡大断面図である。
図7図7Aは、第4実施形態に係るケースレスコンデンサの製造方法の一工程を示す概略平面図である。図7Bは、同上のケースレスコンデンサの製造方法の一工程を示す概略破断正面図である。
図8図8Aは、第5実施形態に係るケースレスコンデンサの製造方法の一工程を示す概略平面図である。図8Bは、同上のケースレスコンデンサの製造方法の一工程を示す概略破断正面図である。
図9図9Aは、第6実施形態に係るケースレスコンデンサの製造方法の一工程を示す概略平面図である。図9Bは、同上のケースレスコンデンサの製造方法の一工程を示す概略破断正面図である。
図10図10Aは、第7実施形態に係るケースレスコンデンサの製造方法の一工程を示す概略平面図である。図10Bは、同上のケースレスコンデンサの製造方法の一工程を示す概略破断正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
1.概要
まず本実施形態に係るケースレスコンデンサ1の概要について、図面を参照して説明する。各図は模式的な図であり、図中の各構成要素の大きさは必ずしも実際の寸法を反映しているとは限らない。なお、図中に「上」、「下」、「左」、「右」、「前」及び「後」を規定する矢印を図示しているが、これらの矢印は、説明の都合上図示しているだけであり、ケースレスコンデンサ1の方向を限定する趣旨ではなく、実体を伴わない。また以下において、「平面視」とは、上下方向に沿って視ることを意味し、「側面視」とは、左右方向に沿って視ることを意味し、「正面視」とは、前後方向に沿って視ることを意味する。
【0010】
図4A図4Cに示すように、ケースレスコンデンサ1は、コンデンサ素子10と、一対のバスバー2と、金属板3と、封止部40と、を備える。
【0011】
コンデンサ素子10は、巻回型又は積層型である。本実施形態では、巻回型のコンデンサ素子10を使用している。巻回型のコンデンサ素子10は、金属化フィルムを巻回して形成される。積層型のコンデンサ素子10は、金属化フィルムを積層して形成される。
【0012】
コンデンサ素子10は、第1端面電極11と、第2端面電極12と、を有する。第1端面電極11及び第2端面電極12は、金属被複層で形成されている。金属被複層は、例えば金属溶射法により形成される。第1端面電極11及び第2端面電極12は、コンデンサ素子10の前後方向の両端に設けられている。すなわち、第1端面電極11は、コンデンサ素子10の前端に設けられている。第2端面電極12は、コンデンサ素子10の後端に設けられている。
【0013】
一対のバスバー2は、第1バスバー21及び第2バスバー22である。第1バスバー21及び第2バスバー22は、上下方向に延びる導電性部材である。第1バスバー21は、第1端面電極11に接続されている。第2バスバー22は、第2端面電極12に接続されている。第1バスバー21及び第2バスバー22は、前後方向に並んで、上下方向に平行に配置されている。
【0014】
金属板3は、コンデンサ素子10の下方に配置されている。金属板3は、絶縁層42を介してコンデンサ素子10に対向している。絶縁層42は、電気絶縁性を有する。このように、金属板3とコンデンサ素子10との間に絶縁層42が介在することで、金属板3は、第1端面電極11及び第2端面電極12のいずれにも接触していない。
【0015】
封止部40は、コンデンサ素子10を封止している。すなわち、封止部40にコンデンサ素子10が埋没している。本実施形態では、封止部40は、直方体状をなす。具体的には、封止部40は、上面40aと、下面40bと、左面40cと、右面40dと、前面40eと、後面40fと、を有する。上面40aから一対のバスバー2が上方に突出している。下面40bから金属板3が下方に向かって露出している。
【0016】
一対のバスバー2間に電圧を印加することにより、ケースレスコンデンサ1を充電することができる。
【0017】
ここで、封止部40の左右方向の長さをW、前後方向の長さをL、及び上下方向の長さをHとする。バスバー2と封止部40の左面40cとの距離をWL、及びバスバー2と封止部40の右面40dとの距離をWRとすると、WL+WR=Wである。第1バスバー21と封止部40の前面40eとの距離をLF、第1バスバー21と第2バスバー22との距離をL0、及び第2バスバー22と封止部40の後面40fとの距離をLBとすると、LF+L0+LB=Lである。
【0018】
ケースレスコンデンサ1を製造する場合、封止部40の外面に対するバスバー2の位置精度は高いほど好ましい。具体的に言えば、ケースレスコンデンサ1を繰り返し製造する場合、上記の距離WL、WR、LF及びLBの各々は一定であることが好ましい。つまり、製造される複数のケースレスコンデンサ1について、バスバー2の位置のばらつきを可能な限り最小限に抑えたい。ただし、ケースレスコンデンサ1の仕様は様々であるので、WL=WRである必要はなく、LF=LBである必要もない。なお、距離L0は、コンデンサ素子10の寸法に依存し得るが、コンデンサ素子10の寸法は一定にしやすいので、距離L0は一定にしやすい。
【0019】
特にケースレスコンデンサ1を製造する場合、封止部40を形成するときに、上記の距離WL、WR、LF及びLBの少なくともいずれかが変化し得ると考えられる。そこで、このような変化を抑制すべく、本発明者らは、鋭意研究を続けた結果、以下のようなケースレスコンデンサ1の製造方法を開発した。
【0020】
すなわち、本実施形態に係るケースレスコンデンサ1の製造方法は、以下の第1~3工程を含む。
【0021】
第1工程では、図2A及び図2Bに示すように、部品100(一対のバスバー2が接続され、金属板3に固定されたコンデンサ素子10)を、成形型5のキャビティ50に載置して、金属板3を成形型5に接触させる。ここで、成形型5は、キャビティ50において金属板3が接触する接触面6と、金属板3の接触面6に沿った移動を規制する規制部7と、を有する。
【0022】
第2工程では、図3A及び図3Bに示すように、キャビティ50に樹脂4を注入し、樹脂4中にコンデンサ素子10を埋没させるとともに、一対のバスバー2の各々の一部を樹脂4から突出させた状態で、樹脂4を硬化させることによって成形品1を得る。
【0023】
第3工程では、成形品1を成形型5から取り出す。成形型5から取り出された成形品1がケースレスコンデンサ1である(図4A図4C参照)。
【0024】
本実施形態では、図3A及び図3Bに示すように、キャビティ50に樹脂4を注入する際、成形型5の規制部7によって、金属板3の接触面6に沿った移動が規制される。これにより、金属板3は、最初に載置された適正な位置(接触面6が占める領域)にとどまりやすい。またコンデンサ素子10は、あらかじめ金属板3に固定されているので、コンデンサ素子10も、最初に配置された適正な位置にとどまりやすい。また一対のバスバー2は、あらかじめコンデンサ素子10に接続されているので、一対のバスバー2も、最初に配置された所定の位置にとどまりやすい。
【0025】
したがって、本実施形態によれば、ケースを備えず、かつ封止部40の外面に対するバスバー2の位置精度を向上させることができる。具体的に言えば、ケースレスコンデンサ1を繰り返し製造する場合、上記の距離WL、WR、LF及びLBの各々を一定にしやすくなる。つまり、製造される複数のケースレスコンデンサ1について、バスバー2の位置のばらつきを可能な限り最小限に抑え得る。
【0026】
2.詳細
(1)第1実施形態
以下、第1実施形態に係るケースレスコンデンサ1の製造方法について、図面を参照して説明する。本実施形態に係るケースレスコンデンサ1の製造方法は、第1工程(部品載置工程)、第2工程(樹脂注入工程)、及び第3工程(脱型工程)を含む。
【0027】
<第1工程>
第1工程は、部品載置工程である。すなわち、第1工程は、図2A及び図2Bに示すように、部品100を成形型5のキャビティ50に載置して、金属板3を成形型5に接触させる工程である。以下では、まず部品100及び成形型5について説明する。なお、第1工程では、一対のバスバー2を治具(図示省略)で保持する必要はない。
【0028】
≪部品≫
部品100は、図1A及び図1Bに示すように、コンデンサ素子10と、一対のバスバー2と、金属板3と、を有する。一対のバスバー2は、コンデンサ素子10に接続されている。コンデンサ素子10は、金属板3に固定されている。
【0029】
コンデンサ素子10は、既述のとおりである。本実施形態では、コンデンサ素子10は、正面視角丸長方形をなし、前後方向に延びる立体形状をなす。コンデンサ素子10の外面は、第1端面電極11及び第2端面電極12を除き、電気絶縁性を有する。コンデンサ素子10は、第1平坦面10aと、第2平坦面10bと、第1湾曲面10cと、第2湾曲面10dと、を有する。
【0030】
第1平坦面10aは、上方を向く平坦な面である。
【0031】
第2平坦面10bは、下方を向く平坦な面である。上下方向において、第2平坦面10bは、第1平坦面10aの反対側の面である。
【0032】
第1湾曲面10cは、正面視で左に凸の湾曲した面である。第1湾曲面10cは、第1平坦面10a及び第2平坦面10bをつないでいる。
【0033】
第2湾曲面10dは、正面視で右に凸の湾曲した面である。第2湾曲面10dは、第1平坦面10a及び第2平坦面10bをつないでいる。左右方向において、第2湾曲面10dは、第1湾曲面10cの反対側の面である。
【0034】
一対のバスバー2は、既述のとおり、コンデンサ素子10に接続されている。第1バスバー21及び第2バスバー22は、コンデンサ素子10の第1平坦面10aよりも上方に突出している。一対のバスバー2の材質としては、特に限定されないが、例えば、銅等が挙げられる。
【0035】
コンデンサ素子10は、金属板3に固定されている。この場合の「固定」とは、次の第2工程の開始から終了までコンデンサ素子10が金属板3から外れない程度の固定を意味する。換言すれば、第2工程の開始前であれば、コンデンサ素子10は、金属板3に仮固定(着脱可能な固定)されていてもよい。これにより、第2工程の開始前において、金属板3に対するコンデンサ素子10の位置決めを、必要に応じてやり直すことができる。
【0036】
金属板3は、平面視矩形状をなす。すなわち、金属板3は、左右方向及び前後方向に延びる矩形状をなす。
【0037】
金属板3は、第1面31と、第2面32と、外側面33と、を有する。第1面31は、下方を向く面である。第2面32は、第1面31の反対側の面である。つまり、第2面32は、上方を向く面である。外側面33は、第1面31と第2面32との間に存在する側面である。すなわち、外側面33は、左側を向く側面、右側を向く側面、前方を向く側面、及び後方を向く側面の全てを含む。金属板3は、平面視でコンデンサ素子10よりも一回り大きい。金属板3の材質としては、特に限定されないが、例えば、アルミニウム等が挙げられる。
【0038】
既述のとおり、コンデンサ素子10と金属板3との間に絶縁層42が介在している。具体的には、絶縁層42は、コンデンサ素子10の第2平坦面10bと金属板3の第2面32との間に介在している。絶縁層42としては、特に限定されないが、例えばプリプレグ(接着シート)及び接着フィルム等が挙げられる。絶縁層42は、接着剤又は粘着剤によって形成することもできる。絶縁層42によってコンデンサ素子10が金属板3に固定されている。なお、金属板3に対するコンデンサ素子10の位置決めは、画像処理による位置決め等の公知の手段により行うことが可能である。
【0039】
≪成形型≫
成形型5は、上方に開口する箱状をなす(図2A及び図2B参照)。成形型5は、底板53と、左壁54と、右壁55と、前壁56と、後壁57と、を有する。成形型5は、金属製でも非金属製でもよい。
【0040】
底板53は、下内面50bを有する。下内面50bは、上方を向く面であり、封止部40の下面40bを成形する面である。下内面50bは、平面視矩形状をなす。すなわち、下内面50bは、左右方向及び前後方向に延びる矩形状をなす。下内面50bは、平面視で金属板3よりも一回り大きい。下内面50bは、接触面6と、非接触面60と、を含む。接触面6は、部品100を成形型5のキャビティ50に載置したときに金属板3の第1面31が接触する面である。接触面6は、平面視で金属板3と同一寸法の矩形状をなす。接触面6の外周に金属板3の外周を合致させることにより、平面視において一対のバスバー2が適正な位置に配置される。つまり、平面視において接触面6が占める領域が適正な位置である。非接触面60は、下内面50bのうち接触面6を除いた面である。非接触面60は、平面視で接触面6を囲む枠状をなす。
【0041】
左壁54は、底板53の左側において上方に突出する壁である。左壁54は、前後方向に延びている。左壁54は、左内面50cを有する。左内面50cは、右側を向く面であり、封止部40の左面40cを成形する面である。左内面50cは、側面視矩形状をなす。
【0042】
右壁55は、左壁54と対向している。すなわち、右壁55は、底板53の右側において上方に突出する壁である。右壁55は、前後方向に延びている。右壁55は、右内面50dを有する。右内面50dは、左側を向く面であり、封止部40の右面40dを成形する面である。右内面50dは、側面視で左内面50cと同一寸法の矩形状をなす。
【0043】
前壁56は、底板53の前方において上方に突出する壁であり、左壁54及び右壁55の前方とつながっている。前壁56は、左右方向に延びている。前壁56は、前内面50eを有する。前内面50eは、後方を向く面であり、封止部40の前面40eを成形する面である。前内面50eは、正面視矩形状をなす。
【0044】
後壁57は、前壁56と対向している。すなわち、後壁57は、底板53の後方において上方に突出する壁である。後壁57は、左右方向に延びている。後壁57は、後内面50fを有する。後内面50fは、前方を向く面であり、封止部40の後面40fを成形する面である。後内面50fは、正面視で前内面50eと同一寸法の矩形状をなす。
【0045】
成形型5のキャビティ50は、直方体状をなす空間である。すなわち、成形型5のキャビティ50は、底板53、左壁54、右壁55、前壁56、及び後壁57で囲まれた空間である。より詳しくは、成形型5のキャビティ50は、下内面50b、左内面50c、右内面50d、前内面50e、及び後内面50fで囲まれた空間である。
【0046】
成形型5は、既述の接触面6と、規制部7と、を有する。接触面6は、上述のように、キャビティ50において金属板3が接触する面である。一方、規制部7は、金属板3の接触面6に沿った移動を規制する部分である。本実施形態では、規制部7は、上下方向に垂直な平面内での金属板3の移動を規制する部分である。換言すれば、規制部7は、接触面6に載置された金属板3の左右方向及び前後方向への移動を規制する部分である。
【0047】
本実施形態では、規制部7は、接触面6の外周の少なくとも一部に存在する。接触面6の外周は、接触面6と非接触面60との境界部分である。さらに規制部7は、少なくとも1つ以上(本実施形態では2つ)のガイド部71を含む。ガイド部71は、平面視矩形状をなす接触面6の、対角の位置関係にある2つの角部に存在する。ガイド部71は、キャビティ50に向かって突出している。つまり、ガイド部71は、上方に向かって突出している。本実施形態では、ガイド部71は、平面視L字状をなす。ガイド部71は、上記の角部に沿うように設けられている。すなわち、第1工程においては、金属板3の角部をガイド部71に合致させて、部品100を成形型5のキャビティ50に載置する。
【0048】
<第2工程>
第2工程は、樹脂注入工程である。すなわち、第2工程は、図3A及び図3Bに示すように、キャビティ50に樹脂4を注入する工程である。本実施形態では、注型成形法(ポッティング)を使用することができる。樹脂4としては、特に限定されないが、例えば、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂が挙げられる。樹脂4は、絶縁層42と同じ材料でも異なる材料でもよい。
【0049】
樹脂4をキャビティ50に注入し、樹脂4の液面が、コンデンサ素子10の第1平坦面10aよりも高く、かつ一対のバスバー2の各々の上端部よりも低い位置に到達したら、樹脂4の注入を停止する。これにより、樹脂4中にコンデンサ素子10を埋没させることができる。また一対のバスバー2の各々の一部を樹脂4から突出させることができる。そして、この状態で樹脂4を硬化させることによって成形品1を得る。
【0050】
<第3工程>
第3工程は、脱型工程である。すなわち、第3工程は、成形品1を成形型5から取り出す工程である。既述のとおり、成形型5から取り出された成形品1がケースレスコンデンサ1である(図4A図4C参照)。なお、脱型しやすくするため、成形型5に突出しピン(図示省略)を設けておいてもよい。
【0051】
<作用効果>
本実施形態によれば、以下の理由により、ケースを備えず、かつ封止部40の外面に対するバスバー2の位置精度を向上させることができる。
【0052】
すなわち、図3A及び図3Bに示すように、キャビティ50に樹脂4を注入する際、樹脂4が部品100に対して左右方向又は前後方向に力を及ぼし得る。しかしながら、成形型5の規制部7によって、金属板3の接触面6に沿った移動(左右方向及び前後方向の移動)が規制される。これにより、金属板3は、最初に載置された適正な位置(接触面6が占める領域)にとどまりやすい。またコンデンサ素子10は、あらかじめ金属板3に固定されているので、コンデンサ素子10も、最初に配置された適正な位置にとどまりやすい。また一対のバスバー2は、あらかじめコンデンサ素子10に接続されているので、一対のバスバー2も、最初に配置された適正な位置にとどまりやすい。そのため、ケースレスコンデンサ1を繰り返し製造する場合、既述の距離WL、WR、LF及びLBの各々を一定にしやすくなる。つまり、製造される複数のケースレスコンデンサ1について、バスバー2の位置のばらつきを可能な限り最小限に抑え得る。
【0053】
したがって、本実施形態によれば、ケースを備えず、かつ封止部40の外面に対するバスバー2の位置精度を向上させることができる。
【0054】
また本実施形態では、型締め工程及び型開き工程が不要であるため、ケースレスコンデンサ1の生産性を向上させることができる。さらに第1~2工程において、一対のバスバー2を治具(図示省略)で保持しておかなくてもよいので、治具の取付け工程及び取外し工程も不要となり、ケースレスコンデンサ1の生産性を更に向上させることができる。
【0055】
また第1~2工程において、金属板3と成形型5とが接触しているので、樹脂4が、金属板3の第1面31と成形型5の接触面6との間に進入しにくい。これにより、金属板3が外部に露出したケースレスコンデンサ1を得ることができる。ケースレスコンデンサ1を充電したり放電したりする場合、コンデンサ素子10が発熱し得るが、金属板3が外部に露出していることで、この金属板3によって上記の熱を容易に外部に放出することができる。また金属板3は、樹脂4に比べて吸湿しにくいので、金属板3とコンデンサ素子10との間の封止部40の厚さを、他の箇所の封止部40の厚さよりも薄くすることができる。これにより、ケースレスコンデンサ1の小型化を図ることができる。もちろんケースレスコンデンサ1は、ケースを備えないので、その分軽量化を図ることもできる。
【0056】
(2)第2実施形態
次に、第2実施形態に係るケースレスコンデンサ1の製造方法について、図面を参照して説明する。第2実施形態では、第1実施形態と同様の構成要素には第1実施形態と同一の符号を付して詳細な説明を省略する場合がある。
【0057】
本実施形態では、図5A及び図5Bに示すように、金属板3は、少なくとも1つ以上(本実施形態では2つ)の貫通孔34を有する。貫通孔34は、平面視矩形状をなす金属板3の、対角の位置関係にある2つの隅部に存在する。貫通孔34は、金属板3の厚さ方向(第1面31及び第2面32を結ぶ方向、つまり上下方向)に貫通する孔である。金属板3の第2面32上に絶縁層42が存在する場合には、貫通孔34は、絶縁層42も厚さ方向に貫通している。
【0058】
一方、成形型5の規制部7は、少なくとも1つ以上(本実施形態では貫通孔34と同数)の嵌合ピン72を含む。嵌合ピン72は、平面視矩形状をなす接触面6の、対角の位置関係にある2つの隅部に存在し、上方に突出している。より詳しくは、平面視で金属板3の外周と接触面6の外周とが合致するように、金属板3を接触面6に重ねたときに、金属板3の貫通孔34が存在する位置に、嵌合ピン72が存在する。嵌合ピン72は、貫通孔34に嵌合するピンである。
【0059】
本実施形態では、第1工程において、嵌合ピン72を金属板3の貫通孔34に嵌合させて、部品100を成形型5のキャビティ50に載置する。載置された部品100の位置ずれ(つまり接触面6に対する金属板3の位置ずれ)を抑制する観点では、貫通孔34の内径と嵌合ピン72の外径との遊びは少ないほど好ましい。
【0060】
<作用効果>
第2実施形態も、第1実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0061】
特に本実施形態では、第1工程で嵌合ピン72を金属板3の貫通孔34に嵌合させて、部品100を成形型5のキャビティ50に載置することで、第2工程で樹脂4が部品100に対して左右方向又は前後方向に力を及ぼしても、部品100の位置ずれが抑制される。
【0062】
(3)第3実施形態
次に、第3実施形態に係るケースレスコンデンサ1の製造方法について、図面を参照して説明する。第3実施形態では、第1~2実施形態と同様の構成要素には第1~2実施形態と同一の符号を付して詳細な説明を省略する場合がある。
【0063】
本実施形態では、図6A図6B及び図6Cに示すように、金属板3は、少なくとも1つ以上(本実施形態では2つ)の非貫通孔35を有する。非貫通孔35は、下方に開口している。すなわち、非貫通孔35は、金属板3の第1面31(接触面6に対向する面)において開口している。本実施形態では、非貫通孔35は、円錐台状をなす孔である。また非貫通孔35は、平面視でコンデンサ素子10の外周に接する位置に存在する(図6A参照)。特に本実施形態では、非貫通孔35は、平面視で第1端面電極11及び第2端面電極12に接する位置に存在する。
【0064】
また金属板3は、少なくとも1つ以上(本実施形態では非貫通孔35と同数)の突出部37を有する。突出部37は、上方に突出している。すなわち、突出部37は、金属板3の第2面32(接触面6に対向する面の反対側の面)からコンデンサ素子10側に突出する部分である。突出部37は、平面視で非貫通孔35と同じ位置に存在する。つまり、突出部37は、非貫通孔35と表裏一体をなす部分である。さらに本実施形態では、突出部37は、正面視でコンデンサ素子10と重なる位置に存在する(図6B参照)。これにより、部品100において、突出部37は、コンデンサ素子10に接触している。より詳しくは、前方の突出部37は、第1端面電極11に接触し、後方の突出部37は、第2端面電極12に接触している。なお、突出部37の表面は絶縁層42で被覆されているので(図6C参照)、突出部37は、絶縁層42を介して第1端面電極11及び第2端面電極12に接触している。
【0065】
一方、成形型5の規制部7は、少なくとも1つ以上(本実施形態では非貫通孔35と同数)の嵌合凸部73を含む。嵌合凸部73は、平面視で金属板3の外周と接触面6の外周とが合致するように、金属板3を接触面6に重ねたときに、金属板3の非貫通孔35が存在する位置に存在する。嵌合凸部73は、上方に突出し、非貫通孔35に嵌合する凸部である。本実施形態では、嵌合凸部73は、円錐台状をなす凸部である。
【0066】
本実施形態では、第1工程において、嵌合凸部73を金属板3の非貫通孔35に嵌合させて、部品100を成形型5のキャビティ50に載置する。
【0067】
<作用効果>
第3実施形態も、第1実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0068】
特に本実施形態では、第1工程で嵌合凸部73を金属板3の非貫通孔35に嵌合させて、部品100を成形型5のキャビティ50に載置することで、第2工程で樹脂4が部品100に対して左右方向又は前後方向に力を及ぼしても、部品100の位置ずれが抑制される。
【0069】
さらに本実施形態では、2つの突出部37が前後方向においてコンデンサ素子10を挟むように存在するので、コンデンサ素子10が金属板3に対して前後方向に位置ずれすることも抑制することができる。
【0070】
(4)第4実施形態
次に、第4実施形態に係るケースレスコンデンサ1の製造方法について、図面を参照して説明する。第4実施形態では、第1~3実施形態と同様の構成要素には第1~3実施形態と同一の符号を付して詳細な説明を省略する場合がある。
【0071】
本実施形態では、図7A及び図7Bに示すように、金属板3は、平坦部30と、少なくとも1つ以上(本実施形態では2つ)の突出片36と、を有する。
【0072】
平坦部30は、平面視矩形状をなす。すなわち、平坦部30は、左右方向及び前後方向に延びる矩形状をなす。より詳しくは、平坦部30は、平面視で底板53の下内面50bと同一寸法の矩形状をなす。
【0073】
突出片36は、平坦部30の外周の少なくとも一部からコンデンサ素子10側に突出している。具体的には、突出片36は、平坦部30の左側端部及び右側端部から上方に突出している。突出片36は、前後方向に延びている。突出片36は、コンデンサ素子10に接触している。より詳しくは、左側の突出片36は、絶縁層42を介してコンデンサ素子10の第1湾曲面10cに接触し、右側の突出片36は、絶縁層42を介してコンデンサ素子10の第2湾曲面10dに接触している。
【0074】
一方、成形型5の規制部7は、壁部74を含む。本実施形態では、壁部74は、成形型5の左壁54、右壁55、前壁56、及び後壁57の各々の少なくとも一部である。壁部74は、金属板3(平坦部30)の外側面33の少なくとも一部(本実施形態では全部)に接触する。より詳しくは、左壁54の左内面50cが、金属板3の左側を向く側面に接触する。右壁55の右内面50dが、金属板3の右側を向く側面に接触する。前壁56の前内面50eが、金属板3の前方を向く側面に接触する。後壁57の後内面50fが、金属板3の後方を向く側面に接触する。
【0075】
上述のように、本実施形態では、底板53の下内面50bは、平面視で金属板3の平坦部30と同一形状及び同一寸法である。換言すれば、本実施形態では、下内面50bは、接触面6を含むが、非接触面60を含まない。
【0076】
<作用効果>
第4実施形態も、第1実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0077】
特に本実施形態では、部品100を成形型5のキャビティ50に載置したときに、金属板3の平坦部30の外周に合致するように壁部74が存在するので、金属板3の接触面6に沿った移動(左右方向及び前後方向の移動)が更に規制される。
【0078】
さらに本実施形態では、2つの突出片36が左右方向においてコンデンサ素子10を挟むように存在するので、コンデンサ素子10が金属板3に対して左右方向に移動することを抑制することができる。
【0079】
(5)第5実施形態
次に、第5実施形態に係るケースレスコンデンサ1の製造方法について、図面を参照して説明する。第5実施形態では、第1~4実施形態と同様の構成要素には第1~4実施形態と同一の符号を付して詳細な説明を省略する場合がある。
【0080】
本実施形態では、図8A及び図8Bに示すように、キャビティ50は、第1収容部51と、第2収容部52と、を有する。第1収容部51及び第2収容部52は、上下方向に連続した空間である。
【0081】
第1収容部51は、板状をなす空間である。第1収容部51は、部品100のうち少なくとも金属板3(本実施形態では金属板3及び絶縁層42)を収容する空間である。平面視で第1収容部51は、接触面6と同一形状及び同一寸法である。接触面6と非接触面60との境界部分には段差がある。接触面6は、非接触面60よりも一段低くなっている。これにより、金属板3を第1収容部51に嵌め込みやすい。
【0082】
第1収容部51に規制部7が存在する。規制部7は、壁部74を含む。本実施形態では、壁部74は、第1収容部51の内側面である。壁部74は、金属板3の外側面33の少なくとも一部(本実施形態では全部)に接触する。
【0083】
一方、第2収容部52は、第1収容部51よりも上方に存在する。第2収容部52は、直方体状をなす空間である。第2収容部52は、平面視で第1収容部51よりも一回り大きい。第2収容部52は、部品100のうち少なくとも金属板3を除く部分(本実施形態ではコンデンサ素子10及び一対のバスバー2)を収容する空間である。
【0084】
<作用効果>
第5実施形態も、第1実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0085】
特に本実施形態では、部品100を成形型5のキャビティ50に載置したときに、金属板3の外周に合致するように、第1収容部51に壁部74が存在するので、金属板3の接触面6に沿った移動(左右方向及び前後方向の移動)が更に規制される。
【0086】
(6)第6実施形態
次に、第6実施形態に係るケースレスコンデンサ1の製造方法について、図面を参照して説明する。第6実施形態では、第1~5実施形態と同様の構成要素には第1~5実施形態と同一の符号を付して詳細な説明を省略する場合がある。
【0087】
本実施形態では、図9A及び図9Bに示すように、金属板3は、平坦部30と、第1湾曲部30cと、第2湾曲部30dと、を有する。
【0088】
平坦部30は、平面視矩形状をなす。すなわち、平坦部30は、左右方向及び前後方向に延びる矩形状をなす。平坦部30は、コンデンサ素子10の第2平坦面10bに対向する部分である。平坦部30は、少なくとも1つ以上(本実施形態では2つ)の貫通孔34を有する。貫通孔34は、平坦部30の前方及び後方に存在する。貫通孔34は、平面視でコンデンサ素子10と重ならない位置に存在する(図9A参照)。
【0089】
第1湾曲部30cは、平坦部30につながっている。具体的には、第1湾曲部30cは、平坦部30の左側端部につながっている。さらに第1湾曲部30cは、コンデンサ素子10の第1湾曲面10cに沿って湾曲している。
【0090】
第2湾曲部30dも、平坦部30につながっている。具体的には、第2湾曲部30dは、平坦部30の右側端部につながっている。さらに第2湾曲部30dは、コンデンサ素子10の第2湾曲面10dに沿って湾曲している。
【0091】
一方、成形型5の接触面6は、部品100を成形型5のキャビティ50に載置したときに金属板3の平坦部30の第1面31が接触する面である。金属板3の第1湾曲部30c及び第2湾曲部30dは、底板53の下内面50bから浮き上がっているので、第2工程において樹脂4中に埋没する。
【0092】
成形型5の規制部7は、少なくとも1つ以上(本実施形態では貫通孔34と同数)の嵌合ピン72を含む。平面視で金属板3の平坦部30の外周と接触面6の外周とが合致するように、金属板3の平坦部30を接触面6に重ねたときに、金属板3の貫通孔34が存在する位置に、嵌合ピン72が存在する。
【0093】
<作用効果>
第6実施形態も、第1実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0094】
特に本実施形態では、金属板3の平坦部30、第1湾曲部30c、及び第2湾曲部30dが、左右方向においてコンデンサ素子10の下半分を包むように存在するので、コンデンサ素子10が金属板3に対して左右方向に移動することを抑制することができる。
【0095】
さらに本実施形態では、第1工程で嵌合ピン72を金属板3の平坦部30の貫通孔34に嵌合させて、部品100を成形型5のキャビティ50に載置することで、第2工程で樹脂4が部品100に対して左右方向又は前後方向に力を及ぼしても、部品100の位置ずれが抑制される。
【0096】
(7)第7実施形態
次に、第7実施形態に係るケースレスコンデンサ1の製造方法について、図面を参照して説明する。第7実施形態では、第1~6実施形態と同様の構成要素には第1~6実施形態と同一の符号を付して詳細な説明を省略する場合がある。
【0097】
本実施形態では、図10A及び図10Bに示すように、金属板3は、磁性金属板38である。磁性金属板38は、磁性を有する金属板3である。磁性金属板38の材質としては、特に限定されないが、例えば、鉄、ニッケル、及びステンレス等が挙げられる。
【0098】
一方、成形型5の規制部7は、磁石61を含む。磁石61は、成形型5の接触面6に存在し、非接触面60には存在しない。磁石61は、平面視で接触面6と同一形状及び同一寸法である。磁石61は、磁性金属板38を吸引し得る。
【0099】
<作用効果>
第7実施形態も、第1実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0100】
特に本実施形態では、部品100を成形型5のキャビティ50に載置したときに、平面視で金属板3が適正な位置(接触面6が占める領域)から多少ずれていても、金属板3は磁性金属板38であるので、磁石61の吸引力によって、金属板3は適正な位置に引き寄せられる。つまり、部品100は適正な位置に引き寄せられる。
【0101】
さらに本実施形態では、第2工程で樹脂4が部品100に対して左右方向又は前後方向に力を及ぼしても、磁性金属板38に対する磁石61の吸引力によって、部品100の位置ずれが抑制される。
【0102】
3.変形例
以上、各実施形態について説明したが、各実施形態は、その技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0103】
各実施形態では、金属板3(平坦部30)は、平面視矩形状をなすが、金属板3の形状は、特に限定されない。一方、成形型5の接触面6は、平面視で金属板3と同一形状及び同一寸法である。
【0104】
また各実施形態では、ケースレスコンデンサ1の封止部40は、直方体状をなすが、封止部40の形状は、特に限定されない。
【符号の説明】
【0105】
1 ケースレスコンデンサ(成形品)
10 コンデンサ素子
10a 第1平坦面
10b 第2平坦面
10c 第1湾曲面
10d 第2湾曲面
2 バスバー
3 金属板
30 平坦部
30c 第1湾曲部
30d 第2湾曲部
33 外側面
34 貫通孔
35 非貫通孔
36 突出片
37 突出部
38 磁性金属板
4 樹脂
42 絶縁層
5 成形型
50 キャビティ
6 接触面
61 磁石
7 規制部
71 ガイド部
72 嵌合ピン
73 嵌合凸部
74 壁部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10