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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023059779
(43)【公開日】2023-04-27
(54)【発明の名称】知の統合を可能にする構想設計法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/00 20230101AFI20230420BHJP
【FI】
G06Q10/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2021182868
(22)【出願日】2021-10-15
(71)【出願人】
【識別番号】519343364
【氏名又は名称】石黒 広洲
(72)【発明者】
【氏名】石黒 広洲
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA20
(57)【要約】      (修正有)
【課題】知の統合を可能にする構想設計法を提供する。
【解決手段】構想設計法において、コト的世界における知の統合法を開発する事に貢献すべく、意識論の展開による思考情報技術の体系化に加えて事理学的論理を構成する事理の原理群を理論化した上で、構想設計法に於いてコト的世界をイメージしてモデル化した構想知の「知の超体モデル」の理論的根拠を構築する。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
構想設計機能付き電子計算機の部分意匠であるデザイン思考エンジンとして働く格子譜又は同等の形式表現に於ける関係性の軸と関係性の場の在り方を規定する格子譜論理上の社会単位としての超社会システムの構想知機能の記述文法強化に鑑みてなされた思考情報技術の体系化に基づく拡張記述文法の適用を図る本発明において、
先行発明群が解き明かす当事者意識を有する社会意識量子の形と意識の統一場の論理の上に現代物理学の知見の背後に存在する論理の発見がもたらす事理学的論理下で強化された思考情報技術に基づいて、階層性を為す心・精神・知的営為が働く構想知の超越場と知の統一場を構成するモノ的世界とコト的世界を相補的に異質融合する意識空間の階層構造の下における知の超体モデルを有して成る構想設計機能付き電子計算機のアプリケーションソフトの実装形態を伴って知の統合を可能にする構想設計の方法。
【請求項2】
上記請求項1に置ける技術的強化内容を前提にして社会理論性を高めるべく為されるところの個の意識と社会システム及び両者を結び付ける社会的関係の場との三元要素構成を有する有機的な社会単位を構成単位とする階層構造或はハイパーネットワーク構造を為す社会的な物事及び事態を思考して表現する構想設計の対象としての社会的事業の構想、戦略策定、地域デザイン、政策デザイン、学術体系の構築、知の統合、社会の設計図等の人間の知的営為を表現する超社会システムに対して、文理融合のデザイン思考論理に従う当事者たる個の意識を起点とする格子譜論理に基づく構想設計法に関する先行発明の機能の強化のための拡張記述文法を構成する際の思考情報技術の体系化と、脳内イメージを図式化表現に導く当事者意識による構想知の理論的な意識の統一場に於ける思考に関る知的営為の形で学術的な面からの知の統合の社会科学的方法論確立を図る上記の如く機能強化された構想設計法の活用に鑑みた理論化において、
意識構成の定義に就いて辞書が規定する自己及び外界の認識による二元構成定義から最新の脳神経科学的知見が示す自己と外界の個々の認識及び自己と外界とを同時に認識する三元構成構成(トライアングル)へと転換して定義された粒子の形状概念を有し運動エネルギーを持って思考運動する社会意識量子の表現形で定義した上で、該意識の思考運動を加速させる摂動エネルギーの形態を現代物理学で解き明かす中で事理学的発見を為して意識空間の階層化理論を組立てることによって人間の脳内構想知の超越性に関する思考情報技術的な扱いを深化させ、構想設計機能付き電子計算機のアプリケーションソフトの実装形態を伴う知の統合型の深化型構想設計の機能強化を意図した本発明がなされて社会理論を構成する際に、意匠登録された経緯を有する格子譜及び格子譜を共通の連携要素とする構想設計関連の既存先行発明群が規定する記述文法で表現する格子譜論理を第一与件とし、現代物理学の特殊相対性原理が示す物質とエネルギーの関係式を応用して発見した精神の力とエネルギーに関る事理的論理を社会適用することを第二与件とする思考論理を前提とした上で、
上記二つの与件に対して多様性を有する個の意識と社会システムとの関係性の形を相対化して理解を進める分析を行なう中で、意識の統一場上で運動体として働く当事者意識を展開する基本的な意識構造の上位に人間の心と精神および知が働く構想知の超越場に於いて生み出されるコト的世界を扱う構想知の構想論的な“つくる”に関る知的営為を読み解き、分析結果に基づいて行う社会性を持った意識階層の構成の枠組みを客観化した形をモデリング・デザイン技法で構成する思考情報技術の体系化と、思考情報技術の有機性を明らかにしてモデル化する実用的な知の統合法と意識階層化理論の確立に基づく知の統合の為の知の超体モデルの定式化を行うことに鑑みて、
前提として導入した現代物理学原理の社会適用による社会的な物事と事態に関する意識の場の三次元デザイン思考の骨組みとして時空面と関係性軸で構成する格子譜論理に従う基盤肢と行為網及び真の実在から成る構成要素に対して意識の有する精神エネルギーを力に転嫁して現代物理学の量子力学と特殊相対性原理の知見を当て嵌めた論理までを内包して機能強化する如く体系化した思考情報技術の導出方法に就いて、物理学の特殊相対性原理が示す物質とエネルギーが可換とする等価法則が導く方程式と物体の運動方程式である運動の第二法則とから式の代入機能を用いて物質要素を背後に隠す操作によって導出した精神の力とエネルギーの方程式において、構想設計法を強化する為に精神エネルギーが持つ知的営為の思考の力を存在力・生産力・変革力の三要素で読み解いて抽出する中で、異質の融合機能までを組込んだ表現方法を有して成る事理学的原理を内包する事を特徴とすることにより基本形を強化した拡張記述文法を構成して社会理論に直結する思考情報技術を体系化する際に、
構想の過程で生成される関係性の場に於ける構想知の構成概念モデルにおいて構想譜表現を実現する構造条件として関係性軸を構成する理性の尺度である実在性の下で感性の尺度とする感性と理性の相互作用から成る実体性及び悟性の尺度とする悟性と理性との相互作用から成る実存性の三つの意識構成軸を用いて三次元表現を実現するコト的世界の事理的な表現と、
意識の運動体が構成する知の超体性を示す逆コーン形を為す階層構造を表現するヘリコイド・ダイナミックとして、少なくとも真の実在を原点にした社会意識量子が作用する意識の統一場、当事者意識、構想知の超越場、心と精神の形、知の統一場、コト的世界の変革力、汎社会単位体で構成される深層から上層に向う意識の階層化理論に基づくコト的世界の表現形式を社会理論の一環として設定した上で、階層間に変革力を伴う意識の駆動力としての摂動エネルギーによるエネルギー準位の変動を想定する事理の原理群と、
上記精神エネルギーの摂動エネルギー部分が運動エネルギーを有する当事者意識の社会意識量子の運動エネルギー準位を上層させて意識階層を上昇させる論理を適用して構想知の超越場を構成する事理的論理の組込みを擁すると共に、
上記生産力と変革力の存在を確かにする存在力の象徴として、自然科学系の脳神経科学が説く意識論及び生命科学が説く生命誌に関わる発生論を意識の在り方の基本に置き、生存に関わる発生論系の生命誌三律を三元的構成要素に設定した上で、三律の一つである太陽律に起源を置いた生存の根源に関わる原初状態として合理的な正義の象徴となる真の実在の概念を格子譜与件の定義に従って図式の中心に設定する処理機能と、
先行発明であるデザイン思考関連のデザイン思考エンジンの知見及びデザイン思考エンジンと構想力の論理並びに人文科学領域の西洋哲学である弁証法における止揚の概念を統合したデザイン思考の対象となる超社会システムの記述方法を用いた格子譜上の基盤肢と行為網の記述によるモノ的世界とコト的世界の相補的な異質融合を為すべく、真の実在の存在力を核にして結ぶ関係性の場に於けるエン的機能から成る構想知の超体的統合の枠組みとを有し、
同じく人文科学領域の東洋哲学に於ける意識面の考え方を社会適用した華厳律と老荘哲学の道(どう)の論理を夫々所定の要素に組合せて格子譜与件の記述文法に従って所定の構成要素に配置して構想知の超越場の意識の分析内容を階層構造の下で設定するモデリング・デザイン手法の適用とによって、当事者意識が主導し思考情報技術的に統合した三次元構成の論理をヘリコイド表現で組立てる構想知の超越場上の意識の階層化理論に基づく超体構造の形で得た意識内容のイメージを描く事で、該イメージを構想設計機能付き電子計算機のアプリケーションソフトの画面上或は印刷紙面上において記述表現の次元を縮退させた形の関係性の場を核にしたモデルとして図表化する形式を持つ先行発明に基づく格子譜上に文理融合的に統合化してモノ的世界とコト的世界を統合的に構造化・可視化を図る知の統合的な営為を知の超体モデルとして組込む際に、上記構想知の超越場を構成する如く超社会システムの骨組みを規定する形を為す場としての基盤肢を、関心・信頼・受容・寛容の四つの原理を当事者意識が働く世界において超越連帯的異質融合の原理で知を統合する為の精神的行動の有機的知の基盤を意味する形である精神的ホメオスタシスとして構成し、統合の超越的な展開形として基盤肢上で働く構成要素となる自己意識が働く世界に於ける心と精神の形を示す知的精神力モデル、記憶覚醒の世界に於ける知の統一場としてのホモサピエンスの知的力学モデル、変革力の世界に於けるコト的世界の変革力を示す知的行為の基本構造モデル、連帯意識が働く世界の汎社会単位体を表現するコト的世界の駆動力モデルの四つの構成要素から成る行為網の形で前記基盤肢と共に構成される構想知の超越場を知の超体を構成する基本モデルとした上で、上記記憶覚醒の世界に於ける知の統一場の基本的な知の要素として自己のかたち、性格のかたち、信念の在り方、態度の在り方の四つの要素を格子譜論理に従う形で構成しながら自己の内面を意のレパートリーの形で認識して作用する当事者意識が統べる心と精神の働きの形を核にする中で、主として非認知的能力で駆動される感情の世界、悟性が統べる記憶の覚醒及び記憶の操作と書換、感情が外界に作用する如く主として認知的能力で駆動される情動の世界で構成する多様な精神的効用をもたらす認知、意識、感情/共感、心、記憶、精神、能力、情動の総体で駆動される処の人間をホモサピエンスたらしめる知的精神力の働きに拠り格子譜論理の下の当事者意識で有機的に結ばれる如く論理構成した知の統一場を設定する機能を加え、
当事者意識が主導し思考情報技術的に統合した三次元構成の論理をヘリコイド表現で組立てる構想知の超越場上の意識の階層化理論に基づく超体構造の形で得た意識内容のイメージを描き、該イメージを構想設計機能付き電子計算機のアプリケーションソフトの画面上或は印刷紙面上において記述表現の次元を縮退させた関係性の場を核にしたモデルとして図表化する形式を持つ先行発明に基づく格子譜上に文理融合的に統合化してモノ的世界とコト的世界を統合的に構造化・可視化を図る知の統合的な営為を知の超体モデルとして組込む際に、
先行発明である構想設計機能付き電子計算機の機能として働くところの有機的な超社会システム上に普遍的な形式で客観的に記述してデザイン思考を深化させる実用的な技法を強化することを可能にする拡張記述文法を設定したデザイン技法を駆使した構想設計法の実現の一環として、意識の統一場及び構想知の超越場に於いて事理学的理論が主導する思考情報技術の格子譜論理的体系化に基づくモデリング・デザイン技法を備えることを特徴として意識空間の階層的構成法に論拠を置く知の統合を可能にする構想設計の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明が扱う技術は主として構想設計法に関するもので人間の頭脳内部の思考に関る情報を扱う思考情報技術(Thinking information technology;造語)に属する。構想設計の対象となる物事は物(モノ)を中心とするモノ的世界観の下で物理空間と情報空間のセットで扱われて来たが、人間のデザイン思考領域の事柄を扱う場合は事態や情況(コト)を中心とするコト的世界観(非特許文献19)の下での意識の役割を組込んだ思考空間における思考情報空間(知的空間)と意識空間のセットの形で相補的に構想する必要がある。しかし、後者のコト(事)に関しては日本学術会議や社会科学系学会などの科学領域において個別研究から部分的融合の状況にあり、社会理論化は緒に就いたばかりの段階にある。本発明は人間の意識を内包する社会システムつまり超社会システム(特許文献3)に関わる領域の社会技術に関連するもので、文理融合の複合技術分野の思考情報技術に属する新しい理論に基づく技術である。開発された思考情報技術は異質の融合を内包するデザイン思考の哲学論理(非特許文献1、特許文献2)と相俟って有効性が増すものであるが、大方の社会システム技術論では「コト」まで含めたデザイン思考哲学に踏み込まない形にあり、モノ的世界観の中で提供される場合が多い。思考情報自体を主として物事のモノに当てはめた形式知の領域である電子計算機の情報処理の延長上にコト(物事の事態や情況)を当てはめると、暗黙知と関わってアート性を有する有機的な意識の問題にぶつかると共に、人間の精神と関わる上で物事の本質の存在の有無も同時に課題となる。実際のところ構想設計などのデザイン思考を進めると技術的な観点でも否応なくモノ的世界とコト的世界を融合した物事の実体と事態の実存の本質論に行き当たる。本発明では実在論の観点から最近の脳神経科学の知見(非特許文献3参照)である意識のトライアングル論(三元構成)を組込んだ意識の在り方(特許文献5、6)に遡って意識の働く場の原理を活用している。また、無機質な機械系の技術の範疇において、ロボットに意識を持たせることが可能かどうかの命題に取り組む技術開発がその正当性は別として存在するが、これは技術の範疇が異なるので参照することに意味は無い。つまり意識に関する思考情報技術の処理は有機性を有する領域にあり、生身の人間の頭脳のアナログ的な成り立ちを考えると、思考情報技術には有機的なアート性が付き纏う。この延長上で意識を主観の問題として敬遠する社会科学の存在は、社会を人間が構築する事を考えると科学の姿勢として課題が多い(非特許文献10、11、20、21参照)。特に意識をどの様に科学して社会技術に転換するか、脳神経科学の知見と示唆を社会適用した上で社会科学に組込む方法が求められると共に、思考情報技術は社会科学の領域に於いて思考の有効性を高めるものとなる。本発明が体系化を試みる思考情報技術の開発は緒に就いたばかりであり未だ体系化は十分ではない。従って基本的には電子計算機が扱う情報技術やAI技術、ロボットなどの人間の心の働きと関連のある思考結果を意識の在り方と結び付けるだけでなく、社会システムに於ける物事と事態に関わる思考プロセスをコト的世界観の下でシステム的に取り扱うことを目的とし、機能的には該物事に関するデザイン思考とその成果である構想を暗黙知から形式知へと転換する構想知(造語;特許文献6で定義)に関る情報技術が基軸となる。先行する一連の発明(特許文献1、2、3、4、5、6参照)と合わせた一歩一歩の積み重ねによって人間の幸せを追求する社会動態系統合システムや適者生存の論理と戦略に基づいて平和な世界を共創するための道具立てを提供する意図の下で、特許文献4で示される「深化型構想設計法ADDiD」を機能強化する目的で本発明が為された。目指すところはAIやロボットの様な唯物論支配下での機械文明系の情報技術ではなく、人間の意識の階層性と広がりを最大限に活かして人間の有機的な生命体の存在の意味を確かにする事を意図した思考情報技術であり、西洋由来哲学の唯物論的発想と東洋由来哲学の華厳教学や老荘思想を融合した命の原理に基づく生態系文明に向かう情報技術となる。知的作業であるデザイン(設計=生成技術)行為が人間の意図に発する特性を有することから上記の様に課題が多い領域ではあるが、意識の在り方・機能・働きに遡って解明し、更に心や精神の在り方を意識して社会的な物事を扱う様に深化させ、感性・悟性・理性の統覚的な認識を思考の力に加えたコト的世界を扱える社会理論と技術を完成する事が急務な領域である。なお社会科学が知的作業のQCDを視座に置く知的生産性までの考慮を避けて来た経緯の中で社会技術に関る上記の課題に正面から取り組めていない事は確かであり、結果として社会技術としての本発明の対象技術領域が未熟な状況にある事を再認識しておく。ここで、未来のビジョンを描くべく非特許文献23(pp5-11)が指摘する人間社会を“つくる”為の構想設計に必要な思考情報技術を考えると、発明の社会への実装に関しては本発明が新しい領域であり学問的にも文理融合領域に属すことから、科学者や技術者の意識改革に基づく関連の技術分野を統合的に扱う為の環境構築に加え、用語の概念と本質を捉えた定義及び言葉の意味などのリテラシーギャップを埋める事を含め、知的生産性向上の観点で知識を扱う技能を高める様々な制度化と合わせた社会実装に対して時間を掛けた浸透方法を考慮する必要性が指摘出来る技術領域である。この事に鑑みて用語の国際性への視座のもとで、本発明の図式表現においては可能な限り英語表現の用語の併記に留意することを付記する。
【背景技術】
【0002】
上記で説明したデザイン思考領域の技術は、その特性を大別して実践技術(プラクシス)及び生成(ゲネシス)の意を含むポイエーシス技術(非特許文献2のポイエーシス=生成技術参照)に分類したときの後者に属するもので、物事の変革を意図した生成に関わる創造的作業を担う役割を果たす機能特性を有する。ポイエーシス技術は技術開発の対象となるもので、科学的な知見と人間の心の在り様に関わるニーズを基にした合目的的な技術的観点において、合理的で正義を有する正当性に基づく哲学的な考え方を媒介にした着想や発想に依って組み立てられる必要がある。新しい発想を伴う構想設計的な思考では直観が重視される中で、必然的偶然(セレンディピティ)に基づく思考の流れから形が表出する創造力の賜物がポイエーシス技術とされる。従って上記で示した領域の技術開発の裏には理系だけでなく文系の科学的知見が必要になり、文理融合にまで意を砕いた上で意識・心・精神・知・事理・コト的世界観までを視座に置く知の統合の方法論が問われる。特に人間の営為としての社会的な物事に対する技術開発とその関連の発明の背景には文理融合のアプローチが顕著に要求されるが、従来この観点が軽視されてきた事への対応が必須となる。また哲学領域など文系の知見の中にはコト的世界に属する非決定論的な特性を見せるアート性を有する事柄が存在し、構想力(非特許文献2参照)や創造力更には関係性などに関する哲学などがこれに該当する事に留意する必要性も指摘出来る。過去の発明で明らかにされた様に、上記非決定論的な特性を有する事柄に関しては何れも意識の在り方が関わって来る背景を有する。共通的な課題として一見主観的に感じられる意識に関して、意識の三元構成に関るトライアングル理論(非特許文献3)に基づいて意識が働く場を客観的な特性を持たせた形で構成させることを試みたのが、特許文献6が記す先行発明のターゲットとなる意識空間の基本である意識の統一場理論(Grand Consciousness Theory)であり、実施例(特許文献6図11)で示したヘリコイド・ダイナミック的な階層的意識空間に関る知の形までを技術的な視座に置く事が出来る。つまり客観的な場の枠組みに従って主観的な意識が実在する自己の精神エネルギー(運動エネルギー+摂動エネルギー)に拠り作動しても、意識の働きで外に出て来る行動には客観性が期待できる事を意味して論理的な正当性が得られる(非特許文献6、12、14~18の概念参照)。言わば弁証法が説く主観と客観との二律背反の止揚を一つの目的する意識が作用する止揚の場を定式化する文理融合の複合技術の領域となる。複合性の根本はモノ的世界と相補性を有するコト的世界までの組込であり事理学的論理の創発である。
一般的に社会実装への正当性を念頭に置いた開発に於ける発想の深さが求められるが、その深さを決める一翼を担う哲学書が社会的な構想や技術を論じることは稀であるが存在する(主に非特許文献2、7、19)。また関係性や心の表れである意識の扱いに就いて包括的な観点において、人文科学的な観点から華厳教学(東洋の哲学;非特許文献7、8、22参照)が人間社会に必須であると説くことに注視すると共に老荘思想への留意の必要性も指摘出来る。技術自体の根底を成す科学的な知見が示唆する論理を技術開発の対象にするためには、原理(テオリア=セオリー)から示唆を汲み取り社会適用する社会思考化への着眼が重要であり、着眼点を知の統合に向けて如何に方向付けるかが問われる。意識の技術的取り扱いは意識それだけで有効化されず、意識の役割や働きが期待される物事や事態に関する思考行為と組み合わさって有効になる。具体的には上記一連のデザイン思考エンジンと超社会システム論に関わる先行発明群の中で、個の意識あるいは当事者意識や連帯意識の形で包括的な言葉(用語)として用いられている事に関連する。本発明の技術領域に関わる知の統合性を有するレベルの普遍的な思考情報技術は未だ存在しないので直接参照は出来ないが、個別の説明に於いては本発明に先行する上記一連の構想設計法に関る先行発明群(特許文献2、3、4、5、6)の技術展開を背景技術に関する公知の知見として参照し、更に上記五つの発明に共通する構想設計の思考結果の表現形である格子譜(特許文献1;意匠登録)と合わせ拡張・強化を要する技術として取り扱うことが重要になるため上記先行発明の必要な図面を引用する。合わせて個別の用語に就いては既に既存の上記の先行発明書内で使用されている部分に関しては、特段の追加説明なしに必要箇所で参照する方法を採用し説明の煩雑化を避けている。なお本発明が対象に出来る個の意識を有する「個」は個人だけを意味するのではなく、企業や地域、国や個別の文明など意識を持った人間を内包する構成を有する独立した個別の実在を包含した概念である事に留意する必要がある。
【先行技術文献】
【0003】
本発明は新しい領域のため思考情報技術や意識構造にまで論理を言及した三次元図式表現技術に関わる先行技術が少ないので、先行発明群の特許文献以外に上記先行発明群と本発明の技術的な説明の基盤となる自然科学や人文社会科学領域の諸科学分野の文献を概ね包括的に引用し論理を展開する。なお様々な意味を有する「知」に関する概念形成に関る哲学的或は科学的な背景文献に関しては先行発明群に於ける文献も含めて掲載しており、概念形成の為の知見を提供する科学的な背景として包括的な形態で参照している部分(非特許文献14、15、16)が存在する。なお思考及び構想関連の引用は発明者の脳内思考形成に一対一で対応するものではなく、長年の学習と思索の積み重ねで知識形成される事を指摘しておく。
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】意匠登録1696155(出願;2019年9月9日)
【特許文献2】特許願 2020-21907
【特許文献3】特許願 2020-21908
【特許文献4】特許願 2020-21909
【特許文献5】特許願 2020-129733
【特許文献6】特許願 2020-129734
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】デザイン論;『デザイン原論』p180(河北秀也;新曜社)
【非特許文献2】構想力の論理(哲学);『三木清全集第八巻』pp3-13、pp340-359、pp416-509(三木清;岩波書店)
【非特許文献3】脳神経科学;『意識と自己』pp10-308、pp384-404(A.ダマシオ著/田中光彦訳;講談社)
【非特許文献4】科学;『意識の認知科学』pp1-23(苧坂直行;共立出版)
【非特許文献5】意識論;『意識と本質』pp7-33(井筒俊彦;岩波書店)
【非特許文献6】意識論;「意識と生命」『精神のエネルギー』pp9-40(H.ベルクソン著/宇波彰訳;第三文明社)
【非特許文献7】東洋哲学;『華厳経をよむ』pp7-35(木村清孝;NHK出版)
【非特許文献8】華厳教学(哲学);『華厳の思想』pp20-34、pp37-40、pp42-50(鎌田茂雄;講談社)
【非特許文献9】生命科学;『生命誌とは何か』pp18-35、pp246-247(中村桂子;講談社)
【非特許文献10】科学;『タオ自然学』pp17-50、pp188-195、pp309-338(カプラ著/吉福伸逸他訳;工作舎)
【非特許文献11】科学;『ターニング・ポイント』pp378-384、pp439-480、pp490-496、pp505-508、pp658-663(カプラ著/吉福伸逸他訳;工作舎)
【非特許文献12】自然科学;『量子力学と意識の役割』pp166-207(竹内忠雄監修;たま出版)
【非特許文献13】脳科学;『トランスパーソナル心理学入門』pp9-19、pp96-116(諸富祥彦著;講談社)
【非特許文献14】物理学;『脳と心の量子論』(治部眞里、保江邦夫;講談社)
【非特許文献15】物理哲学;『断片と全体』(ボーム著/佐野正博訳;工作舎)
【非特許文献16】科学;『精神と物質』(シュレーディンガー著/中村量空訳;工作舎)
【非特許文献17】生命科学;『動的平衡』pp223-251(福島伸一;木楽舎)
【非特許文献18】科学技術;『現代社会と知の創造』pp1-12、pp49-94、pp156-197(ギボンズ著/小林信一監訳;丸善)
【非特許文献19】哲学;『哲学入門一歩前』pp160-177(廣松渉;講談社)
【非特許文献20】社会科学;『社会学とは何か』pp153-182、pp217-242(盛田和夫;ミネルヴァ書房)
【非特許文献21】社会科学;『社会科学の考え方』pp3-5、pp64-73(水田洋;講談社)
【非特許文献22】哲学;『荘子;内編』(金谷治訳注;岩波書店)
【非特許文献23】未来学;『断絶の時代』pp5-11、pp223-278(P.F.ドラッカー著/林雄二郎訳;ダイヤモンド社)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
〔社会科学の学術的な課題〕
【0007】
社会技術の領域に於ける思考情報技術が支えるデザイン思考に基づく構想設計技術を課題解決策に対して作用させる際に統合的なQCD(品質、コスト、出荷時期)を満たす知的生産性の向上(非特許文献18参照)を図ることが重要な時代に突入していると認識した上で、社会科学領域の学術的な関心意識に基づいて目的項を構成する学術的な課題を探る中で意識に関る本質的な目的を的確に把握出来ないと、目的項に関る手段そのものが目的化して不都合が生じて変革力が効果的に発揮出来なくなりQCDを損なう懸念が生じる為、これを払拭すべく脱手段の発想が求められる。コト的世界観の中で構想設計対象を図2の格子譜論理に従った社会単位(Social Primitive)の構造体としての超社会システムに設定する事により、手段と目的の間の効用創生論理までを組み込んでこの懸念を払拭することを可能にしなければならない。マクロに見れば人生設計、地域デザイン、政策デザイン、学術体系、知の統合、社会の設計図、社会的事業、戦略策定などが社会理論的な構想の対象として俯瞰できる。幾つかの具体的なテーマを掲げると、まず社会的な傷病の一つであり国際的な課題となっている気候変動対策を含めたSDGsが存在して持続可能な開発を目指す産業の在り方を中心に誰も取り残さないことを標語にする人間の心に意識の焦点を当てる状況が存在する。最近の感染症への対応に於ける医学的・経済的な事柄に加え人間の心の問題でも同様の対応を含んでいる。日本の社会経済的課題である地方創生に於いては「まち・ひと・しごと創生」が謳われ、産業構造の変革を通してしごとを創生する中で、産業がまちやひと(人)の意識の在り方に係って行く姿が描かれている。地方創生に於いて大切な事は、人間の意識の持ち様に直結する目的項につながる消費スタイルやライフスタイルを受止めた対応策としてコトを起こす産業構造や企業の姿勢と構想であり、これを支える政策デザインに戦略的なコト起こしの発想を組込むことが為される。また大都市への一極的な人口集中が都市の過密を生んでいてグローバル性を伴う感染症対応への脆弱さを露見させると共に、都市への人口一極集中と関連が深い食料自給率や再生エネルギー利用率向上のためには地域資源に敬意を払う意識の働かせ方の中で、ローカルな地域資源を活用して地方創生に結び付けグローカル哲学に基づく連帯的な発想と合わせて構想し政策化することが安全保障上の重要課題となる状況にある。この様な社会的課題解決策に共通するのが人間一人ひとりの感情と情動に関る意識を統合して受け止める産業構造の変革へのリーダーシップと知的行動の在り方であり、思考の効果までを視野に入れた対応策の構想(コト)に関わる活動への行政体・学術界や企業体・事業体のトップ層の意識体系への関心醸成と学術的方法論の確立である。別の言葉で表現すれば、モノ的世界観とコト的世界観の相補性への意識転換であり、物理学に加えて事(コト)の理による相補性を考慮した事理学的論理の学術領域の確立要求となる。しかし、社会科学に於いては人間の内面の扱いの理論化が不明確である事から、上記の様な社会的な課題が山積する中で、モノ(物)が中心の社会からコト(事)が重視される社会へ転換される時代背景にも関わらず、コトを興す契機となる人間の外界である社会システムと人間との関係に於ける人間の意識の扱いが学術的に定式化されておらず社会的責任の問題になりかねない。すなわち人間の意識を内包する社会システムの定義と記述の方法も不明確であり、「コト」に関するコト的世界観に基づく知的活動(特にコト興し)を産業化する為のデザインと経営構想策定に対する方法論に課題が存在し知識社会化の時代要請に応え切れていない。更に言い換えれば、結果として様々な政策や産業の領域・分野に於いて環境変化に対応するための変革に無理や無駄が生じる一方で生産力は語られても変革力の在り方が明示されていない。つまり社会的課題や経営問題に取組む産業界や個別企業そして自治体・行政体などに於ける様々な不都合に対して、複雑化する中で相互関係の増加に起因して複合化する社会的課題のソリューションを獲得する対応策の戦略や政策デザインに関わる構想や経営計画を立てる段階に於いて、意識を有する存在である人間の精神性や心の働きを内包する物事や事態を学術的に扱う必要性が知的生産性の議論と相俟って増加している。従って下記の実用的な技術的課題への対応策が技術開発を契機とした学術的な課題解決への嚆矢となり得る。
〔技術的な課題〕
【0008】
本発明の目的項を構成する上記社会的な課題解決への道筋に関する構想設計的な手段としての学術的且つ社会技術的な対応策の基本となる超社会システムに対するデザイン思考に於ける意識に留意した思考情報技術に就いては、上記の先行発明群によって個別の思考情報技術までは開発され提示済の状況にある。しかし上記の様な時代背景の中で知的(有機的)な社会システムつまり超社会システム(特許文献3)に関るデザイン思考(特許文献2参照)に基づくデザイン論に対して理解を深めた上で、該当分野の技術者が利用出来る様な形で思考情報技術が客観的かつに体系的に定式化され利便性が高められる事が重要である。更に意識空間の定形化に基づいた知的な世界にある意識・心・精神・知が働く場やコト的世界の事理学的論理に沿った統合的な変革力を伴った対応策を設計する為の目的項を指定する統合的対象論が存在しない事から、意識空間の階層的構成法に基づく構想知の統合への対応が欠かせない。端的に言えば、構想設計対象としての超社会システムを扱う設計技術の体系化と設計対象の定式化の両方の確立が喫緊の思考情報技術的且つ学術的(前記0007項)な課題と言える。これらは大きな意味でのトータルなQCD面からの知的生産性の向上にとっての障壁を超える為に解決すべき課題であり、構想の専門家及び専門家のグループに加え普通の担当者でも理解を深め習熟によって操作可能になる道具立て(ツール)として、例えばパソコンの汎用ソフトなどを活用した構想設計のアプリケーションソフトの形態での実現が急務である。一言で表現すれば図2に組込んだ先行発明である深化型構想設計法(特許文献4)の技術的な拡張・強化を意味する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明図1は発明の定式化過程を示すフローを図式化したものであり、ステップAで背景技術の現状確認と思考情報技術に関する先行発明の整理を課題解決の為の枠組み設定手段としてサブステップに分割して再認識し、ステップBで課題を解決するための具体的な手段としての詳細確認作業をステップAの枠組み設定中のサブステップ項目に夫々対応した形で細分化して明示する。
〔枠組み設定手段;思考情報技術的な背景技術の詳細認識〕
【0010】
図1ステップAのサブステップ▲1▼では特許文献1の図1を本発明の基本となる図2の格子譜として把握した上で、五件の先行発明群(特許文献2~6)との共有性の中で特に特許文献4図1、3と特許文献2図3、4、5及び特許文献6図5との関連性を有したシステム表現形に展開として図式化する準備を行ない、サブステップ▲2▼では特許文献6の実施例として示した該文献中の図10(ヘリコイド図式)の心のダイナミックス部分の課題をコト的世界観に於ける知的営為の存在論から探り、サブステップ▲3▼ではヘリコイド・ダイナミイクが示唆する構想知の超越場の在り様を探りながら詳細に上位展開して意識空間の視座で捉えた意識・心・精神・知的活動・コト的世界への展開のタワー状構造化でのヘリコイダル・ダイナミックで深層から上層への動的な同心円展開の見直しを行なって知の超体化の方向性を探り、サブステップ▲4▼では特許文献6図11の当事者意識の構成の現時点からみた不都合を確認しながら有機性への言及を認識し、サブステップ▲5▼では社会の基本構成単位を人間や家族ではなく個の意識と社会システムとの社会的関係の場に於けるシステム構成で形成される社会単位として定義する先行発明群との論理照合を行い、サブステップ▲6▼では先行発明書(特許文献2~6)の技術領域記述を再確認して思考情報技術記述の有効性確認を行い、サブステップ▲7▼では知の世界の先にあるコト的世界観の存在確認とコト的世界の核心に迫る学術的課題の方向性を抽出することで本発明のあるべき姿を定めた。
〔課題を解決する為の具体的な手段の明示〕
【0011】
社会的な課題解決に向けた学術的及び思考情報技術的な普遍的手段を構想するに際して重要なことは、まず物事の基本であり知的営為の目的項ともなる価値観であり、これを図2で掲げた格子譜の表現軸の論理に適合的な有効性を確保して構想譜に具体的に組込む事が必須手段として発見された。目的項を考える場合図2で示す格子譜の目的*原因の論理にある「▲A▼個の意識」つまり▲A▼を付した事が意味する個起点の目的性論理を前提にした上で、「手段と目的」の関係性に関る効用創生と「原因と結果」の関係性に関わる作用の尺度が夫々有効性と適合性に設定され変革力が働く尺度に定位され、後述する事理の原理2の具体的機能として図2にその様に記されている。目的項の更なる具体的な概念は特許文献2図3において論考された結果が目的項に定位されるデザイン原論(非特許文献1)が説く『人間の幸せ』の概念を吸収出来る様に組込む共有価値の論理が手段として必須となる。地球的且つ世界的なレベルの世界観と生命観に関して人類全体で共有可能な普遍的価値(共有価値)と考えられる時間的要素としての命の原理(非特許文献9)を重視した倫理性を有した理性的視点に立てば、広義の「持続可能性」を構想譜の汎時間軸に設定することで世界的に共通な時間価値を強調する論理が確立出来る。空間軸に就いては人間の感性的視点が必要となる特性を有するので設定を一義的に行うのは困難であるが、人間だけでなく全ての生命体が適所としての場所性を有した適者的生息空間を棲み分ける為には、世界的・地球的な観点での共通価値として広義の「快適性」を構想譜の汎空間軸に設定して前記汎時間軸の「持続可能性」とセットにすることが重要である。更に論理を追求すれば「社会的な正義」の根源は、命の原理に基づく原初状態の上に在ると共に、独立した個とその外界とが適者生存を意図して新しい関係性である連帯的関係性を築き生存する事にあり、構想譜の関係性軸の共有価値は「連帯性」に設定される。連帯は自立互恵の精神下での相互依存と相互貢献の論理を有するものであり、東洋哲学の縁起的と称する考え方と同根と言える。関係性軸の論考は特許文献6図3とその関連説明で為された先行発明の知見である。なお本発明で記述される格子譜の構想体適用である構想譜の三元表現軸は、共有価値によって構成されることを先験的な直観の基での思考情報技術の前提とすることが付記される。
さて、課題として上記で説明した意識の在り方を解明して技術の形にする方法論が不都合な状況に置かれて来た大きな要因は、社会的なシステムのデザイン行為の本質に関する理解不足と、意識自体の本質にまで意を尽くすべきデザイン思考に関わる思考情報技術的な未熟さであると考えられる。上記で指摘された課題への対応策として、コトに関わって人間の意識の在り様にまで踏み込んだ創造的な知的活動を効果的かつ効率的良く行う為には、知の統合を意識したデザインの道具立て(ツール)が必要であり本発明に先行して為された上記一連の個別の先行発明群が該当する。知の統合のためのデザイン当事者の意図を受止めることを可能にするデザイン思考に基づくツールであるが、コトを視野に入れると上記課題の中で指摘した様にコトに関わるデザイン思考ではデザイン行為を主導する人間の意識の階層性に焦点を当てる必要があることが再認識できる。デザイン対象として個の意識と社会システムに加えて両者の社会的関係の場を含めた個起点の三元論に基づく深化した発想が必須になり、思考情報技術を発明済みの格子譜論理(特許文献1、特許文献4)とその発展形の定義の在り方(特許文献2~6)を吸収して表現形の体系化を図ることが重要になる。先行発明では省かれた詳細部分に対して、本発明によって改めて一般的には主観的な事柄と理解される当事者意識の統合的な構造と働きに就いて、領域を跨る諸科学の知見を文理融合的に駆使して論理展開し事理学的論理を獲得した上で、階層化理論に基づいて意識空間の階層的な枠組みを構成することで客観性を担保出来る様に知の統合を目指す知の超体モデルをデザインすることを試みて定式化がなされた。思考情報技術自体の根底を成す科学的な知見を技術開発の対象にするためには、提示される原理の示唆を汲み取ってその論理を社会適用する為の社会思考化の着眼と手続が重要であり、着眼点を思考情報技術の体系化と知の統合に向けての方法論の定式化の方向付けが問われる。意識の技術的取り扱いとその働きは意識そのものだけで有効になるのではなく、意識の役割や働きを必要とする物事に関する心や精神そして知の追求の営為とコト的世界追求から成る思考行為とが組み合わさって有効になることを理解して進める。そのため先行発明群の成果を活用しながら格子譜の拡張記述文法(図19)を設定して技術的な機能を強化した意識空間のモデル構成(モデリング)を展開する。なお本発明で展開する意識空間のヘリコイド・ダイナミックの追求と構想知の超越場の骨組みには、ニュートン力学からの物理原理のパラダイム転換に基づいて現代物理学の知見に組込む際に、現代物理学の量子論を基本にした量子力学と相対性理論を導入し現代物理学の知見が示唆する図3図4による事理学的原理を社会適用して理論化する。
【0012】
課題を解決する為の具体的な手段の細部過程は、本発明図1のステップBに於ける以下の細部ステップで示される。細部ステップ▲a▼「格子譜の表現形見直し」では意匠登録の図1(特許文献1)を原図として転記して明記した後で展開した形で本発明図2「格子譜のシステム表現形」を構成している。図2の先行発明群5件の構造展開による格子譜表現は特許文献2の図3図4図5の三枚を合成した異質融合の形、特許文献3の図9、特許文献4の図1図3の図式様式及び図2の意識空間の定義;2.5次元表示、特許文献5の図2、特許文献6の図5の総合的な融合形において為されており、基本は原型に基づく共通性を有する。該格子譜に記述文法に従って内容記述をした形が構想譜であり、中心「真の実在」と構造要素である「基盤肢」と「行為網」との三点セットによる格子譜から記述・設計のテーマに沿った構想体名を伴った構想譜への変換は、特許文献4深化型構想設計法(ADDiD)の図3図4図5図6によって定義され異質の融合を実現している。この文法による規定と先行発明群の論理を総合して「格子譜論理」と称する。格子譜論理はビジュアルなオブジェクト指向言語(構想語と称する)を成している(特許文献4;0015項)ので、本発明でも図式表現で統一的に採用するべく本発明書及びその実施例に関る構想譜形式の図式である図6図22の全てに適用しており、各要素の構造的意味については説明を要しない。つまり構想体名としてテーマを有した各図式自体が当該テーマの理論構成示すことを意味しており、この事は格子譜論理に則った図式自体が言語性を帯びていることと同義である。細部ステップ▲b▼「構想的な知的営為の対象論と場の事理学の確認」では思考対象の再定義の形として図3の主図と補図群を描いて「コーン形態構造」を構想対象概念として詳細に示す事で、存在力が有する回転エネルギーで保持する意識空間の階層的構成の確認準備を行い次のステップCつないでいる。細部ステップ▲c▼「ヘリコイド図式の見直し」は特許文献6の実施例の図式図10を本発明の進行に合わせた形で最新情報を組込んで再構成するものであり、本発明図5「意識空間のヘリコイド・ダイナミック;超体モデル」への展開を図った。ここでは意識の階層性の確認をヘリコイド構造に付したタワー構造表示で確認した上で、意識空間の超越場を「意識空間の階層化理論」に定位させ真の実在・意識・心・精神・知・コト・文化(人生・地域・文明)の動的(ダイナミック)な統合場で構成する。意識空間上に個起点の格子譜論理を引き継いだ構想知の超越場を導入し深層から上層への展開として当事者意識、心と精神、知のかたち、コト的世界で細部図式の構成を図った上で実施例3件を追加表現し、細部ステップ▲d▼「当事者意識の改定的見直し」では与件である特許文献6図11の細部を見直して本発明図6「生存の所作を担保する当事者意識の知の駆動力構成モデル」に改定し当事者意識の新たな与件として定形化した。精神的な力である駆動力は図6の脚注で示した如く、関係性軸を中心軸として螺旋状(特許文献5;0019項)に回転する駆動力の概念=存在力(生きる力+超時間的当事者性+連帯力)+展開力(生産力+変革力)の形の精神的な力とエネルギーであると理解する。超社会システムに於ける個の実在と連帯意識を前提とする精神的活力(Vitality)の世界であり、意識は生命体が自分自身とその周囲を自覚すると共に自己と外界を同時に認識して一体化する連帯的な関係性を認識するものとして自己意識、連帯意識、当事者意識のトライアングルで構成されているとする論理を採用する。当事者とは物事や事態に対して”何か変”と思う課題の解決に自ら取り組む人であり、意識の統一場を核とする階層構造の中で▲1▼動物的身体性への意識、▲2▼社会性の意識、▲3▼内的成長の意識、▲4▼棲み分けの意識を統合的に働かせる力量を有し、意識の超越場において自己と外界の一体化機能を備えている条件の下で▲E▼連帯的共生の論理に基づいて▲A▼問題意識の醸成、▲B▼意識的観察の促進、▲C▼変革意識の誘起、▲D▼連帯的活動意識の発動が為されることで当事者意識が醸成されるとした上で細目を列挙する。勿論細目の全ての要素が必須ではなく構想体のテーマで取捨される。基本的には「今ここに居てどちらへ向うか」を自分事として判断して意識を働かせることが求められる。その意味で当事者としての人間がひとりでは生きていけない事を自覚する中で、個人の尊厳が重要であるとの論理の下でお互いを尊重する共生の論理を生むものであり、再生と進化の努力つまり適者生存への有機的な連帯的活動意識につなげる事の必要性を図6は示しており、図5図8が示す如く意識空間の階層の上位を規定する根幹を為す。細部ステップ▲d▼「先行発明の確認」では特許文献4(0009、0011項)において「社会単位」の定義を社会の三次構成要素から「個の意識*社会システム*社会的関係の場」の三次元化を図った構造体として捉えて詳細を説明済である。本発明ではこの考えを展開して図18に示す「汎社会単位体」の定式化モデルを得ており、コト的観点から考える知の世界における普遍性を有した形の多面超社会システム論に於ける知的行為全体の多様体理論に定位している。細部ステップ▲e▼「社会単位の先行発明の確認」では特許文献3(0018,0019項)、特許文献4(0009、0011項)、特許文献6(0027)に社会単位への言及があり格子譜論理の定義も為されている事を再確認し、▲f▼「思考情報技術の体系化」は図7で理論化されており細部ステップDにおいて具体的に展開している。細部ステップ▲g▼「学術課題の指摘と解決の方向性」に関しては知の超越性と不足技術の明示の必要性を指摘するものであり論理はステップE以降において具体的に展開するとして、まず重要な事柄は表に出現し辛い図3図4が示す▲イ▼事理学(モノとコトの精神の力とエネルギー)、▲ロ▼意識空間のコーン構造の存在を技術的に把握すること及び図3図4の事理の原理を受けて図8が示す▲ハ▼構想知の超越場を生成する核となる精神的ホメオスタシスの存在であり、統合化した形で知の超体モデルとして発明に組込まれる。図7図8の展開形の詳細は後述する。
【0013】
本発明図1のステップC「構想設計に於ける知的営為の対象論と場の事理学の理論化の手段」に就いては図3主図と補図▲A▼及び図4補図▲B▼と補図▲C▼で示しながら説明を展開する。本発明が関る社会的な物事と事態に就いての構想設計的な知的営為過程に於ける認識対象には図3主図の現象・心象・表象・形象・具象の五象が想定される。これら五つの認識対象に焦点を当てる中で超越性の論理を階層的に組み立てながら、それぞれの項目に感性の働きと悟性の働き及び理性的判断を伴う思考形態・知的空間の内容が確認される。そして理性の働きが超越性の論理の中で当事者意識を中核にして認識され図式化され、合わせて構想知の超越場(補図▲A▼で詳細化)と共に精神の力とエネルギー変換の場(図4補図▲B▼で詳細化)が描かれて総合的に意識空間の階層化構成法の説明が為される。当事者意識が主導する個起点の超越性の論理は対象への関心が示す理性の働きが精神エネルギーを制御する主な要素になり、図4で示す図3主図の補図▲B▼の論理に展開される。補図▲B▼の構成概念モデルで示される構想知は人間の頭脳内のワーキングメモリ(非特許文献3、4)の中で働く知の要素であり、脳内のニューラルネット上の暗黙知と構想譜に図式化された各構成要素の概念を通して表現する自然言語表現の形式知の両方を同時に認識する構成を有する。図2でも定義的に表現されている如く知識と知性は一般的な辞書の定義に従うとして、知識は先験的な要素である時空面で表現され知性(=悟性*理性)は時空面への投映として悟性が主導する実存性の特性を示している。新しい概念である知匠(=感性*理性)が導出されており、時空面への投映が感性の主導する実体性の特性を示している。特許文献6(0024項)で導出済の知匠概念も含めて構想知は新しい概念を為す思考情報そのものを意味しており、先行発明における特許文献2(0001項)や特許文献4(0011項)で定義されている。構想知の形は特許文献4図2が定義する意識空間を核とする思考情報空間に於ける構想知の超越場上の心と精神の形、知の統一場、コト的世界、汎社会単位体に細分化出来る。なお図3補図▲A▼の注書きでは感性、悟性、理性の働きに依る意識空間の階層性を示す後述の図5のタワー構造との整合性も合わせて説明されている。図5の原典である特許文献6図10の説明と合わせて把握すれば本発明の図3図4は容易に理解出来る様な説明構成になっている。その為に図3主図の補足とする補図▲A▼「意識の超越性と構想知の構成概念モデル」による超社会システムの関数型表現であり、特許文献4図2及び特許文献6図8図9で定義される構想知の意識特性を構成する実体性*実存性*実在性を改めて本発明図3補図▲A▼で事理の原理1として理論化し、図4補図▲B▼「精神の力とエネルギーの変換」で意識の駆動力としての生産力と変革力の構成に就いては電流の流れを意識の流れに比定しながら電磁気学の知見から発想したフレミングの法則から事理の原理2に定位した。これは参考に揚げた「モノとコトの精神の力とエネルギーの事理表現式」が分析の核心であり、補図▲B▼内の式1は事理学的な視座に於ける事理の原理2とするものである。式1の成り立ちである運動体の質量概念(m;モノ的世界)を表(おもて)の世界から取り払った論理表現は、正しく格子譜の基盤肢を担うモノ的世界と相補性を有する行為網を担うコト的世界の論理そのものと理解出来る発見であり、後述の図7で示す本発明の「コト的世界の思考情報技術体系」による知の超体モデルの理論的根拠を為している。更に図4補図▲C▼において個の意識が生み出す実在力を示す精神エネルギーとしての回転的な運動エネルギーの準位変動が摂動エネルギーに拠って変化する量子力学準拠の論理が応用的に組み込まれ、コーン構造に模式化出来る形で意識空間の構造体を成す事理の原理3の技術的な理論化が為されている。上記事理学的論理を構成する三つの事理の原理が、構想設計法に於いてコト的世界をイメージしてモデル化した構想知の「知の超体モデル」の理論的根拠の主幹を為すことになる。この知の超体のイメージを構想設計機能付き電子計算機のアプリケーションソフトの画面上或は通常の紙面上において表現の次元を縮退させた連帯的関係性の場を核にしたモデルとして図式化する形式を持たせ、図2が示す格子譜上に文理融合的に統合化して拡張記述文法の論理を組立てた上で、モデリング・デザインする技法を用いて構想法の一環としてモノ的世界とコト的世界を統合的に構造化し可視化を図ることにより、有機的な超社会システム上で普遍的な形式で客観的に表現してデザイン思考を深化させ実用的な技法を駆使する意識の統一場及び構想知の意識空間と超越場に於いて、事理学的論理が主導する図7の思考情報技術の格子譜論理的体系化に基づくモデリング・デザイン技法を用いた図5の意識空間の階層的構成法に論拠を置く図8「知の超体基本モデル」と、その関連図式(図9図18;格子譜論理に従う)で表現される知の統合の為の知の超体モデルの定式化方法が得られる。事理学的論理に基づいて本モデルへ到達する上記の発明過程に於いて案出された各理論や論理は、特許文献1~特許文献6の出願時点で確立された思考情報技術の下で定義され特許文献4で明示された深化型構想設計法ADDiDの表現方法を規定する同文献の図2図5の四枚の図式で示した格子譜の記述文法を前提とした上で拡張記述文法を設定する如く役割を果たすものであり、構想知を構想譜上に表現を実施する知的営為の強化を実現すると共に構想譜表現の内容の適合性と有効性の発揮を含めた知的生産性の更なる向上に資する。なお、構想知の超越場の各構成要素の細部は一部で相互に重複する様に観察出来る場合が存在する可能性があり、言葉の解釈によっては分野や領域事態に齟齬が生じる可能性も指摘出来る。各種テーマ別の構想譜の読み解きに関して発生するこの様な事は構想法以外でも生じる事柄であり解釈に留意するべきである。
上記の如く本発明はコト的世界における知の統合に貢献すべく、意識論の展開による思考情報技術の体系化に加えて該技術体系の下で事理学的論理を構成する事理の原理群を理論化した上で、構想設計法のコト的世界をイメージしてモデル化した構想知の知の超体モデルの理論的根拠の主幹的役割を果たしている。前記知の超体のイメージを構想設計機能付き電子計算機のアプリケーションソフトの画面上或は印刷紙面上において、三次元思考のデザイン的表現の次元を縮退させた連帯的関係性の場を核にしたモデルとして図式化する形式で定形化した格子譜上に、文理融合的に統合化して事理学的論理を組立てた上でモデリング・デザインする技法を用いて構想設計法の一環としてモノ的世界とコト的世界を統合的に構造化・可視化した構想譜表現する事により、有機的な超社会システム上の普遍的形式で客観的に表現してデザイン思考を深化させ実用的な技法を駆使する為の思考情報技術の体系化と、構想知の意識空間と超越場に於いて事理学的論理が主導する思考情報技術の拡張記述文法を用いた格子譜論理的体系化に基づくモデリング・デザイン技法に拠る意識空間の階層的構成法に論拠を置く「知の超体基本モデル」から、意識・心・精神・知・社会単位・コト的世界の関連図式で表現される知の統合の為の知の超体モデルの定式化を特徴とする構想設計の方法が得られる。先行発明群と相俟って知の統合を可能とする構想設計法の強化が為され、複合化する社会的な課題への対応策に取り組む際のデザイン思考と直結した超社会システムに対する構想設計作業の有効性や生産性向上が実現出来ると共に、コト的世界を扱う理論を組込んだ社会科学再興の嚆矢にもなる。
〔手段の核心となる事理学的論理の解読〕
【0014】
まず「事」が物事(モノ=もの・こと;実体性)の要素と事態(コト=ことの状況;実存性)の二つの意味を有する事を理解した上で、事理学を物理学との対比で考えると「コト的世界」は上記の論考に拠って社会単位、超社会システム、格子譜表現、構想体、構想譜表現、構想設計、政策デザインなど多様な側面を有することが判る。これら多様な表現形態を支えながら思考情報技術と格子譜論理を成立させている上記事理学的論理の核心を構成する事理の原理1、2、3に就いて、課題解決の手段の観点から更なる解明を進める。原理1はコト的世界の核となり先行発明である特許文献6図8で定義したところの、意識の統一場における意識特性が特許文献6図9を引用した本発明図3補図▲A▼で示す構想知を構築する理論的根拠を意味する。物事や事態に関する人間の基本的営為である生存を原初的根源に置く「生きる」を体現できる先験的な「感じる;実体性」を基軸に設定し、「みる;生存*理性」、「わかる;感性*悟性」、「つくる;感性*理性」の三つの要素を国語辞書が示す言葉の意識特性的な観点で意味を分析的に理解すると、「みる(理性)=観る/視る、診る、看る」、「わかる(悟性)=分る、判る、解る」、「つくる(感性)=創る、造る、作る」に分解できるので、構想知を構成する三元軸である理性、悟性、感性の尺度として夫々実在性、実存性、実体性で構造表現出来る特性が設定できる。この事は時空面とこれに垂直な時空軸を結び付ける関係性軸による「生存の場」に対する意識の先験的な認識によって生起される基本的な構成概念であり、非特許文献2が説く『構想力の論理』が示す統合論に則り日本語が持つ表意文字が表現する言葉の意味と融合して組立てられる。この様な意識の働きを前記した如く東洋哲学である華厳教学(非特許文献7、8)では『存在するものは全て心の表れである』と説いている。漢字を核にした表意文字である日本語は構想知の操作の様な脳内イメージを形式知に変換する構想知に関る知的営為の効率を高める貴重な財産である事を付記しておく。
原理2は本発明において発見して定式化した概念であり、先行発明において事理学的論理と称した(特許文献6;0023項)論理を充足する核心部分を成す。原理2はコト的世界における精神の力とエネルギーの相互変換の論理を理論化するものであり、精神エネルギー(非特許文献6;再生と進化への努力に関る精神のエネルギー)を現代物理学の法則である物質に関する精神の力とエネルギーの関係式である事理学的論理で読み解いて三次元思考世界の事理的表現理論としている。物質の概念は実社会の社会システムの形を為す社会基盤を思考空間に投影した概念を示す基盤肢に比定することで、格子譜が表現する社会単位もしくは超社会システムを構想設計上の運動体として定位出来る。従って基本は真の実在、基盤肢、行為網の三元から成る格子譜論理で構成される構想知を独立の運動体と見做す論理を構成する事であり、特許文献5図6で定形化した社会単位が粒子化された運動体としての社会意識量子(特許文献5)を核にして運動体概念を知のレベルに上層化したところに真の実在を核心とする存在力の論拠となる物質的根拠を有する。これが構想知に現代物理学を適用しながら図4補図▲B▼の式1を読み解く論拠であり、コト的世界の事理の根拠を得る為に精神の力とエネルギーの方程式(式1)からモノ的世界の要素である質量mを消した式1の論理を読み解いて定式化出来る事になる。補図▲B▼の式1が示す変革力Fの働きはデザイン的所作に基づく物事の未来進化の戦略要素であるコト興しに対するものであり、生産力と直交する生産とは異質の存在としての変革力による変革結果が、コト興し手段として起点となる目的項に対して有効性を発揮する合目的的合理性事項として及び結果を生み出す為の適合性を有して合理性を主張する役割としての意味を有する。ここで物理的な客観的合理性を考えたとき『式1は測定可能なのか、また測定結果を用いて論理がアルゴリズム化できる客観性を有するのか』とする命題への答えが重要になるが、量子論の下で働く観察理論(特許文献6参照)に基づく事理学的論理から『否』と答えざるを得ない。しかし、当事者意識の下では客観と主観の融合である明観(特許文献6の0020項、0023項参照)によって合目的的合理性を有することになるのは上記の通りである。
原理3は図4で示す図3の主図に対する補図▲C▼が表現するコーン状の知の超体モデルによって統合的な形態を示すと共にフレミング法則を応用した上記原理2も同図中に示される要素となる。補図▲C▼内で各時空面上(0、1~n)の各個起点から始まる意識の働きで起こる格子譜上の構成要素▲A▼▲B▼▲C▼▲D▼▲E▼の異質融合理論は、基盤肢の基本的な生産力(再生力)ベースの運動エネルギーに支えられた運動体に対する意識の摂動エネルギーの働きによる異質融合の行為網操作、つまりミッション・コンテクスト・エンゲージメント・コンセンサス・コミットメントの循環的(特許文献2図6で定義)な変革力(進化力)による系のエネルギー準位の様相を模式化して把握した上で、補図▲C▼注書きの事理の総括原理も含めた原理群を活用して時空面群が表現する構想知の統合性を表現する。時空面群を意識空間上の階層化理論に基づいて具体的に表現したのが、図5の示すヘリコイド・ダイナミックであり知の統合の形である知の超体モデル表現を為す。
【発明の効果】
【0015】
本発明による構想設計法全体の思考情報技術の質的向上を効果的に利用する事によって各テーマの構想知を表現する構想譜表現自体の効果が増強されることに加え、意識空間の階層化理論を構想設計法に定位させた上で精神エネルギーの働きに基づく事理的原理を適用した構想知の超越場を構成して展開する知の超体モデルの定式化に拠って知の統合の方法論の有用化が図られた。
〔構想知の構想譜表現を強化した効果〕
【0016】
思考情報技術体系で武装化された論理に基づく格子譜が構成するオブジェクト指向の言語を用いる形の構想を構想譜の形態で構造化・可視化して図式で表現することによって、“つくる”を志向する構想設計法自体に対して以下の具体的な効果及び示唆的な効果を得る事を構想設計法の存立価値として評価出来る。
(1)構想体の形成に当事者意識を組込む仕組みにより、当事者が責任と覚悟を持って構想を操作しその内容を遂行することが可能になる。
(2)格子譜の定式化に際して時空軸とこれらの関係性を用いて記述するで、複雑な事柄が相互に絡み合う現実社会或はその部分である日常的世界を手段と目的や原因と結果の組合せと相互の関係性を合理的且つ合目的的に把握して正しい処置を施すことが容易になり、論理的な正統性と健全性が向上する。
(3)格子譜の構造を細分化して基盤肢と行為網の組合せで物事を考えることにより、複雑な事柄が相互に絡み合う複合社会或はその部分である日常世界に対して、コト的世界の深層に迫る事理の原理を取り込んだ実体性、実存性、実在性の三つの切り口で正統性・健全性を確保しながら合理的且つ合目的的に把握して表現出来るので、構想から計画策定と計画遂行の中で目的項としての人間の幸せ実現に向けた効果的な本質的処置を施すことが可能になる。
(4)コト的世界の解明に基づいて人間を内包した物事の記述を可能にしたことで、産業・経済の基礎や起点になっている人間の正統性ある生き方やライフスタイルにまで遡って把握するが出来るようになり、上質な社会へ前進する可能が増大しこれらが産業・経済の発展に好ましい価値的循環をもたらす。
(5)格子譜の「関係性の場」に物事に対する人間の意識や意志に関わる非決定論的な部分を集約し、関係性の場に対して当事者の合意形成を集中的に操作し調整するところの本発明による構想法の普遍化によって各種領域における物事の構想設計が可能になり、国づくり戦略やまちづくり施策など非決定論的な人間の意識や意志が決め手になる事柄に対しても、未来像の設計に対して適合性と有効性を擁して実施することが可能になる。ここから、人生100年時代に相応しいる国家百年の計そしてその先の縄文時代から続く万年の日本文明のその先の未来を築くビジョンと構想に繋がる発想が生まれ易くなる。
(6)格子譜論理の展開と事理の原理に拠って具体的に実現した意識の階層化理論に基づくデザイン思考の確立により、従来扱いが困難であった人間の精神性を含む社会的な物事を格子譜論理下で展開される構想譜によって正確に記述して技術的に表現出来る思考情報技術が提供できるので、AI技術で懸念されている人間の意志を超えた行動による闇の世界であると言われる「ディストピア」状況を制約する為に、光の世界の意志に依って為される社会技術に関わる社会的正義に対する根拠を示すことが可能になる。
(7)知の統合的思考の効果に関しては、産業や経済など社会的な出来事を一次元思考で表現するワンイッシュウ型のニュートン力学の論理に基づく物事への発想に依って表現が単純すぎるが故に言葉足らずで説明不足になる不都合を、意識の階層構造まで理解した説明要素の追加によって知的営為の中で社会技術的に解消することに効果を発揮できる。この発想は経済成長の在り方を質から考える場合や社会の構造の分断解消に向けて考える時、一方面から見て物事や事態を論じる発想の不備解消策などにも適用可能である。
(8)人間の意識と生態系が超社会システムの目的項である事が明確になり、人間社会が自然環境と一体的に運営されるべきことを示唆する。
(9)個起点の構想設計法が可能にする連帯性への取組の中で取り上げたグローカル哲学の発想は国内では地方創生の根幹であり、国際的な関係性改善においても活用されている哲学である一方、原初状態の社会的な正義(善)の論理に照らして当然連帯的な互恵であるべき関係性が一方的に近い取引に陥っている状況から脱却するための社会科学的な理論的根拠に為り得る。科学技術基本法制定にリンクした付帯的な効果として事柄を扱う発想につながる。
〔思考情報技術体系化から得られる知の統合的効果〕
【0017】
構想設計領域の意識や構想知の世界では社会的課題への対策の効果を直接可視的に確認することは困難であり、知の統合効果の検証には対応策への論理の必要十分性や合目的性を満たす展開自体を検証する事が必要である。また社会的な事柄への効果は社会実験を伴う為、ここでは構想譜をデザインするアート性と非決定論的な論理の存在を把握した上で、明文化が困難な当事者意識を駆使して価値や正当性を判断することが重要であると理解出来る。しかし、少なくとも下記の項目を列挙出来ることから、本発明による客観的な諸科学の知見に基づいて社会的課題解決への必要な対応策のモデルを組み立てた構想設計のアプケーションソフトの形で図式表現して知の超体モデルにおける当事者意識の三元的な働きの客観性を確認出来る。つまり懸案の課題解決への道筋を提示する構想設計法に関るモデリング・デザイン領域の思考情報設計(Cogito-designology;造語)に関わる深化した思考情報技術的な効果が提示できる。
(10)本発明の説明用の図式群が重要な思考手段の一つである「合成による分析(Analysis by Synthesis)」の具体例として示されることで、対策の具現化動機を生命原理に基づく「生きる=“つくる”」に準拠することに拠る有機的思考情報技術が物事の情況の把握に効果的に働く事を確認できる。
(11)意識空間の階層化理論に拠って知の超越場の上層への展開が可能になり、精神エネルギーを有効に発揮して知の統合に向かう思考情報技術の普遍性が向上し構想設計法に関する先行発明(特許文献4)の有用性が高まる。
(12)本発明の過程において事理の原理に関して現代物理学の力とエネルギーの方程式の解明からコト的世界観の理論的根拠を得ることが出来たので、意識の上層に存在する心と精神から知の超体モデルまで含めた人間の知的営為を内包した超社会システムに於ける複雑な物事や事態への対応策の統合的なデザイン思考の展開力が高まる。
(13)事理の原理群に拠り構想知における変革力が構想設計法に定位されることで、意識空間の階層化理論における時空面と関係性軸で構成される連帯型デザインの思考空間に於ける存在力を示す関係性軸の意味と働きが明示され構想設計法の普遍性が高まる。
(14)上記(13)と関連して意識、心と精神、知的営為、コト的事柄の構想知の超越場に於ける動的な展開つまり関係性軸の構成要素の関係性の場への内容の投映が可視化出来て階層的な構造展開が容易になるので、意識空間のヘリコイド状の構造展開が強化されて応用性が高まり、先行発明である深化型構想設計法(特許文献4)による構想譜の使い勝手と効果を高める役割を果たし、これを知の統合型構想設計法と呼称出来る。
(15)社会単位の発想からの文理融合の事例提供により社会学、経営学、経済学、政策学などの社会科学領域に対してコト的世界観に於ける意識要素のデザインと組込に関る知的営為の注入を試みることで、人間の精神性・実在意識・身体性を内包して構成される社会に於いて人間の内面を社会理論に組込む学術的契機と機会の増大に資する。
(16)「当事者意識」を媒介として西洋の哲学である弁証法や唯物論と東洋の哲学である唯識論や道(どう=Taoの論理)との融合の技術的な手掛かりが得られた。この融合は非特許文献10、11が説く現代物理学からの課題提示に対して、思考情報技術的側面から見た社会科学領域を見据えた回答の一翼を担う役割を果たす手掛かりを提供するので思想領域の洋の東西を結ぶ架け橋になると共に、本発明の様に人間社会のシステムを技術の対象にする時に人文科学である哲学や思想をシステム要素に組込む論理構成が課題となる中で、西洋ではデカルト由来の心身二元論を基本とし、東洋では華厳教学の関係性重視や老荘思想由来の「道」に論拠を置くなど洋の東西で考え方が大きく異なる状況の中で、グローバル化の時代に対応出来る思考論理を組み立てる際に両方の中庸を取るのではなく思考情報技術の側面から融合を図ることで、弁証法で言う止揚的世界の統合を図ると共に意識のシステム要素機能の解明を深化させて発想する場への学術的な手掛かりが得られた。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】「発明の体系化と定式化の過程」を説明する図
図2】「補図の原形を基に格子譜のシステム表現形の形成」を示す図
図3】「構想的な知的営為の対象論と場の事理学」を説明する図
図4図3の主図及び補図▲A▼を補図▲B▼と補図▲C▼とに関連付けて説明する図
図5】「意識空間のヘリコイド・ダイナミック;超体モデル」を説明する図
図6】「生存の所作を担保する当事者意識の知の駆動力構成モデル」を示す図
図7】「コト的世界の思考情報技術体系」を示す図
図8】「超社会システムにおける構想知の超越場」を示す図
図9図8の展開図▲A▼「心と精神の形;知的精神力モデル」を示す図
図10図8の展開図▲B▼「構想知の超越場(ホモサピエンスの知的力学モデル)」を示す図
図11図10の補図a「自己(Self-)のかたち」を示す図
図12図10の補図b「適者に向かう性格のかたち」を示す図
図13図10の補図c「信念の在り方(人生・価値・社会)」を示す図
図14図10の補図d「態度の在り方」を示す図
図15図10の補図f「非認知的能力」を示す図
図16図10の補図g「主体的連帯的な行動を可能にする能力系」を示す図
図17図8の展開図▲C▼「コト的世界の変革力;知的行為の基本構造モデル」を示す図
図18図8の展開図▲D▼「汎社会単位体の定式化概念モデルの要件」を示す図
図19】格子譜の拡張記述文法を示す図
図20】実施例1;「社会動態系統合システムモデル」を示す図
図21】実施例2;「適者生存の戦略的構想モデル」を示す図
図22】実施例3;「社会科学を拓く統合社会学の構成モデル」を示す図
【発明を実施するための形態】
【0019】
上記ステップA、ステップB、ステップCにおいて発明が目指した解決手段の流れは説明済であり発明内容の着想と流れと図式の列挙で必要とする拡張記述文法の形式構成は把握できていることから、構想設計機能付き電子計算機のアプリケーションソフトの画面上或は印刷紙面上での実施に関る機能強化表現は可能であるが、あくまで普遍性を示すモデル表現になっていることから上記発明の効果の理解促進と発明を正しく実施するための具体的な思考過程に関する説明を為す多様な図式の形態を図式相互の関係性を含めて論理構成出来ることが望ましい事に鑑みて、本発明図1で示すステップD、ステップE、ステップF、ステップGに於ける発明の細部についての実施形態を以下で順次説明する。
【0020】
図1のステップD「コト的世界の思考情報技術体系」の表現形は図7であり、図7は意識論(非特許文献3)や発生論(非特許文献9)に基づいて有機的社会システムと捉える知的生命体モデルの思考技術体系を実体と実存の実在的融合系と理解する中で、思考の構成・機能・働きの見える化を図った思考と記憶のモデリング理論としての構成を体系化する表現である。図7が示すモデルは「コト的世界に於ける有機的連帯機能モデル」を格子譜論理上で組み立てた関係性の場に設定した中で「社会単位」を社会技術のアイデンティティとする体系を有し、特許文献1~特許文献6までの共通的な技術領域として理解された技術内容の集大成を表現する為に、先行発明で言及されていない三つの事理の原理が追加された内容によって強化された形で構成される。それらは図3図4で示した▲イ▼事理学的論理(モノとコトの精神力とエネルギ-)と▲ロ▼意識空間のコ-ン構造の存在を技術的に把握すること及び図8で実現された様相が示す▲ハ▼構想知の超越場を生成する核となる精神的ホメオスタシスの存在が示すものであり、統合化した形で超体モデルを生成する為の技術的根幹を為す。図7の中心核に配された意識を生命の中心原理とする▲E▼「コト的世界に於ける有機的連帯機能モデル」を核とする基盤肢構造は、デザイン思考に基づく構想設計法の有機性や超社会システムの有機性の根拠となるものとして意識に基づく思考体系の核に定位され、図7▲A▼個起点論の展開、▲B▼思考の分析・統合論、▲C▼異質融合の理論、▲D▼構想知の統合操作とに拠って構成される思考体系の取扱いを可能にする技術体系を成す機能と効果を有している。脳内の意識の作動に関るワーキングメモリ(WM)上で構成要素同士の作用と効用創生をもたらす構想知に於ける連帯的異質融合関係は、非特許文献2が説く統合論理を構築する物事や事態に対する日特許文献2が説く認識力に関る覚知、構想力、統覚の論理の上に構成することで、図7に拠ってコト的世界の思考情報技術の体系化を実現している。詳細部分は図7の構想譜の記述が示す内容構成の如くであり、特に▲C▼異質融合の理論(事理学的論理)が本発明に於いて新たに明らかにすることで先行発明群から得られた技術を理論的に強化して思考情報技術の体系化を為す。
【0021】
図1のステップE「超社会システムにおける構想知の超越場の構築と定式化」の表現形は図8である。思考情報技術を駆使した超体の有機的基本原理としての受容・寛容・関心・信頼・超越連帯的異質融合の関係性を表現する図8の基盤肢部分が示す精神的ホメオスタシスは、関心原理、信頼原理、受容原理、寛容原理の四つの原理が当事者意識の働きに依る超越連帯的異質融合の原理で結び付けられる形態の五つの原理で構成されており、この構成は有機的な知の基盤となる知の超体モデルの存在を意味する。物事への当事者意識を有する各個は自らの人生の当事者であり、社会的行動の源泉は脳内の魂・意識・心・精神・知の働きに拠るコト的世界観の下での当事者の知的営為であると言える。超越的連帯性の根拠は図が示す様に生存性、循環性、有機的知性、場所性の骨格の基で行なう行為に関る合目的的な必要性、学習性もしくは社会的記憶の覚醒が示す合理的な十分性、当事者的な覚悟の上に構築する外界への適応性、責任を伴う共存性から成り、当事者意識の有する精神エネルギーの連帯的機能展開の形で本図の行為網要素のエネルギー準位を上昇させつつ、心・精神・知・コトから成る知的世界観の下で意識の階層に従う展開図▲A▼~▲D▼に詳細化されて展開され、上記で説明済の図5の意識空間のヘリコイド・ダイナミック(知の超体モデル)に同期する。
【0022】
図1のステップF「構想知の超越場の定式化の展開」は各論へのズームインの形で、心と精神の形、知の統一場、コト的世界の変革力、汎社会単位体から成る図8の行為網部分が超越連帯的異質融合の原理に拠って結び付けられる事態の中で以下の如く為される。意識における超域性の源泉はトランスパーソナル(超自我;非特許文献13)に存在しており、図8が描く「超」が超自我に発する事柄である事に留意して図式を読み解く。図8の構成要素「自己意識が働く世界」の内容を示す展開である図9展開図▲A▼「心と精神の形;知的精神力モデル」は、知の超越場に於ける行為網の起点を示して自己意識に関る人間の心と精神の在り方を再生的循環の場の論理に従って展開するものであり、社会の裏と表に対応して時代を拓く有機的な知的精神力を持って成る文明維持の原動力の在り方を示していて、内容は感性と理性の複合要素として常識に比べて複雑に構成されているが、これは構想法の大きな特徴である「統合による分析」が有効になる分析的事例としても成立する。図10図8の構成要素「記憶覚醒の世界」の内容を示す展開である展開図▲B▼「知の統一場(ホモサピエンスの知的力学モデル)」を示す図式であり、ホモサピイエンスの統合的な知の面から捉えた人間力モデルを意味する複合モデルとして6枚の補図群にズームインして展開する階層的構成で描かれる。基盤肢は自己(Self-)のかたち、性格のかたち(特に適者性に注目)、信念の在り方、態度の在り方及び及び「意」のレパートリーが構成する意識が統べる心と精神の世界で構成され、表現される時にはその時の自己の身体性が有効になる。行為網では感情の世界、記憶の覚醒、記憶の操作、共感と合意に基づく暗黙知レベルを含めた記憶の書換、情動の世界が展開され、全体としては「認知、意識、感情/共感、心、記憶、精神、能力、情動」の総体が知的精神力(精神エネルギー)の働きに依って当事者意識の下で洞察の過程を伴って有機的に結ばれる総体としての場の様相を示すと理解出来る。図10から個々にズームインして展開する6枚の図式はそれぞれ図10の構成要素であり、図11補図a「自己(Self-)のかたち」、図12補図b「適者に向かう性格のかたち」、図13補図c「信念の在り方(人生・価値・社会)」、図14補図d「態度の在り方」、図15補図f「非認知的能力」、図16補図g「主体的連帯的な行動を可能にする能力系」から構成され、総じて社会の変革(イノベーション)ベースの発想からより良い未来像の構築を意図する構想設計の局面を想定した「知の統一場理論(General Intellectual Theory)」として組立てる。
【0023】
図17図8の構成要素「変革力の世界」を示す展開である展開図▲C▼「コト的世界の変革力;知的行為の基本構造モデル」を示す図式であり、在るが儘の社会を描く統合的な超社会システムに対する「コト興し」を意図した精神エネルギーの発揮に拠る表現形に就いて、知的行為のアイデンティティを示す当事者意識の下でデザイン思考と格子譜の論理から変革力を働かせる意識の世界の在り方を読み解き、自己の内面から外界に到るコト的世界観に於ける知的行為の基本構造モデルを模式化して描いている。そこには社会的課題に対する変革力の発揮を支える基盤肢要素に個の対等性、階層間の対等性、デザイン思考(主観的)、システム思考(客観的)を関係付ける当事者意識の覚悟と責任を達観して負う使命感達成を意図したコト的世界の明観的な場を構成する力が存在する。
図18図8の構成要素「連帯意識が働く世界」を示す展開である展開図▲D▼「汎社会単位体の定式化概念モデルの要件」を示す図式であり、超社会システム論に於ける知的行為全体の多様体理論の展開を図っている。基本となる社会単位理論は個人や家族等が単位ではなく、個と社会が結び付いた相互作用体が「社会単位」であるとするシンプルな汎基本構造を有しており、「生命体の発生原理」と「頭脳の基本構造原理」に従うと考える。人間は社会の構成要素であるが単位には成り得ないとする。この事は直観的な発見的重要事項であり、「汎=Versatile」は単一性論理に基づく汎用的な概念提供を意味する。なお社会単位には設計モードと記述モードの二つの表現モードが存在し、社会単位構造体は超社会システムと相似形であり格子譜論理で表現される汎要素を意味する。汎社会単位は多様体理論に従うとし、多様体(軟体構造)の先験的骨組み構成を時空*関係性の世界(▲1▼+▲2▼)*(▲3▼+▲4▼)*▲5▼と包括的に理解する。社会単位は思考空間上の運動体であると共に運動が精神エネルギーの働きで柔軟に様相を変化させることは確認済であり、これを独立体としての軟体構造と称している。つまり、関係性を為す意識の精神エネルギーは何か形を有する独立の運動体でないと力による状態変化を起こせないとする特殊相対性原理に従うことは、既に上記ステップBに於いて図3図4の下で解明済である。この軟体構造の多様体は知的生産の潜在力を示す対象論に結び付くものであり、社会的な事柄に関する思考や思索の促進、戦略策定、政策デザイン、知識の統合化などの所作の対象表現の形を定めるものとなり様々な方法が試みられているが、そこでは知的行為への潜在力が求められる。デザイン思考の対象のあるべき姿は、P.F.ドラッカーが組織体に就いて説くところ(非特許文献23)の趣旨である『社会は「物事+事態」的な多元性を有する縁起的組織体である』とする知識主導の当たり前のコト的世界の認識に繋がる。
【0024】
図1ステップGは図19「格子譜の拡張記述文法」の設定を行うもので、特許文献4で示される深化型構想設計法ADDiDの機能強化を図るために本発明で為された格子譜図2の拡張記述文法を一覧表で示している。本発明図2示す格子譜は構想設計機能付き電子計算機の部分意匠としての格子譜を原型として展開したもので、まさしく構想設計機能の中枢部分を構成する。本発明は上記の技術的課題でも指摘した如く構想設計機能自体を強化する為になされたものであり、先行発明において不十分であったコト的世界の論理の解明とその理論的根拠として発見された事理学的論理の記述文法への組込が為されている。
本発明は思考方法の一つである「統合による分析(Analysis by Synthesis)」を多用した論理で組み立てられ、その根幹は格子譜論理に従う知の統合の論理に従う構想譜表現にある。格子譜論理は、直観的な覚知の発露に拠って発見された社会単位の着想を基軸にした上での構想力が示す認識力に拠るデザイン思考(特許文献2)と、前記意識のトライアングル論に基づいた統覚による認識から発出した超社会システム論(特許文献3)との二つの異なる知の統合方法(非特許文献2)の結果が生んだ表現法が同一概念の下に格子譜として集約出来たことで、その論理の正当性が実用的なレベルで検証でき更に社会を構成する生身の人間を含む生命体の発生論を解く生命誌三律が示すオパーリン律(特許文献3;0026項、特許文献6;0027項)が社会単位存在の検証の論拠になる。なお意識の統覚に拠る認識は超時間的な事柄であり、記憶の覚醒に関る過去の追形成、記憶の操作による未来の先形成、そして記憶の書換を伴う現在における現形成に関して共時性をもって超時間的に概念形成して図式化することで、物事と事態を動的平衡観(特許文献3、非特許文献17)として悟性の働きで再認するのが構想力の論理であると理解することが重要である。
【実施例0025】
図20は上記で説明した汎社会単位体を通して構想知の超越場の上位に展開される知の超体の一つの例であり、実施例1としての「社会動態系統合システムモデル」を表現した図式である。図20で示すモデルは図5で示した「意識空間のヘリコイド・ダイナミック;超体モデル」上での階層性を為しており、多様な社会的資本を駆動力とする個の意識と社会システムとの連動的動態の「Vエンジン(Venus);未来への希望を追求する力」の位置付けにある。人類を生き延びさせるVictory物語構想でもあり、地域での社会実装を伴って文明力の世界に繋がる存在と言える。活用する資本の体系は主として文化資本、産業資本、学術資本、環境資本、社会関係資本から構成されるとする。通常人的資本と称されるものは主として社会関係資本の中の当事者意識に内包されており、他の諸資本にも顕在はしていない形で含意されている。
【実施例0026】
図21は上記で説明した構想知の超越場の上位に展開される上記実施例1の上位システムとなる知の超体の一例であり、実施例2としての「適者生存の戦略的構想モデル」を表現した図式である。予期する未来像を創造的・連帯的に仕掛けるブースターとしての「A-エンジン」の概念を織り込んで物語を構想している。“Alive”の「A」を引いて人類の未来(Perpetual Peace)への適切な道筋の抑制が効いた精神エネルギーによる摂動(加速)の駆動力とし、A-エンジンを想定した英語の頭文字Aを冠した構成要素名に拠って基盤肢と行為網を構成する事を試みたものである。構成要素名は当然格子譜論理に従って選定されている。関係性の場は図示した如く社会動態系Vエンジン(実施1)であり、起点を合目的的な肯定的否定に拠る意志表示であるミッションに設定し、合目的的な共生的生存をコミットメントして変化への適応力を構築する合目的的な戦略的構想モデルを成す。この過程の中で、ミッションから創生される場のコンテクストとして不都合な真実を合理的な対立的な環境変化として認知した上で、未来進化への戦略としての創造的変革を生存の為の合理性のある判断に基づく挑戦的選択を示すエンゲージメントの形で構想し適者となるべくコンセンサスに結び付ける事で知の超体モデルとしての適者生存の戦略的構想モデルが構築される。
【実施例0027】
図22は対象を超社会システム論上に設定した新マクロ社会学の各論展望と社会実装の意味を有し、超社会システム論から展望する統合社会学の構成の検討を意図して提示する社会学領域の学術体系のプロトタイプ・モデルとするものであり、上記学術的な課題に対する対応の図式的表現を試みた学術体系上の社会理論の構想設計を意味する。図22は社会科学の体系を確保する如く構成した上記で説明済の汎社会単位体を通して構想知の超越場の上位に展開される社会動態系統合システムモデルを核にした知の超体モデルの例であり、発明の実施例3として「社会科学を拓く統合社会学の構成モデル」を表現した図式である。起点は思考対象論の確立にあり、使命観から誘起される知の駆動力によって現場における社会実装の方法論に至る過程が想定され、その中で学術的標的となる基盤肢と行為網要素に関して超時間的実在の理法で示す関係性の場の媒介によって各論構築が構想される。なお本図は図21の上位システム概念を有し図5で示した知の超体モデルとしての「意識空間のヘリコイド・ダイナミック」上において階層性を為す構造概念を例示している。
〔実施を効果的にするための留意点〕
【0028】
技術的留意点の一つは背景技術である先行発明に関る既存技術が新しく開発された技術との間で補完関係にあるとしても、技術が積み上げであることから一部に用語や論理の違いなどに齟齬をきたす場合があり得ることであり、基本的には後から開発された技術が優先する事に留意する必要がある。本発明によって明示された知の超体モデルを知的営為の中で常時念頭に置く必要は無く、階層の深層構造を把握した上で必要に応じて上層部分を限定してモデルに組込むことが求められる。なお、本発明に於ける思考情報技術の大きな特徴はハードウェアとソフトウェアに加え人間の心を扱うハート(Heart)ウェアの三位一体型技術であり、コト興しに対する構想譜の設計に関る当事者意識の精神エネルギーを扱う事理学的論理に基づいて生身の人間を内包する超社会システムに対する不確実性を有する未来への構想を図式化する技術に関ることから、すべての論理が決定論的ではない事に留意する。不確定性に関しては構想操作の現場に於いて、当事者意識が覚悟と責任をもって受け止めて引き受けるべき事柄である。従って本発明を評価・利用するに際して評論家は必要なく、デザインや構想結果を操作する担当者が当事者意識を有することが必須と認識することが重要であり、正統性特に適合性と有効性を注意深く評価するべきである。またコト的世界において知的生産性を評価するQCD要素はモノ的世界の品質・コスト・出荷時期に加えて、実在力、生産力、変革力を総合した異質融合要素を含む事に留意することが重要であり、思考対象のアイデンティティを明示した上で手段の適合性と有効性及び思考の超時間性と目的志向性までを組込むことが必須であると指摘出来る。
【0029】
本発明の機能と役割を上記で的確に把握した上で有効に活用する為には、三次元デザイン思考法のモデリング表現に慣れる事が必要であり、更に思考情報技術関連の用語に関するリテラシーも重要になる。また基本となる意識の構成と働きそのものが平坦ではなく非特許文献3(『意識と自己』)の著者自身が著書の中で意識に取り組むための留意点を指摘している(同書P23「意識に取り組む」の項参照)。指摘される事柄の要点は内容の複雑さと人間の頭脳の逐次処理の関係を論理的に追いかけることの困難さであり、複雑さを誘引する根源は三元的な要素の存在とこれら要素の相互の関係性にまで思考が及ぶことに留意することを求めている。特に発明書が記述する論理は一元的文章であり構想譜から注意深く論理を追うことが肝要である。また、三次元思考自体の各要素が足し算ではなく掛け算的な作用や効用を為す構造を有するので、個々の要素概念が規定する意味を恣意的に扱うことは許されず、特許文献4及び本発明で規定される記述文法を外れた要素の記述はデザインの全体性を損なう事に留意すべきである。なお特許文献4の記述文法と本発明による拡張記述文法を総合してマニュアル化する事は、この領域の担当者にとって容易なことは論を待たない。またアプリケーションソフト的な方法論としての扱いで重要な事柄が技術的扱いの習熟度である。参考になるのがソフトウェアに関わる知的生産性には能力と習熟度によって効率に10倍の開きが出るとの指摘であり、この生産性の差異についてはソフトウェア領域の技術的経験の背景から実感して強調する事柄である。更に、用語や言葉には簡単に解決出来ない極めて深刻な留意点が存在する。本発明の実用化に際しては、本発明の内容や図式の記述文法までを包含する用語辞典などが必要になるが、本発明の説明では用語や言葉の意味に関する一般的な辞書の定義を包含しながら学問領域を超越したグローバルな観点から再定義することに留意した。基準となるのは現代物理学が発展的にニュートン力学を包含出来ていることの知識であり、キーになるのは相対性と絶対性の意味の区別と考える。重要な事柄は人間の命と個の存在は絶対的なものであると理解する論理の上に原初状態を置くことであり、一般に知られている西田幾多郎が説く哲学の善に通じる。
【0030】
本発明の基礎を成す自然科学、社会科学、人文科学などの知見は、現実の社会的な物事に関する課題(不都合)を削減するための着眼点への示唆であり、理論化における適用要素の社会適用への転換時の着眼点をデザイン思考で理解した上で三次元思考の構造とリンクして把握しながら思考情報技術を読み解くことが肝要となる。特に物事の「こと」と事態や情況を意味する「コト」の違いが難物であり、発明の説明部分を十分把握して思考情報技術を活用することが重要である。従って、本発明による知的営為の階層的作業を上記実施例で示した様な実用的な思考展開に活用する場合には、結論を示す構造化・可視化された図式だけに注目するのではなく理論的な結論が得られた思考プロセスをフォローすることが求められる。その時重要な事柄が当事者意識であり、物事と事態や情況の違いを峻別しながら事態や情況の内部観察を可能にする上で必須であると指摘される。しかし当事者が構想に全て関わる事が出来ない場合は代替的な作業を組込む必要性がある事を銘記したい。つまり主観から客観に向かう構想法の根幹には当事者性が求められることに注意を要する事を意味する。もう一つの留意点が超社会システムの構想設計領域に於ける構想師とも呼ぶべきデザイン担当者のバックグランドであり、上記詳細説明の経緯からも判るようにポイエーシス技術つまり生成技術領域の多彩な知識と多才なスキルが要求される。具体的な領域としては、量子論と量子力学及び相対性理論を含めた現代物理学の原理が示唆する社会的な内容を理解出来る知識、意識論と人工知能系を結び付けた人間の頭脳や思考に関わる知識、電子計算機システムの設計レベルのスキル、生命誌を通した命の原理の理解、唯物論と唯識論及び華厳教学と老荘思想や弁証法までカバーした哲学分野の素養、更には三次元の知的空間認識が出来る素養などに関して、詳細な数式や方程式を記述出来るレベルではなくても少なくとも原理を理解出来るレベルにまで達している事が望ましい。上記の格子譜表現によるデザイン作業が完了している特定テーマの構想譜の内容の扱いについてはプラクシス技術領域になるので、専門家による適切な訓練を受けることでデザイン結果を用いた構想の実務操作は容易と考える。なお、思考情報技術は複雑な社会的な物事に対する思考体系に就いて人間の思考を効果的にする支援を意図する有機的な生態系技術であることから、科学技術的な理解と更なる深化には深い洞察が求められる中で、機械系情報技術とは峻別して用いることが厳格に求められる。その意味に置いて、機械論的アプローチに直接用いる方向性は社会倫理に関わってくることを認識すべきである。本発明による社会理論は、あくまで人間自身の直接的な知的生産性を高める用途に利用することで効果的に活用できる。従って過去の情報のみに頼る人工知能(AI)の領域への適用は慎重になるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0031】
社会的な傷病或は課題が複雑過ぎて方向性の見えない物事や事態への対応策の構想や事業戦略、更には多面的な要素を有する産業構造の変革とこれを支える戦略的な政策のデザインなどに関わる社会のトップ層のソリューション志向への決意次第の意味があるとしても、その決意自体を支える産業の基本となる「コト」に関わるデザイン思考の技術とこれに基づくシステム構築法が明確になったことには、社会をマクロに捉えて個々の知恵を統合化する為の産業上の使用可能性が確認出来た上で、以下の様なコト的世界観や事理学的論理への意義が確認出来る。つまり、人間のコト的世界における知的行動が意識の持ち様に関わって来る中で、各組織のトップとこれを支える企画やコンサルタントそして構想デザイナーの役割を有する社会のリーダー層の当事者意識を有した連帯的な形のデザイン思考の行方には、個々の人生及び地域と国の産業や経済更には日本文明の将来への期待が掛かっている。物事の判断や意志決定の根拠の方向性を決める根源となる意識の統一場の働きの上に本発明による知の統合型構想設計法と構想譜論理をマスターすることにより、意識のトライアングルの論理を前提とした事理学的根拠を有する意識空間の階層化理論の知見や知の超体モデルの発想を組込むことで、客観的なコト的世界観の構成法が明らかになって社会全体の在り方と統合法への理解が進み、個別に存在する様々な知見やノウハウを統合的施策のQCDを確保した形の策定に利用できる以下の産業展開の可能性が存在する。
イ)産業の基本となる価値を創出できる社会技術に関して、開発技術の本質つまりポイエーシス技術の成り立ちである科学と哲学の融合によるコト的世界の知の統合の方法論の存在と論理を示して意識と連帯した知の重要性に視線を向ける契機を提供できると共に、技術開発の在り方の方向を定める構造化・可視化した情報が客観性を有して提供できる。
ロ)事業構想や産業構造変革及び関連する政策デザインそして地域デザイン更には新しい産業と連動した統合的安全保障政策の策定等に必要な将来を見据えた構想設計の方法論の確立に拠って、未来を構築する形のソリューション型リーダーシップの発揮の根拠となるトップ層の当事者意識の表現に正当性を担保する枠組みを準備することで、物事の構想や政策デザインの本質を押さえた正統性の確保が可能となり、リーダー層に必要となる判断に責任と覚悟を付与できる。
ハ)人間社会に於ける消費スタイルやライフスタイルの変化と多様化を取り込んだ産業構造変革及び地方創生や地域開発に貢献するための経済活動に関る事業構想や開発戦略などの知的営為に対して、人生設計に関る人間の意識にまで踏み込んでその行動の本質を押さえた健全な適合性・有効性を組込むことで、無駄や無理な行動を避けることが可能になり目的志向の知的生産性を向上できる。
ニ)Win-Winに向かう国際協調例えば感染症等への防疫対策とこれに関わる医療・教育・雇用・文化・芸術などへの対応策、気候変動などSDGs対応、国際市場に於ける貿易や経済摩擦の緩和、産業構造のグローバル展開のグローカルな調整など意識が大きく作用する領域において、主観的に受け取られがちな意識の働きを思考情報技術の駆使によって知の超体モデルに従った行動理論を基本にした客観的な作用に転換することで、普遍性を有する価値体系に誘導する論理を構築出来る可能性と機会が高まる。
ホ)複雑系が指摘される社会システム論の隘路が超社会システム論を展開する中での意識論と知の統合論の側から社会理論化出来たので、経済産業領域のイノベーションを社会理論の側から支える社会科学領域に於ける学術発展の為の様々な社会システム論への展開が容易になると共に、経営論においても地域経営の領域に踏み込むことが可能になり地域産業の発展に資する事が期待できる。
ヘ)上記の社会システム分野以外に知の超越場の構造を理解して上で、社会経済活動に携わる人材を視野に入れた分野でも効用を幾つか挙げることが出来る。まず個人的な観点から人間としての基本的能力を意識の深層に遡って把握出来ることから、人生設計を踏まえた自主的な能力開発を核にしてリカーレント領域の体系的な生涯学習に活かして多面的な能力獲得に結び付ける方法論を展開出来る。また組織が有する人材の知的活動に関る能力を構造的に把握可能であることから、人材育成について必要十分性を持って効果的に方法論を策定出来る。更に意識空間の階層化理論に拠って人間の知的営為を多面的に体系化出来ることから、効率の良いマネージメントの仕組みを構築出来ると共に多面的なマネージメント力の育成が可能になり経営力強化に活用できる。
ト)上記の如く社会システムの効果的な構築や人材育成への効用そして社会システムと人材の連帯的な関係性の構築が望めることから、知的活動の対象となる実効的で将来性のある社会の設計図の描写が可能になり、文化(人、地域、文明)と産業の新しい連携の形に向けたイノベーションを実現する道が拓かれる。
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