(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023059780
(43)【公開日】2023-04-27
(54)【発明の名称】イオン・オゾン発生装置およびイオン・オゾン発生装置付きレンジフード
(51)【国際特許分類】
F24F 7/003 20210101AFI20230420BHJP
F24F 7/007 20060101ALI20230420BHJP
F24F 11/77 20180101ALI20230420BHJP
A61L 9/015 20060101ALI20230420BHJP
F24F 7/06 20060101ALI20230420BHJP
【FI】
F24F7/003 100
F24F7/007 B
F24F11/77
A61L9/015
F24F7/06 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2021183740
(22)【出願日】2021-10-15
(71)【出願人】
【識別番号】521139564
【氏名又は名称】小田 庸介
(72)【発明者】
【氏名】小田 庸介
【テーマコード(参考)】
3L056
3L058
3L260
4C180
【Fターム(参考)】
3L056BF02
3L058BH09
3L058BK09
3L260AA03
3L260AB16
3L260BA09
3L260BA12
3L260CA03
3L260CB53
3L260CB67
3L260EA09
3L260FA12
3L260FC03
3L260FC28
4C180AA02
4C180AA07
4C180CA06
4C180EA17X
4C180HH01
4C180HH05
4C180JJ07
4C180KK04
4C180LL06
4C180LL20
4C180MM08
(57)【要約】
【課題】オゾンによる除菌・脱臭効果を安全かつ十分に得ることができるイオン・オゾン発生装置およびイオン・オゾン発生装置付きレンジフードを提供する。
【解決手段】
イオンおよびオゾンを発生させて、当該イオンおよびオゾンを放出口15から部屋に放出するイオン・オゾン発生装置10であって、1000万個/cm
3以上のイオンと濃度0.05~0.5ppmのオゾンを発生させて放出口15から部屋に放出可能であるので、オゾンによる除菌・脱臭効果を安全かつ十分に得ることができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオンおよびオゾンを発生させて、当該イオンおよびオゾンを放出口から部屋に放出するイオン・オゾン発生装置であって、
1000万個/cm3以上のイオンと濃度0.05~0.5ppmのオゾンを発生させて前記放出口から部屋に放出可能であることを特徴とするイオン・オゾン発生装置。
【請求項2】
レンジフードと、このレンジフードに設けられた請求項1に記載のイオン・オゾン発生装置とを備えたことを特徴とするイオン・オゾン発生装置付きレンジフード。
【請求項3】
イオン・オゾン発生装置およびレンジフードを制御する制御装置を備え、
前記制御装置は、動作モードとして、通常モードとお出かけモードとを有し、
前記お出かけモードでは、当該お出かけモードが開始されたときに前記イオン・オゾン発生装置が前記通常モードより高濃度のオゾンを発生して、当該高濃度のオゾンを放出口から部屋に放出するとともに、前記レンジフードが運転停止するように制御し、
予め設定された時間経過後に、前記お出かけモードから前記通常モードに移行したときに前記レンジフードが通常運転より強い強運転することで、前記高濃度のオゾンを部屋から排気するとともに、前記イオン・オゾン発生装置が前記お出かけモードの場合より低濃度のオゾンを発生して、当該低濃度のオゾンを前記放出口から部屋に放出するように制御することを特徴とする請求項2に記載のイオン・オゾン発生装置付きレンジフード。
【請求項4】
前記お出かけモード中に放出口から部屋に放出される高濃度オゾンは0.1~0.5ppmであることを特徴とする請求項3に記載のイオン・オゾン発生装置付きレンジフード。
【請求項5】
前記制御装置は、前記お出かけモードから前記通常モードに移行したときに前記レンジフードが通常運転より強い強運転することで、前記高濃度のオゾンを部屋から排気した後、前記レンジフードを運転停止または通常運転とするように制御することを特徴とする請求項3または4に記載のイオン・オゾン発生装置付きレンジフード。
【請求項6】
前記制御装置に接続された人感センサを備え、
前記お出かけモード中に、前記部屋に人が存在するのを前記人感センサが感知すると、前記制御装置は、前記イオン・オゾン発生装置を停止させるとともに、前記レンジフードが強運転するように制御することを特徴とする請求項3~5のいずれか1項に記載のイオン・オゾン発生装置付きレンジフード。
【請求項7】
前記レンジフードが強運転で所定時間経過した後、前記制御装置は前記イオン・オゾン発生装置を放出口から低濃度のオゾンを部屋に放出するように、制御することを特徴とする請求項6に記載のイオン・オゾン発生装置付きレンジフード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイナスイオンおよびオゾンを発生して、部屋に放出するイオン・オゾン発生装置および当該イオン・オゾン発生装置付きレンジフードに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、住環境の気密化による衛生環境の変化などから、衛生安全意識が高まり、除菌が強く要望されている。
除菌を行える空気清浄機の一例として特許文献1に記載のものが知られている。この空気清浄機は、誘電体と、この誘電体を挟んで対向する高圧電極と接地電極とを有し、高圧電極と接地電極間に交流電圧を印加することによりプラスイオンとマイナスイオンを同時に発生するイオン発生装置を具備し、さらに、イオン発生装置の下流側に、オゾンを抑制するオゾン抑制装置を備えている。
【0003】
このような空気清浄機では、浮遊細菌を除去できるとともに、交流電圧の印加によりプラスイオン、マイナスイオンとともに副次的に発生する、人体に影響を及ぼすオゾンの濃度をオゾン抑制装置によって低減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、オゾンが除菌・脱臭効果を有することは知られているが、オゾンは高濃度になると人体に悪影響を及ぼすおそれがあるため、上述した従来の空気清浄機では、イオン発生装置の下流側に、オゾンを抑制するオゾン抑制装置を備えている。
また、オゾンは空気より比重が大きいため空気中では拡散性が低い。このため、上述した従来の空気清浄機から放出されるオゾンは空気清浄機の近傍に滞留し易く、部屋全体において、オゾンによる除菌・脱臭効果を十分に得ることができなかった。
【0006】
そこで、本発明者が鋭意研究したところ、1000万個/cm3以上のイオンと0.05~0.1ppmのオゾンを発生させて、部屋に放出すると、オゾンが拡散し易くなり、比較的広い範囲で人体に影響を及ぼすことなく、オゾンによる除菌・脱臭効果が得られるという知見を得た。
また、1000万個/cm3以上のイオンと0.1~0.5ppmのオゾンを発生させて、部屋に放出すると、人体に若干影響を及ぼすおそれがあるが、オゾンによる除菌・脱臭効果をさらに十分に得ることができ、当該オゾンはレンジフード等によって容易に部屋から排気できるという知見を得た。
【0007】
本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、オゾンによる除菌・脱臭効果を安全かつ十分に得ることができるイオン・オゾン発生装置およびイオン・オゾン発生装置付きレンジフードを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明のイオン・オゾン発生装置は、イオンおよびオゾンを発生させて、当該イオンおよびオゾンを放出口から部屋に放出するイオン・オゾン発生装置であって、
1000万個/cm3以上のイオンと濃度0.05~0.5ppmのオゾンを発生させて前記放出口から部屋に放出可能であることを特徴とする。
【0009】
ここで、オゾンは人体への影響を考慮すると、濃度0.05ppm~0.1ppmが望ましいが、濃度が0.1ppmを超え、0.5ppm以下では、オゾンによる除菌・脱臭効果をより十分に得ることができる。
【0010】
本発明によれば、1000万個/cm3以上のイオンと濃度0.05~0.5ppmのオゾンを発生させて前記放出口から部屋に放出可能であるので、例えば人が居る部屋では、濃度0.05ppm~0.1ppmのオゾンを1000万個/cm3以上のイオンとともに放出すると、オゾンがイオンとともに部屋中に拡散していき、人体に影響を及ぼすことなく、除菌・脱臭効果を十分に得ることができるとともに、イオンによってオゾン特有の臭いを和らげることができる。また、外出等によって人が居ない部屋では、濃度0.1ppm~0.5ppmのオゾンを1000万個/cm3以上のイオンとともに放出することによって、比較的高濃度のオゾンがイオンとともに部屋中に拡散していき、除菌・脱臭効果を十分に得ることができるとともにイオンによってオゾン特有の臭いを和らげることができる。
【0011】
本発明のイオン・オゾン発生装置付きレンジフードは、レンジフードと、このレンジフードに設けられた前記イオン・オゾン発生装置とを備えたことを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、レンジフードにイオン・オゾン発生装置が設けられているので、レンジフード周りおよびレンジフードが設けられている部屋において、オゾンがイオンとともに拡散していき、オゾンによる除菌・脱臭効果をより十分に得ることができる。なお、レンジフードの排気能力は、通常運転で400m2/hであるが、この程度の排気能力ではレンジフードによって外部に排気されるイオンおよびオゾン量は僅かであるため、オゾンによる除菌・脱臭効果の低下は僅かである。
また、外出等によって人が居ない場合は、濃度0.1ppm~0.5ppmのオゾンを1000万個/cm3以上のイオンとともに放出することによって、比較的高濃度のオゾンがイオンとともにレンジフード周りおよび部屋中に拡散していき、除菌・脱臭効果を十分に得ることができ、その後、レンジフードを強運転とすることで、比較的高濃度のオゾンを外部に排気できる。
【0013】
また、本発明の前記構成において、イオン・オゾン発生装置およびレンジフードを制御する制御装置を備え、
前記制御装置は、動作モードとして、通常モードとお出かけモードとを有し、
前記お出かけモードでは、当該お出かけモードが開始されたときに前記イオン・オゾン発生装置が前記通常モードより高濃度のオゾンを発生して、当該高濃度のオゾンを放出口から部屋に放出するとともに、前記レンジフードが運転停止するように制御し、
予め設定された時間経過後に、前記お出かけモードから前記通常モードに移行したときに前記レンジフードが通常運転より強い強運転することで、前記高濃度のオゾンを部屋から排気するとともに、前記イオン・オゾン発生装置が前記お出かけモードの場合より低濃度のオゾンを発生して、当該低濃度のオゾンを前記放出口から部屋に放出するように制御してもよい。
【0014】
そして、お出かけモード中にイオン・オゾン発生装置の放出口から部屋に放出される高濃度オゾンは0.1~0.5ppmであるのが好ましく、お出かけモードから通常モードに移行したときは、イオン・オゾン発生装置の放出口から部屋に放出される低濃度オゾンは0.05ppm~0.1ppmであるのか好ましい。
【0015】
なお、お出かけモードにするには、制御装置に接続されているお出かけスイッチをオンとすることによって行う。
また、「予め設定された時間」とは、例えば、お出かけモード開始以降、イオン・オゾン発生装置から放出される高濃度のオゾンによって部屋を十分に除菌・脱臭するに要する最短の時間であってもよいし、この最短の時間より長くてもよい。最短の時間より長い場合、お出かけモード開始以降、部屋に人が帰宅する予定時刻より例えば30分程度前の時刻までの時間であってもよい。
【0016】
このようにイオン・オゾン発生装置およびレンジフードを制御することによって、買い物や旅行等の外出時にお出かけモードとすることによって、部屋に人が居ない無人環境下において、高濃度のオゾンによって部屋を集中的にかつ十分に除菌・脱臭できる。
また、予め設定された時間経過後に人が帰宅して部屋に入っても、レンジフードの強運転によって、高濃度のオゾンは部屋から排気され、さらにイオン・オゾン発生装置が低濃度のオゾンを発生して放出口から部屋に放出するので、オゾンによって部屋を安全かつ十分に除菌・脱臭できる。
【0017】
また、本発明の前記構成において、前記制御装置は、前記お出かけモードから前記通常モードに移行したときに前記レンジフードが通常運転より強い強運転することで、前記高濃度のオゾンを部屋から排気した後、前記レンジフードを運転停止または通常運転とするように制御する。
このように制御することによって、イオン・オゾン発生装置の放出口から部屋に放出される低濃度のオゾンを部屋に十分に拡散させて、部屋を十分に除菌・脱臭できる。
【0018】
また、本発明の前記構成において、前記制御装置に接続された人感センサを備え、
前記お出かけモード中に、前記部屋に人が存在するのを前記人感センサが感知すると、前記制御装置は、前記イオン・オゾン発生装置を停止させるとともに、前記レンジフードが強運転するように制御してもよい。
このように制御することによって、お出かけモード中、つまり外出中に不意に人が部屋に入ってきた場合に、この人を人感センサが感知して、イオン・オゾン発生装置を停止させることで、高濃度のオゾンの放出を停止するとともに、レンジフードが強運転することで、高濃度のオゾンを素早く部屋から排気できる。
【0019】
また、本発明の前記構成において、前記レンジフードが強運転で所定時間経過した後、前記制御装置は前記イオン・オゾン発生装置を放出口から低濃度のオゾンを部屋に放出するように、制御してもよい。
このように制御することによって、部屋の除菌・脱臭状態を維持できる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、オゾンによる除菌・脱臭効果を安全かつ十分に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明に係るイオン・オゾン発生装置の実施形態を示すもので、概略構成を示す図である。
【
図3】本発明に係るイオン・オゾン発生装置付きレンジフードの実施形態を示すもので、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は底面図、(d)は右側面図、(e)は背面図である。
【
図6】同、イオン・オゾン発生装置付きレンジフードの制御系のブロック図である。
【
図7】実験例を説明するためのもので、イオン・オゾン発生装置を設置する部屋の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は本実施形態に係るイオン・オゾン発生装置10の概略構成を示す図である。このイオン・オゾン発生装置10は、放電電極11と、対向電極12と、高電圧発生装置13とを備え、これら放電電極11、対向電極12および高電圧発生装置13は、ケーシング14に収納されている。
【0023】
対向電極12は円筒状に形成され、この円筒状の対向電極12の中心線上に、針状の放電電極11が配置され、対向電極12は放電電極11の先端部を取り囲むように配置されている。なお、放電電極11は対向電極12を貫通するように配置されていてもよい。
また、イオン・オゾン発生装置10は、放電電極11のコロナ放電によって空気中の酸素分子を酸化してオゾン分子(O3)としオゾンを発生させると同時に、放電電極11の放電によってマイナスイオンを発生させることができる。
【0024】
このようなイオン・オゾン発生装置10は、放電電極11に高電圧発生装置13によってマイナス電位を印加すると、放電電極11の先端でコロナ放電が起こり、放電電極11の先端から対向電極12の内面に向かって電子が放出されるとともに、コロナ放電によって空気中の酸素分子を酸化してオゾン分子(O3)としオゾンを発生させる。
放出された電子の流れは高電界によって加速されながら気体分子と衝突し、気体分子に運動エネルギーを与えて空気の電子誘導風となって気流を生み出す。このとき、電子の一部は気体分子の結合起動の外殻にトラップされてマイナスに帯電したマイナスイオン分子となる。したがって、電子誘導風は、マイナスイオン分子を含むイオン風の気流となる。
このように、放電電極11と対向電極12に直流の電位を印加することによって生じるイオン風は、放電電極11から対向電極12の間を抜けて吹き出される気流となり、マイナスイオン分子を含むイオン風を放電電極11から対向電極12に向かう方向に放出させることができる。
【0025】
対向電極12は円筒状に形成されているので、
図2に示すようにイオン風は放電電極11を中心に円状に発生する気流となり、イオン・オゾン発生装置10によりイオン風と同時に発生させたオゾンを発生後すぐにイオン風によりイオン・オゾン発生装置10を中心として円状に拡散させることができる。
【0026】
図1に示すように、ケーシング14には、対向電極12の径方向外側に放出口15が設けられているので、当該放出口15からオゾンとイオン(イオン風)を、イオン・オゾン発生装置10が設置された部屋に放出するようになっている。
なお、放出口15はどのような形状でもよいが、例えば円形状、楕円形状、長円形状、三角形状、または四角形以上の多角形状に形成されていてもよく、さらに、ケーシング14の周方向に沿って所定間隔で形成されていてもよく、連続的に設けられていてもよい。
【0027】
なお、イオン・オゾン発生装置10は、放電電極11の放電によって空気中の酸素分子を酸化してオゾン分子(O3)としオゾンを発生させるが、これに加えて、別途オゾン発生モジュールを備えていてもよい。
【0028】
本実施形態のイオン・オゾン発生装置10は、放電電極11のコロナ放電によって、イオンおよびオゾンを発生させて、当該イオンおよびオゾンを放出口15から部屋に放出するが、その際、1000万個/cm3以上のイオンと濃度0.05~0.5ppmのオゾンを発生させて放出口15から部屋に放出する。
【0029】
ここで、オゾンは人体への影響を考慮すると、濃度0.05ppm~0.1ppmが望ましいが、濃度が0.1ppmを超え、0.5ppm以下では、オゾンによる除菌・脱臭効果をより十分に得ることができる。
オゾン濃度が0.05ppm未満では、オゾンによる除菌・脱臭効果を期待することができず、また、0.5ppmを超えると、人体に悪影響を及ぼすおそれがあるため、オゾン濃度を0.05~0.5ppmに限定している。
【0030】
また、
図3に示すように、本実施形態のイオン・オゾン発生装置付きレンジフード100は、レンジフード20と前記イオン・オゾン発生装置10とを備えている。
イオン・オゾン発生装置付きレンジフード100は、図示しない調理器の上方に設置されている。レンジフード20は調理器の調理時に生じる臭い、煙、油などを含む臭気や油煙を吸い込み外部に排気する。例えば調理器はガス用の調理器であり、熱源として、例えば3個のバーナーおよび1個のグリル吹出口を、天板面上に有する。なお、グリル吹出口は、天板面において、バーナーより奥側に配置されている。
【0031】
レンジフード20は、調理器の上方に設けられ、下方または周囲で行われる調理によって発生する湯気や油煙等を含む空気を捕集するための、凹状断面の薄型のフード傘部21と、フード傘部21の上部に設けられた送風機ユニット22とを備えている。
送風機ユニット22は、箱状のケーシング23と、このケーシング23に収納されている排気部24と、この排気部24に設けられた排気ファン25と、排気ファン25を駆動させる駆動モータ25aとを備えている。排気部24は内部が中空となっており、上部に排気筒26を備え、この排気筒26の上端開口はケーシング23の上面から突出して排気口26aとなっている。この排気口26aが図示しない排気配管に接続される。
【0032】
また、排気部24の下面には、吸気口が設けられ、この吸気口がフード傘部21に形成された開口21aに接続されている。この開口21aにはフィルタ21bが開口21aを覆うようにして設けられている。フィルタ21bは小さいので、大変で面倒だと言われているフィルタ21bの掃除がシンク内や食器洗い洗浄器内で洗える等、楽になる。
また、フード傘部21の上面中央部には、前幕板27が立設されている。前幕板27の幅(
図1(a)、(b)において左右幅)は、フード傘部21とほぼ同幅となっており、前幕板27の背面側に前記送風機ユニット22が設けられている。
また、フード傘部21の下面には、その四隅部にそれぞれLED照明28が取り付けられている。
【0033】
このようなレンジフード20は、送風機ユニット22の駆動モータ25aを駆動させることによって、排気ファン25が回転し、これによって、フード傘部21の開口21aから調理器の調理時に生じる臭い、煙、油などを含む臭気や油煙を吸い込み、送風機ユニット22の吸気口から排気部24を通して排気口26aから排気する。
また、フード傘部21の開口21aの直径を極小(180mm~220mm)にすることにより、吸い込み風速を上げることができるのため、油煙の捕集効率を高めることができる。これにより薄型レンジフードであっても整流板を設置しなくても、油煙の捕集効率を損なうことがなく、フード凹状断面の薄型のフード傘部21をより薄く(浅く)(例えば0mm~40mm)することができる。
また、開口21aの開口寸法は排気部24のファンケーシングの開口寸法と同等が望ましい。
【0034】
また、レンジフード20に前記イオン・オゾン発生装置10が設けられている。すなわち、送風機ユニット22のケーシング23の側面にイオン・オゾン発生装置10が着脱可能に装着されている。
イオン・オゾン発生装置10の放出口15は、レンジフード20の前面側を向いており、この放出口15からイオンおよびオゾンを放出するようになっている。また、
図4に示すように、イオン・オゾン発生装置10の放出口15を有する前面にガラリ状の放出口カバー29が着脱可能に取り付けられている。この放出口カバー29を取り外したうえで、イオン・オゾン発生装置10を取り外すことによって、当該イオン・オゾン発生装置10のメンテナンスおよび交換ができるようになっている。
【0035】
レンジフード20は、フード傘部21の正面中央部に、レンジフード20およびイオン・オゾン発生装置10の動作を指示するための操作パネル30を備えており、レンジフード20の動作に連携してイオン・オゾン発生装置10が動作するようになっている。
【0036】
操作パネル30は、
図5に示すように、レンジフード20の運転に使用するスイッチとして、運転スイッチ31、風量スイッチ32、照明スイッチ33およびタイマースイッチ34を有する。
運転スイッチ31で、「ON」を選択すると、駆動モータ25aが駆動してレンジフード20(の排気ファン25)が動作し、「OFF」を選択すると、駆動モータ25aが停止してレンジフード20(の排気ファン25)が停止する。風量スイッチ32は排気ファン25の排気風量を、微弱、弱、中、強に手動で変更可能であり、風量スイッチ32で「微弱」を選択すると、常時換気となる。また、運転スイッチ31で「OFF」を選択すると、排気ファン25を手動で停止させることができる。照明スイッチ33は調理器の上面を照らすLED照明28の点灯/消灯をする。照明スイッチ33で「ON」を選択するとLED照明28が点灯し、「OFF」を選択するとLED照明28が消灯する。タイマースイッチ34は排気ファン25を調理終了後に回転させる時間を設定する。例えば、デフォルトではタイマーは「10分」に設定されており、タイマースイッチ34で「▲」を選択することで、時間を延長でき、「▼」を選択することで、時間を短縮できる。
【0037】
また、操作パネル30は、イオン・オゾン発生装置10の運転に使用するスイッチとして、運転スイッチ35およびお出かけモードスイッチ36を有する。
運転スイッチ35で、「ON」を選択すると通常モードとなって、イオン・オゾン発生装置10が動作して、1000万個/cm3以上のイオンと濃度0.05~0.1ppmのオゾンを発生し、「OFF」を選択するとイオン・オゾン発生装置10が停止する。
なお、運転スイッチ35で、例えば「ON」を長押しすることによって、イオン・オゾン発生装置10が、1000万個/cm3以上のイオンと濃度0.1~0.5ppmのオゾンを発生させるようにしてもよい。
【0038】
お出かけモードスイッチ36は、外出所要時間を設定する。例えば、デフォルトではお出かけ所要時間は「1時間」に設定されており、お出かけモードスイッチ36で「▲」を選択することで、所要時間を増加させることができ、「▼」を選択することで、所要時間を減少させることができる。
例えば、お出かけモードスイッチ36でお出かけ所要時間を2時間に設定して、外出すると、イオン・オゾン発生装置10が通常モードより高濃度のオゾンを発生し、レンジフード20が停止し、予め設定された時間経過後(例えばお出かけ所要時間2時間より30分前の1時間30分経過後)に、お出かけモードから通常モードに移行し、レンジフード20が通常運転より強い強運転することで、高濃度のオゾンを部屋から排気するとともに、イオン・オゾン発生装置10が通常モードとなってお出かけモードの場合より低濃度のオゾンを発生する。
【0039】
また、
図3(a)に示すように、レンジフード20のフード傘部21の正面側部に、人感センサ50が設けられており、お出かけモード中に、部屋に人が存在するのを人感センサ50が感知すると、イオン・オゾン発生装置10が停止するとともに、レンジフード20が強運転して、高濃度のオゾンを部屋の外部に排気する。
【0040】
図6は、本実施形態のイオン・オゾン発生装置付きレンジフード100の制御系のブロック図である。
イオン・オゾン発生装置付きレンジフード100は、イオン・オゾン発生装置10およびレンジフード20を備え、さらに、イオン・オゾン発生装置10およびレンジフード20を制御する制御装置60を備えている。制御装置60はCPU、ROM、RAM等を備え、当該制御装置60にイオン・オゾン発生装置10の高電圧発生装置13およびレンジフード20の排気ファン25を回転(駆動)させる駆動モータ25aが接続されている。
また、制御装置60には、上述した操作パネル30および人感センサ50が接続されている。
【0041】
操作パネル30の運転スイッチ31で、「ON」を選択すると、その信号が制御装置60に入力され、この制御装置からの出力信号によって、レンジフード20(の排気ファン25)が動作し、「OFF」を選択すると、その信号が制御装置60に入力され、この制御装置60からの出力信号によってレンジフード20(の排気ファン25)が停止する。
また、レンジフード20の動作状態において、風量スイッチ32で「微弱」を選択すると、その信号が制御装置60に入力され、この制御装置60からの出力信号によってレンジフード20(の排気ファン25)が緩やかに作動し、常時換気となる。同様に、風量スイッチ32で「弱」、「中」または「強」を選択すると、その信号が制御装置60に入力され、この制御装置60からの出力信号によってレンジフード20(の排気ファン25)が弱、中または強運転する。
【0042】
操作パネル30の照明スイッチ33で「ON」を選択すると、その信号が制御装置60に入力され、この制御装置60からの出力信号によってLED照明28が点灯し、「OFF」を選択すると、その信号が制御装置60に入力され、この制御装置60からの出力信号によってLED照明28が消灯する。
また、タイマースイッチ34で、例えば「10分」を選択すると、その信号が制御装置60に入力され、この制御装置60からの出力信号によって、レンジフード20(の排気ファン25)が調理終了後10分間回転し、その後、回転が停止する。
また、調理後にLED照明28を消灯するのを忘れていた場合、レンジフード20が停止すると同時に、LED照明28を消灯するように制御してもよい。
【0043】
操作パネル30の運転スイッチ35で、「ON」を選択すると、その信号が制御装置60に入力され、この制御装置60からの出力信号によって、イオン・オゾン発生装置10が通常モードとなって動作して、1000万個/cm3以上のイオンと濃度0.05~0.1ppmのオゾンを発生し、「OFF」を選択すると、その信号が制御装置60に入力され、この制御装置60からの出力信号によって、イオン・オゾン発生装置10が停止する。
つまり、運転スイッチ35によって、レンジフード20の作動・停止状態に拘わらず、イオン・オゾン発生装置10を作動・停止できる。
【0044】
また、操作パネル30のお出かけモードスイッチ36で、例えばお出かけ所要時間を「2時間」に設定すると、その信号が制御装置60に入力され、この制御装置60からの出力信号によって、お出かけモードが開始され、イオン・オゾン発生装置10が通常モードより高濃度のオゾン(例えば濃度0.1~0.5ppmのオゾン)を発生して、当該高濃度のオゾンを放出口15(
図3および
図4参照)から部屋に放出するとともに、レンジフード20が運転停止する。お出かけモードスイッチ36でお出かけモードを選択すると、制御装置60のROM、RAM等の記憶部に書き込まれている制御プログラムがCPUによって実行され、イオン・オゾン発生装置10が高濃度のオゾン(例えば濃度0.1~0.5ppmのオゾン)を発生するとともに、レンジフード20に出力される信号によってレンジフード20が運転停止する。
【0045】
そして、予め設定された時間経過後(例えばお出かけ所要時間2時間より30分前の1時間30分経過後)に、制御装置60からの出力信号によって、お出かけモードから通常モードに移行し、レンジフード20が通常運転より強い強運転することで、高濃度のオゾンを部屋から排気するとともに、イオン・オゾン発生装置10が通常モードとなってお出かけモードの場合より低濃度のオゾンを発生し、また、高濃度のオゾンを部屋から排気した後、レンジフード20を運転停止または通常運転とする。
【0046】
また、お出かけモード中に、部屋に人が存在するのを人感センサ50が感知すると、制御装置60は、イオン・オゾン発生装置10を停止させるとともに、レンジフード20が強運転するように制御する。
また、レンジフード20が強運転で所定時間経過した後、制御装置60はイオン・オゾン発生装置10を放出口15から低濃度のオゾンを部屋に放出するように制御する。
【0047】
以上説明したように、本実施形態のイオン・オゾン発生装置10によれば、1000万個/cm3以上のイオンと濃度0.05~0.5ppmのオゾンを発生させて放出口15から部屋に放出可能であるので、例えば人が居る部屋では、濃度0.05ppm~0.1ppmのオゾンを1000万個/cm3以上のイオンとともに放出すると、オゾンがイオンとともに部屋中に拡散していき、人体に影響を及ぼすことなく、除菌・脱臭効果を十分に得ることができるとともに、イオンによってオゾン特有の臭いを和らげることができる。
また、外出等によって人が居ない部屋では、濃度0.1ppm~0.5ppmのオゾンを1000万個/cm3以上のイオンとともに放出することによって、比較的高濃度のオゾンがイオンとともに部屋中に拡散していき、除菌・脱臭効果を十分に得ることができるとともにイオンによってオゾン特有の臭いを和らげることができる。
【0048】
また、本実施形態のイオン・オゾン発生装置付きレンジフード100によれば、レンジフード20にイオン・オゾン発生装置10が設けられているので、レンジフード周りおよびレンジフード20が設けられた部屋において、オゾンによる除菌・脱臭効果をより十分に得ることができる。なお、レンジフード20の排気能力は、通常運転で400m2/hであるが、この程度の排気能力ではレンジフード20によって外部に排気されるイオンおよびオゾン量は僅かであるため、オゾンによる除菌・脱臭効果の低下は僅かである。
また、外出等によって人が居ない場合は、濃度0.1ppm~0.5ppmのオゾンを1000万個/cm3以上のイオンとともに放出することによって、比較的高濃度のオゾンがイオンとともに部屋中に拡散していき、除菌・脱臭効果を十分に得ることができ、その後、レンジフードを強運転とすることで、比較的高濃度のオゾンを外部に排気できる。
【0049】
また、イオン・オゾン発生装置10およびレンジフード20を制御装置60によって制御することによって、買い物や旅行等の外出時にお出かけモードとすることによって、部屋に人が居ない無人環境下において、高濃度のオゾンによって部屋を集中的にかつ十分に除菌・脱臭できる。
また、予め設定された時間経過後に人が帰宅して部屋に入っても、レンジフード20の強運転によって、高濃度のオゾンは部屋から排気され、さらにイオン・オゾン発生装置10が低濃度のオゾンを発生して放出口から部屋に放出するので、オゾンによって部屋を安全かつ十分に除菌・脱臭できる。
【0050】
さらに、制御装置60は、お出かけモードから通常モードに移行したときにレンジフード20が通常運転より強い強運転することで、高濃度のオゾンを部屋から排気した後、レンジフード20を運転停止または通常運転とするように制御するので、イオン・オゾン発生装置10の放出口15から部屋に放出される低濃度のオゾンを部屋に十分に拡散させて、部屋を十分に除菌・脱臭できる。
【0051】
加えて、お出かけモード中に、部屋に人が存在するのを人感センサ50が感知すると、制御装置60は、イオン・オゾン発生装置10を停止させるとともに、レンジフード20が強運転するように制御するので、お出かけモード中、つまり外出中に不意に人が部屋に入ってきた場合に、この人を人感センサ50が感知して、イオン・オゾン発生装置10を停止させることで、高濃度のオゾンの放出を停止するとともに、レンジフード20が強運転することで、高濃度のオゾンを素早く部屋から排気できる。
また、レンジフード20が強運転で所定時間経過した後、制御装置60はイオン・オゾン発生装置10を放出口から低濃度のオゾンを部屋に放出するように制御するので、部屋の除菌・脱臭状態を維持できる。
【0052】
(実験例)
次に、イオン・オゾン発生装置の実験例について説明する。
図7に示すように、平面視において縦横の長さが5.8m×5.0mの閉塞された部屋の一つの隅部に設けられたテーブルに、本発明に係るイオン・オゾン発生装置を載置し、A地点とB地点との2つの地点において、時間経過にともなう雑菌数の増減を測定した。
測定器は、Kikkoman Biochemifa Company製のLumitester Smartを使用した。
A地点は、イオン・オゾン発生装置から直線距離で約2.7mであり。B地点は、イオン・オゾン発生装置から直線距離で約5.2mである。
なお、
図7において、部屋内にある複数の大小の矩形は調理台当のテーブルを示し、A地点、B地点およびイオン・オゾン発生装置の床面からの高さは等しくなっている。
なお、部屋の気温は23.8℃、湿度は81%である。
【0053】
【0054】
なお、表1において「acroAir」とは、イオン・オゾン発生装置のことである。また、表1に示す結果の数値は、測定単位が「RLU値(相対発光量)」である。RLU値が高いほど雑菌数が多いと判断できる。
表1に示すように、A地点およびB地点の双方において、イオンだけの場合は多少の除菌効果があるようにもみえるが、オゾンだけの場合は格段と数値(雑菌数)が減少しているのがわかる。
また、イオン+オゾンの場合、すなわちイオン・オゾン発生装置を使用した場合、オゾンのみの場合に比して、数値(雑菌数)が減少しているのがわかる。
つまり、イオン・オゾン発生装置が、平均濃度0.05ppmのオゾンを5000万個/cm3以上のイオンとともに放出することによって、低濃度オゾンがイオンとともに部屋中に拡散していき、除菌効果を十分に得ることができる。
【0055】
なお、上述した実施形態では、イオン・オゾン発生装置10をレンジフード20に設けてなるイオン・オゾン発生装置付きレンジフード100について説明したが、イオン・オゾン発生装置10は、レンジフード以外の他の装置や機器に設けてもよい。
例えば、加湿器、除湿器、布団乾燥機、空気循環用サーキュレータ、扇風機、ヘアードライヤー、ルームエアコン、ルームクーラー、電気冷蔵庫、浴室ユニット、シャワー室ユニット、サウナ室ユニット、トイレユニット、照明木々、洗面台、流し台等にイオン・オゾン発生装置10を取り付けてもよい。
【符号の説明】
【0056】
10 イオン・オゾン発生装置
15 放出口
20 レンジフード
30 操作パネル
50 人感センサ
60 制御装置
100 イオン・オゾン発生装置付きレンジフード