(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023059783
(43)【公開日】2023-04-27
(54)【発明の名称】管の開口部用の塗布器具
(51)【国際特許分類】
B05C 17/10 20060101AFI20230420BHJP
B05C 1/02 20060101ALI20230420BHJP
A46B 5/00 20060101ALI20230420BHJP
【FI】
B05C17/10
B05C1/02 101
A46B5/00 B
A46B5/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2021183747
(22)【出願日】2021-10-15
(71)【出願人】
【識別番号】509133458
【氏名又は名称】有限会社高橋設備
(72)【発明者】
【氏名】高橋 清宏
【テーマコード(参考)】
3B202
4F040
4F042
【Fターム(参考)】
3B202AA31
3B202AB15
3B202BA11
3B202DA02
3B202EE01
3B202EF10
4F040AA04
4F040AB01
4F040BA09
4F040CA05
4F042AA03
4F042FA24
4F042FA42
(57)【要約】
【課題】 埋設される位置に配された管の、開口部近傍の内周または外周に接着剤を塗布する作業、特に管の外周の下側への接着剤の塗布作業を容易にするための塗布器具を提供する。
【解決手段】 二つの板状部材がほぼ垂直に接合され、長さ方向の断面がL字形状を有する本体と、前記本体の前記二つの板状部材がなす角度がほぼ90°となる側の面の一方に設けられてなる塗布手段と、前記本体の前記塗布手段が設けられていない側の板状部材における、前記本体の前記二つの板状部材がなす角度がほぼ270°となる側の面に、前記塗布手段が設けれてなる面と平行な方向に設けられてなる把持部とで塗布器具を構成する。この塗布器具は、前記のような把持部の取付構造を備えているため、塗布手段を、管の下部に移動しても、把持部を、管が配置された面と一定の距離を維持した状態で操作できるので、作業性が向上する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二つの板状部材がほぼ垂直に接合され、長さ方向の断面がL字形状を有する本体と、
前記本体の前記二つの板状部材がなす角度がほぼ90°となる側の面の一方に設けられてなる塗布手段と、
前記本体の前記塗布手段が設けられていない側の板状部材における、前記本体の前記二つの板状部材がなす角度がほぼ270°となる側の面に、前記塗布手段が設けれてなる面と平行な方向に設けられてなる把持部と、
を有することを特徴とする塗布器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管の接続の際の、接着剤の塗布に用いられる塗布器具に関するもので、特に地中に埋設する管の接続作業に好適な塗布器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上水道の配管には、金属管の他に、腐食への耐性、軽量で加工が容易であるという利点から、プラスチック製の管も多用されている。そしてプラスチック製の管を用いる場合は、管の接合や管と継手の接合に接着剤が用いられる。
【0003】
この場合の接合作業には、管や継手の接合する面に、接着剤を塗布する工程が必要であるが、上水道の配管の多くは、地中に埋設されるので、小型部品の接合を除き、予め接合した管を埋設するのは困難であり、所要の位置に掘削した溝に、管を配した状態で、接着剤を塗布することになる。このため、特に管の開口部の外周部における、溝の底部の方に配される部分への接着材の塗布は困難な作業となる。
【0004】
接着剤の塗布作業性を向上する技術として、特許文献1には、持ち手に対して塗布部分を垂直に設け、刷毛部分をローラーにし、ガイドを設けたことを特徴とする、塩化ビニル管用接着剤塗布用具が開示されている。
【0005】
ここに開示されている管用接着剤塗布用具は、刷毛部分がローラーとなっているので、管の内周または外周に連続的に接着剤を塗布するには好適であるが、埋設溝に配置された管では、管の外周の接地面側に塗布する際に、ローラーが溝底に接触し、ローラー外周の汚損を避けるのが困難である。
【0006】
また、特許文献2には、接着剤充填容器の密封キャップに直接取り付けられる接着剤塗布用回転ブラシであって、前記密封キャップには、容器内部側の中心から容器底部方向に向けて突設軸を設け、該突設軸の先端には、該突設軸に対して回転自在なロール状の回転ブラシを設け、該回転ブラシには、硬質塩化ビニル管の工業規格に対応した接着剤塗布領域を識別するための接着剤塗布領域認識表示が現されていることを特徴とする接着剤塗布用回転ブラシが開示されている。
【0007】
そして、このような構造の接着剤塗布用回転ブラシによれば、簡単な構造で接着剤塗布領域を設定することができるとしているが、埋設溝に配置された管の、管の外周の接地面側に塗布する作業における問題には、十分に対処できないと考えらえれる。
【0008】
つまり、棒状の把持部と垂直方向に刷毛が植設されたブラシ状の塗布器具や、把持部と平行な方向に刷毛が設けられている塗布器具では、管の外周と接地面との間の空隙の刷毛を挿入して塗布作業を行うが、把持部も接地面に近接した状態となり、操作が困難となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2017-022964号公報
【特許文献2】実用新案登録第3171634号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って、本発明の課題は、埋設される位置に配された管の、開口部近傍の外周に接着剤を塗布する作業、特に管の外周の下側への接着剤の塗布作業を容易にするための塗布器具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、前記課題の解決のため、塗布部が管が配される地面などに接することなく、把持部の操作も地面から離れた位置で行える、塗布具の構造を鋭意検討した結果なされたものである。
【0012】
上記課題を解決するための、本発明の一態様に係る管の開口部用の塗布器具は、二つの板状部材がほぼ垂直に接合され、長さ方向の断面がL字形状を有する本体と、前記本体の前記二つの板状部材がなす角度がほぼ90°となる側の面の一方に設けられてなる塗布手段と、前記本体の前記塗布手段が設けられていない側の板状部材における、前記本体の前記二つの板状部材がなす角度がほぼ270°となる側の面に、前記塗布手段が設けれてなる面と平行な方向に設けられてなる把持部とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る、管の開口部用の塗布器具は、前記のような把持部の取付構造を備えているため、塗布手段を管の開口部の外周部に当接させた状態で、管の下部に移動しても、把持部を、管が配置された面と一定の距離を維持した状態で操作できるので、塗布作業が、従来の刷毛を用いた場合よりも容易となる。
【0014】
また、管の外周部の菅の配置面に近い部分に接着剤を塗布する際は、塗布手段と管が配置された面との間に、板状部材が配されるので、塗布手段が土壌などで汚損されることが少なくなる。なお、本発明に係る塗布器具の塗布手段としては、刷毛や、発泡ポリ上ラタンを代表とスポンジなどが挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】 本発明に係る管の開口部用の塗布器具の一例を用いて、接着剤を塗布する状態を示す斜視図。
【
図2】 本発明に係る管の開口部用の塗布器具の一例を用いて、接着剤を塗布する状態を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に本発明を実施するための形態を具体的な図を参照しながら説明する。
【0017】
図1は、本発明に係る管の開口部用の塗布器具の一例を用いて、接着剤を塗布する状態を示す斜視図である。また、
図2は、本発明に係る管の開口部用の塗布器具の一例を用いて、接着剤を塗布する状態を示す断面図である。図において、1は本体、2は刷毛、3は把持部、4は管である。
【0018】
接着剤を塗布する際は、刷毛2に接着剤を付着させた状態で、図に示したように、管4の開口部の外周に当接させ、
図1に示した矢印の方向に把持部3を動かすことで、管4の外周部に接着剤を塗布することができる。
【0019】
そして、前記のように配管工事の際には、管4を予め掘削した溝に配置した状態で接続することになるが、管4の図における下側は、図示していない地面に近接することになるため、本体1を、管4と地面との間の空隙を通過させることになる。
【0020】
本発明に係る塗布器具の把持部は、前記のような構造で本体1に接合されているので、
図2に示したように、把持部3は地面よりも離れた位置で操作可能である。なお、本発明に係る塗布器具は、本体1の長さ方向の任意の位置に係止可能なストパー5を取り付けることにより、本体1を管4の内部に挿入する位置を調整することが可能なり、接着剤を塗布する幅のコントロールが可能となる。
【0021】
以上に説明したように、本発明によれば、埋設する位置に配置した管の開口部に接着剤を塗布する作業性を向上した、管の開口部用の塗布器具を提供できる。なお、本発明は、前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の分野における通常の知識を有する者であれば想到し得る、各種変形、修正を含む、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更があっても、本発明に含まれることは勿論である。
【符号の説明】
【0022】
1・・・本体 2・・・刷毛 3・・・把持部
4・・・管 5・・・ストッパー