(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023059785
(43)【公開日】2023-04-27
(54)【発明の名称】キャパシタ部品
(51)【国際特許分類】
H01G 4/30 20060101AFI20230420BHJP
【FI】
H01G4/30 201C
H01G4/30 201G
H01G4/30 201F
H01G4/30 201M
H01G4/30 201K
H01G4/30 513
H01G4/30 512
H01G4/30 516
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021211813
(22)【出願日】2021-12-27
(31)【優先権主張番号】10-2021-0137247
(32)【優先日】2021-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ソン、ハ ヨン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ジョン フーン
(72)【発明者】
【氏名】リー、ミン ゴン
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E001AC03
5E001AC07
5E001AC08
5E001AF06
5E082AA01
5E082AB03
5E082BC35
5E082EE04
5E082EE23
5E082EE35
5E082FF05
5E082FG04
5E082FG26
5E082FG46
5E082GG10
5E082GG28
5E082JJ03
5E082PP09
(57)【要約】
【課題】耐電圧特性を向上させることができるキャパシタ部品を提供する。
【解決手段】
本発明の一側面に係るキャパシタ部品は、誘電体層、及び上記誘電体層を間に挟んで互いに対向するように配置される複数の内部電極層を含む本体と、上記本体に配置され、上記内部電極層と連結される外部電極と、を含み、上記複数の内部電極層のそれぞれは、隣接した他の上記内部電極層と重なるように配置された容量部、及び上記容量部から延長して上記外部電極と連結された引き出し部を有し、最上部に配置された上記内部電極層の上記容量部と上記引き出し部との間の高さの差H1に対して、最下部に配置された上記内部電極層の上記容量部と上記引き出し部との間の高さの差H2の比(H2/H1)は0.2以下であり、上記誘電体層の平均厚さは420nm以下である。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体層、及び前記誘電体層を間に挟んで互いに対向するように配置される複数の内部電極層を含む本体と、
前記本体に配置され、前記複数の内部電極層と連結される外部電極と、を含み、
前記複数の内部電極層のそれぞれは、隣接した他の前記内部電極層と重なるように配置された容量部、及び前記容量部から延長して前記外部電極と連結された引き出し部を有し、
最上部に配置された前記内部電極層の前記容量部と前記引き出し部との間の高さの差H1に対して、最下部に配置された前記内部電極層の前記容量部と前記引き出し部との間の高さの差H2の比(H2/H1)は0.2以下であり、
前記誘電体層の平均厚さは420nm以下である、キャパシタ部品。
【請求項2】
前記最上部に配置された内部電極層及び前記最下部に配置された内部電極層のそれぞれは、前記引き出し部が前記容量部よりも前記本体の厚さ方向の中央により近く配置された、請求項1に記載のキャパシタ部品。
【請求項3】
前記最上部に配置された内部電極層の引き出し部は、前記最下部に配置された内部電極層の引き出し部よりも前記本体の厚さ方向の中央により近く配置された、請求項2に記載のキャパシタ部品。
【請求項4】
前記内部電極層の前記容量部と前記引き出し部との高さの差は、
前記最上部に配置された内部電極層から前記最下部に配置された内部電極層に向かう方向に沿って減少し、再び増加する、請求項3に記載のキャパシタ部品。
【請求項5】
前記内部電極層の前記容量部と前記引き出し部との高さの差は、
前記最上部に配置された内部電極層及び前記最下部に配置された内部電極層を除いた残りの前記内部電極層のいずれか一つにおいて最小である、請求項4に記載のキャパシタ部品。
【請求項6】
前記容量部と前記引き出し部との間の高さの差が最小である前記内部電極層は、前記最上部に配置された内部電極層よりも前記最下部に配置された内部電極層に近く配置された、請求項5に記載のキャパシタ部品。
【請求項7】
最上部に配置された前記誘電体層の厚さは、最下部に配置された前記誘電体層の厚さと実質的に同一である、請求項1から6のいずれか一項に記載のキャパシタ部品。
【請求項8】
前記外部電極は、前記本体の一端面に配置された第1外部電極と、前記本体の一端面と向かい合う前記本体の他端面に配置された第2外部電極とを含み、
前記最上部に配置された内部電極層の引き出し部は、前記本体の一端面に露出して前記第1外部電極と接し、
前記最下部に配置された内部電極層の引き出し部は、前記本体の他端面に露出して前記第2外部電極と接する、請求項1から7のいずれか一項に記載のキャパシタ部品。
【請求項9】
前記第1外部電極及び第2外部電極のそれぞれは、前記本体に配置された第1層及び前記第1層に配置された第2層を含む、請求項8に記載のキャパシタ部品。
【請求項10】
前記第1層は、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、銀(Ag)、白金(Pt)、及びパラジウム(Pd)の少なくとも一つを含む、請求項9に記載のキャパシタ部品。
【請求項11】
前記第2層は、ニッケル(Ni)及びスズ(Sn)の少なくとも一つを含む、請求項10に記載のキャパシタ部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャパシタ部品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
キャパシタ部品の一つである積層セラミックキャパシタ(Multi-Layered Ceramic Capacitor、MLCC)は、小型でありながらも高容量が保障され、実装が容易であるという利点により、通信、コンピュータ、家電、自動車などの産業に用いられる重要なチップ部品であり、特に、携帯電話、コンピュータ、デジタルTVなどの各種電気、電子、情報通信機器に用いられる核心受動素子である。
【0003】
一般的に、MLCCは、誘電体グリーンシートに内部電極層形成用導電性ペーストをスクリーン印刷し、導電性ペーストが印刷された誘電体グリーンシートを複数積層し、積層された複数の誘電体グリーンシートを圧着して積層体を製造した後、積層体を焼結して製造される。
【0004】
一方、積層体を形成するにあたって、下部に配置された誘電体グリーンシートは、積層回数分だけ加圧されるため、上部に配置された誘電体グリーンシートに対してその厚さが薄くなることがあり、このような積層体を焼結した場合、MLCCの破壊電圧(Break Down Voltage、BDV)が部品の下部側で減少する現象が発生することがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】韓国公開特許第2016-0097818号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の一例に係る目的の一つは、耐電圧特性を向上させることができるキャパシタ部品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面によると、誘電体層、及び上記誘電体層を間に挟んで互いに対向するように配置される複数の内部電極層を含む本体と、上記本体に配置され、上記内部電極層と連結される外部電極と、を含み、上記複数の内部電極層のそれぞれは、隣接した他の上記内部電極層と重なるように配置された容量部、及び上記容量部から延長して上記外部電極と連結された引き出し部を有し、最上部に配置された上記内部電極層の上記容量部及び上記引き出し部間の高さの差H1に対して、最下部に配置された上記内部電極層の上記容量部及び上記引き出し部間の高さの差H2の比(H2/H1)は0.2以下であり、上記誘電体層の平均厚さは420nm以下であるキャパシタ部品が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一側面によるキャパシタ部品は、耐電圧特性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態に係るキャパシタ部品の斜視図を概略的に示した図面である。
【
図2】
図1のI-I'線に沿った断面図を概略的に示した図面である。
【
図6】比較例及び実験例のBDV破壊実験データを示した図面である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本出願に用いられる用語は、単に特定の実施形態を説明するために用いられたものであり、本発明を限定する意図ではない。単数の表現は、文脈上明らかに異なるものを意味しない限り、複数の表現を含む。本出願において、「含む」または「有する」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであって、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものの存在または付加可能性を予め排除しないものと理解されるべきである。そして、明細書全体において、「上に」とは、対象部分の上または下に位置することを意味するものであり、必ずしも重力方向を基準にした上側に位置することを意味するものではない。
【0011】
また、結合とは、各構成要素間の接触関係において、各構成要素間に物理的に直接接触される場合のみを意味するのではなく、他の構成が各構成要素間に介在して、その他の構成に構成要素がそれぞれ接触されている場合まで包括する概念として用いる。
【0012】
図面に示された各構成の大きさ及び厚さは、説明の便宜のために任意に示したものであるため、本発明は、必ずしも図示されたものに限定されない。
【0013】
図面において、第1方向はZ方向または厚さ方向、第2方向はX方向または長さ方向、第3方向はY方向または幅方向に定義することができる。
【0014】
以下、本発明の実施形態に係るキャパシタ部品を添付図面を参照して詳細に説明し、添付図面を参照して説明することにおいて、同一または対応する構成要素は、同一の図面番号を付与し、これに対する重複説明は省略する。
【0015】
図1は、本発明の一実施形態に係るキャパシタ部品の斜視図を概略的に示した図面であり、
図2は、
図1のI-I'線に沿った断面図を概略的に示した図面であり、
図3は、
図2のAを拡大図示した図面であり、
図4は、
図2のBを拡大した図面であり、
図5は、比較例の断面を概略的に示した図面であり、
図6は、比較例及び実施例のBDV破壊実験データを示した図面である。
【0016】
図1~
図4を参照すると、本実施形態に係るキャパシタ部品1000は、本体100及び外部電極210、220を含む。本体100は、誘電体層110及び内部電極層121、122を含む。
【0017】
本体100は、本実施形態に係るキャパシタ部品1000の外観をなす。本体100の具体的な形状に特に制限はないが、図示のように、本体100は、六面体状やこれと類似した形状からなることができる。焼結過程で本体100に含まれたセラミック粉末の収縮により、本体100は、完全な直線を有する六面体状ではないが、実質的に六面体状を有することができる。
【0018】
本体100は、
図1及び
図2を基準に、厚さ方向Zに互いに向かい合う第1面101及び第2面102、長さ方向Xに互いに向かい合う第3面103及び第4面104、幅方向Yに向かい合う第5面105及び第6面106を含む。本体100の第3~第6面103、104、105、106のそれぞれは、本体100の第1面101及び第2面102を連結する本体100の壁面に該当する。以下では、本体100の両端面(一端面及び他端面)は、本体の第3面103及び第4面104を意味し、本体100の両側面(一側面及び他側面)は、本体の第5面105及び第6面106を意味することができる。また、本体100の一面及び他面は、それぞれ本体100の第1面101及び第2面102を意味することができる。本体100の一面101は、本実施形態に係るキャパシタ部品1000をプリント回路基板などの実装基板に実装する際に、実装面として用いられることができる。
【0019】
本体100は、誘電体層110、及び誘電体層110を間に挟んで交互に配置される第1及び第2内部電極層121、122を含む。誘電体層110、第1内部電極層121及び第2内部電極層122のそれぞれは、複数の層から形成される。以下では、第1及び第2内部電極層121、122間の区別が必要である場合を除き、内部電極層121、122と通称する。したがって、内部電極層121、122と通称される部分に対する説明は、第1及び第2内部電極層121、122に共通して適用されることができる。
【0020】
本体100を形成する複数の誘電体層110は、焼結された状態であって、隣接する誘電体層110間の境界は、走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を利用せずには確認しにくいほど一体化することができる。
【0021】
誘電体層110を形成する原料は、十分な静電容量を得ることができる限り、特に制限されず、例えば、チタン酸バリウム(BaTiO3)粉末であることができる。誘電体層110を形成する材料は、チタン酸バリウム(BaTiO3)などのパウダーに本発明の目的に応じて様々なセラミック添加剤、有機溶剤、可塑剤、結合剤、分散剤などが添加されることができる。
【0022】
誘電体層110の厚さは、
図2に示した方向を基準として、最上部に配置された誘電体層110の厚さが最下部に配置された誘電体層110の厚さと実質的に同一であることができる。ここで、最上部の誘電体層110と最下部の誘電体層110の厚さが実質的に同一であるとは、後述する誘電体層110の厚さ測定方法に従う際に両者が数学的に同一である場合だけでなく、例えば、5%以内の範囲の差を有している場合も含まれるといえる。一般的に、複数の誘電体層のうち最下部に配置された誘電体層は、他の誘電体層よりも最も多い加圧工程を経るため、最下部に配置された誘電体層は、比較的最上部に配置された誘電体層よりも厚さが薄く形成される。本実施形態の場合、一例として、積層工程後の圧着工程において、最上部に配置された誘電体層110側に比較的高い圧力を印加し、最下部に配置された誘電体層側に比較的低い圧力を印加して両者の厚さを実質的に同一にすることができる。さらに、複数の誘電体層110は、それぞれの厚さが互いに同一であることができる。一方、各誘電体層110の厚さは、キャパシタ部品を幅方向Yの中央部で切断したXZ断面(cross-section)をスキャンした光学イメージまたはSEMイメージを用いて測定されることができる。一例として、誘電体層110の厚さは、上記イメージに示された誘電体層110のいずれか一つを選択し、選択された一つの誘電体層110のZ方向に沿った数値(dimension)をX方向に沿って複数回測定し、これを算術平均したものを意味することができる。このようなX方向に沿った複数回測定は、X方向に沿って等間隔で行われることができるが、これに制限されるものではない。
【0023】
複数の誘電体層110の平均厚さは420nm以下であることができる。複数の誘電体層110の平均厚さが420nmを超過する場合には、部品全体の厚さを薄型化する際に不利である。ここで、複数の誘電体層110の平均厚さは、上述の方法で上記イメージに示された複数の誘電体層110のそれぞれの厚さを求め、これらの値の合計を上記イメージに示された誘電体層110の総数で割った算術平均を意味することができる。なお、上述した誘電体層110の厚さが互いに実質的に同一であるとは、各誘電体層の厚さが上述した算術平均値に対して5%以内の範囲に含まれることを意味することができる。
【0024】
本体100の上部及び下部、すなわち、厚さ方向(Z方向)の両端部には、カバー層130が配置されることができる。カバー層130は、外部衝撃に対してキャパシタ部品の信頼性を維持する役割を果たすことができる。カバー層110は、誘電体層110を形成するための資材、または誘電体層110を形成するための資材とは異なる資材を用いて形成されることができる。例えば、後者の場合、誘電体層110を形成するための資材及びカバー層110を形成するための資材は、資材内のセラミック粒子の組成、大きさ、含有量、及び分散程度の少なくとも一つが互いに相違するか、または資材内の副成分の組成、大きさ、含有量、及び分散程度の少なくとも一つが異なることがある。
【0025】
内部電極層121、122は、誘電体層110と交互に配置され、第1及び第2内部電極層121、122を含むことができる。第1及び第2内部電極層121、122は、誘電体層110を間に挟んで互いに向かい合うように交互に配置され、本体100の第3及び第4面103、104にそれぞれ露出することができる。
【0026】
内部電極層121、122は、隣接した他の内部電極層121、122と重なるように配置された容量部121A、122A、及び容量部121A、122Aから延長して後述する外部電極210、220と連結された引き出し部121B、122Bを有する。
【0027】
内部電極層121、122の容量部121A、122Aは、全体的に板状の形態と類似した形態を有し、外部電極210、220を介して電界が印加される場合、誘電体層110を媒介に隣接した他の内部電極層121、122の容量部121A、122A及び容量(capacitance)を形成することができる。
【0028】
内部電極層121、122の引き出し部121B、122Bは、本体100の長さ方向Xの両端面である第3面103及び第4面104に交互に露出して、第1及び第2外部電極210、220と連結される。すなわち、第1内部電極層121の引き出し部121Bは、本体100の第3面103に露出して第1外部電極210と連結される。第2内部電極層122の引き出し部122Bは、本体100の第4面104に露出して第2外部電極220と連結される。したがって、第1内部電極層121は、本体100の第4面104から一定距離離隔し、第2内部電極層122は、本体100の第3面103から一定距離離隔する。
【0029】
内部電極層121、122の少なくとも一つは、容量部121A、122Aと引き出し部121B、122Bとの間に高さの差(
図2のZ方向に沿った高さの差)を有する。本実施形態の場合、容量部121A、122Aと引き出し部121B、122Bとの間の高さの差は、最上部に配置された第1内部電極層121及び最下部に配置された第2内部電極層122のそれぞれが有する(H1、H2)。なお、本実施形態の場合、容量部121A、122Aと引き出し部121B、122Bとの間の高さの差は、最上部に配置された第1内部電極層121が最下部に配置された第2内部電極層122よりもさらに大きい(H1>H2)。これは、一例として、複数の誘電体グリーンシートを積層した後、圧着する工程において、最下部に配置された第2内部電極層122よりも最上部に配置された第1内部電極層121に印加される圧着圧力を比較的高くする非対称圧着によるものであることができるが、本発明の範囲がこれに制限されるものではない。
【0030】
最上部に配置された第1内部電極層121における容量部121Aと引き出し部121Bとの間の高さの差H1と、最下部に配置された第2内部電極層122における容量部122Aと引き出し部122Bとの間の高さの差H2は、H2/H1≦0.2を満たすことができる。これは、制限されない例として、上述した非対称圧着において、積層体の上部側に印加される圧着圧力を積層体の下部側に印加される圧着圧力よりも大きくすることで実現されることができる。
【0031】
最上部に配置された第1内部電極層121及び最下部に配置された第2内部電極層122のそれぞれは、引き出し部121B、122Bが容量部121A、122Aよりも本体100の厚さ方向Zの中央にさらに近く配置されることができる。したがって、最上部に配置された第1内部電極層121は、引き出し部121Bが露出した本体100の第3面から容量部121Aに向かうにつれて厚さ方向Zに沿った高さが高くなることがある。また、最下部に配置された第2内部電極層122は、引き出し部122Bが露出した本体100の第4面から容量部122Aに向かうにつれて厚さ方向Zに沿った高さが低くなることがある。
【0032】
内部電極層121、122の容量部121A、122Aと引き出し部121B、122Bとの間の高さの差は、最上部に配置された第1内部電極層121から最下部に配置された第2内部電極層122に向かう方向に沿って減少し、再び増加することがある。その結果、内部電極層121、122の容量部121A、122Aと引き出し部121B、122Bとの間の高さの差は、最上部に配置された第1内部電極層121及び最下部に配置された第2内部電極層122を除いた残りの内部電極層121、122のいずれか一つにおいて最小であることがある。ここで、容量部121A、122Aと引き出し部121B、122Bとの間の高さの差が最小である内部電極層121、122は、最上部に配置された第1内部電極層121よりも最下部に配置された第2内部電極層121に近く配置されることができる。これは、制限されない例として、上述した非対称圧着において、積層体の上部側に印加される圧着圧力を積層体の下部側に印加される圧着圧力よりも大きくすることにより、積層体の内部で上部圧着圧力と下部圧着圧力との間の平衡をなすためであり、上部圧着圧力と下部圧着圧力との間の平衡が積層体の比較的下部側で行われるためである。
【0033】
内部電極層121、122は、例えば、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)及び銅(Cu)のうち一つ以上の導電体を含むことができる。一例として、内部電極層121、122は、ニッケル(Ni)を含む導電性粉末、バインダー及び溶媒などを含む導電性ペーストを誘電体グリーンシートに積層した後、これを焼結して形成することができ、したがって、内部電極層121、122はニッケル(Ni)を含むことができる。
【0034】
内部電極層121、122の厚さは、10nm以上500nm以下であることができる。内部電極層121、122の厚さが10nm未満である場合には、内部電極層121、122の連結性が低下して静電容量が減少されることがある。内部電極層121、122の厚さが500nm超過である場合には、同一大きさの部品を基準に、誘電体層110の厚さが薄く形成されて内部電極層121、122間の電気的絶縁を図ることが困難である。内部電極層121、122の厚さは、キャパシタ部品を幅方向Yの中央部で切断したXZ断面(cross-section)をスキャンした光学イメージまたはSEMイメージを用いて測定されることができる。一例として、内部電極層121、122の厚さは、上記イメージに示された内部電極層121、122のいずれか一つを選択し、選択された一つの内部電極層のZ方向に沿ったディメンション(dimension)をX方向に沿って複数回測定し、これを算術平均したものを意味することができる。このようなX方向に沿った複数回測定は、X方向に沿って等間隔で行われることができるが、これに制限されるものではない。また、内部電極層121、122の厚さは、上記イメージに示された複数の内部電極層121、122のそれぞれについて上述した方法で各内部電極層121、122の厚さを算出し、これを内部電極層121、122の総数で割ったものを意味することができる。
【0035】
内部電極層121、122内には、空隙及びセラミック粒子が配置されることができる。セラミック粒子は、内部電極層を形成するための導電性ペーストに、追加的に添加されたチタン酸バリウムなどのセラミック粉末によって形成されたものであることができる。セラミック粒子は、誘電体層110の誘電体と同様にチタン酸バリウム系物質であることができるが、これに制限されるものではない。空隙は、導電性ペーストに含まれたニッケル(Ni)粉末の焼結過程における拡散及び再結晶によって形成されるか、導電性ペーストに含まれた溶媒などの有機物質が焼結過程で除去されることで形成されることができる。
【0036】
外部電極210、220は、本体100に配置され、内部電極層121、122と連結される。外部電極210、220は、
図1及び
図2に示したように、本体100の第3及び第4面103、104にそれぞれ配置され、第1及び第2内部電極層121、122とそれぞれ接続された第1及び第2外部電極210、220を含むことができる。
【0037】
第1及び第2外部電極210、220は、本体100の第3及び第4面103、104にそれぞれ配置され、第1及び第2内部電極層121、122と連結された第1及び第2連結部と、第1及び第2連結部から本体100の第1面101に延長した第1及び第2延長部をそれぞれ含むことができる。第1及び第2延長部は、本体100の第1面101で互いに離隔するように配置される。一方、第1及び第2延長部は、本体100の第1面101だけでなく、本体100の第2、第5及び第6面102、105、106のそれぞれに延長することができるが、本発明の範囲がこれに制限されるものではない。すなわち、
図1に示したように、本発明の外部電極210、220のそれぞれは、本体100の5つの面に形成されるnormalタイプであることができるが、これに制限されるものではなく、本体100の2つの面に形成されるLタイプ、本体100の3つの面に形成されるCタイプなどであることができる。
【0038】
各外部電極210、220は、本体100に配置された第1層211、221、及び第1層211、221に配置された第2層212、222を含むことができる。第1層211、221は、銅(Cu)、銀(Ag)、白金(Pt)、及びパラジウム(Pd)の少なくとも一つを含む導電性金属及びガラスを含む焼結型導電性ペーストを焼結して形成されるか、銅(Cu)、銀(Ag)、白金(Pt)、及びパラジウム(Pd)の少なくとも一つを含む導電性金属及びベース樹脂を含む硬化型導電性ペーストを硬化して形成されるか、または気相蒸着により形成されることができる。第2層212、222は、制限されない例として、めっき法で形成されることができ、第1層に順にめっき形成されたニッケル(Ni)めっき層及びスズ(Sn)めっき層を含むことができる。
【0039】
一方、本実施形態では、キャパシタ部品100が2つの外部電極210、220を有する構造を説明しているが、外部電極210、220の個数や形状などは、内部電極層121、122の形態やその他の目的に応じて変わることができる。
【0040】
実験例
図5は、比較例の断面を概略的に示した図面であり、
図6は、比較例及び実験例のBDV破壊実験データを示した図面である。
【0041】
図5の比較例(
図6の実験例1)の場合、下部側から未焼結内部電極層が形成された誘電体層を順次積層して積層体を形成するが、積層体の上部と下部の圧着圧力を対称的に加圧したものである。当該比較例(
図6の実験例1)では、最上部に配置された第1内部電極層における容量部と引き出し部との間の高さの差に対して、最下部に配置された第2内部電極層の容量部と引き出し部との間の高さの差の比(H2/H1)は、0.33であった。次に、
図6の実験例2の場合、下部側から未焼結内部電極層が形成された誘電体層を順次積層して積層体を形成するが、積層体の上部と下部の圧着圧力を非対称的に加圧したものである。当該実験例2では、最上部に配置された第1内部電極層における容量部と引き出し部との間の高さの差に対して、最下部に配置された第2内部電極層における容量部と引き出し部との間の高さの差の比(H2/H1)は0.15であった。
図5及び
図6の実験例1及び2のそれぞれにおいて、複数の誘電体層の厚さの算術平均は420nmであった。実験例1及び2のそれぞれを満たす同一個数の複数の試料を用意した後、試料の破壊電圧(Break Down Voltage、BDV)を測定した。
【0042】
図6を参照すると、最上部に配置された第1内部電極層における容量部と引き出し部との間の高さの差に対して、最下部に配置された第2内部電極層における容量部と引き出し部との間の高さの差の比(H2/H1)が0.2以下を満たす実験例2の平均破壊電圧(
図6に菱形で表示)は37.89voltであり、実験例1の平均破壊電圧(
図6に菱形で表示)である36.48voltよりも高い値を有することが分かる。また、
図6を参照すると、各試料別の破壊電圧の散布が実験例1よりも実験例2で比較的低いことが分かる。これは、実験例1の場合、対称圧着により、上部側の誘電体層の厚さと下部側の誘電体層の厚さとの間の散布が比較的多く発生したため、下部側の誘電体層の薄い厚さによって他の領域よりも比較的低いBDVを有する領域が発生するためであると判断される。
【0043】
その結果、実験例2の場合、耐電圧特性を向上させながらも、耐電圧特性を比較的一定にすることができる。
【0044】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、当該技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された本発明の思想から逸脱しない範囲内で、構成要素の付加、変更、または削除などにより本発明を多様に修正及び変更させることができるものであり、これも本発明の権利範囲内に属するといえる。
【符号の説明】
【0045】
100 本体
110 誘電体層
121、122 内部電極層
130 カバー層
210、220 外部電極
1000 キャパシタ部品