(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023059817
(43)【公開日】2023-04-27
(54)【発明の名称】単一ポリマーから製造された光ファイバ
(51)【国際特許分類】
G02B 6/02 20060101AFI20230420BHJP
【FI】
G02B6/02 466
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022126124
(22)【出願日】2022-08-08
(31)【優先権主張番号】17/503,266
(32)【優先日】2021-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】517026003
【氏名又は名称】ゼットスクエア リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100120857
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 聡
(72)【発明者】
【氏名】ザレフスキー ズィーヴ
(72)【発明者】
【氏名】シャームーン アサフ
(72)【発明者】
【氏名】メイリ アミハイ
(72)【発明者】
【氏名】ヘルマン オラン
【テーマコード(参考)】
2H250
【Fターム(参考)】
2H250AA24
2H250AA32
2H250AA51
2H250AB33
2H250AC64
2H250AC65
2H250AC93
2H250BA25
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ポリマー素材で作られるマルチコアファイバマイクロ内視鏡における光の伝達の損失を最小限に抑える。
【解決手段】マルチコア光ファイバを製造するシステムは、透明ポリマーの光重合を誘起するのに適したスペクトル範囲内の電磁放射線源を含む。1つ以上の光学部品の配列は、前記電磁放射線源によって放出された放射線を前記透明ポリマーの複数の細長い領域に同時に集束させて、前記細長い領域のみにおいて前記透明ポリマーを光重合させて前記細長い領域の屈折率を向上させることにより、前記細長い領域が光重合された後の透明ポリマーによって形成された光ファイバにおいて、各前記細長い領域が前記光ファイバのコアとして機能し、前記細長い領域を囲む透明ポリマーの領域が各前記コアのクラッドとして機能するように構成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチコア光ファイバを製造するシステムであって、
透明ポリマーの光重合を誘起するのに適したスペクトル範囲に含まれる電磁放射線源と、
1つ以上の光学部品の配列であって、前記電磁放射線源により放出された放射線を透明ポリマーの複数の細長い領域に同時に集束させて、前記透明ポリマーの前記細長い領域のみにおいて光重合を生じさせ、前記細長い領域の屈折率を向上させて、前記細長い領域が光重合した後に前記透明ポリマーで形成される前記光ファイバにおいて、前記細長い領域のそれぞれは前記光ファイバのコアとして機能し、前記透明ポリマーの前記細長い領域を取り囲む領域はそれぞれの前記コアのクラッドとして機能するように構成される、1つ以上の光学部品の配列と、を含む、マルチコア光ファイバを製造するシステム。
【請求項2】
前記スペクトル範囲に紫外線が含まれる、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記電磁放射線源は、エキシマレーザを含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記エキシマレーザは、100nm~400nmのスペクトル範囲内の紫外線を放出する、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記光学部品は、円筒状の構成で配置される、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記光学部品は、線形円筒形レンズを含む、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記光学部品は、横方向に湾曲した円筒形レンズを含む、請求項5に記載のシステム。
【請求項8】
前記光学部品は、ビーム整形部品を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
マルチコア光ファイバであって、
照射による光重合により屈折率が向上しうる透明ポリマーと、
前記光ファイバの長さに沿って延びる1つ以上のコアと、を含み、
それぞれの前記コアは前記透明ポリマーの光重合により形成され、それぞれの前記コアは前記透明ポリマーの照射されなかった領域を含むクラッドにより囲まれる、マルチコア光ファイバ。
【請求項10】
前記透明ポリマーは、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)を含む、請求項9に記載の光ファイバ。
【請求項11】
前記照射は、紫外線スペクトル範囲内の電磁放射を含む、請求項9に記載の光ファイバ。
【請求項12】
それぞれの前記コアは、前記透明ポリマーのプリフォームへの照射によって形成され、前記プリフォームは、前記光ファイバを形成するために延伸される、請求項9に記載の光ファイバ。
【請求項13】
それぞれの前記コアは、前記透明ポリマーのファイバへの照射によって形成される、請求項9に記載の光ファイバ。
【請求項14】
マルチコア光ファイバを製造する方法であって、
透明ポリマーの光重合を誘起する照射により屈折率が向上しうる透明ポリマーを提供することと、
前記透明ポリマーに光重合を誘起することができる放射線源を提供することと、
放射線を1つ以上の光学部品によって前記透明ポリマーの複数の細長い領域に向けることで前記複数の細長い領域において前記透明ポリマーの光重合を誘起し、光重合しなかった前記透明ポリマーの領域によりそれぞれの前記細長い領域が取り囲まれ、光重合後の前記透明ポリマーにより形成される光ファイバにおいて、前記細長い領域のそれぞれが前記光ファイバのコアとして機能し、前記細長い領域のそれぞれを取り囲む前記領域が前記コアのそれぞれのクラッドとして機能することと、
を含む、マルチコア光ファイバを製造する方法。
【請求項15】
前記透明ポリマーは、前記透明ポリマーのプリフォームの形態で提供される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記プリフォームを前記光ファイバの寸法に延伸することをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記1つ以上の光学部品は、複数の前記コアへの同時の照射を可能にするビーム整形部品を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記透明ポリマーは、前記透明ポリマーのファイバの形態で提供される、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記透明ポリマーの前記ファイバは、らせんコイルの形態で提供される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記放射線を向けることは、連続的に前記放射線を前記ファイバの一部分の前記複数の細長い領域に向け、前記ファイバを機械的に動かし、前記放射線を前記ファイバの他の一部分の前記複数の細長い領域に向けることを含む、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡に関する。より具体的には、本発明は、例えばマルチコアマイクロ内視鏡(multicore micro-endoscope)に組み込まれる、単一ポリマーから製造された光ファイバ(optical fibers produced from a single polymer)に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロ内視鏡(micro-endoscope)は、例えば生体または物体の本体内の微細構造を撮像する(image)ために利用されてもよい。マイクロ内視鏡には1つ以上の光ファイバ(optical fiber)が含まれてもよく、光ファイバの一端は、撮像される構造を収容する空間内に挿入されてもよい。各光ファイバの他端は、撮像される構造を見ることができる光学装置(optical device)に接続されてもよい。
【0003】
マルチコアマイクロ内視鏡(multicore micro-endoscope)は、典型的には、単一の共有クラッド(a single shared cladding)に埋め込まれた(embedded)光ファイバのコアの束(bundle)を含む。コアの屈折率(index of refraction)は、クラッド(cladding)の屈折率よりも十分に大きくなるように構成されるため、ファイバの一端に入る光は最小限の損失と最小限のファイバコア間のクロストーク(crosstalk)を伴って、他端に伝送(transmit)される。
【発明の概要】
【0004】
したがって、本発明の一実施形態によれば、マルチコア光ファイバ(multicore optical fiber)を製造するシステムであって、透明ポリマー(transparent polymer)の光重合(photopolymerization)を誘起(induce)するのに適したスペクトル範囲(spectral range)に含まれる電磁放射線源(source of electromagnetic radiation)と、1つ以上の光学部品(optical component)の配列(arrangement)であって、前記電磁放射線源により放出された(emitted)放射線を透明ポリマーの複数の細長い領域(elongated region)に同時に(concurrently)集束(focus)させて、前記透明ポリマーの前記細長い領域のみにおいて光重合を生じさせ、前記細長い領域の屈折率を向上させて、前記細長い領域が光重合した後に前記透明ポリマーで形成される前記光ファイバにおいて、前記細長い領域のそれぞれは前記光ファイバのコア(core of the optical fiber)として機能し、前記透明ポリマーの前記細長い領域を取り囲む領域(surround the elongated regions)はそれぞれの前記コアのクラッドとして機能するように構成される、1つ以上の光学部品の配列と、を含む、マルチコア光ファイバを製造するシステム(system for producing a multicore optical fiber)が提供される。
【0005】
さらに、本発明の一実施形態によれば、前記スペクトル範囲は紫外線(ultraviolet radiation)を含む。
【0006】
さらに、本発明の一実施形態によれば、前記電磁放射線源は、エキシマレーザ(excimer laser)を含む。
【0007】
さらに、本発明の一実施形態によれば、前記エキシマレーザは、100nm~400nmのスペクトル範囲内の紫外線を放出(emit)する。
【0008】
さらに、本発明の一実施形態によれば、前記光学部品は、円筒状(cylindrical)の構成で配置される。
【0009】
さらに、本発明の一実施形態によれば、前記光学部品は、線形円筒形レンズ(linear cylindrical lens)を含む。
【0010】
さらに、本発明の一実施形態によれば、前記光学部品は、横方向に湾曲した(laterally curved)円筒形レンズ(cylindrical lens)を含む。
【0011】
さらに、本発明の一実施形態によれば、前記光学部品は、ビーム整形部品(beam-shaping component)を含む。
【0012】
さらに、本発明の一実施形態によれば、マルチコア光ファイバであって、照射(irradiation)による光重合により屈折率が向上しうる透明ポリマーと、前記ファイバの長さに沿って延びる1つ以上のコアを含む光ファイバとを含み、それぞれの前記コアは前記透明ポリマーの光重合により形成され、それぞれの前記コアは前記透明ポリマーの照射されなかった領域を含むクラッドにより囲まれる、マルチコア光ファイバが提供される。
【0013】
さらに、本発明の一実施形態によれば、前記透明ポリマーは、ポリ(メチルメタクリレート)(poly(methyl methacrylate))(PMMA)を含む。
【0014】
さらに、本発明の一実施形態によれば、前記照射は、紫外線スペクトル範囲(ultraviolet spectral range)内の電磁放射(electromagnetic radiation)を含む。
【0015】
さらに、本発明の一実施形態によれば、それぞれの前記コアは、前記透明ポリマーのプリフォーム(pre-form)への照射によって形成され、前記プリフォームは、前記光ファイバを形成するために延伸(stretched)される。
【0016】
さらに、本発明の一実施形態によれば、それぞれの前記コアは、前記透明ポリマーのファイバへの照射によって形成される。
【0017】
さらに、本発明の一実施形態によれば、マルチコア光ファイバを製造する方法であって、透明ポリマーの光重合を誘起する照射により屈折率が向上しうる透明ポリマーを提供することと、前記透明ポリマーに光重合を誘起することができる放射線源を提供することと、放射線を1つ以上の光学部品によって前記透明ポリマーの複数の細長い領域に向けることで前記複数の細長い領域において前記透明ポリマーの光重合を誘起し、光重合しなかった前記透明ポリマーの領域によりそれぞれの前記細長い領域が取り囲まれ、光重合後の前記透明ポリマーにより形成される光ファイバにおいて、前記細長い領域のそれぞれが前記光ファイバのコアとして機能し、前記細長い領域のそれぞれを取り囲む前記領域が前記コアのそれぞれのクラッドとして機能することと、を含む、マルチコア光ファイバを製造する方法が提供される。
【0018】
さらに、本発明の一実施形態によれば、前記透明ポリマーは、前記透明ポリマーのプリフォームの形態で提供される。
【0019】
さらに、本発明の一実施形態によれば、前記方法は、前記プリフォームを前記光ファイバの寸法(dimensions)に延伸することを含む。
【0020】
さらに、本発明の一実施形態によれば、前記1つ以上の光学部品は、複数の前記コアへの同時の照射を可能にするビーム整形部品を含む。
【0021】
さらに、本発明の一実施形態によれば、前記透明ポリマーは、前記透明ポリマーのファイバの形態で提供される。
【0022】
さらに、本発明の一実施形態によれば、前記透明ポリマーの前記ファイバは、らせんコイル(spiral coil)の形態で提供される。
【0023】
さらに、本発明の一実施形態によれば、前記放射線を向けることは、連続的に前記放射線を前記ファイバの一部分の前記複数の細長い領域に向け、前記ファイバを機械的に動かし、前記放射線を前記ファイバの他の一部分の前記複数の細長い領域に向けることを含む。
【0024】
本発明をよりよく理解し、その実際の用途を理解するために、以下の図を提供し、以下で参照する。これらの図は、単なる例として提供されるものであり、本発明の範囲を限定するものではないことに留意されたい。同様の構成要素については、同様の参照番号が付与される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明のいくつかの実施形態による、マルチコアマイクロ内視鏡の断面を概略的に示す図である。
【
図2】透明ポリマーに照射して、
図1に示すマルチコアマイクロ内視鏡の単一コアを形成するシステムを概略的に示す図である。
【
図3】透明ポリマーに照射して、
図1に示すマルチコアマイクロ内視鏡の複数のコアを同時に形成するシステムの断面図を概略的に示す図である。
【
図4】
図3に示すシステムが照射する透明ポリマーのファイバの構成の一例を概略的に示す図である。
【
図5】本発明の一実施形態による、マルチコアマイクロ内視鏡を製造する方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下の詳細な説明では、本発明を完全に理解するために、多数の具体的な詳細が示されている。しかしながら、これらの具体的な詳細がなくても本発明を実施することができることは、当業者には理解されるであろう。その他の例では、周知の方法、手順、構成要素、モジュール、ユニットおよび/または回路については、本発明を不明瞭にしないように、詳細には説明していない。
【0027】
本発明の実施形態がこれらに限定されないが、例えば、「処理」、「コンピューティング」、「計算」、「決定」、「確立」、「解析」、及び「確認」などの用語を利用した議論は、コンピュータのレジスタ及び/またはメモリ内の物理(例えば、電子)量として表されるデータを、コンピュータのレジスタ及び/またはメモリ、或いは動作及び/またはプロセスを実行する命令を記憶し得る他の非一時的な情報記憶媒体(例えば、メモリ)内の物理量として同様に表される他のデータに操作及び/または変換するコンピュータ、コンピューティングプラットフォーム、コンピューティングシステムまたは他の電子コンピューティングデバイスの動作及び/またはプロセスを表すものであってもよい。本発明の実施形態は、これらに限定されないが、本明細書で使用される「複数」及び「複数の」という用語は、例えば、「多数」または「2つ以上」を含んでもよい。「複数」または「複数の」という用語は、本明細書全体を通して、2つ以上の構成要素、装置、要素、ユニット、及びパラメータ(components, devices, elements, units, parameters)などを説明するために使用されてもよい。明示的に述べられない限り、本明細書に記載された方法の実施形態は、特定の順序またはシーケンスに限定されない。更に、記載された方法の実施形態またはその素子のうちのいくつかは、一斉に、同じ時点で、もしくは同時に、発生または実行することができる。特に断らない限り、本明細書で使用される「または」という接続詞は、(記述された選択肢のいずれかまたはすべて)を含むように理解される。
【0028】
本発明のいくつかの実施形態によれば、マルチコアマイクロ内視鏡は、透明ポリマーの1つ以上の細長い領域に、細長い領域のみにおいて光重合を誘起するように構成される放射線を照射することによって形成される。前記の照射により、細長い領域の屈折率を、照射されなかったポリマーの残りの領域の屈折率よりも向上させることができる。したがって、それぞれの照射された細長い領域はファイバの光学的なコアとして機能してもよいのに対し、照射されなかったポリマーの領域はコアのクラッドとして機能する。
【0029】
例えば、透明ポリマーはポリメチルメタクリレート(PMMA)または他の適切な、可塑性と柔軟性を維持しながら屈折率が光重合工程により向上しうる熱可塑性素材(thermoplastic material)(例えば、熱硬化性素材とは対照的な)を含有していてもよい。通常、光重合工程のための照射のスペクトルは、紫外線スペクトルの範囲内にある。例えば、紫外線の放射線源はエキシマレーザ、または、例えば、100nm~400nmの間の波長を有するスペクトルの範囲、または他の適切なスペクトルの範囲の放射線を放出する、他の放射線源を含んでいてもよい。
【0030】
例えば、光重合後の屈折率のコントラストは0.01~0.04の範囲内にあってもよい。光重合は通常は照射の強度に非線形的(nonlinearly)に依存するため、透明ポリマーの光重合された領域と光重合されていない領域の屈折率の間のコントラスト(contrast between the indices of refraction)は漸進的(gradual)でなくそれよりも階段状(step-like)であってもよい。このコントラストの範囲はマルチコアマイクロ内視鏡の多くの用途に対して十分であってもよい。
【0031】
いくつかの場合では、単一コアを有するファイバは、プリフォーム(長さが光ファイバの長さよりもはるかに短く、横方向の寸法が光ファイバの横方向の寸法よりもはるかに大きい透明ポリマーの細長いブロック)に照射し、例えば、線形円筒形集束レンズ(linear cylindrical focusing lens)または他の集束光学機器(focusing optics)を介して、プリフォームの引き伸ばされる方向の寸法(elongated dimension)に平行な線に沿って、プリフォームに照射することによって形成されてもよい。前記照射の結果、細長い領域の屈折率は、ポリマーの照射されなかった残りの範囲の屈折率を超えるように向上してもよい。屈折率が向上した領域の形成後、プリフォームは延伸されて、光ファイバの所望の寸法になるように引き伸ばされ(be drawn to elongate)(狭められ(narrow))てもよい。引き伸ばされた後、屈折率が向上した細長い領域は、光ファイバのコアとして機能してもよい。透明ポリマーの照射されなかった残りの細長い領域は、光ファイバのクラッドとして機能してもよい。
【0032】
本発明のいくつかの実施形態では(例えば、すでにファイバの長さと直径で形成された)、らせん状にもしくは他の湾曲した形状に巻かれた(またはそうでなければ折り畳まれまたは曲げられた)透明ポリマーのファイバは、適切に設計された光学系により、その長さに沿って照射されて、ファイバの長さに沿ってコアを形成してもよい。例えば、照射光学機器(irradiation optics)の円筒形レンズは、湾曲したファイバと実質的に同様に(substantially identically)横方向に湾曲した形に曲げられていてもよい。したがって、湾曲された円筒形レンズはレンズとファイバの輪郭(contours)に従う湾曲した細長い領域に沿って照射を集束させてもよい。
【0033】
いくつかの場合では、クラッド材料の照射によって形成された複数の単一コア光ファイバ、または後述するように形成されたマルチコア光ファイバは、単一のマルチコアマイクロ内視鏡を構成するように、一体に束にされて、融着されてもよい。
【0034】
いくつかの実施形態では、マルチコアマイクロ内視鏡は透明ポリマーの複数の横方向に分離されている細長い領域への同時の照射により形成される。したがって、それぞれの照射された細長い領域は分離されたファイバの光学的コアとして機能してもよく、一方、ポリマーの照射されなかった領域はコアのクラッドとして機能する。いくつかの場合には、細長い領域は、ポリマーの横方向に平行な、互いが分離した線形の領域を含んでもよい。他の場合には、細長い領域は同様に形作られ横方向に分離した(部分的には平行な)湾曲された領域(例えば、平面らせん状、またはその他の形態で)を含んでもよい。
【0035】
透明ポリマーに照射するための光学系は、複数の細長い領域に同時に照射するように構成されてもよい。通常、光学系は、電磁放射線源、例えば、エキシマレーザまたは透明ポリマーの光重合を誘起する波長の放射線を出力する他の放射線源を含む。
【0036】
例えば、円筒形または他の構成のレンズ、または他の集束要素を含む、1つ以上の光学部品の配列は、透明ポリマーの細長い領域に放射線を集束させるように構成される。集束素子の構成は、透明ポリマーの形状と照射される細長い領域の意図される場所に従って選択されてもよい。したがって、放射線は、透明ポリマーの複数の細長い領域に同時に集束されてもよい。
【0037】
透明ポリマーの細長い領域が線状(linear)または直線状(straight)の場合、複数の細長い領域は、通常、互いに平行であり、互いに横方向にそれぞれ変位されており、例えば、細長い領域の長手方向に対して実質的に垂直な方向に変位している。透明ポリマーの細長い領域が湾曲している場合、湾曲した細長い領域は、通常、互いに平行であり、相互に横方向に変位する(例えば、ある方向での変位は、湾曲した細長い領域の局所的な接線方向に対して実質的に垂直である)。
【0038】
光学系は、複数の細長い領域に同時に照射線を集束させることができる光学部品の配列を含んでもよい。これらの部品は1つ以上の複数の放射線源(例えば、異なる非平行な軸に沿って配向されたレーザ)、1つ以上のビーム分割素子(beam-splitting elements)(例えば、単一ビームを複数の異なる方向へのビームに分割する)、および1つ以上のビーム整形素子(例えば、1つ以上の屈折または回折素子であり、例えば、1つのレンズを、レンズから異なる距離にある複数の焦点にビームを集束させるようにする)を含んでもよい。
【0039】
いくつかの実施形態では、照射される透明ポリマーは、プリフォームの形態であってもよい。プリフォームは、典型的には、透明ポリマーの細長いブロックの形態である。細長いブロックは、円形、長方形、または他の形状の断面を有してもよい。プリフォームの長手方向の寸法はプリフォームの長手方向の軸に平行で、典型的にはプリフォームから形成されるマルチコアマイクロ内視鏡の長さよりはるかに短い。同様に、プリフォームの横方向の寸法(例えば、実質的に長手方向軸に対して垂直である)は、マルチコアマイクロ内視鏡の対応する横方向の寸法に比較してはるかに大きい。
【0040】
透明ポリマーのプリフォームに複数の光ファイバのコアを形成するための光学系は、通常、光学系の円筒形軸に沿う異なる断面が互いに実質的に同一である円筒状の構成を有する。光学系の円筒形軸は通常はプリフォームの長手方向軸に平行である。光学系は放射線源から放出された放射線をプリフォームの複数の焦線に沿って集束させるように構成されている。したがって、光学系は、プリフォームの複数の平行線に沿って透明ポリマーの光重合を誘起してもよい。光重合により、透明ポリマーの光重合されなかった範囲の屈折率を超えるように、透明ポリマーの複数の平行な円筒状領域の屈折率を向上させることができる。
【0041】
透明ポリマーの光重合により、通常は、透明ポリマーの透明度は低下することに注意されたい。したがって、透明ポリマーの、長手方向の軸に沿っての照射(例えば、細長いプリフォームまたはファイバの長手方向の軸線に沿うように向けられた狭いレーザビームによる)は、均一的なコアを製造するのに実用的でないことがありうる。したがって、細長い領域の長手方向の軸に垂直な、透明ポリマーの横方向に(例えば、プリフォームまたはファイバの長手軸に垂直な方向に、例えば、円筒形の構成を有する、またはその他の光学機器を用いて)、照射による光重合を誘起することが有利である。
【0042】
光学系を介した照射による光ファイバコアの形成後、熱可塑性を維持しているプリフォームはその長手方向軸に沿って、マルチコアマイクロ内視鏡を形成するために延伸されてもよい。結果として、プリフォームの直径あるいは他の横方向の寸法は減少する。同様に、透明ポリマーの照射されたそれぞれの細長い領域の直径は、マルチコアマイクロ内視鏡への組み込まれる光ファイバとして適する直径まで減少してもよい。
【0043】
いくつかの場合では、放射線源、例えばレーザは、(例えば、その狭さまたは不均一性のため)円筒状に構成された光学系を均一に照明しないビームを形成することがありえる。このような場合、放射線源から射出されるビームは、円筒状の対称な光学系に入る前に、拡大(expanded)、平坦化(flattened)、またはその他の変更をされてもよい。
【0044】
いくつかの場合では、円筒状に構成された光学系は、単一のプリフォームの体積よりも、より大きな体積の透明ポリマーを照射するように構成されてもよい。このような場合、光学系を効率的に使用するために、複数のプリフォームは、照射体積内に(通常は円筒状に構成された光学系の光学軸に垂直な単一の平面に沿って)配置されてもよい。
【0045】
いくつかの場合では、マルチコアマイクロ内視鏡を形成するためのプリフォームは、円筒状に構成された光学系に対してプリフォームを段階的に動かすために構成されたステージに置かれてもよい。このようにして、例えば、単一の平面または軸に沿って、プリフォームの一部分に放射線を集束するように構成されたシステムは、プリフォームの体積全体にわたって光ファイバのコアを形成するために利用されてもよい。
【0046】
他の実施形態によれば、放射線は、ファイバの全長に沿って光重合を生じさせるために、ファイバの全長(そして短縮されたプリフォームではない)に適用されてもよい。この場合、ファイバはらせん状(単一平面の)に巻かれてもよく、または他の方法で限られた領域に収まるように曲げられてもよい。この実施形態では、光学系は円筒状の構成でなくともよい。例えば、光学系は単一の線状セグメント、あるいは半径、または弧に沿う複数の点に集束させるように構成されてもよい。ステージまたは他の機械的デバイスが、ファイバの長さに沿って連続する部分またはセグメントに照射を集束させることができるようにファイバを連続的に動かすように操作されてもよい。
【0047】
本発明のいくつかの実施形態によるマルチコアマイクロ内視鏡を形成するためのシステムは、他のマルチコアマイクロ内視鏡を形成するための他の従来技術よりも有利でありうる。例えば、典型的なマルチコアマイクロ内視鏡の形成の従来技術である方法は、クラッド素材で作られているプリフォーム構造を製造すること、およびプリフォームに貫通する穴を開けることを含みうる。次いで、前記穴は、コアを形成するためのポリマー素材で充填されうる。次いで、穴を充填されたプリフォームはプリフォームを伸長させるために引き伸ばされうる(be drawn)。複数の引き伸ばされたプリフォームは束にまとめられて、熱処理により、すべてのプリフォームを一つに融着されうる。融着されたプリフォームはそれからさらに目的の物理的な寸法に延伸されうる。このような従来技術の工程では、穴を開ける工程は、通常、正確に形作られたコアを製造するには十分に正確ではない。さらに、コアとクラッドは異なったポリマー素材で作られるため、この2種の素材の熱による融着は、通常、不完全である。これらの不正確さと不完全さが、最終的なマルチコアファイバにおいて、光の伝達の損失につながりうる。
【0048】
一方、本発明のいくつかの実施形態によれば、コアはクラッド素材の照射と光重合により形成されるので、コアとクラッドは効果的に接合されてもよい。ポリマー素材に照射してコアを形成するための光学系は、所望の形状、典型的には円筒状のコアを製造するのに十分な精度で放射線を集束させるように設計されてもよい。
【0049】
例えば、プリフォームの細長い領域に照射する場合、照射領域は、照射ビームの回折による広がりが無視できるのに十分に大きくてもよい。したがって、円筒状の構成を有する光学機器は、照射線を線形の細長い(例えば、円筒状の)領域に正確に集束させるように設計されてもよい。細長い領域に正確に照射して細長い領域の屈折率を向上させた後、プリフォームは延伸されて、照射領域がコアとして機能し、非照射領域が照射領域のクラッドとして機能する光ファイバに引き伸ばされてもよい。照射された細長い領域が正確に形成されたため、得られた光ファイバのコアも正確に形成され、クラッドに完全に結合されてもよい。したがって、本発明の実施形態に従って形成されたマルチコアマイクロ内視鏡における光損失は、従来技術によって形成されたマルチコアマイクロ内視鏡における損失よりも低くてもよい。
【0050】
図1は、本発明のいくつかの実施形態による、マルチコアマイクロ内視鏡の断面を概略的に示す図である。
【0051】
マルチコアマイクロ内視鏡10は、プラスチック製の可撓性透明ポリマーで作られた可撓性チューブ12を含む。前記透明ポリマーは、適切なスペクトル範囲の放射線の十分な強度の照射により、光重合が誘起され、前記透明ポリマーの照射された領域が屈折率を増加させるように選択される。例えば、適切な透明ポリマーは、PMMAまたは他のポリマーを含んでいてもよい。
【0052】
マルチコアマイクロ内視鏡は、複数の光ファイバコア14を含む。それぞれの光ファイバコア14は、マルチコアマイクロ内視鏡10の端面16の間の全長に沿って延びる。それぞれの光ファイバコア14は、可撓性チューブ12を形成する透明ポリマーの細長い部分の光重合によって形成される。光ファイバコア14は、可撓性チューブ12の断面全体にわたって、横方向の寸法(例えば長手方向の軸線18により表される長手方向と局所的に垂直)に分布する。可撓性チューブ12の光ファイバコア14の間の光重合していない領域は、マルチコアマイクロ内視鏡10の端面16の間で伝達される光の損失を最小限に抑えることを容易にする光ファイバクラッドとして機能する。
【0053】
マルチコアマイクロ内視鏡10が使用される場合、マルチコアマイクロ内視鏡10の近接可能な近位端は、1つ以上の適切な照明(illuminating)、拡大(magnifying)、または観察光学機器(viewing optics)に接続されてもよい。マルチコアマイクロ内視鏡10の遠位端は、開口部を介して、生体や機械、またはその他の対象物の中の、狭い領域、または他の手段では近接できない領域に挿入されてもよい。照明光は光ファイバコア14により、マルチコアマイクロ内視鏡10の遠位端において、他の手段では近接できない表面または対象物へと伝達(conduct)されてもよい。表面または対象物により反射されたまたは放出された光は、光ファイバコア14を経由して観察光学機器に伝達されてもよい。光ファイバコア14の配置は両方の端面16において同一であるため、マルチコアマイクロ内視鏡10は、マルチコアマイクロ内視鏡10の遠位端において観察される表面(例えば臓器または対象物の)の各部位により反射されたまたは放出された光を忠実に伝達してもよい。従って、マルチコアマイクロ内視鏡10の近位端の光ファイバコア14から出る光は、観察された表面を忠実に表現してもよい。
【0054】
図2は、
図1に示されるマルチコアマイクロ内視鏡の単一コアを形成するために透明ポリマーに照射をするためのシステムの概略図である。
【0055】
コア形成システム20は透明ポリマー22の単一の細長い領域の光重合を誘起するために構成される。例えば、透明ポリマー22は、光重合によって屈折率が向上可能な適切な可撓性の透明ポリマーで構成されるプリフォームまたはファイバを表してもよい。例えば、透明ポリマー22はPMMAまたは別の適切なポリマーを含んでいてもよい。透明ポリマー22の断面は図示されるように円形でもよく、四角形(rectangular)でもよく、または他の形状であってもよい。
【0056】
放射線源24は透明ポリマー22の光重合を誘起するスペクトル範囲に含まれる電磁放射のビームを生成するように構成される。例えば、光重合に紫外線スペクトルの範囲内の放射が必要である場合、放射線源24はエキシマレーザを含んでいてもよい。
【0057】
いくつかの場合では、放射線源24は放出された放射線のビーム28aの径を透明ポリマー22のプリフォームの全長にわたって同時に照射するのに十分な大きさに増強するためのビームエクスパンダ光学機器(beam-expander optics)を含んでいてもよい。他の場合では、例えば透明ポリマー22のファイバが照射される場合に、放出されたビーム28aの直径は、所定の長さの前記ファイバの部分に照射するのに十分であってもよい。
【0058】
いくつかの場合には、ビームエクスパンダ光学部品に加えて、またはその代わりに、放射線源24は、放出されたビーム28aの所与の断面での放出されたビーム28aの均一性を増加させるように構成された光学素子を含んでいてもよい。
【0059】
円筒形レンズ26は、放出されたビーム28aを透明ポリマー22の細長い領域30に沿って集束ビーム(focused beam)28bとして集束させるように構成される。円筒形レンズ26は単体レンズまたは複合レンズを含んでいてもよい。円筒形レンズ26の代わりに、またはそれに加えて、コア形成システム20の集束光学機器(focusing optics)は、1つ以上の反射(例えば1つ以上の円筒形ミラー)または回折性の光学部品を含んでもよい。
【0060】
細長い領域30における集束ビーム28bの強度は、透明ポリマー22の残り部分(remainder)を光重合させず、細長い領域30において光重合を誘起するのに十分であってもよい。したがって、集束ビーム28bの照射により、細長い領域30の屈折率を透明ポリマー22の残りの部分の屈折率よりも向上させてもよい。
【0061】
透明ポリマー22がプリフォームの形態であり、細長い領域30への照射が行われた後に、透明ポリマー22はその細長い方向に沿って、例えば、細長い領域30に平行に延伸されてもよく、適切な直径の光ファイバを形成してもよい。通常、引き伸ばされたあとに、引き伸ばされた透明ポリマー22はマルチコアマイクロ内視鏡10の構築に適切な長さに切り分けられてもよい。例えば、人体の内部のいくつかの部分を検査するのに適したマルチコアマイクロ内視鏡10の適切な長さはほぼ1mでもよい。他の用途には他の長さが適切であってもよい。
【0062】
一つの例では、透明ポリマー22のプリフォームはおよそ10cmの長さであってもよく、また約1cmの直径を有してもよい。コア形成システム20の照射後、プリフォームは延伸されて、直径約0.5mmの光ファイバを形成してもよい。この例では、目的とするファイバの直径を得るために、元の10cmの長さのプリフォームはおよそ40mに延伸される必要がある。従って、プリフォームの細長い領域30への照射は、それぞれ1mの長さの光ファイバの約40本の製造を可能にすることができる。
【0063】
いくつかの場合には(例えば、光学系が、特別なマルチコアマイクロ内視鏡10に必要な光ファイバコア14の全部を形成するために必要な細長い領域30の全部を同時に照射するように構成されていない場合)、コア形成システム20により形成される複数のファイバは、単一のマルチコアマイクロ内視鏡10を形成するために、束にされて、融着(例えば加熱によって)されてもよい。
【0064】
もし透明ポリマー22がファイバの形態である場合、コア形成システム20は透明ポリマー22の連続したセグメントに順次照射するための機構をさらに含んでもよい。例えば、コア形成システム20は、細長い領域30の1セグメントの照射の後に、透明ポリマー22を前進させて、細長い領域30の隣接するセグメントを照射するためのスプーリング機構(spooling mechanism)をさらに含んでもよい。ファイバの形態の透明ポリマー22の全長への照射の後に、ファイバはマルチコアマイクロ内視鏡10を形成するために、所定の長さに切断され、束にまとめられ、そして融着されてもよい。
【0065】
本発明のいくつかの実施形態によれば、システムは、透明ポリマーの平行な細長い領域に同時に照射するように構成されてもよい。
【0066】
図3は、透明ポリマーに照射して、
図1に示すマルチコアマイクロ内視鏡の複数のコアを同時に形成するシステムの断面図を概略的に示す図である。
【0067】
図示の例では、マルチコア形成システム40は、円筒形の構成(例えば
図2に示されているコア形成システム20に同様の)断面図として示されている。マルチコア形成システム40は透明ポリマー22の複数の細長い領域30に同時に照射するように構成されている。
【0068】
いくつかの場合には、透明ポリマー22は1つ以上のプリフォームの形態であってもよい。例えばマルチコア形成システム40が透明ポリマー22の複数のプリフォームを覆うのに十分に大きな範囲を照射するように構成されている場合(例えば横方向に互いに隣接して配置されている場合)、マルチコアマイクロ内視鏡10は、マルチコア形成システム40の光学範囲(optical field)に複数のプリフォームの配置を可能にするような構造(例えばホルダーあるいはプラットフォーム)を含んでもよい。
【0069】
マルチコア形成システム40は、透明ポリマー22(例えばPMMAまたは他のポリマー)の光重合を誘起しうるようなスペクトル範囲(例えば、紫外線スペクトル範囲または他のスペクトル範囲)内の電磁放射線のビームを生成するようにそれぞれが構成されている、1つ以上の放射線源24(例えばエキシマレーザまたは他の放射線源)を含む。例えば、2つまたはそれ以上の放射線源24は放出されたビーム28aを異なる角度(例えば、
図3の断面の横方向の平面の内部に)放出するように配向されていてもよい。放射線源24は代わりに、あるいはさらに、単一で放出されたビーム28aを異なる方向に向かう複数のビームに分割するビーム分割部品を含んでもよい。
【0070】
いくつかの場合において、放射線源24は、ビーム拡大光学系(beam-expander optics)、放出されたビーム28aの均一性を向上させる光学素子、またはその両方を含んでもよい。
【0071】
マルチコア形成システム40は、円筒形レンズ26(または任意の他のまたは追加の、反射または回折集束素子)が放出されたビーム28aを透明ポリマー22の中の複数の細長い領域30に集束することを可能にするための多焦点光学機器(multifocal optics)42を含む。例えば、多焦点光学機器42は上述のようなビーム分割部品を含んでもよい。
【0072】
多焦点光学機器42は、円筒形レンズ26が放射線を透明ポリマー22の複数の細長い領域30(例えば、マルチコア形成システム40の円筒状の構成における平行な焦線)に集束させることを可能にするような1つ以上の回折または屈折ビーム整形素子を含んでもよい。
【0073】
従って、複数の、照射され光重合した細長い領域30を有する透明ポリマー22のプリフォームが延伸されて光ファイバを形成する場合、結果として得られる光ファイバは複数の横方向に分割された光ファイバのコア(laterally separated fiber optic cores)を含んでもよい。上述のように、複数のそのようなマルチコア光ファイバは、マルチコアマイクロ内視鏡10を形成するように、束ねられ一緒に融着されてもよい。
【0074】
いくつかの場合では、マルチコア形成システム40と同様のシステムは、透明ポリマー22のファイバに照射するように構成されてもよい。
【0075】
図4は、
図3に示すシステムが照射する透明ポリマーのファイバの構成の一例を概略的に示す図である。
【0076】
図示の例では、ポリマーファイバ50は、らせんコイル状の構成に巻かれている。
【0077】
図示した構成の、ポリマーファイバ50の照射の一例では、マルチコア形成システム40などのシステムは、構成がもはや線形的な円筒状(linearly cylindrical)ではなくなるように変更されてもよい。
【0078】
例えば、湾曲した円筒形レンズが、円筒形レンズの光軸(平面)に対して垂直な平面内で横方向に湾曲していてもよい。図示されている例では、湾曲した円筒形レンズはポリマーファイバ50のらせん形状と同様の形状に形成されてもよい。したがって、湾曲した円筒レンズは、(例えば、適切に構成された多焦点光学機器42により変更された後の)照射線を、複数の湾曲した細長い領域に集束させてもよく、それぞれの湾曲した細長い領域はポリマーファイバ50の全長に沿って延びる。
【0079】
他の例では、例えば、照射光学機器が比較的簡単な構成に限られている場合、マルチコア形成システムは、同時に複数の半径の異なる円弧に照射するように設計されてもよい。ポリマーファイバ50は、ポリマーファイバ50を支持するように構成された表面を回転させ、横方向に並進させるように構成されたステージに取り付けられてもよい。ステージは、ポリマーファイバ50の様々なセクタを順次照射するように動作されてもよい。
【0080】
図5は、本発明の一実施形態による、マルチコアマイクロ内視鏡を製造する方法を示すフローチャートである。
【0081】
本明細書で参照される任意のフローチャートに関して、図示した方法をフローチャートのブロックによって表される個別の動作に分割することは、便宜及び明確性のためにだけ選択されたことを理解されたい。個別の動作への図示した方法の他への分割は、等価な結果をともなって可能である。このような個別の動作への図示した方法の他への分割は、図示した方法の他の実施形態を表すものであることを理解されたい。
【0082】
同様に、別段の指示がない限り、本明細書で参照される任意のフローチャートのブロックによって表される動作の図示した実行順序は、便宜及び明確性のためにだけ選択されたことを理解されたい。図示した方法の動作は、他の順序で、または同時に等価な結果をともなって実行されてもよい。このような図示した方法の動作の再度の順序付けは、図示した方法の他の実施形態を表すものとして理解されたい。
【0083】
マルチコアマイクロ内視鏡の製造方法100は、マルチコアマイクロ内視鏡10を製造するためのシステムのユーザまたはコンピュータ化されたコントローラによって実行されてもよい。このようなシステムは、コア形成システム20、マルチコア形成システム40、または他のシステムを含んでもよい。
【0084】
放射線源が提供され(ブロック110)、前記放射線源は、1つ以上の放射線源24であり、選択された透明ポリマー22(例えば、PMMAまたは他のポリマー)を光重合させるのに十分な強度を有する、スペクトル範囲内の電磁放射線(例えば、紫外線放射)を生成する。
【0085】
選択された透明ポリマーの適切なサイズの断片が、例えば、適切なサイズに設定され配置された保持構造内またはその上に置くことによって提供される(ブロック120)。前記断片は、所望の寸法の光ファイバを形成するために延伸および切断されうるプリフォームの形態で提供されてもよく、光ファイバの形態で提供されてもよい。
【0086】
放射線源によって放出された放射線を透明ポリマーの断片に集束させるかまたは他の方法で向けるための1つ以上の光学部品が提供される(ブロック130)。光学部品は、円筒状または他のレンズまたはミラー、屈折または回折ビーム整形素子(diffractive beam-shaping elements)、ビーム分割または配向素子、または他の光学部品のうちの1つ以上の組み合わせを含んでもよい。さらに、放射線源及び光学部品に対して透明ポリマーの断片を操作するために機械的位置決め部品(mechanical positioning components)が提供されてもよい。
【0087】
次いで、放射線源は、放射線源によって放出された放射線が、光学部品によって(及び、適切な場合には、機械部品によって)透明ポリマーの1つ以上の細長い領域に向けられるように操作されてもよい(ブロック140)。次いで、向けられた放射線は、細長い領域の光重合を誘起して、細長い領域の屈折率を向上させてもよい。それぞれの細長い領域を横方向に囲む透明ポリマーの領域を光重合させないことにより、非光重合領域の屈折率は、光重合された細長い領域の屈折率よりも低いままである。
【0088】
例えば、円筒状の構成にある光学部品は、放射線を細長い領域に向けてもよい。他の例では、機械的ステージは、透明ポリマーの連続した隣接領域を、放出された放射線が各連続した隣接領域に向けられる位置に順次移動させてもよい。
【0089】
照射後、透明ポリマーの断片は、照射された細長い領域が光ファイバコアとして機能する、1つ以上の光ファイバに形成されてもよい(ブロック150)。例えば、透明ポリマーの断片がプリフォームである場合、プリフォームは、その寸法(例えば、直径または他の横方向の寸法)が所望の光ファイバの寸法になるまで延伸されてもよい。延伸によって形成されたファイバは、特定の用途に適した長さに切断されてもよい。同様に、透明ポリマーの断片がファイバの形態である場合、ファイバは適切な長さに切断されてもよい。
【0090】
複数のそのような光ファイバは、マルチコアマイクロ内視鏡の部品を形成するように一体に束ねられて融着されてもよい。
【0091】
異なる実施形態が本明細書で開示される。特定の実施形態の特徴を他の実施形態の特徴と組み合わせてもよく、したがって、特定の実施形態は複数の実施形態の特徴の組み合わせであってもよい。本発明の実施形態の以上の説明は、例示及び説明の目的で提示されたものである。排他的であることも、本発明を開示された正確な形態に限定することも、意図されない。前記教示に照らして、多くの修正、変形、置換、変更、及び等価物が可能であると当業者に理解されよう。したがって、添付の特許請求の範囲は、本発明の真の精神の範囲内にあるようなすべてのそのような修正及び変更を包含することを意図していることを理解されたい。
【0092】
本発明の特定の特徴が本明細書に例示され、説明されているが、多くの修正、置換、変更、及び等価物が、当業者にはすぐに想到されるであろう。したがって、添付の特許請求の範囲は、本発明の真の精神の範囲内にあるようなすべてのそのような修正及び変更を包含することを意図していることを理解されたい。
【外国語明細書】