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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023059827
(43)【公開日】2023-04-27
(54)【発明の名称】感光性樹脂組成物及びめっき方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/027 20060101AFI20230420BHJP
   G03F 7/038 20060101ALI20230420BHJP
   H05K 3/28 20060101ALI20230420BHJP
   H05K 3/18 20060101ALI20230420BHJP
   C08F 220/06 20060101ALI20230420BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20230420BHJP
【FI】
G03F7/027 515
G03F7/038 501
H05K3/28 D
H05K3/18 D
C08F220/06
G03F7/20 501
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022145462
(22)【出願日】2022-09-13
(31)【優先権主張番号】P 2021169247
(32)【優先日】2021-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2022121632
(32)【優先日】2022-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000005980
【氏名又は名称】三菱製紙株式会社
(72)【発明者】
【氏名】中村 優子
(72)【発明者】
【氏名】入澤 宗利
【テーマコード(参考)】
2H197
2H225
4J100
5E314
5E343
【Fターム(参考)】
2H197CE01
2H197HA02
2H197HA03
2H197JA15
2H197JA22
2H197JA24
2H225AC33
2H225AC34
2H225AC54
2H225AC63
2H225AC80
2H225AD14
2H225AD24
2H225AM13P
2H225AM22P
2H225AM23P
2H225AM32P
2H225AN11P
2H225AN47P
2H225BA01P
2H225CA13
2H225CB02
2H225CC01
2H225CC13
4J100AB02Q
4J100AJ02P
4J100AL03R
4J100AL08R
4J100BC43R
4J100DA01
4J100DA29
4J100JA37
5E314AA27
5E314AA32
5E314BB06
5E314BB11
5E314BB12
5E314CC01
5E314EE01
5E314FF01
5E314GG11
5E314GG17
5E343AA02
5E343AA33
5E343BB22
5E343BB24
5E343BB28
5E343BB38
5E343BB40
5E343BB43
5E343BB44
5E343BB52
5E343BB71
5E343CC61
5E343DD33
5E343DD43
5E343ER18
5E343FF16
5E343GG08
(57)【要約】
【課題】新規な感光性樹脂組成物及び該感光性樹脂組成物を用いためっき方法を提供する。
【解決手段】(i)スチレン系単量体、(ii)メタクリル酸、及び(iii)その他のエチレン性不飽和基を有する単量体を少なくとも重合成分とするアルカリ可溶性樹脂であって、重合成分が、(i)スチレン系単量体、(ii)メタクリル酸、及び(iii)その他のエチレン性不飽和基を有する単量体の総量に対して、(i)スチレン誘導体を15~35質量%含有し、(ii)メタクリル酸を20~40質量%含有し、かつ質量平均分子量が45,000以下である(A)アルカリ可溶性樹脂、(B)光重合開始剤、(C)メタクリレート化合物、及び(D)エポキシ(メタ)アクリレートを含有する感光性樹脂組成物、及び該感光性樹脂組成物を用いためっき方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)スチレン系単量体、(ii)メタクリル酸、及び(iii)その他のエチレン性不飽和基を有する単量体を少なくとも重合成分とするアルカリ可溶性樹脂であって、重合成分が、(i)スチレン系単量体、(ii)メタクリル酸、及び(iii)その他のエチレン性不飽和基を有する単量体の総量に対して、(i)スチレン系単量体を15~35質量%含有し、(ii)メタクリル酸を20~40質量%含有し、かつ質量平均分子量が45,000以下である(A)アルカリ可溶性樹脂、(B)光重合開始剤、(C)メタクリレート化合物、及び(D)エポキシ(メタ)アクリレートを含有する感光性樹脂組成物。
【請求項2】
(D)エポキシ(メタ)アクリレートが、酸変性エポキシ(メタ)アクリレート及びリン酸変性エポキシ(メタ)アクリレートから選択された少なくとも1種を含むことを特徴とする、前記請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項3】
(D)エポキシ(メタ)アクリレートが、酸変性エポキシ(メタ)アクリレート及びリン酸変性エポキシ(メタ)アクリレートを含むことを特徴とする、前記請求項1又は2に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項4】
前記請求項1又は2に記載される感光性樹脂組成物を含む感光性樹脂層を基材上に形成する工程、パターン露光を実施して露光部を硬化させる工程、現像を実施して感光性樹脂層の非露光部分を除去して、硬化した感光性樹脂層を含むレジストパターンを形成する工程、及び感光性樹脂層の非露光部分を除去して露出した基材にめっきを施す工程をこの順に含むめっき方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光性樹脂組成物及び該感光性樹脂組成物を用いためっき方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器の小型化、軽量化に伴い、プリント配線板、メタルマスク等におけるパターンの微細化が進められている。そのため、プリント配線板の導体回路の作製又はメタルマスクの作製において、感光性樹脂組成物と電解めっきを利用した(セミ)アディティブ法による金属層の作製が行われている。
【0003】
例えば、プリント配線板におけるセミアディティブ法は、まず、ガラスエポキシ樹脂等の絶縁樹脂の表面に無電解銅めっきにより薄い銅層を形成し、次に該銅層表面に感光性樹脂組成物を含有する感光性樹脂層を形成し、次に露光、現像を行ってレジストパターンを形成し、次に電解めっきにより電解めっき層を厚く積層した後、レジストパターンを剥離し、剥離後に現れた無電解めっき層をエッチングする方法である(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、例えば、メタルマスクの作製方法として、基板上に所定の厚さの感光性樹脂層を形成する第1工程と、感光性樹脂層の上にメタルマスクの開口に合わせてパターン露光する第2工程と、現像して感光性樹脂層の非露光部分だけ除去してレジストパターンを作製し、基板を露出させる第3工程と、この第3工程によって得た基板の露出部分に電解めっきによりメタルマスク材層を形成する第4工程を行った後、残余の感光性樹脂層を除去する第5工程と、メタルマスク材層を基板から分離する第6工程を行う方法がある(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
これらの方法においては、狭ピッチのレジストパターンを形成し、その狭いスペース間に電解めっきを施し、電解めっき層又はメタルマスク材層となる金属層を厚く形成する。しかしながら、レジストパターンの幅が細くなるにつれて、現像によるレジストパターン形成及びめっきの工程で、感光性樹脂層の膨潤によるレジストパターンの蛇行と剥離が生じやすくなる。
【0006】
このような感光性樹脂層の膨潤による問題を解決すべく、現像液中での体積膨張率が小さく、膨張速度が低い感光性樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献3~8参照)。これらの技術では、感光性樹脂層の現像液への溶解性を低下させることによって、現像後に微細なラインやドットが蛇行や変形なく形成でき、かつレジストパターンの基板表面に対する密着性が良好となる。また、アルカリ可溶性樹脂及びモノマーの疎水性を調節し、露光後の感光性樹脂層の現像液による膨潤の抑制、及び露光後の感光性樹脂層の基材との密着力を高めることにより、解像性の向上も達成している。
【0007】
しかし、アルカリ可溶性樹脂又はモノマーの親水性を低下させた場合、感光性樹脂層の非露光部分が現像液に完全に溶解しにくくなり、現像後のレジストパターンにおける狭いスペース間に感光性樹脂層の残渣が発生しやすくなる問題、及び、前記した残渣が薄膜状に残存し、これがめっきの成長を阻害する問題が存在する。そのため、微細なラインやドットを有するレジストパターンを蛇行や変形なく形成でき、かつレジストパターンの基材表面への密着性が良好である特性と共に、感光性樹脂層の非露光部分が良好な現像性にて除去できる特性を満たすことができる感光性樹脂組成物及び該感光性樹脂組成物を用いためっき方法が望まれている。
【0008】
一方、特開2016-153835号公報(特許文献9)には、密着性、硬度及び薬品耐性を含む総合的な特性であるリワーク性に優れる硬化膜を得ることができる感光性組成物として、重合性単量体、光重合開始剤、リン酸エステル構造とエチレン性不飽和基とを有する化合物及び重合禁止剤を含有する感光性組成物が記載されている。しかし、上述したような微細なラインやドットを有するレジストパターンの形成においては、露光後の感光性樹脂層が現像液によって膨潤し、レジストパターンが蛇行したり変形したりする場合があり、更なる改善が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2004-101617号公報
【特許文献2】特開平4-166844号公報
【特許文献3】特開2007-298972号公報
【特許文献4】特開2014-134815号公報
【特許文献5】特許第5679080号公報
【特許文献6】特開2016-70978号公報
【特許文献7】国際公開第2018/159629号パンフレット
【特許文献8】特許第6750088号公報
【特許文献9】特開2016-153835号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の課題は、新規な感光性樹脂組成物及び該感光性樹脂組成物を用いためっき方法を提供することにある。
本発明の他の課題は、レジストパターンを形成する工程やめっき工程を効率よく行いうる感光性樹脂組成物及び該感光性樹脂組成物、例えば、レジストパターンを形成する工程やめっき工程において、下記(1),(2),(3)の少なくとも1つ(例えば、2つ以上、特に3つ)を実現しうる感光性樹脂組成物及び該感光性樹脂組成物を用いためっき方法を提供することである。
(1)微細なラインやドットを有するレジストパターンを蛇行や変形が生じることなく形成できる
(2)レジストパターンの基板表面に対する密着性が良好である
(3)感光性樹脂層の非露光部分が良好な現像性にて基板上から除去できる
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために鋭意検討した結果、下記手段を見出した。
【0012】
<1>(i)スチレン系単量体(スチレン誘導体)、(ii)メタクリル酸、及び(iii)その他のエチレン性不飽和基を有する単量体を少なくとも重合成分(単量体成分)とするアルカリ可溶性樹脂であって、重合成分(単量体成分)が、(i)スチレン系単量体(スチレン誘導体)、(ii)メタクリル酸、及び(iii)その他のエチレン性不飽和基を有する単量体の総量に対して、(i)スチレン系単量体(スチレン誘導体)を15~35質量%含有し、(ii)メタクリル酸を20~40質量%含有し、かつ質量平均分子量が45,000以下である(A)アルカリ可溶性樹脂、(B)光重合開始剤、(C)メタクリレート化合物、及び(D)エポキシ(メタ)アクリレート(例えば、少なくとも酸変性エポキシ(メタ)アクリレート等)を含有する感光性樹脂組成物。
<2>(D)エポキシ(メタ)アクリレートが、酸変性エポキシ(メタ)アクリレート及びリン酸変性エポキシ(メタ)アクリレートから選択された少なくとも1種を含むことを特徴とする、上記<1>記載の感光性樹脂組成物。
<3>
(D)エポキシ(メタ)アクリレートが、酸変性エポキシ(メタ)アクリレート及びリン酸変性エポキシ(メタ)アクリレートを含むことを特徴とする、上記<1>又は<2>に記載の感光性樹脂組成物。
<4>上記<1>又は<2>(又は<3>)に記載される感光性樹脂組成物を含む感光性樹脂層を基材上に形成する工程、パターン露光を実施して露光部を硬化させる工程、現像を実施して感光性樹脂層の非露光部分を除去して、硬化した感光性樹脂層を含むレジストパターンを形成する工程、及び感光性樹脂層の非露光部分を除去して露出した基材にめっきを施す工程をこの順に含むめっき方法。
【発明の効果】
【0013】
本発明によって、レジストパターンを形成する工程やめっき工程において、微細なラインやドットを有するレジストパターンを蛇行や変形が生じることなく形成でき、該レジストパターンの基板表面に対する密着性が良好であり、かつ感光性樹脂層の非露光部分が良好な現像性にて基板上から除去できる感光性樹脂組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の感光性樹脂組成物及びめっき方法について詳細に説明する。明細書内において、下記のように略記する場合がある。
(A):(A)アルカリ可溶性樹脂
(B):(B)光重合開始剤
(C):(C)メタクリレート化合物
(D):(D)エポキシ(メタ)アクリレート[例えば、酸変性エポキシ(メタ)アクリレート、リン酸変性エポキシ(メタ)アクリレート等]
【0015】
本発明の感光性樹脂組成物は、詳細には、(A)アルカリ可溶性樹脂、(B)光重合開始剤、(C)メタクリレート化合物、及び(D)エポキシ(メタ)アクリレート[例えば、酸変性エポキシ(メタ)アクリレート]を含有する感光性樹脂組成物であって、該(A)アルカリ可溶性樹脂が(i)スチレン系単量体(以下、「スチレン誘導体」等ということがある)、(ii)メタクリル酸、及び(iii)その他のエチレン性不飽和基を有する単量体からなる共重合体[(i)スチレン誘導体、(ii)メタクリル酸、及び(iii)その他のエチレン性不飽和基を有する単量体を少なくとも重合成分(単量体成分)とするアルカリ可溶性樹脂(共重合体)]であり、該(A)アルカリ可溶性樹脂(重合成分)における(i)スチレン誘導体の含有量(重合成分における含有量)が、前記した(i)スチレン誘導体、(ii)メタクリル酸、及び(iii)その他のエチレン性不飽和基を有する単量体の総量に対して15~35質量%であり、該(A)アルカリ可溶性樹脂(重合成分)における(ii)メタクリル酸の含有量(重合成分における含有量)が、前記した総量に対して20~40質量%であり、かつ該(A)アルカリ可溶性樹脂の質量平均分子量が45,000以下である。
【0016】
本発明に係わる(A)アルカリ可溶性樹脂において、「アルカリ可溶性」とは、(A)アルカリ可溶性樹脂を皮膜にして、1質量%の炭酸ナトリウム水溶液に25℃で10分間浸漬したとき、該皮膜の膜厚が0.01μm以上溶解するものを言う。具体的には、(A)アルカリ可溶性樹脂は酸性基を含む樹脂であり、例えば、酸価が40mgKOH/g以上である樹脂が挙げられる。酸性基としては、具体的にはカルボキシ基、フェノール性水酸基、スルホン酸基、リン酸基が挙げられる。
【0017】
本発明において(A)アルカリ可溶性樹脂(又は共重合成分又は重合成分又は単量体成分、同様の表現において同じ)は、(i)スチレン系単量体(スチレン誘導体)を共重合成分(又は重合成分又は単量体成分、同様の表現において同じ)として含有する。スチレン誘導体として具体的には、スチレン、置換スチレン[例えば、α-置換スチレン(例えば、α-メチルスチレン等のα-アルキルスチレン)、アルキルスチレン(例えば、4-メチルスチレン、3-メチルスチレン、2-メチルスチレン、4-エチルスチレン、3-エチルスチレン、2-エチルスチレン等)、アルコキシスチレン(例えば、4-メトキシスチレン、3-メトキシスチレン、2-メトキシスチレン、4-エトキシスチレン、3-エトキシスチレン、2-エトキシスチレン等)、ハロスチレン(例えば、4-クロロスチレン、3-クロロスチレン、2-クロロスチレン、4-ブロモスチレン、3-ブロモスチレン、2-ブロモスチレン等)]等が挙げられる。
スチレン誘導体は、単独で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
好ましいスチレン誘導体には、スチレンが含まれる。そのため、スチレン誘導体(重合成分、アルカリ可溶成分)は、少なくともスチレンを含んでいてもよい。
(A)アルカリ可溶性樹脂の共重合成分として(i)スチレン誘導体を含むことによって、硬化後の感光性樹脂組成物が現像液によって膨潤しにくくなり、微細なレジストパターンを形成しやすくなる。
【0018】
(A)アルカリ可溶性樹脂は、(ii)メタクリル酸を共重合成分として含有する。(A)アルカリ可溶性樹脂の共重合成分として酸性基を有する(ii)メタクリル酸を含有することによって、非露光部分の現像時のアルカリ現像液への溶解性が良好になり、かつ硬化後の感光性樹脂組成物によるレジストパターンがアルカリ現像液によって膨潤しにくくなる。
【0019】
(A)アルカリ可溶性樹脂は、(iii)その他のエチレン性不飽和基を有する単量体を共重合成分として含有する。(iii)その他のエチレン性不飽和基を有する単量体としては、(メタ)アクリレート及び該(メタ)アクリレート以外の共重合可能なエチレン性不飽和基を有する単量体が挙げられ、それら1種を単独で用いても良いし、2種類以上を組み合わせて用いても良い。
【0020】
(iii)その他のエチレン性不飽和基を有する単量体は、エチレン性不飽和基を1以上有する単量体であればよいが、エチレン性不飽和基を1つ有する単量体であるのが好ましい。そのため、(iii)その他のエチレン性不飽和基を有する単量体は、エチレン性不飽和基を1以上有する単量体を少なくとも含む場合が多い。
【0021】
上記(メタ)アクリレートとしては、例えば、アルキル(メタ)アクリレート[例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート等のC1-30アルキル(メタ)アクリレート]、シクロアルキル(メタ)アクリレート[例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等のC4-10シクロアルキル(メタ)アクリレート]、アラルキル(メタ)アクリレート[例えば、ベンジル(メタ)アクリレート等]等が挙げられる。
(メタ)アクリレートは、脂肪族(メタ)アクリレート[上記例示のアルキル(メタ)アクリレート、シクロアルキル(メタ)アクリレート、アラルキル(メタ)アクリレート等]又は芳香族(メタ)アクリレートであってもよい。
【0022】
(メタ)アクリレートには、置換基又は官能基(ヒドロキシ基、エポキシ基、ハロゲン原子、アミノ基等)を有するもの等も含まれる。このような(メタ)アクリレートとしては、ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート[例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート]、環状エーテル基含有(メタ)アクリレート[例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等]、アミノ基(置換アミノ基を含む)含有(メタ)アクリレート[例えば、2-(ジメチルアミノ)エチル(メタ)アクリレート、2-(ジエチルアミノ)エチル(メタ)アクリレート等のN-置換アミノアルキル(メタ)アクリレート]、ハロゲン原子含有(メタ)アクリレート[例えば、2,2,2-トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3-テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート等のハロアルキル(メタ)アクリレート]等が挙げられる。なかでも、脂肪族(メタ)アクリレート[例えば、アルキル(メタ)アクリレート]等が好ましく、メチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレートがより好ましい。
【0023】
そのため、(iii)その他のエチレン性不飽和基を有する単量体[(メタ)アクリレート]は、少なくとも脂肪族(メタ)アクリレート[例えば、メチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート(例えば、C1-20アルキル(メタ)アクリレート)]を含んでいてもよい。
【0024】
上記(メタ)アクリレート以外の共重合可能なエチレン性不飽和基を有する単量体としては、例えば、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、酢酸ビニル、ビニル-n-ブチルエーテル等が挙げられる。
(iii)その他のエチレン性不飽和基を有する単量体は、単独で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0025】
(A)アルカリ可溶性樹脂の酸価は、現像速度、レジスト剥離速度、露光感度、感光性樹脂層の柔らかさ、感光性樹脂層と基材の密着性などに影響する。(A)アルカリ可溶性樹脂の酸価は、130~260mgKOH/gであることが好ましく、140~250mgKOH/gであることがより好ましい。酸価が低すぎる(例えば、130mgKOH/g未満である)と、現像時間が長くなる可能性があり、一方、高すぎる(例えば、260mgKOH/gを超える)と、微細なラインやドットに膨潤による蛇行と剥離が生じる可能性があるが、上記のような酸価であれば、より一層これらを効率よく抑えやすい。酸価はJIS K2501:2003に準拠して測定した値である。
【0026】
本発明の感光性樹脂組成物が含有する(A)アルカリ可溶性樹脂は、(i)スチレン誘導体、(ii)メタクリル酸、及び(iii)その他のエチレン性不飽和基を有する単量体の共重合体であって、(i)スチレン誘導体、(ii)メタクリル酸、及び(iii)その他のエチレン性不飽和基を有する単量体の総量に対して、(i)スチレン誘導体を15~35質量%含有し、(ii)メタクリル酸を20~40質量%含有し、かつ質量平均分子量が45,000以下であることによって、レジストパターンを形成する工程等において、例えば、下記の少なくとも1つ(例えば、2つ以上、特に3つ)のような効果を効率よく達成しうる。
・現像時に微細なラインやドットのレジストパターンが蛇行や変形なく形成できる
・レジストパターンの基板表面に対する密着性が良好であるという特性を保持しうる
・感光性樹脂層の非露光部分が現像液で完全に除去され、めっき形成を阻害しない
【0027】
(A)アルカリ可溶性樹脂における(i)スチレン誘導体の含有量は、(A)アルカリ可溶性樹脂の共重合成分である(i)スチレン誘導体、(ii)メタクリル酸、及び(iii)その他のエチレン性不飽和基を有する単量体の総量に対して、15~35質量%であり、より好ましくは15~30質量%である。(i)スチレン誘導体の含有量が少なすぎる15質量%よりも小さいと、硬化した感光性樹脂層が現像液で膨潤しやすくなり、微細なラインやドットに蛇行や変形が生じる場合がある。一方で、(i)スチレン誘導体の含有量が35質量%よりも大きいと、感光性樹脂層の非露光部分が現像液で完全に除去されず、めっき形成を阻害する場合がある。
【0028】
(A)アルカリ可溶性樹脂における(ii)メタクリル酸の含有量は、(A)アルカリ可溶性樹脂の共重合成分(i)スチレン誘導体、(ii)メタクリル酸、及び(iii)その他のエチレン性不飽和基を有する単量体の総量に対して、20~40質量%であることが好ましく、20~30質量%である。含有量が20質量%よりも小さいと、感光性樹脂層の非露光部分の現像液に対する溶解性が悪化し、現像によるレジストパターン形成が進行しなくなる場合がある。一方で、(ii)メタクリル酸の含有量が40質量%よりも大きいと、硬化した感光性樹脂層が現像液で膨潤しやすくなり、微細なラインやドットに蛇行や変形が生じる場合がある。
【0029】
(A)アルカリ可溶性樹脂における(iii)その他のエチレン性不飽和基を有する単量体の含有量は、(A)アルカリ可溶性樹脂の共重合成分(i)スチレン誘導体、(ii)メタクリル酸、及び(iii)その他のエチレン性不飽和基を有する単量体の総量に対して、例えば、25~65質量%(例えば、30~62質量%、32~60質量%、34~58質量%)であってもよい。
【0030】
(iii)その他のエチレン性不飽和基を有する単量体が、(メタ)アクリレートを含む場合、(iii)その他のエチレン性不飽和基を有する単量体全体に占める(メタ)アクリレートの割合は、例えば、70質量%以上、好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上(例えば、95質量%以上)であってもよく、(実質的)に100質量%であってもよい。
【0031】
(iii)その他のエチレン性不飽和基を有する単量体が、アルキル(メタ)アクリレートを含む場合、(iii)その他のエチレン性不飽和基を有する単量体全体に占めるアルキル(メタ)アクリレートの割合は、例えば、20質量%以上(例えば、30質量%以上、40質量%以上)、好ましくは50質量%以上(例えば、60質量%以上、70質量%以上)、さらに好ましくは80質量%以上(例えば、90質量%以上、95質量%以上)であってもよく、(実質的)に100質量%であってもよい。
【0032】
(iii)その他のエチレン性不飽和基を有する単量体が、アルキル(メタ)アクリレートを含む場合、(メタ)アクリレート全体に占めるアルキル(メタ)アクリレートの割合は、例えば、50質量%以上(例えば、60質量%以上)、好ましくは80質量%以上(例えば、90質量%以上)、さらに好ましくは93質量%以上(例えば、95質量%以上)であってもよく、(実質的)に100質量%であってもよい。
【0033】
なお、(A)アルカリ可溶性樹脂の重合成分全体に占める、(i)スチレン誘導体、(ii)メタクリル酸、及び(iii)その他のエチレン性不飽和基を有する単量体の総量の割合は、例えば、70質量%以上、好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上(例えば、95質量%以上)であってもよく、(実質的)に100質量%であってもよい。
【0034】
また、本発明の感光性樹脂組成物が含有する(A)アルカリ可溶性樹脂の質量平均分子量は、45,000以下であり、14,000~40,000であることがより好ましい。(A)アルカリ可溶性樹脂の質量平均分子量が14,000未満では、硬化前の感光性樹脂組成物をフィルム状態に形成することが困難になる場合がある。一方、(A)アルカリ可溶性樹脂の質量平均分子量が45,000を超えると、現像液に対する溶解性が悪化し、非露光部分を基板上から完全に除去するために必要な時間が長くなり、硬化した感光性樹脂組成物によるレジストパターンと現像液の接触時間が長くなるため、レジストパターンが膨潤して変形したり、基板上から剥離することによって微細なレジストパターンが形成しにくくなったりする場合がある。
【0035】
本発明の感光性樹脂組成物が含有する(B)光重合開始剤としては、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)ブタン-1-オン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン等の芳香族ケトン;2-エチルアントラキノン、フェナントレンキノン、2-tert-ブチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2-ベンズアントラキノン、2,3-ベンズアントラキノン、2-フェニルアントラキノン、2,3-ジフェニルアントラキノン、1-クロロアントラキノン、2-メチルアントラキノン、1,4-ナフトキノン、9,10-フェナントラキノン、2-メチル-1,4-ナフトキノン、2,3-ジメチルアントラキノン等のキノン類;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル化合物;ベンゾイン、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等のベンゾイン化合物;ベンジルジメチルケタール、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)ベンジル]フェニル}-2-メチルプロパン-1-オン、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン等のアルキルフェノン類;2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド等のアシルフォスフィンオキサイド類;1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)フェニル-,2-(o-ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(o-アセチルオキシム)等のオキシムエステル類;2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体、2-(o-クロロフェニル)-4,5-ビス(メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2-(o-フルオロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体、2-(o-メトキシフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体、2-(p-メトキシフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体等の2,4,5-トリアリールイミダゾール二量体;9-フェニルアクリジン、1,7-ビス(9,9′-アクリジニル)ヘプタン等のアクリジン誘導体;N-フェニルグリシン、N-フェニルグリシン誘導体;クマリン系化合物;ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4-フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4′-メチルジフェニルサルファイド、3,3′,4,4′-テトラ(t-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4,4′-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4′-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物等のベンゾフェノン系化合物が挙げられる。上記2,4,5-トリアリールイミダゾール二量体における2つの2,4,5-トリアリールイミダゾールのアリール基の置換基は、同一であって対称な化合物を与えてもよいし、相違して非対称な化合物を与えてもよい。また、ジエチルチオキサントンとジメチルアミノ安息香酸の組み合わせのように、チオキサントン系化合物と3級アミン化合物とを組み合わせてもよい。これらは単独で、又は2種類以上を組み合わせて使用される。なかでも、2,4,5-トリアリールイミダゾール二量体が、高感度であり好適に使用でき、該2,4,5-トリアリールイミダゾール二量体の光重合開始剤全体に占める割合は60質量%以上であることが好ましく、より好ましくは90質量%以上であり、さらに2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体が有用に使用できる。
【0036】
本発明の感光性樹脂組成物が含有する(C)メタクリレート化合物は、1つ以上のメタクリロイル基を有する化合物であり、公知のポリエステルメタクリレート、ポリエーテルメタクリレート、ウレタンメタクリレート、カーボネートメタクリレート、エポキシメタクリレートなどが挙げられる。
(C)メタクリレート化合物は、単独で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0037】
なお、(C)メタクリレート化合物は、後述の(D)エポキシ(メタ)アクリレートに該当してもよく、しなくてもよい。例えば、(C)メタクリレート化合物は、エポキシメタクリレート以外のメタクリレート化合物であってもよく、特定のエポキシメタクリレート(例えば、酸変性エポキシ(メタ)アクリレート及びリン酸変性エポキシ(メタ)アクリレート)以外のメタクリレート化合物であってもよい。
【0038】
また、感光性樹脂組成物が、エポキシメタクリレートを含む場合、当該エポキシメタアクリレートは、(C)メタクリレート化合物及び/又は(D)エポキシ(メタ)アクリレートとして、含まれていてもよい。
また、(C)成分としてのエポキシメタクリレートを含む場合、当該エポキシメタクリレートは、(D)成分とは異なるものであってもよい。
【0039】
(C)メタクリレート化合物で、1つのメタクリロイル基を有する化合物としては、例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n-プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n-ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、t-ブチルメタクリレート、n-ヘキシルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、イソミリスチルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコールメタクリレート(オキシエチレン基が1以上)、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、2-(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート、2-(ジエチルアミノ)エチルメタクリレート、2,2,2-トリフルオロエチルメタクリレート、2,2,3,3-テトラフルオロプロピルメタクリレート、グリセリンモノメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(オキシエチレン基数が2~30)、フェノキシポリエチレングリコールメタクリレート(オキシエチレン基数が2~30)、メトキシポリプロピレングリコールメタクリレート(オキシプロピレン基数が2~30)、フェノキシポリプロピレングリコールメタクリレート(オキシプロピレン基数が2~30)、2-メタクリロイルオキシエチルサクシネート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルメタクリレート、エトキシ化-o-フェニルフェノールメタクリレート等が挙げられる。
【0040】
(C)メタクリレート化合物で、2つのメタクリロイル基を有する化合物としては、例えば、多価のアルコールに2つのメタクリル酸を反応させて得られる化合物が挙げられる。また、例えば、(ポリ)アルカンジオールジメタクリレート{例えば、(ポリ)C2-4アルカンジオールジメタクリレート[例えば、エチレングリコールジメタクリレート、エチレンオキサイド変性ジメタクリレート(オキシエチレン基数が2~50)、プロピレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート(オキシプロピレン基数が2~30)、ポリテトラメチレングリコールジメタクリレート]、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、3-メチル-1,5-ペンタンジオールジメタクリレート、1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート、1,10-デカンジオールジメタクリレート、1,9-ノナンジオールジメタクリレート}、ジメチロールトリシクロデカンジメタクリレート、芳香族ジオール又はそのアルキレンオキサイド付加物のジメタクリレート[例えば、エチレンオキサイド変性ビスフェノールA型ジメタクリレート(オキシエチレン基数が1~30)、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物のジメタクリレート(オキシプロピレン基数が2~40)、ビスフェノールAのエチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド付加物のジメタクリレート(オキシエチレン基及びオキシプロピレン基の和が2~40)等]、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジメタクリレート、9,9-ビス[4-(2-メタクリロイルオキシエステル)フェニル]フルオレイン、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート等が挙げられる。
【0041】
(C)メタクリレート化合物で、3つ以上のメタクリロイル基を有する化合物としては、例えば、多価のアルコールにメタクリル酸を反応させて得られる化合物が挙げられる。また、例えば、(ポリ)アルカンポリオール又はそのアルキレンオキサイド付加物のポリメタクリレート[例えば、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールトリメタクリレート、グリセリントリメタクリレート、エチレンオキサイド変性グリセリントリメタクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラメタクリレート等の(ポリ)C3-10アルカントリ乃至ヘキサオール又はそのアルキレンオキサイド付加物のトリ乃至デカメタクリレート]、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルトリメタクリレート、エチレンオキサイド変性イソシアヌル酸トリメタクリレート、ε-カプロラクトン変性トリス-(2-メタクリロキシエチル)イソシアヌレート等が挙げられる。これらの化合物は単独でまたは2種類以上を組み合わせて用いられる。
【0042】
本発明の感光性樹脂組成物が含有する(C)メタクリレート化合物のうち、2つ以上のメタクリロイル基を有する化合物が好ましく、なかでも、3つ以上のメタクリロイル基を有したメタクリレート(3つ以上のメタクリロイル基を有する化合物)、及び、2つのメタクリロイル基を有する化合物[例えば、(ポリ)C2-4アルカンジオールジメタクリレート(エチレンオキサイド変性ジメタクリレート等)、芳香族ジオール又はそのアルキレンオキサイド付加物のジメタクリレート(例えば、エチレンオキサイド変性ビスフェノールA型ジメタクリレートまたはビスフェノールAのエチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド付加物のジメタクリレート)のいずれか1種類または2種類以上]の組み合わせを用いることは、硬化レジストパターンの現像液に対する膨潤しにくさ及び基材に対する密着性を高めるという点で好ましい。なかでも、エチレンオキサイド変性ビスフェノールA型ジメタクリレート等は、感光性樹脂層の非露光部分の現像液に対する溶解速度が高い一方で、微細なレジストパターンが膨潤しにくいため特に好ましい。
【0043】
本発明の感光性樹脂組成物は、アクリレートモノマーを含有しても良い。アクリレートモノマーとは、上記(C)メタクリレート化合物のメタクリロイル基をアクリロイル基に置き換えた化合物である。
【0044】
なお、アクリレートモノマーは、後述の(D)エポキシ(メタ)アクリレートに該当してもよく、しなくてもよい。例えば、アクリレートモノマーは、エポキシアクリレート以外のアクリレートモノマーであってもよく、特定のエポキシアクリレート(例えば、酸変性エポキシ(メタ)アクリレート及びリン酸変性エポキシ(メタ)アクリレート)以外のアクリレートモノマーであってもよい。本発明においては、アクリレートモノマーの含有量は、(C)メタクリレート化合物全量に対して、0~10質量%であることが好ましい。アクリレートモノマーの含有量が10質量%超の場合、現像の際に、硬化した感光性樹脂層が現像液で膨潤しやすくなるために、微細なラインやドットに蛇行と剥離が生じる場合がある。
【0045】
本発明の感光性樹脂組成物が含有する(D)エポキシ(メタ)アクリレートとしては、例えば、酸変性エポキシ(メタ)アクリレート、リン酸変性エポキシ(メタ)アクリレート、これらに該当しないエポキシ(メタ)アクリレート{例えば、エポキシ化合物と不飽和カルボン酸[(メタ)アクリル酸等]との反応物}等が挙げられる。
【0046】
なお、(D)エポキシ(メタ)アクリレートは、単官能性であってもよいが、通常、多官能性であってもよい。
【0047】
(D)エポキシ(メタ)アクリレートは、単独で又は2種以上組み合わせ使用してもよい。
【0048】
なかでも、(D)エポキシ(メタ)アクリレートとして、酸変性エポキシ(メタ)アクリレート[(D)酸変性エポキシ(メタ)アクリレートということがある]及びリン酸変性エポキシ(メタ)アクリレート[(D′)リン酸変性エポキシ(メタ)アクリレートということがある]から選択された少なくとも1種が好ましく、特に、少なくとも(D)酸変性エポキシ(メタ)アクリレートを使用するのが好ましく、(D)酸変性エポキシ(メタ)アクリレート及び(D′)リン酸変性エポキシ(メタ)アクリレートを組み合わせて使用するのも好ましい。
【0049】
酸変性エポキシ(メタ)アクリレートとしては、例えば、エポキシ(メタ)アクリレート{例えば、エポキシ化合物と不飽和カルボン酸[(メタ)アクリル酸等]との反応物}の酸(例えば、酸無水物)変性物等が挙げられる。具体的なものとしては、例えば、エポキシ化合物に(メタ)アクリル酸に代表される不飽和カルボン酸を反応させ不飽和エポキシエステル樹脂を得たのち、さらに得られた不飽和エポキシエステル樹脂と酸無水物とを反応させることで得られる酸変性不飽和エポキシエステル樹脂を使用できる。
【0050】
該エポキシ化合物としては、芳香族(芳香族骨格を有する)エポキシ化合物(又はエポキシ樹脂、例えば、フェノールノボラック型、クレゾールノボラック型、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、トリスフェノール型、テトラフェノール型、フェノール-キシリレン型、グリシジルエーテル型等のエポキシ樹脂等)、及びそれらのハロゲン化エポキシ樹脂が挙げられる。
【0051】
該酸無水物としては無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、無水メチルエンドメチレンテトラヒドロフタル酸、無水クロレンド酸、無水メチルテトラヒドロフタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸などが使用できる。
【0052】
酸変性不飽和エポキシエステル樹脂を得るにあたって、必要に応じて、触媒、溶剤、及び重合阻害剤等を用いてもよい。
【0053】
(D)酸変性エポキシ(メタ)アクリレートの酸価(JIS-K0070:1992)は、現像速度、感光性樹脂層の柔らかさ、剥離速度等に影響する。本発明において、(D)酸変性エポキシ(メタ)アクリレートの酸価は、40~120mgKOH/gであることが好ましい。この酸価が40mgKOH/g未満では、現像時間や剥離時間が長くなる場合があり、一方、酸価が120mgKOH/gを超えると、硬化した感光性樹脂層が現像液で膨潤しやすくなるために、微細なラインやドットに蛇行と剥離が生じる場合があるが、上記のような酸価であれば、より一層これらを効率よく抑えやすい。
【0054】
また、(D)エポキシ(メタ)アクリレート[例えば、(D)酸変性エポキシ(メタ)アクリレート]の質量平均分子量は、3,000~20,000であることが好ましい。このような質量平均分子量であると、感光性樹脂層の被膜形成や現像液に対する溶解性や剥離性等の点で好ましい場合がある。
【0055】
本発明の感光性樹脂組成物が含有する(D)酸変性エポキシ(メタ)アクリレートとしては、酸変性ビスフェノール骨格含有エポキシ(メタ)アクリレートであることがより好ましく、例えば、エポキシ化合物としてビスフェノールA型エポキシ樹脂を使用し、不飽和カルボン酸として(メタ)アクリル酸を使用して得られる酸変性不飽和エポキシエステル樹脂を例示することができる。カルボン酸変性ビスフェノール型エポキシ(メタ)アクリレートを含有することによって、硬化後の感光性樹脂組成物が現像液によって膨潤しにくくなり、かつレジストパターンの基板表面に対する密着性が良好となるために、微細なレジストパターンを形成しやすくなる。
【0056】
本発明の感光性樹脂組成物は、(D′)リン酸変性エポキシ(メタ)アクリレートを含有することが好ましい。これにより、より微細なラインやドットを有するレジストパターンを形成することができる。(D′)としては、例えば、エポキシ(メタ)アクリレート{例えば、エポキシ化合物と不飽和カルボン酸[(メタ)アクリル酸等]との反応物}のリン酸(リン酸化合物)変性物等が挙げられる。具体的なものとしては、例えば、エポキシ化合物に(メタ)アクリル酸に代表される不飽和カルボン酸を反応させ不飽和エポキシエステル樹脂を得たのち、さらに得られた不飽和エポキシエステル樹脂とリン酸、ピロリン酸、リン酸モノエステル化合物、ピロリン酸モノエステル化合物、及びピロリン酸ジエステル化合物等のリン酸化合物とを反応させ、リン酸エステル結合を形成させることで得られるリン酸変性不飽和エポキシエステル樹脂を使用できる。
【0057】
該エポキシ化合物としては、芳香族(芳香族骨格を有する)エポキシ化合物(又はエポキシ樹脂、例えば、フェノールノボラック型、クレゾールノボラック型、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、トリスフェノール型、テトラフェノール型、フェノール-キシリレン型、グリシジルエーテル型等のエポキシ樹脂等)、及びそれらのハロゲン化エポキシ樹脂が挙げられる。
【0058】
(D′)リン酸変性エポキシ(メタ)アクリレートの酸価は特に制限はないが、(D)エポキシ(メタ)アクリレート全体の酸価として前記(D)酸変性エポキシ(メタ)アクリレートの酸価の範囲となる[例えば、(D)酸変性エポキシ(メタ)アクリレートと(D′)リン酸変性エポキシ(メタ)アクリレートを併用する場合には、(D)酸変性エポキシ(メタ)アクリレートと(D′)リン酸変性エポキシ(メタ)アクリレートの酸価の加重平均値が上記した(D)酸変性エポキシ(メタ)アクリレートの好ましい酸価の範囲にある]ことが好ましい。
【0059】
(D′)リン酸変性エポキシ(メタ)アクリレートの質量平均分子量は、3,000~20,000であることが好ましい。
【0060】
(D′)リン酸変性エポキシ(メタ)アクリレートとしては、リン酸変性ビスフェノール骨格含有エポキシ(メタ)アクリレートであることがより好ましい。リン酸変性ビスフェノール型エポキシ(メタ)アクリレートを含有することによって、硬化後の感光性樹脂組成物が現像液によって膨潤しにくくなり、かつレジストパターンの基板表面に対する密着性が良好となるために、より微細なレジストパターンを形成しやすくなる。
【0061】
本発明の感光性樹脂組成物には、必要に応じて、その他の成分[上記(A)~(D)及び(D′)以外の成分]を含有させてもよい。このような成分としては、溶剤、光重合禁止剤、熱重合禁止剤、可塑剤、着色剤(染料、顔料)、光発色剤、光減色剤、熱発色防止剤、充填剤、消泡剤、難燃剤、密着性付与剤、レベリング剤、剥離促進剤、酸化防止剤、香料、熱硬化剤、撥水剤及び撥油剤等が挙げられ、(A)~(D)の総量に対して各々0.01~20質量%程度含有することができる。これらの成分は、1種を単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0062】
本発明の感光性樹脂組成物において、(A)の含有量は、(A)、(B)、(C)、及び(D)の総量に対して40~70質量%であることが好ましく、45~65質量%であることがより好ましい。このような含有量であると、被膜性、現像性、レジストパターンの解像性等の点で好ましい場合がある。
【0063】
(B)の含有量は、(A)、(B)、(C)、及び(D)の総量に対して0.1~10質量%であることが好ましく、0.2~5質量%であることがより好ましい。このような含有量であると、光重合性、均一な光架橋等の点で好ましい場合がある。
【0064】
(C)の含有量は、(A)、(B)、(C)、及び(D)の総量に対して15~45質量%であることが好ましく、20~40質量%であることがより好ましい。このような含有量であると、架橋性、光感度、感光性樹脂層の膜表面の粘着抑制等の点で好ましい場合がある。
【0065】
(D)の含有量は、(A)、(B)、及び(C)の総量に対して1~30質量%(例えば、2~28質量%、3~25質量%)程度の範囲から選択してもよく、10~20質量%であることが好ましく、10~15質量%であることがより好ましい。このような含有量(好ましい含有量)であると、感光性樹脂層(レジストパターン)と基材の密着性、レジストパターンの解像性等の点で好ましい場合がある。
【0066】
(D)エポキシ(メタ)アクリレートが、(D)酸変性エポキシ(メタ)アクリレートと(D′)リン酸変性エポキシ(メタ)アクリレート(D′)を組み合わせて含む場合、(D′)の含有量は、(D)エポキシ(メタ)アクリレート[又は(D)酸変性エポキシ(メタ)アクリレートと(D′)]の総量に対して、1.0~60質量%であることが好ましく、3.3~20.9質量%であることがより好ましい。このような含有量であると、感光性樹脂層(レジストパターン)と基材の密着性、現像後のレジストパターンにおける10μm以下の幅のスペース部分における残渣の発生抑制、レジストパターンの形状や解像性等の点で好ましい場合がある。
【0067】
本発明の感光性樹脂組成物は、支持体(キャリアーフィルム)及び感光性樹脂層が積層したドライフィルムレジスト(DFR)の構成としてもよい。感光性樹脂層は、感光性樹脂組成物を含有する層である。また、DFRは、支持体、感光性樹脂層及びカバーフィルムが積層した構成であってもよい。
【0068】
支持体としては、活性光線を透過させる透明フィルムが好ましい。支持体の厚みは、薄い方が光の屈折が少ないので好ましく、厚い方が塗工安定性に優れるため好ましいが、5~50μmが好ましい。このようなフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート等のフィルムが挙げられる。
【0069】
カバーフィルムとしては、未硬化又は硬化した感光性樹脂層を剥離できればよく、離型性の高い樹脂のフィルムが用いられる。例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、シリコン等の離型剤が塗工されたポリエチレンフィルム等が挙げられる。
【0070】
感光性樹脂層の厚みは、4~50μmであることが好ましく、10~25μmであることがより好ましい。このような厚みであると、解像性、コスト、密着性、耐酸性等の点で好ましい場合がある。
【0071】
次に、本発明のめっき方法について詳細に説明する。本発明のめっき方法は、銅めっき、ニッケルめっき等のめっき加工を行う際のめっき方法に適用できる。具体的には、金属回路形成のアディティブ法、セミアディティブ法、高精細なメタルマスクを作製するアディティブ法等の用途に好ましく使用され、基材上にフォト法でレジストパターンを形成した後、レジストパターン部以外の露出した基材にめっきを施して、金属パターンを形成する方法である。例えば、プリント配線板を作製する場合は、まず、絶縁性基板に薄い金属層を設けた基板を基材として用意する。次に、回路パターンを形成しない部分にレジストパターンを形成する。次いで、電解めっきを行って、露出している薄い金属層の表面にめっき金属層を形成する。続いて、レジスト剥離工程によってレジストパターンが除去される。その後、薄い金属層を(フラッシュ)エッチング除去することにより、回路パターンが形成される。
【0072】
基材としては、例えば、銅、銅系合金(チタン銅合金、銅ニッケル合金等)、ニッケル、クロム、鉄、タングステン、ステンレスや42アロイ等の鉄系合金、アルミ、アモルファス合金等の金属基材が使用できる。また、プリント配線板製造等に使用される、銅張積層板、(無)電解めっき済基板、フレキシブル銅張積層板、フレキシブルステンレス板、積層体等が使用できる。
【0073】
基材上にレジストパターンを形成するためには、フォト法を使用することができる。フォト法では、まず、基材に本発明の感光性樹脂組成物を含む塗工液を塗工し、乾燥して、本発明の感光性樹脂組成物を含む感光性樹脂層を形成する。予めキャリアーフィルムに本発明の感光性樹脂組成物を含有する感光性樹脂層を形成したDFRを作製し、基材に感光性樹脂層を転写してもよい。次に、パターン露光を実施し、露光部を硬化させる。次いで、現像を実施し、レジストパターンとして不要な部分である非露光部分の感光性樹脂層を除去し、硬化した感光性樹脂層を含むレジストパターンを形成する。
【0074】
本発明において現像に使用する現像液としては、例えば、無機塩基性化合物の水溶液を用いることができる。無機塩基性化合物としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等の炭酸塩、水酸化物が挙げられ、0.1~3質量%の炭酸ナトリウム水溶液が好ましく使用できる。さらに現像液には、界面活性剤、消泡剤、溶剤等を適宜少量含有することもできる。現像処理方法としては、ディップ方式、バトル方式、スプレー方式、ブラッシング、スクレーピング等があり、現像速度の観点からスプレー方式が最も適している。処理温度は15~35℃が好ましく、また、スプレー圧は0.02~0.3MPaが好ましい。
【0075】
本発明では、現像後のレジストパターンにベーク処理を行ってもよい。ベーク処理によって、感光性樹脂層と基材の密着を向上させる効果及び耐めっき性を向上させる効果が得られる。ベーク処理の温度は80℃以上が好ましく、時間は5分以上が好ましい。また、基材が銅等であって、酸化等により変色しやすい材質であれば、80℃程度でベーク処理を実施することが好ましい。基材がステンレス等であって、酸化し難い材質であれば、ベーク処理の温度は100℃以上でもよく、また、30分以上の長時間処理を実施してもよい。また、ベーク処理前に感光性樹脂層の熱による変形を防ぐことを目的として、紫外線等の活性光線照射処理を実施してもよい。
【0076】
レジスト剥離工程では、レジスト剥離液として塩基性水溶液が有用に使用される。レジスト剥離液に使用される塩基性化合物としては、例えば、ケイ酸アルカリ金属塩、アルカリ金属水酸化物、リン酸アルカリ金属塩、炭酸アルカリ金属塩、リン酸アンモニウム、炭酸アンモニウム塩等の無機塩基性化合物;エタノールアミン、エチレンジアミン、プロパンジアミン、トリエチレンテトラミン、モルホリン、水酸化テトラメチルアンモニウム等の有機塩基性化合物を挙げることができる。レジスト剥離工程において、硬化した感光性樹脂層に対する溶解性を制御するため、レジスト剥離液の濃度、温度、スプレー圧、超音波条件等を調整する必要がある。レジスト剥離液の温度が高いほど、硬化した感光性樹脂層が溶解する速度が速くなり、40℃以上の温度が好ましい。レジスト剥離液における塩基性化合物の濃度としては、溶解性に適した濃度がよく、塩基性化合物が水酸化ナトリウムの場合、1~4質量%であることが好ましい。装置としては、ディップ処理装置、超音波装置、シャワースプレー装置等を利用することができる。
【実施例0077】
以下、実施例によって本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
【0078】
(実施例1~8、比較例1~7)
表1に示す各成分を共重合させて(A-1)~(A-13)の(A)アルカリ可溶性樹脂を得た。なお、表1における各成分の含有量の単位は[質量部]である。また、表1には、(A)アルカリ可溶性樹脂の質量平均分子量及び酸価も記載した。
【0079】
【表1】
【0080】
表2、表3に示す各成分を混合し、感光性樹脂組成物の塗工液を得た。なお、表2、表3における各成分の含有量の単位は[質量部]である。得られた塗工液を、アプリケーターを用いて、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(商品名:R310、16μm厚、三菱ケミカル(株)製、支持体)上に塗工し、80℃で8分間乾燥し、溶剤成分をとばし、PETフィルムの片面上に実施例1~8、比較例1~7の感光性樹脂組成物を含有する感光性樹脂層(乾燥膜厚:15μm)を設けたDFRを得た。
【0081】
【表2】
【0082】
【表3】
【0083】
表2、表3において、各成分は以下の通りである。
【0084】
(B)光重合開始剤
(B-1)2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体
(B-2)4,4′-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン
【0085】
(C)メタクリレート化合物
(C-1)NKエステルBPE-500(商品名、新中村化学工業(株)製、エチレンオキサイド変性ビスフェノールA型ジメタクリレート)
(C-2)トリメチロールプロパントリメタクリレート
【0086】
(D)酸変性エポキシ(メタ)アクリレート
(D-1)KAYARAD(登録商標)UXE-3024(商品名、日本化薬(株)製、酸変性エポキシアクリレート、固形分65質量%、酸価60mgKOH/g、質量平均分子量10000)
【0087】
表面粗さRaが0.01~1μmのステンレス鋼板に、アルカリ脱脂、酸処理等の表面処理を実施し、前記したDFRが有する実施例1~6、比較例1~5の感光性樹脂層を貼り付けた。次に、幅6μm及び5μmのライン&スペース(L/S)のラインパターンを有するフォトマスクを介してパターン露光し、次いで、PETフィルムを剥がし、1.0質量%炭酸ナトリウム水溶液にて現像を実施し、非露光部分の感光性樹脂層を除去し、硬化した感光性樹脂層を含むレジストパターンを形成した。6μm及び5μmのラインパターンを顕微鏡で観察し、蛇行、変形、及び基材からの剥離(浮き)が全くないものを○、僅かに蛇行、変形、または剥離(浮き)が見られるが品質的には問題ないものを△、蛇行、変形、または剥離(浮き)が顕著に観察され品質的に問題があるものを×として評価した。また、非露光部の残渣の有無を顕微鏡で観察し、残渣がないものを○、残渣が僅かに確認できるが被膜状でないものを△、残渣が被膜状で確認できるものを×として評価した。結果を表2、表3に示す。
【0088】
この際、(A)アルカリ可溶性樹脂の(i)スチレン誘導体の含有量が35質量%よりも高い比較例1は、現像工程により、幅6μmのライン&スペースのラインパターンは形成できたものの、幅5μmのライン&スペースでは、ラインパターンの一部に、基材表面からの浮きが見られた。加えて、感光性樹脂層をラミネートした部分の基材表面に、感光性樹脂層の非露光部分の一部が被膜状に残っていた。
【0089】
(A)アルカリ可溶性樹脂の(i)スチレン誘導体の含有量が15質量%よりも低い比較例2は、現像によるレジストパターン形成後、幅6μm及び5μmのライン&スペースのラインパターンが膨潤により蛇行していた。
【0090】
(A)アルカリ可溶性樹脂の(ii)メタクリル酸の含有量が40質量%よりも高い比較例3は、現像工程により、現像によるレジストパターン形成後、幅6μm及び5μmのライン&スペースのラインパターンが膨潤により蛇行していた。
【0091】
(A)アルカリ可溶性樹脂の(ii)メタクリル酸の含有量が20質量%よりも低い比較例4は、現像工程の際に、非露光部分の感光性樹脂層の溶出が進行せず、ラインパターンを形成することができなかった。
【0092】
(A)アルカリ可溶性樹脂の質量平均分子量が45,000よりも高い比較例5は、実施例1と比較して現像工程で非露光部分の感光性樹脂層の溶出に要する時間が増加し、現像工程により、幅6μmのライン&スペースのラインパターンは形成できたものの、幅5μmのライン&スペースでは、ラインパターンが膨潤により蛇行していた。
【0093】
また、(A)アルカリ可溶性樹脂の(i)スチレン誘導体の含有量が30質量%よりも高い実施例3は、実施例1と比較して現像工程で非露光部分の感光性樹脂層の溶出に要する時間が増加し、現像工程により、幅5μmのラインパターンの両端部で極僅かな基材からの浮きが確認されたが、それ以外は蛇行や変形もなくレジストパターンが形成できており、感光性樹脂層の非露光部分であるスペース部分に残渣は見られなかった。
【0094】
(A)アルカリ可溶性樹脂の(ii)メタクリル酸の含有量が30質量%よりも高い実施例5、及び実施例8では、現像工程により、幅5μmのラインパターンの両端部で極僅かな膨潤による蛇行が確認されたが、それ以外は蛇行や変形もなくレジストパターンが形成できており、感光性樹脂層の非露光部分であるスペース部分に残渣は見られなかった。
【0095】
一方で、実施例1~2、4、6、7では、現像後も、幅6μm及び5μmライン&スペースのラインパターンが蛇行や変形もなく基板上に形成され、また、感光性樹脂層の非露光部分であるスペース部分に残渣は見られなかった。
【0096】
次に、実施例1~8並びに比較例1、4及び比較例5に対し、スルファミン酸ニッケル(Ni)浴を用いた電解めっきにより、ステンレス鋼板上のレジストパターンによって被覆されていない部分の上にめっき膜を成長させて、厚みが7μmになるようにNi金属層を形成した。
【0097】
この際、比較例1及び4では、現像後の基板上に感光性樹脂層の非露光部分の被膜が存在するために、Ni金属層が成長しなかった。
【0098】
比較例5では、形成された幅6μmのライン&スペースにおけるスペース部分においては形状が良好なNi金属層が形成されたものの、膨潤により蛇行していた幅5μmのライン&スペースのスペース部分では、Ni金属層の形状不良が見られた。
【0099】
一方で、実施例1~8の基板上では、形状が良好なNi金属層が形成された。
【0100】
次に、3質量%水酸化ナトリウム水溶液(液温50℃)に浸漬して、レジストパターンの剥離を実施した。実施例1~8並びに比較例1及び5の感光性樹脂組成物によるレジストパターンは良好に剥離が実施できた。
【0101】
以上、実施例1~8では、全て良好なNiめっきが達成できた。
【0102】
次に、表4、5に示す各成分を混合し、感光性樹脂組成物の塗工液を得た。なお、表3における各成分の含有量の単位は[質量部]である。得られた塗工液を、アプリケーターを用いて、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(商品名:R310、16μm厚、三菱ケミカル(株)製、支持体)上に塗工し、80℃で8分間乾燥し、溶剤成分をとばし、PETフィルムの片面上に実施例9~18の感光性樹脂組成物を含有する感光性樹脂層(乾燥膜厚:15μm)を設けたDFRを得た。
【0103】
【表4】
【0104】
【表5】
【0105】
表4、5において、各成分は以下の通りである。
【0106】
<(A)アルカリ可溶性樹脂>
(A-1)スチレン/メチルメタクリレート/n-ブチルアクリレート/メタクリル酸を質量比20/40/15/25で共重合させた共重合樹脂(質量平均分子量40,000、酸価163mgKOH/g)
【0107】
<(B)光重合開始剤>
(B-1)2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体
(B-2)4,4′-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン
【0108】
<(C)メタクリレート化合物>
(C-1)NKエステルBPE-500(商品名、新中村化学工業(株)製、エチレンオキサイド変性ビスフェノールA型ジメタクリレート)
(C-2)トリメチロールプロパントリメタクリレート
【0109】
<(D)酸変性エポキシ(メタ)アクリレート>
(D-1)KAYARAD(登録商標)UXE-3024(商品名、日本化薬(株)製、酸変性エポキシアクリレート、固形分65質量%、酸価60mgKOH/g、質量平均分子量10000)
(D-2)ビスフェノールA型エポキシ樹脂化合物(商品名:JER828、三菱化学株式会社)に、アクリル酸を反応させて得られた化合物にフタル酸を縮合させて得られた化合物であり、ビスフェノールA型エポキシ樹脂化合物:フタル酸:アクリル酸のモル比が1:2:2で反応させて得られたカルボン酸変性エポキシアクリレート(固形分65質量%、酸価80mgKOH/g、質量平均分子量8000)
<(D′)リン酸変性エポキシ(メタ)アクリレート>
(D′-1)ビスフェノールA型エポキシ樹脂化合物(商品名:JER828、三菱化学株式会社)に、メタクリル酸を反応させて得られた化合物に(2-エチルへキシル)ホスフェートを縮合させて得られた化合物であり、ビスフェノールA型エポキシ樹脂化合物:(2-エチルへキシル)ホスフェート:メタクリル酸のモル比が3:4:4で反応させて得られたリン酸変性エポキシメタクリレート(固形分60質量%、酸価40mgKOH/g、質量平均分子量4000)
【0110】
表面粗さRaが0.01~1μmのステンレス鋼板に、アルカリ脱脂、酸処理等の表面処理を実施し、前記したDFRが有する実施例9~18の感光性樹脂層を貼り付けた。次に、幅6μm及び5μmのライン&スペース(L/S)のラインパターン、ライン/スペース=35μm/7μmのスペースパターン、及び16点の一辺10μmのドット(正方形)パターンを有するフォトマスクを介してパターン露光し、次いで、PETフィルムを剥がし、1.0質量%炭酸ナトリウム水溶液にて現像を実施し、非露光部分の感光性樹脂層を除去し、硬化した感光性樹脂層を含むレジストパターンを形成した。得られたレジストパターンを顕微鏡で観察し、以下に示す基準にて評価した。結果を表4、5に示す。
【0111】
<6μm及び5μmのライン&スペースのラインパターン評価基準>
○:蛇行、変形、及び基材からの剥離(浮き)が全くない
△:僅かに蛇行、変形、または剥離(浮き)が見られるが、品質的には問題ない
×:蛇行、変形、または剥離(浮き)が顕著に観察され、品質的に問題がある
【0112】
<ライン/スペース=35μm/7μmのスペースパターン評価基準>
○:スペースパターン底部の残渣が全くない
△:スペースパターン底部に僅かに残渣があるが、品質的には問題ない
×:スペースパターン底部の残渣が顕著に観察され、品質的に問題がある
【0113】
<16点の一辺10μmのドットパターン評価基準>
○:ドットパターンが全て基板上に残存し、ドットパターン底部に基材からの浮きが見られない
△:ドットパターンが全て基材上に残存し、ドットパターン底部の角の一部に基材からの浮きが見られるが、品質的には問題ない
×:ドットパターンの一部あるいは全てが基材上から脱落しているか、あるいはドットパターンが基材上に残存していても、ドットパターン底部の角と側面の両方で基材からの浮きが見られ、品質的に問題がある
【0114】
(D′)リン酸変性エポキシ(メタ)アクリレートの含有量が、(D)と(D′)の総量に対して1.9質量%である実施例12は、スペースパターン評価において僅かに残渣が確認され、ドットパターン評価において一部に浮きが確認されたが、品質的には問題ないレベルであった。
【0115】
(D′)リン酸変性エポキシ(メタ)アクリレートの含有量が、(D)と(D′)の総量に対して21.8質量%である実施例13は、5μmのラインパターン評価において僅かに変形が確認されたが、品質的には問題ないレベルであった。
【0116】
(D)酸変性エポキシ(メタ)アクリレートの含有量が、(A)、(B)及び(C)の総量に対して9.3質量%である実施例14は、5μmのラインパターン評価において僅かに変形が確認されたが、品質的には問題ないレベルであった。
【0117】
(D)酸変性エポキシ(メタ)アクリレートの含有量が、(A)、(B)及び(C)の総量に対して15.9質量%である実施例15は、ドットパターン評価において一部に浮きが確認されたが、品質的には問題ないレベルであった。
【0118】
(D′)リン酸変性エポキシ(メタ)アクリレートを含有しない実施例17は、ドットパターン評価において、ドットパターン底部の角と側面の両方で基材からの浮きが確認された。
【0119】
次に、実施例9~18に対し、スルファミン酸ニッケル(Ni)浴を用いた電解めっきにより、ステンレス鋼板上のレジストパターンによって被覆されていない部分の上にめっき膜を成長させて、厚みが7μmになるようにNi金属層を形成した。
【0120】
この際、実施例18では、幅6μmのライン&スペース、ライン/スペース=35μm/7μmのスペースパターン、及び16点のドットパーンのスペース部分においては形状が良好なNi金属層が形成されたものの、幅5μmのライン&スペースのスペース部分では、Ni金属層の形状不良が見られた。
【0121】
実施例17では、幅6μm及び5μmのライン&スペースのラインスペース部分、及びライン/スペース=35μm/7μmのスペースパターンのスペース部分では形状が良好なNi金属層が形成されたものの、16点のドットパターンのスペース部においては、ドットパターン底部の一部にめっき液のしみ込みが発生し、Ni金属層がレジストの下に入り込む「めっき潜り」が発生したために、良好なNiパターンを作製できなかった。
【0122】
一方で、実施例9~16の基板上では、すべてのレジストパターンにおいて極めて形状が良好なNi金属層が形成された。
【0123】
次に、3質量%水酸化ナトリウム水溶液(液温50℃)に浸漬して、レジストパターンの剥離を実施した。実施例9~18の感光性樹脂組成物によるレジストパターンは良好に剥離が実施できた。
【0124】
以上、実施例9~16では、全て極めて良好なNiめっきが達成できた。
【産業上の利用可能性】
【0125】
本発明は、広く感光性樹脂組成物として利用できる。また、プリント配線板、リードフレーム、メタルマスク、シャドウマスク、半導体パッケージ、電極部材、電磁波シールド等の製造において、めっき加工の際に使用されるめっき用方法として使用できる。