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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023059852
(43)【公開日】2023-04-27
(54)【発明の名称】カメラモジュールおよびその組立方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/02 20210101AFI20230420BHJP
   H04N 23/57 20230101ALI20230420BHJP
   H04N 23/52 20230101ALI20230420BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20230420BHJP
   G03B 30/00 20210101ALI20230420BHJP
   G03B 17/55 20210101ALI20230420BHJP
【FI】
G02B7/02 Z
H04N5/225 700
H04N5/225 430
G02B7/02 E
G03B15/00 V
G03B30/00
G03B17/55
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022165105
(22)【出願日】2022-10-14
(31)【優先権主張番号】21382934
(32)【優先日】2021-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】516284976
【氏名又は名称】フィコサ アダス,ソシエダッド リミタダ ユニペルソナル
(74)【代理人】
【識別番号】100067356
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 容一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100160004
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 憲雅
(74)【代理人】
【識別番号】100120558
【弁理士】
【氏名又は名称】住吉 勝彦
(74)【代理人】
【識別番号】100148909
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧澤 匡則
(74)【代理人】
【識別番号】100192533
【弁理士】
【氏名又は名称】奈良 如紘
(72)【発明者】
【氏名】ボルハ・フェルゲローゾ・ロドリゴ
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・アバド・ガルシア
【テーマコード(参考)】
2H044
2H104
5C122
【Fターム(参考)】
2H044AE06
2H044AJ04
2H104CC00
5C122DA14
5C122EA55
5C122FB03
5C122GE05
5C122GE07
5C122GE11
5C122GE18
5C122HA84
(57)【要約】      (修正有)
【課題】異なる長さを有するレンズアセンブリと組み合わせて使用することができるカメラモジュールを提供する。
【解決手段】カメラモジュール100は、内面220と内部空間210を有するハウジング200と、光軸Oを規定する内部空間内にレンズ本体310を含むレンズアセンブリと、電子機器キャリア400と、電子機器キャリア上のレンズアセンブリ300と光学的に位置合わせされるイメージセンサ500と、レンズアセンブリと電子機器キャリアとを、イメージセンサがレンズアセンブリと光学的に位置合わせされた状態で、その間に一定の所定のギャップDを設けて互いに取り付けるために、電子機器キャリアに向かって光軸に沿って長手方向に突出する少なくとも1つの位置決め要素350およびハウジングの内面に取り付けられる光軸に対して半径方向に垂直に突出する少なくとも1つのフランジ600を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内面(220)を含む内部空間(210)を有するハウジング(200);
前記ハウジングの前記内部空間(210)内に少なくとも部分的に配置され、光軸(O)を規定する1つまたは複数のレンズを含むレンズ本体(310)を備えるレンズアセンブリ(300);
電子機器キャリア(400);および
前記レンズアセンブリ(300)と光学的に通信する前記電子機器キャリア(400)の表面上に配置されるイメージセンサ(500);
を備えるカメラモジュール(100)であって、該カメラモジュール(100)は、
前記レンズアセンブリ(300)および前記電子機器キャリア(400)を互いに取り付けるための少なくとも1つの位置決め部分を、
さらに備え、
前記レンズアセンブリ(300)は、前記レンズアセンブリ(300)から前記光軸(O)に垂直な半径方向外側に突出する少なくとも1つの第1フランジ(600)をさらに備え、前記第1フランジ(600)と前記ハウジング(200)の前記内面(220)とは、互いに取り付け可能であることを特徴とする、
カメラモジュール(100)。
【請求項2】
前記位置決め部分は、前記レンズアセンブリ(300)の一部であるか、または、前記レンズアセンブリに取り付けられており、
前記位置決め部は、前記レンズアセンブリ(300)と前記電子機器キャリア(400)との間に一定の所定のギャップ(D)を有して、前記イメージセンサ(500)を前記レンズアセンブリ(300)と光学的に整列させながら、前記レンズアセンブリ(300)と前記電子機器キャリア(400)とを互いに取り付けするために、前記光軸(O)に向かって長手方向に突き出た位置決め要素(350)を備えることを特徴とする、
請求項1に記載のカメラモジュール(100)。
【請求項3】
前記レンズアセンブリ(300)は、前記レンズアセンブリ(300)から前記光軸(O)に垂直な半径方向外側に突出し、前記第1フランジ(600)から距離(d)離れて配置される少なくとも1つの第2フランジ(700)を、さらに備えことを特徴とする、
請求項1または2に記載のカメラモジュール(100)。
【請求項4】
前記ハウジング(200)は、互いに結合されるための前部ハウジング(250)および後部ハウジング(255)を備え、前記前部ハウジング(250)は、前記レンズ本体(310)の一部を少なくとも部分的に受け入れるように、且つ、前記第1フランジ(600)を取り付けるための前記内面(220)を含むように、構成されることを特徴とする、
請求項1乃至3の何れか1項に記載のカメラモジュール(100)。
【請求項5】
前記レンズ本体(310)を抵抗加熱するためのヒータ素子(1000)を
さらに備え、
前記ヒータ素子(1000)は、電流が流れるときに前記レンズ本体(310)に付着し得る水性障害物を除去するために、前記レンズ本体(310)の外側面を包んで前記レンズ本体(310)を少なくとも部分的に囲むように配置した電気抵抗を有するシート材を備えることを特徴とする、
請求項1乃至4の何れか1項に記載のカメラモジュール(100)。
【請求項6】
前記ヒータ素子(1000)は、前記レンズ本体(310)の外周面を1周転以上巻いて配置され、使用時に、前記ヒータ素子(1000)の前記シート材の2つの対抗する端部によって重なり合う部分が規定されることを特徴とする、
請求項5に記載のカメラモジュール(100)。
【請求項7】
前記ヒータ素子(1000)は、電力ユニットと電気的に接続し、電流を流すためのコネクタ部材(1010)を備えることを特徴とする、
請求項5または6に記載のカメラモジュール(100)。
【請求項8】
前記位置決め部分と前記電子機器キャリア(400)との間、好ましくは前記位置決め要素(350)と前記電子機器キャリア(400)との間に適用される接着手段(800)を
さらに備えることを特徴とする、
請求項2、または、請求項2に従属する請求項3乃至7の何れか1項に記載のカメラモジュール(100)。
【請求項9】
前記第1フランジ(600)と前記ハウジング(200)の前記内面(220)との間に適用される接着手段(900)を
さらに備えることを特徴とする、
請求項1乃至8の何れか1項に記載のカメラモジュール(100)。
【請求項10】
前記ヒータ素子(1000)と前記レンズ本体(310)の外周面との間に適用される接着手段(1020)を
さらに備えることを特徴とする、
請求項5、または、請求項5に従属する請求項6乃至9の何れか1項に記載のカメラモジュール(100)。
【請求項11】
前記ヒータ素子(1000)は、前記レンズアセンブリ(300)の前記第1フランジ(600)および前記第2フランジ(700)の間に配置されることを特徴とする、
請求項3に従属する請求項5、または、請求項3に従属する請求項5に従属する請求項6乃至10の何れか1項に記載のカメラモジュール(100)。
【請求項12】
前記レンズアセンブリ(300)の前記第1フランジ(600)および前記第2フランジ(700)のうちの1つ以上は、前記レンズ本体(310)を少なくとも部分的に囲んで延在するように配置されることを特徴とする、
請求項3、または、請求項3に従属する請求項4乃至11の何れか1項に記載のカメラモジュール(100)。
【請求項13】
前記第1フランジ(600)は、前記第2フランジ(700)よりも前記電子機器キャリア(400)から遠い位置にあることを特徴とする、
請求項3、または、請求項3に従属する請求項4乃至12の何れか1項に記載のカメラモジュール(100)。
【請求項14】
請求項1乃至14の何れか1項に記載のカメラモジュール(100)を組み立てる方法であって、
前記レンズアセンブリ(300)と前記イメージセンサ(500)との間の光通信を確立するように、前記レンズアセンブリ(300)と前記電子機器キャリア(400)とを互いに取り付けるステップと、
前記レンズアセンブリ(300)を前記ハウジング(200)に取り付けるステップと、
前記位置決め部分および前記電子機器キャリア(400)の少なくとも一方に接着剤手段(800)を設けるステップと、
前記ハウジング(200)の前記内面と前期第1フランジ(600)との少なくとも一方に接着手段(900)を設けるステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法であって、
以下のうちの1つ以上を実行するステップを
さらに含む方法。
- 前記イメージセンサ(500)を前記電子機器キャリア(400)に取り付けること;
- 前記レンズ本体(310)の側面にヒータ素子(1000)を設けること;
- ヒータ素子(1000)の内面および/または前記レンズアセンブリ(200)の外側面の少なくとも一方に接着手段(1020)を設けること;
- ヒータ素子(1000)の内面が前記レンズアセンブリ(200)の外側面に取り付けられるように、前記レンズアセンブリ(200)の周りに前記ヒータ素子(1000)を巻き付けること;
- ヒータ素子(1000)と、前記電子機器キャリア(400)と、前記イメージセンサ(500)と、前記レンズアセンブリ(300)の少なくとも一部分と、を囲むカメラハウジングを配置すること;
- 接着手段(800;900;1020)を、温度、光、空気のうちの1つ以上によって、または、前記カメラモジュールをオーブン若しくは気候調整チャンバに導入することによって、硬化させること;
- 前記レンズアセンブリ(200)と前記イメージセンサ(500)との間の適切な光学的位置合わせを確実にするために、接着剤手段(800;900)を硬化させる前に前記レンズアセンブリ(200)を移動させること;
- コネクタ部材(1010)を介してヒータ素子(1000)を電力ユニットに電気的に接続すること;
- コネクタ部材(1010)の少なくとも一部分を前記電子機器キャリア(400)内の通路に通し、前記コネクタ部材(1010)を前記電子機器キャリア(400)に取り付けること;
- 前記レンズアセンブリ(300)の前記第1フランジ(600)が前記ハウジング(200)に突き当たり、前記レンズアセンブリ(300)と前記ハウジング(200)が接着手段(800、900)によって互いに永久的に取り付けられるように、ヒータ素子(1000)および前記電子機器キャリア(400)とともに前記レンズアセンブリ(300)を前記ハウジング(200)に互いに向かって移動させること;
- 後部ハウジング(255)を前面ハウジング(250)に結合すること;および
- 前記レンズ本体(310)の一部分が車両の外側に向くように、前記カメラモジュール(100)を前記車両の車体に取り付け、前記カメラモジュール(100)が前記車両に接続されること。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(技術分野)
本開示は、カメラモジュール、特に、前記カメラモジュールを含む自動車用ビジョン(vision)デバイスに関する。本開示は、さらに、前記カメラモジュールを組み立てる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(背景)
最近の自動車には、先進運転支援システム(ADAS: Advanced Driver Assistance System)の一部として、ビジョンデバイスが搭載されることが多くなっている。このようなビジョンデバイスは、車両の外観画像を表示するためのディスプレイを備えたカメラ監視システム(CMS: Camera Monitoring System)としても知られているデジタルリアビューミラーとして具現化することができる。さらに、ビジョンデバイスは、フロントビュー、リアビュー、周辺ビュー、トップビューまたは鳥瞰図などの異なるビュー(視界)を提供する、フロントカメラモジュール、バックカメラモジュールおよび/または車両に配置された任意のカメラモジュールを含んでもよい。さらに、ビジョンシステムは、物体検出および警告システム、ならびに車両軌道予測手段を含んでもよい。ビジョンデバイスは、自律走行型自動車に搭載されてもよい。
【0003】
ビジョンデバイスには、ビデオカメラモジュールと、コントローラもしくは電子制御ユニット(ECU)と、例えばLCD(液晶ディスプレイ)、LED(発光ダイオード)、OLED(有機発光ダイオード)型などのディスプレイと、が含まれる。カメラモジュールは、通常、画像を撮影するために外側を向いて、自動車に装着される。カメラモジュールによって撮影された画像は、リアルタイムで少し遅れてディスプレイ画面上に表示され、および/または、適切なメモリに保存される。
【0004】
カメラモジュールは、ハウジングと、ハウジング内に収容された少なくとも1つのプリント回路基板(PCB)とプリント回路基板に接続されたイメージセンサまたはイメージャとを有する少なくとも1つの電子機器キャリアと、を含む。
【0005】
電子機器キャリアのハウジングへの取り付けは、通常、ネジによって行われる。ネジの使用は、時間がかかり、特にロボットによる自動組立の際に問題が発生する可能性がある。
【0006】
例えば、US20140313337 A1に開示されたものなどのさらなるアプローチが提案されており、このアプローチでは、イメージセンサと、レンズホルダと、溶接によって電子機器キャリアに取り付けられるレンズと、を有する、車両のフロントガラスに取り付けられるカメラモジュールを、備える車両ビジョンシステムが、提供される。
【0007】
しかしながら、レンズおよび電子機器キャリアをネジまたは溶接のいずれかで取り付けることは、例えば温度変化による電子機器キャリアなどの部品のねじれや曲がりを回避する、または、少なくとも最小化にするのに、非効率的であることが分かっている。
【0008】
レンズ、電子機器キャリアおよびカメラハウジングを取り付けるための更なる代替的な試みもなされている。例えば、US20190381952 A1は、カメラハウジングと、電子機器キャリアと、レンズを支持するレンズバレル(barrel)と、を含む車両ビジョンシステムを、開示する。レンズバレルは、レンズバレルに塗布された接着剤を介してカメラハウジングに取り付けられる。接着剤は、基本的に、電子機器キャリアをカメラハウジングに取り付けるためにも使用される。
【0009】
さらに、従来技術のカメラの欠点は、用途に応じて、レンズの長さが変わることがあり、その結果、カメラハウジングは、レンズを受けるために、形状および/または構造に変更しなければならないことである。これは、カメラの用途を変更する際に、カメラハウジングを再設計する必要があることを意味する。
【0010】
CN208156394Uは、レンズの周囲に近接配置されたヒータを持つレンズを持つカメラを示し、そのヒータは、レンズを加熱して、寒冷地や湿潤地の気象条件や環境において、自動的に霜取りおよび曇り止めを行うことができる。レンズ本体に係る加熱装置には、ワイヤが接続される。
【0011】
したがって、上述した欠点を解消し、従来技術の欠点に対する有利な解決策を提供するために、改良されたカメラモジュールを提供することが望ましい。
【発明の概要】
【0012】
(概要)
本明細書では、少なくとも従来技術の欠点を回避し、さらに多くの重要な利点を提供するカメラモジュールが提供される。特に、本発明のカメラモジュールは、前記カメラモジュールが別の用途に提供される場合に、カメラハウジングを再設計する問題を解決する。
【0013】
これは、レンズアセンブリ、電子機器キャリアおよびハウジングを含むカメラモジュールによって達成され、レンズアセンブリおよび電子機器キャリアを互いに取り付けるために少なくとも1つの位置決め部分が設けられる。さらにレンズアセンブリは、光軸に対して垂直に、前記レンズアセンブリから半径方向外側に、突出する少なくとも1つの第1フランジを含み、第1フランジおよびハウジングの内面は、互いに取り付けることが可能である。したがって、本発明のカメラモジュールによれば、同じ大きさのハウジングを、異なる長さを有するレンズアセンブリと組み合わせて使用することができる。
【0014】
本発明のカメラモジュールは、内部空間を有するハウジングを備える。ハウジングの内部空間は、内面を有する。ハウジングは、第1ハウジング部分と第2ハウジング部分とを備えてもよく、これらは互いに結合されてハウジングを形成し、その内面は、少なくとも電子機器キャリアとイメージセンサを受け入れるための空間を規定する。好ましくは、ハウジングは、前部ハウジングと後部ハウジングとを備えることができる。前部ハウジングとおよび後部ハウジングは、互いに結合されて、内部に前記内面を有するハウジングを形成することができる。前部ハウジングおよび後部ハウジングの少なくとも一方は、例えばアルミニウム、または、ザマックなどのアルミニウムを含む任意の非鉄合金材料で作ることができるが、他の材料も可能である。前部ハウジングおよび後部ハウジングは、後述する電子機器キャリアを受け入れるための空間を規定してもよい。
【0015】
また、電子機器キャリアも提供される。本明細書で使用される場合、電子機器キャリアは、カメラモジュールの動作のためにカメラモジュールハウジング内に配置される電子機器を担持するのに適している任意の要素を指す。電子機器キャリアは、少なくとも1つのプリント回路基板(PCB)と、電子機器を有する任意の他の基板と、を含むことができる。各プリント回路基板は、2つの主表面を有する。イメージセンサまたはイメージャは、プリント回路基板の前記主表面のうちの1つに配置され、以下でさらに説明するレンズアセンブリまたはレンズバレルと光学的に通信する。
【0016】
カメラモジュールは、レンズアセンブリをさらに備える。レンズアセンブリは、順に、ハウジングの上記内部空間内に少なくとも部分的に配置された1つまたは複数のレンズを有するレンズ本体を備える。レンズアセンブリは、光がレンズを通って伝搬する経路を規定する、レンズ本体の幾何学的中心を通過する直線を規定する。以下、当該直線を光軸と称する。レンズアセンブリのレンズが曲面を有する場合、光軸は、レンズの各曲面の曲率中心を通過する。
【0017】
使用時には、レンズアセンブリと電子機器キャリアとは互いに取り付けられる。つまり、レンズアセンブリは電子機器キャリアに取り付けられてもよく、あるいは、電子機器キャリアがレンズアセンブリに取り付けられてもよい。
【0018】
レンズアセンブリと電子機器キャリアとの互いへの取り付けは、特定の要件に応じて、両方の要素が互いに直接的にまたは間接的に接触するように、することができる。例えば、レンズアセンブリと電子機器キャリアとの互いへの取り付けは、以下にさらに説明する接着手段を介して実施されてもよい。
【0019】
提供された位置決め部分は、レンズアセンブリと電子機器キャリアとを互いに取り付ける目的に役立つ。位置決め部分は、レンズアセンブリの一部であってもよく、レンズアセンブリに取り付けられていてもよい。特に、位置決め部分は、電子機器キャリアに向かって光軸に沿って長手方向に突出する少なくとも1つの位置決め要素を備える。前記位置決め要素は、レンズアセンブリと電子機器キャリアとの間に一定の所定のギャップを保ち、かつイメージセンサがレンズアセンブリと光学的に整列したまたは位置合わせされた状態で、レンズアセンブリと電子機器キャリアとを互いに取り付けるという目的に資する。前記位置決め要素を設けることにより、レンズ本体とイメージャとの間の距離が常に一定になるように制御される。本開示の意味において、距離が一定であることは、当該距離が使用中に変化しないことを意味する。しかしながら、距離が一定であるということは、温度変化による微小な膨張などの外的要因によって動作中に必然的に発生し得るわずかな変動も含む。
【0020】
代替的に、位置決め部分は、レンズアセンブリに接している電子機器キャリアの一部、例えばレンズアセンブリの底面であってもよく、または、電子機器キャリアに取り付けられてもよい。特に、位置決め部分は、レンズアセンブリに向かって光軸に沿って長手方向に突出する少なくとも1つの位置決め要素を備える。
【0021】
レンズアセンブリは、レンズアセンブリから光軸に垂直に半径方向外側に突出する少なくとも1つの第1フランジをさらに含む。第1フランジとハウジングの内面とは、後述する接着手段を介して互いに取り付けることができる。レンズアセンブリのハウジングへの取り付けは、特定の要件に応じて、レンズアセンブリの第1フランジとハウジングの内面との間の直接的なまたは間接的な接触で実施され得る。
【0022】
第1フランジは、環状平面を規定するレンズアセンブリの周囲を少なくとも部分的に覆う円形であってもよい。第1フランジは、連続した表面によって規定されてもよく、開口部を有する表面によって規定されてもよく、セグメントによって規定されてもよい。
【0023】
また、少なくとも1つの第2フランジを設けてもよい。前記第2フランジは、レンズアセンブリから半径方向外側に突出し、光軸に垂直で、第1フランジから離れて配置される。前記第2フランジは、後述するヒータ素子の位置決めのためのガイドとして機能するように、構成される。
【0024】
第1フランジと同様に、第2フランジは、環状平面を規定するレンズアセンブリの周囲を少なくとも部分的に覆う円形であってもよい。第2フランジは、連続した表面によって規定されてもよく、開口部を有する表面によって規定されてもよく、セグメントによって規定されてもよい。
【0025】
第1フランジは、第2フランジよりも電子機器キャリアから離れた位置に配置されてもよい。
【0026】
上述したように、ハウジングは、互いに結合可能な前部ハウジングと後部ハウジングとを備える。前部ハウジングは、レンズアセンブリのレンズ本体の一部を少なくとも部分的に受け入れるように、構成される。
【0027】
第3フランジは、特にハウジングから半径方向外側に突出するように、形成されてもよい。
【0028】
第3フランジは、レンズアセンブリが下方からハウジングに挿入されるときに、停止要素または移動制限要素として機能する。使用時には、第1フランジは、ハウジングの内部で、第3フランジの下方に、配置されてもよい。
【0029】
各フランジは、上面である第一面と、下面である第二面と、側面である第三面とを含む。上面および下面は、側面によって互いに接合される。カメラモジュールが組み立てられると、上面とは、フランジのうち電子機器キャリアからさらに離れた位置にある面を意味し、下面とは、フランジのうち上面と反対側にある面を意味する。したがって、側面は、各フランジにおいて上面と下面との間に配置される。
【0030】
第3フランジの側面は、直径を規定する。第3フランジの直径は、レンズアセンブリの前面と第1フランジの上面との間に配置されたレンズアセンブリの外周面より大きい。レンズアセンブリの前面は、イメージセンサから最も離れて配置されるレンズアセンブリの面である。さらに、第1フランジの側面は、直径を規定する。第1フランジの直径は、第3フランジの直径よりも大きい。また、第1フランジの直径は、ハウジングの側面の直径よりも小さく、前記ハウジングは、使用時に、少なくとも第1フランジの側面および下面を囲む。
【0031】
第3フランジは、第1ハウジング部分に、特に前部ハウジングに形成される。使用時には、第1フランジの上面は、第3フランジの下面に取り付けられる。
【0032】
レンズアセンブリと電子機器キャリアとが互いに取り付けられ、レンズアセンブリとハウジングの内面とが互いに取り付けられると、第1フランジは、第3フランジと第2のフランジとの間に配置される。すなわち、第1フランジの上面は、第3フランジの上面と第2フランジの上面との間に配置される。さらに、第3フランジの下面は、第3フランジの上面と第1フランジの上面との間に配置される。さらに、第1フランジの下面は、第3フランジの下面と第2フランジの上面との間に配置される。
【0033】
サブアセンブリは、レンズアセンブリと電子機器キャリアとによって規定される。前記サブアセンブリと前記ハウジングとの間の相対的な移動は、以下(i)または(ii)の少なくとも1つに従って発生し得る。
(i) 前記第1フランジの上面が前記第3フランジの下面に向かって移動して、前記第3フランジの前記下面が取付手段と前記第1のフランジの前記上面とに接触し、これは、前記レンズアセンブリが、前記ハウジングの下方に配置されて、前記電子機器キャリアから離れる方向に移動する場合である。
(ii) 第3フランジの下面が第1フランジの上面に向かって移動して、前記第1フランジの上面が取付手段と前記第3フランジの下面とに接触し、これは、前記レンズアセンブリがハウジングの下方に配置されて、ハウジングが電子機器キャリアに向かって移動する場合である。
【0034】
ハウジングの下方のレンズアセンブリの配置は、本明細書では、ハウジングよりも電子機器キャリアに近いレンズアセンブリの相対位置を意味する。
【0035】
第3フランジは、環状平面を規定するハウジングの周囲を少なくとも部分的に覆う円形であってもよい。第3フランジは、連続した表面で規定されてもよく、開口部を有する表面で規定されてもよく、セグメントで規定されてもよい。
【0036】
レンズアセンブリに形成された第1および第2のフランジ、ならびにハウジングに形成された第3のフランジの何れも、レンズアセンブリおよびハウジングの少なくとも一つと一体的に形成されてもよく、あるいは、それらが別体の要素であってもよい。
【0037】
第1、第2および第3のフランジのうちの1つまたは複数を設けることにより、レンズアセンブリおよび電子機器キャリアが形成するサブアセンブリをハウジングに容易に取り付けることができ、レンズアセンブリと電子機器キャリアとの間の距離を一定に保ちながらレンズアセンブリが下方から挿入されるとき、第3フランジが第1フランジに当接する状態である。
【0038】
レンズ本体の抵抗加熱のためにヒータ素子を設けてもよい。ヒータ素子の目的は、電気エネルギを熱エネルギに変換して、電流が流れるときにレンズアセンブリを加熱することである。その結果、除霜効果が得られるとともに、望ましくない光学汚染につながる可能性がある、レンズ本体に付着している可能性のある障害物や水性障害物が除去される。
【0039】
ヒータ素子は、好ましくは、電気抵抗を有する、薄膜、箔、またはシート材を含む。ヒータ素子が作られる薄膜、箔、またはシート材は、容易に曲げることができるように、可鍛性であることが好ましい。薄膜、箔、またはシート材は、ジュール効果ヒータとして機能するように、導電性を有する。ヒータ素子の薄膜、箔、またはシート材の好ましい厚さは、0.2mm~0.3mmの範囲であり、例えば、0.22mmである。ヒータの薄膜、箔、またはシート材が、有利に約10mmの曲げ半径を想定できるような可鍛性を有するように、レンズ本体の直径は、例えば、19.3mmとすることができる。
【0040】
ヒータ素子は、好ましくは、レンズ本体の少なくとも一部を取り囲むように配置され、レンズ本体の外周側表面を包む。ヒータ素子は、レンズ本体の外周側表面を1回転以上巻いて配置されてもよく、重なり合う部分は、使用時に、ヒータ素子のシート材の2つの対向する端部によって規定される。したがって、実際には、ヒータ箔の2つの端部を重ね合わせることによって、ヒータ素子がレンズ本体の外周に密着してその外周を閉じる。この重なり部分により、薄膜、箔、またはシート材は、緩むことなく、レンズ本体に強く接着される。
【0041】
ヒータ素子は、電流を供給するための電力ユニットと電気的に接続するために、電子機器キャリアに向かって延びるコネクタ部材または導体部分を有してもよい。電子機器キャリアは、ヒータ要素のコネクタ部材が通過することができる少なくとも1つの開口部を有する。コネクタ部材は、使用時に電子機器キャリアに設けられた孔を通過してプリント回路基板の表面に電気的に接続される溶接ピンを含む薄いバンドとして構成されてもよい。いくつかの例では、ヒータは、電流を供給するための電力ユニットと電気的に接続するために、電子機器キャリアに向かって延びる、複数のコネクタ部材又は導体部分を備えることができる。
【0042】
ヒータ素子は、好ましくは、レンズアセンブリの第1フランジと第2フランジとの間に配置することができる。このようにすると、ヒータ素子の位置決めが非常に容易になる。上述したように、第2フランジは、ヒータ素子の位置決めをガイドするために構成される。
【0043】
ヒータ素子は、レンズアセンブリに接触して取り付けられる。特に、ヒータ素子は、好ましくは直接的に接触して、レンズ本体の外周側表面に取り付けられる。接着手段は、レンズ本体の外周側表面と、ヒータ素子の薄膜、箔、またはシート材の内面と、の少なくとも1つに、適用されてもよい。
【0044】
薄膜、箔、またはシート材は、レンズ本体に貼られる前は、平らである。組立工程中、ヒータ素子の薄膜、箔、またはシート材は、箔の内面がレンズ本体の外面に接触するように、折り曲げられる。
【0045】
薄膜、箔、またはシート材として構成されたヒータ素子は、その平面性により、レンズアセンブリの周囲に適用することが可能である。これにより、熱源と被加熱物との間に隙間が存在しないため、レンズ本体の加熱効率が高いことが分かった。また、レンズアセンブリの周囲のヒータ素子の平坦な性質は、レンズ本体の迅速な加熱を提供することも分かった。例えば、従来技術のカメラヒータは、3分でレンズ本体を40℃に加熱することができるが、同じヒータを有する本発明のカメラモジュールでは、2分で同じレンズを同じ温度まで加熱することができることが分かった。
【0046】
上記のようなヒータを用いると、レンズ本体に供給された熱が電子機器キャリアに直接伝達されないので、電子機器キャリアのねじれや曲がりが大幅に防止され、その結果、イメージャとレンズとの位置合わせが確実になる。このことは、カメラモジュールが使用される環境に応じて広い温度範囲に置かれることが多く、電子機器キャリアからの熱が加わるカメラモジュールにおいて特に重要である。ヒータがレンズ本体に直接熱を与える場合、通常約40℃~約50℃までの熱であるが、この場合、電子機器キャリア内のプリント回路基板の曲げ、撓み、膨張、膨らみが避けられず、レンズ本体の望ましくない移動が生じ、イメージセンサとの光学的な接続が失われることになる。例えば、50℃において、従来技術のカメラの平均偏差は、68ミクロンのオーダーであり、通常、画質の問題につながることが分かった。本明細書で述べたカメラモジュールでは、レンズ本体とイメージセンサとの平均相対偏差は、有利には11ミクロンまで減少することが分かった。
【0047】
本発明のカメラモジュールの有利な特徴によれば、接着手段は、上述のように適用することができ、特に以下の1つ又は複数に、適用することができる。
【0048】
接着手段は、位置決め部分と電子機器キャリアとの間に適用することができる。特に、接着手段は、レンズアセンブリの位置決め要素と電子機器キャリアとの間に適用することができる。この場合、接着手段は、例えば、円形リングを形成するように配置された1mm~3mmの厚さの接着剤の層であってもよい。接着手段は、電子機器キャリアとレンズアセンブリとを互いに接着又は結合するために、レンズアセンブリの表面の周りに未硬化又は少なくとも部分的に硬化した状態で与えられる。
【0049】
接着手段は、レンズアセンブリの第1フランジとハウジングの内面との間にも適用することができる。この場合の接着手段は、第1フランジの任意の適切な表面に適用することができる。特に、接着手段は、第1フランジの上面、すなわち、最も離れて配置される電子機器キャリアの反対側の第1のフランジの上面に、塗布されてもよい。追加的に、または代替的に、接着手段は、フランジに隣接するレンズ本体の周囲表面に塗布されてもよい。一般に、接着手段は、第1フランジの端面、すなわち、第1フランジの側面、および/または下面、すなわち上面と反対側の表面など、第1フランジの任意の表面に、塗布されてもよい。例えば、前部ハウジング上および/またはレンズ体上に、厚さ2mm~3mmの接着剤を適用または塗布して、両者を貼り合わせてもよい。また、この場合、レンズアセンブリを前部ハウジングに接着または結合するために、ハウジングの内面の周りに未硬化又は少なくとも部分的に硬化した状態で付与された接着剤の円形リングを形成するように、接着手段が適用されてもよい。
【0050】
また、接着手段は、ヒータ素子が設けられる場合には、レンズ本体の外周側表面との間に適用することができる。
【0051】
上記のすべての場合において、接着剤手段は、任意の適切な接着剤、例えば、硬化したときに上記の部品、すなわちレンズアセンブリ、電子機器キャリア、ハウジング、およびヒータのための強力な結合を提供する紫外線(UV)硬化型接着剤等で構成することができる。上述した接着剤手段は、接着剤の光への曝露または紫外線硬化プロセスによって第1の硬化レベルまで硬化させることができ、また、熱硬化プロセスによって第2のより高い硬化レベルまで硬化させることができる。
【0052】
位置決め要素は、レンズアセンブリの下面上に形成され得る、1つまたは複数の脚として構成または形成され得る、リムまたは周辺端を、備えることができる。追加的に、または代替的に、リムまたは周辺端は、イメージャが結合されるプリント回路基板の表面に形成または取り付けられてもよい。このようなリムにより、レンズアセンブリおよび電子機器キャリアと協働して、イメージャを良好に保護することができる。位置決め要素の全周囲に延びるリムを提供することにより、埃などの異物がカメラモジュールに入り込んでイメージセンサに到達することを防止することができる。
【0053】
また、上述したカメラモジュールを組み立てる方法も本明細書に開示される。
【0054】
組立方法は、レンズアセンブリとイメージセンサとの間に適切な光学的通信を確立するように、レンズアセンブリを電子機器キャリアに取り付けることを含む。組立方法は、レンズアセンブリと電子機器キャリアとを互いに取り付けるために、上記のように位置決め部分と電子機器キャリアとの少なくとも一方に接着手段を設けることも含むことができる。
【0055】
また、組立方法は、第1フランジがストッパとして機能する状態で、レンズアセンブリを前部ハウジングに部分的に挿入することも含むことができる。レンズアセンブリは、第1フランジが常に前部ハウジングの内側にあるように、下から上に、すなわち電子機器キャリアから離れるように、取り付けることができる。また、レンズアセンブリと電子機器キャリアを上記以外の方向に移動させる他の相対的な組み立て方向も可能である。
【0056】
その後、レンズアセンブリは、ハウジングの内面および第1フランジの少なくとも一方に適用された接着手段を使用して、ハウジングに取り付けられる。
【0057】
また、組立方法は、イメージセンサを電子機器キャリアに実装することを含むことができる。
【0058】
例えば、レンズアセンブリと電子機器キャリアとが互いに取り付けられた後に、ヒータ素子がレンズアセンブリを少なくとも部分的に取り囲んだ状態で、レンズ本体の側面にヒータ素子を設けるステップを実行してもよい。ヒータ素子の内面とレンズアセンブリの外周側表面との少なくとも一方に接着手段を適用し、ヒータ素子の内面がレンズアセンブリの外周側表面に適切に付着するように、ヒータ素子をレンズアセンブリに巻き付けることによって、レンズ本体に取り付けてもよい。接着手段は、例えば、カメラモジュールをオーブンまたは気候調整チャンバに導入することによって、光、空気、又は温度を通じて硬化する。
【0059】
ヒータがレンズの周りに正しく配置されると、レンズおよび電子機器キャリアで形成されたサブアセンブリをカメラハウジングに適合させることができる。前部ハウジングは、サブアセンブリに取り付けられる。カメラモジュールは、レンズアセンブリ、任意のヒータ、および電子機器キャリアによって形成されたサブアセンブリを、第3フランジがストッパとして機能するまで取り付けることによって組み立てられる。
【0060】
レンズアセンブリは、レンズアセンブリとイメージセンサとの間の適切な光学的位置合わせを確実にするために、接着手段を硬化させる前に移動させることができる。コネクタ部材の少なくとも一部分を電子機器キャリア内の通路に通し、コネクタ部材を電子機器キャリアに取り付けることにより、ヒータ素子がコネクタ部材を介して電源ユニットに電気的に接続される。
【0061】
レンズアセンブリは、ヒータ素子および電子機器キャリア、並びにハウジングと共に互いの方へ移動させてもよく、これにより、レンズアセンブリの第1フランジがハウジングに当接し、レンズアセンブリおよびハウジングは、接着手段によって互いに恒久的に接着される。
【0062】
後部ハウジングは、前部ハウジングと結合されてもよい。また、組立方法は、ヒータと、電子機器キャリアと、イメージセンサと、レンズアセンブリの少なくとも一部分と、を囲むカメラハウジングを配置することを含んでもよい。
【0063】
カメラモジュールは、車両の車体に装着されてもよく、カメラモジュールが車両に接続される状態で、レンズ本体の少なくとも一部分が車外で外側に向く。他の配置も可能である。例えば、カメラモジュールは、例えばバレルハウジングに、または第1ハウジングもしくは前部ハウジングの任意の場所に、装着された透明カバーを有していてもよく、この場合、レンズ本体は、車外に出ずに、前記カバーである。
【0064】
このような構成にすることで、多くの大きな利点を得る。
【0065】
従来技術のカメラモジュールとは対照的に、前部ハウジングおよび後部ハウジングを取り付けるため、および、電子機器キャリアおよび前部ハウジングに取り付けるために、ネジや溶接は、必要とされない。したがって、ハウジングの厚さが著しく減少し、その結果、カメラモジュールに係る材料がより少なくなり、それでも同等またはより高い効率が得られる。このように、効果的で、費用対効果の高い、より軽量なカメラモジュールが得られる。
【0066】
加えて、電子機器キャリアとレンズアセンブリを接着剤で固定することで、周囲温度の変化にかかわらず、カメラのフォーカスを一定に保つことができます。温度変化による硬化した接着剤の収縮および膨張にも、適切に順応する。相互の適切な光学アライメントのため、レンズアセンブリおよびイメージセンサ間の最適な光通信が実現される。これは、ネジや溶接を使用することなく実施される。さらに、前部ハウジングに取り付けられたレンズアセンブリの第1フランジと、レンズアセンブリに取り付けられた電子機器キャリアとは、イメージャも、ハウジング内でレンズアセンブリと光学的に位置合わせされたままである。このことは、イメージセンサに対するレンズアセンブリの最適な位置決めおよび取付けが求められる車載用ビデオカメラの設計において、最も重要である。
【0067】
また、本発明のカメラモジュールにおける接着手段の使用は、レンズアセンブリおよびイメージセンサの動きを補償する。この利点は、上記の利点と相まって、本発明のカメラモジュールが、カメラモジュールの耐用期間中、カメラの焦点に変動がなく、高い画質の安定性を要求する現代の自動車の安全要件を満たすことができる。
【0068】
電子機器キャリアの曲がりが低減したことが分かった。なぜならば、ヒータによって生成された熱は、レンズアセンブリに直接伝達されないため、レンズアセンブリ内の温度は上昇せず、したがって、電子キャリア自体によって生成された熱に熱が加えられないからである。そのため、電子機器キャリアは過熱されず、したがって膨張もしないので、曲げは発生しないか、ほとんど発生しない。その結果、光通信、すなわち、イメージャとレンズアセンブリとの間のアライメントに影響を与えない。対照的に、従来技術のカメラモジュールで生じる熱は、電子機器キャリアのプリント回路基板の曲げまたはねじれをもたらし、その結果、イメージセンサは、68ミクロンのオーダーのような望ましくない程度に移動または向きがそれる。本発明のカメラモジュールでは、イメージセンサまたはイメージャのゆがみは、有利には11ミクロンまで減少することが分かった。このようにして、レンズと電子機器キャリアに含まれるイメージャとの光学的接続が失われることが回避される。
【0069】
薄型化による軽量化、レンズ本体とイメージャとの間の優れた光学的位置合わせ、およびヒータとレンズ本体との間の直接接触による加熱効率に加えて、モジュール構造が提供される。モジュール性は、有利には、それぞれレンズアセンブリの第1フランジおよび第3フランジとハウジングとの間の位置および移動関係とともに、電子機器キャリアおよびレンズアセンブリの取り付けよってもたらされる。
【0070】
本発明のカメラモジュールの設計において、レンズアセンブリ、ハウジングおよび電子機器キャリアの取り付けのためのフランジの提供により、例えばハウジングが上から下に取り付けられるとき、またはレンズが下から上に取り付けられるとき、第3フランジに対してストッパとして機能する第1のフランジが特に有利な利点をもたらす。レンズアセンブリに形成された第1および第2のフランジと、ハウジングに形成された第3フランジとは、レンズ本体とハウジングとの相対的な動きを制限するためのストッパとして機能する。
【0071】
本発明のカメラモジュールのモジュール化により、同じサイズのハウジングを異なるサイズのレンズアセンブリと一緒に使用することができる。例えば、120°×58°のレンズアセンブリが必要で、その後、異なるサイズ、特に異なる長さ、この特定のケースでは短い長さを有する190°×150°のレンズアセンブリも必要な場合、同じハウジングサイズを提供することができる。つまり、必要なレンズアセンブリの長さが異なっていても、同じサイズの前部ハウジングおよび後部ハウジングを採用することができる。その結果、例えば、フロントカメラ、リアパーキングカメラ、インテリジェントリアビューミラーシステム(IRMS)用カメラ、カメラモニターシステム(CMS)用サイドカメラ、ブラインドスポット検出(BSD)用サイドカメラなどの用途に応じて異なる長さを有する異なるレンズアセンブリに対して同じサイズを有する前部ハウジングおよび後部ハウジングを用いて異なる用途向けの異なる解像度および視野を有する異なるカメラモジュールを提供することが可能である。
【0072】
レンズの長さに関係なく、イメージセンサとレンズアセンブリとの光学的な位置関係が保たれた状態で、レンズアセンブリと電子機器キャリアとの間の所定の距離を一定に保つことができる。レンズアセンブリとイメージャとの間の距離は、この分野では「TTL(through-the-lens)測光」と呼ばれ、同じ電子機器キャリア、イメージャ、前部ハウジングで組み立て工程を終える前に、必要に応じて変化させることができる。さらにTTL測光は、組み立て工程が完了すると、一定になる。
【0073】
完全を期すために、本開示のさまざまな態様は、次の番号付きの条項に記載される。
【0074】
条項1:レンズアセンブリは、
光軸を規定する1つまたは複数のレンズを有するレンズ本体と、
電子機器キャリアと、
前記電子機器キャリアの表面に配置され、該レンズアセンブリと光学的に通信するイメージセンサと、
を備え、
該レンズアセンブリは、
前記レンズ本体を抵抗加熱するためのヒータ素子であって、電流が流れることによって前記レンズ本体に付着し得る水性障害物を除去するために、前記レンズ本体の外周面を包むように前記レンズ本体の少なくとも一部を取り囲むように配置された電気抵抗を有するシート材を含む前記ヒータ素子を
更に備えることを特徴する。
【0075】
条項2:条項1に従うレンズアセンブリにおいて、
前記ヒータ素子は、前記レンズ本体の前記外周面を1周以上巻いて配置され、重なり合う部分は、使用時に、前記ヒータ素子の前記シート材の2つの対向する端部によって規定される。
【0076】
条項3:条項1または条項2に従うレンズアセンブリにおいて、
前記ヒータ素子は、電流を供給するための電力ユニットと電気的に接続するためのコネクタ部材を有する。
【0077】
条項4:前記のいずれかの条項に従うレンズアセンブリにおいて、
前記ヒータ素子と前記レンズ本体の前記外周面との間に適用される接着手段をさらに設ける。
【図面の簡単な説明】
【0078】
(図面の簡単な説明)
以下、本開示の非限定的な実施例について、添付図面を参照しながら説明する。
【0079】
図1図1は、図2および図3とともに、図4の線AAに沿った断面図であり、長さの異なる3種類のレンズアセンブリを備えたカメラモジュールの異なる実施例に対応する。
図2図2は、図1および図3とともに、図4の線AAに沿った断面図であり、長さの異なる3種類のレンズアセンブリを備えたカメラモジュールの異なる実施例に対応する。
図3図3は、図1および図2とともに、図4の線AAに沿った断面図であり、長さの異なる3種類のレンズアセンブリを備えたカメラモジュールの異なる実施例に対応する。
図4図4は、図1図3に示したカメラモジュールの上面図である。
図5図5は、図3の線BBに沿った、図1図3に示したカメラモジュールの断面上面図である。
図6図6は、図1図3に示したカメラモジュールの一部をより良く説明するための断片的な拡大断面図である。
図7図7は、カメラモジュールの分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0080】
(実施例の詳細な説明)
図面の図1図7に示す実施例では、カメラモジュール100は、例えばアルミニウムで作られるハウジング200を備える。ハウジング200の内部には、内部空間210が規定される。ハウジング200の内部空間210は、以下にさらに説明するように、レンズ本体310を備えるレンズアセンブリまたはレンズバレル300を受け入れるのに、適している。異なる長さのレンズ本体310を有するレンズアセンブリ300が、図1図2図3に示される。それらはまた、以下でさらに説明される。
【0081】
ハウジング200の内部空間210は、内面220を有する。ハウジング200は、図1図2図3図7に示すように、ハウジング200を形成するように互いに結合可能な前部ハウジング250と後部ハウジング255とを備える。前部ハウジング250は、レンズアセンブリ300のレンズ本体310の一部を少なくとも部分的に受容するように、構成される。
【0082】
前部ハウジング250と後部ハウジング255との間には、電子機器キャリア400が設けられる。電子機器キャリア400は、図示しない1または複数のプリント回路基板(PCB)(図示せず)と、電子機器を有する必要な基板と、を備える。電子機器キャリア400は、電子機器キャリア400の一面に接続されるイメージセンサまたはイメージャ500を含む。イメージセンサ500は、レンズアセンブリ300と光学的に通信するように配置される。レンズアセンブリ300および電子機器キャリア400は、サブアセンブリ300-400を規定する。
【0083】
本開示の意味において、また図面の各図によれば、ある要素の上方相対位置は、その要素が下方相対位置よりも電子機器キャリア400から遠い位置を指し、一方、ある要素の下方相対位置は、その要素が上方相対位置よりも電子機器キャリア400に近い位置を指す。
【0084】
レンズアセンブリ300は、上述したように、1つまたは複数のレンズを有するレンズ本体310を備える。レンズ本体310は、意図された用途に応じて要求される解像度および視野に応じて、図面の図1図2および図3に示すように、異なる長さL1、L2、L3であってよい。
【0085】
レンズ本体310は、上記のように、ハウジング200の内部空間210内に配置される。使用中、レンズアセンブリ300および電子機器キャリア400は、図1に示されるように、接着手段800を介して特定の仕様に応じて互いに直接的にまたは間接的に接触して取り付けられる。
【0086】
上述したサブアセンブリ300-400を形成するためにレンズアセンブリ300と電子機器キャリア400とを互いに取り付けるための接着手段800は、レンズアセンブリ300の底部と電子機器キャリア400との間に適用される。より具体的には、接着手段800は、以下に詳細に説明するカメラモジュール100の位置決め部分と電子機器キャリア400との間に適用される。本実施例における接着手段800は、電子機器キャリア400に接着または結合されるように、レンズアセンブリ300の上記底部部分の周りに未硬化または少なくとも部分的に硬化した状態で付与される円形リングを形成するように適用される厚さ1mm~3mmの接着層を含む。
【0087】
レンズ本体310の幾何学的形状は、本明細書において光軸Oと呼ばれる直線を規定し、図面の図1図2図3および図7に示すように、光軸Oがレンズ本体310の幾何学的中心を通って長さ方向または縦方向に延びる。光軸Oは、光がレンズアセンブリ300のレンズを通って伝搬される経路を規定する。
【0088】
カメラモジュール100は、位置決め部分を備える。次に、位置決め部分は、図1図2図3および図7に示すように、レンズアセンブリ300に形成されている位置決め要素350を備える。位置決め要素350は、図1に示されるように、レンズアセンブリ300と電子機器キャリア400とを、それらの間に一定の所定のギャップまたは距離Dを有して互いに取り付けるために適合される。このようにして、レンズ本体310とイメージセンサ500との間の距離Dは、イメージセンサ500がレンズアセンブリ300のレンズ本体310と光学的に整列した状態で常に一定となるように、制御される。イメージセンサ500に対するレンズ本体310の正確な最適位置が、有利に確保される。
【0089】
位置決め要素350は、図面の図1図2図3および図7に示すように、レンズ本体310の底部に形成され、光軸Oに沿って長手方向に電子機器キャリア400に向かって突出する。
【0090】
第1および第2のフランジ600,700は、図1図2図3および図7に示すように、レンズアセンブリ300に形成される。
【0091】
第1フランジ600は、レンズ本体310の上部に形成されており、すなわち、第1フランジ600は、後述する第2フランジ700よりも電子機器キャリア400から離れた位置に配置される。
【0092】
第1フランジ600は、平坦な表面を規定するレンズ本体310の外周の一部にわたって延びる。第1フランジ600は、レンズ本体310から半径方向外側に、光軸Oに垂直に突出する。使用中、第1フランジ600は、特定の仕様に応じて、ハウジング200の内面220に直接にまたは間接的に接触して取り付けられる。レンズアセンブリ300のハウジング200への取り付けは、図6に示すように、接着手段900を介して行われる。接着手段900は、後述するように、レンズアセンブリ300の第1フランジ600の、ハウジング200の内面220と接触する表面に適用される。図示の例における前記内面220は、以下にさらに説明するように、ハウジング200の内部空間210に形成された第3フランジ750の対応する上面上にある。
【0093】
より具体的には、そして図6を参照しないが、接着手段900は、レンズアセンブリ300のレンズ本体310に形成された第1フランジ600とハウジング200の内面220との間に、適用される。より詳細には、そして図面の図6を参照すると、レンズアセンブリ300をハウジング200に取り付けるための接着手段900は、レンズ本体310の第1フランジ600の以下に定義する上面Uと、以下にさらに説明するように、図6には示されていない、ハウジング200に形成された第3フランジ750の対応する下面と、の間に適用される。図6に示すように、接着手段900はまた、必要に応じて、第1フランジ600の外周を少なくとも部分的に覆う第1フランジ600の以下に定義される側面Sと、さらに以下に説明するように、図6には示されていない、前記第3フランジ750の対応する側面と、の間に適用される。
【0094】
図示された非限定的な例では、接着手段900は、レンズアセンブリ300をハウジング200に、特に前部ハウジング250に接着または結合するのに適した未硬化または少なくとも部分的に硬化した状態で付与された接着剤の円形リングを形成するために上記のように適用された接着剤の厚さ2mm~3mmの層である。
【0095】
第2フランジ700は、後述するヒータ素子1000の組み立てを案内する目的で、第1フランジ600と反対側の、レンズ本体310の底部において、レンズ本体310の外周の少なくとも一部分にわたって延在して形成される。第2フランジ700は、上述したように第1フランジ600よりも電子機器キャリア400に近い位置にあり、第1フランジ600と第2フランジ700との間に距離dが規定される。第1フランジ600と同様に、第2フランジ700は、レンズ本体310から光軸Oに垂直な半径方向外側に突出する。
【0096】
上述したように、第3フランジ750も設けられる。第3フランジ750は、図1図2図3に示すように、ハウジング200の内周の一部に、特に、前部ハウジング250の内周の一部にわたって延び、平坦な面を規定する。第1フランジ600および第2フランジ700と同様に、第3フランジ750は、ハウジング200から半径方向外側に突出する。第3フランジ750は、レンズアセンブリ300が下方からハウジング200に挿入されるとき、すなわち電子機器キャリア400から離れるときに、ストッパとして機能するように構成される。使用時に、第1フランジ750は、ハウジング200の内部空間210内で、上記第3フランジ750の下方に配置される。
【0097】
カメラモジュール100における第1、第2および第3のフランジ600,700,750は、ハウジング200に対するサブアセンブリ300-400の組み立てを容易にするためのものである。
【0098】
再び図6を参照する。第1、第2および第3のフランジ600,700,750はそれぞれ、上述したように、上面U、下面(底面)Bおよび側面Sを有する。前記第1、第2および第3のフランジ600,700,750への参照は、図面では、明確にするために、第1フランジ600に対してのみである。したがって、上面U、下面Bおよび側面Sは、カメラモジュール100のすべてのフランジについて定義されることが理解される。
【0099】
フランジ600,700,750の上面Uおよび下面Bは、上記した側面Sによって互いに接合される。前述のように、第1、第2および第3のフランジ600,700,750のそれぞれの上面Uは、下面Bよりも電子機器キャリア400から遠い位置にある。次に、第1、第2および第3のフランジ600,700,750のそれぞれの下面Bは、上面Uと反対側に、上面Uよりも電子機器キャリア400に近い位置にある。使用時には、図6に示すように、第1フランジ600の上面Uは、第3フランジ750の下面に取り付けられる。第3フランジ750の上面および下面は、ハウジング200の上述の内面220の一部であることに留意されたい。
【0100】
レンズアセンブリ300と電子機器キャリア400とが互いに取り付けられ、レンズアセンブリ300とハウジング200の内面220とが互いに取り付けられると、上部フランジ600は、第3フランジ750と第2フランジ700との間に位置する。すなわち、第1フランジ600の上面Uは、第3フランジ750の上面と第2フランジ650の上面との間に配置される。さらに、第3フランジ750の下面は、第3フランジ750の上面と第1フランジ600の上面Uとの間に配置されている。さらに、第1フランジ600の下面は、第3フランジ750の下面と第2フランジ700の上面との間に配置される。
【0101】
レンズアセンブリ300が、第1フランジ600の上面Uと第3フランジ750の下面との間に所定距離があるように配置され、第3フランジ750の下面と第1フランジ600の下面との間に第1フランジ600の上面Uが配置されると、サブアセンブリ300-400とハウジング200との間に相対移動が発生(例えば、開始)し得る。その後、第1フランジ600の上面Uと第3フランジ750の下面とが直接接触するか、第1フランジ600の上面Uと第3フランジ750の下面とが両方の面を取り付けた接着手段の厚み分だけ互いに間隔を空けるまで、第1フランジ600の上面Uと第3フランジ750の下面との間の所定距離が減少する。
【0102】
サブアセンブリ300-400とハウジング200との間の相対的な移動は、レンズアセンブリ300がハウジング200の下に配置され、電子機器キャリア400から離れるように上方に移動するときに起こり得る。この場合、第1フランジ600の上面Uは、第3フランジ750の下面が接着手段900および第1フランジ600の上面Uに接触するように、電子機器キャリア400から離れるように上方に移動し、第3フランジ750の下面に向かって移動する。
【0103】
サブアセンブリ300-400とハウジング200との間の相対移動は、レンズアセンブリ300がハウジング200の下方に配置され、ハウジング200が電子機器キャリア400に対して下方に移動する場合にも起こり得る。この場合、第3フランジ750の下面は、第1フランジ600の上面Uが接着手段900および第3フランジ750の下面Bに接触するように、第1フランジ600の上面Uに向かって下方に移動する。
【0104】
上記のように、カメラモジュール100は、図面の図1図2図3図6および図7に示すように、ヒータ素子1000を更に備える。ヒータ素子1000は、必要に応じてレンズ本体310を加熱する目的を果たす。これは、電流がヒータ素子100の材料を流れるときに、電気エネルギーを熱エネルギーに変換することによって行われる。その結果、レンズアセンブリ300は加熱され、その結果、必要に応じて霜が取り除かれる。レンズ本体310に付着している可能性のある障害物および水性障害物も除去することができる。光学的な汚染は、効率的に回避される。
【0105】
このため、ヒータ素子1000は、ジュール効果ヒータとして機能するように、電気抵抗を有する導電性材料からなる可鍛性薄膜を備える。したがって、ヒータ要素1000は、容易に曲げることができる。図示された非限定的な例では、ヒータ要素1000は、直径19.3mmおよび厚さ0.22mmであるが、他の値も想定される。ヒータ要素1000は、約10mmの曲げ半径を受け入れることが可能である。
【0106】
使用時には、ヒータ素子1000は、レンズ本体310の外周面を取り囲むように強く接着される。このために、図1図2図3図6に示すような接着手段1020が、レンズ本体310の外周側表面とヒータ素子1000の内周側表面との少なくとも一方に適用される。
【0107】
図示される例のヒータ素子1000は、ヒータ素子1000の薄膜材の対向する2つの端部によって重なり部分が規定されるように、レンズ本体310の外周に1周以上巻かれる。
【0108】
ヒータ素子1000は、その平面性により、レンズ本体310の外周面に好適に密着させることができる。その結果、加熱時にヒータ素子1000とレンズ本体310との間に隙間が存在しないため、レンズ本体の加熱効率が高い。また、レンズ本体310の周囲に配置されたヒータ素子1000の平面性により、レンズ本体温度が40℃オーダーに達するまでに2分程度の短時間での加熱が可能である。レンズ本体310に供給された熱が直接電子機器キャリア400に伝わらない結果、電子機器キャリア400の曲がりが防止され、レンズアセンブリ300とイメージセンサ500との光学的位置合わせが確保され最適な画質を得ることができる。
【0109】
図1図3に示すように、ヒータ素子1000は、レンズアセンブリ300の上記第1フランジ600と第2フランジ700との間に配置される。第2フランジ700は、ヒータ素子1000を案内またはガイドするのに適している。このようにして、ヒータ素子1000の取り付けが容易となる。
【0110】
ここで図面の図1図2図3を参照すると、コネクタ部材1010は、ヒータ素子1000の底部から電子機器キャリア400に向かって突出する。図7の分解図に詳細に示すように、コネクタ部材1010は、使用時には、電子機器キャリア400に形成されている開口部450を通過する。コネクタ部材1010は、電流を供給するために、ヒータ素子1000を図示しない電力ユニットに電気的に接続するためのものである。電力ユニットは、カメラモジュール100の別個の要素であってよい。
【0111】
上述したカメラモジュール100の組み立ては、レンズアセンブリ300のレンズ本体310を電子機器キャリア400に取り付けることによって行われ、レンズアセンブリ300と電子機器キャリア400に予め取り付けられているイメージセンサ500との間の光通信が確立される。次に、レンズアセンブリ300を電子機器キャリア400に取り付けるために、接着手段800が位置決め要素350および電子機器キャリア400の少なくとも一方に適用される。
【0112】
次に、ヒータ要素1000は、レンズ本体310の外側の側面上に、対応する接着剤手段1020をその間に適用することによって取り付けられる。サブアセンブリ300-400は、レンズアセンブリ300と電子機器キャリア400とが互いに取り付けられると、前部ハウジング250に取り付けられる。レンズアセンブリ300の第1フランジ600は、その後、ハウジング200の第3フランジ750に当接するまで、サブアセンブリ300-400のストッパとして機能することになる。
【0113】
レンズ本体310に取り付けられたヒータ素子1000は、上述したコネクタ部材1010を介して前記電力ユニットに電気的に接続される。これは、電子機器キャリア400に形成されている開口部または通路450にコネクタ部材1010を通過させることによって行われる。コネクタ部材1010は、電子機器キャリア400に取り付けられる。
【0114】
レンズアセンブリ300は、レンズアセンブリ300を電子機器キャリア400から遠ざけるように、図面において下から上に、いずれかに装着または嵌め込まれてもよいことに留意されたい。あるいは、ハウジング200は、第1フランジ600が前部ハウジング250の内部空間210内にあるように、ハウジング200を電子機器キャリア400から遠ざける、図面において下から上に、装着されてもよい。次いで、レンズアセンブリ300は、第1フランジ600上に適用または塗布された、特に第1フランジ600の上面Uと第3フランジ750の対応する下面との間に適用または塗布された接着手段900を介して、ハウジング200に取り付けられる。上記のように、接着手段900は、レンズアセンブリ300のハウジング200への最適な取り付けのために、第1フランジ600の側面Sと第3フランジ750の対応する側面との間にも適用される。
【0115】
レンズアセンブリ300は、レンズアセンブリ300とイメージセンサ500との間の適切な光学的位置合わせを確実にするために、接着手段800,900を硬化させる前に移動させることができる。
【0116】
その後、後部ハウジング255は前部ハウジング250と結合され、組み立てられたカメラモジュール100は、カメラモジュール100が車両に接続された状態で、レンズ本体310の少なくとも一部分が車両外側に向くように、図示しない車両の車体に最終的に取り付けられる。
【0117】
図面の図1図2図3は、それぞれ異なる長さL1、L2、L3の対応するレンズ本体310を有する3種類のレンズアセンブリ300を有するカメラモジュール100の3つの実施例を示す。図面の図1図2図3に示す3つの実施例は、図1図2図3のカメラモジュール100で使用される同じタイプのハウジング200が異なる長さを有するレンズアセンブリ300と共に使用できる、上述したカメラモジュール100のモジュール特性を説明するものである。
【0118】
図1において、レンズアセンブリ300は、その長さL1が図2に示すレンズアセンブリ300のレンズ本体310の長さL2より長いレンズ本体310を有する。図2に示すレンズアセンブリ300のレンズ本体310は、順に、図3に示すレンズアセンブリ300のレンズ本体310の長さL3よりも大きい。このように、図1図2図3に示すカメラモジュール100の同じハウジング200は、異なる長さL1、L2、L3を有する異なるレンズ本体310を受け入れることが可能である。
【0119】
カメラモジュール100のモジュール性は、決して3種類の長さL1、L2、L3に限定されるものではなく、同じハウジング200に対するレンズ本体310の長さについては、もっと多くの異なる値を適用することができる。
【0120】
同じサイズを有する同じ前部および後部ハウジング250,255を、用途に応じて異なる長さL1、L2、L3を有するレンズ本体310を有する異なるレンズアセンブリ300に使用することができるので、異なる解像度および視野を有する異なるカメラモジュール100を異なる用途に使用でき、結果として大幅なコスト削減をもたらす。
【0121】
位置決め要素350によりイメージセンサ500がレンズアセンブリ300と光学的に位置合わせされた状態で、レンズアセンブリ300と電子機器キャリア400との間の、図1に図示された一定の所定の距離Dは、レンズ本体310の長さL1、L2、L3に関係なく得られることに留意されたい。なお、レンズアセンブリ300とイメージセンサ500との間の距離は、同一の電子機器キャリア400、イメージセンサ500およびハウジング200を用いて、必要に応じて変化させることが可能である。
【0122】
本明細書では、多数の実施例を開示した。しかしながら、説明した実施例の他の代替案、修正、使用及び/又は等価物が可能である。例えば、第1、第2および第3のフランジのうちの1つまたは複数は、レンズアセンブリおよびハウジングと一体的に形成されてもよく、またはそれらのうちの1つ以上は、別個の要素であってもよい。一方、フランジは対応する平坦な表面を規定するものとして説明されてきたが、第1、第2、および第3のフランジのうちの1つまたは複数は、曲面、複数の曲率を有する表面等の凹凸又は非平面状の表面を規定するように配置されてもよい。さらに、本明細書に開示される接着手段は、任意の適切な接着剤製品、例えば、硬化すると、レンズアセンブリ、電子機器キャリア、ハウジングおよびヒータのための強力な結合を提供する紫外線硬化性接着剤から構成されてもよい。一般に、光またはUV硬化プロセスへの曝露によって第1の硬化レベルまで、また、熱硬化プロセスによって第2のより高い硬化レベルまで硬化可能な任意の接着剤が使用されてもよい。
【0123】
本明細書に記載された実施例のすべての可能な組み合わせも、このようにカバーされる。本開示の範囲は、特定の実施例によって限定されるべきではなく、添付の特許請求の範囲の公正な読み方によってのみ決定されるべきである。請求項において図面に関連する参照符号が括弧内に置かれている場合、それは単に請求項の明瞭性を高めようとするためのものであり、請求項の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7