(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023059857
(43)【公開日】2023-04-27
(54)【発明の名称】ガス・ブロック
(51)【国際特許分類】
F41A 21/28 20060101AFI20230420BHJP
【FI】
F41A21/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】22
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022165237
(22)【出願日】2022-10-14
(31)【優先権主張番号】10 2021 005 162.9
(32)【優先日】2021-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】507101668
【氏名又は名称】ヘックレル・ウント・コッホ・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】ウーヴェ・フライナー
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン・ドール
(72)【発明者】
【氏名】ヨハネス・コプフ
(57)【要約】
【課題】ガス・ブロックを提供すること。
【解決手段】本発明は、自動火器(1)のためのガス・ブロック(5)に関し、ガス・ブロック(5)は、ガス通路(51)を介して銃身(2)内の穴に流体封止接続し得るガス筒(50)を有し、制御要素(10)は、少なくとも2つの位置の間で切り替えることができ、流体封止接続が得られる第1の位置でガス通路(51)を開放し、流体封止接続が遮断される第2の位置でガス通路(52)を閉鎖するように設計される。
本発明は、制御要素(10)、ガス・ブロック(5)を備える銃身(2)、及びガス・ブロック(5)を備える自動火器(1)にも関する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動火器(1)のためのガス・ブロック(5)であって、前記ガス・ブロック(5)は、ガス通路(51)を介して銃身(2)内の穴に流体封止接続し得るガス筒(50)を有し、制御要素(10)は、少なくとも2つの位置の間で切り替えることができ、流体封止接続が得られる第1の位置で前記ガス通路(51)を開放し、流体封止接続が遮断される第2の位置で前記ガス通路(51)を閉鎖するように設計することを特徴とする、ガス・ブロック(5)。
【請求項2】
前記制御要素(10)は、少なくとも1つの内腔(11)と少なくとも1つの外壁(12)とを有するノズル体を形成し、前記ノズル体は、前記第1の切替え位置において、前記内腔(11)が前記ガス筒(50)を前記銃身内の穴に流体封止接続し、前記第2の切替え位置において、前記ノズル体の前記外壁(12)が前記ガス通路(51)を閉鎖するように移動し得ることを特徴とする、請求項1に記載のガス・ブロック(5)。
【請求項3】
前記制御要素(10)は、武器が前記ガス・ブロック(5)内で発砲される方向に横断することを特徴とする、請求項2に記載のガス・ブロック(5)。
【請求項4】
前記制御要素(10)は、前記少なくとも第1の切替え位置と前記第2の切替え位置との間で切り替わるように、前記ガス・ブロック(5)内で長手方向軸に沿って回転又は移動し得ることを特徴とする、請求項1に記載のガス・ブロック(5)。
【請求項5】
前記ガス・ブロック(5)内に少なくとも1つの穴(53)があり、前記少なくとも1つの穴(53)を通じて、前記制御要素(10)を少なくとも部分的に挿入し、前記ガス・ブロック(5)内で前記制御要素(10)を支持することを特徴とする、請求項1に記載のガス・ブロック(5)。
【請求項6】
前記制御要素(10)を前記ガス・ブロック(5)内に軸方向で固着するため、少なくとも1つの保持要素(16)、好ましくは2つの保持要素(16、18)があることを特徴とする、請求項1に記載のガス・ブロック(5)。
【請求項7】
前記制御要素(10)は、前記ガス通路(51)を封止する少なくとも1つの封止要素(26、27)を備えることを特徴とする、請求項1に記載のガス・ブロック(51)。
【請求項8】
前記制御要素(10)は、第1のばね要素(31)上に支持される第1の戻止め要素(30)を介して、前記少なくとも第1の切替え位置及び前記第2の切替え位置の所定の位置で係止し得ることを特徴とする、請求項1に記載のガス・ブロック(5)。
【請求項9】
前記制御要素(10)は、前記戻止め要素(30)と接触し得る又は接触している第1の支承面(13)を有し、前記第1の支承面(13)は、前記戻止め要素(30)に対応する少なくとも2つの凹部(14、15)を有し、前記戻止め要素(30)は、前記凹部の所定の位置にスナップ嵌めし得ることを特徴とする、請求項8に記載のガス・ブロック(5)。
【請求項10】
前記少なくとも2つの凹部(14、15)は、互いに対して、
30°から90°の間、
好ましくは45°から80°の間、又は
好ましくは60°から75°の間にある、又は
好ましくは70°である
角度間隔を有することを特徴とする、請求項9に記載のガス・ブロック。
【請求項11】
前記制御要素(10)は、前記ガス・ブロック(5)の左側及び/又は右側に、工具を伴わずに調節し得る少なくとも1つの動作要素を有する、及び/又は工具を使用して調節し得る少なくとも1つの工具ソケット(17、19)を有することを特徴とする、請求項1に記載のガス・ブロック(5)。
【請求項12】
ガス調節デバイス(6)は、銃口に向かって延在する前記ガス・ブロック(5)の端部にあり、前記銃口に向かって延在する前記ガス・ブロック(5)の部分(5a)を囲繞し、ガスを排出するための前記ガス・ブロック(5)内のガス排出ノズル(55)に流体封止接続し得ることを特徴とする、請求項1に記載のガス・ブロック(5)。
【請求項13】
前記ガス・ブロック(5)内に第2の戻止め要素(80)があり、前記第2の戻止め要素(80)は、第2のばね要素(81)上に支持され、前記第2のばね要素(81)は、前記ガス調節デバイス(6)と接触させることができ、前記ガス調節デバイス(6)上に、前記第2の戻止め要素(80)が係合し得る少なくとも2つのラッチ溝(61、62)があり、前記ガス調節デバイス(6)は、前記ガス調節デバイス(6)を前記ガス調節デバイス(6)自体の軸回りに回転させることによって、少なくとも1つの第1のガス調整設定及び少なくとも1つの第2のガス調整設定の所定の位置で前記ガス調節デバイス(6)を係止し得ることを特徴とする、請求項12に記載のガス・ブロック(5)。
【請求項14】
前記少なくとも2つのラッチ溝(61、62)はそれぞれ、前記ガス調節デバイス(6)の端面(63)の外周部に沿って、前記第2の戻止め要素(80)のための完全停止部(61a、62a)及びラッチ面(61b、62b)を形成し、前記それぞれの完全停止部(61a、62a)はそれぞれ、前記第2の戻止め要素(80)との相互作用を通じて一方の方向での前記ガス調節デバイス(6)の回転を適切に防止し、前記それぞれのラッチ面(61b、62b)は、前記第2の戻止め要素(80)との相互作用により前記第2の戻止め要素(80)が押下されるのを可能にし、前記ガス調節デバイスが各場合におけるもう一方の方向で回転し得るようにすることを特徴とする、請求項13に記載のガス・ブロック(5)。
【請求項15】
前記ガス・ブロック(5)は、前記銃口に向かって延在する端部上に案内要素(70、71、72)を有し、前記ガス調節デバイス(6)は、前記案内要素(70、71、72)内に挿入し得る相補形案内区分(65)を有し、これにより、前記ガス調節デバイス(6)が中に挿入されている際、前記ガス調節デバイス(6)が前記銃口に向かって軸方向に移動するのを適切に防止することを特徴とする、請求項13に記載のガス・ブロック。
【請求項16】
前記案内要素は、少なくとも1つの案内溝(72)によって形成され、前記少なくとも1つの案内溝(72)は、前記銃口に向かって延在する前記ガス・ブロック(5)の端部上で、軸方向突起(70)上に形成され、前記軸方向突起(70)は、前記銃口に向かって延在する部分と同軸であり、
前記案内区分(65)は、前記ガス調節デバイス(6)上の相補形径方向突起(65)によって形成され、前記案内溝(72)の挿入部分に挿入し得ることを特徴とする、請求項15に記載のガス・ブロック。
【請求項17】
前記ガス調節デバイス(6)は、前記銃口に向かって延在する部分(5a)上で軸方向に摺動し、長手方向軸回りに回転でき、前記ガス調節デバイス(6)上の支承面(63)は、最初に、前記第2のばね要素(81)の力に逆らって前記第2の戻止め要素(80)を押圧し、前記第2の戻止め要素(80)を2つの方向のうち一方の方向で回転させると、前記第2の戻止め要素(80)が、前記第2のばね要素(81)の力を通じて前記2つのラッチ溝(61、62)の一方の中に係合可能にすることを特徴とする、請求項13に記載のガス・ブロック。
【請求項18】
前記第2の戻止め要素(80)は、前記ガス調節デバイス(6)を解放するため、前記第2のばね要素(81)の力に逆らって押圧することができ、前記ガス調節デバイス(6)は、前記第2の戻止め要素(80)が押下された際に2つの方向のうち一方で回転し得ることを特徴とする、請求項13に記載のガス・ブロック。
【請求項19】
前記銃口に向かって延在する前記ガス・ブロック(5)の端部における前記軸方向突起(70)は、前記第2の戻止め要素(80)がユーザの指先によって押下されないようにする障壁も形成し、専用に設計された工具を使用して前記第2の戻止め要素(80)を押下可能にすることを特徴とする、請求項18に記載のガス・ブロック。
【請求項20】
請求項1に記載のガス・ブロック(5)のための制御要素(10)であって、前記制御要素(10)は、自動火器(1)上で前記ガス・ブロック(5)内の前記ガス筒(50)と前記銃身(2)内の穴との間の流体封止接続部を開閉し、内腔(11)を有するノズル体を有し、前記内腔(11)は、前記ノズル体の長手方向に横断する、制御要素(10)。
【請求項21】
請求項1に記載のガス・ブロック(5)を有する銃身(2)。
【請求項22】
請求項1に記載のガス・ブロック(5)、又は請求項20に記載の制御要素(10)、又は請求項21に記載の銃身(2)を備えることを特徴とする、自動火器(1)、特に機関銃又は突撃銃。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルに記載の自動火器のためのガス・ブロックに関する。本発明は、そのようなガス・ブロックのための制御要素にも関する。本発明は、更に、そのようなガス・ブロックを有する銃身に関する。本発明は、この種類のガス・ブロックを備える自動火器にも関する。
【0002】
文書において、「上」、「下」、「前」、「後」等の位置の用語は、内腔軸が水平であり、弾丸が射撃手から離れて前方に発射される火器に関する。
【背景技術】
【0003】
自動火器のガス・ブロック、及びガス・ブロックを備える銃身、並びに自動火器、例えば攻撃用武器、機関銃及び狙撃銃に対し、様々な公知の形態がある。
【0004】
ガス・ブロックは、通常、銃身上の前方3分の1に置かれる。ガス・ブロックの内側には、銃身内の穴に流体封止接続されるガス通路があり、ガス作動式再装填機構を作動させるために、弾丸が発射される際に銃身からガス通路を通じて推進ガスを流用できるようにする。銃身は、いわゆる銃身尾筒内の尾筒の内側に位置し、尾筒の所定の位置に固定される。遊底組立体もあり、遊底組立体は、弾丸を発射した際に尾筒内で長手方向に移動し、発射した実包弾を取り出し、再装填するためのものである。
【0005】
弾丸を発射し、自動的に再装填するシーケンスは、以下のように単純化して説明できる:遊底、特に、ボルト・ヘッドが、実包を公知の様式で実包供給弾倉から出し、銃身内の薬室に案内し、弾丸を発射させる。トリガ機構を操作する際、発射ピンが実包の後部に衝突し、推進剤を点火し、こうして銃身を通じて実包から発射体を発射させる。発射体が銃身内の穴を通過すると、発射工程の間に放出されたガスは、ガス・ブロック内で流用される。
【0006】
流用される推進ガスは、遊底を公知の様式で戻すために使用される。推進ガスは、ガス・ブロック及びガス・ブロックに結合するガス棒を介して、銃床に向かって遊底を高速で後方に駆動する。ボルト・ヘッドには、ブロックがあり、ブロックは、実包ケースの後部の縁を把持し、遊底が後方に移動する際に弾倉を引き出す。エジェクタは、弾倉排出窓を通じて尾筒から実包ケースを公知の様式で排出する。遊底が前方に移動すると、新たな実包が薬室内に案内され、このサイクルが繰り返される。遊底が最前位置にある場合、遊底は、銃身の後端を閉鎖しており、装薬に点火された際に排出ガスが銃身から後部に向かって逃げないようにする。
【0007】
突撃銃HK433のための例示的ガス・ブロックは、本出願人によるDE 10 2017 002 165 A1から公知である。ガス・ブロックは、ガス・ブロックを銃身に取り付ける台と、ガス通路を介して銃身内の穴に接続し得るガス筒と、ガス作動式再装填機構を駆動するためにガス筒内で長手方向に移動し得るガス・ピストンとを有する。端部要素は、ピストンのための通路を有する銃床に面するガス筒の端部に解放可能に結合し得る。そのようなガス・ブロックを備える銃身及びそのような銃身を有する自動小銃も当該文献で開示されている。
【0008】
自動小銃内の移動部品を含むモジュールへのガス流を調節するシステムは、US 2015/0241149 A1から公知である。このシステム内の銃駆動機能は、US 2015/0241149 A1の
図6及び
図7からわかるように、遊底支持体内の構成要素に螺入されるボルトを介して調整される。ボルトの螺入により得られる封止の結果、このシステム内でガス流を完全に遮断することはできない。とりわけ、このことにより、薬室内に蓄積する汚染物が増大する可能性がある。更に、このシステムは、制限された程度でしか作動することができない。このシステムでは、弾丸を発射する際に遊底の移動が常にあるため、連発機能がない。
【0009】
作動システム内のガス圧を調節し得る火器は、US 2016/0209138 A1から公知である。ガス流は、止めねじの螺入により調整し得る、即ち、線形変位が生じる。したがって、武器の機能及び遮断機能は、同じ制御要素により制御し得る。したがって、ユーザは、武器を機能させる基本様式を改変する可能性を有する。多数の可能な調節により、エラーが生じるおそれがある。更に、一方の機能から別の機能への切替えは時間がかかる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】DE 10 2017 002 165 A1
【特許文献2】US 2015/0241149 A1
【特許文献3】US 2016/0209138 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、代替的なガス・ブロック及びこのガス・ブロックを備える銃身、並びにそのようなガス・ブロックを有する自動火器を生成することである。したがって、武器の基本機能を改変する必要なく、迅速で、信頼でき、完全に開閉し得るガス・ブロックが提供される。更に、汚れた際に依然として安全に機能し、小型でもあるガス・ブロックが得られる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
これらの問題は、独立請求項1並びに同等の独立請求項20、21及び22の主題によって解決される。
【0013】
本発明の第1の態様は、自動火器のためのガス・ブロックに基づき、ガス・ブロックは、ガス通路を介して銃身内の穴に流体封止接続し得るガス筒を含む。
【0014】
従来技術とは異なり、このガス・ブロックは、制御要素を含み、制御要素は、2つの位置を取ることができ、流体封止接続をもたらす第1の位置でガス通路を開放し、流体封止接続を遮断する第2の位置でガス通路を閉鎖するように設計される。
【0015】
制御要素は、従来技術のようにガス流を可変式又は線形に調整するのではなく、特に、段階的に調整する。この段階的な調整又は調節により、制御要素の迅速で正確な設定を可能にし、ガス・ブロックを迅速で確実に開閉し得る。
【0016】
推進ガスは、遊底組立体が公知の様式で後方に移動するように、少なくとも第1の位置で流用し得るが、少なくとも第2の位置では、推進ガスは全く流用されないか、又は少量しか流用されない。弾薬は、この位置では自動的に供給されず、装填レバーの手動操作によってのみ装填し得る。
【0017】
言い換えれば、本発明は、「遮断」可能なガス・ブロックをもたらす。したがって、自動作動と単発作動との間で切替えることが可能である。自動作動は、武器の半自動又は完全自動作動モードのいずれかであると理解し得る。単発作動又は連発機能は、武器が、手動装填機構を使用して、弾倉から弾薬が薬室に装填されるように機能することを意味すると理解し得る。この場合、武器は、連発銃のように実質的に機能する。
【0018】
連発機能は、特に、小銃擲弾及び/又は亜音速弾を使用する際に有利であることがわかっている。亜音速弾は、最大330メートル/秒の発射体出口速度を呈する。この制限された発射体速度にもかかわらず最大に可能な発射体出力を得るために、亜音速弾の発射体は、通常、標準的な弾よりも重量がある。重量がある発射体は、大きな慣性のために推進装薬のガス圧に対してより大きな抵抗を呈するため、より緩やかに燃焼する粉体を通常使用し、許容可能な限度内で武器の内側にガス圧を保つようにする。亜音速弾を用いて武器を作動させる際、エラーが生じる可能性もある。このエラーの原因は、実質的に、この特定の弾薬に関連するより弱い装薬にあると突きとめることができる。
【0019】
本発明によるガス・ブロックを使用すると、特に亜音速弾を使用する際の武器の誤作動を防止し得る。別の利点は、連発過程の間に生じる騒音の発生を防止することである。このことは、特に戦術的展開の間、望ましい場合がある。
【0020】
推進ガスの流用を段階的に低減又は増大可能なガス・ブロックを得るため、3つ以上の切替え位置、例えば3又は4又はより多くの切替え位置を有することが可能である。したがって、異なる作動モード又は異なる弾薬に対して異なるガス圧を得ることができる。このことにより、迅速で完全に開閉し得る一方で、依然として1つ又は複数の中間切替え位置を可能にするガス・ブロックがもたらされ、したがって、所定のガス流量を可能にする。
【0021】
ガス通路が完全に開放されるか又は完全に閉鎖されるように、厳密に2つの切替え位置のみを取り得る制御要素も好ましい。開放又は閉鎖のみ可能な制御要素は二元弁ともいわれる。このことにより、構造が単純な遮断デバイスを有するガス・ブロックがもたらされ、この遮断デバイスにより、例えば武器の基本機能を改変する必要なくガス・ブロックを迅速に確実に、完全に開閉し得る。
【0022】
制御要素は、好ましくは、少なくとも1つの内腔と少なくとも1つの外壁とを有するノズル体の形態であり、ノズル体は、移動するように設計され、第1の位置において、内腔によりガス筒を銃身内の穴に流体封止接続させ、第2の位置において、ノズルの外壁がガス通路を閉鎖する。
【0023】
内腔は、好ましくは、断面が全長にわたり均一なサイズを呈するノズルの形態である。内腔又はノズルの断面サイズは、好ましくは、ガス通路の断面サイズと同じであるか又はガス通路の断面サイズよりも小さい。
【0024】
制御要素は、好ましくは、制御要素が武器の発射方向に横断するようにガス・ブロック内に置かれる。この配置により、制御要素は、少なくとも2つの位置の間で長手方向軸回りに旋回し得る、又は制御要素は、長手方向軸に沿って長手方向に移動し得るようにガス・ブロック内に配置し得る。制御要素は、好ましくは、長手方向軸回りに旋回する、即ち、制御要素自体の軸回りに回転し得る。
【0025】
本発明の構造的に単純な実施形態では、ガス・ブロック内で制御要素を支持するように、制御要素が少なくとも部分的に挿入される少なくとも1つの穴がガス・ブロック内にある。この少なくとも1つの穴は、好ましくは、好ましくは武器の発射方向に横断する状態で、ガス・ブロックを完全に通過する。
【0026】
ガス・ブロック内のガス通路の軸及び制御要素のための少なくとも1つの穴の軸は、好ましくは、交差する。この交差は、好ましくは90°の角度を形成する。
【0027】
好ましい実施形態では、ガス・ブロック内のガス通路は、好ましくは、制御要素のためのガス・ブロック内の穴を直交する状態で通過し、制御要素は、武器の発射方向に横断する。
【0028】
制御要素をガス・ブロック内に軸方向で固着するため、少なくとも1つの保持要素、好ましくは2つの保持要素がある。少なくとも1つの保持要素は、軸方向に組み付けられる保持リングとすることができ、保持リングは、制御要素上の対応する溝、例えば環状溝内に配置し得る。保持要素は、径方向に延在する軸方向区分の形態であってもよい。径方向の延在部は、円板又は板の形状とすることができ、好ましくは、制御要素の端部分を形成する。穴を通じて制御要素を挿入し、発射方向に横断させる際、好ましくは、ガス・ブロックの左側及び右側から制御要素を所定の位置に固着する2つの保持要素がある。
【0029】
軸方向に固着され、発射方向に横断する制御要素は、第1の位置と第2の位置との間で制御要素自体の軸回りに単純に回転し得る。
【0030】
本発明の別の好ましい実施形態では、制御要素は、ガス通路のための少なくとも1つの封止要素を備える。少なくとも1つの封止要素は、例えば、制御要素内に形成された少なくとも1つの溝内に配置し得る。封止要素は、例として、1つ又は複数の封止リング又はピストン・リングによって形成し得る。少なくとも1つの封止要素は、制御要素を封止する、即ち、推進ガスが逃げないようにする。このことにより、特に、武器の誤作動を確実に防止する。
【0031】
特に良好に封止される制御要素を得るため、好ましくは、制御要素の軸方向で見えるように、制御要素内の内腔又はノズルの前方及び背後に少なくとも1つの封止要素がある。
【0032】
本発明の別の実施形態では、制御要素は、第1の戻止め要素によって、少なくとも第1の位置及び第2の位置で所定の位置に係止でき、第1の戻止め要素は、第1のばね要素、例えば、圧縮ばね又はうず巻ばね上に支持される。この係止は、制御要素を少なくとも第1の位置又は第2の位置で保持し、ばね要素のばね力を克服することによってのみ移動し得るようにする。公知の切欠き又はスナップ嵌めデバイスを使用して制御要素を所定の位置に係止でき、所定の位置では、機構が少なくとも第1の位置又は第2の位置でスナップ嵌めされ、この特定の位置で留められる。
【0033】
好ましくは、第1のばね式戻止め要素があり、この第1の戻止め要素は、少なくとも第1の位置又は第2の位置からもう一方の位置の方に制御要素を回転させた際に第1のばね要素の力に逆らって軸方向に移動し、もう一方の位置に到達すると、第1のばね要素の力によって第1の戻止め要素の軸方向の移動を可能にするように設計される。
【0034】
制御要素は、好ましくは、制御要素のための少なくとも2つの凹部を有する第1の支承面を有し、第1の支承面は、第1の戻止め要素と接触し得る、又は第1の戻止め要素と接触している。凹部は、貫通孔、又は構成要素を完全に通過しないように制限された深さの穴とし得る。制限された深さの穴は、止り穴とも呼ばれる。少なくとも2つの凹部は、好ましくは、保持要素の径方向端部に位置し、部分的な円板又は板として形成する。
【0035】
凹部は、特定の角度の間隔で位置する。少なくとも2つの凹部は、好ましくは、互いに対し、
30°から90°の間、
好ましくは、45°から80°の間、又は
好ましくは、60°から75°の間にある、又は
好ましくは、70°である
角度間隔を呈する。
【0036】
所定の位置での係止及び所定の位置からの解放を単純化するため、凹部、及び凹部内の所定の位置に係止する戻止め要素の端部は、先がとがっているか又は円錐形である。
【0037】
所定の位置での係止に対する代替又は補足として、ガス・ブロックは、好ましくは、制御要素の回転を制限する制限部を有する。したがって、制御要素は、一定の回転の後、ガス・ブロック上の対応する停止面を圧迫する1つ又は複数、好ましくは2つの停止部を有し得る。このことにより、対応する凹部を有する制御要素が、特に戻止め要素を越えて回転しないようにする。
【0038】
本発明の好ましい実施形態では、第1の戻止め要素及び第1のばね要素が少なくとも部分的に受け入れられる止り穴がある。制御要素上の支承面の凹部の所定の位置に嵌合する戻止め要素の端部は、止り穴から延在する。特に、止り穴の軸は、制御要素内の穴に平行とし得る。
【0039】
制御要素の移動は案内された移動であるため、個々の凹部を接続する案内レール又は案内溝を必要としない。しかし、特に好ましい実施形態では、制御要素が戻止め要素と接触する際に支承面の制御された案内を可能にするため、案内レール又は案内溝により凹部を接続することは、有用であり得る。
【0040】
制御要素は、少なくとも1つの作動要素を有し、少なくとも1つの作動要素により、制御要素を工具なしで移動し得る、及び/又は、特にガス・ブロックの左側及び/又は右側で、工具ソケットに挿入される少なくとも1つの工具により移動し得る。工具ソケットは、特定のねじ回しの外形、特に、六角穴ソケット用に設計し得る。規格のねじ回し又はフィリップスねじ用のねじ回し等、他の外形用であるように設計することもできる。
【0041】
本発明の更なる展開において、ガス・ブロックは、銃口に向かって延在するガス・ブロックの端部にガス調節デバイスを備え、ガス調節デバイスは、銃口に向かって延在するガス・ブロックの部分を囲繞し、ガスを排出するガス・ブロック上のガス排出ノズルと流体封止接続をもたらし得る。
【0042】
ガス調節デバイスは、少なくとも2つのガス調整設定において、所定の位置で作動、係止し得る。好ましくは、ガス・ブロック内の第2のばね要素上に、ガス調節デバイスと接触し得る第2の戻止め要素、及び第2の戻止め要素がガス調節デバイス上で係合し得る少なくとも2つのラッチ溝があり、ガス調節デバイスをガス調節デバイス自体の軸回りに回転させることによって、少なくとも1つの第1のガス調整設定及び少なくとも1つの第2のガス調整設定の所定の位置で、ガス調節デバイスを係止し得る。
【0043】
少なくとも2つのガス調整設定の一方は、シグネチャ・サプレッサを伴って作動させることを意図する。この位置では、ガス調節デバイスは、ガス・ブロック内のガス排出ノズルと流体封止接続状態にある。少なくとも2つのガス調整設定のもう一方は、シグネチャ・サプレッサなしで、特にいわゆる通常作動で作動させることを意図する。この設定では、ガス調節デバイスとガス排出ノズルとの間に流体封止接続はない。
【0044】
少なくとも2つのラッチ溝は、好ましくは、ガス調節デバイスの端面の円周上で第2の戻止め要素のための完全停止部及びラッチ面を形成する。この場合、第2の戻止め要素と相互作用するそれぞれの完全停止部は、複数の方向の一方でガス調節デバイスが回転するのを適切に防止する一方で、第2の戻止め要素と相互作用するそれぞれのラッチ面は、第2の戻止め要素を押下可能にし、これにより、ガス調節デバイスがもう一方の方向で回転するのを可能にする。
【0045】
少なくとも2つのガス調整設定の一方から開始して、第2の戻止め要素は、少なくとも2つのラッチ溝の一方にスナップ嵌めされる、即ち、第2の戻止め要素は、2つのラッチ溝のうち一方に係合する。それぞれのラッチ溝及び戻止め要素の寸法及び/又は形状のために、ガス調節デバイスは、ガス調節デバイスをもう一方のガス調整設定に切替えるには、この位置から2つの方向の一方でしか回転できない。この場合、ガス調節デバイスは、戻止め要素が完全停止部と接触するまで、もう一方の方向でしか回転できない。したがって、戻止め要素と完全停止部との相互作用により、更なる回転が適切に防止される。
【0046】
完全停止部とは異なり、もう一方の方向のラッチ面は、ガス調節デバイスの回転が可能であるように設計される。したがって、ガス調節デバイス上の傾斜支承面は、銃口に向かって働くばね要素の力に逆らってガス調節デバイスの回転を可能にする。したがって、ガス調節デバイスは、戻止め要素と支承面との相互作用の結果、もう一方のガス調整切替え位置に移動し得る。
【0047】
一方のガス調整設定からもう一方のガス調整設定への切替えを容易にするため、ラッチ面は、好ましくは、傾斜しており、ラッチ溝内で係合する戻止め要素の端部は、端部が丸い又は端部がとがった円錐形である。
【0048】
ガス・ブロックは、好ましくは、銃口に向かって延在する端部に案内要素を有し、ガス調節デバイスは、案内要素に挿入し得る相補形案内区分を有し、これにより、ガス調節デバイスが中に挿入されている際、ガス調節デバイスが銃口に向かって軸方向に移動するのを適切に防止する。
【0049】
上記した保持デバイスは、軸方向及び円周方向の両方でガス調節デバイスを適切に固着し、工具を用いずにガス調節デバイスの設定を切替えることも可能にする。
【0050】
案内要素は、特に好ましくは、銃口に向かって延在するガス・ブロックの端部で、軸方向突起上の少なくとも1つの案内溝によって形成され、銃口に向かって延在する区分に同軸である。案内区分が、ガス調節デバイス上に相補形径方向突起によって形成される場合、ガス調節デバイスは、案内溝の挿入部分に挿入し得る。案内溝の挿入部分への挿入は、特に円周方向で行うことができる。
【0051】
ガス調節デバイスをガス・ブロックに解放可能に結合するため、ガス調節デバイスは、銃口に向かって延在する区分上で軸方向に摺動し、長手方向軸回りに回転でき、ガス調節デバイス上の支承面は、最初に、第2のばね要素の力に逆らって第2の戻止め要素を押圧し、ガス調節デバイスの2つの方向のうち一方での回転により、第2のばね要素の力により第2の戻止め要素を2つのラッチ溝の一方に係合可能にする。
【0052】
ガス調節デバイスを解放するには、第2の戻止め要素は、第2のばね要素の力に逆らって押圧でき、ガス調節デバイスは、戻止め要素を内側に押圧する間に2つの方向の一方で回転させることができる。
【0053】
銃口に向かって延在するガス・ブロックの端部にある軸方向突起は、障壁としても好ましく設計され、これにより、指先で戻止め要素を押さないようにする一方で、適切な工具の使用により戻止め要素を押下可能にする。このことにより、指先によるガス調節デバイスの意図しない解放を防止する。
【0054】
上記したガス調節デバイスは、上記したガス・ブロックの一部であり、本発明による制御要素を有する。ガス調節デバイスは、本発明による制御要素を有さない、又は本発明による制御要素以外の制御要素を有するガス・ブロックと共に使用することもできる。
【0055】
したがって、火器のためのガス・ブロックを提供することができ、ガス・ブロックは、
銃口に向かって延在するガス・ブロックの端部に、ガス調節デバイス
を備え、ガス調節デバイスは、銃口に向かって延在するガス・ブロックの端部の区分を囲繞し、ガス排出ノズルと流体封止接続することができ、ガス調節デバイスは、取付けデバイスを介してガス・ブロックに解放可能に結合することができ、
ガス・ブロック内に、ガス調節デバイスと接触し得る、ばね要素上に支持された戻止め要素があり、
ガス調節デバイス上に、戻止め要素と係合し得る少なくとも2つのラッチ溝があり、
ガス調節デバイスは、ガス調節デバイスをガス調節デバイス自体の軸回りに回転させることによって、少なくとも1つの第1のガス調整設定及び少なくとも1つの第2のガス調整設定で所定の位置に係止し得る。
【0056】
そのようなガス・ブロックは、ガス・ブロックを銃身に取り付ける台と、ガス通路を介して銃身内の穴に流体封止接続し得るガス筒と、ガス作動式再装填機構を駆動するように、ガス筒内で長手方向に移動し得るガス・ピストンとを備える。
【0057】
この代替ガス・ブロックは、特に、ガス調節デバイスに関連する上記で説明した特徴により改善し得る。
【0058】
本発明の別の態様によれば、火器上に、ガス・ブロック内のガス筒と銃身内の穴との間の流体封止接続を開閉するガス・ブロックのための制御要素がある。制御要素は、内腔を有するノズルとすることができ、内腔は、ノズル体の長手方向に横断する。
【0059】
ノズルは、少なくとも1つの封止手段のための少なくとも1つの溝を有し得る。ノズルは、好ましくは、少なくとも2つの封止手段のための2つの溝を有する。少なくとも2つの封止手段のための2つの溝は、内腔が2つの溝の間で軸方向に置かれるように、特に好ましく配置される。
【0060】
少なくとも1つの封止手段は、特に、1つ又は複数の封止リング又はピストン・リングの形態とし得る。
【0061】
更に、制御要素は、少なくとも1つの保持要素、特に、2つの保持要素を有することができ、保持要素により、制御要素をガス・ブロック内又はガス・ブロック上の所定の位置に軸方向に固着する。保持要素は、例えば、好ましくは溝内に置かれる保持リングの形態とし得る。保持要素は、保持リングではなく、制御要素自体の一区分、例えば、径方向に延在する区分によって、好ましくは円板又は板の形態で形成し得る。少なくとも1つの保持要素は、特に、制御要素の軸方向端部の端部を形成し得る。保持要素が円板又は板の形態である場合、溝は不要である。
【0062】
保持リングは、好ましくは、制御要素の一方の軸方向端部で使用され、円板形状端区分は、好ましくは、制御要素のもう一方の軸方向端部で使用される。
【0063】
制御要素は、好ましくは、工具のためのソケットを有する。このことにより、適切な工具を使用して制御要素を設定可能にする。代替的に又は工具ソケットと組み合わせて、制御要素を手動設定する作動要素があってもよい。
【0064】
少なくとも1つの保持要素は、好ましくは、ばね式戻止め要素を所定の位置で中にスナップ嵌めし得る少なくとも2つの凹部を有する。少なくとも2つの凹部は、好ましくは、部分的な円板又は板として設計される保持要素の径方向端部に位置する。
【0065】
少なくとも2つの凹部は、
30°から90°の間、
好ましくは、45°から80°の間、又は
好ましくは、60°から75°の間にある、又は
好ましくは、70°である
角度間隔を呈する。
【0066】
戻止め要素を所定の位置に容易にスナップ嵌めする、又は戻止め要素を取り外すため、少なくとも2つの凹部は円錐形である。
【0067】
本発明の第3の態様によれば、上記したガス・ブロック又は上記した制御要素を有する銃身が得られる。
【0068】
第4の態様によれば、上記したガス・ブロック又は上記した制御要素又は上記した銃身を有する火器、特に、機関銃又は突撃銃が提供される。
【0069】
火器は、好ましくは、ガス・ブロックに解放可能に結合し得るガス・ピストン棒と、尾筒内で長手方向に移動し得るガス・ピストン棒に結合される遊底組立体とを備える。
【0070】
添付の概略図を参照して、本発明の例示的な実施形態を以下で更に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【
図2】組み立てた状態の
図1の火器のためのガス・ブロックの側面図である。
【
図3】左側からの
図2のガス・ブロックの斜視図である。
【
図4】右側からの
図2のガス・ブロックの斜視図である。
【
図5】制御要素を開放した際の
図2から
図4のガス・ブロックの更なる断面図、及び制御要素を開放した際の上面図である。
【
図6】
図5のガス・ブロックの別の断面図及び正面図である。
【
図7】制御要素を閉鎖した際の
図5及び
図6のガス・ブロックの図である。
【
図8】制御要素を開放した際のガス・ブロックの左側からの斜視図である。
【
図9】
図8のガス・ブロックの右側からの斜視図である。
【
図12】ばね要素を有する
図11の制御要素の好ましい実施形態の図である。
【
図15】
図2のガス調節デバイスの前方からの斜視図である。
【
図16】
図15のガス調節デバイスの後方からの斜視図である。
【
図17】第1のガス調整設定及び第2のガス調整設定における
図15及び
図16のガス調節デバイスを有するガス・ブロックの側面図である。
【
図18】ガス・ブロックを組み立てるステップの図である。
【発明を実施するための形態】
【0072】
自動火器のためのガス・ブロック、又はそのようなガス・ブロックを有する銃身及び自動火器に対する構造及び機能を以下で図面を参照しながら説明する。図面は、本発明の好ましい実施形態を示す。
【0073】
まず、本発明による自動火器の構造を
図1を参照しながら説明する。
図1は、自動火器1の側面図を右側から示す。
【0074】
自動火器は、この場合、突撃銃(HK417)の形態の自動小銃であり、実質的に、以下の要素:ガス・ブロック5を組み付けた銃身2と、消炎器3と、銃身2が中に置かれる尾筒4と、尾筒4に結合される被筒(図示せず)と、尾筒4上に組み付けられる握把7とを備える。尾筒4内には装填機構及び遊底組立体8もある。突撃銃1は、銃床9も有する。
【0075】
個々の組立体又は部品及びこれらの機能自体は、本発明によるガス・ブロック5を除き、公知である。ガス・ブロック5の機能は、本出願人によるDE 10 2017 002 242 A1に包括的に記載されており、ガス・ブロック5の機能がHK433突撃銃を参照して当該文献に記載されていることは、無関係である。
【0076】
図2は、好ましい一実施形態におけるガス・ブロックの長手方向断面図を示す。ガス・ブロック5は、銃身2上に組み付けることができる円筒形管状支承部35を備える。消炎器3はこのために取り外され、次に、ガス・ブロック5を銃身上に摺動させる。ガス・ブロック5を所定の位置に固着するため、横断ピンを挿入し得る横断穴36がある。ガス・ブロック5は、ガス通路51を介して銃身2内の穴に流体封止接続し得るガス筒50を備える。本実施形態では、ガス通路51は、2つのガス通路部52a、52bによって形成され、2つのガス通路部52a、52bは、一緒に嵌合した際に面一である。
【0077】
ガス・ブロックは、ガス・ピストン40も有し、ガス・ピストン40は、ガス作動式再装填機構を駆動するため、ガス筒50内で長手方向に移動し得る。ガス・ピストン40は、ショートストローク・ガス・ピストンの形態である。ショートストローク・ガス・ピストン40は、銃口に向かって延在する前端に、ガス・ピストン・ラグ又はバルブ・ピン41を備え、ガス・ピストン・ラグ又はバルブ・ピン41は、ガス筒50の延長部内で銃口に向かって延在する2段ガス通路54内で長手方向に誘導、封止する。ガス通路54は、ガス排出ノズル55で終端し、ガス排出ノズル55を通じて推進ガスを銃口の方に排出し得る。バルブ・ピン41は、ガス通路54に容易に挿入し得るように、前端が円錐形である。ショートストローク・ガス・ピストン40は、円錐部分42で後部が銃床に向かってより広くなり、次に、周方向環状溝を有する支承部分43に移行する。
【0078】
支承部分43の外側寸法は、基本的に、ガス筒50の内側寸法と相補形である。封止リングは、ガス筒50に対してショートストローク・ガス・ピストン40を封止する溝内に置かれる。支承部分43は、円筒形部分44内の銃床に向かって継続し、円筒形部分44の端部は、ガス筒50の軸方向端部で穴56を通じて延在する。円筒形部分44の外側寸法は、依然として、実質的にガス筒50の内側寸法と相補形である。ガス・ピストン40は、対の停止面57のための停止面45も有し、対の停止面57は、銃床に面するガス筒50の端部に形成され、ガス・ピストン40が銃口に向かって前方に移動するのを制限する。
【0079】
ショートストローク・ガス・ピストン・システムの機能自体は公知であり、これに対する更なる説明は不要である。
【0080】
ガス・ブロック5は、2つの切替え位置の間で移動し得る制御要素10も有する。ガス・ブロック5内には、制御要素10のための穴53(
図3及び
図4を参照)があり、この穴53を通じて、発射方向に横断する方向で制御要素10が挿入される。明らかにわかるように、制御要素10は、ガス通路の2つの部分52a、52bを互いから分離する。制御要素10は、内腔11及び外壁12を有するノズルを形成する。
【0081】
制御ユニット10は、厳密に2つの切替え位置、即ち、ガス通路51が第1の位置で開放される位置、及びガス通路51が第2の位置で閉鎖される位置、まで回転し得る。第1の位置では、制御要素10内の内腔11は、ガス通路の2つの部分52a、52bを互いに流体封止接続し、ガス筒50を銃身内の穴に流体封止接続する。第2の位置では、外壁12は、この流体封止接続を遮断し、ガス通路51を閉鎖する。
【0082】
ガス・ブロックは、止り穴53aの内側で第1のばね要素31上に支持される第1の戻止め要素30も有する。制御要素10は、このばね式戻止め要素30を介して2つの切替え位置における所定の位置で係止し得る。制御要素10及び第1の戻止め要素30に関する構造の詳細を以下の図面、特に
図10から
図14を参照しながら説明する。
【0083】
ガス・ブロックは、制御要素10により遮断し得る。推進ガスは、遊底組立体が公知の様式で後方に移動するように、開放位置とも呼び得る第1の位置で流用し得る。閉鎖位置とも呼び得る第2の位置では、単発モードでのみ火器を作動させることが可能である。即ち、弾薬は、手動機構を介して装填しなければならない。そのような機構は、周知であり、更なる説明は不要である。
【0084】
本発明によるガス・ブロックは、特に亜音速弾を使用する武器の誤作動を防止し得る。別の利点は、再装填の間に生じる騒音が出るのを防止する、又は少なくとも低減することにある。制御要素は、ガス・ブロックを開閉するために迅速、正確に切替えることもできる。
【0085】
ガス・ブロック5は、ガス調節デバイス6も有する。ガス調節デバイス6は、スリーブ形状体60を備え、銃口に向かって延在するガス・ブロック5の端部5a上を摺動し、次に、2つのガス調整位置のうちの一方を取るためにガス調節デバイス6の軸回りに回転する。ガス調節デバイスは、2つのガス排出開口66、67を有し、2つのガス排出開口66、67は、銃口に向かって延在する部分5aでガス排出通路58、59と位置合わせし得る。推進ガスは、これらの開口を通じて環境内に排出し得る。
【0086】
理論的には、ガス調節デバイスをガス・ブロックに結合するには、任意の差込み回転式接続を使用し得る。
【0087】
ガス調節デバイス6を2つのガス調整設定のうちの一方で係止するため、第2のばね要素81上に支持される第2の戻止め要素80がガス・ブロック5内にあり、第2の戻止め要素80は、ガス調節デバイス6に接続されるか、又はスリーブ60と接触し得る。少なくとも2つのラッチ溝61、62は、ガス調節デバイス6上にあり、少なくとも2つのラッチ溝61、62は、第2の戻止め要素80に相補形であり、第2の戻止め要素80と係合し得る(特に
図15及び
図16を参照)。ガス調節デバイス6は、第2のガス調整位置にある、即ち、第2の戻止め要素80は、ラッチ溝62内にスナップ嵌め又は係合される。
【0088】
この所定の位置での係止のために使用される第2の戻止め要素80の軸は、発射方向に平行であり、第2の止り穴82内で第2のばね要素81上に支持され、発射方向に横断するピン83により所定の位置で固着される。ピン83は、止り穴82に横断する穴84に挿入される(
図3及び
図4を参照)。穴84は、止り穴82を部分的に通過し、穴84の軸は、止り穴82の上にある。図示しない代替実施形態では、穴84の軸は、止り穴82の下に延びる。
【0089】
横断ピン83は、前方に向かう軸方向の移動経路を制限するという点で、戻止め要素80を固着する。戻止め要素80の後方への移動、即ち、ばね要素81の力に逆らった移動は、横断ピン83によって妨げられない。このことにより、単純な組立体がもたらされ、それぞれのラッチ溝61、62への戻止め要素の挿入及び取外しが制御される。
【0090】
第2の戻止め要素80を据え付けるため、ばね要素81及び戻止め要素80は、最初に、ばね要素81の力に逆らって止り穴82に挿入される。この圧縮状態において、横断ピン83を穴84に挿入し得る。戻止め要素80を解放するには、最初に、戻止め要素80をばね要素81の力に逆らって押圧しなければならない。その後、横断ピン83を取り外すことができる。
【0091】
以下の
図3及び
図4で容易にわかるように、第2の戻止め要素80は、銃口に向かって延在する端部で上部が斜めに切られており、第2の戻止め要素80上に支承面85を形成する。戻止め要素80を挿入した際、第2の戻止め要素80によって横断ピン83に対して十分な圧力が加えられ、横断ピン83が穴84から意図せずに滑り出さないことを保証する。このことにより、単純な保持要素がもたらされ、戻止め要素80の長手方向の移動も可能にし、戻止め要素80をガス調節デバイス内のラッチ溝61、62に嵌合し、ラッチ溝61、62から外すことができる。
【0092】
ガス調節デバイス、特に差込み回転式接続の詳細を以下の図面、特に
図15及び
図16を参照しながら説明する。
【0093】
図3及び
図4は、それぞれ、左側及び右側からのガス・ブロック5を分解図で示す。
【0094】
特に
図3及び
図4からわかるように、制御要素10は、支承面13を有し、支承面13は、制御要素10の左端部に接続され、戻止め要素30と接触し、戻止め要素30に対応する2つの凹部14、15を有し、2つの凹部14、15の中に、戻止め要素30を所定の位置でスナップ嵌めし得る。支承面13は、ガス・ブロック5の方を向く、制御要素10の円板形状の端部分16の端面によって形成される。止り穴53aの軸は、穴53に平行であり、このため、戻止め要素30の軸も制御要素10に平行とし得る。
【0095】
図5は、ガス・ブロックを3つの断面A、B、C及び上から示す。
【0096】
断面Aは、スリーブ60、銃口に向かって延在する部分5a及びガス通路54の軸を通じて長手方向に延びる。断面Aは、穴84の上に位置する。断面Aは、ガス通路54及びガス排出ノズル55の前端部を露出し、より下の画像からわかるように、上から見ることを可能にする。
【0097】
断面Bは、長手方向に、部分的に止り穴82の軸及び制御要素10の軸に沿って延びる。断面Bは、最初に、前方から見える、止り穴82内に受け入れられる第2のばね要素81を露出する。止り穴82、したがって、ばね要素81は、ガス・ブロック5の中間にあり、発射方向に平行であることが容易にわかる。
【0098】
断面Bは、制御要素10の「内側稼働部」も露出する。2つのガス通路部52a、52bを互いに流体封止接続する、したがって、ガス通路51を開放するために、穴11がどのように「上下に」延びているかが容易にわかる。制御要素10は、この場合、第1の位置にある。第1の位置は、ガス・ブロックの左側で「空の円」によって示され、第2の位置は、「十字の入った円」によって示される。2つの工具ソケット17、19は、六角穴ソケットの形態で制御要素10のそれぞれの軸端部上に形成される(特に
図14を参照)。
【0099】
断面Cは、径方向から見て、断面Bの上及び断面Aの下に、第1の戻止め要素30及び第1のばね要素31の軸を通って長手方向に延びる。戻止め要素30は、第1の位置で第1の凹部14の所定の位置にスナップ嵌めされる。
【0100】
図6は、
図5のガス・ブロック5を断面D及び前方から示す。断面Dは、ガス・ブロック5を通る断面であり、制御要素10の軸に沿って穴11を通って延びる。
【0101】
右側の画像では、制御要素10内の穴11が、推進ガスを流用できるように2つのガス通路部52a、52bをどのように互いに接続しているかがわかる。第2の凹部15も容易にわかる。封止リング26及び27(
図7を参照)は、穴11の左右、又は前後に置かれており、制御要素10を封止する。
【0102】
左側の画像では、円板形状端部分16も2つの停止部20及び22を有し、2つの停止部20及び22は、外周に沿って反対方向で延在することがわかる。ガス・ブロック5も2つの対応する停止面21及び23を有する。一方の停止部20は、左側の画像に示すように、第1の位置で停止面21を圧迫する。もう一方の停止部22は、
図7に示すように、第2の位置で停止面23を圧迫する。
【0103】
停止部20、22は、停止面21、23と相互作用することによって、制御要素10の枢動又は回転範囲を制限し、それぞれの凹部14又は15が戻止め要素30の先端を越えて回転しないようにする。言い換えれば、制御要素10は、第1の位置と第2の位置との間でのみ前後に回転し得る。
【0104】
図7は、
図6のガス・ブロック5を同じ断面Dで示し、制御要素10は、第2の位置にある。外壁12は、ガス通路51をこの第2の位置で遮断する。戻止め要素30は、第2の位置で第2の凹部15にスナップ嵌めされる。このこと以外、
図7の実施形態は、
図6に対する説明を参照できるように、
図6の実施形態に対応する。
【0105】
図8及び
図9は、上記で説明した左側及び右側からのガス・ブロック5の斜視図を示し、制御要素10は、第1の位置にある、即ち、第1の戻止め要素30は、凹部14にスナップ嵌めされている。
【0106】
上記で特定したように、ガス・ブロック5は、2つのガス調整設定の間で切替え得るガス調節デバイス6を有する。第2の戻止め要素80は、第2のラッチ溝62にスナップ嵌めされる。このことにより、ガス通路58、59が内側スリーブ60によって閉鎖される。このことは、第2のガス調整設定に対応する。
【0107】
スリーブ60は、軸方向及びスリーブ60自体の軸回りに回転する方向の両方で、意図しない解放から守られる。
【0108】
ガス・ブロック5は、銃口に向かって延在する端部に、案内要素と、突起70内に形成される案内溝72とを有し、案内要素は、この場合、中間で切欠きによって遮断される軸方向突起70によって形成され、溝72は、スリーブ60によって囲繞される銃口に向かう部分5aに実質的に同軸である。案内溝72は、スリーブ60上の案内区分65の端面の一部を支持し得る接触面を形成し、銃口に向かってスリーブ6が軸方向に移動しないようにする。
【0109】
案内溝72は、外周に沿って各端部に挿入部分73(右側)及び74(左側)を有する。ガス調節デバイス6の案内区分65は、それぞれの部分73、74に挿入、又は回し入れることができる。
【0110】
ラッチ溝61、62はそれぞれ、外周方向で作用する完全停止部61a、62aを有する(
図15及び
図16を参照)。戻止め要素80との相互作用により、第2のガス調整設定から開始する、方向99でのガス調節デバイス6の回転は、適切に防止される。
【0111】
ラッチ溝61、62は、もう一方のそれぞれの外周方向において、ラッチ面61b、62bに接する(
図15及び
図16を参照)。ユーザが、第2のガス調整設定から開始して、一方向98でスリーブ60を回転させてガス調整設定を変化させると、ラッチ面62bは、最初に、まだ戻止め要素80と接触していない場合、戻止め要素80と接触する。回転力を維持すると、戻止め要素80は、軸方向の力を受け、第2のばね要素81のばね力に逆らって止り穴82に押し入れられる。次に、スリーブ80を第1のガス調整設定に移動させることが可能である。
【0112】
ガス調節デバイス6に関する更なる構造の詳細及び説明は、特に以下の
図15から
図18から得ることができる。
【0113】
図10は、自動火器1上でガス・ブロック5内のガス筒50と銃身2の穴との間の流体封止接続を開閉する、上記の制御要素10の側面図を示す。
【0114】
制御要素10は、長手方向に延在するノズル体を形成し、内腔11及び外壁12を有する。端部分16は、一方の軸端部に形成され、軸から径方向に延在し、円板形状である。端部分16は、図示しないガス・ブロック5に面する支承面13を含む。ノズル体は、封止リングの形態で、2つの封止手段26、27のための2つの溝24、25を有し、第1の封止リング26は、第1の溝24内に置かれ、第2の封止リング27は、第2の溝25内に置かれる。内腔11は、溝24と25との間で軸方向に配置される。制御要素10は、保持リングの形態で保持要素18のための第3の溝28も有する。第3の溝28は、端部分16から離れて軸端部に配置される。
【0115】
図11は、
図10からの制御要素10を斜視図で示す。端部分16上の工具ソケット17及び凹部14、15は、この斜視図から容易に見える。2つの凹部14、15は、互いに対して約70°の角度間隔にある。
【0116】
図12は、
図11からの制御要素10及び戻止め要素30を斜視図で示す。戻止め要素30は、中実ピンによって形成され、支承面13に面する端部32で円錐形状を有する。戻止め要素30及び巻ばね要素31は、少なくとも部分的にスリーブ33内に含まれる。スリーブ33は、ガス・ブロック5内の止り穴53aと同じサイズである。
【0117】
図13は、
図12の制御要素10及び戻止め要素30の斜視図を組み立てた状態で示す。戻止め要素30は、凹部14にスナップ嵌めされ、戻止め要素30の軸は、制御要素10の軸に平行である。
【0118】
図14は、
図10から
図13を参照して説明した制御要素10を2つの異なる斜視図で示す。右側の画像は、上記説明を参照できるように、
図11から
図13に示す斜視図からの制御要素10を示す。左側の画像は、もう一方の側からの制御要素10を示し、支承面13及び工具ソケット19を示す。図からわかるように、凹部14、15は円錐形である。
【0119】
図15及び
図16は、ガス調節デバイス6を2つの斜視図から示す。
【0120】
ガス調節デバイス6は、2つのラッチ溝61、62を有するスリーブ60の形態である。ばね式戻止め要素80は、これら2つのラッチ溝61、62にスナップ嵌めし得る。戻止め要素80を第1のラッチ溝61にスナップ嵌めすると、ガス調節デバイスは、第1のガス調整設定で所定の位置に係止される。戻止め要素80を第2のラッチ溝62にスナップ嵌めすると、ガス調節デバイスは、第2のガス調整設定で所定の位置に係止される。
【0121】
2つのラッチ溝61、62は、互いに対して約55°の角度間隔でガス調節デバイス6の端面63上に位置し、それぞれのラッチ溝61、62は、外周に沿ってそれぞれの完全停止部61a、62a及びラッチ面61b、62bを形成する。端面63も支承面であり、組立て中、戻止め要素80を圧迫し、戻止め要素80を押下し得る。
【0122】
第1のラッチ溝61は、2つの横壁の一方を有する完全停止部61a、及びもう一方の横壁を有する、対向するラッチ面61bを形成する。第2のラッチ溝62は、2つの横壁の一方を有する完全停止部62a、及びもう一方の横壁を有する、対向するラッチ面62bを形成する。
【0123】
両方の完全停止部61a、62aは、外周に沿って端面又は支承面63に接する。ラッチ面61b、62bは、ラッチ溝61と62との間に形成される中間部品64に接し、中間部品64で、ラッチ溝61、62が互いに最も近接する。中間部品64は、三角形断面を有し、端面63に対して軸方向に座ぐりが施されており、溝61、62の基部から開始される中間部品64の高さhは、端面又は支承面63の高さHよりも低い。
【0124】
戻止め要素80をラッチ溝61にスナップ嵌めした際、戻止め要素80は、軸方向に延在し、完全停止部61aが、戻止め要素との相互作用を通じて、方向98でスリーブ60が軸回りに(更に)回転するのを防止する。
【0125】
同様に、完全停止部62aは、戻止め要素をラッチ溝62にスナップ嵌めした際、戻止め要素との相互作用を通じて、方向99でスリーブ60が軸回りに(更に)回転するのを防止する。
【0126】
それぞれのラッチ面61b、62bは、溝が、側部で外側に向かって軸方向により広くなるように傾斜している。本実施形態では、段64a、64bも各溝内にあり、段64a、64bは、最初に、溝から軸方向で直角に延在し、次に、傾斜ラッチ面62a及び62bに移行する。ラッチ面61b、62bの傾斜設計及び段64a、64bの配置により、スリーブ60を回転させた際に戻止め要素80の円錐形端部を押下することを容易にする。
【0127】
傾斜ラッチ面61b、62bは、スリーブ60を対応する方向で回転させて第2のばね要素81の力を克服し得る力を受けた際、傾斜ラッチ面61b、62bを越えてスリーブ60を回転可能にする。言い換えれば、それぞれのラッチ面61b、62bは、ラッチ面61b、62bが戻止め要素80と相互作用する際に戻止め要素80を押下し、したがって、もう一方のそれぞれのガス調整設定への回転を可能にする。
【0128】
ガス調節デバイス6は、ガス・ブロック内の案内要素と相補形である案内区分65も有し、案内区分65は、案内要素に挿入し得る。この案内区分65は、ガス調節デバイス6の銃口に向かう軸方向の移動が適切に防止されるように、案内要素に挿入し得る。
【0129】
案内要素65は、中間部品64に径方向に接する径方向突起によって形成される。
【0130】
図17は、ガス調節デバイス6を伴うガス・ブロック5を示し、ガス調節デバイス6は、(左側の画像では)第1のガス調整設定、及び(右側の画像では)第2のガス調整設定にある。ガス調節デバイス6の第1のガス調整設定において、2つのガス排出開口66、67と2つのガス排出通路58、59との間の流体封止接続が得られる、即ち、ガス調節デバイス6は開放している。開放設定は、特に、シグネチャ・サプレッサを伴って(「S」)作動することを意図する。ガス調節デバイス6の第2のガス調整設定において、2つのガス排出通路58、59は、スリーブ60の内壁によって閉鎖される、即ち、ガス調節デバイス6は閉鎖している。閉鎖設定は、特に、シグネチャ・サプレッサを伴わない作動、いわゆる通常作動(「N」)を意図する。両方の画像において、制御要素10は、第1の切替え位置にある。
【0131】
図18は、ガス調節デバイス6が3つのステップでどのようにガス・ブロック5上に組み付けられるかを示す。
【0132】
ユーザは、まず、ガス調節デバイス6を、銃口に向かって延在するガス・ブロック5の部分5a上に置き(t1)、ガス調節デバイス6を部分5a上で摺動させ、径方向突起65がガス・ブロック5の右側に向かって延在し、案内要素70、72を越えて軸方向に摺動できるようにする。次に、第2の戻止め要素80を、ばね要素81の力に逆らって止り穴82に押し込む(t2)。次に、ガス調節デバイス6を、一方向98で反時計回りに回転させ、案内要素65を案内溝72内の挿入部分73に案内する。次に、戻止め要素が選択されたラッチ溝にスナップ嵌めされるまで、スリーブ60を一方向98で回転させる。上記したシーケンスでは、戻止め要素80は、最初に、第1のラッチ溝61にスナップ嵌めされ(t3)、次に、第2のラッチ溝62にスナップ嵌めされる。
【0133】
他の挿入部分74を介して、案内区分65を一回転方向98に逆らって回転させることによって、案内区分65を案内溝72に挿入することも可能である。
【0134】
ガス調節デバイス6を取り外すには、最初に、適切な工具により第2の戻止め要素80を押下しなければならない。次に、スリーブ60がガス・ブロック5内の案内要素70、72を出るまで、スリーブ60を一方向98で回す、又は一方向98に逆らって回すことができる。次に、スリーブ60を引き抜くことができる。
【0135】
本発明の更なる実施形態は、以下の特許請求の範囲及び添付の図面から当業者によって得ることができる。
【0136】
特許請求の範囲の一部ではない、制御要素を伴わないガス・ブロックの例示的な態様を以下で説明する。出願人は、個別の出願においてこれらの態様を遂行する権利を留保する。
【0137】
更なる態様
1.自動火器(1)のためのガス・ブロック(5)であって、ガス・ブロック(5)は、
-銃口に向かって延在するガス・ブロック(5)の端部にあるガス調節デバイス(6)
を備え、ガス調節デバイス(6)は、銃口に向かって延在するガス・ブロック(5)の部分(5a)を囲繞し、ガスを排出するためのガス排出ノズル(55)に流体封止接続でき、ガス調節デバイス(6)は、取付けデバイスを介してガス・ブロック(5)に解放可能に結合でき、
-ばね要素(81)上に支持される戻止め要素(80)があり、ばね要素(81)は、、ガス・ブロック(5)内でガス調節デバイス(6)と接触させることができ、
-戻止め要素(80)をガス調節デバイス(6)上に係合し得る少なくとも2つのラッチ溝(61、62)があり、
-ガス調節デバイス(6)は、ガス調節デバイス(6)をガス調節デバイス(6)自体の軸回りに回転させることによって、少なくとも1つの第1のガス調整設定及び少なくとも1つの第2のガス調整設定で所定の位置に係止し得る、ガス・ブロック(5)。
2.少なくとも2つのラッチ溝(61、62)はそれぞれ、ガス調節デバイス(6)の端面(63)の外周上に、第2の戻止め要素(80)のための完全停止部(61a、62a)及びラッチ面(61b、62b)を形成し、それぞれの完全停止部(61a、62a)はそれぞれ、第2の戻止め要素(80)との相互作用を通じて各場合における一方の方向でガス調節デバイス(6)の回転を適切に防止し、それぞれのラッチ面(61b、62b)は、第2の戻止め要素(80)との相互作用により第2の戻止め要素(80)を押下可能にし、ガス調節デバイスがもう一方の方向で回転し得るようにする、態様1に記載のガス・ブロック(5)。
3.ガス・ブロック(5)は、銃口に向かって延在する端部に案内要素(70、71、72)を有し、ガス調節デバイス(6)は、案内要素(70、71、72)に挿入し得る相補形案内区分(65)を有し、ガス調節デバイス(6)が中に挿入されている際にガス調節デバイス(6)が銃口の方に向かって軸方向に移動するのを適切に防止する、態様1又は2に記載のガス・ブロック。
4.案内要素は、少なくとも1つの案内溝(72)によって形成され、少なくとも1つの案内溝(72)は、銃口に向かって延在するガス・ブロック(5)の端部で軸方向突起(70)上に形成され、軸方向突起(70)は、銃口に向かって延在する部分に同軸であり、案内区分(65)は、ガス調節デバイス(6)上に相補形径方向突起(65)によって形成され、ガス調節デバイス(6)は、案内溝(72)の挿入部分に挿入し得る、態様3に記載のガス・ブロック。
5.ガス調節デバイス(6)は、銃口に向かって延在する部分(5a)上で軸方向に摺動し、ガス調節デバイス(6)をガス・ブロック(5)に結合し、長手方向軸回りに回転でき、ガス調節デバイス(6)上の支承面(63)は、最初に、第2の戻止め要素(80)を第2のばね要素(81)の力に逆らって押圧し、第2の戻止め要素(80)を2つの方向のうち一方で回転させると、第2の戻止め要素(80)は、第2のばね要素(81)の力を通じて2つのラッチ溝(61、62)の一方の中に係合し得る、態様1から4のいずれか一項に記載のガス・ブロック。
6.第2の戻止め要素(80)は、ガス調節デバイス(6)を解放するため、第2のばね要素(81)の力に逆らって押下でき、ガス調節デバイス(6)は、第2の戻止め要素(80)が押下された際に2つの方向のうち一方で回転し得る、態様1から5のいずれか一項に記載のガス・ブロック。
7.銃口に向かって延在するガス・ブロック(5)の端部における軸方向突起(70)は、第2の戻止め要素(80)がユーザの指先によって押下されないようにする障壁も形成し、専用に設計された工具を使用して戻止め要素(80)を押下可能にする、態様6に記載のガス・ブロック。
【符号の説明】
【0138】
1 自動火器
2 銃身
5 ガス・ブロック
6 ガス調節デバイス
10 制御要素
11 内腔
12 外壁
13 第1の支承面
14 凹部
15 凹部
16 保持要素
17 工具ソケット
18 保持要素
19 工具ソケット
30 第1の戻止め要素
31 第1のばね要素
50 ガス筒
51 ガス通路
53 穴
55 ガス排出ノズル
61 ラッチ溝
62 ラッチ溝
63 支承面
65 案内区分
70 案内要素
71 案内要素
72 案内要素
80 第2の戻止め要素
81 第2のばね要素
【外国語明細書】