(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023059862
(43)【公開日】2023-04-27
(54)【発明の名称】三次元解剖学的構造にリンクするポイントリスト
(51)【国際特許分類】
A61B 5/367 20210101AFI20230420BHJP
A61B 5/333 20210101ALI20230420BHJP
A61B 5/287 20210101ALI20230420BHJP
【FI】
A61B5/367
A61B5/333
A61B5/287
【審査請求】未請求
【請求項の数】30
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022165361
(22)【出願日】2022-10-14
(31)【優先権主張番号】17/502,578
(32)【優先日】2021-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
2.ZIGBEE
(71)【出願人】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ファディ・マサルワ
(72)【発明者】
【氏名】シガル・アルトマン
(72)【発明者】
【氏名】アサフ・コーエン
【テーマコード(参考)】
4C127
【Fターム(参考)】
4C127AA02
4C127BB05
4C127FF02
4C127HH13
4C127KK03
4C127KK05
4C127LL08
(57)【要約】 (修正有)
【課題】電気生理学的処置の時間を低減し、不整脈状態の診断及び治療経過の判定の精度を改善するポイントリストを介した効率的なナビゲーションを可能にすること。
【解決手段】開示される技術は、ポイントリストを記録することを含み、ポイントリスト内の各エントリは、データ要素を含み、心臓内の位置及び測定値と関連付けられる。関連付けられた測定値は、心臓内の関連付けられた位置に配置されたカテーテルの電極によって取得される。開示される技術は、心臓内の関心領域に関連付けられた1つ以上のアンカーポイントを選択することと、続いて、記録されたポイントリスト内の各エントリについて、心臓内のエントリの関連付けられた位置と選択された1つ以上のアンカーポイントとの間の距離のデータ要素を計算することと、これらのそれぞれのデータ要素に基づいて、ポイントリスト内のエントリを操作することと、を更に含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポイントリストを心臓の三次元解剖学的構造にリンクさせるためのシステムであって、
少なくとも1つのプロセッサと、
命令を格納するメモリであって、前記命令は、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、前記システムに、
ポイントリストを記録することであって、前記ポイントリスト内の各エントリは、データ要素を含み、前記心臓内の位置及び測定値と関連付けられ、前記関連付けられた測定値は、前記心臓内の前記関連付けられた位置に配置されたカテーテルの電極によって取得される、ことと、
前記心臓内の関心領域に関連付けられた1つ以上のアンカーポイントを選択することと、
前記ポイントリスト内の各エントリについて、前記心臓の前記エントリと関連付けられた前記位置と前記選択された1つ以上のアンカーポイントとの間の距離のデータ要素を計算することと、
これらのそれぞれのデータ要素に基づいて、前記ポイントリスト内のエントリを操作することと、を実施させる、メモリと、を含む、システム。
【請求項2】
前記ポイントリスト内の各エントリについて前記計算された距離のデータ要素が、測地的距離のうちの最小距離であり、各測地的距離が、前記心臓内の前記エントリの関連付けられた位置と前記選択された1つ以上のアンカーポイントのうちの1つとの間で計算される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記1つ以上のアンカーポイントを選択することは、
前記心臓のレンダリングされた部分から1つ以上の画像ポイントを選択することと、
前記心臓のどの前記部分がレンダリングされたかに基づく前記心臓の三次元再構成に基づいて、前記選択された1つ以上の画像ポイントから前記1つ以上のアンカーポイントを導出することと、を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記選択された1つ以上のアンカーポイントが、前記カテーテルの電極のそれぞれの位置に対応する、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記選択された1つ以上のアンカーポイントが、前記カテーテルの遠位端の位置に対して決定される、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記ポイントリスト内のエントリを操作することが、これらのそれぞれの距離データ要素に基づいて前記エントリをソートすることを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記ポイントリスト内のエントリを操作することが、前記エントリの1つ以上のデータ要素に適用されるフィルタリング関数に基づいて、前記ポイントリストからエントリをフィルタリングして取り除くことを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
ポイントリストを心臓の三次元解剖学的構造にリンクさせるための方法を実施するように少なくとも1つのプロセッサによって実行可能な命令を含む非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記方法は、
ポイントリストを記録することであって、前記ポイントリスト内の各エントリは、データ要素を含み、前記心臓内の位置及び測定値と関連付けられ、前記関連付けられた測定値は、前記心臓内の前記関連付けられた位置に配置されたカテーテルの電極によって取得される、ことと、
前記心臓内の関心領域に関連付けられた1つ以上のアンカーポイントを選択することと、
前記ポイントリスト内の各エントリについて、前記心臓内の前記エントリと関連付けられた前記位置と前記選択された1つ以上のアンカーポイントとの間の距離のデータ要素を計算することと、
これらのそれぞれのデータ要素に基づいて、前記ポイントリスト内のエントリを操作することと、を含む、非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項9】
前記ポイントリスト内の各エントリについて前記計算された距離のデータ要素が、測地的距離のうちの最小距離であり、各測地的距離が、前記心臓内の前記エントリの関連付けられた位置と前記選択された1つ以上のアンカーポイントのうちの1つとの間で計算される、請求項8に記載の媒体。
【請求項10】
前記1つ以上のアンカーポイントを選択することは、
前記心臓のレンダリングされた部分から1つ以上の画像ポイントを選択することと、
前記心臓のどの前記部分がレンダリングされたかに基づく前記心臓の三次元再構成に基づいて、前記選択された1つ以上の画像ポイントから前記1つ以上のアンカーポイントを導出することと、を含む、請求項8に記載の媒体。
【請求項11】
前記選択された1つ以上のアンカーポイントが、前記カテーテルの電極のそれぞれの位置に対応する、請求項8に記載の媒体。
【請求項12】
前記ポイントリスト内のエントリを操作することが、これらのそれぞれの距離データ要素に基づいて前記エントリをソートすることを含む、請求項8に記載の媒体。
【請求項13】
前記ポイントリスト内のエントリを操作することが、前記エントリの1つ以上のデータ要素に適用されるフィルタリング関数に基づいて、前記ポイントリストからエントリをフィルタリングして取り除くことを含む、請求項8に記載の媒体。
【請求項14】
ポイントリストを心臓の三次元解剖学的構造にリンクさせるための方法であって、前記方法は、
ポイントリストを記録することであって、前記ポイントリスト内の各エントリは、データ要素を含み、前記心臓内の位置及び測定値と関連付けられ、前記関連付けられた測定値は、前記心臓内の前記関連付けられた位置に配置されたカテーテルの電極によって取得される、ことと、
前記心臓内の関心領域に関連付けられた1つ以上のアンカーポイントを選択することと、
前記ポイントリスト内の各エントリについて、前記心臓内の前記エントリと関連付けられた前記位置と前記選択された1つ以上のアンカーポイントとの間の距離のデータ要素を計算することと、
これらのそれぞれのデータ要素に基づいて、前記ポイントリスト内のエントリを操作することと、を含む、方法。
【請求項15】
前記ポイントリスト内の各エントリについて前記計算された距離のデータ要素が、測地的距離のうちの最小距離であり、各測地的距離が、前記心臓内の前記エントリの関連付けられた位置と前記選択された1つ以上のアンカーポイントのうちの1つとの間で計算される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記1つ以上のアンカーポイントを選択することは、
前記心臓のレンダリングされた部分から1つ以上の画像ポイントを選択することと、
前記心臓のどの前記部分がレンダリングされたかに基づく前記心臓の三次元再構成に基づいて、前記選択された1つ以上の画像ポイントから前記1つ以上のアンカーポイントを導出することと、を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記選択された1つ以上のアンカーポイントが、前記カテーテルの電極のそれぞれの位置に対応する、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記選択された1つ以上のアンカーポイントが、前記カテーテルの遠位端の位置に対して決定される、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記ポイントリスト内のエントリの1つ以上のデータ要素に基づいて、前記心臓内の前記エントリの関連付けられた位置の前記心臓のレンダリングされた部分を変更することを更に含む、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記心臓内の前記エントリの関連付けられた位置の前記心臓のレンダリングされた部分上に、前記ポイントリスト内のエントリの1つ以上のデータ要素を表す図形要素をオーバーレイすることを更に含む、請求項14に記載の方法。
【請求項21】
前記ポイントリスト内のエントリの1つ以上のデータ要素が、前記エントリの関連付けられた測定値から導出される組織の電気的性質を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項22】
前記ポイントリスト内のエントリを操作することが、これらのそれぞれの距離データ要素に基づいて前記エントリをソートすることを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項23】
前記ポイントリスト内のエントリを操作することが、前記エントリの1つ以上のデータ要素に適用されるフィルタリング関数に基づいて、前記ポイントリストからエントリをフィルタリングして取り除くことを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項24】
前記フィルタリング関数が、1つ以上の所定の基準に基づいて自動的に決定される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記ポイントリスト内のエントリを操作することが、複数のウィンドウ内で前記ポイントリストを表示することを含み、前記操作することが、各ウィンドウ内で独立して実施される、請求項14に記載の方法。
【請求項26】
前記ポイントリスト内のエントリを操作することが、ウィンドウの複数のセクション内で前記ポイントリストを表示することを含み、前記操作することが、前記ウィンドウの各セクション内で独立して実施される、請求項14に記載の方法。
【請求項27】
前記ポイントリストを表示するウィンドウを上部セグメント及び下部セグメントに分割することであって、前記上部セグメントの一部であるエントリが静的に示され、前記下部セグメントの一部であるエントリがスクロール可能である、ことと、
前記エントリのピン留め操作に応答して、前記エントリを前記下部セグメントから前記上部セグメントに移動させることと、を更に含む、請求項14に記載の方法。
【請求項28】
最後にアクセスされた前記ポイントリスト内のエントリに対するポインタをキャッシュすることを更に含む、請求項14に記載の方法。
【請求項29】
前記ポイントリスト内のエントリのソート操作又はフィルタリング操作を含む、操作履歴を記録することを更に含む、請求項14に記載の方法。
【請求項30】
前記ポイントリスト内の前記エントリの1つ以上のお気に入りエントリを選択することを更に含み、前記操作することが、前記選択されたお気に入りエントリを操作することを含む、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
心房細動、心室細動、心室頻拍、又は心房粗動などの心不整脈は、罹患及び死を引き起こす可能性がある。心不整脈の治療は、多くの場合、心臓の詳細な心臓電気解剖学的マッピングを得る必要がある。電気生理学的処置中に実施されるこうしたマッピングは、心臓の心不整脈の位置特定及び特徴付けを支援し、治療経過に関する判定を医師に通知する。
【0002】
心臓の電気解剖学的マッピングは、心組織の電気的性質(すなわち電気的マップ)でオーバーレイされた心臓の解剖学的構造の三次元(3D)表現(すなわち解剖学的マップ)を提供する。Biosense WebsterのCARTO(登録商標)3 3Dマッピングシステムなどの視覚化システムは、心臓の解剖学的及び電気的マップを再構築するために医師によって使用され得る。こうした再構成は、心内膜壁上の様々な位置に配置されたカテーテルの電極によって測定された電気信号の取得を含み得る。続いて、システムは、各ポイント(又はリスト中のエントリ)に関して対応する電気信号及び関連データが測定された電極の位置を記録するポイントリストを維持することができる。ポイントリストに記録されたデータに基づいて、システムは、電気解剖学的マップを生成することができる。
【0003】
電気生理学的処置中、詳細な電気解剖学的マップの再構成を容易にするために、医師は、異常な電気的活動を呈し得る心臓の領域から、典型的には多電極カテーテルを使用して、数千個の測定値を取得する必要がある場合がある。したがって、システムは、数千個のエントリを含み得るポイントリストを生成することができる。ポイントリストは、電気解剖学的マップの提示と共にスクロール可能なウィンドウ内で医師に提示され得る。続いて、医師は、電気解剖学的マップ内の関心領域に対応するポイントリスト内のエントリのデータを分析及び比較することを要求され得る。しかしながら、ポイントリストは解剖学的構造にリンクしていないため、互いに近接した組織位置に対応するエントリは、ポイントリスト内で数千個のばらばらのエントリとなり得る。スクロール可能なウィンドウ内では少数のエントリしか同時に閲覧できないため、隣接する組織位置に対応するエントリ間のデータを視覚的に比較することは、面倒であり、実用的ではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電気生理学的処置の時間を低減し、不整脈状態の診断及び治療経過の判定の精度を改善するポイントリストを介した効率的なナビゲーションを可能にする技術が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願で開示される態様は、ポイントリストを心臓の三次元解剖学的構造にリンクさせるための方法を説明する。この方法は、ポイントリストを記録することを含む。ポイントリスト内の各エントリは、データ要素を含み、心臓内の位置及び測定値と関連付けられ、関連付けられた測定値は、心臓内の関連付けられた位置に配置されたカテーテルの電極によって取得される。方法は、心臓内の関心領域に関連付けられた1つ以上のアンカーポイントを選択することと、ポイントリスト内の各エントリについて、心臓内のエントリと関連付けられた位置と選択された1つ以上のアンカーポイントとの間の距離のデータ要素を計算することと、これらのそれぞれのデータ要素に基づいて、ポイントリスト内のエントリを操作することと、を更に含む。
【0006】
本願で開示される態様は、ポイントリストを心臓の三次元解剖学的構造にリンクさせるためのシステムも説明する。システムは、少なくとも1つのプロセッサ及び命令を格納するメモリを含む。命令は、少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、システムにポイントリストを記録させる。ポイントリスト内の各エントリは、データ要素を含み、心臓内の位置及び測定値と関連付けられ、関連付けられた測定値は、心臓内の関連付けられた位置に配置されたカテーテルの電極によって取得される。命令は、システムに、更に、心臓内の関心領域に関連付けられた1つ以上のアンカーポイントを選択させ、ポイントリスト内の各エントリについて、心臓内のエントリと関連付けられた位置と選択された1つ以上のアンカーポイントとの間の距離のデータ要素を計算させ、これらのそれぞれのデータ要素に基づいて、ポイントリスト内のエントリを操作させる。
【0007】
更に、本明細書で開示される態様は、ポイントリストを心臓の三次元解剖学的構造にリンクさせるための方法を実施するように少なくとも1つのプロセッサによって実行可能な命令を含む非一時的コンピュータ可読媒体を説明する。この方法は、ポイントリストを記録することを含む。ポイントリスト内の各エントリは、データ要素を含み、心臓内の位置及び測定値と関連付けられ、関連付けられた測定値は、心臓内の関連付けられた位置に配置されたカテーテルの電極によって取得される。方法は、心臓内の関心領域に関連付けられた1つ以上のアンカーポイントを選択することと、ポイントリスト内の各エントリについて、心臓内のエントリと関連付けられた位置と選択された1つ以上のアンカーポイントとの間の距離のデータ要素を計算することと、これらのそれぞれのデータ要素に基づいて、ポイントリスト内のエントリを操作することと、を更に含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
より詳細な理解は、添付の図面と併せて例として示される以下の説明より得ることができ、図中の同様の参照番号は、同様の要素を示す。
【
図1】例示的な心臓アブレーションシステムの図であり、これに基づいて本開示の1つ以上の特徴を実装することができる。
【
図2】
図1の例示的な心臓アブレーションシステムによって展開可能な例示的なシステムのブロック図であり、これに基づいて、本開示の1つ以上の特徴を実装することができる。
【
図3】例示的なカテーテルを示し、これに基づいて本開示の1つ以上の特徴を実装することができる。
【
図4】例示的なバルーンカテーテルを示し、これに基づいて本開示の1つ以上の特徴を実装することができる。
【
図5】例示的なループカテーテルを示し、これに基づいて本開示の1つ以上の特徴を実装することができる。
【
図6】例示的な電気解剖学的マップを示し、これに基づいて本開示の1つ以上の特徴を実装することができる。
【
図7】例示的なポイントリストを示し、これに基づいて本開示の1つ以上の特徴を実装することができる。
【
図8】例示的な、解剖学的構造にリンクしたポイントリストを示し、これに基づいて本開示の1つ以上の特徴を実装することができる。
【
図9】ポイントリストを3D解剖学的構造にリンクするための例示的な方法のフローチャートであり、これに基づいて本開示の1つ以上の特徴を実装することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
正常洞調律を有する患者においては、心房及び心室興奮性伝導組織を含む心臓が電気的に興奮して、同期的かつパターン化された様式で拍動する。心不整脈を有する患者においては、心組織の異常領域は、正常な伝導性組織に関連する同期拍動周期に従わない。これに対して、心組織の異常領域は隣接組織に異常伝導し、このため心臓周期が乱れて非同期的な心臓リズムになる。このような異常伝導は、心臓の様々な領域、例えば、房室(AV)結節及びヒス束の伝導経路に沿って洞房(SA)結節の領域において、又は心室及び心房の心腔壁を形成する心筋組織において発生し得る。
【0010】
心不整脈は、心腔の周りに散乱して、多くの場合で自己伝播する電気的パルスの複数の非同期的ループを特徴とする、マルチウェーブレットリエントラント型である場合がある。あるいは、又はマルチウェーブレットリエントラント型に加えて、心組織の孤立した領域が迅速かつ反復的に自律的に興奮する場合などで、心不整脈が限局的な起源を有する場合もある。心室で発生する異常な電気的活動は、例えば、心室細動及び突然死につながり得る、潜在的に生命に関わる不整脈である心室頻拍(急速な心拍リズム)を引き起こす場合がある。不整脈の別の種類である心房細動は、洞房結節によって生成される正常な電気パルスが、心房及び肺静脈内で生じる無秩序な電気パルスによって圧倒され、不規則なパルスが心室に伝導する場合に発生し得る。心不整脈は、心拍数を遅くする、又は心拍リズムを正常に戻すかのいずれかを生じさせる、投薬又は同期電気的除細動によって治療することができる。あるいは、心不整脈は、心組織のアブレーションによって治療することもできる。
【0011】
カテーテルアブレーションベースの治療は、エネルギーを印加することによって心組織を選択的にアブレーションすることを伴う。アブレーションプロセスは、非導電性損傷部位の形成を介して不要な電気経路を損傷させる。エネルギー送達モダリティは、マイクロ波、レーザー、及びより一般的には高周波エネルギーを使用して、心組織壁に沿った伝導ブロックを生成させる。典型的には、アブレーション処置は、電気解剖学的マッピング段階から開始し、この間に異常な電気的活動の源が調査及び発見される。マッピング段階の後に、発見された源の組織がアブレーションされるアブレーション段階が続く。続いて、検証段階が実施され、ここでアブレーションの効果が評価される。したがって、マッピング段階は、その精度によって異常な電気的活動、すなわち不整脈状態を効果的に終了させることが可能となるため、重要である。心臓のマッピングは、心臓の3D解剖学的構造の再構成、及びその再構成された解剖学的構造上に電気的性質をオーバーレイさせることを含む。電気的性質は、心臓の様々な位置に配置されたカテーテルの電極によって測定された電気信号から導出され得る。本明細書に記載の態様によれば、医師が電気解剖学的マップを利用して、アブレーションを実施すべき心内膜の標的領域を決定することができる。
【0012】
心房細動及び心室頻拍などの困難な状態を医師が治療する際の心臓アブレーション及び他の心臓の電気生理学的処置は、ますます複雑化している。現在、複雑な不整脈の治療は、CARTO(登録商標)3 3Dマッピングシステムなどのシステムに頼ることができる。CARTO(登録商標)3システムは、取得された電気信号の測定値から導出された心臓の電気的性質を視覚化するマップとオーバーレイした心臓解剖学的構造の3D視覚化を提供することができる。電気解剖学的マップに加えて、CARTO(登録商標)3システムは、取得された電気信号の測定値に関連付けられたデータを記録するポイントリストを医師に提示することができる。本明細書に開示される態様は、医師がポイントリストによって効率的にナビゲートして、解剖学的関心領域に対応するデータエントリを探索することができるシステム及び方法を説明する。
【0013】
図1は、例示的な心臓アブレーションシステム100の図であり、ここで本開示の1つ以上の特徴を実装することができる。システム100は、ユーザ(例えば医師又は医療専門家)130によって操作されるコンソール124、ディスプレイ127、及びカテーテル140を含み得る。システム100は、心臓126などの患者128の器官から取られた解剖学的及び電気的測定値を得、得られた解剖学的及び電気的測定値を視覚化し、心臓アブレーション処置を実施するように構成することができる。挿入
図145はカテーテル140の拡大図を示し、挿入
図125は、心臓120の心室内のカテーテル140を示す。システム100の一例は、Biosense WebsterのCARTO(登録商標)3 3Dマッピングシステムである。
【0014】
図1に示されるカテーテル140は、アブレーションカテーテル及び感知カテーテルを含む、心臓アブレーションシステム100によって使用可能となり得る1つ以上のカテーテルを本明細書で表示している。アブレーションカテーテルは、体内器官の組織領域を損傷(アブレーション)するように構成され得る。1つ以上の電極を備える感知カテーテルは、電気信号を含む生体計測データを得るように構成され得る。システム100は、医師130によって、テーブル129上に横臥する患者128の心臓126などの身体部分内へとナビゲートされ得るシャフト122を有する1つ以上のプローブ121を含み得る。医師130は、カテーテル140の近位端近くのマニピュレータを使用してシャフト122の遠位端を操作しながら、及び/又はシース123から偏向させながら、シース123にシャフト122を挿入することができる。
図145に示すとおり、カテーテル140は、シャフト122の遠位端に取り付けられてもよい。カテーテル140は、折り畳まれた状態でシース123に挿入することができ、続いて、心臓126内で拡張することができる。
【0015】
一態様では、心臓の電気的性質(例えば、カテーテルの電極によって取得された電気信号から導出された生体計測データ)は、例えば局所到達時間(LAT)、電気的活動、トポロジー、単極性若しくは双極性電圧、優位周波数、又はインピーダンスに関連付けられた情報を表し得る。LATは、特定の位置で電気的活動が測定された時間を表すことができる。LATは、参照カテーテルから導出され得る正規化された初期開始点に基づいて計算され得る。電気的活動は、1つ以上の閾値に基づいて測定され得る任意の適用可能な電気信号であってもよい。電気的活動は増強することができる(例えば、フィルタを用いて信号対雑音比を向上させて)。トポロジーは、身体部分又は身体部分の一部分の物理構造を表すことができ、又は身体部分の異なる部分間、若しくは異なる身体部分間の物理構造の変化に対応する場合がある。優位周波数は、身体部分の一部分において優勢であり、かつ同じ身体部分の異なる部分において異なる可能性がある周波数、又は周波数の範囲を表すことができる。例えば、心臓の肺静脈の優位周波数は、同じ心臓の右心房の優位周波数と異なる場合がある。インピーダンスは、身体部分の所定の領域における抵抗を表すことができる。
【0016】
システム100のコンソール124は、処理ユニット141、メモリ142、及び通信インターフェース回路138を含むことができる。処理ユニット141は、マルチコアプロセッサを備えたコンピュータであり得、フロントエンド及びコントロールコンポーネントを含み得る。メモリ142は、揮発性及び/又は不揮発性メモリを含み得る。通信インターフェース回路138は、カテーテル140との間で信号を送受信するために使用され得る。コンソール124は、生体計測データを受信し、続いて生体計測データを処理し、可視化し、後の処理のために格納するように構成されてもよく、又はネットワークを介して別のシステムにデータを送信するように構成されてもよい。一態様では、処理ユニット141は、コンソール124の外部にあってもよく、例えばカテーテル140内、外部装置内、モバイル機器内、クラウドベースデバイス内に位置してもよく、あるいはスタンドアロンプロセッサであってもよい。処理ユニット141は、本明細書に記載の態様の機能を実施するようにプログラムされたソフトウェアモジュールを実行することができる。ソフトウェアモジュールは、ネットワークを介して、あるいはコンソール124の外部又はローカルの磁気メモリ、光メモリ、又は電子メモリなどの非一時的有形媒体から、処理ユニット141にダウンロードすることができる。
【0017】
システム100は、本明細書に開示される態様を実施するように修正することができる。本明細書に開示される態様は、他のシステム構成要素及び設定を使用して同様に適用することができる。更に、システム100は、電気的活動を感知するための要素、有線若しくは無線コネクタ、処理ユニット、又は表示装置などの追加の構成要素を含んでもよい。コンソール124は、通常はフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)として構成されたリアルタイムノイズ低減回路と、それに続くアナログ-デジタル(A/D)ECG(心電図)又はEMG(筋電図)信号変換集積回路と、を含むことができる。A/D ECG又はEMG回路の出力は、本明細書に開示される方法を実行するように処理されてもよい。
【0018】
コンソール124は、ケーブル139によって身体表面電極143に接続されてよく、身体表面電極143は、患者128に貼り付けられた接着皮膚パッチを含むことができる。処理ユニット141は、追跡モジュールと共に、患者128の身体部分(例えば、心臓126)内のカテーテル140の位置座標を決定することができる。位置座標は、身体表面電極143とカテーテル140の電極(又は他の電磁構成要素)との間で測定されたインピーダンス又は電磁場に基づいたものであってよい。追加的又は代替的に、位置座標は、ベッド129の表面に取り付けられた位置パッドとカテーテル140の電極(又は他の電磁構成要素)との間で測定されたインピーダンス又は電磁場に基づいてもよい。
【0019】
処置中、処理ユニット141は、医師130によって閲覧されるためのディスプレイ127上の身体部分126のレンダリング135を容易にすることができ、身体部分を表すデータをメモリ142に格納することができる。一態様では、医師130は、タッチスクリーン、タッチパッド、マウス、キーボード、又はジェスチャ認識装置などの1つ以上の入力装置を使用して、レンダリングされた身体部分135を回転及び移動させる(例えば、レンダリングされた身体部分の視点を変更する)ことができる。例えば、カテーテル140の位置は、身体部分126のどのレンダリング135が更新されたかに基づいて、測定値を収集するために変更され得る。更に、医師130が身体部分内のカテーテルをより良好にナビゲートすることを可能にするために、カテーテルの表現は、身体部分のレンダリングと関連してレンダリングされ得る。一態様では、ディスプレイ127は、別個の病院などの遠隔地に、又は別個の医療提供者ネットワーク内に位置してもよい。
【0020】
図2は、
図1の例示的な心臓アブレーションシステムによって展開可能な例示的なシステム200のブロック図であり、これに基づいて、本開示の1つ以上の特徴を実装することができる。システム200は、監視及び処理システム205、ローカルシステム280、及びリモートシステム290を含み得る。監視及び処理システム205は、センサ210、プロセッサ220、メモリ230、入力装置240、出力装置250、及びトランシーバ260、例えば、ネットワーク270と通信する送受信機を含むことができる。システム205は、ネットワーク270を介して、様々な患者の生体計測データを継続的又は定期的に監視、格納、処理、及び伝達することができる。患者の生体計測データとしては、電気信号(例えば、ECG信号)、解剖学的画像、血圧データ、血糖データ、及び温度データが挙げられ得る。心血管疾患(例えば、不整脈、心筋症、及び冠動脈疾患)及び自己免疫疾患(例えば、I型及びII型糖尿病)などの様々な疾患の治療を容易にするために、患者の生体計測データを監視(処理、可視化、伝達)することができる。
【0021】
一態様では、監視及び処理システム205は、
図1に示すシステム100のコンソール124を表し得る。別の態様では、監視及び処理システム205は、患者の体内にあってもよく、例えば、システム205は、静脈又は動脈を介して、内視鏡又は腹腔鏡処置を介して、皮下移植可能であり、経口又は外科的に挿入され得る。更に別の態様では、システム205は、外部から患者の皮膚に取り付けられ得る。あるいは、システム205は、患者の身体の内部にある構成要素と、患者の体外にある構成要素とを含むことができる。
【0022】
監視及び処理システム205は、患者の生体計測データを、並行して、互いに通信して、かつ/又はネットワークを介してサーバと通信して、処理することができる複数の監視及び処理システム205を表し得る。1つ以上のシステム205は、患者の生体計測データ(例えば、電気信号、解剖学的画像、血圧、温度、血糖値、又は他の生体計測データ)の全部又は一部を取得又は受信することができる。1つ以上のシステム205はまた、1つ以上の他のシステム205から、取得又は受信した患者の生体計測データに関連する追加情報を取得又は受信することができる。追加情報は、例えば、診断情報及び/又はウェアラブルデバイスなどのデバイスから取得された情報であり得る。各監視及び処理システム205は、それが取得したデータを処理することができ、また、別のシステム205から受信したデータを処理することができる。
【0023】
センサ210は、患者からの生体計測データを感知するように構成され得る1つ以上のセンサを表し得る。例えば、センサ210は、電気信号(例えば、心臓から発生する生体電気信号)を取得するように構成された電極、温度センサ、血圧センサ、血糖センサ、血液酸素センサ、pHセンサ、加速度計、又はマイクロフォンであり得る。一態様では、システム205は、心臓から発生するECG信号を測定するECG監視システムを備え得る。そのような場合、センサ210は、ECG信号を取得するように構成され得る1つ以上の電極を含み得る。ECG信号は、様々な心血管疾患の診断及び治療に使用することができる。一態様では、センサ210は、1つ以上の電極を有するカテーテル、プローブ、血圧カフ、体重計、ブレスレット(例えば、スマートウォッチ生体計測トラッカー)、血糖値モニタ、持続的気道陽圧法(CPAP)マシン、又は患者の健康に関する生体計測データ若しくは他のデータを提供する任意の他の装置を含むことができる。
【0024】
トランシーバ260は、送信機構成要素及び受信機構成要素を含むことができる。これらの送信機構成要素及び受信機構成要素は、単一の装置に統合されてもよく、又は別個に実装されてもよい。トランシーバは、通信ネットワーク270を介して、システム205と他のシステム又はサーバとの間の接続性を提供することができる。ネットワーク270は、有線ネットワーク、無線ネットワークであってもよく、又は有線及び/又は無線ネットワークの組み合わせを含んでもよい。ネットワーク270は、短距離ネットワーク(例えば、ローカルエリアネットワーク(LAN)又はパーソナルエリアネットワーク(PAN))であってもよい。情報は、Bluetooth、Wi-Fi、Zigbee、Z-Wave、近距離無線通信(NFC)、ウルトラバンド、又は赤外線(IR)などの様々な短距離通信プロトコルを使用した短距離ネットワークを介して送信又は受信することができる。ネットワーク270はまた、長距離ネットワーク(例えば、広域ネットワーク(WAN)、インターネット、又はセルラーネットワーク)であってもよい。情報は、TCP/IP、HTTP、3G、4G/LTE、又は5G/New Radioなどの様々な長距離通信プロトコルを使用した長距離ネットワークを介して送信又は受信することができる。
【0025】
プロセッサ220は、例えば、センサ210によって取得された患者の生体計測データを処理し、生体計測データ及び/又は処理された生体計測データをメモリ230に格納するように構成され得る。プロセッサ220はまた、トランシーバ260の送信機を介してネットワーク270全体に生体計測データを伝達するように構成されてもよい。1つ以上の他の監視及び処理システム205からの生体計測データは、トランシーバ260の受信機によって受信されてもよい。プロセッサ220は、アルゴリズム(例えば、機械学習アルゴリズムなどの人工知能ベースのアルゴリズム)を用いてもよく、あるいは、代替的に又は追加的に、アルゴリズムが他のプロセッサ(例えば、ローカルシステム280又はリモートシステム290における)によって用いられてもよい。態様では、プロセッサ220は、1つ若しくは複数のCPU、1つ若しくは複数のGPU、又は1つ若しくは複数のFPGAを含むことができる。これらの態様では、アルゴリズムは、これらの処理ユニットのうちの1つ以上で実行されてもよい。同様に、プロセッサ220は、深層学習計算を実行するための専用のASIC(Intel(登録商標)Nervana(商標)ニューラルネットワークプロセッサなど)を含むことができ、機械学習アルゴリズムは、こうした専用ASIC上で実行されてもよい。アルゴリズムを実行する処理ユニットは、医療処置室又は別の場所(例えば、別の医療施設又はクラウド)に配置されてもよい。
【0026】
監視及び処理システム205の入力装置240は、ユーザインターフェースとして使用されてもよい。入力装置240は、例えば、タップ又はタッチなどのユーザ入力を受信するように構成された圧電センサ又は容量センサを含むことができる。したがって、入力装置240は、ユーザによるシステム205の表面へのタップ又はタッチに応答して容量結合を実装するように構成されてもよい。ジェスチャ認識は、抵抗容量結合、表面容量結合、投影容量結合、表面弾性波結合、圧電結合、又は赤外線タッチなどの様々な容量結合によって実装することができる。表面のタップ又はタッチがシステム205を起動するように、容量センサが入力装置240の表面に配置されてもよい。プロセッサ220は、検出されたパターンに基づいてシステム205の異なる機能(例えば、データの取得、格納、又は送信)が起動されるように、容量センサの異なるタップパターン(例えば、入力装置240上のシングルタップ又はダブルタップ)に選択的に応答するように構成されてもよい。一態様では、例えばジェスチャが検出及び認識されたときに、システム205からユーザに可聴フィードバックを与えることができる。
【0027】
ネットワーク270を介して監視及び処理システム205と通信可能なローカルシステム280は、ローカルシステム280にアクセス可能であり得る別のネットワーク285を介して、リモートシステム290へのゲートウェイとして機能するように構成されてもよい。ローカルシステム280は、例えば、スマートフォン、スマートウォッチ、タブレット、又は他のポータブルスマートデバイスであり得る。あるいは、ローカルシステム280は、固定式又はスタンドアロンデバイスであってもよい。患者生体計測データは、ローカルシステム280と監視及び処理システム205との間で伝達することができる。一態様では、ローカルシステム280はまた、取得された患者の生体計測データ及び関連情報を表示するように構成されてもよい。
【0028】
リモートシステム290は、長距離ネットワークであり得るネットワーク285を介して、監視された患者の生体計測データ及び関連情報の少なくとも一部を受信するように構成されてもよい。例えば、ローカルシステム280が携帯電話である場合、ネットワーク285は無線セルラーネットワークであってもよく、情報は、上記の無線技術のいずれかなどの無線技術標準を介してローカルシステム280とリモートシステム290との間で伝達されてもよい。リモートシステム290は、受信した患者の生体計測データ及び関連情報を、ディスプレイ上で視覚的に、又はスピーカを通して聴覚的に、医療専門家(例えば、医師)に提示するように構成されてもよい。
【0029】
図3、
図4、及び
図5は、それぞれ、例示的なカテーテル300、400、500を示す。カテーテル300、400、500の遠位部分上に配設された電極又はセンサは、解剖学的及び電気的マッピングに使用され得る心臓組織から発生する電気信号を測定するために使用され得る。他の電極又はセンサを使用して、例えば、治療目的(アブレーション)及び/又はカテーテルの位置特定のために、心臓組織に電気信号を放出することができる。
【0030】
図3は、接触電極332及び非接触電極338を含むカテーテル300を示す。非接触電極は、心腔内の遠距離場電気信号を測定することができ、カテーテル300の遠位部分334の長手方向軸に沿ってアレイ336内に配置され得る。遠位部分334は、センサの340の位置及び配向を決定するために使用される信号を生成又は測定することができる位置センサ340(又は複数の位置センサ)を更に含み得る。位置センサ340と遠位先端部318及び他の電極332、338との間には固定された空間的関係が存在するため、遠位先端部318及び他の電極332、338の位置は、位置センサ340の決定された位置に基づいて解決することができる。カテーテル300のハンドル320は、遠位部分334を操向又は偏向させるため、あるいは遠位部分を望み通りに配向するための制御装置346を含み得る。
【0031】
例えば、位置センサ340は、システム100、200によって生成され得る電場を感知し(センサの位置特定の目的で)、感知された電場から生成された信号を、カテーテル300を貫いてコンソール124まで通るケーブル342(つまり、
図1に示すケーブル122)を介して伝送するように構成され得る。別の代替例では、位置センサ340は、無線リンクを介してコンソール124に信号を伝送することができる。位置センサ340によって送信される信号に基づいて、処理ユニット141、220は、カテーテル300の遠位部分334の位置及び配向、並びに遠位先端部318及び他の電極332、338の位置及び配向を計算し得る。位置及び配向の計算は、システム100、200によってそれらの信号が増幅、フィルタリング、デジタル化、又は他の方法で処理された後で、位置センサ340によって送信された信号に基づいて実行され得る。
【0032】
心臓内のポイントにおける電気的活動を取得するために、カテーテル300を心臓内に前進させることができ、また、その遠位先端部318を特定の組織位置で心内膜と接触させて、その位置でデータを取得することができる。心臓の解剖学的及び電気的マップを構築するために、このデータ取得プロセスを、関心領域内の多数の位置に対して繰り返す必要がある。こうしたポイントごとのデータ蓄積プロセスを介して心臓内の関心領域の詳細なマップを構築することは、長期間を要する場合がある。この欠点に対処するため、心臓内の複数の位置ポイントにおける電気的活動を同時に測定するための多電極カテーテルが開発された。多電極カテーテルは、バルーンカテーテル(
図4を参照して説明される)又はループカテーテル(
図5を参照して説明される)などの任意の適用可能な形状を使用して実装され得る。
【0033】
図4は、例示的なバルーンカテーテル400を示し、これに基づいて本開示の1つ以上の特徴を実装することができる。
図4に示すように、バルーンカテーテル400は、スプライン414、415、416などの複数のスプラインを含み得る。複数の電極は、
図4に示される電極421~426などの各スプライン上に配置される。バルーンカテーテル400は、患者の体内に展開されたときに、その電極が心内膜表面に密接して保持され得るように設計され得る。例えば、バルーンカテーテルは、肺静脈などの管腔内に挿入され得る。バルーンカテーテルは、収縮状態で肺静脈内に挿入されることができ、その結果、バルーンカテーテルは、挿入中にその最大容量を占有しない。続いて、バルーンカテーテルは、肺静脈内にある間に拡張してもよく、その結果、バルーンカテーテル上の電極が肺静脈の円形部分全体と接触する。肺静脈又は任意の他の管腔の円形部分全体とのこうした接触は、組織上の複数のポイントからの電気的活動の測定を可能にすることができる。すなわち、各取得は、電極の数と同じだけの信号測定値をもたらし得る。
【0034】
図5は、例示的なループカテーテル500を示し、これに基づいて本開示の1つ以上の特徴を実装することができる。ループカテーテル500(ラッソーカテーテルとも呼ばれる)は、心臓組織(心内膜壁)に接触すると電極の位置で測定された電気信号を同時に取得することができる複数の電極532、534、536を含み得る。ループカテーテル500は、受信した信号に基づいて及び/又は外力の印加(例えば、心組織に押し付けられるときの)に基づいて、ねじれる、屈曲する、又は別様にその形状を変化させることができるように、全体的に又は部分的に弾性であってもよい。
【0035】
したがって、多電極カテーテル(バルーンカテーテル400又はループカテーテル500など)を心腔内に前進させて、電気信号を取得することができる。(電極に対する既知の空間的関係で)多電極カテーテル上に配設された位置センサは、システム100、200によって用いられて、電極の各々の心臓内の位置を確立することができる。各電極によって測定される電気信号は、記録され、システム100、200によってディスプレイ127上で医師に提示され得る。例えば、測定された電気信号は、基準信号に従って時間的に相関する垂直に整列した電位図として提示され得る。典型的には、基準信号は、例えば、冠状静脈洞(CS)に配置され得る専用の基準電極によって測定される。したがって、多くの電極(各電極は心内膜表面上に配置される)を備えた多電極カテーテルを使用する場合、医師は、電極の数と同じだけの測定ポイントのセットを収集することができる。
【0036】
図6は、例示的な電気解剖学的マップ600を示し、これに基づいて本開示の1つ以上の特徴を実装することができる。電気解剖学的マップ600は、電気生理学的処置に集中させることができる心臓620の解剖学的セクションの3D再構成(すなわち、解剖学的セクションの心内膜壁の3D表面)を含み得る。医師は、システム100、200の入力装置240によって提供されるグラフィカルユーザインターフェース(GUI)を使用して、解剖学的セクションを好ましい視点へと回転させることができる。また、心臓内の現在位置でレンダリングされた、処置で使用されるカテーテル640、642、644も示されている。例えば、多電極カテーテル(例えば、Pentaray(登録商標)カテーテル)640、参照カテーテル642、及びアブレーションカテーテル644は、医師が各カテーテルの位置を見て、解剖学的セクション620を通してそれをナビゲートすることができるように、レンダリングされた解剖学的セクション620に対してレンダリングされ得る。更に、医師の診断を通知するために、測定された電気信号から導出された電気的性質は、それぞれの電気信号が測定された組織位置で解剖学的セクション上にオーバーレイされる630(色コード化)。
【0037】
解剖学的及び電気的マッピングは、様々な技術を使用して実装され得る。一態様では、(関心の解剖学的セクションに配置されたカテーテルの電極によって取得される)測定値の取得は、解剖学的セクションの心内膜表面の3D再構成を容易にし得る。十分な空間分解能を有する表面を再構築するために、医師は、解剖学的セクションの100個以上の位置で測定値を蓄積する必要があり得る。取得された測定値は、電気信号に加えて、それぞれの位置、すなわち電気信号が測定された心内膜表面の3D位置を含み得る。取得された3D位置から、解剖学的セクションの表面を再構成することができる。一態様では、取得された3D位置は、超音波、コンピュータ断層撮影(CT)、又は磁気共鳴画像法(MRI)などの他の画像診断技術に基づいて予備的処置で構築された解剖学的セクションの初期再構成を改善するために使用され得る。したがって、システム100、200は、患者の心臓の3D解剖学的表現を再構築し、医師によって閲覧されるために関心の解剖学的セクション620をディスプレイ127上に(詳細を向上させて)レンダリングすることができる。
【0038】
加えて、システム100、200は、解剖学的マッピング上に組織の電気的性質をオーバーレイすることができる。オーバーレイされた電気的性質は、電気的測定値から導出され得る。したがって、電極によって取得された各測定値は、システムによって電気的性質へと変換され得、その値は、心内膜壁のレンダリングされた表面上の対応する位置でオーバーレイされ得る。例えば、心内膜表面上にLATなどの電気的性質をオーバーレイして、LATマップ630を得ることができる。測定値から導出されたLATは、例えば、基準時間と測定パルスがピックアップされた時間との間の時間の差を表し得る。別の例では、心内膜表面上に電圧などの電気的性質をオーバーレイして、電圧マップを得ることができる。測定値から導出された電圧は、例えば、測定パルスがピックアップされた時点の電圧振幅を表し得る。一態様では、医師によってより多くの測定値が取得されると、解剖学的構造は漸進的に再構成され得、電気的マップは、詳細(又は分解能)を向上させて再構成された解剖学的構造にオーバーレイされ得る。
【0039】
電気解剖学的マップ600と共に、システム100、200は、医師によって取得された測定値と関連付けられたリスト中のデータ、すなわちポイントリスト(
図7を参照して説明される)を提示することができる。電気解剖学的マップ及び対応するポイントリストの両方は、例えば、心臓の電気的活動の伝播を変化させ、正常な心拍リズムを回復させることができる組織アブレーションを実施するための治療行動方針を決定するのに役立ち得る。
【0040】
図7は、例示的なポイントリスト700を示し、これに基づいて本開示の1つ以上の特徴を実装することができる。ポイントリスト700の各エントリ(すなわち、各行750)は、システム100、200によって使用可能な、カテーテルの電極によって取得された測定値に対応するデータ要素を含み得る。医師が電気生理学的処置において、電気信号を取得するため心内膜表面内の位置にカテーテル(例えば、
図4~
図6を参照して説明されるカテーテルのうちの1つ)を配置すると、システム100、200は、測定された信号及び関連付けられたデータをポイントリストのそれぞれのエントリに記録することができる。続いて、スクロール可能なウィンドウ705内でポイントリストレコード790のセグメントが医師に提示され得る。ポイントリスト内の各エントリは、電極の位置及び電極の測定された電気信号と関連付けられ、データ要素710~720を含み得る。例えば、データ要素は、LAT712又は電圧714などの電気的性質であり得る(これを基にして、LATマップ又は電圧マップが
図6を参照して説明されるように生成され得る)。各エントリは、エントリ番号710、エントリに関連付けられた測定値を取得した電極716の識別、測定値を特徴付けるタイプ718、及び/又は医師が測定値をマークすることができるタグ720などの他のデータ要素を含んでもよい。
【0041】
ポイントリスト700は、異常な電気的活動の領域を医師が分析するのを支援する有益なツールである。典型的には、医師は、異常を識別するため処置中にポイントリストを検査し、エントリデータ(LAT又は電圧データ要素など)を比較する。例えば、医師は、エントリにわたってデータを検査して、組織と十分に接触していない電極によって引き起こされ得る外れ値を識別して排除することができる。しかしながら、医師がポイントリストからのデータを調査及び分析することは、互いに近接した解剖学的構造における位置に対応するリストのエントリが、リスト内では互いから離れて配置され得るという事実によって複雑になる場合がある。処置中に、ポイントリストが大きくなる(例えば、数千のエントリを含む)可能性があるため、関心の解剖学的区域内の組織位置に対応するデータを含むエントリは、数千個のばらばらのエントリとなり得る。したがって、ポイントリストウィンドウ705内でこれらのエントリを互いに対して検査することは非実用的であり得る。例えば、組織位置730及び740(空間的に互いに近接している)から取得された測定値は、例示されるように、互いに4000エントリ離れているエントリ番号0006 760及びエントリ番号4006 770に関連付けられてもよい。この欠点に対処するために、本明細書に開示される態様は、以下で詳細に開示されるように、解剖学的構造にポイントリストをリンクさせる。
【0042】
図8は、例示的な、解剖学的構造にリンクしたポイントリスト800を示し、これに基づいて本開示の1つ以上の特徴を実装することができる。ポイントリスト800の各エントリ(すなわち、各行850)は、システム100、200によって使用可能な、カテーテルの電極によって取得された測定値に対応するデータ要素を含み得る。電気生理学的処置において、医師が電気信号を取得するために心内膜表面内の位置にカテーテルを配置すると、システム100、200は、測定された信号及び関連付けられたデータをポイントリストのそれぞれのエントリに記録することができる。続いて、スクロール可能なウィンドウ805内でポイントリストレコード890のセグメントが医師に提示され得る。上述したように、ポイントリスト内の各エントリは、電極の位置及び電極の測定された電気信号と関連付けられ、データ要素810~820を含み得る。例えば、データ要素は、LAT812又は電圧814などの電気的性質であり得る。各エントリは、エントリ番号810、エントリに関連付けられた測定値を取得した電極816の識別、測定値を特徴付けるタイプ818、及び/又は医師が測定をマークすることができるタグ820などの他のデータ要素を含んでもよい。更に、各エントリは、本明細書に開示される態様による、解剖学的関心領域にポイントリストをリンクさせるために使用され得る距離811のデータ要素を含み得る。
【0043】
ポイントリスト800内のデータエントリは、1つ以上のアンカーポイント830~838によって画定される解剖学的関心領域にリンクされ得る。アンカーポイント830~838は、以下に記載されるように、医師によって手動で選択されてもよく、又はシステム100、200によって自動的に決定されてもよい。したがって、アンカーポイントは、医師が分析を集中させることを望む解剖学的構造の表面上の区域、すなわち、解剖学的関心領域880を画定し得る。続いて、システム100、200は、ポイントリスト800からの各エントリについて、エントリに関連付けられた位置(すなわち、エントリに関連付けられた測定値が取得された電極の位置)とアンカーポイントとの間の距離を計算し得る。例えば、計算された距離は、測地的距離のうちの最小距離であり得、各測地的距離は、解剖学的表面に沿って電極の位置からアンカーポイントのうちの1つまで測定された距離として定義される。ポイントリスト内の各エントリについて距離811が計算されると、ポイントリストは、アンカーポイント830~838によって画定された解剖学的関心領域に対して操作され得る。すなわち、ポイントリスト800は、以下で更に説明するように、それぞれのエントリの距離811に基づいて、ナビゲート、フィルタリング、又は視覚化され得る。
【0044】
一態様では、医師は、例えばシステム100、200の入力装置240によって提供されるGUIを使用することによって、1つ以上のアンカーポイントを手動で選択することができる。例えば、医師は、関心領域880に対する画像ポイントを選択するためにレンダリングされた解剖学的構造上でクリックすることができ、システム100、200は、選択された画像ポイントを、例えばアンカーポイント830~838を構成する対応する3Dポイント(再構成された解剖学的表面上の)まで並進させることができる。あるいは、医師は、例えば、関心領域880の中心で、1つの画像ポイントをクリックすることができ、システム100、200は、選択されたポイントの所定の区域内でアンカーポイント(再構成された解剖学的表面上の)を選択するように設定され得る。別の態様では、1つ以上のアンカーポイントは、カテーテルの現在位置に基づいて決定され得る。例えば、医師が心内膜壁に沿って多電極カテーテルを前進させると、カテーテルの各電極の現在位置(システム100、200によって確立された)をアンカーポイントとして使用することができる。あるいは、システム100、200は、例えば、カテーテルの遠位端の現在位置の所定の区域内でアンカーポイント(構成された解剖学的表面上に位置する)を選択するように設定され得る。
【0045】
本明細書に開示される態様によれば、システム100、200によって生成されたポイントリスト800が解剖学的関心領域にリンクされると、医師によるポイントリストレコード890のナビゲーションを改善するための様々な操作が実施され得る。心臓内の特定の領域内で心組織の電気的性質を調査することに関心がある医師は、システム100、200を使用して、アンカーポイントによってその領域を関心領域として決定することができる。アンカーポイントの選択に続いて、上述したように、ポイントリスト800内の各エントリは、アンカーポイントに対して計算された距離と関連付けされ得る。計算された距離811は、ポイントリスト800内のそれぞれのエントリのデータ要素に追加されてもよく、また、関心領域が医師によって変更されるたびに、すなわち、アンカーポイントの新しいグループが決定されるたびに、更新されてもよい。したがって、関心領域880(例えば、アンカーポイント830~838によって定義される)を調査することを望む医師は、距離データ要素811に基づいて、より小さい距離を有するリストのエントリがより大きな距離を有するものよりも前に現れるようにポイントリストレコード890をソートすることができる。距離に基づいてソートされると、(関心領域に対して)近接する位置から取得された測定値に関連付けられたデータエントリは、ポイントリスト内で互いに近接しているように見える。例えば、組織位置830及び832(空間的に互いに近接している)から取得された測定値は、例示されるように、互いに3エントリしか離れていないエントリ番号2017 860及びエントリ番号0760 870に関連付けられる。したがって、近接する心組織から取得された測定値に関連付けられたデータエントリは、ここで、ポイントリストウィンドウ805内で視覚的に検査することができ、また、医師によって容易に相互比較され得る。
【0046】
距離811に基づいてポイントリストレコード890がソートされると、所定の閾値を下回る距離811を有するデータエントリを、共にグループ化することができ、また、ポイントリストウィンドウ805(すなわち、一次ウィンドウ)内で共に閲覧することができる。一態様では、所定の閾値を下回る距離811を有するデータエントリを、二次ウィンドウ(図示せず)内で閲覧することができる。その態様では、一次ウィンドウ805を使用して、記録890内の残りのポイント又はすべてのポイントを表示することができる。2つのウィンドウ内でポイントリストを閲覧することは、例えば、各ウィンドウがポイントリストレコード890の異なるビューを提供する場合に有用であり得る。例えば、各ウィンドウは、以下で説明するように、異なるフィルタに基づいて導出されたエントリの異なるサブセットを提示し得る。
【0047】
一態様では、各ポイントリストウィンドウ(例えば、一次805又は二次ウィンドウ)は、それに関連付けられた異なるフィルタを有し得る。したがって、ポイントリスト800内のエントリは、様々な基準に基づいてフィルタリングされ得る。ポイントリストは、そのデータ要素810~820のいずれかに関してフィルタリングされ得る。例えば、所定の閾値を上回るLAT812を有するエントリは、リストからフィルタリングして取り除かれ得る。更に、フィルタリングは、いくつかのデータ要素の関数(例えば、ブール関数)に基づいて実施され得る。例えば、所定の閾値を上回るLAT812、及び別の所定の閾値を上回る距離811を有するエントリを、リストからフィルタリングして取り除き、より管理しやすくかつ関連性の高いリストをもたらすことができる。フィルタリング関数は、医師によって決定されてもよく、又はシステム100、200によって自動的に、例えば医師によって決定された基準に基づいて決定されてもよい。例えば、フィルタリングの基準は、特定のデータ要素がそのデータ要素の標準偏差のx倍を上回るかどうかであってもよい。
【0048】
ポイントリストを介したナビゲーションは更に改善することができる。一態様では、ポイントリストのエントリが選択されて、リストをスクロールダウンするとウィンドウの下部セグメント内のエントリのみが影響され得るように、ウィンドウ805を上部セグメントと下部セグメントとに分割してもよい。したがって、ウィンドウの上部セグメント内のエントリ、すなわちピン留めされたエントリは、静的に示される。医師は、ウィンドウの下部セグメントに示されるエントリをスクロールダウンすると、そこから他の関心のあるエントリを選択する(ピン留めする)ことができ得る。こうしたピン留めされたエントリは、続いて、ウィンドウの上部セグメントに移動されてもよく、そのセグメント内の他のピン留めされたエントリと比較されてもよい。一態様では、最後にアクセスされたエントリの迅速な検索を可能にするために、アクセスされたポイントリストのエントリに対するポインタを、システム100、200によってキャッシュすることができる。例えば、最後に編集されたエントリは、キャッシュ機構を使用して検索することができる。別の態様では、上述したようなソート操作又はフィルタリング操作を介して選択された選択エントリの履歴は、システム100、200によって記録され得る。したがって、医師は、選択されたエントリの記録された履歴を前後に移動することができ得る。更に別の態様では、システム100、200は、医師が、ポイントリスト800内のエントリをお気に入りのエントリとして示し、それらのエントリに対する操作を実施することを可能にすることができる。
【0049】
本明細書に開示される解剖学的構造にリンクしたポイントリスト800は、電気解剖学的マップ600の増強を促進することもできる。エントリ又はエントリのサブセットに関連付けられたデータ(例えば、ソート又はフィルタリング操作を適用することによってポイントリストレコード890から抽出された)は、電気解剖学的マップ600に対して視覚化され得る(又は電気解剖学的マップ600上にオーバーレイされ得る)。例えば、レンダリングされた解剖学的構造620の色、透明度、又はテクスチャは、場合により、それぞれのエントリのデータ要素(例えば、距離811)の関数として、解剖学的構造上のエントリの関連付けされた位置で変更され得る。別の実施例では、図形要素は、解剖学的構造上のエントリの関連付けされた位置で、レンダリングされた解剖学的構造620上にオーバーレイされ得る(場合により、それぞれのエントリのデータ要素(例えば、距離811)を表す図形要素)。
【0050】
図9は、ポイントリストを3D解剖学的構造にリンクするための例示的な方法900のフローチャートであり、これに基づいて本開示の1つ以上の特徴を実装することができる。
【0051】
方法900は、ポイントリスト800の記録を用いてステップ910から開始する。
図8を参照して説明したように、ポイントリスト800内の各エントリは、データ要素を含むことができ、心臓内の関連付けられた場所に配置されたカテーテルの電極によって取得された、心臓内の位置及び測定値と関連付けられ得る。ステップ920では、1つ以上のアンカーポイントが選択されてもよく、選択されたアンカーポイントは、心臓内の関心領域と関連付けられてもよい。上述のように、1つ以上のアンカーポイントは、医師によって手動で選択されてもよく、又はカテーテルの現在位置に基づいて決定されてもよい。続いて、ポイントリスト内の各エントリについて、ステップ930で、距離のデータ要素が計算される。計算された距離は、心臓内の入口の関連付けられた位置(すなわち、入口の関連付けられた電極の位置)と、選択された1つ以上のアンカーポイントとの間である。例えば、計算された距離は、測地的距離のうちの最小距離であり得、各測地的距離は、解剖学的表面に沿って電極の位置からアンカーポイントのうちの1つまで測定された距離として定義される。ポイントリスト800内の各エントリについて距離データ要素が計算されると、ステップ940で、ポイントリストは、それぞれのデータ要素に基づいて操作され得る。例えば、ポイントリストは、上記で説明したように、計算された距離811を含むデータ要素に基づいて、ナビゲート、フィルタリング、又は視覚化され得る。
【0052】
特徴及び要素が特定の組み合わせにて上記で説明されたが、当業者であれば、特徴又は要素の各々を単独で使用することもでき、又は他の特徴及び要素と組み合わせて使用することもできることを理解するであろう。更に、プロセス工程が特定の順序で上述されているが、工程は他の望ましい順序で実施することもできる。
【0053】
本明細書に記載される方法、プロセス、モジュール、及びシステムは、コンピュータ又はプロセッサによって実行するためにコンピュータ可読媒体に組み込まれたコンピュータプログラム、ソフトウェア、又はファームウェアに実装されてもよい。コンピュータ可読媒体の例としては、電子信号(有線又は無線接続を介して送信される)及びコンピュータ可読記憶媒体が挙げられる。コンピュータ可読記憶媒体の例としては、読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、レジスタ、キャッシュメモリ、半導体メモリデバイス、内蔵ハードディスク及びリムーバブルディスクなどの磁気媒体、光磁気媒体、並びにCD-ROMディスク及びデジタル多用途ディスク(DVD)などの光学媒体が挙げられるが、これらに限定されない。ソフトウェアに関連するプロセッサを使用して、WTRU、UE、端末、基地局、RNC、又は任意のホストコンピュータで使用するための無線周波数トランシーバを実装することができる。
【0054】
本明細書の更なる実施形態は、ある実施形態を、本明細書の任意の1つ以上の他の実施形態からの1つ以上の要素で補足することによって、かつ/又は1つの実施形態からの1つ以上の要素を本明細書の1つ以上の他の実施形態からの1つ以上の要素で置き換えることによって、形成することができる。
【0055】
したがって、開示される主題は開示される特定の実施形態に限定されず、添付の特許請求の範囲、上記の説明によって定義される、かつ/又は添付の図面によって示される本開示の趣旨及び範囲内にあるすべての修正を包含することを意図していることが理解される。
【0056】
〔実施の態様〕
(1) ポイントリストを心臓の三次元解剖学的構造にリンクさせるための方法であって、前記方法は、
ポイントリストを記録することであって、前記ポイントリスト内の各エントリは、データ要素を含み、前記心臓内の位置及び測定値と関連付けられ、前記関連付けられた測定値は、前記心臓内の前記関連付けられた位置に配置されたカテーテルの電極によって取得される、ことと、
前記心臓内の関心領域に関連付けられた1つ以上のアンカーポイントを選択することと、
前記ポイントリスト内の各エントリについて、前記心臓内の前記エントリと関連付けられた前記位置と前記選択された1つ以上のアンカーポイントとの間の距離のデータ要素を計算することと、
これらのそれぞれのデータ要素に基づいて、前記ポイントリスト内のエントリを操作することと、を含む、方法。
(2) 前記ポイントリスト内の各エントリについて前記計算された距離のデータ要素が、測地的距離のうちの最小距離であり、各測地的距離が、前記心臓内の前記エントリの関連付けられた位置と前記選択された1つ以上のアンカーポイントのうちの1つとの間で計算される、実施態様1に記載の方法。
(3) 前記1つ以上のアンカーポイントを選択することは、
前記心臓のレンダリングされた部分から1つ以上の画像ポイントを選択することと、
前記心臓のどの前記部分がレンダリングされたかに基づく前記心臓の三次元再構成に基づいて、前記選択された1つ以上の画像ポイントから前記1つ以上のアンカーポイントを導出することと、を含む、実施態様1に記載の方法。
(4) 前記選択された1つ以上のアンカーポイントが、前記カテーテルの電極のそれぞれの位置に対応する、実施態様1に記載の方法。
(5) 前記選択された1つ以上のアンカーポイントが、前記カテーテルの遠位端の位置に対して決定される、実施態様1に記載の方法。
【0057】
(6) 前記ポイントリスト内のエントリの1つ以上のデータ要素に基づいて、前記心臓内の前記エントリの関連付けられた位置の前記心臓のレンダリングされた部分を変更することを更に含む、実施態様1に記載の方法。
(7) 前記心臓内の前記エントリの関連付けられた位置の前記心臓のレンダリングされた部分上に、前記ポイントリスト内のエントリの1つ以上のデータ要素を表す図形要素をオーバーレイすることを更に含む、実施態様1に記載の方法。
(8) 前記ポイントリスト内のエントリの1つ以上のデータ要素が、前記エントリの関連付けられた測定値から導出される組織の電気的性質を含む、実施態様1に記載の方法。
(9) 前記ポイントリスト内のエントリを操作することが、これらのそれぞれの距離データ要素に基づいて前記エントリをソートすることを含む、実施態様1に記載の方法。
(10) 前記ポイントリスト内のエントリを操作することが、前記エントリの1つ以上のデータ要素に適用されるフィルタリング関数に基づいて、前記ポイントリストからエントリをフィルタリングして取り除くことを含む、実施態様1に記載の方法。
【0058】
(11) 前記フィルタリング関数が、1つ以上の所定の基準に基づいて自動的に決定される、実施態様10に記載の方法。
(12) 前記ポイントリスト内のエントリを操作することが、複数のウィンドウ内で前記ポイントリストを表示することを含み、前記操作することが、各ウィンドウ内で独立して実施される、実施態様1に記載の方法。
(13) 前記ポイントリスト内のエントリを操作することが、ウィンドウの複数のセクション内で前記ポイントリストを表示することを含み、前記操作することが、前記ウィンドウの各セクション内で独立して実施される、実施態様1に記載の方法。
(14) 前記ポイントリストを表示するウィンドウを上部セグメント及び下部セグメントに分割することであって、前記上部セグメントの一部であるエントリが静的に示され、前記下部セグメントの一部であるエントリがスクロール可能である、ことと、
前記エントリのピン留め操作に応答して、前記エントリを前記下部セグメントから前記上部セグメントに移動させることと、を更に含む、実施態様1に記載の方法。
(15) 最後にアクセスされた前記ポイントリスト内のエントリに対するポインタをキャッシュすることを更に含む、実施態様1に記載の方法。
【0059】
(16) 前記ポイントリスト内のエントリのソート操作又はフィルタリング操作を含む、操作履歴を記録することを更に含む、実施態様1に記載の方法。
(17) 前記ポイントリスト内の前記エントリの1つ以上のお気に入りエントリを選択することを更に含み、前記操作することが、前記選択されたお気に入りエントリを操作することを含む、実施態様1に記載の方法。
(18) ポイントリストを心臓の三次元解剖学的構造にリンクさせるためのシステムであって、
少なくとも1つのプロセッサと、
命令を格納するメモリであって、前記命令は、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、前記システムに、
ポイントリストを記録することであって、前記ポイントリスト内の各エントリは、データ要素を含み、前記心臓内の位置及び測定値と関連付けられ、前記関連付けられた測定値は、前記心臓内の前記関連付けられた位置に配置されたカテーテルの電極によって取得される、ことと、
前記心臓内の関心領域に関連付けられた1つ以上のアンカーポイントを選択することと、
前記ポイントリスト内の各エントリについて、前記心臓の前記エントリと関連付けられた前記位置と前記選択された1つ以上のアンカーポイントとの間の距離のデータ要素を計算することと、
これらのそれぞれのデータ要素に基づいて、前記ポイントリスト内のエントリを操作することと、を実施させる、メモリと、を含む、システム。
(19) 前記ポイントリスト内の各エントリについて前記計算された距離のデータ要素が、測地的距離のうちの最小距離であり、各測地的距離が、前記心臓内の前記エントリの関連付けられた位置と前記選択された1つ以上のアンカーポイントのうちの1つとの間で計算される、実施態様18に記載のシステム。
(20) 前記1つ以上のアンカーポイントを選択することは、
前記心臓のレンダリングされた部分から1つ以上の画像ポイントを選択することと、
前記心臓のどの前記部分がレンダリングされたかに基づく前記心臓の三次元再構成に基づいて、前記選択された1つ以上の画像ポイントから前記1つ以上のアンカーポイントを導出することと、を含む、実施態様18に記載のシステム。
【0060】
(21) 前記選択された1つ以上のアンカーポイントが、前記カテーテルの電極のそれぞれの位置に対応する、実施態様18に記載のシステム。
(22) 前記選択された1つ以上のアンカーポイントが、前記カテーテルの遠位端の位置に対して決定される、実施態様18に記載のシステム。
(23) 前記ポイントリスト内のエントリを操作することが、これらのそれぞれの距離データ要素に基づいて前記エントリをソートすることを含む、実施態様18に記載のシステム。
(24) 前記ポイントリスト内のエントリを操作することが、前記エントリの1つ以上のデータ要素に適用されるフィルタリング関数に基づいて、前記ポイントリストからエントリをフィルタリングして取り除くことを含む、実施態様18に記載のシステム。
(25) ポイントリストを心臓の三次元解剖学的構造にリンクさせるための方法を実施するように少なくとも1つのプロセッサによって実行可能な命令を含む非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記方法は、
ポイントリストを記録することであって、前記ポイントリスト内の各エントリは、データ要素を含み、前記心臓内の位置及び測定値と関連付けられ、前記関連付けられた測定値は、前記心臓内の前記関連付けられた位置に配置されたカテーテルの電極によって取得される、ことと、
前記心臓内の関心領域に関連付けられた1つ以上のアンカーポイントを選択することと、
前記ポイントリスト内の各エントリについて、前記心臓内の前記エントリと関連付けられた前記位置と前記選択された1つ以上のアンカーポイントとの間の距離のデータ要素を計算することと、
これらのそれぞれのデータ要素に基づいて、前記ポイントリスト内のエントリを操作することと、を含む、非一時的コンピュータ可読媒体。
【0061】
(26) 前記ポイントリスト内の各エントリについて前記計算された距離のデータ要素が、測地的距離のうちの最小距離であり、各測地的距離が、前記心臓内の前記エントリの関連付けられた位置と前記選択された1つ以上のアンカーポイントのうちの1つとの間で計算される、実施態様25に記載の媒体。
(27) 前記1つ以上のアンカーポイントを選択することは、
前記心臓のレンダリングされた部分から1つ以上の画像ポイントを選択することと、
前記心臓のどの前記部分がレンダリングされたかに基づく前記心臓の三次元再構成に基づいて、前記選択された1つ以上の画像ポイントから前記1つ以上のアンカーポイントを導出することと、を含む、実施態様25に記載の媒体。
(28) 前記選択された1つ以上のアンカーポイントが、前記カテーテルの電極のそれぞれの位置に対応する、実施態様25に記載の媒体。
(29) 前記ポイントリスト内のエントリを操作することが、これらのそれぞれの距離データ要素に基づいて前記エントリをソートすることを含む、実施態様25に記載の媒体。
(30) 前記ポイントリスト内のエントリを操作することが、前記エントリの1つ以上のデータ要素に適用されるフィルタリング関数に基づいて、前記ポイントリストからエントリをフィルタリングして取り除くことを含む、実施態様25に記載の媒体。
【外国語明細書】