(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023059908
(43)【公開日】2023-04-27
(54)【発明の名称】可変透過率層を含む光学フィルタ
(51)【国際特許分類】
G02B 5/23 20060101AFI20230420BHJP
G02B 5/22 20060101ALI20230420BHJP
B32B 7/023 20190101ALI20230420BHJP
C03C 27/12 20060101ALI20230420BHJP
G02F 1/1335 20060101ALN20230420BHJP
G02F 1/15 20190101ALN20230420BHJP
C09K 9/02 20060101ALN20230420BHJP
【FI】
G02B5/23
G02B5/22
B32B7/023
C03C27/12 N
G02F1/1335 500
G02F1/15 502
C09K9/02 A
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023018868
(22)【出願日】2023-02-10
(62)【分割の表示】P 2020174742の分割
【原出願日】2013-05-29
(31)【優先権主張番号】61/652,466
(32)【優先日】2012-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】61/766,613
(32)【優先日】2013-02-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】521067832
【氏名又は名称】ソルティア・カナダ・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100168066
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 雄太
(72)【発明者】
【氏名】ブランダ、ニール ロビン
(72)【発明者】
【氏名】エルノ、ザッカリー ブライス
(72)【発明者】
【氏名】フィンデン、ジェレミー グラハム
(72)【発明者】
【氏名】ラム、デュアン
(72)【発明者】
【氏名】ルー、チャールズ ジョセフ ゴンミン
(72)【発明者】
【氏名】サージェント、ジョナサン ロス
(72)【発明者】
【氏名】スミット、マシュー ポウル
(72)【発明者】
【氏名】ボン ハーン、ピーター アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ウィギン、ダグラス マルコム
(57)【要約】
【課題】光学フィルタを与える。
【解決手段】
暗状態で第1のスペクトル及びフェード状態で第2のスペクトルを有する可変透過率層と
、第3のスペクトルを有する色バランス調整層と、を含む、光学フィルタ。ただし、第1
、第2、及び第3のスペクトルのそれぞれは、可視部分を含み、第1及び第3のスペクト
ルは、組み合わさって暗状態目標色に近い暗状態スペクトルを提供し、かつ第2及び第3
のスペクトルは、組み合わさってフェード状態目標色に近いフェード状態スペクトルを提
供する。光学フィルタは、光減衰層をさらに含みうる。光学フィルタは、ラミネートガラ
スの一部分をさらに含みうる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
暗状態での第1のスペクトルと、フェード状態での第2のスペクトルとを有し、前記第
1及び第2のスペクトルは可視部分を含んでなる可変透過率層と、
370nm~435nmのカットオフ波長を有する紫外線(UV)遮断層とを有し、前
記可変透過率層と紫外線(UV)遮断層とは積層をなす、光学フィルタ。
【請求項2】
第3のスペクトルを有する色バランス調整層をさらに備え、前記色バランス調整層は前
記積層を構成し、前記第3のスペクトルは可視部分を含んでなり、前記第1のスペクトル
と前記第3のスペクトルが組み合わさって暗状態目標色に近い暗状態スペクトルを与え、
前記第2のスペクトルと前記第3のスペクトルが組み合わさってフェード状態目標色に近
いフェード状態スペクトルを与える、請求項1に記載の光学フィルタ。
【請求項3】
前記可変透過率層は電磁線に曝露された時にフェード状態から暗状態に、及び電圧の印
加により暗状態からフェード状態に、遷移可能なスイッチング材料を含んでなる、請求項
1に記載の光学フィルタ。
【請求項4】
印加する前記電圧は0.1V~2.5Vの範囲にある、請求項3に記載の光学フィルタ
。
【請求項5】
前記積層の一部をなす赤外(IR)遮断層をさらに備える、請求項1に記載の光学フィ
ルタ。
【請求項6】
約15%未満の暗状態LTAと、
約5%超のフェード状態LTAと、
少なくとも5のコントラスト比とを有する、請求項1に記載の光学フィルタ。
【請求項7】
暗状態で1%以下かつ明状態で6%以上の光透過値を有する、請求項1に記載の光学フ
ィルタ。
【請求項8】
暗状態で5%以下かつ明状態で15%以上の光透過値を有する、請求項1に記載の光学
フィルタ。
【請求項9】
前記紫外線(UV)遮断層は前記カットオフ波長において入射紫外(UV)光の50%
を遮断する、請求項1に記載の光学フィルタ。
【請求項10】
請求項1に記載の光学フィルタを含んでなるデバイスにおいて、前記デバイスはラミネ
ートガラス、眼科用デバイス、自動車用板ガラス、又は建築用板ガラスからなる、デバイ
ス。
【請求項11】
暗状態での第1のスペクトルと、フェード状態での第2のスペクトルとを有し、前記第
1及び第2のスペクトルは可視部分を含んでなる可変透過率層と、
赤外(IR)遮断層であって、前記可変透過率層と前記赤外(IR)遮断層とは積層を
なす、赤外(IR)遮断層と、
前記積層の一部をなし、かつ第3のスペクトルを有する色バランス調整層とを備え、
前記第3のスペクトルは可視部分を含んでなり、前記第1のスペクトルと前記第3のス
ペクトルが組み合わさって暗状態目標色に近い暗状態スペクトルを与え、前記第2のスペ
クトルと前記第3のスペクトルが組み合わさってフェード状態目標色に近いフェード状態
スペクトルを与える、光学フィルタ。
【請求項12】
第3のスペクトルを有する色バランス調整層をさらに備え、前記色バランス調整層は前
記積層を構成し、前記第3のスペクトルは可視部分を含んでなり、前記第1のスペクトル
と前記第3のスペクトルが組み合わさって暗状態目標色に近い暗状態スペクトルを与え、
前記第2のスペクトルと前記第3のスペクトルが組み合わさってフェード状態目標色に近
いフェード状態スペクトルを与える、請求項11に記載の光学フィルタ。
【請求項13】
印加する前記電圧は0.1V~2.5Vの範囲にある、請求項12に記載の光学フィル
タ。
【請求項14】
前記積層の一部をなす紫外線(UV)遮断層をさらに有し、紫外線(UV)遮断層は3
70nm~435nmのカットオフ波長を有する、請求項11に記載の光学フィルタ。
【請求項15】
前記紫外線(UV)遮断層は前記カットオフ波長において入射紫外(UV)光の50%
を遮断する、請求項14に記載の光学フィルタ。
【請求項16】
約15%未満の暗状態LTAと、
約5%超のフェード状態LTAと、
少なくとも5のコントラスト比とを有する、請求項11に記載の光学フィルタ。
【請求項17】
暗状態で1%以下かつ明状態で6%以上の光透過値を有する、請求項11に記載の光学
フィルタ。
【請求項18】
暗状態で5%以下かつ明状態で15%以上の光透過値を有する、請求項11に記載の光
学フィルタ。
【請求項19】
請求項11に記載の光学フィルタを含んでなるデバイスにおいて、前記デバイスはラミ
ネートガラス、眼科用デバイス、自動車用板ガラス、又は建築用板ガラスからなる、デバ
イス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般的には、光学フィルタに関する。光学フィルタは、可変透過率層と色バ
ランス調整層とを含みうる。
【背景技術】
【0002】
可変透過率光学フィルタでは、可視光透過率を変化させるためにさまざまな技術を利用
しうる。一般的には、そのようなフィルタは、UV光、温度、及び/又は電圧などの刺激
の印加、除去、又は低減により、より高い光透過率の状態(フェード状態又は明状態)と
、より低い光透過率の状態(暗状態)と、を切り替えうる。例としては、フォトクロミッ
ク材料、エレクトロクロミック材料、サーモクロミック材料、液晶、又は懸濁粒子が挙げ
られる。いくつかのフォトクロミック材料は、光(多くの場合、紫外光)に応答して暗化
しうる。また、UV光が除去又は低減されるとフェード状態に戻りうる。いくつかのエレ
クトロクロミック材料は、電圧の印加に応答して暗化しうる。また、電圧が除去されると
フェード状態に戻りうる。他の選択肢としては、いくつかのエレクトロクロミック材料は
、第1の極性の電圧の適用に応答して暗化し、逆の極性の電圧が印加されるとフェードさ
れうる。いくつかのサーモクロミック材料は、温度上昇に応答して比例的に暗化しうる。
たとえば、材料は、温かくなると、より暗くなりうる。温度が低下すると、サーモクロミ
ック材料は、フェード状態に戻りうる。液晶材料及び懸濁粒子のデバイスは、電圧の印加
に応答して配向を変化させる結晶又は粒子を含む。電圧の不在下では、結晶又は粒子は、
ランダムに配向され、入射光を散乱するか(したがって、不透明に見える)、又はごくわ
ずかな光を透過する。電圧が印加されると、結晶又は粒子は、電界により整列され、光を
透過しうる。可変透過率光学フィルタがエレクトロクロミック的側面を含む場合、可変透
過率光学フィルタは、光学フィルタを制御回路に接続するための電気コネクターを含みう
る。この制御回路は、エレクトロクロミック色変化を引き起こすために光学フィルタに電
力を提供する。
【0003】
可変光学フィルタの性質及びその使用に依存して、透過光又は太陽エネルギーのさらな
る減衰が望ましいこともありうる。可変透過率光学フィルタを車両、航空機、又は建物の
窓で使用する場合、赤外光の透過の低減又は遮断は、熱取得を制御するのに有用でありう
る。また、紫外光の透過の低減又は遮断は、車両内又は建物内の占有者を保護するのに有
用でありうる。衝撃保護が望ましい場合、窓にラミネートガラス(「安全ガラス」)を組
み込むことが有用でありうる。
【0004】
特許文献1及び特許文献2には、シェードバンドを有するラミネートガラスが記載され
ており、特許文献3には、IR遮断成分とIR遮断成分の黄緑色外観を相補する着色剤と
を含む中間層を有するラミネートガラスが記載されているが、可視領域で可変光透過を有
する窓においてどのように色を操作しうるかについては、扱われていない。灰色、青銅色
、又は緑色の色調のティントガラスもまた、窓を透過する光を減衰するために使用されう
る。いくつかのティント剤は、可視スペクトル全体にわたりほぼ均等に光を減衰しうる。
これは、全グレアを低減するのに有効でありうるが、ラミネートガラスの成分自体が色を
有する場合、ニュートラル色調に対する色「補正」を提供しない可能性があり、追加の色
補正が必要とされうる。
【0005】
電気を用いて光透過又は不透明度を変化させうる車両の窓のいくつかの例は、公知であ
り、マジック・スカイ(Magic Sky)(商標)自動車用サンルーフは、電気の印
加により不透明状態から透明状態に切り替える自動車用ガラスの一例である。スイッチン
グ可能層(懸濁粒子の薄いフィルム)がサンルーフガラスに適用され、車両の電気系に接
続される。特許文献4には、基材にラミネートするための高分子バインダーを有する電解
質中間層を含むエレクトロクロミック安全板ガラスが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第4244997号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2009/0303581号明細書
【特許文献3】米国特許第7655314号明細書
【特許文献4】米国特許第6995891号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ラミネートガラスが可変透過率成分を有する場合、フェード状態及び暗状態の一方又は
両方の光透過度が大きすぎたり、又は歪んだ色になったりする可能性がある。これまでは
、自動車用サンルーフや建築用窓などの板ガラス製品の色バランス調整は、所望の色を提
供すべくガラス自体の化学組成を変化させることにより、又は2枚の板ガラス間に着色中
間層(たとえばPVB)を組み込むことにより、達成された。可変透過率特性のすべてを
維持した状態で材料を異なる色に容易に変化させることはできないので、可変透過率を生
成するために使用される可変透過率フィルタの色を変化させることは、はるかに困難であ
る。たとえば、いくつかの可変透過率フィルタの色は、青色である。これは、いくつかの
用途には好適でありうるが、他の用途にはそうでないこともありうる。現在のところ、全
製品の色は、その色が製品の顧客及び潜在顧客に最も望ましいものに見えないとしても、
可変透過率フィルタの色により決定される。1つ以上の追加の可視光フィルタを組み込む
と、透過光がさらに減衰される可能性があるが、色を歪めたり又はすでに歪んだ色を悪化
させたりする可能性もある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は、可変透過率層と、可変透過率層の色と組み合わせて全スタックに対して所望
の色を達成するように選択された色バランス調整層と、を含む多層組成体に関する。可変
光透過率層と、フェード状態、暗状態、又はフェード状態及び暗状態の両方で目標(たと
えばニュートラル)色を提供するための色バランス調整層と、を有するラミネートガラス
は、現状技術よりも優れた有用な追加技術であり、自動車用窓(風防ガラス、サンルーフ
、ムーンルーフ、窓、後部ガラス、側部ガラスなど)、建築用途、眼科デバイス又は用途
などで使用されうる。
【0009】
一態様によれば、暗状態で第1の色及びフェード状態で第2の色を有する可変透過率層
と、可変透過率層の着色状態に相補的な色を有する色バランス調整層と、を含む多層組成
体が提供される。色バランス調整層は、可変透過率層の第1の色、第2の色、又は第1及
び第2の色に相補的な色を有しうる。色バランス調整層は、暗状態又はフェード状態又は
暗状態及びフェード状態の可変透過率層と一緒になって、第3の所望の色(たとえばニュ
ートラル色)を有する。可変透過率層及び色バランス調整層は、ポリマー層の内側にラミ
ネートされうる。可変透過率層は、スイッチング可能フィルム層、エレクトロクロミック
材料層、フォトクロミック材料層、懸濁粒子層、又は液晶層を含む。
【0010】
他の態様によれば、暗状態で第1のスペクトル及びフェード状態で第2のスペクトルを
有する可変透過率光学フィルタを含む可変透過率層と、スペクトルを有する色バランス調
整層と、を含む多層組成体が提供される。ただし、各スペクトルは、UV部分と可視部分
とIR部分とを含み、かつ層のスペクトルは、組み合わさって目標色に近い多層組成体の
色を提供する。1つ以上の色バランス調整層は、可変透過率層の内側でありうる。
【0011】
他の態様によれば、暗状態で第1のスペクトル及びフェード状態で第2のスペクトルを
有する可変透過率光学フィルタを含む可変透過率層を提供することと、スペクトルを有す
る色バランス調整層を選択することと、可変透過率層と色バランス調整層とをスタック形
態で組み合わせて目標色に近づけることと、を含む、目標色に近い多層組成体を作製する
方法が提供される。
【0012】
他の態様によれば、暗状態で第1の色及びフェード状態で第2の色を有する可変透過率
層と、色バランス調整層と、を含む光学フィルタが提供される。ただし、第1の色及び色
バランス調整層は、組み合わさって暗状態目標色に近い暗状態色を提供し、かつ第2の色
及び色バランス調整層は、組み合わさってフェード状態目標色に近いフェード状態色を提
供する。
【0013】
他の態様によれば、暗状態で第1のスペクトル及びフェード状態で第2のスペクトルを
有する可変透過率層と、第3のスペクトルを有する色バランス調整層と、を含む光学フィ
ルタが提供される。ただし、第1、第2、及び第3のスペクトルのそれぞれは、可視部分
を含み、第1及び第3のスペクトルは、組み合わさって暗状態目標色に近い暗状態スペク
トルを提供し、かつ第2及び第3のスペクトルは、組み合わさってフェード状態目標色に
近いフェード状態スペクトルを提供する。
【0014】
他の態様によれば、暗状態で第1のスペクトル及びフェード状態で第2のスペクトルを
有する可変透過率層を提供することと、第3のスペクトルを有する色バランス調整層を選
択することと、可変透過率層と色バランス調整層とをスタック形態で組み合わせて、フェ
ード状態、暗状態、又はフェード状態及び暗状態の両方で目標色に近づけることと、を含
む、目標色に近い光学フィルタを作製する方法が提供される。
【0015】
いくつかの態様では、色バランス調整層は、可変透過率層の内側である。
いくつかの態様では、光学フィルタは、光減衰層をさらに含みうる。光減衰層は、可変
透過率層の外側でありうる。
【0016】
いくつかの態様では、可変透過率層は、電磁線に暴露された時にフェード状態から暗状
態にかつ電圧の印加により暗状態からフェード状態に遷移可能なスイッチング材料を含む
。電磁線は、450nm以下の波長を有する成分を含みうる。電磁線は、400~450
nmの波長を有する成分を含みうる。印加電圧は、約1.1~約2.5V又はそれらの間
の任意の量もしくは範囲でありうる。
【0017】
いくつかの態様では、可変透過率層は、スイッチング可能フィルムを含む。スイッチン
グ可能フィルムは、スイッチング材料を含みうる。スイッチング材料は、スイッチング可
能フィルムの一部でありうる。このフィルムは、第1及び第2の透明基材と、第1、第2
、又は第1及び第2の基材の表面上に配設された第1及び第2の電極と、第1及び第2の
基材間にかつ第1及び第2の電極に接触して配設されたスイッチング材料と、を含む。ス
イッチング材料は、熱硬化性ポリマーと、イオン性媒体と、1種以上のフォトクロミック
/エレクトロクロミック化合物と、電磁線に暴露された時にフェード状態から暗状態にか
つ電圧の印加により暗状態からフェード状態に遷移可能なスイッチング材料と、を含みう
る。
【0018】
いくつかの態様では、光学フィルタの色は、暗状態、フェード状態、又は暗状態及びフ
ェード状態の両方でニュートラル色である。いくつかの態様では、可変透過率層及び色バ
ランス調整層は、ポリマー中に封入される。光学フィルタはさらに、赤外(IR)遮断成
分、紫外(UV)遮断成分、又はUV遮断成分及びIR遮断成分を含みうる。
【0019】
いくつかの態様では、光学フィルタは、約15%未満もしくは約10%未満もしくは約
5%未満もしくは約2%未満もしくは約1%未満の暗状態LTA、及び/又は約5%超も
しくは約10%超もしくは約15%超もしくは約20%超のフェード状態LTA、及び/
又は少なくとも5、少なくとも10、もしくは少なくとも20のコントラスト比を含みう
る。いくつかの態様では、光学フィルタは、暗状態で1%以下かつ明状態で6%以上、又
は暗状態で5%以下かつ明状態で15%以上の光透過値を含みうる。
【0020】
いくつかの態様では、暗状態目標色及び暗状態光学フィルタ色は、約0~約20のΔC
値及び/又は約0~約20のΔE値を提供する。いくつかの態様では、フェード状態目標
色及びフェード状態光学フィルタ色は、約0~約20のΔC値及び/又は約0~約20の
ΔE値を提供する。
【0021】
いくつかの態様では、光学フィルタを含むラミネートガラス、自動車用板ガラス、眼科
用デバイス、又は建築用板ガラスが提供される。
光学フィルタの色は、暗状態、フェード状態、又は暗状態及びフェード状態の両方でニ
ュートラル色である。色バランス調整層は、可変透過率層の第1の色、第2の色、又は第
1及び第2の色に相補的な色を有しうる。可変透過率層及び色バランス調整層は、ポリマ
ー層の内側にラミネートされうる。
【0022】
光学フィルタ又はラミネートガラスは、IR遮断成分及び/又はUV遮断成分をさらに
含みうる。IR遮断成分及び/又はUV遮断成分は、可変透過率層の外側でありうる。光
減衰層が存在する場合、IR遮断成分及び/又はUV遮断成分は、光減衰層の内側又は外
側でありうる。いくつかの態様では、UV遮断層は、光減衰層でありうる。
【0023】
選択されたコントラスト比、暗状態色、又は光透過率の1つ以上を有する光学フィルタ
を提供するために、可変透過率層及び色バランス層は、光減衰層、UV遮断層(たとえば
、選択された波長のカットオフフィルタ)、赤外遮断層などの1つ以上と組み合わされう
る。色バランス層は、可変透過率層がより低い吸光度を有するスペクトルの領域で光を吸
収するように選択されうる。意図される用途に依存して、それは、より暗い暗状態を達成
することが好ましいこともありうる。そのような実施形態では、光学フィルタは、灰色ガ
ラス又は灰色フィルムの光減衰層を含みうる。これにより、フェード状態で光透過率が低
減されうる。したがって、最大コントラスト比が望まれる場合(より明るいフェード状態
及びより暗い暗状態)、可変透過率層のスペクトルを選択的に相補する色バランス調整層
は、灰色ガラス又は灰色フィルムよりも好ましいこともありうる。耐候性を増加させるこ
とが好ましい場合、420nm以上のカットオフフィルタを光学フィルタに組み込むこと
が有用でありうる。いくつかの態様では、これは、暗状態でより大きい光透過率のさらな
る利点を提供しうる。
【0024】
本概要には、必ずしもすべての態様の全範囲が説明されているわけではない。他の態様
、特徴、及び利点は、特定の実施形態の以下の説明を精査すれば、当業者に明らかになる
であろう。
【0025】
これらの及び他の特徴は、添付の図面が参照される以下の説明から明らかになるであろ
う。図は、例示を目的としたものであり、とくに指定がないかぎり、相対比率や相対スケ
ールを示さないこともありうる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】一実施形態に係る暗状態(実線)及びフェード状態(鎖線)でのS109の光透過プロファイルを示すグラフ。
【
図2】色バランス調整層と共にS109を含む中間層の光透過を示すグラフ(他の実施形態に係る暗状態(実線)、フェード状態(点線)、色バランス調整層(一点鎖線))。
【
図7】他の実施形態に係る種々の装置構成の断面図。
【
図9】一実施形態に係る1.6の平均C値(Cavg)で4.4の最大C値(Cmax)を示す10枚の市販の「灰色」ガラスの透過スペクトル。
【
図10】他の実施形態に係る可変透過率層のためのカットエッジ、バスバー、及び電気リードの概略図を示す、(a)上面図及び、(b)A-Aラインに沿った断面図。
【
図11】他の実施形態に係る4種の光減衰層、すなわち、ロスコ07ペール・イエロー(実線)、ガムカラー1543フルCTO(点線)、ロスコ4390カルカラー90シアン(点線)、ロスコ398ニュートラル・グレー(一点長鎖線)のそれぞれの光透過スペクトル。
【
図12】暗状態の目標LT
A及びフェード状態の目標色を提供するように選択された色バランス層を用いて暗状態及びフェード状態のモデル化「スタック」のスペクトル変化を示しているグラフ(暗状態-実線、フェード状態-点線、色バランス調整層-一点鎖線、他の実施形態に係る)。
【
図13-1】他の実施形態に係る種々の光学フィルタの構成を示すブロック図。
【
図13-2】他の実施形態に係る種々の光学フィルタの構成を示すブロック図。
【
図14】他の実施形態に係る
図13の光学フィルタの内部温度のプロットを示すグラフ(スタックA-黒菱形、スタックB-黒四角、スタックC-黒三角、スタックD-白四角、スタックE-白三角、スタックF-黒丸、スタックG-白丸)。
【
図15】50℃及び70℃のブラックパネル温度設定値でQSUNキセノンアーク光源に暴露された試験デバイスの耐候性能のプロットを示すグラフ。X軸-340nmでの全エネルギー暴露量(mJ/m
2)、Y軸%初期暗化性能、黒丸-50℃での耐候性(傾きY=-l.938x+99.131)、黒菱形-70℃での耐候性(傾きY=-18.612x+152.2)、他の実施形態に係る。
【
図16A】390nmカットオフ(50%±6nm)を有するUV遮断層を用いた試験片の暗化性能に規格化された、特定のカットオフ波長のUV遮断層を用いて70℃のブラックパネル温度設定値でQSUNキセノンアーク光源に暴露されたα6.1f PVBラミネート試験デバイスの暗化性能の棒グラフ。
【
図16B】同一セットの試験デバイスのフェード状態のΔEの棒グラフ(ΔE値は、他の実施形態に係る390nmカットオフフィルタ(50%±6nm)を用いた試験片の破壊点(初期暗化性能の80%)に規格化された)。
【
図17】光の種々の波長に対して発色体S158の吸光度(実線)(左側Y軸、透過率右側Y軸)のプロットを示すグラフ(他の実施形態に係る370nm(鎖線)、400nm(点線)、420nm(長鎖線)、435nm(二点長鎖線)、及び455nm(一点長鎖線)の一連のカットオフフィルタ(50%±6nm))。
【
図18】他の実施形態に係るカットオフフィルタの不在下又は存在下における暗状態の最小光透過率の棒グラフ。
【
図19】他の実施形態に係るカットオフフィルタの不在下又は存在下における最小光透過率に達する時間の棒グラフ。
【発明を実施するための形態】
【0027】
部分的には、暗状態で第1のスペクトル及びフェード状態で第2のスペクトルを有する
可変透過率層と、スペクトルを有する色バランス調整層と、を含む光学フィルタが提供さ
れる。各スペクトルは、紫外(UV)部分、可視部分、及び赤外(IR)部分を含み、か
つ層のスペクトルは、組み合わさって目標色に近い光学フィルタの色を提供する。部分的
には、そのような光学フィルタを含むラミネートガラスがさらに提供される。
【0028】
種々の実施形態に係る光学フィルタは、暗状態とフェード状態とを切り替えるのに必要
な低電力要件を有しうる。光学フィルタは、さまざまな用途、たとえば、眼科用デバイス
(たとえば、バイザー、マスク、ゴーグル、レンズ、眼鏡レンズ(処方箋あり又はなし)
など)、建築用窓、車両用窓及びガラス(風防ガラス、側部ガラス、側部又は後部の窓を
含む)、ポップアップ式、スポイラー式、組込み式、折畳み式のサンルーフ、パノラマ式
ルーフシステム、又は取外し可能なルーフパネルを含む種々のタイプの車両用サンルーフ
に有用でありうる。光学フィルタは、暗状態と明状態との間で比較的迅速なスイッチング
を示しうる。それは、照明条件下で頻繁又は迅速な変化が起こる用途に有利でありうる。
光学フィルタは安定でありうる。また、温度に応答して光透過率の最小限の変化を示しう
る。それは、温度条件の頻繁又は迅速な変化が起こる用途に有利でありうる。光学フィル
タは、本明細書で参照されるものを含めて種々の用途で使用するのに好適な光安定性及び
耐久性を呈しうる。また、明状態と暗状態とを何回も繰り返しうる。いくつかの実施形態
では、光学フィルタは、ミラー又はディスプレイに組み込まれうる。光学フィルタの光透
過率は、ミラーに達する光もしくはミラーにより反射される光もしくはその両方の光の量
を制御するために、又はディスプレイにより放出される光の量を制御するために、変化さ
せうる。部分的には、光学フィルタを含む自動車用板ガラス又は建築用板ガラスがさらに
提供される。光学フィルタは、光減衰層をさらに含みうる。
【0029】
ユーザーは、複合光学フィルタに印加される電圧、暴露される光、又はその両方を制御
することにより、光学フィルタの光透過率を制御しうる。電圧を連続的又は間欠的に印加
して、光学フィルタを暗状態からフェード状態に切り替えたり又は光学フィルタをフェー
ド状態に維持したりしうる。
【0030】
スペクトルとは、光学フィルタ又は光学フィルタの成分の特徴的光透過を意味する。透
過光は、UV成分、可視成分、及び/又はIR成分又はそれらの一部分を有しうる。例と
して、
図1は、S109スイッチング材料を含む可変透過率層の暗状態及びフェード状態
でのスペクトルの可視部分を示している。
図2は、
図1の可変透過率層と色バランス調整
層とを含む光学フィルタのスペクトルの可視部分を示している。色バランス調整層のスペ
クトルもまた、示される。透過された波長値の足し算、掛け算、又は引き算により、層の
スペクトルを組み合わせうる。また、得られるスペクトルの可視領域は、色を参照して記
述されうる(たとえば、L
*a
*b
*値、LT
A、デルタ(Δ)C、ΔEなどを用いて)
。
【0031】
可変透過率層は、可変透過率光学フィルタを含みうる。可変透過率光学フィルタは、電
磁線(「光」)に暴露された時に暗化しかつ電圧が材料に印加された時にフェードするフ
ォトクロミック材料/エレクトロクロミック材料に基づきうる。いくつかのフォトクロミ
ック材料/エレクトロクロミック材料はまた、選択された波長の光がスイッチング材料に
入射したときにフェードしうる。暗状態又は明状態で可変透過率光学フィルタにより透過
される光は、1つ以上の色バランス調整層及び/又は光減衰層により変化させうる。いく
つかの実施形態では、光学フィルタは、フィルム(多層フィルム)でありうる。いくつか
の実施形態では、光学フィルタは、ガラス層などの剛性成分を含みうる。光学フィルタは
、1つ以上の接着剤層を用いてガラスの層又は層間にラミネートされうる。いくつかの実
施形態では、ガラスの2層間の光学フィルタの層(たとえば、可変透過率層、色バランス
調整層、光減衰層、接着剤層など)は、まとめて「中間層」として参照されうる。
【0032】
「スタック」という用語は、一般的には、光が透過する2つ以上の層(ガラス層、中間
層、色バランス調整層、光減衰層、接着剤層など)の互いに積み重なった配置を記述する
ために用いられうる。スタックは、スタックの色、スペクトル、透過光、又は目標に対す
る色もしくは透過光の差を参照して記述されうる(LTA、L*a*b*、ΔC、ΔEな
ど)。
【0033】
一般的には、可変透過率成分(たとえば、可変透過率光学フィルタ、可変透過率ラミネ
ートガラスなど)を含む窓は、外側空間から内側空間を分離しうる。窓の観察色又は透過
光の色を変化させて、可変透過率層の色とは異なる目標色にマッチングさせたり又は近づ
けたりすることが望ましいこともありうる。たとえば、窓の外観を建物外装色又は車両外
装色と調和させたり又は窓の外観をフレームなどの窓の他の成分と調和させたりするため
に、目標色にマッチングさせたり又は近づけたりすることが望ましいこともありうる。図
3~8は、そのような窓に使用可能な光学フィルタ中の層の種々の構成及び配置の例を示
している。いくつかの実施形態では、可変透過率層、入射光、又は窓により部分的には規
定される空間を参照して、層の相対位置を記述しうる。たとえば、
図3を参照すると、色
バランス調整層14は、可変透過率層16の内側であり、層14は、これが建物又は車両
に設置される窓の一部分である場合、内側空間により近いであろう。同様に、層12は、
可変透過率層16の外側である。光源からの入射光は、天然の又はミュレートされた太陽
光でありうるか、又は任意の光源からの人工光でありうる。入射光は、全可視スペクトル
の一部もしくは全部を含み、かつ主に可視スペクトル外の光を排除しうるか、又は入射光
は、UV及び/もしくは赤外/近赤外の成分を含みうる。
【0034】
層の色及び光透過:スイッチング材料(層)、光学フィルタ、又は光学フィルタを含む
ラミネートガラスの色は、色値L*a*及びb*(10度観測者でイルミナントD65に
準拠)を参照して、及び/又は可視光透過LTA(光透過、イルミナントA、2度観測者
)を参照して、記述されうる。LTA値及びL*a*b*値は、SAEJ1796規格に
準拠して測定されうる。L*a*b色空間は、観察色を記述するための手段を提供する。
L*は、0が黒色かつ100が白色である明度を定義し、a*は、緑色又は赤色のレベル
を定義し(ここで、+a*値は赤色であり、かつ-a*値は緑色である)、かつb*は、
青色又は黄色のレベルを定義する(ここで、+b*値は黄色であり、かつ-b*値は青色
である)。b*値の増加は、材料の黄色度の増加を表し、一方、b*の減少は、材料の黄
色度の減少を表す。a*値の増加は、材料の赤色度の増加を表し、一方、a*値の減少は
、材料の赤色度の減少を表す。ニュートラル・グレーを参照するために、透過色は、C(
又はC*ab)(式中、C=(a2+b2)1/2)値を計算することにより、L*に対
して記述されうる。たとえば、約40~約60のL*、約-10~約+10のa*、及び
約-10~約+10のb*(CIELAB座標系の中心近傍の領域を記述する)を有する
ものとして記述される透過光は、「ニュートラル」として、又は実質的に赤色/緑色でも
青色/黄色でもないとして、知覚されうる。
【0035】
分光光度計は、選択された波長における又はある範囲内の波長にわたる材料の光透過率
又は吸光度に関する情報を提供しうる。光の吸光度及び透過率は、ベール・ランベルトの
法則により関連付けられる。透過スペクトルは、式(1):
【0036】
【0037】
を用いることにより吸収プロファイル(スペクトル)に変換されうる。
吸光度は、同様に透過率に変換されうる。
一般的には、色強度は、スイッチング材料中の発色体の量と共に増加し、暗状態LTA
は、減少する。より暗い光学フィルタが望まれる場合、この傾向は、有益でありうるが、
発色体の量の低減もまた、コスト観点から望ましいこともありうる。
【0038】
目標の色と光学フィルタの色との間のスカラー関係を記述するために、ΔC(デルタC
)を計算しうる。
ΔC=光学フィルタのC*
ab-目標のC*
ab。
【0039】
目標の色及び光学フィルタの色のベクトル関係を記述するために、ΔΕ(デルタE)を
計算する。
ΔE
*
ab=[(ΔL
*)
2+(Δa
*)
2+(Δb
*)
2]
1/2
いくつかの実施形態に係る自動車用サンルーフに有用でありうるC値の範囲を例示する
一例として、10枚の市販の「灰色」ガラスの透過スペクトルを取得したところ(LT
A
に対して規格化)、1.6の平均C値(Cavg)で4.4の最大C値(Cmax)を示
したが、全可視スペクトルにわたりLT
Aの実質的に類似の低減を伴った(
図9)。灰色
色調にわたる他のL
*a
*b
*値は、以下で扱わかれる。したがって、ニュートラル色は
、「無彩色」(可視領域にわたり類似又はほぼ類似のLT
Aを有する)として記述されう
る。「目視」により判断した場合、ニュートラル色は、実質的に黄色/青色でも赤色/緑
色でもない。ΔC又はΔE値が小さいほど、目標の色とスタックの色との色差は、小さく
なる。一般的には、目標色に近いスタックは、約0~約20もしくはそれらの間の任意の
量のΔC又は約0もしくはそれらの間の任意の量のΔEを有するであろう。約0~約20
の範囲もしくはそれらの間の任意の量としては、約1、2、3、4、5、6、7、8、9
、10、11、12、13、14、15、16、17、18、もしくは19又はそれらの
間の任意の量が挙げられる。
【0040】
一般的には、フェード状態又は暗状態での光学フィルタの色に対して制約条件はないが
、一般的には、フェード状態は、実質的に無色であるか又はわずかに着色しており、暗状
態は、実質的に着色であろう。一般的には、色強度は、スイッチング材料中の化合物の量
と共に増加しうる。光学フィルタのニュートラル色が望まれる場合、透過光を変化させる
ために、1つ以上の追加の層が含まれうる。いくつかの層は、全光透過率を低減し、
図9
に示されるように、灰色ガラスは、380~780nm範囲にわたり類似の量で透過光を
低減するが、いくつかの層は、可視領域の一部のみの光を選択的に透過する。層は、静的
(非スイッチング)カラーフィルタを含みうる。さらに、2つのフィルタが目視で又はい
くつかの照明条件下で同様に見えると思われたとしても、それらは、いくつかの波長で有
意に異なるスペクトルを示すこともありうるので、どのフィルタが好適でありうるかは、
容易には明らかならないであろう。さらに、いくつかのフィルタは、光(UV、VIS、
及び/又はIR)の一部分を遮断又は透過して、可変透過率光学フィルタにより透過され
た光と組み合わせるであろう。色バランス調整層のどのスペクトルが好適でありうるかは
、可変透過率層のスペクトルに依存性しうる。
【0041】
いくつかの実施形態によれば、光学フィルタは、暗状態で、約1%未満又は約2%未満
又は約5%未満又は約10%未満のLTAを有しうる。いくつかの実施形態によれば、光
学フィルタは、フェード状態で、約5%超又は約10%超又は約15%超又は約20%超
のLTAを有しうる。
【0042】
いくつかの実施形態によれば、光学フィルタは、暗状態で、約1%~約10%又はそれ
らの間の任意の量もしくは範囲のLTA、及びフェード状態で、約5%~約30%又はそ
れらの間の任意の量もしくは範囲のLTAを有しうる。たとえば、光学フィルタは、暗状
態がフェード状態よりも低いLTAを有するかぎり、暗状態又はフェード状態で、約1、
2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18、20、25、もしく
は30%又はそれらの間の任意の量もしくは範囲のLTAを有しうる。
【0043】
目標がニュートラル色「スタック」である場合、種々の実施形態に係る光学フィルタは
、フェード状態で、約40~約60又はそれらの間の任意の量のL*値、約-10~約5
又はそれらの間の任意の量のa*値、及び約-1~約5又はそれらの間の任意の量のb*
値を有しうる。
【0044】
可変透過率層の外側に又は内側の層は、透過光の量及び色を変化させるであろう。可変
透過率層の内側に配置された層は、色バランス調整層として参照されうるが、可変透過率
層の外側に配置された層(光減衰層)は、透過光の量及び色への影響に加えて、可変透過
率層に入射する光の組成を変化させるであろう。色バランス調整層は、スタック中の他の
層のスペクトルと組み合わさって目標色に近い色を提供するスペクトルを含む。いくつか
の実施形態では、色バランス調整層は、暗状態、フェード状態、又は暗状態及びフェード
状態の両方で、可変透過率層に相補的な色でありうる。いくつかの実施形態では、色バラ
ンス調整層相補体は、スタックのスペクトルで、とくに約410~500nm及び約53
0~645nmの範囲内で、ほぼ等しい透過を生成するスタックの他の層でありうる。
【0045】
光減衰層は、たとえば、スタックの光安定性、光定常状態(PSS)もしくはスイッチ
ング速度、及び/又は全LTAに影響を及ぼしうる。フォトクロミック暗化反応を行うの
に十分な高エネルギー光と、より高エネルギーの波長の入射を低減して材料の寿命を向上
させることと、スタックの好適なLTAを達成することと、のバランスをとることが求め
られる。いくつかの実施形態では、光減衰層は、スタック中の他の層のスペクトルと組み
合わさって目標色に近い色を提供するスペクトルを含む。いくつかの実施形態では、光減
衰層は、ニュートラル・グレー(たとえば、灰色ガラス)でありうるか、又は灰色静的フ
ィルタでありうるか、又は可変透過率層に達する光の組成を操作するために入射光の一部
分を減衰させるように選択された着色静的フィルタでありうる。入射光のこの選択的減衰
は、可変透過率層のスイッチング材料のフェード能力又はフェード速度を変化させうる。
いくつかの実施形態では、光減衰層は、UV領域又はより高エネルギー可視領域で入射光
の一部分を選択的に遮断しうる。
【0046】
色バランス調整層及び/又は光減衰層の色は、暗状態、フェード状態、又は暗状態及び
フェード状態で、可変透過率光学フィルタのものに相補的な色を提供しうる。光減衰層は
、可変透過率光学フィルタの外側でありうる。また、色バランス調整層は、可変透過率光
学フィルタの内側である。透過光の色は、3つすべての層の相互作用により操作されるが
、可変透過率に達する光は、光減衰層により操作される。追加の層を光学フィルタに組み
込みうる。
【0047】
スペクトルの可視部分を組み合わせた場合、無彩色又は見掛け上無彩色のスペクトル(
「ニュートラル色」)を提供したとき、2つ以上のスペクトルは、「相補的」として記述
されうる。
【0048】
より高エネルギー光の波長を減衰させれば、スイッチング材料又はその成分の光安定性
は、改良されうる。いくつかのUV遮断材料は、約380nm未満の光を低減又は排除し
うるが、フォトクロミック的側面を有する材料に対して、約420nm以下の光の制限と
(スイッチング材料の光安定性を向上させるために)、暗状態へのフォトクロミック的切
替えを行うのに十分なこの領域の光の透過と、のバランスをとることが必要でありうる。
この範囲を超えた光の最大透過により、スタックのLTAを最大化しうる。スイッチング
材料の光安定性もまた、スイッチング材料に達する可視光の量を全体的に低減させること
により、向上させうる。約650nmまでの入射光の一部を低減させるフィルタは、光安
定性を向上させうると同時に、フォトクロミック的切替えを行うのに十分なより高エネル
ギー波長を維持し、かつLTAを最大化しうる。たとえば、約650nmを中心とする部
分の光の減衰は、フェード状態へのフォトクロミック的遷移(光フェード)を行う発色体
により吸収される光の量を低減させうる。スペクトルのこの領域の光を減衰させることに
より、発色体の光定常状態を向上させうる(より暗い暗状態)。反対に、この領域の光の
減衰はまた、いずれの光フェード効果をも低減させて、さらに電気フェードのみに依存し
たフェード反応を行うことにより、スイッチング材料のフェードに異常に影響しうる。可
視光の全スペクトル領域の減衰(たとえば、光減衰層に灰色フィルタ又は灰色ガラスを組
み込むことにより)は、より高エネルギー波長の光からの保護を提供するので、光フェー
ド応答を低減するので、及び/又はスタックの全LTAを低減するので、有利でありうる
。いくつかの実施形態では、光減衰層は、光学フィルタに入射する光の約10%~約90
%を遮断しうる。
【0049】
光学フィルタのフェード速度もまた、光減衰層の組込みにより変化させうる。スイッチ
ング材料をフォトクロミック的にフェードするスイッチング材料に入射する波長の光を低
減又は遮断することにより、より暗い(より大きい吸収)光定常状態が達成されうる。ス
イッチング材料のフェード時間もまた、増加しうる。フォトクロミック的にスイッチング
材料を暗化するスイッチング材料に入射する波長の光を低減又は遮断することにより、よ
り明るい(低減された吸収)フェード状態が達成されうる。スイッチング材料の暗化時間
もまた、増加しうる。
【0050】
いくつかの用途では、より長い暗化時間を有することが有利でありうる。太陽光の存在
下で光学フィルタを電気フェードする場合、太陽光により誘導された暗化の速度と電気フ
ェードの速度との競合が起こる。太陽光の存在下で十分にフェードした状態を達成するた
めに、暗化の速度は、電気フェードの速度よりも実質的に遅くなければならない。カット
オフフィルタは、光安定性、暗化度、及び暗化時間の特性を組み合わせたカットオフ波長
で選択されうる。開環吸収スペクトル及び閉環効率の波長依存性は、発色体構造に依存し
て変化するので、カットオフ波長の選択は、スイッチング材料の発色体によって異なる。
カットオフフィルタが入射UV光の一部もしくは全部及び/又はより高エネルギー可視光
の一部を遮断する場合、スイッチング材料の光定常状態は、変化しうる。いくつかの実施
形態では、スイッチング材料の光定常状態は、UV及び/又はより高エネルギー可視光を
遮断しない場合よりも低い暗状態LTAを生じうる。
【0051】
したがって、いくつかの実施形態では、光学フィルタへのカットオフフィルタの組込み
による光定常状態の制御は、可変透過率層ひいては全光学フィルタの外観又は色を制御す
るために使用されうる。可変透過率層に入射する約450nm未満又は540~600n
mの領域の光の量を変化させることにより、発色体の開環対閉環構成の平衡をシフトさせ
て、暗状態分子又は閉環構成の割合を増加又は減少させうる。
【0052】
図3を参照すると、一実施形態が10で一般的に示されている。可変透過率層14は、
層12と色バランス調整層16との間で配設されうる。層12は、ガラスであってもよく
、着色又は無色であってもよい。層12は、第1の光減衰層として機能しうる。また、第
1の光減衰層として参照されうる。表面18は、表面18の引掻き傷の低減ならびに/又
はスタックの強度及び靭性の増加のために、その上に配設されたセキュリティーフィルム
層を追加的に有しうる。表面20は、その上に配設された1つ以上の追加の層、たとえば
、耐スクラッチ層、IR遮断層、自己清浄層などを有しうる(
図7b)。接着剤層を用い
て、可変透過率層14又は色バランス調整層16を層12に、及び/又は色バランス調整
層16を可変透過率層14に、装着しうる。接着剤層の例としては、感圧接着剤(PSA
)又は接着剤樹脂、たとえば、PVB、EVA、ポリウレタン、ポリビニルクロリド、ア
イオノマー樹脂などが挙げられる。
図7aは、VTOF層14の外側に着色層を有する代
替的な実施形態を示している。この実施形態では、着色層は、光減衰層である。
【0053】
図4を参照すると、他の実施形態が23で一般的に示されている。可変透過率層14は
、第1の接着剤層24により層12にかつ第2の接着剤層26により第2の層28に装着
されうる。第2の層28は、ガラス層でありうる。示された実施形態では、色バランス調
整層16は、第2の接着剤層26に対向する第2のガラス層28の側面に装着される。代
替構成では、色バランス調整層は、第2の接着剤層26により、その中に、又はそれに近
接して、第2の層の側面に装着されうる。
【0054】
図5は、30で一般的に示されるラミネートガラスの他の実施形態を提供する。可変透
過率層14は、接着剤層34により層12にかつ第2の接着剤層32により第2の層28
に装着されうる。接着剤層32,34は、着色されてもよく、又は着色層を含んでいても
よい。たとえば、接着剤層32は、色バランス調整層を含んでいてもよく、かつ/又は接
着剤層34は、光減衰層(入射光フィルタ)を含んでいてもよい。層34の色/組成の選
択は、層14中の特定のフォトクロミック化合物もしくはフォトクロミック/エレクトロ
クロミック化合物、層12及び/もしくは28の色、及び/又は入射光22の組成に依存
しうる。層32、34は、約0.1mm~約1mmの任意の好適な厚さ、又はそれらの間
の任意の量、たとえば、0.38又は0.76mmでありうる。
【0055】
図5のラミネートガラスの他の実施形態は、遮音層36をさらに含みうる。また、赤外
(IR)遮断層38は、
図6の40で一般的に示されている。例示された構成では、層3
8の外側に36層が配置されるが、層36の外側に層38を配置する代替配置もまた、考
えられる(
図7g)。
図7hは、層36及び可変透過率層の内側に層38を配置する他の
層構成を例示している。可変透過率層の内側にIR光を吸収するIR遮断層38を配置す
る構成は、可変透過率層を加温することが望ましい場合(たとえば、冷環境で光学フィル
タもしくはラミネートガラスを使用する場合、又は寒冷地で車両を運転する場合)、有利
な構成でありうる。
図7iは、層12が光減衰層でありうる場合かつ光減衰層のスペクト
ルが可変透過率層のスペクトルと組み合わさって目標色に近づきうる場合の他の実施形態
を示している。他の選択肢として、スタックの色バランス調整層の態様は、接着剤層又は
可変透過率層の層により具現化されうる(たとえば、ティント接着剤層又はティント基材
)。
【0056】
他の実施形態では、可変透過率層を含む光学フィルタは、制御回路に接続するためのコ
ネクターを含みうる。
図8a,8bは、それぞれ、
図7i,7fの層組成体を例示したも
のであり、制御回路に接続された可変透過率層14を含む光学フィルタを示しているがエ
レクトロクロミック的側面を有する可変透過率層を含む層組成体であれば、いずれも、こ
の又は類似の制御回路に接続されうることがわかるであろう。接着剤層24,26は、可
変透過率層14、又は可変透過率層14及び色バランス調整層16を、第1の層12及び
第2の層28の間にラミネートする。第1の電気リード42及び第2の電気リード44は
、電源(電圧源)を含む制御回路46に可変透過率層を接続する。スイッチ48は、入力
に基づいてスイッチング可能光学フィルタへの電力を制御するように制御回路を開閉する
。スイッチ48は、二路スイッチもしくは三路スイッチでありうるか、又はポテンシオス
タットなどの多状態制御デバイスでありうる。また、可変透過率層の異なる状態の選択を
可能にしうる。入力は、ユーザー(たとえば、スイッチの操作)又はなんらかの他の入力
、たとえば、タイマー、既存の命令(制御回路の一部を構成するメモリー中にプログラム
されたもの)、スイッチング可能光学フィルタの光透過率をモニターするデバイス、入射
光から得られるものであってもよいし、ユーザー、既存のプログラム、タイマー、又は制
御回路の他の成分により操作可能なものであってもよい。
【0057】
制御回路の他の成分としては、電源からの電圧を適切な電圧に変換するためのDC-D
Cコンバーター、電圧調整器、タイマー、光センサー、電圧センサー、抵抗センサーなど
が挙げられうる。種々の実施形態に係る可変透過率光学フィルタ及び層組成体と共に使用
しうる制御回路及びシステムは、たとえば、国際公開第2010/142019号パンフ
レット及び2012年4月18日出願の米国仮特許出願第61/625,855号明細書
(現在は国際出願第PCT/CA2013/000381号パンフレット)に記載されて
いる。
【0058】
電気リード42、44及び可変透過率層14は、一緒になって、接着剤層24、26間
に物理的分離を提供しうる。他の選択肢として、電気リード42、44は、ラミネートガ
ラスの片側から延在し(たとえば、
図9の場合)、かつ層24、26は、可変透過率層の
外周近傍に結合されることにより、可変透過率層14、バスバー58a、b、及びバスバ
ー58a、bに接触する電気リード42、44の一部分を封止して、シールされた光学フ
ィルタを形成する。
【0059】
図10(a)、(b)は、バスバー及びそれに接続された電気リードを例示した可変透
過率層の概略図を示している。第1の基材54と第2の基材56との間にスイッチング材
料の層52を含む可変透過率光学フィルタは、スイッチング材料52に接触した状態の基
材54、56上の導電性コーティング60a、60bに適用されたバスバー58a、bを
介して電気リード42、44に電気接続される。スイッチング可能光学フィルタの基材は
、導電性コーティングを露出させるようにカットされた対向するオーバーハングエッジを
有する。周囲シール64は、スイッチング材料のカットエッジをシールする。カット可変
透過率光学フィルタは、接着剤層70を用いて第1の透明層66及び第2の透明層68に
装着されうる(第1のシール材料の適用前又は適用後)。追加のシール材料78は、第1
及び第2の透明層66、68及びシール材料64により部分的に規定される空間に適用さ
れる。この追加のシール材料は、第1のシール材料と同一の物質の個別の適用であっても
よいし、又は異なるシール材料であってもよい。
【0060】
ガラス: 層12及び/又は28がガラスである場合、それらは、独立して、約1mm
~約6mmの厚さ又はそれらの間の任意の量、たとえば、1.5、2、2.5、3mmな
どでありうる。ガラス層は、独立して、熱もしくは赤外線を反射もしくは吸収する材料又
はUVを反射もしくは吸収する材料で被覆されうるか又はそれらを含みうる。ガラス層は
、独立して、無機ガラス(たとえば、フロートガラス、テンパーガラス)又は有機ガラス
でありうる。有機ガラスは、透明プラスチックで作製されたアモルファス固体ガラス様材
料である。有機ガラスは、靭性、軽量、断熱性向上、色変更容易(成形時におけるプラス
チックへの着色剤の組込み)などの利点を提供しうる。有機ガラスの例としては、ポリカ
ーボネート(たとえば、レキサン(LEXAN)(商標))、アクリロニトリルブタジエ
ンスチレン(ABS)、ポリエステル(PET、PETG)、アクリル(ポリメチルメタ
クリレート)(たとえば、プレキシガラス(PLEXIGLAS)(商標)、ルーサイト
(LUCITE)(商標))又は修飾アクリル(イミド化、ゴム強化、延伸など)、ポリ
エステルカーボネート、アリルジグリコールカーボネート、ポリエーテルイミド、ポリエ
ーテルスルホン(ポリスルホン、PSU)、セルロースアセテート、セルロースブチレー
ト、セルロースプロピオネート、ポリメチルペンテン、ポリオレフィン、ナイロン、ポリ
フェニルスルホン、ポリアリーレート、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリスルホン
、ポリウレタン、ポリビニルクロリド、スチレンアクリロニトリル(SAN)、EVAな
どが挙げられる。
【0061】
ガラス層は、独立して、ティント処理されうる。ティントガラスの例としては、「灰色
」、「青銅色」、又は「緑色」のガラスが挙げられる。これらは、特定レベルの光透過(
可視、UV、又はIR)を達成するように、又は設置場所、たとえば、自動車外装用塗料
、建物外装と調和するように、又はラミネートガラスの他の成分と調和するように、選択
される。ガラスの色は、色値L*、a*及びb*、ならびに/又はLTAを参照して記述
されうる。灰色ガラスは、約9~約63%又はそれらの間の任意の量のLTA、約36~
約84又はそれらの間の任意の量のL*値、約-2.5~約1.6又はそれらの間の任意
の量のa*値、及び約-1.8~約3.6又はそれらの間の任意の量のb*値を有しうる
。緑色ガラスは、約52~約91%又はそれらの間の任意の量のLTAを有しうる。緑色
ガラスは、約78~97又はそれらの間の任意の量のL*値、約-11~0又はそれらの
間の任意の量のa*値、及び約-0.5~約1.5又はそれらの間の任意の量のb*値を
有しうる。例として、米国特許第5308805号明細書にはニュートラル低透過率ガラ
ス及び米国特許第7932198号明細書には灰色ガラスの例が記載されている。
【0062】
いくつかの実施形態では、第1のガラス層12は、透明でありうるか、又は約25~3
5%又はそれらの間の任意の量もしくは範囲のLTAを有して灰色でありうる。第2のガ
ラス層28は、透明でありうるか、又は約75~85%又はそれらの間の任意の量もしく
は範囲のLTAを有して着色されうる(たとえば、灰色)。層12は、ラミネートガラス
が設置される車両もしくは建物の外装用塗料と調和するように、又はラミネートガラス中
の1つ以上の層(たとえば、可変透過率層、静的フィルタ、又は入射光フィルタ、これら
層の1つ以上が、周囲の表面又は塗料と調和しない色を有する実施形態の場合)の固有の
色を遮蔽するように、着色されうる。他の選択肢として、層12は、実質的に透明であり
うるか、又はできるかぎり多くの光が可変透過率層に達するようにしうる。
【0063】
ガラスが有機ガラスである場合、有機ガラス中への可塑剤又は接着剤層の他の成分の拡
散を防止するために、有機ガラスと接着剤層又はPVBを含む遮音層との間にプラスチッ
ク層(たとえば、PETフィルム)を組み込むことが有利でありうる。
【0064】
可変透過率層: 可変透過率層は、可変透過率光学フィルタを含み、それ自体は、スイ
ッチング材料(スイッチング可能材料)を含む。可変透過率光学フィルタは、第1及び任
意選択で第2の実質的に透明な基材と、基材の少なくとも1つの表面上に配設された第1
及び第2の電極と、第1及び第2の基材間に配設されたかつ第1及び第2の電極に接触し
たスイッチング材料と、を含む。可変透過率光学フィルタの例は、国際公開第2010/
142019号パンフレットならびに仮特許出願第61/589,153号明細書及び同
第61/602,203号明細書(現在は国際特許出願第PCT/CA2013/000
054号パンフレット及び同第PCT/CA2013/000176号パンフレット)に
記載されている。スイッチング材料の追加の例は、国際特許出願第PCT/CA2012
/000910に記載されている。第1、第2、又は第1及び第2の基材は、無色であり
うるか、又は着色されうる。
いくつかの実施形態では、色は、暗状態、フェード状態、もしくは暗状態及びフェード状
態でスイッチング材料の色に相補的なるように、及び/又は光学フィルタもしくはラミネ
ートガラス中の1つ以上の層の色に相補的なるように、選択されうる。
【0065】
スイッチング材料: 第2の基材を併用して又は併用せずに基材上に配設されるスイッ
チング材料は、一般的には、光学フィルタを意味しうる。いくつかの実施形態では、スイ
ッチング材料は、第1の基材上に配設されうるか、又は第1の基材と第2の基材との間に
「挟設」されうる。ただし、スイッチング材料は、UV及び/又はVIS領域の光の印加
ならびに電圧の印加に基づいて明状態と暗状態との間で遷移可能である。スイッチング材
料は、液体、ゲル、固体、又は半固体でありうる。また、約0.1ミクロン(マイクロメ
ートル、μm)~約100ミクロン又はそれらの間の任意の量もしくは範囲、たとえば、
約10ミクロン~約50ミクロン、又は約0.1ミクロン~約10ミクロン、又は約0.
5ミクロン~約5ミクロン、又は約0.5ミクロン~約2.5ミクロン、又はそれらの間
の任意の量もしくは範囲の厚さを有して層の形態で形成されうる。いくつかの実施形態で
は、スイッチング材料の層は、均一又は実質的に均一な厚さである。いくつかの実施形態
では、スイッチング材料の層は、不均一な厚さである。
【0066】
スイッチング可能フィルム又はスイッチング可能フィルムを含む光学フィルタもしくは
デバイスは、暗状態からフェード状態へのスイッチング時間が約10秒間~約5分間又は
それらの間の任意の量もしくは範囲でありうる。スイッチング時間は、材料(たとえば、
層又はキャストシートのスイッチング材料)の厚さ、溶媒の割合、発色体の割合、熱硬化
性ポリマーの架橋度、熱硬化性ポリマーの割合、熱硬化性ポリマーの組成、架橋されたス
イッチング材料の硬度などの1つ以上を変化させることにより、変化させうる。
【0067】
スイッチング材料は、エレクトロクロミック性及びフォトクロミック性の両方を有しう
る。スイッチング材料は、光源からの紫外(UV)光又は青色光に暴露されると暗化しう
る。また、電圧が印加されると又は約475nm未満の波長を排除した光に暴露されると
フェードしうる。そのようなスイッチング材料は、自動暗化材料として代替的に記述され
うる。いくつかの実施形態では、スイッチング材料は、暗状態に戻った時、選択された波
長の可視(VIS)光に暴露されると、電気フェードされる能力を犠牲にすることなくフ
ェードしうる。いくつかの実施形態では、スイッチング材料は、約350nm~約450
nm又はそれらの間の任意の量もしくは範囲の波長を含む光に暴露されると暗化しうる。
また、電圧が印加されるとフェードしうる。スイッチング材料は、フェード状態及び暗状
態の両方で、光学的に透明でありうるか、又は1%以下、2%以下、もしくは3%以下の
ヘイズを示しうる。
【0068】
種々の実施形態に係るスイッチング材料、光学フィルタ、又はラミネートガラスは、1
つ以上の性質、たとえば、光定常状態(PSS)、光安定性、可視光透過(VLT)、視
感透過率(LTA)、コントラスト比、色、溶解性、電気化学的耐久性、熱安定性、スイ
ッチング電圧、スイッチング時間、生産性、スイッチング速度、ヘイズ、動作温度、製造
条件又はプロセスなどを参照して、記述されうる。
【0069】
光学フィルタで使用しうるスイッチング材料は、2012年4月9日出願の米国特許出
願第61/621,736号明細書、2012年7月19日出願の米国特許出願第61/
673,470号明細書、及び2012年9月26日出願の米国特許出願第61/706
,001号明細書に基づく優先権を主張する2013年4月9日出願の国際特許出願第N
o.PCT/CA2013/_号パンフレット(代理人整理番号V85144WO)に記
載されている。
【0070】
スイッチング材料は、約3~約20部のポリマー又はポリマーマトリックス(たとえば
、熱硬化性ポリマー)、約60~約85部の溶媒、約0.1~約10部のイオン性材料(
塩など)、エレクトロクロミック性及びフォトクロミック性を有する約0.1~約30部
の化合物を含みうる(重量パーセント単位)。ポリマーマトリックスは、架橋性ポリマー
の架橋から形成されうる。一般的には(理論により拘束することを望むものではないが)
、発色体、溶媒、及び/又はイオン性材料をより大きい割合で含むスイッチング材料は、
発色体、溶媒、及び/又はイオン性材料をより小さい割合で有するスイッチング材料より
も速いスイッチング時間を有しうる。より希薄なスイッチング可能材料は、より濃厚なも
のよりも速いスイッチング時間を有しうる。より高い架橋度を有するスイッチング材料は
、より低い架橋度を有するものよりも遅いスイッチング時間を有しうる。熱硬化性ポリマ
ー、レオロジー調整剤、又は熱硬化性ポリマー及びレオロジー調整剤をより大きい割合で
有するスイッチング材料は、熱硬化性ポリマー、レオロジー調整剤、又は熱硬化性ポリマ
ー及びレオロジー調整剤をより小さい割合で有するものよりも遅いスイッチング時間を有
しうる。スイッチング材料は、押出し又はロールツーロールコーティングを用いて基材及
びそれに装着された第2の基材に適用されて、可変透過率フィルタを提供しうる。
【0071】
電解質は、スイッチング材料の伝導性成分である。伝導性成分は、伝導性液体又は他の
流動性材料でありうるか、又は1種以上の溶媒及び1種以上のイオン性材料(塩など)を
含みうる。電解質又はその溶媒成分は、次の特徴、すなわち、約150℃以上の沸点、2
0℃で約0.001mmHg以下の蒸気圧、約6以下の黄色度指数(YI)、約80℃以
上の引火点、約40℃以下の融点の1つ以上を有しうる。溶媒は、可塑剤でありうるか、
又は可塑剤として作用しうる。好適な溶媒は、スイッチング材料の成分と相溶性であり、
スイッチング可能材料の暗化やフェードを阻害しない。好適な溶媒はまた、好適なサイク
リックボルタンメトリープロファイル(2回以上の走査サイクルで一貫性のある還元及び
酸化のピーク)及び/又は好適な光安定性(340nmの波長で0.68W/m2のUV
光を提供する光源に暴露される少なくとも250時間の耐候性試験で又は約0.6J/m
2の累積暴露でベースラインの90~100%の暗化性能)を呈しうる。溶媒の例として
は、トリグライム、テトラグライム、エチレンカーボネート、ブチロラクトン、シクロペ
ンタノン、エチレングリコールフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエー
テル、ジエチルスクシネート、トリエチレングリコールジ-2-エチルブチレート(TE
G DEB)、テトラメチレンスルホン(スルホラン)、ビス(2-エチルヘキシル)ア
ジペート、ビス[2-(2-ブトキシエトキシ)エチル]アジペート(BEEA)、トリ
エチレングリコールビス(2-エチルヘキサノエート)(TEG BEH)、プロピレン
カーボネート(PC)、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールモノイソブ
チレート(「テキサノール(Texanol)」)、ジエチルアゼレート、ジメチルアジ
ペート(DMAd)、ジエチルアジペート(DEAd)、ジブチルイタコネート(BI)
、1,2-ブチレンカーボネート、二塩基酸エステル、たとえば、ジメチル2-メチルグ
ルタレート(ローディアソルブIRIS(Rhodiasolv IRIS)(商標))
などが挙げられる。いくつかの実施形態では、溶媒は、光学的に透明であるか又は実質的
に光学的に透明であり、かつ1種以上のイオン性材料、レオロジー調整剤、ゲル化剤、ポ
リマー、共溶媒、促進剤、硬化剤、架橋剤、及びスイッチング材料又は組成物の他の成分
は、溶媒に可溶である。
【0072】
1種以上の溶媒は、約30%~約95%(重量基準)の量又はそれらの間の任意の量も
しくは範囲、たとえば、30、40、50 60、70、80、90%、又はそれらの間
の任意の量もしくは範囲で、スイッチング材料又は組成物中に存在しうる。いくつかの実
施形態では、溶媒又は溶媒の1種以上の成分(たとえば、溶媒が2種以上の異性体又は2
種以上の化合物の混合物である場合)は、配合物中での架橋反応で関与しうる。そのよう
な溶媒は、「反応性希釈剤」又は「反応性溶媒」として代替的に参照されうる。
【0073】
電解質は、塩を含みうる。塩の例としては、アルカリ金属塩、テトラアルキル、テトラ
メチル、テトラエチル、又はテトラブチルアンモニウム塩、テトラブチルホスホニウム塩
、テトラフェニルホスホニウム塩、トリブチルメチルホスホニウム塩などが挙げられる。
塩の例としては、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレート(TBABF4)、
テトラブチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェート(TBAPF6)、テトラブチル
アンモニウムビスなどが挙げられる。1種以上の塩は、約0.1%~約10%(重量基準
)の量又はそれらの間の任意の量もしくは範囲、たとえば、1、2、3、4、5、6、7
、8、又は9%で存在しうる。
【0074】
ポリマー又はポリマーマトリックスは、ポリアルコールでありうる。例としては、エチ
レンビニルアルコールコポリマー、ポリビニルアルコール(PVOH、PVAl)、ポリ
ビニルアセタール(たとえば、ポリビニルブチラール、PVB)、ポリ(エチレンオキシ
ド)(PEO)、部分加水分解EVAなどが挙げられる。樹脂は、線状、分岐状、又はデ
ンドリマー状のポリマーを含みうる。一般的には、好適な反応条件下で架橋剤と組み合わ
されたポリオール樹脂は、2個のアルコール基を架橋しうる。架橋は、分子間又は分子内
でありうる。架橋剤の例は、当技術分野で公知であり、たとえば、アルデヒド(ジ、トリ
アルデヒド)、エポキシド(ジ、トリ、もしくはポリエポキシド、又は「エポキシ樹脂」
)、モノ、ジ、又はトリイソシアネート架橋剤、メラミン樹脂、フェノール樹脂などが挙
げられる。硬化剤は、いくつかの架橋剤と共に使用されうる。たとえば、アンヒドリド(
たとえば、MHHPA)は、エポキシ硬化と共に使用されうる。促進剤(触媒)は、スイ
ッチング材料の硬化を促進するために使用されうる。
【0075】
そのほかに、種々の実施形態に係るスイッチング材料又は組成物は、1種以上の他の添
加剤、たとえば、染料、UV光安定剤、酸化防止剤、塩、界面活性剤、接着促進剤、電荷
担体、電荷補償剤などをさらに含みうる。
【0076】
フォトクロミックかつエレクトロクロミックな化合物(「ハイブリッドP/E」化合物
): エレクトロクロミック性とフォトクロミック性とを有する化合物の例としては、ハ
イブリッドP/E化合物が挙げられる。ハイブリッドP/E化合物は、一般的には有機物
であり、ヘキサトリエン類の化合物クラス(たとえば、ジアリールエテン、ジチエニルシ
クロペンテン、及びフルギド)を含む。閉環形を開環形に変換するハイブリッドP/E化
合物の酸化は、その化合物を含むスイッチング材料に電圧を印加することにより誘導され
うる。また、印加電圧の極性に依存しうる。ハイブリッドP/E化合物は、アノーディッ
ク種である。すなわち、エレクトロクロミック色変化(エレクトロクロミックフェード、
暗状態から明状態へのエレクトロクロミック遷移)は、主にエレクトロクロミックフィル
ム又はデバイスのアノードで起こる。
【0077】
酸化条件は、種々の実施形態に係る化合物が少なくとも一過的に電子の損失を受ける条
件である。酸化は、電圧の印加により(電気化学的条件又は酸化的電気化学的条件)又は
光源からの光の印加により(光化学的条件)、起こりうる。
【0078】
種々の実施形態に係る化合物は、触媒電気化学的酸化を受けうる。電気化学的条件は、
触媒条件でありうる。また、種々の実施形態に係る化合物は、触媒電気化学的酸化を受け
うる。選択されたジアリールエテンの触媒エレクトロクロミズムは、実証されており、米
国特許第7777050号明細書に記載されている。電気化学的条件は、触媒条件であり
うる。また、スイッチング材料を暗状態からフェード状態に切り替える又は操作する方法
は、触媒電荷の印加を利用しうる。触媒量の電荷は、正又は負でありうる。また、約0~
約5ボルト又はそれらの間の任意の量もしくは範囲でありうる。スイッチング材料中には
、約0.05%~約30%の量(重量%)又はそれらの間の任意の量もしくは範囲、たと
えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、
16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、又
は29%で、1種以上のハイブリッドP/E化合物が存在しうる。
【0079】
開環異性体と閉環異性体との間で可逆変換可能なハイブリッドP/E化合物(1,2-
ジアリールシクロペンテン化合物)は、米国特許第7777055号明細書、国際公開第
2010/142019号パンフレット、及び国際公開第2013/044371号パン
フレットに記載されている。フォトクロミックかつエレクトロクロミックなジアリールエ
テン化合物のいくつかの例としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されるも
のではない(簡潔にするために、開環アイソフォームのみが示される)。
【0080】
【0081】
追加の層
UV又はIRの光の透過は、光学フィルタ又はラミネートガラス中の1つ以上の層によ
り遮断されうる(吸収又は反射により)。光学フィルタ又はラミネートガラスは、入射U
V光を一部もしくは全部透過することもあればまったく透過しないこともあり、入射IR
光を一部もしくは全部透過することもあればまったく透過しないこともある。
【0082】
IR遮断: 1つ以上の層は、IR遮断成分を含みうる。太陽光制御フィルムは、光学
フィルタ又はラミネートガラスに組み込まれうる。そのようなフィルムの例としては、米
国特許出願公開第2004/0032658号明細書及び米国特許第4368945号明
細書に記載のものが挙げられる。他の選択肢として、IRブロックする材料は、ガラス層
又は接着剤層に組み込まれうる。IR遮断層は、IR光を反射又は吸収しうる。IRの反
射は、内側空間の太陽熱取得を低減しうるが、IRの吸収は、ラミネートガラスの温度を
増加させうるので、可変透過率光学フィルタのスイッチング速度の増加に有利でありうる
。IR遮断層の例としては、XIR75(サウスウォール(Southwall))、透
明金属酸化物、「低E」コーティングなどが挙げられる。いくつかの実施形態では、IR
遮断層の組込みにより、スイッチング材料の温度を低下させうる。スイッチング材料の温
度の低下は、スイッチング材料の耐候性能を増加させうる。
【0083】
UV遮断: 1つ以上の層は、UV遮断成分を含みうる。PVBなどの接着剤層は、U
Vを遮断する添加剤を有しうる(たとえば、米国特許第6627318号明細書)。いく
つかの透明層(たとえば、層66又は68)又はいくつかの基材(たとえば、層54又は
56)は、UV遮断材料(たとえば、UV遮断PET)で処理された材料で作製されうる
か、又はそれに適用されたUV遮断層を有しうる。UVを遮断する基材を可変透過率光学
フィルタに組み込むことは、費用効果的でありうる。これは、いくらかの入射UV光から
スイッチング材料を保護するのに有利でありうる。驚くべきことに、可変透過率光学フィ
ルタは、370nm、380nm、400nm、420nm、435nm、又はそれ以上
の入射UV光の50%以上を遮断するUV遮断基材の場合でさえも(50%カットオフフ
ィルタ)、依然として切り替わる。いくつかの実施形態では、UV遮断層は、PVB又は
PETでありうるか、又はそれらを含みうる。
【0084】
遮音: 遮音は、音響層により提供されうる。音響PVBは、サフレックス(SAFL
EX)(商標)やバンシーバ(VANCEVA)(商標)などの商品名により知られうる
。米国特許第5190826号明細書には、異なるポリビニルアセタールの2つ以上の樹
脂層を含む組成体が記載されている。音響層は、0.2~1.6mmの範囲内でありうる
。米国特許第6821629号明細書には、アクリルポリマー層とポリエステルフィルム
層とを含む音響層が記載されている。PVC、修飾PVC、ポリウレタンなどを含む音響
層を使用することも可能である。
【0085】
自己清浄化コーティング: 自己清浄化コーティングは、ラミネートガラスの外表面(
たとえば表面20)に適用されうる。そのようなコーティングのいくつかの例及びそれら
を適用する方法は、公知であり、例としては、TiO2に基づく親水性コーティング(た
とえば、ピルキントン・アクティブ(Pilkington ACTIV)(商標))、
及び疎水性コーティング(たとえば、アクアクリーン(AQUACLEAN)(商標)又
はバイオクリーン(BIOCLEAN)(商標))が挙げられる。
【0086】
セキュリティーコーティング: セキュリティーコーティングは、ラミネートガラス破
壊(破損)からのガラス微粒子の放出を防止するラミネートガラスに適用されうる。その
ような材料の例としては、PVB/PET複合材又はハードコート付きPETフィルム(
たとえば、スポールシールド(SPALLSHIELD)(商標)(DuPont))が
挙げられる。
【0087】
耐スクラッチ性: 歪み又は表面損傷を防止したり光学的透明性を維持したりするため
に、耐摩耗コーティングをラミネートガラスに適用しうる。耐スクラッチコーティングは
、有機ガラスと共に使用するのにとくに有益でありうる。
【0088】
ラミネートガラスの内表面又は外表面に適用されるコーティング又は処理は、一般的に
は、光学的透明性である。コーティング又は処理の他の例は、防眩コーティング又は反射
防止コーティングを含みうる。
光学フィルタの作製
光学フィルタ及びスイッチング材料を作製するいくつかの方法は、国際公開第2010
/142019号パンフレット及び2013年4月9日出願の国際特許出願第PCT/C
A2013/000339号パンフレット(代理人整理番号V85144WO)に記載さ
れている。スイッチング材料は、スロットダイ、ナイフコーター、ロールツーロールコー
ティング法などを用いて、基材(たとえば、ITO被覆PET)の導電性コーティング上
に好適な厚さで被覆されうる。第2の層をスイッチング材料上に装着しうる。第2の層は
、透明伝導性層又は透明伝導性材料を含む基材(たとえば、ITO被覆PET)でありう
る。第2の層を装着する工程は、スイッチング材料の架橋又は硬化の工程に先行しうるか
、又はそれに続きうる。硬化の工程は、架橋に好適な温度(たとえば、約50~約90℃
又はそれらの間の任意の量もしくは範囲)にスイッチング材料を加熱することを含みうる
。配設工程に先行して濾過工程を行いうる。
基材
基材は、剛性又は可撓性でありうる。1つ以上の可撓性基板を含む光学フィルタは、窓
ガラスやレンズなどの剛性材料に適用しうるフィルムの形態でありうる。基材は、ガラス
、プラスチック、又は熱可塑性ポリマーを含みうる。ガラスの例としては、フロートガラ
ス、テンパーガラス、ティントガラス、ミラーガラス、強化ガラス、モノリシックガラス
、多層ガラス、安全ガラス、耐弾ガラス、又は「片面」耐弾ガラスが挙げられる。熱可塑
性ポリマーの例としては、ポリエステル(PE)、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリ
ウレタン、ポリアクリロニトリル、ポリアクリル酸、たとえば、ポリ(メタクリル酸)、
加えて、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリオレフィン(PO)、又は上記の
任意の1つ以上のコポリマーもしくはヘテロポリマー、又は上記の任意の1つ以上と、ポ
リ(シロキサン)、ポリ(ホスファゼン)と、のコポリマーもしくはブレンド、又はラテ
ックスが挙げられる。ポリエステルの例としては、脂肪族、半芳香族、芳香族のモノマー
単位のホモポリマー又はコポリマー、たとえば、重縮合された4-ヒドロキシ安息香酸及
び6-ヒドロキシナフタレン-2-カルボン酸(ベクトラン(VECTRAN)(商標)
)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)
、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポ
リヒドロキシアルカノエート(PHA)、ポリエチレンアジペート(PEA)、ポリカプ
ロラクトン(PCL)、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)などが挙げら
れる。ポリカーボネートの例としては、ビスフェノールA、ポリカーボネートなどが挙げ
られる。熱可塑性ポリマーの例としては、ポリエテン(PE)、ポリプロピレン(PP)
などが挙げられる。基材は、UV、IR、又はVISの光を遮断する特性を有しうる。基
材材料の他の例としては、セラミックススピネル又は酸窒化アルミニウムが挙げられる。
【0089】
基材は、均一な厚さ又はさまざまな厚さでありうる。また、任意の好適な寸法でありう
る。たとえば、基材は、約0.01mm~約10mm又はそれらの間の任意の量もしくは
範囲、たとえば、0.05、0.1、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、も
しくは10mm、又は約0.012mm~約10mm、もしくは約0.5mm~10mm
、もしくは約1mm~5mm、もしくは約0.024mm~約0.6mm、もしくは約0
.051mm(2ミル)~約0.178mm(7ミル)の厚さを有しうる。いくつかの実
施形態では、第1の基材の厚さ及び/又は材料は、第2の基材の厚さ及び/又は材料と異
なる。いくつかの実施形態では、伝導性層を有する基材は、ITO被覆ガラス又はITO
被覆PETでありうる。
【0090】
いくつかの実施形態では、基材は、可動ウェブでありうる。第1及び/又は第2の基材
は、独立して、不透明又は透明又は実質的に透明でありうる。基材は、光学的に透明であ
りうる。いくつかの実施形態では、スイッチング材料を基材上に配設するか又は基材間に
挟設する場合、スイッチング材料は、光学的に透明である(たとえば、約5%未満、約4
%未満、約3%未満、約2%未満、又は約1%未満のヘイズを示す)。ヘイズは、当技術
分野で公知の方法を用いて、たとえば、BYK-ガードナー(BYK-Gardner)
製のXL-211ヘイズメータを用いて、製造業者の取扱い説明書に従って、測定されう
る。
【0091】
透明伝導性層(電極)、たとえば、金属、金属合金、金属酸化物、コンジュゲート有機
ポリマー、伝導性炭素リッチ材料、及び微細ワイヤーメッシュを含みうる。例示的な伝導
性材料としては、金、銀、アルミニウム及びニッケル合金などの薄く、実質的に透明金属
層さらには、酸化インジウムスズ(ITO)、ドープ酸化スズ、ドープ酸化亜鉛、ドープ
酸化カドミウム、酸化フッ素スズ、酸化アンチモンスズ、立方晶酸化ストロンチウムゲル
マニウム、ポリアニリン、グラフェン、フラーレン、カーボンナノチューブ、PEDOT
(ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン))、PEDOT:PSS(ポリ(3,4
-エチレンジオキシチオフェン)ポリ(スチレンスルホネート))、及びポリピロールの
層が挙げられる。電気伝導性材料を基材に適用して好適な伝導性層及び電極を形成する方
法は、公知であり、たとえば、化学堆積、スパッターコーティングなどである。伝導性層
は、電極の動作に適合したコンダクタンスを提供するかつ光の透過をそれほど妨害しない
厚さでありうる。伝導性層の厚さは、約1ナノメートル~約90ミクロン又はそれらの間
の任意の量もしくは範囲でありうる。いくつかの実施形態では、伝導性材料は、好適な溶
媒中に溶解され、層中にキャストされ(透明伝導性層)、基材に適用されずに複合光学フ
ィルタで使用されうる。そのような層は、約0.05、0.1、0.5、1、2、3、4
、5、6、7、8、9、もしくは10mm、又はそれらの間の任意の量もしくは範囲の任
意の好適な厚さでありうる。
【0092】
いくつかの実施形態では、伝導性透明層は、約100オーム/スクエア~約10,00
0,000オーム/スクエア又はそれらの間の任意の量もしくは範囲のシート抵抗を有し
うる。
【0093】
スイッチング材料は、室温で高粘度を有しうる。また、加熱によってより低粘度の液体
にして基材上に適用又はコーティングできるようにしうる。一実施形態では、スイッチン
グ材料は、約100℃に加熱され、基材間でプレスされる。他の選択肢として、スイッチ
ング材料を液体としてキャストし、次いで、材料の粘度を増加させてゲルを形成するよう
にさらに処理しうる。スイッチング材料を乾燥させてもよく(共溶媒の蒸発)、又は架橋
性樹脂を含むスイッチング材料を硬化させて粘度を増加させ、ゲルを形成してもよい。ス
イッチング材料の硬化は、温度又はUV光を用いて達成されうる。異なる配合物では、他
の方法が好適なこともある。この重合及び/又は架橋は、化学型、熱型、又は光型の開始
剤により開始可能である。次いで、スイッチング材料を第1及び第2の基材上の伝導性層
に接着させて、一体型構造を形成しうる。いくつかの実施形態では、スイッチング材料又
は組成物の成分は、特定の順序で組み合わされうるか、又は特定の部分的組合せで組み合
わされて(「一部分」)、より後の時点でその部分が組み合わされうる。第1、第2、及
び/又は第3の部分を調製することは、組成物の1つ以上の成分を可溶化させたり、副反
応を防止したり、あるいは配合が終了する前又はキャストもしくはコーティングが可能な
状態になる前の架橋(「硬化」)の開始を防止したりするのに有利でありうる。たとえば
、基材上にコーティングするためのスイッチング材料は、以下の工程、すなわち、架橋性
ポリマーとハイブリッドP/E化合物とイオン性材料と溶媒の第1の部分とを含む第1の
部分を提供する工程と、任意選択の硬化剤と架橋剤と溶媒の第2の部分とを含む第2の部
分を提供する工程と、促進剤及び任意選択の共溶媒(たとえば、MEK、THFなど)を
提供する工程と、第1の部分と第2の部分とを組み合わせる工程と、第3の部分を第1及
び第2の部分と組み合わせる工程と、に従って作製されうる。スイッチング材料の配設は
、低酸素(たとえば、100ppm未満)及び/又は低湿度(たとえば、100ppm未
満の相対湿度)の環境中で行われうる。
【0094】
共溶媒を蒸発させた後(スイッチング材料が共溶媒を含む場合)、組成物が所望の厚さ
になるように、又はコーティングされたスイッチング材料の冷却及び/又は架橋の後、最
終層が所望の厚さになるように、好適な厚さを選択しうる。たとえば、約50ミクロンの
最終厚さを得るために、共溶媒を有するスイッチング材料は、約100~約120ミクロ
ンの層で基材に適用されうる。
【0095】
フィルタを作製した後、それを所定のサイズにカットし、必要であれば外周をシールし
、電極(伝導性層)に対して電気接続を行うことが可能である。バスバーを透明伝導性コ
ーティングに接触して基材上に印刷することにより、電気接続を行うことが可能である。
いくつかの実施形態では、スイッチング材料の配設前又はスイッチング材料への基材のラ
ミネーション前にバスバーを基材上に印刷しうる。次いで、電気リード(電気コネクター
、コネクター)をバスバーに装着することが可能である。
【0096】
バスバー、電気コネクター、及び制御回路: スイッチング材料全体にわたり電圧差を
発生させてスイッチを操作するように、スイッチング材料の対向面上の伝導性層の一部分
にバスバーを適用しうる。バスバーは、それへの電気コネクターの装着に好適なロープロ
ファイル伝導性領域を提供するための任意の好適な材料でありうる。好適な材料の例とし
ては、アルミニウム、金、銀、銅などの少なくとも1つのタイプの金属を含む伝導性接着
剤、伝導性インク、伝導性エポキシ、金属メッシュ、フィルムなどが挙げられる。伝導性
材料は、印刷、塗装、スクリーン印刷(「シルクスクリーン印刷」)などを含むいくつか
の方法のいずれかにより、伝導性表面に適用可能である。電気コネクター又はリードは、
任意の好適な材料でありうる。また、接着(伝導性接着剤又は伝導性エポキシ)、クリッ
プ、リベットなどを含めて任意の好適な方法により、バスバーに固着させうる。電気コネ
クターに好適な材料としては、伝導性テープ、ワイヤーなどが挙げられる。
【0097】
自動デバイスもしくは半自動デバイス(たとえば、照度計、温度計)、建物もしくは車
両の環境制御システム、ユーザーからの入力又はなんらかの他の入力に基づいて、制御回
路を用いて電圧のオン又はオフを切り替えることが可能であり、同様に、それを用いて電
圧を所定のレベルに変調することが可能である。そのための電源としては、家屋又は他の
建物のACライン電圧、DC電源(たとえば、車両のバッテリー又は個別のバッテリー又
はパワーパック)、エネルギーハーベスティング電源(たとえば、ソーラーパネル)など
が挙げられうる。制御回路は、電圧調整器と光学フィルタとの間の回路の開閉を行うため
の1つ以上のスイッチ(トランジスター、リレー、又は電気機械スイッチ)と、電源から
の電圧を適切な電圧に変換するためのAC-DC及び/又はDC-DCコンバーターと、
を含みうる。制御回路は、電圧調整用のDC-DCレギュレーターを含みうる。制御回路
はまた、タイマー及び/又は入力を受け取った後の一定時間にわたり電圧を可変透過率光
学フィルタに印加するための他の回路素子をも含みうる。
【0098】
実施形態は、あらかじめ決められた条件に応答して手動又は自動で作動可能なスイッチ
を含む。たとえば、制御電子回路は、時刻、光センサーを用いて検出された周囲光レベル
、ユーザー入力、記憶されたユーザー選好、運動センサーを用いて検出された占有レベル
などの情報又はそれらの組合せを処理しうる。制御電子回路は、処理情報に応答してあら
かじめ決められた規則又は条件に従って光学フィルタに電圧を印加すべくスイッチを作動
させるように構成される。種々の実施形態に係る光学フィルタが自動車用板ガラス(窓又
はサンルーフなど)の一部分である場合、板ガラスは、車両に設置され、フレーム、ダッ
シュボード、ルーフの配線を介して車両の電気系に電気接続されうるか、又はいくつかの
自動車用ルーフ用途に使用されうるレールもしくはガイドトラックに接続されうる。
【0099】
一実施形態では、制御電子回路は、DC電圧を電源から可変透過率光学フィルタに実質
的に直接通すユーザー駆動スイッチを含む。ユーザー駆動スイッチは、常時開押しボタン
又は他のタイプのスイッチでありうる。スイッチは、駆動後、所定量の時間にわたり閉状
態を維持するように構成されうるので、状態遷移を行うのに十分な時間にわたり光学フィ
ルタへの電圧の印加を支援する。
【0100】
光学フィルタの遷移のために印加される電圧は、約0.1V~約20V又はそれらの間
の任意の量もしくは範囲でありうる。いくつかの実施形態では、印加電圧量は、約0.1
V~約5V、又は約1V~約10V、又は約1.0V~約2.2V、又は約0.5V~約
3V、約1.2V~約2.5V、又は約1.8V~約2.1V、又はそれらの間の任意の
量もしくは範囲である。いくつかの実施形態では、印加電圧は、約12V未満、又は約6
V未満、又は約3V未満、又は約2.5V未満、又は約2Vである。
【0101】
可変透過率層は、ガラス層間にラミネートされうる。
ガラスラミネーション(耐候性試験用及び試験装置用): いくつかの実施形態では、
可変透過率層を含む光学フィルタは、ガラス層間にラミネートされうる。スイッチング可
能フィルムを作製してバスバー及び任意選択の電気コネクターを装着した後、この層は、
接着剤を用いてガラスシートに装着されうるか、又は2つの接着剤樹脂層間及び2つのガ
ラスシート間にラミネートされうる。ガラス-接着剤-スイッチング可能フィルム-接着
剤-ガラスの「サンドイッチ」は、カーバー(Carver)プレス(インディアナ州ウ
ォバッシュのカーバー・インコーポレーテッド(Carver Inc.))内に配置さ
れ、約10分間の起動時間及び冷却時間を用いて135℃で40分間にわたり約55~9
0psiでプレスされうる。
【0102】
他の方法では、サンドイッチは、減圧バッグ内に配置され、真空を維持するようにシー
ルされ、オーブン内でインキュベートされ、約70℃~110℃の温度で初期結合されう
る。任意選択の第2の結合工程は、加圧しながら(たとえば、オートクレーブ内で約0.
95~約1.5MPa)、約120℃~140℃の温度で行われうる。
【0103】
他の方法では、サンドイッチは、高温でプレスロールに通しうるか又はプレート間でプ
レスしうるか(約90℃~約140℃-圧力及び温度は、数工程にわたり増加及び減少さ
れうる)、又はバッグ(ゴム)内に配置され、真空を適用して層間の空気を除去しながら
、約70℃~110℃の温度で、初期結合されうる。次いで、第2の結合工程は、加圧し
ながら(たとえば、オートクレーブ内で約0.95~約1.5MPa)、約120℃~1
50℃で行われる。
【0104】
ラミネートガラスの全厚さは、部分的には、種々の層の厚さに依存し、一般的には、約
6.3~約6.6mmの全厚さが好ましい。本明細書に記載のラミネートガラス又は多層
組成体の性能は、当技術分野で標準的な技術を用いて研究を行うことにより、たとえば、
VLT、LTA、色、ヘイズ、スイッチング速度、光安定性、及び/又は耐久性を測定す
ることにより、試験されうる。国際公開第2010/142019号パンフレットには、
光学フィルタの性能を評価するために使用しうる方法、装置、及び技術が記載されている
。
【0105】
光学フィルタを含むラミネートガラスは、性能又は安全の規格に準拠した試験に付され
うる。いくつかの実施形態では、光学フィルタを含むラミネートガラスは、ANSI Z
26.1、SAEJ673、ECE-R43、ANSI Z97.1、又は他の法域の類
似の性能規格により必要とされる性能を満たしうるか又はそれを凌駕しうる。
【0106】
本明細書で用いられる「ミル」という用語は、1インチの1/1000(.001)の
長さの単位を意味する。1ミルは、約25ミクロンであり、そのような寸法を用いて、い
くつかの実施形態に係る光学フィルタ又は光学フィルタの成分の厚さを記述しうる。当業
者であれば、「ミル」単位の寸法をミクロンに及びその逆に相互変換することが可能であ
る。
【0107】
量、持続時間などの測定可能な値を参照するときに本明細書で用いられる「約」は、特
定の値から±20%又は±10%、より好ましくは±5%、さらにより好ましくは±1%
、さらにより好ましくは±0.1%の変動を包含することを意味する。そのような変動は
、開示された方法を行うのに適している。
【0108】
実施形態は、部分的には、以下の方法及び実施例により例示される。
一般的方法
可変透過率層の作製及びラミネーション: 2,2,4-トリメチル1,3-ペンタン
ジオールモノイソブチレート(テキサノール(Texanol)(商標))(79.1w
t%)、ビュ-ツバル(Butvar)B72 PVB(8.5wt%)、DER736
(0.8wt%)、MHHPA(0.7wt%)、AMC-2(0.8wt%)、TBA
BF4(2wt%)、及び10wt%フォト/エレクトロクロミック化合物(S109又
はS158)を含むα5スイッチング材料を調製し、共溶媒(MEK)と1:1で組み合
わせた。この組成物をITO被覆PET基材上にコーティングして約1~2ミルの最終厚
さを提供し、共溶媒を蒸発させ、第2のITO被覆PET基材とラミネートし、80℃で
一晩かけて硬化を終了させた。「サンドイッチ」構造を所望のサイズにカットし、シール
し、電気コンタクトを追加した。
【0109】
テキサノール(Texanol)(商標)(76.79wt%)、ビュ-ツバル(Bu
tvar)B72 PVB(6wt%)、デスモジュール(Desmodur)N360
0(0.2wt%)、Znオクトエート(0.1wt%)、TBA-TFSI(2wt%
)、及び15wt%フォト/エレクトロクロミック化合物(S109又はS158)を含
むα6.1スイッチング材料を調製し、共溶媒(THF)と1:1で組み合わせ、α5フ
ィルムに対して記載されたようにコーティング及びラミネーションに供した。
【0110】
テキサノール(Texanol)(商標)(65.27wt%)、1,2-ブチレンカ
ーボネート11.52%、ビュ-ツバル(Butvar)B72 PVB(6wt%)、
デスモジュール(Desmodur)N3600(0.2wt%)、Znオクトエート(
0.1wt%)、TBA-TFSI(2wt%)、及び15wt%フォト/エレクトロク
ロミック化合物(S109又はS158)を含むα6.2スイッチング材料を調製し、共
溶媒(THF)と1:1で組み合わせ、α5フィルムに対してされたようにコーティング
及びラミネーションに供した。
【0111】
ローディアソルブ(Rhodiasolv)IRIS(68.76wt%)、ビュ-ツ
バル(Butvar)B72 PVB(5wt%)、Mowitol B300HH(1
0wt%)デスモジュール(Desmodur)N3600(0.21wt%)、Znオ
クトエート(0.04wt%)、TBA-TFSI(1wt%)、及び15wt%フォト
/エレクトロクロミック化合物(S109又はS158)を含むα8.4iスイッチング
材料を調製し、共溶媒(THF)と1:1で組み合わせ、α5フィルムに対して記載され
たようにコーティング及びラミネーションに供した。
【0112】
ガラスラミネーション: 可変透過率層を作製してバスバー及び任意選択の電気コネク
ターを装着した後、この層は、接着剤を用いてガラスシートに装着されうるか、又は2つ
の接着剤樹脂層間及び2つのガラスシート間にラミネートされうる。本発明の種々の実施
形態に係るラミネートガラスは、通常の(非スイッチング)ラミネートガラスと同一の製
造方法で作製されうる。ガラス-中間層サンドイッチは、高温でプレスロールに通しうる
か、プレート間でプレスしうるか(約90℃~約140℃-圧力及び温度は、数工程にわ
たり増加及び減少されうる)、又はバッグ(ゴム)内に配置され、真空を適用して層間の
空気を除去しながら、約70℃~110℃の温度で、初期結合されうる。次いで、第2の
結合工程は、加圧しながら(たとえば、オートクレーブ内で約0.95~約1.5MPa
)、約120℃~150℃で行われる。
【0113】
ラミネートガラスの全厚さは、部分的には、種々の層の厚さに依存し、一般的には、約
6.3~約6.6mmの全厚さが好ましい。
評価方法:
光学フィルタ又は光学フィルタを含む装置の性能は、当技術分野で標準的な技術を用い
て研究を行うことにより、たとえば、VLT、LTA、色、ヘイズ、スイッチング速度、
光安定性、及び/又は耐久性を測定することにより、試験されうる。国際公開第2010
/142019号パンフレットには、光学フィルタの性能を評価するために使用しうる方
法、装置、及び技術が記載されている。
光化学的暗化及びフェード、電気化学的フェード
ラミネートガラス又は光学フィルタは、UV光に暴露されるとスイッチング材料を暗化
させ、その結果、可視領域で材料の光透過率の減少をもたらす。次いで、約2ボルトの電
荷をスイッチング材料に3分間印加すると、スイッチング材料はフェード状態に切り替わ
る。フェード状態では、より多くの光がスイッチング材料を通り抜けることができるので
、可視領域の光透過率の増加がもたらされる。オーシャン・オプティクス(Ocean
Optics)分光計を用いて、暗状態及びフェード状態の両方でVLT又はLTAを測
定し、コントラスト比を計算しうる(LTAフェード状態/LTA暗状態)。
【0114】
光安定性: 光安定性評価のために、サンプルを作製し、QSUNウェザロメータ(Q
SUN Weatherometer)(Q-Labs)で0.68W/m2の耐候性試
験に付した。最初に、QSUNでデバイスを1時間暗化させ、オーシャン・オプティクス
(Ocean Optics)分光計を用いて初期暗状態透過スペクトルを得た。続いて
、ナトリウムランプをイエローフィルタ(400~500nmカットオフ)と共に用いて
各デバイスを光フェードし、初期フェード状態透過スペクトルを得た。デバイスをQSU
Nに戻し、破壊までスペクトルを毎週2回を取得した。
【0115】
オーシャン・オプティクス(OceanOptics)(商標)分光光度計を用いて、
可視領域(380~780nm)にわたり光定常状態(PSS)吸収スペクトルを得た。
溶媒中の化合物の2×10-5M溶液を調製し、スペクトルの可視領域の吸収が安定化す
るまで可視光を用いて光フェードさせる。次いで、吸収スペクトルが安定化するまで、ミ
ュレートされた太陽光(キセノンアークランプ付きQSUN SS-150ソーラーシミ
ュレーター(QSUN SS-150 Solar Simulator))をサンプル
に照射する。UV遮断フィルム(所望により)の存在下でPSSを得るために、第2のサ
ンプルを作製し、照射時にUV遮断フィルムを光路に挿入した状態で、記載のように照射
する。
【0116】
フィルムモデリング: フィルム又はフィルムモデルのスケーリングされたデータを得
るために、記載のオーシャン・オプティクス(OceanOptics)分光光度計を用
いて、暗状態及び明状態の吸収スペクトルを得た。
【0117】
各波長(380~780nm)の整数に対する吸光度データ(キュベット)のアレイに
スケーリング比(式2)を掛け算して、
【0118】
【0119】
一連のモデリングされたフィルム吸光度プロファイル(式3)を提供する。
【0120】
【0121】
得られる一連の吸光度プロファイルは、キュベットデータと同一の波長のλmaxを有
する。
いくつかの実施形態では、フィルム厚さ(フィルム経路長又はPathfilm)は、
約0.5ミル~約3ミル、又は約0.5、0.75、1、1.2、1.4、1.6、1.
8、2.0、2.2、2.4、2.6、2.8、もしくは3でありうる。発色体のMWは
、化合物の構造から決定されうる。また、フィルム中の発色体の濃度は、任意の好適な値
でありうる。
【0122】
暗状態及びフェード状態の両方で単一のフィルムから個別のフィルムスペクトルを取得
しうる。暗状態スペクトルに対しては、安定な暗状態に達するまで、ミュレートされた太
陽光(アグロ-ブライト(Agro-Brite)(商標)高出力T5、24W/640
0K蛍光ランプ、ハイドロファーム・アグリカルチュラル・プロダクツ(Hydrofa
rm Agricultural Products))にフィルムを暴露し、フェード
状態に対しては、安定なフェード状態に達するまで、低圧ナトリウムランプ(黄色光)を
用いてフィルムを光フェードさせた。オーシャン・オプティクス(OceanOptic
s)(商標)分光光度計を用いて、透過スペクトルを得た。
実施例1:フェード状態での色バランス
暗状態で観測される緑青色及びフェード状態で淡黄色を有する化合物(S109)を含
むスイッチング材料の光透過スペクトルを
図1に示す。フェード状態では、約80%のL
T
Aが観測され、暗状態では、約7%のLT
Aが観測される。
【0123】
図2は、
図1のスイッチング材料と色バランス調整層とを含む「スタック」の透過スペ
クトルを示しており、フェード状態でほぼニュートラル色を提供する。光学フィルタの各
成分(色バランス調整層、可変透過率層、光減衰層、他の層など)に対して、スペクトル
及びL
*a
*b
*値が得られる。各成分のスペクトルを掛け算すると、得られるスペクト
ルが提供され、得られるスペクトルから、得られるL
*a
*b
*値が導かれる。このよう
にして、モデリングされて得られるスペクトルでさまざまな色バランス調整層のスペクト
ル及びL
*a
*b
*値を置き換えて、得られるL
*a
*b
*値の比較をすることが可能で
あり、暗状態又はフェード状態で目標色に最も近いマッチングを提供する層の組合せを選
択することが可能である(この例では、目標色はニュートラル・グレーであり、フェード
状態では着色する)。
【0124】
図2に例示されたスペクトルでは、選択された色バランス層は、ガムカラー970(G
amColor970)であった。430~490nm及び550~640nmの範囲内
の透過ピークを変化させて、類似の大きさを有するようにした。例示された範囲(両端を
含めて380nm~780nm)にわたり光透過は等しくないが、得られる透過光は、ニ
ュートラルであり、0に近いa
*及びb
*を有する。したがって、ニュートラル色を達成
するために、光学フィルタ又はにラミネートガラスの可変透過率光学フィルタが均一レベ
ルのスペクトルを有することは必要とされない。
実施例2:フェード状態又は暗状態でのスイッチング可能材料の色比較
ラミネートガラススタックを数学的にモデリングして、スイッチング材料が目標色にマ
ッチングする範囲を検査した。たとえば、目標色として41.7、-2.7、3.9のL
*a
*b
*と12.4のLT
Aを有する「灰色ガラス」にマッチングさせることを選択し
、スイッチング可能材料の暗状態又はフェード状態でスイッチング可能材料と比較した。
色バランス調整層を予測層構成(「スタック」)に組み込んで、所望の色ニュートラル化
をモデリングし、指示発色体の暗状態又はフェード状態で灰色ガラスにマッチングさせた
。25μmのフィルム厚さ及び10wt%の発色体充填率で、すべてのスイッチング材料
をモデリングした。可変透過率層を含むモデリングされたラミネートガラスに関する情報
を表1に提供する。
【0125】
表1:暗状態又はフェード状態におけるS109又はS158ハイブリッドフォト/エ
レクトロクロミック化合物を含むモデリングされたスタックのL*a*b*、ΔC値(目
標色をスタック色と比較する)、及びΔE値(目標色をスタック色と比較する)。
【0126】
【0127】
フェード状態へのカラーマッチング: 両方の発色体は、フェード状態でさまざまな度
合いの帯黄色色調を呈するので、青色成分を有する色バランス調整層をモデリングして、
目標範囲内の灰色を達成するように透過光を操作した。スタックでの両方の発色体の光透
過は、フェード状態で好適な灰色を提供するように操作可能であった(10未満のΔC及
び少なくとも10%のフェード状態VLT)。暗状態で、S109及びS158は、好適
な暗い青緑色を呈した。これらのサンプルのΔC値から、目標色範囲に達したことが示唆
される。
【0128】
暗状態へのカラーマッチング: 暗状態でS109又はS158を含むスイッチング材
料の観察色は、青緑色として記述されうる。暗状態へのカラーマッチングの場合、暗状態
で10%以上のLTAを伴って、10未満のΔCが好適であると考えられた。発色体S1
58及びS109(それらの暗状態では青緑色)を測定し、桃色成分を有する色バランス
調整層を用いて、目標範囲内の灰色を達成するように透過光を操作した。これらのサンプ
ルのΔC値から、灰橙色を提供するフェード状態を有して、目標色範囲に達したことが示
唆される。
【0129】
これらの結果から、さまざまなスイッチング材料に対して特定の範囲内の目標色及び/
又はLTAへのマッチングを予測可能であることが実証される。フェード状態又は暗状態
での目標の色又は範囲との特定のマッチングの好適性は、ラミネートガラス又は光学フィ
ルタの用途に依存しうる。
実施例3:非ニュートラル色のマッチング
青色暗状態(L*=32.5、a*=-20.8、b*=-17.2及びフェード状態
でニュートラル)と約2~26%のLTAとを有するラミネートガラスを目標色として選
択した(フェード状態及び暗状態の両方でのマッチングを目標とする)。可変透過率層と
色バランス調整層とを含む光学フィルタの組込みにより、青色スイッチング可能領域を有
するラミネートガラスを作製しうる。提案された色及び特性に関する情報を表2に提供す
る。
【0130】
表2:スイッチング可能材料の記述子
【0131】
【0132】
この実施例では、暗状態及びフェード状態の色は、暗状態の青色の目標色及びフェード
状態のニュートラル色に近い。
実施例4:光学フィルタのコントラスト比に及ぼすフィルム厚さ及び/又は発色体充填率
の影響
キャストフィルムの発色体充填率及び厚さをモデリングして、種々のラミネートガラス
組成体のコントラスト比を調べた。異なる厚さ及び発色体充填率のスイッチング材料を含
むラミネートガラス組成体のLTA値を決定した。ラミネートガラス組成体は、発色体S
109を含むスイッチング可能光学フィルタと、フェードスタックがフェード状態でニュ
ートラル色及び37%のLTAを有する目標スペクトルに最もよくマッチングするように
選択された静的フィルタと、を含んでいた。表3及び4は、それぞれ、一連の厚さ及びS
109wt%に対して暗状態及びフェード状態のLTAを示している。表5は、ラミネー
トガラス組成体のコントラスト比を示している。
【0133】
表3:異なる厚さ及び発色体充填率のフィルムでの暗状態のLTA。
【0134】
【0135】
表4:異なる厚さ及び発色体充填率のフィルムでのフェード状態のLTA。
【0136】
【0137】
表5:コントラスト比
【0138】
【0139】
発色体充填率、フィルム厚さ、又は両方を変化させることにより、一連のコントラスト
比を提供することが可能である。少なくとも10%の発色体充填率及び/又は少なくとも
1ミルの厚さを有するラミネートガラス組成体で、8以上のコントラスト比を取得しうる
。
実施例5:入射光の減衰
可変透過率層の外側にフィルタを配置することにより、可変透過率層に入射する光を選
択的に減衰させうる。この光減衰層は、たとえば、スイッチング材料の光安定性、耐久性
、又は速度に対処するために選択されうる。また、透過光のコントラスト比にも、影響を
及ぼしうる。
【0140】
S109を含む可変透過率層に光減衰層を適用し、光透過及びコントラスト比に及ぼす
この層の影響を、人工太陽光(QSUN)下での暗化及び人工太陽光の存在下での電気フ
ェード(QSUN中のEF)又は不在下での電気フェード(EF)を行った場合で検討し
た。表6は、配合物上にこれらフィルタを追加して、暗状態(QSUN下)及びフェード
状態(EF)の両方で、フェード状態でニュートラル色マッチングを行って及び行わずに
、色、コントラスト比(CR)、及びLT
Aを含む結果をまとめたものである。
図11は
、4つのフィルタのそれぞれの光透過スペクトルを示しており、光学フィルタスペクトル
の選択的操作により目標色に近づけるべく利用しうる広範にわたるさまざまなスペクトル
を例示している。
【0141】
表6:光透過及びコントラスト比に及ぼす光減衰層の影響。
【0142】
【0143】
ロスコ07ペール・イエロー(Rosco 07 Pale Yellow): UV
波長領域の光が減衰された場合、発色体の光安定性が向上しうる。このフィルタは、配合
物が暗化しない波長で約400nm未満の光を減衰させる層を提供し、その結果、UV及
び400nm未満の短波長光の50%、それ以降ではできるかぎり多くの光を許容するよ
うに選択する。発色体はまた、約400~420領域の光で刺激された場合、暗状態に切
り替わりうる。
【0144】
ガムカラー1543フルCTO(GamColor 1543 Full CTO):
このフィルタは、約650nm以下のすべての光を約50%に減衰させ、約650nm
超の入射光の最大透過を可能にする層を提供するので、スイッチング材料に入射するより
高エネルギーの波長の量を低減させる。スイッチング材料に入射する光の量を低減するこ
とにより、できるかぎり高いLTAを維持しながら、光安定性を向上させうる。
【0145】
ロスコ4390カルカラー90シアン(Rosco 4390 CalColor 9
0 Cyan): 約650nm近傍の光に暴露された場合、いくつかの発色体又はそれ
を含むスイッチング材料で光フェードが観測される。このフィルタは、約650nmを中
心として約200nmの半値幅を有するガウス形状を含む吸収スペクトルを有する。スペ
クトルのこの領域内の光を減衰させることにより、同様に約650nmを中心とする吸収
ピークを有するS109発色体に起因して起こる光フェードが防止されるので、発色体の
光定常状態を向上させうる(より暗い暗状態)。反対に、この領域の光の減衰はまた、い
ずれの光フェード効果をも低減させて、さらに電気フェードのみに依存したフェード反応
を行うことにより、スイッチング材料のフェードに異常に影響しうる。
【0146】
ロスコ398ニュートラル・グレー(Rosco 398 Neutral Grey
): このフィルタは、可視領域のすべての光を減衰し、39%のLT
Aを有する層を提
供する。入射光のこの全減衰は、より高エネルギー波長を低減するので、スイッチング材
料の光安定性及び/又は耐久性を向上させうる。可変透過率層に入射する全光を低減する
ことにより、全光透過が低減されるので、そのような層を含むラミネートガラス又は光学
フィルタではより低いLT
Aが提供される。
実施例6:色バランス層の計算
S109を含む可変透過率層を有する光学フィルタで、0及び85%のLT
Aに対応し
てそれぞれ最小/最大限界のスペクトルを有するカスタム色バランス層をモデリングした
(S109スペクトルは
図1に示される)。次のパラメーター、すなわち、を有するモデ
ルを提示した。暗状態のLT
Aが1%かつフェード状態でニュートラル色。吸収ピークを
カスタム色バランス層のスペクトルに逐次導入し、パラメーターを維持しながら、暗状態
とフェード状態との間のコントラスト比を向上させる。
図12は、暗状態(実線)及びフ
ェード状態(点線)におけるS109とカスタム色バランス層とを含む光学フィルタの計
算カスタムスペクトルを示している。モデリングされた色バランス層のスペクトルは、一
点鎖線により表される。光学フィルタの得られたコントラスト比は、25.7であり、暗
状態のLT
Aが1%、フェード状態のLT
Aが25.7%であった。暗状態のL
*a
*b
*は、12、14.1、-33.4であり、フェード状態では、55.9、3.0、3.
0であった。約540~590nm領域に位置する第1のピークは、S109可変透過率
層の暗状態とフェード状態とのスペクトル差が大きいことに起因して、改良されたコント
ラスト比を提供する。約380~470nm領域に位置するピークは、第1のピークを相
補し、ニュートラルなフェード状態を提供するように選択される。
【0147】
このモデルから、フェード状態の色ニュートラル性を犠牲することなく約500~55
0nm領域及び/又は約650~780nm領域で追加の吸収ピークを色バランス層に導
入可能であるこが実証される。
実施例7:温度及び板ガラスサンプル構成
熱電対と共にフィルム中に封止されたスイッチング材料(α6.1)を、70℃のブラ
ックパネル温度に校正されたQSUN耐候性試験チャンバー内に、30分間配置した。フ
ィルムをティントガラス(グレイライト(GREYLITE)(商標))で覆うか、又は
グレイライト(GREYLITE)及び赤外(IR)遮断層(サウスウォール(Sout
hwall)製のXIR75)で覆った。装置温度の差が観測され、ティントガラスの組
込みは、グレイライト(GREYLITE)及びIR遮断層(63.2℃)を備えたフィ
ルムの63.6℃と比較して、フィルムの温度を増加させた(68℃)。多層板ガラス中
へのグレイライト(GREYLITE)の組込みは、少なくとも部分的には、ニュートラ
ル色を提供しうるが、IR遮断層なしでは、スイッチング材料の温度が増加する。
実施例8:温度及び板ガラスサンプル構成
可変透過率層を含み、可変透過率層の内側に熱電対がラミネートされた7つの「スタッ
ク」構成。スタックをミュレートされた太陽光(ソーラー・シミュレーター(Solar
Simulator))に暴露し、安定化されるまで数分間にわたり温度を記録した。
可変透過率層の組成体は、
図13に例示される。層128a:100-PET(メリネッ
クス(Melinex)454)、102-感圧接着剤(PSA8172)、104-1
06に面してITOコーティングを有するITO被覆PET(ST504)、106スイ
ッチング可能材料α6.2。層128bは、XIR72-41の層を有する。層128c
は、Gam1514フィルム(灰色PETフィルム)の層を有する。
【0148】
スタック構成(スタックA~G)は、
図13に示され、番号付けられた成分は、表7に
示される。スタックA及びBは、同一であるが、IR遮断層124a/bが入れ替わって
いる。スタックD及びEは、同一であるが、IR遮断層124a/bが、可変透過率層に
組み込まれている(PET層100の1つの代わり)。
【0149】
表7:
【0150】
【0151】
図14は、ソーラー・シミュレーター(Solar simulator)下での時間
に対する各デバイスの温度を示している。スタックA~Gの温度プロファイルは、一般的
には、2つのグループ、すなわち、低Eコーティングを有するもの(スタックC及びF)
及びXIR層を有するもの(スタックA、B、D、及びF)又は対照(スタックG)に分
かれる。スタックはいずれも、エアギャップや排除空間を含まず、スタックC及びF中の
ガラス上の低Eコーティングは、スタックの内側であった(低Eコーティングは、スタッ
クFの内側に面していた)。これらの結果から、いくつかの赤外遮断層は、スタックの内
側の温度ひいてはスイッチング材料の温度に有意に影響を及ぼしうることが実証される。
実施例9:温度及びフェード時間
α8.4iスイッチング材料を含むグレイライトII(GreyLite II)付き
光学フィルタを作製し、ソーラーシミュレーターを用いて暗化させ(約2%LT
Aまで)
、23℃、40℃、又は60℃を維持しながら、電気フェードした(2ボルト、10秒間
の極性逆転サイクル)。各温度に対して、50%PSS(11.2%LT
A)、10%P
SS(82.5%LT
A)、又は90から10%PSSへの遷移(19%LT
Aから3.
5%LT
Aへ)に達する秒単位の時間を表8に示す。電気フェードの速度は、温度上昇に
伴って増加した。
【0152】
表8.
【0153】
【0154】
実施例10:異なる温度での試験デバイスの耐候性試験。
ガラス耐候性試験セル(50ミクロン厚さ)内のテキサノール(Texanol)中1
0wt%S158を含む試験デバイスを、50℃のブラックパネル温度に校正されたQS
UN耐候性試験チャンバー内に配置し、暴露に対する暗化性能を評価した(mJ/m2、
340nm)。3.1mJ/m2暴露後、QSUN温度を70℃ブラックパネル温度に上
昇させ、暴露に対する暗化性能を評価した。対初期暗化性能パーセントは、式(4):
【0155】
【0156】
に従って計算される。
初期時間点(0)及び後続の時間点iのサンプルについて、最初(時間点0)に、暗状
態及びフェード状態の各デバイスの透過スペクトル(380~780nm)を取得し、後
続の時間点iで、フェード(明)状態及び暗状態の%透過(%T)を取得する。波長λの
透過を各計算に使用し、初期暗状態で10%透過を有する波長としてλを選択し、各デバ
イスに対して決定し、それぞれの後続の対初期暗化%の決定に対して同一λを使用する。
QSUNから取り出したときに、デバイスの暗状態を測定する。低圧ナトリウムランプで
サンプルに照射することにより、フェード状態を達成する。
【0157】
図15は、50℃及び70℃で保持されたデバイスの初期状態から暗化する変化速度を
示している。高温で保持されたサンプルは、加速された劣化速度を示す(暴露に対する暗
化性能の減少により測定したとき)。
【0158】
試験デバイスの耐候性能は、高温で減少することが示される。
実施例11:UV遮断剤を用いた試験デバイスの耐候性能
より高エネルギーの光(より高エネルギーのVIS及びUVの光を含む)は、スイッチ
ング材料を暗化させる。α6.1f配合物を有するPVBラミネート試験片(デバイス)
を、70℃のブラックパネル温度に校正されたQSUN耐候性試験チャンバー内に配置し
た。
図16A、Bは、390、400、又は420nmカットオフ波長を有する種々のU
V遮断層を含むデバイスの耐候性能を示している(カットオフ未満の波長で50%以上遮
断)。より短いカットオフ波長を有するUV遮断層を有するサンプルでは、暗化性能は、
有意に迅速に低下し、より高エネルギーの光を遮断すると、時間に対する暗化性能は、向
上する。驚くべきことに、400nm又は420nmカットオフフィルタを用いた場合で
さえも、サンプルは、暗化を継続した。試験デバイスで使用された発色体は、暗化にUV
光を必要とすると最初は考えられたので、420nmまでの光を遮断した場合でさえも、
光活性化される暗化が維持されることは予想外であった。
実施例12:可変透過率光学フィルタのUVカットオフフィルタ、暗化時間、及び光定常
状態
15%S158、10%Mowitol B60HH、3%ビュ-ツバル(Butva
r)B72、0.35%ヘキサメチレンジイソシアネート、0.01%ZnOct、1%
TBATFSI、63.64%ジエチルサクシネート、及び7%1,2-ブチレンカーボ
ネートを含有する配合物を含む1.2ミル(非ラミネート)フィルムで研究を行った。4
ミルギャップを用いてST504シート上にフィルムをコーティングした。低圧ナトリウ
ムランプからの可視光を用いてフィルムを3分間フェードし、次いでステージ上に定置し
、ミュレートされた太陽光に連続的に暴露した。光源とフィルムとの間にカットオフフィ
ルタを配置して又は配置せずに、ソーラー・シミュレーター(Solar Simula
tor)光源に対向してステージの孔の下に位置決めされたオーシャン・オプティクス(
Ocean Optics)検出器を用いで、0.5秒間隔で透過スペクトルを記録した
。透過測定の変動がもはや有意でない状態になるまで、スペクトルを記録した。カットオ
フフィルタ(50%±6nm):370nm、400nm、420nm、435nm、及
び455nm。表9は、S158スイッチング材料と指定のカットオフフィルタとを含む
各光学フィルタで、暗状態及びフェード状態のL
*a
*b
*(コンマ区切り形式の値)、
ならびに暗状態(PSS)、フェード状態、及び中間状態のLT
Aを示している。UV及
びより高エネルギーの可視波長の遮断の増大に伴って、455nmフィルタが適用される
まで、十分な暗状態を達成するフィルムの能力は、妨害されない。455nmフィルタを
含めて、スイッチング材料中の発色体の開環状態と閉環状態との平衡はシフトされ、b
*
値の顕著な変化が観測される。しかしながら、10、50、又は90%PSSの光透過率
は、サンプル1~5では大きく異ならないが、90%PSSの透過率の増加(より小さい
い吸光度)は、サンプル6で顕著である。より長波長の光を遮断すると、遷移時間(90
-10%PSS)は増加する。
【0159】
表9.選択されたカットオフフィルタを併用したときとしないときの試験サンプルの特
徴付け。
【0160】
【0161】
表10.試験サンプル2~6がサンプル1の50%PSS又は90%-10%PSS遷
移を達成する時間(秒)。
【0162】
【0163】
表10は、試験サンプル2~6がサンプル1の50%PSSを達成する時間及びフィル
タなしサンプル(サンプル1)の90%から10%PSSに遷移する時間を示している。
より長波長の光を遮断すると、フィルタなしフィルムと同一のPSSに達する時間は、実
質的に増加し、試験サンプル6では、そのPSSに達することができない。
【0164】
これらのデータから、光学フィルタの暗状態の光透過率及び光学フィルタの遷移時間は
、より長波長のUV光、より短波長の可視光、又はその両方の選択的遮断により、少なく
とも部分的には調整可能であることが実証される。
【0165】
図17は、S158の開環吸収曲線をカットオフフィルタの透過曲線と重ねて示してい
る。示されたフィルタの指示カットオフ波長よりも低エネルギー(より高波長)の光(フ
ィルタなしの光)は、S158のλ
maxの吸光度(
図17で黒実線の335nmの吸光
度ピーク)と比較してこれらのフィルタなしの波長の吸光度が非常に低いにもかかわらず
、発色体S158を含有するフィルムを暗化することが可能であり、達成される暗状態に
ほとんど影響を及ぼさない。
図18は、驚くべきことに、暗化度が、435nm以下のカ
ットオフフィルタを用いることにより有意に低減されないが、暗化時間が増加することを
示している(
図19で、370nmを超えてカットオフ波長を増加させたフィルタを用い
たとき)。より高いカットオフ波長を有する光フィルタは、光定常状態(PSS)で存在
するS158閉環異性体の量を減少させ、PSSに達するのに要する時間を増加させる。
実施例13:衝撃試験
ANSI Z26.1に準拠した衝撃実験を行った。10m(30ft)からの27g
ボール落下、10m(30ft)からの227gダート落下、及び4m(13ft)から
の2.26kgボール落下。α5スイッチング媒体を有するフィルムを可変透過率層とし
て含有するラミネート30cm×30cmサンプルで、3つの落下試験を行った。このサ
ンプルはまた、スタックFに基づく層を含有し、熱電対が存在せず、ソーラー・グレイ(
SolarGrey)を透明ガラスに置き換えたものである。カーバー(Carver)
プレスを用いて又はオートクレーブにより、サンプルをラミネートした。いずれの試験に
おいても、ボール又はダートは、いずれのサンプルも通り抜けなかった。いずれのサンプ
ルからも、大きい部片が離脱することはなかった。試験したサンプルはすべて、規制に従
った衝撃試験に合格した。
実施例14:沸騰試験
α5スイッチング媒体を有するフィルムを可変透過率層として含有する100×100
mmラミネートガラスサンプルで、ANSI Z26.1に準拠した沸騰試験を行った。
このサンプルはまた、スタックFに基づく層を含有し、熱電対が存在せず、ソーラー・グ
レイ(SolarGrey)を透明ガラスに置き換えたものである。カーバー(Carv
er)プレスを用いて又はオートクレーブにより、サンプルをラミネートした。沸騰試験
の前後で、90%PSSから10%PSSにサンプルを電気フェードする能力は、沸騰の
影響を受けず、LT
Aは、影響されない状態を維持した(表11)。
【0166】
表11.
【0167】
【0168】
実施例15:自動車用板ガラスのための光学フィルタ
光学フィルタが自動車用板ガラスで使用される一実施形態では、暗状態でLT
Aを最小
化しつつかつ定常的太陽光暴露によるフェード時間を最小化しつつ、耐候耐久性及びコン
トラスト比を最大化することが望ましいこともありうる。発色体S158を含むスイッチ
ング材料を含む光学フィルタでは、435nmのUVカットオフ波長のUV遮断層を選択
しうる。そのような光学フィルタは、達成される暗状態LT
Aの有意な悪化を示さず(実
施例12及び
図18)、かつ暗化時間を最大化することが(実施例12及び
図19)、実
証された。最小電気フェード時間が維持され、多くのUV光及びより高エネルギーの可視
光をフィルタで除去することにより、耐候性能が向上する(実施例11及び
図16A及び
16B)。これにより、暗化速度及び電気フェード速度の競合又は正味フェード速度に起
因して、太陽光の存在下でより速いフェードが可能になるか、又は記載の速度論的競合に
起因して太陽光の存在下で不完全なフェードを生じる例では、フェードがより高度に起こ
るようになる。
他の実施形態
本明細書で考察されたいずれの実施形態も、実現が可能であり、又は任意の他の実施形
態、方法、組成体、もしくは態様との組合せが可能であり、その逆も同様であると考えら
れる。
【0169】
本発明を1つ以上の実施形態に関して記載してきた。しかしながら、本特許請求の範囲
に規定される本発明の範囲から逸脱することなく、いくつかの変形及び変更を行いうるこ
とは、当業者には明らかであろう。したがって、本発明の種々の実施形態が本明細書に開
示されているが、当業者の共通一般知識に従って本発明の範囲内で多くの適応及び変更を
行いうる。そのような変更は、本発明のいずれかの態様を既知の均等物で置き換えて実質
的に同一の方法で同一の結果を達成することを含む。数値の範囲は、範囲を規定する数を
包含する。本明細書では、「comprising(~を含む)」という単語は、オープ
ンエンドの用語として用いられ、「限定されるものではないが、~を含む(includ
ing,but not limited to)という語句と実質的に等価であり、「
comprises(~を含む)」という言葉は、対応する意味を有する。本明細書で用
いられる場合、単数形の「a」、「an」、及び「the」は、文脈上明らかに異なる記
述がないかぎり、複数形の参照語を包含する。本明細書での参照文献の引用は、そのよう
な参照文献が本発明の先行技術であることを容認するものとみなされるべきものでもなけ
れば、参照文献の内容又は日付けに関してなんら容認するものとみなされるべきものでも
ない。出版物はすべて、あたかもそれぞれ個別の出版物が具体的かつ個別的に示されて参
照により本明細書に組み入れられたがごとく、かつ本明細書に完全に明記されたがごとく
、参照により本明細書に組み込まれる。本発明は、実質的に本明細書に実施例及び図面を
参照して記載されるすべての実施形態及び変形形態を含む。
【0170】
特に定義されていないかぎり、本明細書で用いられる科学技術用語はすべて、本発明が
属する技術分野の当業者により一般に理解されるものと同一の意味を有する。本節に示さ
れる定義が、参照により本明細書に組み込まれる文書に示される定義に反するか、さもな
ければ一致しない場合、本明細書に示される定義は、参照により本明細書に組み込まれる
定義よりも優先する。
【手続補正書】
【提出日】2023-02-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレクトロクロミック性又はフォトクロミック性を有するスイッチング材料を含み、暗状態での第1のスペクトルと、フェード状態での第2のスペクトルとを有する可変透過率層と、
第3のスペクトルを有する色バランス調整層と、
370nm、380nm、400nm、420nm、又は435nmの入射UV光の50%以上を遮断し、可変透過率層を切り替え得る紫外線(UV)遮断層と、
を含む光学フィルタであって、
第1、第2、及び第3のスペクトルのそれぞれは、可視部分を含み、
第1及び第3のスペクトルは、組み合わさって暗状態目標色に近い暗状態スペクトルを提供し、
第2及び第3のスペクトルは、組み合わさってフェード状態目標色に近いフェード状態スペクトルを提供し、
目標色は、暗状態、フェード状態、又は暗状態及びフェード状態の両方でニュートラル色であり、
ニュートラル色は、CIELAB座標系の度観測者において-10~+10のa
*
値、-10~+10のb
*
値を有する、光学フィルタ。
【請求項2】
光減衰層をさらに含む、請求項1に記載の光学フィルタ。
【請求項3】
可変透過率層のスイッチング材料は、電磁線に曝露された時にフェード状態から暗状態に、及び電圧の印加により暗状態からフェード状態に遷移可能である、請求項1又は2に記載の光学フィルタ。
【請求項4】
スイッチング材料は、UV光に曝露された時にフェード状態から暗状態に遷移可能である、請求項3に記載の光学フィルタ。
【請求項5】
スイッチング材料は、450nm以下の波長を有する成分を含む電磁線に暴露された時に、フェード状態から暗状態に遷移可能である、請求項3に記載の光学フィルタ。
【請求項6】
スイッチング材料は、1.1~2.5Vの電圧の印加により暗状態からフェード状態に遷移可能である、請求項3に記載の光学フィルタ。
【請求項7】
赤外(IR)遮断層をさらに備える、請求項1~6のいずれかに記載の光学フィルタ。
【請求項8】
a.約15%未満の暗状態LT
A
と、
b.約5%超のフェード状態LT
A
と、
c.少なくとも5のコントラスト比と、
を有する、請求項1~7のいずれかに記載の光学フィルタ。
【請求項9】
a)暗状態で1%以下かつ明状態で6%以上の光透過値、及び/又は
b)暗状態で5%以下かつ明状態で15%以上の光透過値
を有する、請求項1~8のいずれかに記載の光学フィルタ。
【請求項10】
L
*
値は40~60であり、暗状態目標色及び暗状態光学フィルタ色は、
a.0~20のΔC値;及び/又は
b.0~20のΔE値を与え、及び/又は
フェード状態目標色及びフェード状態光学フィルタ色は、
c.0~20のΔC値;及び/又は
d.0~20のΔE値を与える、請求項1~9のいずれかに記載の光学フィルタ。
【請求項11】
請求項1~10のいずれかに記載の光学フィルタを含んでなるデバイスにおいて、前記デバイスはラミネートガラス、眼科用デバイス、自動車用板ガラス、又は建築用板ガラスである、デバイス。
【請求項12】
自動車用板ガラスがサンルーフである、請求項11に記載のデバイス。
【請求項13】
目標色に近い請求項1に記載の光学フィルタを作製する方法であって、
a.エレクトロクロミック性、フォトクロミック性、又はエレクトロクロミック性及びフォトクロミック性を有するスイッチング材料を含み、暗状態での第1のスペクトルと、フェード状態での第2のスペクトルとを有する可変透過率層を提供することと、
b.第3のスペクトルを有する色バランス調整層を選択することと、
c.可変透過率層と色バランス調整層とをスタック形態で組み合わせて、フェード状態、暗状態、又はフェード状態及び暗状態の両方で目標色に近づけることと、
d.370nm、380nm、400nm、420nm、又は435nmの入射UV光の50%以上を遮断し、可変透過率層を切り替え得る紫外線(UV)遮断層をスタックと組み合わせることと、
を含む、方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0170
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0170】
特に定義されていないかぎり、本明細書で用いられる科学技術用語はすべて、本発明が属する技術分野の当業者により一般に理解されるものと同一の意味を有する。本節に示される定義が、参照により本明細書に組み込まれる文書に示される定義に反するか、さもなければ一致しない場合、本明細書に示される定義は、参照により本明細書に組み込まれる定義よりも優先する。
本発明は以下の実施態様を含む。
(1)暗状態での第1のスペクトルと、フェード状態での第2のスペクトルとを有し、前記第1及び第2のスペクトルは可視部分を含んでなる可変透過率層と、
370nm~435nmのカットオフ波長を有する紫外線(UV)遮断層とを有し、前記可変透過率層と紫外線(UV)遮断層とは積層をなす、光学フィルタ。
(2)第3のスペクトルを有する色バランス調整層をさらに備え、前記色バランス調整層は前記積層を構成し、前記第3のスペクトルは可視部分を含んでなり、前記第1のスペクトルと前記第3のスペクトルが組み合わさって暗状態目標色に近い暗状態スペクトルを与え、前記第2のスペクトルと前記第3のスペクトルが組み合わさってフェード状態目標色に近いフェード状態スペクトルを与える、(1)に記載の光学フィルタ。
(3)前記可変透過率層は電磁線に曝露された時にフェード状態から暗状態に、及び電圧の印加により暗状態からフェード状態に、遷移可能なスイッチング材料を含んでなる、(1)に記載の光学フィルタ。
(4)印加する前記電圧は0.1V~2.5Vの範囲にある、(3)に記載の光学フィルタ。
(5)前記積層の一部をなす赤外(IR)遮断層をさらに備える、(1)に記載の光学フィルタ。
(6)約15%未満の暗状態LT
A
と、
約5%超のフェード状態LT
A
と、
少なくとも5のコントラスト比とを有する、(1)に記載の光学フィルタ。
(7)暗状態で1%以下かつ明状態で6%以上の光透過値を有する、(1)に記載の光学フィルタ。
(8)暗状態で5%以下かつ明状態で15%以上の光透過値を有する、(1)に記載の光学フィルタ。
(9)前記紫外線(UV)遮断層は前記カットオフ波長において入射紫外(UV)光の50%を遮断する、(1)に記載の光学フィルタ。
(10)(1)に記載の光学フィルタを含んでなるデバイスにおいて、前記デバイスはラミネートガラス、眼科用デバイス、自動車用板ガラス、又は建築用板ガラスからなる、デバイス。
(11)暗状態での第1のスペクトルと、フェード状態での第2のスペクトルとを有し、前記第1及び第2のスペクトルは可視部分を含んでなる可変透過率層と、
赤外(IR)遮断層であって、前記可変透過率層と前記赤外(IR)遮断層とは積層をなす、赤外(IR)遮断層と、
前記積層の一部をなし、かつ第3のスペクトルを有する色バランス調整層とを備え、
前記第3のスペクトルは可視部分を含んでなり、前記第1のスペクトルと前記第3のスペクトルが組み合わさって暗状態目標色に近い暗状態スペクトルを与え、前記第2のスペクトルと前記第3のスペクトルが組み合わさってフェード状態目標色に近いフェード状態スペクトルを与える、光学フィルタ。
(12)第3のスペクトルを有する色バランス調整層をさらに備え、前記色バランス調整層は前記積層を構成し、前記第3のスペクトルは可視部分を含んでなり、前記第1のスペクトルと前記第3のスペクトルが組み合わさって暗状態目標色に近い暗状態スペクトルを与え、前記第2のスペクトルと前記第3のスペクトルが組み合わさってフェード状態目標色に近いフェード状態スペクトルを与える、(11)に記載の光学フィルタ。
(13)印加する前記電圧は0.1V~2.5Vの範囲にある、(12)に記載の光学フィルタ。
(14)前記積層の一部をなす紫外線(UV)遮断層をさらに有し、紫外線(UV)遮断層は370nm~435nmのカットオフ波長を有する、(11)に記載の光学フィルタ。
(15)前記紫外線(UV)遮断層は前記カットオフ波長において入射紫外(UV)光の50%を遮断する、(14)に記載の光学フィルタ。
(16)約15%未満の暗状態LT
A
と、
約5%超のフェード状態LT
A
と、
少なくとも5のコントラスト比とを有する、(11)に記載の光学フィルタ。
(17)暗状態で1%以下かつ明状態で6%以上の光透過値を有する、(11)に記載の光学フィルタ。
(18)暗状態で5%以下かつ明状態で15%以上の光透過値を有する、(11)に記載の光学フィルタ。
(19)(11)に記載の光学フィルタを含んでなるデバイスにおいて、前記デバイスはラミネートガラス、眼科用デバイス、自動車用板ガラス、又は建築用板ガラスからなる、デバイス。