(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023059909
(43)【公開日】2023-04-27
(54)【発明の名称】レーザ光凝固の最適化のためのシステム、装置、および方法
(51)【国際特許分類】
A61F 9/008 20060101AFI20230420BHJP
【FI】
A61F9/008 130
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023018987
(22)【出願日】2023-02-10
(62)【分割の表示】P 2021011855の分割
【原出願日】2016-03-22
(31)【優先権主張番号】62/136,935
(32)【優先日】2015-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/050,903
(32)【優先日】2016-02-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】319008904
【氏名又は名称】アルコン インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(72)【発明者】
【氏名】マイケル ジョン クラウス
(72)【発明者】
【氏名】ロバート サンチェス
(72)【発明者】
【氏名】タモ ヘーレン
(72)【発明者】
【氏名】アルジェリオ マイケル オリベラ
(72)【発明者】
【氏名】マイケル パパック
(72)【発明者】
【氏名】リーンフオン ユイ
(72)【発明者】
【氏名】ホゥガーン レン
(57)【要約】
【課題】レーザ光凝固の最適化のためのシステム、装置、および方法を提供する。
【解決手段】組織異常を治療するための装置、システム、および方法が開示されている。組織は、そこに含まれる1つまたは複数の異常の存在を判断するために視覚化されることがある。視覚化によって得られた撮像データが、1つまたは複数の異常の存在を判断するために使用されることがある。検出された異常それぞれが識別されることがあり、異常を治療するための治療計画が作成されることがある。治療計画に従って異常に治療を送達することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療位置で組織の撮像データを受信するように適合された撮像デバイスと、
前記治療位置で前記組織に治療を適用するように適合された治療送達デバイスと、
治療制御デバイスを備える手術最適化システムであって、前記撮像デバイスと前記治療デバイスとが、前記治療制御デバイスに結合され、前記治療制御デバイスが、
プロセッサを備え、前記プロセッサが、
前記受信された撮像データに基づいて前記組織の異常の存在を識別し、
前記治療送達デバイスによって、治療計画に従って前記異常に対して治療を送達するように適合される
手術最適化システム。
【請求項2】
前記治療制御デバイスがさらにユーザインタフェースを備え、前記ユーザインタフェースが、前記治療計画を受信するように適合される請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記治療制御デバイスの前記プロセッサが、前記識別された異常を使用して前記治療計画を決定するようにさらに適合される請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記識別された異常を使用して治療計画を決定するように適合された前記プロセッサが、前記識別された異常を治療するための治療パラメータを決定するように適合されたプロセッサを備える請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記プロセッサが、前記治療の経過中に前記治療計画を更新するようにさらに適合される請求項3に記載のシステム。
【請求項6】
前記受信された撮像データに基づいて前記組織の異常の存在を識別するように適合された前記プロセッサが、前記受信された撮像データに基づいて特定のタイプの異常を識別するように適合されたプロセッサを備える請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記治療位置での前記組織が網膜組織であり、識別された異常のタイプが、静脈閉塞、黄斑浮腫、微小血管異常、網膜裂孔、網膜裂傷、または眼腫瘍の1つを含む請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記撮像デバイスがOCTデバイスである請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記治療パラメータが、治療を適用するための位置、治療すべき位置のサイズ、治療から除外される位置、および治療に使用すべきレーザ出力のうちの1つを含む請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記治療送達デバイスによる前記治療計画に従った前記異常への前記治療の送達が、前記治療制御デバイスによって自律的に行われる請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記治療送達デバイスによる前記治療計画に従った前記異常への前記治療の送達が、ユーザ入力を受信すると実施される請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記ユーザ入力が、標的インジケータと前記異常の治療位置との位置合わせを含む請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
組織の治療を最適化するための方法であって、
組織の撮像データを取得するために撮像デバイスによって前記組織を視覚化するステップと、
アルゴリズムを使用して、前記撮像データに基づいて前記組織の異常を識別するステップと、
治療計画に従って前記組織の前記異常に治療を送達するステップと
を含む方法。
【請求項14】
前記異常を治療するために、ユーザインタフェースを介して前記治療計画を受信するステップをさらに含む請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記異常を治療するために、プロセッサによって前記治療計画を生成するステップをさらに含む請求項13に記載の方法。
【請求項16】
プロセッサによって、前記異常を治療するための前記治療計画を生成するステップが、前記異常の治療位置、前記異常の治療位置のサイズ、識別された治療位置に印加すべき出力設定、および治療から除外すべき位置の少なくとも1つを識別するステップを含む請求項16に記載の方法。
【請求項17】
前記治療計画に従って前記組織の前記異常に治療を送達するステップが、治療送達デバイスによって治療を送達するステップを含む請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記治療送達デバイスが治療レーザを含む請求項18に記載の方法。
【請求項19】
前記組織の撮像データを取得するために撮像デバイスによって組織を視覚化するステップが、OCTデバイスによって前記組織を視覚化するステップを含む請求項13に記載の方法。
【請求項20】
前記撮像データに基づいて前記組織の異常を識別するために使用される前記アルゴリズムが、画像処理アルゴリズムを含む請求項13に記載の方法。
【請求項21】
前記治療計画に従って前記組織の前記異常に治療を送達するステップが、前記治療計画に従って前記異常に治療を自動的に送達するステップを含む請求項13に記載の方法。
【請求項22】
前記治療計画に従って前記組織の前記異常に治療を送達するステップが、ユーザの入力を受信すると、前記治療計画に従って前記異常に治療を送達するステップを含む請求項13に記載の方法。
【請求項23】
前記治療が前記異常に送達されているときに前記治療計画を更新するステップをさらに含む請求項13に記載の方法。
【請求項24】
前記治療計画を前記組織のリアルタイム画像とレジストレーションするステップをさらに含む請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、レーザ光凝固を最適化するためのシステム、装置、および方法に関する。特に、本開示は、眼科学における光凝固を最適化するためのシステム、装置、および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
時間と共に、眼の網膜の1つまたは複数の位置が、怪我または疾患により欠陥を生じることがある。レーザ光凝固は、療法的利益を提供するために、網膜での1つまたは複数の位置を正確かつ精細に焼灼するためにレーザエネルギーの使用を含むことがある。これらの欠陥のいくつかは、様々な疾患または状態によって引き起こされることがある。例えば、レーザ光凝固を利用することができる疾患としては、加齢黄斑変性(「AMD」)、糖尿病網膜症、網膜虚血、動脈および静脈閉塞、中心性漿液性網脈絡膜症、脈絡膜または網膜の血管新生、緑内障、未熟児網膜症、網膜裂傷または裂孔、網膜剥離、網膜変性、後嚢混濁(「PCO」)、ならびにいくつかの眼腫瘍が挙げられる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
一態様によれば、本開示は、治療位置で組織の撮像データを受信するように適合された撮像デバイスと;治療位置で組織に治療を適用するように適合された治療送達デバイスと;治療制御デバイスとを含むことがある手術最適化システムを述べる。撮像デバイスおよび治療デバイスは、治療制御デバイスに結合されることがある。治療制御は、受信された撮像データに基づいて組織の異常の存在を識別し;識別された異常を使用して治療計画を決定し;治療送達デバイスによって治療計画に従って異常に治療を送達するように適合されたプロセッサを含むことがある。
【0004】
本開示の別の態様は、組織の治療を最適化するための方法を含む。この方法は、組織の撮像データを取得するために撮像デバイスによって組織を視覚化するステップと;アルゴリズムを使用して、撮像データに基づいて組織の異常を識別するステップと;プロセッサによって、異常を治療するための計画を生成するステップと;治療計画に従って組織の異常に治療を送達するステップとを含むことがある。
【0005】
様々な態様は、以下の特徴の1つまたは複数を含むことがある。プロセッサは、受信された撮像データに基づいて特定のタイプの異常を識別するように適合されることがある。治療位置での組織は網膜組織でよく、識別される異常のタイプは、静脈閉塞、黄斑浮腫、微小血管異常、網膜裂孔、網膜裂傷、または眼腫瘍の1つでよい。撮像デバイスは、OCTデバイスでよい。プロセッサは、識別された異常を治療するための治療パラメータを決定するように適合されることがある。治療パラメータは、治療を適用するための位置、治療すべき位置のサイズ、治療から除外される位置、および治療に使用すべきレーザ出力のうちの1つを含むことがある。
【0006】
治療送達デバイスによる治療計画に従った異常への治療の送達は、治療制御デバイスによって自律的に行われることがある。治療送達デバイスによる治療計画に従った異常への治療の送達は、ユーザ入力を受信すると実施されることがある。ユーザ入力は、標的インジケータと異常の治療位置との位置合わせを含むことがある。プロセッサは、治療の経過中に治療計画を更新するようにさらに適合されることがある。
【0007】
様々な態様は、以下の特徴の1つまたは複数を含むこともできる。治療計画に従って組織の異常に治療を送達するステップは、治療送達デバイスによって治療を送達するステップを含むことがある。治療送達デバイスは、治療レーザを含むことがある。組織の撮像データを取得するために撮像デバイスによって組織を視覚化するステップは、OCTデバイスによって組織を視覚化するステップを含むことがある。撮像データに基づいて組織の異常を識別するために使用されるアルゴリズムは、画像処理アルゴリズムを含むことがある。プロセッサによって、異常を治療するための治療計画を生成するステップが、異常の治療位置、異常の治療位置のサイズ、識別された治療位置に印加すべき出力設定、および治療から除外すべき位置の少なくとも1つを識別するステップを含むことがある。治療計画に従って組織の異常に治療を送達するステップは、治療計画に従って異常に治療を自動的に送達するステップを含むことがある。治療計画に従って組織の異常に治療を送達するステップは、ユーザの入力を受信すると、治療計画に従って異常に治療を送達するステップを含むことがある。治療計画は、治療が異常に送達されているときに更新されてもよい。治療計画は、組織のリアルタイム画像とレジストレーションされることがある。
【0008】
上記の一般的な説明および以下の詳細な説明は本質的に例示および説明のためのものであり、本開示を理解できるようにすることを意図されており、本開示の範囲を限定するものではないことを理解されたい。それに関し、本開示の追加の態様、特徴、および利点は、以下の詳細な説明から当業者には明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】組織異常を治療するための例示的なシステムの概略図である。
【
図2】第1の図に示される組織と、第2の図に示される組織の一部分の撮像データとを含む例示的な画像である。
【
図3】網膜特徴部を自動的に検出するための例示的アルゴリズムの流れ図である。
【
図4A】網膜の一部の例示的な2次元OCT画像である。
【
図4B】網膜の一部の例示的な3次元OCT画像である。
【
図5A】ILM層とRPE層の境界が識別されている、
図4Aに示される網膜の部分の例示的な2次元OCT画像である。
【
図5B】ILM層とRPE層の境界が識別されている、
図4Bに示される網膜の部分の例示的な3次元OCT画像である。
【
図6】網膜神経感覚上皮の厚さプロファイルを表す例示的なグラフである。
【
図7A】検出された網膜裂孔の標示を含む例示的な2次元OCT画像である。
【
図7B】眼の眼底画像と合成された、網膜裂孔の疑いがある部分を取り囲む標示を示す図である。
【
図7C】検出された網膜異常に基づいて生成することができる疑似カラーマップを示す図である。
【
図8】識別された異常を有する組織、およびそれに関連する選択された治療位置を示す例示的な画像を示す図である。
【
図9】選択された治療位置のいくつかが治療済みとして識別されている
図8の画像を示す図である。
【
図10】網膜に適用される例示的な網膜復位術を示す図である。
【
図11】網膜に適用される例示的な網膜復位術を示す図である。
【
図12】組織治療を最適化するための例示的な方法である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示は、医学的治療に関する。特に、本開示は、眼科学においてレーザ光凝固を最適化するための方法、装置、およびシステムを述べる。いくつかの場合には、レーザ光凝固は完全に自動化することができ、医師または他の医療専門家などのユーザからの入力をわずかしか必要としない。他の場合には、ユーザは、レーザ光凝固中に様々な程度の入力を行うことができる。さらに、いくつかの場合には、最適化されたレーザ光凝固を具現化する、および/または最適化されたレーザ光凝固のために使用される装置は、独立型のデバイスまたはシステムでよい。他の場合には、装置は、複数の外科処置を実施するように動作可能な手術コンソールに組み込まれることもある。
【0011】
本明細書における説明は、概して眼科学の文脈で行う。しかし、眼科学は、提示する主題を使用することができる分野の一例として提供されるにすぎない。したがって、本開示の範囲はそれに限定されない。本明細書で述べる主題は、他の用途で利用することもでき、他の医療分野または医療分野以外の分野にも適用可能である。したがって、本開示の範囲は、眼科用途に限定されない。例えば、本開示の態様は、眼科とは無関係の他のタイプの医学的状態および外科処置に適用可能であり得る。さらに、本開示の範囲は、レーザ光凝固治療に限定されない。眼科学における、および眼科学以外の他のタイプの治療も、本開示の範囲内にある。
【0012】
さらに、網膜レーザ光凝固処置を述べる。しかし、これも例示目的で提供されるにすぎず、本開示の範囲を限定することを意図されてはいない。上で説明したように、本開示は、他のタイプの眼科外科処置および眼科学以外の外科処置にも適用可能であり得る。さらに、本開示は、医療分野以外でも適用可能であり得る。
【0013】
図1は、最適化されたレーザ光凝固処置を実施するために使用することができる例示的なシステム100を示す。システム100は、網膜など眼の一部のレーザ光凝固を実施するためにレーザエネルギーを提供するように動作可能である。いくつかの場合には、システム100は、以下の特徴の1つまたは複数を実施するように動作可能である。1)眼組織の撮像データを得ることを含め、眼組織を視覚化する;2)識別された異常位置を追跡することを含め、撮像データを使用して治療対象の眼組織での異常およびその位置を識別する;3)眼組織での異常のレーザ治療を適切に実施するのに適切なレーザパラメータを決定する;および4)異常を治療する。これは、いくつかの場合には、識別された位置を治療するためにレーザを発射することを含むことがある。
【0014】
さらに、いくつかの実装形態では、システム100は、眼組織の画像上にオーバーレイされる「ヘッドアップディスプレイ」を提供することもある。ヘッドアップディスプレイは、レーザ光凝固治療に関連する情報をユーザに提供することができる。例えば、ヘッドアップディスプレイは、眼組織の画像上に、治療対象の1つまたは複数の選択された標的位置をオーバーレイすることがある。まだ治療されていない選択された標的位置が、ある様式(例えば記号、色、文字の表現など)で表現されることがあり、治療済みの標的位置は、治療されていない標的位置とは異なる様式で表現されることがある。ヘッドアップディスプレイは、レーザ照準標示を提供することもある。レーザ照準標示は、レーザ発射が生じた場合にレーザエネルギーが送達される眼組織での位置を識別することができる。レーザ照準標示は、リアルタイムで追跡されることがあり、レーザが発射された場合にレーザエネルギーが眼組織に影響を及ぼす瞬時位置をユーザに示すことがある。
【0015】
システム100は、レーザ制御デバイス110と、レーザ送達デバイス120と、撮像デバイス130と、ディスプレイ150とを含むことがある。顕微鏡140が含まれることもある。レーザ制御デバイス110は、治療レーザ155を含むことがある。治療レーザ155は、レーザ送達デバイス120に動作可能に結合されることがある。いくつかの実装形態では、治療レーザ155は、レーザ送達デバイス120に含まれていてもよく、または他の形でレーザ送達デバイス120の一部を成していてもよい。いくつかの実装形態では、レーザ送達デバイス120は、眼組織での特定の位置にレーザエネルギーを向けるように動作可能でよい。いくつかの場合には、レーザ送達デバイス120は、レーザプローブでよい。撮像デバイス130は、眼組織のある領域の画像を受け取るように動作可能でよい。撮像デバイス130によって提供される画像は、眼組織の深さに沿った組織構造を示す撮像データなどの撮像データを含むことがある。撮像デバイス130は、撮像データが望まれる眼組織の部分を撮像するために利用されることもある。
【0016】
いくつかの場合には、レーザ送達デバイス120および撮像デバイス130は、別個のデバイスであるか、または別個のデバイスの一部を成す。例えば、いくつかの場合には、レーザ送達デバイス120は、眼の一部分に少なくとも部分的に挿入可能なレーザプローブでよい。撮像デバイス130は、眼組織の画像および/またはそれを表すデータを受信してレーザ制御デバイス110またはシステム100の他の部分に送信するように動作可能な別個のデバイスでよく、または別個のデバイスの一部を成していてよい。例えば、撮像デバイス130は、眼に少なくとも部分的に挿入可能な光干渉断層撮像(「OCT」)プローブでよい。他の場合には、撮像デバイス130は、赤外線撮像データ、網膜トポグラフィデータ、または組織異常を識別するために使用可能な情報を含む任意の他のタイプのデータを取得するように動作可能でもよい。異常の1つまたは複数は、レーザ光凝固治療に適していると決定されることがある。
【0017】
撮像デバイス130からの送信された画像および/または画像データは、任意の所望の様式でユーザに表示されることがある。例えば、受信された画像および/またはデータは、モニタに、顕微鏡(例えば手術用顕微鏡の接眼レンズ内)に、眼組織を表現するデータモデルとして、または任意の他の所望の様式で表示することができる。他の場合には、レーザ送達デバイス120および撮像デバイス130は、単一のデバイスの一部を成すことがある。さらに、システム100は、複数のレーザ送達デバイス120および/または撮像デバイス130を含むこともある。
【0018】
顕微鏡140は、眼の一部分の画像を取得するために利用されることもある。例えば、顕微鏡140は、眼の網膜またはその一部分の画像を取得するように動作可能でよい。網膜の画像は、接眼レンズ145を介してユーザが直接観察することができる。いくつかの場合には、顕微鏡140によって取得された画像は、ディスプレイ150などの別個のディスプレイに送信されてもよい。したがって、いくつかの場合には、システム100は、治療対象の組織を観察するための複数の構成要素を含むことがある。例えば、顕微鏡140は、眼の角膜および水晶体を通して網膜を見るために使用されることがある。顕微鏡140によって提供される画像データは、網膜の大部分を包含することがある。他の場合には、画像データは、網膜のより小さい部分を包含することがある。また、撮像デバイス130は、顕微鏡140によって提供される画像データと共に使用されることがあるデータを取得することも可能であり得る。例えば、顕微鏡140によって提供される画像データは、網膜の視覚画像を含むことがあり、撮像デバイス130は、視覚画像内の網膜の一領域のOCTデータを取得するように動作可能であり得る。例えば、OCTデータは、組織の1つまたは複数の走査線に沿った深度データを含むことがある。したがって、OCTデータは、1つまたは複数の走査線に沿って撮影された組織の仮想断面情報を提供する。いくつかの場合には、撮像デバイス130が顕微鏡140の一部を成すこともある。他の実装形態では、レーザ送達デバイス120が顕微鏡140の一部を成すこともある。さらに他の実装形態では、撮像デバイス130とレーザ送達デバイス120との両方が顕微鏡140の一部を成すこともある。
【0019】
撮像デバイス130は、眼に挿入されるOCT器具でよいが、眼に挿入されることなく、手術前に、または手術中に瞬時にOCTデータを取得するデバイスでもよい。例えば、いくつかの場合には、撮像デバイス130は、眼の角膜および水晶体を通してOCTデータを取得するように動作可能でよい。特に、いくつかの場合には、撮像デバイス130が顕微鏡140の一部を成すことがある。さらに、OCTデータは、眼の角膜および水晶体を通して取得されることがある。
【0020】
いくつかの場合には、システム100は、別個の専用システムでよい。他の場合には、システム100は、レーザ光凝固および他の外科処置を実施するように動作可能な多機能システムに組み込まれることもある。したがって、いくつかの場合には、システム100は、多機能手術コンソールの一体型サブシステムでよい。
【0021】
システム100は、プロセッサ160と、プロセッサ160と通信するメモリデバイス170とを含むことがある。メモリデバイス170は、任意のメモリまたはモジュールを含むことがあり、限定はしないが磁気媒体、光媒体、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、リムーバブル媒体、または任意の他の適切なローカルもしくは遠隔メモリ構成要素を含む揮発性または不揮発性メモリの形態を取ることがある。メモリデバイス170は、構成要素の中でもとりわけ、レーザ制御アプリケーション180を含むことがある。レーザ制御アプリケーション180は、システム100の態様を操作するための命令を提供することがある。例えば、レーザ制御アプリケーション180は、レーザ制御デバイス110を制御するための命令を含むことがある。
【0022】
メモリ170は、クラス、フレームワーク、アプリケーション、バックアップデータ、ジョブ、または他の情報(任意のパラメータ、変数、アルゴリズム、命令、規則、もしくはそれらへの参照を含む)を記憶することもある。メモリ170はまた、他のタイプのデータを含むこともあり、そのようなデータは、例えば、環境および/またはアプリケーション記述データ、1つまたは複数のアプリケーションに関するアプリケーションデータ、ならびに、仮想プライベートネットワーク(VPN)アプリケーションまたはサービス、ファイアウォールポリシー、セキュリティまたはアクセスログ、プリントまたは他のレポーティングファイル、HTML(HyperText Markup Language:ハイパーテキストマークアップランゲージ)ファイルまたはテンプレート、関連するまたは関連しないソフトウェアアプリケーションまたはサブシステムなどを含むデータである。したがって、メモリ170は、レーザ制御アプリケーション180など1つまたは複数のアプリケーションからのローカルデータレポジトリなど、データのレポジトリとみなすこともできる。また、メモリ170は、レーザ制御アプリケーション180など1つまたは複数のアプリケーションによって利用することができるデータも含むことがある。
【0023】
レーザ制御アプリケーション180は、結果または出力を決定するために例えば1つまたは複数のアルゴリズムにおいて受信データを利用するように動作可能な命令を含むプログラムまたはプログラム群を含むことがある。決定された結果は、システム100の態様に影響を及ぼすために使用されることがある。レーザ制御アプリケーション180は、例えば治療レーザ155などの治療レーザの態様を制御するための命令を含むことがある。アプリケーション180は、レーザパラメータを決定および制御するための1つまたは複数のアルゴリズムなどの命令を含むことがある。レーザパラメータの制御は、ユーザによって入力される情報および/または1つまたは複数のセンサなどによるシステムへの受信されたデータを前提とすることがある。1つまたは複数のセンサが、システム100に含まれることがあり、または他の形でシステム100と通信することがある。例えば、入力された情報は、撮像デバイス130および/または顕微鏡140から受信された撮像データでよい。レーザ制御アプリケーション180は、システム100の動作に対する1つまたは複数の調整を決定することがある。調整は、例えばレーザ制御デバイス110などシステム100の1つまたは複数の構成要素に送信された1つまたは複数の制御信号によって実施されることがある。例示的なシステム100が図示されているが、システム100の他の実装形態は、図示されているよりも多い、少ない、または異なる構成要素を含むこともある。
【0024】
いくつかの場合には、レーザ制御アプリケーション180は、治療対象の眼組織の1つまたは複数の画像を取得し、レーザ光凝固治療の対象となる眼組織の1つまたは複数の領域を識別し、レーザ治療計画を生成し、眼組織の1つまたは複数の領域にレーザ治療を送達するための命令を提供することがある。また、レーザ制御アプリケーション180は、システム100の1つまたは複数の構成要素および/またはシステム100に結合された周辺デバイスを制御するための命令を含むこともある。例えば、いくつかの実装形態では、レーザ制御アプリケーション180は、レーザ制御デバイス110、治療レーザ155、レーザ送達デバイス120、撮像デバイス130、および/または表示デバイス140の態様を制御するための命令を含むことがある。さらに、レーザ制御アプリケーション180は、ユーザに情報を提供するためのヘッドアップディスプレイを生成するための命令を含むこともある。
【0025】
プロセッサ160は、命令を実行し、データを操作して、システム100の動作、例えば計算および論理演算を実施するように動作可能であり、例えば、中央処理装置(CPU)、ブレード、特定用途向け集積回路(ASIC)、またはフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)でよい。
図1は、レーザ制御デバイス110内に単一のプロセッサ160を示しているが、特定の必要性に応じて複数のプロセッサ160が使用されてもよく、プロセッサ160への言及は、適用可能な場合には複数のプロセッサ160を含むことも意図されている。いくつかの実装形態では、プロセッサ160は、1つまたは複数のマイクロプロセッサを含むことがある。プロセッサ160は、システム100の様々な構成要素および/またはシステム100に結合されたデバイスからデータを受信し、受信したデータを処理し、それに応答して、システム100の構成要素および/またはシステム100に結合されたデバイスの1つまたは複数にデータを送信するように適合されることがある。図示されている例では、プロセッサ160は、レーザ制御アプリケーション180を実行する。プロセッサ160は、システム100の様々な態様を制御するように動作可能でよい。例えば、プロセッサ160は、治療レーザ155の発射を制御してレーザ凝固処置を実施するように動作可能な制御装置の少なくとも一部を成していてよい。記憶デバイス(ハードディスクドライブやCD ROMドライブなど)、プリンタ、および他の入出力デバイスなど、様々な周辺デバイスがシステム100に結合されてもよい。
【0026】
ディスプレイ150は、医師などのユーザに情報を表示する。いくつかの場合には、ディスプレイ150は、情報を視覚的に表示するためのモニタでよい。いくつかの場合には、ディスプレイ150は、ディスプレイと入力デバイスとの両方として動作することがある。例えば、ディスプレイ150は、ユーザによるタッチまたはディスプレイとの他の接触がシステム100への入力を生成するタッチセンシティブディスプレイでよい。いくつかの場合には、ディスプレイ150は、グラフィカルユーザインタフェース(「GUI」)190を介してユーザに情報を提示することがある。
【0027】
ディスプレイ150は、眼組織の画像など、手術部位の画像を表示するために利用されてもよい。いくつかの場合には、ディスプレイ150は、検知されたデータをモデルの形で表示するように動作可能でよい。例えば、検知されたデータは、身体解剖学的構造の組織または他の部分のコンピュータ生成モデルを表示するために使用されることがある。表示されるモデルは、3次元モデル、2次元モデル、または他のタイプのモデルの形でよい。医師などのユーザは、画像および他の視覚情報を含む情報源としてディスプレイ150を利用することができる。同様に、顕微鏡140の接眼レンズ145も、画像および他の情報を受信するために利用することができる。いくつかの場合には、接眼レンズ145は、ディスプレイ150と同じ情報を提供するように動作可能でよい。他の場合には、接眼レンズ145によって表示される情報は、ディスプレイ150によって表示される情報とは異なることもある。顕微鏡140の接眼レンズ145と、ディスプレイ150とが、外科処置中に同時に使用されてもよい。さらに他の実装形態では、以下でより詳細に述べるヘッドアップディスプレイが、接眼レンズ145および/またはディスプレイ150に表示されることもある。他の実装形態では、接眼レンズ145またはディスプレイ150の一方を省くこともできる。
【0028】
GUI190は、医師などのユーザが、アプリケーションまたは他のシステム情報の閲覧など任意の適切な目的のためにシステム100とインタフェースすることを可能にするように動作可能なグラフィカルユーザインタフェースを含むことがある。例えば、GUI190は、レーザ光凝固外科処置および/またはシステム100の動作態様に関連する詳細情報を含めた、医療処置に関連する情報を提供することがある。
【0029】
一般に、GUI190は、システム100によって受信される、システム100によって提供される、またはシステム100内で通信される情報の効率的でユーザフレンドリーな提示を特定のユーザに提供することができる。GUI190は、対話フィールド、プルダウンリスト、およびユーザによって操作されるボタンを有する複数のカスタマイズ可能なフレームまたはビューを含むことがある。また、GUI190は、複数のポータルまたはダッシュボードを提示することもある。例えば、GUI190は、レーザ制御デバイス110、治療レーザ155、レーザ送達デバイス120、撮像デバイス130、顕微鏡140、ディスプレイ150、またはシステム100の任意の他の部分に関連するパラメータをユーザが入力して定義することを可能にするインタフェースを表示することがある。グラフィカルユーザインタフェースという用語は、1つまたは複数のグラフィカルユーザインタフェース、および特定のグラフィカルユーザインタフェースの各ディスプレイを表すために、単数形で使用されることも複数形で使用されることもあることを理解すべきである。実際、GUI190への言及は、本開示の範囲から逸脱することなく、レーザ制御アプリケーション180のフロントエンドまたは構成要素への言及を表すこともある。したがって、GUI190は、任意のグラフィカルユーザインタフェースを企図する。例えば、いくつかの場合には、GUI190は、データを入力するための汎用ウェブブラウザを含むことがあり、結果をユーザに効率的に提示することができる。他の場合には、GUI190は、例えば、レーザ制御アプリケーション180の様々な機能を表示するおよび/またはそれらの機能と対話するためのカスタムまたはカスタマイズ可能インタフェースを含むことがある。他の実装形態では、GUI190は、システム100の任意の他の部分を表示するおよび/またはそれらの部分と対話するために利用されてもよい。
【0030】
動作中、レーザ光凝固処置のために患者の準備が行われることがある。顕微鏡140は、網膜の画像を取得するために、患者の眼に対して所定の位置に配置されることがある。この網膜画像は、外科医または他の医療専門家などのユーザに、網膜の一部分の画像を提供することがある。顕微鏡140は、眼の角膜および水晶体を通して網膜の画像を取得することができる。
【0031】
撮像デバイス130は、網膜組織の視覚化を行うために利用されることがある。いくつかの場合には、撮像デバイス130は、撮像データを取得するために患者の眼に導入されることがある。他の場合には、撮像デバイス130は、顕微鏡140の一部を成し、眼の角膜および水晶体を通して撮像データを取得することがある。視覚化は、網膜組織の少なくとも一部の撮像データを取得することを含むことがある。撮像データは、網膜異常を判断するために使用されることがある。この撮像データは、OCTデータ、赤外線撮像データ、網膜トポグラフィデータ、または網膜異常の存在を取得または判断するために使用可能な任意の他のタイプのデータでよい。いくつかの場合には、撮像デバイス130は、レーザ光凝固処置の前に撮像を行うために使用されることがある。いくつかの場合には、撮像デバイス130は、レーザ光凝固処置中に撮像データを取得するために使用されることがある。いくつかの実装形態では、撮像デバイス130は、レーザ光凝固処置前と処置中の両方に撮像データを取得するために使用されることがある。この例として、OCTプローブの文脈で撮像デバイス130を述べる。しかし、これは例示のためにすぎず、説明したように、撮像デバイス130は、網膜または他の眼組織における異常を検出するために使用することができるデータを取得するための任意のデバイスでよい。
【0032】
いくつかの場合には、撮像デバイス130は、眼の外部にある状態で網膜撮像データを検知するように適合されることがある。例えば、いくつかの場合には、撮像デバイス130は、顕微鏡140の一部を成し、眼の外部にある状態で顕微鏡140を通してOCTデータを取得することがある。いくつかの実装形態では、網膜撮像データを取得するために、撮像デバイス130の少なくとも一部が眼に挿入されることがある。撮像デバイス130は、リアルタイム撮像データを取得するために使用されてよい。他の場合には、撮像デバイス130によって提供される撮像データは、術前に取得されてもよい。撮像データは、デジタル形式で収集されることがあり、後で分析することができる。いくつかの実装形態では、生の画像データがビデオモニタまたは他の提示デバイスに表示されることがある。例えば、生の画像データは、ディスプレイ150または接眼レンズ145に表示されることがある。さらに、撮像データは、例示的なシステム100のメモリデバイス170などに記憶されてもよい。
【0033】
図2は、患者の網膜210の例示的な画像200を示す。画像200は、メインビュー220および詳細
図230を含む。いくつかの実装形態では、画像200は、ディスプレイ150および/または接眼レンズ145に表示されることがある。いくつかの実装形態では、画像200は、GUI190の一部を成していてよく、または他の形でGUI190によって示されてもよい。網膜210の画像は、顕微鏡140によって取得されることがある。
【0034】
画像200は、メインビュー220において網膜210の一部分に沿って延びる線240も含む。詳細
図230は、撮像デバイス130からの撮像データを表示する。この例では、詳細
図230は、線240に沿った網膜210のOCTデータ(例えば深さ情報)を示す。OCTデータは、断層撮像データを提供し、このデータは、例えば、網膜異常を検出するために使用することができる輪郭、形状、層、および/または色の情報を含むことがある。上述したように、他のタイプのデータを検出または生成するための他のタイプのセンサを用いて網膜異常を検出することもできる。いくつかの実装形態では、異常は、1つまたは複数のアルゴリズムに従ってシステム100によって自動的に検出することもできる。1つまたは複数のアルゴリズムは、レーザ制御アプリケーション180または何らかの他のアプリケーションの一部を成すことがある。
【0035】
以下、網膜異常を検出するための例示的なアルゴリズムについて述べる。いくつかの場合には、網膜の位置のOCTデータを取得し;OCTデータをセグメント化し;セグメント化されたOCTデータに基づいて測定基準を生成し;生成された測定基準に基づいて網膜異常を検出することによって、異常が検出されることがある。網膜異常の検出は、例えば聴覚的に、視覚的に、触覚的に、またはそれらの組合せで示されることがある。OCTデータは、OCT画像データの形でよい。アルゴリズム300の文脈で網膜異常を論じるが、本発明の範囲はこれに限定されない。本明細書で述べるアルゴリズムは、例えば網膜血管など他の網膜特徴部を検出するために利用することもできる。
【0036】
図3は、システム100など眼科システムを使用して網膜特徴部を自動的に検出するための例示的なアルゴリズム300の流れ図を提供する。アルゴリズム300の使用によって、本明細書で述べるような網膜異常を検出することができる。しかし、本発明の範囲はそれに限定されず、本明細書で述べるアルゴリズムを使用して、本明細書で述べるもの以外の網膜異常を検出することもできる。
【0037】
ステップ302で、アルゴリズム300は、網膜のOCT画像を取得することを含むことがある。ステップ304で、アルゴリズム300は、OCT画像をセグメント化することを含むことがある。ステップ306で、アルゴリズム300は、セグメント化されたOCT画像に基づいて測定基準を生成することを含むことがある。ステップ308で、アルゴリズム300は、測定基準に基づいて網膜異常を検出することを含むことがある。ステップ110で、アルゴリズム300は、検出された網膜異常の標示をユーザに提供すること(ステップ110)を含むことがある。アルゴリズム300のステップは、眼科撮像システムの1つまたは複数の構成要素によって実施されることがある。例えば、
図1に示されるシステム100を使用することができる。さらに、アルゴリズム300は、撮像システム100に記憶されているアプリケーションに組み込まれていてもよい。例えば、アルゴリズム300の全てまたは一部が、レーザ制御アプリケーション180の一部を成すことがある。いくつかの場合には、アルゴリズム300は、1つまたは複数の異なるアプリケーションの一部を成すことがあり、またはアルゴリズム300は、別個のアプリケーションの形でもよい。
【0038】
OCTシステムは、光源から受け取った撮像光を、(例えば撮像プローブによって)標的生物組織に向けられる撮像ビームと、参照ミラーに向けることができる参照ビームとに分割するように構成されることがある。OCTシステムは、フーリエ領域(例えばスペクトル領域もしくは波長掃引型など)または時間領域システムでよい。OCTシステムは、標的生物組織から反射された(例えば撮像プローブや外部OCTシステムなどによって捕捉された)撮像光を受け取るようにさらに構成されてもよい。反射された撮像光と参照ビームとの干渉パターンを利用して、標的生物組織の画像を生成する。したがって、OCTシステムは、干渉パターンを検出するように構成された検出器を含むことがある。検出器は、電荷結合素子(CCD)、画素、または検出された光に基づいて電気信号を発生する任意の他のタイプのセンサのアレイを含むことがある。さらに、検出器は、2次元センサアレイおよび検出器カメラを含むこともある。
【0039】
いくつかの場合には、OCTデータは、2次元OCT画像の形でよい。いくつかの場合には、OCTデータは、3次元OCT画像の形でよい。
図4Aは、網膜402の一部分の2次元OCT画像400を示し、
図4Bは、網膜402の一部分の3次元OCT画像450を示す。
図4Aおよび4Bの右側に、網膜裂孔408が見える。本明細書で述べるシステム、方法、およびデバイスを使用して、網膜裂孔408および他の網膜異常を自動的に検出することができる。
図4Aおよび4Bの左側に、血管412が見える。したがって、本明細書に記載のシステム、方法、およびデバイスを使用して、例えば血管など他のタイプの網膜特徴部も自動的に検出することができる。
【0040】
OCT画像は、セグメント化されることがある。OCT画像をセグメント化することは、網膜の様々な層を識別することを含む。例えば、システム100は、OCT画像に関連するデータを使用して1つまたは複数の網膜層を識別することがある。OCT画像をセグメント化することは、内境界膜(ILM)、神経線維層、神経節細胞層、内網状層、内核層、外網状層、外核層、外境界膜、桿状体および錐状体の層、網膜色素上皮(RPE)、および/または他の網膜層を識別することを含むことがある。
図5Aは、ILM層504とRPE層506の境界が識別されている網膜402の2次元OCT画像500を示す。同様に、
図5Bは、ILM層504とRPE層506の境界が識別されている網膜402の3次元OCT画像550を提供する。
【0041】
セグメント化されたOCT画像に基づいて、網膜に関連する1つまたは複数の測定基準が生成されることがある。測定基準は、例えば1つまたは複数の数値を使用して1つまたは複数の網膜層の幾何形状を客観的に表す網膜層パラメータでよい。いくつかの場合には、網膜層パラメータは、1つもしくは複数の網膜層の厚さ、強度、強度勾配、位相、スペックルサイズ、血管密度、血流速度、酸素化、弾性、複屈折性、サイズ、体積、凹度/凸度、および/または曲率半径でよい。例えば、測定基準を生成することは、ILMの凹度/凸度の数値表現を決定することを含むことがある。例えば、網膜異常の領域におけるILMの曲率半径が決定されることがある。網膜層パラメータは、任意の数の網膜層を使用して決定することができる。例えば、網膜層パラメータは、任意の1つ、2つ、3つ、4つ、または5つ以上の網膜層を使用して決定することができる。測定基準を生成することは、例えばILMおよびRPEを使用して網膜神経感覚上皮の厚さを決定することを含むことがある。例えば、網膜神経感覚上皮の厚さは、ILMとRPEの間の距離を含むことがある。厚さの数値表現が測定基準として使用されることがある。いくつかの場合には、網膜層パラメータは、1つの網膜層と、1つの網膜層を取り囲む所定の厚さの線条部とを使用して決定されることがある。網膜を評価するために、1つ、2つ、または3つ以上の測定基準が生成されて利用されることがある。
【0042】
1つまたは複数の網膜異常を検出することは、生成された測定基準に基づくことがある。検出される網膜異常は、欠陥を示す網膜の構造的態様でよい。例えば、網膜異常は、裂孔、穴、裂傷、離断、増殖、突出、凹み、網膜下液を有する領域などでよい。複数の網膜異常、およびいくつかの場合にはそれらのタイプが検出されることがある。網膜異常は、1つまたは複数の測定基準を使用して検出されることがある。例えば、網膜神経感覚上皮の厚さおよびILMの凹度/凸度が利用されることがある。2つ以上の測定基準を利用することは、有利には、網膜異常検出の確実性を高めることができる。
【0043】
網膜異常を検出することは、網膜層パラメータを閾値と比較することを含むことがある。例えば、生成された測定基準が網膜神経感覚上皮の厚さを含むとき、網膜異常を検出することは、厚さを閾値厚さと比較することを含むことがある。いくつかの場合には、とりわけ網膜神経感覚上皮の厚さなどの網膜層パラメータが閾値よりも大きいまたは小さいとき、網膜異常が検出されることがある。例えば、厚さが閾値未満であるとき、網膜裂孔または網膜孔が検出されることがある。他方、厚さが閾値よりも大きいとき、網膜の増殖または突出が検出されることがある。閾値の厚さは、例えば、50ミクロン~300ミクロンの範囲;75ミクロン~300ミクロンの範囲;100ミクロン~250ミクロンの範囲;または他の適切な範囲内でよい。一般に、厚さは網膜に沿って変化する。例えば、網膜は、中心窩、末梢網膜、もしくは他の位置で、またはその付近で厚さが変化することがある。その結果、網膜異常がある網膜に沿った位置に基づいて閾値を選択することができる。
【0044】
生成された測定基準を使用して網膜異常を検出することは、とりわけILMなど1つまたは複数の網膜層が凹形状もしくは凸形状および/または凹度もしくは凸度(例えば曲率半径)を有するかどうかを判断することを含むことがある。例えば、網膜異常の領域での凹形のILMは、網膜裂孔または網膜孔を示すことがあり、一方、凸形のILMは、網膜での増殖または突出を示すことがある。したがって、網膜異常を検出することは、網膜異常の領域でのILMの曲率半径を、網膜異常の存在を示す閾値曲率半径と比較することを含むことがある。曲率半径が閾値よりも大きいまたは小さいとき、網膜異常が検出されることがある。例えば、ILMの凹部が閾値未満の曲率半径を有するとき、網膜裂孔または網膜孔が検出されることがある。網膜裂孔を検出するための閾値曲率半径は、例えば、約0.1mm~約12mmの範囲;約1.0mm~約6mmの範囲;または約2.0mm~約4.0mmの範囲でよく、例えば10mm、9mm、8mm、7mm、6mm、5mm、4mm、3mm、2mm、1mm、または他の適切な値を含む。網膜異常を検出するために、凹度または凸度と、対応する曲率半径との組合せを利用することもできる。
【0045】
網膜異常を検出するのに使用される閾値は、適応性または患者特有でよい。例えば、閾値は、隣接する領域と比較した網膜神経感覚上皮の厚さのパーセンテージ差でよい。したがって、患者の網膜神経感覚上皮の領域が、隣接する領域の厚さの例えば50%よりも大きいまたは小さい厚さを有するときに、網膜異常が検出されることがある。同様に、ILMの曲率半径が、隣接する領域の曲率半径の例えば50%よりも大きいまたは小さいときに、網膜異常が検出されることがある。閾値は、例えば1%~100%の間、1%~75%の間、1%~50%の間、1%~25%の間などでよい。網膜神経感覚上皮の厚さおよびILMの曲率半径を論じたが、これらは単に例として使用されている。したがって、本開示の範囲はそれに限定されない。他の測定基準(例えば、網膜の他の層の厚さもしくは曲率半径)または他の網膜特性(例えば、上述した特性もしくは他の特性の1つまたは複数)を使用して、網膜異常を位置特定および識別することができる。
【0046】
1つまたは複数の閾値は、実験データに基づいて選択されることがある。例えば、患者の網膜データの集合またはデータベースを使用して、正規化またはベースライン網膜データを決定することができる。このベースラインデータを使用して、網膜異常を検出するために閾値を得ることができる。例えば、網膜神経感覚上皮の正常な厚さ範囲を決定するために、同様の特性を有する患者の網膜神経感覚上皮の厚さ測定値を含むデータベースが使用されることがある。この正常な厚さ範囲を使用して、網膜神経感覚上皮に関する閾値厚さ値を生成することができる。したがって、患者の網膜神経感覚上皮の一領域が、その患者において予想される正常範囲外の(例えば正常範囲よりも大きいまたは小さい)厚さを有するとき、網膜異常が検出されることがある。いくつかの場合には、そのような実験データは、デフォルト閾値を決定するために使用されることもあり、このデフォルト閾値は、患者特有の特性に基づいて調整されることがある。この論述では網膜神経感覚上皮の厚さを具体的に述べているが、他の特性、例えば凹度もしくは凸度、もしくは曲率半径、および/または他の測定基準も同様に患者特有であり得るか、またはより一般的に適用可能であり得ることを理解されたい。
【0047】
図6は、網膜神経感覚上皮の厚さプロファイルを表すグラフ600を示す。グラフ400に関連するデータは、セグメント化されたOCT画像に基づくことがある。グラフ400のx軸は、網膜神経感覚上皮に沿った位置を画素単位で表す。y軸は、網膜神経感覚上皮の厚さを画素単位で表す。曲線206は、網膜に沿ったRPEからのILMの距離を表す。グラフ400に示される網膜神経感覚上皮の厚さは、網膜裂孔208を検出するために使用される測定基準となり得る。網膜裂孔208は、隣接する領域とは著しく厚さが異なる(例えば50%未満の)網膜神経感覚上皮に沿った領域、および/または一定の正常範囲未満の厚さを有する領域であり得る。この論述では網膜神経感覚上皮の厚さに具体的に言及しているが、網膜裂孔または他の網膜異常を検出するために、凹度/凸度、曲率半径、および/または他の測定基準も同様に使用することができることを理解されたい。
【0048】
検出された網膜異常の標示がユーザに提供されることもある。聴覚、視覚、および/または触覚標示を提供するための1つまたは複数のデバイスを使用して、聴覚、視覚、および/または触覚標示が提供されることがある。例えば、
図1に示されるディスプレイ150を利用して、検出された網膜異常の視覚的標示を提供することができる。この標示は、検出された網膜異常の存在および/または位置を外科医などのユーザに警告するために使用されることがある。特に、この標示は、外科処置の過程において、検出された網膜異常をユーザに警告するために利用することができる。
図7Aに示されるように、2次元OCT画像700は、検出された網膜裂孔208の標示710を含む。標示710などの視覚的標示は、検出された網膜異常に関連して位置決めされた幾何学的物体の形状でよい。例えば、いくつかの場合には、標示は、網膜裂孔408の周りに位置決めされた正方形、円形、多角形、楕円形、または任意の他の幾何学的形状での幾何学的表現でよい。いくつかの場合には、標示710は、
図4Aに示されるOCT画像200などのOCT画像にオーバーレイされる、および/または他の形で合成されることがあり、合成されたOCT画像は、ディスプレイ150などの出力デバイスに出力されることもある。他の場合には、他のタイプの標示を単独で、または互いに組み合わせて使用することもできる。
【0049】
いくつかの場合には、標示は、検出された網膜異常の形状に基づく形状を有することもある。例えば、
図7Aに示されるように、標示710は、検出された網膜裂孔208を取り囲むことがある。いくつかの場合には、標示は、検出された網膜異常に一致するまたは対応する形状を有することもある。例えば、
図7Bに示されるように、標示710は、眼底画像702など眼の眼底画像にオーバーレイされる、および/または他の形で合成されることもある。合成された眼底画像は、ディスプレイ150に出力されることもある。ここでも、網膜異常を示すために、聴覚および/または触覚など他のタイプの出力をユーザに提供することができる。
【0050】
図7Cは、検出された網膜異常に基づいて生成される疑似カラーマップ704を示す。図示される例では、疑似カラーマップ704は、網膜裂孔408に基づいて生成される。疑似カラーマップ704は、網膜の所与の位置での網膜異常の存在の可能性を表すことがある。標示710は、網膜異常が存在する可能性が高い疑似カラーマップ704の領域を表すことがある。疑似カラーマップ704は、例えばディスプレイ150に出力されることがある。
【0051】
いくつかの実装形態では、標示710などの標示は、他の情報を含むこともある。例えば、標示は、テキスト、1つもしくは複数の他の形状もしくは記号、および/または他の視覚的警告を含むことがある。標示は、網膜異常に対して様々に位置決めされることがある。標示は、検出された網膜異常の存在および/または位置をユーザ/外科医に警告するために聴覚信号を含むことがある。標示は、外科医への触知および/または触覚フィードバックを含むことがある。
【0052】
再び
図2を参照すると、画像200は、線240に沿った位置にあるカーソル250も含む。カーソル250の別の表現も、詳細
図230内の網膜210に沿った位置に示されている。メインビュー220内のカーソル250の位置は、詳細
図230内のカーソル250の位置にリンクされ、それにより、メインビュー220内のカーソル250の位置は、詳細
図230に示される網膜210に沿った同じ位置に対応する。すなわち、メインビュー220内のカーソル250によって示される網膜210の位置は、詳細
図230内のカーソル250によって識別される網膜210上の位置と同じである。したがって、メインビュー220内のカーソル250の位置の変化は、詳細
図230内のカーソル250の位置の変化として反映され、その逆も同様である。
【0053】
ユーザは、入力デバイスを用いてカーソル250の位置を変更することができる。例えば、ユーザは、スタイラスまたは他のデジタル入力デバイスを使用することができる。カーソル250の使用によって選択される位置は、提示された撮像データとの入力デバイスの対話によって識別されることがある。例えば、スタイラスでディスプレイ150にタッチすることによって位置が識別されることがある。スタイラスによってタッチされた位置が、選択された治療位置として識別されることがある。治療位置を選択するために他の入力デバイスを使用することもできる。例えば、マウス、キーボード、またはタッチスクリーンを使用することができる。次いで、選択された治療位置は、網膜での特定の位置とレジストレーションされてデジタルで記憶されることがあり、例えば、患者の眼の位置と選択された治療位置の位置との間の適正なレジストレーションを維持する。いくつかの実装形態では治療位置は手動で選択されることがあるが、他の実装形態では、システム100によって1つまたは複数の選択された治療位置を自動的に決定することができる。
【0054】
いくつかの実装形態では、選択された治療位置と網膜210のリアルタイム画像とのレジストレーションは、網膜追跡デバイスを用いて取得することができ、ここで、網膜追跡は、移動または顕微鏡調整により、患者の眼の向きに関係なく治療位置を常にユーザに提供することを容易にする。
【0055】
いくつかの実装形態では、網膜追跡デバイスは、眼底撮像装置と、レジストレーションおよび追跡計算機とを含むことがある。例示的な眼底撮像装置としては、光学カメラ、ラインスキャン画像を取得するように動作可能なラインスキャン検眼鏡、および共焦点走査検眼鏡が挙げられる。網膜画像を取得するために他の撮像技術を使用することもできる。眼底撮像装置は、例えば、撮像デバイス130の一部でよく、または撮像デバイス130の一部を成していてもよい。代替として、いくつかの場合には、眼底撮像装置は、撮像デバイス130とは別個の撮像でもよい。
【0056】
眼底撮像装置は、ライブ、すなわちリアルタイム網膜画像を獲得することがある。レジストレーションおよび追跡計算機は、ライブ網膜画像を受信し、前もって取得されている網膜画像と比較することができる。例えば、術前に取得された網膜画像が、前もって取得されている網膜画像として使用されることがある。レジストレーションおよび追跡計算機によって、比較される画像間の相違が検出されることがある。これらの相違は、2つの画像が取得された時点の間の時間に生じた眼の動きを示すことがある。次いで、レジストレーションおよび追跡計算機は、選択された治療位置の表現の位置を調整することができ、選択された治療位置が、網膜210の画像における網膜の適切な位置に対して正確に位置決めされたままであるようにする。したがって、選択された治療位置は、治療のために選択された網膜での実際の位置にレジストレーションされたままである。
【0057】
例示的な網膜追跡デバイスは、“A new real-time retinal tracking system for image-guided laser treatment”, IEEE Trans Biomed Eng. 2002; 49(9):1059-67で述べられている網膜追跡システムと同様でよい。その内容の全体を参照により本明細書に援用する。そのような網膜追跡システムは、眼底撮像装置と、追跡およびレジストレーション計算機とを含む。眼底撮像装置は、網膜のリアルタイム画像を獲得し、そのデータを追跡およびレジストレーション計算機に転送する。追跡およびレジストレーション計算機は、眼底撮像装置からライブ網膜画像を受信し;受信された網膜画像を処理し;処理された網膜画像を前もって取得されている処理済みの網膜画像と比較し;網膜の動きの情報を決定するために2つの画像間の網膜での1つまたは複数の特徴部の位置の相違を計算することによって、2つの網膜画像が撮影された時点の間に網膜が移動したかどうかを判断し;治療位置が網膜での対応する位置に正確に関連付けられたままであるように、選択された治療位置の位置を調整する。したがって、選択された治療位置は、網膜210と治療システム100との相対運動にも関わらず、網膜画像上に適切に位置されたままである。
【0058】
上述したように、眼底撮像装置は、網膜のライブ画像を捕捉することがある。いくつかの実装形態では、眼底撮像装置は、網膜のリアルタイム画像を捕捉し、追跡およびレジストレーション計算機を連続的に動作させて、選択された治療位置のレジストレーションをリアルタイムで維持し、それにより、連続的に生じていることがある眼の動きを補償する。
【0059】
上述したように、眼底撮像装置によって取得された網膜画像は、リアルタイム画像でよい。リアルタイム網膜画像の処理は、例えば、網膜に関連する1つまたは複数のパラメータを識別するために、画像のデータの1つまたは複数の態様を強調することを含むことがある。次いで、1つまたは複数のパラメータが、網膜の特徴および/または特性を検出するために使用される。
【0060】
リアルタイム網膜画像の処理は、画像フィルタリングを含むことがある。画像フィルタリングは、画像データに含まれるノイズを除去するために利用されることがある。いくつかの場合には、画像フィルタリングは、ノイズを低減するために画像にわたって移動窓を適用することによって達成されることがある。処理は、網膜の特徴付けを含むこともある。いくつかの場合には、網膜の脈管構造特性を識別するために網膜画像の処理が使用されることがある。例えば、処理は、網膜画像内の血管を抽出して識別する血管セグメンテーションを含むこともある。血管は、網膜の血管と非血管領域との間の縁部に基づいてセグメント化することができる。処理は、血管枝および交差の識別を含むことがあり、これは、網膜内の血管枝が同じ網膜領域内で互いに接近または交差する場所を識別することを含むことがある。検出される他のパラメータには、血管形状;視神経乳頭の形状、位置、または中心;および中心窩の位置を含むことがある。他の網膜特徴部を使用することもできる。
【0061】
次いで、異なる網膜画像内の同一の特徴部を位置特定して合致させるために、血管枝および交差などの識別されたパラメータが、前もって取得されている網膜画像のパラメータと比較される。この比較に基づいて、追跡およびレジストレーション計算機は、異なる網膜画像の獲得間の時間に網膜が行った動きの数学的表現である変換行列を計算する。したがって、この変換行列は、2つの網膜画像間の網膜の位置の相違を数学的に表す。計算された追跡およびレジストレーションは、変換行列を適用して、顕微鏡の接眼レンズおよび/または別のディスプレイに表示されることがあるリアルタイム網膜画像上の選択された治療位置を調整する。
【0062】
図2は、単一の線240を示すが、画像200は複数の線を含んでいてもよい。さらに、これらの線は、ユーザによって、またはアルゴリズムに従って、任意の所望の向きで指定されることがある。例えば、いくつかの場合には、OCTデータを定義する線は、眼科外科処置中にリアルタイムで定義されることがある。上述したように、OCTデータは、撮像プローブ130を用いた外科処置中に取得されることがある。上で説明したように、撮像プローブ130は、顕微鏡140などの顕微鏡の一部を成していてよく、または別個のデバイスの一部を成していてもよい。他の場合には、OCTデータは、術前に決定されることもある。術前に取得されたOCTデータは、外科処置中に取得されたリアルタイム画像200とレジストレーションされることがある。したがって、術前に取得されたOCTデータは、OCTデータが表す網膜の部分と位置合わせされるように正確に位置される。さらに他の実装形態では、リアルタイムOCTと術前に取得されたOCTとの両方を一緒に使用することができる。
【0063】
線240に沿って取得された詳細
図230に示されるOCTデータを再び参照すると、カーソル250は、例えばユーザによって、線240に沿った任意の点に移動されることがある。ユーザは、レーザ光凝固治療が適用されることがある線240に沿った1つまたは複数の位置を選択することができる。例えば、
図2は、例示的な選択された治療位置260、270、および280を示す。3つの選択された治療位置が示されているが、追加のまたはより少数の選択された治療位置が存在してもよく、および/または選択されてもよい。選択された治療位置は、メモリ(
図1に示されるメモリ170など)に記憶されることがある。さらに、選択された治療位置の位置は、例えば眼球追跡デバイスの使用によって、網膜画像とレジストレーションされることもある。したがって、いくつかの場合には、外科医または他の医療専門家などのユーザが治療対象の網膜での1つまたは複数の位置を選択すると、それらの選択された位置がレジストレーションされ、患者の向き、眼の動き、顕微鏡の位置、ズームまたはフォーカスの設定、またはそれらの変更に関係なく、選択された位置に関連付けられたままである。
【0064】
他の実装形態では、選択される治療位置は、システム100によって自動的に選択することができる。例えば、いくつかの実装形態では、レーザ制御アプリケーション180または別のアクティブなアプリケーションは、ユーザからの入力なしに、網膜異常の疑いがある部分を検出するように動作可能なアルゴリズムを含むことがある。例えば、網膜異常は、網膜の1つまたは複数の画像の使用によって自動的に識別することができる。上で論じた例示的なアルゴリズムは、網膜異常を識別するためにOCT画像データを利用するが、網膜異常を検出するために他のタイプの画像データを使用することもできる。例えば、網膜の微小血管異常が、フルオレセイン血管造影やOCT血管造影画像などの血管造影画像に基づいて自動的に検出されることがある。いくつかの場合には、フラクタル解析に基づいて微小血管パターンおよび密度を定量化することができる。フラクタル解析は、画像のデータ密度を決定する数学的プロセスである。フラクタル解析は、データセットのフラクタル次元または他のフラクタル特性を解析するために使用される。例えば、画像に含まれるセグメント化された血管のフラクタル解析を行うことにより、血管密度情報を得ることができる。血管の存在は、上で論じた様式で決定することができる。
【0065】
フラクタル解析は、ボックスカウンティング法を使用することによって実現されることがある。ボックスカウンティングでは、網膜画像は、サイズが減少していく一連の正方形のボックスでオーバーレイされる。網膜血管の少なくとも1つの画素を含むボックスの数が計数される。ボックスの数とボックスのサイズとの間の最小二乗回帰曲線の傾きが、網膜の血管密度を表すフラクタル次元を生み出す。特定の値の血管密度が、特定のタイプの異常を表すことがある。さらに、異なる異常は、異なる血管密度値によって表されることがある。システム100は、検出された血管密度に基づいて網膜異常を自動的に識別することがある。例えば、いくつかの場合には、ルックアップテーブルを使用して異常を判断することができる。レーザ制御アプリケーション180など、システム100上で動作するアプリケーションは、1つまたは複数の異常タイプおよびその対応する血管密度値を含むことがあるルックアップテーブルを含むことがある。血管密度が網膜画像から決定されると、システムは、それに関連する網膜異常を自動的に予測することができる。いくつかの場合には、システム100は、以下でより詳細に説明するように治療位置を識別し、その治療位置に治療エネルギーを加えることによって、予測された異常を自動的に治療することがある。他の場合には、システム100は、予測された異常をユーザに提示し、さらなるユーザ入力を待機することがある。
【0066】
フラクタル解析は、その領域の血管密度またはパターンを表す領域フラクタル次元を生じることができる。説明したように、領域フラクタル次元は、血管異常を検出するためのパラメータとして使用されることがある。網膜異常を検出するために他の技法を使用することもできる。例えば、いくつかの場合には、異常な機能を有する網膜の位置を識別するために、例えば血管酸素飽和度、フルオレセイン血管造影データ、および3D OCT画像データが定量化されることがある。
【0067】
微小血管異常は、術前に獲得されたフルオレセイン血管造影(「FA」)画像を使用して検出されることがある。術前に獲得されたFA画像は、リアルタイム網膜画像とレジストレーションされ、リアルタイム網膜画像上にオーバーレイされることがある。レジストレーションされた術前に獲得されたFA画像を伴うリアルタイム網膜画像は、ディスプレイ150などのディスプレイ上に、または顕微鏡140の接眼レンズ145など顕微鏡の接眼レンズ内で提示される顕微鏡ビューに表示されることがある。リアルタイム網膜画像上にレジストレーションされた術前に獲得されたFA画像は、オーバーレイされたリアルタイム画像と表すこともできる。血管新生の領域は、オーバーレイされたリアルタイム網膜画像内の明るい領域として提示されることがある。血管新生の領域を識別するために、眼底FA信号の適応的閾値を使用することができる。
【0068】
閾値設定は、画像に含まれる物体を、やはりその画像に含まれる背景からセグメント化するための好都合な方法である。その背景が比較的均一である場合、グローバル閾値を使用して、画素強度によって画像を2値化することができる。したがって、グローバル閾値は、画像内の物体を背景と区別して識別するために画像全体にわたって適用される単一の閾値である。適応的閾値は、画像に適用される閾値が変化する閾値である。画像の背景強度に大きなばらつきがある場合、適応的閾値設定(局所的または動的閾値設定としても知られている)は、より良好な結果を生み出すことがある。適応的閾値設定は、各画素または画素群を取り囲む画像領域内の閾値を計算する。これらの領域は、「局所近傍」と呼ばれることもある。特定の画素に適用される閾値は、局所近傍の加重平均からオフセット値を引いた値であり、適応的閾値と呼ばれることがある。一般に、オフセット値は、予め設定された数値である。オフセット値は、より良いセグメンテーション結果のために最終的な閾値を調整および微調整する融通性を与える。画素に関連する値を適応的閾値と比較して、網膜の特性に関する有用な情報を決定し、網膜の画像内の物体を識別することができる。
【0069】
本明細書で述べる技法を使用して識別されることがある網膜の別の特性は、毛細血管の無灌流である。毛細血管の無灌流領域は、画像内の周囲の組織に比べて暗いまたはさらには黒色の領域として提示されることがある。面積平均信号強度の閾値を使用して、毛細血管の無灌流領域を識別することができる。すなわち、測定された平均信号強度が毛細血管の無灌流領域の存在を示すかどうかを判断するために、平均信号強度の閾値を利用することができる。いくつかの場合には、この閾値は適応的閾値でよい。いくつかの場合には、閾値はグローバル閾値でよい。識別された血管新生または毛細血管の無灌流領域に基づいて、血管に関する異常マップを作成することができる。
【0070】
別の実装形態では、微小血管異常検出アルゴリズムは、3D OCT画像に基づくことがある。3D OCT情報に基づいて、全3D網膜脈管網を再構成することができる。次いで、微小血管パターンおよび密度は、その領域の血管密度および血管異常を特徴付ける領域フラクタル次元を生成するフラクタル解析に基づいて定量化される。
【0071】
例示的な異常としては、静脈閉塞、黄斑浮腫、微小血管異常、網膜裂孔および裂傷、眼腫瘍などを挙げることができる。したがって、システム100は、網膜異常の疑いがある部分を識別し、網膜異常の疑いがある部分に関して1つまたは複数の選択された治療位置を選択するように動作可能でよい。システム100などのシステムによって自動的に識別された治療位置は、さらなる治療オプションのさらなる作成の前の閲覧および/または修正のために、外科医などのユーザに提示されてもよい。
【0072】
システム100などのレーザ光凝固システムによって自動的に識別される選択される治療位置は、1つまたは複数の因子または入力に依存することがある。例えば、システムは、受信された網膜情報を治療計画アルゴリズムに入力することがある。治療計画アルゴリズムは、受信された網膜データによって示唆される病理学的問題または異常を返すことができる。識別された病理学的問題または異常に基づいて、治療計画アルゴリズムは、例えば光凝固治療エネルギーを受けるように1つまたは複数の治療位置を選択することによって治療計画を提案する。例えば、網膜裂孔または裂傷が治療計画アルゴリズムによって識別される場合、1つまたは複数の治療位置が、リアルタイム網膜画像などの網膜画像とレジストレーションして網膜画像上に示されることがある。網膜裂孔または裂傷の場合、選択された治療位置は、裂孔または裂傷を取り囲むように配置されることがある。微細動脈瘤の場合、治療計画アルゴリズムによって自動的に選択される1つまたは複数の治療位置は、微細動脈瘤が識別された網膜の位置に直接位置されることがある。
【0073】
いくつかの場合には、システムは、治療が適用される前に自動的に選択された治療位置が許容できるものであることを確認するようにユーザに促す。他の場合には、治療計画アルゴリズムによる選択された治療位置の決定後、ユーザからの入力なしに治療が自動的に適用されることがある。
【0074】
他のタイプの処置を行うために治療位置が選択されることもある。例えば、網膜復位術を行うために1つまたは複数の治療位置が選択されることがある。網膜復位術処置は、レーザエネルギーを網膜上のある位置に印加して、網膜を眼の後部に付着させる焼灼部を形成することを含む。網膜復位術は、様々な形で行われる。例えば、網膜復位術は、網膜での選択された経路に沿って(例えばレーザを連続的に発射することによって)レーザエネルギーを連続的に印加することを含むことがある。
図10および11は、網膜復位術処置が実施される網膜の一部分を示す。
【0075】
網膜復位術の選択される経路は、所望の長さを有することがある。また、経路は、少なくとも一部、円弧状もしくは直線状でよく、または任意の所望の形状を有することができる。
図10および11に示されるように、それぞれ網膜1010および1110に沿った経路1000および1100は、概して湾曲形状を有する。他の場合には、網膜復位術が所望の経路に沿って定められることがあるが、レーザは、経路の1つまたは複数の部分のみに沿って発射されることがある。例えば、所望の経路に関して、選択された長さにわたってレーザ焼灼部が形成されることがあり、経路の別の長さは影響を受けない(すなわちレーザエネルギーがそこに印加されない)ことがあり、経路の別の部分にはやはりレーザエネルギーが印加されて網膜焼灼部が形成されることがある。
図11に示される経路1100は、このタイプの治療を示す。経路1100は、治療されない部分またはギャップ1130によって分離された複数のレーザ焼灼部1120を含む。したがって、任意の選択された経路に関して、経路の1つまたは複数の部分が、所望の長さにわたって網膜焼灼部が形成されるように選択されることがあり、治療されない部分(すなわち、レーザエネルギーで治療されず、したがって焼灼されない部分)も、任意の所望の長さを有することがある。さらに、選択された経路に関して、網膜焼灼を受けるように指定される各部分は、網膜焼灼を受けるように指定される任意の他の部分とは無関係に、任意の所望の長さを有するように選択することができる。したがって、いくつかの場合には、治療すべき経路の1つまたは複数の部分が異なる長さを有することがある。他の場合には、治療すべき経路の1つまたは複数の部分が同じ長さを有することもある。同様に、治療しない経路部分(例えば、治療すべき経路部分の間に位置された経路部分)も任意の所望の長さを有していてよい。したがって、いくつかの場合には、経路の1つまたは複数の治療されない部分が異なる長さを有することがある。他の場合には、経路の1つまたは複数の治療されない部分が同じ長さを有することもある。
【0076】
本開示の範囲内にある1つの特定の非限定的な例示的な網膜復位術は、360°予防的網膜復位術である。360°予防的網膜復位術は、網膜またはその一部の全周に360°の網膜焼灼部を形成することを含む。360°予防的網膜復位術は、予防手段として実施されることがある。いくつかの場合には、眼科医などの医療専門家が、網膜の問題が生じるおそれがあるまたは生じる可能性が高いと考えた場合に、網膜の問題が生じる前に眼の後部に網膜を付着するために、別の眼科外科処置中に360°予防的網膜復位術が行われることがある。このタイプの予防手段は、後で眼に再進入する必要性をなくすために、眼科外科処置中に行われることがある。360°予防的網膜復位術が行われる選択される経路は、連続的でよく、または上で説明したように、1つまたは複数の治療される長さが1つまたは複数の治療されない長さによって分離されてもよい。さらに、予防的網膜復位術は、360°の経路に沿って形成される必要はない。経路は、360度未満でも、360度よりも大きくてもよい。さらに、経路の始点が経路の終点と同じである必要はない。
【0077】
網膜復位術のための経路、および/または経路に沿った治療すべき位置の識別は、本明細書で述べる様々な様式で決定されることがある。さらに、経路へのレーザエネルギーの印加も、本明細書に開示されている様々な様式で適用されることがある。
【0078】
治療対象の網膜での1つまたは複数の位置を検出するように動作可能なアルゴリズムは、検出された網膜異常を治療するためにレーザによって使用される1つまたは複数のレーザパラメータを決定するように動作可能でもよい。例えば、アルゴリズムは、選択された治療位置のそれぞれに印加すべきレーザ出力、選択された治療位置の1つまたは複数にレーザエネルギーが印加される持続時間、治療すべき選択された治療位置のサイズ、治療から除外すべき位置、および他のパラメータを決定するように動作可能でよい。
【0079】
選択された治療位置の数およびサイズ、レーザ出力、ならびに任意の他のレーザパラメータなどの選択されたパラメータは、例えば、検出された網膜異常のタイプ、異常のサイズ、異常の重篤性、および/または任意の他の基準に基づいて自動的に決定されることがある。網膜異常の治療に関連する治療位置および他のレーザパラメータの選択は、アルゴリズムによって自動的に決定されるか、ユーザによって手動で決定されるかに関わらず、少なくとも一部は治療計画を定義する。アルゴリズムは、例えば、処置の有効性を改良し、処置の時間を短縮し、細胞壊死および視力喪失を最小限に抑え、発熱を減少するようにレーザパラメータを選択することによって、治療計画を最適化する。ユーザは、レーザ光凝固治療の適用前に、治療計画、特にアルゴリズムによって生成された治療計画を閲覧および/または修正することができる。
【0080】
選択された位置にレーザ治療を正確に適用するために、治療計画が網膜210とレジストレーションされる。したがって、選択された位置260、270、および280などの選択された治療位置は、網膜210のリアルタイム画像とレジストレーションされ、それにより、レーザ光凝固治療が実施されるときに、治療が望まれる実際の位置がレーザビームによって照射される。レジストレーションは、例えば血管または黄斑など網膜特徴部を使用して視線追跡デバイスによって行われることがある。選択された治療位置の正確な位置決めは、網膜特徴部の位置および形状を参照して行うことができる。様々な視線追跡デバイスが当技術分野で知られている。
【0081】
選択された位置は、様々な様式で表すことができる。例えば、選択された治療位置260および270(白丸)は、選択されているがまだ治療されていない位置を表し、選択された治療位置280(黒丸)は、選択され、治療済みの位置を表す。この例は、治療されていない位置を白丸として示し、治療済みの位置を黒丸として示すが、これらのインジケータは例として提供されているにすぎない。治療済みの位置と、治療されていない位置とを任意の所望の様式で示すことができる。例えば、治療済みの位置を治療されていない位置から区別するために、任意の所望の形状、色、テキスト、または任意の他のタイプの標示を有するシンボルを使用することができる。
【0082】
図2は、レーザ標的標示290も示す。いくつかの場合には、レーザ標的標示は、網膜210から反射された光である。レーザ標的標示290を生成する反射光は、レーザ送達デバイス120から伝送されることがある。例えば、レーザ標的標示290を定めるためにレーザ送達デバイス120によって伝送される光は、レーザが発射された場合にレーザ送達デバイス120からのレーザが網膜210を照射する場所を識別する低エネルギー光でよい。いくつかの実装形態では、レーザ標的標示290は、レーザが網膜210を照射する位置を決定するためにユーザによって利用されることがある。いくつかの実装形態では、システム100は、例えばグラフィック認識技術または他の画像処理技法によって、レーザ標的標示290を自動的に認識することがある。例えば、プロセッサ160は、表示された網膜210の画像上で標的を識別することができるソフトウェアを利用することがある。
【0083】
他の実装形態では、レーザ標的標示290の網膜210での位置は、眼に対するレーザ送達デバイス120の位置の3次元データによって決定されることがある。網膜210でのレーザ標的標示290の位置は、例えば、網膜210の位置に対するレーザ送達デバイス120の長手方向軸および遠位端位置および/または軸の向きの追跡に基づいて決定されることがある。
【0084】
1つまたは複数の線(線240など)に沿って取得されたOCTデータ(または本明細書で論じられた、もしくは他の形で本開示の範囲内にある他のタイプのデータ)の使用により、選択された治療位置のマップまたはマトリックスが生成され、これは治療計画の一部を成す。
図8は、例示的な画像800を示す。画像800は、メインビュー810を含み、これは
図2に示されるメインビュー220と同様でよい。図示されていないが、画像800は、詳細
図230と同様の詳細図を含むこともある。この例では、
図8は、
図2に示されるのと同じ網膜210の部分を示す。
【0085】
また、画像800は、レーザ光凝固治療のための複数の選択された治療位置820および830も含む。選択される治療位置820および830はそれぞれ、
図2に関して上で説明したように選択されることがある。さらに、図示される例では、選択された治療位置820および830は、治療されていない位置である。これは、選択された治療位置820および830のそれぞれ関する標示に基づいて観察可能である。選択された治療位置820および830の集合、ならびに任意の他の所望の情報が、ヘッドアップディスプレイを形成する。ヘッドアップディスプレイは、リアルタイム網膜画像上へのデータのオーバーレイを形成する。さらに、いくつかの実装形態では、選択された治療位置820および830の場合など、ヘッドアップディスプレイに含まれる情報の少なくとも一部は、網膜210とレジストレーションされる。ヘッドアップディスプレイは、手術部位のリアルタイム画像と、定義された治療計画に関連する情報との両方を含む情報を好都合な形でユーザに開示する。さらに、このようにして情報を表示することは、治療を把握して手術部位を追跡するために外科医などのユーザが様々な情報ディスプレイを見る必要をなくす。この情報を単一の位置に含めることにより、ユーザは、目の前の作業への注意を保ち、外科処置の時間を短縮することもできる。また、この情報を含めることにより、治療済みの領域および治療されていない領域を記録し、治療計画の進行状況をユーザが追跡できるようにする手段も提供される。この機能は、例えば閾値下の光凝固設定が使用されるときに有用である。なぜなら、閾値下の光凝固の適用時、治療される組織は、視覚的に明瞭な標示を示さないからである。
【0086】
選択された治療位置に関連する情報の収集および記憶により、治療計画が記憶されているので、外科医が治療計画に関連する詳細を覚える必要をなくすことができる。これは、例えば、外科処置中に予期しない事態または緊急事態が発生した場合に有益である。外科医は、予期しない事態または緊急事態に対処し、その後、予期しない事態または緊急事態に対処するために外科医が逸脱した点から治療計画の実行を続けることができる。外科処置中にリアルタイムで治療計画を追跡すること(既に治療済みの治療位置と、まだ治療されていない治療位置との追跡を含むことがある)ができない場合、閾値下の治療は裸眼では見ることができないので、閾値下のレーザ治療の達成は不可能ではないにせよ難しい。
【0087】
選択された治療位置820は、異常840を治療するために位置されることがあり、選択された治療位置830は、別の異常850を治療するために位置されることがある。レーザ標的標示290も画像800内に存在する。ここでも、レーザ標的標示290は、治療レーザが発射された場合にレーザエネルギーが網膜210を照射する位置を識別する。
【0088】
いくつかの実装形態では、治療計画の実行は完全に自動化されることがある。例えば、いくつかの場合には、レーザ送達デバイス120の位置決めは、レーザ制御デバイス110によって制御されることがある。レーザ制御デバイス110は、
図8および9に示される選択された治療位置820および830など、選択された治療位置それぞれにレーザエネルギーを印加するために、レーザ送達デバイス120を移動させることがある。予めプログラムされた治療位置に結合された視線追跡機能を利用して、レーザ制御デバイス110は、選択された治療位置820および830それぞれにレーザ送達デバイス120を向け、それにより、レーザ標的標示290が、選択された治療位置の1つにオーバーレイするようにする。いくつかの場合には、視線追跡および画像処理は、レーザ標的標示290の観察に基づいてレーザを発射したときにレーザ照射が網膜210に当たる位置を決定する。
【0089】
選択された治療位置に(選択された治療位置とのレーザ標的標示290のレジストレーションなどによって)正確に照準が定められると、レーザ制御デバイス110は、選択された治療位置それぞれに関して決定された(やはり治療計画の一部を成す)所定のレーザパラメータに従って、レーザを発射する。1つの選択された治療位置にレーザ光凝固治療が適用された後、レーザ制御デバイス110は、体系的に、別の選択された治療位置に照準を定めて治療するようにレーザ送達デバイス120を向けることがある。さらに、選択された治療位置の治療が完了すると、システム100は、治療計画を更新する。治療計画への更新の一部として、システム100は、治療済みであることを示すために、選択された治療位置の視覚インジケータを変更することがある。いくつかの場合には、選択された治療位置が治療されたとき、その選択された治療位置のその後の治療が禁止されるように治療計画が更新されることがある。
【0090】
図8および9の例に示されるように、治療済みであることを反映する視覚インジケータは、黒丸である。例えば、
図9は、治療済みであることを示す黒丸のいくつかの選択された治療位置900と、治療がまだ行われていないことを示す白抜きのいくつかの他の選択された治療位置910とを示す。しかし、この目的のために、任意の視覚インジケータを使用することができる。特に、まだ治療を受けていない選択された治療位置の視覚インジケータと区別可能な任意の視覚インジケータを使用することができる。選択された治療位置が全て治療されると、システム100は、ユーザに標示を提供することがある。例えば、システム100は、聴覚標示、視覚表示、またはその両方を提供することがある。
【0091】
他の実装形態では、治療計画の実行は、ユーザ誘導型の半自動プロセスでもよい。特に、外科医などのユーザは、1つまたは複数の選択された治療位置と位置が合うようにレーザ送達デバイス120を操作することがある。選択された治療位置とレーザ送達デバイス120とが適切に位置合わせされると、システム100は、治療計画に従って所定のレーザパラメータで治療レーザ155を自動的に発射する。選択された治療位置とレーザ送達デバイス120との位置合わせは、画像処理および視線追跡を使用して決定されることがある。例えば、レーザ送達デバイス120が選択された治療位置と位置合わせされた時を決定するために、レーザ標的標示290の位置の追跡が利用されることがある。治療された後、治療計画が更新される。この更新は、治療済みであることを示すために、選択された治療位置に関するインジケータを変化させるまたは変更することを含むことがある。更新は、その選択された治療位置とレーザ送達デバイス120が再び位置合わせされたとしても、その位置のさらなる治療を禁止することを含むこともある。このタイプの安全措置は、治療位置が複数回治療されることを防止する。そのような治療計画は、ユーザ誘導型の半自動レジームと呼ばれることもある。このプロセスは、選択された治療位置が全て治療されるまで継続されることがある。
【0092】
治療計画に従って選択された治療位置を治療するさらなる様式は、完全に手動であり得る。すなわち、いくつかの実装形態では、ユーザは、例えば選択された治療位置にレーザ標的標示290を位置合わせすることによって、選択された治療位置にレーザ送達デバイス120を手動で位置合わせする。いくつかの場合には、システム100は、レーザ送達デバイス120が選択された治療位置と位置合わせされた時を示すことがある。次いで、ユーザは治療レーザ155を発射する。発射されると、例えばレーザ制御デバイス110を備えるシステム100は、治療計画のパラメータに合致するようにレーザの発射を制御する。選択された治療位置の治療が完了すると、治療計画が更新される。例えば、システム100は、特定の選択された治療位置が治療されたことに認識し、その位置のさらなる治療を防止し、治療済みであることを示すために選択された治療位置の標示を変更する。
【0093】
レーザ治療が適用された場所を視覚的に識別するのはユーザにとって困難であり得るので、本明細書で述べる様式のいずれかでレーザ治療を提供するためにシステム100を利用することは重要である。これは、例えば、適切な量のレーザエネルギーで治療された位置を、治療されていない位置と区別できないことがあるからである。したがって、レーザが発射されると、システム100(そのレーザ制御デバイス110など)は、治療計画に従ってレーザ照射の印加を制御して、改良された治療を提供し、どの位置が治療されておりどの位置が治療されていないかを記録する。これは、外科処置の安全性および有効性を改良する。
【0094】
図12は、組織を治療するための例示的な方法1200を示す。上で説明したように、眼組織の治療を参照して方法1200を述べるが、本開示の範囲はそれに限定されない。方法1200は、眼科学と眼科学以外の両方の任意の組織の治療に適用可能である。すなわち、方法1200は、眼科学以外の他の医療分野において、他のタイプの疾患を治療するために使用することもできる。さらに、上で説明したように、方法1200を含む本開示の範囲は、レーザ光凝固に限定されない。本明細書で述べる原理の使用は、他のタイプの治療と共に使用することもできる。したがって、これらの他の用途も本開示の範囲内である。
【0095】
ステップ1210で、組織が視覚化される。この例では、眼組織が視覚化される。視覚化は、視覚化された組織における異常を識別するように動作可能な多くの技法を用いて実施することができる。例えば、視覚化は、OCT、赤外線撮像、および網膜断層撮像を使用して実施されることがある。組織の異常を識別するために、他のタイプの視覚化を使用することもできる。
【0096】
いくつかの実装形態では、視覚化は、眼の外部にあるデバイスを使用して達成されることもある。視覚化は、任意の組織異常の存在を判断するために使用することができる組織の撮像データを取得することを含む。例えば、OCTの場合、OCTデータの形での撮像データが、眼の外部にあるOCTデバイスによって取得されることがある。特に、OCTデータは、OCT機能を有する上述した顕微鏡140などの顕微鏡から取得することができる。したがって、いくつかの場合には、OCTデータは、患者の眼の角膜および水晶体を通した眼組織の視覚化から取得される。いくつかの場合には、視覚化データは、眼に少なくとも一部挿入されたデバイスまたはプローブによって取得されることがある。このタイプの視覚化データを取得するために、撮像デバイス130などの撮像デバイスが使用されることがある。例えば、同様にOCTの場合、OCTプローブは、例えば網膜など、対象の眼組織のOCTデータを取得するために、眼に少なくとも一部挿入されることがある。
【0097】
さらに、いくつかの実装形態では、視覚化情報は手動で達成されることもある。例えば、いくつかの場合には、撮像データの少なくとも一部は、ユーザによる撮像デバイス(例えばOCTプローブ)の手動操作によって取得されることがある。ユーザは、撮像デバイスを案内し、1つまたは複数の所望の位置で撮像データを取得することができる。他の場合には、撮像データは、所定のアルゴリズムに従って自動的に取得されることがある。例えば、撮像デバイスは、組織の予め選択された領域からの撮像データを取得する所定のアルゴリズムを実行することによって撮像データを取得することがある。OCTの場合、撮像データは、組織の任意の所望の領域を十分にカバーするように、複数の走査線に沿って自動的に取得されることがある。次いで、手動で取得されるか自動で取得されるかに関わらず、撮像データが記憶されることもある。その後、記憶されたデータは、任意の異常の存在について分析されることがある。いくつかの場合には、撮像データはデジタル形式で記憶されることがある。
【0098】
ステップ1220で、組織の潜在的な異常を識別するために撮像データが使用される。例えば、潜在的な異常を識別するために、システム100などのシステムが使用されることがある。より詳細には、いくつかの場合には、アプリケーション(レーザ制御アプリケーション180と同様のアプリケーションなど)に含まれることがある1つまたは複数のアルゴリズムで動作する制御デバイス(レーザ制御デバイス110と同様でよい)が、潜在的な異常を識別するために使用されることがある。いくつかの実装形態では、取得された撮像データを分析し、1つまたは複数の異常が存在するかどうかを判断するために、1つまたは複数のアルゴリズムが使用されることがある。したがって、いくつかの実装形態では、異常の識別は、ユーザからの選択入力なしに電子的に実施されることがある。
【0099】
上で説明したアルゴリズムの1つまたは複数など、画像処理アルゴリズムを使用して、様々なタイプの異常の存在を判断することができる。上で説明したように、1つまたは複数の異常の存在を判断するために使用されることがある例示的な測定基準は、1つまたは複数の網膜層の厚さ、強度、強度勾配、位相、スペックルサイズ、血管密度、血流速度、酸素化、弾性、複屈折特性、サイズ、体積、凹度/凸度、および/または曲率半径を含む。例えば、網膜レーザ光凝固の場合、治療の候補である網膜の1つまたは複数の領域を決定するために、画像処理アルゴリズムが使用されることがある。組織の候補領域は、例えば静脈閉塞、黄斑浮腫、微小血管異常、網膜裂孔および裂傷、および眼腫瘍など、存在し得る様々な異常の検出によって識別されることがある。異常の位置は、識別され、例示的なシステム100のメモリデバイス170と同様のメモリデバイスなどに記憶されることがある。
【0100】
識別された異常の位置は、視線追跡デバイスおよび/またはアルゴリズムを使用して決定されることがある。視線追跡は、画像データと、データが得られた組織の正確な位置とのレジストレーションを可能にする。したがって、外科処置の治療段階中、識別された異常の位置は既知であり、それらの位置への正確な照準および治療の適用を容易にすることができる。例えば、いくつかの場合には、異常の位置は、組織のリアルタイム画像上に正確にオーバーレイされて、レーザ光凝固治療などの治療療法の正確な適用を可能にすることができる。
【0101】
1つまたは複数の異常の選択された治療位置のレジストレーションは、組織の特性または生理学的特性の識別を使用することによって達成されることがある。例えば、網膜の文脈では、網膜血管など網膜の特徴部が、網膜のリアルタイム画像に撮像データを正確にレジストレーションするために使用されることがある。
【0102】
ステップ1230で、所期の治療を達成するための治療計画が決定される。治療計画の決定は、治療対象の組織の位置、すなわち選択された治療位置の識別、選択された治療位置に適用すべき治療に関する治療パラメータの識別、および治療を行う順序の決定を含むことがある。また、治療計画は、例えば選択された治療位置が治療される順序など、他の態様を含むこともある。例示的なシステム100のプロセッサ160およびレーザ制御アプリケーション180など、アプリケーションを実行するプロセッサが、取得された撮像データに基づいて治療計画を決定するために使用されることがある。
【0103】
網膜レーザ光凝固の例では、治療計画は、レーザエネルギーが特定の選択された治療位置に印加される量および様式を制御するレーザパラメータの決定を含むことがある。例えば、レーザ光凝固に関する治療計画は、例えばレーザ出力、治療すべき位置の数、選択された治療位置の位置、選択された治療位置のサイズ、治療を回避すべき領域(「除外区域」)、および/またはある位置にレーザエネルギーが印加される期間などのパラメータを含むことがある。他のパラメータも決定することができる。
【0104】
いくつかの実装形態では、治療計画は、アルゴリズムに従って決定されることがある。いくつかの場合には、治療計画は、アルゴリズムのみによって決定されることがある。アルゴリズムは、例えば異常の種類、異常のサイズ、異常の位置に基づいて治療計画を決定することがある。治療計画を決定するために、他の特性を使用することもできる。レーザエネルギーを含む治療の場合、治療計画を作成するために利用されるアルゴリズムは、レーザパラメータを最適化し、処置の有効性を改良し、処置を実施するための時間量を最適化し、細胞壊死を制御および/または低減し、視力喪失をなくしまたは最小限に抑え、発熱を低減することができる。
【0105】
治療計画は、治療中の組織のリアルタイム画像上にオーバーレイされることがあるヘッドアップディスプレイの一部を成すことがある。また、治療計画は、治療計画のパラメータをリアルタイム画像に正確に適用することを可能にするレジストレーションデータを含むこともある。例えば、レジストレーションは、選択された治療位置をリアルタイム画像上に正確に位置させることを可能にする。その結果、正確な治療が組織に適用される。
【0106】
ステップ1240で、治療計画に従って治療が送達される。いくつかの実装形態では、治療計画の適用は完全に自動化されることがある。例えば、治療計画は、ユーザからの入力がほとんどまたは全くない状態で、治療デバイスによって排他的に送達されることがある。例えば、デバイスは、視線追跡機能を含むことがある。治療デバイスは、レジストレーション情報を含む治療計画を利用し、治療中の組織のリアルタイム画像上に治療計画をオーバーレイする。治療デバイスは、例えばレーザ送達デバイスなどの治療器具の位置を制御する。治療デバイスは、治療計画に従って治療を適用する。例えば、治療デバイスは、選択された各治療位置に関する所定のパラメータに従って、かつ治療計画によって確立された順序に従って、治療を適用する。治療計画は、例えばどの選択された治療位置が治療済みであり、どの治療位置がまだ治療されていないかを追跡することによって、処置が進行するときに更新されることがある。治療の終了時、例えば聴覚的および/または視覚的な通知によって、ユーザが通知を受けることがある。
【0107】
他の実装形態では、治療計画に従った治療の送達は、一部自動化されることがある。いくつかの場合には、ユーザは、治療送達デバイスまたは器具(例えばレーザ送達デバイス)を手動で照準させることができ、器具は、治療制御デバイスによって治療計画に従って治療を適用するように形成されることがある。例えば、治療制御デバイスは、治療送達デバイスが特定の選択された治療位置と位置合わせされた時を検出し、治療計画に従ってその治療位置に治療を自動的に適用するように動作可能でよい。したがって、ユーザが治療送達デバイスを手動で操作することができる一方で、治療計画の実際の実行は、治療制御デバイスによって達成される。選択された治療位置に対する治療送達デバイスの標的位置を監視するために、画像処理が利用されることがある。標的位置と選択された治療位置との位置合わせが行われると、治療の適用が自動的に行われることがある。
【0108】
さらに他の実装形態によれば、治療計画の適用は、実質的に手動で達成されることがある。例えば、ユーザが治療送達デバイスを案内することができ、治療送達デバイスが選択された治療位置と位置合わせされたときに、ユーザに通知が提供されることがある。次いで、ユーザは、選択された治療位置への治療の適用をトリガすることができる。しかし、治療の実際の適用は、治療制御デバイスによって制御される。
【0109】
図12は、組織を治療するための方法の一実装形態を示すが、組織を治療するための他の方法は、より少数の、追加の、および/または異なる操作構成を含むことがある。例えば、組織を治療するための別の例示的な方法は、閲覧または修正のために1つまたは複数の選択された治療位置をユーザに提示することをさらに要求することがある。別の例示的な方法は、閲覧または修正のためにユーザに治療計画を提示することを含むことがある。さらに他の場合には、別の例示的な方法は、治療対象の組織のリアルタイム画像を、治療計画のレジストレーションされた表現と共に表示することを含むことがある。表示された情報は、治療が進行するにつれて更新されることがある。例えば、選択された治療位置の治療後、その選択された治療位置の表現は、その選択された治療位置が治療済みであることを示すために視覚的にも治療計画内においても更新されることがある。
【0110】
本開示において多くの例を提示したが、本開示の範囲はそれに限定されない。上記の開示では、様々な修正、変更、および置換が企図されている。そのような変形は、本開示の範囲から逸脱することなく上記の開示に対して成すことができることを理解されたい。
【手続補正書】
【提出日】2023-03-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の治療位置で網膜組織の一部の3次元OCTの撮像データを受信するように適合されたOCT撮像デバイスと、
前記治療位置で前記網膜組織に治療を適用するように適合されたレーザ治療送達デバイスと、
治療制御デバイスと、
網膜特徴部を使用して、前記網膜組織に対して治療計画をレジストレーションする視線追跡デバイスと、
前記網膜組織に対してレジストレーションされた前記治療計画、及び、前記治療位置の視覚インジケータを表示するディスプレイと、
を備える手術最適化システムであって、
前記OCT撮像デバイスと前記レーザ治療送達デバイスとが、前記治療制御デバイスに結合され、前記治療制御デバイスが、
プロセッサを備え、前記プロセッサが、
前記受信された撮像データに基づいて前記網膜組織の異常の存在を自動的に識別し、
前記異常に基づき、治療パラメータを含む前記治療計画を自動的に決定し、
前記レーザ治療送達デバイスによって、前記治療計画に従って前記異常に対して治療を自律的に送達するように適合され、
治療前の前記治療位置に対応する前記視覚インジケータと、治療済みの前記治療位置に対応する前記視覚インジケータとが、区別可能であり、治療済みの前記治療位置でのその後の治療が禁止されるように前記治療計画が更新される、
手術最適化システム。
【外国語明細書】