(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023059934
(43)【公開日】2023-04-27
(54)【発明の名称】光学用ポリウレタン樹脂、ディスプレイパネル用カバー板、アイウェア材料、アイウェアレンズ、アイウェアフレーム、自動車内外装材用部品、および、光学用ポリウレタン樹脂の製造方法
(51)【国際特許分類】
C08G 18/65 20060101AFI20230420BHJP
C08G 18/32 20060101ALI20230420BHJP
C08G 18/75 20060101ALI20230420BHJP
G02B 1/04 20060101ALI20230420BHJP
G02C 7/00 20060101ALI20230420BHJP
【FI】
C08G18/65 011
C08G18/32 018
C08G18/75 010
G02B1/04
G02C7/00
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023025052
(22)【出願日】2023-02-21
(62)【分割の表示】P 2020522131の分割
【原出願日】2019-05-23
(31)【優先権主張番号】P 2018103190
(32)【優先日】2018-05-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000005887
【氏名又は名称】三井化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103517
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 寛之
(74)【代理人】
【識別番号】100149607
【弁理士】
【氏名又は名称】宇田 新一
(72)【発明者】
【氏名】篠原 直樹
(72)【発明者】
【氏名】景岡 正和
(72)【発明者】
【氏名】山崎 聡
(57)【要約】
【課題】外観、透明性、機械物性および耐久性を兼ね備える熱可塑性ポリウレタン樹脂、
光学用ポリウレタン樹脂、ディスプレイパネル用カバー板、アイウェア材料、アイウェア
レンズ、アイウェアフレーム、自動車内外装材用部品、および、熱可塑性ポリウレタン樹
脂の製造方法を提供する。
【解決手段】熱可塑性ポリウレタン樹脂は、イソシアネート基の総モル数に対して1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンのイソシアネート基を50モル%以上の割合で含有するポリイソシアネート成分と、マクロポリオール、イソソルビド、および、炭素数3~8の脂肪族ジオールを含むポリオール成分との反応生成物を含む。イソソルビドおよび脂肪族ジオールの総モル数に対して、イソソルビドの含有割合が60モル%以上95モル%以下である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
イソシアネート基の総モル数に対して1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンのイソシアネート基を50モル%以上の割合で含有するポリイソシアネート成分と、
マクロポリオール、イソソルビド、および、炭素数3~8の脂肪族ジオールを含むポリオール成分と
の反応生成物を含み、
前記イソソルビドおよび前記脂肪族ジオールの総モル数に対して、前記イソソルビドの含有割合が60モル%以上95モル%以下である
ことを特徴とする、熱可塑性ポリウレタン樹脂。
【請求項2】
前記1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンが、トランス-1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンを70モル%以上95モル%以下の割合で含有する
ことを特徴とする、請求項1に記載の熱可塑性ポリウレタン樹脂。
【請求項3】
前記脂肪族ジオールが、
炭素数3~5の直鎖状アルカンジオールおよび/または炭素数6~8の環状アルカンジオールである
ことを特徴とする、請求項1に記載の熱可塑性ポリウレタン樹脂。
【請求項4】
前記マクロポリオールが、数平均分子量600以上1300以下のポリオキシ直鎖状アルキレン(炭素数2~4)ポリオールを含む
ことを特徴とする、請求項1に記載の熱可塑性ポリウレタン樹脂。
【請求項5】
前記反応生成物100質量部に対して、亜リン酸系酸化防止剤を、0.1~0.8質量部の割合で含有する
ことを特徴とする、請求項1に記載の熱可塑性ポリウレタン樹脂。
【請求項6】
請求項1に記載の熱可塑性ポリウレタン樹脂を含む
ことを特徴とする、光学用ポリウレタン樹脂。
【請求項7】
スマートデバイスのディスプレイパネルのカバー板であり、
請求項6に記載の光学用ポリウレタン樹脂を含む
ことを特徴とする、ディスプレイパネル用カバー板。
【請求項8】
請求項1に記載の熱可塑性ポリウレタン樹脂を含む
ことを特徴とする、アイウェア材料。
【請求項9】
請求項8に記載のアイウェア材料を含む
ことを特徴とする、アイウェアレンズ。
【請求項10】
前記アイウェア材料を含むレンズ本体と、
前記レンズ本体の少なくとも一方面に形成されるハードコート層および/または反射防止層と
を備えることを特徴とする、請求項9に記載のアイウェアレンズ。
【請求項11】
請求項8に記載のアイウェア材料を含む
ことを特徴とする、アイウェアフレーム。
【請求項12】
請求項1に記載の熱可塑性ポリウレタン樹脂を含む
ことを特徴とする、自動車内外装材用部品。
【請求項13】
イソシアネート基の総モル数に対して1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンのイソシアネート基を50モル%以上の割合で含有するポリイソシアネート成分と、
マクロポリオールとを少なくとも反応させ、イソシアネート基末端プレポリマーを得るプレポリマー合成工程と、
前記イソシアネート基末端プレポリマーと、イソソルビド、および、炭素数3~8の脂肪族ジオールとを少なくとも反応および硬化させ、熱可塑性ポリウレタン樹脂を得る鎖伸長工程と
を備えることを特徴とする、熱可塑性ポリウレタン樹脂の製造方法。
【請求項14】
前記鎖伸長工程における硬化温度が、150℃以上240℃以下である
ことを特徴とする、請求項13に記載の熱可塑性ポリウレタン樹脂の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱可塑性ポリウレタン樹脂、光学用ポリウレタン樹脂、ディスプレイパネル用カバー板、アイウェア材料、アイウェアレンズ、アイウェアフレーム、自動車内外装材用部品、および、熱可塑性ポリウレタン樹脂の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
熱可塑性ポリウレタン樹脂(TPU)は、一般に、ポリイソシアネート、高分子量ポリオールおよび低分子量ポリオールの反応により得られるゴム弾性体であって、ポリイソシアネートおよび低分子量ポリオールの反応により形成されるハードセグメントと、ポリイソシアネートおよび高分子量ポリオールの反応により形成されるソフトセグメントとを備えている。このような熱可塑性ポリウレタン樹脂を溶融成形することにより、ポリウレタン樹脂からなる成形品を得ることができる。
【0003】
熱可塑性ポリウレタン樹脂として、より具体的には、例えば、4,4’-メチレンジフェニルジイソシアネートと、分子量1000のポリテトラメチレンエーテルグリコールと、イソソルビドと、ブタンジオールとを反応させて得られる熱可塑性ポリウレタンが、提案されている(例えば、特許文献2(実施例2A)参照。)。
【0004】
また、熱可塑性ポリウレタン樹脂として、例えば、1,3-および1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンと、シクロヘキサンジメタノール(CHDM-D)と、1,6-ヘキサンジオールと、ポリテトラメチレンエーテルグリコールとを反応させて得られる硬質熱可塑性ポリウレタンが、提案されている(例えば、特許文献1(実施例2)参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2017-519052号公報
【特許文献2】特表2010-528158号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一方、熱可塑性ポリウレタンの成形品は、用途に応じて各種物性が要求され、例えば、スマートデバイスのカバーなどの分野においては、外観、透明性、機械物性(硬度など)および耐久性(耐衝撃性、耐熱性、耐薬品性、耐溶剤性など)を兼ね備えることが要求される。
【0007】
しかし、特許文献1および2に記載の熱可塑性ポリウレタンは、外観、透明性、機械物性(硬度など)および耐久性(耐衝撃性、耐熱性、耐薬品性、耐溶剤性など)が十分ではない場合がある。
【0008】
本発明は、外観、透明性、機械物性および耐久性を兼ね備える熱可塑性ポリウレタン樹脂、光学用ポリウレタン樹脂、ディスプレイパネル用カバー板、アイウェア材料、アイウェアレンズ、アイウェアフレーム、自動車内外装材用部品、および、熱可塑性ポリウレタン樹脂の製造方法である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明[1]は、イソシアネート基の総モル数に対して1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンのイソシアネート基を50モル%以上の割合で含有するポリイソシアネート成分と、マクロポリオール、イソソルビド、および、炭素数3~8の脂肪族ジオールを含むポリオール成分との反応生成物を含み、前記イソソルビドおよび前記脂肪族ジオールの総モル数に対して、前記イソソルビドの含有割合が60モル%以上95モル%以下である、熱可塑性ポリウレタン樹脂を含んでいる。
【0010】
本発明[2]は、前記1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンが、トランス-1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンを70モル%以上95モル%以下の割合で含有する、上記[1]に記載の熱可塑性ポリウレタン樹脂を含んでいる。
【0011】
本発明[3]は、前記脂肪族ジオールが、炭素数3~5の直鎖状アルカンジオールおよび/または炭素数6~8の環状アルカンジオールである、上記[1]または[2]に記載の熱可塑性ポリウレタン樹脂を含んでいる。
【0012】
本発明[4]は、前記マクロポリオールが、数平均分子量600以上1300以下のポリオキシ直鎖状アルキレン(炭素数2~4)ポリオールを含む、上記[1]~[3]のいずれか一項に記載の熱可塑性ポリウレタン樹脂を含んでいる。
【0013】
本発明[5]は、前記反応生成物100質量部に対して、亜リン酸系酸化防止剤を、0.1~0.8質量部の割合で含有する、上記[1]~[4]のいずれか一項に記載の熱可塑性ポリウレタン樹脂を含んでいる。
【0014】
本発明[6]は、上記[1]~[5]のいずれか一項に記載の熱可塑性ポリウレタン樹脂を含む、光学用ポリウレタン樹脂を含んでいる。
【0015】
本発明[7]は、スマートデバイスのディスプレイパネルのカバー板であり、上記[6]に記載の光学用ポリウレタン樹脂を含む、ディスプレイパネル用カバー板を含んでいる。
【0016】
本発明[8]は、上記[1]~[5]のいずれか一項に記載の熱可塑性ポリウレタン樹脂を含む、アイウェア材料を含んでいる。
【0017】
本発明[9]は、上記[8]に記載のアイウェア材料を含む、アイウェアレンズを含んでいる。
【0018】
本発明[10]は、前記アイウェア材料を含むレンズ本体と、前記レンズ本体の少なくとも一方面に形成されるハードコート層および/または反射防止層とを備えることを特徴とする、上記[9]に記載のアイウェアレンズ。
【0019】
本発明[11]は、上記[8]に記載のアイウェア材料を含む、アイウェアフレームを含んでいる。
【0020】
本発明[12]は、上記[1]~[5]のいずれか一項に記載の熱可塑性ポリウレタン樹脂を含む、自動車内外装材用部品を含んでいる。
【0021】
本発明[13]は、イソシアネート基の総モル数に対して1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンのイソシアネート基を50モル%以上の割合で含有するポリイソシアネート成分と、マクロポリオールとを少なくとも反応させ、イソシアネート基末端プレポリマーを得るプレポリマー合成工程と、前記イソシアネート基末端プレポリマーと、イソソルビド、および、炭素数3~8の脂肪族ジオールとを少なくとも反応および硬化させ、熱可塑性ポリウレタン樹脂を得る鎖伸長工程とを備える、熱可塑性ポリウレタン樹脂の製造方法を含んでいる。
【0022】
本発明[14]は、前記鎖伸長工程における硬化温度が、150℃以上240℃以下である、上記[13]に記載の熱可塑性ポリウレタン樹脂の製造方法を含んでいる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の熱可塑性ポリウレタン樹脂、光学用ポリウレタン樹脂、ディスプレイパネル用カバー板、アイウェア材料、アイウェアレンズ、アイウェアフレームおよび自動車内外装材用部品は、原料成分として、所定割合の1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンと、マクロポリオールと、所定割合の炭素数3~8の脂肪族ジオールおよびイソソルビドとを含有しているため、外観、透明性、機械物性および耐久性を兼ね備える。
【0024】
また、本発明の熱可塑性ポリウレタン樹脂の製造方法によれば、外観、透明性、機械物性および耐久性を兼ね備える熱可塑性ポリウレタン樹脂を、簡易に得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の熱可塑性ポリウレタン樹脂は、ポリイソシアネート成分とポリオール成分とを含む原料成分を、反応(後述)させることによって得られる。
【0026】
換言すれば、熱可塑性ポリウレタン樹脂は、ポリイソシアネート成分とポリオール成分との反応生成物を、主成分として含んでいる。なお、主成分とは、熱可塑性ポリウレタン樹脂(熱可塑性ポリウレタン樹脂組成物)の総量に対して、例えば、90質量%以上、好ましくは、95質量%以上を占めることを示す。
【0027】
ポリイソシアネート成分は、必須成分として、1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(1,4-H6XDI)を含有している。
【0028】
より具体的には、ポリイソシアネート成分は、イソシアネート基の総モル数に対して、1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンのイソシアネート基を、50モル%以上、好ましくは、70モル%以上、より好ましくは、80モル%以上、さらに好ましくは、90モル%以上、とりわけ好ましくは、100モル%含有している。
【0029】
1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンには、シス-1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(以下、シス1,4体とする。)、および、トランス-,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(以下、トランス1,4体とする。)の立体異性体がある。
【0030】
本発明では、1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンは、トランス1,4体を、例えば、60モル%以上、好ましくは、70モル%以上、より好ましくは、80モル%以上、さらに好ましくは、85モル%以上、例えば、99.8モル%以下、好ましくは、99モル%以下、より好ましくは、95モル%以下、さらに好ましくは、90モル%以下の割合で、含有している。
【0031】
また、トランス1,4体およびシス1,4体の総量が100モル%である。
【0032】
すなわち、1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンは、シス1,4体を、例えば、0.2モル%以上、好ましくは、1モル%以上、より好ましくは、5モル%以上、さらに好ましくは、10モル%以上、例えば、40モル%以下、好ましくは、30モル%以下、より好ましくは、20モル%以下、さらに好ましくは、15モル%以下の割合で、含有している。
【0033】
トランス1,4体の含有割合が上記範囲であれば、透明性、機械物性および耐久性の向上を図ることができる。
【0034】
1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンは、例えば、国際公開WO2009/051114パンフレットに記載の方法などにより、製造することができる。
【0035】
また、1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンは、本発明の優れた効果を阻害しない範囲において、変性体として調製することもできる。
【0036】
1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンの変性体としては、例えば、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンの多量体(ダイマー(例えば、ウレトジオン変性体など)、トリマー(例えば、イソシアヌレート変性体、イミノオキサジアジンジオン変性体など)など)、ビウレット変性体(例えば、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンと水との反応により生成するビウレット変性体など)、アロファネート変性体(例えば、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンと1価アルコールまたは2価アルコールとの反応より生成するアロファネート変性体など)、ポリオール変性体(例えば、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンと3価アルコールとの反応より生成するポリオール変性体(付加体)など)、オキサジアジントリオン変性体(例えば、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンと炭酸ガスとの反応により生成するオキサジアジントリオンなど)、カルボジイミド変性体(例えば、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンの脱炭酸縮合反応により生成するカルボジイミド変性体など)などが挙げられる。
【0037】
また、ポリイソシアネート成分は、本発明の優れた効果を阻害しない範囲で、その他のポリイソシアネートを、任意成分として含有することができる。
【0038】
その他のポリイソシアネートとしては、例えば、脂肪族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネートなどが挙げられる。
【0039】
脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、エチレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート(PDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、オクタメチレンジイソシアネート、ノナメチレンジイソシアネート、2,2’-ジメチルペンタンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、ブテンジイソシアネート、1,3-ブタジエン-1,4-ジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,6,11-ウンデカメチレントリイソシアネート、1,3,6-ヘキサメチレントリイソシアネート、1,8-ジイソシアネート-4-イソシアナトメチルオクタン、2,5,7-トリメチル-1,8-ジイソシアネート-5-イソシアナトメチルオクタン、ビス(イソシアナトエチル)カーボネート、ビス(イソシアナトエチル)エーテル、1,4-ブチレングリコールジプロピルエーテル-ω、ω’-ジイソシアネート、リジンイソシアナトメチルエステル、リジントリイソシアネート、2-イソシアナトエチル-2,6-ジイソシアネートヘキサノエート、2-イソシアナトプロピル-2,6-ジイソシアネートヘキサノエート、ビス(4-イソシアネート-n-ブチリデン)ペンタエリスリトール、2,6-ジイソシアネートメチルカプロエートなどが挙げられる。
【0040】
また、脂肪族ポリイソシアネートには、脂環族ポリイソシアネート(1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンを除く。)が含まれる。
【0041】
脂環族ポリイソシアネート(1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンを除く。)としては、例えば、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、トランス,トランス-、トランス,シス-、およびシス,シス-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートおよびこれらの混合物(H12MDI)、1,3-または1,4-シクロヘキサンジイソシアネートおよびこれらの混合物、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(1,3-H6XDI)、1,3-または1,4-ビス(イソシアナトエチル)シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、2,2’-ジメチルジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、2,5-ジイソシアナトメチルビシクロ〔2,2,1〕-ヘプタン、その異性体である2,6-ジイソシアナトメチルビシクロ〔2,2,1〕-ヘプタン(NBDI)、2-イソシアナトメチル2-(3-イソシアナトプロピル)-5-イソシアナトメチルビシクロ-〔2,2,1〕-ヘプタン、2-イソシアナトメチル-2-(3-イソシアナトプロピル)-6-イソシアナトメチルビシクロ-〔2,2,1〕-ヘプタン、2-イソシアナトメチル3-(3-イソシアナトプロピル)-5-(2-イソシアナトエチル)-ビシクロ-〔2,2,1〕-ヘプタン、2-イソシアナトメチル3-(3-イソシアナトプロピル)-6-(2-イソシアナトエチル)-ビシクロ-〔2,2,1〕-ヘプタン、2-イソシアナトメチル2-(3-イソシアナトプロピル)-5-(2-イソシアナトエチル)-ビシクロ-〔2,2,1〕-ヘプタン、2-イソシアナトメチル2-(3-イソシアナトプロピル)-6-(2-イソシアナトエチル)-ビシクロ-〔2,2,1〕-ヘプタンなどが挙げられる。
【0042】
芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、2,4-トリレンジイソシアネートおよび2,6-トリレンジイソシアネート、ならびに、これらトリレンジイソシアネートの異性体混合物(TDI)、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートおよび2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネート、ならびに、これらジフェニルメタンジイソシアネートの任意の異性体混合物(MDI)、トルイジンジイソシアネート(TODI)、パラフェニレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート(NDI)などが挙げられる。
【0043】
芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、1,3-または1,4-キシリレンジイソシアネートもしくはその混合物(XDI)、1,3-または1,4-テトラメチルキシリレンジイソシアネートもしくはその混合物(TMXDI)などが挙げられる。
【0044】
これらその他のポリイソシアネートは、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0045】
また、その他のポリイソシアネートは、本発明の優れた効果を阻害しない範囲において、変性体として調製することもできる。
【0046】
その他のポリイソシアネートの変性体としては、例えば、その他のポリイソシアネートの多量体(ダイマー、トリマーなど)、ビウレット変性体、アロファネート変性体、ポリオール変性体、オキサジアジントリオン変性体、カルボジイミド変性体などが挙げられる。
【0047】
その他のポリイソシアネート(すなわち、1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンと併用できるポリイソシアネート)として、好ましくは、脂肪族ポリイソシアネートおよび(脂環族ポリイソシアネートを含む。)が挙げられ、より好ましくは、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ジイソシアナトメチルビシクロ〔2,2,1〕-ヘプタンが挙げられ、さらに好ましくは、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ジイソシアナトメチルビシクロ〔2,2,1〕-ヘプタンが挙げられ、とりわけ好ましくは、ヘキサメチレンジイソシアネートが挙げられる。
【0048】
その他のポリイソシアネートの含有割合は、ポリイソシアネート成分の総量に対して、例えば、50質量%以下、好ましくは、30質量%以下、より好ましくは、20質量%以下である。
【0049】
また、ポリイソシアネート成分のイソシアネート基の総モル数に対して、その他のポリイソシアネートのイソシアネート基の割合が、例えば、50モル%以下、好ましくは、30モル%以下、より好ましくは、20モル%以下、さらに好ましくは、10モル%以下、とりわけ好ましくは、0モル%である。
【0050】
ポリイソシアネート成分として、とりわけ好ましくは、1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンを単独で用いる。
【0051】
本発明において、ポリオール成分は、分子中に水酸基を2つ以上含有する化合物を含有する組成物であり、具体的には、ポリオール成分は、マクロポリオールと、イソソルビドと、炭素数3~8の脂肪族ジオールとを含有し、好ましくは、マクロポリオールと、イソソルビドと、炭素数3~8の脂肪族ジオールとからなる。
【0052】
マクロポリオールは、水酸基を2つ以上有し、数平均分子量400以上、好ましくは、500以上の有機化合物(重合物)であって、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリウレタンポリオール、エポキシポリオール、植物油ポリオール、ポリオレフィンポリオール、アクリルポリオール、ビニルモノマー変性ポリオールなどが挙げられ、好ましくは、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオールが挙げられる。
【0053】
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリオキシ直鎖状アルキレン(炭素数2~4)ポリオール、ポリオキシ分岐鎖状アルキレン(炭素数3~4)ポリオール、ポリオキシ直鎖・分岐鎖状アルキレン(炭素数2~4)ポリオールなどが挙げられる。
【0054】
ポリオキシ直鎖状アルキレン(炭素数2~4)ポリオールは、直鎖状オキシアルキレン単位を有し、分岐鎖状オキシアルキレン単位を有さず、かつ、オキシアルキレン単位の炭素数が2~4であるポリオキシアルキレンポリオールである。
【0055】
より具体的には、ポリオキシ直鎖状アルキレン(炭素数2~4)ポリオールとしては、例えば、ポリオキシエチレンポリオール、ポリトリメチレンエーテルグリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなどが挙げられる。
【0056】
ポリオキシエチレンポリオールは、例えば、低分子量ポリオールや、公知の低分子量ポリアミンなどを開始剤とする、エチレンオキサイドの付加重合物が挙げられる。
【0057】
低分子量ポリオールとしては、例えば、分子中に水酸基を2つ以上有し、分子量50以上400未満、好ましくは、300以下の有機化合物が挙げられる。
【0058】
低分子量ポリオールとして、具体的には、例えば、1,2-エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,2-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2,2,2-トリメチルペンタンジオール、3,3-ジメチロールヘプタン、アルカン(C7~20)ジオール、1,3-または1,4-シクロヘキサンジメタノールおよびそれらの混合物、1,3-または1,4-シクロヘキサンジオールおよびそれらの混合物、水素化ビスフェノールA、1,4-ジヒドロキシ-2-ブテン、2,6-ジメチル-1-オクテン-3,8-ジオール、ビスフェノールA、炭素数4~6のエーテルジオール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコールなど)などの2価アルコール、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリイソプロパノールアミンなどの3価アルコール、例えば、テトラメチロールメタン(ペンタエリスリトール)、ジグリセリンなどの4価アルコール、例えば、キシリトールなどの5価アルコール、例えば、ソルビトール、マンニトール、アリトール、イジトール、ダルシトール、アルトリトール、イノシトール、ジペンタエリスリトールなどの6価アルコール、例えば、ペルセイトールなどの7価アルコール、例えば、ショ糖などの8価アルコールなどが挙げられる。
【0059】
これら低分子量ポリオールは、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0060】
低分子量ポリオールとして、好ましくは、2価アルコール、3価アルコールが挙げられ、より好ましくは、2価アルコールが挙げられる。
【0061】
このようなポリオキシエチレンポリオールとして、具体的には、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシエチレントリオールなどが挙げられ、好ましくは、ポリオキシエチレングリコールが挙げられる。
【0062】
ポリトリメチレンエーテルグリコールとしては、例えば、植物成分由来の1,3-プロパンジオールの重縮合反応により得られるグリコールなどが挙げられる。
【0063】
ポリテトラメチレンエーテルポリオールとしては、例えば、テトラヒドロフランのカチオン重合により得られる開環重合物(ポリテトラメチレンエーテルグリコール(結晶性))や、テトラヒドロフランなどの重合単位に、アルキル置換テトラヒドロフランや、上記した2価アルコールを共重合した非晶性(非結晶性)ポリテトラメチレンエーテルグリコールなどが挙げられる。
【0064】
ポリオキシ分岐鎖状アルキレン(炭素数3~4)ポリオールは、分岐鎖状オキシアルキレン単位を有し、直鎖状オキシアルキレン単位を有さず、かつ、オキシアルキレン単位の炭素数が3~4であるポリオキシアルキレンポリオールである。
【0065】
より具体的には、ポリオキシ分岐鎖状アルキレン(炭素数3~4)ポリオールとしては、例えば、上記の低分子量ポリオールや、公知の低分子量ポリアミンなどを開始剤とする、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドの付加重合物が挙げられる。
【0066】
換言すれば、ポリオキシ分岐鎖状アルキレン(炭素数3~4)ポリオールとしては、ポリオキシプロピレンポリオール(ポリオキシ-1,2-プロピレンポリオール)、ポリオキシブチレンポリオール(ポリオキシ-1,2-または-1,3-ブチレンポリオール)などが挙げられる。ポリオキシ分岐鎖状アルキレン(炭素数3~4)ポリオールとして、好ましくは、ポリオキシプロピレンポリオールが挙げられる。
【0067】
ポリオキシ直鎖・分岐鎖状アルキレン(炭素数2~4)ポリオールは、直鎖状オキシアルキレン単位と、分岐鎖状オキシアルキレン単位とを併有し、かつ、オキシアルキレン単位の炭素数が2~4であるポリオキシアルキレンポリオールである。
【0068】
より具体的には、ポリオキシ直鎖・分岐鎖状アルキレン(炭素数2~4)ポリオールとしては、例えば、上記の低分子量ポリオールや、公知の低分子量ポリアミンなどを開始剤とする、プロピレンオキサイドとエチレンオキサイドとのランダムおよび/またはブロック共重合体などが挙げられる。
【0069】
これらポリエーテルポリオールは、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0070】
ポリエーテルポリオールとして、外観、機械物性および耐久性の観点から、好ましくは、ポリオキシ直鎖状アルキレン(炭素数2~4)ポリオールが挙げられ、より好ましくは、ポリオキシ直鎖状アルキレン(炭素数2~4)グリコールが挙げられ、さらに好ましくは、ポリトリメチレンエーテルグリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールが挙げられる。
【0071】
ポリエステルポリオールとしては、例えば、低分子量ポリオールと多塩基酸とを、公知の条件下、反応させて得られる重縮合物が挙げられる。
【0072】
低分子量ポリオールとしては、上記した低分子量ポリオールが挙げられ、好ましくは、2価アルコールが挙げられ、より好ましくは、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコールが挙げられる。
【0073】
多塩基酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、メチルコハク酸、グルタール酸、アジピン酸、1,1-ジメチル-1,3-ジカルボキシプロパン、3-メチル-3-エチルグルタール酸、アゼライン酸、セバシン酸などの飽和脂肪族ジカルボン酸(C11~13)、例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などの不飽和脂肪族ジカルボン酸、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トルエンジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、例えば、ヘキサヒドロフタル酸などの脂環族ジカルボン酸、例えば、ダイマー酸、水添ダイマー酸、ヘット酸などのその他のカルボン酸、および、それらカルボン酸から誘導される酸無水物、例えば、無水シュウ酸、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水2-アルキル(C12~C18)コハク酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水トリメリット酸、さらには、これらのカルボン酸などから誘導される酸ハライド、例えば、シュウ酸ジクロライド、アジピン酸ジクロライド、セバシン酸ジクロライドなどが挙げられる。
【0074】
これら多塩基酸は、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0075】
多塩基酸として、好ましくは、飽和脂肪族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、酸無水物が挙げられ、より好ましくは、アジピン酸、フタル酸、無水フタル酸が挙げられ、さらに好ましくは、アジピン酸が挙げられる。
【0076】
また、ポリエステルポリオールとして、例えば、植物由来のポリエステルポリオール、具体的には、上記した低分子量ポリオールを開始剤として、ヒドロキシル基含有植物油脂肪酸(例えば、リシノレイン酸を含有するひまし油脂肪酸、12-ヒドロキシステアリン酸を含有する水添ひまし油脂肪酸など)などのヒドロキシカルボン酸を、公知の条件下、縮合反応させて得られる植物油系ポリエステルポリオールなども挙げられる。
【0077】
また、ポリエステルポリオールとして、例えば、上記した低分子量ポリオール(好ましくは、2価アルコール)を開始剤として、例えば、ε-カプロラクトン、γ-バレロラクトンなどのラクトン類や、例えば、L-ラクチド、D-ラクチドなどのラクチド類などを開環重合して得られる、ポリカプロラクトンポリオール、ポリバレロラクトンポリオール、さらには、それらに上記2価アルコールを共重合したアルコール変性ラクトンポリオールなどの、ラクトンベースポリエステルポリオールなどが挙げられる。
【0078】
これらポリエステルポリオールは、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0079】
ポリエステルポリオールとして、好ましくは、ラクトンベースポリエステルポリオール、より好ましくは、ポリカプロラクトンポリオールが挙げられる。
【0080】
ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、上記した低分子量ポリオール(好ましくは、上記2価アルコール)を開始剤とするエチレンカーボネートの開環重合物(結晶性ポリカーボネートポリオール)や、例えば、炭素数4~6の2価アルコールと、開環重合物とを共重合した非晶性ポリカーボネートポリオールなどが挙げられる。
【0081】
これらポリカーボネートポリオールは、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0082】
これらマクロポリオールは、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0083】
マクロポリオールとして、機械物性および耐久性の向上を図る観点から、好ましくは、ポリエーテルポリオールが挙げられ、より好ましくは、ポリオキシ直鎖状アルキレン(炭素数2~4)ポリオールが挙げられ、さらに好ましくは、ポリオキシ直鎖状アルキレン(炭素数2~4)グリコールが挙げられ、とりわけ好ましくは、ポリトリメチレンエーテルグリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールが挙げられる。
【0084】
マクロポリオールの平均水酸基価(JIS K 1557-1(2007年)に準拠)は、例えば、10mgKOH/g以上、好ましくは、20mgKOH/g以上、より好ましくは、40mgKOH/g以上であり、例えば、500mgKOH/g以下、好ましくは、300mgKOH/g以下、より好ましくは、100mgKOH/g以下である。
【0085】
また、外観、機械物性および耐久性の観点から、マクロポリオールの数平均分子量(GPC測定によるポリスチレン換算分子量)は、400以上、好ましくは、500以上、より好ましくは、600以上、さらに好ましくは、800以上であり、例えば、5000以下、好ましくは、3000以下、より好ましくは、1300以下、さらに好ましくは、1200以下である。
【0086】
イソソルビドは、水酸基を2つ有する化合物(ジオール化合物)であって、具体的には、1,4:3,6-ジアンヒドログルシトール(別名1,4:3,6-ジアンヒドロソルビトール)である。
【0087】
イソソルビドは、公知の方法で製造することができ、また、市販品として入手することもできる。
【0088】
炭素数3~8の脂肪族ジオール(以下、C3~8脂肪族ジオールと称する場合がある。)は、炭素数3~8の炭化水素基と、2つの水酸基とを有する化合物であって、例えば、炭素数3~8の鎖状アルカンジオール、炭素数3~8の環状アルカンジオールなどが挙げられる。
【0089】
炭素数3~8の鎖状アルカンジオールとしては、例えば、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオールなどの炭素数3~8の直鎖状アルカンジオール、例えば、1,2-プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,2-ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2,2,2-トリメチルペンタンジオールなどの炭素数3~8の分岐鎖状アルカンジオールなどが挙げられる。
【0090】
これら炭素数3~8の鎖状アルカンジオールは、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0091】
炭素数3~8の鎖状アルカンジオールとして、耐久性の観点から、好ましくは、炭素数3~8の直鎖状アルカンジオールが挙げられ、より好ましくは、炭素数3~5の直鎖状アルカンジオールが挙げられる。
【0092】
炭素数3~8の環状アルカンジオールとしては、例えば、1,2-シクロプロパンジオール、1,2-または1,3-シクロブタンジオール、1,2-または1,3-シクロペンタンジオール、1,2-、1,3-または1,4-シクロヘキサンジオール、1,2-、1,3-または1,4-シクロヘプタンジオール、1,2-、1,3-、1,4-または1,5-シクロオクタンジオール、2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオールなどの総炭素数6~8の脂環状ジオール、例えば、1,2-シクロプロパンジメタノール、1,2-または1,3-シクロブタンジメタノール、1,2-または1,3-シクロペンタンジメタノール、1,2-、1,3-または1,4-シクロヘキサンジメタノールなどの総炭素数6~8の脂環状ジメタノール、例えば、1,2-シクロプロパンジエタノール、1,2-または1,3-シクロブタンジエタノールなどの総炭素数6~8の脂環状ジエタノールなどが挙げられる。
【0093】
炭素数3~8の環状アルカンジオールとして、好ましくは、炭素数6~8の環状アルカンジオールが挙げられ、より好ましくは、炭素数6~8の脂環状ジメタノールが挙げられる。
【0094】
これらC3~8脂肪族ジオールは、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0095】
なお、脂肪族ジオールとして、炭素数2の脂肪族ジオール(エチレングリコールなど)を用いると、外観および透明性に劣る。また、炭素数9以上の脂肪族ジオール(デカンジオールなど)を用いると、機械物性および耐久性に劣る。そのため、脂肪族ジオールとしては、炭素数3~8の脂肪族ジオールが用いられる。
【0096】
C3~8脂肪族ジオールとして、外観、透明性、機械物性および耐久性の観点から、好ましくは、炭素数3~5の直鎖状アルカンジオールおよび/または炭素数6~8の環状アルカンジオールが挙げられ、より好ましくは、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノールが挙げられ、さらに好ましくは、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオールが挙げられる。
【0097】
ポリオール成分において、高分子量ポリオール、イソソルビドおよびC3~8脂肪族ジオールの割合は、後述する反応当量比の範囲において、調整される。
【0098】
例えば、ポリオール成分の総量100質量部に対して、高分子量ポリオールの含有割合が、例えば、35質量部以上、好ましくは、45質量部以上であり、例えば、75質量部以下、好ましくは、65質量部以下であり、イソソルビドの含有割合が、例えば、20質量部以上、好ましくは、30質量部以上であり、例えば、55質量部以下、好ましくは、45質量部以下であり、C3~8脂肪族ジオールの含有割合が、例えば、2質量部以上、好ましくは、5質量部以上であり、例えば、30質量部以下、好ましくは、20質量部以下である。
【0099】
また、高分子量ポリオール100質量部に対して、イソソルビドの含有割合が、例えば、40質量部以上、好ましくは、50質量部以上であり、例えば、100質量部以下、好ましくは、90質量部以下である。
【0100】
また、高分子量ポリオール100質量部に対して、C3~8脂肪族ジオールの含有割合が、例えば、3質量部以上、好ましくは、5質量部以上であり、例えば、30質量部以下、好ましくは、20質量部以下である。
【0101】
また、高分子量ポリオール100モルに対して、イソソルビドの含有割合が、例えば、200モル以上、好ましくは、250モル以上であり、例えば、800モル以下、好ましくは、700モル以下である。また、C3~8脂肪族ジオールの含有割合が、例えば、30モル以上、好ましくは、50モル以上であり、例えば、350モル以下、好ましくは、250モル以下である。
【0102】
さらに、高分子量ポリオール100モルに対して、イソソルビドおよびC3~8脂肪族ジオールの合計割合が、例えば、230モル以上、好ましくは、300モル以上であり、例えば、1150モル以下、好ましくは、950モル以下である。
【0103】
そして、外観、透明性、機械物性および耐久性を兼ね備える観点から、イソソルビドおよびC3~8脂肪族ジオールの総モル数に対して、イソソルビドの含有割合が、60モル%以上、好ましくは、65モル%以上、より好ましくは、70モル%以上、さらに好ましくは、75モル%以上、とりわけ好ましくは、78モル%以上であり、95モル%以下、好ましくは、90モル%以下、より好ましくは、88モル%以下、さらに好ましくは、85モル%以下、とりわけ好ましくは、83モル%以下である。また、C3~8脂肪族ジオールの含有割合が、例えば、5モル%以上、好ましくは、10モル%以上、より好ましくは、12モル%以上、さらに好ましくは、15モル%以上、とりわけ好ましくは、17モル%以上であり、例えば、40モル%以下、好ましくは、35モル%以下、より好ましくは、30モル%以下、さらに好ましくは、25モル%以下、とりわけ好ましくは、22モル%以下である。
【0104】
質量基準では、イソソルビドおよびC3~8脂肪族ジオールの総質量に対して、イソソルビドの含有割合が、例えば、70質量%以上、好ましくは、75質量%以上、より好ましくは、78質量%以上、さらに好ましくは、80質量%以上であり、例えば、98質量%以下、好ましくは、93質量%以下、より好ましくは、90質量%以下、さらに好ましくは、88質量%以下である。また、C3~8脂肪族ジオールの含有割合が、例えば、2質量%以上、好ましくは、5質量%以上、より好ましくは、8質量%以上、さらに好ましくは、10質量%以上であり、例えば、30質量%以下、好ましくは、25質量%以下、より好ましくは、23質量%以下、さらに好ましくは、20質量%以下である。
【0105】
イソソルビドおよびC3~8脂肪族ジオールの割合が上記範囲であれば、外観、透明性、機械物性および耐久性を兼ね備える熱可塑性ポリウレタン樹脂を得ることができる。
【0106】
そして、熱可塑性ポリウレタン樹脂は、上記の原料成分を反応させることによって、製造される。原料成分の反応では、例えば、ワンショット法、プレポリマー法などの公知の方法が採用される。外観、透明性、機械物性および耐久性を向上させる観点から、好ましくは、プレポリマー法が採用される。
【0107】
プレポリマー法では、まず、ポリイソシアネート成分とマクロポリオールとを反応させて、イソシアネート末端プレポリマーを合成する(プレポリマー合成工程)。
【0108】
より具体的には、プレポリマー合成工程では、ポリイソシアネート成分と、マクロポリオールとを、例えば、バルク重合や溶液重合などの重合方法により反応させる。
【0109】
バルク重合では、例えば、窒素気流下において、ポリイソシアネート成分およびマクロポリオールを、反応温度が、例えば、50℃以上、例えば、250℃以下、好ましくは、200℃以下で、例えば、0.5時間以上、例えば、15時間以下反応させる。
【0110】
溶液重合では、有機溶剤に、ポリイソシアネート成分およびマクロポリオールを加えて、反応温度が、例えば、50℃以上、例えば、120℃以下、好ましくは、100℃以下で、例えば、0.5時間以上、例えば、15時間以下反応させる。
【0111】
有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、例えば、アセトニトリルなどのニトリル類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチルなどのアルキルエステル類、例えば、n-ヘキサン、n-ヘプタン、オクタンなどの脂肪族炭化水素類、例えば、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの脂環族炭化水素類、例えば、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素類、例えば、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、メチルカルビトールアセテート、エチルカルビトールアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート、エチル-3-エトキシプロピオネートなどのグリコールエーテルエステル類、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類、例えば、塩化メチル、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、臭化メチル、ヨウ化メチレン、ジクロロエタンなどのハロゲン化脂肪族炭化水素類、例えば、N-メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、N,N’-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホニルアミドなどの極性非プロトン類などが挙げられる。
【0112】
また、上記の重合反応では、必要に応じて、例えば、アミン類や有機金属化合物などの公知のウレタン化触媒を添加することができる。
【0113】
アミン類としては、例えば、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、ビス-(2-ジメチルアミノエチル)エーテル、N-メチルモルホリンなどの3級アミン類、例えば、テトラエチルヒドロキシルアンモニウムなどの4級アンモニウム塩、例えば、イミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾールなどのイミダゾール類などが挙げられる。
【0114】
有機金属化合物としては、例えば、酢酸錫、オクチル酸錫(オクチル酸第一スズ)、オレイン酸錫、ラウリル酸錫、ジブチル錫ジアセテート、ジメチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジメルカプチド、ジブチル錫マレエート、ジブチル錫ジネオデカノエート、ジオクチル錫ジメルカプチド、ジオクチル錫ジラウリレート、ジブチル錫ジクロリドなどの有機錫化合物、例えば、オクタン酸鉛、ナフテン酸鉛などの有機鉛化合物、例えば、ナフテン酸ニッケルなどの有機ニッケル化合物、例えば、ナフテン酸コバルトなどの有機コバルト化合物、例えば、オクテン酸銅などの有機銅化合物、例えば、オクタン酸ビスマス(オクチル酸ビスマス)、ネオデカン酸ビスマスなどの有機ビスマス化合物などが挙げられ、好ましくは、オクチル酸スズ、オクチル酸ビスマスが挙げられる。
【0115】
さらに、ウレタン化触媒として、例えば、炭酸カリウム、酢酸カリウム、オクチル酸カリウムなどのカリウム塩が挙げられる。
【0116】
これらウレタン化触媒は、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0117】
ウレタン化触媒の添加割合は、ポリイソシアネート成分およびマクロポリオールとの総量10000質量部に対して、例えば、0.001質量部以上、好ましくは、0.01質量部以上であり、例えば、1質量部以下、好ましくは、0.5質量部以下である。
【0118】
また、上記重合反応においては、未反応のポリイソシアネート成分や、有機溶剤を用いた場合には有機溶剤を、例えば、蒸留や抽出などの公知の除去手段により除去することができる。
【0119】
プレポリマー合成工程において、各成分の配合割合は、マクロポリオール中の水酸基に対する、ポリイソシアネート成分中のイソシアネート基の当量比(イソシアネート基/水酸基)として、例えば、1.3以上、好ましくは、1.5以上であり、例えば、20以下、好ましくは、15以下、より好ましくは、10以下、さらに好ましくは、8以下である。
【0120】
より具体的には、プレポリマー合成工程における各成分の配合割合は、マクロポリオール100質量部に対して、ポリイソシアネート成分が、例えば、10質量部以上、好ましくは、20質量部以上であり、例えば、200質量部以下、好ましくは、150質量部以下である。
【0121】
そして、この方法では、イソシアネート基含有率が、例えば、5.0質量%以上、より好ましくは、10.0質量%以上、例えば、30.0質量%以下、好ましくは、25.0質量%以下に達するまで上記成分を反応させる。これにより、イソシアネート基末端プレポリマーを得ることができる。
【0122】
なお、イソシアネート基含有量(イソシアネート基含有率)は、ジ-n-ブチルアミンによる滴定法や、FT-IR分析などの公知の方法によって求めることができる。
【0123】
次いで、この方法では、上記により得られたイソシアネート基末端プレポリマーと、イソソルビドおよびC3~8脂肪族ジオールとを鎖伸長反応(硬化反応)させて、ポリイソシアネート成分とポリオール成分との反応生成物を得る(鎖伸長工程)。
【0124】
すなわち、この方法において、イソソルビドおよびC3~8脂肪族ジオールは、鎖伸長剤である。
【0125】
そして、鎖伸長工程では、イソシアネート基末端プレポリマーと、イソソルビドおよびC3~8脂肪族ジオールとを、例えば、上記したバルク重合や上記した溶液重合などの重合方法により反応させる。
【0126】
鎖伸長工程において、各成分の配合割合は、イソソルビド中の水酸基およびC3~8脂肪族ジオール中の水酸基の総量に対する、イソシアネート基末端プレポリマー中のイソシアネート基の当量比(イソシアネート基/水酸基)として、例えば、0.75以上、好ましくは、0.9以上、例えば、1.3以下、好ましくは、1.1以下である。
【0127】
より具体的には、鎖伸長工程における各成分の配合割合は、イソシアネート基末端プレポリマー100質量部に対して、イソソルビドおよびC3~8脂肪族ジオールの総量が、例えば、1.0質量部以上、好ましくは、2.0質量部以上、より好ましくは、3.0質量部以上であり、例えば、50質量部以下、好ましくは、40質量部以下、より好ましくは、30質量部以下である。
【0128】
また、鎖伸長工程において、得られる熱可塑性ポリウレタン樹脂のハードセグメント濃度を調整するために、イソソルビドおよびC3~8脂肪族ジオールの他に、マクロポリオールを、適宜の割合で配合することもできる。
【0129】
さらに、この反応においては、必要に応じて、上記したウレタン化触媒を添加することができる。ウレタン化触媒は、イソシアネート基末端プレポリマー、イソソルビドおよび/またはC3~8脂肪族ジオールに配合することができ、また、それらの混合時に別途配合することもできる。
【0130】
また、鎖伸長工程における硬化温度(反応温度)は、例えば、室温(23℃)以上、好ましくは、100℃以上、より好ましくは、150℃以上であり、例えば、300℃以下、好ましくは、260℃以下、より好ましくは、240℃以下である。
【0131】
また、硬化時間(反応時間)が、例えば、30分以上、好ましくは、1時間以上、例えば、48時間以下、好ましくは、24時間以下である。
【0132】
硬化温度および硬化時間が上記範囲であれば、外観、透明性、機械物性および耐久性を兼ね備える熱可塑性ポリウレタン樹脂が得られる。
【0133】
また、鎖伸長工程では、必要に応じて、上記した硬化反応(一次加熱)の後、二次加熱して、反応を完結させることができる。
【0134】
二次加熱温度は、例えば、室温(23℃)以上、好ましくは、50℃以上、より好ましくは、80℃以上であり、例えば、200℃以下、好ましくは、160℃以下、より好ましくは、140℃以下である。
【0135】
また、二次加熱時間が、例えば、3時間以上、好ましくは、5時間以上、例えば、72時間以下、好ましくは、48時間以下である。
【0136】
このような二次加熱により、鎖伸長反応を完結させ、上記ポリイソシアネート成分および上記ポリオール成分の反応生成物を得ることができ、熱可塑性ポリウレタン樹脂を得ることができる。
【0137】
さらに、得られた熱可塑性ポリウレタン樹脂を、必要に応じて、例えば、室温(23℃)~40℃で、例えば、1~7日間、養生することもできる。
【0138】
そして、このような熱可塑性ポリウレタン樹脂は、原料成分として、所定割合の1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンと、マクロポリオールと、所定割合の炭素数3~8の脂肪族ジオールおよびイソソルビドとを含有しているため、外観、透明性、機械物性および耐久性を兼ね備える。
【0139】
また、上記の熱可塑性ポリウレタン樹脂の製造方法によれば、外観、透明性、機械物性および耐久性を兼ね備える熱可塑性ポリウレタン樹脂を、簡易に得ることができる。
【0140】
また、上記の反応生成物を得る方法として、ワンショット法を採用する場合には、ポリイソシアネート成分と、ポリオール成分(マクロポリオール、イソソルビドおよびC3~8脂肪族ジオールを含む)とを、ポリオール成分中の水酸基に対する、ポリイソシアネート成分中のイソシアネート基の当量比(イソシアネート基/水酸基)が、例えば、0.9以上、好ましくは、0.95以上、より好ましくは、0.98以上、例えば、1.2以下、好ましくは、1.1以下、より好ましくは、1.08以下となる割合で、同時に配合して撹拌混合する。
【0141】
また、この撹拌混合は、例えば、不活性ガス(例えば、窒素)雰囲気下、反応温度が、例えば、40℃以上、好ましくは、100℃以上、例えば、280℃以下、好ましくは、260℃以下で、反応時間が、例えば、30秒以上1時間以下で実施する。
【0142】
また、撹拌混合時には、必要により、上記したウレタン化触媒や有機溶剤を、適宜の割合で添加することができる。
【0143】
このような方法でも、上記ポリイソシアネート成分および上記ポリオール成分の反応生成物を得ることができ、熱可塑性ポリウレタン樹脂を得ることができる。
【0144】
また、熱可塑性ポリウレタン樹脂は、上記ポリイソシアネート成分および上記ポリオール成分の反応生成物の他、必要に応じて、亜リン酸系酸化防止剤を含むことができる。
【0145】
亜リン酸系酸化防止剤としては、例えば、トリフェニルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト、トリクレジルホスファイト、トリエチルホスファイト、トリス(2-エチルヘキシル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリス(トリデシル)ホスファイト、トリオレイルホスファイト、ジフェニルモノ(2-エチルヘキシル)ホスファイト、ジフェニルモノデシルホスファイト、ジフェニルモノ(トリデシル)ホスファイト、トリラウリルトリチオホスファイト、ジエチルハイドロゲンホスファイト、テトラフェニルジプロピレングリコールジホスファイト、テトラフェニル(テトラトリデシル)ペンタエリスリトールテトラホスファイト、フタル酸ビス(2-エチルヘキシル)、テトラ(C12~C15アルキル)-4,4’-イソプロピリデンジフェニルジホスファイト、ビス(トリデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(デシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(トリデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、トリステアリルホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、水添ビスフェノールA・ペンタエリスリトールホスファイトポリマー、水添ビスフェノールAホスファイトポリマーなどの亜リン酸エステル類などが挙げられる。
【0146】
これら亜リン酸系酸化防止剤は、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0147】
亜リン酸系酸化防止剤として、好ましくは、亜リン酸エステル類が挙げられ、より好ましくは、ビス(デシル)ペンタエリスリトールジホスファイトが挙げられる。
【0148】
亜リン酸系酸化防止剤は、例えば、上記ポリイソシアネート成分および/または上記ポリオール成分に添加されていてもよく、それらの配合時に同時に添加されていてもよく、さらに、それらの配合後に添加されていてもよい。
【0149】
亜リン酸系酸化防止剤の含有割合は、例えば、上記ポリイソシアネート成分と上記ポリオール成分との反応生成物100質量部に対して、亜リン酸系酸化防止剤が、例えば、0.05質量部以上、好ましくは、0.10質量部以上、より好ましくは、0.30質量部以上であり、例えば、2.0質量部以下、好ましくは、1.0質量部以下、より好ましくは、0.8質量部以下である。
【0150】
亜リン酸系酸化防止剤の含有割合が上記の範囲であれば、とりわけ、外観に優れ、また、透明性、機械物性および耐久性を兼ね備える熱可塑性ポリウレタン樹脂を得ることができる。
【0151】
また、原料成分は、必要に応じて、その他の公知の添加剤を含むことができる。そのような添加剤としては、例えば、耐熱安定剤、紫外線吸収剤、耐光安定剤、さらには、酸化防止剤(亜リン酸系酸化防止剤を除く。)、加水分解防止剤、可塑剤、ブロッキング防止剤、離型剤、顔料、染料、滑剤、フィラー、防錆剤、充填剤などを添加することができる。これら添加剤は、各成分の混合時、合成時または合成後に添加することができる。
【0152】
耐熱安定剤としては、特に制限されず、公知の耐熱安定剤(例えば、BASFジャパン製カタログに記載)が挙げられ、より具体的には、例えば、リン系加工熱安定剤、ラクトン系加工熱安定剤、イオウ系加工熱安定剤などが挙げられる。
【0153】
紫外線吸収剤としては、特に制限されず、公知の紫外線吸収剤(例えば、BASFジャパン製カタログに記載)が挙げられ、より具体的には、例えば、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤などが挙げられる。
【0154】
耐光安定剤としては、特に制限されず、公知の耐光安定剤(例えば、ADEKA製カタログに記載)が挙げられ、より具体的には、例えば、ベンゾエート系光安定剤、ヒンダードアミン系光安定剤などが挙げられる。
【0155】
これら添加剤の添加量は、目的および用途に応じて、適宜設定される。
【0156】
また、添加剤は、例えば、上記ポリイソシアネート成分および/または上記ポリオール成分に添加されていてもよく、それらの配合時に同時に添加されていてもよく、さらに、それらの配合後に添加されていてもよい。
【0157】
そして、このような熱可塑性ポリウレタン樹脂は、公知の成形方法により成形されることにより、各種成形品として用いられる。
【0158】
より具体的には、熱可塑性ポリウレタン樹脂の成形品は、例えば、上記の熱可塑性ポリウレタン樹脂を、公知の成形方法、例えば、特定の金型を用いた熱圧縮成形および射出成形や、シート巻き取り装置を用いた押出成形、例えば、溶融紡糸成形などの熱成形加工方法により、例えば、ペレット状、板状、繊維状、ストランド状、フィルム状、シート状、パイプ状、中空状、箱状などの各種形状に成形することにより、得ることができる。
【0159】
そして、得られた成形品は、外観、透明性、機械物性および耐久性を兼ね備えることができる。そのため、成形品は、上記の各種物性が要求される分野において好適に用いることができる。
【0160】
より具体的には、上記の熱可塑性ポリウレタン樹脂は、光学用ポリウレタン樹脂において、好適に用いられる。
【0161】
上記の熱可塑性ポリウレタン樹脂を含む光学用ポリウレタン樹脂は、外観、透明性、機械物性および耐久性を兼ね備えるため、所望の光学特性を満足し、さらに、実用性にも優れる。
【0162】
そのため、光学用ポリウレタン樹脂は、例えば、ディスプレイパネル用カバー板として、好適に用いられる。
【0163】
ディスプレイパネルとしては、例えば、スマートデバイス(スマートフォン、タブレットコンピュータ(タブレットPC)、スレートコンピュータ(スレートPC)など)や、タワー型コンピュータ、ノート型コンピュータなどの各種情報処理端末のディスプレイパネルが挙げられる。これらディスプレイパネルは、通常、液晶パネルなどの画像表示パネルを備えており、また、その画像表示パネルを保護するために、画像表示パネルの表面に透光性のカバー板(ディスプレイパネル用カバー板)が積層されている。
【0164】
このようなディスプレイパネル用カバー板には、優れた外観、透明性、機械物性および耐久性が要求される。そのため、上記した光学用ポリウレタン樹脂の成形品は、ディスプレイパネル用カバー板として、好適である。
【0165】
換言すれば、上記した光学用ポリウレタン樹脂を用いて得られるディスプレイ用カバー板は、優れた外観、透明性、機械物性および耐久性を兼ね備える。
【0166】
また、上記の熱可塑性ポリウレタン樹脂は、例えば、アイウェア材料として好適に用いられる。
【0167】
アイウェア材料は、例えば、矯正眼鏡、保護眼鏡、サングラス、ゴーグルなどのアイウェアにおいて、アイウェアレンズ、アイウェアフレームなどを成形するための材料である。
【0168】
すなわち、アイウェアレンズおよびアイウェアフレームには、優れた外観、透明性、機械物性および耐久性が要求される場合がある。
【0169】
そのため、上記した熱可塑性ポリウレタン樹脂は、アイウェア材料として好適に用いられ、また、熱可塑性ポリウレタンの成形品は、アイウェアレンズ、アイウェアフレームなどとして、好適に用いられる。
【0170】
具体的には、アイウェアレンズの製造においては、上記の熱可塑性ポリウレタン樹脂を含むアイウェア材料を、公知の方法により、レンズ形状に成形し、レンズ本体を成形する。その後、好ましくは、レンズ本体の少なくとも一方面に、ハードコート層および/または反射防止層を積層する。これにより、アイウェアレンズを得る。
【0171】
なお、ハードコート層としては、公知の構成でよく、例えば、酸化ケイ素、トリメトキシメチルシランおよびその加水分解物などを含む、Siコート層などが挙げられる。また、反射防止層としては、公知の構成でよく、例えば、金属酸化物(酸化ケイ素、酸化ジルコニウムなど)の金属蒸着層などが挙げられる。これらハードコート層および反射防止層は、それぞれ、単層であってもよく、多層であってもよい。
【0172】
また、アイウェアフレームの製造においては、上記の熱可塑性ポリウレタン樹脂を含むアイウェア材料を、公知の方法により、アイウェアフレームの各パーツ形状に成形する。
アイウェアフレームのパーツとしては、例えば、レンズ、ノーズパッド(鼻あて部分)、モダン(耳あて部分)、テンプル(つる部分)、リム(レンズ周辺部分)、ブリッジ(リム接続部分)、ヨロイ(フロント両端部分)、ヒンジ(ヨロイとテンプルとの接続部分)などが挙げられる。
【0173】
このようなアイウェアフレームおよびアイウェアレンズは、上記の熱可塑性ポリウレタン樹脂を含むため、外観、透明性、機械物性および耐久性を兼ね備える。
【0174】
さらに、上記の熱可塑性ポリウレタン樹脂は、自動車内外装材用部品として、好適に用いられる。
【0175】
自動車内外装材としては、例えば、自動車のバンパー、ヘッドランプ、テールランプ、インストルメントパネル、シフトレバー、ハンドルなどの公知の自動車内外装材が挙げられる。
【0176】
このような自動車内外装材を構成する各種部品(例えば、ヘッドランプカバー、テールランプカバー、インストルメントパネルカバー、シフトレバーの取手、ハンドルのグリップ部など)には、優れた外観、透明性、機械物性および耐久性が要求される場合がある。
【0177】
そのため、上記した熱可塑性ポリウレタン樹脂の成形品は、自動車内外装材用部品として、好適に用いられる。
【0178】
具体的には、自動車内外装材用部品の製造においては、上記の熱可塑性ポリウレタン樹脂を、公知の方法により、自動車内外装材用部品の各種形状に成形する。これにより、自動車内外装材用部品を得る。
【0179】
このような自動車内外装材用部品は、上記の熱可塑性ポリウレタン樹脂を含むため、外観、透明性、機械物性および耐久性を兼ね備える。
【0180】
また、熱可塑性ポリウレタン樹脂の成形品は、上記の用途の他、工業的に広範に使用可能であり、具体的には、例えば、透明性硬質プラスチック、コーティング材料、粘着剤、接着剤、防水材、ポッティング剤、インク、バインダー、フィルム、シート、バンド(例えば、時計バンドなどのバンド、例えば、自動車用伝動ベルト、各種産業用搬送ベルト(コンベアベルト)などのベルト)、チューブ(例えば、医療用チューブ、カテーテルなどの部品の他、エアーチューブ、油圧チューブ、電線チューブなどのチューブ、例えば、消防ホースなどのホース)、ブレード、スピーカー、センサー類、高輝度用LED封止剤、有機EL部材、太陽光発電部材、ロボット部材、アンドロイド部材、ウェアラブル部材、衣料用品、衛生用品、化粧用品、食品包装部材、スポーツ用品、レジャー用品、医療用品、介護用品、住宅用部材、音響部材、照明部材、シャンデリア、外灯、シール材、封止材、コルク、パッキン、防振・制震・免震部材、防音部材、日用品、雑貨、クッション、寝具、応力吸収材、応力緩和材、自動車の内外装部品、鉄道部材、航空機部材、光学部材、OA機器用部材、雑貨表面保護部材、半導体封止材、自己修復材料、健康器具、メガネレンズ、玩具、ケーブルシース、ワイヤーハーネス、電気通信ケーブル、自動車配線、コンピューター配線、カールコードなど工業用品、シート、フィルムなどの介護用品、スポーツ用品、レジャー用品、各種雑貨、防振・免振材料、衝撃吸収材、光学材料、導光フィルムなどのフィルム、自動車部品、表面保護シート、化粧シート、転写シート、半導体保護テープなどのテープ部材、ゴルフボール部材、テニスラケット用ストリング、農業用フィルム、壁紙、防曇付与剤、不織布、マットレスやソファーなどの家具用品、ブラジャーや肩パッドなどの衣料用品、紙おむつ、ナプキン、メディカルテープの緩衝材などの医療用品、化粧品、洗顔パフや枕などのサニタリー用品、靴底(アウトソール)、ミッドソール、カバー材などの靴用品、さらには、車両用のパッドやクッションなどの体圧分散用品、ドアトリム、インスツルメントパネル、ギアノブなどの手で触れる部材、電気冷蔵庫や建築物の断熱材、ショックアブソーバーなどの衝撃吸収材、充填材、化学機械研磨(CMP)パッドなどの半導体製造用品などにおいて、好適に用いられる。
【0181】
さらには、上記の成形品は、被覆材(フィルム、シート、ベルト、ワイヤー、電線、金属製の回転機器、ホイール、ドリルなどの被覆材)、糸や繊維(チューブ、タイツ、スパッツ、スポーツウエア、水着などに用いられる糸や複合繊維)、押出成形用途(テニス、バトミントンなどのガットおよびその収束材などの押出成形用途)、マイクロペレット化などによるパウダー形状でのスラッシュ成形品、人造皮革、表皮、シート、被覆ロール(鉄鋼などの被覆ロール)、シーラント、ローラー、ギアー、ボール、バットのカバーあるいはコア材(ゴルフボール、バスケットボール、テニスボール、バレーボール、ソフトボール、バットなどのカバーあるいはコア材(これらは熱可塑性ポリウレタン樹脂を発泡成形した形態であってもよい。))、マット、スキー用品、ブーツ、テニス用品、ブリップ(ゴルフクラブや二輪車などのグリップ)、ラックブーツ、ワイパー、シートクッション部材、介護製品のフィルム、3Dプリンター成形品、繊維強化材料(炭素繊維、リグニン、ケナフ、ナノセルロースファイバー、ガラス繊維などの繊維の強化材料)、安全ゴーグル、サングラス、メガネフレーム、スキーゴーグル、水泳ゴーグル、コンタクトレンズ、ガスアシストの発泡成形品、ショックアブソーバー、CMP研磨パッド、ダンバー、ベアリング、ダストカバー、切削バルブ、チッピングロール、高速回転ローラー、タイヤ、時計、ウエアブルバンドなど、繰返し伸縮、圧縮変形などによる回復性や耐摩耗が要求される用途において、好適に使用される。
【実施例0182】
次に、本発明を、製造例、合成例、実施例および比較例に基づいて説明するが、本発明は、これらによって限定されるものではない。なお、「部」および「%」は、特に言及がない限り、質量基準である。また、以下の記載において用いられる配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなどの具体的数値は、上記の「発明を実施するための形態」において記載されている、それらに対応する配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなど該当記載の上限値(「以下」、「未満」として定義されている数値)または下限値(「以上」、「超過」として定義されている数値)に代替することができる。
<1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(1,4-H6XDI)の製造>
製造例1 1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(1)(以下、1,4-BIC(1)とする。)の製造方法
特開2014-55229号公報の製造例6の記載に準拠して、純度99.5%以上のトランス体/シス体比98/2の1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサンを92%の収率で得た。
【0183】
その後、特開2014-55229号公報の製造例1の記載に準拠して、この1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサンを原料として、冷熱2段ホスゲン化法を加圧下で実施して、1,4-BIC(1)を382質量部得た。
【0184】
得られた1,4-BIC(1)のガスクロマトグラフィー測定による純度は99.9%、13C-NMR測定によるトランス体/シス体比は98/2であった。
【0185】
製造例2 1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(2)(以下、1,4-BIC(2)とする。)の製造方法
撹拌機、温度計、還流管、および、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、製造例1の1,4-BIC(1)を789質量部、後述の製造例4の1,4-BIC(4)を211質量部装入し、窒素雰囲気下、室温にて1時間撹拌した。得られた1,4-BIC(2)のガスクロマトグラフィー測定による純度は99.9%、13C-NMR測定によるトランス/シス比は86/14であった。
【0186】
製造例3 1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(3)(以下、1,4-BIC(3)とする。)の製造方法
撹拌機、温度計、還流管、および、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、製造例1の1,4-BIC(1)を474質量部、後述の製造例4の1,4-BIC(4)を526質量部装入し、窒素雰囲気下、室温にて1時間撹拌した。得られた1,4-BIC(3)のガスクロマトグラフィー測定による純度は99.9%、13C-NMR測定によるトランス/シス比は68/32であった。
【0187】
製造例4 1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(4)(以下、1,4-BIC(4)とする。)の製造方法
13C-NMR測定によるトランス体/シス体比が41/59の1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン(東京化成工業社製)を原料として、特開2014-55229号公報の製造例1の記載に準拠して、388質量部の1,4-BIC(4)を得た。
【0188】
得られた1,4-BIC(4)のガスクロマトグラフィー測定による純度は99.9%、13C-NMR測定によるトランス体/シス体比は41/59であった。
【0189】
<熱可塑性ポリウレタン樹脂の製造および成形>
実施例1
撹拌機、温度計、還流管および窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、PTG1000SN(P)(保土ヶ谷化学工業社製、バイオマス原料を用いたポリテトラメチレンエーテルグリコール、数平均分子量1000)33.51質量部を装入し、次いで、当量比(NCO/OH)が6.50になるように、トランス/シス比が86/14である1,4-BIC(2) 41.89質量部を装入した。そして、イソシアネート基含量が20.32質量%になるまで反応させ、イソシアネート基末端プレポリマー(以下、プレポリマーと略する場合がある。)を得た。
【0190】
予め80℃に調製したプレポリマー75.71質量部と、イルガノックス245(BASFジャパン製 耐熱安定剤)0.30質量部と、チヌビン234(BASFジャパン社製 紫外線吸収剤)0.25質量部と、アデカスタブLA-72(ADEKA社製 光安定剤)0.09質量部と、JPE-10(城北化学工業社製 亜リン酸系酸化防止剤)0.5質量部と、スタノクト(APIコーポレーション社製 オクチル酸第一スズ)をDINA(ジェイ・プラス社製 ジイソノニルアジペート)により4質量%に希釈した触媒液を0.013質量部とを、ステンレス容器に入れ、高速ディスパーを使用して、800rpmの撹拌下、約2分間撹拌混合した。
【0191】
次いで、鎖伸長剤としてのイソソルビド(ROQUETTE社製、POLYSORB P)および1,4-ブタンジオール(1,4-BD、三菱化学社製)の混合物(イソソルビド:1,4-BD=80:20(モル比))を80℃に調整し、その混合物をプレポリマーに、当量比(NCO/OH)が1.00になるように添加した。
【0192】
その後、約10分間全体が均一になるまで充分に撹拌し、撹拌停止後すぐに反応混合液の均一性を確認した後、予め180℃に温調したSUS(ステンレス鋼)製バッド上のテフロン(登録商標)シートに反応混合液を流し込み、180℃にて2時間、次いで、100℃にて20時間反応させ、熱可塑性ポリウレタン樹脂を得た。
【0193】
バットから熱可塑性ポリウレタン樹脂を取り外し、室温23℃、相対湿度50%の恒温恒湿条件下にて、3日間養生した。
【0194】
その後、熱可塑性ポリウレタンをベールカッターによりサイコロ状に切断し、粉砕機にてサイコロ状の樹脂を粉砕した。この粉砕ペレットを窒素気流下、80℃にて一昼夜乾燥した。単軸押出機(型式:SZW40-28MG、テクノベル社製)を用いてシリンダー温度185~250℃の範囲でストランドを押出し、それをカットすることによって、熱可塑性ポリウレタンのペレットを得た。得られたペレットをさらに窒素気流下、80℃にて一昼夜乾燥した。
【0195】
次いで、射出成型機(型式:SE-180DU、住友重機械工業社製)を用いてシリンダー温度185~250℃、ノズル温度185~245℃の範囲でペレットを射出成型し、熱可塑性ポリウレタン樹脂のシート(厚さ2.0mm)、レンズ本体(厚さ2.0mm、直径75mm、プラノ、4カーブ)およびブロック(10cm×10cm×厚み12mm)を得た。
【0196】
また、レンズ本体には、以下の処理により、ハードコート層および反射防止層を積層した。
【0197】
すなわち、レンズ本体を120℃で3時間アニール処理をした後、10%水酸化ナトリウム水溶液にて50℃、10分間、超音波洗浄槽にて洗浄し、その後、イソプロパノールにて洗浄して、50℃にて表面を乾燥させた。
【0198】
次いで、酸化ケイ素、トリメトキシメチルシランおよびその加水分解物を含有するハードコート組成物に、レンズ本体を浸漬し、150mm/minの速度で引き上げた。その後、ハードコート組成物を、80℃で10分間予備加熱した後に、120℃で6時間加熱して硬化させた。これにより、レンズ本体の表面に、ハードコート層を形成させた。
【0199】
その後、ハードコート層が形成されたレンズ本体に、ハードコート層の上から、真空蒸着装置を用いて、酸化ケイ素および酸化ジルコニウムからなる5層の多層反射防止層を形成した。
【0200】
これにより、レンズ本体、ハードコート層および反射防止層を備えるアイウェアレンズを得た。
【0201】
実施例2
実施例1のPTG1000SN(P)を33.51質量部、1,4-BIC(2)を42.20質量部に変更し、イソソルビドおよび1,4-ブタンジオールのモル比(イソソルビド:1,4-BD)を75:25に変更した以外は、実施例1と同様にして熱可塑性ポリウレタン樹脂を製造し、シート、ブロックおよびアイウェアレンズを成形した。
【0202】
比較例1
実施例1のPTG1000SN(P)を33.51質量部、1,4-BIC(2)を43.27質量部に変更し、イソソルビドおよび1,4-ブタンジオールのモル比(イソソルビド:1,4-BD)を58:42に変更した以外は、実施例1と同様にして熱可塑性ポリウレタン樹脂を製造し、シート、ブロックおよびアイウェアレンズを成形した。
【0203】
比較例2
実施例1のPTG1000SN(P)を33.51質量部、1,4-BIC(2)を40.90質量部に変更し、イソソルビドおよび1,4-ブタンジオールのモル比(イソソルビド:1,4-BD)を97:3に変更した以外は、実施例1と同様にして熱可塑性ポリウレタン樹脂を製造し、シート、ブロックおよびアイウェアレンズを成形した。
【0204】
比較例3
実施例1のPTG1000SN(P)を32.21質量部に変更し、1,4-BIC(2)に代えて、1,4-BIC(2)16.66質量部およびジイソシアナトメチルビシクロ〔2,2,1〕-ヘプタン(NBDI、三井化学社製)26.53質量部の混合物(1,4-BIC:NBDI=40:60(モル比))を用いた以外は、実施例1と同様にして熱可塑性ポリウレタン樹脂を製造し、シート、ブロックおよびアイウェアレンズを成形した。
【0205】
比較例4
実施例1のPTG1000SN(P)を33.51質量部、1,4-BIC(2)を42.06質量部に変更し、イソソルビドおよび1,4-ブタンジオールの混合物に代えて、1,4-シクロヘキサンジメタノール(長瀬産業社製、CHDM-D)および1,4-ブタンジオールの混合物(CHDM-D:1,4-BD=80:20(モル比))を用いた以外は、実施例1と同様にして熱可塑性ポリウレタン樹脂を製造し、シート、ブロックおよびアイウェアレンズを成形した。
【0206】
比較例5
実施例1のPTG1000SN(P)を33.51質量部、1,4-BIC(2)を40.73質量部に変更し、イソソルビドおよび1,4-ブタンジオールの混合物に代えて、イソソルビドを25.76質量部用いた以外は、実施例1と同様にして熱可塑性ポリウレタン樹脂を製造し、シート、ブロックおよびアイウェアレンズを成形した。
【0207】
実施例3
実施例1のPTG1000SN(P)を33.51質量部に変更し、1,4-BIC(2)に代えて、トランス/シス比が98/2の1,4-BIC(1)41.89質量部を用いた以外は、実施例1と同様にして熱可塑性ポリウレタン樹脂を製造し、シート、ブロックおよびアイウェアレンズを成形した。
【0208】
実施例4
実施例1のPTG1000SN(P)を33.51質量部に変更し、1,4-BIC(2)に代えて、トランス/シス比が68/32の1,4-BIC(3)41.89質量部を用いた以外は、実施例1と同様にして熱可塑性ポリウレタン樹脂を製造し、シート、ブロックおよびアイウェアレンズを成形した。
【0209】
実施例5
実施例1のPTG1000SN(P)を33.51質量部、1,4-BIC(2)を41.59質量部に変更し、イソソルビドおよび1,4-ブタンジオールの混合物に代えて、イソソルビドおよび1,5-ペンタンジオール(1,5-PeD 宇部興産社製)の混合物(イソソルビド:1,5-PeD=80:20(モル比))に変更した以外は、実施例1と同様にして熱可塑性ポリウレタン樹脂を製造し、シート、ブロックおよびアイウェアレンズを成形した。
【0210】
実施例6
実施例1のPTG1000SN(P)を33.51質量部、1,4-BIC(2)を41.89質量部に変更し、イソソルビドおよび1,4-ブタンジオールの混合物に代えて、イソソルビドおよび1,3-ブタンジオール(1,3-BD和光純薬工業製)の混合物(イソソルビド:1,3-BD=80:20(モル比))に変更した以外は、実施例1と同様にして熱可塑性ポリウレタン樹脂を製造し、シート、ブロックおよびアイウェアレンズを成形した。
【0211】
実施例7
実施例1のPTG1000SN(P)を33.51質量部、1,4-BIC(2)を42.20質量部に変更し、イソソルビドおよび1,4-ブタンジオールの混合物に代えて、イソソルビドおよび1,3-プロパンジオール(1,3-PrD、デュポン社製、Susterra、登録商標、バイオマス原料を用いた1,3-プロパンジオール)の混合物(イソソルビド:1,3-PrD=80:20(モル比))に変更した以外は、実施例1と同様にして熱可塑性ポリウレタン樹脂を製造し、シート、ブロックおよびアイウェアレンズを成形した。
【0212】
実施例8
実施例1のPTG1000SN(P)を33.51質量部、1,4-BIC(2)を40.77質量部に変更し、イソソルビドおよび1,4-ブタンジオールの混合物に代えて、イソソルビドおよび1,4-シクロヘキサンジメタノール(長瀬産業社製、CHDM-D)の混合物(イソソルビド:CHDM-D=80:20(モル比))に変更した以外は、実施例1と同様にして熱可塑性ポリウレタン樹脂を製造し、シート、ブロックおよびアイウェアレンズを成形した。
【0213】
実施例9
実施例1のPTG1000SN(P)を33.51質量部、1,4-BIC(2)を41.30質量部に変更し、イソソルビドおよび1,4-ブタンジオールのモル比(イソソルビド:1,4-BD)を90:10に変更した以外は、実施例1と同様にして熱可塑性ポリウレタン樹脂を製造し、シート、ブロックおよびアイウェアレンズを成形した。
【0214】
実施例10
実施例1のPTG1000SN(P)を33.51質量部、1,4-BIC(2)を43.14質量部に変更し、イソソルビドおよび1,4-ブタンジオールのモル比(イソソルビド:1,4-BD)を60:40に変更した以外は、実施例1と同様にして熱可塑性ポリウレタン樹脂を製造し、シート、ブロックおよびアイウェアレンズを成形した。
【0215】
実施例11
実施例1のPTG1000SN(P)を33.51質量部、1,4-BIC(2)を41.30質量部に変更し、イソソルビドおよび1,4-ブタンジオールの混合物に代えて、イソソルビドおよび1,6-ヘキサンジオール(1,6-HD、和光純薬工業社製)の混合物(イソソルビド:1,6-HD=80:20(モル比))に変更した以外は、実施例1と同様にして熱可塑性ポリウレタン樹脂を製造し、シート、ブロックおよびアイウェアレンズを成形した。
【0216】
比較例6
実施例1のPTG1000SN(P)を33.51質量部、1,4-BIC(2)を42.51質量部に変更し、イソソルビドおよび1,4-ブタンジオールの混合物に代えて、イソソルビドおよび1,2-エチレングリコール(1,2-ED、和光純薬工業社製)の混合物(イソソルビド:1,2-ED=80:20(モル比))に変更した以外は、実施例1と同様にして熱可塑性ポリウレタン樹脂を製造し、シート、ブロックおよびアイウェアレンズを成形した。
【0217】
実施例12
実施例1のPTG1000SN(P)に代えて、PTG1000SN(P)12.04質量部と、PTG2000SN(P)(保土ヶ谷化学工業社製、バイオマス原料を用いたポリテトラメチレンエーテルグリコール、数平均分子量2000)23.30質量部との混合物(モル比で1:1)を用い、1,4-BIC(2)を40.06質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして熱可塑性ポリウレタン樹脂を製造し、シート、ブロックおよびアイウェアレンズを成形した。
【0218】
実施例13
実施例1のPTG1000SN(P)を、PO3G H1000(ALLESSA製、ポリ(トリメチレン)エーテルグリコール、数平均分子量1000)33.51質量部に変更し、1,4-BIC(2)を41.89質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして熱可塑性ポリウレタン樹脂を製造し、シート、ブロックおよびアイウェアレンズを成形した。
【0219】
実施例14
実施例1のPTG1000SN(P)を、PLACCEL 210N(ダイセル社製、ポリカプロラクトンジオール、数平均分子量1000)33.47質量部に変更し、1,4-BIC(2)を41.94質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして熱可塑性ポリウレタン樹脂を製造し、シート、ブロックおよびアイウェアレンズを成形した。
【0220】
実施例15
実施例1のPTG1000SN(P)を、UH-100(宇部興産社製、ポリカーボネートジオール、数平均分子量1000)33.52質量部に変更し、1,4-BIC(2)を41.88質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして熱可塑性ポリウレタン樹脂を製造し、シート、ブロックおよびアイウェアレンズを成形した。
【0221】
実施例16
実施例1のJPE-10を0.08質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして熱可塑性ポリウレタン樹脂を製造し、シート、ブロックおよびアイウェアレンズを成形した。
【0222】
実施例17
実施例1のJPE-10を1.50質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして熱可塑性ポリウレタン樹脂を製造し、シート、ブロックおよびアイウェアレンズを成形した。
【0223】
実施例18
実施例1のPTG1000SN(P)を35.41質量部に変更し、1,4-BIC(2)に代えて、1,4-BIC(2)25.36質量部およびヘキサメチレンジイソシアネート(HDI、三井化学社製、商品名タケネート700)14.64質量部の混合(1,4-BIC:HDI=60:40(モル比))に変更した以外は、実施例1と同様にして熱可塑性ポリウレタン樹脂を製造し、シート、ブロックおよびアイウェアレンズを成形した。
【0224】
実施例19
実施例1の処方の原料成分を、公知の方法であるワンショット法で反応させた以外は、実施例1と同様にして熱可塑性ポリウレタン樹脂を製造し、シート、ブロックおよびアイウェアレンズを成形した。
【0225】
実施例20
実施例1の方法において、テフロン(登録商標)シートに反応混合液を流し込んだ後、100℃にて2時間、次いで、100℃にて20時間反応させた以外は、実施例1と同様にして熱可塑性ポリウレタン樹脂を製造し、シート、ブロックおよびアイウェアレンズを成形した。
【0226】
実施例21
実施例1の方法において、テフロン(登録商標)シートに反応混合液を流し込んだ後、280℃にて2時間、次いで、100℃にて20時間反応させた以外は、実施例1と同様にして熱可塑性ポリウレタン樹脂を製造し、シート、ブロックおよびアイウェアレンズを成形した。
【0227】
<評価>
各実施例および各比較例で得られた熱可塑性ポリウレタン樹脂のシート、ブロックおよびアイウェアレンズについて、以下の通り評価した。その結果を、表1~表3に示す。
【0228】
なお、表1~表3には、各実施例および各比較例における配合処方(モル基準)を併せて示す。
【0229】
1)外観
各実施例および各比較例で得られたシートを目視で確認し、濁り、着色、ブルーム、ブリードの有無を確認した。これらの外観不良がないものについては「3」、やや不良があるものについては「2」、著しい不良があるものは「1」とした。
【0230】
2)透過率およびヘイズ
測定機器として、日本電色工業社製 HAZE METER NDH-5000を使用し、各実施例および各比較例で得られたシートの透過率およびヘイズを測定した。
【0231】
3)硬度
JIS K7311(1995)に従って、各実施例および各比較例で得られたブロックに、ASKER D硬度計を水平に押し付け、15秒後の針の安定値を読み取った。
【0232】
4)耐衝撃性(アイゾッド衝撃)
各実施例および各比較例で得られたシートを、JIS K7110(1999)のノッチ有(A法)に適したダンベルで打ち抜き、23℃にてアイゾッド試験を実施した。
【0233】
5)耐熱性
各実施例および各比較例で得られたシートから、巾10mmの短冊状の試験片を切り出し、動的粘弾性測定装置(アイティー計測制御社製、型式:DVA-220)を用いて、測定開始温度-100℃、昇温速度5℃/min、引張モード、標線間長20mm、静/動応力比1.8、測定周波数10Hzの条件で、動的粘弾性スペクトルを測定した。そして、70℃における貯蔵弾性率E’を測定した。
【0234】
6)耐薬品性
各実施例および各比較例で得られたシートから、ダンベルを用いて、74.4mmx66.5mmの各板を打ち抜き、片面にニベアクリーム(商品名、ニベア花王社製)を0.5g塗布した後、80℃に加熱したオーブン内に24時間保温した。
【0235】
保温後、表面のクリームを水で洗い流し、外観の変化を確認した。各板の外観を確認した。
【0236】
外観に変化が見られないものについては「3」、表面の荒れが確認されたものは「2」、各板の著しい表面荒れや寸法変化、反りが見られたものは「1」とした。
【0237】
7)耐溶剤性
各実施例および各比較例で得られたシートから、ダンベルを用いて、直径30mmの円板を打ち抜き、室温のイソプロピルアルコールに5日間浸漬した。イソプロピルアルコールから取り出し後、円板表面をウエスなどで拭き取り、外観の変化を確認した。
【0238】
円板の外観に変化が見られないものについては「3」、表面の荒れが確認されたものは「2」、円板の著しい表面荒れや寸法変化、反りが見られたものは「1」とした。
【0239】
8)屈折率(nd)およびアッベ数(νd)
各実施例および各比較例で得られたレンズ本体の屈折率およびアッベ数を、プルフリッヒ屈折計を用い、20℃で測定した。
【0240】
9)レンズ外観
各実施例および各比較例で得られたレンズ本体を目視で確認し、濁り、着色、ブルーム、ブリードの有無を確認した。
【0241】
これらの外観不良がないものについては「3」、やや不良があるものについては「2」、著しい不良があるものは「1」とした。
【0242】
10)コート密着性
各実施例および各比較例で得られたアイウェアレンズにおいて、レンズ本体、ハードコート層および反射防止層の密着性を、以下の通り評価した。
【0243】
すなわち、アイウェアレンズの1cm×1cm領域中に、1mm×1mmマスの碁盤目を100個作成した。
【0244】
その領域に、ニチバンテープ(ニチバン製CT-408AP-18)を碁盤目に貼り付け、引き剥がしを5回繰り返した。
【0245】
このときの、ハードコート層および反射防止層のレンズ本体からの剥離の有無を確認した。
【0246】
剥離が10個以下のものについては「3」、11個~20個のものについては「2」、21個以上のものについては「1」とした。
【0247】
11)レンズ破壊エネルギー
島津製作所製自動落錘衝撃試験機「HYDROSHOT」(型式HITS-P10)を用いて、アイウェアレンズの耐高速衝撃性を評価した。
【0248】
具体的には、各実施例および各比較例で得られたアイウェアレンズを、JIS K7211-2(2006)に準じて、直径40mmの受台に固定し、直径20mmのストライカーを4.4m/秒の速度で突き当てて貫通させ、衝撃時に発生する破壊エネルギー(J)を計測した。上記試験を3回繰り返し、その平均値として破壊エネルギーを算出した。
【0249】
【0250】
【0251】
【0252】
なお、表中の略号の詳細を下記する。
1,4-BIC(1):製造例1の1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(トランス体/シス体比は98/2)
1,4-BIC(2):製造例2の1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(トランス体/シス体比は86/14)
1,4-BIC(3):製造例3の1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(トランス体/シス体比は68/32)
HDI:ヘキサメチレンジイソシアネート、三井化学社製、商品名タケネート700
NBDI:ジイソシアナトメチルビシクロ〔2,2,1〕-ヘプタン、三井化学社製
PTG1000SN(P):保土ヶ谷化学工業社製、バイオマス原料を用いたポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG)、数平均分子量1000
PTG2000SN(P):保土ヶ谷化学工業社製、バイオマス原料を用いたポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG)、数平均分子量2000
PO3G H1000:ALLESSA製、ポリ(トリメチレン)エーテルグリコール、数平均分子量1000)
PLACCEL 210N:ダイセル社製、ポリカプロラクトンジオール(PCL)、数平均分子量1000
UH-100:宇部興産社製、ポリカーボネートジオール(PCD)、数平均分子量1000)
CHDM:シクロヘキサンジメタノール
1,4-BD:1,4-ブタンジオール
1,5-PeD:1,5-ペンタンジオール
1,6-HD:1,6-ヘキサンジオール
1,3-BD:1,3-ブタンジオール
1,3-PrD:1,3-プロパンジオール
1,2-EG:1,2-エチレングリコール
本発明の熱可塑性ポリウレタン樹脂および光学用ポリウレタン樹脂は、ディスプレイパネル用カバー板、アイウェア材料、アイウェアレンズ、アイウェアフレーム、自動車内外装材用部品などにおいて、好適に用いられる。
前記1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンが、トランス-1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンを70モル%以上95モル%以下の割合で含有する
ことを特徴とする、請求項1に記載の光学用ポリウレタン樹脂。