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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023059943
(43)【公開日】2023-04-27
(54)【発明の名称】組織牽引バンド及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/02 20060101AFI20230420BHJP
   A61B 17/94 20060101ALI20230420BHJP
   A61B 1/018 20060101ALI20230420BHJP
【FI】
A61B17/02
A61B17/94
A61B1/018 515
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023025705
(22)【出願日】2023-02-22
(62)【分割の表示】P 2021557103の分割
【原出願日】2020-05-13
(31)【優先権主張番号】62/848,815
(32)【優先日】2019-05-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/908,972
(32)【優先日】2019-10-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ロドリゲス サラザール、フアン シー.
(72)【発明者】
【氏名】ガルシア-コルデロ、ホセ
(72)【発明者】
【氏名】スラティ、アン
(72)【発明者】
【氏名】リーデル、キャロライン
(72)【発明者】
【氏名】リアズ、タルハ
(57)【要約】
【課題】組織切開などの内視鏡処置のための組織牽引装置を提供する。
【解決手段】本発明は、一般に医療機器の分野に関する。より詳細には、本発明は、組織切開などの内視鏡処置のための組織牽引装置に関する。例えば、組織牽引装置は、コンプライアンス又はセミコンプライアンス材料を含む伸縮可能な牽引バンドの両端に第1及び第2のスイベルによって枢動可能に取り付けられた第1及び第2の取り付け部材を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンプライアンス又はセミコンプライアンス材料を含む牽引バンドと、
第1のスイベルによって前記牽引バンドの第1の端部に対して枢動可能に取り付けられた第1の取り付け部材と、
第2のスイベルによって前記牽引バンドの第2の端部に対して枢動可能に取り付けられた第2の取り付け部材と、
前記牽引バンドの長さに沿って配置されたフィラメントと
からなる組織牽引装置。
【請求項2】
前記コンプライアンス又は前記セミコンプライアンス材料はゴム、ラテックス、弾性体、及びTPE、又はそれらの組み合わせからなる請求項1に記載の組織牽引装置。
【請求項3】
前記第1及び前記第2の取り付け部材はポリマー、プラスチック、形状記憶金属、形状記憶合金、又はそれらの組み合わせからなる圧縮可能な材料を含む、請求項1又は2のいずれかに記載の組織牽引装置。
【請求項4】
前記第1及び前記第2の取り付け部材は、それぞれ前記第1及び前記第2のスイベルを介して前記牽引バンドの長手軸を中心として旋回する、請求項1~3のいずれか一項に記載の組織牽引装置。
【請求項5】
2.5~4.5cmの長さを有する形態と、15.00cmの最大長さを有する第2の形態との間で移動するように構成されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の組織牽引装置。
【請求項6】
前記フィラメントは、前記牽引バンドの最大の延長された長さを制限する、非コンプライアンスの材料を含む、請求項1に記載の組織牽引装置。
【請求項7】
前記フィラメントは、前記牽引バンドの牽引力を増大させる、コンプライアンス又はセミコンプライアンスの材料を含む、請求項1に記載の組織牽引装置。
【請求項8】
前記組織牽引装置は、可撓性長尺状管状部材の内部を貫通して延びるワーキングチャンネル内に配置されるように構成されており、前記第1の取り付け部材は、前記ワーキングチャンネル内に配置された第1の内視鏡器具の遠位端に取り付けられた第1の組織クリップに係合される、請求項1に記載の組織牽引装置。
【請求項9】
前記第1の組織クリップは、前記組織牽引装置の前記第1の取り付け部材に着脱自在に取り付け可能である、請求項8に記載の組織牽引装置。
【請求項10】
前記組織牽引装置の第1の端部における前記第1の組織クリップは、体管腔内に配置可能であり、第2の組織クリップは、前記体管腔内に配置可能であり、かつ、前記組織牽引装置の前記第1の端部に対向する第2の端部に取り付け可能である、請求項8または9に記載の組織牽引装置。
【請求項11】
第3の組織クリップは、体管腔内に配置可能であり、かつ、前記組織牽引装置の一部に取り付け可能である、請求項8~10のいずれか一項に記載の組織牽引装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療機器の分野に関する。より詳細には、本発明は、組織切開などの内視鏡手術のための組織牽引装置及び関連する組織けん引装置の使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡による組織切除手術/組織解剖手術を正確かつ効率的に実行するための構成要素は、標的組織の境界が解剖されるときに牽引を維持する能力である。内視鏡キャップに対応する、及び/又は内視鏡キャップによって設けられる牽引システムは、医師の標的組織の視界を遮ったり、内視鏡に沿って又は内視鏡を貫通して延びる付属器具を妨害したりする傾向がある。これらの問題は、手術の時間、複雑さ、及び穿孔又は出血のリスクの増加の一因となる可能性がある。
【0003】
したがって、本発明に係る組織後退装置及び関連する使用方法によって様々な有利な医学的結果が実現され得る。
【発明の概要】
【0004】
一態様では、本発明は、コンプライアンス又はセミコンプライアンス材料を含有する牽引バンドを備える組織後退装置/組織牽引装置に関する。第1の取り付け部材は、第1のスイベルによって牽引バンドの第1の端部に枢動可能に取り付けられる。第2の取り付け部材は、第2のスイベルによって牽引バンドの第2の端部に枢動可能に取り付けられる。
【0005】
説明した実施形態及び別の実施形態では、コンプライアンス又はセミコンプライアンス材料にはゴム、ラテックス、弾性体、熱可塑性エラストマー(TPE)、又はそれらの組み合わせが含まれる。第1及び第2の取り付け部材は、ポリマー、プラスチック、形状記憶金属、形状記憶合金、又はそれらの組み合わせなどの圧縮性材料を含み得る。第1及び第2のスイベルは、牽引バンドの長手軸を中心として旋回し得る。牽引バンドは、約2.5~4.5cmの長さを有する第1の形態と、約15.00cmの最大長さを有する第2の形態との間を移動し得るように構成される。フィラメントが、牽引バンドの長さに沿って配置されてもよい。フィラメントは、牽引バンドの最大の延長された長さを制限するように構成された、ほぼ非コンプライアンスの材料を含んでもよい。フィラメントは、牽引バンドの収縮力を増加させるように構成されたほぼコンプライアンス又はセミコンプライアンスの材料を含んでもよい。
【0006】
別の態様では、本発明は、長尺状管状部材を貫通するワーキングチャンネルを画定する、可撓性の長尺状管状部材を含む組織後退装置システムに関する。第1の内視鏡器具は、ワーキングチャンネル内に配置される。第1の内視鏡器具は、器具の遠位端に取り付けられた第1の組織クリップを含む。組織後退装置は、ワーキングチャンネル内に配置される。組織後退装置の第1の取り付け部材は、第1の組織クリップに係合される。
【0007】
説明した実施形態及び別の実施形態では、第1の組織クリップは、組織後退装置の第1の取り付け部材に着脱自在に取り付けられる。組織後退装置/組織牽引装置の第1の端部にある第1の組織クリップは、体管腔内に配置可能である。第2の組織クリップは、体管腔内に配置可能であり、組織後退装置/組織牽引装置の第1の端部の反対側の組織後退装置/組織牽引装置の第2の端部に取り付け可能である。第3の組織クリップは、体管腔内に配置可能であり、組織後退装置/組織牽引装置の一部に取り付け可能である。組織後退装置/組織牽引装置は、コンプライアンス又はセミコンプライアンス材料を含有する牽引バンドを含む。第1の取り付け部材は、第1のスイベルを介して牽引バンドの第1の端部に枢動可能に取り付けられる。第2の取り付け部材は、第2のスイベルを介して牽引バンドの第2の端部に枢動可能に取り付けられる。第1及び第2のスイベルは、それぞれの第1及び第2の取り付け部材が牽引バンドの長手軸を中心として旋回、又は牽引バンドに対して移動することを可能にする。
【0008】
様々な実施形態では、1つ以上の取り付け部材を、組織後退装置/組織牽引装置の第2の端部に設けることができる。第1の組織クリップは、組織後退装置/組織牽引装置の第1の端部に設けられた第1の取り付け部材に着脱自在に取り付けることができる。第1の組織クリップ及び第1の取り付け部材は体管腔内の標的組織に係合され得る。第2の組織クリップは体管腔に配置可能であり、組織後退装置/組織牽引装置の第2の端部に設けられた取り付け部材に取り付けることができる。第2の組織クリップ及び付随する取り付け部材は、標的組織に対向する、固定する組織の第1の部分に係合できる。組織後退装置/組織牽引装置の牽引力を調整することが望ましい場合には、第3の組織クリップを体管腔内に配置することができ、及び、組織後退装置/組織牽引装置の第2の端部に設けられた異なる取り付け部材に取り付けることができる。第3の組織クリップ及び付随する取り付け部材は、標的組織の対向する、固定する組織の第2の部分に係合されて、固定する組織の第1の部分から離間して配置される。必要に応じて、組織後退装置/組織牽引装置の第2の端部にある任意の取り付け部材を切断して、組織後退装置/組織牽引装置の第2の端部に対応するクリップを離脱してもよい。
【0009】
さらに別の態様では、本発明は、第1の内視鏡器具の第1の組織クリップに装填された組織後退装置/組織牽引装置を体管腔に挿入する工程と、長尺状管状部材のワーキングチャンネルを通り、かつ、長尺状管状部材の遠位端を越えて第1の内視鏡器具を前進させる工程と、体管腔の標的組織を第1の組織クリップに係合させて組織後退装置/組織牽引装置の第1の端を体管腔の壁に固定する工程とを含む、方法に関する。
【0010】
説明した実施形態及び別の実施形態では、この方法は、第1の内視鏡器具から第1の組織クリップを離脱させる工程をさらに含む。この方法は、長尺状管状部材のワーキングチャンネル内から第1の内視鏡器具を引き抜く工程と、第2の組織クリップを第1の内視鏡器具の遠位端に取り付ける工程をさらに含む。この方法は、長尺状管状部材のワーキングチャンネル内を通り、かつ、長尺状管状部材の遠位端を越えて第1の内視鏡器具を前進させる工程と、第2の組織クリップを用いて体管腔の壁を係合して体管腔の壁に対して組織後退装置/組織牽引装置の第2の端を固定する工程とをさらに含む。第1,第2の組織クリップは、体管腔の対向する両側に係合し得る。この方法は、第1の内視鏡器具から第2の組織クリップを離脱させる工程をさらに含む。この方法は、第2の内視鏡器具の遠位端に取り付けられた医療装置を用いて標的組織を操作する工程をさらに含む。
【0011】
本発明の非限定的な実施形態は添付の図面を参照して例示することを目的として説明されている。添付の図面は概略的であり、縮尺通りに描かれることが意図されていない。図面において、図に示された、それぞれ同一又はほぼ同一の構成要素は、通常、単一の数字で表されている。明確性のために、すべての構成要素がすべての図面においてラベル付けされているわけではなく、当業者が発明を理解できるようにするために図解が必要でない場合には、各実施形態のすべての構成要素が示されているわけでもない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態にかかる組織牽引装置を示す斜視図。
図2A】本発明の一実施形態にかかる組織牽引装置を示す斜視図。
図2B】本発明の一実施形態にかかる組織牽引装置を示す斜視図。
図3A】本発明の一実施形態にかかる組織牽引システムを示す斜視図。
図3B】本発明の一実施形態にかかる組織牽引システムを示す斜視図。
図4A】本発明の一実施形態にかかる組織牽引装置を使用する組織切除手術を示す概略図。
図4B】本発明の一実施形態にかかる組織牽引装置を使用する組織切除手術を示す概略図。
図5A】本発明の別の実施形態にかかる組織牽引装置を示す斜視図。
図5B】本発明の別の実施形態にかかる組織牽引装置を示す斜視図。
図6】本発明の一態様を示す組織牽引装置の実施形態を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、本明細書で説明する具体的な実施形態に限定されない。本明細書で使用する用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、添付の特許請求の範囲を超えて限定することを意図していない。別段の定義がない限り、本明細書で使用するすべての技術用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解される意味と同一の意味を有する。
【0014】
本発明の実施形態は、組織解剖/切除手術中に胃腸管内に牽引力を形成するようにされた組織後退/組織牽引装置、システム、及び方法を特に参照して説明されているが、そのようなシステム及び方法は、さまざまな異なる体管腔内及び/又は体内の通路内のさまざまな組織を操作することに使用され得ることを理解されたい。
【0015】
本明細書で使用される場合、単数形「a(ひとつ)」、「an(ひとつ)」、及び「the(その)」は、文脈が明らかに他のことを示さない限り、複数形も含むことを意図している。本明細書で使用される場合、「comprise(備える)」及び/又は「comprising(備える)」又は「include(含む)」及び/又は「including(含む)」という用語は、記載された特徴、領域、工程の要素及び/又は構成要素の存在を特定するものであるが、1つ以上の別の特徴、領域、整数、工程、操作、要素、構成要素、及び/又はそれらのグループの存在又は追加を排除するものではない。
【0016】
本明細書で使用される場合、「遠位」という用語は、装置を患者に導入するときに医療専門家から最も遠い端を指し、「近位」という用語は、装置を患者に導入するときに医療専門家に最も近い端を指す。
【0017】
様々な実施形態において、本発明は、一般に内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)手術中に内視鏡とは独立して組織の後退及び切断面の視覚化を実施するように構成された装置及びシステムに関する。
【0018】
図1を参照すると、一実施形態では、本発明の装置100は、組織後退/組織牽引(代替的に使用される、又は限定することを意図せず簡潔化のために単に「牽引」と呼ぶ)装置は、様々なコンプライアンス又はセミコンプライアンス材料で形成され又は様々なコンプライアンス又はセミコンプライアンス材料を含む、牽引バンド110(例えば、弾性バンド、テザー、伸縮性の長尺状部材など)を含む。牽引バンド110は、長尺状円筒形の管であり、中空又は中実に形成される。非限定的な例として、そのような材料は、可撓性/伸縮性ゴム、熱可塑性エラストマー(TPE)、プラスチック、ポリエチレンテレフタレート(PET)などを含み得る。第1の取り付け部材112(例えば、ループ、フック、リング、ミニスネアなど)は、牽引バンド110の第1の端部に枢動可能に取り付けられ、及び第2の取り付け部材114(例えば、ループ、フック、リング、ミニ-スネアなど)は、牽引バンド110の第2の端部に枢動可能に取り付けられる。様々な実施形態では、第1及び第2の取り付け部材112,114は、例えば内視鏡器具のワーキングチャンネル内に配置されたときに、圧縮又は折り畳むように構成された様々な可撓性及び/又は圧縮性の材料を含み得る。そのような可撓性/圧縮性の材料の非限定的な例には、可撓性プラスチック、硬質ゴム、形状記憶金属及び/又は合金などが含まれ得る。一実施形態では、第1の取り付け部材112は、第1のスイベル116によって牽引バンド110の第1の端部に枢動可能に取り付けられ、第2の取り付け部材114は、第2のスイベル118によって牽引バンド110の第2の端部に枢動可能に取り付けられる。様々な実施形態では、第1及び第2の取り付け部材112,114は、牽引バンド110の長手軸を中心として旋回、枢動、又は回転すること、又は牽引バンド110の長手軸に対して移動することができる。追加的に又は代替的に、第1及び第2の取り付け部材112,114は、牽引バンド110に対して直交する軸、牽引バンド110に対して平行する軸、及び/又は牽引バンド110に対して直交する軸及び長手軸の間の任意の平面又は配向角度を中心として旋回、又は枢動することができる。以下に説明するように、第1及び第2のスイベル116,118は、標的組織の辺縁部が切開されたときに、標的組織又は体管腔の対向する壁に及ぼされる、ねじりひずみを軽減したり防止したりするように構成される。様々な実施形態において、第1及び第2のスイベルの端部は、当該技術分野で一般に知られているように適切な糊、接着剤、又は樹脂を使用して牽引バンドのそれぞれの端部に取り付けられる。いくつかの実施形態では、第1及び第2のスイベル116,118は、締まりばめによって牽引バンド110の両端に固着される。例えば、それぞれの第1及び第2のスイベル116,118の一部は、牽引バンド110の中空の端部分に配置される。いくつかの実施形態では、第1及び第2のスイベル116,118は、牽引バンド110に一体的に形成される。別の実施形態では、第1及び第2のスイベル116,118は、牽引バンド110内に配置されて牽引バンド110に沿って延びる内部連結要素によって、牽引バンド110の両端に固着される。
【0019】
一実施形態では、牽引バンド110は、第1の姿勢(例えば、弛緩、又は張力がかかっていない姿勢)から第2の姿勢(例えば、延伸した、張力がかかった姿勢)に移動(例えば、伸長)するように構成される。非限定的な例として、牽引バンド110が第1の姿勢にあるとき、約2.5から4.5cmの長さを有し、約15.00cmの最大の長さを有する第2の姿勢に移動し得る。
【0020】
図2A~2Bを参照する。一実施形態では、フィラメント120(例えば、ワイヤ、コネクタ、バンドなど)は、牽引バンド110の長さの全体又は一部に沿って(例えば、第1及び第2のスイベルの間116,118を牽引バンドの長手軸に沿って)配置される。様々な実施形態では、フィラメント120は、適切な糊、樹脂、又は接着剤を使用して牽引バンド110の外面に取り付けられる。追加的に又は代替的に、フィラメントは、牽引バンド110を含む材料内に埋め込まれ、又は牽引バンド110を含む材料に一体的に形成される。いくつかの実施形態では、フィラメント120は、第1及び/又は第2のスイベル116,118に固着される。
【0021】
一実施形態では、フィラメント120は、牽引バンド110が伸長し得る最大長さを制限するように構成されたほぼ非コンプライアンス(例えば、剛性又は非伸縮性)材料を含有する。フィラメント120は、所定の破断点を超えて牽引バンド110が過度に伸長されることを防止し得る。そのような非コンプライアンス材料の非限定的な例には硬質プラスチック、非コンプライアンスゴム又はポリマー、金属などが含まれ得る。別の実施形態では、フィラメント120は、伸長されたときに牽引バンド110によって付与される牽引力を増加させる(例えば、追加する)ように構成されたほぼコンプライアンス又はセミコアンプライアンス材料を含む。
【0022】
図2A~2Bは、牽引バンド110の長さに沿って直線状の構成で(例えば、伸長されたとき)配置された単一のフィラメント120を示すが、様々な実施形態では、複数のフィラメントは、様々なパターン及び/又は形態で(例えば、ジグザグパターン、編まれたパターン、牽引バンドを中心としてらせん状に巻回されている)牽引バンドに沿って配置され得る。
【0023】
図3A~3Bを参照する。一実施形態では、本発明の組織牽引装置100は、第1の内視鏡器具130とともに使用するように構成される。様々な実施形態において、第1の内視鏡器具130は、可撓性の長尺状シース134(例えば、カテーテルなど)の近位端に操作可能に取り付けられたハンドル132と、可撓性の長尺状シース134の遠位端に着脱自在に取り付けられた第1の組織クリップ136とを含む。第1の内視鏡器具130は内視鏡、気管支鏡、結腸鏡、十二指腸鏡、尿管鏡、カテーテル、診断又は治療の器具又は装置、又は別のタイプの医療装置とともに使用するように構成することができる。一実施形態では、第1の組織クリップ136は、第1の姿勢(例えば、閉鎖)及び第2の姿勢(例えば、開放)の間でハンドル132の作動時に移動するように構成された、第1及び第2のアーム、すなわちジョー136a,136bを含む。様々な実施形態では、閉鎖姿勢において、第1の組織クリップ136のアーム、すなわちジョー136a,136bは、体管腔内の標的組織160、例えば胃腸(GI)管の標的組織に係合し得る。様々な追加的な実施形態では、ハンドル132をさらに作動させて、第1の組織クリップ136をシース134の遠位端から切り離す(例えば、離脱させる)ことができ、第1の内視鏡器具130が患者の体内から除去された後、第1の組織クリップ136は、標的組織160に係合した状態に維持される。
【0024】
一実施形態では、本発明にかかる組織牽引システム200は、可撓性長尺状部材140(例えば、内視鏡;図4A~4B)のワーキングチャンネル内に摺動可能に配置された第1の内視鏡器具130を含む。例えば、シース134は、患者の体内にクリップ136を配備するために内視鏡のワーキングチャンネル内を通過して延びる。上記のように、第1の内視鏡器具130は、可撓性の長尺状シース134の遠位端に取り付けられた第1の組織クリップ136を含む。一実施形態では、本発明の組織牽引装置100は、可撓性の長尺状部材140のワーキングチャンネル内の第1の組織クリップ136に取り付けられる。例えば、本発明の組織牽引システム200は、可撓性の長尺状管状部材140のワーキングチャンネル内の第1の内視鏡器具を前進させることによって組み付けられるため、第1の内視鏡器具130のシース134の遠位端に取り付けられた第1の組織クリップ136は、可撓性の長尺状管状部材140の遠位端を越えて遠位方向に延びる。第1の内視鏡器具130のハンドル132が作動されて、例えば、第1及び第2のアーム136a、136bがY字形状に開放/分離されるように、第1の組織クリップ136を第1の姿勢から第2の姿勢に移動させる。次に、第1又は第2のアーム136a,136bのいずれか一方は、組織牽引装置100の第1の取り付け部材112の開口部を貫通して前進される。次に、ハンドル132が作動されて例えば、第1の組織クリップ136及び組織牽引装置100が長尺状管状部材140のワーキングチャンネル内に配置(例えば、保護、シールド、隠蔽)されるように、第1の組織クリップ136を第2の位置から第1の位置に移動させ、かつ、第1の内視鏡器具130を近位方向に後退させて、長尺状管状部材のワーキングチャンネル内に組織クリップ及び組織牽引装置を装填する。
【0025】
図4Aを参照する。組織牽引システム200は、次に、患者の体管腔及び標的組織160に隣接して配置された可撓性の長尺状管状部材140の遠位端を通過して前進される。次に、第1の内視鏡器具130は、ワーキングチャンネル内を通過して遠位方向に前進されて、長尺状管状部材140の遠位端を越えて組織後退装置100及び組織後退装置100に取り付けられた第1の組織クリップ136を配置する。次に、ハンドル132を作動させて、第1の組織クリップ136を第1の姿勢から第2の姿勢に移動させて、開放されたアーム136a,136bを標的組織160の表面に接触して配置する(例えば、第1又は第2のアーム136a,136bのうちのいずれか一方は、組織牽引装置100の第1の取り付け部材112の開口部内を貫通して延びる)。次に、ハンドル132を作動させて、第1の組織クリップ136を第2の姿勢から第1の姿勢に移動させて、第1の組織クリップ136及び第1の組織クリップ136に取り付けられた組織牽引装置100の第1の取り付け部材112を標的組織160に係合する(例えば、クランプする)。一実施形態では、第1の組織クリップ136は、手術が実施される標的組織160の部分(例えば、解剖される組織)に直接係合される。代替的には、第1の組織クリップ136は、手術が実施される部分(例えば、切開される部分)に隣接する標的組織160に係合される。次に、ハンドル132を作動させて、第1の組織クリップを第1の内視鏡器具130のシース134から離脱させる。
【0026】
一実施形態では、次に、第1の内視鏡器具130は、可撓性の長尺状管状部材140のワーキングチャンネル内から引き抜かれ、第2の組織クリップ137が、シース134の遠位端に取り付けられる。次に、第1の内視鏡器具130をワーキングチャンネル内を通過して前進させて戻し、第2の組織クリップ137を可撓性の長尺状管状部材140の遠位端を越えて配置する。次に、第1の内視鏡器具130のハンドル132を作動させて、第2の組織クリップ137を第1の姿勢から第2の姿勢に移動すると、例えば、第1及び第2のアーム137a、137bはY字型に開放/分離される。次に、第1又は第2のアーム137a,137bのいずれか一方を体管腔内の組織牽引装置100の第2の取り付け部材114の開口部内を貫通して前進させる。次に、第2の組織クリップ137の第1又は第2のアーム137a,137bに係合した組織牽引装置100の牽引バンド110が第1の姿勢から延伸/伸長された第2の姿勢に移動するように、第1の内視鏡器具130をワーキングチャンネル内を通過して遠位方向に前進させる。次に、第2の組織クリップ137のアーム137a,137bを標的組織160の反対側の体管腔の壁に接触して配置する。次に、ハンドル132を作動させて、第2の組織クリップ137を第2の姿勢から第1の姿勢に移動して、第2の組織クリップ137及び第2の組織クリップ137に取り付けられた組織牽引装置100の第2の取り付け部材114を標的組織160の反対側の体管腔の壁に係合させる(例えば、クランプする)。次に、ハンドル132を作動させて、第2の組織クリップ137を第1の内視鏡器具130のシース134から離脱して、標的組織160を組織牽引装置100の伸長された牽引バンド110による張力/牽引下に置く。牽引バンド110は、約15.00cmの最大の第2の(例えば、延長された)長さを有し得るが、様々な実施形態では、約8.0から9.0cmの第2の長さを有する牽引バンドで十分な牽引力を形成することができる。
【0027】
様々な実施形態では、第1の内視鏡器具130は、次に、長尺状管状部材140のワーキングチャンネルから除去され(取り除かれ)て、第2の内視鏡器具170がワーキングチャンネル内を通過して前進されて、第2の内視鏡器具の遠位端に取り付けられた第2の医療機器175(例えば、電気メスナイフ、切除器具など)を標的組織160に隣接して配置する。次に、組織牽引装置100が標的組織160に張力/牽引を付与している間に、第2の医療装置175を使用して標的組織160に手術を実施する(例えば、標的組織を解剖する)。例えば、組織牽引装置100は、切断面から離間する方向に、及び、可撓性の長尺状管状部材140の遠位端からの視覚化を妨害/遮断することなく張力/牽引を付与することができる。
【0028】
図4Bを参照する。一実施形態では、牽引の方向、角度、又は量は、第3の組織クリップ138を使用して手術中に調整することができる。例えば、第3の組織クリップ138が第1の内視鏡器具130のシース134の遠位端に取り付けられて、第1の内視鏡器具が長尺状管状部材140の第2のワーキングチャンネル内を通過して前進されて、長尺状管状部材140の遠位端を越えて第3の組織クリップ138を配置する。次に、第1の内視鏡器具130のハンドル132を作動させて、第3の組織クリップ138を第1の姿勢から第2の姿勢に移動すると、第1及び第2のアーム138a,138bは、Y字形状に開放/分離される。次に、第1の内視鏡器具130を操作して、第3の組織クリップ138の第1及び第2のアーム138a,138bの間に、伸長された牽引バンド(例えば、第1及び第2の組織クリップ136,137によって体管腔の壁に係合された)を配置する。次に、第3の組織クリップ138のアーム138a,138bは、標的組織160とは反対側の体管腔の壁の別の部分/第2の部分と接触して配置され、体管腔の壁の別の部分/第2の部分に向かって牽引バンド110の一部を引いて、標的組織160に対して牽引力を付与する。次に、ハンドル132を作動させて、第3の組織クリップ138を第2の姿勢から第1の姿勢に移動させて、第3の組織クリップ138(ならびに牽引バンド110)を標的組織160とは反対側の体管腔の壁の別の部分/第2の部分に係合(例えば、クランプ)させる。次に、ハンドル132を作動させて、第3の組織クリップ138を第1の内視鏡器具130のシース134から離脱させることにより、標的組織に対して異なる方向又は平面方向に牽引力を付与し得る。
【0029】
図5A,5Bを参照する。別の実施形態では、牽引力の方向、角度、又は量は、第3の組織クリップを使用すること及び牽引バンドの第2の端部(標的組織に結合された第1の端部の反対側)の位置を移動することによって手術中に調整することができる。様々な実施形態では、第1の取り付け部材212(第1の取り付け部材212内を貫通して延びる第1の組織クリップ236のジョーとともに断面で示す)が、例えば第1の組織クリップ236を介して標的組織160に結合されると、牽引バンド210の第2の端部は、牽引バンド210の第2の端部の第2の取り付け部材214を標的組織160の反対側の体管腔の壁の別の部分/第2の部分に結合して標的組織160に牽引力を付与するように延伸される。図5A,5Bに示すように、1つ以上の第2の取り付け部材210は、牽引バンドの第2の端部に直接又は間接的に連結される。図5Aには、牽引バンド210の第2の端部に連結され得るフープ又はループ形状などの少なくとも2つの取り付け部材210a,214bを備えた組織牽引装置200が示されている。図5Bには、各取り付け部材214a’,214b’は、それぞれのステム215a,215bを介して牽引バンド210に結合されている。ステムを備える又は備えない追加的な取り付け部材が設けられてもよいし、ステムを含む又は含まない追加的な取り付け部材は、実施形態の図示を簡潔にすることだけを目的として示されていないのであって、発明を限定することを意図していない。第1の取り付け部材214a,214a’は、最初に、第1の固定する組織姿勢に結合される(図4Aに示したものと同様に)。牽引力を変更する必要がある場合には、第3のクリップ(図4Bを参照して説明した第3クリップ138など)が使用され、取り付け部材215b,215b’などの牽引バンドの第2の端部で、異なる取り付け部材(取り付け部材214a,214a’など)に係合する。次に、牽引バンドの第2の端部にある第1の取り付け部材が、取り付け部材214aのループ(図5Aに示す実施形態など)、又は取り付け部材214’aを牽引バンド210(図5Bに示す実施形態など)に連結するステム要素215aのいずれかを介して切断される。次に、第3のクリップ及び次の取り付け部材は、体管腔の壁の別の部分/第2の部分に係合して、異なる方向/角度から、又は増大させた張力などにより標的組織160に対して牽引力を付与する。
【0030】
様々な実施形態において、組織牽引装置の第2の端部に連結された複数の取り付け部材は、互いに独立して、及び/又は組織牽引装置に別々に連結される。したがって、各取り付け部材は、他の部材とは独立して機能し得る。いくつかの実施形態では、複数の取り付け部材のうちの1つ以上は、取り付け部材が組織牽引装置の長手軸に対して旋回、又は回転、又は移動することができるスイベルの接続を介して組織牽引装置に連結される。
【0031】
様々な実施形態において、例えば、本明細書に援用される、2018年3月19日に出願され、「組織後退装置及び送達システム」という表題で出願された米国特許出願公開第2018/0263614号明細書に記載された位置合わせ部材などのオーバーチューブは、本発明にしたがって形成された組織牽引装置の牽引バンドの少なくとも一部上に設け得る。図6では、オーバーチューブ380は組織牽引装置300の牽引バンド310(牽引力を付与するために延伸された形態で示されている)上に設けられる。オーバーチューブ380は、例えば組織牽引装置300がワーキングチャンネル内を通過して前進及び/又は操作される間に、牽引バンド310の牽引バンド310自体への折り畳み又は巻き付け(例えば、それ自体に折り返される)を阻害又は防止することなどにより、可撓性長尺状部材140のワーキングチャンネル内を通過して組織牽引装置300の送達を容易にするために設けられる。オーバーチューブ380は、組織牽引装置310の前進中に、牽引バンド310の大部分又は全体を覆ってもよい。しかしながら、第1の組織クリップ336を用いるなどして、第1の取り付け部材312(第1の組織クリップ336内を通過して延びる第1の組織クリップ336のジョーとともに断面図に示す)が標的組織160に結合されて、牽引バンド310の第2の端部が標的組織160の反対側の体管腔の壁の別の部分/第2の部分に結合されて標的組織160に牽引力を付与するために延伸されると、牽引バンド310は、図6に示すように、オーバーチューブ380の端部を越えて延び得る。様々な実施形態では、オーバーチューブは、(牽引バンド、又は取り付け部材を牽引バンド又は組織牽引装置の別の端部要素に結合するスイベルに)圧着すること、接着剤、又は当業者に知られている別の接続などによって、組織牽引装置300の第1の端部に隣接して固定される(例えば、第1の取り付け部材を標的組織に取り付けるために、第1のクリップ336が予め装填され又は後で結合される第1の取り付け部材312に隣接して)。このような固定は、標的組織が内視鏡の上に配置されている場合など、オーバーチューブを確実に配置するために役立つ場合がある。
【0032】
様々な実施形態では、第1の組織クリップ136,336は、手術が実施される標的組織160(例えば切除される組織)の部分に直接係合され、手術の完了後(例えば、組織が解剖された後)、第2の組織クリップ137(又は第2及び第3の組織クリップ137,138)は、体管腔に対向する壁から取り外される。いくつかの実施形態では、クリップアームは、組織クリップのアームを外すために、ジョー及び/又は近位端のいずれか一方に十分な量の力を付与することにより(例えば、鉗子などを使用して)分離される。次に、切除された標的組織160及び取り付けられた組織クリップは、長尺状管状部材140のワーキングチャンネル内を通過して患者の体内から除去される。代替的には、牽引バンド110,210,310、又はスイベル116,118は切断され(例えば、第2の医療機器175を使用して)、第2の組織クリップ(又は、第2及び第3の組織クリップ137,138)は体管腔内に留置されて身体の自然な経過によって患者の体内から除去される。又は、第2の取り付け部材114,214a,214b,214a’,214b’,314,又はそれらのステム215a,215bが切断されて、組織牽引装置200,300をそこから離脱させることができる。
【0033】
本発明は、第1の内視鏡器具130の第1の組織クリップ136,236,336に取り付けられ、及び、長尺状管状部材140のワーキングチャンネル内に装填/予め装填される、組織牽引装置100,200,300に限定されない。様々な実施形態では、組織後退装置及び組織クリップの組み立てに含まれるいくつかの工程は、患者の体外で起こるが、組織後退装置及び組織クリップの組み立てに含まれるいくつかの別の工程は、患者の体内で起こる。これらの工程のうちの任意の工程又はすべて工程の特定の順序及び/又はタイミングは、本発明の説明に限定されず、医学的な処置の前、最中、又は後の様々な異なる工程において実施されてもよい。例えば、一実施形態では、本発明の組織牽引装置100,200,300は、第1の内視鏡器具130の可撓性の長尺状シース134内に装填され、長尺状管状部材140のワーキングチャンネル内を通過して進められ、シース134内の第1の組織クリップ136,236,336を遠位方向に前進させることにより体管腔内に留置される。次に、組織牽引装置100,200,300の第1及び第2の取り付け部材112,114,214a,214b,214a’,214b’,314は、体管腔内でそれぞれの第1及び第2の組織クリップ136,137,236,336によって係合され、上記のように標的組織及び体管腔の対向する壁に係合される(例えば、クランプされる)。代替的には、本発明の組織牽引装置100,200,300は、生検キャップ内に予め装填される。予め装填された生検キャップは、長尺状管状部材140の近位端に固定され、次いで、長尺状管状部材140の遠位端でワーキングチャンネルを密封するために長尺状管状部材の外面上/長尺状管状部材の外面に沿って遠位方向に前進される。次に、生検ポート及び組織牽引装置100,200,300は、第1の組織クリップ136,236,336を使用して体管腔内で生検キャップから取り外される。
【0034】
様々な実施形態では、本発明の第2の医療器具は、組織切除要素(例えば、電気メスナイフなど)に限定されず、牽引下で標的組織を操作するように構成された様々な医療器具(例えば、切除要素、生検針、注射針、はさみ、グラスパーなど)を含んでもよい。
【0035】
様々な追加の実施形態では、本発明の牽引バンドは、長尺状(例えば、長方形)及び/又は平面(例えば平坦)形態に限定されず、様々な異なる形状及び/又は構成を含んでもよい。例えば、本発明の牽引バンドは、コイル状又はらせん状を含み;円形、長方形、又は球形;正方形;三角形などの形状を含んでもよい。
【0036】
様々な追加の実施形態では、第1及び第2の取り付け部材112,114,212,214,312,314は、開示された組織牽引装置を体管腔の壁に固定/係合するように構成された、様々な異なる止血クリップ(例えば、レゾルーション(Resolution)(登録商標)クリップ、ボストンサイエンティフィックコーポレーション、マサチューセッツ州マールボロ)及び非止血クリップに係合することができる。例えば、開示された組織牽引装置とともに使用することが企図される組織クリップは、ハンドルアセンブリによる作動時に、閉鎖形態/クランプ形態に移動するように構成された、自然に開放された形態/付勢された形態を含み得る。追加的又は代替的に、開示された組織牽引装置とともに使用することが企図される組織クリップは、ハンドルアセンブリによる作動時に、開放形態に移動するように構成された、自然に閉鎖された形態/付勢された形態を含んでもよい。追加的に又は代替的に、開示された組織クリップ以外の留め具を使用して、開示された組織牽引装置の第1及び第2の取り付け部材を体管腔の壁に固定/係合してもよい。留め具の例には、限定ではないが、2019年5月14日に出願され、「組織クリップ装置、システム、及び引き込み方法」という表題がつけられた米国優先出願仮特許出願番号第62/847,599号、2018年3月19日に出願され、「組織後退装置及び送達システム」という表題がつけられた米国特許出願公開第2018/0263614と併せて、2017年5月16日に出願され、「組織後退装置及び搬送システム」という表題がつけられた米国優先出願仮特許出願番号第62/506,780号、2017年3月20日に出願され、「組織後退装置」という表題が付けられた米国優先出願仮特許出願番号第62/437,957号、及び2018年3月19日に出願され、「組織後退装置及び搬送システム」という表題が付けられた米国特許出願公開番号第15/925,110号、2019年10月30日に出願され、「組織に係合するためのクリップ装置、システム、及び方法」と表題がつけられた米国特許出願公開番号第2020/0129181号、及び、2011年11月22日に発行され、「内視鏡的止血クリッピング装置」と表題がつけられた米国特許第8,062,311号と併せて、本願と同日付で出願され、「組織クリップ装置、システム、及び牽引方法」という表題がつけられた米国特許出願公開番号第_____________号明細書、[弁護士整理番号8150.0596]に記載されたものが含まれ、これらはすべて、参照によりその全体が本明細書に援用され、及び全ての目的のために本明細書に援用される。これらの特許及び特許出願の他の要素及び態様、ならびに本願と同日付で出願され、「組織牽引のための組織牽引バンド及び方法」という表題がつけられた米国特許出願番号第__________号明細書[弁護士整理番号8150.0603]、及び本願と同日付で出願され、「テザー牽引システム及びその使用方法」と表題がつけられた米国特許出願番号第__________号明細書[弁護士整理番号8150.0567]は、全ての目的のために参照によりその全てが本明細書に援用され、本発明に係る装置及び方法を補足し、及び本発明に係る装置及び方法とともに使用できる。
【0037】
本明細書に開示され、かつ、特許請求されたすべての装置及び/又は方法は、本明細書に照らして過度の実験なしに製造及び実行することができる。本発明の装置及び方法は、好ましい実施形態に関して説明されているが、本発明の概念、趣旨及び範囲から逸脱することなく、本明細書に発明された装置及び/又は方法、並びに、工程、又は工程の順番に変更を適用できることは当業者であれば理解できる。当業者に明らかなそのような類似の代替物及び改変はすべて、添付の特許請求の範囲によって定義される発明の趣旨、範囲、及び概念の範囲内であると見なされる。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
【手続補正書】
【提出日】2023-03-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部を貫通するワーキングチャンネルを画定する可撓性の長尺状管状部材と、
前記ワーキングチャンネル内に配置される第1の器具であって、遠位端に取り付けられた第1の組織クリップを含む前記第1の器具と、
前記ワーキングチャンネル内に配置される組織牽引装置であって、前記組織牽引装置の第1の取り付け部材が前記第1の組織クリップに係合される、前記組織牽引装置とを備える、組織牽引システム。
【請求項2】
前記第1の組織クリップは、前記組織牽引装置の前記第1の取り付け部材に対して着脱自在に取り付け可能である、請求項1に記載の組織牽引システム。
【請求項3】
前記組織牽引装置の第1の端部にある前記第1の組織クリップは、体管腔内に配置可能であり、第2の組織クリップは、前記体管腔内に配置可能であり、且つ前記組織牽引装置の前記第1の端部に対向する第2の端部に取り付け可能である、請求項1または2に記載の組織牽引システム。
【請求項4】
第3の組織クリップは、前記体管腔内に配置可能であり、且つ前記組織牽引装置の一部に取り付け可能である、請求項1~3のいずれか一項に記載の組織牽引システム。
【請求項5】
前記組織牽引装置は、コンプライアンス又はセミコンプライアンスの材料を含む牽引バンドを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の組織牽引システム。
【請求項6】
前記第1の取り付け部材は第1のスイベルによって前記牽引バンドの第1の端部に枢動可能に取り付けられており、
第2の取り付け部材は第2のスイベルによって前記牽引バンドの第2の端部に枢動可能に取り付けられている、請求項5に記載の組織牽引システム。
【請求項7】
前記第1及び前記第2の取り付け部材は、それぞれ前記第1及び前記第2のスイベルを介して前記牽引バンドの長手軸を中心として旋回する、請求項6に記載の組織牽引システム。