(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023059994
(43)【公開日】2023-04-27
(54)【発明の名称】人形型玩具
(51)【国際特許分類】
A63H 33/00 20060101AFI20230420BHJP
A63H 3/00 20060101ALI20230420BHJP
【FI】
A63H33/00 301Z
A63H3/00 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023029189
(22)【出願日】2023-02-28
(62)【分割の表示】P 2021099582の分割
【原出願日】2017-07-12
(71)【出願人】
【識別番号】000135748
【氏名又は名称】株式会社バンダイ
(72)【発明者】
【氏名】誉田 恒之
(72)【発明者】
【氏名】門奈 ひかる
(57)【要約】
【課題】組み立てられた形状に制約が少ない人形型玩具を提供する。
【解決手段】収容体11に収容された複数の部品を有し、複数の部品の少なくとも一部および収容体11の少なくとも一部により人形を形成可能であり、収容体11の一部で下半身部分30の少なくとも一部を形成する。このため、組み立てられる人形型玩具10Aの形状の制約を少なくすることが可能になる。これにより、組み立て後の形状に制約が少ない人形型玩具10Aを提供することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空の収容体と、
前記収容体に収容される複数の部品とを有し、
前記複数の部品の少なくとも一部および前記収容体の少なくとも一部により人形を形成可能であり、
前記収容体の一部は前記人形の下半身部分の少なくとも一部を形成する人形型玩具。
【請求項2】
請求項1に記載の人形型玩具であって、
前記収容体の一部がスカートを模している人形型玩具。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の人形型玩具であって、
前記収容体に軟質シートが収容されている人形型玩具。
【請求項4】
請求項3に記載の人形型玩具であって、
前記収容体の表面にスリットが形成されている人形型玩具。
【請求項5】
請求項1に記載の人形型玩具であって、
前記部品には上半身部分を形成する部品が含まれており、当該上半身部分を形成する部品の背中面にはスリットが形成されている人形型玩具。
【請求項6】
下半身部分の少なくとも一部が物品を収容可能な収容体の少なくとも一部を形成する人形型玩具。
【請求項7】
下半身部分の少なくとも一部を組み換えることにより物品を収容可能な収容体の少なくとも一部を形成できる人形型玩具。
【請求項8】
物品を収容可能な収容体の少なくとも一部が下半身部分の少なくとも一部を形成している人形型玩具。
【請求項9】
物品を収容可能な収容体の少なくとも一部を組み換えることにより下半身部分の少なくとも一部が形成されている人形型玩具。
【請求項10】
請求項6乃至9のいずれか一項記載の人形型玩具であって、
前記収容体には下半身部分以外の部分の少なくとも一部が収容可能である人形型玩具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人形型玩具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、略球状のカプセル(収容体)に各種部品を収納して販売し、購入者はカプセルから各種部品を取り出した後、カプセル自身も部品として用いて組み立てて遊ぶ組み立て玩具が知られている(特許文献1参照)。
特許文献1に記載された組立玩具では、略球状のカプセルの内部に一対の腕部材や脚部材が収容されており、取り出した腕部材や脚部材をカプセルに設けられている係合孔に係合させて組み立てる。この際、カプセル自体を、頭部及び胴体部として用いている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前述したような組立玩具においては、カプセルに収容されている頭部以外の部品は、頭部となるカプセルよりも小さくせざるを得ない。このため、組み立てられる人形玩具は、頭部以外の部分が小さいデフォルメされたものに形状が制限されており、例えば人間に近いリアルな人形玩具を形成することができないという問題があった。
【0005】
本発明は、組み立て後の形状に制約が少ない人形型玩具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る人形型玩具は、中空の収容体と、前記収容体に収容される複数の部品とを有し、前記複数の部品の少なくとも一部および前記収容体の少なくとも一部により人形を形成可能であり、前記収容体の一部は前記人形の下半身部分の少なくとも一部を形成することを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る人形型玩具においては、前記収容体の一部がスカートを模していてもよい。
【0008】
また、本発明に係る人形型玩具においては、前記収容体に軟質シートが収容されていてもよい。
【0009】
また、本発明に係る人形型玩具においては、前記収容体の一部の表面にスリットが形成されていてもよい。
【0010】
また、本発明に係る人形型玩具においては、前記部品には上半身部分を形成する部品が含まれており、当該上半身部分を形成する部品の背中面にはスリットが形成されていてもよい。
【0011】
また、本発明に係る人形型玩具は、下半身部分の少なくとも一部が物品を収容可能な収容体の少なくとも一部を形成する。
【0012】
また、本発明に係る人形型玩具は、下半身部分の少なくとも一部を組み換えることにより物品を収容可能な収容体の少なくとも一部を形成できる。
【0013】
また、本発明に係る人形型玩具は、物品を収容可能な収容体の少なくとも一部が下半身部分の少なくとも一部を形成している。
【0014】
また、本発明に係る人形型玩具は、物品を収容可能な収容体の少なくとも一部を組み換えることにより下半身部分の少なくとも一部が形成されている。
【0015】
また、本発明に係る人形型玩具において、前記収容体には下半身部分以外の部分の少なくとも一部が収容可能であるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、組み立て後の形状に制約が少ない人形型玩具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の第1実施形態である人形型玩具の全体構成を示す斜視図である。
【
図2】複数の部品(物品)を収容している収容体の外観を示す斜視図である。
【
図3】収容体を分解して収容している複数の部品(物品)を取り出した状態を示す斜視図である。
【
図4】本発明の第1実施形態である人形型玩具の分解斜視図である。
【
図5】(A)は分解された収容体を用いてスカートを形成する状態を示す一部断面の正面図であり、(B)は形成されたスカートを示す一部断面の断面図である。
【
図6】本発明の第2実施形態である人形型玩具の全体構成を示す斜視図である。
【
図7】複数の部品(物品)を収容している収容体の外観を示す斜視図である。
【
図8】(A)は支持部材の内面を示す斜視図であり、(B)はスリット位置における断面図である。
【
図9】収容体を分解して収容している複数の部品(物品)を取り出した状態を示す斜視図である。
【
図10】本発明の第2実施形態である人形型玩具の分解斜視図である。
【
図11】(A)は上半身の背中面を示す背面図であり、(B)は上半身に上半身用布を取付ける状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(第1実施形態)
まず、本発明の第1実施形態について説明する。
図1は、本発明の第1実施形態を説明するための、人形型玩具の全体構成を示す斜視図である。
【0019】
図1に示すように、人形型玩具10Aは、上半身部分20、上半身部分20の下側には下半身部分30、上半身部分20の上側には首25を介して頭部40が設けられている。
【0020】
上半身部分20は、人形の胴部であり衣服23が着せられ首25を有する上半身21と、上半身21に取り付けられている左右一対の腕部22とを有する。上半身21、腕部22及び衣服23ははじめから一体に形成されていてもよい。
なお、腕部22は、上半身21に固定されて動かないものであってもよいが、回転等の移動ができるようになっていてもよい。
【0021】
下半身部分30は、人形型玩具10Aを支える部分であり、スカート部材31により構成されている。スカート部材31は、第1スカート部材311、第2スカート部材312及び第3スカート部材313を有しており、それぞれ内部は空洞となっている。スカート部材31は、例えば、第1スカート部材311を最も下部にして、第1スカート部材311の上側に第2スカート部材312を重ね、さらに第2スカート部材312の上側に第3スカート部材313を重ねることで形成されて、全体として下側が広がった形状となっている。
【0022】
第1スカート部材311、第2スカート部材312及び第3スカート部材313の表面には、柔らかなスカートらしさを表現するために、多数のひだや模様が付されている。第1スカート部材311、第2スカート部材312及び第3スカート部材313は、プラスチックのようなある程度の強度を有する硬質の部材であり、人形型玩具10Aが転倒しないように支持する。
【0023】
頭部40は収容体11の一部を用いて表現するものではないので、頭部40の大きさは、収容体11に収容できる大きさであればよい。したがって、頭部40は、人間の全身に対する頭部の比率に近い比率となるような大きさとすることもできる。
【0024】
図2は、物品として人形型玩具の複数の部品を収容した収容体の外観を示す斜視図であり、
図3は、収容体を分解して収容している複数の部品(物品)を取り出した状態を示す斜視図である。
図2に示すように、収容体11は、中にすべての部品を収容して略球状に接合された容器であり、この形状で自動販売機等により販売される。収容体11は、最も内部空間が大きな第1スカート部材311と、次いで大きな内部空間を有する第2スカート部材312により形成されている。別言すれば、人形型玩具10Aの下半身部分30の一部である第1スカート部材311と第2スカート部材312が収容体11の少なくとも一部を形成しており、さらに別言すれば、下半身部分30の一部である第1スカート部材311と、第2スカート部材312を組み換えることにより収容体11の少なくとも一部を形成できるようになっている。
【0025】
図2及び
図3に示すように、第1スカート部材311の下部開口311aの外径と、第2スカート部材312の下部開口312aの外径とは略同じである。
図3に示すように、第1スカート部材311の下部開口311aには、複数個(ここでは、例えば3個)の突起311bが下部開口311aに沿って円弧状に設けられている。第1スカート部材311の外表面には、前述した模様が付されている。また、第1スカート部材311の頂部には、球状面311cが形成されている。
【0026】
一方、第2スカート部材312の下部開口312aには、第1スカート部材311の突起311bに対応して、複数個の溝312bが円弧状に設けられている。溝312bの幅は、突起311bの幅に等しいか、若干小さめとなっている。したがって、第1スカート部材311の下部開口311aと、第2スカート部材312の下部開口312aを接合して、第1スカート部材311の突起311bを第2スカート部材312の溝312bに押し込むことにより、第1スカート部材311と第2スカート部材311を略球状に接合し、収容体11とすることができる(
図2及び
図4参照)。つまり、別言すれば、下半身部分30の一部である第1スカート部材311と、第2スカート部材312を組み換えることにより収容体11の少なくとも一部を形成できるようになっている。また、第2スカート部材312の頂部内側には、円筒部312cが設けられている。円筒部312cの先端面(下端面)には、内側に向かって上昇するような斜面が設けられている(
図5(A)及び
図5(B)参照)。
【0027】
第2スカート部材312は、球面状で模様が設けられていない頂部312gを有しており、頂部312gの下側(第2スカート部材312の下部開口312aの縁部周り)には、模様が付されている。模様の上端面312fは、一定幅を有している(
図4参照)。
【0028】
図3に示すように、第3スカート部材313は収容体11に収容されている。したがって、第3スカート部材313は、第1スカート部材311及び第2スカート部材312よりも小型である。そして、第3スカート部材313は、第2スカート部材312の上側に重ねられて人形の下半身部分30を構成する(
図4参照)。また、本実施形態では、第3スカート部材313は、第2スカート部材312を球形と見たときの径よりも大きな径の球形の一部である(
図4参照)。また、第3スカート部材313の頂部には、例えば円形の上半身用取付孔313aが設けられている。
【0029】
また、頭部40も収容体11に収容されている。頭部40の下端部には、上半身部分20の首25に取り付けるための頭部取付孔(図示省略)が設けられている。
【0030】
図3に示すように、上半身部分20も収容体11に収容されている。別言すれば、収容体11には、下半身部分30以外の部分の少なくとも一部が収容可能である。さて、上半身部分20の首25には、上方に突出する頭部取付用突部251が設けられている。頭部取付用突部251は、円柱状もしくは円筒状をしており、その外径は、頭部40の下端部に設けられている取付孔(図示省略)と同じか、若干大きく形成されている。
なお、頭部取付用突部251は、円形断面以外の例えば楕円形や多角形の断面を有する柱状の部材とすることもできる。特に、首25に取り付ける頭部40の向きを限定する際には、多角形の部材が好適である。
【0031】
また、上半身21の下端面から下方に向けて、上半身取付用突部211が設けられている。上半身取付用突部211は、円柱状もしくは円筒状をしており、その外径は、第3スカート部材313に設けられている上半身用取付孔313aの内径と同じか、若干大きく形成されている。
なお、上半身取付用突部211は、円形断面以外の例えば楕円形や多角形の断面を有する柱状の部材とすることもできる。特に、下半身部分30に対する上半身21の向きを限定する際には、楕円形や多角形の部材が好適である。
【0032】
次に、人形型玩具10Aの組み立て方について説明する。
図4は人形型玩具の分解斜視図であり、
図5(A)は第1スカート部材311に第2スカート部材312を重ねる前の状態を示す一部断面の正面図であり、
図5(B)は第1スカート部材311に第2スカート部材312を重ねた状態を示す一部断面の正面図である。
【0033】
図4及び
図5(A)に示すように、下部開口311aが下になるように載置した第1スカート部材311の上に、同じく下部開口312aを下にして第2スカート部材312を載せる。このとき、第2スカート部材312の円筒部312cを、第1スカート部材311の球状面311cの上面に載置して、第1スカート部材311に対する第2スカート部材312の位置決めをする。第2スカート部材312の円筒部312cの下端面には、内側に向かって上昇するような傾斜312eが付けられているので、第1スカート部材311の球状面311cに載置した際に、安定して重ねることができる。
【0034】
そして、第2スカート部材312の上に第3スカート部材313を重ねる(
図5(B)参照)。第2スカート部材312の模様の上端面312fは、第3スカート部材313の模様の下端面と同様の形状をしており、第3スカート部材313の下端部の厚みと同等の高さを有している。このため、第3スカート部材313を第2スカート部材312の頂部312gに載せると、第3スカート部材313は模様の上端面312fによって位置決めされて支持されるとともに、第2スカート部材312と第3スカート部材313とは、模様がスムーズに連続する。
【0035】
次いで、
図4に示すように、下半身部分30の最も上に位置する第3スカート部材313の上半身用取付孔313aに、上半身21の上半身取付用突部211を挿嵌して取り付ける。
最後に、首25の頭部取付用突部251に頭部40の頭部取付孔(図示省略)を外嵌して、頭部40を取付ける。
【0036】
次に、第1実施形態に係る人形型玩具10Aの作用、効果について説明する。
第1実施形態に係る人形型玩具10Aは、収容体11に収容された複数の部品を有し、複数の部品の少なくとも一部および収容体11の少なくとも一部により人形を形成可能であり、収容体11の一部が下半身部分30(本実施形態においてはスカート部材31)の少なくとも一部を形成している。別の表現をすれば、下半身部分30を形成する収容体11の一部として、下半身部分30を形成している状態において、水平面での断面積が、上半身部分20から離れる方向(下方)に向かうにつれて、上半身部分20から離れる方向(下方)に向かう少なくとも初期の段階において、大きくなるような収容体11の一部、すなわち、第1スカート部材311、第2スカート部材312を用いている。
このため、第1実施形態に係る人形型玩具10Aにおいては、組み立てられる人形型玩具10Aの形状の制約を少なくすることが可能になる。これにより、組み立て後の形状に制約が少ない人形型玩具10Aを提供することができる。
【0037】
また、第1実施形態に係る人形型玩具10Aは、収容体11の一部がスカートを模しているので、スカートを大きく設定すれば、収容体11の内部において、部品を収容することができる内部空間を大きく形成することができる。
【0038】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
なお、前述した第1実施形態の人形型玩具10Aと共通する部位には同じ符号を付して、重複する説明を省略することとする。
図6は、本発明の第2実施形態を説明するための、人形型玩具の全体構成を示す斜視図である。
【0039】
図6に示すように、第2実施形態の人形型玩具10Bは、いわゆるトルソーであり、人間の頭部、両腕、両脚、すなわち五体を除いた胴体部分である上半身部分50のみを有している。
なお、上半身部分50は、後述する下半身部分60を構成する支柱部分70によって支持されている。この人形型玩具10Bは、着せ替え遊びに用いることができる。
【0040】
図6に示すように、人形型玩具10Bは、上半身部分50と、上半身部分50を支持する下半身部分60を有する。上半身部分50は、上半身51と、上半身51の上に設けられた首52を有する。そして、上半身51には、上半身用布54が着せられる。
上半身部分50の下側には、下半身部分60が取り付けられている。下半身部分60は、軟質シートであるスカート布62、レース63によって覆われている。
なお、スカート布62及びレース63の内側には、スカート布62等を支持する支持部材61及び上半身部分50を支持する支柱部分70等が設けられているが、スカート布62等により遮られて外部からは視認できない。スカート布62、レース63が下半身部分60を覆っている状態で全体として下側が広がった形状となるように、支持部材61は、上半身部分50の下側に取り付けられた状態で、下側(下端開口側)が広がった形状となっている。別の表現をすれば、下半身部分60を形成する収容体12の一部として、下半身部分60を形成している状態において、水平面での断面積が、上半身部分50から離れる方向(下方)に向かうにつれて、上半身部分50から離れる方向(下方)に向かう少なくとも初期の段階において大きくなるような収容体11の一部、すなわち、支持部材61を用いている。
【0041】
図7は、人形型玩具の複数の部品(物品)を収容した収容体の外観を示す斜視図である。
図7に示すように、収容体12は、中にすべての部品を収容して略球状に接合された容器であり、この形状で自動販売機等により販売される。収容体12は、略半球状に下側が広がった支持部材61の下端開口と基台65の下端を接合し、また、基台65の、支持部材61が接合している側と反対側の端部に略半球状の下蓋部材81を接合することで略球状に形成される。別言すれば、人形型玩具10Bの下半身部分60の一部である支持部材61は収容体12の少なくとも一部を形成している。
なお、下蓋部材81は、収容時にのみ用いられ、収容体12を開けた後は使用されない。
【0042】
図8(A)は支持部材の内部を下方から見た斜視図であり、
図8(B)はスリットに沿って切断した支持部材の断面図である。
図8(A)及び
図8(B)に示すように、支持部材61は、略半球状の外側部材61aと、外側部材61a内面に沿って取り付けられ外側部材61aよりも小さめの内側部材61bとを有している。外側部材61aと内側部材61bとは、全面にわたって接合されているものではなく、例えば上端においてのみ接合されている。このため、外側部材61aと内側部材61bとの間には、隙間を設けることができる。
なお、以下の説明において、外側部材61aと内側部材61bを総称する場合には支持部材61と記すこととする。
【0043】
外側部材61aには、複数のスリット613が切りかかれている。一方、スリット613の位置に対応する内側部材61bは切りかかれていない。このため、支持部材61の表面に、上下方向(すなわち、支持孔612から放射状)の溝状のスリット613が設けられることになる。また、支持部材61の頂部には円形の支持孔612が設けられており、収容体12として使用する場合、支持孔612には略円板状の上蓋部材611が取り付けられる(
図7参照)。
【0044】
図7に示すように、基台65は、下端の外径が支持部材61の下端開口の外径と等しく、上端の外径が下蓋部材81の開口部の外径と等しい略円錐台形状を呈している。そして、上面中央は上方に若干持ち上げられており、その先端には支柱取付孔651が設けられている(
図9参照)。
したがって、収容体12は、支持部材61の下側に広がった下端開口に基台65の下端を接合し、基台65の上端に下蓋部材81を接合することにより内部空間を形成し、この内部空間に種々の部品を収容している。別言すれば、人形型玩具10Bの下半身部分60の一部である支持部材61は収容体12の少なくとも一部を形成している。
【0045】
図9は、収容体を分解して収容している複数の部品(物品)を取り出した状態を示す斜視図である。
図9に示すように、収容体12を、支持部材61、基台65及び下蓋部材81に分解すると、収容体12の内部には、上半身部分50を構成する上半身51と上半身用布54、また、下半身部分60を構成するスカート布62と、レース63と、さらに、支柱部分70を構成する第1支柱部材71と第2支柱部材72等が収容されている。つまり、別言すれば、収容体12には人形型玩具10Bの下半身部分60以外の部分の少なくとも一部が収容可能である。さて、第1支柱部材71と第2支柱部材72は、連結可能となっている。また、第1支柱部材71は、基台65の支柱取付孔651に取り付けられる。さらに、収容体12の内部には、上半身用布54を着せ替えるときに使用するヘラ82も収容されている。
【0046】
図9に示すように、上半身51の下端面には、下半身部分60の支持部材61を取付ける支持部材取付用突起515が略円形に設けられている。支持部材取付用突起515は、弾性変形可能な薄い部材で立壁状に形成されている。また、支持部材取付用突起515の大きさは、支持部材61の支持孔612よりも若干小さめで、支持部材取付用突起515を支持孔612に挿嵌することにより支持部材61と接合できる大きさとなっている。また、上半身51の下端面における支持部材取付用突起515の中央部には、支柱部分70の上端部が連結される支柱挿入孔514が設けられている。
【0047】
また、
図11(A)に示すように、上半身51の背中511には、上半身用布54を固定するための背中スリット512が上下方向に沿って設けられている。背中スリット512は矩形状に切り欠かれており、内部には左右から中央に向けて多数の押え片513が設けられている。押え片513はある程度の弾性変形が可能な例えば薄いプラスチック等で形成されており、背中スリット512の左右から櫛歯状に設けられていて、各押え片513は隣接する押え片513との間に隙間が設けられている。
【0048】
図9に示すように、支持部材61の上を覆うスカート布62は、全体略円形の布であり、中央には布着用孔621が設けられている。布着用孔621は、支持部材61の支持孔612と同じか小さめが望ましい。
また、スカート布62の上は、レース63で覆われている。レース63は、スカート布62よりも若干小さめの全体略円形の布であり、中央にはレース着用孔631が設けられている。レース着用孔631の大きさは、布着用孔621の大きさと同程度となっている。
【0049】
また、スカート布62は、硬質の部材でもよいが、軟質シートを用いることも可能である。
【0050】
次に、人形型玩具10Bの組み立て方について説明する。
図9に示すように、まず、収容体12を分解して、支持部材61、基台65、下蓋部材81に分解する。下蓋部材81は、以後使用しないので、破棄する。また、支持部材61の上蓋部材611を取り外して、支持孔612を露出させる。なお、上蓋部材611も以後使用しないので、破棄する。
【0051】
図10は人形型玩具の分解斜視図である。
図10に示すように、基台65の支柱取付孔651に、第1支柱部材71の下端部を挿嵌して取り付け、さらに第1支柱部材71の上側に第2支柱部材72を取付ける。第1支柱部材71の下端部外周面及び支柱取付孔651の内面にねじを切っておき、ねじ込むことにより第1支柱部材71を固定することも可能である。同様に、第1支柱部材71の上端に第1雄ねじ部711を形成し、第2支柱部材72の下端部に第2雌ねじ部721を形成し、相互にねじ込むことにより、第1支柱部材71と第2支柱部材72を連結することができる。
なお、第2支柱部材72の上端には、上半身取付突部722が設けられている。
【0052】
次いで、下端開口を下に向けた支持部材61の上側にスカート布62を載せて、スカート布62をスリット613に押し込む。スカート布62は、スリット613から支持部材61の外側部材61aと内側部材61bとの間に押し込まれて固定される。さらに、スカート布62の上にレース63を載せる。そして、スカート布62の布着用孔621、レース63のレース着用孔631に、上半身51の下端面に設けられている支持部材取付用突起515を上から通し、支持部材取付用突起515を支持部材61の支持孔612に挿嵌して、支持部材61と上半身51とを接続する。これにより、スカート布62、レース63は上半身51と支持部材61に挟まれて固定される。このように、収容体12の一部である支持部材61が下半身部分60の少なくとも一部を形成している。
【0053】
その後、上半身51の下面の支柱挿入孔514に第2支柱部材72の上半身取付突部722を挿嵌して、上半身部分50を支持する。
なお、支柱挿入孔514及び第2支柱部材72にネジ部を設けて、ねじ込むようにすることもできる。
【0054】
そして、
図11(B)に示すように、上半身用布54の一端を上半身51の背中の背中スリット512に押し込み、押え片513で押さえて固定する。その後、上半身用布54を胸の前から背中に回して、上半身用布54の他端を背中スリット512に押し込む。上半身用布54を背中スリット512に押し込む際には、収容体12に収容されていたヘラ82を用いると、上半身用布54を容易に取り付けることができる。
【0055】
なお、上半身51を支持部材61から外すことにより、スカート布62、レース63、上半身用布54を取り外して、収容されているもの以外のスカート布62、レース63、上半身用布54に交換することができる。このようにスカート布62、レース63、上半身用布54を種々に取り換えることにより、着せ替えを行うことができる。
【0056】
次に、第2実施形態に係る人形型玩具10Bの作用、効果について説明する。
第2実施形態に係る人形型玩具10Bでは、前述した第1実施形態の人形型玩具10Aと同様に、組み立てられる人形型玩具10Bの形状の制約を少なくすることが可能になる。これにより、組み立て後の形状に制約が少ない人形型玩具10Bを提供することができる。
【0057】
また、収容体12に収容されている軟質シートであるスカート布62、レース63、上半身用布54はいずれも支持部材61、上半身51から容易に取り外せるので、スカート布62、レース63、上半身用布54を他の布等に取り換えることにより、着せ替えを楽しむことができる。
【0058】
また、第2実施形態に係る人形型玩具10Bでは、収容体12の一部であってスカート布62等を支持する支持部材61の表面にスリット613が形成されているので、スカート布62が外れないように支持することができる。また、スカート布62を外すこともできる。
【0059】
また、第2実施形態に係る人形型玩具10Bでは、収容体12に収容される部品で上半身部分50を形成するとともに、上半身部分50の背中面に背中スリット512を形成した。このため、上半身部分50に布等を巻き付けて、背中スリット512に押し込むことにより、あたかも種々の衣服等を着せ替えるような遊びをすることができる。
【0060】
本発明の人形型玩具は、前述した各実施形態に限定されるものでなく、適宜な変形、改良等が可能である。例えば、前述したように第1実施形態に係る人形型玩具10A、第2実施形態に係る人形型玩具10Bとしては、いずれも頭部や上半身部分には収容体の一部を用いないものを説明したが、本発明はこれに限定されない。すなわち、本発明は、収容体の一部を頭部や上半身部分のような人形の下半身部分以外に用いることを排除するものではなく、収容体の一部で人形の下半身部分の一部を形成し、収容体のその他の一部で頭部や上半身部分のような人形の下半身部分以外の部分の少なくとも一部を形成するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0061】
10A、10B 人形型玩具
11、12 収容体
20、50 上半身部分
30、60 下半身部分
31 スカート部材(スカート)
511 背中(背中面)
512 背中スリット
62 スカート布(軟質シート)