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特開2023-59996振動装置の制御装置、振動装置の制御方法、プログラム及び記録媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023059996
(43)【公開日】2023-04-27
(54)【発明の名称】振動装置の制御装置、振動装置の制御方法、プログラム及び記録媒体
(51)【国際特許分類】
   A61H 23/02 20060101AFI20230420BHJP
【FI】
A61H23/02 336
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023029323
(22)【出願日】2023-02-28
(62)【分割の表示】P 2021513585の分割
【原出願日】2020-03-31
(31)【優先権主張番号】P 2019075717
(32)【優先日】2019-04-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001025
【氏名又は名称】弁理士法人レクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安士 光男
(72)【発明者】
【氏名】磯崎 賢太
(72)【発明者】
【氏名】森重 隆司
(57)【要約】
【課題】ユーザに合わせた好ましい態様で振動装置を振動させることが可能な振動装置の制御装置を提供する。
【解決手段】ユーザを支持する支持部材を介してユーザに振動を伝える振動装置に駆動信号を供給する振動駆動部と、支持部材にかかる荷重に関する値を含む情報を取得する情報取得部と、を有し、振動駆動部は、支持部材にかかる荷重に関する値が基準値の範囲内の場合には駆動信号として基準の振動強度を示す信号を振動装置に供給し、支持部材にかかる荷重に関する値が基準値よりも大きい場合には駆動信号として基準の振動強度よりも弱い振動強度を示す信号を振動装置に供給し、支持部材にかかる荷重に関する値が基準値よりも小さい場合には駆動信号として基準の振動強度よりも強い振動強度を示す信号を振動装置に供給する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザを支持する支持部材を介して前記ユーザに振動を伝える振動装置に駆動信号を供給する振動駆動部と、
前記支持部材にかかる荷重に関する値を含む情報を取得する情報取得部と、を有し、
前記振動駆動部は、前記支持部材にかかる荷重に関する値が基準値の範囲内の場合には前記駆動信号として基準の振動強度を示す信号を前記振動装置に供給し、前記支持部材にかかる荷重に関する値が前記基準値よりも大きい場合には前記駆動信号として前記基準の振動強度よりも弱い振動強度を示す信号を前記振動装置に供給し、前記支持部材にかかる荷重に関する値が前記基準値よりも小さい場合には前記駆動信号として前記基準の振動強度よりも強い振動強度を示す信号を前記振動装置に供給することを特徴とする制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザに振動を知覚させる振動装置の制御装置、振動装置の制御方法、プログラム及び記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、種々の目的でユーザに振動を与える振動装置が知られている。例えば、特許文献1には、車両の特に運転者用のシートとして使用することによって居眠り運転を防止することができ、また、腰部にマッサージを施すランバサポートとして機能させることができる加振シート及びその制御装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9-266935号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
振動装置は、自身が振動する場合でも、多くの場合、その振動が直接ユーザ(ユーザの脳)に知覚されるわけではない。例えば、振動装置がユーザが座るシートやユーザが寝るベッドなどに埋め込まれる場合、振動装置の振動は、当該シートやベッドの表面に伝搬し、そしてユーザの皮膚などに伝搬した後、ユーザに知覚される。
【0005】
ここで、振動装置が振動した際にユーザに知覚される振動の強度は、例えば、ユーザの体重、ユーザのシート上での姿勢、ユーザと振動装置との間の位置関係、また、シートなどにおけるユーザに触れる部材の材質によって異なる場合がある。
【0006】
振動装置は、例えば上記したような、ユーザに知覚される振動の強度が異なる可能性がある条件下で使用される場合であっても、安定した強度の振動をユーザに与えるように構成されていることが好ましい。
【0007】
本発明は上記した点に鑑みてなされたものであり、ユーザに合わせた好ましい態様で振動装置を振動させることが可能な振動装置の制御装置、振動装置の制御方法、プログラム及び記録媒体を提供することを目的の1つとしている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、ユーザを支持する支持部材を介してユーザに振動を伝える振動装置に駆動信号を供給する振動駆動部と、支持部材にかかる荷重に関する値を含む情報を取得する情報取得部と、を有し、振動駆動部は、支持部材にかかる荷重に関する値が基準値の範囲内の場合には駆動信号として基準の振動強度を示す信号を振動装置に供給し、支持部材にかかる荷重に関する値が基準値よりも大きい場合には駆動信号として基準の振動強度よりも弱い振動強度を示す信号を振動装置に供給し、支持部材にかかる荷重に関する値が基準値よりも小さい場合には駆動信号として基準の振動強度よりも強い振動強度を示す信号を振動装置に供給することを特徴とする。
【0009】
また、請求項7に記載の発明は、ユーザを支持する支持部材を介してユーザに振動を伝える振動装置に駆動信号を供給する振動駆動部と、支持部材にかかる荷重に関する値を含む情報を取得する情報取得部と、を有し、振動駆動部は、支持部材にかかる荷重に関する値が大きくなるほど小さくなる振動強度を示す信号を振動装置に供給することを特徴とする。
【0010】
また、請求項8に記載の発明は、ユーザを支持する支持部材にかかる荷重に関する値を含む情報を取得するステップと、支持部材を介してユーザに振動を伝える振動装置に対し、支持部材にかかる荷重に関する値が基準値の範囲内の場合には基準の振動強度を示す駆動信号を供給し、支持部材にかかる荷重に関する値が基準値よりも大きい場合には基準の振動強度よりも弱い振動強度を示す駆動信号を供給し、支持部材にかかる荷重に関する値が基準値よりも小さい場合には基準の振動強度よりも強い振動強度を示す駆動信号を供給するステップと、を含むことを特徴とする。
【0011】
また、請求項9に記載の発明は、コンピュータに、ユーザを支持する支持部材にかかる荷重に関する値を含む情報を取得するステップと、支持部材を介してユーザに振動を伝える振動装置に対し、支持部材にかかる荷重に関する値が基準値の範囲内の場合には基準の振動強度を示す駆動信号を供給し、支持部材にかかる荷重に関する値が基準値よりも大きい場合には基準の振動強度よりも弱い振動強度を示す駆動信号を供給し、支持部材にかかる荷重に関する値が基準値よりも小さい場合には基準の振動強度よりも強い振動強度を示す駆動信号を供給するステップと、を実行させることを特徴とする。
【0012】
また、請求項10に記載の発明は、請求項9に記載のプログラムが記録されていることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施例1に係る振動システムの構成を示す図である。
図2】実施例1に係る振動システムのユーザとの位置関係を示す図である。
図3】実施例1に係る振動システムにおける制御装置のブロック図である。
図4】実施例1に係る振動システムにおける制御装置の制御態様を示す図である。
図5】実施例1に係る振動システムにおける制御装置の制御態様を示す図である。
図6】実施例1に係る振動システムにおける制御装置の動作フローを示す図である。
図7】実施例1に係る振動システムにおける制御装置の動作フローを示す図である。
図8】実施例1に係る振動システムにおける振動装置のシート及びユーザとの関係をモデル化した図である。
図9】実施例1に係る振動システムにおける振動装置の振動強度及びシートの振動態様とユーザの体重との関係を示す図である。
図10】実施例2に係る振動システムの構成を示す図である。
図11】実施例2に係る振動システムにおける制御装置の動作フローを示す図である。
図12】実施例3に係る振動システムの構成を示す図である。
図13】実施例3に係る振動システムにおける制御装置のブロック図である。
図14】実施例3に係る振動システムにおける制御装置の動作フローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に本発明の実施例について詳細に説明する。
【実施例0015】
図1は、実施例1に係る振動システム10の模式的な配置図である。図1を用いて、振動システム10について説明する。振動システム10は、対象者(以下、ユーザと称する)が座るシート20、音を発生させる音発生装置30、ユーザに振動を伝える振動装置4
0、ユーザの生理的状態を検出するユーザ状態検出装置50及びこれらを制御する制御装置60からなる。
【0016】
振動システム10は、音源SCから音を表現するデータを示す電気信号である音響信号ASを取得する。例えば、音源SCは、音楽を再生するためのデータが記録された記録媒体及び当該記録媒体からのデータを読み出す装置などを含む。振動システム10は、音響信号ASに基づいて、音発生装置30から音を発生させ、振動装置40によってシート20を振動させる。
【0017】
また、本実施例においては、制御装置60は、音発生装置30及び振動装置40の各々の動作制御を行う。また、本実施例においては、制御装置60は、ユーザ状態検出装置50によって検出されたユーザの生理的状態に基づいて音発生装置30及び振動装置40の動作態様を調節する。本実施例においては、制御装置60は、振動システム10内において、音楽を再生する再生装置として機能する。
【0018】
本実施例においては、シート20は、ユーザがシート20に座った際に、当該ユーザの臀部及び大腿部を支持するように構成された座部21と、当該ユーザの背部及び腰部を支持するように構成された背もたれ部(バックレスト、以下、背部と称する)22と、を含む。また、本実施例においては、シート20は、当該ユーザの頭部を支持するように構成された頭部(ヘッドレスト)を含む。
【0019】
また、本実施例においては、音発生装置30は、シート20及びシート20に座ったユーザの前方に配置されたセンタースピーカ(第1の音発生ユニット)31と、シート20の側方に配置されたサイドスピーカ(第2の音発生ユニット)32と、を含む。サイドスピーカ32は、例えば図1に示すように、複数のスピーカからなる。センタースピーカ31及びサイドスピーカ32の各々は、例えば、互いに異なる音域の音を発生させる。
【0020】
また、本実施例においては、振動装置40は、シート40に埋め込まれている。また、振動装置40は、シート20の座部21に埋め込まれた座部振動ユニット(第1の振動ユニット)41と、シート20の背部22に埋め込まれた背部振動ユニット(第2の振動ユニット)42と、を含む。
【0021】
座部振動ユニット41は、自身が振動することで、シート20の座部21におけるユーザに接する表面(以下、座面又は第1の接触部と称する)21S又はその一部を振動させる。背部振動ユニット42は、自身が振動することで、シート20の背部22におけるユーザに接する表面(以下、背面又は第2の接触部と称する)22S又はその一部を振動させる。なお、座部振動ユニット41及び背部振動ユニット42は、それぞれ、複数の振動子を含んでいてもよい。
【0022】
また、本実施例においては、ユーザ状態検出装置50は、例えば、ユーザの心拍、脳波、呼吸数、眼球運動、瞬き及び視線のうちの少なくとも1つを検出し、またその変化を検出する。例えば、ユーザ状態検出装置50は、撮像装置、生体情報検出装置などを含む。
【0023】
また、本実施例においては、制御装置60は、音響信号ASに基づいて、音発生装置30のセンタースピーカ31及びサイドスピーカ32並びに振動装置40の座部振動ユニット41及び背部振動ユニット42の各々を駆動する。従って、本実施例においては、音発生装置30及び振動装置40は、音響信号ASに対応する音発生動作及び振動動作をそれぞれ行う。
【0024】
図2は、振動システム10におけるシート20の側面図である。図2には、シート20
に座ったユーザOBを破線で示している。図2を用いて、振動システム10とユーザOBとの間の位置関係について説明する。
【0025】
本実施例においては、シート20の座面21Sには、ユーザOBの臀部及び大腿部が接することとなる。また、シート20の背面22Sには、ユーザOBの背部及び腰部が接することとなる。
【0026】
本明細書においては、シート20の座面21Sに接することとなるユーザOBの体の部位BP1を第1の部位と称する場合がある。また、シート20の背面22Sに接することとなるユーザOBの体の部位BP2を第2の部位と称する場合がある。本実施例においては、第2の部位BP2は、ユーザOBの頭部HDに対して第1の部位BP1よりも近い位置にあるユーザOBの体の部位である。
【0027】
なお、ユーザOBの体がシート20に接すると説明した場合、ユーザOBの体の部位がシート20に直接的に接する場合と、間接的に接する場合との両方を含むものとする。例えば、第1の部位BP1としてのユーザOBの臀部又は大腿部がシート20の座面21Sに接する場合には、ユーザOBの衣服を介して当該臀部又は大腿部がシート20の座面21Sに接する場合、また、シート20のカバーを介して当該臀部又は大腿部が座面21Sに接する場合などが含まれるものとする。
【0028】
なお、その一方で、音発生装置30のセンタースピーカ31及びサイドスピーカ32の各々は、ユーザOBには接しない。すなわち、音発生装置30は、ユーザOB(すなわちユーザOBの耳)に向かって空間中を進む音波を生成する部分であり、ユーザOBに聴覚を与える部分であるということができる。
【0029】
なお、振動システム10は、例えば、自動車の座席として複数(例えば4つ)のシート20を構成することで、車載の振動システムを構成することができる。しかし、振動システム10は、シート20がユーザを支持するように構成されていれば、他の種々の環境で使用されることができる。例えば、振動システム10は、家庭用のソファやベッドとしてシート20を構成することで、家庭用の振動システムを構成することができる。
【0030】
図3は、制御装置60のブロック図である。図3を用いて、制御装置60の構成について説明する。まず、制御装置60は、ユーザOBの覚醒度を判定する覚醒度判定部61を有する。
【0031】
ユーザOBの覚醒度とは、例えば、ユーザOBがどの程度覚醒した生理状態であるか否かを区別又は分類するための尺度である。例えば、覚醒度が高いほどユーザOBは緊張した状態(興奮した状態)にあり、覚醒度が低いほどユーザOBが眠い状態にある。本実施例においては、覚醒度判定部61は、ユーザ状態検出部50によるユーザの生理的状態に基づいて、ユーザOBの覚醒度を判定する。
【0032】
また、制御装置60は、ユーザOBの覚醒度に基づいて音源SCから楽曲を選択的に取得する楽曲選択取得部62を有する。例えば、音源SCには、複数の楽曲が含まれている。楽曲選択取得部62は、音源SCに含まれる複数の楽曲の中から、ユーザOBの覚醒度に合わせた楽曲を取得する。
【0033】
制御装置60は、楽曲選択取得部62によって取得された楽曲を再生する音楽再生部63を有する。音楽再生部63は、楽曲に対応して音発生装置30から音を発生させるための電気信号(以下、音声信号と称する)を生成する音声信号生成部63Aを有する。
【0034】
例えば、音発生装置30から楽曲の全音域の音を発生させる場合、音声信号生成部63Aは、音響信号ASを音声信号として生成する。また、音発生装置30から楽曲の中音域及び高音域のみの音を発生させる場合、音響信号ASの所定の周波数以上の成分を抽出して音声信号を生成する。
【0035】
また、音楽再生部63は、楽曲に対応して振動装置40を振動させるための電気信号(以下、振動信号と称する)を生成する振動信号生成部63Bを有する。振動信号生成部63Bは、音響信号ASの低周波成分を抽出して振動信号を生成する。すなわち、本実施例においては、振動信号生成部63Bは、例えば、振動装置40が楽曲の低音域の音を表現する振動を行うような振動信号を生成する。
【0036】
また、本実施例においては、振動信号生成部63Bは、音響信号ASのうち、20~200Hzの範囲内の周波数の成分(音域)を抽出して振動信号を生成する。これは、20Hzよりも低い周波数の振動は、内蔵に響く不快な振動となる場合があるからである。また、200Hzよりも高い周波数の振動は、こそばゆさを感じる不快な振動となる場合があるからである。しかし、振動信号生成部63Bが生成する振動信号の構成はこれに限定されない。
【0037】
制御装置60は、シート20にかかる荷重に関する値を含む情報を取得する荷重関連情報取得部(以下、単に情報取得部と称する)64を有する。情報取得部64は、例えば、シート20にユーザOBが座っていない状態のシート20にかかる荷重に関する値を含む情報を予め取得する。そして、例えば、シート20にユーザOBが座った場合など、シート20にかかる荷重、本実施例においてはシート20における振動装置40とユーザOBとの間の部分にかかる荷重が変化した場合などに、その荷重が変化したこと及びその荷重値を示す情報を取得する。
【0038】
本実施例においては、シート20に係る荷重に関する値を含む情報は、振動装置40の振動状態に関する値を含む情報である。例えば、情報取得部64は、振動装置40の実際の振動強度に関する値を含む情報を取得する。なお、振動装置40の振動強度に関する値とは、例えば、振動装置40の実際の変位、速度及び加速度などによって算出可能な値である。
【0039】
具体的には、本実施例においては、振動装置40は、変位センサ、速度センサ又は加速度センサを有する。情報取得部64は、例えばこれらのセンサの検出値を振動装置40から取得することで、振動装置40が振動している際の実際の振動強度、また、後述する基準強度との差などを取得する。なお、シート20にかかる荷重に関する情報は、振動装置40の振動強度以外でも算出可能である。従って、他の算出可能な値を取得すれば、シート20にかかる荷重に関する値として処理することができる。
【0040】
制御装置60は、情報取得部64によって取得された情報に基づいて、音発生装置30及び振動装置40を駆動する駆動部65を有する。駆動部65は、音発生装置30を駆動する電気信号(以下、音声駆動信号と称する)S1及びS2を生成する音声駆動部65Aと、振動装置65Bを駆動する電気信号(以下、振動駆動信号と称する)V1及びV2を生成する振動駆動部65Bと、を有する。
【0041】
より具体的には、音声駆動部65Aは、センタースピーカ31を駆動する音声駆動信号(第1の音声駆動信号)V1と、サイドスピーカ32を駆動する音声駆動信号(第2の音声駆動信号)V2と、を生成する。また、振動駆動部65Bは、座部振動ユニット41を駆動する振動駆動信号(第1の振動駆動信号)V1と、背部振動ユニット42を駆動する振動駆動信号(第2の振動駆動信号)V2と、を生成する。駆動部65は、これらの駆動
信号を、音発生装置30及び振動装置40に供給する。
【0042】
また、本実施例においては、振動駆動部65Bは、音楽再生部63の振動信号生成部63Bが生成した振動信号に対応し、振動装置40が20~200Hzの範囲内の周波数で振動するように振動装置40に振動駆動信号V1及びV2を供給する。
【0043】
図4は、音楽再生部63の動作態様の一例を示す図である。本実施例においては、音楽再生部63は、ユーザOBの覚醒度によってテンポの異なる楽曲を選択して再生する。本実施例においては、ユーザOBの覚醒度が第1の覚醒度未満である場合(すなわち、例えばユーザOBが眠気を催していると判断される場合)、音楽再生部63は、ユーザOBに覚醒を促すように、アップテンポの楽曲を選択して再生する(音声信号及び振動信号を生成する)。また、ユーザOBの覚醒度が第2の覚醒度よりも大きい場合(すなわち、例えばユーザOBが緊張していると判断される場合)、音楽再生部63は、ユーザOBにリラックスを促すように、スローテンポの楽曲を選択して再生する。
【0044】
また、本実施例においては、音楽再生部63は、ユーザOBの覚醒度が第1の覚醒度と第2の覚醒度との間であった場合、通常のテンポの楽曲を選択して再生してもよい。なお、既に音楽が再生されている場合においてユーザOBの覚醒度が第1の覚醒度と第2の覚醒度との間であった場合、音楽再生部63は、当該再生されている音楽の再生を維持してもよい。
【0045】
このように、音楽再生部63は、ユーザOBの覚醒度に応じたテンポで音楽を再生する。また、本実施例においては、音楽再生部63は、ユーザOBの覚醒度が高いほどテンポが遅い音楽を再生する。これによって、ユーザOBの覚醒度、すなわち生理的状態を安定させるような音楽を提供することができる。
【0046】
なお、音楽再生部63による動作態様はこれに限定されない。例えば、音楽再生部63は、同一の楽曲に対しても再生時のテンポ調節を行ってもよい。例えば、音楽再生部63は、例えば既に音楽を再生している途中であれば、アップテンポの楽曲を再生することに代えて、再生中の音楽のテンポを速めることで、テンポ調節を行ってもよい。
【0047】
また、音楽再生部63によるテンポ選択の基準となる第1及び第2の覚醒度については、種々調節することができる。例えば、第1及び第2の覚醒度が同一の値であってもよい。この場合、音楽再生部63は、1つの閾値としての所定の覚醒度を超えているか否かに基づいて、楽曲のテンポを選択及び調節すればよい。
【0048】
換言すれば、音楽再生部63は、例えば、ユーザOBの覚醒度が低い場合には速いテンポで音楽を再生し、ユーザOBの覚醒度が高い場合にはユーザOBに遅いテンポで音楽を再生するように構成されていればよい。
【0049】
図5は、駆動部65における振動駆動部65Bの動作態様の一例を示す図である。振動駆動部65Bは、シート20にかかる荷重の大きさに基づいて、振動装置40の振動強度を調節する。
【0050】
本実施例においては、振動駆動部65Bは、シートにかかる荷重に関する値(以下、シート荷重と称する)が第1の荷重(第1の基準値)未満の場合、基準強度よりも強い強度で振動装置40を振動させる。また、振動駆動部65Bは、シート荷重が第2の荷重(第2の基準値)よりも大きい場合、基準強度よりも弱い強度で振動装置40を振動させる。また、振動駆動部65Bは、シート荷重が第1及び第2の荷重の間(基準値の範囲内)であった場合、基準強度で振動装置40を振動させる。
【0051】
ここで、基準強度とは、例えば、基準となる条件のユーザOB(例えば50kgの体重のユーザOB)がシート20に座った場合にシート20にかかる荷重に関する値を荷重の基準値とし、当該基準値に対応する荷重がかかったシート20を振動させるために所定の特性(例えばゲイン)の駆動信号V1及びV2によって振動装置40を振動させた場合の振動装置40の実際の振動強度をいう。
【0052】
具体的には、シート荷重が第1の荷重未満の場合は、例えばユーザOBの体重が比較的小さい(軽い)場合など、シート20にはあまり荷重がかかっていない場合に対応する。この場合、クッション部21を介して振動装置40を押さえつける力が小さいため、振動装置40が基準強度で振動するようなゲインで振動駆動信号V1及びV2を振動装置40に供給すると、実際には当該基準強度よりも強い強度で振動装置40が振動する。このような場合、振動駆動部65Bは、さらに強い振動が発生するように振動駆動信号V1及びV2のゲインを調節する。
【0053】
一方、シート荷重が第2の荷重よりも大きい場合は、例えばユーザOBの体重が比較的大きい(重い)場合など、シート20には大きな荷重がかかっている場合に対応する。この場合、振動装置40が基準強度で振動するようなゲインで振動駆動信号V1及びV2を振動装置40に供給すると、実際には当該基準強度よりも弱い強度で振動装置40が振動している場合が多い。このような場合、振動駆動部65Bは、さらに弱い振動が発生するように振動駆動信号V1及びV2のゲインを調節する。
【0054】
図6及び図7は、制御装置60の動作フローの一例を示す図である。図6及び図7を用いて、制御装置60の動作ルーチンについて説明する。まず、図6に示すように、制御装置60は、覚醒度判定部61によって、ユーザOBの生理的情報を取得する(ステップS11)。続いて、覚醒度判定部61は、当該生理的情報に基づいてユーザOBの覚醒度を判定する(ステップS12)。
【0055】
音楽再生部63は、ユーザOBの覚醒度が第1の覚醒度未満であるか否かを判定する(ステップS13)。ユーザOBの覚醒度が第1の覚醒度未満である場合、音楽再生部63は、アップテンポの楽曲を再生すべく、音響信号ASから音声信号及び振動信号を生成する(ステップS14)。
【0056】
一方、音楽再生部63は、ユーザOBの覚醒度が第1の覚醒度以上である場合、第2の覚醒度よりも大きいか否かを判定する(ステップS15)。ユーザOBの覚醒度が第2の覚醒度よりも大きい場合、音楽再生部63は、スローテンポの楽曲を再生すべく、音響信号ASから音声信号及び振動信号を生成する(ステップS16)。また、ユーザOBの覚醒度が第1及び第2の覚醒度間であった場合、音楽再生部63は、通常のテンポの楽曲を再生する(ステップS17)。
【0057】
続いて、図7を用いて、情報取得部64及び駆動部65の動作ルーチンについて説明する。本実施例においては、音楽再生部63によってステップS14、S16及びS17が実行された後、情報取得部64は、振動装置40の実際の振動強度に関する情報を荷重情報(シート荷重に関する情報)として取得する(ステップS21)。また、例えば、情報取得部64は、基準強度と、実際の振動強度との間の差分に関する情報を取得する。
【0058】
次に、振動駆動部65Bは、シート荷重が第1の荷重未満であるか否かを判定する(ステップS22)。シート荷重が第1の荷重未満である場合、振動駆動部65Bは、基準強度よりも強い強度で振動装置40が振動するように振動装置40を駆動する(ステップS23)。例えば、振動駆動部65Bは、振動駆動信号V1及びV2のゲインが基準強度に
対応するゲインよりも大きくなるように振動駆動信号V1及びV2を調節する。
【0059】
一方、振動駆動部65Bは、シート荷重が第1の荷重以上である場合、第2の荷重よりも大きいか否かを判定する(ステップS24)。シート荷重が第2の荷重よりも大きい場合、振動駆動部65Bは、基準強度よりも弱い強度で振動装置40が振動するように振動装置40を駆動する(ステップS25)。例えば、振動駆動部65Bは、振動駆動信号V1及びV2のゲインが基準強度に対応するゲインよりも大きくなるように振動駆動信号V1及びV2を調節する。
【0060】
また、シート荷重が第1及び第2の荷重間である場合は、振動駆動部65Bは、基準強度で振動装置40が振動するように振動装置40を駆動する(ステップS26)。このようなルーチンで、制御装置60は各装置の動作制御を行い、音楽再生動作を行う。
【0061】
次に、図8及び図9を用いて、振動駆動部65Bによる振動装置40の駆動態様と、ユーザOBに伝わる振動強度との関係について説明する。図8は、シート20、振動装置40、及びユーザOBを振動の伝達特性を定義するためにモデル化した図である。なお、図8には、シート20の座部21と、振動装置40の座部振動ユニット41と、ユーザの第1の部位BP1と、の一部を示している。また、図8は、これらの模式的な断面図である。
【0062】
振動装置40によって発生した振動がユーザOBに伝わるまでの伝達特性は、例えば、図8に示すような粘弾性モデルとしてモデル化して考えることができる。より具体的には、シート20の座部21は、剛体板21Aと、クッション部(荷重をかけることによって容易に変形する部分)21Bと、からなる。
【0063】
また、座部21の表面21S(本実施例においてはクッション部21Bの表面)には、ユーザOBの第1の部位BP1によって荷重がかかっている。また、振動装置40の座部振動ユニット41は、振動子(例えば磁性体)41Aと、振動子41Aを支持しかつ振動子41Aに振動力(例えば磁気力)を印加するケース41Bと、からなり、全体としてクッション部21Bに埋め込まれている。
【0064】
ここで、座部振動ユニット41の振動子41Aの質量を質量m1とし、振動子41Aがばね定数k1及び減衰係数c1でケース41Bに支持されているとする。また、ケース41Bの質量を質量m2とし、ケース部41Bが剛体板21A及び表面21S間に配置されかつクッション部21Bにばね定数k2及び減衰係数c2で支持されているとする。また、ユーザOBの体重を質量m3とする。
【0065】
この場合、振動子41Aは、ケース41B内において、ユーザOBに向かう方向において、変位x1、速度v1及び加速度a1で往復運動を行うものとする。また、この往復運動によって力f1が発生するものとする。
【0066】
また、振動子41Aの振動は、ケース41Bに伝達され、ユーザOBに向かう方向において、変位x2、速度v2及び加速度a2で往復運動を行うものとする。また、この往復運動によって力f2が発生するものとする。
【0067】
また、このケース41Bの往復運動は、振動装置40の振動となって、クッション部21B内で伝達され、クッション部21Bの全体を振動させる。そして、クッション部21Bの振動は、座部21の表面21Sの振動(往復運動)となる。この座部21の表面21Sは、変位x3、速度v3及び加速度a3で往復運動を行うものとする。また、この往復運動によって、力f3が発生するものとする。
【0068】
このような場合、ユーザOBに知覚される振動の強度は、例えば、シート20における表面21Sの往復運動によって発生する力f3の大きさに対応する。例えば、この力f3が大きいほどユーザOBに知覚される振動強度が大きくなる。
【0069】
図9は、ユーザOBの体重、すなわち質量m3と、振動子41Aの加速度a1との関係、並びに、質量m3とシート20の加振力(力f3に対応する力)との関係のシミュレーション結果を示す図である。なお、このシミュレーションを行うために、質量m1及びm2を0.05kgとし、ばね定数k1を1000N/mとし、減衰係数c1を10N/(m/s)とした。
【0070】
また、質量m3(すなわち、ユーザOBの体重)が40~120kgの範囲内で変化すると、クッション部21Bのばね定数k2が2000~6000N/mの範囲内で変化し、減衰係数c2が4~12N/(m/s)の範囲内で変化するとした。なお、この例示的な数値は、一般的な車両や映画館などの座席のシートの材料を参考にして定義した。
【0071】
また、このような場合において、振動装置40(座部振動ユニット41)に対し、60Hzの周波数Fで所定の振幅の交流電圧を振動駆動信号V1として印加する場合の振動子41Aの加速度a1及び加振力(力f3)の変化について、以下の運動方程式を用いてシミュレーションした。
【0072】
まず、振動子41Aの運動方程式は、例えば、m1・a1=f1-k1(x1-x2)-c1(v1-v2)の数式で表すことができる。また、ケース41Bの運動方程式は、例えば、m2・a2=f2-(c2・v2)-(k2・x2)-c1(v2-v1)-k1(x2-x1)-c2(v2-v3)-k2(x2-x3)の数式で表すことができる。また、座席21の表面21Sの運動方程式は、m3・a3=f3-k2(x3-x2)-x2(v3-v2)の数式で表すことができる。
【0073】
この場合、Aを定数とし、tを時間の変数とし、gを重力加速度とすると、力f1は、f1=A・sin(2πft)-m1・gと表すことができる。また、力f2は、f2=-A・sin(2πft)+f1+f3と表すことができる。また、力f3は、f3=m3・gと表すことができる。これらの数式に上記した数値を代入することで、図9に示すシミュレーション結果を得ることができる。
【0074】
まず、図の上側のグラフを参照すると、仮に振動駆動部65Bが振動強度の調節を行わない場合(「制御なし」の場合)、ユーザOBの体重が大きくなるほど、振動子41Aの実際の加速度a1(すなわち振動装置40の実際の振動強度)は、小さくなることがわかる。
【0075】
一方、図の下側のグラフを参照すると、ユーザOBの体重が大きいほど、加振力、すなわちユーザに知覚される振動強度が大きくなることがわかる。これは、クッション部21Bにかかる荷重(本実施例においてはユーザOBの体重)が大きいほど、クッション部21が大きく潰れ、ばね定数k2及び減衰係数c2の両方が大きくなることで、加振力(力f3)が大きくなったことに起因する。
【0076】
換言すれば、本願の発明者らは、シート20に振動を発生させてこれをユーザOBに伝達する(知覚させる)場合、ユーザOBの体重が大きいなどシート20にかかる荷重が大きい場合には、振動装置40が強く振動しなくても、十分にユーザOBに振動が知覚されることを見出した。同様に、本願の発明者らは、ユーザOBの体重が軽いなどシート20にかかる荷重が小さい場合は、振動装置40が強く振動しなければ、十分にユーザOBに
振動を知覚させることができないことを見出した。
【0077】
これに対し、振動駆動部65Bは、シート荷重に関する情報を振動装置40の実際の振動強度(すなわち基準強度との差)によって取得する。そして、振動駆動部65Bは、図9の上側のグラフの「制御あり」に示したように、シート荷重が大きければ弱い振動を、シート荷重が小さければ強い振動を起こさせるように、振動装置40を駆動する。
【0078】
これによって、図9の「制御あり」に示したように、例えばユーザOBの体重が異なる場合、またその他の場合ではユーザOBのシート20上で姿勢が異なる場合、また車両の移動状態などで、シート20にかかる荷重が変化した場合でも、ユーザOBに合わせた安定した強度の振動を発生及び伝達することができる。
【0079】
なお、本実施例においては、振動システム10が音発生装置30及び振動装置40を有し、これらによって音楽が再生される場合について説明した。また、振動装置40が音楽に対応して振動する場合について説明した。しかし、振動システム10の構成はこれに限定されない。例えば、振動システム10は、音発生装置30を有していなくてもよい。この場合、制御装置60は、振動装置40の制御装置として機能する。
【0080】
また、振動装置40が座部振動ユニット41及び背部振動ユニット42からなる場合について説明した。しかし、振動装置40の構成はこれに限定されない。振動装置40が他の振動ユニットを有していてもよいし、1つの振動ユニットのみからなっていてもよい。また、振動装置40は、シート20以外の他の部材を介してユーザOBに振動を与えるように構成されていてもよい。例えば、振動装置40は、ユーザOBを支持する種々の支持部材を介してユーザOBに振動を伝えるように構成されていればよい。
【0081】
また、本実施例においては、制御装置60は、ユーザOBの覚醒度によって再生する音楽のテンポを調節する場合について説明した。しかし、制御装置60は、テンポ調節を行う場合に限定されない。また、この場合、振動システム10がユーザ状態検出部50を有する場合に限定されない。
【0082】
また、制御装置60は、振動装置40以外の振動装置であっても、シート20などの種々の支持部材を介してユーザOBに振動を伝える装置であれば、同様の動作を行うことができる。
【0083】
また、本実施例においては、振動駆動部65Bは、シート荷重が第1の荷重未満であるか否か、又は第2の荷重よりも大きいか否かによって、振動装置40の振動強度を調節する場合について説明した。しかし、例えば、振動駆動部65Bは、第1及び第2の荷重の間の荷重を基準荷重(基準値)とし、シート荷重が当該基準荷重の範囲内であるか否かによって振動強度を調節してもよい。
【0084】
このように、本実施例においては、制御装置60は、ユーザOBを支持する支持部材(シート20)を介してユーザOBに振動を伝える振動装置40に駆動信号(振動駆動信号V1及びV2)を供給する振動駆動部65Bと、当該支持部材にかかる荷重に関する値を含む情報を取得する情報取得部64と、を有する。
【0085】
また、振動駆動部65Bは、支持部材にかかる荷重に関する値が基準値の範囲内の場合には駆動信号として基準の振動強度(基準強度)を示す信号を振動装置40に供給し、支持部材にかかる荷重に関する値が基準値よりも大きい場合には駆動信号として基準の振動強度よりも弱い振動強度を示す信号を振動装置40に供給し、支持部材にかかる荷重に関する値が基準値よりも小さい場合には駆動信号として基準の振動強度よりも強い振動強度
を示す信号を振動装置40に供給する。従って、ユーザに合わせた好ましい態様で振動装置40を振動させることが可能な制御装置60を提供することができる。
【0086】
また、例えば、本実施例においては、制御装置60は、ユーザOBを支持する支持部材(シート20)を介してユーザに振動を伝える振動装置40に駆動信号(振動駆動信号V1及びV2)を供給する振動駆動部65Bと、支持部材にかかる荷重に関する値を含む情報を取得する情報取得部64と、を有し、振動駆動部65Bは、支持部材にかかる荷重に関する値が大きくなるほど小さくなる振動強度を示す信号を振動装置40に供給する。従って、ユーザに合わせた好ましい態様で振動装置40を振動させることが可能な制御装置60を提供することができる。
【0087】
また、本実施例は、例えば図7に示すステップを実行することによって、振動装置40を制御する方法としても実施することができる。より具体的には、例えば、本実施例に係る振動装置40の制御方法は、ユーザOBを支持する支持部材(シート20)にかかる荷重に関する値を含む情報を取得するステップS21と、支持部材を介してユーザOBに振動を伝える振動装置40に対し、支持部材にかかる荷重に関する値が基準値の範囲内の場合には基準の振動強度(基準強度)を示す駆動信号(振動駆動信号V1及びV2)を供給し、支持部材にかかる荷重に関する値が基準値よりも大きい場合には基準の振動強度よりも弱い振動強度を示す駆動信号を供給し、支持部材にかかる荷重に関する値が基準値よりも小さい場合には基準の振動強度よりも強い振動強度を示す駆動信号を供給するステップ(それぞれステップS26、S23、S25)と、を含む。従って、ユーザに合わせた好ましい態様で振動装置40を振動させることが可能な振動装置の制御方法を提供することができる。
【0088】
また、本実施例は、例えば振動装置を制御するコンピュータを制御装置60のように動作させるプログラム、又は上記した制御方法を実行するプログラムとしても実施することができる。より具体的には、本実施例に係るプログラムは、コンピュータに、ユーザOBを支持する支持部材(シート20)にかかる荷重に関する値を含む情報を取得するステップS21と、支持部材を介してユーザOBに振動を伝える振動装置40に対し、支持部材にかかる荷重に関する値が基準値の範囲内の場合には基準の振動強度(基準強度)を示す駆動信号(振動駆動信号V1及びV2)を供給し、支持部材にかかる荷重に関する値が基準値よりも大きい場合には基準の振動強度よりも弱い振動強度を示す駆動信号を供給し、支持部材にかかる荷重に関する値が基準値よりも小さい場合には基準の振動強度よりも強い振動強度を示す駆動信号を供給するステップ(それぞれステップS26、S23、S25)と、を実行させる。従って、ユーザに合わせた好ましい態様で振動装置40を振動させることが可能な振動装置の制御プログラムを提供することができる。また、例えば、当該プログラムが記録されることで、本実施例は、記録媒体としても実施することができる。
【実施例0089】
図10は、実施例2に係る振動システム10Aの構成の一部を示す図である。振動システム10Aは、シート荷重を検出する手段として圧力計70を有する点を除いては、振動システム10と同様の構成を有する。
【0090】
振動システム10Aにおいては、シート荷重に関する値を、振動装置40の実際の振動強度として検出するのではなく、シートにかかる圧力として検出する。この場合、制御装置60の情報取得部64は、荷重情報として、シートにかかる圧力に関する情報を取得する。すなわち、本実施例においては、シート20にかかる荷重に関する値は、シート20にかかる圧力に関する値である。
【0091】
図11は、制御装置60の動作フローの一部を示す図である。本実施例においては、制御装置60は、ステップS21に代えて、以下のステップを実行する。具体的には、情報取得部64は、荷重情報として、圧力計70の測定値に関する情報を取得する(ステップS21A)。なお、このステップS21Aの前後の動作フローについては、図6及び図7と同様である。
【0092】
本実施例のように、情報取得部64が取得するシート20にかかる荷重に関する情報は、シート20にかかる圧力に関する情報であってもよい。なお、この場合、シート20にかかる圧力が大きいほど、シート20にかかる荷重も大きいと判定する。
【0093】
そして、例えば、シート20にかかる圧力が基準圧力未満(又は基準圧力よりも大きい)の場合、振動駆動部65Bは、振動装置40に対して強い(又は弱い)強度で振動するような振動駆動信号V1及びV2を供給する。これによって、実施例1と同様に、ユーザに合わせた好ましい態様で振動装置40を振動させることが可能な制御装置60(制御方法、プログラム又は記録媒体)を提供することができる。
【実施例0094】
図12は、実施例3に係る振動システム10Bの構成の一部を示す図である。振動システム10Bは、膨張及び収縮することでシート20内における振動装置40の位置を変化させる膨張装置80を有する。また、振動システム10Bは、音発生装置30及び振動装置40に加え、膨張装置80を制御する制御装置60Aを有する。振動システム10Bは、その他の点においては、振動システム10と同様の構成を有する。
【0095】
本実施例においては、膨張装置80は、それぞれ、膨張及び収縮することで、座部振動ユニット41における座部21の表面21Sとの間の位置を変化させる座部膨張ユニット81と、背部振動ユニット42における背部22の表面22Sとの間の位置を変化させる背部膨張ユニット82と、を有する。例えば、座部膨張ユニット81及び背部膨張ユニット82の各々は、ブラダーを含む。
【0096】
図13は、制御装置60Aのブロック図である。制御装置60Aは、駆動部65Mの構成を除いては、制御装置60と同様の構成を有する。本実施例においては、駆動部65Mは、音声駆動部65A、振動駆動部65Bに加え、膨張装置80を膨張及び収縮させるための電気信号(以下、第1及び第2の膨張駆動信号と称する)E1及びE2を膨張装置80に供給して膨張装置80を駆動する膨張駆動部65Cを有する。
【0097】
図14は、制御装置60Aの動作フローの一例を示す図である。図14は、制御装置60Aの動作フローの一部を示している。制御装置60Aは、ステップS23、S25及びS25に代えて、以下のステップを実行する。
【0098】
具体的には、膨張駆動部65Cは、ステップS22において、シート荷重が第1の荷重未満であると判定された場合、膨張装置80を膨張させて振動装置40をユーザOBに近づける(ステップS23A)。ここでは、振動装置40がユーザOBに近づくことで、シート20がさらに潰れる場合と同様の状況となり、振動装置40の振動がより強くユーザOBに伝達されることとなる。
【0099】
また、ステップS24においてシート荷重が第2の荷重よりも大きいと判定された場合、膨張駆動部65Cは、膨張装置80を収縮させてユーザOBに振動装置40から離す(ステップS25A)。ここでは、シート20がさらに潰れなくなる場合と同様の状況となり、振動装置の振動がより弱くユーザOBに伝達されることとなる。
【0100】
また、ステップS24においてシート荷重が第2の荷重以下であると判定された場合、膨張駆動部65Cは、膨張装置80の状態を維持することで、振動装置40とユーザOBとの間の相対位置を維持する。
【0101】
このように、本実施例においては、振動システム10Bは、振動装置40のユーザOB(シート20の表面21S及び22S)との間の位置を調節する膨張装置80を有する。また、制御装置60Aは、膨張装置80を駆動することで、振動装置40とユーザOBとの位置を調節し、振動装置40がユーザOBに伝える振動の強度を調節する。
【0102】
このように、膨張装置80を制御した場合でも、実施例1及び2と同様に、ユーザOBの体重が異なる場合など、シート20にかかる荷重が異なる場合でも、ユーザOBに安定した強度の振動を提供することができる。従って、本実施例においては、振動駆動部65Bは、振動駆動信号V1及びV2の調節によって振動強度を変化させる必要はない。
【0103】
なお、本実施例においては、膨張装置80の膨張及び収縮によって振動装置40を移動させる場合について説明した。しかし、振動装置40の位置を変化させることができれば、膨張装置80が搭載される場合に限定されない。例えば、振動システム10Bは、振動装置40のユーザOBとの位置を変化させるアクチュエータを有していればよい。
【0104】
このように、本実施例においては、制御装置60Aは、ユーザOBを支持する支持部材(シート20)を介してユーザOBに振動を伝える振動装置40を駆動する振動駆動部65Bと、振動装置40と支持部材におけるユーザOBに振動を伝える部分(表面21S又は22S)との間の相対位置を変化させるアクチュエータ(膨張装置80)を駆動するアクチュエータ駆動部(膨張駆動部65C)と、支持部材にかかる荷重に関する値を含む情報を取得する情報取得部64と、を有する。
【0105】
アクチュエータ駆動部は、例えば、支持部材にかかる荷重に関する値が基準値よりも小さい場合には振動装置40を支持部材における当該ユーザOBに振動を伝える部分に近づけ、支持部材にかかる荷重に関する値が基準値よりも大きい場合には振動装置40を支持部材における当該ユーザOBに振動を伝える部分から遠ざける。従って、例えば、ユーザに合わせた好ましい態様で振動装置40を振動させることが可能な制御装置60Aを提供することができる。
【符号の説明】
【0106】
40 振動装置
60、60A 制御装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14