(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023060025
(43)【公開日】2023-04-27
(54)【発明の名称】無線通信システム
(51)【国際特許分類】
H04W 56/00 20090101AFI20230420BHJP
H04W 52/02 20090101ALI20230420BHJP
H04W 4/38 20180101ALI20230420BHJP
H04W 88/04 20090101ALI20230420BHJP
【FI】
H04W56/00 130
H04W52/02 111
H04W4/38
H04W88/04
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2023030432
(22)【出願日】2023-02-09
(62)【分割の表示】P 2019109909の分割
【原出願日】2019-05-27
(71)【出願人】
【識別番号】514296087
【氏名又は名称】株式会社京光製作所
(72)【発明者】
【氏名】境田 信也
(57)【要約】
【課題】複数の無線機からなる無線通信システムにおいて、無線到達距離の関係で直接データの送受信ができない場合における無線中継伝送方法の提供
【解決手段】 データを無線送受信するための複数の無線機間で、互いに同期要求信号とデータの送受信を行うことよって、全ての無線機間で同期がとれると同時に、全ての無線機間でデータが共有される。同期要求信号送受信によって、各無線機間での動作基準クロックの差による受信動作開始タイミングのずれが補正される。この無線送受信の際における各無線機の識別は必要としない。各無線機間で同期要求信号を送受信し合うことにより、無線到達距離の関係で直接にデータの送受信ができない無線機間においても、他の無線機で中継してデータを伝送することが可能となる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御データまたは収集データを無線送受信するための複数の無線機を備え、一つの無線機が第1の一定時間毎に、他の無線機あてに同期要求信号と制御データまたは収集データを送信し、他の無線機は前記一つの無線機からの前記第1の一定時間の整数倍のインターバルである第2の一定時間毎に、その同期要求信号を受信することにより、定期的に前記一つの無線機との間の同期を確立すると共に、前記制御データまたは収集データを受信し、同期を確立した前記各無線機は、同期確立後に前記第1の一定時間毎に、更に自分自身以外の他の無線機あてに前記制御データまたは収集データと同期要求信号を送信することによって、各無線機全てで前記制御データまたは収集データが共有可能となると共に、各無線機全てで同期がとれることを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
前記第1の一定時間の整数倍における、整数倍とは2以上であることを特徴とする請求項1記載の無線通信システム。
【請求項3】
各無線機間で同期要求信号を送受信し合うことにより、各無線機間の動作基準クロックの差による受信動作開始タイミングのずれをクリアし、前記受信動作開始タイミングを初期値に戻すことを特徴とする請求項1記載の無線通信システム。
【請求項4】
無線送受信の際における各無線機の識別を必要としないことを特徴とする請求項1乃至請求項3記載の無線通信システム。
【請求項5】
各無線機間で同期要求信号を送受信し合うことにより、距離的に直接の制御データまたは収集データを含む無線信号が到達しない無線機間でも他の無線機が中継することが可能となり、中継することによって、全ての無線機間で制御データまたは収集データが共有されることを特徴とする請求項1乃至請求項4記載の無線通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の無線機からなる無線送受信システムにおける各無線機間の同期化及び各無線機の低消費電力化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の無線機からなる無線送受信システムにおいて、各無線機の低消費電力を実現するためには、無線送信時だけでなく、無線受信時においても、無線通信動作に必要な時以外は低消費電力モードで動作させる必要があり、そのため、送信側と受信側で無線送受信の同期合わせが必要になってくる。
【0003】
例えば、特許文献1では、無線親機が同期して通信するための同期データを複数の無線子機に送信して同期を確立した上で、親機と各子機間で必要とするデータの送受信を行う方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-61690号公報
【特許文献2】特開2018-38023号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の方法では、親機と各子機との間での同期の確立後においても、必要とするデータ送受信の際には、親機と各子機の両者共に送信動作と受信動作の両方の動作を行う必要があるので、両者共に低消費電力化を図るには一定の限界があった。
【0006】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたもので、複数の無線機からなる送受信システムにおいて、特に親機と子機の区別なく、各無線機の送受信の際の低消費電力化を実現するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明では、複数の無線機からなるシステムの中で、一定の方法で定まる特定の無線機が第1の一定時間毎に、他の無線機あてに同期要求信号と制御データまたは収集データを送信し、他の無線機は前記特定の無線機からの前記第1の一定時間の整数倍のインターバルである第2の一定時間毎に、その同期要求信号を受信することにより、定期的に前記特定の無線機との間の同期を確立すると共に、前記制御データまたは収集データを受信する。
【0008】
上記の一定の方法で定まる特定の無線機とは、例えば、複数の無線機の中で、最初に電源が投入され、動作を開始した無線機である。電源が投入され、動作を開始した無線機はまず、他の無線機からの同期要求信号の受信動作を行うため、一定時間は受信待ちのため、無線機のCPUはスリープモード(低消費電力モードと呼び、スリープモード=低消費電力モード)でなく、オペレーティングモード(通常モードと呼び、オペレーティングモード=通常モード)で動作する。
【0009】
一定時間受信待ちを行ったが、他の無線機からの同期要求信号が受信できないときは、自らの無線機がシステム内で最初に電源が投入され、動作を開始した無線機と判断して、他の無線機あてに同期要求信号と制御データまたは収集データの送信動作を開始する。
【0010】
当該特定の無線機から同期要求信号を受信した無線機は、当該特定の無線機との間で同期を確立する。当該特定の無線機と同期を確立した無線機は自分自身以外の無線機と同期を確立するために、更に当該特定の無線機と自分自身以外の無線機に向けて同期要求信号と前記制御データまたは収集データを送信する。
【0011】
詳細には、同期を確立した各無線機は同期確立後に前記第1の一定時間毎に、他の無線機あてに同期要求信号と同時に前記制御データまたは収集データを送信する。これによって、各無線機の間で前記制御データまたは収集データが共有可能となると共に、各無線機全てで同期がとれることになる。
【0012】
各無線機は、他の無線機との同期がいったん外れても、他の無線機からの前記第1の一定時間毎の同期要求信号を受信することにより、再度、他の無線機との同期が再確立される。
【0013】
同期がとれた各無線機において、前記同期要求信号の送信終了後から前記第1の一定時間経過による次の同期要求信号の送信開始までの間は低消費電力モードで動作し、前記同期要求信号の受信時を除いては受信動作を行わない間欠送受信の動作を行って、低消費電力を実現する。
【0014】
更には、無線送受信の際における各無線機の識別を必要とせずに、各無線機間で制御データまたは収集データの送受信を行う。
【0015】
本発明では前述した同期確立後に前記第1の一定時間毎、例えば2.1秒毎に、他の無線機あてに同期要求信号と前記制御データまたは収集データを送信するが、この送信時には無線機のCPUは通常モード(=オペレーティングモード)で動作する。この時の通常モードでの動作モードを送信モードと呼ぶ。
【0016】
前記第1の一定時間の整数倍のインターバルである第2の一定時間毎に例えば2.1秒×5=10.5秒毎に、前述の同期要求信号を受信するが、この受信時にも無線機のCPUは通常モード(=オペレーティングモード)で動作する。この時の通常モードでの動作モードを送受信モードと呼ぶ。
【0017】
この送受信モード時は、他の無線機からの同期要求信号と制御データまたは収集データ受信すると、自分自身以外の他の無線機に向かって、受信した同期要求信号と同一の同期要求信号及び自分自身のセンサ入力やSW入力等に対応して(自分自身の無線機が取得したセンサ入力を外部へ収集データとして送信することや自分自身の無線機のSW入力により外部を制御するための制御データとして送信することに対応して)、更新した制御データまたは収集データ、或いは更新しない受信した制御データまたは収集データと同一のデータを送信する。
【0018】
更新した制御データまたは収集データを送信する場合は、自分自身以外の他の無線機に対して、他の無線機からも同様に送信されてくる更新されない制御データまたは収集データよりも優先して受信してもらえるように、更新しない場合に比べ、データ送信のタイミングを早める。
【0019】
この早める時間を考慮して、送受信モードでの動作時間を決める。例えば、制御データまたは収集データを更新する場合の早めるタイミングを20msとすると、送受信モードでの動作時間は確実に受信できるように例えば、100msにする。
【0020】
通常モードでの送信モードと送受信モード以外は無線機のCPUは低消費電力モード(=スリープモード)で動作する。各無線機の消費電力低減効果は、
通常モードの動作時間/(通常モードの動作時間+低消費電力モードの動作時間)を小さくするほど、大きくなる。
【0021】
送信モードの動作時間に比べ、送受信モードの動作時間が相対的に大きいため、消費電力を低減するためには、送受信モードの動作時間を短くすればよい。
【0022】
そのためには、前記第1の一定時間の整数倍のインターバルである第2の一定時間を長くする、言い換えれば前記「整数倍のインターバル」の中の整数倍の倍率を上げればよいが、自分自身のセンサ入力やSW入力等への入力に対して応答として出力するまでの時間が長くなり、応答性が低下する。
【0023】
低消費電力性と応答性はトレードオフの関係にあるが、無線送受信システムとして最適な値を選択すれば良い。本発明の無線送受信システムはシステムを構成する全ての無線機の間で同期が確立しているので、整然とした間欠送受信システムが構成され、送信時のみならず、受信時においても、可能な限りの低消費電力化が図れるシステムとなっている。
【0024】
ここで、前述の低消費電力モード(=スリープモード)とはCPUと無線回路の動作において、いわゆるスリープ動作等、CPUがプログラムの動作を停止し、低速クロックで必要最小限の動作のみを行い、無線送受信動作も不可能となる代わりに最大限に消費電力を低減するモードであり、通常モード(=オペレーティングモード)とはCPUと無線回路の動作において、高速クロックで動作して、無線送受信動作が可能となる代わりに消費電力も大きくなるモードのことを言う。
【0025】
また、各無線機間で同期要求信号を送受信し合うことにより、距離的に直接の制御データまたは収集データを含む無線信号が到達しない無線機間でも他の無線機が中継することが可能となり、中継することによって、全ての無線機間で制御データまたは収集データが共有される。
【0026】
前述したように、各無線機間で送受信動作が同等であり、各無線機間で上位、下位等の識別を必要としない。但し、意識して識別を行い、各無線機の中で他の機器との接続を行い、制御データまたは収集データに関する指示及び管理を行う特別な無線機とその他の無線機とを区別するための機能設定をすることも可能である。
【0027】
前述したように、各無線機は、送信と受信の両方の動作を行うが、このうち受信は前述の動作であり、前記第1の一定時間の整数倍のインターバルである第2の一定時間毎に行う。送信は他の無線機との同期を確立するための同期要求信号を自分自身以外の各無線機に送信するものであり、各無線機が受信しようとしまいと常に送信することにより、自分自身の無線機と他の無線機との同期がいったん外れてしまっても、他の無線機は常に送信されている前記の同期要求信号を受信することにより、再度、同期を復活して確立することができる。
【0028】
前記同期要求信号に対する各無線機の受信動作は以下の通りである。各無線機はあらかじめ設定された前記同期要求信号を受信するタイミングにある時のみ、通常のデータの送信動作のみを行うタイミングの時と異なり、早めに、低消費電力モードから通常モードに起き上がるので、前記同期要求信号を受信できるが、通常のデータの送信動作のみを行うタイミングでは、他の無線機が前記同期要求信号を送信後に自分自身の無線機が低消費電力モードから通常モードに起き上がるので、前記同期要求信号を受信できない。
【0029】
各無線機はあらかじめ設定された前記同期要求信号の受信タイミングで、他の無線機からの前記同期要求信号を一定時間待ち、その間に、前記同期要求信号を受信できない時は、設定した前記第1の一定時間の整数倍のインターバルの経過後の次の受信タイミングで再度、前記同期要求信号の受信を試みることになる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、複数の無線機からなる無線送受信システムにおいて、各無線機は定期的に同期要求信号を送信することにより、また、各無線機はその同期要求信号を受信することによって、受信動作開始タイミングが送信タイミングと合うように調整されることになる。このことによって、各無線機間での送受信のタイミングが合致し、各無線機間で同期のとれた送受信が実現する。各無線機間で同期がとれることにより、各無線機間での間欠送受信動作が可能となり、この間欠送受信動作を行えば、システムとしての低消費電力が実現される。
【0031】
また、この際、各無線機は全て同格であり、上位、下位の識別を必要としていないし、無線機の台数についても制限はない。また、各無線機間で送受信する周波数とアドレスは同一で構わない。
【0032】
距離的な問題で直接送受信のかなわない無線機間でも、間に中継する無線機を置き、隣り合う無線機間で送受信が行われることを繰り返して、最終的には、システムに属する全ての無線機間で制御データまたは収集データが共有される。複数の無線機を使い、中継を繰り返すことによって、無線到達距離の大幅な延伸化が容易に実現される。
【0033】
各無線機間で送受信する周波数とアドレスは同一を想定しているが、混信が想定される場合は隣り合う無線機間同志の送受信時のみ周波数とアドレスを合わせ、その他は周波数とアドレスの一方、あるいは両方を変えてもよい。
【0034】
定期的に同期要求信号の送受信動作が行われないと、無線機の制御データまたは収集データの受信動作開始タイミングは、各無線機間の動作基準クロックの差に起因して徐々に各無線機間で初期値よりずれてくることになる。従って、このずれの値は各無線機間での送受信を繰り返す毎に大きくなってくるが、各無線機間で定期的に同期要求信号を送受信することにより、初期値に戻すことができる。
【0035】
また、各無線機は他の無線機が受信しようとしまいと常に、他の無線機に対し、前記同期要求信号を送信しているので、ある無線機の同期が他の無線機との同期からいったん外れても、その無線機は他の無線機から前記同期要求信号を受信することにより、自動的に同期を復活させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】
図1は本発明における複数の無線機(実施例として無線機4台)からなる無線送受信システムにおける各無線機間の各信号の送受信タイミング図である。
【
図2】
図2は本発明における各無線機を子機の一部分とし、別途子機と親機、データ記録用の外部記録装置を配置した低消費電力無線通信システムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例0037】
図1に基づいて、本発明における無線機4台からなる無線送受信システムにおける各信号の送受信タイミングを示し、各無線機が低消費電力で動作する手順を以下に説明する。
【0038】
(1)各無線機は第1の一定時間TM、例えば2100ms毎に、他の無線機あてに同期要求信号WPを送信する。また、各無線機は第1の一定時間(=2100ms)の整数倍(=5倍)のインターバルである第2の一定時間=2100ms×5=10500ms毎に、他の無線機からの同期要求信号を受信する。この同期要求信号受信の際に、他の無線機からの制御データまたは収集データも合わせて受信する。
【0039】
(2)ここで、無線機1~無線機4は一直線上に並んでいると仮定し、無線到達距離の関係から、隣り合う無線機同志のみで送受信可能と仮定しているが、無線機1~無線機4の全4台間で送受信可能であってもよい。これは、各無線機は他の無線機から送信されてきた同期要求信号を受信する際は、より早く受信した同期要求信号が有効となり、後から送信されてきた同期要求信号は受信されず無視されるためである。
【0040】
無線機1は“1”~“4”及び“6”~“8”の期間では、他の無線機からの同期要求信号WP送信のタイミングにおいて、低消費電力モード(=スリープモード)に当たるため、当該同期要求信号WPは受信できない。“1”~“4”及び“6”~“8”の期間では、低消費電力モードから通常モード(=オペレーティングモード)に起き上って、送信動作(処理)を行った後、再び、低消費電力モードに入って第1の一定時間TMが経過するのを待っている。
【0041】
前述したように、この時の通常モードでの動作を送信モードと呼ぶ。
図1における、Aは一定時間のインターバルTMのうち、低消費電力モードに入っている時間であり、α=TM-Aは一定時間のインターバルTMのうち、通常モードに入っている時間である。この通常モードに入っている時間α=TM-Aは無線機の送信モード時の送信動作(処理)時間であり、例えばα=1msである。送信動作(処理)は一瞬であり、典型的には1ms程度の時間で処理が完了する。
【0042】
(3)“5”の期間では、低消費電力モードから通常モード(=オペレーティングモード)に起き上って送信モード時の送信動作(処理)を行った後、Bの時間だけ、低消費電力モードに入った後、再度通常モードに戻って、他の無線機からの同期要求信号WPを受信するための動作を行う。この時の通常モードでの動作を前述したように送受信モードと呼ぶが、この送受信モードでは、他の無線機からの同期要求信号WPの待ち受けの時間が必要のため、低消費電力モードの動作時間Bは送信モードでのAに比べ短く設定される。
【0043】
例えば、TM=2100msの場合、A=2099ms、B=1999msに設定される。Bの値は各無線機間の各無線機間の動作基準クロックの差とセンサ入力やSW入力等に対応して制御データまたは収集データを更新する場合の制御データまたは収集データの送信タイミングと制御データまたは収集データを更新しない場合の送信タイミングの設定時間差を考慮して決められる。
【0044】
(4)無線機2は“2”の期間で、制御データまたは収集データを自らのセンサ入力やSW入力等に対応してSIG1からSIG2に更新し、更新したデータを同期要求信号WPと共に、他の無線機あてに送信しているが、他の無線機もまた、同期要求信号WPと共に更新しないデータSIG1を送信している。
【0045】
無線機2は他の無線機にSIG1でなく、SIG2を受信してもらうために、同期要求信号WPとSIG2の送信タイミングを他の無線機より早めている。
図1では例として、β=20ms早めている。
【0046】
図1では無線機が送信モードのみを行う場合のインターバルをTM、無線機が送受信モード動作を行う場合のインターバルをRCVと表記している。上記β=20ms早めて送信された同期要求信号WPと更新された制御データまたは収集データを受信するために、各無線機は第1の一定時間TM(=2100ms)の整数倍(=5)のインターバルである第2の一定時間10500ms毎の期間に、例えば、RCV-α-B=100msだけ早く低消費電力モードから通常モードに起き上っている。
【0047】
このRCV-α-Bは各無線機の送受信モード時の受信待ち及び受信動作(処理)時間に相当するが、
図1では、例として、無線機1では“5”の期間、無線機2では“4”の期間、無線機3では“3”の期間と“8”の期間、無線機4では“1”の期間と“6”の期間にRCV-α-B=100msだけ早く低消費電力モードから通常モードに起き上って受信待ちをしていることを示している。
【0048】
この受信待ちをしている期間で、他の無線機から同期要求信号WPと制御データまたは収集データを受信するともう、その後に続く他の無線機からの同期要求信号WPと制御データまたは収集データは受信しないように制御されている。
【0049】
図1では無線機2からの更新されたSIG2は“3”の期間で、無線機3に通知され、無線機3が受信処理を行って無線機3から送信される制御データまたは収集データもSIG2に更新されている。無線機2からの更新されたSIG2は“5”の期間で、無線機1に通知され、無線機1が受信処理を行って無線機1から送信される制御データまたは収集データもSIG2に更新されている。
【0050】
無線機3からの更新されたSIG2は“6”の期間で、無線機4に通知され、無線機4が受信処理を行って無線機4から送信される制御データまたは収集データもSIG2に更新されている。
【0051】
このようにして、無線機2で更新された制御データまたは収集データは他の無線機1、無線機3、無線機4に送信、各無線機で受信処理され、全ての無線機で共有される。
【0052】
また、
図1には、このSIG1とSIG2の送受信動作に関する動作例を示しており、以下に説明する。<1>は各無線機がSIG1のデータを送信していたが、無線機2が当該無線機に接続されるセンサ入力等により、保持するデータをSIG1からSIG2に更新したため、当該データをWPと共に送信したことを示している。
【0053】
<2>は無線機2が無線機1から、SIG1のデータを受信したが、データ内に含まれるタイムスタンプ等により、SIG1よりSIG2が最新のデータと認識しているので、SIG1でなく、SIG2のデータをWPと共に無線機1に送信したことを示している。
【0054】
<3>は無線機1が無線機2から、SIG2のデータを受信したが、データ内に含まれるタイムスタンプ等により、SIG1よりSIG2が最新のデータと認識しているので、SIG2のデータをWPと共に無線機2に送信したことを示している。
【0055】
<4>は無線機3が無線機2から、SIG2のデータを受信したが、データ内に含まれるタイムスタンプ等により、SIG1よりSIG2が最新のデータと認識しているので、SIG2のデータをWPと共に無線機2に送信したことを示している。
【0056】
<5>は無線機4が無線機3から、SIG2のデータを受信したが、データ内に含まれるタイムスタンプ等により、SIG1よりSIG2が最新のデータと認識しているので、SIG2のデータをWPと共に無線機3に送信したとことを示している。
【0057】
前述の動作例はSIG2のデータを保有している時に更新前のSIG1が送信されてくる場合も例示しており、SIG1が更新前のデータであり、SIG2が更新後のデータであることを示すために、SIG1、SIG2の各データ内のタイムスタンプを比較することを示している。
【0058】
図2は無線親機と複数の無線子機から成る無線通信システムブロック図である。この中で、無線子機2 20、無線子機4 50、無線子機5 60から成る部分のシステムが本発明に基づく複数の無線機から成る低消費電力無線送受信システムである。
【0059】
また、無線親機 40と無線子機1 10、無線子機2 20、無線子機3 30は特許文献2における無線送受信システムを構成しており、
図2のシステムはシステム全体として間欠送受信による低消費電力化を実現している。但し、無線子機3 30は
図2におけるシステムではシステム全体として取得した制御データまたは収集データを記録、保存するために、UART(UART TXD 71とUART RXD 72)にて外部のデータ記録装置70に接続している。
【0060】
無線子機3 30は外部のデータ記録装置70から電源供給を受けるので、低消費電力であることを必要としない。ここでデータ記録装置70とは、例えば、UART-USB変換回路とPC(パーソナルコンピューター)を組み合わせたもので、UART-USB変換回路で無線子機3 30から出力されるUART形式のデータをUSB形式のデータに変換した後、PCに入力して、PCの記録装置に記録、保存する機能をもつものである。
【0061】
無線親機40と無線子機1 10、無線子機2 20、無線子機3 30との間の通信及び無線子機2 20、無線子機4 50、無線子機5 60間の通信を2.4GHzの周波数帯で行っている。無線親機と各無線子機は、UART入出力を行って外部記録装置にデータを出力する無線子機3を除いて、全てボタン電池で駆動する。無線子機3は外部記録装置より電源供給を受ける。
【0062】
上記で各無線機間(無線親機と無線子機間及び無線子機同志間)の通信を2.4GHzの周波数帯で行っていると述べたが、2.4GHz以外の他の周波数帯でもよい。また、
図2のシステムにおいて、各無線機間で通信を行う周波数とアドレスは同一(例えば、周波数は2450MHz)を想定しているが、混信の可能性を低減する観点から、また、各無線機内のCPU部の処理負担軽減の観点から、変えることも可能である。
【0063】
この各無線機内のCPU部の処理負担軽減とは、周波数、アドレスを同一にすると、各無線機のCPU部はシステム内の無線機間で通信に関与している全ての電文の解析を行う必要があるが、例えば周波数を変えると、各無線機内の無線部で電文が選別されるので、CPU部の負担は軽くなるという意味である。
【0064】
例えば、周波数とアドレスを以下のように変えることも可能である。無線親機40と無線子機1 10の間の送受信は周波数2440MHz、アドレス“100”、無線親機40と無線子機2 20の間の送受信は周波数2450MHz、アドレス“200”、無線親機40と無線子機3 30の間の送受信は周波数2460MHz、アドレス“300”、無線子機2 20、無線子機4 50、無線子機5 60間の通信は2450MHz、アドレス“200”とする。
【0065】
周波数、アドレスの両方を変えることも一方のみ変えることも可能である。近くに本発明と同一のシステムが存在して、混信の可能性が出る場合は前述したように周波数、またはアドレスを変えて対応可能である。
【0066】
無線子機1 10はボタン電池11より約3Vの電源が供給され、この電源で、CPU14と無線送受信回路16が動作する。CPU14は高速クロック発振器12(16MHz)と低速クロック発振器13(32.768kHz)の2つの発振器をもち、2つの基準クロックで動作する。
【0067】
高速クロック発振器12は、CPU14のプログラムの動作クロック及び無線信号2.4GHzの基準クロックとして高速クロック16MHzを生成する。無線信号の2.4GHzは高速クロック16MHzをPLLにより逓倍して生成される。
【0068】
低速クロック発振器13は低速クロック32.768kHzを生成し、CPU14の通常モード動作時における各種基準タイマーと低消費電力モードにおいてもカウントアップ動作を続け、低消費電力モードから通常モードへ起き上がるためのタイマーとして使用される。
【0069】
子機1 10の通常モードにおいては、CPU14の高速クロック16MHzと低速クロック32.768kHzは共に動作している。
低消費電力モードにおいては、CPU14の高速クロック16MHzは停止し、したがってCPU14のプログラムの動作も停止し、いわゆるスリープ状態に入る。
【0070】
低消費電力モードにおいても低速クロック32.768kHzによるタイマーカウント動作を継続しており、スリープ状態に入った後、この低速クロック32.768kHzに基づいた一定時間経過後、CPU14はスリープ状態から起き上がって、通常モードに移行し、プログラムの動作を再開する。
【0071】
本発明の実施例では無線親機40と無線子機1 10、無線子機2 20、無線子機3 30の間の動作については、特許文献2における無線送受信システムを参照して説明する。無線子機1 10のCPU14は無線データ信号を無線親機40に送信後、直ちにスリープ状態に入るが、スリープ状態に入った後、スリープ状態から起き上がる周期は2.1秒である。
【0072】
無線親機40は無線子機1 10、無線子機2 20、無線子機3 30に向けて、0.7秒毎に、同期要求信号WP1、WP2、WP3、WP1、-、-、-、の送信を繰り返し、無線子機1 10、無線子機2 20、無線子機3 30は当該同期要求信号に対する返答として、親機に向けて、前述の無線データ信号に相当するACK信号ACK1、ACK2、ACK3、ACK1、-、-、-、の送信を繰り返す。
【0073】
無線子機1 10のSW15は無線親機40に対する制御を行うためのスイッチであり、そのON/OFF状態がCPU14に入力される。無線子機2 20の動作も無線子機1 10と同じ動作である。無線子機3 30の動作も基本的には無線子機1 10と同じ動作であるが、データ記録に向けての動作を行う点が異なる。詳細は後述する。
【0074】
無線親機40は無線子機1 10、無線子機2 20、無線子機3 30に向けて、順に同期要求信号WP1 101、WP2 103、WP3を送信し、無線子機1は返答としてのACK信号に、SW15に基づく制御信号(SW15に基づく制御信号に限らない、他の入力による制御データやセンサ等の入力に基づく収集データでもよい)を加えたACK1+Data1信号102を送信する。
【0075】
同様に無線子機2は返答として、SW25に基づく制御信号ACK2+Data2信号104を送信する。これによって、無線親機40はこの無線子機1 10と無線子機2 20からのそれぞれ送信された無線子機1のSW15に基づく制御信号と無線子機2のSW25に基づく制御信号のデータを保有する。
【0076】
これらのデータを外部に記録させるために、無線親機40は無線子機3 30に向けて同期要求信号WP3の代わりに同期要求信号WP3+Data1+Data2 105を送信する。無線子機3 30は同期要求信号WP3+Data1+Data2 105を受信後、返答としてACK3信号106を送信する。
【0077】
無線子機3 30は同期要求信号WP3+Data1+Data2 105の受信により、無線子機1 10と無線子機2 20からの制御信号に基づくデータを保有したので、これらのデータを自らのUART端子を介して(UART TXD 71とUART RXD 72での有線送受信によって)外部の記録装置70に記録、保存するように動作を行う。
【0078】
無線子機4 50、無線子機5 60は無線子機2 20と組み合わさって、本発明の複数の無線機から成る低消費電力無線送受信システムを構成している。無線子機2 20は無線親機40より同期要求信号WP2を受信すると、無線親機40に向けて、ACK2+Data2信号104を返信するが、同時に無線子機4 50に向けても同一のACK2+Data2信号104を送信していることになり、無線子機4は当該ACK2+Data2信号104を受信する。
【0079】
無線の到達距離の関係で、同時に無線子機5 60も当該ACK2+Data2信号104を受信する可能性もあるが、本発明の複数の無線機から成る低消費電力無線送受信システムにおいては、複数の無線機から、同一のデータを受信する場合でも受信状態に入って、最初に受信したデータのみが有効となり、当該受信後は受信状態から抜けるため、後に続くデータは無視されるので問題ない。
【0080】
無線子機4 50は当該ACK2+Data2信号104を受信後、自らのSW55に基づく制御状態を識別して、信号104のData2の部分を更新するか否かを加味して、無線子機5 60に向けて、ACK2+Data2信号107を送信する。当該ACK2+Data2信号107は無線子機2 20に向けても送信される。
【0081】
無線子機5 60は当該ACK2+Data2信号104を受信後、自らのSW65に基づく制御状態を識別して、信号107のData2の部分を更新するか否かを加味して、無線子機4 50に向けて、ACK2+Data2信号108を送信する。
【0082】
ここで、無線子機4 50と無線子機5 60はACK2+Data2信号の送受信動作(ACK2+Data2信号104、107、108)を行うが、無線子機2 20はACK2+Data2信号の送受信動作(ACK2+Data2信号104、107)と同期要求信号WP2の受信動作も行う。
【0083】
無線子機2 20、無線子機4 50と無線子機5 60のそれぞれのSW25、SW55とSW65の各制御状態を組み合わせたトータルとしての制御状態はACK2+Data2信号の送受信動作によって共有される。
【0084】
この共有されるまでの時間は、無線子機2 20が2.1秒毎にACK信号を返信していることから、第1の一定時間=2.1秒であり、これの整数倍を例えば5倍とすると、第2の一定時間=2.1秒×5となり、10.5秒である。
【0085】
無線子機2 20は無線親機40から同期要求信号WP2を受信すると、その時点で無線子機2 20、無線子機4 50と無線子機5 60間で共有されたACK2+Data2信号を返信する。
【0086】
無線親機40は、ボタン電池41より約3Vの電源が供給され、この電源で、CPU44と無線送受信回路46が動作する。CPU44は高速クロック発振器42(16MHz)と低速クロック発振器43(32.768kHz)をもち、2つの基準クロックで動作する。
【0087】
高速クロック発振器42は、CPU44のプログラムの動作クロック及び無線信号2.4GHzの基準クロックとして16MHzを生成する。無線信号の2.4GHzは高速クロック16MHzをPLLにより逓倍して生成される。低速クロック発振器43は低速クロック32.768kHzを生成し、CPU44の通常モード動作時における各種基準タイマーと低消費電力モードにおいてもカウントアップ動作を続け、低消費電力モードから通常モードへ起き上がるためのタイマーとして使用される。
【0088】
無線親機40の通常モードにおいては、CPU44の高速クロック16MHzと低速クロック32.768kHzは共に動作している。低消費電力モードにおいては、CPU44の高速クロック16MHzは停止し、したがってCPU44のプログラムの動作も停止し、いわゆるスリープ状態に入る。低消費電力モードにおいても低速クロック32.768kHzによるタイマーカウント動作を継続しており、スリープ状態に入った後、この低速クロック32.768kHzに基づいた一定時間経過後、CPU44はスリープ状態から起き上がって、通常モードに移行し、プログラムの動作を再開する。
【0089】
無線親機40は無線子機1 10、無線子機2 20からのSW ON/OFFによる制御に基づき、無線親機40はLED1 47、LED2 48をON/OFF表示させて、その被制御状態を表示している。LED1 47、LED2 48のON/OFF表示はそれぞれ無線子機1 10、無線子機2 20のSW15、SW25のON/OFF入力に対応している。
【0090】
LED3 49のON/OFF表示は無線子機2 20、無線子機4 50と無線子機5 60のそれぞれのSW25、SW55とSW65の各制御状態を組み合わせたトータルとしての制御状態(例えば各SWの状態のANDまたはOR)に対応している。