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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023060040
(43)【公開日】2023-04-27
(54)【発明の名称】内側ライナーを含む食道ステント
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/86 20130101AFI20230420BHJP
   A61F 2/848 20130101ALI20230420BHJP
   A61F 2/91 20130101ALI20230420BHJP
【FI】
A61F2/86
A61F2/848
A61F2/91
【審査請求】有
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023030749
(22)【出願日】2023-03-01
(62)【分割の表示】P 2021033376の分割
【原出願日】2018-03-01
(31)【優先権主張番号】62/466,025
(32)【優先日】2017-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(71)【出願人】
【識別番号】503305932
【氏名又は名称】ユニベルスィテ リーブル ドゥ ブリュッセル
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】フォラン、マーティン ジー.
(72)【発明者】
【氏名】キーティング、トーマス エム.
(72)【発明者】
【氏名】デビエール、ジャック
(72)【発明者】
【氏名】コーシュ、ニコラス
(57)【要約】
【課題】覆われた部分、覆われていない部分、および管状ライナーを共に含むステントを設計すること。
【解決手段】拡張可能医療装置は管状スキャフォールドとライナーとを備える。管状スキャフォールドは、内面、外面、第1端部領域、第2端部領域、前記第1端部領域と前記第2端部領域との間に位置する中間領域、および前記第1端部領域と前記第2端部領域との間に延びる空洞を含む。ライナーは、管状スキャフォールドの空洞内に配設される。ライナーの複数の第1部分は管状スキャフォールドの内面の複数の第1領域に固着されるとともに直接的に当接され、それによって組織内部成長を阻止し、内面の複数の第2領域はライナーに直接的に当接されておらず、それによって管状スキャフォールドの内面とライナーの外面との間に組織内部成長領域を画定する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管状スキャフォールドであって、内面、外面、第1端部領域、第2端部領域、前記第1端部領域と前記第2端部領域との間に位置する中間領域、および前記第1端部領域と前記第2端部領域との間に延びる空洞を含む管状スキャフォールドと、
前記管状スキャフォールドの前記空洞内に配設されたライナーと
を備え、
前記ライナーの複数の第1部分が前記管状スキャフォールドの前記内面の複数の第1領域に固着されるとともに直接的に当接され、それによって組織内部成長を阻止し、
前記内面の複数の第2領域が前記ライナーに直接的に当接されておらず、それによって前記管状スキャフォールドの前記内面と前記ライナーの外面との間に組織内部成長領域を画定する、拡張可能医療装置。
【請求項2】
前記ライナーは、前記管状スキャフォールドの前記中間領域の全体に少なくとも沿って延びている、請求項1に記載の医療装置。
【請求項3】
前記ライナーの第1端部は、前記管状スキャフォールドの前記第1端部領域に沿った前記外面の一部に沿って設けられる外層を形成しており、
前記ライナーの第2端部は、前記管状スキャフォールドの前記第2端部領域に沿った前記外面の一部に沿って設けられる外層を形成している、請求項1に記載の医療装置。
【請求項4】
前記ライナーは、前記管状スキャフォールドの前記第1端部領域の前記内面に円周状に付着され、
前記ライナーは、前記管状スキャフォールドの前記第2端部領域の前記内面に円周状に付着される、請求項1に記載の医療装置。
【請求項5】
前記ライナーの前記複数の第1部分は、前記管状スキャフォールドの前記内面に沿って螺旋方向で延びるとともに固着され、
前記組織内部成長領域は前記ライナーにおいて離間している複数の螺旋状の巻きの間に規定される、請求項1に記載の医療装置。
【請求項6】
前記ライナーの前記複数の螺旋状の巻きは、前記管状スキャフォールドの前記中間領域のみに沿って延びている、請求項5に記載の医療装置。
【請求項7】
前記管状スキャフォールドの前記内面に固着された前記ライナーの前記複数の第1部分は、離間した複数の離散付着点を含む請求項1に記載の医療装置。
【請求項8】
前記ライナーにおいて前記離間した複数の離散付着点同士の間の領域は、前記管状スキャフォールドの前記内面から離間しており、前記組織内部成長領域を形成している、請求項7に記載の医療装置。
【請求項9】
前記離間した複数の離散付着点は、前記管状スキャフォールドに沿って長手方向に延びている、請求項8に記載の医療装置。
【請求項10】
前記離間した複数の離散付着点は、前記管状スキャフォールドの前記中間領域の全体に沿って長手方向に延びている、請求項9に記載の医療装置。
【請求項11】
前記離間した複数の離散付着点は、前記管状スキャフォールドの前記内面に沿って周方向に離間した4つの長手方向付着点を含む、請求項9に記載の医療装置。
【請求項12】
前記管状スキャフォールドは、該管状スキャフォールドの前記外面から前記管状スキャフォールドの前記内面に延びる複数の間隙を含んでおり、
前記医療装置は、組織が前記中間領域に沿って前記管状スキャフォールドの前記複数の間隙を通って成長することを許容するべく、前記管状スキャフォールドの前記中間領域の径方向外側に外側カバーを何ら有しない、請求項1に記載の医療装置。
【請求項13】
前記ライナーの複数の第2部分は前記管状スキャフォールドの前記内面から径方向に離間しており、前記組織内部成長領域を形成している、請求項1に記載の医療装置。
【請求項14】
前記織内部成長領域は、前記管状スキャフォールドの前記内面に沿って円周状に延びている、請求項13に記載の医療装置。
【請求項15】
前記織内部成長領域は、前記管状スキャフォールドの前記中間領域に沿って長手方向に離間している少なくとも二つの円周状の組織内部成長領域を含んでいる、請求項14に記載の医療装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、医療装置、医療装置を製造するための方法、およびその使用に関する。より詳細には、本開示は、内側ライナーなどの内側部材を含むステント、ならびにそのようなステントを製造および使用するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
埋込型医療装置(たとえば、拡張可能ステント)は、医療処置後に消化物、血液、または他の流体が流れる経路を提供するように設計され得る。さらに、一部の埋込型医療装置は、瘻治療、バイパス術、および/または吻合治療に役立つ特徴を実装することがある。これらの医療装置は、内視鏡を介して経腔的に埋め込まれ得る径方向または自己拡張ステントを含むことがある。また、一部のステントは、食道、胃腸管(腸、胃、および結腸を含む)、気管気管支、尿路、胆道、脈管系などの様々な体管腔に埋め込まれてよい。
【0003】
場合によっては、体管腔内のステント自体の位置を維持するために充分な半径強度を有しながら、食物または他の消化物が流れる通路として機能する能力も有するステントを設計することが望ましいことがある。しかしながら、一部のステントでは、ステントの位置決めを支援する圧縮性および柔軟性の特性のため、ステントが元の展開位置から移動する傾向を有することもある。たとえば、食道または胃腸管内に配置されるように設計されたステントは、蠕動(すなわち、管の内容物を押す食道、腸、および結腸の筋肉の不随意の収縮および弛緩)により移動する傾向を有することがある。加えて、食道、腸、結腸などの一般的に湿潤で本質的に滑らかな環境が、ステントがその中に展開されたときにステントの移動する傾向にさらに寄与する。ステントの移動を減らすための1つの方法は、ステントのむき出しの金属部分を体管腔の組織に露出することを含み得る。ステント・スキャフォールド(scaffold)は、その間隙または開口への組織内部成長を促進する構造を提供し得る(たとえば、ステント構造が過形成反応を促進し得る)。組織内部成長は、ステントの所定の位置に固定し、ステントの移動のリスクを軽減することができる。
【0004】
さらに、ステントが体管腔内で移動する度合いを減らしたステントを設計することが重要である一方、展開後に体管腔から容易に除去および/または再配置されることが可能であるステントを設計することも重要である。また、組織内部成長を促進するように(たとえば、上述のようにステントの移動を減らすために)設計されたむき出しの部分(すなわち、覆われていない部分)を含むステントは、組織がステントを体管腔に固定した後に除去するのがより難しくなることもある。ステントを体管腔から除去するのに必要な力を減らすための1つの方法は、ステントの一部分を覆うことによって体管腔とステントの外面との間に物理的障壁を作る(たとえば、組織内部成長によって固定され得るステントの表面積を減らす)ことを含み得る。しかしながら、覆われたステントは、(上述されたように)むき出しのステントよりも移動しやすい可能性がある。
【0005】
さらに、充分に固定されると共に体管腔から容易に除去されることが可能なステントを設計することに加えて、可消化物質が体管腔を通過するのを支援する特徴を有するステントを設計するのが望ましいことがある。たとえば、場合によっては、食物または他の消化物が流れることを可能にする内側ライナー(たとえば空洞)を有するステントを設計するのが望ましいことがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、場合によっては、覆われた部分、覆われていない(たとえば、むき出しの)部分、および管状ライナーを共に含むステントを設計するのが望ましいことがある。覆われた部分、覆われていない部分、および内側ライナーを含む医療装置の例が、本明細書において開示される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、医療装置の代替的な設計、材料、製造方法、および使用を提供する。例示的な拡張可能医療装置は、管状スキャフォールドを含む。スキャフォールドは、内面、外面、およびその中に延びる空洞を含む。拡張可能医療装置はまた、管状スキャフォールドの空洞内に配設されたライナーを含む。さらに、ライナーは、管状スキャフォールドの中間領域に沿って組織内部成長領域を画定するように、中間領域から径方向に離間される。加えて、組織内部成長領域に沿って延びるライナーは、スキャフォールドの中間領域に沿った組織内部成長の量を制限するように構成される。
【0008】
上記の実施形態のいずれかに代えてまたは加えて、ライナーは、過形成反応による管状スキャフォールドの中間領域内への組織内部成長の量を制限するように構成される。
上記の実施形態のいずれかに代えてまたは加えて、組織内部成長領域は、管状スキャフォールドの内面と、ライナーの外方に向く面との間に形成される。
【0009】
上記の実施形態のいずれかに代えてまたは加えて、組織内部成長領域に沿って延びるライナーの部分が、管状スキャフォールドの内面から径方向に内方に撓むように構成される。
【0010】
上記の実施形態のいずれかに代えてまたは加えて、管状スキャフォールドの中間部分は、第1の内径を含み、組織内部成長領域に沿ったライナーの直径は、第2の内径を含み、第2の内径は、第1の内径の直径の25%よりも大きい。
【0011】
上記の実施形態のいずれかに代えてまたは加えて、ライナーは、それを通る通路を維持するように設計される。
上記の実施形態のいずれかに代えてまたは加えて、ライナーは、管状スキャフォールドの内面の少なくとも一部分に固定的に付着される。
【0012】
上記の実施形態のいずれかに代えてまたは加えて、組織内部成長領域は、管状スキャフォールドの内面に円周状に延びる。
上記の実施形態のいずれかに代えてまたは加えて、ライナーは、管状スキャフォールドの外面の一部分に沿って配設される。
【0013】
上記の実施形態のいずれかに代えてまたは加えて、ライナーは、管状スキャフォールドの内面に沿って、管状スキャフォールドの端部分に沿って、および管状スキャフォールドの外面の一部分に沿って、連続的に延びる。
【0014】
上記の実施形態のいずれかに代えてまたは加えて、ライナーは、第1の場所および第2の場所で管状スキャフォールドに円周状に付着され、組織内部成長領域は、第1の場所と第2の場所との間に画定される。
【0015】
上記の実施形態のいずれかに代えてまたは加えて、中間領域は、組織が中間領域に沿ってステントの間隙を通って成長することを可能にされるように、ライナーを欠いている。
別の食道ステントは、拡張可能な管状スキャフォールドを含み、スキャフォールドは、内面、外面、およびその中に延びる空洞を含む管状スキャフォールドを含む。ステントはまた、管状スキャフォールドの空洞内に配設されたライナーを含む。ライナーは、管状スキャフォールドの空洞内に連続的に延びる。ライナーは、管状スキャフォールドの中間領域に沿って組織内部成長領域を画定するように、中間領域から径方向に離間される。ライナーは、物質が流れるためのライナーを通り抜ける通路を維持するように構成される。
【0016】
上記の実施形態のいずれかに代えてまたは加えて、ライナーは、過形成反応による管状スキャフォールドの中間領域内への組織内部成長の量を制限するように構成される。
上記の実施形態のいずれかに代えてまたは加えて、組織内部成長領域は、管状スキャフォールドの内面と、ライナーの外方に向く面との間に形成される。
【0017】
上記の実施形態のいずれかに代えてまたは加えて、組織内部成長領域に沿って延びるライナーの部分が、管状スキャフォールドの内面から径方向に内方に撓むように構成される。
【0018】
上記の実施形態のいずれかに代えてまたは加えて、管状スキャフォールドの中間部分は、第1の内径を含み、組織内部成長領域に沿ったライナーの直径は、第2の内径を含み、第2の内径は、第1の内径の直径の25%よりも大きい。
【0019】
上記の実施形態のいずれかに代えてまたは加えて、ライナーは、管状スキャフォールドの外面の一部分に沿って配設される。
別の食道ステントは、拡張可能な管状スキャフォールドを含み、スキャフォールドは、その中に延びる空洞を有する。スキャフォールドは、第1の端部分、第2の端部分、ならびに第1の端部分と第2の端部分との間に配設された中間部分を含む。ステントはまた、スキャフォールドの空洞内に連続的に延びるライナーを含む。ライナーは、第1の端部分および第2の端部分に沿って円周状に付着される。組織内部成長領域は、スキャフォールドの中間部分に沿って画定される。ライナーは、管状スキャフォールドの中間領域に沿って組織内部成長領域を画定するように、中間領域から径方向に離間される。ライナーは、物質が流れるためのライナーを通り抜ける通路を維持するように構成される。
【0020】
上記の実施形態のいずれかに代えてまたは加えて、組織内部成長領域に沿って延びるライナーの部分が、管状スキャフォールドの内面から径方向に内方に撓むように構成される。
【0021】
いくつかの実施形態の上記の概要は、開示される各実施形態または本開示のすべての実装について説明することを意図していない。以下の図面および発明を実施するための形態では、これらの実施形態をより具体的に例示する。
【0022】
本開示は、添付の図面に関連して以下の詳細な説明を考慮してより完全に理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】例示的ステントを示す図。
図2図1の線2-2に沿ったライナーを含む、図1のステントの断面図。
図3図1の線3-3に沿った、図1のステントの断面図。
図4図1の線4-4に沿った、図1のステントの断面図。
図5】ライナーを含む、図1のステントの断面図。
図6A】ライナーおよび覆われた部分を含む、別の例示的なステントの断面図。
図6B】ライナーおよび覆われた部分を含む、別の例示的なステントの断面図。
図7A】ライナーおよび覆われた部分を含む、別の例示的なステントの断面図。
図7B】ライナーおよび覆われた部分を含む、別の例示的なステントの断面図。
図8A】ライナーおよび覆われた部分を含む、別の例示的なステントの平面図。
図8B】ライナーを含む、別の例示的なステントの平面図。
図8C】別の例示的なステントの断面図。
図9】固定部材を含む例示的なステントを示す図。
図10】固定部材を含む例示的なステントを示す図。
図11】固定部材を含む例示的なステントを示す図。
図12】固定部材を含む例示的なステントを示す図。
図13】固定部材を含む例示的なステントを示す図。
図14】固定部材を含む例示的なステントを示す図。
図15A】回収部材を含む例示的なステントを示す図。
図15B】回収部材を含む例示的なステントを示す図。
図16】体管腔に配置された例示的なステントを示す図。
図17】体管腔に配置された例示的なステントを示す図。
図18】体管腔に配置された例示的なステントを示す図。
図19】例示的なステントを食道内に展開するための例示的な方法を示す図。
図20】例示的なステントを食道内に展開するための例示的な方法を示す図。
図21】例示的なステントを食道内に展開するための例示的な方法を示す図。
図22】例示的なステントを食道内に展開するための例示的な方法を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本開示は様々な修正および代替形態が可能であるが、その特定の形態が図面における例として示されていて詳細に説明される。しかしながら、説明されている特定の実施形態に本開示を限定することを意図していないことを理解されたい。むしろ、本開示の主旨および範囲に含まれるすべての修正、均等物、および代替形態を包含することを意図している。
【0025】
特許請求の範囲または本明細書の他の箇所で異なる定義が与えられない限り、以下に定義される用語に関しては、これらの定義が適用されるものとする。
本明細書では、すべての数値は、明示されているか否かにかかわらず、「約」という用語によって修飾されると想定される。一般に、「約」という用語は、当業者が記載されている値に等しいとみなす(たとえば、同じ機能または結果を有する)数の範囲を指す。多くの場合、「約」という用語は、最も近い有効数字に丸められた数を含んでよい。
【0026】
端点による数値範囲の記述は、その範囲内のすべての数を含む(たとえば、1から5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、および5を含む)。
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用されるとき、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、その内容が別段に明確に示さない限り、複数の指示対象を含む。本明細書および添付の特許請求の範囲で使用されるとき、「または」という用語は、その内容が別段に明確に示さない限り、「および/または」を含む意味で一般に用いられる。
【0027】
本明細書における「実施形態」、「いくつかの実施形態」、「他の実施形態」などへの言及は、説明されている実施形態が1つまたは複数の特定の特徴、構造、および/または特性を含み得ることを示すことに留意されたい。しかしながら、そのような記述は、すべての実施形態が特定の特徴、構造、および/または特性を含むことを必ずしも意味するものではない。さらに、特定の特徴、構造、および/または特性が一実施形態に関連して説明されているとき、そのような特徴、構造、および/または特性は、そうではないと明確に述べられていない限り、明示的に説明されているかどうかにかかわらず他の実施形態と関連して使用されてもよいことを理解されたい。
【0028】
以下の詳細な説明は、異なる図面の同様の要素に対して同じ番号が付された図面を参照して読まれるべきである。図面は、必ずしも縮尺通りではなく、例示的実施形態を示しており、本開示の範囲を限定することを意図していない。
【0029】
上述されたように、場合によっては、それは、医療処置後に消化物、血液、または他の流体が流れる経路を提供するように設計され得る。さらに、一部の埋込型医療装置は、瘻治療、バイパス術、および/または吻合治療に役立つ特徴を実装することがある。これらの医療装置は、内視鏡を介して経腔的に埋め込まれ得る径方向または自己拡張ステントを含むことがある。さらに、一部のステントは、食道、(腸、胃、結腸を含む)胃腸管、気管気管支、尿路、胆道、脈管系などの様々な管腔に埋め込まれてよい。
【0030】
場合によっては、体管腔内のステント自体の位置を維持するために充分な半径強度を有しながら、食物または他の消化物が流れる通路として機能する能力も有するステントを設計することが望ましいことがある。しかしながら、一部のステントでは、ステントの位置決めを支援する圧縮性および柔軟性の特性のため、ステントが元の展開位置から移動する傾向を有することもある。たとえば、食道または胃腸管内に配置されるように設計されたステントは、蠕動(すなわち、管の内容物を押す食道、腸、および結腸の筋肉の不随意の収縮および弛緩)により移動する傾向を有することがある。加えて、食道、腸、結腸などの一般的に湿潤で本質的に滑らかな環境が、ステントがその中に展開されたときにステントの移動する傾向にさらに寄与する。ステントの移動を減らすための1つの方法は、ステントのむき出しの金属部分を体管腔の組織に露出することを含み得る。ステント・スキャフォールドは、構造の間隙または開口への組織内部成長(たとえば過形成反応)を促進する構造を提供し得る。組織内部成長は、ステントの所定の位置に固定し、ステントの移動のリスクを軽減することができる。
【0031】
さらに、ステントが体管腔内で移動する度合いを減らしたステントを設計することが重要である一方、展開後に体管腔から容易に除去および/または再配置されることが可能であるステントを設計することも重要である。また、組織内部成長を促進するように(たとえば、上述のようにステントの移動を減らすために)設計されたむき出しの部分(すなわち、覆われていない部分)を含むステントは、組織がステントを体管腔に固定した後に除去するのがより難しくなることもある。ステントを体管腔から除去するのに必要な力を減らすための1つの方法は、ステントの一部分を覆うことによって体管腔とステントの外面との間に物理的障壁を作る(たとえば、組織内部成長によって固定され得るステントの表面積を減らす)ことを含み得る。しかしながら、覆われたステントは、(上述されたように)むき出しのステントよりも移動しやすい可能性がある。
【0032】
さらに、充分に固定されると共に体管腔から容易に除去されることが可能なステントを設計することに加えて、可消化物質が体管腔を通過するのを支援する特徴を有するステントを設計するのが望ましいことがある。たとえば、場合によっては、食物または他の消化物が流れることを可能にする内側ライナー(たとえば空洞(lumen))を有するステントを設計するのが望ましいことがある。
【0033】
したがって、場合によっては、覆われた部分、覆われていない(たとえば、むき出しの)部分、および管状ライナーを共に含むステントを設計するのが望ましいことがある。覆われた部分、覆われていない部分、および内側ライナーを含む医療装置の例が、本明細書において開示される。
【0034】
図1は、例示的なステント10を示す。ステント10は、第1の端部21、第2の端部23、およびその中に延びる空洞を有することができる。体管腔(たとえば食道)に配置されたとき、第1の端部または近位端部21は、患者の口に最も近いステント10の端部として定義され、第2の端部または遠位端部23は、患者の胃に最も近いステント10の端部として定義され得る。
【0035】
加えて、ステント10は、管状スキャフォールドを形成する1つまたは複数のステント・ストラット部材12を含むことができる。ステント・ストラット部材12は、螺旋状、長手方向、円周状、または他の様式でステント10に沿って延びてよい。図1では、ステント10の全長に沿って延びるステント・ストラット部材12を示しているが、他の例では、ステント・ストラット部材12がステント10の一部分のみに沿って延びてよい。
【0036】
加えて、図1では、例示的なステント10が、ステント10の第1の端部21に近接する第1のフレア端領域14、および/または第2の端部23に近接する第2のフレア領域16を含むことを示している。場合によっては、第1のフレア領域14および第2のフレア領域16は、ステント10の第1の端部21および/または第2の端部23の一方または両方に沿った外径、内径、または外径と内径の両方の増大として定義されてよい。さらに、図1では、ステント10が、第1のフレア領域14と第2のフレア領域16との間に配置された中間領域18を含むことを示している。
【0037】
しかしながら、図1では第1のフレア領域14と第2のフレア領域16との両方を含むステント10を示しているが、ステント10は1つのフレア領域を含むだけでもよいことが想定される。たとえば、ステント10がフレア領域14のみまたはフレア領域16のみを含んでもよいことが想定される。さらに、第1のフレア領域14および/または第2のフレア領域16の全部または一部分が、(たとえば、ステント10の中央の長手軸から離れて)外方へフレア状になってよいことが想定される。代わりに、さらに、第1のフレア領域14および/または第2のフレア領域16の全部または一部分が、(たとえば、ステント10の中央の長手軸に向かって)内方へフレア状になってよいことが想定される。
【0038】
場合によっては、ステント10は自己拡張ステントであってよく、またはステント10はバルーン拡張可能ステントであってよい。自己拡張ステントの例は、剛性および/または半剛性のステント構造を形成するように組み合わされた1つまたは複数のストラット12を有するステントを含み得る。たとえば、ステント・ストラット12は、ステント構造を形成するために、編組、巻き付け、絡み合わせ、織り合わせ、織り、編み、またはループ(たとえばボビネット様式)などがされたワイヤまたはフィラメントであってよい。たとえば、本明細書において開示されている例示的なステントは網組ステントに類似し得るが、これは、可能なステント構成を限定することを意図していない。むしろ、図に示されるステントは、ステント構造を形成するために、編み、編組、巻き付け、絡み合わせ、織り合わせ、織り、またはループ(たとえばボビネット様式)などがされたステントであり得る。代わりに、ステント10は、単一の円筒形管状レーザーカット・ニチノール管状部材などの円筒形管状部材から形成された一体構造であってもよく、管状部材の残りの部分はステント・ストラット12を形成する。ステント10の壁における開口または間隙が、隣接するステント・ストラット12の間で画定され得る。
【0039】
本明細書において開示されている例のステント10は、様々な材料から構築され得る。たとえば、ステント10(たとえば、自己拡張またはバルーン拡張可能)は、金属(たとえば、ニチノール、エルジロイなど)から構築されてよい。他の例では、ステント10は、ポリマー材料(たとえば、PET)から構築されてよい。さらに他の例では、ステント10は、金属材料とポリマー材料の組み合わせから構築されてよい。加えて、ステント10は、生体吸収性および/または生分解性の材料を含み得る。
【0040】
場合によっては、例示的なステント10は、ステント10の管状スキャフォールドの内面および/もしくは外面に対しておよび/または隣接して配置された1つまたは複数の層を含んでよい。たとえば、図1では、例示的なステント10が、ステント10の外面の一部分に沿って(たとえば、ステント10の第1のフレア部分14および/または第2のフレア部分16に沿って)配設された外層22(図1ではドットパターンとして示される)を含むことを示している。場合によって、外層22は、エラストマー材料または非エラストマー材料であってよい。たとえば、外層22は、シリコーンまたはポリウレタンなどのポリマー材料であってよい。
【0041】
加えて、例示的なステント10は、ステント10の内面に対しておよび/または隣接して配置された1つまたは複数の層を含んでよい。図1には示されていない(ただし図2には示す)が、ステント10は、ステント10の空洞内に配設された内層20を含んでよい。場合によって、内層20は、エラストマー材料または非エラストマー材料であってよい。たとえば、内層20は、シリコーン、ポリウレタン、UE、PVDF、Chronoflex(登録商標)、または同様の生体適合性ポリマー製剤などのポリマー材料であってよい。
【0042】
内層20および外層22がそれぞれ外方および内方に延びると、ステント10の管状スキャフォールドの壁における空間(たとえば、開口、セル、間隙)において界面領域に接触しおよび/または界面領域を形成し得ることは理解できよう。さらに、内層20および外層22は、隣接ストラット12間にさらに延び、それにより、管状スキャフォールドの隣接ストラット部材12間のいかなる空間をも満たすことがある。ステント10は、1つまたは複数のフィラメント12が外層22および/または内層20によって囲まれ、包まれ、および/または覆われた区域を含んでよい。たとえば、ステント10のいくつかの部分が、外層22と内層20との間に挟まれたフィラメント12を含んでよい。
【0043】
図2は、図1の線2-2に沿った例示的なステント10の断面を示す。図2は、第1のフレア領域14および/または第2のフレア領域16がテーパ部分25および端部分27を含んでよいことを示している。図2では、ステント10の端部に向かって径方向に外方へテーパするテーパ部分を示しているが、代わりに、テーパ部分25の1つまたは複数が径方向に内方へテーパしてもよいと想定される。
【0044】
図2はさらに、ステント10の内面24の全部または一部分に沿って延びる内層20を示している。たとえば、図2は、端部分27、テーパ部分25、および中間部分18の内面に沿って延びる内層20を示している。本明細書では説明のために、内層20は、ライナー、コーティング、および/またはカバーと交換可能に呼ばれ得る。ライナー20は、ステント部材10の空洞に沿って円周状に延びることができる。言い換えれば、ステント部材10の空洞に沿って連続的に延びる環状層としてライナー20が画定され得ることは理解できよう。さらに、ライナー20は、ステント10の空洞に沿って第1の端部21から第2の端部23へ連続的に(たとえば途切れずに)延びてよい。
【0045】
上述されたように、図2は、ステント10が、ステント10の外面26に沿って配設された外層22を含むことができることを示している。たとえば、場合によっては、ステント10は、端部分27のうちの1つまたは複数の外面に沿って配設された外層22を含んでよい。
【0046】
図2に示されるような)いくつかの場合には、外層22は、内層20の連続的な延長であってよい。たとえば、図2では、内層20が端部分27の内面24に沿って延び、それにより、内層20が端部分27の端28を「包み」、続いて端部分27の外面に沿って延びることを示している。この例では、外層22として上記に説明されたものが、ステント10の管状スキャフォールドの端28を「包み」、さらに端部分27の外面に沿って延びる内層20の部分を画定することができることに留意されたい。さらに、内層20と、外層22を形成するようにスキャフォールド10の端28を包む内層20の部分との両方が、一緒にそれらの間にフィラメント12を挟んでよい。さらに、図2では、内層20が、図2のステント10の両端の端部分27の周りを包む(たとえば、周りに連続的に延びる)ことを示しているが、内層20はステント部材10の一方の端部分27のみの周りを包んでもよいことが想定される。
【0047】
図2では、内層20が、端部分27および/またはテーパ領域25の内面に固定的に付着され得ることを示している。言い換えれば、図2では、内層20が、ステント10の端部分27および/またはテーパ領域25を画定するストラット部材12の内面に対して、接着(たとえば、取り付け、固着など)され得ることを示している。
【0048】
加えて、図2では、いくつかの例において、内層20の一部分がステント10の内面24から離間(たとえば、その径方向内方へ離間)されて、それらの間に隙間または空間が提供し得ることを示している。特に、図2では、ステント部材10の中間部分18に沿って延びる内層20の部分が、ステント10の管状スキャフォールドの中間部分28から外され、ステント10の管状スキャフォールドの内面24から径方向に内方へ離間され得ることを示している。たとえば、図2では、ライナー20が、第1の付着点30および第2の付着点32で(たとえば、円周状に)付着され、付着点30/32間のライナー20の長さの部分は、ステント10の中間部分18の管状スキャフォールドに付着されていない(すなわち、直接付着されていない)ままであり得ることを示している。図2では、内層20が、第1の付着点30と第2の付着点32との間のステント10の部分に沿って、ステント10の管状スキャフォールド(すなわちストラット12)の内面24に付着されないことが可能であることを示している。内層20がステント10のストラット12の内面24に付着されていない図2に示されるステント10の部分は、上述されたステント10の中間部分18に対応し得ることに留意されたい。言い換えれば、いくつかの例において、内層20は付着されずに、したがって、ステント10の中間部分18に沿って管状スキャフォールド(すなわちストラット12)の内面24から径方向に内方へ延びることがある。
【0049】
上述されたように、体管腔(たとえば、食道または胃腸管)に配置されるように設計されたステントは、(蠕動、および/または体管腔の一般的に湿潤で本質的に滑らかな環境により)移動する傾向を有することがある。したがって、ステントの移動を減らすための1つの方法は、体管腔の組織に対して、ステントの覆われていないおよび/またはむき出しの金属部分のような組織内部成長を促進する領域を露出することを含み得る。覆われていないまたはむき出しのステント・スキャフォールドは、その間隙または開口への組織内部成長を促進する構造を提供し得る。組織内部成長は、ステントの所定の位置に固定し、ステントの移動のリスクを軽減することができる。
【0050】
したがって、ステントのストラットまたはフィラメント12に付着される(たとえば覆う)内および/または外層を含む上述されたステント10の部分が、その間隙または開口へ組織が成長するのを防止するように作用し得ることは理解できよう。たとえば、ステント10のテーパ領域25および端部分27のストラットまたはフィラメント12は、それらに付着されて管状スキャフォールドの間隙にまたがる内層20および/または外層22を含んでおり、それぞれの面およびそれらの間の間隙に沿った組織内部成長を防止し得る。
【0051】
しかしながら、内層20が付着されていない(たとえば、ステント10の中間部分18に沿って延びる内層20の部分における)ステント10のそれらのフィラメント12の周り、間、各間、範囲内などで組織が成長することは可能にされ得ることは理解できよう。言い換えれば、図2は、ステント10の中間領域18に沿って画定される「組織内部成長領域」36を示している。図2の詳細な図は、組織内部成長領域36がステント部材10の内面24から内側ライナー20の外面38まで径方向に内方へ延びてよいことを示している。ステント部材10の内面24から内側ライナーの外面38までの距離は、図2において「D」として示され得る。距離「D」は、約0.5mm~10mm、または約1mm~6mm、または約1.5mm~4mm、または約2mmであってよい。
【0052】
図2はさらに、組織内部成長領域36が、付着点30/32間に延びるステント10の管状スキャフォールドの内面24とライナー20の外面38との間の空間として画定され得ることを示している。組織内部成長領域36は付着点30/32間に配置され得る。したがって、組織内部成長領域36は、円周状の付着点30/32の間のステント10のストラットまたはフィラメント12によって画定される管状壁の内面24と内層20の壁の外面38との間の空間として定義され得る。さらに、組織内部成長領域36は、ステント10の管状スキャフォールドの空洞内に円周状に延びるものとして画定され得る。言い換えれば、組織内部成長領域36が、ステント10のストラットまたはフィラメントによってステント壁の径方向内方に形成される、管状スキャフォールドの空洞に沿って連続的に延びる環状空間として画定され得ることは理解できよう。
【0053】
さらに、場合によっては、ライナー20が弾性材料から構築されてよいことは理解できよう。したがって、弾性材料構成要素を含むライナー20は、径方向に内方へ伸びることができる場合がある。たとえば、組織がステント部材10の間隙を通って成長すると、それにより内層20の外面38に対して径方向に内方へ押すことが可能である。対応して、内層20は、それに作用する内向きの力(たとえば、組織内部成長)に応じて、径方向に内方へ撓む、伸びるなどすることができる。特に、ステント10の内面24とライナー20の外面38との間の空間Dは、ライナー20が径方向に内方へ撓むにつれて増大することができる。他の実施形態では、ライナー20は非弾性であってよく、したがって、ステント10に対して撓むことがない。
【0054】
ライナー20は、それがステント10の管状スキャフォールドの内面24から径方向に内方へ撓むことを可能にする弾性要素を含むことができるが、場合によっては、内層20の撓みの量を制限するのが望ましいことがある。たとえば、図2は、内層20がその中に延び空洞40を画定することを示している。空洞40は、食物および/または他の可消化物質がその中を流れるのを可能にするように設計され得る。したがって、場合によっては、体管腔に埋め込まれたときに食物および/または他の可消化物質がステント10を通って流れることを可能にするために、空洞40によって画定された通路を保持するように、内層20を設計するのが望ましいことがある。言い換えれば、場合によっては、空洞40がそれ自体で径方向に内方へ閉じるのを防止するのが望ましいことがある。場合によっては、内層20は、内層20のさらなる伸びを防止するために、内層20の材料の閾値量の伸びの後に緊張され得る内層20の材料に埋め込まれた補強フィラメント(たとえば繊維)を含んでよい。場合によっては、補強フィラメントは、長手方向、円周状、螺旋状、無作為、または他の様式で内層20に配置され得る。
【0055】
図2では、中間領域18に沿ったステント10の管状スキャフォールドの内径を「D」として示している。さらに、図2では、中間領域18に沿った内側ライナー20の内径を「D」として示している。直径「D」は、場合によっては、約10mm~30mm、または約15mm~25mm、または約20mmであってよい。さらに、直径「D」は、場合によっては、約10mm~30mm、または約15mm~25mm、または約18mmであってよい。加えて、場合によっては、直径「D」が直径「D」の所与のパーセンテージ以上であるように内側ライナー20を設計するのが望ましいことがある。たとえば、場合によっては、直径「D」は、「D」の10%以上、または「D」の25%以上、または「D」の50%以上、または「D」の60%以上、または「D」の75%以上であってよく、あるいは場合によっては、「D」は「D」の10~20%の間であってよく、または「D」は「D」の20~30%の間であってよく、または「D」は「D」の30~40%の間であってよく、または「D」は「D」の40~50%の間であってよく、または「D」は「D」の50~75%の間であってよく、または「D」は「D」の75~90%の間であってよい。
【0056】
内側ライナー20の撓みの量を制限することは、空洞40が開いたままであることを保証するだけでなく、ステント10に沿って発生する組織内部成長の量を制限することも可能であることが理解できよう。たとえば、ライナー20が中間領域18に沿って径方向に内方へ撓み得る度合いを制限することによって、中間領域18に沿って発生する組織内部成長の量が制御されることが可能である。上述されたように、組織内部成長の量は、ステント10を体管腔から除去するのに必要な力に直接対応し得るので、ステント10に沿って発生する組織内部成長の量を制御するのが望ましいことがある。言い換えれば、ステント10は、ライナー20の弾性の量を制限すること(たとえば、それにより径方向内方への撓みの量を制限すること)によって、所与の除去力を有するようにカスタマイズされ得る。
【0057】
図2から理解され得るように、端部分27は、「D」として示される内径を含むことができる。直径「D」は、直径「D」以上であってよい。直径「D」は、場合によっては、約15mm~35mm、または約20mm~30mm、または約25mmであってよい。言い換えれば、内層20は、概して、第1の端部21に最も近い端部分27から中間部分18へ長手方向にテーパするように成形されてよい。たとえば、テーパ部分25は、円錐形状の漏斗とある程度類似し得る。さらに、図2に示されるように、ステント10は、フレア部分14に沿ってステント10の中央長手軸に向かって内方へテーパしてよく、また、フレア部分16に沿ってステント10の中央長手軸から離れるように外方へテーパしてよい。
【0058】
図3は、図2の線3-3に沿った断面を示す。上述されたように、この断面は、フレア領域14の端部分27を通って得られる。図3に示されるように、端部分27を画定するステント10のフィラメント12は、内層20と外層22との間で挟まれてよい。言い換えれば、図3は、(たとえば、フレア領域14および/またはフレア領域16に沿った)ステント10のいくつかの部分のフィラメント12は、それに直接付着された内層20および外層22の両方を有することができることを示している。言い換えれば、(たとえば、フレア領域14および/またはフレア領域16に沿った)ステント10のいくつかの部分に沿って、フィラメント12と、内層20および外層22の両方との間に空間が存在しなくてよい。
【0059】
図4は、図2の線4-4に沿った断面を示す。上述されたように、この断面は、ステント10の中間部分18を通って得られる。図4に示されるように、ステント10の内層20は、中間部分18に沿ってステント10のフィラメント12から離れて(すなわち、その径方向内方へ)離間され得る。さらに、図4は、ステント10のフィラメント12の内面24と内側部材20の外方に向く面38との間に延びる組織内部成長領域36を示している。加えて、図4は、組織内部成長領域36が、管状スキャフォールドのライナー20の径方向外方およびフィラメント12の径方向内方に、ステント10の長手軸の周りに円周状に延びることを示している。
【0060】
上記の説明では、内層20および外層22が、端部分27および/またはテーパ部分25に対して固定的に付着される(たとえば直接固着される)例を開示したが、他の構成も想定される。たとえば、図5は、例示的なステント部材110を示す。ステント110は、上述されたステント10に形態および機能が類似し得る。たとえば、ステント110は、ステント110の管状スキャフォールドの空洞内に配設されたライナー120を含んでよい。さらに、図5に示されるように、ライナー120は、付着点130および/または付着点132でステント110の内面124に沿って円周状に付着され得る。付着点130/132は、ステント110の対向するフレア端領域のようなステント110の対向端領域に位置付けられ得る。
【0061】
しかしながら、図5では、異なる付着点場所130/132がステント部材110に沿って想定されることを示している。簡単にするために、付着点場所130/132の想定される例示的な位置は、ステント部材110の端128からの距離に関して示される。たとえば、付着点130/132は、端128からの(ステント110の外面126に沿って測定されるような)距離「W」として示される。他の例では、付着点130/132は、(ステント110の端128から長手方向に測定されるような)「X」、「Y」および「Z」として示される距離で配置され得る。距離「Z」は、上述されたステント110に沿った付着点30/32と均等な付着場所であると理解されてよい。加えて、いくつかの例では、距離「W」は距離「Z」の約25%であってよく、距離「X」は距離「Z」の約50%であってよく、距離「Y」は距離「Z」の約75%であってよい。
【0062】
加えて、ライナー120は、ステント110の内面124に沿って付着されなくてよいことが想定される。たとえば、付着点130/132は、ステント110の端点に位置付けられてよい。さらに、付着点130/132が端128に位置付けられる例では、ライナー120は、ステント100の端128を覆い、および/または包み込んでよい。
【0063】
図5から理解できるように、ステント110に沿った異なる付着点130/132は、(ステント10の組織内部成長領域36として上述された)異なるサイズの組織内部成長領域136に対応し得る。たとえば、端128から距離「W」に位置付けられた付着点130/132によって画定される組織内部成長セクション136は、端128から距離「Y」に位置付けられた付着点130/132によって画定される組織内部成長領域136よりも大きくなり得る。上述された理由により、より大きい組織内部成長領域が、除去力を増大したステント100を作り得ることは理解できよう。
【0064】
また、外層122は、フィラメントまたはストラット112によって画定される管状スキャフォールドの外面に沿ってステント110の端128からの任意の望ましい距離で延びてもよい。たとえば、外層122は、端128から「W」、「X」、「Y」または「Z」として示される距離で延びることができる。外層122がステント110の端128から延びる距離は、付着点130/132の距離と同じであっても異なってもよい。
【0065】
ステント10およびステント110の上記の説明ではステント10に沿った種々の付着場所を示したが、ライナー20は、ステント部材10の内面24および/または外面に沿った任意の場所で付着され得ることが想定される。付着場所が異なると、ステントは異なる性能特性(たとえば、異なる除去力、異なる抗移動特性)を有することになり得る。図5に示される付着距離は、ステント110の反対端にある付着点132に、および/またはステント110の反対端にある外層122に同様に適用可能であることに留意されたい。
【0066】
図6A図8Bは、上記に開示されたステント設計に形態および機能が類似し得る例示的なステントを示す。たとえば、図6A図8Bに示されるステントの各々は、(たとえば、図2に示されたような)ステントの管状スキャフォールドの空洞内に配設された内側ライナーを含むことができる。さらに、図6A図8Bに示されるステントの各々は、管状スキャフォールドのフレア端領域の少なくとも一部分に沿って延びる上述されたような(たとえば、図1に示されたような)外層を含むこともできる。しかしながら、図6A図8Bに示されるステントはさらに、ステントの中間部分の外面に沿って配設された追加の外層(フレア端領域に配設された外層および/または内層と別個にまたは併せて形成され得る)を含んでよく、管状スキャフォールドの残部は、それを通る組織内部成長を促進するように覆われないままとする。
【0067】
たとえば、図6Aは、例示的なステント210を示す。例示的なステント210は、上記に開示されたステント設計に形態および機能が類似し得る。しかしながら、図6Aが示すように、ステント210は、ステント210の管状スキャフォールドの外面226に沿って配設された追加の外層223を含む。図6Aは、材料の円周状の環として外層223を示し、外層223は、ステント210の外面226に沿って円周状に延び(図6Aにおける破線は、ステント210の外面226に沿って円周状に延びる外層223を示す)、互いに対して離間されるように配置され得る。いくつかの例では、外層223は、ステント210にわたって横方向に延びるように配向され得る。図6Aに示されるように、個々の外層223は、互いに長手方向に離間され得る。外層223の構成が、ステント210の中間領域に沿って(上述されたものと機能が類似する)1つまたは複数の組織内部成長領域236を作ることは理解できよう。組織内部成長領域236は、ステント210の管状スキャフォールドの円周状に覆われない部分であり得る。内層220は、可能にされる組織内部成長の量を制限するように、組織内部成長領域236の径方向内方に位置付けられ得る。
【0068】
代わりに、本明細書において開示されているいくつかのステントの例は、ステントの内面に沿って延びる内層の1つまたは複数の部分が、ステントの内面から離間(すなわち、その径方向内方へ離間)されて、それらの間に隙間または空間が提供され得るように設計されてもよい。たとえば、(図6Aに関して上記に開示されたステント設計に形態および機能が類似し得る)図6Bは、代替的なステントの例を示し、この例では、ステント210の内面224に沿って延びる内層220の1つまたは複数の部分が、ステント210の内面に付着されずに、管状ステント210の内面224から径方向に内方へ離間されてよい一方、内層220の他の部分は、ステント210の内面224に付着される。ステント210の内面224の径方向内方に延びる内層220によって作られる空間が、1つまたは複数の組織内部成長領域236を画定することができる。組織内部成長領域236は、ステント210の内面224に沿って円周状に延びることができる。
【0069】
図7は、別の例示的なステント310を示す。例示的なステント310は、上記に開示されたステント設計に形態および機能が類似し得る。しかしながら、図7が示すように、ステント310は、ステント310の管状スキャフォールドの外面326に沿って配設された追加の外層323を含む。図7は、外層323が、ステント310の外面326に沿って円周状に延びるように配置され得ることを示している(図7における破線は、ステント310の外面326に沿って円周状に延びる外層323を示している)。しかしながら、図7では、外層323が、ステント310の外面326に沿って螺旋構成で延びるように配向され得ることを示している。外層323の構成が、ステント310に沿って(上記に説明されたものと形態および機能が類似する)1つまたは複数の組織内部成長領域336を作ることは理解できよう。組織内部成長領域336は、ステント310の管状スキャフォールドの円周状に覆われない部分であり得る。内層320は、可能にされる組織内部成長の量を制限するように、組織内部成長領域336の径方向内方に位置付けられ得る。
【0070】
代わりに、本明細書において開示されているいくつかのステントの例は、ステントの内面に沿って延びる内層の1つまたは複数の部分が、ステントの内面から離間(すなわち、その径方向内方へ離間)されて、それらの間に隙間または空間が提供され得るように設計されてもよい。たとえば、(図7Aに関して上記に開示されたステント設計に形態および機能が類似し得る)図7Bは、代替的なステントの例を示し、この例では、内層320の1つまたは複数が、ステント310の内面324に沿って螺旋方向で延び、内面324に付着され得る。内層320の螺旋構成が、ステント310に沿って(上記に説明されたものと形態および機能が類似する)1つまたは複数の組織内部成長領域336を作ることは理解できよう。組織内部成長領域336は、ステント310の管状スキャフォールドの螺旋状に配向された、覆われていない部分であり得る。
【0071】
図8Aは、例示的なステント410を示す。例示的なステント410は、上記に開示されたステント設計に形態および機能が類似し得る。しかしながら、図8Aが示すように、ステント410は、ステント410の管状スキャフォールドの外面426に沿って配設された追加の外層423を含む。図8Aは、外層423が、ステント410の外面426に沿って長手方向に延びるように配置され得ることを示している。図8Aに示されるように、個々の外層423は円周状に互いに離間され得る。外層423の構成が、ステント410に沿って(上述されたものと機能が類似する)1つまたは複数の組織内部成長領域436を作ることは理解できよう。組織内部成長領域436は、ステント410の管状スキャフォールドの覆われていない部分であり得る。内層420は、可能にされる組織内部成長の量を制限するように、組織内部成長領域436の径方向内方に位置付けられ得る。
【0072】
代わりに、本明細書において開示されているいくつかのステントの例は、ステントの内面に沿って延びる内層の1つまたは複数の部分が、ステントの内面から離間(すなわち、その径方向内方へ離間)されて、それらの間に隙間または空間が提供され得るように設計されてもよい。図8Bは、ステント420の内面から離間された内層420を有する(図8Aに関して上記に開示されたステント設計に形態および機能が類似し得る)代替的なステントの例を示す。(以下に論じられる)図8Bおよび図8Cに示されるように、内層420は、ステント410の内面に沿って1つまたは複数の離散付着点425を含んでよく、そこで、内層420はステント410の内面に付着される。内層420の離散付着点は、ステント410の内面に沿って長手方向の長さの全体(または一部)に(たとえば、遠位端領域から近位端領域まで)延びてよいことに留意されたい。
【0073】
図8Cは、図8Bに示された例示的なステント410の線8C-8Cに沿った例示的な断面を示す。図8Cは、内層420の1つまたは複数の部分がステント410の内面に沿って付着され得ることを示している。さらに、内層420は、1つまたは複数の離散付着点425でステント410の内面に沿って付着され得る。離散付着点425の間の空間が1つまたは複数の組織内部成長領域436を作り得ることは理解できよう。
【0074】
本明細書において開示されている例示的なステントは、ステントが埋め込まれた体管腔に対して管状部材がずれるのを防止するように設計された1つまたは複数の固定部材を含むことができる。たとえば、本明細書において開示されているいくつかのステントは、抗移動要素を含むことができる。抗移動要素は、フック、返し、柱、フレア、フープ、フィン、クイル(quills)、またはタイン(tines)などを含み得る。抗移動特徴は、体管腔での展開中および/または展開後にステントが動く量を制御する際に有益であり得る。
【0075】
図9図14は、上記に開示されたステント設計に形態および機能が類似し得る例示的なステントを示す。たとえば、図9図14のステントは、図1および図2に示されたステント設計に形態および機能が類似し得る。
【0076】
図9は、1つまたは複数の固定部材542を含むステント510を示す。1つまたは複数の固定部材542は、ステント510の外面526に配置され外面526から径方向に外方へ離れて延びてよく、体管腔の内面に接触するように構成されてよい。たとえば、本明細書において開示されている少なくともいくつかの例では、固定部材542は、体管腔の壁に対し係合および/または貫入するためにステント510の外面から径方向に外方へ離れて延びる突起を含むことができる。いくつかの例では、固定部材542は、ループ、返し、フック、ポイント、スパイク、スプール、リブ、円周リム、プロング(prong)、タインなどを含み得る。
【0077】
図9は、固定部材542がステント510の異なる部分に沿って配置され得ることを示す。たとえば、図9は、フレア領域514とフレア領域516の両方に沿って配置された固定部材を示している。しかしながら、固定部材542はフレア部分514/516のいずれか1つのみに沿って配置されてもよいことが想定される。さらに、固定部材542は(フレア部分514および/またはフレア部分516を含む)ステント510の外面の任意の部分に沿って配置されてもよいことが想定される。たとえば、図9は、フレア部分514に沿って配置された2列の固定部材を示している。
【0078】
固定部材542は、ステント510の外面に付着(たとえば溶接)された別個の構成要素を含み得ることが想定される。しかしながら、固定部材542がステント510のフィラメントまたはストラットから一体的に形成され得ることも想定される。たとえば、固定部材542は、ステント510の網掛け部分の延長であってよい。加えて、ステント510の固定部材542は、様々な角度、配向などで、ステント510から離れるように延びてよいことが想定される。たとえば、図9では、フレア領域514および516に位置付けられた固定部材542が、ステント510の端521から離れる(たとえば、端523に向かう)向きを指していることを示す。
【0079】
本明細書において開示されている例示的なステントと体管腔の内面の移動を防止するように設計された他の固定構成および/または方法が図10図14で想定されている。図10図14の例示的なステントは、本明細書において開示されている他のステント設計に形態および機能が類似し得る。
【0080】
図10は、ステント610の外面626から離れるように延びる柱、クイル、またはスパイク状の突起に類似し得る固定部材642を含むステント610を示す。さらに、固定部材642は、ステント610の端621から離れる(たとえば、端623に向かう)向きを指している。
【0081】
図11は、固定部材742を含むステント710を示し、固定部材742は、ステント710の外面726から離れるように延びる1つまたは複数のループ形状および/または柱もしくはスパイク状の突起を含み得る。加えて、固定部材742は、ステント710の端721から離れる(たとえば、端723に向かう)向きを指している。
【0082】
図12は、固定部材842を含むステント810を示し、固定部材842は、ステント810の外面826から離れるように延びる1つまたは複数のループ形状の突起を含み得る。さらに、ステント810のフレア端領域が、ステント810の端821から離れる向きを指しているいくつかの部材842と、ステント810の端823に向かう向きを指しているいくつかの部材とを含み得る。
【0083】
図13は、ステント910の外面926から離れるように横方向に延びるループ形状の突起に類似し得る固定部材942を含むステント910を示す。
図14は、固定部材1042を含むフレア端領域を有するステント1010を示し、固定部材1042は、横方向に延びるループ形状の部分1042と、ステント1010の端1021から離れる(たとえば、端1023に向かう)向きを指しているループ形状の部分とを共に含み得る。
【0084】
上記の固定部材のいずれも、ステントが標的部位に隣接して配置されたときに、ステントが体管腔の内面に対して長手方向にずれるまたは移動するのを防止するように構成され得ることは理解できよう。場合によっては、ループ、返し、フック、ポイント、スパイク、スプール、リブなどを含む固定部材は、体管腔の壁に対し突出して入り込みおよび/または貫通し、それにより、体管腔の組織内へ固定部材を固着し、体管腔に対してステントが長手方向にずれるまたは移動するのを防止するように構成され得る。
【0085】
図15は、体管腔から埋込型医療装置110を除去するために構成された例示的なステント1110を示す。ステント1110は、本明細書において開示されている他のステント設計に形態および機能が類似し得る。本明細書において論じられているように、医療装置1110が体管腔に沿って埋め込まれている間に、組織内部成長が組織内部成長領域に沿って生じることが可能であり、それにより、体管腔内の埋込型医療装置1110の移動を減らすことができる。しかしながら、いくつかの例では、体管腔から医療装置1110を除去する必要があることがある。
【0086】
図15に示されるように、ステント1110は、ステント1110のフレア領域1114のフィラメント1112から形成された間隙1152に付着された縫合糸1150(たとえばフィラメント)を含むことができる。言い換えれば、縫合糸1150は、ステント1110のフィラメント1112の1つまたは複数の間隙1152の間で織り交ぜられてよい。さらに、図15に見られるように、縫合糸1150が外層1122に隣接して配置される。言い換えれば、縫合糸1150は、外層1122に隣接するステント1110の管状スキャフォールドの覆われていない部分に沿って円周状にフィラメント1112の間隙1152を通して織り交ぜられてよい。ステント部材1110を除去するために、臨床医は、ステント1110の外面の近くから縫合糸1150の一部分をつかむことができる。縫合糸1150をつかんで引くことにより、ステント1110の一部分を締め付けて、ステント1110を径方向に内方につぶすようにし、それにより体管腔から解放することができる。さらに、少なくともいくつかの例では、縫合糸1150は、除去装置によって容易につかまれるように構成されたより長い付随部分(図示せず)を含んでよいと想定される。
【0087】
さらに、図15Bは、図15Aに関して上記に説明された例示的なステント1110を示す。しかしながら、図15Bに示されるように、縫合糸1150はステント1110の端部分1128に隣接して配置され得る。図15Aに関連して上記に説明されたものと同様に、縫合糸1150は、外層1122および/またはフィラメント1112の間隙1152を通して織り交ぜられてよい。さらに、縫合糸1150は、ステント1110の管状スキャフォールドに沿って円周状に延びることができる。ステント部材1110を除去するために、臨床医は、ステント1110の外面の近くから縫合糸1150の一部分をつかむことができる。縫合糸1150をつかんで引くことにより、ステント1110の一部分を締め付けて、ステント1110を径方向に内方につぶすようにし、それにより体管腔から解放することができる。さらに、少なくともいくつかの例では、縫合糸1150は、除去装置によって容易につかまれるように構成されたより長い付随部分(図示せず)を含んでよいと想定される。
【0088】
場合によっては、本明細書において開示されている例示的なステント設計のうちの1つまたは複数に対して二次的処置装置を付着および/または結合するのが望ましいことがある。たとえば、場合によっては、体管腔にステントを展開し、組織内部成長がステントを体管腔に固着するように過形成反応が発生する(たとえば、組織内部成長が発生する)のを待ち、次いで、ステントに対して二次処理装置を展開および/または付着するのが望ましいことがある。以下に示されるように、例示的なステントに付着する様々な二次処置装置が想定され得る。いくつかの例では、二次処置装置は、本明細書において開示されているステント設計に形状および機能が類似し得る。しかしながら、他の場合には、処置装置は、本明細書において説明されているステントと異なる(たとえば、様々な異なる結合機構、幾何形状などを含む)ことがある。
【0089】
図16図18は、例示的な体管腔内で組織の過形成反応を経験する例示的なステントを示す。図16は、体管腔11に展開された例示的なステント10を示す。示されるように、体管腔11における初期展開の後、ステント10の拡張可能スキャフォールドが体管腔11における拡張状態へと拡張するときに、第1のフレア領域14の端部分27および第1のフレア領域16の端部分27が、体管腔11の内面に対して径方向外方への力を加えることができる。体管腔11の内面に対して加えられたこの径方向外方への力は、体管腔11内のステント10の移動に対する一時的抵抗を提供することができる。
【0090】
さらに、ステント10の端部分27が、体管腔11の内面上の組織に接触し得る。体管腔11の内面の組織と端部分27のこの接触は、ステント10の空洞40を通して食物または他の物質の通りを狭めるシールを提供し得る。たとえば、食物または他の物質が食道を移動するとき、ステント10のフレア部分14/16は、ステント10の外側に沿って、および体管腔11の内面に沿って食物が進むのを防止することができる。むしろ、フレア部分14/16は、食物がステント10の空洞40を通って送られるように、体管腔11の内面の周りに円周シールを提供するように設計される。上述されたように、ステント10の内層20は、(ステント10の外面へ漏れることなく)食物および他の物質が進むことが可能な通路(たとえば空洞40)を作ることができる。
【0091】
図17は、ステント10の管状スキャフォールドの覆われていない部分の径方向内方へステント部材10の中間領域18に沿ってステント・フィラメント12を通って延びる組織13を示す。図17はさらに、(図17で矢印により示されるように)組織13がライナー20に向かって組織内部成長領域36内へ成長していることを示す。したがって、組織は、ステント10の管状スキャフォールドの間隙を通って、中間領域18の覆われていない部分全体にわたり、ステント10の管状スキャフォールドのストラットまたはフィラメント12の周りに成長し得る。
【0092】
図18は、組織13が、例示的体管腔11の壁からそれが内層20に径方向に内方へ接触した位置まで径方向に内方へ成長していることを示す。しかしながら、図18に示されるように、内層20は、もはや径方向に内方へ撓まない点に到達しており、したがって、組織13がステント部材10の空洞40をさらにつぶすのを(図18では両端矢印で示されるように)防止する。
【0093】
図19図22は、例示的なステント(または本明細書において開示されている任意の他の装置)を体管腔(たとえば食道)内に展開するための例示的な方法論を示す。以下の図では例示的なステント10が食道に展開されているものとして説明しているが、この方法論は、ステント10(または本明細書において開示されている任意の他の装置)を任意の他の体管腔内に展開するのに使用されてもよいことが想定される。説明のため、以下の方法論で説明されるステント10は、上述された図1および図2のステント10に形態および機能が類似し得る。
【0094】
図19は、ステント10を食道56内に展開する際の例示的な第1の工程を示す。具体的には、送達装置50の第1の端部分51が、胃54内に第1の端部分51が配置されることが可能なように食道56を通して前進させられ得る。
【0095】
図20は、ステント10を食道56内に展開する際の例示的な第2の工程を示す。具体的には、図20は、臨床医がまずステント10の第2または遠位フレア部分16を胃54内に展開できることを示している。胃54はステント10のフレア部分16が完全に拡張するのに充分な空き区域を提供し得ることは理解できよう。言い換えれば、フレア部分16は、食道56内に配置される前に、その完全な径方向範囲まで拡張することが可能である。
【0096】
図21は、ステント10を食道56内に展開する際の例示的な第3の工程を示す。具体的には、図21は、臨床医がステント10と送達装置50の両方を胃から食道56内へ近位方向に引き込み、フレア部分16が送達装置50から展開され径方向に拡張されることを示している。ステント10のフレア部分16が胃54から食道56内に引き込まれると、フレア部分16は、(胃54内にある間の)完全に拡張された構成から(食道56内にある間の)部分的に収縮された構成へ収縮してよいことは理解できよう。ステント10のフレア部分16を胃54に最初に展開する工程が、引き込まれたときに食道56の壁に対して径方向に外方に最大の力を加えるためにフレア部分16を有する利点を提供する。
【0097】
図22は、ステント10を食道56内に展開する際の例示的な第4の工程を示す。具体的には、図22は、送達装置50(図22に図示せず)が完全に引き込まれており、それにより、ステント10の中間部分18と第1のフレア部分14の両方が食道56に展開されることを示している。上述されたように、第1のフレア部分14と第2のフレア部分16の両方は、それらが食道56の内面に沿ってシールを作るように展開され得る。場合によっては、ステント10の中間部分18が食道56の内面から離間されることがあるが、他の場合には、中間部分18は食道56の内面に接触することがある。ステント10の展開後、上記の図16図18に関連して説明されたように過形成反応が発生することができ、それにより、組織が、ステント10の覆われていない中間部分18に沿って管状スキャフォールド内へおよび/またはそれを通って成長することができる。
【0098】
ステント10(および/または本明細書において開示されている他のステント)の様々な構成要素ならびに本明細書において開示されている様々な医療装置に使用され得る材料は、一般に医療装置に関連した材料を含み得る。簡単にするため、以下の説明ではステント10およびステント10の他の構成要素を参照する。しかしながら、これは、本明細書において説明されている装置および方法に限定することを意図するものではなく、この説明は、本明細書において開示されている他の同様の医療装置に対し適用されてよい。
【0099】
ステント10およびステント10の他の構成要素は、金属、合金、ポリマー(そのいくつかの例が後で開示される)、金属-ポリマー複合材、セラミック、それらの組み合わせなど、または他の適切な材料から作られ得る。適切なポリマーのいくつかの例は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、フッ化エチレンプロピレン(FEP)、ポリオキシメチレン(POM、たとえば、DuPontから入手可能なDELRIN(登録商標))、ポリエーテルブロックエステル、ポリウレタン(たとえば、ポリウレタン85A)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエーテルエステル(たとえば、DSM Engineering Plasticsから入手可能なARNITEL(登録商標))、エーテルまたはエステル系コポリマー(たとえば、ブチレン/ポリ(アルキレンエーテル)フタレートおよび/またはDuPontから入手可能なHYTREL(登録商標)などの他のポリエステルエラストマ)、ポリアミド(たとえば、Bayerから入手可能なDURETHAN(登録商標)またはElf Atochemから入手可能なCRISTAMID(登録商標))、エラストマーポリアミド、ブロックポリアミド/エーテル、ポリエーテルブロックアミド(PEBA、たとえば、商標名PEBAX(登録商標)で入手可能)、エチレンビニルアセテートコポリマー(EVA)、シリコーン、ポリエチレン(PE)、Marlex高密度ポリエチレン、Marlex低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン(たとえば、REXELL(登録商標))、ポリエステル、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリフェニレンオキシド(PPO)、ポリパラフェニレンテレフタルアミド(たとえば、KEVLAR(登録商標))、ポリスルホン、ナイロン、ナイロン-12(たとえば、EMS American Grionから入手可能なGRILAMID(登録商標))、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PFA)、エチレンビニルアルコール、ポリオレフィン、ポリスチレン、エポキシ、ポリ塩化ビニルデン(PVdC)、ポリ(スチレン-b-イソブチレン-b-スチレン)(たとえば、SIBSおよび/またはSIBS50A)、ポリカーボネート、イオノマー、生体適合性ポリマー、他の適切な材料またはこれらの混合物、組み合わせ、コポリマー、およびポリマー/金属複合材などを含み得る。いくつかの実施形態では、シースが液晶ポリマー(LCP)と混合され得る。たとえば、混合物は最大約6パーセントのLCPを含有し得る。
【0100】
適切な金属および合金のいくつかの例は、304V、304L、316LVステンレス鋼などのステンレス鋼;軟鋼;線形弾性および/もしくは超弾性ニチノールなどのニッケルチタン合金;他のニッケル合金、たとえば、ニッケルクロムモリブデン合金(たとえば、INCONEL(登録商標)625などのUNS:N06625、HASTELLOY(登録商標)C-22(登録商標)などのUNS:N06022、HASTELLOY(登録商標)C276(登録商標)などのUNS:N10276、他のHASTELLOY(登録商標)合金など)、ニッケル銅合金(たとえば、MONEL(登録商標)400、NICKELVAC(登録商標)400、NICORROS(登録商標)400などのUNS:N04400)、ニッケルコバルトクロムモリブデン合金(たとえば、MP35-N(登録商標)などのUNS:R30035)、ニッケルモリブデン合金(たとえば、HASTELLOY(登録商標)ALLOY B2(登録商標)などのUNS:N10665)、他のニッケルクロム合金、他のニッケルモリブデン合金、他のニッケルコバルト合金、他のニッケル鉄合金、他のニッケル銅合金、他のニッケルタングステンもしくはタングステン合金など;コバルトクロム合金;コバルトクロムモリブデン合金(たとえば、ELGILOY(登録商標)、PHYNOX(登録商標)などのUNS:R30003);白金富化ステンレス鋼;チタン;これらの組み合わせなど;または任意の他の適切な材料を含み得る。
【0101】
少なくともいくつかの実施形態では、ステント10の部分または全部および他の構成要素が、放射線不透過性材料でドープされ、もしくは放射線不透過性材料で作られ、または放射線不透過性材料を他の様式で含んでもよい。放射線不透過性材料は、医療処置中に蛍光透視スクリーンや他の撮像技術において比較的明るい画像を生成できる材料であると理解される。この比較的明るい画像は、ステント10の使用者がその場所を決定するのを支援する。放射線不透過性材料のいくつかの例は、金、白金、パラジウム、タンタル、タングステン合金、放射線不透過性充填材を加えたポリマー材料などを含み得るが、これらに限定されない。さらに、同じ結果を達成するために、他の放射線不透過性マーカバンドおよび/またはコイルがガイドワイヤ10の設計に組み込まれてもよい。
【0102】
いくつかの実施形態では、ある程度の磁気共鳴画像法(MRI)適合性がステント10に付与される。たとえば、ステント10およびステント10の他の構成要素またはそれら部分は、実質的に画像を歪ませず、また実質的なアーティファクト(すなわち、画像におけるギャップ)を生成しない材料で作られてよい。また、ステント10およびステント10の他の構成要素またはそれらの部分は、MRI装置が撮像できる材料から作られてもよい。これらの特性を示すいくつかの材料は、たとえば、タングステン、コバルト-クロム-モリブデン合金(たとえば、ELGILOY(登録商標)、PHYNOX(登録商標)などのUNS:R30003)、ニッケル-コバルト-クロム-モリブデン合金(たとえば、MP35-N(登録商標)などのUNS:R30035)、およびニチノールなどや他のものを含む。
【0103】
本開示は多くの点で単なる例示であることを理解されたい。細部、特に形状、サイズ、および工程の構成について本開示の範囲超えることなく変更が行われ得る。これは、適切な範囲で、他の実施形態で使用される例示的な一実施形態の特徴のいずれかの使用を含んでよい。本開示の範囲は、当然ながら添付の特許請求の範囲が表現される文言で定義される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図8C
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15A
図15B
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
【手続補正書】
【提出日】2023-03-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管状スキャフォールドであって、内面および外面を有する壁、第1端部領域、第2端部領域、前記第1端部領域と前記第2端部領域との間に位置する中間領域、および前記第1端部領域と前記第2端部領域との間に延びる空洞を含む管状スキャフォールドと、
前記管状スキャフォールドの前記空洞内に配設されたライナーと、を備え、
該ライナーは、
前記管状スキャフォールドの前記壁の内面の複数の第1領域に当接され、それによって前記管状スキャフォールドに対する組織内部成長を阻止する、複数の第1部分と
前記管状スキャフォールドの前記壁の内面の複数の第2領域から離間する第2部分であって、それによって前記ライナーの複数の第2部分と前記管状スキャフォールドの壁の内面の複数の第2領域との間に組織内部成長領域を画定する、医療装置。
【請求項2】
前記管状スキャフォールドの前記壁の前記外面から前記内面に複数の間隙が延びている、請求項1に記載の医療装置。
【請求項3】
前記医療装置は、組織が前記管状スキャフォールドの複数の間隙を通って前記中間領域に沿って成長することを許容すべく、前記管状スキャフォールドの前記中間領域の径方向外側に外側カバーを何ら有しない、請求項1に記載の医療装置。
【請求項4】
前記医療装置は、前記管状スキャフォールドの前記壁の前記第2領域の径方向外側に外側カバーを何ら有しない、請求項1に記載の医療装置。
【請求項5】
管状スキャフォールドであって、同スキャフォールドを貫通する空洞を画定する管状壁、および該管状壁の長さに沿っているとともに組織内部成長を促進する管状組織内部成長領域を含む管状スキャフォールドと、
前記スキャフォールドの前記空洞内に配設されるとともに前記スキャフォールドの前記管状組織内部成長領域から径方向内方に離間しており、それにより前記スキャフォールドの前記管状組織内部成長領域に沿った組織内部成長を許容するライナーと、を備え、
該ライナーは、前記スキャフォールドの少なくとも一部分に固定的に付着されている、医療装置。
【請求項6】
前記ライナーは、過形成反応による前記管状スキャフォールドの前記組織内部成長領域内への組織内部成長の量を制限するように構成されている、請求項5に記載の医療装置。
【請求項7】
前記スキャフォールドの前記管状組織内部成長領域に沿って延びる前記ライナーの部分が、前記スキャフォールドの内面から径方向に内方に撓むように構成されている、請求項に記載の医療装置。
【請求項8】
前記ライナーの一部分は、前記スキャフォールドの外面の一部分に沿って配設されている、請求項に記載の医療装置。
【請求項9】
前記ライナーは、第1の場所および該第1の場所から長手方向に離間した第2の場所で前記スキャフォールドに付着され、且つ前記組織内部成長領域は、前記第1の場所と前記第2の場所との間に画定されている、請求項に記載の医療装置。
【請求項10】
前記第1の場所と前記第2の場所とのうちの少なくとも一方は前記スキャフォールドの内面に沿っている、請求項9に記載の医療装置。
【請求項11】
管状スキャフォールドであって、同スキャフォールドを貫通する空洞を画定する管状壁、および該管状壁の長さに沿っているとともに組織内部成長を促進する管状組織内部成長領域を含む管状スキャフォールドと、
前記スキャフォールドの前記空洞内に配設され、前記スキャフォールドの少なくとも一部分に固定的に付着され、前記スキャフォールドの前記管状組織内部成長領域に沿って前記スキャフォールドから外され、それにより前記スキャフォールドの前記管状組織内部成長領域内への組織内部成長を許容するライナーと、を備える、医療装置。
【請求項12】
前記ライナーは、前記スキャフォールドの内面に沿って、前記スキャフォールドの端部分に沿って、および前記スキャフォールドの外面の一部分に沿って、連続的に延びている、請求項11に記載の医療装置。
【請求項13】
前記スキャフォールドの組織内部成長領域は、前記スキャフォールドの第1端部および第2端部の間に、および第1端部および第2端部から離間して形成されている、請求項11に記載の医療装置。
【請求項14】
それを通る空洞を画定する管状スキャフォールドと、
前記スキャフォールドに対して固定されるライナーであって、同ライナーを通る流路を形成すべく前記空洞内および連続的に同空洞の周りを且つ前記空洞に沿って延びるライナーと、を備え、
前記スキャフォールドは、前記ライナーから離間した組織内部成長領域を有しており、それにより前記管状スキャフォールドの前記組織内部成長領域内への組織内部成長を許容する、医療装置。
【請求項15】
前記ライナーは、前記スキャフォールドの組織内部成長領域から径方向内方へ離間している、請求項14に記載の医療装置。
【請求項16】
前記ライナーは、それを通る通路を維持するように構成されている、請求項5または11に記載の医療装置。
【請求項17】
前記スキャフォールドの組織内部成長領域には間隙が形成されており、前記組織内部成長領域は、組織が前記間隙を通って成長することを許容するように前記ライナーを欠いている、請求項5、11および14のうちのいずれか一項に記載の医療装置。
【請求項18】
前記スキャフォールドの組織内部成長領域は、前記スキャフォールドの内面に円周状に延びている、請求項5、11および14のうちのいずれか一項に記載の医療装置。
【請求項19】
前記スキャフォールドの第1端部および第2端部はフレア状をなしている、請求項5、11および14のうちのいずれか一項に記載の医療装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0103
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0103】
本開示は多くの点で単なる例示であることを理解されたい。細部、特に形状、サイズ、および工程の構成について本開示の範囲超えることなく変更が行われ得る。これは、適切な範囲で、他の実施形態で使用される例示的な一実施形態の特徴のいずれかの使用を含んでよい。本開示の範囲は、当然ながら添付の特許請求の範囲が表現される文言で定義される。
本開示に含まれる技術的思想を以下に記載する。
(付記1)
管状スキャフォールドであって、内面、外面、第1端部領域、第2端部領域、前記第1端部領域と前記第2端部領域との間に位置する中間領域、および前記第1端部領域と前記第2端部領域との間に延びる空洞を含む管状スキャフォールドと、
前記管状スキャフォールドの前記空洞内に配設されたライナーとを備え、
前記ライナーの複数の第1部分が前記管状スキャフォールドの前記内面の複数の第1領域に固着されるとともに直接的に当接され、それによって組織内部成長を阻止し、
前記内面の複数の第2領域が前記ライナーに直接的に当接されておらず、それによって前記管状スキャフォールドの前記内面と前記ライナーの外面との間に組織内部成長領域を画定する、拡張可能医療装置。
(付記2)
前記ライナーは、前記管状スキャフォールドの前記中間領域の全体に少なくとも沿って延びている、付記1に記載の医療装置。
(付記3)
前記ライナーの第1端部は、前記管状スキャフォールドの前記第1端部領域に沿った前記外面の一部に沿って設けられる外層を形成しており、
前記ライナーの第2端部は、前記管状スキャフォールドの前記第2端部領域に沿った前記外面の一部に沿って設けられる外層を形成している、付記1に記載の医療装置。
(付記4)
前記ライナーは、前記管状スキャフォールドの前記第1端部領域の前記内面に円周状に付着され、
前記ライナーは、前記管状スキャフォールドの前記第2端部領域の前記内面に円周状に付着される、付記1に記載の医療装置。
(付記5)
前記ライナーの前記複数の第1部分は、前記管状スキャフォールドの前記内面に沿って螺旋方向で延びるとともに固着され、
前記組織内部成長領域は前記ライナーにおいて離間している複数の螺旋状の巻きの間に規定される、付記1に記載の医療装置。
(付記6)
前記ライナーの前記複数の螺旋状の巻きは、前記管状スキャフォールドの前記中間領域のみに沿って延びている、付記5に記載の医療装置。
(付記7)
前記管状スキャフォールドの前記内面に固着された前記ライナーの前記複数の第1部分は、離間した複数の離散付着点を含む付記1に記載の医療装置。
(付記8)
前記ライナーにおいて前記離間した複数の離散付着点同士の間の領域は、前記管状スキャフォールドの前記内面から離間しており、前記組織内部成長領域を形成している、付記7に記載の医療装置。
(付記9)
前記離間した複数の離散付着点は、前記管状スキャフォールドに沿って長手方向に延びている、付記8に記載の医療装置。
(付記10)
前記離間した複数の離散付着点は、前記管状スキャフォールドの前記中間領域の全体に沿って長手方向に延びている、付記9に記載の医療装置。
(付記11)
前記離間した複数の離散付着点は、前記管状スキャフォールドの前記内面に沿って周方向に離間した4つの長手方向付着点を含む、付記9に記載の医療装置。
(付記12)
前記管状スキャフォールドは、該管状スキャフォールドの前記外面から前記管状スキャフォールドの前記内面に延びる複数の間隙を含んでおり、
前記医療装置は、組織が前記中間領域に沿って前記管状スキャフォールドの前記複数の間隙を通って成長することを許容するべく、前記管状スキャフォールドの前記中間領域の径方向外側に外側カバーを何ら有しない、付記1に記載の医療装置。
(付記13)
前記ライナーの複数の第2部分は前記管状スキャフォールドの前記内面から径方向に離間しており、前記組織内部成長領域を形成している、付記1に記載の医療装置。
(付記14)
前記織内部成長領域は、前記管状スキャフォールドの前記内面に沿って円周状に延びている、付記13に記載の医療装置。
(付記15)
前記織内部成長領域は、前記管状スキャフォールドの前記中間領域に沿って長手方向に離間している少なくとも二つの円周状の組織内部成長領域を含んでいる、付記14に記載の医療装置。