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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023060082
(43)【公開日】2023-04-27
(54)【発明の名称】食材加熱装置
(51)【国際特許分類】
   A47J 37/04 20060101AFI20230420BHJP
【FI】
A47J37/04 101B
A47J37/04 103B
A47J37/04 103A
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023031646
(22)【出願日】2023-03-02
(62)【分割の表示】P 2019106707の分割
【原出願日】2019-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】596015594
【氏名又は名称】小金 肇
(74)【代理人】
【識別番号】100117514
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 敦朗
(72)【発明者】
【氏名】小金 肇
(57)【要約】
【課題】串焼き等の食材を加熱する装置で熱源として炭火を用いる場合であっても、熟練を要することなく串焼き材料を均一に加熱する。
【解決手段】食材82を刺した串81の端部を保持する串保持具20と、串保持具20を串保持具案内部材21に沿って周回移動させる搬送機構と、串保持具案内部材21に沿って配置され串焼き材料8を周回移動させる間に加熱する加熱装置3,4と、串保持具20に保持された周回移動中の串81端部を、加熱装置3,4から遮蔽するように配置され、且つ串保持具案内部材21に沿って延設される熱遮蔽部34,44と、串保持具案内部材21の途中に配置され、周回移動中の串保持具20が通過する作業空間60と、作業空間60において熱遮蔽部34,44の串保持具案内部材21に対する相対位置に合致するように串に刺された食材の位置決めをする位置決め部材6とを備える。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
食材を加熱する食材加熱装置であって、
熱源を収納する容器と、
前記容器の側面部において、前記食材が加熱される加熱範囲に対向された加熱面と、
前記容器における、前記加熱面の熱源側後方に配置され、前記熱源及び前記加熱面を経て前記加熱範囲に向けて送風する送風手段と
を備えることを特徴とする食材加熱装置。
【請求項2】
前記容器は、熱源である炭を収納する炭箱であることを特徴とする請求項1に記載の食材加熱装置。
【請求項3】
前記容器における前記加熱面の熱源側後方の側面部を被覆する給気カバーをさらに備え、
前記給気カバーは、前記加熱範囲に向けて熱風を送り込む
ことを特徴とする請求項1に記載の食材加熱装置。
【請求項4】
前記加熱面は多孔性を有する部材で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の食材加熱装置。
【請求項5】
前記容器には、蓋が開閉可能に取り付けられ、
前記容器は、前記送風手段から着脱可能に取り付けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の食材加熱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、肉、魚、野菜等の食材を串に刺し、加熱調理してできる焼き鳥、もつ焼き等の串焼きを大量且つ迅速に製造できる食材加熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
肉、魚、野菜等を串に刺して加熱調理する方法は古くから知られており、近年にあっては、熟練を要することなく、短時間のうちに大量且つ迅速に串焼きを製造できる装置として、無端回動チェーンに所定間隔で多数の串保持具を装着し、これら串保持具に食材を串に刺した串焼き材料を順次保持させ、加熱装置に沿って搬送させつつ串焼き材料を加熱して、串焼きを製造する装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-232112号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記従来の串焼き製造装置では、加熱装置により加熱するが、串部分を焦がすことなく、熱源からの熱を串焼き材料に均等に当てることが困難であった。特に、熱源として炭火を用いる場合には、熱の分布にムラが生じるため、串焼き材料を均一に加熱することができない。
【0005】
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、串焼き等の食材を加熱する装置で熱源として炭火を用いる場合であっても、熟練を要することなく串焼き材料を均一に加熱できる食材加熱装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、食材を加熱する食材加熱装置であって、熱源を収納する容器と、前記容器の側面部において、前記食材が加熱される加熱範囲に対向された加熱面と、前記容器における、前記加熱面の熱源側後方に配置され、前記熱源及び前記加熱面を経て前記加熱範囲に向けて送風する送風手段とを備えることを特徴とする。
【0007】
上記発明において前記容器は、熱源である炭を収納する炭箱であることが好ましい。上記発明において前記容器における前記加熱面の熱源側後方の側面部を被覆する給気カバーをさらに備え、前記給気カバーは、前記加熱範囲に向けて熱風を送り込むことが好ましい。上記発明では、前記加熱面は多孔性を有する部材で形成されていることが好ましい。上記発明では、前記容器には、蓋が開閉可能に取り付けられ、前記容器は、前記送風手段から着脱可能に取り付けられていることが好ましい。
【0008】
さらに、上記発明では、食材を刺した串の端部を保持する串保持具と、串保持具を周回軌道に沿って周回移動させる搬送機構と、周回軌道に沿って配置され、食材を周回移動させる間に加熱する加熱装置と、加熱装置による加熱範囲において、串保持具に保持された周回移動中の串端部を、加熱装置から遮蔽するように配置され、且つ周回軌道に沿って延設される熱遮蔽部と、周回軌道の途中に配置され、周回移動中の串保持具が通過する作業空間と、作業空間において、熱遮蔽部の周回軌道に対する相対位置に合致するように、串に刺された食材の位置決めをする位置決め部材とを備えることが好ましい。
【0009】
上記発明において、串保持具は、食材が下方に位置するように串を鉛直に保持し、搬送機構は、少なくとも加熱範囲において串保持具を水平方向に移動させ、熱遮蔽部は、少なくとも串保持具が水平方向に移動される範囲において水平に延設され、位置決め部材は、その下端が熱遮蔽部下端の高さ位置に合致するように配置され、且つ作業空間を通過中の串保持具の下方において、当該位置決め部材の下端に食材上端が当接可能に配置されることが好ましい。
【0010】
上記発明において、加熱装置は熱源を収納する容器を有し、容器は周回移動中の食材が通過する範囲に対向された加熱面を有し、加熱面の熱源側後方には、熱源及び加熱面を経て食材通過範囲に向けて送風する送風手段が配置されていることが好ましい。
【0011】
上記発明において、周回軌道の途中において、串保持具に保持された周回移動中の食材が接触可能に調味料を貯留する調味料貯槽と、調味料貯槽近傍において、食材の高さ位置を変化させる串保持具昇降機構とをさらに備え、串保持具昇降機構は、調味料に接触した食材を上昇させた後、急速に下降させる機能を有することが好ましい。
【0012】
上記発明において、少なくとも加熱範囲の下方に配置され、水を貯留する貯水槽をと、貯水槽を水平方向にスライド移動可能に且つ着脱自在に支持するスライド部材と、スライド部材による貯水槽のスライド移動方向を水平方向に回転させる回転機構とをさらに備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
以上述べたように、これらの発明によれば、串焼き等の食材を加熱する装置で熱源として炭火を用いる場合であっても、熟練を要することなく串焼き材料を均一に加熱できる。 特に、加熱装置によって加熱するときに、加熱装置の背面に設置された送風手段により、加熱装置内で加熱された熱風を加熱領域の内方に吹き出すようにしていることから、熱源による輻射熱と熱風により、食材を満遍なく且つ効率よく加熱することができる。また、この熱源による加熱に際し、加熱装置間の加熱範囲に熱遮蔽部を設けているため、串保持部に挟持された串の上端部が熱遮蔽部で覆って熱源からの熱を遮蔽し、串の上端部が焦げるのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態に係る食材加熱装置をタレ貯槽側から観た斜視図である。
図2】実施形態に係る食材加熱装置を作業空間側から観た斜視図である。
図3】実施形態に係る食材加熱装置の上面図である。
図4】実施形態に係る食材加熱装置の側面図である。
図5】実施形態に係る食材加熱装置を作業空間側から観た正面図である。
図6】実施形態に係る食材加熱装置の串解放機構を示す上面図である。
図7】実施形態に係る食材加熱装置の位置決め部材の構成を示す斜視図である。
図8】実施形態に係る食材加熱装置の昇降機構の構成を示す説明図である。
図9】実施形態に係る食材加熱装置の加熱装置の構成を示す斜視図である。
図10】変更例に係る食材加熱装置を作業空間側から観た斜視図である。
図11】変更例に係る食材加熱装置をタレ貯槽側から観た斜視図である。
図12】変更例に係る食材加熱装置を、装置部分と基台分を上下に分離させて示した分解斜視図である。
図13】変更例に係る食材加熱装置の加熱装置の構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の食材加熱装置Aの好適な実施形態について、図面を参照して具体的に説明する。なお、以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置等を例示するものであって、この発明の技術的思想は、各構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0016】
(食材加熱装置Aの構成)
食材加熱装置Aは、串81に刺さった食材82を加熱する食材加熱装置であり、図1図5に示すように、本実施形態では基台1の天板11上に配置されている。この食材加熱装置Aは、串保持具搬送機構2によって串焼き材料8を垂直状態に挟持した多数の串保持具20を周回移動させて串焼き材料8を搬送し、これら串焼き材料8を搬送する間に周回軌道に沿って延設された串保持具案内部材21の左右両側から加熱装置3及び4によって加熱するとともに、串焼き材料8をタレに浸漬させる。また、串保持具案内部材21の途中には、周回移動中の串保持具20が通過する空間である作業空間60が配置されている。
【0017】
串保持具搬送機構2は、多数の串保持具20を串保持具案内部材21に沿って周回移動させる駆動機構であり、串保持具20が多数連結された無端回動チェーン22が駆動スプロケット72及び従動スプロケット73に掛け回され、駆動モーター10による回転駆動力が駆動スプロケット72を介して伝達され、無端回動チェーン22が周回駆動することにより、多数連結された串保持具20が周回移動される。串保持具搬送機構2には、無端回動チェーン22に沿って、その外方に長円状に延設されたレール状の串保持具案内部材21が設置されており、この串保持具案内部材21の上端面に保持具本体20eが載置されて、通常時、串保持具20は略水平状態で搬送されるようになっている。
【0018】
天板11上には、駆動モーター75が設置され、この駆動モーター75の回転駆動軸には、支柱71が連結されて立設され、支柱71の上端部には駆動スプロケット72が接続されている。駆動スプロケット72と従動スプロケット73とには無端回動チェーン22が掛け渡され、無端回動チェーン22には所定間隔で複数の串保持具20,20…が装着されている。なお、駆動スプロケット72と従動スプロケット73の配設位置は、基台1の前側、後側の何れであってもよい。
【0019】
制御装置70は、基台1に配置され、駆動モーター10を制御して、串保持具搬送機構2を作動、停止させ、搬送速度を制御するようになっている。例えば、基台1の側面部分に操作パネルを配設し、操作パネルには作動ダイヤル70aや操作スイッチ70bのほか作動ランプ等が配置されている。
【0020】
串保持具20は食材82を刺した串81の端部を保持する機構であり、本実施形態では、食材82が下方に位置するように串81を鉛直に保持するように設けられ、無端回動チェーン22は、少なくとも加熱装置3,4による加熱範囲を通過させるように、串保持具20を水平方向に移動させるように駆動される。串保持具20は、串保持具搬送機構2によって周回軌道に沿って水平移動させられ、上流の作業空間60において串81を挟持させられ、往路において加熱装置3による加熱範囲30を通過して基台1反対側のタレ貯槽5によってタレ付けがなされ、次いで復路において加熱装置4による加熱範囲40を通過した後、焼き上がった串焼き材料8が串保持具開放機構23によって開放され、その後串保持具20は作業空間60に回帰される。
【0021】
串保持具20は、図6に示すように、保持具本体20eと可動挟持体20aとを備え、保持具本体20eの先端部20bに可動挟持体20aを枢支ピン20cによって水平方向に回動自在に連結してあり、通常時はバネ等の弾性部材によって弾力付勢されて串81を挟持して保持するようになっている。無端回動チェーン22には、複数の支持部材20f,20f…が所定間隔で多数固定されており、これら支持部材20fのそれぞれに支持ピン20gを介して保持具本体20eが垂直方向に回動自在に支持されている。保持具本体20eは例えば金属製の矩形杆状体であり、可動挟持体20aは金属製板材をコの字型に折曲げて上面部、側面部及び下面部が形成され、コの字型の凹部で保持具本体20eを挟み込むようにして組み付けられている。また、可動挟持体20a上面部の基端部には開放ピン20dが固着され立設されいる。
【0022】
串保持具案内部材21の途中には作業空間60が配置されており、この作業空間60は、周回移動中の串保持具20が順次通過する空間であり、串保持具搬送機構2の周回方向における作業空間60上流側には、串保持具20に挟持された串81を開放させる串保持具開放機構23が配設されている。この串保持具開放機構23は、串保持具20の可動挟持体20aに固着された開放ピン20dに押当して、バネの弾性力に抗して可動挟持体20aを回動させ、保持具本体20eと可動挟持体20aとによる挟持を解いて、串81を開放させる機構であり、図6に示すように、支柱71を中心に回転可能に支持された回転支持部23cと、この回転支持部23cに支持され、周回軌道に臨ませて水平に延設されたアーム部23bと、このアーム部23bの先端に回転自在に支持された押当ローラ23aとから構成される。
【0023】
図6に串保持具20が周回移動され串保持具開放機構23によって串が開放される様子を示す。同図では、一つの串保持具20が移動しながら駆動されていく各時点での様子を時系列順次に201~205で表している。押当ローラ23aは、加熱された串焼き製品を保持した串保持具20(同図中201)が周回移動してきて、可動挟持体20aに固着された開放ピン20dに押当すると(同図中202)、バネの弾性力に抗して可動挟持体20aが回動され(同図中203)、保持具本体20eと可動挟持体20aとによる挟持が解かれて、串焼き製品を開放して落下させるようになっている。その後、開放ピン20dが押当ローラ23aから離脱すると、バネの弾性力により可動挟持体20aが閉止されて串の挟持が可能になる(同図中204,205)。なお、串保持具20から落下した串焼き製品は、基台1の左前側部に配置された受皿等に集積されるようになっている。
【0024】
また、作業空間60には、位置決め部材6が設置されている。この位置決め部材6は、作業空間60において、串保持具20の可動挟持体20aに対して串81を挟持させる際、串81に刺された食材82の上端の位置決めをする器具である。具体的に位置決め部材6は、熱遮蔽部34,44の周回軌道に対する相対位置と合致するように、串81に刺された食材82の位置決めをする部材であり、本実施形態では、串保持具案内部材21の外周面に合致するように水平に配置される弧状の板部材である。この位置決め部材6は、天板11の上面に立設された支持板6aによって下方から支持され所定の高さ位置に水平に固定されている。この位置決め部材6は、図5中一点鎖線Lで示したように、その下面が熱遮蔽部34(34a、34b),44(44a、44b)下端の高さ位置に合致するように配置され、作業空間60を通過中の串保持具20の下方において、当該位置決め部材6の下端に食材82上端が当接可能に配置されている。
【0025】
加熱装置3及び4は、串保持具案内部材21に沿って配置され、食材を周回移動させる間に加熱する装置であり、加熱装置3及び4は熱源である炭を収納する容器として炭箱31,41をそれぞれ備えている。加熱装置3は作業空間60からタレ貯槽5に至る往路において食材を加熱する装置であり、加熱装置4はタレ貯槽5から作業空間60に至る復路において食材を加熱する装置であり、それぞれの炭箱31a,31b及び41a,41bは、周回軌道を挟むようにしてその加熱面を対向させており、対向された加熱面の間に加熱範囲30及び40を形成している。
【0026】
詳述すると、加熱装置3,4は、串保持具搬送機構2の左右両側に配設され、各側において、所定間隔をおいて対向配置された一対の炭箱31(31a,31b)及び41(41a,41b)をそれぞれ備えている。この炭箱31,41の背面側、すなわち加熱面の熱源側後方には、熱源及び加熱面を経て食材通過範囲に向けて送風する送風手段を構成する給気カバー32a,32b又は42a,42bが配置されている。具体的に炭箱31,41には、串保持具搬送機構2より外方となる側面部を被覆する給気カバー32(32a,32b),42(42a,42b)が備えられており、給気カバー32a,32b又は42a,42bは、対向配置された一対の炭箱31a,31b若しくは41a,41bのそれぞれの間に形成された加熱範囲30又は40に向けて熱風を送り込むようになっている。
【0027】
詳述すると、図9に示すように、炭箱31a,31b若しくは41a,41bの側面は、パンチングメタル等の多孔性を有する部材で形成されており、対向配置されたそれぞれの放熱面311a,311b又は411b,411aが加熱範囲30又は40に向けて固定され、各炭箱31a,31b若しくは41a,41bの外側となる給気面312b及び312a(412b及び412a)が、給気カバー32a,32b又は42a,42bによって覆われている。なお、放熱面311a,311b(412b,412a)の孔の径は、給気面312b及び312a(412b及び412a)の孔の径よりも大きく形成されている。炭箱31a,31b若しくは41a,41bのそれぞれには蓋31cが開閉可能に取り付けられており、また、炭箱31a,31b若しくは41a,41bは、送風手段33及び44から着脱可能に取り付けられており、上方に引き上げたり、水平方向にスライドさせたりすることによって、炭箱31a,31b若しくは41a,41bは、容易に取り外せるようになっている。
【0028】
各給気カバー32a,32b又は42a,42bには給気管33a,33b及び43a,43bが接続されており、これら給気管33a,33b及び43a,43bは、集合管35及び36に接続されて集約され、基台1下部の下台13上に設置されたコンプレサー等の送風手段37に接続され、この送風手段37から供給された空気が、給気管33a,33b及び43a,43b等を経て、各給気カバー32a,32b又は42a,42bに供給され、それぞれのパンチングメタルを通じて各炭箱31a,31b若しくは41a,41b内の熱源に吹き付けられるようになっている。熱源に吹き付けられた空気は、熱源によって加熱され、反対側の放熱面311a,311b(411a,411b)から熱風として送出される。なお、本実施形態では、熱源として炭を用いるが、これに限らず、ガスバーナー、遠赤外線ガスバーナー、電気ヒーターを使用してもよい。
【0029】
熱遮蔽部34(34a,34b),44(44a,44b)は、加熱装置3及び4による加熱範囲30及び40において、串保持具に保持された周回移動中の串81の端部を、加熱装置3又は4から遮蔽するように配置される部材であり、串保持具案内部材21に沿って延設されている。また、熱遮蔽部(34a,34b),44(44a,44b)は、少なくとも串保持具20が水平方向に移動される範囲において水平に延設されている。具体的に本実施形態では、往路側の加熱装置3の炭箱31a,31bの間の加熱範囲30において、炭箱31a,31bそれぞれの上部に近接するように一対の熱遮蔽部34a,34bが平行に配置され、一方、復路側の加熱装置4の炭箱31a,31bの間の加熱範囲40において、炭箱41a,41bそれぞれの上部に近接するように一対の熱遮蔽部44a,44bが平行に配置されている。
【0030】
また、加熱装置3及び4の下方には、基台1の天板11に上下に貫通された排出穴111,112が形成されており、天板11の下方には貯水槽12が配置されている。この貯水槽12は、加熱範囲30,40及び炭箱31,41の下方に配置され、水を貯留する容器である。これにより、加熱範囲30,40で加熱された食材からの脂などが、排出穴111,112を通じて、炭箱31,41内の燃えカスも貯水槽12内に落下するようになっている。また、炭箱31,41の下側は網などで形成されており、排出穴111,112を通じて、炭箱31,41内の燃えカスも貯水槽12内に落下するようになっている。
【0031】
なお、この貯水槽12は、天板側のスライド部材12a及び貯水槽側のスライド部材12bが水平方向に摺動することにより、水平方向にスライド移動可能に且つ着脱自在に支持されている。このスライド部材12a、12bは、回転機構12cによって水平回転されるようになっており、水平方向に回転されることによりスライド方向が変えられるようになっている。この回転機構12cは、スライド部材12a,12bによる貯水槽12のスライド移動方向を水平方向に回転させる機構であり、スライド部材12a及びスライド部材12bのスライド方向を変えることによって、貯水槽12内の水を交換したり、清掃したりするときなど、その作業場所に合わせて貯水槽12の引き出し方向を変えることができる。
【0032】
タレ貯槽5は、串保持具案内部材21の途中において、串保持具20に保持された周回移動中の食材82が接触可能に調味料が貯留される調味料貯槽である。本実施形態に係るタレ貯槽5は、周回軌道の往路に形成された加熱範囲30と復路に形成された加熱範囲40との間に配置され、串保持具20は、このタレ貯槽5において食材にタレ付けされながら反転して復路に移行されることとなる。このタレ貯槽5は串保持具案内部材21の円弧部分に連結された傾斜面を形成するスロープ52を介して固定されており、串保持具20は、往路である加熱範囲30からスロープ52上を乗り越えてタレ貯槽5内に浸漬されつつUターンされた後、タレ貯槽5からスロープ52を乗り越えて復路である加熱範囲40に進まされる。なお、タレ貯槽5は、基台1上であってその端部に配置され、天板11上に装着自在となっている。
【0033】
串保持具搬送機構2の後端部のタレ貯槽5近傍には、タレ貯槽5近傍において、食材の高さ位置を変化させる串保持具昇降機構51が設けられている。この串保持具昇降機構51は、その上端面が凹凸が形成された波形状となっており、この波形に沿って串保持具20が移動することにより、その先端に挟持された串焼き材料8の高さ位置を変化させる串保持具昇降機構51が配設されている。串保持具昇降機構51は、その始端及び終端の高さが、串保持具案内部材21の高さと同等になっており、串保持具20がタレ貯槽5の側面部に到達する位置において、その上端面の高さが最高位置となり、タレ貯槽5の中央部に到達する位置において、その上端面の高さが最低位置となるように形成されている。
【0034】
(食材加熱装置Aの動作)
以上説明した装置を動作させることによって、串焼きを製造することができる。なお、以下で説明する処理手順は一例に過ぎず、各処理は可能な限り変更されてもよい。また、以下で説明する処理手順について、実施の形態に応じて、適宜、ステップの省略、置換及び追加が可能である。
【0035】
作業者は、天板11の作業空間60に位置し、食材加熱装置Aの電源をONにする。これによって、食材加熱装置Aが作動を開始し、駆動モーター10が駆動して、無端回動チェーン22が周回移動される。作業者は、天板11の作業空間60近傍において、串保持具20の保持具本体20eと可動挟持体20aに、串焼き材料8の串81の上端部を押し込み、保持具本体20eと可動挟持体20aとによって挟持させて、串保持具20に串焼き材料8を吊下させて保持させる。
【0036】
この作業空間60において串焼き材料8を串保持具20へ取り付ける際には、図7に示すように、作業空間60を通過中の串保持具20の下方において、位置決め部材6の下端に食材82上端を当接させて、串保持具20の可動挟持体20aに串81の上端部を押し込み、保持具本体20eと可動挟持体20aとによって挟持させる。これにより、図5中に一点鎖線Lで示した高さに、串81に刺された食材82の上端が位置決めされ、熱遮蔽部34,44の下端部に接触しないように串81が串保持具20に保持されることとなる。
【0037】
串保持具20に保持された串焼き材料8は、無端回動チェーン22によって搬送され、吊下された状態で加熱装置3が配設された加熱範囲30に進入する。このとき、熱遮蔽部34a及び34bの先端が上方に向けて湾曲され、加熱範囲30に進入してきた串焼き材料8の食材82が熱遮蔽部34a及び34bに衝突しないようになっている。そして、無端回動チェーン22の周回駆動によって加熱範囲30内を通過しつつ加熱装置3によって加熱される。このとき、加熱装置3の背面に設置された給気カバー32a,32bにより、一対の炭箱31a,31bの外側から空気が送り込まれ、炭箱31a,31b内で加熱された熱風が、一対の炭箱31a,31b間の加熱範囲30の内方に吹き出され、炭箱31a,31b内の炭による輻射熱と熱風により食材82が焼かれることとなる。また、この炭箱31a,31bによる加熱に際し、加熱装置3の炭箱31a,31bの間の加熱範囲30において、炭箱31a,31bそれぞれの上部に近接するように一対の熱遮蔽部34a,34bが平行に配置されており、串保持具20に挟持された串81の上端部が熱遮蔽部34a,34bで覆われ、炭箱31a,31bからの熱が遮蔽され、串81の上端部が焦げないようになっている。
【0038】
次いで、タレ貯槽5に近づいた串焼き材料8は、串保持具20が串保持具昇降機構51に案内され、上方に回動すると上方に回動されて傾斜され、タレ貯槽5の側面部に到達するときには最大傾斜状態となり側面部を乗り越える。詳述すると図8(a)~(g)に示すように、串保持具案内部材21に載置されて水平状態で搬送されてきた串保持具20は、串保持具案内部材21のUターン部分に差し掛かったときに串保持具昇降機構51に転載される。この串保持具昇降機構51に転載された串保持具20は、串保持具昇降機構51上端面の凸形状51aに沿って上方に回動し(同図(a))、タレ貯槽5の側面部に到達する位置において串保持具20は最大傾斜状態となってスロープ52を乗り越える(同図(b))。さらに、周回移動が進むと、凹形状51bに沿って下方へ回動され、タレ貯槽5を通過する位置において串保持具20は略水平状態に戻り、保持された食材82が最下点に下降され、タレ貯槽5内のタレに浸漬される(同図(c))。
【0039】
引き続き串保持具20の周回移動が進むと、串保持具20は、串保持具昇降機構51上端面の凸形状51cに沿って上方に回動し(同図(d))、タレ貯槽5の側面部に到達する位置において串保持具20は最大傾斜状態となってスロープ52上方に到達する。このとき、タレ切り機能により余分なタレを振り落とす動作がなされる(同図(e))。詳述すると、タレ付けした後における串保持具昇降機構51の最大傾斜範囲には、鋭角に落ち込む波形51dが形成されており、この波形51dに沿って串保持具20は一瞬落下するように急速に下降され、その落下による振動及び遠心力で食材に付着した余分なタレが振り切られることとなる。
【0040】
その後、引き続き串保持具20の周回移動が進むと、串保持具昇降機構51上端面の凸形状51eに沿って串保持具20が再び上方に回動され(同図(a))、タレ貯槽5の側面部に到達する位置において串保持具20は最大傾斜状態となってスロープ52を乗り越える(同図(f))。さらに、串保持具20の周回移動が進むと、串保持具昇降機構51の凹形状51bに沿って串保持具20が下方へ回動され、タレ貯槽5を通過する位置において串保持具20は略水平状態に戻り、保持された食材82が最下点に下降され、(同図(g))、串保持具案内部材21のUターン部分終了地点に差し掛かったときに串保持具案内部材21に転載される。
【0041】
タレ貯槽5において、タレを付けられた串焼き材料8は、引き続き吊下された状態で加熱装置4が配設された部分に到達する。そして、無端回動チェーン22によって搬送されつつ加熱装置4によって加熱される。詳述すると、タレ付けされた串焼き材料8は、串保持具20に吊下された状態で加熱装置4が配設された加熱範囲40に進入する。このとき、熱遮蔽部44a及び44bの先端も上方に向けて湾曲されており、加熱範囲40に進入してきた串焼き材料8の食材82が熱遮蔽部44a及び44bに衝突しないようになっている。そして、無端回動チェーン22の周回駆動によって加熱範囲40内を通過しつつ加熱装置4によって加熱される。
【0042】
このとき、加熱装置4の背面に設置された給気カバー42a,42bにより、一対の炭箱41a,41bの外側から空気が送り込まれ、炭箱41a,41b内で加熱された熱風が、一対の炭箱41a,41b間の加熱範囲40の内方に吹き出され、炭箱41a,41b内の炭による輻射熱と熱風により食材82が焼かれることとなる。また、この炭箱41a,41bによる加熱に際し、加熱装置4の炭箱41a,41bの間の加熱範囲40において、炭箱41a,41bそれぞれの上部に近接するように一対の熱遮蔽部44a,44bが平行に配置されており、串保持具20に挟持された串81の上端部が熱遮蔽部44a,44bで覆われ、炭箱41a,41bからの熱が遮蔽され、串81の上端部が焦げないようになっている。
【0043】
引き続き串保持具20の周回移動が進むと、加熱装置3及び4によって完全に加熱処理された串焼き材料8は、串保持具開放機構23の配設部分に到達する。この串保持具開放機構23では、図6に示すように、押当ローラ23aは、加熱された串焼き製品を保持した串保持具20(同図中201)が周回移動してきて、可動挟持体20aに固着された開放ピン20dに押当すると(同図中202)、バネの弾性力に抗して可動挟持体20aが回動され(同図中203)、保持具本体20eと可動挟持体20aとによる挟持が解かれて、串焼き製品を開放して落下させるようになっている。その後、開放ピン20dが押当ローラ23aから離脱すると、バネの弾性力により可動挟持体20aが閉止されて串の挟持が可能になる(同図中204,205)。なお、串保持具20から落下した串焼き製品は、基台1の左前側部に配置された受皿等に集積されるようになっている。
【0044】
そして、串焼き材料8の挟持が開放され空状態になった串保持具20は、周回移動が進むことにより再び作業空間60に到達し、作業空間60によって作業者により、串保持具20への串焼き材料8の取り付けが行われ、串焼き材料8の製造が連続的に継続される。
【0045】
(変更例)
なお、以上説明した各実施形態の説明は、本発明の一例である。このため、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0046】
上述した実施形態では、給気カバー32a,32b,42a及び42bにパイプ33a,33b,43a及び43bを側方から接続して、炭箱31a,31b,41a及び41bの外側から内側へ向けて給気するようにしたが、本発明はこれに限定されず、図10図12に示したように、給気カバー32a,32b,42a及び42bの開口部を下面に設けるとともに、机1の天板11に上下に連通する連通孔を形成し、この連通孔に天板11の下面側から接続ダクト38a,38b,48a及び48bを嵌め込んで、各接続ダクト38a,38b,48a及び48bの給気口を天板11の上面に位置させて、それぞれ給気カバー32a,32b,42a及び42b下面の開口部に接続させるようにしてもよい。
【0047】
この場合には、天板11の下面側に設けられた引出12は、上流の加熱部31a及び31b側の水槽121と、下流の加熱部41a,41b側の水槽122とに分離した形態とする。接続ダクト38a,38b、又は48a,48bは、分離されたそれぞれの水槽121及び122の両側部に一対として配置される。各接続ダクト38a,38b,48a及び48bに接続されたパイプ33a,33b,43a及び43bは、天板11の下方へ向けて垂直に吊下されてパイプ35及び36を通じて集合された後、コンプレッサー37に接続される。
【0048】
このような変更例に係る装置0によれば、炭箱に給気するパイプ33a,33b,43a及び43bの構成をシンプル化し、天板11の下方に集約できるため、装置周りに配設されるパイプを省略でき省スペース化を図ることができる。この結果、例えば図13に示すように、炭箱31a,31b,41a及び41bを水平方向に引き出して取り外せるようにするなど、炭箱31a,31b,41a及び41bの着脱や付けだれボックス5の着脱についての自由度や作業性が向上され、装置周りの清掃やメンテナンスを容易なものとできる。
【0049】
(作用・効果)
以上のように、本実施形態の食材加熱装置Aによれば、串焼き材料8を垂下して串81の基端部を手指で摘み、基台1の作業空間60内を串保持具20が移動していく間に、保持具本体20eと可動挟持体20aの先端部に串81の上端部を押入れさえすればよいから、串保持具20に容易に串焼き材料8を保持させることができ、食材82に手指が触れることもなく、衛生的である。また、無端回動チェーン22によって加熱装置3,4に沿って串焼き材料8を搬送させつつ加熱する工程中に、串焼き材料8をタレに付ける工程を設けているので、串焼き材料8を製造するのに手間と時間を要しない。
【0050】
特に、本実施形態では、加熱範囲30及び40内において加熱装置3及び4によって加熱するとき、加熱装置3及び4の背面に設置された送風手段37により、一対の炭箱31a,31b及び41a,41bの外側から送り込まれ炭箱31a,31b及び41a,41b内で加熱された熱風を、炭箱31a,31b及び41a,41b間の加熱範囲30若しくは40の内方に吹き出すようにしていることから、炭箱31a,31b及び41a,41b内の炭による輻射熱と熱風により、食材82を満遍なく且つ効率よく加熱することができる。
【0051】
また、この炭箱31a,31b及び41a,41bによる加熱に際し、加熱装置3の炭箱31a,31b及び41a,41bの間の加熱範囲30において、炭箱31a,31b及び41a,41bそれぞれの上部に近接するように一対の熱遮蔽部34a,34bを設けているため、、串保持具20に挟持された串81の上端部が熱遮蔽部34a,34bで覆って炭箱31a,31b及び41a,41bからの熱を遮蔽し、串81の上端部が焦げるのを防ぐことができる。
【0052】
さらに、タレ貯槽5において串81にタレ付けをする際、タレ付けした後の範囲において、串保持具昇降機構51の最大傾斜範囲に鋭角に落ち込む波形51dを形成していることから、この波形51dに沿って串保持具20を落下させて急速に下降させ、その落下による振動及び遠心力で食材に付着した余分なタレを、振り払うことができる。
【0053】
これらの結果、本実施形態によれば、串焼き等の食材を加熱する際に、熱源として炭火を用いる場合であっても、熟練を要することなく串焼き材料を均一に加熱できる。
【0054】
なお、本発明は、上記した各実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
【符号の説明】
【0055】
A…食材加熱装置
1…基台
2…串保持具搬送機構
3,4…加熱装置
5…タレ貯槽
6…位置決め部材
8…串焼き材料
10…駆動モーター
11…天板
12…貯水槽
12a…スライド部材
12b…スライド部材
12c…回転機構
20,20…串保持具
20a…可動挟持体
20b…先端部
20c…枢支ピン
20d…開放ピン
20e…保持具本体
20f…支持部材
20g…支持ピン
21…串保持具案内部材
22…無端回動チェーン
23…串保持具開放機構
23a…押当ローラ
23b…アーム部
23c…回転支持部
30,40…加熱範囲
31(31a,31b),41(41a,41b)…炭箱
32(32a,32b),42(42a,42b)…給気カバー
33a,33b、43a,43b…給気管
34(34a,34b),44(44a,44b)…熱遮蔽部
35,36…集合管
37…送風手段
51…串保持具昇降機構
52…スロープ
60…作業空間
70…制御装置
70a…作動ダイヤル
70b…操作スイッチ
71…支柱
72…駆動スプロケット
73…従動スプロケット
75…駆動モーター
81…串
82…食材
111,112…排出穴
311a,311b、411a,411b…放熱面
312a,312b、412a,412b…給気面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13